JP2016222490A - ポリオキソメタレート - Google Patents

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Abstract

【課題】 3種以上の遷移金属原子を含み、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等の不純物を実質的に含まず、電子材料として使用するのに特に適したポリオキソメタレートを提供する。
【解決手段】 3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させて生成されたものであるポリオキソメタレート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオキソメタレートに関する。より詳しくは、触媒や電子材料として好適に用いられるポリオキソメタレートに関する。
ポリオキソメタレートは、その酸性質や酸化還元能を利用して、触媒として幅広く使用されている。また、それらの特徴を生かして電池材料や電気化学コンデンサ、エレクトロクロミック材料等をはじめとした電子材料用途への応用も盛んである。
例えば、炭化タングステンを過酸化水素溶液に溶解させて得られる含炭素ヘテロポリ酸が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、リンとバナジウムとタングステンを含む特定のヘテロポリ酸が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、リンとバナジウムとモリブデンを含む特定のヘテロポリ酸が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
特公平06−10091号公報 特開2006−290727号公報
V.F.Odyakov、他2名、「アプライド キャタリシス エー:ジェネラル(Applied Catalysis A:General)」、エルセビア(ELSEVIER)社、2008年、第342巻、p.126−130
ハロゲンやアルカリ金属、アルカリ土類金属等を実質的に含まないが、多種の金属を含んだポリオキソメタレートやその高濃度水溶液を実現することは、ポリオキソメタレートの触媒活性の向上や、電子材料分野でポリオキソメタレートを使用するために望まれている技術であった。一方で、従来の主なポリオキソメタレートの合成法は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲンを含む原料が必要であり、これら原料由来の不純物を取り除くためには、例えば過剰の酸を加えたうえでカチオン交換膜を利用したり、エーテルやアルコール等に抽出したりといった煩雑な精製操作を行う必要があるため、大量の酸廃液が生じ、工業的に好ましいものではなかった。
ここで、上記特許文献1に記載のヘテロポリ酸は、炭化タングステンと過酸化水素を用いて合成するため、副生成物が得られず不純物が実質的に含まれないポリオキソメタレートの合成法である。しかしながら、上記特許文献1には、モリブデンとタングステンの化合物を得たことしか記載されておらず、他の金属を導入したことの記載はないため、多種の金属を含むポリオキソメタレートやその合成法を開示するものではなかった。また、上記特許文献1には、高濃度の溶液が得られたという記載もない。
上記特許文献2に記載のへテロポリ酸の合成法は、アルカリ金属塩のポリオキソメタレートに対し、塩酸等の酸を加えてエーテル抽出を行っているため、煩雑であり、またアルカリ金属やハロゲン等が不純物として混入することを精製操作なしに防ぐことは難しい。また、上記特許文献2には、2種類の遷移金属元素を含むヘテロポリ酸しか記載されていないため、多種の金属を含むポリオキソメタレートやその合成法を開示するものではなかった。
上記非特許文献1には、2種類の遷移金属元素を含むヘテロポリ酸しか記載されていないため、多種の金属を含むポリオキソメタレートやその合成法を開示するものではなかった。
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、3種以上の遷移金属原子を含み、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等の不純物を実質的に含まず、電子材料として使用するのに特に適したポリオキソメタレートを提供することを目的とするものである。
本発明者は、触媒活性の向上や、酸化還元電位の制御等の様々な特性が期待できる3種以上の遷移金属を含むポリオキソメタレートに着目し、このようなポリオキソメタレートの合成法を種々検討した結果、原料として3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを用い、溶液中で反応させて合成する方法を見出した。本発明者は、このようなポリオキソメタレートの合成法が、電子材料特性を劣化させるアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子等の不純物の混入を防止できるため、精製操作を行うことなくポリオキソメタレートを高収率で簡便に得ることができ、また、得られるポリオキソメタレートが電子材料として使用するのに特に適したものであることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させて生成されたものであるポリオキソメタレートである。
また本発明は、3種以上の遷移金属原子を含むポリオキソメタレートを含有し、アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の合計含有量がポリオキソメタレート100質量%に対して1質量%以下であるポリオキソメタレート含有組成物である。
更に、本発明は、3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させてポリオキソメタレートを生成する工程を含むポリオキソメタレートの製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
