以下、添付される図面を参照しながら実施形態について説明する。なお、図面は模式的に示されるものであり、異なる図面にそれぞれ示されている画像の大きさと位置との相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。よって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
<第1実施形態>
以下、本実施形態に関するマルチ画面表示装置およびマルチ画面表示方法について説明する。
図1は、本実施形態に関するマルチ画面表示装置の構成を模式的に示す図である。図1に例示されるように、マルチ画面表示装置は、2台の投写型映像表示装置の画面を組み合わせて、より大きな表示画面を構成したものである。
図1に例示されるように、マルチ画面表示装置は、Rを発光するLED光源3mrと、Gを発光するLED光源3mgと、Bを発光するLED光源3mbと、スクリーン9mと、三原色光センサー10mと、輝度制御部111mとを備える。
図2および図3は、図1に示されるマルチ画面表示装置を実際に運用する場合のハードウェア構成を概略的に示す図である。図2および図3に例示されるように、マルチ画面表示装置は、2台の投写型映像表示装置の画面を組み合わせて、より大きな表示画面を構成したものである。
図2において、一方の投写型表示装置は、マスター投写型表示装置2mである。他方の投写型表示装置は、スレーブ投写型表示装置2sである。マスター投写型表示装置2mとスレーブ投写型表示装置2sとは、概して同じ構成を有する。以下の説明では、マスター投写型表示装置2mを「マスター装置」、スレーブ投写型表示装置2sを「スレーブ装置」と単に呼ぶことがある。
図3において、一方の投写型表示装置は、マスター投写型表示装置202mである。他方の投写型表示装置は、スレーブ投写型表示装置202sである。マスター投写型表示装置202mとスレーブ投写型表示装置202sとは、概して同じ構成を有する。
図2では、図1中のマルチ画面表示装置を実現するハードウェア構成として、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sが示される。
マスター投写型表示装置2mは、Rを発光するLED光源3mrと、Gを発光するLED光源3mgと、Bを発光するLED光源3mbと、光線を選択的に透過および反射するダイクロイックミラー4mと、リレーレンズ5mと、total internal reflection(TIR)プリズム6mと、画像表示デバイスであるDMD7mと、投写レンズ8mと、スクリーン9mと、三原色光センサー10mと、処理回路11mと、記憶装置12mと、処理回路13mとを備える。
また、スレーブ投写型表示装置2sは、Rを発光するLED光源3srと、Gを発光するLED光源3sgと、Bを発光するLED光源3sbと、光線を選択的に透過および反射するダイクロイックミラー4sと、リレーレンズ5sと、TIRプリズム6sと、画像表示デバイスであるDMD7sと、投写レンズ8sと、スクリーン9sと、三原色光センサー10sと、処理回路11sと、記憶装置12sとを備える。
図3では、図1中のマルチ画面表示装置を実現するハードウェア構成として、マスター投写型表示装置202mおよびスレーブ投写型表示装置202sが示される。
マスター投写型表示装置202mは、Rを発光するLED光源3mrと、Gを発光するLED光源3mgと、Bを発光するLED光源3mbと、光線を選択的に透過および反射するダイクロイックミラー4mと、リレーレンズ5mと、TIRプリズム6mと、画像表示デバイスであるDMD7mと、投写レンズ8mと、スクリーン9mと、三原色光センサー10mと、処理回路211mと処理回路13mとを備える。
また、スレーブ投写型表示装置2sは、Rを発光するLED光源3srと、Gを発光するLED光源3sgと、Bを発光するLED光源3sbと、光線を選択的に透過および反射するダイクロイックミラー4sと、リレーレンズ5sと、TIRプリズム6sと、画像表示デバイスであるDMD7sと、投写レンズ8sと、スクリーン9sと、三原色光センサー10sと、処理回路211sとを備える。
記憶装置12mおよび記憶装置12sは、たとえば、ハードディスク(Hard disk drive、すなわちHDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわちRAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわちROM)、フラッシュメモリ、erasable programmable read only memory(EPROM)およびelectrically erasable programmable read−only memory(EEPROM)などの、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)などによって構成されるなどを含むメモリ(記憶媒体)などによって構成される。
処理回路11mは、記憶装置12mに格納されたプログラムを実行するものであってもよい。すなわち、たとえば、中央演算処理装置(central processing unit、すなわちCPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal pocessor、すなわちDSP)であってもよい。処理回路11sは、記憶装置12sに格納されたプログラムを実行するものであってもよい。
処理回路11mが記憶装置12mに格納されたプログラムを実行するものである場合、輝度制御部111mは、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。なお、輝度制御部111mの機能は、たとえば、複数の処理回路が連携することによって実現されてもよい。処理回路11sが記憶装置12sに格納されたプログラムを実行するものである場合、輝度制御部111sは、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、記憶装置12mおよび記憶装置12sに記憶される。処理回路11mは、記憶装置12mに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、上記の機能を実現する。すなわち、記憶装置12mは、処理回路11mに実行されることにより、上記の機能が結果的に実現されるプログラムを記憶する。処理回路11sは、記憶装置12sに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、上記の機能を実現する。
また、処理回路211mは、専用のハードウェアであってもよい。すなわち、たとえば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、集積回路(application specific integrated circuit、すなわちASIC)、field−programmable gate array(FPGA)またはこれらを組み合わせた回路であってもよい。処理回路211sは、専用のハードウェアであってもよい。
処理回路211mが専用のハードウェアである場合、輝度制御部111mは、処理回路211mが動作することにより実現される。なお、処理回路211mの機能は、別々の回路で実現されてもよいし、単一の回路で実現されてもよい。処理回路211sが専用のハードウェアである場合、輝度制御部111sは、処理回路211sが動作することにより実現される。
なお、上記の輝度制御部111mの機能は、一部が記憶装置12mに格納されたプログラムを実行するものである処理回路11mにおいて実現され、一部が専用のハードウェアである処理回路211mにおいて実現されてもよい。また、上記の輝度制御部111sの機能は、一部が記憶装置12sに格納されたプログラムを実行するものである処理回路11sにおいて実現され、一部が専用のハードウェアである処理回路211sにおいて実現されてもよい。
以下、図2を参照しつつ、説明する。
マスター投写型表示装置2mにおいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光された光は、ダイクロイックミラー4mによって合成される。そして、合成された光は、リレーレンズ5mおよび全反射面を有するTIRプリズム6mを通って、DMD7mに照射される。DMD7mでは、映像信号に応じてマイクロミラーの傾きが変わり、R、GおよびBの合成光は、時分割でR、GおよびBの色ごとにオン光とオフ光とに変調される。オン光は投写レンズ8mに出力され、さらに、スクリーン9m上に映像が投写される。
オフ光の光路上には、三原色光センサー10mが配置される。DMD7mからのオフ光は、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbが時分割で点灯する周期に同期しているため、このオフ光が三原色光センサー10mに入射されることにより、マスター投写型表示装置2mの使用中は常時、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbの各色成分の輝度変化および色度変化を監視することができる。
三原色光センサー10mは、DMD7mからのオフ光を取り込んでいるため、使用中にスクリーン9m上に投写される映像を妨げることがない。また、三原色光センサー10mは、DMD7mからのオフ光を取り込んでいるため、外光などの周囲環境の影響も受けにくい。なお、三原色光センサー10mは、R、GおよびBの色ごとに三刺激値XYZデータを出力することができるものとする。
DMD7mにおける光の変調は、処理回路11mにより制御される。マスター投写型表示装置2mにおける処理回路11mとスレーブ投写型表示装置2sにおける処理回路11sとは、RS232Cなどの通信ケーブル16で接続されている。
上記のマスター投写型表示装置2mにおける動作は、スレーブ投写型表示装置2sにおいても概して同様に実現される。
マスター投写型表示装置2mは、その製造時に工場において、カラーアナライザーなどの測定器によりスクリーン9mにR、GおよびBの各映像を表示したときの三刺激値XYZデータSCRmが測定されている。そして、三刺激値XYZデータSCRmが、マスター投写型表示装置2m内部の表示特性記憶手段としての記憶装置12mに記憶されている。また、スレーブ投写型表示装置2sは、その製造時に工場において、カラーアナライザーなどの測定器によりスクリーン9sにR、GおよびBの各映像を表示したときの三刺激値XYZデータSCRsが測定されている。そして、三刺激値XYZデータSCRsが、スレーブ投写型表示装置2s内部の表示特性記憶手段としての記憶装置12sに記憶されている。
すなわち、マスター投写型表示装置2mの記憶装置12mには、マスター投写型表示装置2mの三刺激値XYZデータSCRmが記憶され、スレーブ投写型表示装置2sの記憶装置12sには、スレーブ投写型表示装置2sの三刺激値XYZデータSCRsが記憶されている。
図4は、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sにおける補正演算の手順を示すフローチャートである。以下、図4を参照しつつ、当該補正演算の手順について説明する。
