JP2016225590A - 限流回路用インダクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 小さなサイズでありながら、瞬時の大電流通電時に大きなインダクタンスを保持し、電流を制限する効果を発揮することができる限流回路用インダクタを提供する。特に、通常運転時はインダクタンスを必要としない電気回路で用いられる。【解決手段】 この限流回路用インダクタ1は、磁心2とコイル3とで構成されて限流回路に用いられる。磁心2の少なくとも一部に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料を使用する。軟磁性材料は、例えば焼結製純鉄である。【選択図】 図1
Description
この発明は、漏電発生時、ブレーカ動作時や落雷等による瞬時の大電流ノイズに対する対策として電流の突入速度を低減するためのインダクタとして用いられる限流回路用のインダクタ、特に通常運転時にはインダクタとして機能しない事が望ましい限流回路用インダクタに関する。
種々の電気設備、例えば、太陽光発電や風力発電用のコンバータ、データセンター等では大出力化に伴い大電力を扱う用途が拡大してきている。これら機器では大電力を扱うことから、高度な安全対策が求められることもあり、高価な機器である場合が多く、近年ではサージ電流と呼ばれる、雷等の瞬時の大電流ノイズに対する安全面および装置の保護対策が重要になってきている。
漏電発生時や、ブレーカ動作、落雷等により発生する瞬間的な電流ノイズは非常に大きく、対象回路の定格電流の数倍以上の大電流になる場合が多い。回路への大電流の突入を防止するために回路上に直列にインダクタを設ける場合がある。また、遮断装置において、限流装置を設けることがある(例えば、特許文献1)。
漏電発生時や、ブレーカ動作、落雷等により発生する瞬間的な電流ノイズは非常に大きく、対象回路の定格電流の数倍以上の大電流になる場合が多い。回路への大電流の突入を防止するために回路上に直列にインダクタを設ける場合がある。また、遮断装置において、限流装置を設けることがある(例えば、特許文献1)。
従来の瞬間的な電流ノイズの対策として用いられるインダクタは、いずれも、大電流により磁気飽和させないために、非常に大きくなる。
インダクタにサージ電流に代表される様な、電流変化速度が速くかつ非常に大きな電流がインダクタに流れる場合、磁心の磁気飽和に伴う透磁率の低下によりインダクタンスが減少し電流の抑制効果(インピーダンス)が小さくなる。インダクタを磁気飽和させないためには、用いる磁心のサイズを非常に大きくし、大電流により発生する磁束密度を十分小さく抑える必要がある。なお、この明細書で言う「インダクタンス」とは、磁心形状とコイルの巻き数および磁心の材料特性に準ずる透磁率により決まるインダクタの重要特性で、インダクタンス値が大きいほどインピーダンスが大きくなることから電流変化速度が小さくなり、電流抑制効果が大きくなる。
インダクタにサージ電流に代表される様な、電流変化速度が速くかつ非常に大きな電流がインダクタに流れる場合、磁心の磁気飽和に伴う透磁率の低下によりインダクタンスが減少し電流の抑制効果(インピーダンス)が小さくなる。インダクタを磁気飽和させないためには、用いる磁心のサイズを非常に大きくし、大電流により発生する磁束密度を十分小さく抑える必要がある。なお、この明細書で言う「インダクタンス」とは、磁心形状とコイルの巻き数および磁心の材料特性に準ずる透磁率により決まるインダクタの重要特性で、インダクタンス値が大きいほどインピーダンスが大きくなることから電流変化速度が小さくなり、電流抑制効果が大きくなる。
この発明は、上記課題を解消するものであり、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスならびにインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができる限流回路用インダクタを提供することを目的とする。
この発明の限流回路用インダクタは、少なくとも磁心と巻回された導線からなるコイルとで構成された限流回路に用いられるインダクタであって、前記磁心の少なくとも一部に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料を使用したことを特徴とする。前記軟磁性材料、高周波時の鉄損の大きい軟磁性材であることが、より好ましい。
上記材質の軟磁性材料を少なくとも磁心の一部に用いることで、電流が増加するにつれインダクタンスが大きくなると言う通常のインダクタとは逆の特性となることを見いだした。この特性は通常のインダクタとは異なり、瞬時の大電流通電時でも、大きなインピー
ダンスを保持できることから、小さな体格のインダクタで、大きな電流の抑制効果を発揮することができる。なお、通常運転時に通電される電流は、本インダクタが機能すべき大電流と比べると十分小さいことから、通常運転時には、本発明のインダクタは低いインダクタンス特性となる。また大電流ノイズと比べると通常運転時の電流は、直流や50Hz程度の低周波数の交流の場合が多いことから電流変化速度も小さく、低インピーダンスとなることから、異常時のみ機能することが望ましい限流回路用インダクタとして好ましい。
