JP2016217625A - パルス管冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高い出力および効率を実現できるパルス管冷凍機を提供する。
【解決手段】パルス管冷凍機100は、温端部と冷端部と有するパルス管1と、上記温端部に高圧切替弁7を介して連通する高圧バッファタンク8と、上記温端部に低圧切替弁9を介して連通する低圧バッファタンク10と、低温側の端部が上記冷端部に連通する蓄冷器3と、2.5kWよりも大きな定格出力を有し、上記蓄冷器の高温側の端部に吸入弁4または吐出弁6を介して連通する圧縮機5とを備える。高圧切替弁、低圧切替弁、吸気弁および吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】パルス管冷凍機100は、温端部と冷端部と有するパルス管1と、上記温端部に高圧切替弁7を介して連通する高圧バッファタンク8と、上記温端部に低圧切替弁9を介して連通する低圧バッファタンク10と、低温側の端部が上記冷端部に連通する蓄冷器3と、2.5kWよりも大きな定格出力を有し、上記蓄冷器の高温側の端部に吸入弁4または吐出弁6を介して連通する圧縮機5とを備える。高圧切替弁、低圧切替弁、吸気弁および吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、パルス管冷凍機に関し、特に、アクティブバッファ方式を採用したパルス管冷凍機に関する。
蓄冷式冷凍機は、4K程度の極低温から100K程度の低温を形成することが可能である。蓄冷式冷凍機は、たとえば、超電導磁石を冷却したり、クライオポンプや液化ガスを製造したりする際に用いられる。
一般的な蓄冷式冷凍機は、圧縮部、膨張部および熱交換部を備える。圧縮部は、たとえばヘリウム圧縮機ユニットから構成され、外部から仕事を与えることにより作動流体を圧縮するとともに、圧縮熱を除去することでエントロピーを下げる。膨張部は、圧縮された作動流体から仕事を吸収することにより作動流体を膨張させ、系外から熱を加えることによりエントロピーが増大する。熱交換部は、蓄冷器によって圧縮部と膨張部とを温度的に分離するとともに、膨張部で増大したエントロピーを圧縮部に流出させる。
蓄冷式冷凍機の種類には、パルス管冷凍機、ギフォード・マクマホン式(GM)冷凍機、スターリング冷凍機等が挙げられる。下記の特許文献1〜3に開示されているように、パルス管冷凍機においては、圧縮機により圧縮された作動流体(作動ガス)が蓄冷器およびパルス管に流入する動作と、圧縮機により作動流体が回収され蓄冷器およびパルス管から流出する動作とが繰り返される。すなわちパルス管冷凍機は、膨張部にピストンなどの動く固体部分を有しておらず、いわゆるガスピストンによって蓄冷器およびパルス管の低温端に寒冷を形成する。
パルス管冷凍機における作動流体の流出および流入の動作は、弁の開閉によって行われる。従来のパルス管冷凍機においては、特許文献3に開示されているように、ロータリーバルブを用いて弁動作が行われていた。一方で、近年、高出力かつ高効率のパルス管冷凍機が望まれている。たとえば、高温超伝導体市場などでは、50K〜80Kで150W以上の冷凍能力が求められている。この要望に応えるためには、大流量の(たとえば定格出力が2.5kWよりも大きな)圧縮機(スクロール圧縮機など)を用いることが考えられる。
本発明者らは、大流量のヘリウム圧縮機とロータリーバルブとの組合せを用いて高出力かつ高効率のパルス管冷凍機を実現するのは容易ではないことを見出した。すなわち、ロータリーバルブは、耐久性を有しているものの構造が複雑であるため、大流量の圧縮機と組み合わせて用いるには制約が多い。すなわち、弁の開閉動作を行う手段に着目しつつ、より高い出力および効率を実現できるパルス管冷凍機を実現する必要がある。
本発明は、上述のような実情に鑑みて為されたものであって、より高い出力および効率を実現できるパルス管冷凍機を提供することを目的とする。
本発明に基づくパルス管冷凍機は、温端部と冷端部と有するパルス管と、
上記温端部に高圧切替弁を介して連通する高圧バッファタンクと、
上記温端部に低圧切替弁を介して連通する低圧バッファタンクと、
低温側の端部が上記冷端部に連通する蓄冷器と、
2.5kWよりも大きな定格出力を有し、上記蓄冷器の高温側の端部に吸気弁または吐出弁を介して連通する圧縮機と、を備え、
上記高圧切替弁、上記低圧切替弁、上記吸気弁および上記吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている。
上記温端部に高圧切替弁を介して連通する高圧バッファタンクと、
上記温端部に低圧切替弁を介して連通する低圧バッファタンクと、
