JP2016216418A - 免疫調節剤及びスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】免疫機能の調節に有用な物質のスクリーニング方法及び免疫調節剤を提供する。【解決手段】被験物質のFGF23−Klotho系に対する影響を検出すること、及び検出される影響が、被験物質を用いない場合のFGF23−Klotho系に対する影響と異なる被験物質を候補物質として選択すること、を含む免疫機能の調節に有用な候補物質のスクリーニング方法である。またFGF23−Klotho調節剤を有効成分とする免疫調節剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、免疫調節剤及びスクリーニング方法に関する。
線維芽細胞増殖因子23(Fibroblast growth factor 23;FGF23)は、骨組織、特に骨細胞により産生されると考えられている液性因子である。FGF23は、リンの恒常性維持に深く関与しており、腎尿細管リン再吸収の抑制と活性型ビタミンD3の血中濃度の低下を介した腸管リン吸収の抑制とにより血中リン濃度を低下させる。腎臓におけるFGF23の特異的作用は、FGF受容体(FGFR)とKlothoタンパク質との複合体にFGF23が作用することによると考えられている。
またFGF23−Klothoシグナルは、アンチエイジングに関与しているとされ、FGF23ノックアウトマウスは、短命で種々の老化類似症状を示す(例えば、非特許文献1参照)。
一方、FGF23は骨組織以外の脾臓にも発現することが知られており、骨組織におけるFGF23の発現と脾臓におけるそれとでは、その制御機構が相違する可能性があると考えられている(例えば、非特許文献2参照)。
FASEB J, 20, 720-722(2006). Nephron Physiol, 111, 59-66(2009).
しかしながら、脾臓におけるFGF23発現の生理学的意義は充分に解明されていなかった。
本発明は、脾臓におけるFGF23発現の生理学的意義に基づく、免疫機能の調節に有用な物質のスクリーニング方法及び免疫調節剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
〔1〕FGF23−Klotho調節剤を有効成分とする、免疫調節剤である。
〔2〕FGF23−Klotho調節剤がFGF23−Klotho阻害剤である、〔1〕記載の免疫調節剤である。
〔3〕FGF23−Klotho調節剤がFGF23−Klotho活性化剤である、〔1〕記載の免疫調節剤である。
〔4〕ビタミンD誘導体、核酸オリゴ、抗FGF23抗体及び抗Klotho抗体からなる群から選ばれる1種以上の物質を含む、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の免疫調節剤である。
〔5〕核酸オリゴが、天然または非天然の、RNAまたはDNAからなる、〔4〕記載の免疫調節剤である。
〔6〕抗体産生増強剤である、〔1〕又は〔3〕記載の免疫調節剤である。
〔7〕免疫機能の調節に有用な候補物質のスクリーニング方法であり、(a)被験物質のFGF23−Klotho系に対する影響を検出すること、及び(b)検出される影響が、被験物質を用いない場合のFGF23−Klotho系に対する影響と異なる被験物質を候補物質として選択すること、を含む方法である。
本発明によれば、脾臓におけるFGF23発現の生理学的意義に基づく、免疫機能の調節に有用な物質のスクリーニング方法及び免疫調節剤を提供することができる。
B細胞におけるFGF23−Klothoシグナルの影響を示す図である。 分化誘導7日後の骨芽細胞株におけるFGF23のmRNA発現量を示す図である。 分化誘導14日後の骨芽細胞株におけるFGF23のmRNA発現量を示す図である。
「FGF23」とは、線維芽細胞増殖因子23(Fibroblast growth factor 23)のことである。ヒトFGF23遺伝子がコードするFGF23前駆体は251個のアミノ酸からなるタンパク質であり、例えば、NCBI参照配列番号:NP_065689.1、アクセッション番号:NM_020638.2などが含まれる。
FGF23−Klotho調節剤とは、FGF23−Klothoシグナル伝達を調節可能な物質のことであり、FGF23−Klotho阻害剤及びFGF23−Klotho活性化剤が含まれる。
FGF23−Klotho阻害剤とは、FGF23又はKlothoの発現を阻害する物質及びFGF23又はKlothoの機能を阻害する物質からなる群から選択される少なくとも1種である。FGF23−Klotho阻害剤は、FGF23又はKlothoの発現を直接阻害する物質でもよいし、FGF23とKlotho及びFGFRの複合体との結合を阻害する物質でもよいし、KlothoとFGFRとの相互作用を阻害する物質でもよいし、活性型FGFRの作用を阻害する物質でもよい。
FGF23−Klotho阻害剤には、ビタミンD誘導体、核酸オリゴ、抗FGF23抗体及び抗Klotho抗体が含まれる。
FGF23−Klotho阻害剤におけるビタミンD誘導体は、例えば、活性型ビタミンDによるFGF23発現の上昇を阻害する。ビタミンD誘導体は、活性型ビタミンDの発現を抑制する物質でもよく、活性型ビタミンDのFGF23発現作用を競合的に阻害する物質でもよい。
FGF23又はKlothoの発現阻害は、例えばFGF23遺伝子又はKlotho遺伝子の発現に対するRNA干渉(RNA interference)効果を利用することによって実現可能である。RNA干渉は、RNAを利用して遺伝子の発現を抑制する方法として報告された方法(Genes and Development,16, 948−958(2002))であり、標的遺伝子と同一もしくは類似した配列を有する二重鎖RNAを細胞に導入すると、導入した外来遺伝子および標的内在遺伝子の発現がいずれも抑制される現象である。具体的には、FGF23遺伝子又はKlotho遺伝子の発現に対するRNA干渉効果を示すsiRNAやアンチセンス核酸を使用して、FGF23遺伝子又はKlotho遺伝子の発現阻害が可能である。
「核酸オリゴ」は、FGF23遺伝子若しくはKlotho遺伝子又はFGF23若しくはKlothoタンパク質の機能を制御する核酸のオリゴマーを意味し、siRNA、shRNA、アンチセンス核酸、デコイ核酸、核酸アプタマーが含まれる。