なお、限流回路用インダクタは、「限流コイル」とも呼ばれる。前記「低体積抵抗率」とは、フェライトに較べ体積抵抗率が低いものを言う。また、前記「高透磁率」とは
最大透磁率が1000以上のものを言う。
ダンスを保持できることから、小さな体格のインダクタで、大きな電流の抑制効果を発揮することができる。なお、通常運転時に通電される電流は、本インダクタが機能すべき大電流と比べると十分小さいことから、通常運転時には、本発明のインダクタは低いインダクタンス特性となる。また大電流ノイズと比べると通常運転時の電流は、直流や50Hz程度の低周波数の交流の場合が多いことから電流変化速度も小さく、低インピーダンスとなることから、異常時のみ機能することが望ましい限流回路用インダクタとして好ましい。
なお、限流回路用インダクタは、「限流コイル」とも呼ばれる。前記「低体積抵抗率」とは、フェライトに較べ体積抵抗率が低いものを言う。また、前記「高透磁率」とは
最大透磁率が1000以上のものを言う。
この発明において、前記磁心の全体が前記材質の前記軟磁性材料であっても良い。
磁心の少なくとも一部に前記材質の軟磁性材料を用いれば、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができるという利点が得られる。
磁心の少なくとも一部に前記材質の軟磁性材料を用いれば、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができるという利点が得られる。
この発明の限流回路用インダクタにおいて、前記軟磁性材料が焼結製純鉄であって良い。前記磁心に用いる材料として、低体積抵抗率でかつ高透磁率の軟磁性材料であれば、特に材質の限定はないが、体積抵抗率が低くかつ高透磁率で飽和磁束密度も大きいと言う材料として、純鉄が好ましい。特に、低体積抵抗率で高透磁率となり易いことから、高純度純鉄粉を圧縮成形し焼結させた焼結製高純度純鉄が好ましい。
このような焼結製純鉄を用いる場合に、前記焼結製純鉄の密度が7.4×103kg/m3以上であることが好ましい。
前記焼結製純鉄の密度が7.4×103kg/m3以上であると、試験の結果、瞬時の大電流の通電時におけるインダクタンスの増大を大きいことが確認された。
前記焼結製純鉄の密度が7.4×103kg/m3以上であると、試験の結果、瞬時の大電流の通電時におけるインダクタンスの増大を大きいことが確認された。
この発明において、前記軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上であることが、より好ましい。
このように体積抵抗率が小さく、最大透磁率が大きいと、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができると言う利点が、より一層効果的に得られる。
このように体積抵抗率が小さく、最大透磁率が大きいと、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができると言う利点が、より一層効果的に得られる。
この発明において、前記磁心が軟磁性材料からなり、前記磁心の磁路断面積/磁路長の比が0.9以上であっても良い。
試験によると、磁路断面積/磁路長の比によってインピーダンスが変わり、前記の比が0.9以上である場合に、効率良くインピーダンスが得られた。
試験によると、磁路断面積/磁路長の比によってインピーダンスが変わり、前記の比が0.9以上である場合に、効率良くインピーダンスが得られた。
この発明の限流回路用インダクタは、磁心と巻回された導線からなるコイルとで構成される限流回路に用いられるインダクタであって、前記磁心の少なくとも一部に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料を使用したため、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができる。
この発明の第1の実施形態を図面と共に説明する。なお、この限流回路用インダクタは、チョークコイルまたはリアクトルと呼ばれることがある。
図1は、この発明の一実施形態にかかる限流回路用インダクタを、一部分を切り離して表わした斜視図である。この限流回路用インダクタ1は、ポットコア型であって、所謂P形の磁心2と、この磁心2に内蔵された円筒形のコイル3とでなる。コイル3は、導線(図示せず)を磁心2の中心軸Oと同軸で巻回したものである。導線の両端から引き出し線(図示せず)が磁心2の外に取り出されている。
図1は、この発明の一実施形態にかかる限流回路用インダクタを、一部分を切り離して表わした斜視図である。この限流回路用インダクタ1は、ポットコア型であって、所謂P形の磁心2と、この磁心2に内蔵された円筒形のコイル3とでなる。コイル3は、導線(図示せず)を磁心2の中心軸Oと同軸で巻回したものである。導線の両端から引き出し線(図示せず)が磁心2の外に取り出されている。
磁心2は、中心軸Oと直交する分割面4により2つの分割体2A,2Bに分割されており、各分割体2A,2Bにそれぞれ形成された環状溝5A,5Bでコイル3の収容空間が構成される。分割状態にある磁心2の収容空間にコイル3を収容した後、各分割体2A,2Bを分割面4で接着する。接着には、例えば無溶剤型のエポキシ系接着材やシリコーン系接着剤等が要求される耐熱性等に応じて用いられる。