低温側の端部が上記冷端部に連通する蓄冷器と、
2.5kWよりも大きな定格出力を有し、上記蓄冷器の高温側の端部に吸気弁または吐出弁を介して連通する圧縮機と、を備え、
上記高圧切替弁、上記低圧切替弁、上記吸気弁および上記吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている。
好ましくは、上記温端部に中圧切替弁を介して連通する中圧バッファタンクをさらに備え、
上記高圧切替弁、上記中圧切替弁、上記低圧切替弁、上記吸気弁および上記吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている。
上記高圧切替弁、上記中圧切替弁、上記低圧切替弁、上記吸気弁および上記吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている。
好ましくは、上記蓄冷器は、
管本体と、
上記管本体の中に設けられた複数の低温側メッシュ部材と、
上記管本体の中に設けられ、複数の上記低温側メッシュ部材よりも上記蓄冷器の高温側に配置された複数の高温側メッシュ部材と、を含み、
複数の上記低温側メッシュ部材のメッシュ(目数/インチ)は、複数の上記高温側メッシュ部材のメッシュよりも大きく、
積層されている複数の上記高温側メッシュ部材の全体としての厚みと、積層されている複数の上記低温側メッシュ部材の全体としての厚みとの比は、36:64以上であり、かつ、75:25以下である。
管本体と、
上記管本体の中に設けられた複数の低温側メッシュ部材と、
上記管本体の中に設けられ、複数の上記低温側メッシュ部材よりも上記蓄冷器の高温側に配置された複数の高温側メッシュ部材と、を含み、
複数の上記低温側メッシュ部材のメッシュ(目数/インチ)は、複数の上記高温側メッシュ部材のメッシュよりも大きく、
積層されている複数の上記高温側メッシュ部材の全体としての厚みと、積層されている複数の上記低温側メッシュ部材の全体としての厚みとの比は、36:64以上であり、かつ、75:25以下である。
上記の構成によれば、より高い出力および効率を実現できるパルス管冷凍機を得ることができる。
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態におけるパルス管冷凍機100のシステム構成を示す図である。パルス管冷凍機100は、アクティブバッファ方式を採用したパルス管冷凍機である。具体的には、パルス管冷凍機100は、パルス管1、熱交換器2、蓄冷器3、吸入弁4(CL)、圧縮機5、吐出弁6(CH)、高圧切替弁7(BH)、高圧バッファタンク8、低圧切替弁9(BL)、および低圧バッファタンク10を備える。
図1は、本実施の形態におけるパルス管冷凍機100のシステム構成を示す図である。パルス管冷凍機100は、アクティブバッファ方式を採用したパルス管冷凍機である。具体的には、パルス管冷凍機100は、パルス管1、熱交換器2、蓄冷器3、吸入弁4(CL)、圧縮機5、吐出弁6(CH)、高圧切替弁7(BH)、高圧バッファタンク8、低圧切替弁9(BL)、および低圧バッファタンク10を備える。
パルス管1は、温端部Ppおよび冷端部Lpを有する。パルス管1の温端部Ppには、配管7a,9aが接続されている。配管7aには、高圧切替弁7が設けられている。パルス管1の温端部Ppは、配管7aおよび高圧切替弁7を介して高圧バッファタンク8に連通している。配管9aには、低圧切替弁9が設けられている。パルス管1の温端部Ppは、配管9aおよび低圧切替弁9を介して低圧バッファタンク10に連通している。高圧バッファタンク8の高圧バッファ圧力Pbhは、低圧バッファタンク10の低圧バッファ圧力Pblよりも高い。
蓄冷器3は、高温側の端部Prおよび低温側の端部Lrを有する。蓄冷器3の低温側の端部Lrは、熱交換器2を介してパルス管1の冷端部Lpに連通している。圧縮機5は、作動気体(ヘリウムガス)を吐出する高圧端Pchと、作動気体を吸入する低圧端Pclとを有する。圧縮機5は、2.5kWよりも大きな定格出力を有している。好ましくは、圧縮機5は、2.65kW以上の定格出力を有しているとよい。また、定格出力の上限は特に限定されるものではないが、法規制の観点から、3.6kW未満であることが好ましい。
圧縮機5の低圧端Pclには配管4aが接続され、配管4aには吸入弁4が設けられている。圧縮機5の高圧端Pchには配管6aが接続され、配管6aには吐出弁6が設けられている。配管4a,6aは、蓄冷器3の高温側の端部Prに接続されている。圧縮機5は、蓄冷器3の高温側の端部Prに、吸入弁4または吐出弁6を介して連通する。