まず、上記のように、マスター投写型表示装置2mでは、スクリーン9mにR、GおよびBの各映像を表示したときの三刺激値XYZデータSCRmが測定される(ステップST1を参照)。そして、三刺激値XYZデータSCRmが、マスター投写型表示装置2m内部の記憶装置12mに記憶される。また、スレーブ投写型表示装置2sでは、スクリーン9sにR、GおよびBの各映像を表示したときの三刺激値XYZデータSCRsが測定される(ステップST2を参照)。そして、三刺激値XYZデータSCRsが、スレーブ投写型表示装置2s内部の記憶装置12sに記憶される。
次に、処理回路13mは、記憶装置12mに記憶されている三刺激値XYZデータSCRmと、通信ケーブル16を通じて供給される、記憶装置12sに記憶されている三刺激値XYZデータSCRsとに基づいて、共通の色再現範囲を算出する。そして、マルチ画面全体の目標輝度および目標色度Ctを算出する(ステップST3を参照)。
マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sの使用開始初期に設定される目標輝度および目標色度Ctの算出方法については、たとえば、特許文献2に記載されている方法を参考にすることができる。
図5は、互いに異なる2つの色再現範囲の一例を示す図である。具体的には、図5は、u’v’色度を示す図である。図5において、縦軸はv’色度を示し、横軸はu’色度を示す。
目標輝度および目標色度Ctの算出方法としては、まず、図5に例示されるように、u’v’色度図上にマスター投写型表示装置2mの三刺激値XYZデータSCRmから算出されるu’v’座標をプロットする。同様に、スレーブ投写型表示装置2sの三刺激値XYZデータSCRsから算出されるu’v’座標をプロットする。ここで、三刺激値XYZデータSCRmから算出されるu’v’座標をプロットした三角形(図5において実線で示される図形)を、三角形RmGmBmとする。また、三刺激値XYZデータSCRsから算出されるu’v’座標をプロットした三角形(図5において点線で示される図形)を、三角形RsGsBsとする。
三角形RmGmBmは、マスター投写型表示装置2mの色再現範囲を示している。また、三角形RsGsBsは、スレーブ投写型表示装置2sの色再現範囲を示している。三角形RmGmBmの座標値と三角形RsGsBsの座標値とから共通領域三角形RtGtBtの座標値を計算する。
すると、共通領域三角形RtGtBtは、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sのどちらの表示装置においても再現可能な(表示可能な)色範囲を表すこととなる。
処理回路13mは、共通領域三角形RtGtBtのu’v’座標値を三刺激値XYZに変換し、これを目標の輝度および目標の色度を表すデータ、すなわち目標輝度および目標色度Ctとする。なお、輝度については、三刺激値XYZデータSCRmおよび三刺激値XYZデータSCRsに含まれる輝度データのうち、最低のものを目標の輝度データとする。
マスター投写型表示装置2mの処理回路11mは、目標輝度および目標色度Ctと、三刺激値XYZデータSCRmとに基づいて、上記の目標輝度および目標色度Ctを生じさせるための補正係数CSCmを演算する(図4におけるステップST4を参照)。
算出された補正係数CSCmは、マスター投写型表示装置2mの記憶装置12mに記憶される。また、マスター投写型表示装置2mの処理回路11mは、算出された補正係数CSCmに基づいて映像信号に対する輝度の補正および色度の補正を行い、補正された映像信号を出力させる。
ここで、マスター投写型表示装置2mにおける目標輝度および目標色度Ctと、三刺激値XYZデータSCRmとは、いずれもR、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータであり、9つの要素で構成されることから、各々3行3列の行列で表すことができる。また、補正係数CSCmは、R、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータの構成要素それぞれの成分の強さを表すものであり、同様に9つの要素で構成されることから、3行3列の行列で表すことができる。そこで、符号を用いて簡略表記すると次の通り示される。
ここで、式中の「×」は行列の積を表す。以下の式中においても同様である。
スレーブ投写型表示装置2sの処理回路11sは、通信ケーブル16を通じてマスター投写型表示装置2mから送信される目標輝度および目標色度Ctを受け、目標輝度および目標色度Ctと三刺激値XYZデータSCRsとに基づいて、スレーブ投写型表示装置2sにおいて上記の目標輝度および目標色度Ctを生じさせるための補正係数CSCsを演算する(図4におけるステップST5を参照)。
算出された補正係数CSCsは、スレーブ投写型表示装置2sの記憶装置12sに記憶される。また、スレーブ投写型表示装置2sの処理回路11sは、算出された補正係数CSCsに基づいて、映像信号に対する輝度の補正および色度の補正を行い、補正された映像信号を出力させる。
ここで、マスター投写型表示装置2mにおいて式(1)で示された場合と同様に、スレーブ投写型表示装置2sにおける目標輝度および目標色度Ctは、次の通り符号を用いて簡略表記される。
マスター投写型表示装置2mにおいて、処理回路11mから出力される補正された映像信号をDMD7mに供給し、また、スレーブ投写型表示装置2sにおいて、処理回路11sから出力される補正された映像信号をDMD7sに供給することで、マルチ画面を構成する投写型映像表示装置の使用開始初期における輝度および色度を、目標輝度および目標色度Ctに近づけるような制御が行われる。
このとき、マスター投写型表示装置2mの処理回路11mは、三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmと、記憶装置12mに記憶されている補正係数CSCmとに基づいて、マスター投写型表示装置2mの使用開始初期におけるセンサーデータ演算値として、初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmを計算する(図4におけるステップST6を参照)。算出された初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmは、マスター投写型表示装置2mの記憶装置12mに記憶される。
ここで、マスター投写型表示装置2mにおける初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmおよび三刺激値XYZデータDSTmは、いずれもR、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータであり、9つの要素で構成されることから、各々3行3列の行列で表すことができる。そこで、符号を用いて簡略表記すると次の通り示される。
スレーブ投写型表示装置2sの場合も同様に、初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftsを計算する(図4におけるステップST7を参照)。スレーブ投写型表示装置2sの場合、使用開始初期の三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsと、記憶装置12sに記憶されている補正係数CSCsとを用いて、マスター投写型表示装置2mにおいて式(3)で示された場合と同様に、次の通り符号を用いて簡略表記される。
算出された初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftsは、スレーブ投写型表示装置2sの記憶装置12sに記憶される。
マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sの使用時間の経過に伴い、LED光源は経年劣化するため、マルチ画面の輝度および色度は使用開始初期から徐々に変化する。すなわち、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度は、使用開始初期に調整された目標輝度および目標色度Ctから徐々に変化していく。また、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の輝度および色度も、使用開始初期に調整された目標輝度および目標色度Ctから徐々に変化していく。
マルチ画面表示装置では、画面間の輝度差および色度差が小さくなるように、各投写型映像表示装置を常時調整する必要がある。そのため、マスター投写型表示装置2mにおいては、三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmに基づいて、画面間の輝度および色度の差が小さくなるように制御を行う。また、スレーブ投写型表示装置2sにおいては、三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsに基づいて、画面間の輝度および色度の差が小さくなるように制御を行う。
前述したように、R、GおよびBのLEDの寿命は個々に異なる。そこで、たとえば、マスター投写型表示装置2mに使用されるRを発光するLED光源3mrの寿命カーブ(使用時間の経過に伴う輝度維持率の推移)と、Gを発光するLED光源3mgの寿命カーブと、Bを発光するLED光源3mbの寿命カーブとを、図6に示す。また、スレーブ投写型表示装置2sに使用されるRを発光するLED光源3srの寿命カーブと、Gを発光するLED光源3sgの寿命カーブと、Bを発光するLED光源3sbの寿命カーブとを、図7に示す。
図6および図7は、すべてのLEDに同じ大きさの電流を流した場合のLEDの寿命カーブを示す概略図である。図6および図7において、縦軸は輝度維持率[%]を示し、横軸は使用時間[時間]を示す。また、図6および図7において、DCはデューティ比を示し、Tjはジャンクション温度(LEDチップの発光層の温度)を示す。また、図6および図7において、RのLEDの寿命カーブは実線で示され、GのLEDの寿命カーブは点線で示され、RのLEDの寿命カーブは一点鎖線で示される。
図6に示される場合と図7に示される場合とでは、ジャンクション温度Tjが異なっている。投写型映像表示装置によく使用されるLED光源の場合、一般にRのLEDの寿命が、GのLEDの寿命およびBのLEDの寿命に比べて短い。また、この寿命カーブは、各LED光源の使用時間経過に伴う輝度維持率の推移を示しているため、R、GおよびBの各LED光源を点灯したときに得られる三刺激値XYZデータのうちのYの値の変化率と同等である。さらに、三刺激値XYZデータにおいて、この輝度に対応するYの値の変化率に対する、Xの値の変化率およびZの値の変化率は、R、GおよびBの色ごとにほぼ同じである。このことは、R、GおよびBの色ごとの三刺激値X、Y、Zの相対比は、使用時間の経過に関わらずほぼ同じとなることから、各LED光源の使用時間経過に伴う色度変化は小さいことを示している。
マスター投写型表示装置2mの処理回路11mは、使用開始からi時間が経過したとき、三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiと、記憶装置12mに記憶されている補正係数CSCmとに基づいて、マスター投写型表示装置2mの使用開始からi時間が経過したときのセンサーデータ演算値として、i時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fmiを演算する(図4におけるステップST8を参照)。