核酸オリゴとして好ましくは、siRNAまたはshRNAを挙げることができる。siRNAは、細胞で毒性を示さない範囲の短鎖からなる二重鎖RNAを意味し、例えば15〜49塩基対と、好適には15〜35塩基対と、さらに好適には21〜30塩基対とすることが出来る。また、shRNAは、一本鎖のRNAがヘアピン構造を介して二重鎖を構成しているRNAである。
siRNAおよびshRNAは、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列の相同性を有する。
siRNAおよびshRNAにおけるRNA同士が対合した二重鎖RNAの部分は、完全に対合しているものに限らず、ミスマッチ(対応する塩基が相補的でない)、バルジ(一方の鎖に対応する塩基がない)などにより不対合部分が含まれていてもよい。本発明においてはdsRNAにおけるRNA同士が対合する二重鎖RNA領域中に、バルジおよびミスマッチの両方が含まれていてもよい。
また、「アンチセンス核酸」は、FGF23又はKlothoをコードするDNAの転写産物と相補的なアンチセンス核酸である。アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、RNA二重鎖認識によるRNase活性による分解、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造が作られた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらの中でも、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する。
アンチセンス配列は、上記のいずれの作用で標的遺伝子の発現を抑制してもよい。一つの態様としては、FGF23又はKlothoのmRNAの5’端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的であるものと考えられる。しかし、コード領域もしくは3’側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域に相補的な配列も使用しうる。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく、非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含む核酸も、本発明で利用されるアンチセンス核酸に含まれる。アンチセンス核酸は標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するアンチセンスRNAの長さは、特に制限されない。
「抗FGF23抗体」又は「抗Klotho抗体」は、FGF23又はKlothoに特異的に結合する抗体であり、例えばFGF23−Klotho阻害剤である場合にはFGF23−Klothoシグナル伝達を阻害する抗体などが挙げられる。
「抗FGF23抗体」又は「抗Klotho抗体」は、公知の手段を用いてポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体として得ることができる。抗体の由来は特に限定されるものではないが、好ましくは哺乳動物由来であり、より好ましくはヒト由来の抗体を挙げることが出来る。哺乳動物由来のモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものがある。これらの抗体はFGF23又はKlothoと結合することにより、FGF23−Klothoシグナル伝達系の機能発現を阻害する。
抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、FGF23又はKlothoを感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング方法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。例えば、抗体取得の抗原として使用されるヒFGF23又はKlothoは公知の文献に開示されたFGF23又はKlothoの遺伝子配列又はアミノ酸配列を用いることによって得られる。
抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)、放射性物質、トキシン等の各種分子と結合したコンジュゲート抗体でもよい。このようなコンジュゲート抗体は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。本明細書における「抗体」にはこれらのコンジュゲート抗体も包含される。
抗体には、FGF23又はKlothoに結合する限り、IgGに代表される二価抗体だけでなく、一価抗体、若しくはIgMに代表される多価抗体も含まれる。本発明の多価抗体には、全て同じ抗原結合部位を有する多価抗体、または、一部もしくは全て異なる抗原結合部位を有する多価抗体が含まれる。
さらに、抗体は、FGF23又はKlothoに結合する限り、二重特異性抗体(bispecific antibody)であってもよい。二重特異性抗体とは、異なるエピトープを認識する可変領域を同一の抗体分子内に有する抗体をいうが、当該エピトープは異なる分子中に存在していてもよいし、同一の分子中に存在していてもよい。すなわち、二重特異性抗体はFGF23又はKlothoの異なるエピトープを認識する抗原結合部位を有することもできる。また、一方の認識部位がFGF23又はKlothoを認識し、他方の認識部位がFGF23又はKlotho以外の抗原を認識する二重特異性抗体とすることも可能である。
二重特異性抗体を製造するための方法は公知である。たとえば、認識抗原が異なる2種類の抗体を結合させて、二重特異性抗体を作製することができる。結合させる抗体は、それぞれがH鎖とL鎖を有する抗体の1/2分子であっても良いし、H鎖のみからなる抗体の1/4分子であっても良い。あるいは、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製することもできる。さらに、遺伝子工学的手法により二重特異性抗体が作製できる。
