JP2016220969A - X線動体追跡装置、及びx線動体追跡方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】追跡対象をより高精度に追跡可能なX線動体追跡装置を提供する。【解決手段】本実施形態に係るX線動体追跡装置は、X線照射装置と、X線撮像部と、サブトラクション画像生成部と、検出部とを備える。X線照射装置は、第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて被検体に向けて照射する。X線撮像部は、被検体を通過した第1のX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、被検体を通過した第2のX線に基づいて第2のX線画像を撮像する。サブトラクション画像生成部は、第1のX線画像と第2のX線画像とを用いてサブトラクション画像を生成する。検出部は、サブトラクション画像生成部が生成したサブトラクション画像に基づいて、被検体内の追跡対象の位置を検出する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、X線動体追跡装置、及びX線動体追跡方法に関する。
重粒子線、陽子線、及びX線等の放射線治療ビームは、腫瘍細胞のみに殺傷効果が生じるように患者に照射されている。このため、この放射線治療ビームの光子エネルギー、照射線量、及び入射方向等が治療計画で綿密に策定されている。一方、体幹部にできた腫瘍は、呼吸性移動により3次元的な位置変動をするので、患者の体表面を表示したモニタの情報だけでは、この腫瘍を放射線治療中に追跡できない恐れがある。この腫瘍に放射線治療ビームを正確に照射するため、患者の体内における腫瘍の位置情報が必要とされている。
このような呼吸性移動する腫瘍に、放射線治療ビームを正確に照射する方法として、X線を用いてステレオ撮像した腫瘍を動体追跡する方法が知られている。この方法では、まず純金の球体等で構成される複数の金属マーカが患部近傍に刺入され留置されている。そして、患部とこれらの金属マーカとの相対的な位置関係を治療計画で事前に特定しておく。次に、これらの金属マーカは、2方向からパルス式のX線透視装置で間欠的にステレオ撮像され、このステレオ撮像された画像に基づいて、これらの金属マーカの3次元位置が演算処理により求められている。すなわち、この3次元位置が治療計画で策定されたゲートの範囲内にあるときだけ、このゲートの範囲内に放射線治療ビームが照射されている。このような動体追跡方法が臨床で用いられている。
しかし、複数の金属マーカが体内に刺入され留置されることは、患者の負担となっていると言われている。さらに、これらの金属マーカを要因とした機能障害などが、留置する体幹部に発生する恐れがある。また、放射線治療ビームが金属マーカに照射されることで二次放射線が生じ、この二次放射線が正常組織に与える被ばくの影響も懸念されている。このため、金属マーカを体内に入れることなく、呼吸により移動する腫瘍の3次元位置がリアルタイムに近い応答速度で追跡される方法が望まれている。
また、人体において骨や軟骨等を除く組織や臓器と、これら組織や臓器から生じた腫瘍等とは、X線吸収率が近似している。このため、X線透視画像ではこれら腫瘍等の陰影が強調されないので、目視でのこれら腫瘍等の陰影の識別、及び画像のソフトウエア演算処理を用いたこれら腫瘍等の陰影の識別は容易でないと言われている。
このようなX線吸収率が近似した物質同士の中で、所望する部位の陰影を強調可能な撮像方法が幾つかあることが知られている。その中の一つに、X線のもつ実効エネルギーに着目したエネルギーサブトラクション法がある。エネルギーサブトラクション法では、X線のもつ実効エネルギーを変化させると、物質のX線吸収率も変化する現象が利用されている。具体的には、X線の実効エネルギーを変えてそれぞれ撮像した2つの画像が、所定の係数を用いてサブトラクション処理されることで、所望部位の陰影が強調されるのである。しかし、X線の実効エネルギーを変える間隔が長くなると、サブトラクション処理に用いる2つの画像の撮像間隔が長くなってしまい、移動する追跡対象である腫瘍等の位置に2つの画像内でずれが生じてしまう可能性がある。
追跡対象をより高精度に追跡可能なX線動体追跡装置を提供することを目的とする。
本実施形態に係るX線動体追跡装置は、
第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、前記第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて被検体に向けて照射する、X線照射装置と、
前記被検体を通過した前記第1のX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、前記被検体を通過した前記第2のX線に基づいて第2のX線画像を撮像する、X線撮像部と、
前記第1のX線画像と前記第2のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する、サブトラクション画像生成部と、
前記サブトラクション画像生成部が生成した前記サブトラクション画像に基づいて、前記被検体内の追跡対象の位置を検出する、検出部と、
を備えることを特徴とする。
第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、前記第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて被検体に向けて照射する、X線照射装置と、
前記被検体を通過した前記第1のX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、前記被検体を通過した前記第2のX線に基づいて第2のX線画像を撮像する、X線撮像部と、
前記第1のX線画像と前記第2のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する、サブトラクション画像生成部と、
前記サブトラクション画像生成部が生成した前記サブトラクション画像に基づいて、前記被検体内の追跡対象の位置を検出する、検出部と、
を備えることを特徴とする。
本実施形態に係るX線動体追跡方法は、
第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、前記第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて被検体に向けて照射する、X線照射工程と、
前記被検体を通過した前記第1のX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、前記被検体を通過した前記第2のX線に基づいて第2のX線画像を撮像する、X線撮工程と、
前記第1のX線画像と前記第2のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する、サブトラクション画像生成工程と、
前記サブトラクション画像生成工程で生成した前記サブトラクション画像に基づいて、前記被検体内の追跡対象の位置を検出する、検出工程と、
を備えることを特徴とする。
第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、前記第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて被検体に向けて照射する、X線照射工程と、
前記被検体を通過した前記第1のX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、前記被検体を通過した前記第2のX線に基づいて第2のX線画像を撮像する、X線撮工程と、
前記第1のX線画像と前記第2のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する、サブトラクション画像生成工程と、
前記サブトラクション画像生成工程で生成した前記サブトラクション画像に基づいて、前記被検体内の追跡対象の位置を検出する、検出工程と、
を備えることを特徴とする。
