JP2016219761A - 構造体の作製方法、および半導体装置の作製方法 - Google Patents

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浩平 大島
Kohei Oshima
浩平 大島
森若 智昭
Tomoaki Moriwaka
智昭 森若
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Abstract

【課題】平坦性の高い構造体を提供する。【解決手段】基板上に第1層を形成し、第1層上に第2層を成膜し、第2層を部分的にエッチングすることにより第3層を形成し、第1層、および第3層上に第1絶縁層を成膜し、第1絶縁層上に第4層を成膜し、第4層上に第5層を成膜し、第4層が露出するまで第5層に対して第1研磨を行うことにより第6層を形成し、第4層が無くなるまで第6層、第4層、および第1絶縁層を第2研磨することにより、第2絶縁層を形成し、第3層がある部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離と、第3層がない部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離が揃っている構成とする。【選択図】図8

Description

本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置またはその作製方法に関する。
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、表示装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(表示装置)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
例えば、トランジスタの活性層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、および亜鉛(Zn)を含む非晶質酸化物半導体を用いたトランジスタが特許文献1に開示されている。
特開2006−165528号公報
半導体装置を安定動作させるうえで、トランジスタの電気特性を制御することはきわめて重要な要素である。
一方で、トランジスタの作製工程(特に成膜、加工など)は、微細化が進む度に困難を増している。各工程により生じるトランジスタの形状ばらつきが、トランジスタの諸特性、そしてトランジスタの信頼性に大きな影響を与えてしまう恐れがある。
とりわけ、微細化したトランジスタにおいて、平坦性の向上は、重要な要素である。凹凸を有することにより、残渣の発生や位置合わせ精度の低下などを引き起こしてしまう。平坦性を向上させることにより、トランジスタの形状を安定させることができ、特性ばらつきを抑制することができる。さらには、トランジスタの電気特性を向上させることができる。
したがって、本発明の一態様は、平坦性を向上させた構造体の製造方法を提供することを目的の一つする。または、電気特性が良好なトランジスタを提供することを目的の一つとする。または、トランジスタの作製工程に起因した特性のばらつきを低減することを目的の一つとする。または、トランジスタの信頼性を向上させることを目的の一つする。または、酸素欠損の少ない酸化物半導体層を有するトランジスタを提供することを目的の一つとする。または、酸化物半導体層近傍の界面準位を低減することができる構成のトランジスタを提供することを目的の一つとする。または、低消費電力の半導体装置を提供することを目的の一つとする。または、新規な半導体装置などを提供することを目的の一つとする。または上記半導体装置の作製方法を提供することを目的の一つとする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
(1)
本発明の一態様は、基板上に第1層を形成し、第1層上に第2層を成膜し、第2層を部分的にエッチングすることにより第3層を形成し、第1層、および第3層上に第1絶縁層を成膜し、第1絶縁層上に第4層を成膜し、第4層上に第5層を成膜し、第4層が露出するまで第5層に対して第1研磨を行うことにより第6層を形成し、第4層が無くなるまで第6層、第4層、および第1絶縁層を第2研磨することにより、第2絶縁層を形成し、第3層がある部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離と、第3層がない部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離が揃っていること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(2)
本発明の別の一態様は、(1)において、第2研磨において、第6層、または1絶縁層のエッチング速度に比して、第4層のエッチング速度は1.5倍以上高いこと、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(3)
本発明の別の一態様は、(1)または(2)において、第4層は、第3層よりも厚い領域を有すること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(4)
本発明の別の一態様は、基板上に第1層を形成し、第1層上に第2層を成膜し、第2層を部分的にエッチングすることにより第3層を形成し、第1層、および第3層上に第1絶縁層を成膜し、第1絶縁層上に導電層を成膜し、導電層が無くなるまで、導電層および第1絶縁層を研磨することにより、第2絶縁層を形成し、第3層がある部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離と、第3層がない部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離が揃っていること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(5)
本発明の別の一態様は、(4)において、研磨において、第1絶縁層のエッチング速度に比して、導電層のエッチング速度は1.5倍以上高いこと、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(6)
本発明の別の一態様は、(4)または(5)において、導電層は、第3層よりも厚い領域を有すること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(7)
本発明の別の一態様は、第1層を形成し、第1層上に第2層を成膜し、第2層を部分的にエッチングすることにより第3層を形成し、第1層、および第3層上に第1絶縁層を成膜し、第1絶縁層上に導電層を成膜し、導電層上に第2絶縁層を成膜し、導電層が露出するまで第2絶縁層に対して第1研磨を行うことにより第3絶縁層を形成し、導電層が無くなるまで導電層、第3絶縁層、または第1絶縁層を第2研磨することにより第4絶縁層を形成し、第3層がある部分の基板下面から第4絶縁層上面の距離と、第3層がない部分の基板下面から第4絶縁層上面の距離を同じであること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(8)
本発明の別の一態様は、(7)において、第2研磨において、第3絶縁層、または1絶縁層のエッチング速度に比して、導電層のエッチング速度は1.5倍以上高いこと、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(9)
本発明の別の一態様は、(7)または(8)において、導電層は、第3層よりも厚い領域を有すること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(10)
本発明の別の一態様は、(7)乃至(9)のいずれか一において、第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層、および第4絶縁層は、シリコン、および酸素を有し、導電層は、タングステンを有すること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(11)
本発明の別の一態様は、(7)乃至(9)のいずれか一において、第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層、および第4絶縁層は、シリコン、および酸素を有し、導電層は、タングステンを有すること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(12)
本発明の別の一態様は、(6)乃至(10)のいずれか一において、第2研磨に用いるスラリーは酸化剤を0.02mol/l以上0.2mol/l以下有すること、を特徴とする、構造体の作製方法である。
(13)
本発明の別の一態様は、基板上に第1絶縁層を成膜し、第1絶縁層上に第1酸化物絶縁層、第1酸化物半導体層、および第1導電層を成膜し、第1酸化物絶縁層、第1酸化物半導体層、および第1導電層を、第1マスクを用いて部分的にエッチングすることにより、第2酸化物絶縁層、第2酸化物半導体層、および第2導電層を形成し、第1絶縁層、および第2導電層上に、第2絶縁層を成膜し、第2絶縁膜上に第3導電層を成膜し、第3導電層上に第3絶縁層を成膜し、第3導電層が露出するまで第3絶縁層に対して第1研磨を行うことにより、第4絶縁層を形成し、第3導電層が無くなるまで第3導電層、第4絶縁層、または第2絶縁層を第2研磨することにより第5絶縁層を形成し、第2導電層がある部分の基板下面から第5絶縁層上面までの垂直距離と、第2導電層がない部分の基板下面から第5絶縁層上面までの垂直距離は揃っていて、第2のマスクを用いて、第5絶縁層および第2導電層を部分的にエッチングすることにより、第2酸化物半導体層に達する溝部、第6絶縁層、ソース電極層およびドレイン電極層を形成し、第6絶縁層および第2酸化物半導体層上に第3酸化物絶縁層を成膜し、第3酸化物絶縁層上に第7絶縁層を成膜し、第7絶縁層上に第4導電層を成膜し、第4導電層、第7絶縁層、および第3酸化物絶縁層を第3化学機械研磨することにより、ゲート電極層、ゲート絶縁層、および第4酸化物絶縁層を形成すること、を特徴とする、半導体装置の作製方法である。
(14)
本発明の別の一態様は、(13)おいて、第2研磨において、第4絶縁層、または2絶縁層のエッチング速度に比して、第3導電層の研磨速度は1.5倍以上高いこと、を特徴とする、半導体装置の作製方法である。
(15)
本発明の別の一態様は、(13)または(14)において、第3導電層の厚さは、第2酸化物絶縁層下面から第2導電層上面までの長さよりも大きい領域を有すること、を特徴とする、半導体装置の作製方法である。
(16)
本発明の別の一態様は、(13)乃至(15)のいずれか一において、第2絶縁層、第3絶縁層、第4絶縁層、第5絶縁層、および第6絶縁層は、シリコン、酸素を有し、第3導電層は、タングステンを有すること、を特徴とする、半導体装置の作製方法である。
(17)
本発明の別の一態様は、(13)乃至(16)のいずれか一において、第1研磨は、アルカリ性のスラリーを用いて行い、第2研磨は、酸性であって、かつ酸化剤を有するスラリーを用いて行うこと、を特徴とする、半導体装置の作製方法である。
(18)
本発明の別の一態様は、(13)乃至(17)のいずれか一において、第2研磨に用いるスラリーは酸化剤を0.02mol/l以上0.2mol/l以下有すること、を特徴とする、半導体装置の作製方法である。
本発明の一態様を用いることにより、平坦性を向上させた構造体の製造方法を提供することができる。または、電気特性が良好なトランジスタを提供することができる。または、トランジスタの作製工程に起因した特性のばらつきを低減することができる。または、トランジスタの信頼性を向上させることができる。または、酸素欠損の少ない酸化物半導体層を有するトランジスタを提供することができる。または、酸化物半導体層近傍の界面準位を低減することができる。構成のトランジスタを提供することができる。または、低消費電力の半導体装置を提供することができる。または、新規な半導体装置などを提供することができる。または上記半導体装置の作製方法を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
構造体を説明する上面図および断面図。 構造体の作製方法を説明する上面図および断面図。 CMP装置概要図。 構造体の作製方法を説明する上面図および断面図。 構造体の作製方法を説明する上面図および断面図。 構造体の作製方法を説明する上面図および断面図。 構造体の作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 酸化物半導体層のバンド図。 ALD成膜原理。 ALD装置概要図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 CAAC−OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図、ならびにCAAC−OSの制限視野電子回折パターンを示す図。 CAAC−OSの断面TEM像、ならびに平面TEM像およびその画像解析像。 nc−OSの電子回折パターンを示す図、およびnc−OSの断面TEM像。 a−like OSの断面TEM像。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。 半導体装置の断面図および回路図。 半導体装置の断面図および回路図。 撮像装置を示す平面図。 撮像装置の画素を示す平面図。 撮像装置を示す断面図。 撮像装置を示す断面図。 RFタグの構成例を説明する図。 CPUの構成例を説明する図。 記憶素子の回路図。 表示装置の構成例を説明する図および画素の回路図。 液晶表示装置の上面図および断面図 発光装置の上面図および断面図 表示モジュールを説明する図。 リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を表す斜視図。 電子機器を説明する図。 電子機器を説明する図。 電子機器を説明する図。 電子機器を説明する図。 観察サンプルの断面模式図。 サンプルの断面STEM写真。 スラリー中の過酸化水素濃度に対する研磨速度 トランジスタの断面STEM写真。 トランジスタの断面STEM写真。 トランジスタのId−Vd特性、Id−Vg特性。 トランジスタの信頼性試験前後のId−Vg特性。 th、VshのL長依存性 SSのL長依存性 トランジスタのチャネル幅方向の断面における活性層の電子電流密度分布 オン電流のL長依存性 トランジスタの周波数特性評価結果 周波数特性のL長依存性 メモリ保持評価色とメモリ保持特性評価結果 緩和時間のアレニウスプロット
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、上記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、上記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)との間の経路であり、上記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、上記第3の接続経路は、上記第2の接続経路を有しておらず、上記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、上記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、上記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、上記第3の接続経路は、上記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、上記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、上記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、上記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、上記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
<図面を説明する記載に関する付記>
本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
また、「同一」とは、同一の面積を有してよいし、同一の形状を有してもよい。また、製造工程の関係上、完全に同一の形状とならないことも想定されるので、略同一であっても同一であると言い換えることができる。
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソースとドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるため、いずれがソース又はドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソースとして機能する部分、及びドレインとして機能する部分を、ソース又はドレインと呼ばず、ソースとドレインとの一方を第1電極と表記し、ソースとドレインとの他方を第2電極と表記する場合がある。
なお本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されものを、表示装置と呼ぶ場合がある。
また、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
<語句の定義に関する付記>
以下では、上記実施の形態中で言及した語句の定義について説明する。
本明細書において、「端部」とは、設けられた各層の端の領域をいう。例えば、上面から見た場合には線として表記することがある。また、断面方向から見た場合には上面、側面、段差を有する側面などとして表すことがある。
本明細書において、「トレンチ」、または「溝」という用語を用いた場合、細い帯状の凹みをいう。
本明細書において、「揃っている」とは、平坦性が高いことを説明するために用いている。「A地点と、B地点で、基板の下面からある膜の上面までの垂直距離が揃っている。」とした場合には、作製上生じてしまうばらつきも考慮して、距離が同一でない場合も含むことができる。
<接続について>
本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、および/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことが出来る。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、および/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の構造体30と、その作製方法について図面を用いて説明する。
<構造体30>
図1(A)、図1(B)、図1(C)は、本発明の一態様の構造体30の上面図および断面図である。図1(A)は上面図であり、図1(B)は図1(A)に示す一点鎖線A1−A2間、図1(C)は図1(A)に示すA3−A4間の断面図である。
構造体30は、基板100、層31、層33、絶縁層175bを有する。
層31は、基板100上に設けられる。
層33は、層31上に設けられる。
絶縁層175bは、層31、および層33上に設けられる。
構造体30は、基板100上の第3層がある部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離と、第3層がない部分の基板下面から第2絶縁層上面の垂直距離が揃っている。絶縁層175bの上面において、凹凸がなく、高い平坦性を有しているということもできる。
また、構造体30は、層33上の絶縁層175bの厚さを小さくしても、絶縁層175bにおいて平坦な上面を有することができる。これにより、絶縁層175bに微小でアスペクト比の小さい溝部を形成することができ、埋め込み性を向上させることができる。
<構造体30の作製方法>
次に、構造体30の作製方法について、図3乃至図6を用いて説明する。
本実施の形態において、構造体30を構成する各層(絶縁層、酸化物半導体層、導電層等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いて形成することができる。あるいは、塗布法や印刷法で形成することができる。成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法が代表的であるが、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、MOCVD(有機金属化学堆積)法やALD(原子層成膜)法を使ってもよい。また、スパッタリング法では、ロングスロー方式とコリメート方式を組み合わせて用いることで、埋め込み性を向上させることができる。
《基板100》
基板100には、例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムからなる化合物半導体基板、SOI(Semiconductor On Insulator)基板などを用いることも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを用いてもよい
基板100は、単なる支持材料に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタのゲート電極層160、ソース電極層130、およびドレイン電極層140の一つは、上記の他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
また、基板100として、可撓性基板を用いてもよい。なお、可撓性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可撓性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可撓性基板である基板100に転置する方法もある。その場合には、非可撓性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板100として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板100が伸縮性を有してもよい。また、基板100は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板100の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板100を薄くすると、半導体装置を軽量化することができる。また、基板100を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板100上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可撓性基板である基板100としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。可撓性基板である基板100は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可撓性基板である基板100としては、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板である基板100として好適である。
<層31の形成>
基板100上に層31を形成する。層31は、プラズマCVD法、熱CVD法(MOCVD法、ALD法)、またはスパッタリング法、めっき法等により形成することができる。層31は、導電層でもよいし、絶縁層でもよいし、基板やフィルムでもよい。例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いて形成することができる。
<層33の形成>
次に、層31上に層33を成膜する。層33は、スパッタ法やCVD法(プラズマCVD法、MOCVD法、ALD法など)、MBE法、蒸着法、めっき法などにより膜を形成後、当該膜をパターニング法、ナノインプリンティング法などにより形成してもよいし、インクジェット法などの描画により形成してもよい。層33は、導電層でもよいし、絶縁層でもよいし、半導体層でもよい。例えば、導電層の場合、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。
<絶縁膜175aの成膜>
次に、層31、および層33上に絶縁層175bとなる絶縁膜175aを成膜する。
絶縁膜175aは、プラズマCVD法、熱CVD法(MOCVD法、ALD法)、またはスパッタリング法等により形成することができる。絶縁膜175aは、酸素、窒素、フッ素、水素、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化フッ化シリコン(SiOxFy)窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。
<導電膜177aの形成>
次に、絶縁膜175a上に導電膜177aを成膜する。導電膜177aとしては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。第2の導電膜160aは、スパッタ法やCVD法(プラズマCVD法、MOCVD法、ALD法など)、MBE法、蒸着法、めっき法などにより形成することができる。また、導電膜177aとしては、窒素を含んだ導電膜を用いてもよく、上記導電膜と窒素を含んだ導電膜の積層を用いてもよい。
また、導電膜177aは、層33よりも厚い領域を有することが望ましい。 これにより、絶縁層175bを形成した後に、絶縁層175bの上面の高さを基板全域にわたって、揃えることができる。
<絶縁膜179aの成膜>
次に、導電膜177a上に絶縁膜179aを成膜する(図2参照)。
絶縁膜179aは、絶縁膜175aと同様の方法で形成することができる。
<平坦化処理>
次に、平坦化処理を行う。平坦化処理は、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法、ドライエッチング法などを用いて行うことができる。
本発明において、平坦化処理としては、CMP法を用いることが望ましい。
<CMP法の原理について>
CMP法は、薬液による表面反応と機械的な研磨処理を組み合わせた加工方法であり、トランジスタの各層を研磨し、平坦化することができる。主に、スラリーと呼ばれる砥粒を含んだ薬液を用いて研磨処理を行う。
金属系の材料には、酸性のスラリーを用いて、酸化反応を促進しながら研磨処理を行うことが望ましい。また、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン膜などにおいては、アルカリ性のスラリーを用いて研磨処理を行ってもよいし、酸性のスラリーを用いてもよい。
<CMPの装置構成>
図3にCMPの装置構成を示す。CMP装置は、ヘッド1901、スラリー供給口1902、スラリー1903、研磨布1904、ステージ1905、筐体1907を有する。基板1900をヘッド1901内のリテーナで保持しながら、研磨処理を行う。この時、基板背面からエアーを供給し、吸着せずに処理を行ってもよいし、基板を吸着しながら研磨処理を行ってもよい。
研磨時において、ヘッド1901とステージ1905はそれぞれ回転させて処理を行う。ヘッド1901とステージ1905はそれぞれ同一の回転数で処理を行ってもよいし、異なる回転数で処理を行ってもよい。なお、ヘッド1901とステージ1905の回転数を10rpm以下の差を設けることで、研磨ムラの抑制や膜厚分布が向上するため、望ましい。
また、研磨時において、加圧1906をしながら研磨することが望ましい。加圧することで、研磨量の面内分布の均一性、また研磨速度を向上させることができる。
また、研磨時において、用いる研磨布には溝を設けることが望ましい。溝を設けることで、スラリーや、研磨カスの残留が抑えられ、研磨量の面内均一性の向上や、研磨ムラの抑制、研磨によるキズの抑制の効果が得られる。
<絶縁層175bの形成>
本発明の一態様として、絶縁層175bの形成において、研磨処理は2ステップに分けて研磨することが好ましい。
<第1の研磨処理>
はじめに、第1の研磨処理を行う。第1の研磨処理の処理においては、絶縁膜179aを研磨する。第1の研磨処理の処理においては、アルカリ性のスラリーを用いることが好ましい。
また、第1の研磨処理は、導電膜177aが露出するまで行い、絶縁層179bを形成する(図4参照)。なお、アルカリ性のスラリーを用いることで、導電膜177aの露出後、導電膜177aのエッチング速度が低下するため、形状制御が容易となる。
また、第1の研磨処理で用いるスラリーは、コロイダルシリカを有してもよいし、ヒュームドシリカを有してもよい。
また、第1の研磨処理は、導電膜177aが全面に露出するまで行ってもよい(図5参照)。
<第2の研磨処理>
次に、導電膜177a、および絶縁層179bに対して、第2の研磨処理を行う。第2の研磨処理の処理においては、酸性のスラリーを用いることが好ましい。また、当該スラリーには、酸化剤を有することが好ましい。スラリー中の酸化剤の濃度は、0.01mol/l以上0.3mol/l以下、好ましくは0.02mol/l以上0.2mol/l以下とすることが望ましい。 当該酸化剤としては、例えば過酸化水素を用いることができる。
続いて、第2の研磨処理を進めることで、絶縁膜175aが露出し、導電層177bが形成される(図6参照)。この時、構造体30を上面方向から見た場合、導電層177bが広い面積を占めた状態となる。
なお、第2の研磨処理において、膜種を検出できることが望ましい。検出感度は絶縁膜、導電膜などを判断できる程度でよい。検出方法は、光を用いた検出方法(反射率、透過率、屈折率等)でもよく、力を用いた検出方法(トルク検出など)を用いてもよい。
例えば、第2の研磨処理では、研磨する表面の光による検出(反射率)を行うことができる。上記検出を行うことで、導電層177bが消失するタイミングを正確に把握することができる。
第2の研磨処理において、導電層177bの終点検出を行い、絶縁層175bを形成する。 なお、導電層177bの消失するタイミングを正確に把握できることで、層33上の絶縁層175bの膜厚を薄くしても、絶縁層175bの上面を平坦にすることができる。
また、第2の研磨処理において、導電膜177aおよび導電層177bの研磨速度は、絶縁層179bおよび絶縁膜175aのエッチング速度に比して、1.5倍以上、好ましくは2以上高くすることが好ましい 。これにより絶縁層175bの上面をより平坦にすることができる。
また、第2の研磨処理において、コロイダルシリカを含んだスラリーを用いることが望ましい。コロイダルシリカを含んだスラリーを用いることで、絶縁層175bの表面の凹凸を除去、低減することができる。
なお、上記に示した構造体30の作製方法において、絶縁膜179aを成膜せずに作成してもよい。この場合、導電膜177a、導電層177bは平坦化と終点検出の機能を有することができる。
以上により、構造体30を形成することができる(図7参照)。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置と、その作製方法について図面を用いて説明する。
