JP2016220047A - 定点撮影プログラム - Google Patents

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美嗣 上田平
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Abstract

【課題】特別な設置作業が不要な上、低コストで、且つ実質的に観測位置のズレのない定点観測システムを提供する。
【解決手段】スマートフォン用の定点撮影プログラムは、撮影位置と撮影方向を記録し、現在位置と記録されている撮影位置との位置の差分と、現在の撮影方向と記録されている撮影方向との方向の差分とを検出する機能を備える。スマートフォンの画面に被写体が表示された状態で、その状態における前記位置および方向の差分を示す情報を、ユーザーに通知して、同一の撮影位置と撮影方向での撮影を可能とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、情報を時系列的に比較する際に有用となる定点撮影を行う為のプログラムに関する。
同一の場所から継続的にある一定の視点をもって対象を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することを定点観測と呼ぶ。この定点観測の具体例としては、火山の活動状況の定点観測、地域の定点観測、ファッションの定点観測など、科学の分野での研究からマーケティングまで活用の幅は広い(非特許文献1など)。特に、近年のIT技術の発展により、この定点観測は身近なものとなっており、個人レベルでもライブカメラを用いて、様々な場所の映像の変化を取得できるようになってきている。
吉田 昌平、高木正則、山田敬三、佐々木淳、"農作物の成長過程と農作物のモニタリングシステムの構築"、「情報教育シンポジウム」 平成28年8月
しかしながら、ライブカメラなどを用いた備え付けのシステムでは、どこでも設置できるというものではない。電源の確保や、周囲の環境などにも制約がある。特に野外であれば、風雨で設備が傷んだり、観測位置や方向にズレが生じたりすることもある。更に、一般には専用の機材を利用したものとなり、それなりの設置コストやメンテナンスコストがかかってしまうという問題もある。
そこで本発明の目的は、特別な設置作業が不要で、低コストに実現し、且つ実質的に観測位置のズレがない実用的な定点観測システムを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の1つの様相による定点撮影プログラムは、スマートフォンに実装され、被写体をファインダーに表示すると共に、表示された画像を静止画として撮影し記録するカメラ機能と、現在位置を検出する現在位置検出機能と、現在の撮影方向を検出する撮影方向検出機能と、所定の撮影位置および所定の撮影方向を示す情報を記録するデータ記録機能と、前記撮影方向検出機能で検出された現在の撮影方向と前記所定の撮影方向との方向の差分を検出する差分検出機能と、前記ファインダーに被写体が表示された状態で、その状態における前記方向の差分を示す情報を通知する差分通知機能を実現することを特徴とする。
また、好ましい実施例は、前記差分検出機能は、更に現在位置検出機能で検出された現在位置と前記所定の撮影位置との位置の差分を検出し、前記差分通知機能は、前記ファインダーに被写体が表示された状態で、その状態における前記位置の差分を示す情報を通知することを特徴とする。
更に、好ましい実施例は、前記所定の撮影方向を示す情報とは、その方向から撮影された静止画のデータであることを特徴とする。
更に、好ましい実施例は、前記差分検出機能は、前記所定の撮影方向を示す静止画と、前記ファインダーに表示されている画像とを比較して、その相関関係から少なくとも前記方向の差分を検出することを特徴とする。
更に、好ましい実施例は、前記差分通知機能は、前記方向の差分を参照して、前記所定の撮影方向を示す静止画の輪郭を、前記ファインダーに表示されている画像に表示することで行うことを特徴とする。
本発明に係わる定点撮影プログラムによれば、一般的なスマートフォンのみを用いて、誰でも簡単に定点撮影を行い、被写体の経時変化を観察し記録できる。
図1は、本発明の実施例に係わる定点撮影プログラムを実装するスマートフォンを示す正面図である。 図2は、本発明の実施例に係わる定点撮影プログラムによって撮影された正しい位置における画像の具体例を示す図である。 図3は、本発明の実施例に係わる定点撮影プログラムによって正しい撮影位置をユーザーへ通知する方法を説明する図である。 図4は、本発明の実施例に係わる定点撮影プログラムによって正しい撮影位置をユーザーへ通知する方法を説明する図である。 図5は、本発明の実施例に係わる定点撮影プログラムによって正しい撮影位置をユーザーへ通知する方法を説明する図である。 図6は、本発明の実施例に係わる定点撮影プログラムにおいて、その日に撮影を行うべき作成中の観測画像配列がない場合の処理を示すフローチャートである。 図7は、本発明の実施例に係わる定点撮影プログラムにおいて、その日に撮影を行うべき作成中の観測画像配列がある場合の処理を示すフローチャートである。