(ポリオキソメタレート)
本発明のポリオキソメタレートは、3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させて生成されたものである。
本発明のポリオキソメタレートは、原料として遷移金属原子の酸化物やリン酸塩、過酸化水素、後述するリン酸等を用いることにより、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン等の不純物の混入が防止されたものである。
本発明のポリオキソメタレートは、上記原料及び/又は原料由来の反応中間体が溶液中に溶解し、反応して生成されるものであればよい。ここで、上記反応により生成された本発明のポリオキソメタレートは、3種以上の遷移金属原子が均一に混合した溶液、又は、固体として得ることができる。3種以上の遷移金属原子が均一に混合した溶液は、ポリオキソメタレートの沈殿工程を経ないため、その化学量論比は原料組成における化学量論比そのままであり、原料組成を変化させることで生成物中の化学量論比を変化させることができる。また、固体は、溶液から析出させたり、溶液を乾固させたりして得ることができる。
上記3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩としては、合計3種以上の遷移金属原子を含むものであればよく、例えば、遷移金属原子の単一酸化物及び/又は単一リン酸塩としてそれぞれ異なる遷移金属原子を含むものを少なくとも3種用いてもよく、2種以上の遷移金属原子の複合酸化物及び/又は複合リン酸塩と、該2種以上の遷移金属原子とは異なる遷移金属原子の単一酸化物及び/又は単一リン酸塩とを少なくとも1種ずつ用いてもよく、3種以上の遷移金属原子の複合酸化物及び/又は複合リン酸塩を少なくとも1種用いてもよいが、中でも、遷移金属原子の単一酸化物及び/又は単一リン酸塩としてそれぞれ異なる遷移金属原子を含むものを少なくとも3種用いることが好ましい。
上記遷移金属原子とは、周期律表の第3族〜第11族の元素から選択されるものを言う。上記遷移金属原子は、周期律表の第5族〜第7族、第9族〜第11族の元素から選択されるものであることが好ましい。
例えば、本発明のポリオキソメタレートは、周期律表第5族及び第6族の元素から選択される少なくとも1種の遷移金属原子を含むことが好ましく、周期律表第5族の元素から選択される少なくとも1種の遷移金属原子と周期律表第6族の元素から選択される少なくとも1種の遷移金属原子とを含むことがより好ましく、バナジウム及びモリブデンを含むことが更に好ましい。
本発明のポリオキソメタレートは、更に、周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素から選択される少なくとも1種の遷移金属原子を含むことが好ましい。本発明のポリオキソメタレートは、イットリウム、ニオブ、クロム、マンガン、レニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、及び、金からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含むことがより好ましく、銅、マンガン、及び、コバルトからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含むことが更に好ましい。
また本発明のポリオキソメタレートは、更に、周期律表第12族〜第15族の元素から選択される少なくとも1種の原子を含むことが好ましく、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、及び、リンからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含むことがより好ましく、ケイ素及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含むことが更に好ましく、リンを含むことが特に好ましい。
例えば、本発明のポリオキソメタレートは、リン酸及び/又はリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を原料として用いて溶液中で反応させて生成されたものであり、該リン酸及び/又は該リン酸塩由来のリンを含むことが好ましい。ここで、リン酸塩としては、遷移金属原子の単一リン酸塩、2種以上の遷移金属原子の複合リン酸塩を好適に使用できる。
本発明のポリオキソメタレートは、上述した遷移金属原子の種類によって、溶液で得られる場合と固体で得られる場合とがある。例えば、銅のリン酸塩を原料として用いて溶液中で反応させて生成する場合は、本発明のポリオキソメタレートを固体として得ることができる。
またマンガンの酸化物及び/又はリン酸塩や、コバルトのリン酸塩を原料として用いて溶液中で反応させて生成する場合は、本発明のポリオキソメタレートを溶液として得たり、固体として得たりすることができる。この場合において、本発明のポリオキソメタレートを溶液として得るか、固体として得るかは、溶液の濃度、温度等を適宜設定して所望により選択することができる。また、本発明のポリオキソメタレートの製造方法により製造することで、ポリオキソメタレートを溶液として得るときは、高濃度溶液として得ることが可能である。
本発明のポリオキソメタレートの構造としては、例えば、周期律表第12族〜第15族の元素から選択される少なくとも1種の原子を含み、3種以上の遷移金属原子と該周期律表第12族〜第15族の元素から選択される少なくとも1種の原子が酸素を含んでクラスターとなった構造が考えられる。また、本発明のポリオキソメタレートとしては、ヘテロポリオキソメタレートやイソポリオキソメタレートが考えられるが、ヘテロポリオキソメタレートであった場合はケギン型、ドーソン型、アンダーソン型等が考えられる。
(ポリオキソメタレートの製造方法)
本発明は、3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させてポリオキソメタレートを生成する工程を含むポリオキソメタレートの製造方法でもある。