<トランジスタの構成>
図8(A)、図8(B)、図8(C)は、本発明の一態様のトランジスタ10の上面図および断面図である。図8(A)は上面図であり、図8(B)は図8(A)に示す一点鎖線B1−B2間、図8(C)は図8(A)に示すB3−B4間の断面図である。なお、図8(A)では、図の明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。また、一点鎖線B1−B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3−B4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ10は、基板100と、絶縁層110と、酸化物絶縁層121と、酸化物半導体層122と、酸化物絶縁層123と、ソース電極層130と、ドレイン電極層140と、ゲート絶縁層150と、ゲート電極層160と、絶縁層175と、溝部174、絶縁層170と、を有する。
絶縁層110は、基板100上に設けられる。酸化物絶縁層121は、絶縁層110上に設けられる。
酸化物半導体層122は、酸化物絶縁層121上に設けられる。
ソース電極層130、およびドレイン電極層140は、酸化物半導体層122上に設けられ、酸化物半導体層122と電気的に接続する。
絶縁層175は、絶縁層110、ソース電極層130、およびドレイン電極層140に設けられる。また、絶縁層175は、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122の側面と接する領域を有し、酸化物半導体層122の上面まで達する溝部174を有する。
酸化物絶縁層123は、絶縁層110、酸化物半導体層122、ソース電極層130、およびドレイン電極層140上に設けられる。また、酸化物絶縁層123は、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、ソース電極層130およびドレイン電極層140の側面と接する領域を有する。
ゲート絶縁層150は、酸化物絶縁層123上に設けられる。
ゲート電極層160は、ゲート絶縁層150上に設けられる。
絶縁層170は、絶縁層175、酸化物絶縁層121、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160上に設けられる。
なお、ソース電極層130、またはドレイン電極層140の上面の位置は、基板面に対してゲート電極層160の下面の位置よりも低くてもよいし、同じでもよいし、高くてもよい。
トランジスタ10は、溝部174、絶縁層175を有する点、酸化物絶縁層123、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160が溝部174に埋め込まれている点で、トランジスタ10と異なる。酸化物絶縁層123、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160は、溝部の側面および底面に沿って配置され、第1の絶縁層の側面と接する領域を有している。この構造とすることで、トランジスタ10の構造で得られる効果に加えて、さらに使用するマスク数を削減することができ、トランジスタの製造工程を短縮することができる。また、ゲート電極層160とソース電極層130との間の寄生容量、ゲート電極層160とドレイン電極層140との間の寄生容量を低減させることができるため、トランジスタの遮断周波数特性が向上するなど、トランジスタの高速動作が可能となる。
トランジスタ10は、図8(B)B3−B4断面図に示すように、チャネル幅方向において、ゲート電極層160はゲート絶縁層150を介して酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123の側面と対向する。即ち、ゲート電極層160に電圧が印加されると、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123は、チャネル幅方向においてゲート電極層160の電界で囲まれる。ゲート電極層160の電界で半導体層が囲まれるトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。また、トランジスタ10は、セルフアラインでゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を形成することができるため、位置合わせ精度が緩和され、微細なトランジスタを容易に作製することが可能となる。なお、このような構造をセルフアライン s−channel FET(Self Align s−channel FET、SA s−channel FET)構造、またはトレンチゲートs−channel FET(Trech gate s−channel FET)、TGSA FET(Trench Gate Self Align)構造、またはゲートラストs−channel(gate last s−channel FET)と呼ぶ。
また、トランジスタ10は、ゲート電極層160とソース電極層130との間の寄生容量、ゲート電極層160とドレイン電極層140との間の寄生容量を低減させることができるため、トランジスタの遮断周波数特性が向上するなど、トランジスタの高速動作が可能となる。
また、上記に述べた構造は、酸化物半導体層122と、ソース電極層130、およびドレイン電極層140とが接するため、トランジスタ10の動作時に酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、および酸化物絶縁層123内に生じる熱に対して、放熱効果が高い特徴を有する。
なお、トランジスタ10において、オン状態では酸化物半導体層122の全体(バルク)にチャネルが形成されるため、ソースとドレイン間を流れる電流量が増大する。
<チャネル長について>
なお、トランジスタにおけるチャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
<チャネル幅について>
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
<SCWについて>
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
<微細化における特性向上>
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、チャネル幅が縮小するとオン電流が低下する。
例えば、図8に示す本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように、チャネルが形成される酸化物半導体層122を覆うように酸化物絶縁層123が形成されており、チャネル形成領域とゲート絶縁層が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成領域とゲート絶縁層との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタでは、チャネルとなる酸化物半導体層122のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層160が形成されているため、酸化物半導体層122に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、酸化物半導体層の全体にゲート電界が印加されることとなり、電流は酸化物絶縁層123全体に流れるようになるため、さらにオン電流を高められる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、酸化物絶縁層123を酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果や、酸化物絶縁層123を中間に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、S値(サブスレッショルド値)を小さくすることができる。したがって、Icut(ゲート電圧VGが0V時の電流)を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。
または、本発明の一態様のトランジスタは、チャネルとなる酸化物半導体層122のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層160が形成されているため、酸化物半導体層122に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、酸化物半導体層122の全体にゲート電界が印加されることとなり、ドレイン電界の影響を抑えることができ、ショートチャネル効果を大幅に抑制することができる。したがって、微細化した場合においても、良好な特性を得ることができる。
または、本発明の一態様のトランジスタは、チャネルとなる酸化物半導体層122にワイドバンドギャップの材料を有することにより、ソースードレイン耐圧特性が高く、また様々な温度環境において安定した電気特性を有することができる。
なお、本実施の形態において、チャネルなどにおいて、酸化物半導体層などを用いた場合の例を示したが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。例えば、チャネルやその近傍、ソース領域、ドレイン領域などを、場合によっては、または、状況に応じて、シリコン(歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体、などを有する材料で形成してもよい。
<トランジスタの各構成>
以下に本実施の形態のトランジスタの構成について示す。なお、実施の形態1と説明が重複する部分については、その説明を援用する。
《絶縁層110》
絶縁層110は、酸素、窒素、フッ素、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。
絶縁層110は、基板100からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半導体層122に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁層110は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁膜であることがより好ましい。例えば、TDS法にて、酸素原子に換算しての酸素放出量が1.0×1019atoms/cm以上である膜とする。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。また、上述のように基板100が他のデバイスが形成された基板である場合、絶縁層110は、層間絶縁膜としての機能も有する。その場合は、表面が平坦になるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
また、酸素、フッ素。シリコンを有する絶縁膜とすることで、水素の拡散を抑える機能を有することができる。
《酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123》
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123は、In若しくはZnを含む酸化物半導体膜であり、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−Mg酸化物、Zn−Mg酸化物、In−M−Zn酸化物(MはGa、Al、Ti、Ga、Y、Sn、Zr、La、Ce、Mg、Hf、またはNd)がある。
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123として用いることのできる酸化物は、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体層を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある。
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123中のインジウムやガリウムなどの含有量は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)や、X線電子分光法(XPS)、ICP質量分析(ICP−MS)で比較できる。
酸化物半導体層122は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上であるため、トランジスタ10のオフ電流を低減することができる。
酸化物半導体層122の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
なお、酸化物半導体層122の厚さは、少なくとも酸化物絶縁層121と比較して、薄く形成してもよいし、同じとしてもよいし、厚く形成してもよい。たとえば、酸化物半導体層122を厚くした場合、トランジスタのオン電流を高めることができる。また、酸化物絶縁層121は、酸化物半導体層122の界面準位の生成を抑制する効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば、酸化物半導体層122の厚さは、酸化物絶縁層121の厚さに対して、1倍よりも大きく、または2倍以上、または4倍以上、または6倍以上とすることができる。また、トランジスタのオン電流を高める必要のない場合には、酸化物絶縁層121の厚さを酸化物半導体層122の厚さ以上としてもよい。例えば、絶縁層110、あるいは絶縁層180に酸素を添加した場合、加熱処理により、酸化物半導体層122に含まれる酸素欠損量を低減することができ、半導体装置の電気特性を安定させることができる。
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123、それぞれの組成が異なる場合、界面は、走査型透過電子顕微鏡STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)を用いて観察することができる場合がある。
また、酸化物半導体層122は、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123よりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体層では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがMよりも多い組成となる酸化物はInがMと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層122にインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
また、酸化物半導体層122がIn−M−Zn酸化物(MはGa、Al、Ti、Ga、Y、Sn、Zr、La、Ce、Mg、Hf、またはNd)の場合、酸化物半導体層122を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/(x1+y1+z1)は、1/3以上とすることが好ましい。また、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることが好ましい。これにより、酸化物半導体層122としてCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、2:1:1.5、2:1:2.3、2:1:3、3:1:2、4:2:3、4:2:4.1等がある。
酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123として、Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNdを、Inより高い原子数比で有することで、以下の効果を有する場合がある。(1)酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122および酸化物絶縁層123のエネルギーギャップを大きくする。(2)酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123の電子親和力を小さくする。(3)外部からの不純物を遮蔽する。(4)酸化物半導体層122と比較して、絶縁性が高くなる。(5)Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、Hf、またはNdは、酸素との結合力が強い金属元素であるため、Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、Hf、またはNdをInより高い原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
また、酸化物絶縁層121、および酸化物絶縁層123は、酸化物半導体層122を構成する元素の一種以上から構成される酸化物である。このため、酸化物半導体層122と酸化物絶縁層121、および酸化物絶縁層123との界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタ10の電界効果移動度が高くなる。
酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123は、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−Mg酸化物、Ga−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、In−M−Zn酸化物(MはGa、Al、Ti、Ga、Y、Sn、Zr、La、Ce、Mg、Hf、またはNd)であり、且つ酸化物半導体層122よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123の伝導帯下端のエネルギーと、酸化物半導体層122の伝導帯下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.2eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。即ち、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123の電子親和力と、酸化物半導体層122との電子親和力との差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.2eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差を示す。
また、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123がIn−M−Zn酸化物(MはGa、Al、Ti、Ga、Y、Sn、Zr、La、Ce、Mg、Hf、またはNd)の場合、酸化物半導体層122と比較して、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123に含まれるM(Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNd)の原子数比が高く、前述のMで表した元素はインジウムよりも酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123に生じることを抑制する機能を有する。即ち、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123は酸化物半導体層122よりも酸素欠損が生じにくい酸化物半導体膜である。
また、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123がIn−M−Zn酸化物(MはGa、Al、Ti、Ga、Y、Sn、Zr、La、Ce、Mg、Hf、またはNd)の場合、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x2:y2:z2とすると、x2/y2<x1/y1であって、z2/y2は、1/10以上6以下、さらには0.2以上3以下であることが好ましい。
また、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123は、酸化物半導体層122と比較して絶縁性が高いため、ゲート絶縁層と同様の機能を有する。
また、酸化物絶縁層123は、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン、酸化ゲルマニウム、または酸化ジルコニアに置き換えることもできるし、酸化物絶縁層123上に当該金属酸化物を有することもできる。
また、酸化物絶縁層123は、酸化物半導体層122の界面準位の生成を抑制する効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば、酸化物絶縁層121と同等またはそれ以下の厚さとすればよい。酸化物絶縁層123が厚いと、ゲート電極層160による電界が酸化物半導体層122に届きにくくなる恐れがあるため、酸化物絶縁層123は薄く形成することが好ましい。また、酸化物絶縁層123に含まれる酸素がソース電極層130、ドレイン電極層140に拡散し、ソース電極層130、ドレイン電極層140が酸化するのを防ぐため、酸化物絶縁層123の膜厚は薄い方が好ましい。例えば、酸化物絶縁層123は酸化物半導体層122の厚さよりも薄くすればよい。なお、これに限られず、酸化物絶縁層123の厚さはゲート絶縁層150の耐圧を考慮して、トランジスタを駆動させる電圧に応じて適宜設定すればよい。
例えば、酸化物絶縁層123の厚さは、1nm以上20nm以下、または3nm以上10nm以下とすることが好ましい。
また、酸化物絶縁層123がIn−M−Zn酸化物(MはGa、Al、Ti、Ga、Y、Sn、Zr、La、Ce、Mg、Hf、またはNd)の場合、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x3:y3:z3とすると、x3/y3<x1/y1であって、z3/y3は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z2/y2を1以上6以下とすることで、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:3:8、1:4:4、1:4:5、1:4:6、1:4:7、1:4:8、1:5:5、1:5:6、1:5:7、1:5:8、1:6:8、1:6:4、1:9:6等がある。なお、原子数比はこれらに限られず、必要とする半導体特性に応じて適切な原子数比のものを用いればよい。
また、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123の原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
例えば、酸化物半導体層122となる酸化物半導体膜を成膜する場合、成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1を用いて成膜すると、酸化物半導体膜の金属元素の原子数比はIn:Ga:Zn=1:1:0.6程度となり、亜鉛の原子数比が同一あるいは低下する場合がある。したがって、原子数比を記載した場合には、該原子数比の近傍を包含する。
<水素濃度について>
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が含まれている酸化物半導体層を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。
このため、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面において、酸素欠損と共に、水素ができる限り低減されていることが好ましい。例えば、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面において二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度は、1×1016atoms/cm以上2×1020atoms/cm以下、好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下とすることが望ましい。この結果、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有することができる。
<炭素、シリコン濃度について>
また、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123において酸素欠損が増加し、n型領域が形成されてしまう。このため、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面におけるシリコン、および炭素濃度は、低減することが望ましい。例えば、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面においてSIMSにより得られるシリコンや炭素の濃度は、1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上2×1018atoms/cm以下とすることが望ましい。この結果、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
<アルカリ金属の濃度について>
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体層と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。たとえば、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面において、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下とすることが望ましい。これにより、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有することができる。
<窒素濃度について>
また、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびそれぞれの界面に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型領域が形成されてしまう。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体層を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123およびそれぞれの界面において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、酸化物絶縁層123およびそれぞれの界面においてSIMSにより得られる窒素濃度は、1×1015atoms/cm以上5×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1015atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1015atoms/cm以上1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1015atoms/cm以上5×1017atoms/cm以下にすることが好ましい。これにより、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有することができる。
ただし、酸化物半導体層122中に余剰の亜鉛を有する場合には、この限りではない。余剰の亜鉛は、酸化物半導体層122中に酸素欠損を形成する恐れがある。そのため、余剰亜鉛を有する場合には、酸化物半導体層122中に0.001乃至3atomic%の窒素を有することにより、余剰亜鉛に起因した酸素欠損を不活化することができる場合がある。したがって、当該窒素によりトランジスタの特性バラつきが解消され、信頼性を向上させることができる。
<キャリア密度について>
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123の不純物を低減することで、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123のキャリア密度を低減することができる。このため、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123は、キャリア密度が1×1015個/cm以下、好ましくは1×1013個/cm以下、さらに好ましくは8×1011個/cm未満、より好ましくは1×1011個/cm未満、最も好ましくは1×1010個/cm未満であり、1×10−9個/cm以上とする。
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができる。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体層は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。
また、上述のように高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流を数yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123は、例えば微結晶構造でもよい。微結晶構造の酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶を膜中に含む。または、微結晶構造の酸化物膜および酸化物半導体膜は、例えば、非晶質相に1nm以上10nm未満の結晶部を有する混相構造である。
酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123は、例えば非晶質構造でもよい。非晶質構造の、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
なお、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123が、CAAC−OS、微結晶構造、および非晶質構造の二以上の構造の領域を有する混合膜であってもよい。混合膜として、例えば、非晶質構造の領域と、微結晶構造の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する単層構造がある。または、混合膜として、例えば、非晶質構造の領域と、微結晶構造の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造がある。