配管4a,6a,7a,9aとしては、フレキシブルホースを用いることができる。高圧切替弁7、低圧切替弁9、吸入弁4および吐出弁6のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている。好ましくは、これらの全ての弁が、ベローズバルブから構成されている。ベローズバルブとは、金属薄膜から形成された伸縮性に富む蛇腹状のベローズで弁棒を覆い、ベローズの一端を運動する弁棒側へ取り付け、ベローズの他端を静止している弁蓋側へ取り付けたバルブである。
弁の開閉動作を行う手段としてのベローズバルブは、ロータリーバルブと比較して簡素な構造を有しているため、大流量の圧縮機と組み合わせて用いるのに適している。たとえば、ベローズバルブは、ロータリーバルブと比較して大型化(Cv値を大きくすること)が容易であり、さらに、回転摺動シール部がなくモーターも不要であるため大型化に対応しやすい。また、弁の開閉の細かなタイミングを調節することも容易である。したがって、ベローズバルブを採用することによって、より高い出力および効率を実現できるパルス管冷凍機を得ることができる。開閉動作に必要なベローズの移動量を最適化することによって、耐久性を向上させることも可能である。
[実施の形態1の第1変形例]
図2に示すパルス管冷凍機101のように、パルス管冷凍機100(実施の形態1)の構成に加えて、配管11aおよび開閉弁11をさらに用いてもよい。大流量のヘリウム圧縮機ユニットは、差圧によりオイルを循環させ、これを熱交換器で冷却することで圧縮熱を冷却する。配管11aおよび開閉弁11によってダブルインレット構造とすることにより、差圧が大きくなる。オイル循環流量を増やすことができ、冷却能力を向上させることが可能となる。開閉弁11は、流量調整弁やオリフィスから構成されている。
図2に示すパルス管冷凍機101のように、パルス管冷凍機100(実施の形態1)の構成に加えて、配管11aおよび開閉弁11をさらに用いてもよい。大流量のヘリウム圧縮機ユニットは、差圧によりオイルを循環させ、これを熱交換器で冷却することで圧縮熱を冷却する。配管11aおよび開閉弁11によってダブルインレット構造とすることにより、差圧が大きくなる。オイル循環流量を増やすことができ、冷却能力を向上させることが可能となる。開閉弁11は、流量調整弁やオリフィスから構成されている。
[実施の形態1の第2変形例]
図3に示すパルス管冷凍機102のように、パルス管冷凍機100(実施の形態1)の構成に加えて、配管12a,13aおよび開閉弁12,13をさらに用いてもよい。
図3に示すパルス管冷凍機102のように、パルス管冷凍機100(実施の形態1)の構成に加えて、配管12a,13aおよび開閉弁12,13をさらに用いてもよい。
配管12aは、吸入弁4よりも圧縮機5側の配管4aと、低圧バッファタンク10とを接続する。配管13aは、吐出弁6よりも圧縮機5側の配管6aと、高圧バッファタンク8とを接続する。吐出弁6が閉状態の時の少なくとも一部の期間で開閉弁13が開状態であり、吸入弁4が閉状態の時の少なくとも一部の期間で開閉弁12が開状態であるように制御することで、パルス管1と蓄冷器3とによる膨張の仕事量を増加させることが可能となる。開閉弁12,13も、ベローズバルブから構成されていることが好ましい。
[実施の形態1に関する実験例]
図1〜図8を参照して、実施の形態1に関して行った実験例について説明する。当該実験例は、実施例1〜7(EX1〜EX7)を含む。図4は、実施例1〜7のシステム構成の概略を説明するための図である。図5は、実施例1〜4で用いた蓄冷器3b,3e,3f,3gの構成を模式的に示す図である。
図1〜図8を参照して、実施の形態1に関して行った実験例について説明する。当該実験例は、実施例1〜7(EX1〜EX7)を含む。図4は、実施例1〜7のシステム構成の概略を説明するための図である。図5は、実施例1〜4で用いた蓄冷器3b,3e,3f,3gの構成を模式的に示す図である。
(実施例1)
実施例1においては、上述の実施の形態1と同様なシステム構成を有するパルス管冷凍機を準備した。圧縮機とベローズバルブ以外のパルス管冷凍機のシステムとしては、エア・ウォーター社製のGP15080Sをベースとして用いた。実施例1で用いたパルス管冷凍機の消費電力は8.8kWである(後述する実施例2〜6についても同様である)。圧縮機5としては、住友重機械工業社製(定格出力2.65kW、定格入力9.1kW)を用いた。蓄冷器3bとしては、140mmの全長を有するものを用いた。図5に示すように、実施例1で用いた蓄冷器3bは、管本体30、複数の低温側メッシュ部材33、および複数の高温側メッシュ部材34を含んでいる。蓄冷材メッシュの材質としては、ステンレス(SUS)を用いた。なお蓄冷材メッシュの実施の形態としては、銅などの他の材質を用いてもよい。