追跡対象をより高精度に追跡可能なX線動体追跡装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るX線動体追跡装置は、X線の実効エネルギーを所定時間で切り替えて患者に向けて照射させることにより、追跡対象のコントラストが強調されたサブトラクション画像を生成させ、追跡対象の追跡精度をより向上させようとしたものである。より詳しくを、以下に説明する。
第1実施形態に係るX線動体追跡装置は、X線の実効エネルギーを所定時間で切り替えて患者に向けて照射させることにより、追跡対象のコントラストが強調されたサブトラクション画像を生成させ、追跡対象の追跡精度をより向上させようとしたものである。より詳しくを、以下に説明する。
図1乃至図6に基づいて、第1実施形態に係るX線動体追跡装置100の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るX線動体追跡装置100の構成を説明するブロック図である。この図1に示すように、本実施形態に係るX線動体追跡装置100は、第1のX線照射装置120aと、第2のX線照射装置120bと、第1のX線撮像部140aと、第2のX線撮像部140bと、サブトラクション画像生成部160と、検出部180と、撮像情報取得部200と、制御部220と、その他の制御機能部とを備えて構成されている。その他の制御機能部は、第1の高電圧パルス発生部6aと、第2の高電圧パルス発生部6bと、高電圧値設定部8と、高電圧パルス出力タイミング制御部10と、撮像タイミング同期制御部12と、X線フィルタ切替制御部14と、可変コリメータ制御部16と、治療ビーム垂直照射ポート部18と、治療ビーム水平照射ポート部20と、治療ビーム照射許可判定部22と、治療ビーム照射制御部24とを備えて構成されている。
まず、図1を参照にしつつ図2に基づいて第1のX線照射装置120aの構成について説明する。この第1のX線照射装置120aは、第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて患者に向けて照射する。
この図2は、第1のX線照射装置120aの構成を説明する図である。この図2に示すように、この第1のX線照射装置120aは、第1のX線管122aと、第1の切り替え部124aと、第1の可変コリメータ部126aとを、備えて構成されている。
この第1のX線管122aは、患者4に向けたX線を発生する。この患者4は、例えば寝台5に固定される。第1の切り替え部124aは、この第1のX線管122aが発生したX線の実効エネルギーを切り替えて患者4に向けて照射する。第1の可変コリメータ部126aは、X線の照射範囲を限定するものであって、第1の可変コリメータ127aと、第1の収納部128aとを備えて構成されている。
第1の可変コリメータ127aは、この第1の切り替え部124aを介して実効エネルギーが切り替えられたX線の照射範囲を所定の範囲に限定する。すなわち、第1の可変コリメータ127aは、X線を通過させる開口部の範囲を変更することで、この第1のX線管122aが発生したX線の照射範囲を限定する。第1の収納部128aは、第1の切り替え部124a、及び第1の可変コリメータ127aを収納している。
次に、第1のX線管122aの詳細について説明する。この第1のX線管122aは、不図示のフィラメントと、モリブテンなどの不図示のターゲット金属とを備えて構成されている。第1の高電圧パルス発生部6aは、このターゲット金属を陽極として、発生した電圧を第1のX線管122aに印加する。これにより、フィラメントから飛び出した熱電子がターゲット金属に向かって加速し、ターゲット金属に衝突することでこのターゲット金属からX線が発生する。また、この電圧はパルスとして第1の高電圧パルス発生部6aから第1のX線管122aに印加される。このため、この第1のX線管122aは、このパルスの周期にしたがった周期でX線を発生する。一般に、1秒あたり数十回等の高頻度でX線画像を撮像する方法は、X線透視撮影とよばれている。本実施の形態に係るX線動体追跡装置100は、このX線透視撮影により追跡対象を撮像する。
また、第1のX線管122aから発生したX線の実効エネルギーは、加速された熱電子のエネルギーに応じて変更される。このため、第1の高電圧パルス発生部6aは、例えば数十から数百KVの電圧パルスを第1のX線管122aに印加し、所定の実効エネルギーのX線を発生させる。すなわち、この第1の高電圧パルス発生部6aは、追跡対象の位置が変更された場合、撮影部位が変更された場合等に、X線の実効エネルギーを変更するために用いられる。また、このX線の実効エネルギーの単位は例えばkeVであり、X線の波長の逆数に比例する。
さらにまた、この第1のX線管122aが発生するX線の強度、すなわちX線の光子数は、ターゲット金属に衝突する熱電子の数で変更される。このため、フィラメントからターゲット金属に流れる電流の量に応じて、ターゲット金属が発生するX線の強度が変更される。この電流を第1の高電圧パルス発生部6aが変更することで、第1のX線管122aが発生するX線の強度が変更される。一般に、二次元の撮像を行う場合、第1のX線管122aに印加する電圧は最大150kV前後、電流はおよそ400mA前後である。
なお、サブトラクション処理に用いるX線画像の撮像間隔を、数msec以内にする場合がある。この数msecオーダの間に、第1の高電圧パルス発生部6aが発生する電圧値を、例えば70kVから140kVに変更するには、システムが複雑かつ高価になることが予想されている。このため、本実施形態に係るX線動体追跡装置100においては、この撮像間隔の間におけるX線の実効エネルギーの変更は、この第1の高電圧パルス発生部6aの電圧を変更することでは行われていない。
ここで、X線の実効エネルギーとは、X線が有するエネルギーの平均値を意味する。例えば、骨部と肺野部の双方にX線を照射する場合、X線の実効エネルギーが上昇する程、骨部を通過するX線の光子数と、肺野部を通過するX線の光子数との差が低下する。これにより、X線の実効エネルギーを上昇させると、撮像したX線画像における骨部と肺野部のコントラストの差が減少する。
一方、X線の実効エネルギーを低下させると、骨部を通過するX線の光子数が肺野部を通過数するX線の光子数に比較して低下し、撮像したX線画像における骨部と肺野部のコントラストの差が増加する。このように、X線の実効エネルギーを調整することで、患者4内の組織を通過するX線の光子数が組織ごとに異なるようになり、撮像されるX線画像のコントラストを大きくすることができる。
次に、第1の切り替え部124aの詳細について説明する。図3Aは、第1の切り替え部124aの構成を示す図である。この図3Aに示すように、この第1の切り替え部124aは、第1の円弧状の平板部129aと、第1の衝撃吸収部130aと、第1の回転部132aとを備えて構成されている。
この第1の円弧状の平板部129aは、X線を通過させる部材であり、第1のフィルタ134aと、第2のフィルタ136aとを備えて構成されている。すなわち、第1のフィルタ134aは、第1の値のK吸収端を持つ第1の物質を含んで構成されており、第2のフィルタ136aは、第1の値とは異なる第2の値のK吸収端を持つ第2の物質を含んで構成されている。これらの第1のフィルタ134a及び第2のフィルタ136aのそれぞれは、半円を均等に3等分した扇状の平板形状であって、第1の円弧状の平板部129aがこれらの第1のフィルタ134a及び第2のフィルタ136aを用いて形成されている。
第1の回転部132aは、この第1の円弧状の平板部129aにおける円中心を支点として、この第1の円弧状の平板部129aを順方向及び逆方向に回転させる。すなわち、この第1の回転部132aは、この支点に、例えば図示しないステップモータの軸を直接取り付けて構成され、第1の円弧状の平板部129aを、順方向及び逆方向にそれぞれ60°の回転角の範囲内で回転させる。第1の衝撃吸収部130aは、第1の円弧状の平板部128aが衝突した際の衝撃を吸収する。
図3Bは、第1の円弧状の平板部129aを順方向に60°順回転させた図である。この図3Bに示すように、この第1の円弧状の平板部129aを図3Aの状態から順方向に60°順回転させることにより、第2のフィルタ136aに第1のX線管122aが発生したX線を通過させている。