ここで、マスター投写型表示装置2mにおけるi時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fmi、三刺激値XYZデータDSTmiはいずれもR、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータであり、9つの要素で構成されることから各々3行3列の行列で表すことができる。そこで、符号を用いて簡略表記すると次の通り示される。
すなわち、マスター投写型表示装置2mにおけるセンサー輝度およびセンサー色度は、使用開始からi時間が経過することによって、式(3)で示される初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmから、式(5)で示されるi時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fmiに値が変化している。
スレーブ投写型表示装置2sの場合も同様に、i時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fsiを計算する(図4におけるステップST9を参照)。スレーブ投写型表示装置2sの場合は、使用開始からi時間が経過したとき、三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータをDSTsiと、記憶装置12sに記憶されている補正係数CSCsとを用いて、マスター投写型表示装置2mにおいて式(5)で示された場合と同様に、次の通り符号を用いて簡略表記される。
すなわち、スレーブ投写型表示装置2sにおけるセンサー輝度およびセンサー色度は、使用開始からi時間が経過することによって、式(4)で示される初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftsから、式(6)で示されるi時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fsiに値が変化している。
使用開始からi時間が経過したときのマスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度を、所望の輝度および色度に近づけるように制御するためには、i時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fmiが新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiになるように補正を行えばよい。
そこで、マスター投写型表示装置2mの処理回路11mは、三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiと、記憶装置12mに記憶されている補正係数CSCmとに基づいて、マスター投写型表示装置2mにおいて上記の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを生じさせるための補正係数CCGmiを演算する。また、マスター投写型表示装置2mの処理回路11mは、算出された補正係数CCGmiに基づいて、映像信号に対する輝度および色度の補正を行い、補正された映像信号を出力させる。
ここで、マスター投写型表示装置2mにおけるi時間経過後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiおよび三刺激値XYZデータDSTmiは、いずれもR、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータであり、9つの要素で構成されることから各々3行3列の行列で表すことができる。また、補正係数CCGmiは、R、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータの構成要素それぞれの成分の強さを表すため、同様に9つの要素で構成されることから各々3行3列の行列で表すことができる。よって、符号を用いて簡略表記すると次の通り示される。
スレーブ投写型表示装置2sの場合は、使用開始からi時間が経過したとき、新たな目標センサー輝度および目標センサー色度をFtsiとし、この目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを生じさせるための補正係数をCCGsiとすると、マスター投写型表示装置2mにおいて式(7)で示された場合と同様に、スレーブ投写型表示装置2sにおいては次の通り符号を用いて簡略表記される。
使用開始からi時間が経過したときにも、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sの画面間の輝度差および色度差を小さくするためには、マスター投写型表示装置2mにおいては、マスター投写型表示装置2mの使用開始初期に、マルチ画面を目標輝度および目標色度Ctに近づけるように演算された初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmを基準にして、マスター投写型表示装置2mの新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを設定すればよい。また、スレーブ投写型表示装置2sにおいては、スレーブ投写型表示装置2sの使用開始初期に、マルチ画面を目標輝度および目標色度Ctに近づけるように演算された初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftsを基準にして、スレーブ投写型表示装置2sの新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを設定すればよい。
そこで、マスター投写型表示装置2mの初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmに係数δtiを掛け合わせることにより、マスター投写型表示装置2mの新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを算出する。また、スレーブ投写型表示装置2sの初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftsに係数δtiを掛け合わせることにより、スレーブ投写型表示装置2sの新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを算出する。
この共通の係数δtiは、マスター投写型表示装置2mとスレーブ投写型表示装置2sとの間で、R、GおよびBの色ごとの輝度を最大限に多く利用するように設定する。具体的には、マスター投写型表示装置2mとスレーブ投写型表示装置2sとの間で、R、GおよびBの色ごとの輝度維持率をそれぞれ算出し、R、GおよびBの色ごとに、輝度維持率の低い方を選択する。また、係数δtiは、三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiに含まれるR、GおよびBの各輝度値に対応するYの値、および、三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsiに含まれるR、GおよびBの各輝度値に対応するYの値から算出され、R、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータの構成要素それぞれの成分の強さを表すように、9つの要素で構成し3行3列の行列で表されるものとする。
マスター投写型表示装置2mの処理回路13mは、使用開始からi時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiと、通信ケーブル16を通じて供給されるスレーブ投写型表示装置2sの三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsiとに基づいて、上記の係数δtiを算出する(図4におけるステップST10を参照)。
ここで、使用開始からi時間が経過したときにも、マスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度差および色度差を小さくするように制御する場合、マスター投写型表示装置2mにおけるi時間経過後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを計算する式(7)は、式(9)に置き換えることができる。
マスター投写型表示装置2mの処理回路11mは、算出された補正係数CCGmi(図4におけるステップST11を参照)に基づいて、映像信号に対する輝度および色度の補正を行い、補正された映像信号を出力する。
スレーブ投写型表示装置2sの処理回路11sは、通信ケーブル16を通じてマスター投写型表示装置2mから送信される上記の係数δtiを受け、i時間経過後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを計算する。
ここで、使用開始からi時間が経過したときにも、マスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度差および色度差を小さくするように制御する場合、スレーブ投写型表示装置2sにおけるi時間経過後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを計算する式(8)は、式(10)に置き換えることができる。
スレーブ投写型表示装置2sの処理回路11sは、算出された補正係数CCGsi(図4におけるステップST12を参照)に基づいて、映像信号に対する輝度および色度の補正を行い、補正された映像信号を出力する。
マスター投写型表示装置2mにおいて、処理回路11mから出力される補正された映像信号をDMD7mに供給することで、マルチ画面を構成する投写型映像表示装置の使用開始からi時間経過後の輝度および色度を、目標の輝度および色度に近づけるような制御が行われる。
また、スレーブ投写型表示装置2sにおいて、処理回路11sから出力される補正された映像信号をDMD7sに供給することで、マルチ画面を構成する投写型映像表示装置の使用開始からi時間経過後の輝度および色度を、目標の輝度および色度に近づけるような制御が行われる。
このときのマスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度Ctmiは、上記の補正係数CSCmおよび補正係数CCGmiから算出することができる(図4におけるステップST13を参照)。
使用開始からi時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mの処理回路11mからフルビットの映像信号(補正されていない映像信号)をDMD7mに供給した場合のスクリーン9mに表示されるR、GおよびBの各映像の輝度および色度を三刺激値XYZデータSCRmiで表すと、上記の輝度および色度Ctmiと、三刺激値XYZデータSCRmiとはいずれもR、GおよびBの色ごとの三刺激値XYZデータであり、9つの要素で構成されることから各々3行3列の行列で表すことができる。よって、式(7)において、三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiを上記の三刺激値XYZデータSCRmiに置き換えることにより、式(11)で示すことができる。
スレーブ投写型表示装置2sの場合は、使用開始からi時間が経過したとき、スクリーン9sに表示される映像の輝度および色度をCtsiとし、フルビットの映像信号(補正されていない映像信号)をDMD7sに供給した場合のスクリーン9sに表示されるR、GおよびBの各映像の輝度および色度を三刺激値XYZデータSCRsiとすると、マスター投写型表示装置2mにおいて式(11)で示された場合と同様に、スレーブ投写型表示装置2sにおいては次の通り符号を用いて簡略表記される(図4におけるステップST14を参照)。