抗体は、FGF23−Klothoに結合する限り、低分子化抗体であってもよい。低分子化抗体は、全長抗体(whole antibody、例えばwhole IgG等)の一部分が欠損している抗体断片を含む。Arid5Aに結合する限り、抗体分子の部分的な欠損は許容される。本発明における抗体断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)のいずれか、または両方を含んでいることが好ましい。VHまたはVLのアミノ酸配列は、付加、欠失および/または置換を含むことができる。さらにArid5Aに結合する限り、VHおよびVLのいずれか、または両方の一部を欠損させることもできる。また、抗体断片はキメラ化やヒト化されていてもよい。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvなどを挙げることができる。また、低分子化抗体の具体例としては、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv(single−chain Fv)、ダイアボディー(Diabody)、sc(Fv)2(single−chain (Fv)2)などを挙げることができる。これら抗体の多量体(例えば、ダイマー、トリマー、テトラマー、ポリマー)も、本発明の抗体に含まれる。
抗体断片は、抗体を酵素で消化して生成させることができる。
FGF23−Klotho活性化剤とは、FGF23又はKlothoの発現を促進する物質及びFGF23又はKlothoの機能を増強する物質からなる群から選択される少なくとも1種である。FGF23−Klotho活性化剤は、FGF23又はKlothoの発現自体を直接促進する物質でもよいし、FGF23とKlotho及びFGFRの複合体との結合を促進する物質でもよいし、KlothoとFGFRとの相互作用を促進する物質でもよいし、活性型FGFRの作用を増強する物質でもよい。
FGF23−Klotho活性化剤には、リン酸、ビタミンD誘導体、核酸オリゴ、抗FGF23抗体及び抗Klotho抗体が含まれる。
FGF23−Klotho活性化剤におけるビタミンD誘導体は、例えば、標的細胞におけるFGF23発現を促進する。ビタミンD誘導体は、ビタミンD受容体のアゴニストとなる物質でもよく、活性型ビタミンDの作用を協同的に増強する物質でもよい。
ビタミンD誘導体には、活性型ビタミンD、マキサカルシトール、パリカルシトール、ファレカルシトリオール等が含まれる。
FGF23−Klotho活性化剤における核酸オリゴは、例えば、FGF23及びKlothoの少なくとも一方の発現を促進するものであれば特に制限されない。
抗FGF23抗体及び抗Klotho抗体は、FGF23及びKlothoの少なくとも一方の活性を上昇させるものであれば特に制限されない。抗Klotho抗体には、例えば、抗Klothoと抗FGFRの二重特異抗体が含まれる。
FGF23−Klotho活性化は、例えば、脾臓において、Klothoを発現するB細胞に対して抗体産生増強をもたらす。すなわち、免疫調節剤は抗体産生増強剤であることが好ましい。
FGF23−Klotho調節剤を有効成分とする免疫調節剤には、保存剤や安定剤等の製剤上許容しうる材料が添加されていてもよい。製剤上許容しうるとは、それ自体は上記のFGF23−Klotho調節作用を有する材料であってもよいし、当該調節作用を有さない材料であってもよく、上記免疫調節剤とともに投与可能な製剤上許容される材料を意味する。また、調節作用を有さない材料であって、FGF23−Klotho調節剤と併用することによって相乗的効果もしくは相加的な安定化効果を有する材料であってもよい。
製剤上許容される材料としては、例えば滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。
界面活性剤としては非イオン界面活性剤を挙げることができ、例えばソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノミリテート、グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル等のHLB6〜18を有するもの、等を典型的例として挙げることができる。
また、界面活性剤としては陰イオン界面活性剤も挙げることができ、例えばアセチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等の炭素原子数10〜18のアルキル基を有するアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等の、エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜4でアルキル基の炭素原子数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリルスルホコハク酸エステルナトリウム等の、アルキル基の炭素原子数が8〜18のアルキルスルホコハク酸エステル塩;天然系の界面活性剤、例えばレシチン、グリセロリン脂質;スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質;炭素原子数12〜18の脂肪酸のショ糖脂肪酸エステル等を典型的例として挙げることができる。
免疫調節剤には、これらの界面活性剤の1種または2種以上を組み合わせて添加することができる。免疫調節剤で使用する好ましい界面活性剤は、ポリソルベート20、40、60又は80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、ポリソルベート20及び80が特に好ましい。また、ポロキサマー(プルロニックF−68(登録商標)など)に代表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等もまた好ましい。
緩衝剤としては、リン酸、クエン酸緩衝液、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、リン酸カリウム、グルコン酸、カプリル酸、デオキシコール酸、サリチル酸、トリエタノールアミン、フマル酸等、他の有機酸等、あるいは、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、ヒスチジン緩衝液、イミダゾール緩衝液等を挙げることが出来る。