このように、第1の円弧状の平板部129aを、支点を中心に交互に順回転及び逆回転させることにより、第1のフィルタ134aと第2のフィルタ136aとを、交互に切り替えてX線を通過させることが可能である。すなわち、この第1の切り替え部124aは、これら第1のフィルタ134aと第2のフィルタ136aとを、所定時間毎に交互に切り替えて第1のX線管122aが発生したX線を通過させることにより、異なる実効エネルギーを有する複数のX線を生成する。このことから分かるように、第1の切り替え部124aは、第1のX線管122aに印加する電圧の値を変更することなく、第1のX線管122aが発生するX線の実効エネルギーを変更できる。
なお、第1のフィルタ134aを、第2の物質を含んで構成し、第2のフィルタ136aを、第1の物質を含んで構成してもよい。また、第1のフィルタ134aと第2のフィルタ136aとの切り替え順を変更してもよい。なお、本実施形態においては、第1のフィルタ134aが第1の領域部を構成しており、第2のフィルタ136aが第2の領域部を構成している
次に、図3A及び図3Bを参照にしつつ図4Aに基づいて、第1のフィルタ134a及び第2のフィルタ136aそれぞれを構成する物質1及び物質2のX線吸収率について説明する。図4Aは、物質1及び物質2のX線吸収率を示す模式図である。横軸は、これらの物質に照射されるX線のエネルギーを示しており、縦軸は、X線吸収率を示している。このX線吸収率は、物質をX線の光子が通過する際にX線の光子が吸収される割合を示している。例えば、X線吸収率40%であれば、この物質に照射されたX線の全光子数の40%が吸収されることを示している。すなわち、X線吸収率40%であれば、この物質を通過したX線の強度は、通過する前の60%になる。
次に、図3A及び図3Bを参照にしつつ図4Aに基づいて、第1のフィルタ134a及び第2のフィルタ136aそれぞれを構成する物質1及び物質2のX線吸収率について説明する。図4Aは、物質1及び物質2のX線吸収率を示す模式図である。横軸は、これらの物質に照射されるX線のエネルギーを示しており、縦軸は、X線吸収率を示している。このX線吸収率は、物質をX線の光子が通過する際にX線の光子が吸収される割合を示している。例えば、X線吸収率40%であれば、この物質に照射されたX線の全光子数の40%が吸収されることを示している。すなわち、X線吸収率40%であれば、この物質を通過したX線の強度は、通過する前の60%になる。
この図4Aに示すように、X線のエネルギーが高くなるに従い連続的にX線吸収率が低下する。しかし、点線の丸で示すK吸収端の位置で、X線吸収率が急峻に低下している。この点線の丸で示すように、物質1は、低エネルギー側に第1の値のK吸収端を有している。一方で、物質2は、高エネルギー側に第2の値のK吸収端を有している。この第1の切り替え部124aで用いられる第1のフィルタ134a及び第2のフィルタ136aは、これら物質1及び物質2で例示されるように、K吸収端の値が異なる物質でそれぞれ構成されている。
第1のフィルタ134aは、例えばSn、Pb、Mo、La元素のなかのいずれかの元素を含有する合金で構成されている。一方、第2のフィルタ136aは、例えばSn、Pb、Mo、La元素のなかのいずれかの元素を含有する合金であって、第1のフィルタ134aを構成する元素とは異なる元素を含有する合金で構成されている。これらの元素で構成される合金のそれぞれのK吸収端は、20keV〜100keVのエネルギー範囲にあり、それぞれ、29.2keV、87.9keV、20.0keV、39.0keVで示されるエネルギーの値を有する。これらの値をX線の波長に換算すると、それぞれ0.0425nm、0.0141nm、0.0620nm、0.0318nmである。波長がnm単位であれば、エネルギーの換算式は、E=hc×109/eλkeVで示される(h:プランク定数、c:光速m/s、e:電子の電荷C)。
第1のフィルタ134a及び第2のフィルタ136aに用いられている元素の組み合わせは、撮像する部位、例えば肝臓、肺野、心臓部などに応じて変更してもよい。胸部内の腫瘍であれば、ほぼ空気で構成される肺野部と、骨部とのそれぞれを撮像する必要があるので、X線の実効エネルギーの差が大きい方が好ましい。このため、例えば部位に応じて、特性X線のエネルギーの差が大きくなるように元素の組み合わせを定めてもよい。例えば肝臓部の撮像に用いる特性X線のエネルギーの差と比較し、肺野部の撮像に用いる特性X線のエネルギーの差を大きくするように第1のフィルタ134a及び第2のフィルタ136aに用いられる元素を組み合わせてもよい。
次に、図3A及び図3Bを参照にしつつ図4Bに基づいて、物質1及び物質2を通過したX線の光子数について説明する。図4Bは、物質1及び物質2を通過したX線の光子数を示す模式図である。横軸は、X線のエネルギーを示し、縦軸は、物質を通過したX線の光子数、すなわちX線の強度を示している。この図4Bに示すように、K吸収端のエネルギーに対応する位置での光子数の数が急峻に増加し、点線の丸で示すように、第1の値及び第2の値それぞれにおけるエネルギーの位置で光子数がピークを示している。すなわち、K吸収端を有する物質をX線が通過することにより、K吸収端の値に対応するエネルギーを有する特性X線の強度が、他のエネルギーのX線に比較して相対的に増加する。このように、K吸収端の値が異なる物質をX線が通過することにより、K吸収端の値に対応する特性X線が生じる。
これにより、物質1を通過したX線は、物質2を通過したX線と比較して低エネルギー側の強度が強くなり、物質2を通過したX線は、より高エネルギー側の強度が強くなる。このため、物質1を通過したX線の実効エネルギーは、物質2を通過したX線の実効エネルギーに比較して、低くなる。このように、第1の切り替え部124aは、第1のフィルタ134aと第2のフィルタ136aとを、交互に切り替えてX線を通過させることにより、異なる実効エネルギーを有する複数のX線を生成する。
例えば、第1のフィルタ134aは、第1の値のエネルギーを有するX線に対するX線吸収率が10%〜50%となる範囲の厚さに構成され、第2のフィルタ136aは、第2の値のエネルギーを有するX線に対するX線吸収率が10%〜50%となる範囲の厚さに構成されている。第1のフィルタ134aにSnを含有する合金を用い、第2のフィルタ136aにPbを含有する合金を用いた場合、個別に29.2keVと87.9keVの特性X線が得られる。この場合、K吸収端のX線吸収率を10%〜50%の範囲となるようにすることで、特性X線のピークにおける光子数を連続X線の光子数に対して約2倍前後得ることが可能である。
このことから分かるように、第1のX線管122aが発生したX線の実効エネルギーは、第1の切り替え部124aにより切り替えられる。さらに、第1のX線管122aが発生するX線の実効エネルギーは、第1の高電圧パルス発生部6aが発生する電圧に応じて変更される。すなわち、第1のX線照射装置120aは、第1の高電圧パルス発生部6aが発生する電圧を変更することにより、照射するX線の実効エネルギーを連続的に変更することが可能であり、第1の切り替え部124aを用いることにより、第1の高電圧パルス発生部6aが発生する電圧を変更することなく照射するX線の実効エネルギーをより高速に切り替えることが可能である。
次に、図5A及び図5Bに基づいて、図3A及び図3Bに示した第1の切り替え部124aと異なる実施形態の第1の切り替え部125aについて説明する。すなわち、第1のフィルタ134aをX線が通過する状態と、発生したX線をそのまま通過させる状態とを、交互に切り替える第1の切り替え部125aの構成について説明する。図5Aは、第1の円弧状の平板部129aにX線を通過させている状態を示す図である。この図5Aに示すように、この第1の切り替え部125aは、第1の円弧状の平板部129aと、第1の衝撃吸収部130aと、第1の回転部132aとを、備えて構成されている。この第1の切り替え部125aは、第2のフィルタ136aを有さないことで図3A及び図3Bに示した第1の切り替え部124aと相違している。すなわち、図5Aに示す第1の円弧状の平板部129aは、図3A及び図3Bに示す第1のフィルタ134aと同等のフィルタで構成され、半円を均等に2等分した形状をしている。