使用時間の経過に伴って、マスター投写型表示装置2mにおいては、上記の三刺激値XYZデータSCRmiと三原色光センサー10mとから出力される三刺激値XYZデータDSTmiは、構成要素のそれぞれ対応する値が略同じ割合で変化している。また、スレーブ投写型表示装置2sにおいては、上記の三刺激値XYZデータSCRsiと三原色光センサー10sとから出力される三刺激値XYZデータDSTsiは、構成要素のそれぞれ対応する値が略同じ割合で変化している。
よって、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度Ctmi、および、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の輝度および色度Ctsiも略同じ値となる。すなわち、使用開始からi時間が経過したときにも、マスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度差および色度差は小さくなるように調整されている。
以下、マスター投写型表示装置2mの処理回路13mにおける係数δtiの演算、および、処理回路11mにおける補正係数CCGmiの演算について詳しく説明する。なお、スレーブ投写型表示装置2sの処理回路11sにおける補正係数CCGsiの演算も、処理回路11mにおける補正係数CCGmiの演算と同様に行われる。また、以下の演算においては、加法混色が成り立つ投写型表示装置を想定している。
マスター投写型表示装置2mの使用開始初期における目標輝度および目標色度Ctを計算する式(1)は、式(13)の通り示すことができる。
式(13)において、左辺の行列の構成要素Xtr、Ytr、Ztr、Xtg、Ytg、Ztg、Xtb、YtbおよびZtbは、マスター投写型表示装置2mの使用開始初期における目標輝度および目標色度Ctである。また、Ctr(Xtr,Ytr,Ztr)はRを表示した際の三刺激値に等しく、Ctg(Xtg,Ytg,Ztg)はGを表示した際の三刺激値に等しく、Ctb(Xtb,Ytb,Ztb)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
また、式(13)において、右辺の1番目の行列の構成要素Xmr、Ymr、Zmr、Xmg、Ymg、Zmg、Xmb、YmbおよびZmbは、マスター投写型表示装置2mの記憶装置12mに記憶されている、スクリーン9mにR、GおよびBの各映像を表示したときの三刺激値XYZデータSCRmである。また、SCRmr(Xmr,Ymr,Zmr)はRを表示した際の三刺激値に等しく、SCRmg(Xmg,Ymg,Zmg)はGを表示した際の三刺激値に等しく、SCRmb(Xmb,Ymb,Zmb)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
さらに、式(13)において、右辺の2番目の行列の構成要素RRm、RGm、RBm、GRm、GGm、GBm、BRm、BGmおよびBBmは、マスター投写型表示装置2mを使用開始初期に目標輝度および目標色度Ctに調整するための補正係数CSCmである。各構成要素は、R、GおよびB各成分の強さを示しており、RRmはRを表示した際のR単色の成分の強さを示し、RGmはRを表示した際に混色するG成分の強さを示し、RBmはRを表示した際に混色するB成分の強さを示し、GRmはGを表示した際に混色するR成分の強さを示し、GGmはGを表示した際のG単色の成分の強さを示し、GBmはGを表示した際に混色するB成分の強さを示し、BRmはBを表示した際に混色するR成分の強さを示し、BGmはBを表示した際に混色するG成分の強さを示し、BBmはB表示した際のB単色の成分の強さを示す。
なお、R、GおよびB各成分の強さが0から1の範囲中の値を取り得るとき(R、GおよびB各成分の出力の最大値を1とするとき)、補正係数CSCmの構成要素は、
を満たす必要がある。式(14)から式(16)が満足されない場合、マスター投写型表示装置2mの使用開始初期における目標輝度および目標色度Ctにおいて、R、GおよびBの各三刺激値XYZデータCtr、CtgおよびCtbを単純に混色することで得られるWを表示した際の三刺激値XYZデータCtw(Xtw、Ytw、Ztw)が、マルチ画面に正しく反映されない。
この使用開始初期において、マスター投写型表示装置2mの初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmを計算する式(3)は、式(17)の通り示すことができる。
式(17)において、左辺の行列の構成要素Xftmr、Yftmr、Zftmr、Xftmg、Yftmg、Zftmg、Xftmb、YftmbおよびZftmbは、マスター投写型表示装置2mにおける使用開始初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmである。また、Ftmr(Xftmr,Yftmr,Zftmr)はRを表示した際の三刺激値に等しく、Ftmg(Xftmg,Yftmg,Zftmg)はGを表示した際の三刺激値に等しく、Ftmb(Xftmb,Yftmb,Zftmb)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
また、式(17)において、右辺の1番目の行列の構成要素Xdmr、Ydmr、Zdmr、Xdmg、Ydmg、Zdmg、Xdmb、YdmbおよびZdmbは、マスター投写型表示装置2mにおいて、使用開始初期に三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmである。また、DSTmr(Xdmr,Ydmr,Zdmr)はRを表示した際の三刺激値に等しく、DSTmg(Xdmg,Ydmg,Zdmg)はGを表示した際の三刺激値に等しく、DSTmb(Xdmb,Ydmb,Zdmb)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
マスター投写型表示装置2mにおけるセンサー輝度およびセンサー色度は、使用開始からi時間が経過することによって、使用開始初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmからi時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fmiに値が変化する。このi時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fmiを計算する式(5)は、式(18)の通り示すことができる。
式(18)において、左辺の行列の構成要素Xfmri、Yfmri、Zfmri、Xfmgi、Yfmgi、Zfmgi、Xfmbi、YfmbiおよびZfmbiは、マスター投写型表示装置2mにおける使用開始からi時間が経過したときのセンサー輝度およびセンサー色度Fmiである。また、Fmri(Xfmri,Yfmri,Zfmri)はRを表示した際の三刺激値に等しく、Fmgi(Xfmgi,Yfmgi,Zfmgi)はGを表示した際の三刺激値に等しく、Fmbi(Xfmbi,Yfmbi,Zfmbi)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
また、式(18)において、右辺の1番目の行列の構成要素Xdmri、Ydmri、Zdmri、Xdmgi、Ydmgi、Zdmgi、Xdmbi、YdmbiおよびZdmbiは、マスター投写型表示装置2mにおいて、使用開始からi時間が経過したときに三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiである。また、DSTmri(Xdmri,Ydmri,Zdmri)はRを表示した際の三刺激値に等しく、DSTmgi(Xdmgi,Ydmgi,Zdmgi)はGを表示した際の三刺激値に等しく、DSTmbi(Xdmbi,Ydmbi,Zdmbi)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
使用開始からi時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度差および色度差を小さくし、かつ、R、GおよびBの色ごとの輝度を最大限に多く利用するように、マスター投写型表示装置2mにおいて、使用開始からi時間が経過したときのセンサー輝度およびセンサー色度Fmiを、新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを近づかせるような制御を行う。
式(9)に示す通り、新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを計算するにあたり、先に係数δtiを算出する。
マスター投写型表示装置2mにおいて、R、GおよびBを各々発光するLED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbの使用開始からi時間が経過したときの輝度維持率をそれぞれδmri、δmgiおよびδmbiとし、スレーブ投写型表示装置2sにおいて、R、GおよびBを各々発光するLED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbの使用開始からi時間が経過したときの輝度維持率をそれぞれδsri、δsgiおよびδsbiとすると、各輝度維持率は式(19)から式(24)で求められる。
Ydmr、YdmgおよびYdmbは、式(17)で示したように、使用開始初期にマスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmに含まれるR、GおよびBを表示した際の輝度値に対応するデータである。また、Ydmri、YdmgiおよびYdmbiは、式(18)で示したように、使用開始からi時間が経過したときにマスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiに含まれるR、GおよびBを表示した際の輝度値に対応するデータである。
同様に、Ydsr、YdsgおよびYdsbは、使用開始初期にスレーブ投写型表示装置2sの三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsに含まれるR、GおよびBを表示した際の輝度値に対応するデータである。また、Ydsri、YdsgiおよびYdsbiは、使用開始からi時間が経過したときにスレーブ投写型表示装置2sの三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsiに含まれるR、GおよびBを表示した際の輝度値に対応するデータである。
さらに、δmriとδsriとを比べた場合に小さい値を赤色最低維持率δtriとし、δmgiとδsgiとを比べた場合に小さい値を緑色最低維持率δtgiとし、δmbiとδsbiとを比べた場合に小さい値を青色最低維持率δtbiとする。
マスター投写型表示装置2mにおいて、使用開始からi時間が経過したときの新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを計算する式(9)は、式(25)の通り示すことができる。
