[1]画像処理センサの基本構成および基本動作
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像処理センサの基本構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像処理センサ1は、ヘッド部2および本体部3を備える。ヘッド部2および本体部3は、電気ケーブル4を介して接続されている。また、本体部3は、電気ケーブル5を介して商用電源に接続されるとともに、電気ケーブル6を介して画像処理センサ1の外部機器(例えば、パーソナルコンピュータまたはプログラマブルコントローラ等)に接続される。
ヘッド部2は、ケーシング200内に、ヘッド電源基板10、照明基板20A,20B、ヘッドメイン基板30および撮像基板40が収容された構成を有する。一方、本体部3は、ケーシング300内に、本体電源基板50、本体メイン基板60および表示基板70の一部が収容された構成を有する。
ヘッド部2のヘッド電源基板10は、照明基板20A,20Bおよびヘッドメイン基板30と配線部材を介して電気的に接続される。また、ヘッドメイン基板30は、撮像基板40と配線部材を介して電気的に接続されるとともに、本体部3の本体メイン基板60と上記の電気ケーブル4を介して電気的に接続される。本体部3の本体メイン基板60は、本体電源基板50および表示基板70と配線部材を介して電気的に接続される。また、本体電源基板50は、表示基板70と配線部材を介して電気的に接続される。さらに、本体電源基板50には、上記の電気ケーブル5,6が接続される。
ヘッド部2のヘッド電源基板10は、電源回路11および光源駆動回路12が配線回路基板に実装された構成を有する。照明基板20Aは光源21Aが配線回路基板に実装された構成を有し、照明基板20Bは光源21Bが配線回路基板に実装された構成を有する。ヘッドメイン基板30は、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)31およびメモリ32が配線回路基板に実装された構成を有する。撮像基板40は、撮像素子41および撮像素子駆動回路42が配線回路基板に実装された構成を有する。
本体部3の本体電源基板50は、電源回路51および通信回路52が配線回路基板に実装された構成を有する。本体メイン基板60は、MCU(マイクロコンピュータユニット)61が配線回路基板に実装された構成を有する。表示基板70は、画像表示パネル71、パネル駆動回路72、表示灯73および操作部74が配線回路基板に実装された構成を有する。
画像処理センサ1のヘッド部2は、例えば複数の検査対象物Wが一定速度で搬送されるベルトコンベアBC上に配置される。ベルトコンベアBC上の固定位置には、撮像素子41の撮像領域として検査領域IAが設定される。
光源駆動回路12は、後述するDSP31から与えられる駆動制御信号に基づいて光源21A,21Bを駆動する。光源21A,21Bから発生された光が検査領域IAに向かって照射される。光源21A,21Bとして、白色光を発生するLED(発光ダイオード)が用いられる。光源21A,21Bとして、LEDに代えてハロゲンランプ等の他の発光装置が用いられてもよい。
撮像素子駆動回路42は、後述するDSP31から与えられる駆動制御信号に基づいて撮像素子41を駆動する。撮像素子41は、検査領域IAで照明される検査対象物Wを撮像する。撮像素子41として、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)が用いられる。なお、撮像素子41として、CMOSに代えてCCD(電荷結合素子)等の他の素子が用いられてもよい。
撮像基板40においては、撮像素子41および撮像素子駆動回路42に加えて図示しないA/D変換器(アナログデジタル変換器)が配線回路基板に実装されている。撮像素子41から出力される受光信号は、A/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換され、ヘッドメイン基板30のDSP31に与えられる。
DSP31は、与えられたデジタル信号に基づいて検査対象物Wの画像データを生成し、生成された画像データをメモリ32に記憶する。このようにして、撮像基板40により検査対象物Wの画像が取得される。メモリ32には、検査対象物Wの画像データの他に、予め後述するティーチングプログラムおよび判定表示プログラムが記憶されている。
DSP31がティーチングプログラムを実行することにより、使用者による操作部74の操作等に基づいてティーチング処理が行われる。ティーチング処理においては、基準画像および不良画像が取得される。基準画像は良品(欠陥を含まない検査対象物W)の画像であり、不良画像は不良品(欠陥を含む検査対象物W)の画像である。また、取得された基準画像および不良画像に基づいて、基準画像と新たに取得される検査対象物Wの画像との一致度に基づいて検査対象物Wの良否を判定するためのしきい値が設定される。なお、判定用のしきい値は、基準画像のみに基づいて設定されてもよい。
本実施の形態においては、一致度とは、基準画像に対して新たに取得される検査対象物Wの画像が近似している程度をいう。以下の説明では、ティーチング処理後に新たに取得される検査対象物Wの画像を検査画像と呼ぶ。一致度が高いほど検査画像は基準画像に近似しており、一致度が低いほど検査画像は基準画像から相違している。ティーチング処理の詳細は後述する。
DSP31が判定表示プログラムを実行することにより、使用者による操作部74の操作等に基づいて判定表示処理が行われる。判定表示処理においては、ある検査画像について算出される一致度とティーチング処理により設定されたしきい値とが比較される。その比較結果に基づいて、その検査画像に対応する検査対象物Wの良否が判定される。判定表示処理の詳細は後述する。
また、DSP31は、上記のように、撮像素子駆動回路42および光源駆動回路12にそれぞれ駆動制御信号を与える。さらに、DSP31は、画像表示パネル71に種々の画像を表示すべき旨の指令を本体メイン基板60のMCU61に与える。
MCU61は、DSP31からの指令に応答してヘッドメイン基板30のメモリ32に記憶される画像データに関する表示制御信号をパネル駆動回路72に与える。パネル駆動回路72は、与えられた表示制御信号に基づいて画像表示パネル71を駆動する。それにより、画像表示パネル71は、上記のティーチング処理中および判定表示処理中に、検査画像、基準画像、不良画像、一致度およびしきい値のうち少なくとも1つを表示する。画像表示パネル71として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルが用いられる。画像表示パネル71として、有機ELパネルに代えて液晶ディスプレイパネル等の他の表示装置が用いられてもよい。
