JP2016223349A - 油圧機械の診断方法及び診断装置、並びに再生エネルギー型発電装置及びその診断方法 - Google Patents

油圧機械の診断方法及び診断装置、並びに再生エネルギー型発電装置及びその診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリンダユニットの部品の不具合に起因した油圧機械の異常を適正に診断する。【解決手段】回転シャフト5、7のトルク変動、高圧ライン30における圧力変動もしくは油圧機械10、20の出力変動のうち回転シャフトの回転数ωとカムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、油圧機械の無負荷状態における回転シャフトのトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む油圧機械の異常を検出するステップを備える。【選択図】図1

Description

本開示は、油圧機械の診断方法及び診断装置、並びに再生エネルギー型発電装置及びその診断方法に関する。
一般に、油圧ポンプや油圧モータ等の油圧機械として、回転シャフトの周囲に複数のシリンダユニットが配置された構成が知られている。なお、シリンダユニットは、ピストン及びシリンダと、該ピストン及びシリンダにより画定される作動室内の作動油の流出入を制御する高圧弁及び低圧弁と、を含む。例えば、特許文献1には、複数のピストン及びシリンダと、シリンダ内でピストンを周期的に摺動させるカムと、ピストンの往復運動のタイミングに合わせて開閉される高圧弁及び低圧弁と、を含む油圧ポンプが記載されている。
この種の油圧機械における異常診断方法として、例えば特許文献2には、油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力センサの出力信号に基づいて、油圧ポンプの異常診断を行う異常診断装置が開示されている。
米国特許出願公開第2010/003259号明細書 特開2012‐107687号公報
ところで、上記したような油圧機械においては、複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットの部品に異常が発生した場合、カム面を損傷するなどの重大な損傷に繋がる可能性があるため、シリンダユニットにおける異常を早期に検出することが要求される。例えば、油圧ポンプにおいて、高圧弁が開の状態で固着してしまった場合、この状態で長時間運転し続けると、カムやカムに当接するピストン部品(例えばコロやシュー)に損傷を発生させる可能性がある。したがって、このような異常を早期に検出して対策を講じる必要がある。
シリンダユニットの異常を診断する方法としては、各シリンダ内に圧力センサを設けて、各シリンダの筒内圧を検出することで異常を診断する方法が考えられる。しかしながら、この場合、シリンダユニットの数に対応する複数の圧力センサが必要となり、油圧機械の構成が複雑化し多大なコストが必要になってしまう。
また、特許文献2のように油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力センサの出力信号に基づいて異常診断を行う場合においては、シリンダユニットの部品の不具合に起因した異常の他にも圧力変動を引き起こす要因が存在するため、シリンダユニットの部品の不具合に起因した異常を適正に診断することは難しい。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、シリンダユニットの部品の不具合に起因した油圧機械の異常を適正に診断することができる油圧機械の診断方法及び診断装置、並びに再生エネルギー型発電装置及びその診断方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械の診断方法は、
回転シャフトと、高圧ラインと、低圧ラインと、複数のシリンダと、前記複数のシリンダによってそれぞれ案内されるように構成された複数のピストンと、前記回転シャフトの回転に関連付けて前記複数のピストンを往復動させるように構成されたカムと、前記シリンダ及び前記ピストンによって形成される複数の作動室に対してそれぞれ設けられ、各々の前記作動室と前記高圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の高圧弁と、各々の前記作動室と前記低圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の低圧弁と、を備える油圧機械の診断方法であって、
前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうち前記回転シャフトの回転数ωと前記カムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、前記油圧機械の無負荷状態における前記回転シャフトのトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つを含む前記油圧機械の異常を検出するステップを備えることを特徴とする。
上記(1)の方法では、シリンダユニットの不具合に起因した油圧機械の異常を診断する際に、回転シャフトのトルク変動、高圧ラインにおける圧力変動もしくは油圧機械の出力変動のうち回転シャフトの回転数ωとカムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、油圧機械の無負荷状態における回転シャフトのトルクの標準偏差の少なくとも一方を用いるようにしている。これにより、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。なお、本実施形態において、シリンダユニットとは、ピストン及びシリンダと、高圧弁及び低圧弁と、を含む。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
上記(2)の方法によれば、特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合に異常と判断するようにしたので、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を容易に判断することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記油圧ポンプの前記カムは、前記回転シャフトの周方向に配列された複数のカム山を有し、
前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうちω×m(但し、mは2以上の整数)の前記特定周波数の変動成分の大きさに基づいて、前記油圧ポンプの異常を検出する。
例えば、高圧弁が開いた状態でスティック(固着)した場合、作動室内に高圧油が流入し続け、筒内圧が過度に高くなることがある。通常、筒内圧が過度に高くなると、回転シャフトのトルク、高圧ラインにおける圧力もしくは油圧機械の出力にその影響が表れる。複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁のスティック異常が発生した場合、ピストンはカム山に対応して周期的にシリンダ内を往復動するので、スティック異常が発生したシリンダユニットの影響は、回転シャフトの回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分として顕著に現れる。一方、例えば高負荷時には、他の要因により、回転シャフトのトルク、高圧ラインにおける圧力もしくは油圧機械の出力に変動成分が現れることがあるが、ピストンの周期的な往復動に関与しない場合には、上記特定周波数の変動成分として現れることはない。そのため、上記(3)の方法によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁の開状態でのスティックを適正に検出することができる。同様に、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックにおいても、カム山に対応したピストンの周期的な往復動の影響を受けるので、上記(3)の方法によって、他の要因に起因した影響を排除し、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックを適正に検出することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の方法において、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記油圧機械の運転中において前記特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えるか否かを監視し、
前記周波数成分が前記閾値を超えた場合、前記油圧機械の運転を停止する。
上記(4)の方法によれば、周波数成分が閾値を超えた場合、油圧機械に異常が発生したものとして油圧機械の運転を停止するようにしたので、運転を続行することによる油圧機械の深刻な故障の発生を未然に防ぐことができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の方法において、
前記無負荷状態における前記トルクの標準偏差が閾値を超えた場合、前記高圧弁の開状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
例えば、複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁のスティック異常が発生した場合、油圧機械の無負荷状態では、他のピストンは作動していないので他の要因に起因した影響は殆ど現れず、スティック異常が発生したシリンダユニットからの影響のみが回転シャフトのトルクに顕著に現れる。そのため、上記(5)方法によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁の開状態でのスティックを適正に検出することができる。同様の理由から、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックも適正に検出することができる。
(6)一実施形態では、上記(5)の方法において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの前記油圧ポンプの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、前記油圧ポンプの異常を検出する。
上記(6)の方法では、油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、油圧ポンプの異常を検出するようにしている。そのため、無負荷状態を確実に維持することができ、トルクの標準偏差を用いた適正な異常診断が可能となる。
(7)幾つかの実施形態では、(5)又は(6)の方法において、
前記油圧機械は、発電機を駆動するための油圧モータを含み、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記発電機をグリッドに連系した直後の前記油圧モータの無負荷回転時における前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出する。
分散型電源として油圧モータが用いられる場合、通常、発電機の併入に際して発電機をグリッドに連系した直後(あるいは連系直前から直後までの一定時間を含んでもよい)、無負荷回転を行うことがある。そのため、この無負荷回転を利用して、回転シャフトのトルクの標準偏差に基づく油圧モータの異常検出を行うようにすれば、通常の運用を妨げることなく異常診断を行うことができる。
(8)一実施形態では、上記(7)の方法において、
前記発電機が定格回転数に到達するまで前記油圧モータの回転数を上昇させるステップをさらに備え、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記発電機が定格回転数に到達し、且つ、前記油圧モータが無負荷状態にあるときの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出する。
上記(8)の構成によれば、発電機が定格回転数に到達し、且つ、油圧モータが無負荷状態にあるとき異常検出を行うようにしているので、シリンダユニットの不具合に起因した影響がトルクに顕著に反映される。そのため、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧モータの異常をより一層適正に診断することができる。
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る再生エネルギー型発電装置の診断方法は、
再生エネルギーによって回転されるように構成されたロータと、前記ロータによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプで生成される圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、を備える再生エネルギー型発電装置の診断方法であって、
上記(1)乃至(8)に記載の診断方法によって、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方の異常を検出することを特徴とする。
上記(9)の方法によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、再生エネルギー型発電装置の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械用の診断装置は、