式(25)において、左辺の2番目の行列は上記の係数δtiである。また、式(25)において、右辺の3番目の行列の構成要素ααmi、αβmi、αγmi、βαmi、ββmi、βγmi、γαmi、γβmiおよびγγmiは、使用開始からi時間が経過したときに、センサー輝度およびセンサー色度Fmiを新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiに近づかせるための補正係数CCGmiである。
補正係数CCGmiを算出する式(26)は、式(25)を変形して得ることができる。
式(26)において算出される補正係数CCGmiにより、使用開始からi時間が経過したときに、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度Ctmiを計算する式(11)は、式(27)の通り示すことができる。
式(27)において、左辺の行列の構成要素Xtmri、Ytmri、Ztmri、Xtmgi、Ytmgi、Ztmgi、Xtmbi、YtmbiおよびZtmbiは、使用開始からi時間が経過したときに、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度Ctmiである。また、Ctmri(Xtmri,Ytmri,Ztmri)はRを表示した際の三刺激値に等しく、Ctmgi(Xtmgi,Ytmgi,Ztmgi)はGを表示した際の三刺激値に等しく、Ctmbi(Xtmbi,Ytmbi,Ztmbi)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
また、式(27)において、右辺の1番目の行列の構成要素Xmri、Ymri、Zmri、Xmgi、Ymgi、Zmgi、Xmbi、YmbiおよびZmbiは、使用開始からi時間が経過したときに、マスター投写型表示装置2mの処理回路11mからフルビットの映像信号(補正されていない映像信号)をDMD7mに供給した場合のスクリーン9mに表示されるR、GおよびBの各映像の輝度および色度を表す三刺激値XYZデータSCRmiである。また、SCRmri(Xmri,Ymri,Zmri)はRを表示した際の三刺激値に等しく、SCRmgi(Xmgi,Ymgi,Zmgi)はGを表示した際の三刺激値に等しく、SCRmbi(Xmbi,Ymbi,Zmbi)はBを表示した際の三刺激値に等しい。
上記の通り、一連の演算を通して最終的には式(27)より、使用開始からi時間が経過したときに、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度Ctmiが得られ、スレーブ投写型表示装置2sにおいても同様の演算により、スクリーン9sに表示される映像の輝度および色度Ctsiが得られ、輝度および色度Ctmiの値と、輝度および色度Ctsiの値とは略同じ値となる。
以上、使用時間の経過に関わらず、マスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度および色度の差を小さくし、かつ、R、GおよびBの色ごとの輝度を最大限に多く利用するように制御するための補正演算の方法について説明したが、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sを長時間使用した後にどの程度の効果が得られるのかを、具体的な数値例を用いて説明する。
使用開始初期において、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の目標輝度および目標色度Ctを計算する式(1)は、式(13)により式(28)の通りに、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の目標輝度および目標色度Ctを計算する式(2)は、式(13)により式(29)の通りに表されるものとする。
(28)および式(29)において、左辺の行列が使用開始初期に調整される目標輝度および目標色度Ctであるが、この行列の構成要素の値から目標輝度および目標色度Ctは、
と算出される。なお、式(28)および式(29)においては、各々の式の右辺の2番目の行列に示される補正係数CSCmおよび補正係数CSCsについて、式(14)から式(16)の条件も満足されている。
式(28)に示される補正係数CSCm、および、式(29)に示される補正係数CSCsにより、この使用開始初期におけるマスター投写型表示装置2mにおける初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmを計算する式(3)は、式(17)により式(30)の通りに、スレーブ投写型表示装置2sにおける初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftsを計算する式(4)は、式(17)により式(31)の通りに表されるものとする。
使用時間の経過に伴うマスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度の変化を調整するために、また、使用時間の経過に伴うスレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の輝度および色度の変化を調整するために、たとえば、使用開始から60,000時間が経過したときの輝度および色度の補正演算を行う。
使用開始から60,000時間の経過に伴い、マスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiの値も、スレーブ投写型表示装置2sの三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsiの値も各々変化する。
マスター投写型表示装置2mにおける60,000時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fmiを計算する式(5)は、式(18)により式(32)の通りに、スレーブ投写型表示装置2sにおける60,000時間経過後のセンサー輝度およびセンサー色度Fsiを計算する式(6)は、式(18)により式(33)の通りに表されるものとする。
使用開始から60,000時間が経過したときのマスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度および色度の差を小さくし、かつ、R、GおよびBの色ごとの輝度を最大限に多く利用するような新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiおよび目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを計算する。そのために、式(9)および式(10)に示される係数δtiの構成要素δtri、δtgiおよびδtbiを得るためのマスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sのLED光源の色ごとの輝度維持率は、式(19)から式(24)により式(34)から式(39)の通り算出される。
式(34)から式(39)で算出される値より、係数δtiの構成要素は、
となる。
なお、前述したように、マスター投写型表示装置2mに使用されるLED光源の寿命カーブは図6で示され、スレーブ投写型表示装置2sに使用されるLED光源の寿命カーブは図7で示されるとすると、図6および図7から読み取ることができる各LED光源の輝度維持率と、式(34)から式(39)で示したマスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiの値から算出される各LED光源の輝度維持率、および、式(34)から式(39)で示したスレーブ投写型表示装置2sの三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsiの値から算出される各LED光源の輝度維持率とは、いずれも近い値となっていることがわかる。
使用開始から60,000時間が経過したときに、マスター投写型表示装置2mにおいて新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを生じさせるための補正係数CCGmiは、式(26)により式(40)の通りに、スレーブ投写型表示装置2sにおいて新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを生じさせるための補正係数CCGsiは、式(26)により式(41)の通りに計算される。
ここで、マスター投写型表示装置2mの使用開始から60,000時間が経過したときの目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを計算する式(25)において、右辺の2番目の行列(使用開始初期の補正係数CSCm)と3番目の行列(使用から60,000時間が経過したときの補正係数CCGmi)との積を計算すると、式(42)となる。
式(42)により計算される値は、式(25)からわかるように、使用開始から60,000時間が経過したときのマスター投写型表示装置2mを新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiに近づけるために、式(25)の右辺の1番目の行列であるマスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmiに基づいて、R、GおよびB各成分の強さを決定するための新たな補正係数となる。
そのため、使用開始初期に演算される補正係数CSCmが式(14)から式(16)で示される場合と同様に、R、GおよびB各成分の強さが0から1の範囲中の値を取り得るとき(R、GおよびB各成分の出力の最大値を1とするとき)、R、GおよびBの色ごとの成分の出力の合計が1を超えないようにする(すなわち正規化する)必要がある。
たとえば、式(42)においては、R成分の出力の合計が、
となっており、式(25)により計算されるマスター投写型表示装置2mの60,000時間経過後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiにおいて、R、GおよびBを単純に混色することで得られるWの輝度および色度がマルチ画面に正しく反映されない。
そこで、式(26)に基づき、式(40)により算出されるマスター投写型表示装置2mの補正係数CCGmiにおいては、補正係数CCGmiの各構成要素からααmi+βαmi+γαmi、αβmi+ββmi+γβmi、および、αγmi+βγmi+γγmiを計算する。また、式(41)により算出されるスレーブ投写型表示装置2sの補正係数CCGsiにおいては、補正係数CCGsiの各構成要素からααsi+βαsi+γαsi、αβsi+ββsi+γβsi、および、αγsi+βγsi+γγsiを計算する。
さらに、これら算出された6つの値の中における最大値をMAXαβγとすると、マスター投写型表示装置2mの補正係数CCGmiは、式(43)から式(51)で表されるααmI、αβmI、αγmI、βαmI、ββmI、βγmI、γαmI、γβmIおよびγγmIを構成要素とする新たな補正係数CCGmIに置き換えることにより、60,000時間経過後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiにおいて、R、GおよびBを単純に混色することで得られるWの輝度および色度をマルチ画面に正しく反映させることができるようになる。