以下、図を参照しながら本発明の定点撮影プログラムの具体例を説明する。
この実施例による定点撮影プログラムは、スマートフォンにインストールされる。このスマートフォンには、静止画を撮影できる機能、すなわち通常のカメラ機能に加えて、GPS機能といった現在位置測定機能、加速度センサーおよび方位センサー(地磁気センサー)による姿勢検出機能が実装されている。
加速度センサーは、縦横高さの三方向の加速度を測定するが、重力の方向も分かるので、スマートフォン本体の傾斜角(縦方向の傾き)と回転角(横方向の傾き)も取得できる。これと、電子コンパスで実装されている方位センサーで測定される方位角(スマートフォンが東西南北どちらを向いているか)によって、スマートフォンの傾き(姿勢)が特定される。よく知られているように、この傾きは、ピッチ (Pitch)、ロール (Roll) およびアジマス (Azimuth)の3つの角度で示される。
すなわち、加速度センサーおよび方位センサーによって、傾きセンサーが実装され、撮影方向が特定できることになる。この情報に加えて、GPS機能による現在位置を検出すれば、センサーの検出誤差範囲で撮影状態を特定できる。厳密には、地面からの高さの情報は得られないので、比較的被写体が近い場合には撮影状態の完全な検出とはいえない。しかしながら、本件の目的での撮影では、常に立って行うのが普通であり、また被写体は比較的離れている場合が多いので、高さの情報は通常重要ではない。
具体的な利用シナリオとして、農作物の生育状況の時間的な変化の観測を行う場合を例に、この定点撮影プログラムを説明する。ここでは、定期的に写真撮影を行って生育状況を撮影・記録する際、常に同一の位置から同一の角度で対象を撮影できるというのが重要であり、本発明の特徴の一つである。この例では、毎日写真撮影を行うものとする。
先ず、ユーザーは、観測対象の農園へ出向いて、スマートフォンの定点撮影プログラムを起動する。すると、一般的な撮影ソフトウェアと同様に、スマートフォンのディスプレイをファインダーとして被写体を表示し、ユーザーのシャッター操作の入力(画面上のボタン押下など)を待つ。ユーザーは、適宜、撮影位置および撮影方向を決めて撮影を行う。撮影した画像データは、その際の撮影位置および撮影方向(スマートフォンの傾き)と関連付けて日時と共に記録される。
何枚か撮影した後、その画像を順次または複数枚毎に一覧で表示し、ユーザーに適当な画像を一枚選択させる。この選択された画像が、その後、それに関連付けられた撮影位置および撮影方向で撮影される一連の観測画像(以後、観測画像配列と呼ぶ)の最初の一枚となる。一般には観測場所は複数箇所となることから、同様の方法で、夫々の地点における観測画像配列の最初の一枚が取得される。
次の日に、ユーザーは、再度観測対象の農園へ出向いて、定点撮影プログラムを起動する。すると、定点撮影プログラムは、GPSで検出された現在位置と、記録されている撮影位置との位置の差分をユーザーに通知して現在位置への移動を促す。
この位置の差分は、内部情報としては緯度と経度の夫々の差分であるが、ここでは視覚的に分かりやすく通知する。すなわち、この例ではスマートフォンのディスプレイに、現在位置Cと、記録されている撮影位置P1、P2との位置関係が表示される(図1参照)。このような視覚的な通知の代わりに、例えば音声で誘導することも可能である。例えば、「右前方へ5m進んで下さい」といったような音声指示をスマートフォンのスピーカーから出力するようにしても良い。ユーザーは、その表示に従って観測場所の一つに移動して、カメラを撮影対象に向ける。定点撮影プログラムは、その動きを検出して、ディスプレイに撮影対象を表示する。
一般的にGPSの精度は高々数メートル程度とされている。また、ユーザーが向ける撮影方向も違ってしまうということもある。従って、現在位置と記録されている撮影位置との間のズレに対応して、記録されている昨日の撮影画像と今のディスプレイの表示画像との間にズレが生じる。例えば、図2に示した画像を昨日の撮影画像とし、図3に示した画像を今日の撮影画像とすると、スマートフォンの向きが若干右にずれていることが分かる。
そこで、定点撮影プログラムは、撮影画像と表示画像の差分をユーザーへ通知してスマートフォンの位置と傾きが、昨日の撮影のものと一致するように促す。具体的には、画面上の表示でユーザーに撮影画像と表示画像のズレを通知する。例えば、図3に示したように、正しい撮影画像の輪郭Fを表示画像に表示し、ユーザーにこの輪郭Fを表示画像の輪郭Gに一致させるように促す。