回転シャフトと、高圧ラインと、低圧ラインと、複数のシリンダと、前記複数のシリンダによってそれぞれ案内されるように構成された複数のピストンと、前記回転シャフトの回転に関連付けて前記複数のピストンを往復動させるように構成されたカムと、前記シリンダ及び前記ピストンによって形成される複数の作動室に対してそれぞれ設けられ、各々の前記作動室と前記高圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の高圧弁と、各々の前記作動室と前記低圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の低圧弁と、を備える油圧機械のための診断装置であって、
前記回転シャフトのトルク、前記高圧ラインにおける圧力もしくは前記油圧機械の出力の少なくとも一つを取得するためのセンサと、
前記センサの計測結果から得られる前記トルク、前記圧力又は前記出力の変動成分のうち前記回転シャフトの回転数ωと前記カムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、前記油圧機械の無負荷状態において前記センサの計測結果から得られる前記トルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つを含む前記油圧機械の異常を検出する異常検出部と、を備えることを特徴とする。
上記(10)の構成によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記油圧ポンプの前記カムは、前記回転シャフトの周方向に配列された複数のカム山を有し、
前記異常検出部は、前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうちω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の前記特定周波数の変動成分の大きさに基づいて、前記油圧ポンプの異常を検出するように構成される。
複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ異常が発生した場合、ピストンはカム山に対応して周期的にシリンダ内を往復動するので、異常が発生したシリンダユニットの影響は、回転シャフトの回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分として顕著に現れる。そのため、上記(11)の構成によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に検出することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)の構成において、
前記異常検出部は、
前記油圧機械の運転中において前記周波数成分が閾値を超えるか否かを監視し、
前記周波数成分が前記閾値を超えた場合、前記油圧機械の運転停止指令を前記油圧機械に対して出力するように構成される。
上記(12)の構成によれば、特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合に異常と判断するようにしたので、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を容易に判断することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(12)の構成において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記異常検出部は、前記油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの前記油圧ポンプの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、前記油圧ポンプの異常を検出するように構成される。
上記(13)の構成では、油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、油圧ポンプの異常を検出するようにしている。そのため、無負荷状態を確実に維持することができ、トルクの標準偏差を用いた適正な異常診断が可能となる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(13)の構成において、
前記油圧機械は、発電機を駆動するための油圧モータを含み、
前記異常検出部は、
前記発電機をグリッドに連系した直後の前記油圧モータの無負荷回転時における前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出するように構成される。
上記(14)の構成によれば、発電機の併入に際して発電機をグリッドに連系した直後(あるいは連系直前から直後までの一定時間を含んでもよい)の無負荷回転を利用して、回転シャフトのトルクの標準偏差に基づく油圧モータの異常検出を行うようにしたので、通常の運用を妨げることなく異常診断を行うことができる。
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係る再生エネルギー型発電装置は、
再生エネルギーによって回転されるように構成されたロータと、
前記ロータによって駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプで生成される圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、
前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、
上記(10)乃至(14)の何れか一に記載の診断装置と、を備え、
前記診断装置は、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方の異常を検出するように構成されたことを特徴とする。
上記(15)の構成によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、再生エネルギー型発電装置の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
幾つかの実施形態に係る異常診断装置を備えた風力発電装置の構成図である。 一実施形態に係る油圧ポンプの構成図である。 一実施形態に係る油圧モータの構成図である。 一実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。 油圧ポンプの高圧圧力スペクトルを示すグラフである。 (a)〜(d)は、油圧ポンプの回転数、アクティブ頻度指令値Fd、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示すグラフである。 (a)及び(b)は、回転シャフトのトルク及び高圧ラインの圧力の周波数分析結果を示す図である。 他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。 (a−1)〜(d−1)は、正常時における、油圧ポンプの回転数、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)、回転シャフトのトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフであり、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間を拡大したグラフである。 (a−1)〜(d−1)は、異常時における、油圧ポンプの回転数、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)、回転シャフトのトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフであり、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間を拡大したグラフである。 他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
最初に、図1を参照して、本実施形態に係る診断装置40が適用される再生エネルギー型発電装置として、風力発電装置1について説明する。なお、図1は、幾つかの実施形態に係る風力発電装置1の概略構成図である。ただし、本実施形態に係る診断装置40は、潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等の他の再生エネルギー型発電装置にも適用できる。
図1に示すように、幾つかの実施形態に係る風力発電装置1は、ブレード2及びハブ3を含むロータ4と、ロータ4とともに回転する回転シャフト5と、ロータ4の回転を増速する油圧トランスミッション6と、油圧トランスミッション6を介してロータ4の回転エネルギーが入力される発電機8と、を備えている。
ロータ4は、少なくとも一本のブレード2がハブ3に取り付けられた構成を有しており、ブレード2が風を受けることによって、該ブレード2がハブ3とともに回転するようになっている。ハブ3には回転シャフト5が連結されている。そして、ブレード2が受けた風の力によってロータ4全体が回転し、回転シャフト5を介して油圧トランスミッション6に回転が入力される。
油圧トランスミッション6は、可変容量型の油圧ポンプ10と、可変容量型の油圧モータ20と、高圧ライン30及び低圧ライン31と、を含んでいる。
油圧ポンプ10は、回転シャフト5に入力される機械的な回転エネルギーによって駆動されるように構成される。
油圧モータ20は、油圧ポンプ10からの圧油によって駆動されるように構成される。油圧モータ20の出力軸(回転シャフト)7には、グリッド9に連系された発電機8が連結されている。
高圧ライン30は、油圧ポンプ10の吐出口と油圧モータ20の吸入口との間に設けられ、油圧ポンプ10で生成した圧油(高圧油)を油圧モータ20に導くように構成されている。
低圧ライン31は、油圧モータ20の吐出口と油圧ポンプ10の吸入口との間に設けられ、油圧モータ20から吐出された作動油(低圧油)を油圧ポンプ10に導くように構成されている。
上記油圧トランスミッション6において、油圧ポンプ10で生成された高圧油は高圧ライン30を介して油圧モータ20に流入し、油圧モータ20を駆動する。油圧モータ20で仕事を行った後の低圧油は、低圧ライン31を介して油圧ポンプ10に流入して、油圧ポンプ10で昇圧された後、再び高圧ライン30を介して油圧モータ20に流入する。油圧モータ20の出力軸(回転シャフト)7には、グリッド9に連系された発電機8が連結されている。そして、油圧トランスミッション6の油圧ポンプ10に入力された回転は、油圧トランスミッション6で増速された後、発電機8に入力される。
図1には、油圧モータ20を1個だけ含む油圧トランスミッション6を示したが、複数の油圧モータ20を設けて、それぞれの油圧モータ20を油圧ポンプ10に接続してもよい。複数の油圧モータ20を設ける場合、一つの油圧モータ20に対して1つの発電機8を設けてもよいし、出力軸7を共有する複数の油圧モータ20に対して1つの発電機8を設けてもよい。また、発電機8は、油圧モータ20の同軸上に設けられる同期発電機であってもよい。
ここで、油圧ポンプ10及び油圧モータ20の具体的な構成例について説明する。なお、図2は、一実施形態に係る油圧ポンプ10の構成図である。図3は、一実施形態に係る油圧モータ20の構成図である。なお、図2及び図3では、油圧ポンプ10がマルチローブカム14を備え、油圧モータ20が偏心カム24を備える場合を例示したが、カムの種類はこれらに限定されるものではない。
一実施形態において、図2に示す油圧ポンプ10は、複数のピストン12と、複数のピストン12を往復運動可能にそれぞれ案内するように構成され、複数のピストン12とともに複数の作動室13を形成する複数のシリンダ11と、複数のピストン12に係合する波形のカム曲面を有するカム(マルチローブカム)14と、各作動室13に対して設けられた高圧弁15および低圧弁16と、を備えている。高圧弁15は、各作動室13と高圧ライン30との間の高圧連通路17に設けられ、低圧弁16は、各作動室13と低圧ライン31との間の低圧連通路18に設けられている。例えば、高圧弁15には、作動室13から高圧ライン30に向かう作動油の流れのみを許容する逆止弁を用い、低圧弁16には電磁弁を用いることができる。なお、本実施形態では、ピストン12及び該ピストン12を案内するシリンダ11と、このシリンダ11に対応した高圧弁15及び低圧弁16を含んでシリンダユニットと称する。
油圧ポンプ10の運転時において、回転シャフト5とともにカム14が回転すると、カム山に対応してピストン12が周期的に上下動し、ピストン12が下死点から上死点に向かうポンプ工程と、ピストン12が上死点から下死点に向かう吸入工程とが繰り返される。そのため、ピストン12とシリンダ11の内壁面によって形成される作動室13の容積は周期的に変化する。
油圧ポンプ10では、高圧弁15および低圧弁16の開閉によって、各作動室13をアクティブ状態又は非アクティブ状態に切替えることができる。作動室13がアクティブ状態である場合、吸入工程において高圧弁15を閉じ低圧弁16を開くことで低圧ライン31から作動室13内に作動油を流入させるとともに、ポンプ工程において高圧弁15を開き低圧弁16を閉じることで作動室13から高圧ライン30に圧縮された作動油を送り出す。一方、作動室13が非アクティブ状態である場合、吸入工程およびポンプ工程の両方において、高圧弁15が閉じて低圧弁16が開いた状態を維持して、作動室13と低圧ライン31との間で作動油を往復させる(すなわち、高圧ライン30には作動油を送り出さない)。これにより、油圧ポンプ10は、アクティブ状態にある作動室13の個数の全作動室数に対する割合を変化させることで、全体としての押しのけ容積を調節することができる。