なお、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、および酸化物絶縁層123は、例えば、単結晶構造を有してもよい。
酸化物半導体層122と比較して酸素欠損の生じにくい酸化物絶縁層を酸化物半導体層122の上下に接して設けることで、酸化物半導体層122における酸素欠損を低減することができる。また、酸化物半導体層122は、酸化物半導体層122を構成する金属元素の一以上を有する酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123と接するため、酸化物絶縁層121と酸化物半導体層122との界面、酸化物半導体層122と酸化物絶縁層123との界面における界面準位密度が極めて低い。例えば、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123、ゲート絶縁層150、絶縁層110、絶縁層180に酸素を添加した後、加熱処理を行うことで該酸素が酸化物絶縁層121および酸化物絶縁層123を経由して酸化物半導体層122へ酸素が移動するが、このときに界面準位において酸素が捕獲されにくく、効率よく酸化物絶縁層121または酸化物絶縁層123に含まれる酸素を酸化物半導体層122へ移動させることが可能である。この結果、酸化物半導体層122に含まれる酸素欠損を低減することが可能である。また、酸化物絶縁層121または酸化物絶縁層123にも酸素が添加されるため、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123の酸素欠損を低減することが可能である。即ち、少なくとも酸化物半導体層122の局在準位密度を低減することができる。
また、酸化物半導体層122が、構成元素の異なる絶縁膜(例えば、酸化シリコン膜を含むゲート絶縁層)と接する場合、界面準位が形成され、該界面準位はチャネルを形成することがある。このような場合、しきい値電圧の異なる第2のトランジスタが出現し、トランジスタの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。しかしながら、酸化物半導体層122を構成する金属元素を一種以上含む酸化物絶縁層121および酸化物絶縁層123が酸化物半導体層122と接するため、酸化物絶縁層121と酸化物半導体層122の界面、および酸化物絶縁層123と酸化物半導体層122の界面に界面準位を形成しにくくなる。
また、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123は、それぞれ絶縁層110、ゲート絶縁層150の構成元素が酸化物半導体層122へ混入して、不純物による準位が形成されることを抑制するためのバリア膜としても機能する。
例えば、絶縁層110、またはゲート絶縁層150として、シリコンを含む絶縁膜を用いる場合、ゲート絶縁層150中のシリコン、または絶縁層110と、ゲート絶縁層150中に混入されうる炭素が、酸化物絶縁層121または酸化物絶縁層123の中へ界面から数nm程度まで混入することがある。シリコン、炭素等の不純物が酸化物半導体層122中に入ると不純物準位を形成し、不純物準位がドナーとなり電子を生成することでn型化することがある。
しかしながら、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123の膜厚が、数nmよりも厚ければ、混入したシリコン、炭素等の不純物が酸化物半導体層122にまで到達しないため、不純物準位の影響は低減される。
よって、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。
また、ゲート絶縁層150と酸化物半導体層122が接して、その界面にチャネルが形成される場合、該界面で界面散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなる。しかしながら、酸化物半導体層122を構成する金属元素を一種以上含む酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123が酸化物半導体層122に接して設けられるため、酸化物半導体層122と酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123との界面ではキャリアの散乱が起こりにくく、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
本実施の形態においては、酸化物半導体層122の酸素欠損量、さらには酸化物半導体層122に接する酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123の酸素欠損量を低減することが可能であり、酸化物半導体層122の局在準位密度を低減することができる。この結果、本実施の形態に示すトランジスタ10は、しきい値電圧の変動が少なく、信頼性が高い特性を有することができる。また、本実施の形態に示すトランジスタ10は優れた電気特性を有する。
なお、トランジスタのゲート絶縁層としては、シリコンを含む絶縁膜が多く用いられるため、上記理由により酸化物半導体層のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジスタのようにゲート絶縁層と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶縁層と酸化物半導体層との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも、酸化物半導体層のチャネルとなる領域はゲート絶縁層から離すことが好ましいといえる。
したがって、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123の積層構造とすることで、酸化物半導体層122にチャネルを形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトランジスタを形成することができる。
なお、酸化物半導体層は必ずしも3層にする必要はなく、単層、2層、4層、さらには5層以上の構成としてもよい。単層とする場合、本実施の形態に示す、酸化物半導体層122に相当する層を用いればよい。
<バンド図>
ここで、バンド図について説明する。バンド図は、理解を容易にするためゲート絶縁層150、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、およびゲート絶縁層150の伝導帯下端のエネルギー(Ec)を示す。
図9(A)、図9(B)に示すように、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123において、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123を構成する元素が共通することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123は組成が異なる膜の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもできる。
主成分を共通として積層された酸化物半導体膜は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸(U Shape Well)構造)が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された多層膜の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
なお、図9(B)では、酸化物半導体層122のEcが同様である場合について示したが、それぞれが異なっていてもよい。なお、酸化物絶縁層121と、酸化物絶縁層123のEcについても同様である。
図9(B)より、酸化物半導体層122がウェル(井戸)となり、トランジスタ10において、チャネルが酸化物半導体層122に形成されることがわかる。なお、酸化物半導体層122を底として伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化するU字型の井戸構造のチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
なお、酸化物半導体層122と、酸化シリコン膜などの絶縁膜との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。そこで、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123があることにより、酸化物半導体層122と当該トラップ準位とを遠ざけることができる。ただし、酸化物絶縁層121、または酸化物絶縁層123のEcと、酸化物半導体層122のEcとのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体層122の電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。マイナスの電荷となる電子がトラップ準位に捕獲されることで、絶縁膜界面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。さらに、トランジスタの長期保存試験において、トラップが固定化されず、特性への変動を起こす懸念がある。
したがって、トランジスタのしきい値電圧の変動を低減するには、酸化物絶縁層121、および酸化物絶縁層123のEcと、酸化物半導体層122との間にエネルギー差を設けることが必要となる。それぞれの当該エネルギー差は、0.1eV以上が好ましく、0.2eV以上がより好ましい。
なお、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123には、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
また、図9(B)に示すようなバンド図において、酸化物絶縁層123を設けず、酸化物絶縁層123とゲート絶縁層150の間にIn−Ga酸化物(たとえば、原子数比がIn:Ga=7:93のIn−Ga酸化物)を設けてもよいし、あるいは酸化ガリウムなどを用いてもよい。また、酸化物絶縁層123が有した状態で酸化物絶縁層123とゲート絶縁層150の間にIn−Ga酸化物を設けてもよいし、あるいは酸化ガリウムなどを設けてもよい。
酸化物半導体層122は、酸化物絶縁層121、および酸化物絶縁層123よりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、酸化物半導体層122として、酸化物絶縁層121および酸化物絶縁層123よりも電子親和力が0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.2eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いることができる。
本実施の形態に示すトランジスタは、酸化物半導体層122を構成する金属元素を一種以上含んでいる、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123を有しているため、酸化物絶縁層121と酸化物半導体層122との界面、および酸化物絶縁層123と酸化物半導体層122との界面に界面準位を形成しにくくなる。よって、酸化物絶縁層121、酸化物絶縁層123を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきや変動を低減することができる。
《ソース電極層130、ドレイン電極層140》
ソース電極層130、ドレイン電極層140には、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)などの材料からなる単体、もしくは合金、またはこれらを主成分とする酸素、窒素、フッ素、シリコン、などの化合物を含む導電層の単層または積層とすることが好ましい。たとえば、積層する場合に、酸化物半導体層122と接触する下側の導電層は酸素と結合しやすい材料を有し、上側の導電層には耐酸化性の強い材料を有することができる。また、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
また、酸素と結合しやすい導電材料と酸化物半導体層を接触させると、酸化物半導体層中の酸素が、酸素と結合しやすい導電材料側に拡散する現象が起こる。酸化物半導体層のソース電極層またはドレイン電極層と接触した近傍の領域に酸素欠損が発生し、膜中に僅かに含まれる水素が当該酸素欠損に入り込むことにより当該領域は顕著にn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることができる。
たとえば、下側の導電層としてWを用いて、上側の導電層としてPtを用いた積層構造とすることで、接触した酸化物半導体層をn型にしつつ、絶縁層170と接することによる導電層の酸化を抑えることができる。
《ゲート絶縁層150》
ゲート絶縁層150には、酸素、窒素、フッ素、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、ゲート絶縁層150は上記材料の積層であってもよい。なお、ゲート絶縁層150に、ランタン(La)、窒素、ジルコニウム(Zr)などを、不純物として含んでいてもよい。
また、ゲート絶縁層150の積層構造の一例について説明する。ゲート絶縁層150は、例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンに対して膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
ところで、結晶構造を有する酸化ハフニウムの被形成面は、欠陥に起因した界面準位を有する場合がある。該界面準位はトラップセンターとして機能する場合がある。そのため、酸化ハフニウムがトランジスタのチャネル領域に近接して配置されるとき、該界面準位によってトランジスタの電気特性が劣化する場合がある。そこで、該界面準位の影響を低減するために、トランジスタのチャネル領域と酸化ハフニウムとの間に、別の膜を配置することによって互いに離間させることが好ましい場合がある。この膜は、緩衝機能を有する。緩衝機能を有する膜は、ゲート絶縁層150に含まれる膜であってもよいし、酸化物半導体膜に含まれる膜であってもよい。即ち、緩衝機能を有する膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化物半導体層などを用いることができる。なお、緩衝機能を有する膜には、たとえば、チャネル領域となる半導体よりもエネルギーギャップの大きい半導体または絶縁体を用いる。または、緩衝機能を有する膜には、たとえば、チャネル領域となる半導体よりも電子親和力の小さい半導体または絶縁体を用いる。または、緩衝機能を有する膜には、たとえば、チャネル領域となる半導体よりもイオン化エネルギーの大きい半導体または絶縁体を用いる。
一方、上述した結晶構造を有する酸化ハフニウムの被形成面における界面準位(トラップセンター)に電荷をトラップさせることで、トランジスタのしきい値電圧を制御できる場合がある。該電荷を安定して存在させるためには、たとえば、チャネル領域と酸化ハフニウムとの間に、酸化ハフニウムよりもエネルギーギャップの大きい絶縁体を配置すればよい。または、酸化ハフニウムよりも電子親和力の小さい半導体または絶縁体を配置すればよい。または、緩衝機能を有する膜には、酸化ハフニウムよりもイオン化エネルギーの大きい半導体または絶縁体を配置すればよい。このような絶縁体を用いることで、界面準位にトラップされた電荷の放出が起こりにくくなり、長期間に渡って電荷を保持することができる。
そのような絶縁体として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンが挙げられる。ゲート絶縁層150内の界面準位に電荷を捕獲させるためには、酸化物半導体膜からゲート電極層160に向かって電子を移動させればよい。具体的な例としては、高い温度(例えば、125℃以上450℃以下、代表的には150℃以上300℃以下)の下で、ゲート電極層160の電位をソース電極層130やドレイン電極層140の電位より高い状態にて1秒以上、代表的には1分以上維持すればよい。
このようにゲート絶縁層150などの界面準位に所望の量の電子を捕獲させたトランジスタは、しきい値電圧がプラス側にシフトする。ゲート電極層160の電圧や、電圧を印加する時間を調整することによって、電子を捕獲させる量(しきい値電圧の変動量)を制御することができる。なお、電荷を捕獲させることができれば、ゲート絶縁層150内でなくても構わない。同様の構造を有する積層膜を、他の絶縁層に用いても構わない。
《ゲート電極層160》
ゲート電極層160には、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、タンタル(Ta)およびタングステン(W)、シリコン(Si)などの材料を用いることができる。また、当該ゲート電極層160は、ゲート電極層は積層とすることができる。例えば、上記材料を用いてもよいし、上記材料の窒化物など、窒素を含んだ材料を組み合わせて用いてもよい。
《絶縁層170》
絶縁層170には、酸素、窒素、フッ素、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層170は上記材料の積層であってもよい。
絶縁層170には、酸化アルミニウム膜を含むことが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果を有することができる。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、トランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123への混入防止、主成分材料である酸素の酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123からの放出防止、絶縁層110からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。
また、絶縁層170は、酸素供給能力を有する膜とすることが好ましい。絶縁層170を成膜時に、他の酸化物との界面に混合層が形成され、当該混合層に酸素が補填され、その後の加熱熱処理によって、酸素が酸化物半導体層中に拡散し、酸化物半導体層中の酸素欠損に対して、酸素を補填することができ、トランジスタ特性(例えば、閾値、信頼性など)を向上させることができる。
また、絶縁層170の下側に他の絶縁層を有してもよい。例えば、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。当該絶縁層は、化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。当該絶縁層から放出される酸素はゲート絶縁層150を経由して酸化物半導体層122のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
《絶縁層175》
絶縁層175には、酸素、窒素、フッ素、水素、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化フッ化シリコン(SiOxFy)窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。例えば、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)、酸化アルミニウム(AlOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層175は上記材料の積層であってもよい。当該絶縁層は、化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。絶縁層175から放出される酸素はゲート絶縁層150を経由して酸化物半導体層122のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
また、絶縁層175は、低誘電率の材料(Low−k材料)を用いてもよい。たとえば、数%のフッ素(F)を導入した酸化シリコン(SiOF)、数%の炭素(C)を導入した酸化シリコン(SiOC)、フッ素化シリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、水素化シルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)、有機ポリマー、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、フッ素を添加したアモルファスカーボンなどを用いて形成することができる。
<トランジスタの製造方法>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について図12乃至図22を用いて説明する。なお、実施の形態1において説明した部分と重複する部分については、その説明を援用する。また、図12乃至図22に示すB1−B2方向は図8(A)、図8(B)に示すチャネル長方向と呼称する場合がある。また、図13乃至図21に示すB3−B4方向は、図1(A)および図1(C)に示すチャネル幅方向と呼称する場合がある。
本実施の形態において、トランジスタを構成する各層(絶縁層、酸化物半導体層、導電層等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いて形成することができる。あるいは、塗布法や印刷法で形成することができる。成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法が代表的であるが、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、MOCVD(有機金属化学堆積)法やALD(原子層成膜)法を使ってもよい。また、スパッタリング法では、ロングスロー方式とコリメート方式を組み合わせて用いることで、埋め込み性を向上させることができる。
<熱CVD法>
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、およびジメチル亜鉛を用いることができる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CHである。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CHである。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CHである。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C)を用いることもできる。
<ALD法>
従来のCVD法を利用した成膜装置は、成膜の際、反応のための原料ガス(プリカーサ)の1種または複数種がチャンバーに同時に供給される。ALD法を利用した成膜装置は、反応のためのプリカーサが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行う。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上のプリカーサを順番にチャンバーに供給し、複数種のプリカーサが混ざらないように第1のプリカーサの後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2のプリカーサを導入する。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1のプリカーサを排出した後、第2のプリカーサを導入することができる。
図10(A)、(B)、(C)、(D)にALD法の成膜過程を示す。第1のプリカーサ601が基板の表面に吸着して(図10(A)参照)、第1の単一層が成膜される(図10(B)参照)。この際、プリカーサ中に含有する金属原子等が基板表面に存在する水酸基と結合することができる。金属原子にはメチル基やエチル基などのアルキル基が結合していてもよい。第1のプリカーサ601を排気した後に導入される第2のプリカーサ602と反応して(図10(C)参照)、第2の単一層が第1の単一層上に積層されて薄膜が形成される(図10(D)参照)。例えば、第2のプリカーサとして酸化剤が含まれていた場合には第1のプリカーサ中に存在する金属原子または金属原子と結合したアルキル基と、酸化剤との間で化学反応がおこり、酸化膜を形成することができる。
ALD法は表面化学反応に基づいた成膜方法であり、プリカーサが被成膜表面に吸着し、自己停止機構が作用することで、一層形成される。例えば、トリメチルアルミニウムのようなプリカーサと当該被成膜表面に存在する水酸基(OH基)が反応する。この時、熱による表面反応のみが起こるため、プリカーサが当該被成膜表面と接触し、熱エネルギーを介して当該被成膜表面にプリカーサ中の金属原子等が吸着することができる。また、プリカーサは、高い蒸気圧を有し、成膜前の段階では熱的安定であり自己分解しない、基板へ化学吸着が速いなどの特徴を有する。また、プリカーサはガスとして導入されるため、交互に導入されるプリカーサが十分に拡散する時間を有することができれば、高アスペクト比の凹凸を有する領域であっても、被覆性よく成膜することができる。
また、ALD法においては、ガス導入順序を制御しつつ、所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能である。また、排気能力を高めることで成膜速度を高めることができ、さらに膜中の不純物濃度を低減することができる。
また、ALD法には、熱を用いたALD法(熱ALD法)、プラズマを用いたALD法(プラズマALD法)がある。熱ALD法では、熱エネルギーを用いてプリカーサの反応を行うものであり、プラズマALD法はプリカーサの反応をラジカルの状態で行うものである。
ALD法は、極めて薄い膜が精度よく成膜できる。凹凸を有する面に対しても、表面被覆率が高く、膜密度が高い。
<プラズマALD>
また、プラズマALD法により成膜することで、熱を用いたALD法(熱ALD法)に比べてさらに低温での成膜が可能となる。プラズマALD法は、例えば、100℃以下でも成膜速度を低下させずに成膜することができる。また、プラズマALD法では、Nをプラズマによりラジカル化することができるため、酸化物のみならず窒化物を成膜することができる。
また、プラズマALDでは、酸化剤の酸化力を高めることができる。これによりALDに膜形成を行う場合に膜中に残留するプリカーサ、あるいはプリカーサから脱離した有機成分を低減することができ、また膜中の炭素、塩素、水素などを低減することができ、不純物濃度の低い膜を有することができる。
また、プラズマALDを行う場合には、ラジカル種を発生させ、ICP(Inductively Coupled Plasma)などのように基板から離れた状態でプラズマを発生させることもでき、基板あるいは当該保護膜が形成される膜に対するプラズマダメージを抑えることができる。
上記より、プラズマALD法を用いることで、他の成膜方法に比べて、プロセス温度が下げることができ、かつ表面被覆率を高めることができ、当該膜を成膜することができる。これにより、外部からの水、水素の侵入を抑えることができる。したがって、トランジスタ特性の信頼性向上することができる。
<ALD装置に関する説明>
図11(A)にALD法を利用する成膜装置の一例を示す。ALD法を利用する成膜装置は、成膜室(チャンバー1701)と、原料供給部1711a、原料供給部1711bと、流量制御器である高速バルブ1712a、高速バルブ1712bと、原料導入口1713a、原料導入口1713bと、原料排出口1714と、排気装置1715を有する。チャンバー1701内に設置される原料導入口1713a、1713bは供給管やバルブを介して原料供給部1711a、1711bとそれぞれ接続されており、原料排出口1714は、排出管やバルブや圧力調整器を介して排気装置1715と接続されている。
チャンバー内部にはヒータを備えた基板ホルダ1716があり、その基板ホルダ上に被成膜させる基板1700を配置する。
原料供給部1711a、原料供給部1711bでは、気化器や加熱手段などによって固体の原料や液体の原料から原料ガスを形成する。或いは、原料供給部1711a、原料供給部1711bは、気体の原料ガスを供給する構成としてもよい。
また、原料供給部1711a、原料供給部1711bを2つ設けている例を示しているが特に限定されず、3つ以上設けてもよい。また、高速バルブ1712a、高速バルブ1712bは時間で精密に制御することができ、原料ガスと不活性ガスのいずれか一方を供給する構成となっている。高速バルブ1712a、高速バルブ1712bは原料ガスの流量制御器であり、且つ、不活性ガスの流量制御器とも言える。
図11(A)に示す成膜装置では、基板1700を基板ホルダ1716上に搬入し、チャンバー1701を密閉状態とした後、基板ホルダ1716のヒータ加熱により基板700を所望の温度(例えば、100℃以上または150℃以上)とし、原料ガスの供給と、排気装置1715による排気と、不活性ガスの供給と、排気装置1715による排気とを繰りかえすことで薄膜を基板表面に形成する。
図11(A)に示す成膜装置では、原料供給部1711a、原料供給部1711bに用意する原料(揮発性有機金属化合物など)を適宜選択することにより、ハフニウム、アルミニウム、タンタル、ジルコニウム等から選択された一種以上の元素を含む酸化物(複合酸化物も含む)を含んで構成される絶縁層を成膜することができる。具体的には、酸化ハフニウムを含んで構成される絶縁層、酸化アルミニウムを含んで構成される絶縁層、ハフニウムシリケートを含んで構成される絶縁層、又はアルミニウムシリケートを含んで構成される絶縁層を成膜することができる。また、原料供給部1711a、原料供給部1711bに用意する原料(揮発性有機金属化合物など)を適宜選択することにより、タングステン層、チタン層などの金属層や、窒化チタン層などの窒化物層などの薄膜を成膜することもできる。
例えば、ALD法を利用する成膜装置により酸化ハフニウム層を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O)の2種類のガスを用いる。この場合、原料供給部1711aから供給する第1の原料ガスがTDMAHであり、原料供給部711bから供給する第2の原料ガスがオゾンとなる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CHである。また、他の材料としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。なお、窒素は電荷捕獲準位を消失させる機能を有する。したがって、原料ガスが窒素を含むことで、電荷捕獲準位密度の低い酸化ハフニウムを成膜することができる。
