JP2018155220A - 油圧機械及び油圧機械の異物検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダ内の異物の有無を迅速に判断することが可能な油圧機械及び油圧機械の異物検出方法を提供することを目的とする。【解決手段】油圧モータ10は、作動油が供給され、作動油の圧力によって摺動するピストン22を有するシリンダ20と、シリンダ20に接続されて、シリンダ20内の圧力を検出する圧力センサ38と、シリンダ20と圧力センサ38とを結び、作動油が満たされた導圧管42と、導圧管42に設けられ、導圧管42よりも内径の小さいオリフィスと、シリンダ20に対して作動油が供給されたときの圧力センサ38で検出された圧力に基づいて、シリンダ20内に異物が混入されているか否かを判断する制御装置50の判断部とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、油圧機械及び油圧機械の異物検出方法に関するものである。
油圧ポンプ及び油圧モータ等が設置され、油が循環する回路を有する油圧機械では、油圧ポンプによって高圧の油が吐出され、吐出された油が油圧モータへ供給される。油圧モータは、供給された油によって駆動される。油圧機械が使用される例としては、プレス機等の生産機械、油圧シャベル等の建設機械が知られており、風力発電装置のドライブトレインを構成するトランスミッション(増速機)にも油圧機械が適用される例がある。
下記の特許文献1では、油圧ポンプの破壊が生じる前にポンプ破壊の予兆を検知し、ポンプ寿命を予測する発明が開示されている。特許文献1には、ポンプ寿命の予測に用いるため、油圧ポンプのドレインに流れる作動油に含まれる異物を捕獲するドレンフィルタにおけるフィルタ差圧が検出されることが記載されている。
上述した風力発電装置において油圧モータに設けられたシリンダでは、高圧弁と低圧弁の開閉タイミングの変化で、油圧ポンプで昇圧された作動油が、シリンダに対して流入されたり排出されたりし、シリンダのピストンが往復運動する。そして、ピストンの往復運動によって、油圧モータ内部のクランクシャフトが回転する。その結果、シャフトと同軸上に設けられた発電機が回転され、発電が行われる。
高圧弁と低圧弁の機械的磨耗や高圧弁からの異物流入によって、シリンダ内に異物が発生することがある。シリンダ内に存在する異物は、シリンダ及びピストンなどの摺動する機器類に噛み込んで、各機器類を損傷させるおそれがある。
従来、油圧モータのドレンから排出される作動油に混入された異物を検出することはできたが、油圧モータのシリンダ内に存在する異物が直接検知されることはなかった。そのため、シリンダ内に存在する異物の検知が遅れてしまい、各機器類が損傷する可能性があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、シリンダ内の異物の有無を迅速に判断することが可能な油圧機械及び油圧機械の異物検出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の油圧機械及び油圧機械の異物検出方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1態様に係る油圧機械は、作動油が供給され、前記作動油の圧力によって摺動するピストンを有するシリンダと、前記シリンダに接続されて、前記シリンダ内の圧力を検出する圧力検出部と、前記シリンダと前記圧力検出部とを結び、前記作動油が満たされた導圧管と、前記導圧管に設けられ、前記導圧管よりも内径の小さいオリフィスと、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときの前記圧力検出部で検出された圧力に基づいて、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断する判断部とを備える。
すなわち、本発明の第1態様に係る油圧機械は、作動油が供給され、前記作動油の圧力によって摺動するピストンを有するシリンダと、前記シリンダに接続されて、前記シリンダ内の圧力を検出する圧力検出部と、前記シリンダと前記圧力検出部とを結び、前記作動油が満たされた導圧管と、前記導圧管に設けられ、前記導圧管よりも内径の小さいオリフィスと、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときの前記圧力検出部で検出された圧力に基づいて、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断する判断部とを備える。
