JP2016220843A - 動体追跡装置及び動体追跡方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】身体部分において対象となる生体組織を効率的に追跡する。【解決手段】実施の形態の動体追跡装置は、X線照射部、透視画像撮像部、強調画像生成部及び位置検出部を備えている。X線照射部は、追跡対象の生体組織を含む身体部分に対し、第1のX線と前記第1のX線よりもエネルギの高い第2のX線とを異なるタイミングでそれぞれ周期的に照射する。透視画像撮像部は、前記第1のX線の照射期間中に前記身体部分における第1のX線透視画像を撮像し、前記第2のX線の照射期間中に前記身体部分における第2のX線透視画像を撮像する。強調画像生成部は、前記撮像された第1及び第2のX線透視画像どうしの差分をとる画像処理によって、コントラストの強調された強調画像を、前記第1及び第2のX線の周期的な照射に応じて順次生成する。位置検出部は、前記順次生成される強調画像に基づいて、前記生体組織の位置を動的に検出する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、動体追跡装置及び動体追跡方法に関する。
治療ビームとして用いられる陽子線や重粒子線は、ブラッグピークを持つ荷電粒子線である。荷電粒子線は、シンクロトロンで荷電粒子を加速しその飛程点を体内の患部と一致させるように、付与するエネルギを調整しながら照射させることで、正常組織への影響を最小限に抑えて患部を治療できる。一方、肺や肝臓などの体幹部にできた患部は、呼吸性移動などによって三次元的な動きをすることがわかっている。このため、患部の治療は、患部の正確な三次元位置を常に追跡し治療ビームの誤射を防止する仕組みが必要となる。
治療ビームの誤射を防止する技術は、一例として、まず、患部近傍に複数の金属マーカ(純金の球体など)を刺入して留置した後、患部と金属マーカとの厳密な位置関係を治療計画の中で予め設定しておく。さらに、この技術は、実際の治療中においては金属マーカをパルス式の2方向X線透視装置で間欠的にステレオ撮影し、その撮影画像から演算で求めた金属マーカの三次元位置が、治療計画で設定した範囲内にあるときに治療ビームを照射するものである。
ところで、体内に幾つもの金属マーカを刺入することは患者にとって大きな負担である。さらに、金属マーカは、体内に刺入された当初の絶対位置が、その後、体内で変位してしまう可能性を常にはらんでいる。このため、治療対象である患部自体を直接追跡する技術の開発が求められている。
しかしながら、患者の体内では、骨を除く患部とその周囲の組織とは、100HU(Hounsfield unit)程度の範囲の狭いX線吸収域であり、例えばX線透視画像では患部と周囲の組織とは同化した状態に近くなる。この状態では、患部における解像度やコントラストの不足が顕著になり患部と周囲の組織との境界を区別することが困難となる。
そこで、物質のCT(Computed Tomography)値がX線エネルギに依存して変化する性質(同じ組織であってもX線エネルギの値を変化させることでCT値が変化する性質)に着目し、エネルギの異なる2種類のX線を用いて、それぞれ撮影した個々の画像を演算処理しコントラスト強調などの効果を得る例えばエネルギサブトラクション法(デュアルエナジー法)などが利用されている。ここで、この種の方法は、2種類の異なるX線毎に撮影時間をずらしながら撮影するか、あるいは2つのX線イメージセンサを使用する必要がある。
しかしながら、前者の方法は、X線ばく射に要する時間が増加することになるため、これに伴い患者の被ばくも増加することになる。なお、X線と治療ビームとの例えば同時ばく射は、X線透視撮影画像や線量評価に影響を与える可能性があるため避けることが望ましく、そうなると、前者の方法は、治療ビームの1回の照射時間を短縮せざるを得ず全体として治療時間が長くなる。一方、リアルタイム性が要求されるこの種の動体追跡において、後者の方法は、撮影位置の異なる画像を合成する必要があるため、患部の3次元位置を、短時間で演算処理して求めることが難しくなっている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、身体部分において対象となる生体組織を効率的に追跡できる動体追跡装置及び動体追跡方法を提供することである。
実施の形態の動体追跡装置は、X線照射部、透視画像撮像部、強調画像生成部及び位置検出部を備えている。X線照射部は、追跡対象の生体組織を含む身体部分に対し、第1のX線と前記第1のX線よりもエネルギの高い第2のX線とを異なるタイミングでそれぞれ周期的に照射する。透視画像撮像部は、前記第1のX線の照射期間中に前記身体部分における第1のX線透視画像を撮像し、前記第2のX線の照射期間中に前記身体部分における第2のX線透視画像を撮像する。強調画像生成部は、前記撮像された第1及び第2のX線透視画像どうしの差分をとる画像処理によって、コントラストの強調された強調画像を、前記第1及び第2のX線の周期的な照射に応じて順次生成する。位置検出部は、前記順次生成される強調画像に基づいて、前記生体組織の位置を動的に検出する。
