JP2016215941A - 商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法 - Google Patents
商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016215941A JP2016215941A JP2015105687A JP2015105687A JP2016215941A JP 2016215941 A JP2016215941 A JP 2016215941A JP 2015105687 A JP2015105687 A JP 2015105687A JP 2015105687 A JP2015105687 A JP 2015105687A JP 2016215941 A JP2016215941 A JP 2016215941A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ship
- deck
- cover body
- commercial
- wind
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Filling Or Discharging Of Gas Storage Vessels (AREA)
Abstract
【課題】船長方向に分離された複数の貨物タンク等の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶において、横方向からの風に対して、甲板上構造物の風圧抵抗を減少できると共に、船側外板と上甲板とが交叉する角部の風圧抵抗も減少できる商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法を提供する。【解決手段】船長方向に分離された複数の甲板上構造物11を上甲板2に突設した商用船舶において、複数の甲板上構造物11の内の少なくとも一つ以上の甲板上構造物11bと舷側3との間に甲板上構造物11b側が上方になるように傾斜したカバー体20を上甲板2との間に隙間Sを有して設ける。【選択図】図1
Description
本発明は、船長方向に分離された複数の貨物タンク等の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶において、横方向からの風に対して風圧抵抗を減少することができる商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法に関する。
従来技術では、貨物用の球形のタンクの一部が上甲板に突出しているLNG船等の商用船舶では、この球形タンクの上に、タンク及び防熱部保護のためのタンクカバーを設けている。このタンクカバーは、球形タンクを個別に覆ったり、又は全部のタンクを一括して覆ったりしているが、舷側に至ることなく、タンクカバーの下部は上甲板に接続している。
この、一つの連続したタンクカバーで覆うようにした船舶としては、例えば、タンク内に低温にて液化された天然ガス(LNG)を貯蔵して運搬する液化ガス運搬船として、船首尾方向に沿って配置された複数個の(真)球状タンクの上半部を、一つの連続したタンクカバーで覆うようにした液化ガス運搬船が知られている(特許文献1、2参照)。
一方、この球形タンク等の他にもクレーンやハッチカバーや貨物用パイプライン等の艤装品が上甲板に設置されているが、前方からの風に対する風圧抵抗を低減することに関しては、種々の研究と形状の工夫がなされてきており、例えば、船舶の甲板上前方に階段状に形成された多層の居住区に対して、船首ウインドスクリーンを設けたり、中間層居住区の前側上部に中間層ウインドスクリーンを設けたり、最上層居住区の前面上部に水平プレートや切欠き構造を設けたりしている船舶の風圧抵抗低減構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらの商用船舶では、航海時には風が前方から吹き込んでくる状態になるので、前方方向からの風に関しての風圧抵抗の低減を図っており、停泊時や横風による斜航に関しては殆ど考慮されてきていない。
そのため、上甲板に突出したタンクをまとめて船長方向全体を覆うようなカバーを設けた場合には、横方向からの風に対する風圧抵抗が増大し、係船時に必要な係留力が増加してしまうので、係船索や係船機器の大型化が必要になり、重量増加の要因になったり、航行時の横風による斜航の度合いの増大やこの斜航による推進抵抗の増加が生じ、これらによる船速の低下や燃費の悪化を招いたりするという問題が発生する。
また、横風に関しては、上甲板に突出した甲板上構造物だけでなく、舷側における風圧抵抗も問題になる。つまり、従来の船舶では、商用船舶の舷側は角型に形成されて、上甲板の舷側には手摺(ハンドレール)が設けられているが、舷側と上甲板は略直角の角部を有して構成されており、船側外板に衝突した横風が上甲板に流れ込む際に、この手摺や角部で渦流が発生し、特に、下流側に甲板上構造物が有って、この渦流が更に促進される場合には横風に対する風圧抵抗が増加する。