この構成によれば、作動油が供給されるシリンダは、導圧管を介して圧力検出部と接続されており、導圧管に作動油が満たされて、圧力検出部によってシリンダ内の圧力が検出される。導圧管には、導圧管よりも内径の小さいオリフィスが設置されていることから、オリフィスの内径に近い又は内径よりも大きい異物が、シリンダ内に混入し、圧力検出部側へ流通すると、検出される圧力が、異物が存在しない場合と比べて変動、例えば低下する。判断部によって、シリンダに対して作動油が供給されたときの圧力検出部で検出された圧力に基づいて、シリンダ内に異物が混入されているか否かが判断される。
上記第1態様において、前記判断部は、予め記憶部に記録された閾値と、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力とを比較し、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断してもよい。
この構成によれば、シリンダに対して作動油が供給されたときに検出された圧力が、予め記憶部に記録された閾値と比較されて、シリンダ内に異物が混入されているか否かが判断される。
上記第1態様において、前記判断部は、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力が前記閾値を満たさない回数をカウントし、所定回数を超えたとき、前記シリンダ内に異物が混入されていると判断してもよい。
この構成によれば、シリンダに対して作動油が供給されたときに検出された圧力が、閾値を満たさない回数がカウントされ、カウントされた回数が所定回数を超えた場合、シリンダ内に異物が混入されていると判断される。
上記第1態様において、前記判断部は、予め記憶部に記録された変化パターンと、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力の変化とを比較し、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断してもよい。
この構成によれば、シリンダに対して作動油が供給されたときに検出された圧力の変化が、予め記憶部に記録された変化パターンと比較されて、シリンダ内に異物が混入されているか否かが判断される。
上記第1態様において、前記判断部は、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力の変化が前記変化パターンと異なる回数をカウントし、所定回数を超えたとき、前記シリンダ内に異物が混入されていると判断してもよい。
この構成によれば、シリンダに対して作動油が供給されたときに検出された圧力の変化が、予め記録された変化パターンと異なる回数がカウントされ、カウントされた回数が所定回数を超えた場合、シリンダ内に異物が混入されていると判断される。
上記第1態様において、前記シリンダが複数台設置され、前記判断部において前記シリンダ内に異物が混入されていると判断された前記シリンダの運転を停止させ、残りの前記シリンダの運転を継続させる運転制御部を更に備えてもよい。
この構成によれば、複数台のシリンダが設置されており、判断部においてシリンダ内に異物が混入されていると判断されたシリンダについては運転が停止され、残りの異物が混入されていると判断されていないシリンダについては運転が継続される。これにより、シリンダが用いられている油圧機械(例えば油圧モータ)の運転を継続できる。
上記第1態様において、前記圧力検出部及び前記導圧管は、前記シリンダよりも下方に設置されてもよい。
この構成によれば、シリンダよりも下方に、圧力検出部及び導圧管が設置されていることから、シリンダ内に混入されている異物が重力の影響によって導圧管へ導かれやすくなり、シリンダ内の異物の検出をより確実に行うことができる。
本発明の第2態様に係る油圧機械の異物検出方法は、作動油が供給され、前記作動油の圧力によって摺動するピストンを有するシリンダと、前記シリンダに接続されて、前記シリンダ内の圧力を検出する圧力検出部と、前記シリンダと前記圧力検出部とを結び、前記作動油が満たされた導圧管と、前記導圧管に設けられ、前記導圧管よりも内径の小さいオリフィスと、を備える油圧機械の異物検出方法であって、前記圧力検出部が、前記シリンダ内の圧力を検出するステップと、判断部が、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときの前記圧力検出部で検出された圧力に基づいて、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断するステップとを備える。