本発明によれば、身体部分において対象となる生体組織を効率的に追跡できる動体追跡装置及び動体追跡方法を提供することが可能である。
以下、実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の動体追跡装置20を含む治療装置10は、例えば放射線がん治療などを実施する場合において、図2に示すように、呼吸性移動する患部Tを治療する際の安全性を向上させるために、患部Tの3次元位置をX線透視により動的に追跡して治療ビームの誤照射を防止することを可能としている。この治療装置10は、動体追跡装置20に加え、図1に示すように、治療ビーム照射制御部41、治療ビーム水平照射ポート部42及び治療ビーム垂直照射ポート部43を備えている。
図1に示すように、本実施形態の動体追跡装置20を含む治療装置10は、例えば放射線がん治療などを実施する場合において、図2に示すように、呼吸性移動する患部Tを治療する際の安全性を向上させるために、患部Tの3次元位置をX線透視により動的に追跡して治療ビームの誤照射を防止することを可能としている。この治療装置10は、動体追跡装置20に加え、図1に示すように、治療ビーム照射制御部41、治療ビーム水平照射ポート部42及び治療ビーム垂直照射ポート部43を備えている。
治療ビーム水平照射ポート部42は、図1に示すように、治療台59上の患者Pの患部(動体追跡装置20による身体部分における追跡対象の生体組織)Tに対し、荷電粒子線である陽子線や重粒子線などの治療ビームを水平方向から照射する。一方、治療ビーム垂直照射ポート部43は、治療台59上の患者Pの患部Tに対し、前述した治療ビームを垂直(鉛直)方向から照射する。さらに、治療ビーム照射制御部41は、治療ビーム水平照射ポート部42及び治療ビーム垂直照射ポート部43の動作を制御する。
また、本実施形態の動体追跡装置20は、図1に示すように、X線照射部21、透視画像撮像部22、強調画像生成部23、位置検出部24、4D−CT画像テンプレート格納部45、テンプレート比較部46、追跡対象移動領域設定部52、透視撮影領域設定部53、追跡対象速度演算部49、撮影速度設定部50、治療ビーム照射許可判定部40、前述した治療台59、治療台位置制御部57を備えている。治療台位置制御部57は、後述するX線発生部32a、32b及びX線撮像部34a、34bの位置に対して、治療台59の相対的な位置を移動制御する。
X線照射部21は、2以上の異なるエネルギピークを有するX線を照射可能なものであって、追跡対象の生体組織(患部T)を含む患者の身体部分に対し、第1のX線(第1のX線ビーム)と第1のX線よりもエネルギの高い(keVの値が高い)第2のX線(第2のX線ビーム)とを異なるタイミングでそれぞれ周期的に照射する。具体的には、X線照射部21は、図1に示すように、一対の高電圧パルス発生部31a、31b、一対のX線発生部32a、32b、X線発生部位置制御部58、照射範囲変更部25、エネルギ変更部26及び高電圧パルス出力タイミング制御部51を備えている。
X線発生部位置制御部58は、治療台59上の患者Pの位置及び後述するX線撮像部34a、34bの位置に対して、X線発生部32a、32bの相対的な位置を移動制御する。高電圧パルス発生部31a、31bは、X線発生部32a、32bにそれぞれ高電圧(例えば50kV〜150kVの範囲のパルス電圧)を供給する。X線発生部32a、32bは、それぞれのX線管に、高電圧パルス発生部31a、31bにより高電圧(例えば90kV及び150kVのパルス電圧)が印加されて、図3に示すように、X線を(例えば60keVのエネルギの第1のX線ビームと100keVのエネルギの第2のX線ビームとを異なるタイミングで)周期的に(例えば33msec周期で)発生させる。
ここで、動体追跡装置20では、図3に示すように、第1のX線と第1のX線よりもエネルギが高い第2のX線とを照射する例を示しているが、これとは逆に、第1のX線と第1のX線よりもエネルギが低い第2のX線とを照射する動体追跡装置を適用しもよい。また、X線発生部32a、32bは、X線透視撮影に際して不要なエネルギ成分を、発生させたX線から除去するフィルタ部を備えていてもよい。
透視画像撮像部22は、図3に示すように、第1のX線の照射期間中に身体部分における第1のX線透視画像を撮像し、一方、第2のX線の照射期間中に身体部分における第2のX線透視画像を撮像する。詳細には、この透視画像撮像部22は、X線撮像部34a、34b、撮影時間・撮影タイミング制御部44及びX線撮像部位置制御部56を備えている。
X線撮像部34a、34bは、X線発生部32a、32bがそれぞれ発生させたX線ビーム(X線光子)を受光して、透視対象となる患者Pの身体部分のX線吸収率に応じた透視イメージを出力するX線イメージセンサである。このX線撮像部34a、34bには、例えばカラーI.I[登録商標](カラーイメージインテンシファイア)や、間接変換型のFPD(フラットパネルディテクタ)などを適用できる。特に、カラーI.Iは、従来のI.I.(イメージインテンシファイア)や間接変換型のFPDと比べて、約7倍のX線感度を有しているため、低い線量であっても透視撮影が可能であり、患者のX線被ばく線量を低減できる。