第1の衝撃吸収部130a及び第1の回転部132aの構成は、第1の切り替え部124aと同様であり、説明を省略する。第1の回転部132aは、第1の円弧状の平板部129aの円中心を支点として、可動範囲を順方向及び逆方向にそれぞれ90°の回転角の範囲内で、この第1の円弧状の平板部129aを回転する。
図5Bは、発生したX線をそのまま通過させる状態を示す図である。この図5Bに示すように、この第1の円弧状の平板部129aを逆方向に90°逆回転させることにより、発生したX線をそのまま通過させている。このように、第1の円弧状の平板部129aを、支点を中心に交互に順回転及び逆回転させることにより、第1の円弧状の平板部129aをX線が通過する状態と、発生したX線をそのまま通過させる状態とを、交互に切り替えることが可能である。すなわち、第1の切り替え部125aは、第1の円弧状の平板部129aをX線が通過する状態と、発生したX線をそのまま通過させる状態とを、交互に切り替えることにより、異なる実効エネルギーを有する複数のX線を生成する。このように、第1のX線照射部120a(図1)として、図3A及び図3Bに示す第1の切り替え部124aではなく、図5A及び図5Bに示す構成の第1の切り替え部125aを用いてもよい。この場合、第1の円弧状の平板部129aが第1の領域部を構成する。
次に、図6に基づいて、第1の切り替え部124aが有する第1のフィルタ134aの構成について説明する。図6は、第1のフィルタ134aの断面を示す図である。この図6に示すように、この第1のフィルタ134aは、第1の合金部135aと、第1の合金部135aの両面に設けられた第1のシート部137aとを用いて構成されている。第1の合金部135aは、上述の元素を含有する合金から構成されており、第1のシート部137aは、樹脂シートから構成されている。例えば、第1のフィルタ134aは、この第1のシート部137aが第1の合金部135aの全両面に接着され、構成されている。Sn元素やPb元素を含有する第1の合金部135aの厚さは0.1mm程度になるため、第1のシート部137aを第1の合金部135aの両面全体に設けることにより強度を向上させることが可能である。第2のフィルタ136aも第1のフィルタ134aと同様の構成であり、第2の合金部138aと、この第2の合金部138aの両面に設けられた第2のシート部139aとで構成されている。
図2、図3A、及び図3Bに示すように、第1の可変コリメータ部126aは、X線の照射範囲を、患者4内の追跡対象を含む所定の範囲に限定する。第1のX線管122aと第1の切り替え部124aとを近接させることで、第1及び第2のフィルタ134a、136aそれぞれを通過させるX線ビーム束の径を小さくできる。これにより、第1の切り替え部124aをより小型に構成することが可能である。
再び図1に示すように、第2の高電圧パルス発生部6bも第1の高電圧パルス発生部6と同等の構成であり、電圧を発生する。また、図1及び図2に示すように、第2のX線照射装置120bも、第1のX線照射装置120aと同等の構成である。すなわち、第2の高電圧パルス発生部6bが発生した電圧が第2のX線管122bに印加され、第2のX線照射装置120bは、第1のX線照射装置120aとは異なる方向から患者4に対してX線を照射する。なお、本実施形態におけるX線管122a、122bがX線発生部を構成している。また、この第2のX線照射装置120bも、第2のX線管122bと、第2の切り替え部124bと、第2の可変コリメータ部126bとを備えて構成されている。
さらにまた、図3A及び図3Bに示すように、この第2の切り替え部124bも第2の円弧状の平板部129bと、第2の衝撃吸収部130bと、第2の回転部132bとを備えて構成され、この第2の円弧状の平板部129bも第1のフィルタ134bと、第2のフィルタ136bとを備えて構成されている。また、図5A及び図5Bに示すように、この第2の切り替え部125bも第2の円弧状の平板部129bと、第2の衝撃吸収部130bと、第2の回転部132bとを備えて構成され、この第2の円弧状の平板部129bも第1のフィルタ134bと同等のフィルタで構成されている。
さらにまた、図6に示すように、この第1のフィルタ134bも第2の合金部135bと、第2のシート部137bとを備えて構成され、この第2のフィルタ136bも第2の合金部138bと、第2のシート部139bとを備えて構成されている。このように、第2のX線照射部120b(図1)として、図3A及び図3Bに示す第2の切り替え部124bではなく、図5A及び図5Bに示す構成の第2の切り替え部125bを用いてもよい。この場合、第2の円弧状の平板部129bが第1の領域部を構成する。
再び図1に戻り、第1のX線撮像部140aは、異なる実効エネルギーを有する複数のX線をそれぞれ撮像する。すなわち、患者4を通過した第1の実効エネルギーを有するX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、患者4を通過した第2の実効エネルギーを有するX線に基づいて第2のX線画像を撮像する。この第1のX線撮像部140aには、フラットパネルディテクタ、イメージインテンシファイア等を用いることが可能である。
第2のX線撮像部140bも第1のX線撮像部140aと同等の構成である。すなわち、第2のX線撮像部140bにも、フラットパネルディテクタ、イメージインテンシファイア等を用いることが可能である。なお、本実施形態においては、患者4が被検体を構成している。
サブトラクション画像生成部160は、第1の実効エネルギーを有するX線に基づく第1のX線画像と、第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有するX線に基づく第2のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する。このサブトラクション画像生成部160は、入力部162と、エネルギーサブトラクション演算処理部164とを備えて構成されている。入力部162は、X線撮像部140a、140bで得られた電気信号をそれぞれ演算処理してX線画像データに変換する。また、X線撮像部140a、140bで得られた電気信号を、X線撮像部140a、140b内で演算処理してX線画像データに変換してもよい。この場合、変換処理後のX線画像データが入力部162に入力される。
一般に、X線の撮像においては、患者4内の軟組織と腫瘍のX線吸収率は近似している。このため、腫瘍を追跡対象とした場合、X線で撮像したX線画像上では腫瘍の解像度やコントラストが不十分となりパターンマッチング法などで腫瘍を検出することが困難となる。そこで、このエネルギーサブトラクション演算処理部164は、異なる実効エネルギーのX線をそれぞれを用いて撮像された2枚のX線画像に対してサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する。上述のように、患者4に照射されるX線の実効エネルギーが低くなるに従い骨部におけるX線吸収率の増加の割合が、軟組織におけるX線吸収率の増加の割合よりも大きくなる。このため、X線の実効エネルギーが低くなるに従い、この骨部を通過したX線強度の低下は、軟組織を通過したX線強度の低下よりも大きくなる。この場合、例えば第1のX線画像の骨部の画像信号の値と、第2のX線画像の対応する骨部の画像信号の値とが同等の値になる重み係数を画像信号間に乗算し、サブトラクション演算処理を行う。これにより、肋骨などの骨部における陰影のコントラストがより低下し、腫瘍などの追跡対象のコントラストがより強調されたサブトラクション画像が生成される。
検出部180は、サブトラクション画像生成部160が生成したサブトラクション画像に基づいて、患者4内の追跡対象の位置を検出する。すなわち、この検出部180は、2D−3D画像変換演算処理部182と、追跡対象検出演算処理部184と、腫瘍3D位置演算処理部186とを備えて構成されている。
2D−3D画像変換演算処理部182は、第1のX線撮像部140aで撮像されたX線画像に基づく第1のサブトラクション画像と、第2のX線撮像部140bで撮像されたX線画像に基づく第2のサブトラクション画像とを3次元のサブトラクション画像に変換する処理を行う。すなわち、この2D−3D画像変換演算処理部182は、順次入力される第1のサブトラクション画像、及びこの第1のサブトラクション画像に対応する第2のサブトラクション画像に基づき、3次元のサブトラクション画像を順次生成する。なお、本実施形態における2D−3D画像変換演算処理部182が3次元変換部を構成している。