実施例1においては、上述の実施の形態1と同様なシステム構成を有するパルス管冷凍機を準備した。圧縮機とベローズバルブ以外のパルス管冷凍機のシステムとしては、エア・ウォーター社製のGP15080Sをベースとして用いた。実施例1で用いたパルス管冷凍機の消費電力は8.8kWである(後述する実施例2〜6についても同様である)。圧縮機5としては、住友重機械工業社製(定格出力2.65kW、定格入力9.1kW)を用いた。蓄冷器3bとしては、140mmの全長を有するものを用いた。図5に示すように、実施例1で用いた蓄冷器3bは、管本体30、複数の低温側メッシュ部材33、および複数の高温側メッシュ部材34を含んでいる。蓄冷材メッシュの材質としては、ステンレス(SUS)を用いた。なお蓄冷材メッシュの実施の形態としては、銅などの他の材質を用いてもよい。
複数の低温側メッシュ部材33および複数の高温側メッシュ部材34は、いずれも管本体30の中に設けられ、この順に並ぶように配置される。すなわち、複数の高温側メッシュ部材34は、複数の低温側メッシュ部材33よりも蓄冷器3bの高温側に配置される。複数の低温側メッシュ部材33のメッシュ(目数/インチ)は、複数の高温側メッシュ部材34のメッシュよりも大きい。複数の低温側メッシュ部材33のメッシュは、たとえば#300であり、複数の高温側メッシュ部材34のメッシュは、たとえば#200である。
配管4a,6a,7a,9aとしては、フレキシブルホースを用いた。高圧切替弁7、低圧切替弁9、吸入弁4および吐出弁6としては、いずれもベローズバルブを用いた。吸入弁4(CL)は、1.49のCv値を有するものを用いた。吐出弁6は、0.6のCv値を有するものを用いた。
以上のような構成を有する実施例1のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、289.2W(COPは0.0329)であった(図6参照)。
(実施例2)
実施例2においては、上述の実施例1のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、蓄冷器3bを蓄冷器3eに変更した(図5参照)。蓄冷器3eにおいては、高温側メッシュ部材34を配置している部分の長さを25mm短縮し(図4および図5参照)、全長を115mmとした。以上のような構成を有する実施例2のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、294.0Wであった(図6参照)。
実施例2においては、上述の実施例1のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、蓄冷器3bを蓄冷器3eに変更した(図5参照)。蓄冷器3eにおいては、高温側メッシュ部材34を配置している部分の長さを25mm短縮し(図4および図5参照)、全長を115mmとした。以上のような構成を有する実施例2のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、294.0Wであった(図6参照)。
(実施例3)
実施例3においては、上述の実施例2のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、蓄冷器3eを蓄冷器3fに変更した(図5参照)。蓄冷器3fにおいては、高温側メッシュ部材34(#200)を配置している部分の長さと、低温側メッシュ部材33(#300)を配置している部分の長さとの比を、36:64から50:50に変更した。以上のような構成を有する実施例3のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、294.9Wであった(図6参照)。
実施例3においては、上述の実施例2のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、蓄冷器3eを蓄冷器3fに変更した(図5参照)。蓄冷器3fにおいては、高温側メッシュ部材34(#200)を配置している部分の長さと、低温側メッシュ部材33(#300)を配置している部分の長さとの比を、36:64から50:50に変更した。以上のような構成を有する実施例3のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、294.9Wであった(図6参照)。
(実施例4)