X線撮像部位置制御部56は、治療台59上の患者Pにおける身体部分の位置に対して、X線撮像部34a、34bの相対的な位置を移動制御する。撮影時間・撮影タイミング制御部44は、X線発生部32a、32bが発生させる第1、第2のX線の照射に同期させるように、図3に示すように、高電圧パルス発生部31a、31bが発生させるパルス幅及びパルス電圧の出力のタイミングに基づき、X線撮像部34a、34bによるX線透視画像の撮影時間(撮影期間)と撮影開始のタイミングとを設定する。また、撮影時間・撮影タイミング制御部44は、外部同期をとるための外部信号パルスをトリガとして、撮影時間と撮影開始のタイミングとを決定するものであってもよい。この場合、外部信号パルスのパルス幅に撮影時間を対応させ、さらに外部信号パルスの立ち上がりのエッジに撮影開始のタイミングを対応させることなどが例示される。
強調画像生成部23は、透視画像撮像部22のX線撮像部34aによって撮像された第1のX線透視画像とX線撮像部34bによって撮像された第2のX線透視画像との差分(第1及び第2のX線透視画像どうしの差分)をとる画像処理によって、コントラストの強調された強調画像を、図3に示すように、第1及び第2のX線の周期的な照射に応じて順次生成する。詳述すると、強調画像生成部23は、図1に示すように、画像入力処理部35a、35b、エネルギサブトラクション処理部36、2D−3D画像変換処理部37を備えている。
画像入力処理部35aは、X線発生部32aから出射されて患者Pの身体部分を透過する第1、第2のX線をX線撮像部34aが受光し、さらにこのX線撮像部34aから出力される第1、第2のX線透視画像(透視イメージ)の入力を受け付ける。一方、画像入力処理部35bは、X線発生部32bから出射されて患者Pの身体部分を透過する第1、第2のX線をX線撮像部34bが受光し、さらにこのX線撮像部34bから出力される第1、第2のX線透視画像の入力を受け付ける。つまり、画像入力処理部35a、35bは、患者Pの身体部分を実質的にステレオ撮影したX線透視画像を入力する。
エネルギサブトラクション処理部36は、第1の透視撮影画像と第2の透視撮影画像とをサブトラクション処理する。つまり、エネルギサブトラクション処理部36は、患者Pの身体部分における例えば骨と軟部組織とのX線吸収差を利用し、第1、第2の透視撮影画像どうしの差分をとる(サブトラクションする)ことで、例えば骨部組織と骨部以外の軟部組織などとを明瞭に区分した2D画像を生成する。2D−3D画像変換処理部37は、画像入力処理部35a、35bに各々入力された後、それぞれサブトラクション処理された異なる2方向からの2D画像から、身体部分の各組織のコントラストを強調させた強調画像としての3D画像(ステレオ画像)を生成する。
位置検出部24は、第1、第2のX線が照射される周期で、強調画像生成部23によって順次生成される3D画像(強調画像)に基づいて、追跡対象の生体組織(患部T)の位置を動的に検出する。具体的には、位置検出部24は、追跡対象検出演算処理部38及び腫瘍3D位置演算処理部39を備えている。追跡対象検出演算処理部38は、順次生成される3D画像中から、パターンマッチング法などの演算処理によって、追跡対象の生体組織である例えば腫瘍などの患部Tを選出する。腫瘍3D位置演算処理部39は、追跡対象検出演算処理部38による演算処理結果から、追跡対象の生体組織(患部T)の3D位置(3次元位置)を検出する。
また、上記した4D−CT画像テンプレート格納部45は、3次元(X座標,Y座標,Z座標)の位置情報に加え時間情報を得られる4D−CT(Four-dimensional computed tomography)装置を用いて、図2に示すように、患部Tを含む身体部分(体幹部領域)についての呼吸性の動きを抽出した4D−CT画像を取得する。さらに、4D−CT画像テンプレート格納部45は、取得した4D−CT画像から、骨、血管、追跡対象の患部T(例えば腫瘍)などの特徴部分の形状をパターン検出してさらにその特徴部分の透過率情報(濃淡情報)を対応付けてテンプレート画像化し、この生成されたテンプレート画像を格納する。
さらに、追跡対象移動領域設定部52は、変位特定部としての機能を有し、追跡対象の生体組織(患部T)が変位する範囲を特定する。つまり、追跡対象移動領域設定部52は、4D−CT画像テンプレート格納部45に格納されたテンプレート画像中の患部T(例えば腫瘍)、あるいは患部Tと同時に動く気管支、血管、横隔膜などの移動部分を選定(選出)し、呼吸性移動により追跡対象の患部T(あるいは前記の移動部分)が変位する範囲(領域)を設定する。