本発明のポリオキソメタレートの製造方法において、上記溶液は、水を含むことが好ましい。
水を含む上記溶液としては、水と有機溶媒とが混合された水系溶媒、水溶液が挙げられる。
上記溶液は、50質量%以上が水であることが好ましく、70質量%以上が水であることがより好ましく、90質量%以上が水であることが更に好ましい。上記溶液は、水溶液であることが特に好ましい。上記溶液が水溶液であると、廃棄物が実質的に水だけとなるため、有機溶媒と水を分離する工程が不必要となり工業的に好ましい合成方法である。
本発明のポリオキソメタレートは、100℃以下で反応させて生成されたものであることが好ましく、80℃以下で反応させて生成されたものであることがより好ましく、60℃以下で反応させて生成されたものであることが更に好ましい。
また本発明のポリオキソメタレートは、常圧以下で反応させて生成されたものであることが好ましい。
本発明のポリオキソメタレートの製造方法では、周期律表第5族の元素から選択される少なくとも1種の遷移金属原子(好ましくは、バナジウム)の酸化物及び/又はリン酸塩を水等の溶媒に加え、更に過酸化水素水を加えて撹拌して溶液とすることが好ましい。
撹拌温度は、例えば−10〜30℃とすることが好ましく、0〜20℃とすることがより好ましい。撹拌時間は、例えば20分〜3時間とすることが好ましく、30分〜2時間とすることがより好ましい。
本発明のポリオキソメタレートの製造方法では、更に、周期律表第6族の元素から選択される少なくとも1種の遷移金属原子(好ましくは、モリブデン)の酸化物及び/又はリン酸塩と、周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素から選択される少なくとも1種の遷移金属原子(好ましくは、銅、マンガン、又は、コバルト)の酸化物及び/又はリン酸塩と、必要に応じてリン酸を水等の溶媒に加えてスラリーを調製し、これを混合又は還流(好ましくは、還流)させ、上述した過酸化水素水を加えた第5族元素含有溶液を滴下して均一な溶液とすることが好ましい。
その後、該溶液を混合又は還流(好ましくは、還流)する。該溶液の混合又は還流時間は、1〜5時間とすることが好ましく、2〜4時間とすることがより好ましい。なお、上記混合又は還流時間は、均一系溶液中で混合又は還流される時間である。
以上の方法により、本発明のポリオキソメタレートを含む溶液が好適に得られ、また、本発明のポリオキソメタレートの高濃度溶液を得ることが可能である。更に、該溶液から固体を析出させたり、該溶液を乾固したりすることにより、本発明のポリオキソメタレートを固体として得ることができる。
本発明のポリオキソメタレートの製造方法において、原料である酸化物及び/又はリン酸塩中の周期律表第5族の元素である遷移金属原子の量(好ましくは、バナジウム量)100mol%に対して、過酸化水素水を200mol%以上用いることが好ましく、400mol%以上用いることがより好ましく、600mol%以上用いることが更に好ましい。過酸化水素水の上限は特に限定されないが、例えば2000mol%である。
また原料である酸化物及び/又はリン酸塩中の周期律表第5族の元素である遷移金属原子の量(好ましくは、バナジウム量)100mol%に対して、周期律表第6族の元素である遷移金属原子(好ましくは、モリブデン)を80mol%以上用いることが好ましく、100mol%以上用いることがより好ましい。また、該周期律表第6族の元素である遷移金属原子(好ましくは、モリブデン)を1500mol%以下用いることが好ましく、1200mol%以下用いることがより好ましい。
更に、原料である酸化物及び/又はリン酸塩中の上記周期律表第5族の元素である遷移金属原子の量(好ましくは、バナジウム量)100mol%に対して、周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である遷移金属原子(好ましくは、銅、マンガン、及び、コバルト)を10mol%以上用いることが好ましく、15mol%以上用いることがより好ましく、20mol%以上用いることが更に好ましい。また、周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である遷移金属原子(好ましくは、銅、マンガン、及び、コバルト)を200mol%以下用いることが好ましく、150mol%以下用いることがより好ましく、100mol%以下用いることが更に好ましい。
そして、原料である酸化物及び/又はリン酸塩中の上記周期律表第5族の元素である遷移金属原子の量(好ましくは、バナジウム量)100mol%に対して、リン酸及び/又はリン酸塩由来のリンを5mol%以上用いることが好ましく、10mol%以上用いることがより好ましく、15mol%以上用いることが更に好ましい。また、該リン酸及び/又はリン酸塩由来のリンを200mol%以下用いることが好ましく、150mol%以下用いることがより好ましく、100mol%以下用いることが更に好ましい。
本発明のポリオキソメタレートは、原料として遷移金属原子の酸化物やリン酸塩、過酸化水素、リン酸等を用いることにより、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲンの混入が防止されたものであるため、これらを除去するために再結晶等による精製を省略することが可能である。もちろん、用途によって再結晶などによる精製をしても構わない。また、反応により得られた溶液から本発明のポリオキソメタレートを固体として単離することなく該溶液を電子材料等として使用することも可能である。
(ポリオキソメタレート含有組成物)