また溶液製剤の分野で公知の水性緩衝液に溶解することによって溶液製剤を調製してもよい。緩衝液の濃度は一般には1〜500mMであり、好ましくは5〜100mMであり、さらに好ましくは10〜20mMである。
また、免疫調節剤は、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、アミノ酸、多糖及び単糖等の糖類や炭水化物、糖アルコールを含んでいてもよい。
多糖及び単糖等の糖類や炭水化物としては、例えばデキストラン、グルコース、フラクトース、ラクトース、キシロース、マンノース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラフィノース等を挙げることができる。
糖アルコールとしては、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール等を挙げることができる。
注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO−50)等と併用してもよい。
所望によりさらに希釈剤、溶解補助剤、pH調整剤、無痛化剤、含硫還元剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
また、必要に応じ、マイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[メチルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に封入したり、コロイドドラッグデリバリーシステム(リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル等)としたりすることもできる("Remington's Pharmaceutical Science 16th edition", Oslo Ed., 1980等参照)。さらに、薬剤を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本発明に適用し得る(Langer et al., J.Biomed.Mater.Res. 1981, 15: 167-277; Langer,Chem. Tech. 1982, 12: 98-105;米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開(EP)第58,481号; Sidman et al., Biopolymers 1983, 22: 547-556;EP第133,988号)。
使用される製剤上許容しうる担体は、剤型に応じて上記の中から適宜あるいは組合せて選択されるが、これらに限定されるものではない。
免疫調節剤をヒトや他の動物の医薬として使用する場合には、これらの物質自体を直接患者に投与する以外に、公知の製剤学的方法により製剤化して投与を行うことも可能である。製剤化する場合には、上記に記載の製剤上許容される材料を添加しても良い。
免疫調節剤は、医薬品の形態で投与することが可能であり、経口的または非経口的に全身あるいは局所的に投与することができる。例えば、点滴などの静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、坐薬、注腸、経口性腸溶剤などを選択することができ、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。有効投与量は、一回につき体重1kgあたり0.001mgから100mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり0.1〜1000mg、好ましくは0.1〜50mgの投与量を選ぶことができる。好ましい投与量、投与方法は、たとえば抗Arid5A抗体の場合には、血中にフリーの抗体が存在する程度の量が有効投与量であり、具体的な例としては、体重1kgあたり1ヶ月(4週間)に0.1mgから40mg、好ましくは1mgから20mgを1回から数回に分けて、例えば2回/週、1回/週、1回/2週、1回/4週などの投与スケジュールで点滴などの静脈内注射、皮下注射などの方法で、投与する方法などである。投与スケジュールは、投与後の状態の観察および血液検査値の動向を観察しながら2回/週あるいは1回/週から1回/2週、1回/3週、1回/4週のように投与間隔を延ばしていくなど調整することも可能である。
本発明は、FGF23−Klotho調節剤を有効成分として含むB細胞の分化調節剤に関する。FGF23は、例えば、脾臓において、Klothoを発現するB細胞に作用してB細胞の分化を調節する。具体的にB細胞の分化調節には、抗体産生増強、形質細胞への終末分化が含まれる。
本発明は、免疫機能の調節に有用な候補物質のスクリーニング方法に関する。スクリーニング方法は、被験物質のFGF23−Klotho系に対する影響を検出すること、及び検出される影響が、被験物質を用いない場合のFGF23−Klotho系に対する影響と異なる被験物質を候補物質として選択することを含む。
スクリーニング方法は、被験物質のFGF23−Klotho系に対する影響を検出することを含む。FGF23−Klothoシグナル伝達系の機能としては、KlothoとFGFRとを共発現している細胞において、FGF23に起因する細胞内シグナルの活性化をもたらす。具体的には、腎尿細管細胞におけるリン再吸収の抑制、活性型ビタミンD産生酵素である1α−水酸化酵素の発現抑制、活性型ビタミンDを活性の低い代謝物に変換する24−水酸化酵素の発現促進等の他に、B細胞における抗体産生増強、B細胞における分化シグナルとして機能すると考えられる。したがってFGF23−Klotho系に対する影響としては例えば、FGF23又はKlothoの発現を抑制又は促進すること、FGF23又はKlothoに結合することによりFGF23又はKlothoAの機能を阻害又は増強すること、FGF23と競合的にFGFRと結合することによりFGF23の機能を阻害又は増強すること等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