透視撮影領域設定部53は、追跡対象移動領域設定部52によって設定された前記変位する範囲に基づき、X線撮像部34a、34bの最小となる透視撮影領域(画角サイズ)を設定し、さらにその透視撮影領域の中心がX線撮像部34a、34bのX線入力面の中心にくるように、X線撮像部34a、34bとX線発生部32a、32bとのそれぞれの位置及び向きを設定する。
一方、X線照射部21が備える照射範囲変更部25は、追跡対象移動領域設定部52によって特定された生体組織(例えば患部T)が変位する範囲に応じて、前述した第1及び第2のX線の照射範囲を変更する。具体的には、図1に示すように、照射範囲変更部25は、X線ビーム照射領域設定部54、可変コリメータ制御部55、及び可変コリメータ部33a、33bを備えている。
可変コリメータ部33a、33bは、X線発生部32a、32bがそれぞれ発生させたX線(X線ビーム)の照射範囲を変化させる。X線ビーム照射領域設定部54は、追跡対象移動領域設定部52によって設定された範囲(撮像すべき画角サイズなど)に基づき、X線撮像部34a、34bそれぞれのX線入射窓に照射するX線ビームのスポットサイズを設定する。可変コリメータ制御部55は、X線ビーム照射領域設定部54による設定内容に応じて、可変コリメータ部33a、33bの動作を制御する。これにより、X線の照射範囲を例えば狭くした場合には、患部T以外の周辺組織に対しX線照射によるダメージを与えてしまうことなどを極力抑えることができる。
また、前記した追跡対象速度演算部49は、速度算出部としての機能を有するものであって、位置検出部24による検出結果から、追跡対象の生体組織(患部T)が変位する速度を算出する。一方、高電圧パルス出力タイミング制御部51は、照射周期変更部としての機能を有し、追跡対象速度演算部49(速度算出部)による算出結果に基づいて、X線発生部32a、32bがそれぞれ発生させる第1及び第2のX線を照射する周期を変更する。これにより、例えば患部Tが変位する速度が比較的遅い場合、X線の照射周期を例えば長くすることで、X線透視画像を撮像する負荷や撮像したX線透視画像を画像処理する負荷を軽減できる。
撮影速度設定部50は、追跡対象速度演算部49によって算出された追跡対象の生体組織(患部T)の移動速度に基づき、透視画像撮像部22による第1、第2のX線透視画像の撮影速度を設定する。
テンプレート比較部46は、4D−CT画像テンプレート格納部45に格納されているテンプレート画像と、強調画像生成部23によって生成される3D画像(強調画像)とを比較し、次の周期で撮影する追跡対象の生体組織(患部T)と身体部分の骨部などとの互いの位置関係を予測(推定)する。
さらに、X線照射部21の備えるエネルギ変更部26は、テンプレート比較部46により予測された追跡対象の生体組織と前記身体部分の骨部との相対的な位置関係に基づき、X線発生部32a、32bが発生させる第1のX線及び/又は前記第2のX線のエネルギを変更する。詳細には、エネルギ変更部26は、高電圧値設定部47及び高電圧パルス幅設定部48を備えている。高電圧値設定部47は、高電圧パルス発生部31a、31bが発生させるパルス電圧の値を設定する。高電圧パルス幅設定部48は、高電圧パルス発生部31a、31bが発生させるパルス電圧のパルス幅を設定する。このようなエネルギ変更部26を備えていることで、患部Tの追跡に適したX線エネルギが設定され、これにより、必要以上のエネルギを有するX線が身体部分に照射されることを抑制することができる。
また、治療ビーム照射許可判定部40は、腫瘍3D位置演算処理部39により検出された追跡対象の生体組織(患部T)の3D位置に基づいて、治療ビームの照射の可否を判定する。治療ビーム照射許可判定部40により治療ビームの照射が許可された場合、治療ビーム照射制御部41は、治療ビーム水平照射ポート部42又は治療ビーム垂直照射ポート部43を介して治療ビームを患部Tに照射させる。
ここで、図2に示すように、心臓の鼓動は、成人で60〜75回/毎分の頻度といわれており、呼吸運動に比べて3倍以上速くなる。また、心臓の拡張期と収縮期の移動幅は、およそ±10mm前後といわれ、鼓動数から秒間の移動距離は、およそ20mm弱と推定される。一般的なパターンマッチング法による形状ぶれの許容値を0.1mmと仮定すれば、必要となる間欠的な撮影時間(周期的な撮影期間)X[msec]は、下記の数式1からX[msec]=5[msec]となる。
20mm÷1000msec=0.1mm÷Xmsec … 数式1
つまり、第1、第2のX線透視画像の1フレームの撮影時間と第1、第2のX線(X線ビーム)のパルス幅とは5msec以下にすることが望ましい。FPDなどの市販のX線イメージセンサには、1msec以下の撮影時間に対応できるものも存在するため、透視画像撮像部22による1フレームの撮影時間とX線発生部32a、32bのX線管に印加される管電圧のパルス幅とは、図3に示すように、1msec以下とすることがより望ましい。
一方、呼吸運動は、横隔膜や外肋間筋などが収縮及び弛緩することで行われる。安静時における成人の呼吸数は、およそ12〜20回/毎分(1回の呼吸では3〜5秒程度)の頻度といわれている。この呼吸性移動を捉えるためのX線撮像部34a、34bによる間欠的(周期的)な撮影頻度については、例えば30回/毎秒(30fps)が十分な値として適用される。