一実施形態において、図3に示す油圧モータ20は、シリンダ21及びピストン22により形成される複数の作動室23と、ピストン22に係合するカム曲面を有するカム24と、各作動室23に対して設けられた高圧弁25および低圧弁26と、を備える。高圧弁25は、各作動室23と高圧ライン30との間に設けられ、低圧弁26は、各作動室23と低圧ライン31との間に設けられている。なお、本実施形態では、ピストン22及び該ピストン22を案内するシリンダ21と、このシリンダ21に対応した高圧弁25及び低圧弁26を含んでシリンダユニットと称する。
油圧モータ20の運転時において、油圧ポンプ10が生成した高圧ライン30と低圧ライン31との差圧によって、ピストン22が周期的に上下動し、ピストン22が上死点から下死点に向かうモータ工程と、ピストン22が下死点から上死点に向かう排出工程とが繰り返される。そのため、ピストン22とシリンダ21の内壁面によって形成される作動室23の容積は周期的に変化する。
油圧モータ20では、高圧弁25および低圧弁26の開閉によって、各作動室23をアクティブ状態又は非アクティブ状態に切替えることができる。作動室23がアクティブ状態である場合、モータ工程において高圧弁25を開き低圧弁26を閉じることで高圧ライン30から作動室23内に圧油を流入させるとともに、排出工程において高圧弁25を閉じ低圧弁26を開くことで作動室23内で仕事をした圧油を低圧ライン31に送り出す。一方、作動室23が非アクティブ状態である場合、モータ工程及び排出工程の両方において、高圧弁25が閉じて低圧弁26が開いた状態を維持して、作動室23と低圧ライン31との間で圧油を往復させる(すなわち、高圧ライン30からの高圧油を作動室23に受け入れない)。これにより、油圧モータ20は、油圧ポンプ10と同様に、アクティブ状態にある作動室23の個数の全作動室数に対する割合を変化させることで、全体としての押しのけ容積を調節することができる。
本実施形態では、上記した油圧ポンプ10又は油圧モータ20を含む油圧機械のシリンダユニットの部品の不具合に起因した異常を診断するために、さらに以下の構成を備えている。
図1に示すように、幾つかの実施形態に係る異常診断装置40は、回転シャフト5,7のトルクを取得するためのトルクセンサ41,43、高圧ライン30における圧力を取得するための圧力センサ42、又は、油圧機械の出力を取得するための出力センサ44の少なくとも一つを備える。ここでは一例として、油圧機械の出力として発電機出力を示している。
また、異常診断装置40は、センサ41,42,43,44の検出信号に基づいて、シリンダユニットの部品の不具合に起因した異常を検出するための異常検出部46を含むコントローラ45をさらに備える。コントローラ45は、後述する閾値等を記憶するための記憶部47をさらに備えていてもよい。
異常検出部46は、センサ41,42,43,44の計測結果から得られる回転シャフト5,7のトルク、高圧ライン30の圧力又は油圧機械の出力の変動成分のうち、回転シャフト5,7の回転数ωとカム14のカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、油圧機械の無負荷状態においてセンサ41,43の計測結果から得られるトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を検出するように構成される。
幾つかの実施形態に係る油圧機械の異常診断方法は、回転シャフト5,7のトルク変動、高圧ライン30における圧力変動もしくは油圧機械の出力変動のうち、回転シャフト5,7の回転数ωとカム14のカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、油圧機械の無負荷状態における回転シャフト5,7のトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む油圧機械の異常を検出するステップを備える。
なお、図3に示す油圧モータ20は偏心カム24を備える構成について例示したが、上記実施形態は、油圧モータ20がカム山を有するマルチローブカム(図2参照)を有している場合に適用される。
上記構成によれば、油圧機械(油圧ポンプ10若しくは油圧モータ20)におけるシリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
一実施形態において、記憶部47には、回転シャフト5,7のトルク変動、高圧ライン30における圧力変動もしくは油圧機械の出力変動のうち異常診断に用いられる変動に関する閾値が記憶されている。
異常検出部46には、異常診断に用いられるパラメータ(回転シャフト5,7のトルク、高圧ライン30における圧力もしくは油圧機械の出力のうち少なくとも一つ)を検出するためのセンサ41,42,43,44から検出信号が入力される。異常検出部46は、検出信号に基づいて、異常診断に用いられるパラメータの特定周波数の変動成分を抽出する。このとき、パラメータの検出信号から、例えばFFTによる周波数解析によってパラメータの特定周波数の変動成分を抽出するようにしてもよい。そして、異常検出部46では、特定周波数の変動成分と記憶部47に記憶された閾値とを比較し、特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
このように、パラメータの特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合に異常と判断することにより、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を容易に判断することができる。
他の実施形態において、記憶部47には、回転シャフト5,7のトルクの標準偏差に関する閾値が記憶されている。
異常検出部46には、トルクセンサ41,43から検出信号が入力される。異常検出部46は、トルクセンサ41,43の計測結果から取得された無負荷状態におけるトルクの標準偏差と、記憶部47に記憶された閾値とを比較し、無負荷状態におけるトルクの標準偏差が閾値を超えた場合、高圧弁15,25の開状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
例えば、複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁15,25のスティック異常が発生した場合、油圧機械の無負荷状態では、他のピストン12,22は作動していないので他の要因に起因した影響は殆ど現れず、スティック異常が発生したシリンダユニットからの影響のみが回転シャフト5,7のトルクに顕著に現れる。そのため、上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁15,25の開状態でのスティックを適正に検出することができる。また、ピストン12,22がスティックした場合、スティックしたストローク位置によって、シリンダユニットに不具合が発生することがある。例えば、ピストン12,22が下死点付近でスティックした場合、ピストン12,22の摺動部(例えばコロやシュー)からカム面に対して過度な負荷が作用する可能性がある。その場合、回転シャフト5,7のトルクに顕著な変化が現れる。よって、ピストン12,22のスティックを適正に検出することができる。
次に、具体例として、本実施形態における異常診断を油圧ポンプ10又は油圧モータ20に適用した場合についてそれぞれ説明する。
まず、図4乃至図6を参照して、油圧ポンプ10に対して、特定周波数の変動成分を用いた異常診断を行う場合について説明する。
図4は、一実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。なお、油圧ポンプ10の各部位については、図2の符号を用いている。
図1及び図4に示すように、油圧ポンプ10は、回転シャフト5の周方向に配列された複数のカム山を有するカム(マルチローブカム)14を備える。
一実施形態に係る油圧ポンプ10の異常診断方法では、ステップS1において、異常検出部46は、回転シャフト5のトルク変動を検出するためのトルクセンサ41の計測結果、又は、高圧ライン30における圧力センサ42の計測結果の少なくとも一つに基づいて、回転シャフト5のトルク変動又は高圧ライン30における圧力変動の少なくとも一つを取得する。次いで、ステップS2において、異常検出部46は、回転シャフト5のトルク変動又は高圧ライン30における圧力変動の少なくとも一つの周波数解析を行い、特定周波数の変動成分を抽出する。ここで、特定周波数とは、回転シャフト5の回転数ωとカム14のカム山数mとで定まる周波数であり、具体的には、ω×m(但し、mは2以上の整数)で得られる周波数である。あるいは、特定周波数は、ω×m(但し、mは2以上の整数)であってもよい。
そして、ステップS3において、異常検出部46では、ステップS2で得られた特定周波数の変動成分と、記憶部47に記憶された閾値とを比較する。特定周波数の変動成分が閾値よりも小さい場合、ステップS4において異常なしと判断する。一方、特定周波数の変動成分が閾値よりも大きい場合、ステップS5において、高圧弁15の開状態でのスティック、低圧弁16の閉状態でのスティック又はピストン12のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を検出する。特に、この実施形態に係る診断方法は、高圧弁15の開状態でのスティック又はピストン12のスティックの異常検出に適している。なお、上述の実施形態では、異常診断に際して、回転シャフト5のトルク変動又は高圧ライン30における圧力変動の少なくとも一つを用いているが、油圧ポンプ10の出力変動を用いてもよい。ステップS5において異常が発生したことを検出した場合、ステップS6において、油圧ポンプ10の運転を停止する。
例えば、高圧弁15が開いた状態でスティック(固着)した場合、作動室13内に高圧油が流入し続け、シリンダ11の筒内圧が過度に高くなることがある。同様に、低圧弁16が閉状態でスティックした場合、作動室13内の高圧油が流出しなくなるので、シリンダ11の筒内圧が過度に高くなることがある。通常、筒内圧が過度に高くなると、回転シャフト5のトルク又は高圧ライン30における圧力にその影響が表れる。複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁15又は低圧弁16のスティック異常が発生した場合、ピストン12はカム山に対応して周期的にシリンダ11内を往復動するので、スティック異常が発生したシリンダユニットの影響は、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分として顕著に現れる。一方、例えば高負荷時には、他の要因により、回転シャフト5のトルク又は高圧ライン30における圧力に変動成分が現れることがあるが、ピストン12の周期的な往復動に関与しない場合には、上記特定周波数の変動成分として現れることはない。そのため、上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁15の開状態でのスティック又は低圧弁16の閉状態でのスティックを適正に検出することができる。
また、ピストン12がスティックした場合、スティックしたストローク位置によって、シリンダユニットに不具合が発生することがある。例えば、ピストン12が下死点付近でスティックした場合、ピストン12の摺動部(例えばコロやシュー)がカム14の頂部に向かう領域においてピストン12の摺動部からカム面に対して過度な負荷が作用する可能性がある。その場合、例えば回転シャフト5のトルクにおいて、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分が顕著に現れる。このため、上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、ピストン12のスティックを適正に検出することができる。
図5乃至図7は、高圧弁のスティック異常に関する図である。
なお、図5は、油圧ポンプの高圧圧力スペクトルを示すグラフである。図6(a)〜(d)は、それぞれ、油圧ポンプの回転数、アクティブ頻度指令値Fd、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示すグラフである。図7(a)及び(b)は、回転シャフトのトルク及び高圧ラインの圧力の周波数分析結果を示す図である。なお、アクティブ頻度指令値Fdとは、アクティブ状態のシリンダの全シリンダに対する割合を表す。
図5は、Fdが異なるケース1とケース2において、それぞれ、正常時及び異常時における高圧ライン30の圧力スペクトルを比較した図である。ここで、異常時とは、高圧弁15のスティック異常が発生した時である。
ケース1において、高圧ライン30の圧力は、正常時には周波数に関わらず概ね一定の値を示している。一方、異常時には、特定の周波数Fにおいて高圧ライン30の圧力が突出して上昇している。この特定の周波数Fは、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mに対応している。
同様に、ケース2において、高圧ライン30の圧力は、正常時には周波数に関わらず概ね一定の値を示しているが、異常時には、特定の周波数Fにおいて高圧ライン30の圧力が突出して上昇している。ケース2においても、この特定の周波数Fは、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mに対応している。
これらの図から明らかなように、高圧弁15のスティック異常が発生した時、高圧ライン30の圧力変動は、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mの特定周波数の変動成分として顕著に現れることがわかる。すなわち、高圧弁15のスティック異常と、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mの特定周波数の変動成分との間に密接な関係があることが明らかである。