また、MCU61は、判定表示処理による検査対象物Wの良否の判定結果を示す判定信号を通信回路52および表示灯73に与える。例えば、DSP31は、判定表示処理において、ある検査画像の一致度がしきい値よりも高い場合にその検査画像に対応する検査対象物Wが良品であると判定する。このとき、MCU61は、例えば良品を示すハイレベル(またはローレベル)の判定信号を通信回路52および表示灯73に与える。また、DSP31は、判定表示処理において、ある検査画像の一致度がしきい値以下である場合にその検査画像に対応する検査対象物Wが不良品であると判定する。このとき、MCU61は、例えば不良品を示すローレベル(またはハイレベル)の判定信号を通信回路52および表示灯73に与える。
通信回路52は、MCU61から与えられる判定信号を電気ケーブル6を通して画像処理センサ1の外部機器に出力する。表示灯73は、赤色LEDおよび緑色LEDおよびそれらの駆動回路を含む。この場合、表示灯73は、例えば、良品を示す判定信号を受けた場合に緑色LEDにより緑色に発光し、不良品を示す判定信号を受けた場合に赤色LEDにより赤色に発光する。
図1の例では、右から2番目の検査対象物Wは他の検査対象物Wとは異なる形状を有する。また、右から2番目の検査対象物Wの色は他の検査対象物Wの色とは異なる。この場合、右から2番目の検査対象物Wを撮像することにより取得される検査画像の一致度が予め設定されたしきい値よりも小さい場合に、その検査対象物Wが不良品であると判定される。また、その不良品を示す判定信号が外部機器に出力される。
[2]画像処理センサの構造の詳細およびその構造に関する効果
図2は、画像処理センサ1の外観斜視図である。図2以降の所定の図には、各構成要素の位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。以下の説明では、X方向において矢印が向かう方向を前方と呼び、その逆の方向を後方と呼ぶ。また、Y方向において矢印が向かう方向を一側方と呼び、その逆の方向を他側方と呼ぶ。さらに、Z方向において矢印が向かう方向を上方と呼び、その逆の方向を下方と呼ぶ。
図2に示すように、ヘッド部2のケーシング200は、Z方向に延びる略直方体形状を有する。ケーシング200の前面には、透明のカバー部材210が設けられている。ケーシング200の後面に電気ケーブル4が接続されている。
カバー部材210は、出射部211A,211Bおよび入射部212を含む。出射部211A、入射部212および出射部211Bは、この順で上から下に向かってZ方向に並ぶ。図1の光源21Aから発生される光は、後述する第1の導光路GL1(図4参照)および出射部211Aを通して検査領域IAに照射される。図1の光源21Bから発生される光は、後述する第2の導光路GL2(図4参照)および出射部211Bを通して検査領域IAに照射される。検査領域IAからの光は、入射部212を通して図1の撮像素子41に入射される。カバー部材210の材料としては、透明のアクリル樹脂またはガラスが用いられる。なお、カバー部材210は設けられなくてもよい。
ケーシング200のY方向(幅方向)の寸法αは例えば21mmであり、ケーシング200のX方向(長さ方向)の寸法βは例えば27mmであり、ケーシング200のZ方向(高さ方向)の寸法γは例えば34mmである。また、検査領域IAは、例えばヘッド部2の前端部から10mm〜20mm程度前方に離間した位置に設定される。
本体部3のケーシング300は略直方体形状を有する。ケーシング300の前面に電気ケーブル4の他端が接続されている。ケーシング300の後面に電気ケーブル5,6の一端がそれぞれ接続されている。
ケーシング300の上面においては、略中央部に図1の画像表示パネル71が設けられるとともに、前端部近傍に表示灯73が設けられている。また、画像表示パネル71の前方の位置で上方に突出するように設定ボタン74aが設けられている。さらに、画像表示パネル71の後方の位置で上方に突出するように上ボタン74b、下ボタン74c、戻るボタン74dおよび切替ボタン74eが設けられる。設定ボタン74a、上ボタン74b、下ボタン74c、戻るボタン74dおよび切替ボタン74eは図1の操作部74を構成する。
図3は、画像処理センサ1のヘッド部2の分解斜視図である。図3に示すように、カバー部材210、前部ケーシング部材220および後部ケーシング部材230により図2のケーシング200が構成される。
前部ケーシング部材220は、カバー部材210を支持するとともにX方向に延びる角筒状の周壁部を有する。後部ケーシング部材230は、前部ケーシング部材220と同様に、X方向に延びる角筒状の周壁部を有する。後部ケーシング部材230の周壁部の後端部には、底部231が形成されている。底部231には、後方から電気ケーブル4の一端が取り付けられる。
ヘッド部2においては、後部ケーシング部材230の内部に光学ベース100、レンズモジュール110、照明モジュール120A,120B、撮像モジュール130、ヘッド電源基板10およびヘッドメイン基板30が設けられる。
光学ベース100は、樹脂製の一体成形品であり、第1の支柱101、第2の支柱102、第3の支柱103、筒状支持部104、上方壁部105、下方壁部106および照明支持部107A,107Bを含む。第1および第2の支柱101,102は、Z方向に延びるようにかつY方向に並ぶように形成される。筒状支持部104は、円筒形状を有する。また、筒状支持部104は、第1の支柱101の中央部と第2の支柱102の中央部との間の位置で、X方向に延びるように設けられる。
上方壁部105は、上方に向かって凹状に湾曲した曲板形状を有する。また、上方壁部105は、第1の支柱101の上端部と第2の支柱102の上端部とをつなぐとともに、第1および第2の支柱101,102の位置から筒状支持部104の後端部よりも後方の位置まで延びる。上方壁部105の上面に、後述する第1の曲面状反射面R1(図4参照)が形成されている。
下方壁部106は、下方に向かって凹状に湾曲した曲板形状を有する。また、下方壁部106は、第1の支柱101の下端部と第2の支柱102の下端部とをつなぐとともに、第1および第2の支柱101,102の位置から筒状支持部104の後端部よりも後方の位置まで延びる。下方壁部106の下面に、後述する第3の曲面状反射面R3(図4参照)が形成されている。上方壁部105および下方壁部106の後端部に照明支持部107A,107Bがそれぞれ設けられる。
