JP2016217498A - 気体圧縮機用の電磁クラッチ及び気体圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンプレッサ(100)用の電磁クラッチ(80)は、磁力によりロータ(81)に断接されるアーマチュア82と、アーマチュア82に板ばね97を介して連結されたフランジ部88及び回転軸51に連結されるボス部89を有するハブ87と、を備え、ハブ87のフランジ部88は、ボス部89の軸心Cから予め設定された距離の境界Mよりも内側に、境界Mよりも外側の部分(外側部88a)の厚さよりも厚い厚肉部88bを有している。
【選択図】図3
Description
この気体圧縮機のうち外部から動力を受けて動作するものは、その動力の断接を切り替えるために、電磁クラッチを備えている。
そこで、特許文献1においては、板ばねとハブとの間に弾性材を設ける技術が提案されている。この技術によれば、アーマチュアとロータとの接続の際の衝撃を、弾性材の圧縮により緩衝して、音の発生を抑制している。しかし、弾性材の追加は、部品点数と組立工数とがそれぞれ増加するため、製造コストの上昇を招く。
ここで、本発明の発明者は、接続の際に発生した音を詳細に分析したところ、発生した音は、ハブの固有振動モードが深く関与していることが判明した。
<コンプレッサの構成>
図示のコンプレッサ100は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空調システムの一部として構成される。この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する)とともに冷却媒体の循環経路上に設けられている。なお、この空調システムは、例えば、車両(自動車など)の車室内の温度調整を行うための空調装置である。
ハウジング10には、リテーナ(スナップリング)15により、圧縮機本体60の回転軸51に連結された電磁クラッチ80が固定されている。電磁クラッチ80は、本発明に係る気体圧縮機用の電磁クラッチの第1の実施形態(実施形態1)である。
圧縮機本体60は、例えばベーンロータリ形式の圧縮機であり、回転軸51の軸心C回りに回転することで、吸入室13を通じて低圧の冷媒ガスGを吸入して高温、高圧に圧縮し、圧縮された高圧の冷媒ガスGを、油分離器70を通じて吐出室14に吐出する。
油分離器70は、通過する冷媒ガスGから冷凍機油Rを分離する。
電磁クラッチ80は、回転軸51への動力の供給の断接を切り替える。電磁クラッチ80は、ロータ81と、電磁コイル83と、コイルハウジング86と、アーマチュア82と、ハブ87と、を備えている。
コイルハウジング86は、内部に電磁コイル83を収容した円環状のコイルケース84と、コイルケース84に接合されて、フロントヘッド12に固定されるフランジプレート85とを有している。
アーマチュア82は、図1に示すように、ロータ81の端面(外面)と予め設定された隙間を介して対向して配置されている。アーマチュア82は、図2に示す平面視で略円形であり、外側の外輪部分82aと、外輪部分82aよりも内側の内輪部分82bとを有している。
アーマチュア82は、電磁コイル83の通電によって発生した磁束によりロータ81(図1参照)の端面に接し、ロータ81の回転が伝達される。一方、アーマチュア82は、電磁コイル83の通電停止によって磁束が消失することによりロータ81の端面から離れ、ロータ81の回転が伝達されなくなる。
ボス部89は、図1に示すように、ボルト16により回転軸51に連結されている。
フランジ部88は、図2に示す平面視で、略三角形の輪郭形状を有している。フランジ部88は、軸心C回りの半径方向に最も長い頂部がアーマチュア82の内輪部分82bの外形と略同じ位置となるような大きさで形成されている。
厚肉部88bは、軸心C回りの全周に亘ってフランジ部88に形成されている。厚肉部88bは、フランジ部88に対して、ボス部89と同じ向きに突出している。また、厚肉部88bは、ボス部89に接して形成されている。
各板ばね97は、軸心C回りの半径方向の外側に対応する部分において、カシメにより、アーマチュア82の外輪部分82aに結合されている。一方、各板ばね97は、軸心C回りの半径方向の内側に対応する部分において、結合ピン98により、ハブ87のフランジ部88に結合されて固定されている。
フランジ部88の、結合ピン98により板ばね97が固定された部分(板ばね固定部)は、厚肉部88bに形成されている。すなわち、境界Mが、板ばね97が固定された部分よりも軸心Cに対する半径方向の外側に形成されている。
したがって、境界Mは、フランジ部88のストッパゴム99が固定された部分(ストッパゴム固定部)よりも軸心Cに対する半径方向の内側に形成されている。