しかしながら、呼吸性移動する患部の動きは、呼気と吸気それぞれの切替え前後で最も遅く、その中間で最も速くなるので、X線透視の撮影頻度は、30fpsに合わせて一定にする必要はなく、最大撮影頻度を30fpsとして患者の呼吸速度のリズムに合わせて、上記した高電圧パルス出力タイミング制御部51により撮影頻度を適切に下げることで最適化することができる。この撮影頻度の最適化によって、X線ばく射回数を削減できるので、患者のX線被ばく線量を低減できる。
例えばホスト装置による演算処理によって、第1、第2のX線透視画像から、患部Tの3次元位置を求める時間は、撮影頻度を30fpsとした場合、図3に示すように、撮影時間を含めて33msec以内に完了できることが望ましい。この33msecの時間を、少しでも患部Tの3次元位置を求める演算処理に時間配分できるようにするために、X線発生部32a、32bにより2方向から発生させるX線は、同時ばく射して透視画像を撮影することが望ましい。
追跡対象の患部(腫瘍など)Tが肺にあるとすると呼吸性移動による可動範囲はおよそ±30mm前後といわれている。患部Tの周辺組織への不必要なX線被ばくを避けるためには、X線ビーム照射領域設定部54により、図2に示すように、X線ばく射範囲(X線ビーム照射領域)Fを、少なくとも上記した±30mm前後に設定することが望ましい。可変コリメータ制御部55、可変コリメータ部33a、33bは、X線ばく射範囲Fが設定された範囲になるようにX線の照射を調整する。なお、X線コリメータでX線ばく射位置を調整できない構成の場合、2次元方向に移動可能なXYステージ上にX線発生部32a、32bを搭載してもよい。
また、X線イメージセンサであるX線撮像部34a、34bは、撮像面全体で撮影すると画像データが大きくなるため、画像伝送時間や画像処理時間が長くなる。そこで、透視撮影領域設定部53は、実際の撮像に用いる撮像面の領域を設定し、その領域のみを撮影に適用することで画像データの伝送時間や画像処理時間を短縮できる。
また、身体部分の透視においては、軟組織と腫瘍とのX線照射によるCT値が近似しているため、腫瘍を追跡対象とした場合、通常の方法でX線透視撮影した画像上では、腫瘍の解像度やコントラストが不十分となり、パターンマッチング法などで腫瘍を検出することが困難となる。
これを改善するために、物質のCT値がX線エネルギに依存して変化する性質(同じ組織であってもX線エネルギの値を変化させることでCT値が変化する性質)を利用するエネルギサブトラクション処理部36は、エネルギが互いに異なる第1、第2のX線を照射してそれぞれ撮影した第1、第2のX線透視画像を、演算処理しコントラスト強調などの効果を得るエネルギサブトラクション法(デュアルエナジー法)を適用する。
詳述すると、ある物質を透過した後のX線光子数Iは、透過前のX線光子数をI0、物質の透過厚をXとすれば、下記の数式2で表すことができる。
I=I0×e(−μ・X) … 数式2
この数式2の中でμは、X線吸収係数であるから、質量吸収係数μMは、
質量吸収係数μM=Cλ3−Dλ4[g/cm2]と物質密度ρ[g/cm3]とを乗算して求めることができる。
質量吸収係数μM=Cλ3−Dλ4[g/cm2]と物質密度ρ[g/cm3]とを乗算して求めることができる。
ここで、X線吸収係数がX線の波長(λ)、つまり、X線のエネルギ(keV)に依存していることに着目すると、ある物質に異なるエネルギa(keV)、b(keV)を持つ2種類のX線を照射すると、図4、図5に示すように、同じ物質あっても、CT値(つまり、HU:Hounsfield Unit)が異なる現象が生じると考えられる。そして、実験などから、このCT値の変化は、物質固有の曲線形状を示し、例えば物質Aと物質Bとでは、X線のエネルギに応じてCT値は、異なる変化曲線を示すことがわかっている。
さらに、図4に示すように、同じ物質Aであっても、濃度の違いによって、CT値が変化する。ただしその変化曲線の形状は同様である。また、図5に示すように、この現象を利用しエネルギの異なる2種類のX線で撮影した2枚のX線透視画像を演算処理することで、一定濃度以上の物質を分離して画像化することが可能となり、これにより、X線透視画像中の追跡対象となる生体組織のコントラストを改善できる。
ここで、X線ビームに2つの異なるエネルギピークを持たせるには、X線ビームフィルタを使用する方法や、2つのX線管を使用する方法などが一般に知られている。しかしながら、X線ビームフィルタを使用すると全体のX線光子数が減少し、透視撮影した画像が暗くなるため、より多くの光子数を発生させるための大型の陽極回転式X線管などが必要となる。一方、2つのX線管を使用すると、2つのX線イメージセンサが必要となり、さらに画像合成にも時間を要する。