光学ベース100の外表面のうち少なくとも第1の曲面状反射面R1および第3の曲面状反射面R3には、光を反射する金属薄膜がコーティングされている。金属薄膜のコーティングは、例えば電解めっき、無電解めっき、スパッタリングまたは蒸着等の方法により行われる。
撮像モジュール130は撮像基板40を含む。図3に太い実線の矢印aで示すように、撮像モジュール130は、光学ベース100の筒状支持部104の後端部に取り付けられる。この状態で、撮像モジュール130は上方壁部105と下方壁部106との間に位置する。レンズモジュール110は、レンズ111およびそのレンズ111を保持する円筒形状のホルダを含む。図3に太い実線の矢印bで示すように、レンズモジュール110は、光学ベース100の筒状支持部104内に挿入され、筒状支持部104の内部に固定される。
照明モジュール120Aは、照明基板20A、リフレクタ22Aおよび光整形部材23Aを含む。リフレクタ22Aおよび光整形部材23Aは、例えば樹脂により形成される。リフレクタ22Aはすり鉢形状を有する。リフレクタ22Aの底部には開口が形成されている。リフレクタ22Aに照明基板20Aが取り付けられている。この状態で、リフレクタ22Aの底部の開口内に光源21A(図1)が位置決めされている。
光整形部材23Aは、下方に向かって凹状に湾曲した曲板形状を有し、リフレクタ22Aの前端部に接続される。光整形部材23Aは、リフレクタ22Aの前端部から前方かつ上方に向かって延びる。光整形部材23Aの一側方前端部および他側方前端部の各々には、照明モジュール120Aを光学ベース100に取り付けるための取り付け片24が設けられている。光整形部材23Aの下面に、後述する第2の曲面状反射面R2(図4参照)が形成されている。光整形部材23Aおよびリフレクタ22Aは、図3に太い一点鎖線の矢印cで示すように、光学ベース100の上部に取り付けられる。この場合、照明モジュール120Aの2つの取り付け片24が、それぞれ第1および第2の支柱101,102の上端部に接続される。また、リフレクタ22Aの後端部が、照明支持部107Aに接続される。
照明モジュール120Aの外表面のうち少なくともリフレクタ22Aの内周面および光整形部材23Aの第2の曲面状反射面R2(図4)には、光を反射する金属薄膜がコーティングされている。本実施の形態では、リフレクタ22Aの内周面は、光源21Aから発生される光の少なくとも一部を反射しつつ集光するCPC(Compound Parabolic Concentrator:複合放物面鏡)として機能する。
照明モジュール120Bは、照明基板20B、リフレクタ22Bおよび光整形部材23Bを含む。リフレクタ22Bおよび光整形部材23Bは、例えば樹脂により形成される。リフレクタ22Bはすり鉢形状を有する。リフレクタ22Bの底部には開口が形成されている。リフレクタ22Bに照明基板20Bが取り付けられている。この状態で、リフレクタ22Bの底部の開口内に光源21Bが位置決めされている。
光整形部材23Bは、上方に向かって凹状に湾曲した曲板形状を有し、リフレクタ22Bの前端部に接続される。光整形部材23Bは、リフレクタ22Bの前端部から前方かつ下方に向かって延びる。光整形部材23Bの一側方前端部および他側方前端部の各々には、照明モジュール120Bを光学ベース100に取り付けるための取り付け片24が設けられている。光整形部材23Bの上面に、後述する第4の曲面状反射面R4(図4参照)が形成されている。光整形部材23Bおよびリフレクタ22Bは、図3に太い一点鎖線の矢印dで示すように、光学ベース100の下部に取り付けられる。この場合、照明モジュール120Bの2つの取り付け片24が、それぞれ第1および第2の支柱101,102の下端部に接続される。また、リフレクタ22Bの後端部が、照明支持部107Bに接続される。
照明モジュール120Bの外表面のうち少なくともリフレクタ22Bの内周面および光整形部材23Bの第4の曲面状反射面R4(図4)には、光を反射する金属薄膜がコーティングされている。本実施の形態では、リフレクタ22Bの内周面は、光源21Bから発生される光の少なくとも一部を反射しつつ集光するCPCとして機能する。
図3に太い点線の矢印eで示すように、ヘッド電源基板10が光学ベース100の一側部に取り付けられる。また、図3に太い点線の矢印fで示すように、ヘッドメイン基板30が光学ベース100の他側部に取り付けられる。
上記のように、光学ベース100に、レンズモジュール110、照明モジュール120A,120B、撮像モジュール130、ヘッド電源基板10およびヘッドメイン基板30が取り付けられる。この状態で、ヘッド電源基板10、照明基板20A,20B、ヘッドメイン基板30および撮像基板40が、フレキシブル配線回路基板またはハーネス等の配線部材(図1参照)により電気的に接続される。
その後、図3に白抜きの矢印gで示すように、光学ベース100が後部ケーシング部材230の内部に取り付けられる。さらに、図3に白抜きの矢印hで示すように、後部ケーシング部材230の前端部に前部ケーシング部材220が取り付けられる。このようにして、ヘッド部2が完成する。
図4は、図2のA−A線におけるヘッド部2の縦断面図である。図4では、ケーシング200および電気ケーブル4の図示は省略する。また、図4では、光源21A,21Bから発生される光の理想的な進行方向が白抜きの矢印で示される。
図4に示すように、光学ベース100の上方壁部105の上面に第1の曲面状反射面R1が形成されている。また、照明モジュール120Aの光整形部材23Aの下面に第2の曲面状反射面R2が形成されている。第1および第2の曲面状反射面R1,R2は、入射された光を反射するとともに反射された光の広がりを抑制するように形成されている。
本実施の形態においては、光源21Aおよびリフレクタ22Aは、リフレクタ22Aにより集光される光が検査領域IAに近づきつつ撮像素子41の光軸CLに近づくように配置されている。また、第1の曲面状反射面R1は、リフレクタ22Aにより集光された光を反射するとともに反射された光が検査領域IAに近づきつつ撮像素子41の光軸CLから遠ざかるように配置されている。さらに、第2の曲面状反射面R2は、第1の曲面状反射面R1により反射された光を反射するとともに反射された光が図2の出射部211Aを通して検査領域IAに向かうように配置されている。
このように、ヘッド部2のケーシング200内では、撮像素子41の光軸CLの上方に、リフレクタ22Aにより集光される光をケーシング200の外部に導く第1の導光路GL1が形成される。