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、船長方向に分離された複数の貨物タンク等の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶において、横方向からの風に対して、甲板上構造物の風圧抵抗を減少できると共に、船側外板と上甲板とが交叉する角部の風圧抵抗も減少できて、横風に対する船全体としての風圧抵抗を低減できて、係船時に必要な係留力を減少でき、係船索や係船機器の大型化とこの大型化による重量増加を抑制できる上に、航行時の横風による斜航の度合いとこの斜航による推進抵抗の増加を減少できて、これらによる船速の低下や燃費の悪化を低減できる、商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法を提供することにある。
上記のような目的を達成するための本発明の商用船舶は、船長方向に分離された複数の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶において、前記甲板上構造物の内の少なくとも一つ以上の前記甲板上構造物と舷側との間に前記甲板上構造物側が上方になるように傾斜したカバー体を前記上甲板との間に隙間を有して設けて構成される。
この甲板上構造物と舷側の間に設けたカバー体により、甲板上構造物の横方向からの風に対しては、舷側と上甲板とが直交する角部がカバー体に覆われるので、横方向から風が流入したときに、風上側では、この角部で渦流が発生するのを防止できて、横風を円滑にカバー体に沿って甲板上構造物に流すことができ、反対舷の風下側でも、甲板上構造物からの横風を円滑にカバー体に沿って舷側に流すことができ、甲板上構造物の風下側における渦流の発生を抑制することができる。
つまり、カバー体が横風流入の舷側においては横風整流用ブルワークの役割を果たし、また、舷側と甲板上構造物の間では、カバー体により、風圧抵抗が考慮されておらずに角部や垂直部などを有している甲板上構造物に直接風が当たることを回避することができ、横風をカバー体に沿って整流しながら甲板上構造物に導いて、さらに反対舷の風下の舷側に導くことで風圧力及び風圧抵抗係数を減少させることができる。
これにより、上甲板より上に大きな甲板上構造物を有する大型の一般の商用船舶(商船)において、横風による風圧抵抗を減らし、係船時の風圧力を軽減できるので、係船索や係船装置を小型化できて、船を軽量化することができる。また、航行時の横風による斜航を抑えて、燃費を改善することができる。
上記の商用船舶において、船長方向に関して、前記カバー体を前記甲板上構造物毎に設けて、前後の前記カバー体との間に空間を有して、当該商用船舶を横方向から見たときに、前後に隣接する前記甲板上構造物との間に関しては前記カバー体が無いように構成すると、横風の一部を甲板上構造物の相互間から風上から風下側に吹き抜けさせることができるので横風に対する風圧抵抗を低減できる。
更に、複数の甲板上構造物を一括してカバー体で覆う場合に比べて、横風に対する風圧抵抗を少なくすることができる。また、カバー体の重量を低減することができる。
なお、この場合に、横方向から見て、カバー体の大きさを、甲板上構造物のシルエット(横方向の投影形状)とほぼ同じ形状にすると、つまり、当該商用船舶を横方向から見たときに、前後に隣接する甲板上構造物との間の空間に関しては前記カバー体が殆ど無いように構成されると、横風の一部を甲板上構造物の相互間から風上から風下側に吹き抜けさせることができる部分を最大にすることができるので、より横風に対する風圧抵抗を低減できる。
上記の商用船舶において、船長方向に関して、前後に隣接する前記カバー体の間に、前記カバー体の舷側側部分に接続する横風整流用ブルワークを設けて構成されると、舷側における船側外板と上甲板との直交部分が横風整流用ブルワークで覆われるので、船長方向に関しての甲板上構造物の相互間の隙間部分においても、舷側の角部で発生する渦流を抑制することができるので、より横風に対する風圧抵抗を低減できる。
上記の商用船舶において、前記甲板上構造物が前記上甲板に突出した貨物用のタンク若しくはタンクカバーの一部分であると、効果が大きく、特に、このカバー体は、LNG船の球形のLNGタンクのように、風圧抵抗が大きい形状をしている場合には、より効果的に風圧低減効果を発揮できる。
そして、上記の目的を達成するための商用船舶の横風風圧抵抗減少方法は、船長方向に分離された複数の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶の横風風圧抵抗減少方法において、前記甲板上構造物の内の少なくとも一つ以上の前記甲板上構造物と舷側との間に前記甲板上構造物側が上方になるように傾斜したカバー体を設けて、横風を前記カバー体により渦流の発生を抑制しながら、前記舷側から前記甲板上構造物に、さらに、前記甲板上構造物から反対舷の舷側に導くと共に、前記カバー体を船長方向に関して離間して設けて、この離間した部分において、横風を通過させることにより、船体の全体としての横風による風圧抵抗を減少することを特徴とする方法である。