前記磁心2には、低体積抵抗率で、かつ高透磁率で、さらに一般的なインダクタとは異なり高周波時の鉄損が大きい軟磁性材料が使用される。このような軟磁性材料であれば、特に材質は限定されないが、体積抵抗率が低く、かつ高透磁率で、飽和磁束密度も大きいと言う材質から、純鉄が好ましい。特に、低体積抵抗率で高透磁率となり易いことから、高純度の純鉄粉を圧縮成形し焼結させた焼結製純鉄が好ましい。その場合、焼結製純鉄の密度が7.4×103kg/m3以上であるのが良い。また、軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上であるのが良い。
この実施形態では、磁心2の全体に同じ材質の軟磁性材料を使用したが、磁心2の一部にだけ、例えば磁心2におけるコイル3よりも内周側の部分、または外周側の部分だけに軟磁性材料を使用し、残り部分には他の材質の磁性材料を使用しても良い。
前記コイル3の導線としては、例えば銅エナメル線が用いられる。詳しくは、ウレタン線(UEW)、ホルマール線(PVF)、ポリエステル線(PEW)、ポリエステルイミド線(EIW)、ポリアミドイミド線(AIW)、ポリイミド線(PIW)、これらを組み合わせた二重被覆線、または自己融着線、リッツ線等を使用できる。銅エナメル線の断面形状としては、丸線や角線を使用できる。特に、平角線の断面形状の短径側を圧縮成形磁性体の周囲に接して重ね巻きすることにより、導線密度を向上させたコイル3が得られる。
コイル3は、この実施形態では所謂絶縁ケースとなる樹脂成形体6に内包された形態としている。樹脂成形体6の樹脂材としては、コイル3を固定し、絶縁性を付与できるものであればよい。好ましくは、射出成形が可能な熱可塑性樹脂を使用できる。例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が好ましい。
コイル3を内包する樹脂成形体6の樹脂材としては、上記熱可塑性樹脂以外に、磁心2の結着材として使用されるエポキシ樹脂、またはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂も使用でき、所謂樹脂封止の形態とすることもできる。
この発明の限流コイル1の特性を確かめるために、以下の試験を行った。
実施形態に含まれる試験体として、密度が7.4×103kg/m3の焼結製純鉄からなる外径20.2mm、内径12.6mm、高さ6.4mmのトロイダルコアにコイル3を巻線した試験体を用いた。また、比較例として、密度が5.7×103kg/m3のアモルファスダストコアからなる前記サイズのトロイダルコアにコイル3を巻線した試験体を用いた。この比較例には、磁気飽和し難い材料として、圧粉成形アモルファスを用い、それよりも実施形態品が優れていることを確認した。
実施形態に含まれる試験体として、密度が7.4×103kg/m3の焼結製純鉄からなる外径20.2mm、内径12.6mm、高さ6.4mmのトロイダルコアにコイル3を巻線した試験体を用いた。また、比較例として、密度が5.7×103kg/m3のアモルファスダストコアからなる前記サイズのトロイダルコアにコイル3を巻線した試験体を用いた。この比較例には、磁気飽和し難い材料として、圧粉成形アモルファスを用い、それよりも実施形態品が優れていることを確認した。
図2は試験回路を示す。始めに、スイッチSWを接点aの位置にして、コンデンサCに充電した。次に、スイッチSWを接点bの位置に切り換えて、コンデンサCへの充電を終了すると共に、RLC回路を形成して試験体Lに通電した(図2の状態)。電源Vの電圧は50ボルトとした。前記各試験体Lに瞬時の大電流を通電し、電流およびインダクタの端子管電圧の時間変化を測定した。なお、試験において各試験体の磁心が異なる以外は同条件とした。
図3は、通電時における時間と前記各試験体Lの電流との関係を示すグラフである。磁心にアモルファスを使用した限流回路用インダクタ( 以下、アモルファス系限流インダクタ) は、電流が小さいときは大きな電流抑制効果が得られるが、電流が増加するのに伴い電流抑制効果が減少する。これに対し、磁心に焼結製純鉄を使用した実施形態品に含まれる限流回路用インダクタ( 以下、純鉄系限流インダクタ) は、低電流時に電流抑制効果が小さく、電流が増加するにつれ電流抑制効果が大きくなる。
図4、5は、通電時における時間と前記各試験体Lのインピーダンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、純鉄系限流インダクタに較べ通電直後は高いインピーダンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴い逆転する。
図6は、通電時における時間と前記各試験体Lのインダクタンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、通電直後は大きなインダクタンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴いインダクタンスが減少する。これに対し、純鉄系限流インダクタは、通電直後にインダクタンスが非常に小さく、時間経過に伴いインダクタンスが大きくなる。