第1の導光路GL1においては、リフレクタ22Aにより集光される光が、第1の曲面状反射面R1で反射される。それにより、第1の曲面状反射面R1により反射された光の広がりが抑制される。すなわち、第1の曲面状反射面R1により反射された複数の光線の向きがほぼ共通の方向に揃えられる。また、第1の曲面状反射面R1で反射される光が、第2の曲面状反射面R2で反射される。それにより、第2の曲面状反射面R2により反射された光の広がりが抑制される。すなわち、第2の曲面状反射面R2により反射された複数の光線の向きがほぼ共通の方向に揃えられる。その後、第2の曲面状反射面R2で反射される光が検査領域IAに導かれる。
上記のように、リフレクタ22Aにより集光された光は、検査領域IAに到達するまでの間に光の広がりが2回抑制される。そのため、光源21Aから発生される光の大部分が、拡散することなく検査領域IAに導かれる。したがって、第1の導光路GL1から検査領域IAへの光の照射効率が向上する。
光学ベース100の下方壁部106の下面に第3の曲面状反射面R3が形成されている。また、照明モジュール120Bの光整形部材23Bの上面に第4の曲面状反射面R4が形成されている。第3および第4の曲面状反射面R3,R4は、第1および第2の曲面状反射面R1,R2と同様に、入射された光を反射するとともに反射された光の広がりを抑制するように形成されている。
本実施の形態においては、光源21Bおよびリフレクタ22Bは、リフレクタ22Bにより集光される光が検査領域IAに近づきつつ撮像素子41の光軸CLに近づくように配置されている。また、第3の曲面状反射面R3は、リフレクタ22Bにより集光された光を反射するとともに反射された光が検査領域IAに近づきつつ撮像素子41の光軸CLから遠ざかるように配置されている。さらに、第4の曲面状反射面R4は、第3の曲面状反射面R3により反射された光を反射するとともに反射された光が図2の出射部211Bを通して検査領域IAに向かうように配置されている。
このように、ヘッド部2のケーシング200内では、撮像素子41の光軸CLの下方に、リフレクタ22Bにより集光される光をケーシング200の外部に導く第2の導光路GL2が形成される。
第2の導光路GL2においては、リフレクタ22Bにより集光される光が、第3の曲面状反射面R3で反射される。それにより、第3の曲面状反射面R3により反射された光の広がりが抑制される。すなわち、第3の曲面状反射面R3により反射された複数の光線の向きがほぼ共通の方向に揃えられる。また、第3の曲面状反射面R3で反射される光が、第4の曲面状反射面R4で反射される。それにより、第4の曲面状反射面R4により反射された光の広がりが抑制される。すなわち、第4の曲面状反射面R4により反射された複数の光線の向きがほぼ共通の方向に揃えられる。その後、第4の曲面状反射面R4で反射される光が検査領域IAに導かれる。
上記のように、リフレクタ22Bにより集光された光は、検査領域IAに到達するまでの間に光の広がりが2回抑制される。そのため、光源21Bから発生される光の大部分が、拡散することなく検査領域IAに導かれる。したがって、第2の導光路GL2から検査領域IAへの光の照射効率が向上する。
また、上記の構成においては、リフレクタ22A,22Bにより集光された光は、撮像素子41の光軸CLに近づく方向および遠ざかる方向に折り曲げられつつ検査領域IAに導かれる。それにより、ケーシング200内では、撮像素子41の光軸CLに平行な方向において、光源21A、リフレクタ22A、第1の曲面状反射面R1および第2の曲面状反射面R2をコンパクトに配置することができる。また、光源21B、リフレクタ22B、第3の曲面状反射面R3および第4の曲面状反射面R4をコンパクトに配置することができる。
検査領域IAの光は、図2の入射部212およびレンズモジュール110のレンズ111を通して撮像素子41に入射する。それにより、検査領域IAに配置される検査対象物Wが撮像される。
上記の画像処理センサ1においては、第1の導光路GL1および第2の導光路GL2から検査領域IAへの光の照射効率が向上されるので、光源21A,21Bから発生される光の出力を過剰に増大させることなく、検査領域IAに照射される光量を増加させることができる。それにより、撮像に要する露光時間を短くすることが可能になる。また、光源21A,21Bから発生される熱を抑制することができるので、放熱性を確保するためにヘッド部2を大型化する必要がなくなる。さらに、上記のように、ケーシング200内には、撮像素子41の光軸CLに平行な方向において、光源21A,21B、リフレクタ22A,22B、第1〜第4の曲面状反射面R1〜R4をコンパクトに配置することができ、ヘッド部2に表示基板70は設けられない。これらの結果、検査対象物Wの良否判定の高速化が可能になるとともに、ヘッド部2の小型化が可能になる。
さらに、上記の構成によれば、リフレクタ22Aにより撮像素子41の光軸CLに近づくように集光される光が第1の曲面状反射面R1により光軸CLから遠ざかるように反射されるので、リフレクタ22Aにより集光される光がケーシング200内で撮像素子41に入射することが防止される。また、リフレクタ22Bにより撮像素子41の光軸CLに近づくように集光される光が第3の曲面状反射面R3により光軸CLから遠ざかるように反射されるので、リフレクタ22Bにより集光される光がケーシング200内で撮像素子41に入射することが防止される。これらの場合、ケーシング200内で光源21A,21Bから発生される光が撮像素子41に入射することが防止されるとともに、ヘッド部2のさらなる小型化が可能となっている。
また、上記の構成によれば、第1および第2の導光路GL1,GL2から検査領域IAに導かれる光の向きは撮像素子41の光軸CLに対して比較的大きく(例えば45°程度)傾斜している。そのため、図2の出射部211A,211Bの各々は、撮像素子41の光軸CLから比較的大きく離間している。この場合、出射部211A,211Bから検査領域IAに導かれる光が検査領域IAで正反射されても、正反射された光が撮像素子41に入射しにくい。したがって、ハレーションの発生が抑制される。
さらに、第1の導光路GL1と第2の導光路GL2とは、撮像素子41の光軸CLに関して対称に形成されている。第1および第2の導光路GL1,GL2から検査領域IAに導かれる光は、撮像素子41の光軸CL上で交差する。この場合、検査領域IAの検査対象物Wが互いに異なる2方向からの光で照明されるので、撮像により取得される画像に影が生じにくい。したがって、検査対象物Wの形状によらずその検査対象物Wの外観をより正確に撮像することが可能になる。
[3]シミュレーション
本発明者は、第1の導光路GL1および第2の導光路GL2における光の進行状態を確認するために種々のシミュレーションを行った。