例えば、ALD法を利用する成膜装置により酸化アルミニウム層を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(TMAなど)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてHOの2種類のガスを用いる。この場合、原料供給部1711aから供給する第1の原料ガスがTMAであり、原料供給部1711bから供給する第2の原料ガスがHOとなる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CHである。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WFガスとBガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WFガスとHガスを同時に導入してタングステン膜を形成する。なお、Bガスに代えてSiHガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CHガスとOガスを同時に導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CHとOガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、Oガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたHOガスを用いても良いが、Hを含まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CHガスに代えて、In(Cガスを用いても良い。また、Zn(CHガスを用いても良い。
<マルチチャンバー成膜装置>
また、図11(A)に示す成膜装置を少なくとも一つ有するマルチチャンバーの製造装置の一例を図11(B)に示す。
図11(B)に示す製造装置は、積層膜を大気に触れることなく連続成膜することができ、不純物の混入防止やスループット向上を図っている。
図11(B)に示す製造装置は、ロード室1702、搬送室1720、前処理室1703、成膜室であるチャンバー1701、アンロード室1706、搬送部1707を少なくとも有する。なお、製造装置のチャンバー(ロード室、処理室、搬送室、成膜室、アンロード室などを含む)は、水分の付着などを防ぐため、露点が管理された不活性ガス(窒素ガス等)を充填させておくことが好ましく、望ましくは減圧を維持させる。
また、チャンバー1704、チャンバー1705は、チャンバー1701と同じALD法を利用する成膜装置としてもよいし、プラズマCVD法を利用する成膜装置としてもよいし、スパッタリング法を利用する成膜装置としてもよいし、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を利用する成膜装置としてもよい。
例えば、チャンバー1704としてプラズマCVD法を利用する成膜装置とし、チャンバー1705としてMOCVD法を利用する成膜装置とし、積層膜を成膜する一例を以下に示す。
図11(B)では搬送室1720の上面図が六角形の例を示しているが、積層膜の層数に応じて、それ以上の多角形としてより多くのチャンバーと連結させた製造装置としてもよい。また、図11(B)では基板の上面形状を矩形で示しているが、特に限定されない。また、図11(B)では枚葉式の例を示したが、複数枚の基板を一度に成膜するバッチ式の成膜装置としてもよい。
<絶縁層110の形成>
まず、基板100上に絶縁層110を成膜する。例えば、絶縁層110としてプラズマCVD法により厚さ100nmの酸化窒化シリコン膜を用いることができる。
次に、第1の加熱処理を行って、絶縁層110に含まれる水、水素等を脱離させてもよい。この結果、絶縁層110に含まれる水、水素等の濃度を低減することが可能であり、加熱処理によって、後に形成される第1の酸化物絶縁膜への水、水素等の拡散量を低減することができる。
なお、上記加熱処理は、他の成膜処理後においても行ってもよい。
<第1の酸化物絶縁膜、酸化物半導体膜の形成>
次に、絶縁層110上に、後に酸化物絶縁層121となる第1の酸化物絶縁膜、後に酸化物半導体層122となる酸化物半導体膜を成膜する。第1の酸化物絶縁膜と、酸化物半導体膜は、スパッタリング法、MOCVD法、PLD法などにより形成することができ、スパッタリング法を用いて形成することがより好ましい。スパッタリング法としては、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、ACスパッタリング法等を用いることができる。また、スパッタリング法において、対向ターゲット方式(対向電極方式、気相スパッタリング方式、VDSP(Vapor Depotion Sputtering)方式ともいう)法により作成することにより、成膜時のプラズマダメージを低減することができる。
例えば、酸化物半導体膜をスパッタリング法により形成する場合、スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体層にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべく、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空化(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)できること、かつ、成膜される基板を100℃以上、好ましくは400℃以上に加熱できることが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に炭素成分や水分等を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。また、ターボ分子ポンプとクライオポンプを組み合わせた排気系を用いてもよい。
高純度真性の酸化物半導体層を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパッタリングガスを高純度化することも望ましい。スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、希ガスおよび酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガスおよび酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。
なお、酸化物半導体膜を形成する際に、例えば、スパッタリング法を用いる場合、基板温度を150℃以上750℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、さらに好ましくは200℃以上420℃以下として、酸化物半導体膜を成膜することで、CAAC−OS膜を形成することができる。
第1の酸化物半導体層絶縁膜は、酸化物半導体膜よりも電子親和力が小さくなるように材料を選択することができる。
また、酸化物半導体膜は、第1の酸化物絶縁膜、第2の酸化物絶縁膜よりもインジウムの含有量を多く有してもよい。酸化物半導体層では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがGaよりも多い組成となる酸化物はInがGaと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層122にインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い移動度のトランジスタを実現することができる。
また、第1の酸化物絶縁膜、酸化物半導体膜において、例えばスパッタリング法により成膜する場合、マルチチャンバー方式のスパッタ装置を用いることで、第1の酸化物絶縁膜と酸化物半導体膜は大気に露出することなく連続成膜することができる。その場合、第1の酸化物絶縁膜と酸化物半導体膜の界面には余計な不純物などが入り込むことを抑えることができ、界面準位を低減することができる。この結果として、トランジスタの電気特性、とりわけ信頼性試験において特性を安定化させることができる。
また、酸化物半導体膜中にダメージがあった場合に、酸化物絶縁層121があることにより主要な伝導パスとなる酸化物半導体層122をダメージ部から遠ざけることができ、結果としてトランジスタの電気特性、とりわけ信頼性試験において特性を安定化させることができる。
例えば、第1の酸化物絶縁膜として、スパッタリング法により、ターゲットとしてIn:Ga:Zn=1:3:4(原子数比)を用いて厚さ20nm成膜したものを用いることができる。また、酸化物半導体膜としてスパッタリング法により、ターゲットとしてIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)を用いて厚さ15nm成膜した酸化物半導体膜を用いることができる。
なお、第1の酸化物絶縁膜、酸化物半導体膜成膜後に第2の加熱処理を行うことにより、酸化物半導体膜の酸素欠損量を低減することができる。
第2の加熱処理の温度は、250℃以上基板歪み点未満、好ましくは300℃以上650℃以下、更に好ましくは350℃以上550℃以下とする。
第2の加熱処理は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガス、または窒素を含む不活性ガス雰囲気で行う。または、不活性ガス雰囲気で加熱した後、酸素雰囲気または乾燥空気(露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下、好ましくは−120℃以下である空気)雰囲気で加熱してもよい。または減圧状態で行えばよい。なお、上記乾燥空気の他、不活性ガスおよび酸素に水素、水などが含まれないことが好ましく、代表的には露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下とすることが望ましい。処理時間は3分から24時間、好ましくは15分から3時間、より好ましくは30分から2時間とするのが望ましい。
なお、加熱処理において、電気炉の代わりに、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、不活性ガスが用いられる。
なお、第2の加熱処理は、後述する酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122を形成するエッチングの後に行ってもよい。
例えば、窒素雰囲気において、450℃で1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気において、450℃で1時間の加熱処理を行うことができる。
以上の工程により、酸化物半導体膜の酸素欠損の低減、また水素、水などの不純物を低減することができる。また、局在準位密度が低減された酸化物半導体膜を形成することができる。
<第1の導電膜の形成>
次に、酸化物半導体層122上にソース電極層130、ドレイン電極層140となる第1の導電膜を形成する。第1の導電膜は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法(有機金属化学堆積(MOCVD)法、メタル化学気相堆積法、原子層成膜(ALD)法あるいはプラズマ化学気相堆積(PECVD)法を含む。)、蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法等を用いて形成することができる。
第1の導電膜の材料は、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)の低抵抗材料からなる単体、もしくは合金、またはこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層または積層とすることが好ましい。たとえば、積層する場合に、酸化物半導体層122と接触する下側の導電層は酸素と結合しやすい材料を有し、上側の導電層には耐酸化性の強い材料を有することができる。また、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
例えば、厚さ20乃至100nmのタングステン膜をスパッタリング法により第1の導電膜として形成することができる。
なお、第1の導電膜を加工して形成される導電層130bは、この後の工程において、ハードマスクとしての機能と、ソース電極、ドレイン電極の機能を有することができ、追加の成膜工程が不要であるため、半導体製造工程の短縮を図ることができる。
<酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122の形成>
次に、リソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、当該レジストマスクを用いて、第1の導電膜の一部をエッチングし、導電層130bを形成する。続いて、導電層130b上のレジストを除去し、導電層130bをハードマスクとして、酸化物半導体膜、第1の酸化物絶縁膜の一部をそれぞれエッチングし、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層121を形成することができる(図11参照)。なお、エッチング方法としては、ドライエッチング法を用いることができる。なお、導電層130bをハードマスクとして用いて酸化物半導体層をエッチングすることで、レジストマスクと比べてエッチングした後の酸化物半導体層のエッジラフネスを低減することができる。
<絶縁膜175aの成膜>
次に、絶縁層110、導電層130b上に絶縁層175となる絶縁膜175aを成膜する(図12参照)。絶縁膜175aは、プラズマCVD法、熱CVD法(MOCVD法、ALD法)、またはスパッタリング法、スピンコーティング法等により形成することができる。絶縁膜175aは、酸素、窒素、フッ素、水素、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。
または、絶縁膜175aは、低誘電率の材料(Low−k材料)を用いてもよい。たとえば、数%のフッ素(F)を導入した酸化シリコン(SiOF)、数%の炭素(C)を導入した酸化シリコン(SiOC)、フッ素化シリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、水素化シルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)、有機ポリマー、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、フッ素を添加したアモルファスカーボンなどを用いて形成することができる。
<絶縁層175bの形成>
次に、絶縁膜175aの平坦化処理を行い、絶縁層175bを形成する。
絶縁層175bの形成方法は、実施の形態1で説明した方法を用いることができ、詳細についてはその説明を援用する。図14は、図2と対応する。図15は、図4と対応する。図16は、図5と対応する。図17は、図6と対応する。図18は、図7と対応する。
絶縁膜175a上に導電膜177a、絶縁膜179aを形成する(図14参照)。
第1の研磨処理により、絶縁膜179aを研磨することで導電膜177a露出させ、絶縁層179bを形成する。(図15参照)
また、第1の研磨処理により、導電膜177aを全面に露出させてもよい。(図16参照)
次に、第2の研磨処理により、導電膜177a、絶縁層179bを研磨し、絶縁膜175aを露出させ、導電層177bを形成する。(図17参照)。さらに、第2の研磨処理により、絶縁膜175a、および導電層177bを研磨し、絶縁層175bを形成する。
上記平坦化処理により、絶縁層175b上面を平坦にすることができる。また、基板面内の導電層130b上の絶縁層175bの膜厚、および絶縁層110上の絶縁層175bの膜厚を均一にすることができる(図18参照)。
なお、第2の加熱処理は、平坦化した後に行ってもよい。
<溝部174の形成、およびソース電極層130、ゲート絶縁層150の形成>
次に、絶縁層175b上にリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。
なお、チャネル長が極めて短いトランジスタを形成する場合は、少なくともソース電極層130、ドレイン電極層140となる導電層130bを分断する領域において、電子ビーム露光、液浸露光、EUV露光などの細線加工に適した方法を用いてレジストマスク加工を行い、エッチング工程によって当該領域をエッチングすればよい。なお、電子ビーム露光でレジストマスクを形成する場合、当該レジストマスクとしては、ポジ型レジストを用いれば、露光領域を最小限にすることができ、スループットを向上させることができる。このような方法を用いれば、チャネル長を100nm以下、さらには30nm以下とするトランジスタを形成することができる。または、極めて波長の短い光(例えば極端紫外光(EUV:Extreme Ultra− violet))や、X線等を用いた露光技術によって微細な加工を行ってもよい。
また、酸化膜や導電膜を用いたハードマスクを形成してもよい。
上記マスクを用いて、絶縁層175bの一部をドライエッチング法によりエッチングし、溝加工処理を行う。選択的にエッチング処理が進行することで、絶縁層175、溝部174が形成される。
続いて、露出した導電層130bを分断する形で選択的にエッチングが進行し、ソース電極層130、ドレイン電極層140を形成することができる(図19参照)。
なお、ソース電極層130、ドレイン電極層140を形成した後、エッチング残渣を除去するため、洗浄処理を行ってもよい。この洗浄処理を行うことで、ソース電極層130、ドレイン電極層140の短絡を抑制することができる。当該洗浄処理は、TMAH(Tetramethylammonium Hydroxide)溶液などのアルカリ性の溶液、希釈したフッ酸、シュウ酸、リン酸などの酸性の溶液を用いて行うことができる。なお、洗浄処理により、酸化物半導体層122の一部がエッチングされ、酸化物半導体層122に凹部が形成される。
なお、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、ソース電極層130、ドレイン電極層140の形成順序については、変更することができる。例えば、ソース電極層130、ドレイン電極を形成するための溝部174を先に設けてから、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122を形成してもよい。
例えば、絶縁膜175aとして形成した酸化窒化シリコン膜を平坦化後、当該酸化窒化シリコン膜上にレジストマスクを形成し、当該レジストマスクと、炭素、フッ素を有するガスとを用いてドライエッチングすることにより酸化窒化シリコンの開口処理を行い、塩素、フッ素系のガスを用いて導電層130bをドライエッチングすることにより、ソース電極層130、ドレイン電極層140を形成することができる。
<第2の酸化物絶縁膜123aの形成>
次に、酸化物半導体層122、絶縁層175上に酸化物絶縁層123として用いられる第2の酸化物絶縁膜123aを成膜する。第2の酸化物絶縁膜123aは、第1の酸化物絶縁膜と同様の方法で成膜することができ、第2の酸化物絶縁膜123aは、酸化物半導体膜よりも電子親和力が小さくなるように材料を選択することができる。
例えば、第2の酸化物絶縁膜123aとして、スパッタリング法により、In:Ga:Zn=1:3:2(原子数比)のターゲットを用いて厚さ5nm成膜した酸化物半導体膜を用いることができる。
<絶縁膜150aの形成>
次に、第2の酸化物絶縁膜123a上にゲート絶縁層150となる絶縁膜150aを形成する。絶縁膜150aには、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどを用いることができる。なお、絶縁膜150aは、上記材料の積層であってもよい。絶縁膜150aは、スパッタ法、CVD法(プラズマCVD法、MOCVD法、ALD法など)、MBE法、などを用いて形成することができる。また、絶縁膜150aは、絶縁層110と同様の方法を適宜用いて絶縁膜を形成することができる。
例えば、絶縁膜150aとしてプラズマCVD法により酸化窒化シリコンを10nm形成することができる。
<導電膜160aの形成>
次に、絶縁膜150a上にゲート電極層160となる導電膜160aを成膜する(図20参照)。導電膜160aとしては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。導電膜160aは、スパッタ法やCVD法(プラズマCVD法、MOCVD法、ALD法など)、MBE法、蒸着法、めっき法などにより形成することができる。また、導電膜160aとしては、窒素を含んだ導電膜を用いてもよく、上記導電膜と窒素を含んだ導電膜の積層を用いてもよい。また、導電膜160aは、単層でもよいし、積層でもよい。
例えば、導電膜160aとしてALD法により窒化チタンを10nm、タングステンをメタルCVD法により150nmの積層構造とすることができる。
<平坦化処理>
次に、平坦化処理を行う。平坦化処理は、CMP法、ドライエッチング法などを用いて行うことができる。
なお、平坦化処理は、第3の絶縁膜150aが露出した時点で終了してもよいし、第2の酸化物絶縁膜123aが露出した時点で終了してもよいし、絶縁層175が露出した時点で終了してもよい。これにより、ゲート電極層160、ゲート絶縁層150、酸化物絶縁層123を形成することができる(図21参照)。
トランジスタ10においては、酸素欠損が生じにくい酸化物絶縁層123を設けることにより、チャネル幅方向における酸化物絶縁層123の側面からの酸素の脱離が抑制され、酸素欠損の生成を抑制することができる。その結果、電気的特性が向上され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
<絶縁層170の形成>
次に、絶縁層175、酸化物絶縁層123、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160上に絶縁層170を形成する。絶縁層170は、プラズマCVD法、熱CVD法(MOCVD法、ALD法)、またはスパッタリング法等により、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いて形成することができる。また、上記材料の積層であってもよい。
また、絶縁層170は、スパッタリング法により形成した酸化アルミニウム膜とすることが好ましい。スパッタリング法で酸化アルミニウム膜を成膜する際に、成膜時に使用するガスとして、酸素ガスを有することが望ましい。また、酸素ガスは1体積%以上100体積%以下、好ましくは4体積%以上100体積%以下、さらに好ましくは10体積%以上100体積%以下有することが望ましい。酸素を1体積%以上とすることで、絶縁層170と接する絶縁層との間に混合層を形成し、当該接する絶縁層、あるいは当該混合層に余剰酸素を供給することができる。また、当該膜に接した層に対して余剰酸素を添加することができる。
例えば、絶縁層170として、酸化アルミニウムをターゲットに用いて、スパッタリング時に用いるガスとして、酸素ガスを50体積%含有させて成膜を行い、厚さは20nm乃至40nmとすることができる。
次に、第3の加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理は、代表的には、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは250℃以上500℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下とすることができる。当該加熱処理により、絶縁層(例えば絶縁層110)に添加された余剰酸素(exO)173が拡散し、酸化物半導体層122まで移動し、酸化物半導体層122中に存在する酸素欠損に対して余剰酸素を添加することができる(図22)。
本実施の形態では、酸素雰囲気下で、400℃1時間の加熱処理を行うことができる。
<余剰酸素の添加>
また、余剰酸素を添加する処理は、絶縁層170を介した処理に限らず行ってもよい。酸素を添加する処理は、絶縁層110に行ってもよいし、第1の酸化物絶縁膜、第2の酸化物絶縁層膜に対して行ってもよいし、その他の絶縁層に行ってもよい。添加する酸素として、酸素ラジカル、酸素原子、酸素原子イオン、酸素分子イオン等のいずれか一以上を用いる。また、酸素を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プラズマ浸漬イオン注入法等がある。
余剰酸素を添加する方法としてイオン注入法を用いる場合、酸素原子イオンを用いてもよいし、酸素分子イオンを用いてもよい。酸素分子イオンを用いると、添加される膜へのダメージを低減することが可能である。酸素分子イオンは、当該余剰酸素が添加される膜表面で分離し、酸素原子イオンとなって添加される。酸素分子から酸素原子に分離するためにエネルギーが使用されるため、酸素分子イオンを当該余剰酸素が添加される膜に添加した場合における酸素原子イオンあたりのエネルギーは、酸素原子イオンを当該余剰酸素が添加される膜に添加した場合と比較して低い。このため、当該余剰酸素が添加される膜のダメージを低減できる。
また、酸素分子イオンを用いることで、当該余剰酸素が添加される膜に注入される酸素原子イオンそれぞれのエネルギーが低減するため、酸素原子イオンが注入される位置が浅い。このため、のちの加熱処理において、酸素原子が移動しやすくなり、酸化物半導体膜に、より多くの余剰酸素を供給することができる。
また、酸素分子イオンを注入する場合は、酸素原子イオンを注入する場合と比較して、酸素原子イオンあたりのエネルギーが低い。このため、酸素分子イオンを用いて注入することで、加速電圧を高めることが可能であり、スループットを高めることが可能である。また、酸素分子イオンを用いて注入することで、酸素原子イオンを用いた場合と比較して、ドーズ量を半分にすることが可能である。この結果、スループットを高めることができる。
当該余剰酸素が添加される膜に酸素を添加する場合、当該余剰酸素が添加される膜に酸素原子イオンの濃度プロファイルのピークが位置するような条件を用いて、当該余剰酸素が添加される膜に酸素を添加することが好ましい。この結果、酸素原子イオンを注入する場合に比べて、注入時の加速電圧を下げることができ、当該余剰酸素が添加される膜のダメージを低減することが可能である。即ち、当該余剰酸素が添加される膜の欠陥量を低減することができ、トランジスタの電気特性の変動を抑制することが可能である。さらには、絶縁層110および酸化物絶縁層121界面における酸素原子の添加量が、1×1021atoms/cm未満、または1×1020atoms/cm未満、または1×1019atoms/cm未満となるように、当該余剰酸素が添加される膜に酸素を添加することで、絶縁層110に添加される酸素の量を低減できる。この結果、当該余剰酸素が添加される膜へのダメージを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を抑制することができる。
また、酸素を有する雰囲気で発生させたプラズマに当該余剰酸素が添加される膜を曝すプラズマ処理(プラズマ浸漬イオン注入法)により、当該余剰酸素が添加される膜に酸素を添加してもよい。酸素を有する雰囲気としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等の酸化性気体を有する雰囲気がある。なお、基板100側にバイアスを印加した状態で発生したプラズマに当該余剰酸素が添加される膜を曝すことで、当該余剰酸素が添加される膜への酸素添加量を増加させることが可能であり好ましい。このようなプラズマ処理を行う装置の一例として、アッシング装置がある。
例えば、加速電圧を60kVとし、ドーズ量が1×1016ions/cmの酸素分子イオンをイオン注入法により絶縁層110に添加することができる。
以上の工程より、ソース電極層130、ドレイン電極層140上の絶縁層175の厚さを小さくしても、平坦な上面を有することができる。これにより、絶縁層175に溝部174を形成した場合にも、アスペクト比を低減することができ、埋め込み性を向上させることができる。したがって、本発明を用いることにより、トランジスタの形状を安定させることができ、トランジスタの電気特性を安定させることができる。
また、本発明を用いることで、容量素子の耐圧不良や、配線の接触不良も抑制することができ、半導体装置の安定動作が可能となる。
なお、本実施の形態で説明するトランジスタの製造方法は、従来の半導体製造設備に容易に導入することができる。
また、トランジスタ10の作製において、溝部174を垂直に形成してもよい(図23参照)。
<トランジスタ10の変形例1:トランジスタ11>
図8に示すトランジスタ10と形状の異なるトランジスタ11について、図24を用いて説明する。
図24(A)、図24(B)、図24(C)は、トランジスタ11の上面図および断面図である。図24(A)はトランジスタ11の上面図であり、図24(B)は、図24(A)の一点鎖線C1−C2間、図24(C)は、C3−C4間の断面図である。
トランジスタ11において、ソース電極層130と、ドレイン電極層140の端部の位置を酸化物半導体層122の外側に有している点で、トランジスタ10と異なる。上記構造とすることで、オン電流を高めることができる。
<トランジスタ10の変形例2:トランジスタ12>
図8に示すトランジスタ10と形状の異なるトランジスタ12について、図25を用いて説明する。
図25(A)、図25(B)、図25(C)は、トランジスタ11の上面図および断面図である。図25(A)はトランジスタ11の上面図であり、図25(B)は、図25(A)の一点鎖線D1−D2間、図25(C)は、D3−D4間の断面図である。
トランジスタ12は、導電層165を有する点で、トランジスタ10と異なる。上記構造により、トランジスタの閾値を制御することができるほか、オン電流を向上させることができる。
《導電層165》
導電層165には、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、タンタル(Ta)およびタングステン(W)、シリコン(Si)などの材料を用いることができる。また、導電層165は、積層とすることができる。例えば、上記材料を用いてもよいし、上記材料の窒化物など、窒素を含んだ材料を組み合わせて用いてもよい。
導電層165は、ボトムゲートとしての機能を有し、ゲート電極層160と電気的に接続することで同電位を与えることもできるし、別電位を与えることもできる。
トランジスタ11において、絶縁層110は、ゲート絶縁層150と同様の機能を有することができる。
例えば、トランジスタ11において、絶縁層110として、酸化シリコン10nm、酸化ハフニウム20nm、酸化シリコン30nmの積層膜を用いることができる。
<トランジスタ10の変形例3:トランジスタ13>
図8に示すトランジスタ10と形状の異なるトランジスタ13について、図26を用いて説明する。
図26(A)、図26(B)、図26(C)は、トランジスタ13の上面図および断面図である。図26(A)はトランジスタ13の上面図であり、図26(B)は、図26(A)の一点鎖線E1−E2間、図26(C)は、E3−E4間の断面図である。
トランジスタ13は、絶縁層172を有している点で、トランジスタ10と異なる。絶縁層172は、絶縁層175、酸化物絶縁層123、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160上に設けられ、絶縁層170の下側に設けられる。