追跡対象検出演算処理部184は、2D−3D画像変換演算処理部182によって順次生成される3次元のサブトラクション画像に基づいて、追跡対象の領域を検出する。この追跡対象は患者4内の生体組織であり、例えば腫瘍である。すなわち、この追跡対象検出演算処理部184は、3次元のサブトラクション画像中から、パターンマッチング法などの演算処理によって、追跡対象である例えば腫瘍などの領域を検出する。
腫瘍3D位置演算処理部186は、追跡対象検出演算処理部184で検出された追跡対象の領域の3次元位置を得る演算処理を行う。すなわち、腫瘍3D位置演算処理部186は、追跡対象検出演算処理部184で順次に検出される追跡対象の領域に対して、順次に3次元位置を得る演算処理を行う。
撮像情報取得部200は、X線の強度、X線の実効エネルギー、X線の照射時間、次の撮像を行うまでの撮像間隔、及びX線の照射範囲に関する情報の中のいずれかを撮像情報として取得する。すなわち、この撮像情報取得部200は、格納部202と、テンプレート比較部204とを、備えて構成されている。
この格納部202は、追跡対象を撮像した4D−CTを取得し、追跡対象の位置に関連付けられているテンプレート及び撮像情報を格納している。この4D−CTは、3次元のCT画像に時間軸を追加したものであり、患者4内における追跡対象の時系列な3次元の動きの情報を有している。このテンプレートは、取得した4D−CT画像から、例えば骨、血管、追跡対象等における特徴部分の形状をパターン検出してテンプレート画像化したものである。すなわち、4D−CT画像内を追跡対象が移動する範囲において、追跡対象の位置に応じて4D−CT画像をテンプレート画像化したものである。
また、この撮像情報取得部200は、4D−CT画像に基づき追跡対象の移動範囲を演算処理して求め、可変コリメータ部126a、126b(図2)の照射範囲を制御するために必要な情報を演算する。なお、可変コリメータ部126a、126bを介したX線の照射範囲は、この移動範囲に固定されている。
撮像情報取得部200は、検出部180から入力された追跡対象の3次元位置と追跡対象の速度に基づいて、次の撮像の際における追跡対象の位置を予測する。そして、この撮像情報取得部200は、格納部202に格納される追跡対象に対応する撮像情報の中から予測された追跡対象の位置に対応するX線の強度、及び実効エネルギーの情報を少なくとも取得する。
また、追跡対象の移動にヒステリシスなどを要因とする位置変動が加わる場合がある。この場合、撮像情報取得部200は、撮像情報を取得するために用いる追跡対象の予測位置に補正を加える。すなわち、テンプレート比較部204は、2D−3D画像変換演算処理部182によって生成された3次元のサブトラクション画像と格納部202に格納される複数のテンプレート画像とを比較し、最もマッチするテンプレート画像を特定する。続いて、このテンプレート比較部204は、特定されたテンプレートに対応する追跡対象の3次元位置と検出部180から入力された追跡対象の3次元位置との差に基づく補正情報を演算する。そして、撮像情報取得部200は、予測された追跡対象の位置をこの補正情報で補正した位置を取得し、この補正した位置に対応するX線の強度、及び実効エネルギーの情報を少なくとも取得する。なお、次の撮像で用いるX線の実効エネルギーへの変更は、撮像情報取得部200で得られた撮像情報に基づいて、高電圧パルス発生部6a、6bが発生する電圧を変更することで行われる。
次に、撮像情報取得部200が取得する撮像間隔について説明する。撮像情報取得部200は、格納部202に格納される撮像間隔の情報を取得する。撮像間隔を固定して撮像する場合、この撮像間隔を出力する。この場合、等しい時間間隔で追跡対象の位置を追跡することが可能である。一方で、この撮像間隔を追跡対象の速度や位置に応じて変更する撮像が行われる場合がある。この場合、撮像情報取得部200は、追跡対象の速度が遅くなるにしたがいこの撮像間隔をより長くして出力する。これにより、この撮像間隔の間に追跡対象が移動する距離の変動を低減すと共に、患者4への被爆線量を抑制できる。また、追跡対象の位置と移動速度の関係が予めわかっている場合には、追跡対象の位置に応じてこの撮像間隔を変動してもよい。
次に、図2を参照にしつつ図1に基づいて制御部220について説明する。すなわち、この制御部220は、撮像情報取得部200から入力された撮像情報に基づいて、電圧の情報を高電圧値設定部8に出力する。この電圧の情報を入力された高電圧値設定部8は、高電圧パルス出力タイミング制御部10を介して高電圧パルス発生部6a、6bの電圧の値及びパルス幅の値を設定する。高電圧パルス出力タイミング制御部10は、パルス電圧を高電圧パルス発生部6a、6bが出力するタイミングを制御する。
また、制御部220は、X線を放射するタイミングと、X線撮像部140a、140bにおける撮像のタイミングと、切り替え部124a、124bにおけるフィルタの切り替えのタイミングとの同期をとる制御を、高電圧パルス出力タイミング制御部10、及び撮像タイミング同期制御部12を介して行う。この制御部220に制御された高電圧パルス出力タイミング制御部10は、高電圧パルス発生部6a、6bにおける電圧の発生タイミングと、X線撮像部140a、140bにおける撮像のタイミングとの同期制御を行う。また、この制御部220に制御された撮像タイミング同期制御部12は、X線撮像部140a、140bにおける撮像のタイミングと、切り替え部124a、124bがフィルタを切り替えるタイミングの同期制御を行う。X線フィルタ切替制御部14は、撮像タイミング同期制御部12の制御にしたがい切り替え部124a、124bの制御を行う。
さらにまた、この制御部220は、撮像情報取得部200で演算された患者4にX線を照射する範囲の情報を可変コリメータ制御部16に出力する。この可変コリメータ制御部16は、入力された情報にしたがい可変コリメータ部126a、126bを介したX線の照射範囲を限定する制御を、この可変コリメータ部126a、126bに対して行う。
治療ビーム垂直照射ポート部18及び治療ビーム水平照射ポート部20は、治療ビームを患部に照射する。治療ビーム照射許可判定部22は、腫瘍3D位置演算処理部186により検出された追跡対象の3次元位置に基づいて、治療ビームの照射の可否を判定する。治療ビーム照射制御部24は、治療ビーム照射許可判定部22により治療ビームの照射が許可された場合に、治療ビーム垂直照射ポート部18又は治療ビーム水平照射ポート部20を介して治療ビームを患部に照射させる。
なお、例えばより高速な撮像を行う場合など、追跡対象検出演算処理部184は、順次生成される2次元のサブトラクション画像に基づいて、追跡対象の位置を検出してもよい。この場合、この追跡対象検出演算処理部184は、2次元のサブトラクション画像中から、パターンマッチング法などの演算処理によって、追跡対象である例えば腫瘍などの領域を検出する。また、腫瘍3D位置演算処理部186は、追跡対象検出演算処理部184で検出された追跡対象の領域の2次元位置を得る演算処理を行う。続いて、この腫瘍3D位置演算処理部186は、対応する複数の2次元位置に基づいて追跡対象の3次元位置を得る演算処理を行う。
以上が本実施形態に係るX線動体追跡装置100の全体構成の説明であるが、次に、図7に基づいて、撮像情報取得部200の動作について説明する。
ここでは、4D−CTを撮像する場合に患者4が寝台等に固定されており、本実施形態に係るX線動体追跡装置100で追跡対象を追跡する場合にも、この4D−CTを撮像した際の体位に、患者4を寝台5に固定してX線の透視撮像が行われている例を説明する。この場合、4D−CTのデータから取得した追跡対象の位置と追跡対象の周組織との位置関係は、本実施形態に係るX線動体追跡装置100で追跡対象を追跡する場合にも、ほぼ同様の関係で再現される。また、追跡対象である胸部下部の腫瘍が、呼吸周期にしたがって呼吸性移動している例を用いて説明する。
