JP2016218588A - 固定式の光学的情報読取装置およびそれを用いた光学的情報読取方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鏡面反射を起こすようなワークに付与されたコードを精度よく読み取り可能な光学的情報読取装置を提供すること。
【解決手段】リーダ3の発光素子から出射した光りはワーク2の表面で一度目の鏡面反射を起こし、リーダ4の腹部に設けられた拡散反射部材8に入射する。入射光は拡散反射部材8で拡散反射し、入射光の一部はワーク2に向かい、二度目の鏡面反射を起こし、リーダ3の撮像素子に入射する。このように拡散反射部材8は、拡散反射部材8で拡散反射し、さらにワーク2の表面で鏡面反射した光を撮像素子が受光するように、腹部に設けられている。リーダ3の撮像素子の光軸はワーク2の法線とは平行とならないように所定のスキュー角をなすようにリーダ3が設置される。
【選択図】図10

Description

本発明は情報を光学的に読み取る光学的情報読取装置のうち、固定式の光学的情報読取装置に関する。
光学的情報読取装置には、操作者が手持ちでコードを読み取るハンディタイプの光学的情報読取装置と、装置を固定しコードが付された対象物を動かす固定式の光学的情報読取装置とがある。固定式の光学的情報読取装置は主に工場のラインに設置され、搬送ベルトにより搬送されるワーク(検査対象となる生産物)に刻印または貼付されたコードを読み取る。とりわけ、バーコードやQRコード(登録商標)などの2次元コードを読み取る2次元コードリーダ(以下、リーダと称す。)は広く普及している。このようなリーダの一例が特許文献1に記載されている。
特開2011−76519号公報
ところで、リーダを小型化すると、撮像素子についての光軸と照明系の光軸とを平行にせざるをえない。これは、撮像素子の光軸と照明系の光軸との距離を短くせざるを得ないからである。このようなリーダでは照明光がワークの表面で反射し、正反射光(鏡面反射光)が撮像素子に入射し、2次元コードを読み取りにくくなってしまう。とりわけ、鏡面加工された金属製のワークなどでは、ワークの表面で鏡面反射が発生し、鏡面反射光が撮像素子に入射し、コードが読み取れなくなってしまう。そこで、ワークの表面の法線とリーダの光軸とが一致しないように、法線に対して光軸を傾けてリーダを設置しなければならない。これを斜め取り付けという。なお、ワークの表面の法線とリーダの光軸とが平行となるようにリーダを取り付けることを正面取付けと呼ぶことにする。
斜め取り付けを行うことで、鏡面反射光は撮像素子が存在しない方向に進行するが、リーダの周囲に存在する物体で反射して再びワークの表面で反射して、やはり撮像素子に入射してしまうことがある。これを避けようとしてリーダの取付け角度(スキュー角)をさらに調整することはユーザにとって困難であった。そこで、本発明は、鏡面反射を起こすようなワークに付与されたコードを精度よく読み取り可能な光学的情報読取装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、たとえば、
筐体と、
前記筐体の第一面側にある第一領域から光を出射する第一照明手段と、
前記第一領域とは異なる前記筐体の前記第一面側にある第二領域から入射する光であって、ワークからの反射光を受光することで、前記ワークに設けられたコードを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記コードをデコードするデコード手段と、
前記第一領域および前記第二領域とは異なる前記筐体の前記第一面側にある第三領域に設けられ、前記第一照明手段から出射した光のうち前記ワークの表面で鏡面反射した光を拡散反射させる拡散反射部材と、
を有し、
前記拡散反射部材は、当該拡散反射部材で拡散反射し、さらに前記ワークの表面で鏡面反射した光を前記撮像手段が受光するように、前記第三領域に設けられていることを特徴とする固定式の光学的情報読取装置が提供される。
本発明によれば、鏡面反射を起こすようなワークに付与されたコードを精度よく読み取り可能な光学的情報読取装置を提供することが可能となる。
光学的情報読取装置を示す図 光学的情報読取装置の構造を示す図 画像表示装置の支持構造を示す図 光学的情報読取装置の表示および操作パネルを示す図 光学的情報読取装置の電気的な構成を示す図 光学的情報読取装置に接続されるコンピュータを示す図 偏光フィルタの形状の一例を示す図 偏光フィルタの形状の一例を示す図 リーダのスキュー角の違いに応じた読み取り画像を説明する図 拡散反射部材の働きを説明する図 拡散反射部材の一例を示す図 リーダのスキュー角の違いに応じた読み取り画像を説明する図 スキュー角の求め方を説明する図 偏光フィルタの有無と照明光量の違いに応じた読み取り画像を説明する図 チューニング処理を示すフローチャート
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
図1はリーダシステム(光学的情報読取装置)の一例を示す図である。ライン1は検査対象物であるワーク2を搬送する搬送ベルトなどである。リーダ3は2次元コードを読み取ってデコードする2次元コードリーダである。なお、リーダ3自体も狭義の光学的情報読取装置である。プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC5)はライン1やリーダ3を制御する制御装置である。コンピュータ4はリーダ3に対して動作条件などを設定したり、リーダ3からデコード結果などを取得して表示したりする情報処理装置である。
<リーダ3の構造>
図2(A)はリーダ3の斜視図であり、図2(B)は主要部品の展開図である。リーダ3の形状は略直方体であるため、筐体外面は概ね6つの面を有している。つまり、筐体9には頂面94、底面95、前面96、背面97、左側面98、右側面99が存在する。図2(B)が示すように筐体9は主にフロントケース10とリアケース19により構成されている。
