以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図2は、実施形態に係る制御装置が設けられる、直流電源システムの概略構成を示す図である。直流電源システム10は、商用電源6からの電力(外部電力)を利用可能に構成されている。外部電力の電力料金は、昼間電力時間帯(たとえば7:00〜23:00)と、昼間の時間帯以外の夜間電力時間帯(たとえば23:00〜翌日の7:00)とによって異なる料金に設定されている。夜間電力時間帯の電力料金は、昼間電力時間帯の電力料金よりも安く設定され得る。直流電源システム10は、通信装置20と、太陽光発電装置30と、蓄電池40と、整流器50とを含む。本実施形態に係る制御装置は、後述の整流器50に含まれる制御装置52として実現される。
通信装置20は、電力を受けて動作する負荷であって、無線基地局を含んで構成される。この負荷は、一般家庭またはオフィスのような負荷と比較して、とくに、直流電力を消費する点、および消費電力の変動が小さくほぼ一定とみなせる点、において相違する。
太陽光発電装置30は、太陽光を受けてその日射量に応じた大きさの直流電力を発生する発電装置であって、ソーラーパネルなどを含んで構成される。直流電源システム10において、太陽光発電装置30は、通信装置20に供給するための電力を発生する。太陽光発電装置30は、日射量に応じた大きさの直流電力を発生する。太陽光発電装置の出力電圧(太陽光発電装置出力電圧Vpv)は、一定電圧(たとえば55V)に設定されている。
蓄電池40は、直流電源システム10において、太陽光発電装置30が発生した電力のうち通信装置20で消費されない電力(余剰電力)を充電する。また、蓄電池40は、放電によって通信装置20に電力を供給する。
電力線PLは、通信装置20と、太陽光発電装置30と、蓄電池40と、整流器50とを電気的に接続するバスラインである。バス電圧は、通信装置20の定格電圧(たとえば57V)を超えない電圧(たとえば48V)となるように制御される。電力線PLは、電力線PL1と、電力線PL2とを含む。電力線PL1は、通信装置20および太陽光発電装置30と、後述の整流器50の端子T2とを接続する部分である。電力線PL2は、蓄電池40と、後述の整流器50の端子T3とを接続する部分である。なお、端子T2、通信装置20および太陽光発電装置30の接続点が、ノードN1として図示される。
整流器50は、交流電力を直流電力に変換して出力する電力変換装置である。直流電源システム10において、整流器50は、通信装置20および蓄電池40に電気的に接続され、商用電源6(外部電源)からの交流電力を直流電力に変換し、通信装置20および蓄電池40に向かって出力する。整流器50は、端子T1〜T3と、整流部51と、制御装置52と、電流センサ56a,56bと、電圧センサ57aと、電圧検出部57と、リレーRLとを含む。
端子T1は、交流電力が入力される入力端子であり、商用電源6に接続される。端子T2は、直流電力が入力されまたは直流電力を出力する入出力端子であり、通信装置20および太陽光発電装置30に接続される。端子T3も、端子T2と同様に、入出力端子であり、蓄電池40に接続される。これにより、通信装置20と、太陽光発電装置30と、蓄電池40とは、電力線PL、端子T2,T3およびリレーRLを介して電気的に接続される。なお、リレーRLは、蓄電池40の過充電を防止する等のために開状態とされるものであって、通常は閉状態(導通状態)とされる。
整流部51は、端子T1に入力された交流電力を直流電力に変換する。整流部51は、たとえば、整流回路および電圧変換回路(昇圧回路または降圧回路)などを組み合わせて構成される。整流部51から出力される直流電力の電圧は、整流器50の出力電圧(整流器出力電圧Vrc)であり、整流部51を構成する回路を制御することによって調節可能である。
制御装置52は、整流器50に含まれる要素、とくに整流部51を制御することによって直流電源システム10を制御する。制御装置52による整流部51の制御は、たとえば制御信号を用いて行なわれる。
制御装置52は、制御部53と、計算部54と、記憶部55と、電流検出部56と、電圧検出部57とを含む。
制御部53は、制御装置52の全体制御を行う部分である。とくに、制御部53は、蓄電池40の充電および放電を制御する。蓄電池40の充電および放電は、整流部51を制御して整流器出力電圧Vrcを調節することによって行われる。整流器出力電圧Vrcを調節することによって、制御部53は、蓄電池40を強制的に充電し、あるいは、強制的に放電させることができる。また、制御部53は、整流器出力電圧Vrcを調節することによって、蓄電池40の充電電流値および放電電流値を制御することもできる。充電電流値および放電電流値がゼロとなるように制御することで、制御部53は、蓄電池40の充電および放電を停止することもできる。なお、蓄電池40の充電および放電を強制的に停止するために、前述のリレーRLを開状態(非導通状態)とする制御が行われてもよい。
計算部54は、たとえば、蓄電池40の充電に掛かる時間(放電時間)を計算する。計算部54によって計算される放電時間の例については後述する。
記憶部55は、制御装置52によって実行される処理に必要な種々の情報(たとえば後述の下限SOC、回帰SOCなど)を記憶する。
電流検出部56は、たとえば、電流センサ56aを用いて、整流部51とノードN2との間を流れる電流を検出する。ノードN2は、整流部51、端子T2およびリレーRL(リレーRLが閉状態のときは端子T3)の接続ノードである。また、電流検出部56は、電流センサ56nを用いて、ノードN2と端子T2との間を流れる電流を検出する。
電圧検出部57は、整流部51と端子T2との間の電圧を、電圧センサ57aを用いて検出する。この電圧は、たとえば電力線PLの電圧であり、バス電圧でもある。
本実施形態では、制御部53は、蓄電池40の充電および放電を制御するための複数のモードを実行する。このために、制御部53は、設定部53aおよび実行部53bを含む。
設定部53aは、複数のモードが実行されるタイミングを設定する部分(である。ここでのタイミングは、複数のモードが実行される開始時刻、終了時刻、時間帯などを含む。
