以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1および図2等を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
遊技機1の骨格は、周知の構成が適用できる。例えば、図1に示すように、額縁形状の機枠90に前面枠91が回動自在に支持されてなる。前面枠91には、前側から遊技盤9を視認可能とする透明板911が設けられている。
遊技盤9は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠91に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤9の手前側に発射された遊技球が流下する遊技領域13が設けられる。遊技盤9には、発射装置97の操作によって発射された遊技球を遊技領域13に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール92が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域13には、表示装置93、始動入賞口94や大入賞口95、アウト口96などが設けられている。始動入賞口94はいわゆる左打ち遊技時(通常の遊技状態時)に狙う入賞口である。一方、遊技領域13には、いわゆる右打ち遊技時(通常の遊技状態とは異なる特別の遊技状態時)に狙う各種入賞領域等が設けられている。この入賞領域等については後述する。通常の遊技状態においては、始動入賞口94を狙って遊技領域13の左側に遊技球が進入するよう発射装置97を操作する。特別の遊技状態時には、遊技領域13の右側に遊技球が進入するように(通常の遊技状態の場合よりも遊技球の発射力を強めるように)発射装置97を操作する。つまり、特別の遊技状態時には、図1および図2に示す特別経路20を通じて遊技球は遊技領域13の右側に進入することになる。表示装置93は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置93の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置93の表示画面は、遊技盤9に形成された開口を通じて視認可能である。
また、遊技領域13には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての図示しない遊技釘が複数設けられている。遊技領域13を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
遊技機1の背面側には、図示されないセンターベースユニットが設けられている。このセンターベースユニットには主制御基板やサブ制御基板等の各種制御基板や、球タンク、レール等が設けられている。
このような遊技機1では、発射装置97(ハンドル)を操作することにより遊技領域13に向けて遊技球を発射する。遊技領域13を流下する遊技球が、始動入賞口94や大入賞口95等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
図3に拡大して示す遊技領域における右側(いわゆる右打ち時に遊技球が進入する領域)には、普通入賞領域(第二領域)10、第一入賞領域11を開放・閉鎖する第一開閉部材12、第二入賞領域13(本発明における入賞領域に相当する)を開放・閉鎖する第二開閉部材14(本発明における開閉部材に相当する)などが設けられている。
通常の遊技状態時に遊技者が始動入賞口94を狙って遊技を行い、当該始動入賞口94への遊技球の入賞を契機として大当たりに当選した場合には、その後一定の割合で通常の遊技状態よりも大当たりを獲得しやすい特別の遊技状態となる。当該特別の遊技状態における遊技の詳細は次の通りである。特別の遊技状態となり、遊技者が右打ちを開始すると、遊技球は遊技領域の右側に進入する。当該遊技球が普通入賞領域10を通過すると、それを契機として普通入賞領域10の真下にある第一開閉部材12による第一入賞領域11の開放抽選を行う。特別の遊技状態時には、当該抽選は極めて高確率で当選するように設定されており、当選時には第一開閉部材12が第一入賞領域11を開放する開放動作を行う。遊技球が第一入賞領域11に進入すると、それを契機として第二開閉部材14による第二入賞領域13の開放抽選を行う。第二入賞領域13に進入した遊技球は、当該第二入賞領域13内に設けられた大当たり口1311またははずれ口1312に入賞する。第二入賞領域13内には、大当たり口1311を開放する位置と閉鎖する位置との間を移動する振分部材131が設けられており、当該振分部材131が大当たり口1311を開放する位置に位置しているときは大当たり口1311に遊技球が入賞する可能性がある。遊技球が大当たり口1311に入賞した場合には、大入賞口95が長時間または頻繁に開放する公知の大当たり遊技が開始され、遊技者は多くの遊技球(出玉)を獲得することができる。