スレーブ投写型表示装置2sにおいても同様に演算して、補正係数CCGsiはααsI、αβsI、αγsI、βαsI、ββsI、βγsI、γαsI、γβsIおよびγγsIを構成要素とする新たな補正係数CCGsIに置き換えることにより、60,000時間経過後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiにおいて、Wの輝度および色度をマルチ画面に正しく反映させることができるようになる。
上記の演算から得られるマスター投写型表示装置2mの補正係数CCGmI、および、スレーブ投写型表示装置2sの補正係数CCGsIにより、使用開始から60,000時間が経過したときのマルチ画面の輝度および色度Ctmiを計算する式(27)は、マスター投写型表示装置2mにおいては式(52)に示す通りに、スレーブ投写型表示装置2sにおいては式(53)に示す通りに表すことができる。
式(52)の左辺の行列の構成要素により、使用開始から60,000時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像は、
と算出される。また、式(53)の左辺の行列の構成要素により、使用開始から60,000時間が経過したとき、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像は、
と算出される。上記の通り、マスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度差および色度差が、R、G、BおよびWのいずれを表示したときにも小さくなるように調整されていることがわかる。
一方、上記の補正演算の結果と比較するために、たとえば特許文献1に記載されているような従来のマルチ画面表示装置の一例として、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像、および、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像において、Wの色度を使用時間の経過に係らず常に略一定となるように調整するための、マスター投写型表示装置2mの補正係数CCGmI、および、スレーブ投写型表示装置2sの補正係数CCGsIの演算を行う。
マスター投写型表示装置2mにおいては、使用開始から60,000時間が経過したときのセンサー輝度およびセンサー色度Fmiを、使用開始初期の目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmに近づかせるように補正係数CCGmiを算出する。そのためには、式(40)において、60,000時間後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftmiを求めるための係数δtiの構成要素δtri、δtgiおよびδtbiを同じ割合とすればよいので(R、GおよびBの各成分の強さを揃えればよいので)、たとえばいずれも1に設定し、補正係数CCGmiを計算する式(40)は式(54)に置き換えられる。
同様に、スレーブ投写型表示装置2sにおいては、式(41)において、60,000時間後の新たな目標センサー輝度および目標センサー色度Ftsiを求めるための係数δtiの構成要素δtri、δtgiおよびδtbiを同じ割合とすればよいので(R、GおよびBの各成分の強さを揃えればよいので)、たとえばいずれも1に設定し、補正係数CCGsiを計算する式(41)は式(55)に置き換えられる。
式(54)および式(55)により算出されるマスター投写型表示装置2mの補正係数CCGmi、および、スレーブ投写型表示装置2sの補正係数CCGsiを、各々新たな補正係数CCGmIおよび補正係数CCGsIに置き換える演算方法は上記と同様である。使用開始から60,000時間が経過したときのマルチ画面の輝度および色度Ctmiを計算する式(52)は、マスター投写型表示装置2mにおいては式(56)に示す通りに、スレーブ投写型表示装置2sにおいては式(57)に示す通りに表すことができる。
式(56)の左辺の行列の構成要素により、使用開始から60,000時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像は、
と算出される。また、式(57)の左辺の行列の構成要素により、使用開始から60,000時間が経過したとき、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像は、
と算出される。上記の通り、マスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度差および色度差が、R、G、BおよびWのいずれを表示したときにも小さくなるように調整されていることがわかる。
以上を整理すると、マルチ画面のWの輝度および色度において、使用開始初期に調整される初期値は、式(28)および(29)により、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sともに、
であったものが、本実施形態によるR、GおよびBの色ごとの輝度を最大限に多く利用するように補正する演算方法では、使用開始から60,000時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mにおいては式(52)により、
スレーブ投写型表示装置2sにおいては式(53)により、
となる。
すなわち、初期値と比較すると、Wの色度はduv=0.027の変化を生じているものの、輝度は約70%を維持していることがわかる。
一方、マルチ画面のWの色度を使用開始から時間経過に関わらず常に略一定となるように補正する従来の演算方法では、使用開始から60,000時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mにおいては式(56)により、
スレーブ投写型表示装置2sにおいては式(57)により、
となる。
すなわち、初期値と比較すると、Wの色度はduv=0.003の変化しかなく略一定となっているものの、輝度は約42%の維持率しかなく、Wの輝度が大きく低下していることがわかる。
これは、図6および図7に示す通り、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sに使用されるR、GおよびBのLED光源において、RのLED寿命が他のG、Bに比べて短く、Rの輝度低下が早いので、マルチ画面のWの色度を略一定に保とうとすると、R、GおよびBの輝度バランスを維持するために、最も輝度が低下したRに合わせて、他のGおよびBの映像信号ゲインを下げる必要があるためである。
これに対し、本実施形態の通り、R、GおよびBの輝度バランスを維持する代わりに、R、GおよびBの色ごとの輝度をできるだけ多く利用するようにWの目標色度を使用時間の経過とともに逐次設定し直していくと、時間経過に伴ってWの色度に徐々に変化は生じるものの、GおよびBの映像信号ゲインを下げる割合を小さくすることができるので、マルチ画面としての輝度維持率を高めることができる。なお、いずれの演算方法においても、使用時間の経過に係らずR、GおよびBの色度変化は小さく、略一定を維持している。
通信系統図または運行系統図のように、原色を基調としていてフルカラーの色再現性をさほど重要視しない映像コンテンツをマルチ画面に表示する場合には、本実施形態の演算方法を用いることにより、使用時間の経過に伴う各投写型映像表示装置の画面間における輝度の差および色度の差を自動的に小さくなるように調整することができる。また、マルチ画面が輝度低下する時間、たとえば、使用開始初期に対して輝度半減するまでの時間を延ばすことができる。
よって、投写型映像表示装置または光源装置のみを交換する頻度を減らし、マルチ画面表示装置のメンテナンスのためのコストを抑えることができる。
上記の実施形態では、マルチ画面表示装置を2台の投写型映像表示装置で構成しているが、マルチ画面表示装置を3台以上の投写型映像表示装置で構成してもよい。この場合、たとえば任意に選んだ1番目と2番目の投写型表示装置間で最初の上記演算を行い、次にその演算結果と3番目の投写型映像表示装置との間で同様の演算を行い、以下、これらの処理を繰り返すことにより同様の結果が得られる。すなわち、複数の投写型表示装置間で最も低い、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiを求めることにより、上記と同様の結果が得られる。
<第2実施形態>
本実施形態に関するマルチ画面表示装置およびマルチ画面表示方法について説明する。以下では、上記の実施形態で説明された構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
上記の第1実施形態では、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の三刺激値XYZデータ、および、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の三刺激値XYZデータと、三原色光センサー10mおよび三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータにおいて、各々対応する構成要素の値が、使用時間の経過に伴って変化する際の変化率との間には、略等しい関係にあるものの、R、GおよびB間の値の比率、および、X、YおよびZ間の値の比率は異なる場合の一例を示している。
すなわち、各々の三刺激値XYZデータから算出されるR、GおよびBの色度値、または、R、GおよびB間の輝度比は異なっているため、使用開始初期におけるマスター投写型表示装置2mとスレーブ投写型表示装置2sとに共通の目標輝度および目標色度Ctを算出する際、三原色光センサー10mおよび三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータを、そのまま演算に使用することはできない。
それに対し、三原色光センサー10mおよび三原色光センサー10sに高精度の三原色光センサーを用いる場合には、三原色光センサー10mおよび三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータをそのまま演算に用いて、使用開始初期における目標輝度および目標色度Ctを算出することが可能となる。
上記の高精度の三原色光センサーとは、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の三刺激値XYZデータ、および、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の三刺激値XYZデータに対して、各々対応する構成要素の値が、使用時間の経過に伴って変化する際の変化率が略等しく、かつ、R、GおよびB間の値の比率、および、X、YおよびZ間の値の比率も略等しい三刺激値XYZデータを出力することが可能な、三原色光センサーを指す。すなわち、各々の三刺激値XYZデータから算出されるR、GおよびBの色度値、または、R、GおよびB間の輝度比は略同じとなる。
本実施形態のマルチ画面表示装置の構成は、上記の第1実施形態と同じく図1、図2および図3に示す通りである。また、マスター投写型表示装置2mの処理回路11m、スレーブ投写型表示装置2sの処理回路11s、または、マスター投写型表示装置2mの処理回路13mが行う補正係数または目標輝度および目標色度の演算方法も、上記の第1実施形態と概して同様である。