図5は、光源から発生される光の状態を示すシミュレーション結果である。図5に示すように、リフレクタ22が用いられない場合、光源21から発生される光は、180°に近い角度で広がる。そのため、仮に図4の光源21A,21Bをそれぞれ図2の出射部211A,211Bに設けても、光源21A,21Bから発生される光の大部分は検査領域IA以外の領域に広がる。したがって、検査領域IAへの光の照射効率が著しく低下することがわかる。
図6は、図5の光源21にリフレクタが設けられた状態でその光源21から発生される光の状態を示すシミュレーション結果である。図6に示すように、光源21から発生される光のうちリフレクタ22の内周面に入射する光は、リフレクタ22の内周面で反射される。それにより、図6に太い二点鎖線で示すように、光源21から発生される光の大部分は光源21の前方に集光される。
この場合、図6に点線で示すように、リフレクタ22により光が集光される領域では、比較的大きい光量を得ることができる。しかしながら、この領域では、複数の光線の向きが一方向に揃っていない。そのため、光が集光される領域以外の領域では、十分な光量を得ることができない。したがって、仮に図4の光源21A,21Bをリフレクタ22A,22Bとともにそれぞれ図2の出射部211A,211Bに設けても、検査領域IAの位置および大きさが著しく制限される。
また、光源21から発生される光のうちリフレクタ22の内周面に入射しない光は、太い一点鎖線に示すようにリフレクタ22の形状に応じた広がり角で光源21の前方に出射される。そのため、光源21から発生される光の一部は、集光されることなく拡散する。これらの結果、リフレクタ22のみを用いて検査領域IAへの光の照射効率を向上させることは難しいことがわかる。
図7は、図6の光源21およびリフレクタ22から出射された光が曲面状反射面で反射されるときの光の状態を示すシミュレーション結果である。
曲面状反射面R0は、光源21およびリフレクタ22から出射される光がその曲面状反射面R0で反射されることにより、反射された光の広がりが抑制されるように設計される。それにより、図7の例では、曲面状反射面R0により反射された複数の光線がほぼ同じ方向に向かう。曲面状反射面R0により反射される光を検査領域IAに導くことにより、図5および図6の例に比べて、検査領域IAへの光の照射効率を容易に向上させることが可能になることがわかる。
ここで、上記の第1〜第4の曲面状反射面R1〜R4および曲面状反射面R0は、下記式(1)で表される拡張多項式面(自由曲面)である。
式(1)の拡張多項式は、「x」と「y」とのべき級数である。cは面の曲率を表し、kはコーニック定数を表し、rは動径座標を表す。また、Nは多項式係数の個数を表し、Aiはi番目の拡張多項式の係数を表す。
第1〜第4の曲面状反射面R1〜R4の各々は、例えば反射される複数の光線の向きおよび複数の光線の分布をシミュレーションで確認することにより、上記の式(1)を用いて設計することができる。
第1の曲面状反射面R1は、例えば光源21Aおよびリフレクタ22Aからの全ての光を受けるようにかつ反射される光の広がりが抑制されるように設計される。この場合、第1の曲面状反射面R1がリフレクタ22Aにより集光される光を直接受けるように配置されることにより、第1の曲面状反射面R1で反射される光が大きく拡散することなく第2の曲面状反射面R2内に導かれる。
一方、第1の曲面状反射面R1からの光を受ける第2の曲面状反射面R2は、反射される光の広がりが抑制されるとともに、反射される複数の光線が検査領域IAに均一かつ集中して照射されるように設計される。それにより、光源21Aで発生される光の大部分がより効率よく検査領域IAに導かれる。
また、第3の曲面状反射面R3は、第1の曲面状反射面R1と同様に、例えば光源21Bおよびリフレクタ22Bからの全ての光を受けるようにかつ反射される光の広がりが抑制されるように設計される。この場合、第3の曲面状反射面R3がリフレクタ22Bにより集光される光を直接受けるように配置されることにより、第3の曲面状反射面R3で反射される光が大きく拡散することなく第4の曲面状反射面R4内に導かれる。
一方、第3の曲面状反射面R3からの光を受ける第4の曲面状反射面R4は、第2の曲面状反射面R2と同様に、反射される光の広がりが抑制されるとともに、反射される複数の光線が検査領域IAに均一かつ集中して照射されるように設計される。それにより、光源21Bで発生される光の大部分がより効率よく検査領域IAに導かれる。
本発明者は、ヘッド部2の光源21Aおよびリフレクタ22から出射され、第1および第2の曲面状反射面R1,R2により反射されつつ検査領域IAに導かれる光の照度分布をシミュレーションにより求めた。
図8は、第1および第2の曲面状反射面R1,R2により反射されつつ検査領域IAに導かれる光の照度分布を示す図である。図8(a)に、光源21Aから検査領域IAに導かれる光の経路が模式的に示される。図8(b)に、検査領域IAを含む一定領域の光の照度分布がグレースケールおよびドットパターンで示される。本例では、検査領域IAとして一辺の寸法が4mmの正方形の面の領域が設定される。図8(b)に示される照度は、単位領域に単位時間当たりに照射される光束を表す。
図8(b)に示される照度分布によれば、光源21Aにより発生された光は、上記のようにして設計された第1および第2の曲面状反射面R1,R2で反射されることにより、検査領域IAに均一かつ集中して照射されていることがわかる。また、検査領域IA以外の領域に拡散する光が抑制されることにより、高い照射効率が実現されていることがわかる。
[4]ティーチング処理
画像処理センサ1におけるティーチング処理のフローを、使用者の操作手順とともに説明する。図9および図10は、画像処理センサ1におけるティーチング処理のフローチャートである。図11は、ティーチング処理中に画像表示パネル71に表示される画像の一例を示す図である。上記のように、ティーチング処理では、基準画像の取得およびしきい値の設定が行われる。基準画像およびしきい値は、後述する判定表示処理で用いられる。ティーチング処理は、例えば使用者が図2の設定ボタン74aを所定時間(例えば3sec)継続して押下することにより開始される。
以下の説明では、DSP31が、撮像基板40から与えられるデジタル信号に基づいて画像データを生成するとともに生成された画像データを図1のメモリ32に一時的に記憶させる処理を撮像処理と呼ぶ。また、以下の説明において、背景とは、例えば検査対象物Wが載置される部材をいう。図1の例では、背景はベルトコンベアBCの表面である。
まず、DSP31は、撮像処理を実行するとともに生成された最新の画像データに基づく画像を画像表示パネル71に表示させる(ステップS11)。ステップS11で開始される撮像処理は、後続のステップS13の処理が実行されるまでの間一定の周期(例えば3msec)で実行される。