磁気飽和し難いアモルファスを磁心に使用した限流回路用インダクタと比較しても、この実施形態の限流回路用インダクタは、瞬時の大電流を通電時におけるインダクタンスの増大特性が優れている。
図4、5は、通電時における時間と前記各試験体Lのインピーダンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、純鉄系限流インダクタに較べ通電直後は高いインピーダンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴い逆転する。
図6は、通電時における時間と前記各試験体Lのインダクタンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、通電直後は大きなインダクタンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴いインダクタンスが減少する。これに対し、純鉄系限流インダクタは、通電直後にインダクタンスが非常に小さく、時間経過に伴いインダクタンスが大きくなる。
磁気飽和し難いアモルファスを磁心に使用した限流回路用インダクタと比較しても、この実施形態の限流回路用インダクタは、瞬時の大電流を通電時におけるインダクタンスの増大特性が優れている。
このように、この実施形態の限流回路用インダクタ1は、磁心2に低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料である焼結製純鉄を使用することで、磁心にフェライトを用いた通常の限流回路用インダクタとは逆の特性となり、電流が増加するにつれてインダクタンスが大きくなる。このため、保護対象とする電気回路と直列にこの実施形態の限流回路用インダクタ1を有する限流回路を設けることにより、瞬間的な電流ノイズが発生した場合に、対象とする電気回路に大電流が流れるのを抑制することができる。
また、焼結製純鉄は低体積抵抗率で高透磁率となり易いため、この限流回路用インダクタ1は、低電流時はインダクタンスが非常に小さいという特性を持つ。このため、通常の電流値では低インダクタンス部品として利用することができる。したがって、異常時のみ機能することが望ましい限流回路用インダクタ1として好ましい。また、上記のように、この限流回路用インダクタ1は、低体積抵抗率で高透磁率となり易いため、小さな体格で大きなインダクタンスが得られる。
なお、上記試験例では、焼結製純鉄の密度が7.4×103kg/m3の焼結純鉄を用いたが、密度が7.4×103kg/m3以上の焼結純鉄を用いると、より一層、低体積抵抗率で高透磁率となる。
※焼結体は、圧粉成形→焼結の工程で製造する。圧粉成形体の密度で6.8 程度以上あれば焼結工程に持ち込めるが、低密度の場合、強度不足で取り扱えなくなる。また圧粉成形で粉を押し固めて製造することから、空孔が内部に残るため、真密度に近いものは製造不可能である。現時点では最大で97% 程度で、実際には密度7.6 を超える焼結体を製造することは非常に困難である。
また、この実施形態では、軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上であるため、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスを得ることができる。
なお、上記実施形態では、磁心2を、内部にコイル3を埋め込む円筒形としたが、磁心2は、コイル3の内周または外周のいずれか一方のみに設ける形状であっても良く、またポット型に限らず、他の種々の形状の磁心2を持つ限流回路用インダクタ、例えば図7に示す円筒形の磁心2に、この発明を適用することができる。図7の磁心2を用いた限流回路用インダクタは、特に説明する事項を除き、図1と共に前述した第1の実施形態と同様である。
他の試験例につき説明する。
(試験体)
図7の限流回路用インダクタのトロイダルコアからなる磁心2において、磁路断面積/磁路長の比が、インピーダンスにどのような影響を与えるかにつき試験を行った。図7において、符号Sで示す断面は、磁路断面積とする断面であり、符号lで示す円は、内径と外径の平均径の円周であり磁路長を成す線である。
試験体は、密度7.70g/cm3の焼結系純鉄の上記トロイダルコアからなる磁心2であって、次の表3に示すサイズのものを用意し、試験体(No. 1〜No.5)とした。
(試験体)
図7の限流回路用インダクタのトロイダルコアからなる磁心2において、磁路断面積/磁路長の比が、インピーダンスにどのような影響を与えるかにつき試験を行った。図7において、符号Sで示す断面は、磁路断面積とする断面であり、符号lで示す円は、内径と外径の平均径の円周であり磁路長を成す線である。
試験体は、密度7.70g/cm3の焼結系純鉄の上記トロイダルコアからなる磁心2であって、次の表3に示すサイズのものを用意し、試験体(No. 1〜No.5)とした。
(試験方法)
試験体に瞬時の大電流を通電し、電流の時間変化を測定した。
通電時の試験回路は、図2と共に前述した回路である。同図のスイッチSWを同図のように接点bに接続した状態でコンデンサCを充電し、スイッチSWの切り替えによってコンデンサCの充電を終了すると共に、RLC回路を形成することで試験体に電流を通電した。
試験体に瞬時の大電流を通電し、電流の時間変化を測定した。