《絶縁層172》
絶縁層172には、酸素、窒素、フッ素、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層172は上記材料の積層であってもよい。
絶縁層172には、酸化アルミニウム膜を含むことが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果を有することができる。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、トランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123への混入防止、主成分材料である酸素の酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123からの放出防止、絶縁層110からの酸素の放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。
また、絶縁層172は、保護膜としての機能を有することが好ましい。絶縁層172を設けることで、ゲート絶縁層150に対して、プラズマダメージから保護することができる。このことは、チャネル近傍に電子トラップが設けられることを抑えることができる。
なお、絶縁層172を設ける上でも、プラズマダメージを受ける恐れがあるため、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)法で成膜したものを用いることが好ましい。
上記構造とすることで、ゲート絶縁層150、酸化物絶縁層123をプラズマダメージから保護することができ、ゲート電極層の酸化を抑制することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnOの結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図27(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図27(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnOに対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図27(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図27(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnOの結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図27(E)に示す。図27(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図27(E)における第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図27(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図28(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図28(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの膜を被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図28(B)および図28(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図28(D)および図28(E)は、それぞれ図28(B)および図28(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図28(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図28(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図28(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を点線で示し、格子配列の向きの変化を破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形が形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、8×1011個/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、さらに好ましくは1×1010個/cm未満であり、1×10−9個/cm以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnOの結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図29(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図29(B)に示す。図29(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図29(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図29(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(fine crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図30に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図30(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図30(B)は4.3×10/nmの電子(e)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図30(A)および図30(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnOの結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnOの結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa−b面に対応する。
図31は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図31より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図31より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e)の累積照射量が4.2×10/nmにおいては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10/nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図31より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×10/(nm・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmである。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した回路の一例について図面を参照して説明する。
<断面構造>
図32(A)に本発明の一態様の半導体装置の断面図を示す。図32(A)において、X1−X2方向はチャネル長方向、Y1−Y2方向はチャネル幅方向を示す。図32(A)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ2200を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ2100を有している。図32(A)では、第2の半導体材料を用いたトランジスタ2100として、先の実施の形態で例示したトランジスタを適用した例を示している。なお、一点鎖線より左側がトランジスタのチャネル長方向の断面、右側がチャネル幅方向の断面である。
第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが好ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン(歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、有機半導体など)とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結晶シリコンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することで、S値(サブスレッショルド値)を小さくすることができ、微細なトランジスタとすることが可能である。また、スイッチ速度が速いため高速動作が可能であり、オフ電流が低いためリーク電流が小さい。
トランジスタ2200は、nチャネル型のトランジスタまたはpチャネル型のトランジスタのいずれであってもよく、回路によって適切なトランジスタを用いればよい。また、酸化物半導体を用いた本発明の一態様のトランジスタを用いるほかは、用いる材料や構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
図32(A)に示す構成では、トランジスタ2200の上部に、絶縁体2201、絶縁体2207を介してトランジスタ2100が設けられている。また、トランジスタ2200とトランジスタ2100の間には、複数の配線2202が設けられている。また、各種絶縁体に埋め込まれた複数のプラグ2203により、上層と下層にそれぞれ設けられた配線や電極が電気的に接続されている。また、トランジスタ2100を覆う絶縁体2204と、絶縁体2204上に配線2205と、が設けられている。
このように、2種類のトランジスタを積層することにより、回路の占有面積が低減され、より高密度に複数の回路を配置することができる。
ここで、下層に設けられるトランジスタ2200にシリコン系半導体材料を用いた場合、トランジスタ2200の半導体膜の近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端し、トランジスタ2200の信頼性を向上させる効果がある。一方、上層に設けられるトランジスタ2100に酸化物半導体を用いた場合、トランジスタ2100の半導体膜の近傍に設けられる絶縁体中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなるため、トランジスタ2100の信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタ2200の上層に酸化物半導体を用いたトランジスタ2100を積層して設ける場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁体2207を設けることは特に効果的である。絶縁体2207により、下層に水素を閉じ込めることでトランジスタ2200の信頼性が向上することに加え、下層から上層に水素が拡散することが抑制されることでトランジスタ2100の信頼性も同時に向上させることができる。
絶縁体2207としては、例えば酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
また、酸化物半導体膜を含んで構成されるトランジスタ2100を覆うように、トランジスタ2100上に水素の拡散を防止する機能を有するブロック膜を形成することが好ましい。当該ブロック膜としては、絶縁体2207と同様の材料を用いることができ、特に酸化アルミニウムを適用することが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物および酸素の双方に対して膜を透過させない遮断(ブロッキング)効果が高い。したがって、トランジスタ2100を覆う当該ブロック膜として酸化アルミニウム膜を用いることで、トランジスタ2100に含まれる酸化物半導体膜からの酸素の脱離を防止するとともに、酸化物半導体膜への水および水素の混入を防止することができる。なお、当該ブロック膜は、絶縁体2204を積層にすることで用いてもよいし、絶縁体2204の下側に設けてもよい。
なお、トランジスタ2200は、プレーナ型のトランジスタだけでなく、様々なタイプのトランジスタとすることができる。例えば、FIN(フィン)型、TRI−GATE(トライゲート)型などのトランジスタなどとすることができる。その場合の断面図の例を、図32(D)に示す。半導体基板2211の上に、絶縁体2212が設けられている。半導体基板2211は、先端の細い凸部(フィンともいう)を有する。なお、凸部の上には、絶縁体が設けられていてもよい。なお、凸部は、先端が細くなくてもよく、例えば、略直方体の凸部であってもよいし、先端が太い凸部であってもよい。半導体基板2211の凸部の上には、ゲート絶縁体2214が設けられ、その上には、ゲート電極2213が設けられている。半導体基板2211には、ソース領域およびドレイン領域2215が形成されている。なお、ここでは、半導体基板2211が、凸部を有する例を示したが、本発明の一態様に係る半導体装置は、これに限定されない。例えば、SOI基板を加工して、凸部を有する半導体領域を形成しても構わない。
<回路構成例>
上記構成において、トランジスタ2100やトランジスタ2200の電極を適宜接続することにより、様々な回路を構成することができる。以下では、本発明の一態様の半導体装置を用いることにより実現できる回路構成の例を説明する。
<CMOSインバータ回路>
図32(B)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のトランジスタ2100を直列に接続し、且つそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMOSインバータの構成を示している。
<CMOSアナログスイッチ>
また、図32(C)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそれぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。図32(A)において、X1−X2方向はチャネル長方向、Y1−Y2方向はチャネル幅方向を示す。このような構成とすることで、いわゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。
<記憶装置の例>
本発明の一態様であるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図33に示す。
図33(A)に示す半導体装置は、第1の半導体材料を用いたトランジスタ3200と第2の半導体材料を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、トランジスタ3300としては、実施の形態1乃至3で説明したトランジスタを用いることができる。
図33(B)に図33(A)に示す半導体装置の断面図を示す。当該断面図の半導体装置では、トランジスタ3300にバックゲートを設けた構成を示しているが、バックゲートを設けない構成であってもよい。
トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半導体にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ3300は、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
図33(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソース電極と電気的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレイン電極と電気的に接続されている。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲート電極と電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極は、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方、および容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
図33(A)に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持可能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオン状態となる電位にして、トランジスタ3300をオン状態とする。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、および容量素子3400に与えられる。すなわち、トランジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオフ状態となる電位にして、トランジスタ3300をオフ状態とすることにより、トランジスタ3200のゲートに与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ3200のゲートの電荷は長時間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ3200のゲートに保持された電荷量に応じて、第2の配線3002は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ3200のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ3200を「オン状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることにより、トランジスタ3200のゲートに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲートの状態にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ゲートの状態にかかわらずトランジスタ3200が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線3005に与えればよい。
図33(C)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を設けていない点で図33(A)と相違している。この場合も上記と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
次に、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ3300がオン状態となると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素子3400の第1の端子の電位(あるいは容量素子3400に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子3400の第1の端子の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素子3400の第1の端子の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体材料が適用されたトランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体材料が適用されたトランジスタを駆動回路上に積層して設ける構成とすればよい。
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
本実施の形態に示す半導体装置を用いることで、低消費電力であり、また高容量(例えば1テラビット以上)の記憶装置を作製することができる。
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなくても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であると言える。そして、接続先が特定された内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先として複数のケースが考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であると言える。そして、機能が特定された発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。したがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することは可能である。したがって、ある部分を述べる図または文章が記載されている場合、その一部分の図または文章を取り出した内容も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。そのため、例えば、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、配線、受動素子(容量素子、抵抗素子など)、導電層、絶縁層、半導体、有機材料、無機材料、部品、装置、動作方法、製造方法などが単数または複数記載された図面または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。例えば、N個(Nは整数)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を有して構成される回路図から、M個(Mは整数で、M<N)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。別の例としては、N個(Nは整数)の層を有して構成される断面図から、M個(Mは整数で、M<N)の層を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、N個(Nは整数)の要素を有して構成されるフローチャートから、M個(Mは整数で、M<N)の要素を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。
<撮像装置>
以下では、本発明の一態様に係る撮像装置について説明する。
図34(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置200の例を示す平面図である。撮像装置200は、画素部210と、画素部210を駆動するための周辺回路260と、周辺回路270、周辺回路280と、周辺回路290と、を有する。画素部210は、p行q列(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素211を有する。周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290は、それぞれ複数の画素211に接続し、複数の画素211を駆動するための信号を供給する機能を有する。なお、本明細書等において、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290などの全てを指して「周辺回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合がある。例えば、周辺回路260は周辺回路の一部といえる。
また、撮像装置200は、光源291を有することが好ましい。光源291は、検出光P1を放射することができる。
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部210を形成する基板上に配置してもよい。また、周辺回路は、その一部または全部をIC等の半導体装置で実装してもよい。なお、周辺回路は、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290のいずれか一以上を省略してもよい。
また、図34(B)に示すように、撮像装置200が有する画素部210において、画素211を傾けて配置してもよい。画素211を傾けて配置することにより、行方向および列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置200における撮像の品質をより高めることができる。
<画素の構成例1>
撮像装置200が有する1つの画素211を複数の副画素212で構成し、それぞれの副画素212に特定の波長帯域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせることで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
図35(A)は、カラー画像を取得するための画素211の一例を示す平面図である。図35(A)に示す画素211は、赤(R)の波長帯域を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212R」ともいう)、緑(G)の波長帯域を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212G」ともいう)および青(B)の波長帯域を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212B」ともいう)を有する。副画素212は、フォトセンサとして機能させることができる。
副画素212(副画素212R、副画素212G、および副画素212B)は、配線231、配線247、配線248、配線249、配線250と電気的に接続される。また、副画素212R、副画素212G、および副画素212Bは、それぞれが独立した配線253に接続している。また、本明細書等において、例えばn行目の画素211に接続された配線248および配線249を、それぞれ配線248[n]および配線249[n]と記載する。また、例えばm列目の画素211に接続された配線253を、配線253[m]と記載する。なお、図35(A)において、m列目の画素211が有する副画素212Rに接続する配線253を配線253[m]R、副画素212Gに接続する配線253を配線253[m]G、および副画素212Bに接続する配線253を配線253[m]Bと記載している。副画素212は、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
また、撮像装置200は、隣接する画素211の、同じ波長帯域を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を有する。図35(B)に、n行(nは1以上p以下の整数)m列(mは1以上q以下の整数)に配置された画素211が有する副画素212と、該画素211に隣接するn+1行m列に配置された画素211が有する副画素212の接続例を示す。図35(B)において、n行m列に配置された副画素212Rと、n+1行m列に配置された副画素212Rがスイッチ201を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Gと、n+1行m列に配置された副画素212Gがスイッチ202を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Bと、n+1行m列に配置された副画素212Bがスイッチ203を介して接続されている。
なお、副画素212に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定されず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタを用いてもよい。1つの画素211に3種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素212を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素211を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加えて、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素211を用いてもよい。1つの画素211に4種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素212を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
また、例えば、図35(A)において、赤の波長帯域を検出する副画素212、緑の波長帯域を検出する副画素212、および青の波長帯域を検出する副画素212の画素数比(または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。または、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
なお、画素211に設ける副画素212は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例えば、同じ波長帯域を検出する副画素212を2つ以上設けることで、冗長性を高め、撮像装置200の信頼性を高めることができる。
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared)フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置200を実現することができる。
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用いることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和することを防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像装置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
また、前述したフィルタ以外に、画素211にレンズを設けてもよい。ここで、図36の断面図を用いて、画素211、フィルタ254、レンズ255の配置例を説明する。レンズ255を設けることで、光電変換素子が入射光を効率よく受光することができる。具体的には、図36(A)に示すように、画素211に形成したレンズ255、フィルタ254(フィルタ254R、フィルタ254Gおよびフィルタ254B)、および画素回路230等を通して光256を光電変換素子220に入射させる構造とすることができる。