図6において、(a)は油圧ポンプ10の回転数の経時変化を示し、(b)はアクティブ頻度指令値Fdの経時変化を示し、(c)は回転シャフト5のトルクの経時変化を示し、(d)はシリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示すグラフである。
高圧弁のスティック異常が発生した時、(a)に示すように回転数は一定の状態を維持しているが、(b)及び(c)に示すように、スティック異常の発生時点からアクティブ頻度指令値Fdの変動及び回転シャフト5のトルク変動が大きくなる。また、(d)に示すように、スティック異常の発生時点から筒内圧も上昇する。
これらの結果から、油圧ポンプ10に異常が発生したことは判断できるが、これのみではシリンダユニットにおける異常か他の要因による異常かを判定することは難しい。
そこで、図7(a)に示す回転シャフト5のトルクの周波数分析結果を見ると、異常発生時から特定周波数Fにおけるトルク変動が顕著に現れている。あるいは、図7(b)に示す高圧ライン30の圧力の周波数分析結果を見ると、異常発生時から特定周波数Fにおけるトルク変動が顕著に現れている。そのため、この異常は、高圧弁15の開状態でのスティックであると特定することができる。なお、ここでは高圧弁15の開状態でのスティック異常を検出する場合を例示したが、低圧弁16の閉状態でのスティック異常又はピストン12のスティック異常も同様にして特定することができる。
なお、上述したように、特定周波数の変動成分を用いた異常診断は、油圧モータ20等の他の油圧機械にも適用できる。
次に、図8乃至図10を参照して、油圧ポンプ10に対して、回転シャフト5のトルクの標準偏差を用いた異常診断を行う場合について説明する。図8は、他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。なお、油圧ポンプ10の各部位については、図2の符号を用いている。
図1及び図8に示すように、他の実施形態に係る油圧ポンプ10の異常診断方法では、ステップS11において、異常検出部46は、回転シャフト5のトルク変動を検出するためのトルクセンサ41の計測結果に基づいて、油圧ポンプ10の無負荷状態における回転シャフト5のトルクの標準偏差を取得する。トルクの標準偏差は、油圧ポンプ10の回転数が設定値以上であるときに取得してもよい。これにより、トルクの標準偏差に異常が顕著に現れ、より適正な異常診断が可能となる。また、油圧ポンプ10の無負荷状態は、油圧ポンプ10によるポンピングが行われていないときに実現される。例えば、全てのシリンダユニットにおける作動室13を非アクティブ状態(Fd=0)とすることによって油圧ポンプ10によるポンピングが停止される。次いで、ステップS12において、異常検出部46は、トルクの標準偏差と、記憶部47に記憶された閾値とを比較する。トルクの標準偏差が閾値よりも小さい場合、ステップS13において異常なしと判断する。一方、トルクの標準偏差が閾値よりも大きい場合、ステップS14において、高圧弁15の開状態でのスティック又はピストン12のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を検出する。異常が検出された場合、ステップS15において、油圧ポンプ10の運転を停止する。
上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁15の開状態でのスティック又はピストン12のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に検出することができる。
図9は正常時における各経時変化を示しており、(a−1)は油圧ポンプ10の回転数の経時変化を示し、(b−1)は回転シャフト5のトルクの経時変化を示し、(c−1)はシリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示し、(d−1)は回転シャフト5のトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフである。図9において、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間Tを拡大したグラフである。図10は、異常時における各経時変化を示しており、(a−1)は油圧ポンプ10の回転数の経時変化を示し、(b−1)は回転シャフト5のトルクの経時変化を示し、(c−1)はシリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示し、(d−1)は回転シャフト5のトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフである。図9において、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間Tを拡大したグラフである。なお、図10では一例として、ピストン12のスティック異常が発生した場合を示している。
図9に示す正常時においては、(a−1)及び(a−2)に示すように回転数が設定以上であるとき、(d−1)及び(d−2)に示すように無負荷期間Tにおいて回転シャフト5の標準偏差は小さい。
一方、図10に示す異常時においては、(a−1)及び(a−2)に示すように回転数が設定以上であるとき、(d−1)及び(d−2)に示すように無負荷期間Tにおいて回転シャフト5の標準偏差は大きくなる。
このように、ピストン12のスティック異常が発生した場合、油圧ポンプ10が無負荷状態である無負荷期間Tにおいて、標準偏差は大きくなる。そのため、油圧ポンプ10が無負荷状態であるときの回転シャフト5の標準偏差を監視することで、異常を適正に検出することが可能である。なお、高圧弁15のスティック異常に対しても、同様にして異常を検出することができる。
さらに、図11を参照して、油圧モータ20に対して、回転シャフト7のトルクの標準偏差を用いた異常診断を行う場合について説明する。図11は、他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。なお、油圧モータ20の各部位については、図3の符号を用いている。
図11に示すように、他の実施形態に係る油圧ポンプ10の異常診断方法では、ステップS21において、油圧モータ20の回転数を上昇させる。発電機8が定格回転数に到達したら、S22において、異常検出部46は、発電機8をグリッドに連系した直後の油圧モータ20の無負荷回転時における回転シャフト7のトルクの標準偏差を取得する。トルクの標準偏差は、トルクセンサ43の検出信号から得られる。そして、ステップS23において、異常検出部46は、トルクの標準偏差と、記憶部47に記憶された閾値とを比較する。トルクの標準偏差が閾値よりも小さい場合、ステップS24において、異常検出部46は油圧モータ20の異常なしと判断する。一方、トルクの標準偏差が閾値を超えた場合、ステップS25において、異常検出部46は、高圧弁25のスティック異常又はピストン22のスティック異常と判断する。この場合、ステップS26において、油圧モータ20の運転を停止する。
上記実施形態によれば、発電機8が定格回転数に到達し、且つ、油圧モータ20が無負荷状態にあるとき異常検出を行うようにしているので、シリンダユニットの不具合に起因した影響がトルクに顕著に反映される。そのため、高圧弁25の開状態でのスティック、低圧弁26の閉状態でのスティック又はピストン22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧モータ20の異常をより一層適正に診断することができる。
また、分散型電源として油圧モータ20が用いられる場合、通常、発電機8の併入に際して発電機8をグリッド9に連系した直後(あるいは連系直前から直後までの一定時間を含んでもよい)、無負荷回転を行うことがある。そのため、この無負荷回転を利用して、回転シャフト7のトルクの標準偏差に基づく油圧モータ20の異常検出を行うようにすれば、通常の運用を妨げることなく異常診断を行うことができる。
上述した少なくとも一の実施形態によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上記実施形態では、油圧機械として風力発電装置1の油圧ポンプ10及び油圧モータ20について説明したが、本実施形態の油圧機械は、風力発電装置1以外の他の再生エネルギー型発電装置又は他の油圧機械利用装置が備える油圧機械にも適用できる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 風力発電装置
2 ブレード
3 ハブ
4 ロータ
5 回転シャフト
6 油圧トランスミッション
7 出力軸(回転シャフト)
8 発電機
9 グリッド
10 油圧ポンプ
11,21 シリンダ
12,22 ピストン
13,23 作動室
14 カム(マルチローブカム)
15,25 高圧弁
16,26 低圧弁
20 油圧モータ
24 カム(偏心カム)
30 高圧ライン
31 低圧ライン
40 異常診断装置
41,43 トルクセンサ
42 圧力センサ
43 トルクセンサ
44 出力センサ
45 コントローラ
46 異常検出部
47 記憶部
本開示は、油圧機械の診断方法及び診断装置、並びに再生エネルギー型発電装置及びその診断方法に関する。
一般に、油圧ポンプや油圧モータ等の油圧機械として、回転シャフトの周囲に複数のシリンダユニットが配置された構成が知られている。なお、シリンダユニットは、ピストン及びシリンダと、該ピストン及びシリンダにより画定される作動室内の作動油の流出入を制御する高圧弁及び低圧弁と、を含む。例えば、特許文献1には、複数のピストン及びシリンダと、シリンダ内でピストンを周期的に摺動させるカムと、ピストンの往復運動のタイミングに合わせて開閉される高圧弁及び低圧弁と、を含む油圧ポンプが記載されている。
この種の油圧機械における異常診断方法として、例えば特許文献2には、油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力センサの出力信号に基づいて、油圧ポンプの異常診断を行う異常診断装置が開示されている。
米国特許出願公開第2010/003259号明細書 特開2012‐107687号公報
ところで、上記したような油圧機械においては、複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットの部品に異常が発生した場合、カム面を損傷するなどの重大な損傷に繋がる可能性があるため、シリンダユニットにおける異常を早期に検出することが要求される。例えば、油圧ポンプにおいて、高圧弁が開の状態で固着してしまった場合、この状態で長時間運転し続けると、カムやカムに当接するピストン部品(例えばコロやシュー)に損傷を発生させる可能性がある。したがって、このような異常を早期に検出して対策を講じる必要がある。
シリンダユニットの異常を診断する方法としては、各シリンダ内に圧力センサを設けて、各シリンダの筒内圧を検出することで異常を診断する方法が考えられる。しかしながら、この場合、シリンダユニットの数に対応する複数の圧力センサが必要となり、油圧機械の構成が複雑化し多大なコストが必要になってしまう。
また、特許文献2のように油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力センサの出力信号に基づいて異常診断を行う場合においては、シリンダユニットの部品の不具合に起因した異常の他にも圧力変動を引き起こす要因が存在するため、シリンダユニットの部品の不具合に起因した異常を適正に診断することは難しい。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、シリンダユニットの部品の不具合に起因した油圧機械の異常を適正に診断することができる油圧機械の診断方法及び診断装置、並びに再生エネルギー型発電装置及びその診断方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械の診断方法は、
回転シャフトと、高圧ラインと、低圧ラインと、複数のシリンダと、前記複数のシリンダによってそれぞれ案内されるように構成された複数のピストンと、前記回転シャフトの回転に関連付けて前記複数のピストンを往復動させるように構成されたカムと、前記シリンダ及び前記ピストンによって形成される複数の作動室に対してそれぞれ設けられ、各々の前記作動室と前記高圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の高圧弁と、各々の前記作動室と前記低圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の低圧弁と、を備える油圧機械の診断方法であって、
前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうち前記回転シャフトの回転数ωと前記カムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、前記油圧機械の無負荷状態における前記回転シャフトのトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つを含む前記油圧機械の異常を検出するステップを備えることを特徴とする。