図2(B)が示すようにフロントケース10には4つの開口が設けられている。頂面側の開口にはホルダー13と、ホルダー13によって支持される画像表示装置14と、画像表示装置14をカバーするように配置される表示パネル15と、メインシート16が設けられる。フロントケース10の前面側の開口には透光性を有する窓部11と、フロントカバー12とが設けられる。窓部11の一部には偏光フィルタが設けられてもよい。前面96のうちフロントカバー12よりも下側の部分を腹部と呼ぶことにする。この例では、腹部の中心は略矩形の平面部と、その左右に位置する曲面部とを有している。フロントケース10の背面側の開口から、リフレクタ17と照明基板18とが挿入され、リアケース19によってふたをされる。リアケース19には、メイン基板21と、メイン基板21に固定された光学系50およびAF機構51が設けられている。リフレクタ17は、照明基板18に設けられた発光素子からの光を効率よく前方に照射するための構造部品である。リフレクタ17には、照明用の発光素子からの光を前方に集光して照射するためのコーン(円錐台)型の集光部176〜179と、ポインタ用の発光素子からの光を前方に集光して照射するためのコーン型の集光部175とが設けられている。これらには集光効率を高めるために金メッキ等が施されている。フロントケース10の底面側に開口にはコネクタホルダ20が取り付けられる。コネクタホルダ20には2本の通信ケーブルが接続されており、それぞれコンピュータ4とPLC5とに接続される。コネクタホルダ20にはコネクタ基板が取り付けられている。
左側面98と右側面99にはそれぞれリーダ3から着脱可能なオプションのアタッチメントパーツを固定するためのネジ穴45が設けられていてもよい。後述する拡散反射部材などはこのネジ穴45を利用してネジ止めされてもよい。
図3(A)〜図3(C)はホルダー13の周辺の構造を説明するための図である。図2(A)、図3(A)および図3(B)が示すようにホルダー13は画像表示装置14を支持する支持部材である。照明基板18は、ホルダー13に対して直交した方向に延在し、ホルダー13に係合してホルダー13を支持する。つまり、ホルダー13はフロントケース10の頂面94に対して平行に設けられており、照明基板18はフロントケース10の前面96と平行に設けられており、両者は直交している。なお、ホルダー13の底面側には溝131が設けられており、溝131に照明基板18の端部が嵌合することで、ホルダー13を照明基板18に対してしっかりと固定してもよい。このようなホルダー13を採用することで画像表示装置14を取り付ける回路基板を不要とすることができる。
図3(A)や図3(C)が示すように、照明基板18には、画像表示装置14の表示面と同じ側に押圧面が存在する押しボタン型のスイッチ24、25が配置されていてもよい。ホルダー13と一体に構成された押圧部材22、23によって、それぞれスイッチ24、25が押圧され、それぞれの接点が閉じるように構成されていてもよい。スイッチ24、25の押圧方向と、ホルダー13を指示する照明基板18の長さ方向とが一致しているため、スイッチ24、25を押圧してもホルダー13が撓みにくい。押圧部材22はホルダー13の主体から延びる弾性の腕部39aによって支持されている。同様に、押圧部材23はホルダー13の主体から延びる弾性の腕部39bによって支持されている。押し下げられた押圧部材22、23は腕部39a、39bの弾性によって元の位置に復帰する。腕部39a、39bはホルダー13と一体構成型されているため、ばね等の復帰用の追加部材を省略できる利点がある。
図3(A)や図3(B)が示すように、照明基板18には、撮像素子31に対応して設けられる光学系モジュール(光学系50やAF機構51など)を実装するための円形の開口部33が設けられている。開口部33の周囲には照明用の4つの発光素子26〜29が設けられている。図3(A)が示すように、照明基板18とホルダー13との係合部の付近にはインジケータとして機能する1つまたは複数の発光素子32が設けられている。発光素子32の光がフロントケース10の頂面94から外部に出力されるように、ホルダー13に導光用の開口部34が設けられている。つまり、2つのスイッチ24、25の間にインジケータが配置されている。図3(C)が示すように開口部34の四方は遮光壁36a〜36dで囲まれているため、インジケータの光が画像表示装置14の方へ漏れにくくなっている。ホルダー13には画像表示装置14を収容するための収容溝37が設けられている。また収容溝37の底部には画像表示装置14の信号ケーブルを通すための穴部38が設けられている。
図3(B)が示すようにメイン基板21には撮像素子31が配置されている。図3(B)が示すように照明基板18にはポインタ用の光を出力する発光素子35が配置されている。上述したようにリフレクタ17には、発光素子35用の集光部175に加え、発光素子26〜29用の集光部176〜179が設けられている。集光部175〜179はコーン型の形状であり、コーンの頂上側の開口から光が入射し、底面側から出射する。
図4はメインシート16を示す図である。メインシート16の中央部には画像表示装置14の表示面40が設けられている。メインシート16の下部にはセレクトキー42、インジケータ44、エンターキー43が設けられている。セレクトキー42は、上述したスイッチ24と押圧部材22によって構成されている。エンターキー43は、上述したスイッチ25と押圧部材23によって構成されている。インジケータ44は、2つの発光素子32によって構成されており、たとえば、2次元コードの読み取りが成功すると緑色の発光素子が点灯し、2次元コードの読み取りが失敗すると赤色の発光素子が点灯する。なお、画像表示装置14は撮像素子31によって取得した画像(静止画または動画)に加え、セレクトキー42とエンターキー43の割り当てをユーザに示唆する画像(図4のSELとMENU(ただしENTと表示されることもある))を表示してもよい。
<制御ユニット>
図5はリーダ3の電子的な構成を示すブロック図である。リーダ3のカメラ部(撮像手段)は、撮像素子31、光学系50、AF機構51、照明部52などを有している。撮像素子31は光学系50を通して結像した2次元コードの画像を電気的な信号に変換するCCDやCMOS等のイメージセンサである。AF機構51は光学系50のうち合焦用のレンズの位置や屈折率を調整する機構である。AF機構51と光学系50は、図3(B)において撮像素子31と開口部33との間に配置される。AF機構51と光学系50は一体化されて光学系モジュールを構成していてもよい。
照明部52は1つ以上の発光素子を有し、2次元コードを照明するユニットである。照明部52は、たとえば、照明用の発光素子26〜29やポインタ用の発光素子35を有している。ポインタの光は光学系50の光軸の目安となり、ユーザはポインタの位置を参照してワーク2を正しい位置に設置してもよい。