通電時の試験回路は、図2と共に前述した回路である。同図のスイッチSWを同図のように接点bに接続した状態でコンデンサCを充電し、スイッチSWの切り替えによってコンデンサCの充電を終了すると共に、RLC回路を形成することで試験体に電流を通電した。
試験の結果を表4に示す。インピーダンス/〔断面積/ 磁路長(以下、形状係数αとする)](以下、Z/αとする)と形状係数αの関係を表4および図8に示す。
Z/αは、形状係数αによって得られるインピーダンスの具合を示し、大きい値ほど理想状態に近く、効率の良いことを示す。ピーク電流の小さいものほど、電流と電圧より求めたインピーダンスが大きく、形状係数αが0.9以上のときに、効率よくインピーダンスが得られていた。
Z/αは、形状係数αによって得られるインピーダンスの具合を示し、大きい値ほど理想状態に近く、効率の良いことを示す。ピーク電流の小さいものほど、電流と電圧より求めたインピーダンスが大きく、形状係数αが0.9以上のときに、効率よくインピーダンスが得られていた。
上記試験の結果からわかるように、磁路断面積/磁路長の比によってインピーダンスが変わり、前記の比が0.9以上である場合に、効率良くインピーダンスが得られる。
なお、前記試験は、図7に示すトロイダル型の磁心における試験であるが、図1に示すポットコア型の磁心2であっても、同様の結果であると推測される。
図1の実施形態における限流回路用インダクタの場合、その磁心2の磁路断面積および磁路長は、図9に示す面積および長さとなる。
また、磁路断面積/磁路長の比が0.9以上が好ましいのは、この比であれば、磁心の形状に関わらずに言える。
なお、前記試験は、図7に示すトロイダル型の磁心における試験であるが、図1に示すポットコア型の磁心2であっても、同様の結果であると推測される。
図1の実施形態における限流回路用インダクタの場合、その磁心2の磁路断面積および磁路長は、図9に示す面積および長さとなる。
また、磁路断面積/磁路長の比が0.9以上が好ましいのは、この比であれば、磁心の形状に関わらずに言える。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…限流回路用インダクタ
2…磁心
3…コイル
2…磁心
3…コイル
Claims (6)
- 磁心とコイルとで構成されて限流回路に用いられるインダクタであって、前記磁心の少なくとも一部に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料を使用したことを特徴とする限流回路用インダクタ。
- 請求項1に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記磁心の全体が前記材質の前記軟磁性材料である限流回路用インダクタ。
- 請求項1または請求項2に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記軟磁性材料が焼結製純鉄である限流回路用インダクタ。
- 請求項3に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記焼結製純鉄の密度が7.4×103kg/m3以上である限流回路用インダクタ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上である限流回路用インダクタ。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記磁心が軟磁性材料からなり、前記磁心の磁路断面積/磁路長の比が0.9以上である限流回路用インダクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2016/065343 WO2016190319A1 (ja) | 2015-05-28 | 2016-05-24 | 限流回路用インダクタ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015108370 | 2015-05-28 |
Publications (1)
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ID=57746012
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2016225590A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018226000A1 (ko) * | 2017-06-08 | 2018-12-13 | 주식회사 아모그린텍 | 적층형 분말 코어 |
-
2015
- 2015-11-05 JP JP2015217512A patent/JP2016225590A/ja active Pending
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CN110651338A (zh) * | 2017-06-08 | 2020-01-03 | 阿莫绿色技术有限公司 | 层叠型粉芯 |
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