以上のように構成された実施形態の電磁クラッチ80によると、電磁コイル83に通電されていないときは、ロータ81とアーマチュア82とが離れているため、ロータ81の回転は、アーマチュア82に伝達されない。したがって、アーマチュア82と、板ばね97及びハブ87を介して連結された回転軸51は回転せず、圧縮機本体60は動作しない。
本発明者の分析によると、この着磁音は、ハブ87の固有振動モードが深く関与していることが判明した。
すなわち、具体的には、アーマチュア82がロータ81に接する際に、アーマチュア82に対して軸心C方向の、ロータ81とは反対の側に配置されているハブ87のフランジ部88(特に、頂部に近い部分)が、図4の矢印で示すように、軸心Cに沿った方向に撓む振動が発生することが判明した。そして、この振動によって生じる音は、例えば4000[Hz]付近の周波数であり、ハブ87の固有振動モードによる音であった。
これにより、フランジ部88の撓みによる振動が、厚肉部88bの形成されていないものに比べて抑制される。したがって、本実施形態の電磁クラッチ80及びコンプレッサ100によれば、弾性材等部品の数を増加させることなく、フランジ部88の振動により発生する着磁音のレベルを低減することができる。
図5は、実施形態1の電磁クラッチ80と、フランジ部88に厚肉部88bが形成されていない比較例の電磁クラッチとの、フランジ部88の振動感度を示したグラフである。なお、グラフにおいて、実線は本実施形態の電磁クラッチ80の振動感度であり、破線は比較例の振動感度である。
図5に示したように、本実施形態の電磁クラッチ80は、周波数4000[Hz]付近の振動感度が、比較例に比べて大幅に低減されている。これにより、本実施形態の電磁クラッチ80は比較例に比べて、着磁音を低減することが実証された。
ここで、本実施形態の電磁クラッチ80は、厚肉部88bがボス部89に接しているため、フランジ部88とボス部89との境界部の剛性を一層向上させることができる。
本実施形態の電磁クラッチ80は、厚肉部88bがフランジ部88に対してボス部89と軸心Cに沿った方向に関して同じ向きに突出し、厚肉部88bに板ばね97が固定されている。したがって、外側部88aにおけるアーマチュア82に向いた面と、アーマチュア82におけるフランジ部88に向いた面との間の隙間が、厚肉部88bが形成されていないものに比べて広くなる。
本実施形態の電磁クラッチ80は、フランジ部88が、図2の平面視の輪郭が略三角形であるが、本発明に係る電磁クラッチにおけるフランジ部は、この形状に限定されず、例えば、略四角形や略五角形の輪郭形状を有するものであってもよい。
また、フランジ部88の輪郭形状は、角形状に限定されず、円形状や星形状等であってもよい。
図6は、本発明の第2の実施形態(実施形態2)の電磁クラッチ180におけるアーマチュア82、板ばね97及びハブ187を示す図2相当の側面図、図7は、図6におけるC−C線に沿った断面を示す断面図、図8は、図6におけるハブ187を示す斜視図である。
図示の電磁クラッチ180は、図1に示したコンプレッサ100において、実施形態1の電磁クラッチ80に代えてハウジング10に取り付けられている。
電磁クラッチ180は、電磁クラッチ80に対して、ハブ87に代えてハブ187が備えられている以外は同じ構成である。ハブ187は、ハブ87のフランジ部88に相当するフランジ部188と、ボス部89と同じボス部189とが一体に形成されたものである。
フランジ部188は、図6,8に示すように、その略三角形状の3つの辺にそれぞれ対応する外周縁に、フランジ部188の表面からフランジ部188の厚さ方向(軸心Cに沿った方向)に突出したリブ90が形成されている。
各リブ90は、図7に示すように、フランジ部188に対して、ボス部189とは反対の向きに突出している。
板ばね97は、リング状に形成されている。板ばね97は、図6に示すように、軸心C回りの周方向に、等角度間隔で3つ設けられている。各板ばね97のリングの直径はアーマチュア82の半径よりも小さい。
以上のように構成された実施形態の電磁クラッチ180によると、電磁コイル83に通電されていないときは、ロータ81とアーマチュア82とが離れているため、ロータ81の回転は、アーマチュア82に伝達されない。したがって、アーマチュア82と、板ばね97及びハブ187を介して連結された回転軸51は回転せず、圧縮機本体60は動作しない。
これにより、フランジ部188の撓みによる振動が、厚肉部188b及びリブ90の無いものに比べて抑制される。したがって、実施形態2の電磁クラッチ180及びコンプレッサ100によれば、弾性材等部品の数を増加させることなく、フランジ部188の振動により発生する着磁音のレベルを一層低減させることができる。