図4に示したように、中心を一致させても、輪郭Fが表示画像の輪郭Gよりも小さいような場合には、前に移動して、輪郭Fが表示画像の輪郭Gと同じになるようにする。逆に、輪郭Fが表示画像の輪郭Gよりも大きくなってしまい、図5に示したように輪郭Fが表示されなくなった場合には、後ろへ移動するようにする。
このように画面上の表示でズレの通知を行うのではなく、音声でユーザーに修正方向の指示を行っても良い。そのような指示としては、例えば、「前へ移動して下さい」、「後ろへ移動して下さい」、「右へ移動して下さい」、「左へ移動して下さい」、「もう少し上を向けて下さい」「もう少し下を向けて下さい」、「もう少し右を向けて下さい」、「もう少し左を向けて下さい」の8種類を用いる。
撮影画像と表示画像のズレ(変位)の方向と量を検出するには、山の稜線や鉄塔といった明確な対象について、両画像内で対応する画像要素を特定して、その画面上の位置を比較すれば良い。その場合、そのような明確な対象、つまり位置や形状が時間とともに変動しないような対象物を、ユーザーが指定することもできる。具体的には、対象物が建物だっととすれば、スマートフォンの方向を調整することで、その建物が画面の中心(+印を表示)となるようにする。そして、その位置で画面を固定するようにして対象物の指定を行う。ソフトウェアは、その方向の領域の画像データを解析し、エッジデータを抽出し登録する。このエッジデータは曲線データであり、変位方向の算出への利用に適している。また、最初、適当な対象物をパターン認識によって自動的に抽出するようにしてもよい。もし、このパターン認識に失敗した場合は、その旨を表示し、上記のような方法でユーザーが適当な対象物を指定するように促す。
より適用範囲の広い方法としては、変位方向の算出を行う両画像について、例えば、互いの相関関数を利用する。一般的には、よく知られた動きベクトルの算出アルゴリズム等を用いれば良い。また、被写体の大きさによって、距離の差分も計算できる。この計算は、被写体が遠いと精度が落ちるが、本件の目的からすれば、問題ではない。
ユーザーが、指示に従って移動しスマートフォンの向きを調整していると、定点撮影プログラムは、撮影画像と表示画像のズレが最小となる最適のタイミングで自動で撮影を行う。これによって、前回とほぼ同一の撮影位置および撮影方向で撮影された画像が記録される。その他の観測場所についても、同様の方法で撮影画像を記録する。このような作業を一定期間毎日行うことで、同一の撮影位置および撮影方向で撮影された一連の画像(観測画像配列)が得られ、農作物の生育状況の時間的な変化を視覚的に把握することが可能となる。
次に図を参照して、この定点撮影プログラムの動作を説明する。起動すると、その日に撮影を行うべき作成中の観測画像配列があるかどうかを確認する。そのような観測画像配列がなければ、新たに観測画像配列の作成を行うため、図6のフローチャートに示した処理を行う。
先ず、ステップS11で、スマートフォンのディスプレイをファインダーとした撮影モードに移行する。ユーザーが撮影位置および撮影方向を決めて撮影を行うと、ステップS12で、その時の傾きデータと撮影画像データを取得する。ステップS13で、傾きデータと撮影画像データを現在日時に関連付けて記録する。この後も、同じ観測場所でユーザーが撮影を行えば、ステップS14でYESとなり、ステップS12へ戻る。ユーザーが同じ観測場所での撮影を終えた場合(例えば、スマートフォンの「戻る」ボタンを押した場合など)、ステップS14でNOとなり、ステップS15で、撮影した画像を順次または複数枚毎に一覧で表示し、ユーザーにその一枚を選択させる。もし、同じ観測場所での撮影が一度だけなら、その撮影画像データが選択された一枚となる。
次に、ステップS16で、傾きデータと、開始日時としての現在日時に関連付けて観測画像配列を作成し、ステップS17で、選択された撮影画像データを観測画像配列の最初のデータとして追加する。
定点撮影プログラムが起動した後、その日に撮影を行うべき観測画像配列があれば、既に作成された観測画像配列へのデータ追加を行うので、図7のフローチャートに示した処理を行う。
先ず、ステップS21で、観測画像配列のデータから撮影位置のデータを取り出して、GPS機能で得られた現在位置と共にスマートフォンに表示する。ただし、ここでは現在位置から見た撮影位置の相対位置が分かれば良いので、図1に示したような簡単なもので十分である。
スマートフォンが指示する観測場所に移動すると、ユーザーはスマートフォンを撮影対象に向ける。ステップS22で、この動作を傾きセンサーで検出し、ステップS23でスマートフォンのディスプレイをファインダーとした撮影モードに移行する。そして、上記の通り、表示画像と前日の撮影画像とを比較した画像解析により、ユーザーへ両者のズレを通知する。ユーザーはその通知に従って、スマートフォンの位置や姿勢を調整し、ステップS24で撮影画像データを取得する。