上記(1)の方法では、シリンダユニットの不具合に起因した油圧機械の異常を診断する際に、回転シャフトのトルク変動、高圧ラインにおける圧力変動もしくは油圧機械の出力変動のうち回転シャフトの回転数ωとカムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、油圧機械の無負荷状態における回転シャフトのトルクの標準偏差の少なくとも一方を用いるようにしている。これにより、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。なお、本実施形態において、シリンダユニットとは、ピストン及びシリンダと、高圧弁及び低圧弁と、を含む。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
上記(2)の方法によれば、特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合に異常と判断するようにしたので、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を容易に判断することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記油圧ポンプの前記カムは、前記回転シャフトの周方向に配列された複数のカム山を有し、
前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうちω×m(但し、mは2以上の整数)の前記特定周波数の変動成分の大きさに基づいて、前記油圧ポンプの異常を検出する。
例えば、高圧弁が開いた状態でスティック(固着)した場合、作動室内に高圧油が流入し続け、筒内圧が過度に高くなることがある。通常、筒内圧が過度に高くなると、回転シャフトのトルク、高圧ラインにおける圧力もしくは油圧機械の出力にその影響が表れる。複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁のスティック異常が発生した場合、ピストンはカム山に対応して周期的にシリンダ内を往復動するので、スティック異常が発生したシリンダユニットの影響は、回転シャフトの回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分として顕著に現れる。一方、例えば高負荷時には、他の要因により、回転シャフトのトルク、高圧ラインにおける圧力もしくは油圧機械の出力に変動成分が現れることがあるが、ピストンの周期的な往復動に関与しない場合には、上記特定周波数の変動成分として現れることはない。そのため、上記(3)の方法によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁の開状態でのスティックを適正に検出することができる。同様に、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックにおいても、カム山に対応したピストンの周期的な往復動の影響を受けるので、上記(3)の方法によって、他の要因に起因した影響を排除し、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックを適正に検出することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の方法において、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記油圧機械の運転中において前記特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えるか否かを監視し、
前記変動成分が前記閾値を超えた場合、前記油圧機械の運転を停止する。
上記(4)の方法によれば、変動成分が閾値を超えた場合、油圧機械に異常が発生したものとして油圧機械の運転を停止するようにしたので、運転を続行することによる油圧機械の深刻な故障の発生を未然に防ぐことができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の方法において、
前記無負荷状態における前記トルクの標準偏差が閾値を超えた場合、前記高圧弁の開状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
例えば、複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁のスティック異常が発生した場合、油圧機械の無負荷状態では、他のピストンは作動していないので他の要因に起因した影響は殆ど現れず、スティック異常が発生したシリンダユニットからの影響のみが回転シャフトのトルクに顕著に現れる。そのため、上記(5)方法によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁の開状態でのスティックを適正に検出することができる。同様の理由から、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックも適正に検出することができる。
(6)一実施形態では、上記(5)の方法において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの前記油圧ポンプの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、前記油圧ポンプの異常を検出する。
上記(6)の方法では、油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、油圧ポンプの異常を検出するようにしている。そのため、無負荷状態を確実に維持することができ、トルクの標準偏差を用いた適正な異常診断が可能となる。
(7)幾つかの実施形態では、(5)又は(6)の方法において、
前記油圧機械は、発電機を駆動するための油圧モータを含み、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記発電機をグリッドに連系した直後の前記油圧モータの無負荷回転時における前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出する。
分散型電源として油圧モータが用いられる場合、通常、発電機の併入に際して発電機をグリッドに連系した直後(あるいは連系直前から直後までの一定時間を含んでもよい)、無負荷回転を行うことがある。そのため、この無負荷回転を利用して、回転シャフトのトルクの標準偏差に基づく油圧モータの異常検出を行うようにすれば、通常の運用を妨げることなく異常診断を行うことができる。
(8)一実施形態では、上記(7)の方法において、
前記発電機が定格回転数に到達するまで前記油圧モータの回転数を上昇させるステップをさらに備え、
前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記発電機が定格回転数に到達し、且つ、前記油圧モータが無負荷状態にあるときの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出する。
上記(8)の構成によれば、発電機が定格回転数に到達し、且つ、油圧モータが無負荷状態にあるとき異常検出を行うようにしているので、シリンダユニットの不具合に起因した影響がトルクに顕著に反映される。そのため、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧モータの異常をより一層適正に診断することができる。
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る再生エネルギー型発電装置の診断方法は、
再生エネルギーによって回転されるように構成されたロータと、前記ロータによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプで生成される圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、を備える再生エネルギー型発電装置の診断方法であって、
上記(1)乃至(8)に記載の診断方法によって、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方の異常を検出することを特徴とする。
上記(9)の方法によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、再生エネルギー型発電装置の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械用の診断装置は、
回転シャフトと、高圧ラインと、低圧ラインと、複数のシリンダと、前記複数のシリンダによってそれぞれ案内されるように構成された複数のピストンと、前記回転シャフトの回転に関連付けて前記複数のピストンを往復動させるように構成されたカムと、前記シリンダ及び前記ピストンによって形成される複数の作動室に対してそれぞれ設けられ、各々の前記作動室と前記高圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の高圧弁と、各々の前記作動室と前記低圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の低圧弁と、を備える油圧機械のための診断装置であって、
前記回転シャフトのトルク、前記高圧ラインにおける圧力もしくは前記油圧機械の出力の少なくとも一つを取得するためのセンサと、
前記センサの計測結果から得られる前記トルク、前記圧力又は前記出力の変動成分のうち前記回転シャフトの回転数ωと前記カムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、前記油圧機械の無負荷状態において前記センサの計測結果から得られる前記トルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つを含む前記油圧機械の異常を検出する異常検出部と、を備えることを特徴とする。
上記(10)の構成によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記油圧ポンプの前記カムは、前記回転シャフトの周方向に配列された複数のカム山を有し、
前記異常検出部は、前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうちω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の前記特定周波数の変動成分の大きさに基づいて、前記油圧ポンプの異常を検出するように構成される。
複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ異常が発生した場合、ピストンはカム山に対応して周期的にシリンダ内を往復動するので、異常が発生したシリンダユニットの影響は、回転シャフトの回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分として顕著に現れる。そのため、上記(11)の構成によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に検出することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)の構成において、
前記異常検出部は、
前記油圧機械の運転中において前記変動成分が閾値を超えるか否かを監視し、
前記変動成分が前記閾値を超えた場合、前記油圧機械の運転停止指令を前記油圧機械に対して出力するように構成される。
上記(12)の構成によれば、特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合に異常と判断するようにしたので、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を容易に判断することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(12)の構成において、
前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
前記異常検出部は、前記油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの前記油圧ポンプの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、前記油圧ポンプの異常を検出するように構成される。
上記(13)の構成では、油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、油圧ポンプの異常を検出するようにしている。そのため、無負荷状態を確実に維持することができ、トルクの標準偏差を用いた適正な異常診断が可能となる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(13)の構成において、
前記油圧機械は、発電機を駆動するための油圧モータを含み、
前記異常検出部は、
前記発電機をグリッドに連系した直後の前記油圧モータの無負荷回転時における前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出するように構成される。
上記(14)の構成によれば、発電機の併入に際して発電機をグリッドに連系した直後(あるいは連系直前から直後までの一定時間を含んでもよい)の無負荷回転を利用して、回転シャフトのトルクの標準偏差に基づく油圧モータの異常検出を行うようにしたので、通常の運用を妨げることなく異常診断を行うことができる。
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係る再生エネルギー型発電装置は、
再生エネルギーによって回転されるように構成されたロータと、
前記ロータによって駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプで生成される圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、