本発明によれば、シリンダ内の異物の有無を迅速に判断することができ、各機器類の破損を未然に防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係る油圧機械は、例えば、風力発電装置1のドライブトレインを構成する油圧トランスミッション11(増速機)の油圧モータ10に適用される。以下では、風力発電装置1に適用される油圧モータ10を例に挙げて説明する。なお、本発明に係る油圧機械は、この例に限定されず、他の用途に適用される油圧モータであってもよい。
まず、油圧機械(油圧モータ)を備えた風力発電装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、風力発電装置1には、ロータ3が設けられ、ロータ3は、少なくとも1本のブレード2や、ブレード2が設置されるハブ4を備える。タワー19上にはナセル18が設置され、ナセル18は、回転シャフト6の少なくとも一部を覆っている。ナセル18の内部には、油圧ポンプ8、油圧モータ10及び発電機16が設置される。油圧ポンプ8と油圧モータ10は、増速機である油圧トランスミッション11を構成する。
図1に示すように、風力発電装置1には、ロータ3が設けられ、ロータ3は、少なくとも1本のブレード2や、ブレード2が設置されるハブ4を備える。タワー19上にはナセル18が設置され、ナセル18は、回転シャフト6の少なくとも一部を覆っている。ナセル18の内部には、油圧ポンプ8、油圧モータ10及び発電機16が設置される。油圧ポンプ8と油圧モータ10は、増速機である油圧トランスミッション11を構成する。
ロータ3は、回転シャフト6を介して油圧ポンプ8と連結される。風を受けて回転するロータ3によって生じる回転力が、油圧ポンプ8に伝達される。
油圧ポンプ8と油圧モータ10の間には、高圧ライン12及び低圧ライン14が設けられる。高圧ライン12の一端が、油圧ポンプ8に接続され、高圧ライン12の他端が、油圧モータ10に接続される。また、低圧ライン14の一端が、油圧モータ10に接続され、低圧ライン14の他端が、油圧ポンプ8に接続される。高圧ライン12では、作動油が油圧ポンプ8から油圧モータ10へ流通し、低圧ライン14では、作動油が油圧モータ10から油圧ポンプ8へ流通する。
油圧ポンプ8は、回転シャフト6から伝達された回転力によって駆動され、作動油を昇圧し、高圧の作動油(圧油)を吐出する。油圧ポンプ8から吐出された圧油は、高圧ライン12を経由して、油圧モータ10に供給される。油圧モータ10は、圧油が供給されることによって駆動され、回転力を発生させる。油圧モータ10で仕事をした後の低圧の作動油は、低圧ライン14を経由して、油圧ポンプ8に再び戻される。
油圧モータ10は、発電機16と連結される。発電機16は、同期発電機であり、油圧モータ10で生じた回転力が伝達されて駆動され、電力を発生させる。発電機16は、電力系統に連系される。
風力発電装置1では、ロータ3で生じた回転力が、油圧ポンプ8及び油圧モータ10などから構成される油圧トランスミッション11によって増速され、発電機16に入力される。油圧トランスミッション11によって、ロータ3から出力された軸の回転数に比べて、発電機16に入力される軸の回転数が上昇する。
油圧モータ10は、図2に示すように、変換機構25と、回転軸32と、複数のシリンダ20と、シリンダ20と共に作動室24を形成するピストン22と、作動室24に対して設けられる高圧弁28及び低圧弁30などを有する。
変換機構25は、ピストン22の往復運動と回転軸32の回転運動との間の変換を行うための機構であり、例えば、ピストン22に当接するカム曲面を有するカム26を有する。
ピストン22は、シリンダ20内を摺動するピストン本体部22Aと、ピストン本体部22Aに取り付けられ、カム26のカム曲面に当接するピストンシュー22Bを備える。なお、ピストン22には、ピストンシュー22Bの代わりに、ピストンローラーが設けられてもよい。ピストンシュー22B又はピストンローラーが設けられることによって、ピストン22の往復運動が回転軸32の回転運動にスムーズに変換される。
カム26は、偏心カムであり、カム26の回転軸が、油圧モータ10の回転軸(クランクシャフト)32の軸中心Oから偏心して設けられる。ピストン22とカム26との組み合わせによって、ピストン22が上下動を1回行う間に、カム26及びカム26が取り付けられた回転軸32は1回転する。
なお、カム26は、外周面上に複数の襞(ローブ)状の凸部を有する環状のマルチローブカム(リングカム)でもよい。この場合、カム26及びカム26が取り付けられた回転軸32が1回転する間に、ピストン22は上下動を凸部の数と同じ回数だけ行う。
高圧弁28は、作動室24と作動室24の外部に設けられた高圧ライン12との間の高圧連通ライン34に設けられる。高圧弁28は、作動室24と高圧ライン12との連通状態を切り替え可能に構成されている。低圧弁30は、作動室24と作動室24の外部に設けられた低圧ライン14との間の低圧連通ライン36に設けられる。低圧弁30は、作動室24と低圧ライン14との連通状態を切り替え可能に構成されている。