まず、図7の上側における左図(a)に基づいて、撮像対象である腫瘍の移動範囲について説明する。図7の上側における左図(a)は、4D―CT内で腫瘍が移動している範囲を示す模式図である。この図7の上側における左図(a)に示すように、肺野内にできた腫瘍は、四角の枠で示す範囲内を呼吸周期に従い移動する。この呼吸周期は、横隔膜や外肋間筋などが収縮と弛緩をする周期であり、横隔膜の収縮の開始と共に吸気が開始され、横隔膜の弛緩の開始と共に呼気が開始される。この収縮と弛緩の回数を示す呼吸数は、安静時の成人においておよそ12〜20回/毎分の頻度と言われている。すなわち、1回の呼吸周期は、3〜5秒程度である。
次に、図7の上側における右図(b)に基づいて、1回の呼吸周期における腫瘍の動きについて説明する。図7の上側における右図(b)は、1回の呼吸周期における腫瘍の位置を同一の時間間隔で水平方向に並べた模式図である。この1回の呼吸周期は、3秒の例である。
F1が横隔膜の最上部にある場合の腫瘍の位置を示している。F1は、吸気の開始した際の腫瘍の位置であり、呼吸位相0%に対応する。F5及びF6は横隔膜が最下部付近にある場合の腫瘍の位置を示している。横隔膜が最下部に位置する時が呼吸位相50%に対応し、呼気の開始位置である。再び、横隔膜が最上部に戻った場合の腫瘍の位置をF10で示している。この図7の上側における右図(b)に示すように、患者4の姿勢が変更されない場合には、4D−CT内の腫瘍は呼気位相に応じてほぼ同じ位置に存在する。すなわち、呼吸周期の繰り返しに応じて、腫瘍がほぼ同じ軌跡上を繰り返し移動する。
次に、図7の下側の図(c)に基づいて、腫瘍の移動速度について説明する。図7の下側における図(c)は、腫瘍の移動速度を示す図である。横軸は、呼吸位相を示しており、縦軸は、腫瘍の移動速度を示しており、腫瘍が頭部側に移動する速度をプラスで示している。+の印が図7の上右図(b)で示した腫瘍の位置における腫瘍の移動速度を示している。すなわち、横軸の呼吸位相0%〜100%の範囲は、1回の呼吸周期である3秒に対応している。
この図7の下側における図(c)に示すように、腫瘍の移動速度は、横隔膜の上下の移動に連動しており、横隔膜が最上部に位置する呼吸位相0%の場合と、最下部に位置する呼吸位相50%の場合とで腫瘍の移動速度がほぼ0になる。また、横隔膜が最下部近辺にある場合に、腫瘍の移動が停止している期間がより長くなる。
まず、可変コリメータ部126a、126bの照射範囲を制御するために必要な情報の取得動作について説明する。撮像情報取得部200は、4D−CT画像に基づき、追跡対象である腫瘍の移動範囲を演算処理して求める。すなわち、撮像情報取得部200は、図7の上図(a)で示す四角の枠の範囲を演算処理して求める。続いて、X線照射装置120a、120bと、患者4と、X線撮像部140a、140bの幾何学的な配置の情報に基づき、可変コリメータ部126a、126bを介したX線の照射範囲を、この四角の枠の範囲に限定するために必要となる情報を演算する。そして、制御部220にこの情報を出力する。
次に、追跡対象の位置に関連づけるX線の強度、X線の実効エネルギーの取得動作について説明する。可変コリメータ部126a、126bを介したX線の照射範囲はこの移動範囲に固定されている。しかし、追跡対象を撮像するために用いるX線が追跡対象を通過する経路は、追跡対象の移動に従い変動する。したがって、この変動する経路内の領域に存在する組成と密度と厚さに応じてX線の強度、及び実効エネルギーを変更する必要がある。なお、本実施形態においては、X線が追跡対象を通過する経路内の領域が被検体内の特定領域を構成している。
X線照射装置120a、120bと、患者4と、X線撮像部140a、140bの幾何学的な配置は固定されている。これにより、図7の上右図(b)に示されるような腫瘍の3次元の位置に基づいて、この腫瘍を撮像する際にX線が追跡対象を通過する3次元の経路を予め求めることが可能である。まず、撮像情報取得部200は、この経路内の領域に存在する組織の情報を4D−CTのCT値の情報を取得する。続いて、この4D−CTのCT値の情報に基づいて、この経路内の組織におけるX線吸収率を演算し、X線の強度の情報を取得する。例えば、この経路内の領域を通過したX線の強度が等しくなるようにX線の強度を定めることが可能である。
次に、撮像情報取得部200は、4D−CTのCT値を用いることで、この経路内の領域に存在する組成と密度と厚さに応じたX線の実効エネルギーの情報を取得することが可能である。このように、追跡対象の位置に関連づけて、X線の強度、及び実効エネルギーの情報を演算し、予め格納部202に格納する。
例えば、患者4の呼吸に応じて移動する腫瘍を追跡する場合、腫瘍の位置が肋骨を介して撮像する位置にあるか否かに応じてX線吸収率が変動する。また、X線の実効エネルギーが低くなるに従い、肋骨を通過するX線のX線吸収率が増加する。このため、撮像情報取得部200は、腫瘍の撮像経路に肋骨が存在する場合、X線の実効エネルギーを肋骨の密度及び厚さに応じて、10keV以上高エネルギー側にシフトさせると共にX線の強度を上げた値を追跡対象の位置に関連づけて格納部202に格納する。実効エネルギーを高エネルギー側にシフトすることで肋骨通過によるX線の減弱が小さくなると共に、強度を上げることで肋骨を通過するX線量の低下を抑制できる。これにより、撮像したX線画像における腫瘍の情報低下を抑制することが可能である。また、例えば心臓の影に腫瘍が入る場合には、通過する心臓の密度及び厚さに応じて、X線の実効エネルギーを10keV以上高エネルギー側にシフトさせると共にX線の強度を上げた値を追跡対象の位置及びこの位置のテンプレートに関連づけて格納部202に格納する。
次に、X線の撮像間隔の取得動作について説明する。まず、撮像情報取得部200は、1回の呼吸周期の時間に基づき基準となる撮像間隔を演算する。一回の呼吸周期の間隔が3秒である場合、例えば30回/毎秒(30fps)が十分な値として適用されている。この場合、撮像間隔は例えば28msecである。撮像間隔を固定値として追跡対象を追跡する場合には、この撮像間隔を制御部220に出力する。
一方、撮像間隔を変更する場合、撮像情報取得部200は、撮像間隔あたりに腫瘍が移動する距離のばらつきが低減するように撮像間隔を変更し出力する。腫瘍の移動速度が早い位置F3、F8において、撮像間隔を28msecとし、他の位置においては、この移動速度が遅くなるに従い撮像間隔がより長くなるように変更させる。したがって、この図7(b)の例の場合、腫瘍の移動速度が遅い位置F1、F5、F6、F10における撮像間隔は、位置F3、F8における撮像間隔より長くなる。
次に、図8に基づいて、本実施形態に係るX線動体追跡装置100の動作について説明する。ここでは、図7と同様に、追跡対象である胸部下部の腫瘍が、呼吸周期にしたがって呼吸性移動している例を用いて説明する。
図8は、制御タイミングについて示す図である。横軸は、時間を示しており、縦軸は、ON状態とOFF状態とを示している。この図8に示すように、第1のX線照射装置120aは、制御部220の制御に従いX線を継続して照射時間T0の間、照射する。この照射時間T0は、例えば5msecである。
次に、X線の照射が開始されてT1後に、第1の切り替え部124aは、第1のフィルタ134aを第2のフィルタ136aに切り替える制御を開始する。このT1は、例えば2.5msecである。続いて、第1の切り替え部124aは、第1のX線照射装置120aが次のX線の照射を開始するT2前に、第2のフィルタ136aから第1のフィルタ134aに切り替える制御を開始する。このT2は、例えば2.5msecである。すなわち、第1のフィルタ134aを通過した第1の実効エネルギーを有する第1のX線は、2.5msec照射され、第2のフィルタ136aを通過した第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線は2.5msecの間照射される。
一方、第1のX線撮像部140aは、第1のX線における照射の開始に同期して撮像時間T3の間、第1のX線を撮像し、続いて第1の撮像期間T4の経過後に撮像時間T5の間、第2のX線を撮像する。例えば撮像時間T3は1msecであり、第1の撮像期間T4は3mseであり、撮像時間T5は1msecである。ここで、撮像時間T3及び撮像時間T5は、第1のX線撮像部140aが撮像したX線画像の形状ぶれが許容される範囲に定められている。