前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、
上記(10)乃至(14)の何れか一に記載の診断装置と、を備え、
前記診断装置は、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方の異常を検出するように構成されたことを特徴とする。
上記(15)の構成によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、再生エネルギー型発電装置の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁の開状態でのスティック、低圧弁の閉状態でのスティック又はピストンのスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
幾つかの実施形態に係る異常診断装置を備えた風力発電装置の構成図である。 一実施形態に係る油圧ポンプの構成図である。 一実施形態に係る油圧モータの構成図である。 一実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。 油圧ポンプの高圧圧力スペクトルを示すグラフである。 (a)〜(d)は、油圧ポンプの回転数、アクティブ頻度指令値Fd、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示すグラフである。 (a)及び(b)は、回転シャフトのトルク及び高圧ラインの圧力の周波数分析結果を示す図である。 他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。 (a−1)〜(d−1)は、正常時における、油圧ポンプの回転数、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)、回転シャフトのトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフであり、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間を拡大したグラフである。 (a−1)〜(d−1)は、異常時における、油圧ポンプの回転数、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)、回転シャフトのトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフであり、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間を拡大したグラフである。 他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
最初に、図1を参照して、本実施形態に係る診断装置40が適用される再生エネルギー型発電装置として、風力発電装置1について説明する。なお、図1は、幾つかの実施形態に係る風力発電装置1の概略構成図である。ただし、本実施形態に係る診断装置40は、潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等の他の再生エネルギー型発電装置にも適用できる。
図1に示すように、幾つかの実施形態に係る風力発電装置1は、ブレード2及びハブ3を含むロータ4と、ロータ4とともに回転する回転シャフト5と、ロータ4の回転を増速する油圧トランスミッション6と、油圧トランスミッション6を介してロータ4の回転エネルギーが入力される発電機8と、を備えている。
ロータ4は、少なくとも一本のブレード2がハブ3に取り付けられた構成を有しており、ブレード2が風を受けることによって、該ブレード2がハブ3とともに回転するようになっている。ハブ3には回転シャフト5が連結されている。そして、ブレード2が受けた風の力によってロータ4全体が回転し、回転シャフト5を介して油圧トランスミッション6に回転が入力される。
油圧トランスミッション6は、可変容量型の油圧ポンプ10と、可変容量型の油圧モータ20と、高圧ライン30及び低圧ライン31と、を含んでいる。
油圧ポンプ10は、回転シャフト5に入力される機械的な回転エネルギーによって駆動されるように構成される。
油圧モータ20は、油圧ポンプ10からの圧油によって駆動されるように構成される。油圧モータ20の出力軸(回転シャフト)7には、グリッド9に連系された発電機8が連結されている。
高圧ライン30は、油圧ポンプ10の吐出口と油圧モータ20の吸入口との間に設けられ、油圧ポンプ10で生成した圧油(高圧油)を油圧モータ20に導くように構成されている。
低圧ライン31は、油圧モータ20の吐出口と油圧ポンプ10の吸入口との間に設けられ、油圧モータ20から吐出された作動油(低圧油)を油圧ポンプ10に導くように構成されている。
上記油圧トランスミッション6において、油圧ポンプ10で生成された高圧油は高圧ライン30を介して油圧モータ20に流入し、油圧モータ20を駆動する。油圧モータ20で仕事を行った後の低圧油は、低圧ライン31を介して油圧ポンプ10に流入して、油圧ポンプ10で昇圧された後、再び高圧ライン30を介して油圧モータ20に流入する。油圧モータ20の出力軸(回転シャフト)7には、グリッド9に連系された発電機8が連結されている。そして、油圧トランスミッション6の油圧ポンプ10に入力された回転は、油圧トランスミッション6で増速された後、発電機8に入力される。
図1には、油圧モータ20を1個だけ含む油圧トランスミッション6を示したが、複数の油圧モータ20を設けて、それぞれの油圧モータ20を油圧ポンプ10に接続してもよい。複数の油圧モータ20を設ける場合、一つの油圧モータ20に対して1つの発電機8を設けてもよいし、出力軸7を共有する複数の油圧モータ20に対して1つの発電機8を設けてもよい。また、発電機8は、油圧モータ20の同軸上に設けられる同期発電機であってもよい。
ここで、油圧ポンプ10及び油圧モータ20の具体的な構成例について説明する。なお、図2は、一実施形態に係る油圧ポンプ10の構成図である。図3は、一実施形態に係る油圧モータ20の構成図である。なお、図2及び図3では、油圧ポンプ10がマルチローブカム14を備え、油圧モータ20が偏心カム24を備える場合を例示したが、カムの種類はこれらに限定されるものではない。
一実施形態において、図2に示す油圧ポンプ10は、複数のピストン12と、複数のピストン12を往復運動可能にそれぞれ案内するように構成され、複数のピストン12とともに複数の作動室13を形成する複数のシリンダ11と、複数のピストン12に係合する波形のカム曲面を有するカム(マルチローブカム)14と、各作動室13に対して設けられた高圧弁15および低圧弁16と、を備えている。高圧弁15は、各作動室13と高圧ライン30との間の高圧連通路17に設けられ、低圧弁16は、各作動室13と低圧ライン31との間の低圧連通路18に設けられている。例えば、高圧弁15には、作動室13から高圧ライン30に向かう作動油の流れのみを許容する逆止弁を用い、低圧弁16には電磁弁を用いることができる。なお、本実施形態では、ピストン12及び該ピストン12を案内するシリンダ11と、このシリンダ11に対応した高圧弁15及び低圧弁16を含んでシリンダユニットと称する。
油圧ポンプ10の運転時において、回転シャフト5とともにカム14が回転すると、カム山に対応してピストン12が周期的に上下動し、ピストン12が下死点から上死点に向かうポンプ工程と、ピストン12が上死点から下死点に向かう吸入工程とが繰り返される。そのため、ピストン12とシリンダ11の内壁面によって形成される作動室13の容積は周期的に変化する。
油圧ポンプ10では、高圧弁15および低圧弁16の開閉によって、各作動室13をアクティブ状態又は非アクティブ状態に切替えることができる。作動室13がアクティブ状態である場合、吸入工程において高圧弁15を閉じ低圧弁16を開くことで低圧ライン31から作動室13内に作動油を流入させるとともに、ポンプ工程において高圧弁15を開き低圧弁16を閉じることで作動室13から高圧ライン30に圧縮された作動油を送り出す。一方、作動室13が非アクティブ状態である場合、吸入工程およびポンプ工程の両方において、高圧弁15が閉じて低圧弁16が開いた状態を維持して、作動室13と低圧ライン31との間で作動油を往復させる(すなわち、高圧ライン30には作動油を送り出さない)。これにより、油圧ポンプ10は、アクティブ状態にある作動室13の個数の全作動室数に対する割合を変化させることで、全体としての押しのけ容積を調節することができる。
一実施形態において、図3に示す油圧モータ20は、シリンダ21及びピストン22により形成される複数の作動室23と、ピストン22に係合するカム曲面を有するカム24と、各作動室23に対して設けられた高圧弁25および低圧弁26と、を備える。高圧弁25は、各作動室23と高圧ライン30との間に設けられ、低圧弁26は、各作動室23と低圧ライン31との間に設けられている。なお、本実施形態では、ピストン22及び該ピストン22を案内するシリンダ21と、このシリンダ21に対応した高圧弁25及び低圧弁26を含んでシリンダユニットと称する。
油圧モータ20の運転時において、油圧ポンプ10が生成した高圧ライン30と低圧ライン31との差圧によって、ピストン22が周期的に上下動し、ピストン22が上死点から下死点に向かうモータ工程と、ピストン22が下死点から上死点に向かう排出工程とが繰り返される。そのため、ピストン22とシリンダ21の内壁面によって形成される作動室23の容積は周期的に変化する。
油圧モータ20では、高圧弁25および低圧弁26の開閉によって、各作動室23をアクティブ状態又は非アクティブ状態に切替えることができる。作動室23がアクティブ状態である場合、モータ工程において高圧弁25を開き低圧弁26を閉じることで高圧ライン30から作動室23内に圧油を流入させるとともに、排出工程において高圧弁25を閉じ低圧弁26を開くことで作動室23内で仕事をした圧油を低圧ライン31に送り出す。一方、作動室23が非アクティブ状態である場合、モータ工程及び排出工程の両方において、高圧弁25が閉じて低圧弁26が開いた状態を維持して、作動室23と低圧ライン31との間で圧油を往復させる(すなわち、高圧ライン30からの高圧油を作動室23に受け入れない)。これにより、油圧モータ20は、油圧ポンプ10と同様に、アクティブ状態にある作動室23の個数の全作動室数に対する割合を変化させることで、全体としての押しのけ容積を調節することができる。
本実施形態では、上記した油圧ポンプ10又は油圧モータ20を含む油圧機械のシリンダユニットの部品の不具合に起因した異常を診断するために、さらに以下の構成を備えている。
図1に示すように、幾つかの実施形態に係る異常診断装置40は、回転シャフト5,7のトルクを取得するためのトルクセンサ41,43、高圧ライン30における圧力を取得するための圧力センサ42、又は、油圧機械の出力を取得するための出力センサ44の少なくとも一つを備える。ここでは一例として、油圧機械の出力として発電機出力を示している。
また、異常診断装置40は、センサ41,42,43,44の検出信号に基づいて、シリンダユニットの部品の不具合に起因した異常を検出するための異常検出部46を含むコントローラ45をさらに備える。コントローラ45は、後述する閾値等を記憶するための記憶部47をさらに備えていてもよい。
異常検出部46は、センサ41,42,43,44の計測結果から得られる回転シャフト5,7のトルク、高圧ライン30の圧力又は油圧機械の出力の変動成分のうち、回転シャフト5,7の回転数ωとカム14のカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、油圧機械の無負荷状態においてセンサ41,43の計測結果から得られるトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を検出するように構成される。
幾つかの実施形態に係る油圧機械の異常診断方法は、回転シャフト5,7のトルク変動、高圧ライン30における圧力変動もしくは油圧機械の出力変動のうち、回転シャフト5,7の回転数ωとカム14のカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、油圧機械の無負荷状態における回転シャフト5,7のトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む油圧機械の異常を検出するステップを備える。
なお、図3に示す油圧モータ20は偏心カム24を備える構成について例示したが、上記実施形態は、油圧モータ20がカム山を有するマルチローブカム(図2参照)を有している場合に適用される。
上記構成によれば、油圧機械(油圧ポンプ10若しくは油圧モータ20)におけるシリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
一実施形態において、記憶部47には、回転シャフト5,7のトルク変動、高圧ライン30における圧力変動もしくは油圧機械の出力変動のうち異常診断に用いられる変動に関する閾値が記憶されている。
異常検出部46には、異常診断に用いられるパラメータ(回転シャフト5,7のトルク、高圧ライン30における圧力もしくは油圧機械の出力のうち少なくとも一つ)を検出するためのセンサ41,42,43,44から検出信号が入力される。異常検出部46は、検出信号に基づいて、異常診断に用いられるパラメータの特定周波数の変動成分を抽出する。このとき、パラメータの検出信号から、例えばFFTによる周波数解析によってパラメータの特定周波数の変動成分を抽出するようにしてもよい。そして、異常検出部46では、特定周波数の変動成分と記憶部47に記憶された閾値とを比較し、特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