デコード部53は撮像素子31によって取得された2次元コードの画像データ72をデコードしてデコード結果71を記憶部70に書き込むユニットである。通信部54はPLC5やコンピュータ4と通信するユニットである。通信部54は、たとえば、PLC5と通信するI/O部、RS232Cなどのシリアル通信部、無線LANや有線LANなどのネットワーク通信部などを備えていてもよい。
表示部55は画像表示装置14やインジケータ用の発光素子32を備えている。表示部55は、たとえば、2次元コードのデコード結果71である文字列、読み取り成功率(複数回読み取り処理を実行したときの平均読み取り成功率)、マッチングレベル(読み取りのしやすさを示す読取余裕度)、PPC(2次元コードを構成する1つのセルが画像データにおいていくつの画素に相当するかを示す値:ピクセル・パー・セル)などを表示してもよい。入力部56はスイッチなどの入力操作を受け付けるユニットであり、セレクトキー42やエンターキー43を備えている。
制御ユニット60はリーダ3の各部を統括的に制御するユニットである。制御ユニット60は様々な機能を搭載しているが、これらは論理回路により実現されてもよいし、ソフトウエアを実行することによって実現されてもよい。オートフォーカス制御部(AF制御部)61はAF機構51を制御するユニットである。撮像制御部62は照明部52の照明光の光量を制御したり、撮像素子31の露光時間(シャッタースピード)を制御したりするユニットである。とりわけ、撮像制御部62は、チューニング部65や演算部63からの指示に応じて照明部52の複数の発光素子のうちどれを点灯させるかを制御する点灯制御手段として機能する。
演算部63は様々な演算処理を実行する。たとえば、演算部63はデコード結果や画像データなどを用いて、読み取り成功率やマッチングレベル、PPCを演算する。もちろんこれらの演算は、デコード部53やチューニング部65など、演算部63以外のユニットで実行されてもよい。
チューニング部65は、読取条件を制御する読取条件制御手段または照明条件を決定する条件決定手段として機能する。読取条件は、たとえば、露光時間や照明光量、ゲインなどの撮像条件やデコード部53における画像処理条件(フィルタの係数など)である。ライン1を搬送されるワーク2に対する外光の影響などで適切な撮像条件や画像処理条件は変化する。よって、チューニング部65は、より適切な読取条件を探索して、AF制御部61や撮像制御部62、デコード部53を設定する。チューニング部65は、暗視野照明モードと明視野照明モードなどのどちらがコードを読み取るために適しているかを判定してもよい。
UI管理部66は、画像表示装置14に画像データを表示したり、入力部56からのユーザ指示を受け付けたり、インジケータの点灯を制御したりするユニットである。
記憶部70は、メモリなどの記憶装置であり、デコード部53によって取得されたデコード結果71、撮像素子31によって取得された画像データ72、コンピュータ4などの設定装置によってリーダ3に設定されたデータや入力部56により設定されたデータである設定データ73などを記憶する。
図6はコンピュータ4の機能を示すブロック図である。リーダ3を小型化すると、リーダ3の表示部55や入力部56だけではリーダ3のすべての機能を設定することが難しくなる。そこで、一部の設定データ73についてはコンピュータ4で作成してリーダ3に転送してもよい。CPU80は記憶部90に記憶されているプログラムに基づきコンピュータ4が備えている各部を制御するユニットである。演算部81の一機能であるUI制御部83はリーダ3の撮像条件などを設定するためのユーザインタフェースやリーダ3が出力するデコード結果71、画像データ72などを表示するためのユーザインタフェースを生成し、表示部84に表示させる。演算部81は様々な演算を実行するユニットである。通信部86はリーダ3の通信部54と有線または無線で接続し、デコード結果71や画像データ72を受信したり、設定部82で生成された設定データ73を送信したりする。記憶部90は、メモリやハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などである。
<偏光フィルタ>
本実施形態では、偏光フィルタを設けられた第一照明手段と、偏光フィルタを設けられていない第二照明手段とを設け、ワーク2に応じてどちらかが選択されて点灯される。なお、偏光フィルタを設けることはオプションである。
図7(A)はリーダ3の斜視図であり、図7(B)は窓部11の拡大図である。窓部11のうち、発光素子26からの光が出射する部分(光出射領域)と、発光素子27からの光が出射する部分とには偏光フィルタ91が設けられている。また、窓部11のうち、撮像素子31の光学系に光が入射する部分(光入射領域)には偏光フィルタ92が設けられている。なお、偏光フィルタ91の偏向方向と、偏光フィルタ92の偏向方向とは異なっており、たとえば、90度異なっている。その一方で、窓部11のうち、発光素子28の光が出射する部分と、発光素子29の光が出射する部分とには偏光フィルタは設けられていない。このように、発光素子26と発光素子27で第一照明手段を形成し、発光素子28と発光素子29で第二照明手段を形成してもよい。つまり、ユーザが偏光フィルタの設置や取り外しを実行する代わりに、リーダ3がどちらの照明手段を点灯させるかを電気的に切り替えればよい。たとえば、偏光フィルタが無い方がより有利なワーク(例:鋳物など)については第二照明手段を点灯させて、第一照明手段を消灯させる。一方で、偏光フィルタがある方がより有利なワーク(例:プリント基板やフライス加工面、黒樹脂などに二次元コードを有するワーク)については第一照明手段を点灯させて、第二照明手段を消灯させる。これによりユーザの負担を大幅に軽減できるとともに、1つのリーダ3で様々なワークに設けられた2次元コードを精度よく読み取ることが可能となる。
図8(A)は偏光フィルタ91と偏光フィルタ92との形状の一例を示している。とりわけ、撮像素子用の偏光フィルタ92は略円形の形状をしており、偏光フィルタ92の左端と右端とにはそれぞれ位置合わせ部材93a、93bが設けられている。偏光フィルタ91の底部の左端と右端とは位置合わせ部材93a、93bの形状と整合しており、この例では直線状となっている。偏光フィルタ91の底部の中央は略半円形となっており、偏光フィルタ92の上部の形状に整合している。このように、位置合わせ部材93a、93bを採用することで、窓部11に対して偏光フィルタ91と偏光フィルタ92とを正確に貼付しやすくなる。また、偏光フィルタ91の頂部の形状は窓部11の頂部の形状に整合しているため、窓部11に対して偏光フィルタ91を正確に位置合せして貼付しやすくなっている。