ステップS25で、この撮影画像データを観測画像配列の次のデータとして追加する。ステップS26で、更に撮影を行うべき別の観測画像配列があれば、ステップS21へ戻って撮影を継続する。ステップS26で、撮影を行うべき別の観測画像配列がなければ、つまり全ての観測画像配列の撮影が完了したらその日の処理を終了する。
上記観測画像配列は、観測場所に関連付けられた一連の撮影画像なので、任意の画像表示プログラムを用いて参照できる。しかし、一週間おきとか十日おきとかと、指定の間隔で間引いで表示するようなプログラムを用いるとより一覧性が高まる。又、コマ送りや、動画風の高速連続表示を行うようにしても良い。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各特徴を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記実施例は、農作物の生育状況の時間的な変化の観測を行う場合を例に説明を行っているが、本発明に係わる定点撮影プログラムは、様々な分野への応用が可能である。具体的には、ダムなどの工事現場において、その進捗状況を記録するのに用いたり、観光地においてお勧めの撮影ポイントを知らせるのに用いたりできる。
なお、上記実施例では、撮影位置の誤差を、表示画像と前日の撮影画像とを比較した画像解析に基づいて検出している。しかし、近い将来、この誤差が無視可能な程度までGPSの精度が向上することも考えられる。その場合には、撮影位置に関しては誤差の補正処理は省略可能である。
更に、上記実施例では、測位にGPSを用いているが、これに代えて、またはこれに加えて、その他の測位技術を利用してもよい。そのような測位技術としては、例えば、基地局による三角測量、Wi-Fiの電波強度を利用したものや、iBeacon、Bluetooth(登録商標)、IrDA、ZigBeeといった近距離無線通信を利用したものがある。近距離無線通信の場合には、その低消費電力という特徴利用して、観測位置に電波発信器を設置しておき、適宜三角測量により位置を特定すると良い。
具体例としては、上記のような農作物の生育状況の時間的な変化の観測において、先ず、観測位置の近傍に、必要に応じて杭を複数打ち込んでおき、そこにビーコン端末(電波発信器)を設置しておく。そして、スマートフォン側のプログラムで夫々のビーコン端末からの電波を受信し、各ビーコンからの距離を算出する。従って、このビーコン端末の近傍では10センチ程度の精度での位置特定が期待できる。
本発明に係わる定点撮影プログラムを用いれば、一般的なスマートフォンのみを用いて、誰でも簡単に定点撮影を行い、被写体の経時変化を観察し記録できる。
F 保存された撮影画像の輪郭
G 表示画像の輪郭
P1、P2 観測場所
C 現在位置

Claims (5)

  1. スマートフォンに実装され、
    被写体をファインダーに表示すると共に、表示された画像を静止画として撮影し記録するカメラ機能と、
    現在位置を検出する現在位置検出機能と、
    現在の撮影方向を検出する撮影方向検出機能と、
    所定の撮影位置および所定の撮影方向を示す情報を記録するデータ記録機能と、
    前記撮影方向検出機能で検出された現在の撮影方向と前記所定の撮影方向との方向の差分を検出する差分検出機能と、
    前記ファインダーに被写体が表示された状態で、その状態における前記方向の差分を示す情報を通知する差分通知機能を実現することを特徴とする定点撮影プログラム。
  2. 前記差分検出機能は、更に現在位置検出機能で検出された現在位置と前記所定の撮影位置との位置の差分を検出し、前記差分通知機能は、前記ファインダーに被写体が表示された状態で、その状態における前記位置の差分を示す情報を通知することを特徴とする請求項1に記載の定点撮影プログラム。
  3. 前記所定の撮影方向を示す情報とは、その方向から撮影された静止画のデータであることを特徴とする請求項2に記載の定点撮影プログラム。
  4. 前記差分検出機能は、前記所定の撮影方向を示す静止画と、前記ファインダーに表示されている画像とを比較して、その相関関係から少なくとも前記方向の差分を検出することを特徴とする請求項3に記載の定点撮影プログラム。
  5. 前記差分通知機能は、前記方向の差分を参照して、前記所定の撮影方向を示す静止画の輪郭を、前記ファインダーに表示されている画像に表示することで行うことを特徴とする請求項4に記載の定点撮影プログラム。
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