この方法によれば、上甲板より上に大きな甲板上構造物を有する大型の一般の商用船舶において、横風による風圧抵抗を減らし、係船時の風圧力を軽減できるので、係船索や係船装置を小型化できて、船を軽量化することができる。また、航行時の横風による斜航を抑えて、燃費を改善することができる。
本発明の商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法によれば、船長方向に分離された複数の貨物タンク等の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶において、横方向からの風に対して、甲板上構造物の風圧抵抗を減少できると共に、船側外板と上甲板とが交叉する角部の風圧抵抗も減少できる。
そして、本発明は、多くの商用船舶に適用可能であるが、特に甲板上に貨物や大型構造物があり、その構造物によって乱流が発生し風圧抵抗が大きくなるような商用船舶、例えば、ギア付きクレーンを装備したギアードバルクキャリア、コンテナ船やLNG船に対して効果がある。
以下、本発明に係る実施の形態の商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法について、図面を参照しながら説明する。なお、ここでは、複数の甲板上構造物の内一つは船橋と居住区を有する上部構造物であり、残りを球形のタンクの上甲板より上に突出したタンクカバーで説明するが、本発明の甲板上構造物はこれに限定されることなく、上甲板より突出して設けられ、下記のカバー体20を設けないときに、横風時にある程度の風圧抵抗(例えば全風圧抵抗の5%以上の風圧抵抗)を受けるような構造体であればよい。
本発明に係る実施の形態の商用船舶1A、1B、1Cは、上甲板2と船側外板3と船底4とで囲われて形成され、その上甲板2の上に、船長方向(X方向)に分離された複数の甲板上構造物10、11が上甲板2に突設して設けられている。
この甲板上構造物10、11の内の一つは、船橋10aや居住区10bを備えた、通常「上部構造物」と呼ばれる甲板上構造物10である。また、残りの甲板上構造物11は、球形状や方形状や多角形状の貨物タンクの内の一部が上甲板2より上に突出して設けられた貨物タンク11aであり、言い換えれば、甲板上構造物11が上甲板2に突出した貨物用のタンク11aの一部分となる。この貨物タンク11aにタンクカバー11bが設けられている場合には、このタンクカバー11bとなる。
ここで示す実施の形態の商用船舶1A、1B、1Cでは、この甲板上構造物10、11は、上部構造物10と貨物タンク11aを覆うタンクカバー11bで構成され、図1〜図3に示す第1の実施の形態の商用船舶1Aと図4〜図6に示す第2の実施の形態の商用船舶1Bでは、甲板上構造物11としてのタンクカバー11bは、貨物タンク11aごとに分離して設けられているが、図7〜図9に示す第3の実施の形態の商用船舶1Cでは、甲板上構造物11としてのタンクカバー11bは、全部の貨物タンク11aを一括して覆う一体型のタンクカバーで形成される。
いずれにしても、一つの甲板上構造物である上部構造物10と残りの甲板上構造物11となるタンクカバー11bは分離して上甲板2の上に配置される。言い換えれば、上甲板2より上では、上部構造物10とタンクカバー11bとは離間して設けられ、横方向から見て隙間となる空間Raが設けられる。以下、ここでは、説明を簡略化するために、一つの甲板上構造物10を上部構造物10として、残りの甲板上構造物11をタンクカバー11bとして説明する。
そして、図1〜図3に示す第1の実施の形態の商用船舶1Aでは、上部構造物10とタンクカバー11bの内の少なくとも一つ以上のタンクカバー11bと舷側(船側外板)3との間に、タンクカバー11b側が上方になるように傾斜したカバー体20を上甲板2との間に隙間Sを有するように設ける。
このタンクカバー11bと舷側3の間に設けたカバー体20により、タンクカバー11bの横方向からの風に対しては、舷側3と上甲板2とが直交する角部5がカバー体20に覆われるので、横方向から風が流入したときに、風上側では、この角部5で渦流が発生するのを防止できて、横風を円滑にカバー体20に沿ってタンクカバー11bに流すことができ、更に、反対舷の風下側でも、タンクカバー11bからの横風を円滑にカバー体20に沿って風下側の舷側3に流すことができる。従って、タンクカバー11bの風下側における渦流の発生を抑制することができる。
つまり、カバー体20が舷側3においては防風用ブルワークの役割を兼用し、また、舷側3とタンクカバー11bの間では、カバー体20により、風圧抵抗が考慮されておらずに角部5や垂直部などを有しているタンクカバー11bに直接風が当たることを回避することができ、横風をカバー体20に沿って整流しながらタンクカバー11bに導いて、さらに風下の舷側3に導くことで、船体の風圧力及び風圧抵抗係数を減少させることができる。