この場合、画像表示パネル71には、図11(a)に示すように、2つの表示領域71a,71bが設定される。左側の表示領域71aに最新の画像データに基づく画像が表示され、右側の表示領域71bに「良品」という文字列が表示される。この状態で、使用者は、欠陥を含まない良品の検査対象物Wが適切に表示されるようにヘッド部2と検査対象物Wとの配置を調整し、設定ボタン74aを押下する。
ステップS11の後、DSP31は、設定ボタン74aが押下されたか否かを判定する(ステップS12)。設定ボタン74aが押下されない場合、DSP31は、ステップS11の処理に戻る。一方、設定ボタン74aが押下されると、DSP31は、表示領域71aに表示されている画像を第1の画像とし、当該第1の画像に対応する画像データをメモリ32に記憶する。本例では、第1の画像は、良品の検査対象物Wと背景とを含む画像である。
続いて、DSP31は、撮像処理を実行するとともに生成された最新の画像データに基づく画像を画像表示パネル71に表示させる(ステップS14)。ステップS14で開始される撮像処理は、後続のステップS16の処理が実行されるまでの間一定の周期(例えば3msec)で実行される。
この場合、画像表示パネル71には、図11(b)に示すように、左側の表示領域71aに最新の画像データに基づく画像が表示され、右側の表示領域71bに第1の画像が表示される。この状態で、使用者は、欠陥を含む不良品の検査対象物Wが適切に表示されるようにヘッド部2と検査対象物Wとの配置を調整し、設定ボタン74aを押下する。
ステップS14の後、DSP31は、設定ボタン74aが押下されたか否かを判定する(ステップS15)。設定ボタン74aが押下されない場合、DSP31は、ステップS14の処理に戻る。一方、設定ボタン74aが押下されると、DSP31は、表示領域71aに表示されている画像を第2の画像とし、当該第2の画像に対応する画像データをメモリ32に記憶する(ステップS16)。本例では、第2の画像は、不良品の検査対象物Wと背景とを含む画像である。
続いて、DSP31は、撮像処理を実行するとともに生成された最新の画像データに基づく画像を画像表示パネル71に表示させる(ステップS17)。ステップS17で開始される撮像処理は、後続のステップS19の処理が実行されるまでの間一定の周期(例えば3msec)で実行される。
この場合、画像表示パネル71には、図11(c)に示すように、左側の表示領域71aに最新の画像データに基づく画像が表示され、右側の表示領域71bに「検出体無し」という文字列が表示される。この状態で、使用者は、例えば背景のみが表示されるようにヘッド部2と検査対象物Wとの配置を調整し、設定ボタン74aを押下する。
ステップS17の後、DSP31は、設定ボタン74aが押下されたか否かを判定する(ステップS18)。設定ボタン74aが押下されない場合、DSP31は、ステップS17の処理に戻る。一方、設定ボタン74aが押下されると、DSP31は、表示領域71aに表示されている画像を第3の画像とし、当該第3の画像に対応する画像データをメモリ32に記憶する。本例では、第3の画像は、背景のみを示す画像である。
続いて、DSP31は、記憶された第1および第3の画像の画像データに基づいて、基準画像を生成し、生成された基準画像の画像データをメモリ32に記憶する(ステップS20)。本例の基準画像は、第1の画像の各画素の輝度値から第3の画像の各画素の輝度値を減算することにより生成される。
また、DSP31は、記憶された第2および第3の画像の画像データに基づいて、不良画像を生成し、生成された不良画像の画像データをメモリ32に記憶する(ステップS21)。本例の不良画像は、第2の画像の各画素の輝度値から第3の画像の各画素の輝度値を減算することにより生成される。
その後、DSP31は、記憶された基準画像の画像データおよび不良画像の画像データに基づいて、判定表示処理で用いられるしきい値を算出し、算出されたしきい値をメモリ32に記憶する(ステップS22)。
しきい値は、基準画像に対する基準画像の一致度(最高値)と基準画像に対する不良画像の一致度との間の値に設定される。具体的には、一致度の最高値が1000であり、不良画像の一致度が700である場合、しきい値は例えば850に設定される。
本実施の形態に係る画像処理センサ1によれば、使用者は、ティーチング時に、画像表示パネル71に表示される画像を確認しつつ所望の基準画像を正確かつ容易に取得することができる。したがって、しきい値を適切に設定することが可能になる。
[5]判定表示処理
図12および図13は、画像処理センサ1における判定表示処理のフローチャートである。以下の説明においては、ヘッド部2は、図1の検査領域IAの検査対象物Wを撮像可能に配置されているものとする。判定表示処理は、例えば上記のティーチング処理でしきい値が設定された後、ベルトコンベアBCにより搬送される検査対象物Wが検査領域IAに存在する間一定の周期(例えば3msec)で実行される。
DSP31は、撮像処理を実行し(ステップS101)、撮像処理により生成された最新の画像データとメモリ32に記憶された基準画像の画像データとに基づいて一致度を算出する(ステップS102)。
具体的には、DSP31は、最新の画像(検査対象物Wと背景とを含む画像)の各画素の輝度値から第3の画像(背景のみの画像)の各画素の輝度値を減算することにより検査画像を生成し、生成された検査画像について基準画像に対する一致度を算出する。
次に、DSP31は、算出された一致度とメモリ32に記憶されたしきい値とに基づいて最新の画像に示される検査対象物Wの良否を判定する(ステップS103)。判定結果は、図1のMCU61に与えられる。
本例の画像処理センサ1においては、直前のティーチング処理が行われた時点から現在までに算出された一致度のうちの最大値および最小値が、過去最大一致度および過去最小一致度としてそれぞれメモリ32に記憶される。メモリ32においては、過去最大一致度および過去最小一致度は、例えばティーチング処理が行われるごとにリセットされる。
そこで、DSP31は、ステップS102の処理で算出された一致度がメモリ32に記憶されている過去最大一致度よりも大きいか否かを判定する(ステップS104)。算出された一致度が過去最大一致度よりも大きい場合、DSP31は、メモリ32に記憶されている過去最大一致度を算出された一致度で更新する(ステップS105)。一方、算出された一致度が過去最大一致度以下である場合、DSP31は、後続のステップS106の処理に進む。それにより、メモリ32に記憶されている過去最大一致度が保持される。