実施例4においては、上述の実施例2のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、蓄冷器3eを蓄冷器3gに変更した(図5参照)。蓄冷器3gにおいては、高温側メッシュ部材34(#200)を配置している部分の長さと、低温側メッシュ部材33(#300)を配置している部分の長さとの比を、36:64から75:25に変更した。以上のような構成を有する実施例4のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、296.0Wであった(図6参照)。
実施例4においては、上述の実施例2のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、蓄冷器3eを蓄冷器3gに変更した(図5参照)。蓄冷器3gにおいては、高温側メッシュ部材34(#200)を配置している部分の長さと、低温側メッシュ部材33(#300)を配置している部分の長さとの比を、36:64から75:25に変更した。以上のような構成を有する実施例4のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、296.0Wであった(図6参照)。
ここで、実施例3は、実施例2よりも高い効果が得られており、実施例1と比較すると、2.0%の高い冷凍能力を発揮することができる。実施例4は、実施例2よりも高い効果が得られており、実施例1と比較すると、2.4%の高い冷凍能力を発揮することができる。したがって、積層されている複数の高温側メッシュ部材34の全体としての厚みと、積層されている複数の低温側メッシュ部材33の全体としての厚みとの比は、36:64以上であり、かつ、75:25以下であることが好ましいと言える。
(実施例5)
実施例5においては、上述の実施例3のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、吸入弁4(CL)のCv値を1.49から2.0に変更し、吐出弁6(CH)のCv値を0.6から1.49に変更した(図4参照)。以上のような構成を有する実施例5のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、305.5Wであった(図6参照)。
実施例5においては、上述の実施例3のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、吸入弁4(CL)のCv値を1.49から2.0に変更し、吐出弁6(CH)のCv値を0.6から1.49に変更した(図4参照)。以上のような構成を有する実施例5のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、305.5Wであった(図6参照)。
(実施例6)
実施例6におけるパルス管冷凍機103(図7参照)は、上述の実施例5のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、パルス管1の温端部Ppに中圧切替弁14および配管14aを介して連通する中圧バッファタンク15をさらに用いた。
実施例6におけるパルス管冷凍機103(図7参照)は、上述の実施例5のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、パルス管1の温端部Ppに中圧切替弁14および配管14aを介して連通する中圧バッファタンク15をさらに用いた。
パルス管冷凍機103の消費電力は8.8kWである。図8は、吐出弁6(CH)、吸入弁4(CL)、高圧切替弁7(BH)、中圧切替弁14(BM)、低圧切替弁9(BL)のそれぞれの制御バルブ開閉シーケンスを示す図である。図8において、斜線を付している部分はバルブが開いている状態を示している。
中圧バッファタンク15の中圧バッファ圧力Pbmは、高圧バッファタンク8の高圧バッファ圧力Pbhよりも低く、低圧バッファタンク10の低圧バッファ圧力Pblよりも高い。中圧切替弁14は、ベローズバルブから構成される。以上のような構成を有する実施例6のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、330.6Wであった(図6参照)。
(実施例7)
実施例7においては、上述の実施例6のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、ヘリウムガスの充填圧を増加させた(図4参照)。以上のような構成を有する実施例7のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、343.7W(COPは0.0378)であった(図6参照)。実施例7は、実施例1と比較すると、18.8%の高い冷凍能力を発揮することができる。