スクリーニング方法は更に、検出される影響が、被験物質を用いない場合のFGF23−Klotho系に対する影響と異なる被験物質を候補物質として選択することを含む。検出される影響が異なることには、検出される影響が大きくなる場合と小さくなる場合とをふくむ。
スクリーニング方法の第一の態様は、被験物質とFGF23とを接触させることと、被験物質と接触したFGF23とKlotho及びFGFRとを接触させることと、FGFRの生物学的作用又は生化学的作用を評価することとを含む。
使用されるFGF23のアミノ酸配列は既述の通りである。スクリーニング方法に使用されるFGF23は、上記の公知のFGF23と機能的に同等なタンパク質を包含する。このようなタンパク質には、例えば、FGF23の変異体、アレル、バリアント、ホモログ、FGF23の部分ペプチド、または他のタンパク質との融合タンパク質などが挙げられるがこれらに限定されない。
FGF23の変異体としては、既述のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなる天然由来のタンパク質であって、既述のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を挙げることができる。また、既述の塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズする天然由来のDNAよりコードされるタンパク質であって、既述のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質も、FGF23の変異体として挙げることができる。
変異するアミノ酸数は特に制限されないが、通常、30アミノ酸以内であり、好ましくは15アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内(例えば、3アミノ酸以内)であると考えられる。変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えば、アミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A,I,L,M,F,P,W,Y,V)、親水性アミノ酸(R,D,N,C,E,Q,G,H,K,S,T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G,A,V,L,I,P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S,T,Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C,M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D,N,E,Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R,K,H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H,F,Y,W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸配列による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することは既に知られている。
「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が、FGF23と同等の生物学的機能や生化学的機能を有することを指す。FGF23はKlotho及びFGFRを含む複合体と相互作用して生物学的機能、生化学的機能を発現する。FGF23の生物学的機能や生化学的機能としては、リン及びカルシウムの恒常性維持、ビタミンD代謝の恒常性維持等を挙げることができる。
目的のタンパク質と「機能的に同等なタンパク質」をコードするDNAを調製するために、当業者に良く知られた方法としては、ハイブリダイゼーション技術やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を利用する方法が挙げられる。即ち、当業者にとっては、FGF23の塩基配列もしくはその一部をプローブとして、またFGF23に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、FGF23と高い相同性を有するDNAを単離することは通常行いうることである。このようにハイブリダイズ技術やPCR技術により単離しうるFGF23と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNAもまた含まれる。
このようなDNAを単離するためには、好ましくはストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション反応を行う。本発明においてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、6M尿素、0.4%SDS、0.5xSSCの条件またはこれと同等のストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを指す。よりストリンジェンシーの高い条件、例えば、6M尿素、0.4%SDS、0.1xSSCの条件を用いることにより、より相同性の高いDNAの単離を期待することができる。これにより単離されたDNAは、アミノ酸レベルにおいて、目的タンパク質のアミノ酸配列と高い相同性を有すると考えられる。高い相同性とは、アミノ酸配列全体で、少なくとも50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を指す。アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc.Natl.Acad.Sci.ISA 87:2264−2268,1990,Proc Natl Acad Sci USA 90:5873,1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF,et al: J Mol Biol 215:403,1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100,wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50,wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメータを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。