また、一つのX線管を使用してX線ビームに2つの異なるエネルギピークを持たせる方法が上述した特許文献2に例示されている。特許文献2では、異なる周波数の高電圧パルスを印加することで、X線ビームに2つのエネルギピークが得られる現象を利用し、さらに高電圧パルスの周波数を変化させることで、エネルギピークのシフトも可能となる。
しかしながら、特許文献2の技術は、検出の対象物が一定の位置に静止している状態であれば、例えば照射するX線のエネルギを変更する必要性はないものの、呼吸性移動する身体部分の患部などが例えば検出の対象部分である場合を想定すると、X線透視画像を透視撮影する毎に、検出対象部分とその背景組織とは、X線透視画像中において濃淡がその都度異なり、検出対象部分と背景組織との判別が困難となる。
一方、本実施形態の動体追跡装置20は、呼吸性移動する身体部分の患部Tが追跡対象であって、このような状況でもX線透視画像の品質を一定に保つために、追跡対象の患部組織と背景組織との変位の状態に合わせて、第1、第2のX線のエネルギを、エネルギ変更部26により適宜変更しながら、第1、第2のX線透視画像を撮影する。これにより、動体追跡装置20によれば、軟組織と腫瘍や、骨と腫瘍が、重なった状態であっても腫瘍のコントラストを十分に確保することが可能となる。
次に、動体追跡装置20を用いた動体追跡方法を、前述した図2、図3に加え、図6に示すフローチャート(動体追跡撮影フロー)に基づき説明する。本実施形態のX線動体追跡方法は、以下のステップS1〜S24を実施することにより実現される。
図2、図6に示すように、まず、4D−CT画像テンプレート格納部45は、4D−CT装置を用いて、患部Tを含む身体部分についての呼吸性移動を抽出した4D−CT画像を取得する(S1)。さらに、4D−CT画像テンプレート格納部45は、取得した4D−CT画像から、骨、血管、追跡対象の患部Tをパターン検出して、さらに透過率情報(濃淡情報)と対応付けてテンプレート画像化し、生成されたテンプレート画像を格納する(S2)。
次に、追跡対象移動領域設定部52は、4D−CT画像テンプレート格納部45に格納されたテンプレート画像中の呼吸性移動する患部Tや、また患部Tと同時に動く気管支、血管、横隔膜などを選定し、この選定した追跡対象が変位する範囲を設定する(S3)。続いて、図6に示すように、透視撮影領域設定部53は、追跡対象移動領域設定部52によって設定された範囲に対応させて、X線撮像部34a、34bの透視撮影領域を設定し、さらに透視撮影領域とX線撮像部34a、34bのX線入力面との互いの中心が一致するように、X線撮像部34a、34bとX線発生部32a、32bとのそれぞれの位置及び向きを設定する(S4)。
次いで、X線ビーム照射領域設定部54は、図6に示すように、追跡対象移動領域設定部52によって設定された範囲に基づき、X線撮像部34a、34bそれぞれのX線入射窓に照射するX線ビームのスポットサイズを設定する(S5)。さらに、可変コリメータ制御部55は、X線ビーム照射領域設定部54による設定内容に応じて、可変コリメータ部33a、33bの動作を制御する(S6)。
一方、高電圧パルス幅設定部48は、高電圧パルス発生部31a、31bが発生させるパルス電圧のパルス幅の設定に際して、図6に示すように、初回ではデフォルト値(例えば1msec)を設定し、2回目(2周期目)以降では、後述するステップ20(S20)で設定される値を反映させる(S7)。
さらに、高電圧パルス出力タイミング制御部51は、後述するステップ22(S22)で設定される撮影速度を基に呼び出した電圧パルス波形を出力するためのタイムテーブルを設定する(S8)。例えば撮影速度が30Hzの場合、高電圧パルス出力タイミング制御部51は、以下のようにタイムテーブルを設定する。つまり、高電圧パルス出力タイミング制御部51は、図3に示すように、直前に出力したパルスを基準として、その28msec後、例えば80kV(A4)を出力させ、その3msec後、例えば150kV(A11)を出力させた後、再設定を行う。
次に、撮影時間・撮影タイミング制御部44は、高電圧値設定部47及び高電圧パルス幅設定部48による設定内容に基づいて、図6に示すように、X線撮像部34a、34bによる第1、第2のX線透視画像の撮影時間(撮影期間)と撮影開始のタイミングとを設定する(S9)。
次いで、高電圧パルス発生部31a、31bは、高電圧パルス出力タイミング制御部51によって設定されたタイムテーブルに基づき、図6に示すように、X線発生部32a、32bの各X線管に第1の高電圧(例えば上記A4の管電圧80kV)を印加する(S10a、S10b)。続いて、X線発生部32a、32bは、第1のX線を身体部分に照射し(S11a、S11b)、これに同期して、X線撮像部34a、34bは、身体部分を透過した第1のX線透視画像を撮像する(S12a、S12b)。
次に、高電圧パルス発生部31a、31bは、上記タイムテーブルに基づき、X線発生部32a、32bの各X線管に第2の高電圧(例えば上記A11の管電圧150kV)を印加する(S13a、S13b)。さらに、X線発生部32a、32bは、第2のX線を身体部分に照射し(S14a、S14b)、これに同期して、X線撮像部34a、34bは、身体部分を透過した第2のX線透視画像を撮像する(S15a、S15b)。