<拡散反射部材の利点>
図9(A)ないし図9(F)を用いて拡散反射部材をリーダ3に取り付けることの利点について説明する。図9(A)はリーダ3をワーク2に対して正面取付けした際の側面図である。ワーク2は金属表面を有し、この金属表面にコード6がDPMにより設けられている。DPMはダイレクト・パーツ・マーキングの略称である。DPMは、たとえば、レーザ光を照射することで金属表面などにコードを刻印する手法である。図9(A)が示すように、発光素子26、27から出射した光は金属表面やコード6で鏡面反射(正反射)し、撮像素子31に入射する。図9(B)は正面取付けの際に撮像素子31により撮像された画像の一例を示している。図9(B)が示すように、ワーク2の表面が鏡面として働く、その結果、画像には、ワーク2に映ったリーダ3の一部や、鏡面反射による白とび部分が含まれている。とりわけ、コード6と白とび部分が重なってしまうと、コード6をデコードできなくなってしまう。よって、金属表面などの鏡面を有するワーク2に対してリーダ3を正面取付けすることは好ましくないケースが存在しうる。
図9(C)はリーダ3をワーク2に対して斜め取付けした際の側面図である。図9(C)が示すように、発光素子26、27から出射した光の一部の成分はワーク2で鏡面反射するが、リーダ3に与えられたスキュー角によって鏡面反射光は撮像素子31の光軸方向とは異なる方向に向かう(実線)。一方で、発光素子26、27から出射した光の他の成分はワーク2で拡散反射し、撮像素子31に入射する(破線)。図9(D)は斜め取付けの際に撮像素子31により撮像された画像の一例を示している。図9(D)が示すように、もはや鏡面反射光が撮像素子31に入射しないようになり、コード6をデコード可能な程度に撮像することが可能となる。
図9(E)はリーダ3をワーク2に対して斜め取付けした際の側面図である。図9(E)が示すように、ワーク2で鏡面反射した光はリーダ3の筐体が存在する方向には向かわない。鏡面反射光が向かう先に何らかの物体7(たとえば、人間の手など)が存在すると、鏡面反射光のうちその物体で反射した光の成分が再びワーク2の表面に向かい、そこで再び反射して、撮像素子31に入射してしまうことがある。図9(F)は斜め取付けの際に撮像素子31により撮像された画像の一例を示している。図9(F)が示すように、物体7が画像に写りこんでしまい、デコード誤りの原因となり得る。このようにリーダ3の頂面側を上げ、底面側を下げるようなスキュー角に設定すると、コード6の画像は物体7の影響を受ける。
図10(A)はリーダ3をワーク2に対して斜め取付けした際の他の側面図である。図10(A)が示すように、リーダ3の底面側を上げ、頂面側を下げるようなスキュー角に設定すると、ワーク2で鏡面反射した光はリーダ3の前面側のうち腹部に向かう。本実施例では少なくとも腹部の中心部分を覆うように拡散反射部材8が設けられている。光は拡散反射部材8で拡散反射し、その一部が再びワーク2に向かう(破線)。この光はワーク2で鏡面反射し、撮像素子31に入射する。図10(B)は斜め取付けの際に撮像素子31により撮像された画像の一例を示している。図10(B)が示すように、ワーク2での一回目の鏡面反射光は撮像素子31には入射せずに、拡散反射部材8に向かい、そこで拡散反射して、ワーク2に向かう。ワーク2で2回目の鏡面反射した光は撮像素子31に向かうため、適度なコントラストでコード6の画像が取得可能となる。
<拡散反射部材の構成>
図11(A)は拡散反射部材8の一例を示す斜視図である。図11(B)は拡散反射部材8を取り付けたリーダ3を示す斜視図である。図11(A)が示すように、拡散反射部材8はリーダ3の正面側を覆うような形状をしている。ただし、発光素子26、27などの光の出射と撮像素子31への光の入射とを妨害しないように、窓部11と相似した、または、類似した形状の穴部101が設けられている。穴部101は発光素子26〜29などの光の出射と撮像素子31への光の入射とを妨害しないような形状であれば十分である。図11(A)が示すように、拡散反射部材8の左右の両端は、直角に折り曲げられており、支持部102が形成されている。左右の支持部102にはそれぞれネジ104を挿入するためのスルーホール103が設けられている。このネジ104はリーダ3の左側面98と右側面99にそれぞれ設けられたネジ穴45に螺合する。このように左右の2点で拡散反射部材8をネジ止めしているため、拡散反射部材8のスキュー角をリーダ3のスキュー角とは異なるように設定することも可能である。このような拡散反射部材8のスキュー角の微調整を可能とすることで、より様々なワーク2に対しても適合可能となろう。
拡散反射部材8はリーダ3から着脱可能なアタッチメントパーツとして提供されてもよい。これは、すでにリーダ3を購入済みのユーザが、拡散反射部材8を新たに購入してリーダ3に取り付けることを可能にする。また、拡散反射部材8があると却ってコード6のデコードが困難となるような環境では、拡散反射部材8を取り外すことで、容易にコード6の読み取り成功率を向上させることができるであろう。
拡散反射部材8の拡散反射率は、リーダ3の筐体のうち拡散反射部材8を取り付けることで覆われてしまう腹部の拡散反射率よりも大きい。たとえば、拡散反射部材8の色は白色である。ただし、腹部の拡散反射率を拡散反射部材8の拡散反射率と同程度にすることができれば、拡散反射部材8を省略できる。たとえば、腹部の拡散反射率が拡散反射部材8の拡散反射率と同程度となるように、腹部に所定の塗料を塗布したり、粘着性のシールを貼付したりしてもよい。
拡散反射率は、たとえば、50%以上であれば十分であるが、とりわけ80%以上にすると効率よくコード6を読み取れるようになる。たとえば、拡散反射率が80%ないし85%となる白色ペイント、エナメル仕上げなどが採用されてもよい。また、拡散反射率が50%ないし75%となる淡色ペイントが採用されてもよい。なお、拡散反射率が85%ないし91%となる白紙(奉書紙)、拡散反射率が70%ないし80%となる白紙(ケント紙など)、拡散反射率が60%ないし65%となる白アート紙などが拡散反射部材8として採用されてもよい。拡散反射部材8は拡散反射率を調整された樹脂などであってもよい。
図11(A)に示した拡散反射部材8は、リーダ3の正面の全体を覆うように形成されているが、少なくとも腹部を覆うように形成されていればよい。図10(A)や図12(C)などを用いて説明したように、リーダ3の腹部において拡散反射を発生させることができれば十分だからである。