呼吸性移動する腫瘍においては、第1の撮像期間T4の3msecは、適切な間隔であり、サブトラクション画像生成部160で用いる対応する2枚のX線画像上での腫瘍の位置ずれは抑制されている。このため、サブトラクション画像生成部160で得られるサブトラクション画像における追跡対象のコントラストはより適切に強調され、検出部180における追跡対象の検出精度をより向上させることができる。
次に、第1のX線照射装置120aは、第2の撮像期間T6の経過後に、再びX線を照射する。図8に示す例は、一回の呼吸周期の間隔が3秒である場合の例であり、期間T7は33msecである。このため、第2の撮像期間T6は、28msecである。
なお、第1のX線撮像部140aの撮像間隔を短くすることで、さらに第1の撮像期間T4を短縮可能である。例えば、第1の撮像期間T4は、拍動に起因して移動する腫瘍を追跡する場合など、撮像する領域によりさらに短縮してもよい。この場合、撮像時間T3の経過後に同期させて、第1のフィルタ134aを第2のフィルタ136aに切り替えてもよい。また、第1のX線撮像部140aが撮像を行っている撮像時間T3及びT5の期間以外は、X線を遮蔽してもよく、或いは停止してもよい。
この第2の撮像期間T6は、上述のように、追跡対象である腫瘍の移動速度に応じて変更してもよい。すなわち、撮像情報取得部200が、腫瘍の移動速度に応じて第2の撮像期間T6を変更して制御部220に出力する。例えば、呼気及び吸気の開始前後における第2の撮像期間T6は、それ以外の期間における撮像間隔と比較して長い間隔が設定される。これにより、患者4への被爆線量をより低減可能である。
また、一般に腫瘍の移動速度がより遅い期間に、治療ビーム垂直照射ポート部18又は治療ビーム水平照射ポート部20から治療ビームが照射される。この治療ビームは、第2の撮像期間T6の間に照射されるので、この第2の撮像期間T6が長くなるに従い治療ビームを照射する時間を長くとることが可能であり、治療効率がより上がるものである。
さらにまた、X線の実効エネルギーは、上述のように追跡対象である腫瘍を撮像する経路に存在する組織に依存して変更される。このX線の実効エネルギーの変更は、第2の撮像間隔T6の間に行われる。この第2の撮像間隔T6におけるX線の実効エネルギーの変更は、制御部220の制御に従い第1の高電圧パルス発生部6aが第1のX線管122aに印加する電圧を制御することで実行される。以上が第1のX線照射装置120aと、第1のX線撮像部140aとの制御動作の一例の説明であるが、第2のX線照射装置120bと、第2のX線撮像部140bとの制御も同様に行われる。この場合、第1のX線照射装置120a及び第2のX線照射装置120bの照射は、同期されている。なお、本実施の形態における第1のフィルタ134aから第2のフィルタ136aへの切り替え時間が第1の時間間隔に対応しており、第2の撮像間隔T6にT2の時間を加算した時間が第2の時間間隔に対応している。
以上のように、本実施形態に係るX線動体追跡装置100によれば、X線管122a、122bが発生したX線の実効エネルギーを切り替え部124a、124bが切り替えることとした。このため、X線管122a、122bに加える電圧を変化させなくとも、X線の実効エネルギーをより高速に切り替えることができる。さらにまた、サブトラクション画像生成部160で用いるX線画像間の位置ずれが抑制されるようにしたため、追跡対象のコントラストが強調されたサブトラクション画像を用いて検出部180における追跡対象の検出精度をより向上させることができる。
(第2実施形態)
上述した第1の実施形態においては、検出部180は、サブトラクション画像生成部160で生成された複数のサブトラクション画像に基づいて追跡対象の3次元位置を検出していたが、第2実施形態においては、一つのサブトラクション画像に基づき追跡対象の2次元位置を検出しようとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
上述した第1の実施形態においては、検出部180は、サブトラクション画像生成部160で生成された複数のサブトラクション画像に基づいて追跡対象の3次元位置を検出していたが、第2実施形態においては、一つのサブトラクション画像に基づき追跡対象の2次元位置を検出しようとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
図9は、第2実施形態に係るX線動体追跡装置100の構成の構成を説明するブロック図である。この図9に示すように、本実施形態に係るX線動体追跡装置100は、第1実施形態に係るX線動体追跡装置100と比べると、X線照射装置120とX線撮像部140を一組だけ備えており、また、表示部240を更に備える点で相違している。X線照射装置120とX線撮像部140の構成は、上述した第1実施形態におけるX線照射装置120a、120bとX線撮像部140a、140bと同等である。そして、本実施形態では、検出部180は、サブトラクション画像生成部160が生成した2次元のサブトラクション画像に基づいて、患者4内の追跡対象の位置を検出する。この検出部180は、追跡対象検出演算処理部184と、腫瘍位置演算処理部188とを備えて構成されている。
追跡対象検出演算処理部184は、順次生成される2次元のサブトラクション画像に基づいて、追跡対象の位置を検出する。この追跡対象は患者4内の生体組織であり、例えば腫瘍である。すなわち、この追跡対象検出演算処理部184は、2次元のサブトラクション画像中から、パターンマッチング法などの演算処理によって、追跡対象である例えば腫瘍などの領域を検出する。
腫瘍位置演算処理部は、追跡対象検出演算処理部184で検出された追跡対象の領域の2次元位置を得る演算処理を行う。すなわち、腫瘍位置演算処理部188は、追跡対象検出演算処理部184で順次に検出される追跡対象の領域に対して、順次に2次元位置を得る演算処理を行う。撮像情報取得部200は、追跡対象の2次元位置に基づいて、次の撮像に用いるX線の強度、X線の実効エネルギー、X線の照射時間、及び次の追跡対象を撮像するまでの撮像間隔などの撮像情報を取得する。
表示部240は、サブトラクション画像生成部160が生成した2次元のサブトラクション画像を順次表示すると共に、検出部180で順次得られた2次元位置に基づき追跡対象の位置を示す表示形態を表示する。この表示部240は、例えば、モニタで構成されている。
図10に基づいて、表示部240に表示される画像を説明する。図10は、表示部240に表示される画像を例示する模式図である。この図10に示すように、141が、サブトラクション画像生成部160で生成されたサブトラクション画像を示しており、142が検出部180で得られた2次元位置に基づき追跡対象の位置を示す表示形態の一例を示している。
これにより、検出部180で得られた2次元位置に基づき追跡対象の位置を示す表示形態142をサブトラクション画像141と共に示すことから、他の孤立影等と追跡対象である腫瘍影の識別を容易に行うことができる。さらにまた、コントラストの強調された腫瘍部などの追跡対象の時系列変化を観察することが可能である。
以上のように、本実施形態に係るX線動体追跡装置100によれば、サブトラクション画像生成部160で生成されたサブトラクション画像に基づいて検出部180が追跡対象の2次元位置を検出することとした。このため、サブトラクション画像生成部160で生成されたサブトラクション画像における追跡対象の2次元位置を取得することができる。さらにまた、サブトラクション画像生成部160で生成されたサブトラクション画像と共に追跡対象の位置を示す表示形態を表示することとしたので、追跡対象の識別を容易に行うことができる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
100:X線動体追跡装置、120、120a、120b:X線照射装置、122a、122b:X線管、124a、124b:切り替え部、126a、126b:可変コリメータ部、129a、129b:円弧状の平板部、134a、134b:第1のフィルタ、136a、136b:第2のフィルタ、135a、135b、138a、138b:合金部、137a、137b、139a、139b:シート部、140、140a、140b:X線撮像部、160:サブトラクション画像生成部、180:検出部、182:2D−3D画像変換演算処理部、200:撮像情報取得部