続いて、DSP31は、ステップS102の処理で算出された一致度がメモリ32に記憶されている過去最小一致度よりも小さいか否かを判定する(ステップS106)。算出された一致度が過去最小一致度よりも小さい場合、DSP31は、メモリ32に記憶されている過去最小一致度を算出された一致度で更新する(ステップS107)。一方、算出された一致度が過去最小一致度以上である場合、DSP31は、後続のステップS108の処理に進む。それにより、メモリ32に記憶されている過去最小一致度が保持される。
本例の画像処理センサ1においては、判定表示処理の実行時に、検査対象物Wの良否判定に関する情報が第1、第2、第3および第4の表示態様で画像表示パネル71に表示される。使用者は、例えば図2の切替ボタン74eを繰り返し押下することにより、画像表示パネル71の表示態様を順次切り替えて選択することができる。
そこで、DSP31は、ステップS107の処理後、第1の表示態様が選択されているか否かを判定する(ステップS108)。第1の表示態様が選択されている場合、DSP31は、ステップS102で算出された一致度およびメモリ32に記憶されているしきい値が画像表示パネル71に表示されるように、MCU61に指令を与え(ステップS109)、判定表示処理を終了する。
第1の表示態様が選択されていない場合、DSP31は、第2の表示態様が選択されているか否かを判定する(ステップS110)。第2の表示態様が選択されている場合、DSP31は、検査画像(最新の画像)、算出された一致度およびしきい値が画像表示パネル71に表示されるように、MCU61に指令を与え(ステップS111)、判定表示処理を終了する。
第2の表示態様が選択されていない場合、DSP31は、第3の表示態様が選択されているか否かを判定する(ステップS112)。第3の表示態様が選択されている場合、DSP31は、過去最大一致度、過去最小一致度、算出された一致度およびしきい値が画像表示パネル71に表示されるように、MCU61に指令を与え(ステップS113)、判定表示処理を終了する。
第3の表示態様が選択されていない場合、すなわち第4の表示態様が選択されている場合、DSP31は、検査画像(最新の画像)と、基準画像とが画像表示パネル71に表示されるように、MCU61に指令を与え(ステップS114)、判定表示処理を終了する。
なお、判定表示処理の実行中に、DSP31は、使用者による図2の上ボタン74bまたは下ボタン74cの操作に応答して、設定されたしきい値の値を変更してもよい。また、DSP31は、使用者による図2の戻るボタン74dの操作に応答して、実行する処理を1つ前のステップに戻してもよい。
[6]判定表示処理中の画像表示パネルの表示態様
上記のように、画像処理センサ1においては、第1、第2、第3および第4の表示態様で検査対象物Wの良否判定に関する情報が画像表示パネル71に表示される。図14は、画像表示パネル71における第1、第2、第3および第4の表示態様を示す図である。図14(a),(b),(c),(d)にそれぞれ第1、第2、第3および第4の表示態様が示される。判定表示処理時においても、ティーチング処理時と同様に、画像表示パネル71には、2つの表示領域71a,71bが設定される。
図14(a)に示すように、第1の表示態様では、例えば右側の表示領域71bにおける上段部および下段部に、算出された一致度およびしきい値がそれぞれ表示される。
図14(b)に示すように、第2の表示態様では、例えば左側の表示領域71aに検査画像が表示される。また、右側の表示領域71bにおける上段部および下段部に、算出された一致度およびしきい値がそれぞれ表示される。
図14(c)に示すように、第3の表示態様では、例えば左側の表示領域71aにおける上段部および下段部に、過去最大一致度および過去最小一致度がそれぞれ表示される。また、右側の表示領域71bにおける上段部および下段部に、算出された一致度およびしきい値がそれぞれ表示される。
図14(d)に示すように、第4の表示態様では、例えば左側の表示領域71aに検査画像が表示される。また、右側の表示領域71bに基準画像が表示される。
本実施の形態に係る画像処理センサ1によれば、使用者は、検査対象物Wの良否の判定時においても、画像表示パネル71に表示される画像を確認することができる。それにより、検査対象物Wの良否の判定が正確に実行されているか否かを容易に確認することができる。
上記のように、画像処理センサ1においては、画像表示パネル71および操作部74が本体部3に設けられる。したがって、使用者は、ティーチング処理時および判定表示処理時に、画像表示パネル71を確認しつつ操作部74を容易に操作することができる。
[7]他の実施の形態
(1)上記の実施の形態では、ヘッド部2において2つの光源21A,21Bから発生される光が第1および第2の導光路GL1,GL2を通して検査領域IAに導かれるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、1つの光源から発生される光の出力が大きい場合には、ヘッド部において、1つの光源のみが設けられるとともにその光源に対応する1つの導光路のみが形成されてもよい。それにより、ヘッド部2のさらなる小型化が可能になる。
一方、ヘッド部2において光源から発生される熱をより低減したい場合には、ヘッド部において、3つ以上の光源が設けられるとともにそれらの光源にそれぞれ対応する複数の導光路が形成されてもよい。
(2)上記の実施の形態では、光源21Aおよびリフレクタ22Aから出射される光が、第1の導光路GL1において第1および第2の曲面状反射面R1,R2により反射されつつ検査領域IAに導かれる。また、光源21Bおよびリフレクタ22Bから出射される光が、第2の導光路GL2において第3および第4の曲面状反射面R3,R4により反射されつつ検査領域IAに導かれる。本発明は上記の例に限定されない。
1つの光源およびリフレクタから出射される光は、検査領域IAに到達するまでの間に少なくとも1つの曲面状反射面で反射されればよく、3つ以上の曲面状反射面で反射されつつ検査領域IAに導かれてもよい。1つの光源およびリフレクタから出射される光が少なくとも1つの曲面状反射面で反射されることにより、少なくとも1つの曲面状反射面で反射された光の広がりが抑制される。したがって、検査領域IAへの光の照射効率が高められる。
例えば、上記のヘッド部2においては、第2の曲面状反射面R2に代えて平面状反射面が設けられてもよい。本発明者は、ヘッド部2の光源21Aおよびリフレクタ22から出射され、第1の曲面状反射面R1および平面状反射面により反射されつつ検査領域IAに導かれる光の照度分布をシミュレーションにより求めた。