ただし、一点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光256の一部が配線257の一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図36(B)に示すように光電変換素子220側にレンズ255およびフィルタ254を配置して、光電変換素子220が光256を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子220側から光256を光電変換素子220に入射させることで、検出感度の高い撮像装置200を提供することができる。
図36に示す光電変換素子220として、pn型接合またはpin型の接合が形成された光電変換素子を用いてもよい。
また、光電変換素子220を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、セレン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合金等がある。
例えば、光電変換素子220にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて、X線や、ガンマ線といった幅広い波長帯域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子220を実現できる。
ここで、撮像装置200が有する1つの画素211は、図35に示す副画素212に加えて、第1のフィルタを有する副画素212を有してもよい。
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタと、を用いて画素を構成する一例について説明する。
図37(A)、図37(B)は、撮像装置を構成する素子の断面図である。
図37(A)に示す撮像装置は、シリコン基板300に設けられたシリコンを用いたトランジスタ351、トランジスタ351上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトランジスタ353、およびシリコン基板300に設けられた、アノード361と、カソード362を有するフォトダイオード360を含む。各トランジスタおよびフォトダイオード360は、種々のプラグ370および配線371、配線372、配線373と電気的な接続を有する。また、フォトダイオード360のアノード361は、低抵抗領域363を介してプラグ370と電気的に接続を有する。
また撮像装置は、シリコン基板300に設けられたトランジスタ351およびフォトダイオード360を有する層310と、層310と接して設けられ、配線371を有する層320と、層320と接して設けられ、トランジスタ353を有する層330と、層330と接して設けられ、配線372および配線373を有する層340を備えている。
なお、図37(A)の断面図の一例では、シリコン基板300において、トランジスタ351が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード360の受光面を有する構成とする。該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保することができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイオード360の受光面をトランジスタ351が形成された面と同じとすることもできる。
なお、トランジスタを用いて画素を構成する場合には、層310を、トランジスタを有する層とすればよい。または層310を省略し、トランジスタのみで画素を構成してもよい。
また、図37(A)の断面図において、層310に設けるフォトダイオード360と、層330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。
また、図37(B)は、撮像装置は層340側にフォトダイオード365をトランジスタの上に配置した構造とすることができる。図37(B)において、例えば層310には、シリコン用いたトランジスタ351を有し、層320には配線371を有し、層330には酸化物半導体を用いたトランジスタ353、絶縁層380を有し、層340にはフォトダイオード365有しており、配線373と、プラグ370を介した配線374と電気的に接続している。
図37(B)に示す素子構成とすることで、開口率を広くすることができる。
また、フォトダイオード365には、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型ダイオード素子などを用いてもよい。フォトダイオード365は、n型の半導体368、i型の半導体367、およびp型の半導体366が順に積層された構成を有している。i型の半導体367には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、p型の半導体366およびn型の半導体368には、それぞれの導電型を付与するドーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質シリコンを光電変換層とするフォトダイオード365は可視光の波長領域における感度が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
<RFタグ>
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したトランジスタ、または記憶装置を含むRFタグについて、図38を用いて説明する。
本実施の形態におけるRFタグは、内部に記憶回路を有し、記憶回路に必要な情報を記憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。このような特徴から、RFタグは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識別を行う個体認証システムなどに用いることが可能である。なお、これらの用途に用いるためには極めて高い信頼性が要求される。
RFタグの構成について図38を用いて説明する。図38は、RFタグの構成例を示すブロック図である。
図38に示すようにRFタグ800は、通信器801(質問器、リーダ/ライタなどともいう)に接続されたアンテナ802から送信される無線信号803を受信するアンテナ804を有する。またRFタグ800は、整流回路805、定電圧回路806、復調回路807、変調回路808、論理回路809、記憶回路810、ROM811を有している。なお、復調回路807に含まれる整流作用を示すトランジスタに逆方向電流を十分に抑制することが可能な材料、例えば、酸化物半導体、が用いられた構成としてもよい。これにより、逆方向電流に起因する整流作用の低下を抑制し、復調回路の出力が飽和することを防止できる。つまり、復調回路の入力に対する復調回路の出力を線形に近づけることができる。なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式の3つに大別される。本実施の形態に示すRFタグ800は、そのいずれの方式に用いることも可能である。
次に各回路の構成について説明する。アンテナ804は、通信器801に接続されたアンテナ802との間で無線信号803の送受信を行うためのものである。また、整流回路805は、アンテナ804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整流、例えば、半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平滑化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路805の入力側または出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅が大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しないように制御するための回路である。
定電圧回路806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するための回路である。なお、定電圧回路806は、内部にリセット信号生成回路を有していてもよい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路809のリセット信号を生成するための回路である。
復調回路807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成するための回路である。また、変調回路808は、アンテナ804より出力するデータに応じて変調を行うための回路である。
論理回路809は復調信号を解析し、処理を行うための回路である。記憶回路810は、入力された情報を保持する回路であり、ロウデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域などを有する。また、ROM811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を行うための回路である。
なお、上述の各回路は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
ここで、先の実施の形態で説明した記憶回路を、記憶回路810に用いることができる。本発明の一態様の記憶回路は、電源が遮断された状態であっても情報を保持できるため、RFタグに好適に用いることができる。さらに本発明の一態様の記憶回路は、データの書き込みに必要な電力(電圧)が従来の不揮発性メモリに比べて著しく小さいため、データの読み出し時と書込み時の最大通信距離の差を生じさせないことも可能である。さらに、データの書き込み時に電力が不足し、誤動作または誤書込みが生じることを抑制することができる。
また、本発明の一態様の記憶回路は、不揮発性のメモリとして用いることが可能であるため、ROM811に適用することもできる。その場合には、生産者がROM811にデータを書き込むためのコマンドを別途用意し、ユーザが自由に書き換えできないようにしておくことが好ましい。生産者が出荷前に固有番号を書込んだのちに製品を出荷することで、作製したRFタグすべてについて固有番号を付与するのではなく、出荷する良品にのみ固有番号を割り当てることが可能となり、出荷後の製品の固有番号が不連続になることがなく出荷後の製品に対応した顧客管理が容易となる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した記憶装置を含むCPUについて説明する。
図39は、先の実施の形態で説明したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図である。
<CPUの回路図>
図39に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図39に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図39に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行う。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
図39に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルとして、実施の形態1乃至3に示したトランジスタを用いることができる。
図39に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
<記録回路>
図40は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子の回路図の一例である。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮断で記憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と、論理素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有する。回路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1210と、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダクタなどのその他の素子をさらに有していても良い。
ここで、回路1202には、先の実施の形態で説明した記憶装置を用いることができる。記憶素子1200への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートには接地電位(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とする。例えば、トランジスタ1209の第1ゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする。
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用いて構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)のトランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第2の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203はトランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213のオン状態またはオフ状態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1214のオン状態またはオフ状態)が選択される。
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極のうちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1208の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を積極的に利用することによって省略することも可能である。
トランジスタ1209の第1ゲート(第1のゲート電極)には、制御信号WEが入力される。スイッチ1203およびスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態となる。
なお、図40におけるトランジスタ1209では第2ゲート(第2のゲート電極:バックゲート)を有する構成を図示している。第1ゲートには制御信号WEを入力し、第2ゲートには制御信号WE2を入力することができる。制御信号WE2は、一定の電位の信号とすればよい。当該一定の電位には、例えば、接地電位GNDやトランジスタ1209のソース電位よりも小さい電位などが選ばれる。このとき、制御信号WE2は、トランジスタ1209のしきい値電圧を制御するための電位信号であり、ゲート電圧VGが0V時の電流)をより低減することができる。また、制御信号WE2は、制御信号WEと同じ電位信号であってもよい。なお、トランジスタ1209としては、第2ゲートを有さないトランジスタを用いることもできる。
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデータに対応する信号が入力される。図39では、回路1201から出力された信号が、トランジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介して回路1201に入力される。
なお、図40では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を介して回路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
また、図40において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジスタ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外にも、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのトランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることもできる。
図40における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いることができる。
本発明の一態様における半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間は、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子1208によって保持することができる。
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり保たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ)を保持することが可能である。
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再開された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(オン状態、またはオフ状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。それ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信号を正確に読み出すことが可能である。
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を抑えることができる。
本実施の形態では、記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1200は、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLSI、RF(Radio Frequency)タグにも応用可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した表示装置の構成例について説明する。
<表示装置回路構成例>
図41(A)は、本発明の一態様の表示装置の上面図であり、図41(B)は、本発明の一態様の表示装置の画素に液晶素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路図である。また、図41(C)は、本発明の一態様の表示装置の画素に有機EL素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路図である。
画素部に配置するトランジスタは、実施の形態1乃至3に従って形成することができる。また、当該トランジスタはnチャネル型とすることが容易なので、駆動回路のうち、nチャネル型トランジスタで構成することができる駆動回路の一部を画素部のトランジスタと同一基板上に形成する。このように、画素部や駆動回路に上記実施の形態に示すトランジスタを用いることにより、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
アクティブマトリクス型表示装置の上面図の一例を図41(A)に示す。表示装置の基板700上には、画素部701、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路703、信号線駆動回路704を有する。画素部701には、複数の信号線が信号線駆動回路704から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路702、および第2の走査線駆動回路703から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に設けられている。また、表示装置の基板700はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
図41(A)では、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路703、信号線駆動回路704は、画素部701と同じ基板700上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板700の外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板700上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、または歩留まりの向上を図ることができる。なお、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路703、信号線駆動回路704のいずれかが基板700上に実装された構成や基板700の外部に設けられた構成としてもよい。
<液晶表示装置>
また、画素の回路構成の一例を図41(B)に示す。ここでは、一例としてVA型液晶表示装置の画素に適用することができる画素回路を示す。
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極層を有する構成に適用できる。それぞれの画素電極層は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動できるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電極層に印加する信号を、独立して制御できる。
トランジスタ716の走査線712と、トランジスタ717の走査線713には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、信号線714は、トランジスタ716とトランジスタ717で共通に用いられている。トランジスタ716とトランジスタ717は実施の形態1乃至3で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
また、トランジスタ716には、第1の画素電極が電気的に接続され、トランジスタ717には、第2の画素電極が電気的に接続される。第1の画素電極と第2の画素電極とは、それぞれ分離されている。なお、第1の画素電極及び第2の画素電極の形状としては、特に限定は無い。例えば、第1の画素電極は、V字状とすればよい。
トランジスタ716のゲート電極は走査線712と接続され、トランジスタ717のゲート電極は走査線713と接続されている。走査線712と走査線713に異なるゲート信号を与えてトランジスタ716とトランジスタ717の動作タイミングを異ならせ、液晶の配向を制御できる。
また、容量配線710と、誘電体として機能するゲート絶縁層と、第1の画素電極層または第2の画素電極層と電気的に接続する容量電極とで保持容量を形成してもよい。
マルチドメイン設計では、一画素に第1の液晶素子718と第2の液晶素子719を備える。第1の液晶素子718は第1の画素電極層と対向電極層とその間の液晶層とで構成され、第2の液晶素子719は第2の画素電極層と対向電極層とその間の液晶層とで構成される。
なお、図41(B)に示す画素回路は、これに限定されない。例えば、図41(B)に示す画素回路に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサ、または論理回路などを追加してもよい。
図42(A)、および図42(B)は、液晶表示装置の上面図および断面図の一例である。なお、図42(A)では表示装置20、表示領域21、周辺回路22、およびFPC(フレキシブルプリント基板)42を有する代表的な構成を図示している。図42で示す表示パネルは反射型液晶を用いている。
図42(B)に図42(A)の破線A−A’間、B−B’間、C−C’間、およびD−D’間の断面図を示す。A−A’間は周辺回路部を示し、B−B’間は表示領域を示し、C−C’間はFPCとの接続部を示す。
液晶素子を用いた表示装置20は、トランジスタ50およびトランジスタ52(実施の形態2で示したトランジスタ10)の他、導電層165、導電層190、導電層195、絶縁層420、液晶層490、液晶素子80、容量素子60、容量素子62、絶縁層430、スペーサ440、着色層460、接着層470、導電層480、遮光層418、基板400、接着層473、接着層474、接着層475、接着層476、偏光板103、偏光板403、保護基板105、保護基板402、異方性導電層510を有する。
<有機EL表示装置>
画素の回路構成の他の一例を図41(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示装置の画素構造を示す。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極の一方から電子が、他方から正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、電子および正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
図41(C)は、適用可能な画素回路の一例を示す図である。ここではnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。また、当該画素回路は、デジタル時間階調駆動を適用することができる。
適用可能な画素回路の構成およびデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作について説明する。
画素720は、スイッチング用トランジスタ721、駆動用トランジスタ722、発光素子724および容量素子723を有している。スイッチング用トランジスタ721は、ゲート電極層が走査線726に接続され、第1電極(ソース電極層およびドレイン電極層の一方)が信号線725に接続され、第2電極(ソース電極層およびドレイン電極層の他方)が駆動用トランジスタ722のゲート電極層に接続されている。駆動用トランジスタ722は、ゲート電極層が容量素子723を介して電源線727に接続され、第1電極が電源線727に接続され、第2電極が発光素子724の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子724の第2電極は共通電極728に相当する。共通電極728は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
スイッチング用トランジスタ721および駆動用トランジスタ722には実施の形態1乃至3で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い有機EL表示装置を提供することができる。
発光素子724の第2電極(共通電極728)の電位は低電源電位に設定する。なお、低電源電位とは、電源線727に供給される高電源電位より低い電位であり、例えばGND、0Vなどを低電源電位として設定することができる。発光素子724の順方向のしきい値電圧以上となるように高電源電位と低電源電位を設定し、その電位差を発光素子724に印加することにより、発光素子724に電流を流して発光させる。なお、発光素子724の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。
なお、容量素子723は駆動用トランジスタ722のゲート容量を代用することにより省略できる。
次に、駆動用トランジスタ722に入力する信号について説明する。電圧入力電圧駆動方式の場合、駆動用トランジスタ722が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を、駆動用トランジスタ722に入力する。なお、駆動用トランジスタ722を線形領域で動作させるために、電源線727の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ722のゲート電極層にかける。また、信号線725には、電源線電圧に駆動用トランジスタ722のしきい値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ722のゲート電極層に発光素子724の順方向電圧に駆動用トランジスタ722のしきい値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。なお、駆動用トランジスタ722が飽和領域で動作するようにビデオ信号を入力し、発光素子724に電流を流す。また、駆動用トランジスタ722を飽和領域で動作させるために、電源線727の電位を、駆動用トランジスタ722のゲート電位より高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子724にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
なお、画素回路の構成は、図41(C)に示す画素構成に限定されない。例えば、図41(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサ、トランジスタまたは論理回路などを追加してもよい。
図41で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位を印加するなど、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
図43(A)、および図43(B)は発光素子を用いた表示装装置の上面図および断面図の一例である。なお、図43(A)では表示装置24、表示領域21、周辺回路22、およびFPC(フレキシブルプリント基板)42を有する代表的な構成を図示している。
図43(B)に図43(A)の破線A−A’間、B−B’間、C−C’間の断面図を示す。A−A’間は周辺回路部を示し、B−B’間は表示領域を示し、C−C’間およびD−D’間はFPCとの接続部を示す。
発光素子を用いた表示装置24は、トランジスタ50およびトランジスタ52(実施の形態2で示したトランジスタ10)の他、絶縁層420、導電層190、導電層195、導電層410、光学調整層530、EL層450、導電層415、発光素子70、容量素子60、容量素子62、スペーサ440、着色層460、接着層470、隔壁445、遮光層418、基板400、異方性導電層510を有する。
本明細書等において、例えば、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、および発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または様々な素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置は、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物および無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していても良い。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)またはSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インクまたは電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を適用した表示モジュールについて、図44を用いて説明を行う。