このように、パラメータの特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合に異常と判断することにより、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を容易に判断することができる。
他の実施形態において、記憶部47には、回転シャフト5,7のトルクの標準偏差に関する閾値が記憶されている。
異常検出部46には、トルクセンサ41,43から検出信号が入力される。異常検出部46は、トルクセンサ41,43の計測結果から取得された無負荷状態におけるトルクの標準偏差と、記憶部47に記憶された閾値とを比較し、無負荷状態におけるトルクの標準偏差が閾値を超えた場合、高圧弁15,25の開状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つが発生したと判断する。
例えば、複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁15,25のスティック異常が発生した場合、油圧機械の無負荷状態では、他のピストン12,22は作動していないので他の要因に起因した影響は殆ど現れず、スティック異常が発生したシリンダユニットからの影響のみが回転シャフト5,7のトルクに顕著に現れる。そのため、上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁15,25の開状態でのスティックを適正に検出することができる。また、ピストン12,22がスティックした場合、スティックしたストローク位置によって、シリンダユニットに不具合が発生することがある。例えば、ピストン12,22が下死点付近でスティックした場合、ピストン12,22の摺動部(例えばコロやシュー)からカム面に対して過度な負荷が作用する可能性がある。その場合、回転シャフト5,7のトルクに顕著な変化が現れる。よって、ピストン12,22のスティックを適正に検出することができる。
次に、具体例として、本実施形態における異常診断を油圧ポンプ10又は油圧モータ20に適用した場合についてそれぞれ説明する。
まず、図4乃至図6を参照して、油圧ポンプ10に対して、特定周波数の変動成分を用いた異常診断を行う場合について説明する。
図4は、一実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。なお、油圧ポンプ10の各部位については、図2の符号を用いている。
図1及び図4に示すように、油圧ポンプ10は、回転シャフト5の周方向に配列された複数のカム山を有するカム(マルチローブカム)14を備える。
一実施形態に係る油圧ポンプ10の異常診断方法では、ステップS1において、異常検出部46は、回転シャフト5のトルク変動を検出するためのトルクセンサ41の計測結果、又は、高圧ライン30における圧力センサ42の計測結果の少なくとも一つに基づいて、回転シャフト5のトルク変動又は高圧ライン30における圧力変動の少なくとも一つを取得する。次いで、ステップS2において、異常検出部46は、回転シャフト5のトルク変動又は高圧ライン30における圧力変動の少なくとも一つの周波数解析を行い、特定周波数の変動成分を抽出する。ここで、特定周波数とは、回転シャフト5の回転数ωとカム14のカム山数mとで定まる周波数であり、具体的には、ω×m(但し、mは2以上の整数)で得られる周波数である。あるいは、特定周波数は、ω×m(但し、mは2以上の整数)であってもよい。
そして、ステップS3において、異常検出部46では、ステップS2で得られた特定周波数の変動成分と、記憶部47に記憶された閾値とを比較する。特定周波数の変動成分が閾値よりも小さい場合、ステップS4において異常なしと判断する。一方、特定周波数の変動成分が閾値よりも大きい場合、ステップS5において、高圧弁15の開状態でのスティック、低圧弁16の閉状態でのスティック又はピストン12のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を検出する。特に、この実施形態に係る診断方法は、高圧弁15の開状態でのスティック又はピストン12のスティックの異常検出に適している。なお、上述の実施形態では、異常診断に際して、回転シャフト5のトルク変動又は高圧ライン30における圧力変動の少なくとも一つを用いているが、油圧ポンプ10の出力変動を用いてもよい。ステップS5において異常が発生したことを検出した場合、ステップS6において、油圧ポンプ10の運転を停止する。
例えば、高圧弁15が開いた状態でスティック(固着)した場合、作動室13内に高圧油が流入し続け、シリンダ11の筒内圧が過度に高くなることがある。同様に、低圧弁16が閉状態でスティックした場合、作動室13内の高圧油が流出しなくなるので、シリンダ11の筒内圧が過度に高くなることがある。通常、筒内圧が過度に高くなると、回転シャフト5のトルク又は高圧ライン30における圧力にその影響が表れる。複数のシリンダユニットのうち何れかのシリンダユニットにのみ高圧弁15又は低圧弁16のスティック異常が発生した場合、ピストン12はカム山に対応して周期的にシリンダ11内を往復動するので、スティック異常が発生したシリンダユニットの影響は、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分として顕著に現れる。一方、例えば高負荷時には、他の要因により、回転シャフト5のトルク又は高圧ライン30における圧力に変動成分が現れることがあるが、ピストン12の周期的な往復動に関与しない場合には、上記特定周波数の変動成分として現れることはない。そのため、上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁15の開状態でのスティック又は低圧弁16の閉状態でのスティックを適正に検出することができる。
また、ピストン12がスティックした場合、スティックしたストローク位置によって、シリンダユニットに不具合が発生することがある。例えば、ピストン12が下死点付近でスティックした場合、ピストン12の摺動部(例えばコロやシュー)がカム14の頂部に向かう領域においてピストン12の摺動部からカム面に対して過度な負荷が作用する可能性がある。その場合、例えば回転シャフト5のトルクにおいて、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の特定周波数の変動成分が顕著に現れる。このため、上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、ピストン12のスティックを適正に検出することができる。
図5乃至図7は、高圧弁のスティック異常に関する図である。
なお、図5は、油圧ポンプの高圧圧力スペクトルを示すグラフである。図6(a)〜(d)は、それぞれ、油圧ポンプの回転数、アクティブ頻度指令値Fd、回転シャフトのトルク、シリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示すグラフである。図7(a)及び(b)は、回転シャフトのトルク及び高圧ラインの圧力の周波数分析結果を示す図である。なお、アクティブ頻度指令値Fdとは、アクティブ状態のシリンダの全シリンダに対する割合を表す。
図5は、Fdが異なるケース1とケース2において、それぞれ、正常時及び異常時における高圧ライン30の圧力スペクトルを比較した図である。ここで、異常時とは、高圧弁15のスティック異常が発生した時である。
ケース1において、高圧ライン30の圧力は、正常時には周波数に関わらず概ね一定の値を示している。一方、異常時には、特定の周波数Fにおいて高圧ライン30の圧力が突出して上昇している。この特定の周波数Fは、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mに対応している。
同様に、ケース2において、高圧ライン30の圧力は、正常時には周波数に関わらず概ね一定の値を示しているが、異常時には、特定の周波数Fにおいて高圧ライン30の圧力が突出して上昇している。ケース2においても、この特定の周波数Fは、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mに対応している。
これらの図から明らかなように、高圧弁15のスティック異常が発生した時、高圧ライン30の圧力変動は、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mの特定周波数の変動成分として顕著に現れることがわかる。すなわち、高圧弁15のスティック異常と、回転シャフト5の回転数ωとカムのカム山数mとで定まるω×mの特定周波数の変動成分との間に密接な関係があることが明らかである。
図6において、(a)は油圧ポンプ10の回転数の経時変化を示し、(b)はアクティブ頻度指令値Fdの経時変化を示し、(c)は回転シャフト5のトルクの経時変化を示し、(d)はシリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示すグラフである。
高圧弁のスティック異常が発生した時、(a)に示すように回転数は一定の状態を維持しているが、(b)及び(c)に示すように、スティック異常の発生時点からアクティブ頻度指令値Fdの変動及び回転シャフト5のトルク変動が大きくなる。また、(d)に示すように、スティック異常の発生時点から筒内圧も上昇する。
これらの結果から、油圧ポンプ10に異常が発生したことは判断できるが、これのみではシリンダユニットにおける異常か他の要因による異常かを判定することは難しい。
そこで、図7(a)に示す回転シャフト5のトルクの周波数分析結果を見ると、異常発生時から特定周波数Fにおけるトルク変動が顕著に現れている。あるいは、図7(b)に示す高圧ライン30の圧力の周波数分析結果を見ると、異常発生時から特定周波数Fにおけるトルク変動が顕著に現れている。そのため、この異常は、高圧弁15の開状態でのスティックであると特定することができる。なお、ここでは高圧弁15の開状態でのスティック異常を検出する場合を例示したが、低圧弁16の閉状態でのスティック異常又はピストン12のスティック異常も同様にして特定することができる。
なお、上述したように、特定周波数の変動成分を用いた異常診断は、油圧モータ20等の他の油圧機械にも適用できる。
次に、図8乃至図10を参照して、油圧ポンプ10に対して、回転シャフト5のトルクの標準偏差を用いた異常診断を行う場合について説明する。図8は、他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。なお、油圧ポンプ10の各部位については、図2の符号を用いている。
図1及び図8に示すように、他の実施形態に係る油圧ポンプ10の異常診断方法では、ステップS11において、異常検出部46は、回転シャフト5のトルク変動を検出するためのトルクセンサ41の計測結果に基づいて、油圧ポンプ10の無負荷状態における回転シャフト5のトルクの標準偏差を取得する。トルクの標準偏差は、油圧ポンプ10の回転数が設定値以上であるときに取得してもよい。これにより、トルクの標準偏差に異常が顕著に現れ、より適正な異常診断が可能となる。また、油圧ポンプ10の無負荷状態は、油圧ポンプ10によるポンピングが行われていないときに実現される。例えば、全てのシリンダユニットにおける作動室13を非アクティブ状態(Fd=0)とすることによって油圧ポンプ10によるポンピングが停止される。次いで、ステップS12において、異常検出部46は、トルクの標準偏差と、記憶部47に記憶された閾値とを比較する。トルクの標準偏差が閾値よりも小さい場合、ステップS13において異常なしと判断する。一方、トルクの標準偏差が閾値よりも大きい場合、ステップS14において、高圧弁15の開状態でのスティック又はピストン12のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を検出する。異常が検出された場合、ステップS15において、油圧ポンプ10の運転を停止する。
上記実施形態によれば、他の要因に起因した影響を排除し、高圧弁15の開状態でのスティック又はピストン12のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に検出することができる。
図9は正常時における各経時変化を示しており、(a−1)は油圧ポンプ10の回転数の経時変化を示し、(b−1)は回転シャフト5のトルクの経時変化を示し、(c−1)はシリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示し、(d−1)は回転シャフト5のトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフである。図9において、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間Tを拡大したグラフである。図10は、異常時における各経時変化を示しており、(a−1)は油圧ポンプ10の回転数の経時変化を示し、(b−1)は回転シャフト5のトルクの経時変化を示し、(c−1)はシリンダ内圧力(筒内圧)の経時変化を示し、(d−1)は回転シャフト5のトルクの標準偏差の経時変化を示すグラフである。図9において、(a−2)〜(d−2)は、(a−1)〜(d−1)の無負荷期間Tを拡大したグラフである。なお、図10では一例として、ピストン12のスティック異常が発生した場合を示している。
図9に示す正常時においては、(a−1)及び(a−2)に示すように回転数が設定以上であるとき、(d−1)及び(d−2)に示すように無負荷期間Tにおいて回転シャフト5の標準偏差は小さい。
一方、図10に示す異常時においては、(a−1)及び(a−2)に示すように回転数が設定以上であるとき、(d−1)及び(d−2)に示すように無負荷期間Tにおいて回転シャフト5の標準偏差は大きくなる。