図11(A)によれば拡散反射部材8の腹部(拡散部)は平面に成型されているが、コード6のデコードが十分に成功する限り、曲面であってもよい。また、表面処理によって拡散部に凹凸が形成されていてもよい。
<スキュー角>
図12(A)ないし図12(F)を用いてリーダ3のスキュー角の違いによるコード6の画像の一例について説明する。図12(A)ないし図12(F)においてスキュー角は、説明をわかりやすくするために、大げさに記載されている。図12(A)においてスキュー角はθである。この例ではワーク2が水平方向に搬送されることが想定されており、スキュー角θは水平に対するリーダ3の背面のなす角度として定義されている。とりわけ、図12(A)はスキュー角θが小(例:5度)の場合のリーダ3などの側面図である。この例では、スキュー角θが小さすぎる。図12(B)はスキュー角θが小の場合に撮像素子31により取得された画像の一例を示している。図12(B)が示すように、リーダ3の窓部11の一部が画像に写りこんでしまっている。とりわけ、コード6の一部が窓部11の鏡像と重なってしまっているため、読み取り成功率が低下しうる。よって、窓部11の鏡像がコードの6の画像に写りこまないようにスキュー角θを調整することが求められよう。
図12(C)はスキュー角θが中(例:8度)の場合のリーダ3などの側面図である。図12(D)はスキュー角θが中の場合に撮像素子31により取得された画像の一例を示している。この例では、スキュー角θが適切であり、コード6と重なるような物体は写りこんでいない。
図12(E)はスキュー角θが大(例:10度)の場合のリーダ3などの側面図である。図12(F)はスキュー角θが大の場合に撮像素子31により取得された画像の一例を示している。この例では、スキュー角θが大きすぎるため、拡散反射部材8よりも外側の部分が写りこんでしまっている。この例では、外側の部分はコード6と重なっていないものの、ワーク2の搬送ベルト上での位置が多少ずれると、外側の部分がコード6と重なってしまうだろう。よって、拡散反射部材8よりも外側にある背景部分が写りこまないようにスキュー角θを調整することが求められよう。ただし、窓部11の鏡像が写りこんでしまうケースよりも背景部分が写りこんでしまうケースの方がデコードに与える影響が小さい。そのため、スキュー角θは8度以上でかつ14度以下となるように設定されてもよい。
このようにスキュー角θは、原則として、リーダ3が写りこまず、かつ、拡散反射部材8の外側部分が写りこまないように決定される。なお、リーダ3が写りこまない最小の角度θ1や拡散反射部材8の外側部分が写りこまない最大の角度θ2は以下で説明する式を用いて算出可能である。
図13はスキュー角θの求め方を説明するための図である。Dは読み取り距離であり、光軸線上において窓部11の表面からコード6までの距離である。lは撮像素子31の光軸中心から拡散反射部材8の下端までの距離である。hは撮像素子31の光軸中心から拡散反射部材8の上端までの距離である。(1)式を用いてリーダ3が写りこまない最小の角度θ1が算出される。同様に、(2)式を用いて拡散反射部材8の外側部分が写りこまない最大の角度θ2が算出される。なお、(1)式においてLは(3)式が示すようにlを用いて表される。同様に、(2)式においてHは(4)式が示すようにhとlを用いて表される。
<偏光フィルタの効果>
図14(A)ないし図14(D)を用いて偏光フィルタの有無と照明光量の多少との組み合わせに応じたコード6の画像の一例を説明する。図14(A)は偏光フィルタありと光量少とを組み合わせて得られるコード6の画像の一例を示している。図14(B)は偏光フィルタありと光量多とを組み合わせて得られるコード6の画像の一例を示している。図14(C)は偏光フィルタなしと光量少とを組み合わせて得られるコード6の画像の一例を示している。図14(D)は偏光フィルタなしと光量多とを組み合わせて得られるコード6の画像の一例を示している。上述したようにコード6はDPM等により形成されるため、一部はワーク2の他の表面と同じ鏡面であり、彫りこまれた部分はざらついた面となっている。ざらついた面では鏡面反射よりも拡散反射が起こりやすい。そのため、偏光フィルタ91、92が窓部11に取り付けられている場合には、コード6のうち彫りこみ部では拡散反射が発生して黒い画像となる。特に、発光素子26、27から出射してコード6で拡散反射してそのまま撮像素子31に対して入射する光は偏光フィルタ91、92によって効率よく減光されるため、黒い画像となる。一方でコード6のうち鏡面の部分やワーク2のその他の部分(背景部)では鏡面反射が発生するため、彫りこみ部よりも明るい(白い)画像となる。
偏光フィルタ91、92が窓部11に取り付けられていない場合には、発光素子26、27から出射してコード6で拡散反射してそのまま撮像素子31に対して入射する光は、拡散反射部材8を経由しないため、比較的その光量は多い。また、偏光フィルタ91、92がないため減光が生じない。よって、彫りこみ部は背景部よりも明るい(白い)画像となる。
このように偏光フィルタの有無によりコード6の白く写る部分と黒く写る部分とを反転させることが可能となる。つまり、明視野照明と暗視野照明とを実現することが可能となる。
上述したように、4つある発光素子26〜29のうち、発光素子26、27は偏光フィルタ91を設けられているが、発光素子28、29は偏光フィルタ91を設けられていない。つまり、これらの発光素子ペアを択一的に発光させることで、偏光フィルタ91の有無を切り替えることが可能となる。とりわけ、図14(B)と図14(C)とを比較するとわかるように、偏光フィルタ91の有無を切り替えることで明視野と暗視野とを切り替えることが可能となる。明視野によるコード6の読み取り成功率と、明視野によるコード6の読み取り成功率とをチューニング部65が取得して、どちらがより優れているかを決定してもよい。読み取り成功率に代えてマッチングレベルが採用されてもよい。チューニング部65は撮像制御部62を通じて発光素子26、27のペアと、発光素子28、29のペアとを交互に発光させ、撮像素子31によりコード6を読み取り、デコード部53や演算部63により読み取り成功率を求めて比較する。なお、各ペアについてチューニング部65は照明光量を数段階切り替えながらより適した照明光量を探ってもよい。最終的に、チューニング部65は最も読み取り成功率が優れていた照明光量と発光素子ペアとの組み合わせを選定する。