実行部53bは、設定部53aによって設定されたタイミングに基づいて、複数のモードを実行する部分である。
本実施形態において、複数のモードは、PV(Photo Voltaic)充電モードと、強制放電モードと、回帰モードとの3つのモードを含む。PV充電モードは、太陽光発電装置30の発電電力のうち通信装置20で消費されない余剰電力が発生したときには余剰電力によって蓄電池40を充電する第1のモードである。強制放電モードは、蓄電池40のSOCが後述の下限SOCになるように蓄電池40を放電させる第2のモードである。回帰モードは、蓄電池40のSOCが後述の回帰SOCになるように夜間の外部電力(つまり夜間における商用電源6からの電力)によって蓄電池40を充電する第3のモードである。
設定部53aは、PV充電モードの後に強制放電モードが実行されるようにタイミングを設定する。また、設定部53aは、強制放電モードの後に回帰モードが実行されるようにタイミングを設定する。
下限SOCは、直流電源システム10における蓄電池40に対して設定される値(下限レベル)である。下限SOCは、たとえば、所定期間以上、蓄電池40からの電力(あるいは蓄電池40および太陽光発電装置30からの電力)によって通信装置20の消費電力を賄うことが可能な蓄電池40のSOCに設定される。下限SOCは、記憶部55に記憶されている。
回帰SOCは、下限SOCと同様に、直流電源システム10における蓄電池40に対して設定される値(設定レベル)である。回帰SOCは、下限SOCよりも高く設定される。回帰SOCは、1日において発生し得る最大余剰電力量を蓄電池40に充電することが可能な蓄電池40のSOCに設定される。回帰SOCも、下限SOCと同様に、記憶部55に記憶されている。
下限SOCおよび回帰SOCは、通信装置20、太陽光発電装置30および蓄電池40の設計データに基づいて予め定められてもよいし、シミュレーション結果または実験データに基づいて予め定められてもよい。
設定部53aは、夜間電力の購入が可能な時間帯(夜間電力時間帯)の開始前に強制放電モードによる放電が完了するように、タイミングを設定する。たとえば、強制放電モードが完了するのに必要な時間(つまり蓄電池40のSOCが下限SOCになる)が最大となる場合でも、強制放電モードが夜間電力時間帯の開始前に完了するように、タイミングが設定される。強制放電モードが完了するのに必要な時間が最大になる場合とは、たとえば、PV充電モードによって蓄電池40が満充電状態となった後、強制放電モードによって蓄電池40のSOCが下限SOCになるまで蓄電池40を放電させる場合である。
強制放電モードが完了するのに必要な時間は、計算部54によって計算されてもよい。その場合、まず、計算部54は、電流検出部56によって検出された電流値のうち、端子T2からノードN2に向かって流れる電流の値と、電圧検出部57によって検出された電圧値とを乗ずることによって、蓄電池40の充電電力を計算する。そして、充電電力に充電時間を乗ずることによって、蓄電池40に充電された余剰電力量を計算する。次に、計算部54は、蓄電池40のSOCを回帰SOCまで低下させるのに必要な第1の放電時間を計算する。たとえば、太陽光発電装置30の発電電力を考慮しない場合には、蓄電池40に充電された余剰電力量を通信装置20の消費電力Ploadで除することによって、第1の放電時間が計算される。さらに、計算部54は、蓄電池40のSOCを回帰SOCから下限SOCまで低下させるのに必要な第2の放電時間を計算する。そして、計算部54は、第1の放電時間を第2の放電時間との合計時間を、強制放電モードが完了するのに必要な時間として求める。
さらに、複数のモードには、停電時に実行される停電放電モードが含まれてよい。停電放電モードは、商用電源6からの電力が利用できない停電時において、太陽光発電装置30の余剰電力が発生したときには発生した余剰電力によって蓄電池40を充電し、太陽光発電装置30の余剰電力が発生せず且つ太陽光発電装置30の発電電力Ppvが通信装置20で消費される電力に対して不足するときには、当該不足する電力が蓄電池40から通信装置20に供給されるように蓄電池40を放電させるモードである。設定部53aは、外部電力が利用できない停電時に停電放電モードが実行されるようにタイミングを設定してよい。
ここで、図3を参照して、制御部53のハードウェア構成について説明する。図3に示されるように、制御部53は、物理的には、1または複数のCPU(Central Processing unit)61、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)62およびROM(Read Only Memory)63、データ送受信デバイスである通信モジュール66、半導体メモリなどの補助記憶装置67、操作盤(操作ボタンを含む)やタッチパネルなどのユーザの入力を受け付ける入力装置68、ディスプレイなどの出力装置69などのハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。制御部53の機能は、たとえば、CPU61、RAM62などのハードウェア上に1または複数の所定のコンピュータソフトウェア(プログラム)を読み込ませることにより、CPU61の制御のもとで通信モジュール66、入力装置68、出力装置69、を動作させるとともに、RAM62および補助記憶装置67におけるデータの読み出しおよび書き込みを行うことで実現することができる。
次に、制御装置52によって実行される制御について、図4を参照して説明する。図4は制御装置52によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。とくに説明がない場合は、その処理は、制御装置52の制御部53によって実行され得る。