スクリーニング方法に使用されるFGF23の由来となる生物種としては、特定の生物種に限定されるものではない。例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ブタ、ウシ、酵母、昆虫などが挙げられる。
第一の態様に用いられるFGF23の状態としては、特に制限はなく、例えば精製された状態、細胞内に発現した状態、細胞抽出液内に発現した状態などであってもよい。
FGF23の精製は周知の方法で行うことができる。また、FGF23が発現している細胞としては、内在性のFGF23を発現している細胞、又は外来性のFGF23を発現している細胞が挙げられる。上記内在性のFGF23を発現している細胞としては、動物の組織由来の細胞、培養細胞などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。上記培養細胞としては、特に制限はなく、例えば、市販のものを用いることが可能である。内在性のFGF23を発現している細胞が由来する生物種としては、特に制限はなく、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ブタ、ウシ、酵母、昆虫などが挙げられる。また、上記外来性のFGF23を発現している細胞は、例えば、FGF23をコードするDNAを含むベクターを細胞に導入することで作製できる。ベクターの細胞への導入は、一般的な方法、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法、リポフェクタミン法、マイクロインジェクション法等によって実施することができる。また、上記外来性のFGF23を有する細胞は、例えばFGF23をコードするDNAを、相同組み替えを利用した遺伝子導入法により、染色体へ挿入することで作製することができる。このような外来性のFGF23が導入される細胞が由来する生物種としては、哺乳類に限定されず、外来タンパク質を細胞内に発現させる技術が確立されている生物種であればよい。
また、FGF23が発現している細胞抽出液は、例えば試験管内転写翻訳系に含まれる細胞抽出液に、FGF23をコードするDNAを含むベクターを添加したものを挙げることができる。該試験管内転写翻訳系としては、特に制限はなく、市販の試験管内転写翻訳キットなどを使用することが可能である。
「被験物質」は、特に限定されるものではなく、例えば天然化合物、有機化合物、無機化合物、核酸、タンパク質、ペプチド等の単一物質、並びに化合物ライブラリー、核酸ライブラリー、ペプチドライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞抽出物、真核単細胞抽出物もしくは動物細胞抽出物等を挙げることができる。上記被験物質は必要に応じて適宜標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射標識、蛍光標識等を挙げることができる。また、上記被験物質に加えて、これらの被験物質を複数種混合した混合物も含まれる。
また、本発明において「接触」は、FGF23の状態に応じて行う。例えば、FGF23が精製された状態であれば、精製標品に被験物質を添加することにより行うことができる。また、細胞内に発現した状態または細胞抽出液内に発現した状態であれば、それぞれ、細胞の培養液または該細胞抽出液に被験物質を添加することにより、若しくは実験動物に直接投与することにより、行うことができる。被験物質がタンパク質の場合には、例えば、該タンパク質をコードするDNAを含むベクターをFGF23が発現している細胞へ導入する、または該ベクターをFGF23が発現している細胞抽出液に添加することで行うことも可能である。また、例えば、酵母又は動物細胞等を用いた2ハイブリッド法を利用することも可能である。
第一の態様では、次いで、被験物質と接触したFGF23とKlotho及びFGFRとを接触させる。Klotho及びFGFRは、Klotho及びFGFRを発現している細胞であってもよく、Klotho及びFGFRを発現している細胞抽出液であってもよい。接触方法はKlotho及びFGFRの状態に応じて行うことができる。
第一の態様では、次いで、FGFRの生物学的作用又は生化学的作用を評価する
FGFRの生物学的作用又は生化学的作用としては、例えば、血管新生、創傷治癒、胚発生等が挙げられる。
スクリーニング方法の第二の態様は、被験物質とFGF23とを接触させることと、被験物質とFGF23との結合を検出することと、FGF23と結合する被験物質を候補物質として選択することとを含む。
被験物質とFGF23との結合の検出方法としては、特に制限はない。被験物質とFGF23との結合は、例えば、FGF23に結合した被験物質に付された標識(例えば、放射標識や蛍光標識など定量的測定が可能な標識)によって検出することができる。また、FGF23に標識剤を結合することもできる。被験物質またはFGF23を樹脂やチップなどに固定化して結合を検出することもできる。FGF23への被験物質の結合により生じるFGF23の機能変化を指標に検出することもできる。
本態様では、次いで、FGF23と結合する被験物質を候補物質として選択する。選択された物質にはFGF23−Klothoシグナル伝達系を調節する物質が含まれる。
スクリーニング方法の第三の態様は、被験物質とFGF23を発現する細胞とを接触させることと、FGF23の発現レベルを測定することと、被験物質を接触させていない場合と比較してFGF23の発現レベルが変化した被験物質を候補物質として選択することとを含む。FGF23を発現する細胞としては、例えば、骨芽細胞、T細胞、樹状細胞等が挙げられる。