制御装置50は、図2に示すように、高圧弁28にHPV制御信号(高圧弁28に対する開閉指令に関する信号(指令電流))を付与して高圧弁28の開閉動作を制御し、また、低圧弁30にLPV制御信号(低圧弁30に対する開閉指令に関する信号(指令電流))を付与して低圧弁30の開閉動作を制御する。なお、制御装置50の動作は、予め記録されたプログラムを実行して、CPU等のハードウェア資源によって実現される。
制御装置50からのHPV制御信号によって高圧弁28が励磁されていないとき、高圧弁28の弁体は、スプリングによって弁座に向かって付勢されて、作動室24と高圧ライン12とが連通しない閉弁位置に保持される。制御装置50からのHPV制御信号によって高圧弁28が励磁されると、高圧弁28の弁体は、電磁力によってスプリングの付勢力に抗して、作動室24と高圧ライン12とが連通する開弁位置に移動する。
制御装置50からのLPV制御信号によって低圧弁30が励磁されていないとき、低圧弁30の弁体は、スプリングによって弁座から離間する方向へ付勢されて、作動室24と低圧ライン14とが連通する開弁位置に保持される。制御装置50からのLPV制御信号によって低圧弁30が励磁されると、低圧弁30の弁体は、電磁力によってスプリングの付勢力に抗して弁座に向かって移動し、作動室24と低圧ライン14とが連通しない閉弁位置に移動する。
低圧弁30が閉じた状態で、高圧弁28が開かれると、シリンダ20の作動室24内に作動油が供給され、ピストン22が上死点から下死点へ向かって移動する。このとき、作動室24内部の圧力は高い状態となる。ピストン22が下支点に到達するタイミングで、高圧弁28が閉じられ、低圧弁30が開かれる。高圧弁28が閉じた状態で、低圧弁30が開かれると、シリンダ20の作動室24内に満たされた作動油が排出され、ピストン22が下死点から上死点へ向かって移動する。このとき、作動室24内部の圧力は低い状態となる。
圧力センサ38は、圧力検出部の一例であり、シリンダ20の作動室24に設けられ、作動室24の圧力を検出する。圧力センサ38は、検出した圧力に関するデータ(信号)を制御装置50へ送信する。なお、圧力センサ38の検出は、風力発電装置1の運転時において常時行われるようにしてもよいし、常時行わずに所定のタイミングで行われるようにしてもよい。
シリンダ20と圧力センサ38は、導圧管42によって連結される。導圧管42には、作動油が満たされており、シリンダ20の作動室24内の圧力に応じて、圧力センサ38で検出される圧力の値が変化する。
本実施形態では、図3に示すように、導圧管42にオリフィス44が設置される。オリフィス44は、導圧管42の内径よりも小さい内径を有する環状部材である。オリフィス44の内径は、作動室24内に存在するか否かの判断対象となる異物のサイズに応じて決定される。オリフィス44の内径は、例えば、判断対象となる異物のサイズに近いサイズ、又は、異物よりも小さいサイズである。
オリフィス44の内径に近い又は内径よりも大きい異物が、シリンダ20の作動室24内に混入し、圧力センサ38側へ流通すると、圧力センサ38において検出される圧力が、異物が存在しない場合と比べて低下する。
なお、圧力センサ38及び導圧管42は、シリンダ20よりも下方に設置されることが望ましい。これにより、シリンダ20の作動室24内に混入されている異物が重力の影響によって導圧管42へ導かれやすくなり、作動室24内の異物の検出をより確実に行うことができる。
シリンダ20の作動室24内における圧力の時間変化は、作動室24内に異物が存在しないとき(正常時)、図5に示すように、低圧弁30に対する開閉指令に関する信号(指令電流)に対応して、高圧と低圧が定期的に変動する。すなわち、作動室24内における圧力の時間変化を表す波形は、矩形波形状となる。一方、異物が導圧管42に導かれた場合、例えば、図6に示すように、圧力が高まるはずのタイミングで圧力が高まらない。そのため、作動室24内の圧力の時間変化を表す波形は、矩形波形状とならず、圧力が徐々に高まったり、検出される圧力が低い値となる。
制御装置50は、図4に示すように、例えば、判断部52と、運転制御部54と、メモリ56などを備える。
制御装置50の判断部52には、圧力センサ38によって検出された作動室24の圧力に関するデータが入力される。判断部52は、シリンダ20に対して作動油が供給されたときの圧力センサ38で検出された圧力に基づいて、シリンダ20内に異物が混入されているか否かを判断する。