このように、ピストン12のスティック異常が発生した場合、油圧ポンプ10が無負荷状態である無負荷期間Tにおいて、標準偏差は大きくなる。そのため、油圧ポンプ10が無負荷状態であるときの回転シャフト5の標準偏差を監視することで、異常を適正に検出することが可能である。なお、高圧弁15のスティック異常に対しても、同様にして異常を検出することができる。
さらに、図11を参照して、油圧モータ20に対して、回転シャフト7のトルクの標準偏差を用いた異常診断を行う場合について説明する。図11は、他の実施形態に係る異常診断方法を示すフローチャートである。なお、油圧モータ20の各部位については、図3の符号を用いている。
図11に示すように、他の実施形態に係る油圧ポンプ10の異常診断方法では、ステップS21において、油圧モータ20の回転数を上昇させる。発電機8が定格回転数に到達したら、S22において、異常検出部46は、発電機8をグリッドに連系した直後の油圧モータ20の無負荷回転時における回転シャフト7のトルクの標準偏差を取得する。トルクの標準偏差は、トルクセンサ43の検出信号から得られる。そして、ステップS23において、異常検出部46は、トルクの標準偏差と、記憶部47に記憶された閾値とを比較する。トルクの標準偏差が閾値よりも小さい場合、ステップS24において、異常検出部46は油圧モータ20の異常なしと判断する。一方、トルクの標準偏差が閾値を超えた場合、ステップS25において、異常検出部46は、高圧弁25のスティック異常又はピストン22のスティック異常と判断する。この場合、ステップS26において、油圧モータ20の運転を停止する。
上記実施形態によれば、発電機8が定格回転数に到達し、且つ、油圧モータ20が無負荷状態にあるとき異常検出を行うようにしているので、シリンダユニットの不具合に起因した影響がトルクに顕著に反映される。そのため、高圧弁25の開状態でのスティック、低圧弁26の閉状態でのスティック又はピストン22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧モータ20の異常をより一層適正に診断することができる。
また、分散型電源として油圧モータ20が用いられる場合、通常、発電機8の併入に際して発電機8をグリッド9に連系した直後(あるいは連系直前から直後までの一定時間を含んでもよい)、無負荷回転を行うことがある。そのため、この無負荷回転を利用して、回転シャフト7のトルクの標準偏差に基づく油圧モータ20の異常検出を行うようにすれば、通常の運用を妨げることなく異常診断を行うことができる。
上述した少なくとも一の実施形態によれば、シリンダユニットの不具合に起因した異常とは別の要因により発生した異常の影響を受けにくい異常診断が可能となり、高圧弁15,25の開状態でのスティック、低圧弁16,26の閉状態でのスティック又はピストン12,22のスティックの少なくとも一つを含む、油圧機械の異常を適正に診断することができる。また、複数のシリンダユニットのそれぞれに筒内圧センサ等の検出部を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができ、低コスト化も図れる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上記実施形態では、油圧機械として風力発電装置1の油圧ポンプ10及び油圧モータ20について説明したが、本実施形態の油圧機械は、風力発電装置1以外の他の再生エネルギー型発電装置又は他の油圧機械利用装置が備える油圧機械にも適用できる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 風力発電装置
2 ブレード
3 ハブ
4 ロータ
5 回転シャフト
6 油圧トランスミッション
7 出力軸(回転シャフト)
8 発電機
9 グリッド
10 油圧ポンプ
11,21 シリンダ
12,22 ピストン
13,23 作動室
14 カム(マルチローブカム)
15,25 高圧弁
16,26 低圧弁
20 油圧モータ
24 カム(偏心カム)
30 高圧ライン
31 低圧ライン
40 異常診断装置
41,43 トルクセンサ
42 圧力センサ
43 トルクセンサ
44 出力センサ
45 コントローラ
46 異常検出部
47 記憶部

Claims (15)

  1. 回転シャフトと、高圧ラインと、低圧ラインと、複数のシリンダと、前記複数のシリンダによってそれぞれ案内されるように構成された複数のピストンと、前記回転シャフトの回転に関連付けて前記複数のピストンを往復動させるように構成されたカムと、前記シリンダ及び前記ピストンによって形成される複数の作動室に対してそれぞれ設けられ、各々の前記作動室と前記高圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の高圧弁と、各々の前記作動室と前記低圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の低圧弁と、を備える油圧機械の診断方法であって、
    前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうち前記回転シャフトの回転数ωと前記カムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、前記油圧機械の無負荷状態における前記回転シャフトのトルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つを含む前記油圧機械の異常を検出するステップを備えることを特徴とする油圧機械の診断方法。
  2. 前記特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えた場合、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つが発生したと判断することを特徴とする請求項1に記載の油圧機械の診断方法。
  3. 前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
    前記油圧ポンプの前記カムは、前記回転シャフトの周方向に配列された複数のカム山を有し、
    前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうちω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の前記特定周波数の変動成分の大きさに基づいて、前記油圧ポンプの異常を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧機械の診断方法。
  4. 前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記油圧機械の運転中において前記特定周波数の変動成分の大きさが閾値を超えるか否かを監視し、
    前記周波数成分が前記閾値を超えた場合、前記油圧機械の運転を停止することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の油圧機械の診断方法。
  5. 前記無負荷状態における前記トルクの標準偏差が閾値を超えた場合、前記高圧弁の開状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つが発生したと判断することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の油圧機械の診断方法。
  6. 前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
    前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの前記油圧ポンプの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、前記油圧ポンプの異常を検出することを特徴とする請求項5に記載の油圧機械の診断方法。
  7. 前記油圧機械は、発電機を駆動するための油圧モータを含み、
    前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記発電機をグリッドに連系した直後の前記油圧モータの無負荷回転時における前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出することを特徴とする請求項5又は6に記載の油圧機械の診断方法。
  8. 前記発電機が定格回転数に到達するまで前記油圧モータの回転数を上昇させるステップをさらに備え、
    前記油圧機械の異常を検出するステップでは、前記発電機が定格回転数に到達し、且つ、前記油圧モータが無負荷状態にあるときの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出することを特徴とする請求項7に記載の油圧機械の診断方法。
  9. 再生エネルギーによって回転されるように構成されたロータと、前記ロータによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプで生成される圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、を備える再生エネルギー型発電装置の診断方法であって、
    請求項1乃至8に記載の診断方法によって、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方の異常を検出する
    ことを特徴とする再生エネルギー型発電装置の診断方法。
  10. 回転シャフトと、高圧ラインと、低圧ラインと、複数のシリンダと、前記複数のシリンダによってそれぞれ案内されるように構成された複数のピストンと、前記回転シャフトの回転に関連付けて前記複数のピストンを往復動させるように構成されたカムと、前記シリンダ及び前記ピストンによって形成される複数の作動室に対してそれぞれ設けられ、各々の前記作動室と前記高圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の高圧弁と、各々の前記作動室と前記低圧ラインとの連通状態を切り替えるための複数の低圧弁と、を備える油圧機械のための診断装置であって、
    前記回転シャフトのトルク、前記高圧ラインにおける圧力もしくは前記油圧機械の出力の少なくとも一つを取得するためのセンサと、
    前記センサの計測結果から得られる前記トルク、前記圧力又は前記出力の変動成分のうち前記回転シャフトの回転数ωと前記カムのカム山数mとで定まる特定周波数の変動成分、または、前記油圧機械の無負荷状態において前記センサの計測結果から得られる前記トルクの標準偏差の少なくとも一方に基づいて、前記高圧弁の開状態でのスティック、前記低圧弁の閉状態でのスティック又は前記ピストンのスティックの少なくとも一つを含む前記油圧機械の異常を検出する異常検出部と、
    を備えることを特徴とする油圧機械用の診断装置。
  11. 前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
    前記油圧ポンプの前記カムは、前記回転シャフトの周方向に配列された複数のカム山を有し、
    前記異常検出部は、前記回転シャフトのトルク変動、前記高圧ラインにおける圧力変動もしくは前記油圧機械の出力変動のうちω×m又はω×m(但し、mは2以上の整数)の前記特定周波数の変動成分の大きさに基づいて、前記油圧ポンプの異常を検出するように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の油圧機械用の診断装置。
  12. 前記異常検出部は、
    前記油圧機械の運転中において前記周波数成分が閾値を超えるか否かを監視し、
    前記周波数成分が前記閾値を超えた場合、前記油圧機械の運転停止指令を前記油圧機械に対して出力するように構成された
    ことを特徴とする請求項10又は11に記載の油圧機械用の診断装置。
  13. 前記油圧機械は、圧油を生成するための油圧ポンプを含み、
    前記異常検出部は、前記油圧ポンプによるポンピングが行われていないときの前記油圧ポンプの前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づき、前記油圧ポンプの異常を検出するように構成されたことを特徴とする請求項10乃至12の何れか一項に記載の油圧機械用の診断装置。
  14. 前記油圧機械は、発電機を駆動するための油圧モータを含み、
    前記異常検出部は、
    前記発電機をグリッドに連系した直後の前記油圧モータの無負荷回転時における前記回転シャフトのトルクの標準偏差に基づいて、前記油圧モータの異常を検出するように構成された
    ことを特徴とする請求項10乃至13の何れか一項に記載の油圧機械用の診断装置。
  15. 再生エネルギーによって回転されるように構成されたロータと、
    前記ロータによって駆動される油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプで生成される圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、
    前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、
    請求項10乃至14の何れか一項に記載の診断装置と、を備え、
    前記診断装置は、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方の異常を検出するように構成された
    ことを特徴とする再生エネルギー型発電装置。
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