<表示モジュール>
図44に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6003に接続されたタッチパネル6004、FPC6005に接続された表示パネル6006、バックライトユニット6007、フレーム6009、プリント基板6010、バッテリー6011を有する。なお、バックライトユニット6007、バッテリー6011、タッチパネル6004などは、設けられない場合もある。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル6006であったり、プリント基板に実装された集積回路に用いることができる。
上部カバー6001および下部カバー6002は、タッチパネル6004および表示パネル6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル6004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル6006に重畳して用いることができる。また、表示パネル6006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。または、表示パネル6006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネル機能を付加することも可能である。または、表示パネル6006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、静電容量方式のタッチパネル機能を付加することも可能である。
バックライトユニット6007は、光源6008を有する。光源6008をバックライトユニット6007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010から発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム6009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号およびクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリー6011であってもよい。なお、商用電源を用いる場合には、バッテリー6011を省略することができる。
また、表示モジュール6000には、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の使用例について説明する。
<リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージ>
図45(A)に、リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を表す斜視図を示す。図45(A)に示すパッケージは、本発明の一態様に係る半導体装置に相当するチップ1751が、ワイヤボンディング法により、インターポーザ1750上の端子1752と接続されている。端子1752は、インターポーザ1750のチップ1751がマウントされている面上に配置されている。そしてチップ1751はモールド樹脂1753によって封止されていてもよいが、各端子1752の一部が露出した状態で封止されるようにする。
パッケージが回路基板に実装されている電子機器(携帯電話)のモジュールの構成を、図45(B)に示す。図45(B)に示す携帯電話のモジュールは、プリント配線基板1801に、パッケージ1802と、バッテリー1804とが実装されている。また、表示素子が設けられたパネル1800に、プリント配線基板1801がFPC1803によって実装されている。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器及び照明装置について、図面を用いて説明する。
<電子機器>
本発明の一態様の半導体装置を用いて、電子機器や照明装置を作製できる。また、本発明の一態様の半導体装置を用いて、信頼性の高い電子機器や照明装置を作製できる。また本発明の一態様の半導体装置を用いて、タッチセンサの検出感度が向上した電子機器や照明装置を作製できる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、本発明の一態様の電子機器又は照明装置は可撓性を有する場合、家屋やビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
また、本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイオンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器が二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
図46(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体7101、筐体7102、表示部7103、表示部7104、マイク7105、スピーカー7106、操作キー7107、スタイラス7108等を有する。本発明の一態様に係る半導体装置は、筐体7101に内蔵されている集積回路、CPUなどに用いることができる。CPUにはノーマリーオフ型のCPUを用いることで、低消費電力化することができ、従来よりも長い時間ゲームを楽しむことができる。表示部7103または表示部7104に本発明の一態様に係る発光装置を用いることで、ユーザーの使用感に優れ、品質の低下が起こりにくい携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図46(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7103と表示部7104とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図46(B)は、スマートウオッチであり、筐体7302、表示部7304、操作ボタン7311、7312、接続端子7313、バンド7321、留め金7322、等を有する。本発明の一態様に係る半導体装置は筐体7302に内蔵されているメモリ、CPUなどに用いることができる。なお、図46(B)に用いるディスプレイには反射型の液晶パネル、CPUにはノーマリーオフ型のCPUを用いることで、低消費電力化することができて、日常における充電回数を減らすことができる。
図46(C)は、携帯情報端末であり、筐体7501に組み込まれた表示部7502の他、操作ボタン7503、外部接続ポート7504、スピーカー7505、マイク7506、表示部7502などを備えている。本発明の一態様に係る半導体装置は、筐体7501に内蔵されているモバイル用メモリ、CPUなどに用いることができる。なお、ノーマリーオフ型のCPUを用いることで、充電回数を減らすことができる。また、表示部7502は、非常に高精細とすることができるため、中小型でありながらフルハイビジョン、4k、または8kなど、様々な表示を行うことができ、非常に鮮明な画像を得ることができる。
図46(D)はビデオカメラであり、第1筐体7701、第2筐体7702、表示部7703、操作キー7704、レンズ7705、接続部7706等を有する。操作キー7704およびレンズ7705は第1筐体7701に設けられており、表示部7703は第2筐体7702に設けられている。そして、第1筐体7701と第2筐体7702とは、接続部7706により接続されており、第1筐体7701と第2筐体7702の間の角度は、接続部7706により変更が可能である。表示部7703における映像を、接続部7706における第1筐体7701と第2筐体7702との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ7705の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。本発明の一態様に係る半導体装置は、第1筐体7701に内蔵されている集積回路、CPUなどに用いることができる。
図46(E)は、デジタルサイネージであり、電柱7901に設置された表示部7902を備えている。本発明の一態様に係る半導体装置は、表示部7902の表示パネルおよび内蔵されている制御回路に用いることができる。
図47(A)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体8121、表示部8122、キーボード8123、ポインティングデバイス8124等を有する。本発明の一態様に係る半導体装置は、筐体8121内に内蔵されているCPUや、メモリに適用することができる。なお、表示部8122は、非常に高精細とすることができるため、中小型でありながら8kの表示を行うことができ、非常に鮮明な画像を得ることができる。
図47(B)に自動車9700の外観を示す。図47(C)に自動車9700の運転席を示す。自動車9700は、車体9701、車輪9702、ダッシュボード9703、ライト9704等を有する。本発明の一態様の半導体装置は、自動車9700の表示部、および制御用の集積回路に用いることができる。例えば、図47(C)に示す表示部9710乃至表示部9715に本発明の一態様の半導体を設けることができる。
表示部9710と表示部9711は、自動車のフロントガラスに設けられた表示装置、または入出力装置である。本発明の一態様の表示装置、または入出力装置は、表示装置、または入出力装置が有する電極を、透光性を有する導電性材料で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置、または入出力装置とすることができる。シースルー状態の表示装置、または入出力装置であれば、自動車9700の運転時にも視界の妨げになることがない。よって、本発明の一態様の表示装置、または入出力装置を自動車9700のフロントガラスに設置することができる。なお、表示装置、または入出力装置に、表示装置、または入出力装置を駆動するためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料を用いた有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いるとよい。
表示部9712はピラー部分に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9712に映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。表示部9713はダッシュボード部分に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9713に映し出すことによって、ダッシュボードで遮られた視界を補完することができる。すなわち、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
また、図47(D)は、運転席と助手席にベンチシートを採用した自動車の室内を示している。表示部9721は、ドア部に設けられた表示装置、または入出力装置である。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9721に映し出すことによって、ドアで遮られた視界を補完することができる。また、表示部9722は、ハンドルに設けられた表示装置である。表示部9723は、ベンチシートの座面の中央部に設けられた表示装置である。なお、表示装置を座面や背もたれ部分などに設置して、当該表示装置を、当該表示装置の発熱を熱源としたシートヒーターとして利用することもできる。
表示部9714、表示部9715、または表示部9722はナビゲーション情報、スピードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することができる。また、表示部に表示される表示項目やレイアウトなどは、使用者の好みに合わせて適宜変更することができる。なお、上記情報は、表示部9710乃至表示部9713、表示部9721、表示部9723にも表示することができる。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部9721乃至表示部9723は照明装置として用いることも可能である。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部9721乃至表示部9723は加熱装置として用いることも可能である。
また、図48(A)に、カメラ8000の外観を示す。カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004、結合部8005等を有する。またカメラ8000には、レンズ8006を取り付けることができる。
結合部8005は、電極を有し、後述するファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ8006と筐体が一体となっていてもよい。
シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部8002はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像することも可能である。
表示部8002に、本発明の一態様の表示装置、または入出力装置を適用することができる。
図48(B)には、カメラ8000にファインダー8100を取り付けた場合の例を示している。
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
筐体8101には、カメラ8000の結合部8005と係合する結合部を有しており、ファインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該結合部には電極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部8102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
筐体8101の中にある、集積回路、イメージセンサに本発明の一態様の半導体装置を適用することができる。
なお、図48(A)(B)では、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子機器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8000の筐体8001に、本発明の一態様の表示装置、または入出力装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
また、図48(C)には、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示している。
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリー8206が内蔵されている。
ケーブル8205は、バッテリー8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動きを捉え、その情報をもとに使用者の視点の座標を算出することにより、使用者の視点を入力手段として用いることができる。
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使用者の視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知することにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させてもよい。
本体8203の内部の集積回路に、本発明の一態様の半導体装置を適用することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置を用いたRFタグの使用例について図49を用いながら説明する。
<RFタグの使用例>
RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図49(A)参照)、乗り物類(自転車等、図49(B)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図49(C)参照)、記録媒体(DVDやビデオテープ等身の回り品(鞄や眼鏡等、図49(D)参照)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬剤を含む医療品、または電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図49(E)、図49(F)参照)等に設けて使用することができる。
本発明の一態様に係るRFタグ4000は、表面に貼る、または埋め込むことにより、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタグ4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証書類等に本発明の一態様に係るRFタグ4000を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
以上のように、本発明の一態様に係わる半導体装置を用いたRFタグを、本実施の形態に挙げた各用途に用いることにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減できるため、最大通信距離を長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であっても情報を極めて長い期間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途にも好適に用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、本発明の一態様を用いて評価サンプルを作製し、サイズの異なるパターン上、及びパターン外の絶縁層膜厚の均一性について評価を行った。その結果について報告する。
本実施例では、実施の形態1、および実施の形態2で説明した方法をもとに図50に示すような評価サンプルを作製した。評価サンプル作製後、パターン形成された導電層130b上の絶縁層175bの膜厚、およびパターン外の絶縁層110上の絶縁層を測定した。なお、評価サンプルは、2条件について作製し、条件1が比較例、条件2が本発明とした。
評価サンプル作製における共通条件を以下に示す。
基板100にはシリコン基板を用いた。
絶縁層110には、プラズマCVD法により130nm成膜した酸化窒化シリコンを用いた。当該酸化窒化シリコン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量をシラン2.3sccm、一酸化二窒素800sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を隔膜式バラトロンセンサーおよびAPCバルブ制御により40Paとし、RF電源周波数を27MHzとし、成膜時のパワーは50Wとし、電極間の距離を15mmとし、成膜時の基板加熱温度を400℃とした。
酸化物絶縁層121には、スパッタリング法によりIn:Ga:Zn=1:3:4(原子数比)の組成のターゲットを用いて20nmを成膜したものを用いた。当該成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.7Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス40sccm、酸素ガス5sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を200℃とした。
酸化物半導体層122には、スパッタリング法によりIn:Ga:Zn=1:1:1の組成のターゲットを用いて15nmを成膜したものを用いた。当該成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.7Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス30sccm、酸素ガス15sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を300℃とした。
導電層130bには、スパッタリング法により20nm成膜したタングステン膜を用いた。当該成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.8Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて1kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス80sccm、加熱したArガス10sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を130℃とした。
当該タングステン膜上に有機樹脂、およびレジストを塗布し、EB(Electron Beam)露光機を用いたパターニングによりレジストマスクを形成した。当該有機樹脂および当該タングステン膜は、レジストマスクを介してICPドライエッチング法により加工処理を行った。処理条件は、エッチングガス流量として塩素60sccm、四フッ化メタン40sccm、ICPを2000W、Biasを50W、基板温度をー10℃、圧力を0.67Paとして、16sec処理を行い、導電層130bを形成した。
次に、導電層130bをハードマスクとして、ドライエッチング法による加工処理を行い、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層121を形成した。当該加工処理条件は、エッチングガス流量としてメタン16sccm、アルゴン32sccm、ICPを600W、Biasを50W、基板温度を70℃、圧力を1.0Paとし、終点検出後追加30sec処理とした。なお、処理後に存在するレジスト残渣に対して灰化処理を行った。
続いて、条件1と条件2において、それぞれ異なる作製工程について説明する。
(条件1の作製工程)
条件1では、上記共通工程後に、絶縁層175bとなる酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法により成膜した。当該成膜条件は、成膜用ガス流量をシラン5sccm、一酸化二窒素1000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を隔膜式バラトロンセンサーおよびAPCバルブ制御により133.30Paとし、RF電源周波数を13.56MHzとし、成膜時のパワーは35Wとし、電極間の距離を20mmとし、成膜時の基板加熱温度を325℃とし、280nm成膜した。
続いて、化学機械研磨(CMP)法により平坦化処理を行った。
研磨布は、ニッタハース社製IC1000/SUBA400 XY−Pを用いた。研磨用ヘッドのテンプレートの高さは650μmの物を用いた。研磨処理時、基板吸着せずにエアーを吹き付けながら処理を行った。また、研磨処理時のヘッドの回転数は93rpm、ステージの回転数は90rpmとした。また、研磨処理時のスラリーは150ml/minとした。
当該研磨処理において、酸化窒化シリコンのスラリーとしてヒュームドシリカを含むキャボット社製のアルカリ性のスラリーであるSemi−Sperse 25を用いた。水によるスラリーの希釈率は2倍とした。ウェーハへの加圧は、2.5psiであり、基板保持用治具(リテーナ)への加圧は2.0psiとした。処理時間は92secとした。
(条件2の作製工程)
条件2では、上記共通工程後に、絶縁層175bとなる酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法により成膜した。当該成膜条件は、条件1で用いたものと同様であり、130nm成膜した。
続いて、当該酸化窒化シリコン膜上に導電膜177aとなる窒化シリコン膜とタングステン膜の積層膜を成膜した。
当該窒化チタン膜の成膜は、ALD法を用いた。当該成膜条件は、四塩化チタン50sccmで0.05sec導入して絶縁層175bに吸着後、窒素ガスを4500sccmで0.2sec導入してパージ処理を行い、次いでアンモニアガスを2700sccmで0.3sec導入しゲート絶縁層に吸着後、窒素ガスを4000sccmで0.3sec導入し、これを一つのサイクルとして、サイクル数により膜厚制御した。また、基板ステージ設定温度を412℃、圧力を667Pa、基板ステージーガス射出ステージ間距離を3mmとし、5nm成膜した。
当該タングステンの成膜は、メタルCVD法を用い、3ステップで実施した。
1stステップとして、成膜用ガス流量を6フッ化タングステン160sccm、シラン400sccm、アルゴン6000sccm、窒素2000sccm、ステージ裏側用アルゴン4000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を1000Paとし、基板ステージの設定温度を390℃とし、3サイクルで3nm成膜した。
2ndステップとして、成膜用ガス流量を6フッ化タングステン250sccm、水素2200sccm、および1700sccm(ガスラインを2系統に分けて使用)、アルゴン2000sccm、窒素200sccm、ステージ裏側用アルゴン4000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を10666Paとし、基板ステージの設定温度を390℃とし、15secで41nm成膜した。
3rdステップとして、成膜用ガス流量を6フッ化タングステン250sccm、水素2200sccm、および1700sccm(ガスラインを2系統に分けて使用)、アルゴン2000sccm、窒素200sccm、ステージ裏側用アルゴン4000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を10666Paとし、基板ステージの設定温度を390℃とし、当該タングステン膜が50nmとなるように残りの膜厚分を成膜した。
続いて、上記タングステン膜上に絶縁膜179aとなる、プラズマCVD法で成膜した酸化窒化シリコン膜を130nm成膜した。当該成膜条件は、絶縁層175bとなる酸化窒化シリコン膜と同様とした。
続いて、CMP法による平坦化処理を2ステップに分けて行った。
研磨布は、ニッタハース社製IC1000/SUBA400 XY−Pを用いた。研磨用ヘッドのテンプレートの高さは650μmの物を用いた。研磨処理時、基板吸着せずにエアーを吹き付けながら処理を行った。また、研磨処理時のヘッドの回転数は93rpm、ステージの回転数は90rpmとした。また、研磨処理時のスラリーは150ml/minとした。
第1の研磨処理において、スラリーとしてヒュームドシリカを含むキャボット社製のアルカリ性のスラリーであるSemi−Sperse 25を用いた。水によるスラリーの希釈率は2倍とした。ウェーハへの加圧は、2.5psiであり、基板保持用治具(リテーナ)への加圧は2.0psiとした。処理時間は、50secとした。第1の研磨処理により、タングステン膜を露出させた。
つづいて、第2の研磨処理において、スラリーとしてコロイダルシリカを含む酸性のスラリーであるキャボット社製のW7300−B21を用いた。水によるスラリーの希釈率は2倍とした。スラリーに対して、31重量%の過酸化水素水を1体積%添加し、スラリー中の過酸化水素濃度0.0294mol/lとした。ウェーハへの加圧は、3.0psiであり、基板保持用治具(リテーナ)への加圧は1.40psiとした。処理時間は、終点検出後追加5secとした。
条件1と条件2を用いて作製したサンプルのパターン上の絶縁層175の膜厚およびパターン外膜厚を表1、および表2に示す。なお、パターン上の膜厚については、導電層130bとなるタングステン膜上の絶縁層175bとなる、酸化窒化シリコン膜の膜厚を基板中央部、基板外周部の2点について測定した。パターンサイズは、300nm×40nmのサイズのパターンと、300nm×300nmのサイズのパターンを用いた。また、パターン外の膜厚は基板面内の絶縁層110となる酸化窒化シリコン膜と絶縁層175bとなる酸化窒化シリコン膜の膜厚の合計膜厚を測定した。
表1および表2より、条件1に比べて本発明である条件2では、異なるパターンサイズの導電層130b上の絶縁層175bの膜厚、および基板100面内の絶縁層110と絶縁層175bとの合計膜厚のそれぞれにおいて、より均一となることがわかった。
本実施例では、研磨処理条件の違いによる表面の平坦性の変化について、断面観察による評価を行ったので、その結果について説明する。
サンプルの作製方法は、実施例1の条件2と同様であり、第2の研磨処理におけるスラリーへの31重量パーセント過酸化水素水の添加量のみ変えて評価を行った。表3に各条件における過酸化水素水の添加量、および添加後のスラリー中の過酸化水素濃度を示す。
断面観察は、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmittance Electron scope)により行った。観察用の装置は日立ハイテクノロジーズ社製HD−2300を用いた。図51に各条件のサンプルの断面STEM観察結果を示す。なお、条件2のサンプルを図51(A)、条件3のサンプルを図51(B)、条件4のサンプルを図51(C)に示す。
図51より、条件2、条件3では、絶縁層175bが平坦化されていることが確認された。一方で、条件4では、導電層130b上の絶縁層175bにおいて、わずかにくぼんでいることが確認された。
この違いについて検証するため、第2の研磨処理で用いたスラリー中の各過酸化水素濃度におけるタングステン膜および酸化窒化シリコンのエッチング速度を図52に示す。なお、エッチング速度は、研磨速度ということもできる。
図52より、酸化窒化シリコン膜のエッチング速度は、スラリー中の過酸化水素濃度が上昇してもほぼ一定である。一方で、タングステン膜のエッチング速度は、スラリー中の過酸化水素濃度が上昇するごとにエッチング速度が上昇していることがわかる。
ここで、条件2、条件3と条件4を比較すると、条件2、条件3においては、過酸化水素濃度が0.02mol/Lよりも高く、タングステン膜のエッチング速度と酸化窒化シリコン膜のエッチング速度の選択比が1.5よりも大きい。一方で、条件4では過酸化水素濃度が0.02mol/lよりも低く、選択比が1程度となっている。
したがって、過酸化水素濃度を0.02mol/l以上とする、またはタングステン膜のエッチング速度と酸化窒化シリコン膜のエッチング速度の選択比を1.5とすることで絶縁層175を平坦化することが可能となる。
本実施例では、図8に示したトランジスタ10を作製し、断面観察による形状評価を行った。その結果について説明する。