これにより、上甲板2より上に大きなタンクカバー11bを有する大型の一般の商用船舶1Aにおいて、横風による風圧抵抗を減らし、係船時の風圧力を軽減できるので、係船索や係船装置を小型化できて、船を軽量化することができる。また、航行時の横風による斜航を抑えて、燃費を改善することができる。
更に、船長方向に関して、カバー体20をタンクカバー11b毎に設けて、前後のカバー体20との間に空間Rsを有して、横方向から見たときに、前後に隣接するタンクカバー11bとの間に関してはカバー体20が無いように構成すると、横風の一部をタンクカバー11bの間の空間Rsから風上から風下側に吹き抜けさせることができるので横風に対する風圧抵抗を低減できる。
また、複数のタンクカバー11bを一括してカバー体20で覆う場合に比べて、横風に対する風圧抵抗を少なくすることができ、また、カバー体20の重量を低減することができる。
なお、この場合に、横方向から見て、カバー体20の大きさを、タンクカバー11bのシルエット(横方向の投影形状)とほぼ同じ形状にすると、つまり、横方向から見たときに、前後に隣接するタンクカバー11bとの間の空間Rsに関してはカバー体20が殆ど無いように構成されると、横風の一部をタンクカバー11bの間の空間Rsから風上から風下側に吹き抜けさせることができる部分を最大にすることができるので、より横風に対する風圧抵抗を低減できる。
また、このカバー体20を上側に凸形状に形成した場合は、船側外板3に一旦衝突してから船側外板3に沿って上昇して風を円滑にカバー体20でタンクカバー11bに導くことができる。つまり、タンクカバー11bが比較的低く、カバー体20の傾斜が小さいとき、即ち、水平方向から垂直に傾斜する角度が小さいときに、風を円滑にカバー体20でタンクカバー11bに導くことができる。従って、この構造はタンクカバー11bが比較的低い場合に使用することが好ましい。
また、このカバー体20を平面形状に形成した場合は、曲げ加工が不要になり、また、カバー体20のタンクカバー11bとの取り合い部分が単純な形状になるので、工作性を向上することができる。
また、このカバー体20を上側に凹形状に形成すると、横風を円滑の垂直方向の上昇流にすることができるので、タンクカバー11bが比較的高く、カバー体20の傾斜が大きいとき、即ち、水平方向から垂直に傾斜する角度大きいときに、横風を円滑にタンクカバー11bに導くことができる。従って、この構造はタンクカバー11bが比較的高い場合に使用することが好ましい。
次に、図4〜図6に示す第2の実施の形態の商用船舶1Bにおいては、上記の第1の実施の形態の商用船舶1Aの構成に加えて、船長方向に関して、前後に隣接するカバー体20の間に、カバー体20の舷側側部分に接続する横風整流用ブルワーク30を設ける。これにより、船側外板3と上甲板2との直交部分が横風整流用ブルワーク30で覆われるので、船長方向に関して、タンクカバー11bの相互間の隙間部分Rsにおいても、舷側3の角部5で発生する渦流を抑制することができるので、より横風に対する風圧抵抗を低減できる。
つまり、舷側3からタンクカバー11bの相互間に流入する横風を整流する横風整流用ブルワーク30を舷側3に設置し、舷側3の角部5やハンドレールが引き起こす乱流による抵抗増加を減少させる。この横風整流用ブルワーク30は、鉛直方向ではなく、上方が船体中心側に斜めに傾斜した形状にしたり、又は曲面形状としたりすることで、横から上甲板2に流れ込む風を整流することで、横風圧力を低減させて、横風に対する風圧抵抗係数を減少させる。
なお、船体自体の船側外板3と上甲板2とが交差する部分を丸めたり角取したりしてこの丸め部分や角取部分に連続するように横風整流用ブルワーク30を設けてもよい。このような船体の舷側形状と横風整流用ブルワーク30を組み合わせると更に横風に対する整流効果が向上する。また、この横風整流用ブルワーク30は船体の前後方向に関してはカバー体20に接続していてもしていなくてもよい。言い換えれば、横風整流用ブルワーク30はカバー体20と一体に構成されてもよく、横風整流用ブルワーク30とカバー体20との間に隙間があってもよい。
また、傾斜板状の横風整流用ブルワーク30の場合では、可倒式として設けることにより上甲板2の通行性を損ねることなく、風が強い状況下で必要な際に横風整流用ブルワーク30を立てることで風圧抵抗の低減を見込める。
次に、図7〜図9に示す第3の実施の形態の商用船舶1Cにおいては、上記の第1の実施の形態の商用船舶1Aの構成とは異なり、タンクカバー11bが多角形状の貨物タンク11aを全体的に覆う構造である場合に、このタンクカバー11bと舷側3を接続するカバー体20を設ける。このカバー体20は横風整流用ブルワーク30を兼ねる。これにより、船側外板3と上甲板2との直交部分がカバー体20で覆われるので、船長方向に関して、タンクカバー11bの略全長に亘って舷側3の角部5で発生する渦流を抑制することができるので、より横風に対する風圧抵抗を低減できる。