本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、3種以上の遷移金属原子を含むポリオキソメタレートを含有し、アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の合計含有量がポリオキソメタレート100質量%に対して1質量%以下である。アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の合計含有量がこのように低減されたものであれば、電子材料として用いる場合に特に望ましいものとなる。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における該アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の合計含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、実質的に検出限界以下であることが更に好ましい。また、本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、ポリオキソメタレートアニオン、プロトン及び水酸化物イオン以外のイオンであるハロゲン化物イオン、カルボキシレートのような有機イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等の量が低減されていることもまた特徴である。本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、ポリオキソメタレートアニオン、プロトン及び水酸化物イオン以外のイオンであるハロゲン化物イオン、カルボキシレートのような有機イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等を含まないことが好ましい。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、上述した本発明のポリオキソメタレートの製造方法や、その他の、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を実質的に含まず、3種以上の遷移金属原子を含む原料を用いる合成方法により得ることが可能であるが、上述した本発明のポリオキソメタレートの製造方法により得ることが好ましい。これにより、電子材料特性を劣化させるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の合計含有量が大きく低減されたポリオキソメタレート含有組成物を高収率で簡便に得ることができる。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物に含まれるポリオキソメタレートの構成原子の種類やその割合等は、上述した本発明のポリオキソメタレートの構成原子の種類やその割合等と同様である。
例えば、本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記ポリオキソメタレートは、モリブデン及びバナジウムを含むことが好ましい。
また本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記ポリオキソメタレートは、更に、銅、マンガン、及び、コバルトからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、元素分析による周期律表第5族の元素である遷移金属原子量が5〜50モル%であることが好ましい。また、本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、元素分析による周期律表第6族の元素である遷移金属原子量が40〜85モル%であることが好ましい。
元素分析は、実施例に記載の方法により測定することができる。周期律表の第3周期以降の元素とは、原子番号を昇順に並べたときのナトリウム以降の元素を意味する。以下においても同様である。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、元素分析による周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である遷移金属原子量が5〜30モル%であることが好ましい。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、元素分析による周期律表第12族〜第15族の元素である原子の量が5〜20モル%であることが好ましい。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、元素分析による周期律表第6族の元素である遷移金属原子量が40〜85モル%であり、周期律表第5族の元素である遷移金属原子量が5〜50モル%であり、周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である遷移金属原子量が5〜30モル%であり、周期律表第12族〜第15族の元素である原子の量が5〜20モル%であることが好ましい。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物が、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、元素分析によるモリブデン量が40〜85モル%であり、バナジウム量が5〜50モル%であり、モリブデン、バナジウム以外の遷移金属原子量が5〜30モル%であり、リン量が5〜20モル%であることもまた好ましい。
中でも、本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、元素分析によるモリブデン量が40〜85モル%であり、バナジウム量が5〜50モル%であり、銅、マンガン、及び、コバルトの量が5〜30モル%であり、リン量が5〜20モル%であることがより好ましい。