実施例7においては、上述の実施例6のシステム構成を有するパルス管冷凍機において、ヘリウムガスの充填圧を増加させた(図4参照)。以上のような構成を有する実施例7のパルス管冷凍機の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、343.7W(COPは0.0378)であった(図6参照)。実施例7は、実施例1と比較すると、18.8%の高い冷凍能力を発揮することができる。
(パルス管1の差圧について)
実施例6(約2Hz)、実施例7(約2Hz)、および実施例8(約2Hz)に関して、実施例6においては、パルス管1の差圧は0.954MPaであり、平均吸入圧は0.843MPaであった。実施例7においては、パルス管1の差圧は1.096MPaであり、平均吸入圧は0.725MPaであった。実施例8においては、パルス管1の差圧は1.104MPaであり、平均吸入圧は0.774MPaであった。
実施例6(約2Hz)、実施例7(約2Hz)、および実施例8(約2Hz)に関して、実施例6においては、パルス管1の差圧は0.954MPaであり、平均吸入圧は0.843MPaであった。実施例7においては、パルス管1の差圧は1.096MPaであり、平均吸入圧は0.725MPaであった。実施例8においては、パルス管1の差圧は1.104MPaであり、平均吸入圧は0.774MPaであった。
以上の結果から、次のことがわかる。すなわち、大流量のヘリウム圧縮機ユニットは、差圧によりオイルを循環させ、これを熱交換器で冷却することで圧縮熱を冷却する。GM冷凍機において大きな冷凍能力が欲しい場合には、大流量のヘリウム圧縮機ユニットを選定し、それに対応したサイズを有する膨張機(冷凍機)と組合せて使用する。パルス管冷凍機は、GM冷凍機用のヘリウム圧縮機ユニットと同様なものを用いることができるため、パルス管冷凍機において大きな冷凍能力が欲しい場合、GM冷凍機の場合と同様の手法を採用することができる。
しかしながらパルス管冷凍機は、GM冷凍機よりも膨張機(冷凍機)空間容積が大きいため、GM冷凍機の場合と同じような圧縮機ユニットを同じような条件で使用した場合、GM冷凍機で運転する場合よりも圧縮機の流量が大きくなり、(特に2バッファのアクティブバッファ型は)差圧が小さくなる。したがって、差圧によりオイルを循環して冷却する大型のヘリウム圧縮機ユニットを使用した場合には、差圧が低く(吸入圧が高く)なるとオイル循環流量が減ることで冷却不足になるため、モーター(原動機)の出力を最大限にまで使用する事が出来なくなる。
たとえば定格入力が9.1kWであっても、8.8kWまでしか使用できないということが起こり得る。これは、冷却不足を避けるために、ヘリウム圧縮機ユニットは、たとえば吸入圧力が0.97MPa以上になると停止するように制御されることとなっているためである。その結果、本来出せるはずのパルス管冷凍機の最大冷凍能力が、十分に出せないことがある。
このような実情に対して、実施例7,8に示すように、3バッファの構成を採用することで差圧を上げる(吸入圧を低くする)ことで、停止するように制御されることを避けることができ、パルス管冷凍機の冷凍能力を十分に発揮することが可能となる。すなわち、差圧を上げる(吸入圧を低くする)ことは、上述の実施の形態1の第1変形例(図2)および実施の形態1の第2変形例(図3)の構成に限られず、実施例7,8における3バッファの構成や、次述する4バッファの構成でも可能である。
[実施の形態2]
上述の実施の形態1および実施例1〜8は、2バッファまたは3バッファの構成を有するパルス管冷凍機に基づき説明した。図9に示すパルス管冷凍機104のように、冷凍能力をさらに向上させるために、4バッファの構成が採用されてもよい。
上述の実施の形態1および実施例1〜8は、2バッファまたは3バッファの構成を有するパルス管冷凍機に基づき説明した。図9に示すパルス管冷凍機104のように、冷凍能力をさらに向上させるために、4バッファの構成が採用されてもよい。
すなわち、パルス管冷凍機104は、パルス管1の温端部Ppに第1中圧切替弁16(MH)および配管16aを介して連通する第1中圧バッファタンク17と、パルス管1の温端部Ppに第2中圧切替弁18(ML)および配管18aを介して連通する第2中圧バッファタンク19とをさらに備えている。第1中圧バッファタンク17の第1中圧バッファ圧力Pmhは、第2中圧バッファタンク19の第2中圧バッファ圧力Pmlよりも高い。図10は、吐出弁6(CH)、高圧切替弁7(BH)、第1中圧切替弁16(MH)、第2中圧切替弁18(ML)、低圧切替弁9(BL)、吸入弁4(CL)のそれぞれの制御バルブ開閉シーケンスを示す図である。図10において、斜線を付している部分はバルブが開いている状態を示している。以上のような構成を有するパルス管冷凍機104の冷凍能力(80Kの低温を形成した際の冷凍能力)を測定したところ、348.6Wであった。これは、上述の実施例8の結果(343.7W)よりも高い冷凍能力である。