判断部52には、低圧弁30に対する開閉指令に関する信号(指令電流)が入力される。これにより、ピストン22の往復運動のタイミングが分かり、検出された圧力の値又は圧力変化が、異物が存在しないときの圧力の値又は圧力変化と相違するか否かを判断できる。
判断部52は、低圧弁30に対する開閉指令のタイミングに基づいて、予めメモリ(記憶部)56に記録された閾値と、シリンダ20に対して作動油が供給されたときに検出された圧力とを比較する。低圧弁30が閉鎖され、高圧弁28が開放されることによって、シリンダ20の作動室24内の圧力が高まるタイミングで、検出された圧力が、予め記録された閾値よりも低い場合、作動室24内に異物が混入されている可能性がある。
なお、このとき、高圧ライン12における圧力を基準にして、シリンダ20の作動室24内における圧力を正規化することによって、圧力の高低を判断するようにしてもよい。高圧ライン12における圧力をPh、シリンダ20の作動室24内における圧力センサ38で検出された圧力をPcとしたとき、正規化された作動室24内の圧力は、Pc/Phで表される。
メモリ56に記録された閾値は、予め実験等によって取得された値である。例えば、異物がシリンダ内に存在し、異物が導圧管42に導かれたときに測定される圧力に基づいて決定される。
また、判断部52は、圧力の値だけでなく、圧力の変化を、異物の存否を判断するための比較対象としてもよい。この場合、判断部52は、低圧弁30に対する開閉指令のタイミングに基づいて、予めメモリ56に記録された圧力の変化パターンと、シリンダ20に対して作動油が供給されたときに検出された圧力の変化とを比較する。シリンダ20の作動室24内の圧力が高まるタイミングで、検出された圧力の変化が、例えば、急速に圧力が上昇しないため、予め記録されている矩形波形状とならずに、徐々に圧力が高まる場合、作動室24内に異物が混入されている可能性がある。なお、記録されている圧力の変化パターンと、検出された圧力の変化との比較は、既存の技術を用いることができ、本明細書では詳細な説明を省略する。
そして、判断部52は、シリンダ20に対して作動油が供給されたときに検出された圧力が閾値を満たさない回数をカウントし、所定回数を超えたとき、シリンダ20の作動室24内に異物が混入されていると判断する。異物が混入されていると判断する基準は、連続して生じる回数が所定回数を超えたときでもよいし、所定期間中に生じる回数が所定回数を超えたときでもよい。
また、判断部52が、圧力の変化を、異物の存否を判断するための比較対象とする場合、検出された圧力の変化が予め記録された圧力の変化パターンと異なる回数をカウントし、所定回数を超えたとき、シリンダ20の作動室24内に異物が混入されていると判断する。この場合も、異物が混入されていると判断する基準は、連続して生じる回数が所定回数を超えたときでもよいし、所定期間中に生じる回数が所定回数を超えたときでもよい。
図2に示すように、油圧モータ10が、複数のシリンダ20と複数のピストン22にそれぞれ形成される作動室24を複数有する場合、圧力センサ38は、各作動室24に設けられる。この場合、シリンダ20毎に圧力測定値に基づいた判断を行うことが可能となり、いずれのシリンダ20で異物が混入しているかを特定することが可能となる。
複数のシリンダ20によって駆動される油圧モータ10の場合、全てのシリンダ20を駆動させなくても、油圧モータ10の運転を継続させることができる。
そこで、油圧モータ10において複数のシリンダ20が設置される場合、運転制御部54は、判断部52からシリンダ20内に異物が混入されていると判断されたシリンダ20に関する情報を受信する。そして、運転制御部54は、判断部52においてシリンダ20内に異物が混入されていると判断されたシリンダ20の運転を停止させ、残りのシリンダ20の運転を継続させる。なお、運転制御部54は、シリンダ20の運転を停止するため、高圧弁28及び低圧弁30を制御する。
次に、図7を参照して、本実施形態に係る油圧機械のシリンダ内異物検出方法について説明する。
本実施形態に係る風力発電装置1の運転が開始されると、圧力センサ38は、常時、又は、所定のタイミングで、油圧モータ10に設けられたシリンダ20の作動室24の圧力を検出する(ステップS11)。
本実施形態に係る風力発電装置1の運転が開始されると、圧力センサ38は、常時、又は、所定のタイミングで、油圧モータ10に設けられたシリンダ20の作動室24の圧力を検出する(ステップS11)。
シリンダ20と圧力センサ38は、導圧管42によって連結され、導圧管42には、作動油が満たされている。シリンダ20が往復運動することによって、シリンダ20の作動室24内の圧力も変化し、作動室24内の圧力に応じて、圧力センサ38で検出される圧力の値が変化する。
このとき、シリンダ20の作動室24に対して設けられる高圧弁28及び低圧弁30は、開閉指令に基づいて開閉動作が行われている。高圧弁28又は低圧弁30の開閉指令に関する信号は、制御装置50の判断部52にも送られる。