銅、マンガン、及び、コバルトの量とは、銅、マンガン、及び、コバルトの合計量を意味する。なお、銅、マンガン、及び、コバルトの量が上記の範囲内にある限り、本発明のポリオキソメタレート含有組成物は銅、マンガン、及び、コバルトの少なくとも1種を含んでいればよい。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物における周期律表第6族の元素である遷移金属原子量は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、45モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。また、該周期律表第6族の元素である遷移金属原子量は、80モル%以下であることが好ましい。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記周期律表第6族の元素がモリブデンである場合、該モリブデン量の好ましい範囲は上述した周期律表第6族の元素である遷移金属原子量の好ましい範囲と同様である。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物における周期律表第5族の元素である遷移金属原子量は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、10モル%以上であることが好ましい。また、該周期律表第5族の元素である遷移金属原子量は、45モル%以下であることが好ましい。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記周期律表第5族の元素がバナジウムである場合、該バナジウム量の好ましい範囲は上述した周期律表第5族の元素である遷移金属原子量の好ましい範囲と同様である。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物における周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である原子の量は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、6モル%以上であることが好ましく、7モル%以上であることがより好ましい。また、該周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である原子の量は、18モル%以下であることが好ましく、16モル%以下であることがより好ましい。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素が銅、マンガン及びコバルトの少なくとも1種である場合、該銅、マンガン及びコバルトの量の好ましい範囲は上述した周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である原子の量の好ましい範囲と同様である。
本発明のポリオキソメタレート含有組成物における周期律表第12族〜第15族の元素である原子の量は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、6モル%以上であることが好ましく、7モル%以上であることがより好ましい。また、該周期律表第12族〜第15族の元素である原子の量は、18モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましい。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記周期律表第12族〜第15族の元素がリンである場合、該リン量の好ましい範囲は上述した周期律表第12族〜第15族の元素である原子の量の好ましい範囲と同様である。
また本発明のポリオキソメタレート含有組成物がポリオキソメタレートの溶液である場合、該ポリオキソメタレートの溶液において、周期律表第6族の元素である遷移金属原子の濃度は、0.1mol/L以上であることが好ましく、0.5mol/L以上であることがより好ましく、1mol/L以上であることが更に好ましく、2mol/L以上であることが特に好ましい。また、該周期律表第6族の元素である遷移金属原子の濃度は、10mol/L以下であることが好ましい。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記周期律表第6族の元素がモリブデンである場合、該モリブデンの濃度の好ましい範囲は上述した周期律表第6族の元素である遷移金属原子の濃度の好ましい範囲と同様である。
また上記ポリオキソメタレートの溶液において、周期律表第5族の元素である遷移金属原子の濃度は、0.1mol/L以上であることが好ましく、0.3mol/L以上であることがより好ましく、0.5mol/L以上であることが更に好ましく、0.8mol/L以上であることが特に好ましい。また、該周期律表第5族の元素である遷移金属原子の濃度は、8mol/L以下であることが好ましい。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記周期律表第5族の元素がバナジウムである場合、該バナジウムの濃度の好ましい範囲は上述した周期律表第5族の元素である遷移金属原子の濃度の好ましい範囲と同様である。
更に、上記ポリオキソメタレートの溶液において、周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である原子の濃度は、0.01mol/L以上であることが好ましく、0.03mol/L以上であることがより好ましく、0.1mol/L以上であることが更に好ましく、0.2mol/L以上であることが特に好ましい。また、該周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である原子の濃度は、3mol/L以下であることが好ましい。本発明のポリオキソメタレート含有組成物における上記周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素がマンガン及びコバルトの少なくとも1種である場合、該マンガン及びコバルトの濃度の好ましい範囲は上述した周期律表第7族及び第9族〜第11族の元素である原子の濃度の好ましい範囲と同様である。
ポリオキソメタレートの高濃度溶液は、後述する電池用途等に好適に用いることができる。本発明のポリオキソメタレートの高濃度溶液とは、3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させて生成された溶液であって、遷移金属原子の合計濃度が1mol/L以上であるものを言う。該遷移金属原子の合計濃度は、2mol/L以上であることが好ましく、3mol/L以上であることがより好ましい。