ただし、マスター投写型表示装置2mの製造時、工場において、カラーアナライザーなどの測定器により、スクリーン9mにR、GおよびBの各映像を表示したときの三刺激値XYZデータSCRmを測定する必要はない。また、スレーブ投写型表示装置2sの製造時に、工場において、カラーアナライザーなどの測定器により、各々のスクリーン9sにR、GおよびBの各映像を表示したときの三刺激値XYZデータSCRsを測定する必要はない。そのため、上記の第1実施形態における式(1)および式(2)の演算は、本実施形態では必要としない。
図8は、マスター投写型表示装置2mおよびスレーブ投写型表示装置2sにおける補正演算の手順を示すフローチャートである。以下、図8を参照しつつ、当該補正演算の手順について説明する。
使用開始初期における目標輝度および目標色度Ctは、マスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTm(ステップST101を参照)、および、スレーブ投写型表示装置2sの三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTs(ステップST102を参照)から演算される(ステップST103を参照)。
上記の第1実施形態において、マスター投写型表示装置2mの使用開始初期におけるセンサー輝度およびセンサー色度Ftmを計算する式(3)は式(58)に示す通りに(ステップST104を参照)、スレーブ投写型表示装置2sの使用開始初期におけるセンサー輝度およびセンサー色度Ftsを計算する式(4)は式(59)に示す通りに置き換えることにより(ステップST105を参照)、本実施形態における目標輝度および目標色度Ctが算出される。
すなわち、マスター投写型表示装置2mの初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftmと、スレーブ投写型表示装置2sの初期のセンサー輝度およびセンサー色度Ftsとは等しく、かつ、使用開始初期におけるマスター投写型表示装置2mと、スレーブ投写型表示装置2sとに共通の目標輝度および目標色度Ctを表す。
使用開始からi時間が経過したとき、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の輝度および色度Ctmi(ステップST106、ステップST108、ステップST109およびステップST111を参照)、および、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の輝度および色度Ctsi(ステップST107、ステップST108、ステップST110およびステップST112を参照)の演算方法は、上記の第1実施形態における式(5)から式(12)と同様である。
すなわち、マスター投写型表示装置2mの三原色光センサー10mが、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mに表示される映像の三刺激値XYZデータに対して、等価な三刺激値XYZデータを出力することができれば、本実施形態においても上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。また、スレーブ投写型表示装置2sの三原色光センサー10sが、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sに表示される映像の三刺激値XYZデータに対して、等価な三刺激値XYZデータを出力することができれば、本実施形態においても上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、上記の第1実施形態では、マスター投写型表示装置2mの製造時およびスレーブ投写型表示装置2sの製造時に、工場において測定された三刺激値XYZデータSCRmおよび三刺激値XYZデータSCRsにより、設置後の使用開始初期の目標輝度および目標色度Ctを算出している。
そのため、製造時の環境温度と実際に設置される場所の環境温度(特にLEDのジャンクション温度Tj)が大きく異なる場合にはLED光源の発光強度も違ってくるため、使用開始初期に調整されるマスター投写型表示装置2mの画面と、スレーブ投写型表示装置2sの画面との間の輝度および色度に差が生じることがある。
それに対し、本実施形態においては、マスター投写型表示装置2mの使用開始初期における目標輝度および目標色度Ctは、実際に設置した環境で三原色光センサー10mから出力される三刺激値XYZデータDSTmにより算出されているため、上記のような環境温度の違いの影響を受けることがない。また、スレーブ投写型表示装置2sの使用開始初期における目標輝度および目標色度Ctは、実際に設置した環境で三原色光センサー10sから出力される三刺激値XYZデータDSTsにより算出されているため、上記のような環境温度の違いの影響を受けることがない。
<効果>
以下に、上記の実施形態による効果を例示する。
上記の実施形態によれば、マルチ画面表示装置は、複数の映像表示装置の画面、すなわち、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mと、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sとを組み合わせて1つのマルチ画面を構成する。
そして、マスター投写型表示装置2mは、スクリーン9mに映像を表示するための光を発光するLED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbと、三原色光センサー10mとを備える。
三原色光センサー10mは、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度値を測定する。
また、スレーブ投写型表示装置2sは、スクリーン9sに映像を表示するための光を発光するLED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbと、三原色光センサー10sとを備える。
三原色光センサー10sは、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度値を測定する。
また、マルチ画面表示装置は、三原色光センサー10mにおいて測定された各輝度値に基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度を制御する輝度制御部111mを備える。
また、マルチ画面表示装置は、三原色光センサー10sにおいて測定された各輝度値に基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度を制御する輝度制御部111sを備える。
そして、輝度制御部111mは、LED光源3mrの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を赤色最低維持率δtriとする。
そして、輝度制御部111mは、LED光源3mrの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、また、輝度制御部111sは、LED光源3srの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を赤色最低維持率δtriとする。
また、輝度制御部111mは、LED光源3mgの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、また、輝度制御部111sは、LED光源3sgの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を緑色最低維持率δtgiとする。
また、輝度制御部111mは、LED光源3mbの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、また、輝度制御部111sは、LED光源3sbの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を青色最低維持率δtbiとする。
また、輝度制御部111mは、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度を制御する。
また、輝度制御部111sは、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度を制御する。
また、上記の実施形態によれば、マルチ画面表示装置は、複数の映像表示装置の画面、すなわち、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mと、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sとを組み合わせて1つのマルチ画面を構成する。
そして、マスター投写型表示装置2mは、スクリーン9mに映像を表示するための光を発光するLED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbと、三原色光センサー10mとを備える。
三原色光センサー10mは、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度値を測定する。
また、スレーブ投写型表示装置2sは、スクリーン9sに映像を表示するための光を発光するLED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbと、三原色光センサー10sとを備える。
三原色光センサー10sは、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度値を測定する。
また、マルチ画面表示装置は、プログラムを実行する処理回路11mと、プログラムを記憶する記憶装置12mとを備える。
また、マルチ画面表示装置は、プログラムを実行する処理回路11sと、プログラムを記憶する記憶装置12sとを備える。
そして、処理回路11mがプログラムを実行することによって、以下の動作が実現される。
すなわち、三原色光センサー10mにおいて測定された各輝度値に基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度が制御される。
ここで、LED光源3mrの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3srの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を赤色最低維持率δtriとする。
また、LED光源3mgの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3sgの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を緑色最低維持率δtgiとする。
また、LED光源3mbの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3sbの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を青色最低維持率δtbiとする。
そして、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度が制御される。
また、処理回路11sがプログラムを実行することによって、以下の動作が実現される。
すなわち、三原色光センサー10sにおいて測定された各輝度値に基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度が制御される。