しかも、フランジ部188が円形であるもの(この場合、リブ90は円弧状)に比べて、辺に対応するリブ90が直線状となるため、円弧の場合と比べてリブ90の長さを短くすることができる。したがって、形成されたリブ90による重量増加を抑制することができる。
なお、厚肉部188bをボス部189と反対の向きに突出させたものでは、既存の電磁クラッチに対して、ハブ187のフランジ部188とアーマチュア82等との位置関係(特に、ボス部189に連結される回転軸51の軸心Cに沿った方向についての位置関係)を、まったく変更する必要がない。
なお、本実施形態の電磁クラッチ180は、例えば、リブ90が形成されていないフランジ部188の外周部を、フランジ部188の厚さ方向(軸心Cに沿った方向)に折り曲げることにより、フランジ部188の外周縁にリブ90が形成されている。これにより、リブ90を溶接等で接合するものに比べて、リブ90を容易に形成することができる。
ただし、本発明に係る電磁クラッチは、この製造方法でリブが形成された電磁クラッチに限定されない。すなわち、リブは、フランジ部を形成する際に鍛造により一体に形成してもよいし、フランジ部に溶接で付加して形成してもよい。
このように構成された電磁クラッチ180によれば、リブ90が形成されていても、軸心C方向に沿った電磁クラッチ180全体の長さを、既存の電磁クラッチと同じ長さに抑えることができる。
60 圧縮機本体
80 電磁クラッチ
81 ロータ
82 アーマチュア
87 ハブ
88 フランジ部
88a 外側の部分(外側部)
88b 厚肉部
89 ボス部
98 結合ピン
99 ストッパゴム
100 コンプレッサ(気体圧縮機)
C 軸心
M 境界
Claims (10)
- 磁力によりロータに断接されるアーマチュアと、
前記アーマチュアに板ばねを介して連結されたフランジ部及び回転軸に連結されたボス部を有するハブと、を備え、
前記フランジ部は、前記ボス部の軸心から予め設定された距離の境界よりも内側の少なくとも一部に、前記境界よりも外側の部分の厚さよりも厚い厚肉部を有している、気体圧縮機用の電磁クラッチ。 - 前記フランジ部は、前記板ばねが固定された板ばね固定部と、前記アーマチュアとの間に介在するストッパゴムが固定されたストッパゴム固定部とを有し、
前記境界は、前記軸心を中心とする半径方向の、前記板ばね固定部と前記ストッパゴム固定部との間に形成されている、請求項1に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。 - 前記厚肉部は、前記フランジ部に対して、前記ボス部と同じ向きに突出している請求項2に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。
- 前記境界は、前記軸心を中心とした円であり、
前記厚肉部は、前記境界よりも内側の、前記軸心回りの全周に亘って形成されている請求項1から3のうちいずれか1項に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。 - 前記厚肉部は、前記ボス部に接している請求項1から4のうちいずれか1項に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。
- 前記フランジ部の外周縁に、前記フランジ部の厚さ方向に突出したリブが形成されている、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。
- 前記板ばねが、前記フランジ部の、前記ボス部の軸心を中心とした周方向に沿って複数設けられ、
前記フランジ部は、前記軸心から、前記板ばねがそれぞれ固定された部分同士の各間の部分に向いた方向に頂部を有する角形に形成され、
前記リブは、前記フランジ部の前記角形の辺に沿って形成されている、請求項6に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。 - 前記リブは、前記フランジ部に対して、前記ボス部とは反対の向きに突出している請求項6又は7に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。
- 前記リブは、前記フランジ部に対して、前記ボス部と同じ向きに突出している請求項6又は7に記載の気体圧縮機用の電磁クラッチ。
- 請求項1から9のうちいずれか1項に記載の電磁クラッチと、
前記ハブに連結された回転軸を有する圧縮機本体と、を備えた気体圧縮機。
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