圧力センサ38で検出された圧力は、制御装置50の判断部52に送られる。
そして、判断部52では、低圧弁30に対する開閉指令のタイミングに基づいて、予めメモリ56に記録された閾値と、シリンダ20に対して作動油が供給されたときに検出された圧力とが比較される(ステップS12)。そして、検出された圧力が、所定の閾値未満であるか否かが判断される(ステップS13)。
低圧弁30が閉鎖され、高圧弁28が開放されることによって、シリンダ20の作動室24内の圧力が高まるタイミングで、検出された圧力が、予め記録された閾値以上である場合、作動室24内には異物が存在しない状態と判断できる。
一方、本実施形態では、導圧管42にオリフィス44が設置されていることから、シリンダ20の作動室24内の圧力が高まるタイミングで、検出された圧力が、予め記録された閾値よりも低い場合、作動室24内に異物が混入されている可能性がある。この場合、シリンダ20に対して作動油が供給されたときに検出された圧力が閾値を満たさないとしてカウント回数に累積する(ステップS14)。そして、累積されたカウント回数が所定回数以上であるか否かが判断される(ステップS15)。
そして、シリンダ20に対して作動油が供給されたときに検出された圧力が閾値を満たさないとしてカウントされた回数が、所定回数以上となったとき、シリンダ20の作動室24内に異物が混入されていると判断する(ステップS16)。
また、油圧モータ10において複数のシリンダ20が設置される場合、判断部52は、シリンダ20内に異物が混入されていると判断されたシリンダ20に関する情報を運転制御部54へ送信する。そして、運転制御部54は、判断部52から受信した情報に基づいて、判断部52においてシリンダ20内に異物が混入されていると判断されたシリンダ20の運転を停止させ、残りのシリンダ20の運転を継続させる(ステップS17)。
なお、異物の存否を判断するための比較対象として、圧力の値でなく、圧力の変化を用いる場合、判断部52は、低圧弁30に対する開閉指令と、予めメモリ56に記録された圧力の変化パターンと、シリンダ20に対して作動油が供給されたときに検出された圧力の変化とを比較する。そして、検出された圧力の変化が予め記録された圧力の変化パターンと異なる回数をカウントし、所定回数を超えたとき、シリンダ20の作動室24内に異物が混入されていると判断する。
以上、本実施形態によれば、異物がシリンダ内に存在し、導圧管42へ導かれた場合、異物が導圧管42内のオリフィス44の開口に干渉する。そのため、圧力センサ38で検出される圧力の値は、異物が存在しない場合と異なり、低い値となる。または、圧力センサ38で検出される圧力の変化は、異物が存在しない場合と異なる圧力変動となる。これにより、シリンダ内に異物が存在するか否かを判断することができる。また、シリンダ20に直接接続された圧力センサ38と結ばれた導圧管42内の状況を反映した圧力に基づくため、より正確にシリンダ20内の異物の有無を判断できる。さらに、シリンダ20内に存在する異物が、シリンダ20及びピストン22などの摺動する機器類に噛み込むことを未然に防ぐことができるため、各機器類の損傷を防止できる。
1 :風力発電装置
2 :ブレード
3 :ロータ
4 :ハブ
6 :回転シャフト
8 :油圧ポンプ
10 :油圧モータ
11 :油圧トランスミッション
12 :高圧ライン
14 :低圧ライン
16 :発電機
18 :ナセル
19 :タワー
20 :シリンダ
22 :ピストン
22A :ピストン本体部
22B :ピストンシュー
24 :作動室
25 :変換機構
26 :カム
28 :高圧弁
30 :低圧弁
32 :回転軸
34 :高圧連通ライン
36 :低圧連通ライン
38 :圧力センサ
42 :導圧管
44 :オリフィス
50 :制御装置
52 :判断部
54 :運転制御部
56 :メモリ
2 :ブレード
3 :ロータ
4 :ハブ
6 :回転シャフト
8 :油圧ポンプ
10 :油圧モータ
11 :油圧トランスミッション
12 :高圧ライン
14 :低圧ライン
16 :発電機
18 :ナセル
19 :タワー
20 :シリンダ
22 :ピストン
22A :ピストン本体部
22B :ピストンシュー
24 :作動室
25 :変換機構
26 :カム
28 :高圧弁
30 :低圧弁
32 :回転軸
34 :高圧連通ライン
36 :低圧連通ライン
38 :圧力センサ
42 :導圧管
44 :オリフィス
50 :制御装置
52 :判断部
54 :運転制御部
56 :メモリ
Claims (8)
- 作動油が供給され、前記作動油の圧力によって摺動するピストンを有するシリンダと、