冷凍能力をさらに向上させるためには、5つバッファを有するように、あるいは5つ以上のバッファを有するようにパルス管冷凍機を構成してもよい。
以上、実施の形態および実施例について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 パルス管、2 熱交換器、3,3b,3e,3f,3g 蓄冷器、4 吸入弁、4a,6a,7a,9a,11a,12a,13a,14a,16a,18a 配管、5 圧縮機、6 吐出弁、7 高圧切替弁、8 高圧バッファタンク、9 低圧切替弁、10 低圧バッファタンク、11,12,13 開閉弁、14 中圧切替弁、16 第1中圧切替弁、17 第1中圧バッファタンク、18 第2中圧切替弁、19 第2中圧バッファタンク、30 管本体、33 低温側メッシュ部材、34 高温側メッシュ部材、100,101,102,103,104 パルス管冷凍機、Lp 冷端部、Lr,Pp,Pr 端部、Pbh 高圧バッファ圧力、Pbl 低圧バッファ圧力、Pbm 中圧バッファ圧力、Pch 高圧端、Pcl 低圧端、Pmh 第1中圧バッファ圧力、Pml 第2中圧バッファ圧力。
Claims (3)
- 温端部と冷端部と有するパルス管と、
前記温端部に高圧切替弁を介して連通する高圧バッファタンクと、
前記温端部に低圧切替弁を介して連通する低圧バッファタンクと、
低温側の端部が前記冷端部に連通する蓄冷器と、
2.5kWよりも大きな定格出力を有し、前記蓄冷器の高温側の端部に吸気弁または吐出弁を介して連通する圧縮機と、を備え、
前記高圧切替弁、前記低圧切替弁、前記吸気弁および前記吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている、
パルス管冷凍機。 - 前記温端部に中圧切替弁を介して連通する中圧バッファタンクをさらに備え、
前記高圧切替弁、前記中圧切替弁、前記低圧切替弁、前記吸気弁および前記吐出弁のうちの少なくとも1つは、ベローズバルブから構成されている、
請求項1に記載のパルス管冷凍機。 - 前記蓄冷器は、
管本体と、
前記管本体の中に設けられた複数の低温側メッシュ部材と、
前記管本体の中に設けられ、複数の前記低温側メッシュ部材よりも前記蓄冷器の高温側に配置された複数の高温側メッシュ部材と、を含み、
複数の前記低温側メッシュ部材のメッシュ(目数/インチ)は、複数の前記高温側メッシュ部材のメッシュよりも大きく、
積層されている複数の前記高温側メッシュ部材の全体としての厚みと、積層されている複数の前記低温側メッシュ部材の全体としての厚みとの比は、36:64以上であり、かつ、75:25以下である、
請求項1または2に記載のパルス管冷凍機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015102928A JP2016217625A (ja) | 2015-05-20 | 2015-05-20 | パルス管冷凍機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015102928A JP2016217625A (ja) | 2015-05-20 | 2015-05-20 | パルス管冷凍機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016217625A true JP2016217625A (ja) | 2016-12-22 |
Family
ID=57580727
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015102928A Pending JP2016217625A (ja) | 2015-05-20 | 2015-05-20 | パルス管冷凍機 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2016217625A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019190678A (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-31 | 住友重機械工業株式会社 | アクティブバッファパルス管冷凍機 |
-
2015
- 2015-05-20 JP JP2015102928A patent/JP2016217625A/ja active Pending
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