図15はチューニング処理の一例を示すフローチャートである。ここではリーダ3のチューニング部65がチューニング処理を実行するものとして説明するが、コンピュータ4の演算部81がチューニング処理の一部を実行してもよい。なお、マッチングレベルに代えて読み取り成功率が求められてもよい。
S1でチューニング部65は暗視野照明モードを選択し、照明部52に対して暗視野照明モードで発光するよう指示する。暗視野照明モードは、偏光フィルタ91を光が透過するモードであり、発光素子26、27が点灯するモードである。なお、偏光フィルタを設けられていない発光素子28、29は消灯している。
S2でチューニング部65は光量を段階的に変化させながらコードを読み取り、マッチングレベルを求める。たとえば、チューニング部65は撮像制御部62を通じて照明部52に対してn個ある光量レベルうちの第1レベルを設定して発光素子26、27を点灯させる。さらにチューニング部65はAF制御部61にAF制御を開始させ、AF制御部61から合焦したことが報告されると、撮像制御部62にコード6の撮像を実行させる。チューニング部65はデコード部53にコード6の画像を送ってデコードを実行させ、演算部63にデコード結果を用いてマッチングレベルを演算させる。マッチングレベルは、n個ある光量レベルのそれぞれについて求められる。
S3でチューニング部65は明視野照明モードを選択し、照明部52に対して明視野照明モードで発光するよう指示する。明視野照明モードは、偏光フィルタを光が透過しないモードであり、発光素子28、29が点灯するモードである。なお、偏光フィルタを設けられている発光素子26、27は消灯している。
S4でチューニング部65は光量を段階的に変化させながらコードを読み取り、マッチングレベルを求める。たとえば、チューニング部65は照明部52に対してn個ある光量レベルうちの第1レベルを設定して発光素子28、29を点灯させる。さらにチューニング部65はAF制御部61にAF制御を開始させ、AF制御部61から合焦したことが報告されると、撮像制御部62にコード6の撮像を実行させる。チューニング部65はデコード部53にコード6の画像を送ってデコードを実行させ、演算部63にデコード結果を用いてマッチングレベルを演算させる。マッチングレベルは、n個ある光量レベルのそれぞれについて求められる。
S5でチューニング部65は、明視野照明モードについてのn個のマッチングレベルと暗視野照明モードについてのn個のマッチングレベルとのうちで最も高いマッチングレベルであった照明モードと光量レベルとの組み合わせを決定する。これによりワーク2とコード6との組み合わせに適した照明モードと光量レベルとが選択され、設定データ73に保存される。
なお、照明モードと光量レベルとの各組み合わせに対するマッチングレベルなどのデコード結果71はチューニング部65からコンピュータ4に送信され、表示部84に表示されてもよい。また、各組合せに対して取得された画像データ72もチューニング部65からコンピュータ4に送信され、表示部84に表示されてもよい。
<まとめ>
本実施形態によれば、発光素子26、27は、筐体9の第一面側(前面96)にある第一領域(窓部11のうち上側にある領域)から光を出射する第一照明手段として機能する。撮像素子31は、第一領域とは異なる筐体9の第一面側にある第二領域(窓部11の概ね中央の領域)から入射する光であって、ワーク2からの反射光を受光することで、ワーク2に設けられたコード6を撮像する撮像手段として機能する。デコード部53は、撮像素子31により撮像されたコード6をデコードするデコード手段として機能する。拡散反射部材8は、第一領域および第二領域とは異なる筐体9の第一面側にある第三領域(前面96の腹部)に設けられ、発光素子26、27から出射した光のうちワーク2の表面で鏡面反射した光を拡散反射させる。図10(A)や図11(B)などを用いて説明したように、拡散反射部材8は、拡散反射部材8で拡散反射し、さらにワーク2の表面で鏡面反射した光を撮像素子31が受光するように、筐体9の腹部に設けられている。拡散反射部材8は、疑似的な面照明として機能し、いわゆるV字落斜照明を実現しうる。これにより、鏡面反射を起こすようなワーク2に設けられたコード6であって精度よく読み取り可能となる。なお、リーダ3の撮像素子31の光軸はワーク2の法線とは平行とならないように所定のスキュー角をなすようにリーダ3が設置されてもよい。
図10(A)を用いて説明したように、拡散反射部材8は、発光素子26、27から出射され、ワーク2の表面において一度目の鏡面反射をした光のうち第一成分の光を鏡面反射することで当該第一成分の光をワーク2が存在する方向とは異なる方向へ誘導する。また、拡散反射部材8は、ワーク2の表面において一度目の鏡面反射をした光のうち第二成分の光を拡散反射することでワーク2が存在する方向へ誘導する。第一成分の光は最も光量が多いため、コード6を読み取る上で障害となる。本実施形態では、拡散反射部材8によって第一成分の光をワーク2が存在する方向とは異なる方向へ誘導することで、コード6の読み取りが邪魔されないようになろう。
図2(B)などを用いて説明したように、発光素子26、27、撮像素子31および拡散反射部材8のうちで発光素子26、27は、筐体9の第一面(例:前面96)に接続した第二面(例:頂面94)に対して最も近い位置に配置されている。撮像素子31は頂面94に対して二番目に近い位置に配置されている。拡散反射部材8は頂面94に対して最も遠い位置に配置されている。このような位置関係とすることで、筐体9の腹部に設けられた拡散反射部材8により効率よく光を誘導することが可能となろう。
図7(A)などを用いて説明したように発光素子26、27からの光の出射面と撮像素子31への光の入射面とにはそれぞれ偏光方向の異なる偏光部材(偏光フィルタ91、92)が設けられていてもよい。図13を用いて説明したように、偏光フィルタ91、92を設けることで、コード6の読み取り成功率が向上することがあるからである。偏光フィルタ91、92はオプションであり、省略されてもよい。
拡散反射部材8のうちのリフレクタとして機能する領域の拡散反射率は、拡散反射部材8のうちのリフレクタとして機能しない領域の拡散反射率よりも大きく設定されてもよい。図11(A)で説明した拡散反射部材8では、リフレクタとして機能する領域だけでなくそれ以外の領域(穴部101の周囲の領域や支持部102など)も同一の塗料で塗装されている。これは製造工程を効率化する上で有利である。しかし、デザイン性などの観点から拡散反射部材8は複数の色で塗り分けられてもよいし、リフレクタの部分とは異なる部分には色の異なる樹脂やゴム部材が取付けられてもよい。このように拡散反射部材8はからなずしも全体が一色で塗装されていることは必要ではない。ただし、リフレクタの領域は拡散反射を起こさせる主要な領域であるため、他の領域よりも拡散反射率が大きく設定されるべきであろう。