前提条件として、設定部53aによって各モード(PV充電モード、強制放電モード、回帰モード)のタイミングが予め設定されているものとする。たとえば、たとえば、制御装置52はタイマ機能を有しており、7:00〜15:00(開始時刻=7:00、終了時刻=15:00)の時間帯にPV充電モードが実行されるようにタイマが設定される。15:00〜23:00(開始時刻=15:00、終了時刻=23:00)の時間帯に強制放電モードが実行されるようにタイマが設定される。23:00〜翌日の7:00(開始時刻=23:00、終了時刻=翌日の7:00)の時間帯に回帰モードが実行されるようにタイマが設定される。なお、以下の説明において、蓄電池40の充放電に関する状態を「LBPM状態」と言う場合もある。
ステップS1の処理は、図4に示されるフローチャートの各処理を周期的に実行するための処理である。たとえば、上述のタイマ機能が用いられることによって、各処理が周期的に実行される。具体的に、制御装置52は、周期タイマが満了したか否か(その周期において所定時間が経過したか否か)を判断する(ステップS1)。周期タイマが満了した場合(ステップS1:YES)、制御装置52は、ステップS2に処理を進める。そうでない場合(ステップS1:NO)、制御装置52は、たとえば所定のWait時間処理を待機した後、ステップS1に再び処理を戻す。
ステップS2の処理は、商用電源6からの電力が利用できない停電中であって蓄電池40が放電中である場合(LBPM状態が停電放電中である場合)に、停電時の処理を優先的に実行するための処理である。具体的に、制御装置52は、LBPM状態が停電放電中であると判断すると(ステップS2:YES)、図4に示されるフローチャートでは、ステップS1に再び処理を戻す。LBPM状態が停電放電中の場合には、その間の時間帯は、設定部53aによって先に説明した停電放電モードを実行すべきタイミングに設定され、実行部53bによって停電放電モードが実行される。LBPM状態が停電放電中でない場合(ステップS2:NO)、制御装置52は、ステップS3に処理を進める。なお、停電状態の判断は、停電信号(たとえば商用電源6から整流部51への電力がなくなったことに応じて発生し得る)の受信によって行われてもよいし、電圧検出部57によってバス電圧(電力線PLの電圧)の降下が検出されることによって行われてもよい。
ステップS3〜S7の処理は、蓄電池40のSOCが低くなりすぎた場合にそのSOCを回復させるための処理である。蓄電池40のSOCが低くなりすぎた場合としては、たとえば停電放電モードによって蓄電池40のSOCが低下した後の、商用電源6からの電力が利用可能となった復電時などが想定される。その場合の対処として、バックアップ電源の確保のために強制充電SOCを設定して、強制充電SOCを下回るときに充電を行うことで、下限SOCを維持することを実現する。
まず、制御装置52は、蓄電池40が下限SOC充電中且つLBPM状態が充電中であるか否かを判断する(ステップS3)。下限SOC充電中とは、蓄電池40のSOCが下限SOCを下回る場合に、蓄電池40が充電されている状態である。下限SOC充電中且つLBMP状態が充電中の場合(ステップS3:YES)、制御装置52は、蓄電池40のSOCが下限SOC以上であれば(ステップS4:YES)、蓄電池40の充電を強制的に停止するための強制停止(待機)設定を行い(ステップS5)、ステップS1に再び処理を戻す。なお、蓄電池40のSOCが下限SOC未満の(ステップS4:NO)には、制御装置52は、ステップS5の処理をスキップして(つまり強制停止設定を行うことなく)、ステップS1に再び処理を戻す。
一方、先のステップS3において下限SOC充電中且つLBPM状態が充電中でない場合(ステップS3:NO)、制御装置52は、蓄電池40のSOCが強制充電SOC以下であるか否かを判断する(ステップS6)。強制充電SOCは、下限SOCおよび回帰SOCと同様に、直流電源システム10における蓄電池40に対して設定される値である。強制充電SOCは、たとえば下限SOCと同じであってもよいし下限SOCよりも低くてもよい。蓄電池40のSOCが強制充電SOC以下の場合(ステップS6:YES)、制御装置52は、充電電流値を充電電流固定値に設定し、強制充電をONに設定する(ステップS7)。充電電流固定値は、停電放電復旧時(つまり復電時)に蓄電池40を充電する際の充電電流値である。強制充電をONに設定すると、充電電流固定値を充電電流値として、蓄電池40を強制的に充電するための強制充電処理が実行される。ステップS7の処理が完了した後、制御装置52は、ステップS1に再び処理を戻す。
一方、先のステップS6において蓄電池40のSOCが強制充電SOCよりも大きい場合(ステップS6:NO)、制御装置52は、時刻判定を行う(ステップS8)。具体的に、実行部53bが、現在の時刻と、設定部53aによって設定されたタイミングとに基づいて、PV充電処理、強制放電処理および回帰処理のいずれの処理を実行すべきかを判断する。現在の時刻は、前述のタイマ機能を用いて取得され得る。たとえば、現在の時刻がPV充電処理を実行すべき時間帯(PV充電開始時刻〜強制放電開始時刻)に含まれる場合、制御装置52は、PV充電処理を実行する(ステップS10)。現在の時刻が強制放電処理を実行すべき時間帯(強制放電開始時刻〜回帰開始時刻)に含まれる場合、制御装置52は、強制放電処理を実行する(ステップS50)。現在の時刻が回帰処理を実行すべき時間帯(その他の時間帯)に含まれる場合、制御装置52は、回帰処理を実行する(ステップS60)。
PV充電処理(ステップS10)は、余剰電力が発生する時間帯(たとえば7:00〜15:00)において実行される。余剰電力の発生の有無は、電圧検出部57がバス電圧(電力線PLの電圧)の変化を検出することによって、行うことができる。余剰電力が蓄電池40に充電されるよう、太陽光発電装置30の発電電力を優先して通信装置20に供給するためには、太陽光発電装置30の出力電圧(太陽光発電装置出力電圧Vpv)を整流器50の出力電圧(整流器出力電圧Vrc)より高く設定すればよい。すなわち、整流器出力電圧Vrcを、太陽光発電装置出力電圧Vpvよりも低く設定すればよい。このとき、余剰電力の発生時、すなわち太陽光発電装置30の発電電力のみで通信装置20の消費電力の全てを賄っているときには、整流器50の出力電力はゼロとなるため、バス電圧は整流器出力電圧Vrcでなく、太陽光発電装置出力電圧Vpvに影響される。電圧検出部57によりバス電圧を検出し、バス電圧が、整流器出力電圧Vrcから太陽光発電装置出力電圧Vpvに遷移したとみなせる閾値を超えている場合は、LBPM状態が充電状態であると判断し、所定の増加電流値分、蓄電池40の充電電流値を増加させる。この増加電流値については、増加電流値を可変にすることも可能であり、この点も含め、PV充電処理の詳細については、後に図6〜8を参照して説明する。