FGF23の発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば該遺伝子のmRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法、またはRT−PCR法を実施することによって該遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。さらに、DNAアレイ技術を用いて、該遺伝子の発現レベルを測定することも可能である。
また、該遺伝子からコードされるFGF23を含む画分を定法に従って回収し、該FGF23の発現をSDS−PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。また、FGF23に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッディング法を実施し、FGF23の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。さらに、FGF23に対する抗体を用いて、ELISAによりFGF23の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。なお、FGF23に対する抗体については、上記に記載したものを用いることができる。
第三の態様では、次いで被験物質を接触させていない場合と比較して、該FGF23の発現レベルを変化させた被験物質を候補物質として選択する。選択された候補物質には、FGF23の発現を促進又は抑制させる物質が含まれ、FGF23−Klothoシグナル伝達系を調節することができる。
スクリーニング方法の第四の態様は、FGF23をコードするDNAのプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNAを有する細胞または細胞抽出液を準備することと、準備した細胞または細胞抽出液に被験物質を接触させることと、被験物質を接触させた細胞または細胞抽出液における上記レポーター遺伝子の発現レベルを測定することと、被験物質を接触させていない場合と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルを減少または増加させた被験物質を候補物質として選択することとを含む。
第四の態様において、「機能的に結合した」とは、FGF23遺伝子のプロモーター領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、FGF23遺伝子のプロモーター領域とレポーター遺伝子とが結合していることをいう。従って、レポーター遺伝子が他の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、FGF23遺伝子のプロモーター領域に転写因子が結合することによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、上記「機能的に結合した」の意に含まれる。
上記レポーター遺伝子としては、その発現が検出可能なものであれば特に制限されず、例えば、当業者において一般的に使用されるCAT遺伝子、lacZ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)およびGFP遺伝子等を挙げることができる。また、上記レポーター遺伝子には、Arid5AをコードするDNAもまた含まれる。
FGF23をコードするDNAのプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNAを有する細胞または細胞抽出液は、上述の方法にて調製することが可能である。
レポーター遺伝子の発現レベルは、使用するレポーター遺伝子の種類に応じて、当業者に公知の方法により測定することができる。例えば、レポーター遺伝子がCAT遺伝子である場合には、該遺伝子産物によるクロラムフェニコールのアセチル化を検出することによって、レポーター遺伝子の発現レベルを測定することができる。レポーター遺伝子がlacZ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による色素化合物の発色を検出することにより、また、ルシフェラーゼ遺伝子である場合には、該遺伝子産物の触媒作用による蛍光化合物の蛍光を検出することにより、また、β-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用によるGlucuron(ICN社)の発光や5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−グルクロニド(X−Gluc)の発色を検出することにより、レポーター遺伝子の発現レベルを測定することができる。
また、FGF23遺伝子をレポーターとする場合、該遺伝子の発現レベルの測定は、上述した方法で行うことができる。
第四の態様においては、次いで被験物質を接触させていない場合と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルを減少または増加させた被験物質を選択する。選択された物質にはFGF23の発現を促進又は抑制させる物質が含まれ、FGF23−Klothoシグナル伝達系を調節することができる。
スクリーニング方法の第五の態様は、被験物質とKlothoと接触させることと、被験物質とKlothoとの結合を検出することと、Klothoと結合する被験物質を候補物質として選択することとを含む。
被験物質とKlothoとの結合の検出方法としては、特に制限はない。被験物質とKlothoの結合は、例えば、Klothoに結合した被験物質に付された標識(例えば、放射標識や蛍光標識など定量的測定が可能な標識)によって検出することができる。また、Klothoに標識剤を結合することもできる。被験物質またはKlothoを樹脂やチップなどに固定化して結合を検出することもできる。Klothoへの被験物質の結合により生じるKlothoの機能変化を指標に検出することもできる。
本態様では、次いで、Klothoと結合する被験物質を候補物質として選択する。選択された物質にはFGF23−Klothoシグナル伝達系を調節する物質が含まれる。
スクリーニング方法の第六の態様は、被験物質とKlothoを発現する細胞とを接触させることと、Klothoの発現レベルを測定することと、被験物質を接触させていない場合と比較してKlothoの発現レベルが変化した被験物質を候補物質として選択することとを含む。Klothoを発現する細胞としては、例えば、B細胞、腎尿細管細胞、副甲状腺細胞等が挙げられる。