図2(B)などを用いて説明したように、発光素子28、29は、筐体9の第一面側にある領域であって第一領域(発光素子26、27からの光の出射領域)と第三領域(腹部)との間にある第四領域に光の出射面が設けられた第二照明手段として機能する。発光素子26、27を点灯する照明モードと、発光素子28、29を点灯する照明モードとではコード6に対する照射角度が異なる。よって、コード6の読み取りに適した照射角度を選択できるようになろう。
図2(B)などを用いて説明したように、撮像素子31および拡散反射部材8のうちで撮像素子31は、筐体9の前面96に接続した頂面94に対して最も近い位置に配置されている。第二照明手段である発光素子28、29は頂面94に対して二番目に近い位置に配置されている。拡散反射部材8は頂面94に対して最も遠い位置に配置されている。このような位置関係とすることで、発光素子28、29から出射した光のうち、ワーク2での最初の鏡面反射光が撮像素子31に戻りにくくなり、拡散反射部材8で拡散反射し、ワーク2で2度目の鏡面反射した光が撮像素子に戻ってくるようになり、コード6の読み取り成功率やマッチングレベルが向上しよう。
拡散反射部材8は筐体9の外面に対して着脱可能なアタッチメントパーツであってもよい。拡散反射部材8の拡散反射率は、筐体9の前面96のうち拡散反射部材8が取り付けられると拡散反射部材8によって覆われてしまう領域(腹部)の拡散反射率よりも大きい。これにより、拡散反射部材8を設けないケースよりも拡散反射部材8を設けたケースの方が腹部付近での拡散反射が起きやすくなり、コード6の読み取り成功率やマッチングレベルが向上するようになろう。なお、拡散反射部材8があると却ってコード6の読み取り成功率やマッチングレベルが低下するケースでは、拡散反射部材8を取り外して腹部で拡散反射させてもよい。これにより、容易に拡散反射率を調整することが可能となろう。
拡散反射部材8は筐体9の前面に貼付されていてもよい。また、拡散反射部材8は筐体9の前面に磁石により固定されていてもよい。このように拡散反射部材8は必ずしもネジ止めされていることは要求されるわけではない。ただし、ネジ止めすることで、容易には拡散反射部材8の設置角度が変化しないようになり、同一の光学条件を維持しやすくなろう。その一方で、拡散反射部材8は筐体9の前面に貼付すれば、取り付けの際に工具が不要となる利点がある。また、拡散反射部材8をマグネットシートで構成すれば、着脱がさらに容易になろう。
拡散反射部材8は筐体9の前面96のうち腹部に塗布されて形成されていてもよい。これにより、拡散反射部材8を腹部の塗装で形成できるため、非常に製造が容易になろう。
拡散反射部材8は白色部材であってもよい。とりわけ、白色部材は拡散反射を起こしやすいため、拡散反射部材8として適していよう。
ワーク2は金属部分を有し、コード6は金属部分の表面に刻印されていてもよい。金属は鏡面反射を起こしやすい部材として知られている。よって、金属表面にDPMされたコード6を読み取る際に拡散反射部材8は有用であろう。なお、金属ではなくとも、鏡面反射を起こすような鏡面加工が施された部材であれば、拡散反射部材8は有用であろう。
図2(A)などを用いて説明したように、筐体9の前面96には段差が設けられており、第一領域および第二領域は第一段に設けられており、第三領域は第一段とは異なる第二段に設けられていてもよい。
図12(A)ないし図12(F)などを用いて説明したように、筐体9はワーク2を搬送する搬送部材に対するスキュー角が8度以上かつ14度以内となるように固定されてもよい。ただし、スキュー角が8度前後であれば、コード6の読み取り成功率やマッチングレベルが良好となろう。
図2(A)などを用いて説明したように、筐体9は、第一面(前面96)に接続した第二面(頂面94)、第三面(左側面98)、第四面(右側面99)および第五面(底面95)と、第一面に接続せず、かつ、第二面、第三面、第四面および第五面に接続した第六面(背面97)とを有していてもよい。第二面(頂面94)にはデコード部53によるデコード結果を表示する表示手段として画像表示装置14が設けられてもよい。第五面(底面95)には電源ラインを含む信号ラインを接続する端子が設けられてもよい。第六面(背面97)は筐体9を外部の支持部材に固定する固定具が設けられていてもよい。外部の支持部材はワーク2を製造する工場のラインに設置されている。よって、外部の支持部材に取り付けるための固定具が背面97に設けられていてもよい。固定具はたとえばネジ穴などであってもよい。
拡散反射部材8のサイズは概ね筐体9の前面96を覆うことが可能なサイズとしているが、これは一例に過ぎない。リーダ3の設置の自由度を増したり、コード6の読み取りの安定性を増加したりするために、前面96の面積よりもさらに大きな面積を有した拡散反射部材8が採用されてもよい。とりわけ、読み取り距離Dを長くせざるをえないような環境では、面積の広い拡散反射部材8は有利であろう。
また、本実施形態によれば、固定式の光学的情報読取装置を用いた光学的読取方法が提供される。設置担当者は、第一照明手段から出射した光のうちワークの表面で鏡面反射した光を拡散反射させる拡散反射部材8を、筐体9の第一面側にある第三領域(腹部)に取り付ける。設置担当者はワーク2の製造ラインにおいて、拡散反射部材8で拡散反射し、次にワーク2の表面で鏡面反射した光を撮像素子31が受光するように、筐体9を固定する。設置担当者は撮像素子31にコード6を撮像させる。設置担当者は撮像素子31により撮像されたコード6をデコード部53によりデコードさせる。これにより、コード6を精度よく読み取れるようになろう。
発光素子26〜29は赤色の光を発光するLEDであってもよい。赤色LEDは青色LEDや白色LEDと比較して安価であるため、リーダ3の製造原価を低減できるであろう。
1…ライン、2…ワーク、3…リーダ、4…コンピュータ、5…PLC、6…コード、8…拡散反射部材

Claims (16)

  1. 筐体と、
    前記筐体の第一面側にある第一領域から光を出射する第一照明手段と、