強制放電処理(ステップS50)は、昼間電力時間帯(たとえば7:00〜23:00)でありながら余剰電力の発生が期待されない時間帯(たとえば15:00〜23:00)において実行される。強制放電処理では、蓄電池40のSOCが下限SOCを上回るときには、そのSOCが下限SOCとなるまで蓄電池40を強制的に放電させる。蓄電池40のSOCが下限SOCとなったときには、災害対策の観点から、蓄電池40の放電が停止され、待機状態(放電も充電も行わない状態)へと移行する。強制放電処理の詳細については、後に図9を参照して説明する。
回帰処理(ステップS60)は、夜間電力時間帯(たとえば23:00〜翌日の7:00)において実行される。回帰処理の開始時において、蓄電池40のSOCと回帰SOCの大小が比較される。蓄電池40のSOCが回帰SOCより小さい場合は蓄電池40を充電し、蓄電池40のSOCが回帰SOCに達するまで充電を行い(回帰充電を行い)、その後は回帰処理終了時刻まで待機状態とする。蓄電池40のSOCが回帰SOCより大きい場合は蓄電池40を強制放電させ、蓄電池40のSOCが回帰SOCに達するまで放電を行い(回帰放電を行ない)、その後は回帰処理終了時刻まで待機状態とする。蓄電池40のSOCが回帰SOCと等しい場合は、回帰処理終了時刻まで待機状態とする。回帰処理の詳細については、後に図10を参照して説明する。
図4のフローチャートによれば、設定部53aによって設定されたタイミングに基づいて、実行部53bによってPV充電処理、強制放電処理および回帰処理が実行される(ステップS8,S10,S50,S60)。
次に、PV充電処理、強制放電処理および回帰処理による、蓄電池40の充放電制御(SOCの変化)について、図5を参照して説明する。図5は直流電源システム10の動作を概念的に示すタイミングチャートである。図5において「SOC」は蓄電池40のSOCを示す。「Vpv」は、太陽光発電装置30の太陽光発電装置出力電圧Vpvを示す。「Vrc」は、整流器50の整流器出力電圧Vrcを示す。「Vbat」は蓄電池40の蓄電池電圧Vbatを示す。「Pload」は、通信装置20の消費電力を示す。「Ppv」は、太陽光発電装置30の発電電力を示す。なお、図5における太陽光発電装置30の発電電力Ppvは、晴天を想定したものである。たとえば雲による日射の遮断の影響等を考慮した場合の例については、後に図11を参照して説明する。
条件の例を説明すると、太陽光発電装置30の発電電力Ppvの最大値(最大出力)が100Wであり、通信装置20の消費電力Ploadが70Wである。回帰SOCは60%であり、当初(時刻t1において)、蓄電池40のSOCは回帰SOCとなっている。蓄電池40のSOCが回帰SOCのときの蓄電池電圧Vbat(回帰電圧V0)は49Vとする。蓄電池40のSOCが下限SOCのときの蓄電池電圧Vbat(下限電圧V1)は回帰電圧VOよりも低い電圧である。下限電圧V1は、たとえば、下限SOCの値と、蓄電池40の設計データあるいは実験データなどとに基づき求められる(推定される)。整流器50の整流器出力電圧Vrcは、回帰電圧V0に設定される。太陽光発電装置出力電圧Vpvは55Vに設定されている。日中の最も日射量が大きいときには、太陽光発電装置30の発電電力Ppvは最大出力になるものとする。
図5において、PV充電処理は、時刻t2〜t5において実行される。強制放電処理は、時刻t5〜t7において実行される。回帰処理は、時刻t7〜翌日の時刻t2において実行される。以下、時刻t2〜t8,および翌日の時刻t1の順に説明する。
時刻t2において、太陽光発電装置30が発電を開始し、発電電力Ppvが増加し始める。時刻t2は、たとえば7:00頃である。ここでの発電電力Ppvは通信装置20の消費電力Ploadよりも小さいので、発電電力Ppvは全て通信装置20で消費される。なお、太陽光発電装置30の発電電力Ppvだけでは通信装置20の消費電力Ploadに対して不足するが、その分の電力(不足電力)は、整流器50によって賄われる。これは、蓄電池40の蓄電池電圧Vbatと、整流器50の整流器出力電圧Vrcとが等しく、蓄電池40が浮動充電状態となっているためである。浮動充電状態では、蓄電池40のSOCがそのレベル(つまり回帰SOC)に維持される。
時刻t3において、太陽光発電装置30の発電電力Ppvが通信装置20の消費電力Ploadを上回る。時刻t3は、たとえば8:00頃である。太陽光発電装置30の発電電力Ppvのうち、通信装置20の消費電力Ploadを上回る分の電力が、余剰電力となる。余剰電力が発生することによって、蓄電池40の充電が開始され、蓄電池40のSOCが上昇し始める。それとともに、蓄電池40の蓄電池電圧Vbatも上昇し始める。蓄電池電圧Vbatが整流器出力電圧Vrcを上回るため、蓄電池40は浮動充電状態ではなくなる。
時刻t4には、太陽光発電装置30の発電電力Ppvが最大になる。このときは、発電電力Ppvが100Wであるのに対し、通信装置20の消費電力Ploadが70Wであるので、その差分である30Wの電力が、余剰電力として蓄電池40に充電される。時刻t4を過ぎると、太陽光発電装置30の発電電力Ppvが低下し始める。
時刻t5において、太陽光発電装置30の発電電力Ppvが通信装置20の消費電力Ploadを下回る。時刻t5は、たとえば15:00頃である。通信装置20の消費電力Ploadのうち、太陽光発電装置30の発電電力Ppvを上回る分の電力が、不足電力となる。不足電力が発生することによって、蓄電池40の放電が開始される。これは、時刻t3以降の充電により、蓄電池40の蓄電池電圧Vbatが整流器50の整流器出力電圧Vrcよりも大きくなっているためである。蓄電池40の放電が開始されることによって、蓄電池40のSOCが低下し始める。それとともに、蓄電池40の蓄電池電圧Vbatも低下し始める。ここで、本実施形態では、時刻t5において、整流器50の整流器出力電圧Vrcが、回帰電圧V0よりも低い下限電圧V1に設定される。これにより、蓄電池40を確実(強制的に)放電させることができる。