上記遷移金属原子の濃度は、誘導結合プラズマ分析(ICP)や蛍光X線分析(XRF)により測定することができる。
本発明のポリオキソメタレート又はポリオキソメタレート含有組成物は、種々の酸化反応や酸塩基反応等の有機反応用触媒として適用することができるものである。
本発明のポリオキソメタレートを触媒として利用する場合、気相・液相・超臨界相等いずれの反応場においても使用することができる。その使用形態としては、気相反応で用いる場合、触媒自体を固体として反応を行う形態や触媒を担体に担持して反応を行う形態が可能である。触媒担体としては、一般的に気−固反応に使用される担体を用いることができる。また、液相反応で用いる場合には、触媒を溶媒に添加して均一系で反応させる形態、触媒を溶媒に溶解させずに液相に懸濁させて反応を行う形態が挙げられる。なお、触媒を固相として反応を行うことも可能である。この時、反応後の触媒と生成物の分離が容易になる。
また本発明のポリオキソメタレート又はポリオキソメタレート含有組成物は、電池材料や電気化学コンデンサ、エレクトロクロミック材料等の電子材料として適用することができるものである。電池材料として電池構成部材に用いた場合について後述する。
(電池構成部材)
本発明は、本発明のポリオキソメタレート、又は、本発明のポリオキソメタレート含有組成物を用いてなる電池構成部材でもある。
本発明のポリオキソメタレート、又は、本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の含有量が少ないため、電池特性を損なわず、レドックス電池用電解液、活物質、電池用触媒等として好適に使用できる。
本発明の電池構成部材としては、レドックス電池用電解液、その他の電池の活物質層等が好適なものとして挙げられる。
本発明の電池構成部材がレドックス電池用電解液である場合は、本発明のポリオキソメタレートの高濃度溶液を好適に使用できる。
上記レドックス電池用電解液中、本発明のポリオキソメタレートに由来する遷移金属原子の合計濃度は、1mol/L以上であることが好ましく、2mol/L以上であることがより好ましく、3mol/L以上であることが更に好ましい。また、該合計濃度は、20mol/L以下であることが好ましく、15mol/L以下であることがより好ましく、10mol/L以下であることが更に好ましい。
(電池)
本発明は、本発明の電池構成部材を用いて構成される電池でもある。本発明の電池は、レドックス電池、その他の二次電池、一次電池等の電池が挙げられる。
レドックス電池は、二次電池の一種であり、通常、電解槽と、電解槽中の電解液と、電解槽中の電解液を隔てるイオン交換膜と、その両側に設けられた正極及び負極(例えば、炭素電極)と、電解槽に電解液を送る電解液貯蔵用タンク(正極液貯蔵用タンク及び負極液貯蔵用タンク)を含んで構成され、正極液が正極液貯蔵用タンクから、負極液が負極液貯蔵用タンクから、それぞれポンプ循環等によって電解槽に送られる。炭素電極上でバナジウムイオン等の遷移金属イオンの酸化還元反応を進めることによって、充放電を行う。レドックス電池としては、例えば特許第3001659号公報に記載されているものが挙げられる。
本発明の電池は、レドックス電池以外の電池であってもよい。レドックス電池以外の電池は、例えば、正極、負極、一次電池や二次電池において通常用いられる電解液(電解質)及びセパレータとしてのイオン交換膜を備えるものであればよい。レドックス電池以外の電池においては、本発明のポリオキソメタレート、又は、本発明のポリオキソメタレート含有組成物は、活物質又は電池用触媒として、電池構成部材(例えば、正極、負極等の電極の活物質層)に適用されることとなる。
上記正極、負極の活物質層に使用される結着剤、導電助剤等、集電体、電解液(電解質)、イオン交換膜としては、通常使用されるものを適宜使用できる。
本発明の電池は、公知の方法を適宜用いて製造することができる。例えば、負極を電池セル中に配置し、電解質溶液を電池セル中に導入し、更に、正極、セパレータ等を必要に応じて配置して電池を作製することができる。
本発明のポリオキソメタレートは、上述の構成よりなり、触媒活性の向上等の様々な特性が期待できるとともに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等の不純物を実質的に含まず、電子材料として使用するのに特に適したものである。また、本発明のポリオキソメタレートの製造方法は、ポリオキソメタレートを高収率で簡便に得ることができるものである。
実施例9で得られた溶液を、アニオンモードでESI−MS分析した結果を示すグラフである。 実施例9で得られた溶液を、アニオンモードでESI−MS分析した結果を示すグラフである。 実施例10で得られた溶液を、アニオンモードでESI−MS分析した結果を示すグラフである。 実施例10で得られた溶液を、アニオンモードでESI−MS分析した結果を示すグラフである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味するものとする。
各種測定及び評価は以下の方法により行った。
元素分析は、蛍光X線分析(XRF)により行った。装置は、ブルカー・エイエックスエス社製の波長分散型蛍光X線分析装置 S8 TIGERを用いた。
質量分析は、アニオンモードでのESI−MS分析により行った。装置は、日本電子株式会社製JMS−T100LCを用いた。溶媒は、水で行った。
赤外吸収分析は、臭化カリウムを用いたペレットを作成し、透過法により行った。装置は、BioRad FTS 300MX Excalibur spectrometerを用いた。
なお、本明細書中、元素分析で測定したモル比は、周期律表の第3周期以降の元素のモル比である。また、元素分析で測定したモル百分率は、周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中の、周期律表の第3周期以降の各元素のモル百分率である。
(固体として得られるポリオキソメタレート含有組成物)
参考例1