    前記第一領域とは異なる前記筐体の前記第一面側にある第二領域から入射する光であって、ワークからの反射光を受光することで、前記ワークに設けられたコードを撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された前記コードをデコードするデコード手段と、
    前記第一領域および前記第二領域とは異なる前記筐体の前記第一面側にある第三領域に設けられ、前記第一照明手段から出射した光のうち前記ワークの表面で鏡面反射した光を拡散反射させる拡散反射部材と、
    を有し、
    前記拡散反射部材は、当該拡散反射部材で拡散反射し、さらに前記ワークの表面で鏡面反射した光を前記撮像手段が受光するように、前記第三領域に設けられていることを特徴とする固定式の光学的情報読取装置。
  2. 前記拡散反射部材は、前記第一照明手段から出射され、前記ワークの表面において一度目の鏡面反射をした光のうち第一成分の光を鏡面反射することで当該第一成分の光を前記ワークが存在する方向とは異なる方向へ誘導し、前記ワークの表面において一度目の鏡面反射をした光のうち第二成分の光を拡散反射することで前記ワークが存在する方向へ誘導することを特徴とする請求項1に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  3. 前記第一照明手段、前記撮像手段および前記拡散反射部材のうちで前記第一照明手段は、前記筐体の第一面に接続した第二面に対して最も近い位置に配置されており、前記撮像手段は前記第二面に対して二番目に近い位置に配置されており、前記拡散反射部材は前記第二面に対して最も遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  4. 前記第一照明手段からの光の出射面と前記撮像手段への光の入射面とにはそれぞれ偏光方向の異なる偏光部材が設けられている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  5. 前記拡散反射部材のうちリフレクタとして機能する領域の拡散反射率は、前記筐体のリフレクタとして機能しない領域の拡散反射率よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  6. 前記筐体の第一面側にある領域であって前記第一領域と前記第三領域との間にある第四領域に光の出射面が設けられた第二照明手段をさらに有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  7. 前記撮像手段および前記拡散反射部材のうちで前記撮像手段は、前記筐体の第一面に接続した第二面に対して最も近い位置に配置されており、前記第二照明手段は前記第二面に対して二番目に近い位置に配置されており、前記拡散反射部材は前記第二面に対して最も遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  8. 前記拡散反射部材は前記筐体の外面に対して着脱可能なアタッチメントパーツであり、
    前記拡散反射部材の拡散反射率は、前記筐体の前記第一面のうち前記拡散反射部材が取り付けられると前記拡散反射部材によって覆われてしまう領域の拡散反射率よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  9. 前記拡散反射部材は前記筐体の第一面に貼付されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  10. 前記拡散反射部材は前記筐体の第一面に塗布され形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  11. 前記拡散反射部材は白色部材であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  12. 前記ワークは金属部分を有し、前記コードは前記金属部分の表面に刻印されていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  13. 前記筐体の前記第一面側には段差が設けられており、前記第一領域および前記第二領域は第一段に設けられており、前記第三領域は前記第一段とは異なる第二段に設けられていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  14. 前記筐体は前記ワークを搬送する搬送部材に対するスキュー角が8度以上かつ14度以内となるように固定されることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  15. 前記筐体は、前記第一面に接続した第二面、第三面、第四面および第五面と、前記第一面に接続せず、かつ、前記第二面、前記第三面、前記第四面および前記第五面に接続した第六面とを有しており、
    前記第二面には前記デコード手段によるデコード結果を表示する表示手段が設けられており、
    前記第五面には電源ラインを含む信号ラインを接続する端子が設けられており、
    前記第六面は前記筐体を外部の支持部材に固定する固定具が設けられていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の固定式の光学的情報読取装置。
  16. 筐体と、
    前記筐体の第一面側にある第一領域から光を出射する第一照明手段と、
    前記第一領域とは異なる前記筐体の前記第一面側にある第二領域から入射する光であって、ワークからの反射光を受光することで、前記ワークに設けられたコードを撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された前記コードをデコードするデコード手段と、
    を有する固定式の光学的情報読取装置を用いた光学的読取方法であって、
    前記第一照明手段から出射した光のうち前記ワークの表面で鏡面反射した光を拡散反射させる拡散反射部材を、前記第一領域および前記第二領域とは異なる前記筐体の前記第一面側にある第三領域に取り付ける工程と、
    前記拡散反射部材で拡散反射し、次に前記ワークの表面で鏡面反射した光を前記撮像手段が受光するように、前記筐体を固定する工程と、
    前記撮像手段により前記コードを撮像させる工程と、
    前記撮像手段により撮像された前記コードを前記デコード手段によりデコードする工程と
    を有することを特徴とする光学的読取方法。
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