Claims (14)
- 第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、前記第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて被検体に向けて照射する、X線照射装置と、
前記被検体を通過した前記第1のX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、前記被検体を通過した前記第2のX線に基づいて第2のX線画像を撮像する、X線撮像部と、
前記第1のX線画像と前記第2のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する、サブトラクション画像生成部と、
前記サブトラクション画像生成部が生成した前記サブトラクション画像に基づいて、前記被検体内の追跡対象の位置を検出する、検出部と、
を備えることを特徴とするX線動体追跡装置。 - 前記X線照射装置は、
所定の実効エネルギーのX線を発生させる、X線発生部と、
第1の値のK吸収端を持つ第1の物質を含んで構成された第1の領域部と、前記第1の値とは異なる第2の値のK吸収端を持つ第2の物質を含んで構成された第2の領域部とを少なくとも有しており、前記第1の領域部と前記第2の領域部とを、前記所定時間毎に交互に切り替えて前記X線を通過させることにより、前記第1のX線と前記第2のX線とを生成する、切り替え部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線動体追跡装置。 - 前記X線照射装置は、
所定の実効エネルギーのX線を発生させる、X線発生部と、
第1の値のK吸収端を持つ第1の物質を含んで構成された第1の領域部を少なくとも有しており、前記第1の領域部を前記X線が通過する状態と、発生した前記X線をそのまま通過させる状態とを、前記所定時間毎に交互に切り替えることにより、前記第1のX線と前記第2のX線とを生成する、切り替え部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線動体追跡装置。 - 前記第1の領域部は、Sn、Pb、Mo、La元素のなかのいずれかの元素を含有する合金から構成されており、前記第2の領域部は、Sn、Pb、Mo、La元素のなかのいずれかの元素を含有する合金であって、前記第1の物質が有する元素とは異なる元素を含有する合金から構成されていることを特徴とする請求項2に記載のX線動体追跡装置。
- 前記第1の領域部は、前記第1の値のエネルギーを有するX線に対するX線吸収率が10%〜50%となる範囲の厚さに構成され、前記第2の領域部は、前記第2の値のエネルギーを有するX線に対するX線吸収率が10%〜50%となる範囲の厚さに構成されたことを特徴とする請求項2又は4に記載のX線動体追跡装置。
- 前記第1の領域部及び前記第2の領域部のそれぞれは扇状の平板形状であって、円弧状の平板部が前記第1の領域部及び前記第2の領域部を用いて形成され、
前記切り替え部は、前記円弧状の平板部を前記所定時間毎に交互に順回転及び逆回転させることにより、前記第1の領域部と前記第2の領域部とを、交互に切り替えて前記X線を通過させることを特徴とする請求項2、4、5のいずれか一項に記載のX線動体追跡装置。 - 前記平板形状の前記第1の領域部及び前記第2の領域部における両面に樹脂シートが設けられたことを特徴とする請求項6に記載のX線動体追跡装置。
- 前記X線照射装置は、
少なくとも前記第1の領域部を通過したX線の照射範囲を、前記被検体内の追跡対象を含む所定の範囲に限定する可変コリメータ部を更に有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載のX線動体追跡装置。 - 前記X線発生部は、
前記発生させるX線の実効エネルギーを、前記被検体内の特定領域の組成と密度と厚さとに応じて10keV以上シフトさせることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載のX線動体追跡装置。 - 前記X線照射装置は、
前記第1のX線が照射されてから前記第2のX線が照射されまでの第1の時間間隔、及び前記第2のX線が照射されてから前記第1のX線が照射されまでの第2の時間間隔のいずれか一方を前記追跡対象の移動速度に応じて変更することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のX線動体追跡装置。 - 前記検出部は、
前記サブトラクション画像に基づき前記追跡対象の2次元位置を検出することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のX線動体追跡装置。 - 前記第1の実効エネルギーを有する第3のX線と、前記第2の実効エネルギーを有する第4のX線とを、前記所定時間毎に、前記X線照射装置と同期して交互に切り替えて、前記X線照射装置と異なる方向から前記被検体に向けて照射する、第2のX線照射装置と、
前記被検体を通過した前記第3のX線に基づいて第3のX線画像を撮像し、前記被検体を通過した前記第4のX線に基づいて第4のX線画像を撮像する、第2のX線撮像部と、
を更に備え、
前記サブトラクション画像生成部は、
前記第3のX線画像と前記第4のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、第2のサブトラクション画像を更に生成し、
前記検出部は、
前記サブトラクション画像生成部が生成した前記サブストラクション画像と前記第2のサブトラクション画像の双方に基づいて、前記追跡対象の位置を検出することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のX線動体追跡装置。 - 前記検出部は、
前記サブトラクション画像及び前記第2のサブトラクション画像に基づきサブトラクション画像を立体化する3次元変換部を更に有し、この立体化されたサブトラクション画像に基づいて、前記追跡対象の3次元位置を検出することを特徴とする請求項12に記載のX線動体追跡装置。 - 第1の実効エネルギーを有する第1のX線と、前記第1の実効エネルギーとは異なる第2の実効エネルギーを有する第2のX線とを、所定時間毎に交互に切り替えて被検体に向けて照射する、X線照射工程と、
前記被検体を通過した前記第1のX線に基づいて第1のX線画像を撮像し、前記被検体を通過した前記第2のX線に基づいて第2のX線画像を撮像する、X線撮工程と、
前記第1のX線画像と前記第2のX線画像とを用いてサブトラクション演算処理を行い、サブトラクション画像を生成する、サブトラクション画像生成工程と、
前記サブトラクション画像生成工程で生成した前記サブトラクション画像に基づいて、前記被検体内の追跡対象の位置を検出する、検出工程と、
を備えることを特徴とするX線動体追跡方法。
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JP2015110621A JP2016220969A (ja) | 2015-05-29 | 2015-05-29 | X線動体追跡装置、及びx線動体追跡方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019123774A1 (ja) * | 2017-12-20 | 2019-06-27 | キヤノン株式会社 | 放射線撮影システム、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびプログラム |
JP2020065840A (ja) * | 2018-10-26 | 2020-04-30 | 株式会社島津製作所 | X線撮影装置 |
JP2021115108A (ja) * | 2020-01-22 | 2021-08-10 | キヤノンメディカルシステムズ株式会社 | 放射線治療計画装置及び放射線治療装置 |
-
2015
- 2015-05-29 JP JP2015110621A patent/JP2016220969A/ja active Pending
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