Klothoの発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば該遺伝子のmRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法、またはRT−PCR法を実施することによって該遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。さらに、DNAアレイ技術を用いて、該遺伝子の発現レベルを測定することも可能である。
また、該遺伝子からコードされるKlothoを含む画分を定法に従って回収し、該Klothoの発現をSDS−PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。また、Klothoに対する抗体を用いて、ウェスタンブロッディング法を実施し、Klothoの発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。Klothoに対する抗体については、上記に記載したものを用いることができる。
第六の態様では、次いで被験物質を接触させていない場合と比較して、該Klothoの発現レベルを変化させた被験物質を候補物質として選択する。選択された候補物質には、Klothoの発現を促進又は抑制させる物質が含まれ、FGF23−Klothoシグナル伝達系を調節することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
C57BL/6野生型マウス(8〜11週齢、オス)から脾臓を摘出し、PFA(パラホルムアルデハイド)で固定し、OCTコンパウンドで包埋した後、10μmの厚さで薄切標本を作製した。薄切標本を10%BSA(牛の血清アルブミン)のPBS(リン酸緩衝液)で30分間処理した後、FITC標識した抗ヒトKlotho抗体とAlexa Fluor 647で標識した抗FGF23抗体とを加えて30分間反応させた。PBSで3回洗浄した後、DAPI(核染色用)を含んだVector Laboratories 社の蛍光染色用封入剤(Vectashield Hard set Mounting Medium)を加えて封入し、Carl Zeiss社製Laser Scanning Microscope 700で観察し、画像記録した。
観察された画像から、FITC標識されたKlotho発現細胞の近傍に、Alexa Fluor 647標識されたFGF23発現細胞が存在することが分かった。すなわち、FGF23が脾臓辺縁帯のB細胞にのみ作用する可能性又はFGF23発現細胞とKlotho発現細胞の間に細胞間相互作用が存在する可能性が示唆された。
(実施例2)
KlothoとFGFRをともに発現しているマウス細胞株A20を、FGF23 10ng/mLの濃度で37℃、4時間刺激し、RNAを抽出した。抽出したRNAからcDNAを合成し、増殖系の遺伝子としてBcl−2とBcl−XL、抗体産生(分化系遺伝子)としてIgGに特異的なプライマーを用いて定量的PCRを行った。
結果を図1に示す。図1から、増殖系遺伝子BcL−2とBcl−XLの発現の有意な上昇は見られなかった。一方、IgG遺伝子はFGF23刺激により有意に増加し抗体産生の上昇が見られた。抗体産生の上昇は、B細胞の抗体産生細胞への分化によるものと考えられる。したがって、B細胞においてFGF23−Klothoシグナルは、増殖シグナルではなく、分化シグナルであることが示唆された。
(実施例3)
骨芽細胞株MC3T3−E細胞を50μg/mlアスコルビン酸と5mMβ−グリセロリン酸を添加した培地で培養して分化誘導し、培養7日目を成熟骨芽細胞、14日目を石灰化した骨芽細胞(骨細胞)として使用した。
培養培地から分化誘導試薬を除去した後、各種活性型ビタミンD誘導体(VDRA)をそれぞれ添加して24時間培養を行った。培養終了後にTRizolを用いてRNA抽出しリアルタイムPCRでFGF−23 mRNA発現量を解析した。結果を図2及び3に示す。
使用したVDRAは、カルシトリオール(calcitriol)、マキサカルシトール(maxacalcitol)、パリカルシトール(palicalcitol)、ファレカルシトリオール(falecalcitriol)であった。なお、それぞれVDRAはビタミンDレセプター(VDR)への親和力が違うので、VDRへの親和力の比で添加濃度を決定した。
図2及び3から、骨芽細胞用株と活性型ビタミンD誘導体とを接触させることで、FGF23遺伝子の発現レベルが上昇することが分かる。また活性型ビタミンD誘導体の種類及び細胞の分化段階に応じて、FGF23遺伝子の発現レベルが相違することが分かる。
本発明の免疫調節剤により、従来とは異なるメカニズムによる免疫機能調節作用を有する医薬組成物が提供される。また、本発明により免疫機能の調節作用を示す有用な物質のスクリーニング方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. FGF23−Klotho調節剤を有効成分とする、免疫調節剤。
  2. FGF23−Klotho調節剤がFGF23−Klotho阻害剤である、請求項1記載の免疫調節剤。
  3. FGF23−Klotho調節剤がFGF23−Klotho活性化剤である、請求項1記載の免疫調節剤。
  4. ビタミンD誘導体、核酸オリゴ、抗FGF23抗体及び抗Klotho抗体からなる群から選ばれる1種以上の物質を含む、請求項1から3のいずれかに記載の免疫調節剤。
  5. 核酸オリゴが、天然または非天然の、RNAまたはDNAからなる、請求項4記載の免疫調節剤。
  6. 抗体産生増強剤である、請求項1又は3に記載の免疫調節剤。
  7. 免疫機能の調節に有用な候補物質のスクリーニング方法であり、
    (a)被験物質のFGF23−Klotho系に対する影響を検出すること、及び
    (b)検出される影響が、被験物質を用いない場合のFGF23−Klotho系に対する影響と異なる被験物質を候補物質として選択すること、
    を含む方法。
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