前記シリンダに接続されて、前記シリンダ内の圧力を検出する圧力検出部と、
前記シリンダと前記圧力検出部とを結び、前記作動油が満たされた導圧管と、
前記導圧管に設けられ、前記導圧管よりも内径の小さいオリフィスと、
前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときの前記圧力検出部で検出された圧力に基づいて、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断する判断部と、
を備える油圧機械。 - 前記判断部は、予め記憶部に記録された閾値と、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力とを比較し、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断する請求項1に記載の油圧機械。
- 前記判断部は、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力が前記閾値を満たさない回数をカウントし、所定回数を超えたとき、前記シリンダ内に異物が混入されていると判断する請求項2に記載の油圧機械。
- 前記判断部は、予め記憶部に記録された変化パターンと、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力の変化とを比較し、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断する請求項1に記載の油圧機械。
- 前記判断部は、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときに検出された前記圧力の変化が前記変化パターンと異なる回数をカウントし、所定回数を超えたとき、前記シリンダ内に異物が混入されていると判断する請求項4に記載の油圧機械。
- 前記シリンダが複数台設置され、
前記判断部において前記シリンダ内に異物が混入されていると判断された前記シリンダの運転を停止させ、残りの前記シリンダの運転を継続させる運転制御部を更に備える請求項1から5のいずれか1項に記載の油圧機械。 - 前記圧力検出部及び前記導圧管は、前記シリンダよりも下方に設置される請求項1から6のいずれか1項に記載の油圧機械。
- 作動油が供給され、前記作動油の圧力によって摺動するピストンを有するシリンダと、前記シリンダに接続されて、前記シリンダ内の圧力を検出する圧力検出部と、前記シリンダと前記圧力検出部とを結び、前記作動油が満たされた導圧管と、前記導圧管に設けられ、前記導圧管よりも内径の小さいオリフィスと、を備える油圧機械の異物検出方法であって、
前記圧力検出部が、前記シリンダ内の圧力を検出するステップと、
判断部が、前記シリンダに対して前記作動油が供給されたときの前記圧力検出部で検出された圧力に基づいて、前記シリンダ内に異物が混入されているか否かを判断するステップと、
を備える油圧機械の異物検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017054405A JP2018155220A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | 油圧機械及び油圧機械の異物検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017054405A JP2018155220A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | 油圧機械及び油圧機械の異物検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018155220A true JP2018155220A (ja) | 2018-10-04 |
Family
ID=63716219
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017054405A Pending JP2018155220A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | 油圧機械及び油圧機械の異物検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018155220A (ja) |
-
2017
- 2017-03-21 JP JP2017054405A patent/JP2018155220A/ja active Pending
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