この後、エネルギサブトラクション処理部36は、図6に示すように、第1の透視撮影画像と第2の透視撮影画像とをサブトラクション処理して、例えば骨部組織と骨部以外の軟部組織などとを明瞭に区分した2D画像を生成する(S16a、S16b)。さらに、2D−3D画像変換処理部37は、画像入力処理部35a、35bに各々入力された後、それぞれサブトラクション処理された異なる2方向からの2D画像から、身体部分の各組織のコントラストを強調させた3D画像を生成する(S17)。
次に、追跡対象検出演算処理部38は、順次生成される3D画像中から、パターンマッチング法などの演算処理によって、追跡対象の生体組織である例えば腫瘍などの患部Tを選出(抽出)する(S18)。さらに、腫瘍3D位置演算処理部39は、追跡対象検出演算処理部38による演算処理結果から、追跡対象の腫瘍(患部T)の3D位置を検出する(S19)。
一方、テンプレート比較部46は、4D−CT画像テンプレート格納部45に格納されているテンプレート画像と、2D−3D画像変換処理部37によって変換された3D画像とを比較し、次の周期で撮影する追跡対象の腫瘍と身体部分の骨部などとの互いの位置関係を予測する(S20)。
次に、高電圧値設定部47は、図6に示すように、テンプレート比較部46による予測結果に基づき、X線透視画像において追跡対象の腫瘍が骨部と重なる場合と追跡対象の腫瘍が骨部と重ならない場合とについて、予め決められた最適条件を設定する(S21)。なお、X線発生部32a、32bが発生させるX線は、X線管の管電圧を高くするとエネルギも高くなり、また、供給するパルス電圧のパルス幅(パルス幅に撮影時間は同期)を長くすると当該X線の光子数が増加する。
具体的には、高電圧値設定部47は、高電圧パルスの波形を電子データ形式(タイムテーブル)にし、これに所定の記号や番号を組み合わせたアドレスを付与して登録及び呼出しを行うものであり、例えば以下のようにアドレス登録する。また、高電圧値設定部47は、例えば以下のように高電圧パルスの波形を選定する。
例えば、「パルス幅A:1.0msecのグループ」には、「A1:50kV、A2:60kV、…A11:150kV」などが登録される。さらに、「パルス幅B:1.5msecのグループ」には、「B1:50kV、B2:60kV、…B11:150kV」などが登録される。また、高電圧値設定部47は、追跡対象の腫瘍が骨部と重なっている場合、例えば「B3:70kV(第1のX線と対応)」と「B10:140kV(第2のX線と対応)」とを選定する。さらに、高電圧値設定部47は、追跡対象の腫瘍が骨部と重なっていない場合、例えば「A2:60kV(第1のX線と対応)」と「A8:120kV(第2のX線と対応)」とを選定する。
一方、追跡対象速度演算部49は、X線発生の初回の周期では、30Hzの撮影速度でX線撮像部34a、34bに撮影を開始させ、X線発生の2回目以降の周期では、前回の周期の腫瘍(患部T)の位置と今回の周期の腫瘍の位置との移動量を演算により求め、さらにこれにより、追跡対象の腫瘍の移動速度(距離/時間:m/s)を算出する(S22)。なお、追跡対象速度演算部49は、吸気呼気の挙動を加味し、算出結果となる撮影速度が一定速度以下にならないように構成されている。
また、撮影速度設定部50は、図6に示すように、追跡対象速度演算部49によって算出された追跡対象の腫瘍(患部T)の移動速度(mm/s)に基づき、X線撮像部34a、34bによる第1、第2のX線透視画像の撮影速度(fps:フレーム/秒)を設定する(S23)。撮影速度設定部50は、例えば、追跡対象の腫瘍を2mm/frame以内に収まる移動量で追跡する場合、1フレーム前の移動速度を演算で求めてその都度、次の撮影速度を設定する。以下は設定例である。
具体的には、撮影速度設定部50は、追跡対象の腫瘍の移動速度が例えば60mm/sの場合、X線透視画像の撮影速度を30Hzに設定する。
この場合、60mm/s÷30Hz=2mm/frameとなる。
この場合、60mm/s÷30Hz=2mm/frameとなる。
さらに、撮影速度設定部50は、上記移動速度が例えば10mm/sの場合、撮影速度を5Hzに設定する。
この場合、10mm/s÷5Hz=2mm/frameとなる。
また、撮影速度設定部50は、上記移動速度が26mm/sの場合、撮影速度を13Hzに設定する。
この場合、26mm/s÷13Hz=2mm/frameとなる。
この場合、10mm/s÷5Hz=2mm/frameとなる。
また、撮影速度設定部50は、上記移動速度が26mm/sの場合、撮影速度を13Hzに設定する。
この場合、26mm/s÷13Hz=2mm/frameとなる。
さらに、治療ビーム照射許可判定部40は、腫瘍3D位置演算処理部39により検出された追跡対象の患部Tの3D位置に基づき、治療ビームの照射の可否を判定する(S24)。治療ビーム照射許可判定部40によって治療ビームの照射が許可された場合、治療ビーム照射制御部41は、治療ビーム水平照射ポート部42又は治療ビーム垂直照射ポート部43を介して治療ビームを照射する。