時刻t6において、太陽光発電装置30の発電が終了し、発電電力Ppvがゼロとなる。時刻t6は、たとえば17:00〜19:00頃である。ここでは、依然として蓄電池40の蓄電池電圧Vbatが整流器50の整流器出力電圧Vrcよりも大きいので、蓄電池40の放電およびSOCの低下が継続する。
時刻t7において、蓄電池40の蓄電池電圧Vbatが整流器50の整流器出力電圧Vrcまで低下する。これにより、蓄電池40のSOCは下限SOCとなる。また、蓄電池40は浮動充電状態となる。通信装置20の消費電力は、整流器50からの電力によって賄われる。
時刻t8において整流器50の整流器出力電圧Vrcは、下限電圧V1よりも高い回帰電圧V0に設定される。時刻t8は、たとえば23:00頃である。整流器50の整流器出力電圧Vrcは、蓄電池40の蓄電池電圧Vbatを上回る。このため、蓄電池40の充電が開始され、蓄電池40のSOCが上昇し始める。それとともに、蓄電池40の蓄電池電圧Vbatも上昇し始める。
時刻t8において、蓄電池40の充電が開始された後、時刻t1(ここでは翌日の時刻t1を意味する)において、蓄電池40のSOCは、回帰SOCとなる。これにより、蓄電池40は、浮動充電状態となる。時刻t1は、たとえば6:00頃である。
以上説明したように、制御装置52によれば、PV充電モード(ステップS10、時刻t2〜t5)では、太陽光発電装置30の余剰電力が蓄電池40に充電される。これにより、蓄電池40の余剰電力を有効活用することができる。その後の強制放電モード(ステップS50、時刻t6〜t7)では、蓄電池40のSOCが下限SOCになるように蓄電池40が放電される。これにより、たとえばバックアップ用として最小限の電力量を蓄電池40に残しつつ(つまり蓄電池40のSOCを高く維持しつつ)、蓄電池40の空き容量を確保することができる。その後の回帰モード(ステップS60、時刻t7〜t8,t8〜t2)では、夜間の外部電力によって蓄電池40が充電される。これにより、夜間電力を有効活用することができる。よって、太陽光発電装置30の余剰電力および夜間電力を有効活用しつつ蓄電池40のSOCを高く維持することができる。
下限SOC(下限レベル)は、所定期間以上、蓄電池40からの電力(太陽光発電装置30および蓄電池40からの電力)によって通信装置20の消費電力を賄うことが可能な蓄電池40のSOCである。このように下限SOCを定めることによって、バックアップ用の電力を、蓄電池40に確保させておくことができる。
回帰SOC(設定レベル)は、1日において発生し得る最大余剰電力量を蓄電池に充電することが可能な蓄電池40のSOCである。これにより、太陽光発電装置30の余剰電力を全て蓄電池40に充電することができるので、余剰電力を確実に有効活用することができる。
設定部53aは、夜間電力の購入が可能な時間帯(たとえば23:00〜翌日の7:00)の開始前に強制放電モードによる放電が完了するように、タイミングを設定する。これにより、夜間電力が購入可能な時間帯が開始するまでに、蓄電池40において、夜間電力を充電するための空き容量を確保しておくことができる。
複数のモードとして、停電放電モードがさらに準備されていてもよい。停電放電モードは、太陽光発電装置30の余剰電力が発生したときには余剰電力によって蓄電池40を充電し、余剰電力が発生せず且つ太陽光発電装置30の発電電力Ppvが通信装置20で消費される電力に対して不足するときには、当該不足する電力が蓄電池40から通信装置20に供給されるように蓄電池40を放電させる停電放電モードである。設定部53aは、外部電力が利用できない停電時に実行部53bによって停電放電モードが実行されるように、タイミングを設定してもよい。このようにして蓄電池40をバックアップ用電源として用いることができる。
以上説明した制御装置52による蓄電池40の充放電制御は、たとえば、実行部53bが整流器50の出力電圧(整流器出力電圧Vrc)を制御することによって実現される。
たとえば、直流電源システム10において、天気情報を利用できるようにし、天候に応じて蓄電池40の充放電制御を行うことも考えらえるが、その場合には、たとえば天気情報を取得するための装置(受信装置または日射計など)が必要になる。天気情報をネットワーク経由で受信する場合には、ネットワークコストも必要になる。これに対し、制御装置52では、下限SOCと回帰SOCの2つの値を制御パラメータとして用い、天候に依らない制御を実現している。すなわち、蓄電池40の充放電制御を、環境や天候に依らず一意に定めることで、蓄電池40の充放電制御のための外部情報(天気情報など)を取得するための、受信装置や日射計といった新たなハードウェアの追加を必要とせず、コストを低く抑えることができる。
次に、先に図4を参照して説明したPV充電処理(ステップS10)、強制放電処理(ステップS50)および回帰処理(ステップS60)について改めて説明する。
まず、PV充電処理について説明すると、PV充電処理が実行される時間帯(図5の時刻t2〜t5)においては、太陽光発電装置30の発電電力が刻一刻と変化し得る。このため、PV充電処理においては、蓄電池40の充電電流を細かく変化させる制御を行うことによって、太陽光発電電力の変化(増減)に蓄電池40の充放電を追従させる。これにより、太陽光発電装置30の発電電力を取りこぼすこと(整流器50から無駄な電力を引くこと)を回避できる。そのようなPV充電処理の詳細について、次に図6〜図8を参照して説明する。
図6は、PV充電処理において実行される処理の一例を示すフローチャートである。各フローチャートにおいて、とくに説明がない場合は、その処理は、制御装置52の実行部53bによって実行され得る。
まず、制御装置52は、前回充電電流値として充電電流値を設定する(ステップS11)。具体的に、図6に示されるフローチャートにおける前回のループが終了した時点での蓄電池40の充電電流値が、前回充電電流値として設定される。