つまり、舷側3からタンクカバー11bの間に流入する横風を整流するカバー体20を舷側3からタンクカバー11bに亘って設置し、舷側3の角部5やハンドレールが引き起こす乱流による抵抗増加を減少させる。このカバー体20は、鉛直方向ではなく、上方が船体中心側に斜めに傾斜した形状にしたり、又は曲面形状としたりすることで、横から上甲板2に流れ込む風を整流することで、横風圧力を低減させて、横風に対する風圧抵抗係数を減少させる。
なお、船体自体の船側外板3と上甲板2とが交差する部分を丸めたり角取したりしてこの丸め部分や角取部分に連続するようにカバー体20を設けてもよい。このような船体の舷側形状とカバー体20を組み合わせると更に横風に対する整流効果が向上する。
また、傾斜板状のカバー体20の場合では、可倒式として設けることにより上甲板2の通行性を損ねることなく、風が強い状況下で必要な際にカバー体20を立てることで風圧抵抗の低減を見込める。
次に本発明に係る実施の形態の商用船舶の横風風圧抵抗減少方法について説明する。この方法は、船長方向に分離された複数の甲板上構造物(上部構造物10とタンクカバー11b)を上甲板2に突設した商用船舶1A、1B、1Cの横風風圧抵抗減少方法であり、この方法において、タンクカバー11bと舷側3との間にタンクカバー11b側が上方になるように傾斜したカバー体20を設けて、横風をカバー体20により渦流の発生を抑制しながら、舷側3からタンクカバー11bに、さらに、反対舷のタンクカバー11bから舷側3に導くと共に、カバー体20を船長方向に関して離間して設けて、この離間した部分において、横風を通過させることにより、船体の全体としての横風による風圧抵抗を減少することを特徴とする方法である。
この方法によれば、上甲板2より上に大きなタンクカバー11bを有する大型の一般の商用船舶において、横風による風圧抵抗を減らし、係船時の風圧力を軽減できるので、係船索や係船装置を小型化できて、船を軽量化することができる。また、航行時の横風による斜航を抑えて、燃費を改善することができる。
上記の構成の商用船舶1A、1B、1C、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法によれば、船長方向に分離された複数の貨物タンク11aのタンクカバー11bを上甲板2に突設した商用船舶1A、1B、1Cにおいて、横方向からの風に対して、タンクカバー11bの風圧抵抗を減少できると共に、船側外板3と上甲板2とが交叉する角部5の風圧抵抗も減少できる。
その結果、横風に対する船全体としての風圧抵抗を低減できて、係船時に必要な係留力を減少できるので、係船索や係船機器の大型化とこの大型化による重量増加を抑制できる。その上に、航行時の横風による斜航の度合いとこの斜航による推進抵抗の増加を減少できて、これらによる船速の低下や燃費の悪化を低減できる。
本発明の商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法によれば、船長方向に分離された複数の貨物タンク等の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶において、横方向からの風に対して、甲板上構造物の風圧抵抗を減少できると共に、船側外板と上甲板とが交叉する角部の風圧抵抗も減少できるので、多くの商用船舶に適用可能である。
そして、甲板上構造物が、LNG船の球形のLNGタンクのように、風圧抵抗が大きい形状をしている場合には、より効果的に風圧低減効果を発揮できる。特に、甲板上に貨物や大型構造物があって、この大型構造物によって乱流が発生し風圧抵抗が大きくなるような商用船舶に対して大きな効果があるので、ギア付きクレーンを装備したギアードバルクキャリア、コンテナ船やLNG船に対して大きな効果がある。
1A,1B,1C 商用船舶
2 上甲板
3 船側外板(舷側)
4 船底
5 角部
10 上部構造物(甲板上構造物)
11 甲板上構造物
11a 貨物タンク
11b タンクカバー
20 カバー体
30 横風整流用ブルワーク
Ra 横方向から見た上部構造物とタンクカバーとの隙間の空間
Rs 前後のカバー体との間の隙間の空間
S カバー体と上甲板2との間の隙間
2 上甲板
3 船側外板(舷側)
4 船底
5 角部
10 上部構造物(甲板上構造物)
11 甲板上構造物
11a 貨物タンク
11b タンクカバー
20 カバー体
30 横風整流用ブルワーク
Ra 横方向から見た上部構造物とタンクカバーとの隙間の空間
Rs 前後のカバー体との間の隙間の空間
S カバー体と上甲板2との間の隙間
Claims (5)
- 船長方向に分離された複数の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶において、