図15は、第1の曲面状反射面R1および平面状反射面により反射されつつ検査領域IAに導かれる光の照度分布を示す図である。図15(a)に、光源21Aから検査領域IAに導かれる光の経路が模式的に示される。図15(a)に白抜きの矢印で示すように、本例では、第1の曲面状反射面R1で反射された光が平面状反射面RFで全反射され、検査領域IAに導かれる。
図15(b)に、検査領域IAを含む一定領域の光の照度分布がグレースケールおよびドットパターンで示される。本例では、図8の例と同様に、検査領域IAとして一辺の寸法が4mmの正方形の面の領域が設定される。
図15(b)に示される照度分布によれば、光源21Aにより発生された光は、第1の曲面状反射面R1で反射されることにより、検査領域IAに均一かつ集中して照射されていることがわかる。なお、本例のシミュレーション結果に示される最高照度は、図8のシミュレーション結果に示される最高照度よりも低い。したがって、検査領域IAに照射される光量をより高めるためには、1つの光源21Aについて2つ以上の曲面状反射面を設けることが好ましいことがわかる。
(3)上記の実施の形態では、ヘッド部2内の光学ベース100は一体成形品であり、照明モジュール120A,120Bのリフレクタ22A,22Bおよび光整形部材23A,23Bは光学ベース100とは別体で形成されるが、本発明はこれに限定されない。
光学ベース100は、第1の支柱101、第2の支柱102、第3の支柱103、筒状支持部104、上方壁部105、下方壁部106および照明支持部107A,107Bのうちの一部または全部が個別に作製されてもよい。また、光学ベース100の一部または全てが、リフレクタ22A,22Bおよび光整形部材23A,23Bの一部または全てと一体成形により作製されてもよい。
(4)上記の実施の形態では、光学ベース100、リフレクタ22A,22Bおよび光整形部材23A,23Bは樹脂により形成されるが、本発明はこれに限定されない。光学ベース100、リフレクタ22A,22Bおよび光整形部材23A,23Bのうちの一部または全ては、樹脂に代えて金属で形成されてもよい。光学ベース100、リフレクタ22A,22Bおよび光整形部材23A,23Bが金属で形成される場合には、第1〜第4の曲面状反射面R1〜R4およびリフレクタ22A,22Bの内周面を研磨することにより、各表面を光の反射面とすることができる。そのため、各表面に金属薄膜を形成する必要がなくなる。
(5)上記の実施の形態では、DSP31およびメモリ32は配線回路基板に実装された状態でヘッドメイン基板30としてヘッド部2に設けられるが、本発明はこれに限定されない。DSP31およびメモリ32が実装された配線回路基板は、本体部3に設けられてもよい。また、DSP31およびメモリ32は、本体メイン基板60の配線回路基板に実装されてもよい。それにより、ヘッド部2のさらなる小型化が可能になる。
(6)上記の実施の形態では、ティーチング処理において、第1、第2および第3の画像に基づいて基準画像および不良画像が生成された後、基準画像および不良画像に基づいてしきい値が算出されるが、本発明はこれに限定されない。
基準画像および不良画像は、2つの画像に基づいて生成されてもよい。図16は、他の実施の形態に係るティーチング処理のフローチャートである。図16のティーチング処理においては、図9のステップS11〜S16とそれぞれ同様に、ステップS211〜S216の処理が実行される。それにより、ステップS216の終了時点で、メモリ32に第1および第2の画像の画像データが記憶される。
その後、DSP31は、記憶された第1の画像を基準画像とし、その基準画像の画像データをメモリ32に記憶する(ステップS217)。また、DSP31は、記憶された第2の画像を不良画像とし、その不良画像の画像データをメモリ32に記憶する(ステップS218)。
その後、DSP31は、記憶された基準画像の画像データおよび不良画像の画像データに基づいてしきい値を算出し、算出されたしきい値をメモリ32に記憶する(ステップS219)。本例においても、しきい値は、基準画像に対する基準画像の一致度(最高値)と基準画像に対する不良画像の一致度との間の値に設定される。
図16のティーチング処理によりしきい値が設定された場合、図12のステップS102において、DSP31は、最新の画像(検査対象物Wと背景とを含む画像)を検査画像とし、その検査画像について基準画像に対する一致度を算出する。また、DSP31は、算出された一致度とメモリ32に記憶されたしきい値とに基づいて最新の画像に示される検査対象物Wの良否を判定する(ステップS103)。
このように、基準画像および不良画像が2つの画像に基づいて生成される場合には、使用者によるしきい値の設定操作が単純化される。
(7)上記の実施の形態では、基準画像に基づいて検査対象物Wの良否を判定するための評価値として一致度が用いられるが、本発明はこれに限定されない。検査対象物Wの良否を判定するための評価値として、上記の一致度に代えて、全画素の輝度値の合計値を用いてもよいし、全画素の輝度値の平均値を用いてもよい。この場合、評価値として用いられる値に対応するしきい値が設定されることにより、設定されたしきい値および検査画像に基づく良否判定を行うことができる。
[8]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、検査対象物Wが検査対象物の例であり、画像処理センサ1が画像処理センサの例であり、照明基板20A,20B、リフレクタ22A,22B、上方壁部105、下方壁部106、光整形部材23A,23Bおよび出射部211A,211Bが照明部の例であり、撮像基板40が撮像部の例であり、ケーシング200がケーシングの例である。
また、ヘッド部2がヘッド部の例であり、表示基板70の画像表示パネル71が表示部の例であり、電気ケーブル4が電気ケーブルの例であり、本体部3が本体部の例であり、検査領域IAが撮像領域の例であり、照明基板20Aの光源21Aが第1の光源の例であり、リフレクタ22Aが第1のリフレクタ部材の例であり、上方壁部105および光整形部材23Aが第1の導光部材の例であり、第1の曲面状反射面R1が第1の曲面状反射面の例である。
また、第2の曲面状反射面R2が第2の曲面状反射面の例であり、撮像素子41の光軸CLが撮像部の光軸の例であり、照明基板20Bの光源21Bが第2の光源の例であり、リフレクタ22Bが第2のリフレクタ部材の例であり、下方壁部106および光整形部材23Bが第2の導光部材の例であり、第3の曲面状反射面R3が第3の曲面状反射面の例であり、第4の曲面状反射面R4が第4の曲面状反射面の例であり、ヘッドメイン基板30が処理部の例であり、操作部74が操作部の例であり、検査対象物Wの良否判定を行うためのしきい値が判定しきい値の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。