次に、制御装置52は、バス電圧を読み込み(ステップS13)、バス電圧が閾値よりも大きいか否かを判断する(ステップS13)。バス電圧は、たとえば電圧検出部57によって検出される。閾値は、たとえば52V程度であってよい。バス電圧が閾値よりも大きく(ステップS13:YES)、LBPM状態が充電中の場合(ステップS30:YES)、制御装置52は、充電電流増加処理を実行する(ステップS31)。一方、バス電圧が閾値以下であり(ステップS13:NO)、LBPM状態が充電中の場合(ステップS14:YES)、制御装置52は、充電電流減少処理を実行する(ステップS17)。
先のステップS14においてLBPM状態が充電中でない場合(ステップS14:NO)、制御装置52は、LBPM状態が放電中であれば(ステップS15:YES)、強制停止設定を行い(ステップS16)、PV充電処理を終了する。なお、LBPM状態が放電中でない場合には(ステップS15:NO)、制御装置52は、ステップS16の処理はスキップして(つまり強制停止設定を行うことなく)、PV充電処理を終了する。
先のステップS30においてLBPM状態が充電中でない場合(ステップS30:NO)、制御装置52は、充電電流値を充電電流初期値に設定し、強制充電をONに設定する(ステップS41)。充電電流初期値は、たとえば1A程度であってよい。ステップS41の処理が完了した後、制御装置52は、PV充電処理を終了する。
図7は、充電電流減少処理(ステップS17)において実行される処理の一例を示すフローチャートである。この充電電流減少処理は、充電電流値を、前回の充電電流値よりも減少させるための処理である。充電電流値の減少幅は、係数Aを用いて定められる。係数Aはたとえば初期値は1であるが、他の2つの係数B,Cとの組み合わせによって初期値とは異なるさまざまな値とされ、それによって充電電流値の減少幅が調整される。
まず、制御装置52は、前回充電電流が減少したか否かを判断する(ステップS18)。たとえば、図6に示されるフローチャートの前回のループにおいて充電電流減少処理(ステップS17)が実行された場合に、前回充電電流が減少したと判断される。前回充電電流が減少した場合(ステップS18:YES)、制御装置52は、係数Aを、(係数A+係数B)×係数Cに設定し(ステップS19)、充電電流値を、前回充電電流値-(減少電流値×係数A)として算出する(ステップS20)。減少電流値は、たとえば50mA程度であってよい。一方、前回充電電流が減少していない場合(ステップS18:NO)、制御装置52は、係数Aを1に設定し(ステップS21)、充電電流値を、前回充電電流値-(初期減少電流値×係数A)、つまり前回充電電流値-初期減少電流値(係数A=1のため)として算出する(ステップS22)。初期減少電流値は、たとえば50mA程度であってよい。
ステップS20またはステップS22の処理が完了した後、制御装置52は、充電電流値が最小値未満であるか判断する(ステップS23)。最小値は、上述の充電電流初期値であってよい。充電電流値が最小値未満の場合(ステップS23:YES)、制御装置52は、充電電流値を最小値とし(ステップS24)、ステップS25に処理を進める。なお、充電電流値が最小値以上の場合には(ステップS23:NO)、制御装置52は、ステップS24の処理をスキップして、ステップS25に処理を進める。
そして、制御装置52は、前回充電電流値が最小値でないか否かを判断する(ステップS25)。前回充電電流値が最小値でない場合(ステップS25:YES)、制御装置52は、充電電流値を、先のステップS20またはステップS23で算出された充電電流値に設定し(ステップS26)、ステップS27に処理を進める。そうでない場合(ステップS25:NO)、制御装置52は、ステップS26の処理をスキップして、ステップS27に処理を進める。
次に、制御装置52は、充電電流値が最小値を継続しているか否かを判断する(ステップS27)。たとえば、前回実行された充電電流減少処理においてもステップS24にて充電電流値が最小値とされた場合、充電電流値が最小値を継続していると判断される。充電電流値が最小値を継続している場合(ステップS27:YES)、制御装置52は、LBM状態が待機中(つまり充放電が強制停止中)であるとき(ステップS28:YES)には充電電流減少処理を終了し、そうでないとき(ステップS28:NO)には強制停止設定を行ったうえで(ステップS29)、充電電流減少処理を終了する。なお、先のステップS27において充電電流値が最小値を継続していない場合(ステップS27:NO)、制御装置52は、充電電流減少処理を終了する。
図8は、充電電流増加処理(ステップS37)において実行される処理の一例を示すフローチャートである。この充電電流増加処理は、充電電流値を、前回の充電電流値よりも増加させるための処理である。充電電流値の増加幅は、係数Aを用いて定められる。係数Aはたとえば初期値は1であるが、他の2つの係数B,Cを組み合わせることによって初期値とは異なる値とされ、それによって充電電流値の増加幅が調整される。
まず、制御装置52は、前回充電電流が増加したか否かを判断する(ステップS32)。具体的に、図6に示されるフローチャートの前回のループにおいて充電電流増加処理(ステップS31)が実行された場合に、前回充電電流が増加したと判断される。前回充電電流が増加した場合(ステップS32:YES)、制御装置52は、係数Aを、(係数A+係数B)×係数Cに設定し(ステップS33)、充電電流値を、前回充電電流値+(増加電流値×係数A)として算出する(ステップS34)。増加電流値は、たとえば50mA程度であってよい。一方、前回充電電流が増加していない場合(ステップS32:NO)、制御装置52は、係数Aを1に設定し(ステップS35)、充電電流値を、前回充電電流値+(初期増加電流値×係数A)、つまり前回充電電流値+初期増加電流値(A=1のため)として算出する(ステップS22)。初期増加電流値は、たとえば50mA程度であってよい。