前記甲板上構造物の内の少なくとも一つ以上の前記甲板上構造物と舷側との間に前記甲板上構造物側が上方になるように傾斜したカバー体を前記上甲板との間に隙間を有して設けたことを特徴とする商用船舶。 - 船長方向に関して、前記カバー体を前記甲板上構造物毎に設けて、前後の前記カバー体との間に空間を有して、当該商用船舶を横方向から見たときに、前後に隣接する前記甲板上構造物との間に関しては前記カバー体が無い部分があるように構成したことを特徴とする請求項1に商用船舶。
- 船長方向に関して、前後に隣接する前記カバー体の間に、前記カバー体の舷側側部分に接続する横風整流用ブルワークを設けたことを特徴とする請求項2に記載の商用船舶。
- 前記甲板上構造物が前記上甲板に突出した貨物用のタンク若しくはタンクカバーの一部分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の商用船舶。
- 船長方向に分離された複数の甲板上構造物を上甲板に突設した商用船舶の横風風圧抵抗減少方法において、前記甲板上構造物の内の少なくとも一つ以上の前記甲板上構造物と舷側との間に前記甲板上構造物側が上方になるように傾斜したカバー体を設けて、横風を前記カバー体により渦流の発生を抑制しながら、前記舷側から前記甲板上構造物に、さらに、前記甲板上構造物から反対舷の舷側に導くと共に、前記カバー体を船長方向に関して離間して設けて、この離間した部分において、横風を通過させることにより、船体の全体としての横風による風圧抵抗を減少することを特徴とする商用船舶の横風風圧抵抗減少方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015105687A JP2016215941A (ja) | 2015-05-25 | 2015-05-25 | 商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015105687A JP2016215941A (ja) | 2015-05-25 | 2015-05-25 | 商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016215941A true JP2016215941A (ja) | 2016-12-22 |
Family
ID=57580137
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015105687A Pending JP2016215941A (ja) | 2015-05-25 | 2015-05-25 | 商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016215941A (ja) |
-
2015
- 2015-05-25 JP JP2015105687A patent/JP2016215941A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5651269B2 (ja) | 船舶 | |
KR102114711B1 (ko) | 상업용 화물선 | |
US20200164947A1 (en) | Vessel having an improved hull shape | |
WO2017081996A1 (ja) | 船舶 | |
JP2011152891A (ja) | 船首マスク及び船首マスク付き船舶 | |
JP5638215B2 (ja) | 風圧抵抗の少ない船舶及びその設計方法 | |
JP2008247050A (ja) | 船舶の抵抗低減装置及び船舶 | |
JP2016215941A (ja) | 商用船舶、及び、商用船舶の横風風圧抵抗減少方法 | |
JP4216858B2 (ja) | 船舶 | |
JP5385195B2 (ja) | 船舶 | |
WO2018150912A1 (ja) | 船体構造 | |
JP4721836B2 (ja) | 船舶 | |
JP2012056443A (ja) | 船舶 | |
WO2016021428A1 (ja) | 洋上浮体構造物 | |
JP5028000B2 (ja) | 船舶 | |
JP2008189197A (ja) | 船尾形状 | |
WO2016158880A1 (ja) | 船舶 | |
JP5765680B2 (ja) | 船尾船底スラット及び船尾船底スラット付き船舶 | |
JP6351700B2 (ja) | フィン装置及び船舶 | |
JP6169143B2 (ja) | 船首バルブ付き船舶 | |
JP2017024643A (ja) | 船舶の風圧抵抗低減装置およびそれを備える船舶 | |
KR20220001263U (ko) | 선박 | |
RU2566804C2 (ru) | Корпус водоизмещающего судна-полутримарана | |
JP3668947B2 (ja) | 船尾端部整流装置 | |
KR20130124000A (ko) | 선박 거주구 |