(1)水300mlに5.5gのVを加え、40mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水1200mlに86.4gのMoOと85%リン酸を4.0ml加えて加熱することで、淡黄色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Moが1:1:10の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
参考例2
(1)水320mlに6.1gのVを加え、50mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水1000mlに96.0gのMoOと85%リン酸を4.5ml加えて加熱することで、淡黄色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Moが1:1:10の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
参考例3
(1)水1250mlに24.3gのVを加え、200mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水1000mlに76.9gのMoOと85%リン酸を4.5ml加えて加熱することで、淡黄色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Moが1:4:8の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
参考例4
(1)水960mlに18.2gのVを加え、150mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水400mlに28.8gのMoOと85%リン酸を2.3ml加えて加熱することで、淡黄色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Moが1:6:6の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
実施例1
(1)水360mlに7.3gのVを加え、60mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水260mlに20.2gのMoOとCu(HPO)を3.2g加えて加熱することで、暗黄色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Mo:Cuが1:4:7:1の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
実施例2
(1)水360mlに7.3gのVを加え、60mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水260mlに20.2gのMoOと0.7gのMnOと3.2gのMn(HPO)2・4HOを加えて加熱することで、灰色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Mo:Mnが1:4:7:1の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
実施例3
(1)水900mlに18.2gのVを加え、150mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水750mlに50.4gのMoOと4.0gのMnと85%リン酸を3.5ml加えて加熱することで、灰色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Mo:Mnが1:4:7:1の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
実施例4
(1)水900mlに18.2gのVを加え、150mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水750mlに50.4gのMoOと6.4gのCo(POと85%リン酸を1.2ml加えて加熱することで、暗黄色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Mo:Coが1:4:7:1の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
実施例5
(1)水650mlに13.7gのVを加え、120mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水750mlに50.4gのMoOと7.9gのMnと85%リン酸を3.5ml加えて加熱することで、灰色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を乾固すると、P:V:Mo:Mnが1:3:7:2の元素比のポリオキソメタレート含有組成物が得られた。
比較例1
(1)水900mlに18.2gのVを加え、150mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水750mlに50.4gのMoOと10.8gのSnを加えて加熱することで、灰色のスラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させたが均一な溶液とはならず(2)のスラリーは溶解しなかった。
(高濃度溶液として得られるポリオキソメタレート)
実施例6
(1)水900mlに18.2gのVを加え、150mlの35%過酸化水素水を入れて氷浴中で攪拌する。1時間ほど攪拌することで、赤色の水溶液が得られる。
(2)水750mlに50.4gのMoOとMn(HPO・4HOを8.0gとMnOを1.7g加えて加熱することで、暗黄色スラリーが得られる。
(3)(2)のスラリーを還流させ、(1)の水溶液を滴下させると、(2)のスラリーが溶解して均一な溶液となる。
(4)(3)の溶液を3時間還流させる。