ステップS34またはステップS36の処理が完了した後、制御装置52は、充電電流値が最大値より大きいか否かを判断する(ステップS37)。最大値は、たとえば30A程度であってよい。充電電流値が最大値より大きい場合(ステップS37:YES)、制御装置52は、充電電流値を最大値とし(ステップS38)、ステップS39に処理を進める。なお、充電電流値が最大値以下の場合には(ステップS37:NO)、制御装置52は、ステップS38の処理をスキップし、ステップS39に処理を進める。
そして、制御装置52は、前回充電電流値が最大値でないか否かを判断する(ステップS39)。前回充電電流値が最大値でない場合(ステップS39:YES)、制御装置52は、充電電流値を、先のステップS34またはステップS36で算出された充電電流値に設定し(ステップS40)、充電電流増加処理を終了する。そうでない場合(ステップS39:NO)、制御装置52は、ステップS40の処理をスキップして、充電電流増加処理を終了する。
次に、強制放電処理について説明する。図9は、強制放電処理において実行される処理の一例を示すフローチャートである。とくに説明がない場合、各処理は、制御装置52の実行部53bによって実行され得る。
まず、制御装置52は、蓄電池40のSOCが下限SOC以下であるか否かを判断する(ステップS51)。蓄電池40のSOCが下限SOC以下の場合(ステップS51:NO)、制御装置52は、LBPM状態が待機中であるか否かを判断する(ステップS52)。LBPM状態が待機中の場合(ステップS52:YES)、制御装置52は、強制放電処理を終了する。そうでない場合(ステップS52:NO)、制御装置52は、強制停止をONに設定し(ステップS53)、強制放電処理を終了する。つまり、強制停止設定がなされ、蓄電池40の充放電が強制的に停止される。
一方、蓄電池40のSOCが下限SOCより大きい場合(ステップS51:YES)、制御装置52は、LBPM状態が放電中であるか否かを判断する(ステップS54)。LBPM状態が放電中の場合(ステップS54:YES)、制御装置52は、強制放電処理を終了する。そうでない場合(ステップS54:NO)、制御装置52は、強制放電をONに設定し(ステップS55)、強制放電処理を終了する。強制放電がONに設定されると、蓄電池40が強制的に放電される。
次に、回帰処理について説明する。図10は、回帰処理において実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明において「動作状態」は、回帰処理における直流電源システム10の状態を示す。動作状態は、フラグであってよい。一例として、回帰処理における動作状態は、1,2または5の3通りの動作状態が用いられる。動作状態=1は、回帰処理において蓄電池40が充電中(回帰充電中)であることを示す。動作状態=2は、回帰処理において蓄電池40が放電中(回帰放電中)であることを示す。動作状態=5は、回帰処理において蓄電池40のSOCが回帰SOCとなり、回帰処理が完了している状態を示す。
まず、制御装置52は、動作状態およびLBPM状態を確認する(ステップS61)。動作状態=1であって且つLBPM状態が充電中の場合、制御装置52は、ステップS71に処理を進める。動作状態=2であって且つLBPM状態が放電中の場合、制御装置52は、ステップS74に処理を進める。その他の場合、制御装置52は、ステップS62に処理を進める。動作状態=5であって且つLBPMが待機中の場合、制御装置52は、回帰処理を終了する。
ステップS62において、制御装置52は、蓄電池40のSOCが回帰SOC未満であるか否かを判断する。蓄電池40のSOCが回帰SOC未満の場合(ステップS62:YES)、制御装置52は、充電電流値を充電電流固定値(回帰時)に設定し、強制充電をONに設定し(ステップS69)、動作状態=1に設定し(ステップS70)、回帰処理を終了する。そうでない場合(ステップS62:NO)、制御装置52は、蓄電池40のSOCが回帰SOCより大きいか否かを判断する(ステップS63)。充電電流固定値(回帰時)は、たとえば20A程度であってよい。
蓄電池40のSOCが回帰SOCより大きい場合(ステップS63:YES)、制御装置52は、強制放電をONに設定し(ステップS67)、動作状態=2に設定し(ステップS68)、回帰処理を終了する。そうでない場合(ステップS63:NO)、制御装置52は、LBPM状態が待機中であるか否かを判断する(ステップS64)。
LBPM状態が待機中である場合(ステップS64:YES)、制御装置52は、動作状態=5に設定し(ステップS65)、回帰処理を終了する。そうでない場合には(ステップS64:NO)、制御装置52は、強制停止をONに設定したうえで(ステップS66)、動作状態=5に設定し(ステップS65)、回帰処理を終了する。
一方、ステップS71において、制御装置52は、蓄電池40のSOCが回帰SOC以上であるか否かを判断する。蓄電池40のSOCが回帰SOC以上の場合(ステップS71:YES)、制御装置52は、強制停止をONに設定し(ステップS72)、動作状態=5に設定し(ステップS73)、回帰処理を終了する。そうでない場合(ステップS71:NO)、制御装置52は、ステップS72,S73の処理をスキップし、回帰処理を終了する。
一方、ステップS74において、制御装置52は、蓄電池40のSOCが回帰SOC以下であるか否かを判断する。蓄電池40のSOCが回帰SOC以下の場合(ステップS74:YES)、制御装置52は、強制停止をONに設定し(ステップS75)、動作状態=5に設定し(ステップS76)、回帰処理を終了する。そうでない場合(ステップS74:NO)、制御装置52は、ステップS75,S76の処理をスキップし、回帰処理を終了する。
以上、たとえば図6〜図10を参照して説明したようにして、PV充電処理(ステップS10)、強制放電処理(ステップS50)および回帰処理(ステップS60)が実現される。