そして、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度が制御される。
また、上記の実施形態によれば、マルチ画面表示装置は、複数の映像表示装置の画面、すなわち、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mと、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sとを組み合わせて1つのマルチ画面を構成する。
そして、マスター投写型表示装置2mは、スクリーン9mに映像を表示するための光を発光するLED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbと、三原色光センサー10mとを備える。
三原色光センサー10mは、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度値を測定する。
また、スレーブ投写型表示装置2sは、スクリーン9sに映像を表示するための光を発光するLED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbと、三原色光センサー10sとを備える。
三原色光センサー10sは、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度値を測定する。
また、マルチ画面表示装置は、処理回路211mを備える。また、マルチ画面表示装置は、処理回路211sを備える。
そして、処理回路211mは、以下の動作を行う。
すなわち、処理回路211mは、三原色光センサー10mにおいて測定された各輝度値に基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度を制御する。
ここで、LED光源3mrの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3srの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を赤色最低維持率δtriとする。
また、LED光源3mgの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3sgの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を緑色最低維持率δtgiとする。
また、LED光源3mbの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3sbの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を青色最低維持率δtbiとする。
そして、処理回路211mは、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度を制御する。
また、処理回路211sは、以下の動作を行う。
すなわち、処理回路211sは、三原色光センサー10sにおいて測定された各輝度値に基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度を制御する。
そして、処理回路211sは、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度を制御する。
このような構成によれば、R、GおよびBの輝度バランスを維持する代わりに、R、GおよびBの色ごとの輝度をできるだけ多く利用するように輝度制御を行うことができるため、マルチ画面に映像を表示する際、輝度の低下を抑制しつつ調整することができる。
特に、通信系統図または運行系統図のように、原色を基調としていてフルカラーの色再現性をさほど重要視しない映像コンテンツをマルチ画面に表示する場合には、本実施形態の演算方法を用いることにより、使用時間の経過に伴う各投写型映像表示装置の画面間における輝度の差および色度の差を自動的に小さくなるように調整することができる。
また、複数の映像表示装置において共通に再現可能な範囲で輝度を制御するため、各映像表示装置の画面間における輝度の差および色度の差を小さくすることができる。
また、輝度の低下を抑制することによって、たとえば、使用開始初期に対して輝度が半減するまでの使用時間を延ばすことができる。よって、映像表示装置自体またはLED光源を交換する頻度を減らすことができるため、マルチ画面表示装置のメンテナンスのためのコストを抑えることができる。
また、映像信号ゲインを下げる割合を小さくすることができるので、マルチ画面に表示される映像の階調を多く維持することができ、表現することができる色数が増える。
なお、これらの構成以外の構成については適宜省略することができるが、本明細書に示される他の構成のうちの少なくとも1つを適宜追加した場合でも、上記の効果を生じさせることができる。
また、上記の実施形態によれば、輝度制御部111mは、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiを正規化し、正規化された赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度を制御する。また、輝度制御部111sは、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiを正規化し、正規化された赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度を制御する。
このような構成によれば、正規化されることによって、R、GおよびBを単純に混色することで得られるWの輝度および色度がマルチ画面に正しく反映される範囲で、各発光ダイオードから発光される光の輝度を制御することができる。
また、上記の実施形態によれば、マスター投写型表示装置2mは、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光をオン光とオフ光とに変調するDMD7mを備える。
そして、三原色光センサー10mは、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される光のうちオフ光に変調された各光を測定する。
また、スレーブ投写型表示装置2sは、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光をオン光とオフ光とに変調するDMD7sを備える。
そして、三原色光センサー10sは、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される光のうちオフ光に変調された各光を測定する。
このような構成によれば、三原色光センサーが、スクリーンに投写される映像を妨げることがない。そのため、マルチ画面表示装置の使用中は、常時適切に、LED光源の輝度および色度変化を監視することができる。
また、上記の実施形態によれば、輝度値は、三刺激値XYZデータである。
また、上記の実施形態によれば、マルチ画面表示方法において、複数の映像表示装置の画面、すなわち、マスター投写型表示装置2mのスクリーン9mと、スレーブ投写型表示装置2sのスクリーン9sとを組み合わせて1つのマルチ画面に映像を表示する。
そして、マスター投写型表示装置2mは、スクリーン9mに映像を表示するための光を発光するLED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbと、三原色光センサー10mとを備える。
三原色光センサー10mは、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度値を測定する。
また、スレーブ投写型表示装置2sは、スクリーン9sに映像を表示するための光を発光するLED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbと、三原色光センサー10sとを備える。
三原色光センサー10sは、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度値を測定する。
そして、LED光源3mrの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3srの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を赤色最低維持率δtriとする。
また、LED光源3mgの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3sgの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を緑色最低維持率δtgiとする。
また、LED光源3mbの、使用開始時の輝度値に対する測定された輝度値の割合である輝度維持率を算出し、LED光源3sbの輝度維持率を算出し、そのうちの最も低い輝度維持率を青色最低維持率δtbiとする。
また、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3mr、LED光源3mgおよびLED光源3mbから発光される各光の輝度を制御する。
また、赤色最低維持率δtri、緑色最低維持率δtgiおよび青色最低維持率δtbiに基づいて、LED光源3sr、LED光源3sgおよびLED光源3sbから発光される各光の輝度を制御する。
このような構成によれば、R、GおよびBの輝度バランスを維持する代わりに、R、GおよびBの色ごとの輝度をできるだけ多く利用するように輝度制御を行うことができるため、マルチ画面に映像を表示する際、輝度の低下を抑制しつつ調整することができる。
なお、これらの構成以外の構成については適宜省略することができるが、本明細書に示される他の構成のうちの少なくとも1つを適宜追加した場合でも、上記の効果を生じさせることができる。
<変形例>
上記実施形態では、各構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載している場合があるが、これらはすべての局面において例示であって、本明細書に記載されたものに限られることはない。よって、例示されていない無数の変形例が、本技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれる。
また、矛盾が生じない限り、上記実施形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよい。さらに、各構成要素は概念的な単位であって、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含む。また、各構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれる。
また、本明細書における説明は、本技術に関するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
また、上記実施形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
また、上記実施形態で記載された各構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、各構成要素は「部」または「処理回路」などと称される。
本技術は、各構成要素が複数の装置に分散して備えられる場合(すなわち、システムのような態様)であってもよい。