既述したように、本実施形態の動体追跡装置20によれば、身体部分における追跡対象の生体組織に対し、エネルギの異なる2種類のX線を異なるタイミングで周期的に照射してコントラストの改善されたX線透視画像を得るので、追跡対象の生体組織とその周囲の組織との判別が容易となり、これにより、対象の生体組織を動的に追跡するうえでの効率化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…治療装置、20…動体追跡装置、21…X線照射部、31a…高電圧パルス発生部、22…透視画像撮像部、23…強調画像生成部、24…位置検出部、25…照射範囲変更部、26…エネルギ変更部、31a,32a…高電圧パルス発生部、32a,32b…X線発生部、33a,33b…可変コリメータ部、34a,34b…X線撮像部、35a,35b…画像入力処理部、36…エネルギサブトラクション処理部、37…2D−3D画像変換処理部、38…追跡対象検出演算処理部、39…腫瘍3D位置演算処理部、44…撮影時間・撮影タイミング制御部、45…4D−CT画像テンプレート格納部、46…テンプレート比較部、47…高電圧値設定部、48…高電圧パルス幅設定部、49…追跡対象速度演算部、50…撮影速度設定部、51…高電圧パルス出力タイミング制御部、52…追跡対象移動領域設定部、53…透視撮影領域設定部、54…X線ビーム照射領域設定部、55…可変コリメータ制御部、56…X線撮像部位置制御部。
Claims (8)
- 追跡対象の生体組織を含む身体部分に対し、第1のX線と前記第1のX線よりもエネルギの高い第2のX線とを異なるタイミングでそれぞれ周期的に照射するX線照射部と、
前記第1のX線の照射期間中に前記身体部分における第1のX線透視画像を撮像し、前記第2のX線の照射期間中に前記身体部分における第2のX線透視画像を撮像する透視画像撮像部と、
前記撮像された第1及び第2のX線透視画像どうしの差分をとる画像処理によって、コントラストの強調された強調画像を、前記第1及び第2のX線の周期的な照射に応じて順次生成する強調画像生成部と、
前記順次生成される強調画像に基づいて、前記生体組織の位置を動的に検出する位置検出部と、
を備える動体追跡装置。 - 前記生体組織が変位する範囲を特定する変位特定部をさらに備え、
前記X線照射部は、前記特定された生体組織が変位する範囲に応じて、前記第1及び第2のX線の照射範囲を変更する照射範囲変更部を備える、
を備える請求項1に記載の動体追跡装置。 - 前記位置検出部による検出結果から、前記生体組織が変位する速度を算出する速度算出部をさらに備え、
前記X線照射部は、前記速度算出部による算出結果に基づいて、前記第1及び第2のX線を照射する周期を変更する照射周期変更部を備える、
請求項1又は2に記載の動体追跡装置。 - 前記X線照射部は、前記追跡対象の生体組織と前記身体部分の骨部との相対的な位置関係に基づき、前記第1のX線及び/又は前記第2のX線のエネルギを変更するエネルギ変更部を備える、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の動体追跡装置。 - 追跡対象の生体組織を含む身体部分に対し、第1のX線と前記第1のX線よりもエネルギの高い第2のX線とを異なるタイミングでそれぞれ周期的に照射するステップと、
前記第1のX線の照射期間中に前記身体部分における第1のX線透視画像を撮像し、前記第2のX線の照射期間中に前記身体部分における第2のX線透視画像を撮像するステップと、
前記撮像された第1及び第2のX線透視画像どうしの差分をとる画像処理によって、コントラストの強調された強調画像を、前記第1及び第2のX線の周期的な照射に応じて順次生成するステップと、
前記順次生成される強調画像に基づいて、前記生体組織の位置を動的に検出するステップと、
を有する動体追跡方法。 - 前記生体組織が変位する範囲を特定するステップをさらに有し、
前記照射するステップは、前記特定された生体組織が変位する範囲に応じて、前記第1及び第2のX線の照射範囲を変更するステップを含む、
を備える請求項5に記載の動体追跡方法。 - 前記生体組織の位置を動的に検出した検出結果から、前記生体組織が変位する速度を算出するステップをさらに有し、
前記照射するステップは、前記算出された生体組織が変位する速度に応じて、前記第1及び第2のX線を照射する周期を変更するステップを含む、
請求項5又は6に記載の動体追跡方法。 - 前記照射するステップは、前記追跡対象の生体組織と前記身体部分の骨部との相対的な位置関係に基づき、前記第1のX線及び/又は前記第2のX線のエネルギを変更するステップを含む、
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の動体追跡方法。
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