先に説明した図5のタイミングチャートは、晴天を想定していたが、たとえば曇りの日などでは、日射量が細かく変化するため、太陽光発電装置30の発電電力の発電電力Ppvはさらに細かく変化し得る。具体的に、図11に示されるように、時刻t2〜t6において、太陽光発電装置30の発電電力Ppvが細かく変化する。この場合でも、PV充電処理(図6〜図8)においては、蓄電池40の充電電流を細かく変化させる制御を行うことによって、太陽光発電電力の変化(増減)に蓄電池40の充放電を追従させることができるので、整流器50の出力電力を抑えつつ、余剰電力を蓄電池40に充電させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
たとえば、上記実施形態では、整流器50内に電流センサ56aおよび電圧センサ57aが設けられているが、電流センサ56aおよび電圧センサ57aは、整流器50の外部に設けられてもよい。
また、上記実施形態では、直流電源システム10が電力を供給する負荷は、無線基地局などの通信装置20であったが、負荷はこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、PV充電処理が実行される時間帯において太陽光発電装置30の発電電力が通信装置20の消費電力を下回ったときにLBPMが待機状態に移行するものであったが(ステップS13〜S16)、待機状態ではなく放電状態に移行してもよい。これにより、昼間電力時間帯において利用される外部電力の、さらなる積極的な削減が可能となる。この場合、強制放電処理は必要でないので、上記実施形態のようにPV充電処理が実行される時間帯をたとえば7:00〜15:00、強制放電処理が実行される時間帯を15:00〜23:00と区別せず、PV充電処理時間帯を7:00〜23:00に設定してよい。
また、上記実施形態では、天候に依らず回帰SOCと下限SOCを定めるものであったが、天気情報や日射量情報を取得できる場合には、下限SOCおよび回帰SOCを可変にしてもよい。たとえば雨の日に備えて、事前に、回帰SOCを高く設定しておくことで、その分夜間時間帯における外部電力を多く蓄電池40に充電することができるので、より積極的な夜間電力の活用が可能となる。
また、上記実施形態では、バス電圧(電力線PLの電圧)の監視により余剰電力発生の有無を検出するものであったが、太陽光発電装置30の出力電流、あるいは整流器50の出力電流を監視することにより、余剰電力発生の有無を検出してもよい。たとえば、理想的な環境(たとえば直流電源システム10内における電力ロスが無い場合)では、太陽光発電装置30の出力電流が、蓄電池40の充電電流および負荷の消費電流の合計電流と等しく、また、整流器50の出力電流がゼロの場合は、余剰電力が発生していると判断できる。
また、上記実施形態では、回帰SOCは、所定期間のうちの1日において発生し得る最大余剰電力量を蓄電池40に充電することが可能な蓄電池40のSOCとしていたが、より具体的に、回帰SOCはできるだけ高く設定されてよく、たとえば、所定期間のうちの1日において発生し得る最大余剰電力量を蓄電池に充電することが可能な蓄電池のSOCの上限値であってもよい。余剰電力量は、1日において発生した余剰電力を積算した値である。所定期間は、2日以上の期間であり、たとえば数週間〜数か月、あるいは数年の期間であってもよい。
最大余剰電力量は、所定期間のうちの1日において、太陽光発電装置30が発生し得る最大発電電力量から、通信装置20が消費し得る最小消費電力量を差し引いた電力量として定められてよい。太陽光発電装置30が発生し得る最大発電電力量は、太陽光発電装置30の設置地点における過去の気象情報に基づいて算出された電力量であってよい。気象情報は、たとえば日射データおよび気温データを含む。過去の気象情報と、太陽光発電装置30の設計データ(あるいは実験データ)とに基づけば、設置地点における太陽光発電装置30の発電電力が予測できるので、太陽光発電装置30が発生し得る最大発電電力量を算出することができる。通信装置20が消費し得る最小消費電力量は、たとえば、通信装置20の設計データ、あるいは実験データに基づいて算出される。前述したように、通信装置20の消費電力はほぼ一定であるので、その一定の消費電力に時間を積算すするだけで通信装置20の消費電力量(=最小消費電力量)を算出できる。このように最大余剰電力量を定め、また、最大発電電力量を算出することによって、回帰SOCをより適切なレベルに設定することができる。
なお、以上説明した直流電源システム10は、次のような動作も含むものである。
すなわち、直流電源システム10は、太陽光発電装置30の発電量が通信装置20(負荷)の消費電力を上回るときに、蓄電池40に余剰電力を充電しながら通信装置20に電力を供給し、余剰電力が発生しない時間帯で且つ昼間時間帯に蓄電池40のSOCを一定以上に維持する範囲で放電を行い、夜間に翌日の太陽光発電装置30の余剰電力を蓄える程度まで充電を行うことで、太陽光発電装置30の発電電力及び夜間電力を活用する。
直流電源システム10は、バス電圧(電力線PLの電圧)を監視することで太陽光発電装置30の余剰電力を充電できるように蓄電池40のSOCを調節する。
直流電源システム10は、蓄電池40の状態及び充電率を監視することで、前記蓄電池の充電量を一定以上に維持する。
直流電源システム10は、時間帯に応じて蓄電池40の充放電制御を変更する。
直流電源システム10は、停電時には太陽光発電装置30および蓄電池40から通信装置20に電力を供給し、余剰電力は蓄電池40に充電する。
直流電源システム10は、整流器50の電圧を変更することで、太陽光発電装置30の発電量が通信装置20の消費電力を上回るときに、蓄電池40に余剰電力を充電しながら通信装置20に電力を供給し、余剰電力が発生しない時間帯で且つ昼間時間帯に蓄電池40のSOCを一定以上に維持する範囲で放電を行い、夜間に翌日の太陽光発電装置30の余剰電力を蓄える程度まで充電を行う。
直流電源システム10は、蓄電池40のSOCから蓄電池40の電圧(蓄電池電圧Vbat)を推定し(求め)、整流器50の電圧(整流器出力電圧Vrc)を、推定した蓄電池40の電圧(整流器出力電圧Vrc)に設定する。
直流電源システム10は、時間帯に応じて整流器50の電圧(整流器出力電圧Vrc)を変更する。
直流電源システム10は、蓄電池40の状態(LBPM状態)を待機状態とするように整流器50の電圧(整流器出力電圧Vrc)を調節する。