(5)(4)で得られた溶液を濃縮させ、Mnが0.3mol/L、Vが1.2mol/L、Moが2.1mol/Lが均一に溶解している溶液を得た。
得られた溶液に対し、アニオンモードでESI−MS分析を行ったところ、MnMoPO21 に帰属されるフラグメントを検出した。
実施例7
実施例6の(2)の操作で、Mn(HPO・4HOとMnOを加える代わりに、MnOを3.5gと85%HPO水溶液を3.5ml加えたほかは、同様に合成した。得られた溶液を濃縮させ、Mnが0.3mol/L、Vが1.2mol/L、Moが2.1mol/Lが均一に溶解している溶液を得た。
得られた溶液に対し、アニオンモードでESI−MS分析を行ったところ、MnMoPO21 に帰属されるフラグメントを検出した。
実施例8
実施例6の(1)の操作で水900mlを650mlに、18.2gのVを13.7gに変更し、(2)の操作でMn(HPO・4HOとMnOを加える代わりに、Mnを7.9gと85%HPO水溶液を3.5ml加えたほかは、同様に合成した。得られた溶液を濃縮させ、Mnが0.6mol/L、Vが0.9mol/L、Moが2.1mol/Lが均一に溶解している溶液を得た。
得られた溶液に対し、アニオンモードでESI−MS分析を行ったところ、MnMoPO21 に帰属されるフラグメントを検出した。
実施例9
実施例6の(2)の操作で、Mn(HPO・4HOとMnOを加える代わりに、Mnを4.0gと85%HPO水溶液を3.5ml加えたほかは、同様に合成した。得られた溶液を濃縮させ、Mnが0.3mol/L、Vが1.2mol/L、Moが2.1mol/Lが均一に溶解している溶液を得た。
得られた溶液に対し、アニオンモードでESI−MS分析を行ったところ、MnMoPO21 に帰属されるフラグメントを検出した。
実施例10
実施例6の(2)の操作で、Mn(HPO・4HOとMnOを加える代わりに、Co(POを6.4gと85%HPO水溶液を1.2ml加えたほかは、同様に合成した。得られた溶液を濃縮させ、Coが0.3mol/L、Vが1.2mol/L、Moが2.1mol/Lが均一に溶解している溶液を得た。
得られた溶液に対し、アニオンモードでESI−MS分析を行ったところ、CoMoPO21 に帰属されるフラグメントを検出した。
比較例2
実施例6の(2)の操作で、Mn(HPO・4HOとMnOを加える代わりに、Snを10.3g加えたほかは、同様に合成した。その結果、(3)の操作中にスラリーが溶解せず、(4)の操作後も固体が析出した。
なお、実施例9及び実施例10の質量分析結果を、それぞれ、図1−1及び図1−2、並びに、図2−1及び図2−2に示す。横軸にm/z(質量/電価)、縦軸にそれらの相対強度を示す。
高濃度溶液を得る方法としては、その溶液に含まれるイオンのフラグメントが特徴となる可能性がある。
上述した各実施例では、赤外吸収(IR)スペクトルで1060cm−1、960cm−1、860cm−1、780cm−1付近にピークが検出された。このことから、バナジウム、モリブデン、リンが含まれるポリオキソメタレートが存在することがわかる。
本発明のポリオキソメタレートは、3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させて生成されたものであるため、触媒活性の向上等の様々な特性が期待できるとともに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等の不純物を実質的に含まず、電子材料として使用するのに特に適したものである。また、本発明のポリオキソメタレートは、精製操作により上記不純物を除去する必要がないため、高収率で簡便に得ることができる。

Claims (10)

  1. 3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させて生成されたものであることを特徴とするポリオキソメタレート。
  2. 前記溶液は、水を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリオキソメタレート。
  3. 100℃以下で反応させて生成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオキソメタレート。
  4. 3種以上の遷移金属原子を含むポリオキソメタレートを含有し、
    アルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の合計含有量がポリオキソメタレート100質量%に対して1質量%以下であることを特徴とするポリオキソメタレート含有組成物。
  5. 前記ポリオキソメタレートは、モリブデン及びバナジウムを含むことを特徴とする請求項4に記載のポリオキソメタレート含有組成物。
  6. 前記ポリオキソメタレートは、更に、銅、マンガン、及び、コバルトからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含むことを特徴とする請求項5に記載のポリオキソメタレート含有組成物。
  7. 更にリンを含み、
    周期律表の第3周期以降の元素の合計量100モル%中、元素分析によるモリブデン量が40〜85モル%であり、バナジウム量が5〜50モル%であり、モリブデン、バナジウム以外の遷移金属原子量が5〜30モル%であり、リン量が5〜20モル%であることを特徴とする請求項5又は6に記載のポリオキソメタレート含有組成物。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリオキソメタレート、又は、請求項4〜7のいずれかに記載のポリオキソメタレート含有組成物を用いてなることを特徴とする電池構成部材。
  9. 請求項8に記載の電池構成部材を用いて構成されることを特徴とする電池。
  10. 3種以上の遷移金属原子の酸化物及び/又はリン酸塩と、過酸化水素とを原料として用いて溶液中で反応させてポリオキソメタレートを生成する工程を含むことを特徴とするポリオキソメタレートの製造方法。
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