観察サンプルは、実施の形態1、実施の形態2、および実施例1の条件2にて説明した方法により作製した。なお、共通する部分については、その説明を援用する。
平坦化処理後(絶縁層175b形成後)、絶縁層175bとなる酸化窒化シリコン膜上に有機樹脂膜、および感光性レジストを塗布し、EB露光機を用いたパターニングによりレジストマスクを形成した。当該酸化窒化シリコン膜および当該有機樹脂膜は、レジストマスクを介してICPドライエッチング法により溝部174の加工処理を行った。
ICPドライエッチング法による加工処理は、2ステップにて行った。1stステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を40mm、圧力を6.5Pa、RF電源の電力を上部側1000W、下側を100W、エッチングガス流量として四フッ化メタン40sccm、上部電極60℃、側壁部50℃、下部電極20℃として、15sec処理を行った。
2ndステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を25mm、圧力を3.3Pa、RF電源の電力を上部側500W、下側を1150W、エッチングガス流量としてアルゴン800sccm、酸素30sccm、ヘキサフルオロ1,3ブタジエン22sccm、チャンバー温度を下部20℃として、38sec処理を行った。
続いて、上記処理により露出したタングステン膜に対してICPドライエッチング法により加工処理を行った。エッチング条件は、圧力を2.0Pa、RF電源の電力を上部側1000W、下側を25W、エッチングガス流量として塩素40sccm、四フッ化メタン40sccm、基板温度をー10℃として、20sec処理を行った。
酸化物絶縁層123には、スパッタリング法を用いてIn:Ga:Zn=1:3:2(原子数比)の組成のターゲットを用いて5nmを成膜したものを用いた。当該成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.7Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス30sccm、酸素ガス15sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を200℃とした。
ゲート絶縁層150には、プラズマCVD法で成膜した酸化シリコンを用いた。当該酸化シリコン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量をシラン1sccm、一酸化二窒素800sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を隔膜式バラトロンセンサーおよびAPCバルブ制御により200Paとし、RF電源周波数を60MHzとし、成膜時のパワーは150Wとし、電極間の距離を28mmとし、成膜時の基板加熱温度を350℃とし、当該酸化シリコン膜を10nm成膜した。
ゲート電極層161、ゲート電極層162として、メタルCVD法により5nm成膜した窒化チタンと、250nm成膜したタングステンを用いた。当該成膜方法は、導電層177と同様とした。
当該窒化チタン膜、当該タングステン膜を成膜後、CMP法により絶縁層175が露出するまで平坦化処理を行った。平坦化処理は、2ステップの研磨処理を行った。
第1の研磨処理において、スラリーとしてコロイダルシリカを含む酸性のスラリーであるキャボット社製のW7300−B21を用いた。水によるスラリーの希釈率は2倍とした。スラリーに対して、31重量%の過酸化水素水を2体積%の割合で添加した。ウェーハへの加圧は、3.0psiであり、基板保持用治具(リテーナ)への加圧は1.40psiとした。処理時間は、62.1secとした。
第2の研磨処理において、スラリーとしてヒュームドシリカを含むキャボット社製のアルカリ性のスラリーであるSemi−Sperse 25を用いた。水によるスラリーの希釈率は10倍とした。ウェーハへの加圧は、3.0psiであり、基板保持用治具(リテーナ)への加圧は2.0psiとした。処理時間は、20secとした。なお、この処理では、ヘッドの回転数を73rpm、ステージの回転数を70rpmとした。
観察は、STEMにより行った。観察に用いた装置は、実施例2と同様である。図53にトランジスタの断面STEM観察結果を示す。
図53より、トランジスタは、絶縁層110、酸化物絶縁層121、酸化物半導体層122、酸化物絶縁層123、ソース電極層130、ドレイン電極層140、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160、絶縁層175を有しており、絶縁層175は溝部174を有し、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160は、開口部に隙間なく埋め込まれていることがわかる。当該トランジスタのL長は、17.1nmである。
したがって、本発明を用いることで極めて微細なトランジスタを作製することができる。また、本発明を用いることで、トランジスタを安定して作製することができる。その結果、トランジスタの電気特性の向上(ばらつきの低減)が可能となり、半導体装置を安定して動作させることができる。
また、この構造を有することで、セルフアラインでゲート電極層160、ソース電極層130、ドレイン電極層140を形成することができるため、位置合わせ精度が緩和され、微細なトランジスタを作る上での難易度を下げることが可能となる。また、ゲート電極層160とソース電極層130間、あるいはゲート電極層160とドレイン電極層140間の寄生容量を低減することが可能となり、トランジスタ特性(例えば、周波数特性など)を向上させることができる。
本実施例では、本発明の一態様を用いて作製したトランジスタの電気特性について、図面を用いて説明する。
なお、本実施例において、他の実施形態および他の実施例と同様の処理条件を用いている部分については、それらの説明を援用する。
絶縁層110に対しては、イオン注入法により酸素を加速電圧60kV、イオンドーズ量を2×1016ions/cmの条件で添加処理を行った。
また、酸化物半導体層122には、スパッタリング法によりIn:Ga:Zn=4:2:4.1の組成のターゲットを用いて15nmを成膜したものを用いた。酸化物半導体層122の成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.7Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス30sccm、酸素ガス15sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を200℃とした。
また、絶縁層175bとなる酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法により120nm成膜した。当該成膜条件は、実施例1で記載したものと同様とした。
また、絶縁膜179aとなる酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法により120nm成膜した。当該成膜条件は、実施例1で記載したものと同様とした。
また、絶縁層175上にハードマスクとして、タングステン膜を20nm成膜した。当該成膜条件は、他の実施例で記載したものと同様とした。
絶縁層175は、膜厚が35nm程度となるように研磨量を調整した。
また、溝部174の加工処理において、絶縁層175bに対してICPドライエッチング法により4ステップの加工処理を行った。
1stステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を80mm、圧力を3Pa、RF電源の電力を上部側500W、下側を100W、エッチングガス流量として四フッ化メタン80sccm、下部電極20℃として、13sec処理を行った。
2ndステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を80mm、圧力を5.3Pa、RF電源の電力を上部側550W、下側を350W、エッチングガス流量として、酸素13sccm、三フッ化メタン67sccm、下部電極20℃として、28sec処理を行った。
3rdステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を100mm、圧力を1.3Pa、RF電源の電力を上部側1000W、下側を100W、エッチングガス流量として、4フッ化メタン22sccm、酸素22sccm、塩素11sccm、下部電極20℃として、3sec処理を行った。
4thステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を100mm、圧力を0.6Pa、RF電源の電力を上部側1000W、下側を100W、エッチングガス流量として、4フッ化メタン22sccm、酸素22sccm、塩素11sccm、下部電極20℃として、10sec処理を行った。
続いて、上記処理により露出したタングステン膜に対してICPドライエッチング法により2ステップの加工処理を行った。
1stステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を80mm、圧力を1.3Pa、RF電源の電力を上部側1000W、下側を25W、エッチングガス流量として、四フッ化メタン33sccm、酸素11sccm、塩素11sccm、下部温度を20℃として、3sec処理を行った。
2ndステップの処理条件は、上部電極―基板間距離を80mm、圧力を0.6Pa、RF電源の電力を上部側1000W、下側を25W、エッチングガス流量として、四フッ化メタン33sccm、酸素11sccm、塩素11sccm、下部温度を20℃として、11sec処理を行った。
絶縁層170には、酸化窒化シリコン膜50nmと、酸化アルミニウム膜40nmの積層を用いた。酸化窒化シリコン膜の成膜条件は絶縁層175bの成膜条件と同様とした。
当該酸化アルミニウム膜の成膜条件は酸化アルミニウム(Al)のターゲットを用いて、成膜時のチャンバー内圧力を0.4Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス25sccm、酸素ガス25sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を250℃とした。
さらに、絶縁層175、および絶縁層170に対して、開口処理を行った後、導電層を設けた。
(断面STEMによる観察結果)
図54(A)、図54(B)に本発明の一態様を用いて作製したトランジスタの断面STEMによる観察結果を示す。観察に用いた装置は、他の実施例で用いたものと同様である。
図54(A)、図54(B)に示すように、チャネル長が30nm未満の微細なトランジスタを形成できていることが確認された。
(トランジスタ特性)
次に、図55にチャネル幅32nm、チャネル長27nmのトランジスタ特性を示す。図55(A)は、ドレイン電流(I)−ドレイン電圧(V)特性、図55(B)はI−ゲート電圧(V)特性の評価結果である。
図55(B)より、オフ電流(Ioff)は半導体パラメータアナライザの測定下限(0.1pA)未満であり、DIBL=0.12V/V、Vd=1.2Vにおけるサブスレショルド係数(Subthreshold Swing:SS)は97mV/decであった。
なお、これらの優れた値は、チャネル長が27nmで、酸化膜換算膜厚(Equivalent Oxide Thickness:EOT)が11nmであるにも関わらず得られた。
次に、図56に信頼性試験結果(+ドレインBT)を示す。本発明の一態様のトランジスタをメモリ保持として用いることを想定して、信頼性試験を行った。試験条件は、ドレイン電圧(V)=1.8 V、ゲート電圧(V)=0.0V、150°C、1時間とし、試験前後で室温でのI−V特性を評価した。
図56より、今回行った試験においては、電気特性の劣化は略見られなかった。また、高温にもかかわらず、Ioffが0.1pA未満であり、温度により影響を受けにくいことが確認された。
(電気特性のチャネル長依存性)
次に、閾値電圧(Vth)、シフト電圧(Vsh)のチャネル長依存性を図57に示す。チャネル幅は、32nmのものと、比較例として62nmのものを用いた。なお、Vshは、Idが1pAとなる時のVgとした。
図57に示すように、チャネル幅32nmでは、チャネル長を縮小してもVth、Vshiftのロールオフは小さい傾向がある。そして、チャネル長27nmにおいてはVshiftが0Vよりも大きく、ノーマリーオフ特性が実現している。
次に、チャネル幅32nm、62nmにおけるサブスレショルド特性(Subthreshold Swing:SS)のチャネル長依存性の結果を図58示す。
図58より、チャネル幅62nmの場合、チャネル長の縮小によるSSの増大(劣化)が顕著であり、これと関係してVshのロールオフが大きい。一方で、チャネル幅32nmの場合、SSの変動が抑えられている。したがって、チャネル幅32nmの場合、短チャネル効果に対して非常に強いということができる。
(デバイス計算結果)
次に、上記結果に対して3Dデバイス計算による検証を行った。
計算には、Synopsys社のSentaurusを用いた。計算に用いたデバイス構造は、図に示した構造とした。活性層は酸化物半導体層122に相当する。また、V=−1V、V=1Vを設定して計算を行った。トランジスタのサイズは、チャネル幅を30nmと60nmとし、チャネル長を60nmとした。
図59(A)および図59(B)に、トランジスタのチャネル幅方向の断面における活性層の電子電流密度分布を示す。
図59(A)および図59(B)に示すように、チャネル幅が狭いとサイドゲートの寄与が強まり、バックチャネル側のリーク電流が低減される。これは、バックチャネル側の電子電流密度の制御性が高くなっていることを示す。したがって、本発明の一態様のトランジスタを用いて、さらにチャネル幅を狭くすることで、SSが改善、ひいては短チャネル効果に対して強くなるということができる。
図60にチャネル幅32nm、および62nmにおけるオン電流のL長依存性を示す。図60より、オン電流においては、チャネル幅が大きい方が有利となる。
(周波数特性)
続いて、周波数測定を行った。周波数測定は、Vd=0.1、1.2V、または2.0V、Vg=2.0Vの条件で行った。トランジスタは、チャネル長27nm、チャネル幅62nmものを600個並列して用いた。
図61に周波数特性測定結果を示す。図61(A)に相互コンダクタンス(gm)の結果を示し、この結果をもとに、Vd=0.1、1.2V、または2.0V、Vg=2.0Vにおいて周波数測定を行った。そして、測定したSパラメータをもとにした、de−embedding後のデータを図61(B)に示す。なお、図61(B)に示すde−embedding後のデータとして、縦軸にdB表記したもの(RF Gain)を示す。
図61より、外挿値から求めた遮断周波数(f)は、Vd=1.2Vで21.4GHz、Vd=2.0Vで34.4GHzとなり、非常に高い周波数が得られた。
なお、異なるチャネル長のトランジスタにおいて同様の評価を行ったところ、短チャネルであるほど、fが向上しており、スケーリングに沿った効果が得られている(図62参照)。
したがって、本発明の一態様を用いることにより、短チャネル効果に強く、高速応答が可能なトランジスタできることが分かった。
本実施例では、本発明の一態様を用いて作製したトランジスタのメモリ保持特性結果について、図面を用いて説明する。
本実施例に用いたトランジスタは、他の実施例で示した作製方法と同様の方法を用いて作製した。また、メモリ保持評価回路の構成上、本実施例に用いたトランジスタの下にシリコンを活性層に用いたトランジスタ(Siトランジスタ)を設けた。Siトランジスタは、一般的な方法を用いて作製した。
また、メモリ保持評価は、図63(A)に示す回路を用いて行った。当該回路において、トランジスタのサイズは、チャネル幅51nm、チャネル長55nmであった。また、保持容量を20fFとし、十分にノーマリーオフの状態にするため、Vg=−1.5Vを印加した。
また、メモリ保持評価に際し、フローティングノード電圧 (VFN) の電圧降下をモニタリングすることで、メモリ保持時間を測定した。なお、VFNをモニタリングする回路は、Siトランジスタを用いて作製した。
図63(B)にメモリ保持特性評価結果を示す。
図63(B)に示すように、125°Cで24時間(86400sec)後においても0.3 Vしか低下しなかった。電圧降下の時間依存性から緩和時間Τを抽出し、アレニウスプロットしたものを図64に示す。図64より、活性化エネルギーEaは1.15 eVが得られた。Τをメモリ保持時間の指標と考えると、85°Cにおいて、1×10sec(≒3年)以上の保持が実現できる。
したがって、本発明の一態様を用いることにより、メモリ保持特性の高いトランジスタを得ることができることがわかった。
10 トランジスタ
11 トランジスタ
12 トランジスタ
13 トランジスタ
20 表示装置
21 表示領域
22 周辺回路
24 表示装置
30 構造体
31 層
33 層
50 トランジスタ
52 トランジスタ
60 容量素子
62 容量素子
70 発光素子
80 液晶素子
100 基板
103 偏光板
105 保護基板
110 絶縁層
121 酸化物絶縁層
122 酸化物半導体層
123 酸化物絶縁層
123a 酸化物絶縁膜
130 ソース電極層
130b 導電層
140 ドレイン電極層
150 ゲート絶縁層
150a 絶縁膜
160 ゲート電極層
160a 導電膜
161 ゲート電極層
162 ゲート電極層
165 導電層
170 絶縁層
172 絶縁層
174 溝部
175 絶縁層
175a 絶縁膜
175b 絶縁層
177 導電層
177a 導電膜
177b 導電層
179a 絶縁膜
179b 絶縁層
180 絶縁層
190 導電層
195 導電層
200 撮像装置
201 スイッチ
202 スイッチ
203 スイッチ
210 画素部
211 画素
212 副画素
212B 副画素
212G 副画素
212R 副画素
220 光電変換素子
230 画素回路
231 配線
247 配線
248 配線
249 配線
250 配線
253 配線
254 フィルタ
254B フィルタ
254G フィルタ
254R フィルタ
255 レンズ
256 光
257 配線
260 周辺回路
270 周辺回路
280 周辺回路
290 周辺回路
291 光源
300 シリコン基板
310 層
320 層
330 層
340 層
351 トランジスタ
353 トランジスタ
360 フォトダイオード
361 アノード
362 カソード
363 低抵抗領域
365 フォトダイオード
366 半導体
367 半導体
368 半導体
370 プラグ
371 配線
372 配線
373 配線
374 配線
380 絶縁層
400 基板
402 保護基板
403 偏光板
410 導電層
415 導電層
418 遮光層
420 絶縁層
430 絶縁層
440 スペーサ
445 隔壁
450 EL層
460 着色層
470 接着層
473 接着層
474 接着層
475 接着層
476 接着層
480 導電層
490 液晶層
510 異方性導電層
530 光学調整層
601 プリカーサ
602 プリカーサ
700 基板
701 画素部
702 走査線駆動回路
703 走査線駆動回路
704 信号線駆動回路
710 容量配線
711b 原料供給部
712 走査線
713 走査線
714 信号線
716 トランジスタ
717 トランジスタ
718 液晶素子
719 液晶素子
720 画素
721 スイッチング用トランジスタ
722 駆動用トランジスタ
723 容量素子
724 発光素子
725 信号線
726 走査線
727 電源線
728 共通電極
800 RFタグ
801 通信器
802 アンテナ
803 無線信号
804 アンテナ
805 整流回路
806 定電圧回路
807 復調回路
808 変調回路
809 論理回路
810 記憶回路
811 ROM
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
1700 基板
1701 チャンバー
1702 ロード室
1703 前処理室
1704 チャンバー
1705 チャンバー
1706 アンロード室
1711a 原料供給部
1711b 原料供給部
1712a 高速バルブ
1712b 高速バルブ
1713a 原料導入口
1713b 原料導入口
1714 原料排出口
1715 排気装置
1716 基板ホルダ
1720 搬送室
1750 インターポーザ
1751 チップ
1752 端子
1753 モールド樹脂
1800 パネル
1801 プリント配線基板
1802 パッケージ
1803 FPC
1804 バッテリー
1900 基板
1901 ヘッド
1902 スラリー供給口
1903 スラリー
1904 研磨布
1905 ステージ
1906 加圧
1907 筐体
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
2201 絶縁体
2202 配線
2203 プラグ
2204 絶縁体
2205 配線
2207 絶縁体
2211 半導体基板
2212 絶縁体
2213 ゲート電極
2214 ゲート絶縁体
2215 ソース領域およびドレイン領域
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
4000 RFタグ
6000 表示モジュール
6001 上部カバー
6002 下部カバー
6003 FPC
6004 タッチパネル
6005 FPC
6006 表示パネル
6007 バックライトユニット
6008 光源
6009 フレーム
6010 プリント基板
6011 バッテリー
7101 筐体
7102 筐体
7103 表示部
7104 表示部
7105 マイク
7106 スピーカー
7107 操作キー
7108 スタイラス
7302 筐体
7304 表示部
7311 操作ボタン
7312 操作ボタン
7313 接続端子
7321 バンド
7322 金
7501 筐体
7502 表示部
7503 操作ボタン
7504 外部接続ポート
7505 スピーカー
7506 マイク
7701 筐体
7702 筐体
7703 表示部
7704 操作キー
7705 レンズ
7706 接続部
7901 電柱
7902 表示部
8000 カメラ
8001 筐体
8002 表示部
8003 操作ボタン
8004 シャッターボタン
8005 結合部
8006 レンズ
8100 ファインダー
8101 筐体
8102 表示部
8103 ボタン
8121 筐体
8122 表示部
8123 キーボード
8124 ポインティングデバイス
8200 ヘッドマウントディスプレイ
8201 装着部
8202 レンズ
8203 本体
8204 表示部
8205 ケーブル
8206 バッテリー
9700 自動車
9701 車体
9702 車輪
9703 ダッシュボード
9704 ライト
9710 表示部
9711 表示部
9712 表示部
9713 表示部
9714 表示部
9715 表示部
9721 表示部
9722 表示部
9723 表示部

Claims (18)

  1. 基板上に第1層を形成し、
    前記第1層上に第2層を成膜し、
    前記第2層を部分的にエッチングすることにより第3層を形成し、
    前記第1層、および前記第3層上に第1絶縁層を成膜し、
    前記第1絶縁層上に第4層を成膜し、
    前記第4層上に第5層を成膜し、
    前記第4層が露出するまで前記第5層に対して第1研磨を行うことにより第6層を形成し、
    前記第4層が無くなるまで前記第6層、前記第4層、および前記第1絶縁層を第2研磨することにより、第2絶縁層を形成し、
    前記第3層がある部分の前記基板下面から前記第2絶縁層上面の垂直距離と、前記第3層がない部分の前記基板下面から前記第2絶縁層上面の垂直距離が揃っていること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  2. 請求項1において、
    前記第2研磨において、前記第6層、または前記1絶縁層のエッチング速度に比して、前記第4層のエッチング速度は1.5倍以上高いこと、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記第4層は、前記第3層よりも厚い領域を有すること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  4. 基板上に第1層を形成し、
    前記第1層上に第2層を成膜し、
    前記第2層を部分的にエッチングすることにより第3層を形成し、
    前記第1層、および前記第3層上に第1絶縁層を成膜し、
    前記第1絶縁層上に導電層を成膜し、
    前記導電層が無くなるまで、前記導電層および前記第1絶縁層を研磨することにより、第2絶縁層を形成し、
    前記第3層がある部分の前記基板下面から前記第2絶縁層上面の垂直距離と、前記第3層がない部分の前記基板下面から前記第2絶縁層上面の垂直距離が揃っていること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  5. 請求項4において、
    前記研磨において、前記第1絶縁層のエッチング速度に比して、前記導電層のエッチング速度は1.5倍以上高いこと、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  6. 請求項4または5において、
    前記導電層は、前記第3層よりも厚い領域を有すること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  7. 第1層を形成し、
    前記第1層上に第2層を成膜し、
    前記第2層を部分的にエッチングすることにより第3層を形成し、
    前記第1層、および前記第3層上に第1絶縁層を成膜し、
    前記第1絶縁層上に導電層を成膜し、
    前記導電層上に第2絶縁層を成膜し、
    前記導電層が露出するまで前記第2絶縁層に対して第1研磨を行うことにより第3絶縁層を形成し、
    前記導電層が無くなるまで前記導電層、前記第3絶縁層、または前記第1絶縁層を第2研磨することにより第4絶縁層を形成し、
    前記第3層がある部分の前記基板下面から前記第4絶縁層上面の距離と、前記第3層がない部分の前記基板下面から前記第4絶縁層上面の距離を同じであること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  8. 請求項7において、
    前記第2研磨において、前記第3絶縁層、または前記1絶縁層のエッチング速度に比して、前記導電層のエッチング速度は1.5倍以上高いこと、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  9. 請求項7または8において、
    前記導電層は、前記第3層よりも厚い領域を有すること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  10. 請求項7乃至9のいずれか一において、
    前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、前記第3絶縁層、および前記第4絶縁層は、シリコン、および酸素を有し、
    前記導電層は、タングステンを有すること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  11. 請求項7乃至10のいずれか一において、
    前記第1研磨は、アルカリ性のスラリーを用いて行い、
    前記第2研磨は、酸性であって、かつ酸化剤を有するスラリーを用いて行うこと、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  12. 請求項6乃至10のいずれか一において、
    前記第2研磨に用いるスラリーは酸化剤を0.02mol/l以上0.2mol/l以下有すること、
    を特徴とする、構造体の作製方法。
  13. 基板上に第1絶縁層を成膜し、
    前記第1絶縁層上に第1酸化物絶縁層、第1酸化物半導体層、および第1導電層を成膜し、
    前記第1酸化物絶縁層、前記第1酸化物半導体層、および前記第1導電層を、第1マスクを用いて部分的にエッチングすることにより、第2酸化物絶縁層、第2酸化物半導体層、および第2導電層を形成し、
    前記第1絶縁層、および前記第2導電層上に、第2絶縁層を成膜し、
    前記第2絶縁膜上に第3導電層を成膜し、
    前記第3導電層上に第3絶縁層を成膜し、
    前記第3導電層が露出するまで前記第3絶縁層に対して第1研磨を行うことにより、第4絶縁層を形成し、
    前記第3導電層が無くなるまで前記第3導電層、前記第4絶縁層、または前記第2絶縁層を第2研磨することにより第5絶縁層を形成し、前記第2導電層がある部分の前記基板下面から前記第5絶縁層上面までの垂直距離と、前記第2導電層がない部分の前記基板下面から前記第5絶縁層上面までの垂直距離は揃っていて、
    第2のマスクを用いて、前記第5絶縁層および前記第2導電層を部分的にエッチングすることにより、前記第2酸化物半導体層に達する溝部、第6絶縁層、ソース電極層およびドレイン電極層を形成し、
    前記第6絶縁層および前記第2酸化物半導体層上に第3酸化物絶縁層を成膜し、
    前記第3酸化物絶縁層上に第7絶縁層を成膜し、
    前記第7絶縁層上に第4導電層を成膜し、
    前記第4導電層、前記第7絶縁層、および第3酸化物絶縁層を第3化学機械研磨することにより、ゲート電極層、ゲート絶縁層、および第4酸化物絶縁層を形成すること、
    を特徴とする、半導体装置の作製方法。
  14. 請求項13おいて、
    前記第2研磨において、前記第4絶縁層、または前記2絶縁層のエッチング速度に比して、前記第3導電層の研磨速度は1.5倍以上高いこと、
    を特徴とする、半導体装置の作製方法。
  15. 請求項13または14において、
    前記第3導電層の厚さは、前記第2酸化物絶縁層下面から前記第2導電層上面までの長さよりも大きい領域を有すること、
    を特徴とする、半導体装置の作製方法。
  16. 請求項13乃至15のいずれか一において、
    前記第2絶縁層、前記第3絶縁層、前記第4絶縁層、前記第5絶縁層、および前記第6絶縁層は、シリコン、酸素を有し、
    前記第3導電層は、タングステンを有すること、
    を特徴とする、半導体装置の作製方法。
  17. 請求項13乃至16のいずれか一において、
    前記第1研磨は、アルカリ性のスラリーを用いて行い、
    前記第2研磨は、酸性であって、かつ酸化剤を有するスラリーを用いて行うこと、
    を特徴とする、半導体装置の作製方法。
  18. 請求項13乃至17のいずれか一において、
    前記第2研磨に用いるスラリーは酸化剤を0.02mol/l以上0.2mol/l以下有すること、
    を特徴とする、半導体装置の作製方法。
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