なお、通常の遊技状態時に遊技者が右打ちした場合には、普通入賞領域10を遊技球が通過したときにおける第一入賞領域11の開放抽選の当選確率が極めて低確率であり、かつ当該抽選に当選したとしても第一開閉部材12の開放時間が極めて短いため、遊技球が第一入賞領域11に進入することは限りなく不可能に近い。そのため、第二入賞領域13に遊技球が進入し、大当たり口1311に入賞する可能性はほとんどない。
以下、このような遊技領域の右側の構成について図3〜図13を参照しつつ詳細に説明する。いわゆる右打ち遊技により特別経路20に進入した遊技球は、そのまま遊技領域の右側を通る遊技球経路21を通って流下する。この遊技球経路21は、下方にいくに従い徐々に遊技領域の右側に傾斜している。遊技領域の最も右側を通過した後は遊技領域の中央に向かうように屈曲し、末端には遊技球が通過可能なゲートである普通入賞領域10が位置する。上述したように、この普通入賞領域10を遊技球が通過することを契機として、普通入賞領域10の真下にある第一開閉部材12が開放動作を行うかどうかの抽選が実行される。つまり、普通入賞領域10を遊技球が通過してはじめて、大当たりという利益を獲得できる可能性が遊技者に生ずる。
遊技球経路21における普通入賞領域10よりも上流側であって、普通入賞領域10が位置する箇所と遊技領域の最も右側を通過する箇所との間には、遊技球が通過可能な通球口211が設けられている。具体的には、当該通球口211は、遊技球経路21における遊技領域の中央に向かうように傾斜した部分の下方に形成される。なお、本実施形態では、遊技球経路21を流下する遊技球が通過可能な別の開口23が設けられている。この別の開口23は少なくとも上記通球口211よりも遊技球が通過しにくく設定されている。つまり、遊技球経路21を流下する遊技球の多くは、通球口211を通って普通入賞領域10を通過せずに通球口211よりも下方に位置する領域(第一領域22)に進入するか、通球口211を通過せずに(第一領域22に進入せずに)普通入賞領域10を通過することになる。
このような位置関係となるように各領域が設定されているため、第一領域22に進入する場合の遊技球の流れは次のようになる。遊技球経路21を流下する遊技球は、遊技領域の最も右側を通過した後、遊技領域の中央に向かうように進路を変える。当該進路変更後、その途中に位置する通球口211を通って再度遊技領域の外側に向かうようにして第一領域22に進入する。このように、遊技球は右から左斜め下方に向かって流れ、通球口211からは右斜め下方に向かって流れる。つまり、略「く」の字状の流れとなる。この点を換言すると、重力方向において、通球口211を通って遊技球が進入する第一領域22と、遊技球経路21における通球口211よりも上流側の部分との間には、遊技球が通過不可能な部分が設けられているということになる。
このような構成によれば次のような作用効果が奏される。普通入賞領域10を遊技球が通過することは、大当たりに近づくこと、すなわち遊技者に利益が生ずる可能性があることである。このように遊技者に利益が生ずる可能性がある普通入賞領域10と当該領域に入賞しないようにするための通球口211が設けられる場合、通球口211を封鎖する不正行為(いわゆるゴト行為)の対象とされてしまうおそれがある。通球口211を遊技球が通球口211を通過しないようにすれば、ほとんどの遊技球が普通入賞領域10を通過することになるためである。このような不正行為の一態様としては、図4および図5に示すような糸付球Bを遊技領域内に進入させることが考えられる。具体的には、図4に示すように、通常の遊技状態時もそうであるが、特に特別の遊技状態時において、糸付球Bを遊技領域内に進入させ、糸付球Bの球の部分を通球口211を封鎖するように第一領域22内に進入させて遊技球経路21を流下する遊技球のほとんどが普通入賞領域10および第一入賞領域11を通過するようにしたり、図5に示すように第一領域22内に進入させた糸付球Bを上下動させて、普通入賞領域10および第一入賞領域11を通過する遊技球の量を調整する不正行為が考えられる。
しかし、このような不正行為を行い、糸付球Bの球の部分を一旦第一領域22内に進入させると、図4および図5に示すように糸が屈曲した状態となる。具体的には、糸が遊技球経路21の壁面と通球口を構成する遊技釘に接触して屈曲した状態となる。そのため、一旦第一領域22内に糸付球Bを進入させてしまうと、その後不正行為の露顕を恐れて糸付球Bを引き上げようとしても糸付球Bが引っ掛かって第一領域22から抜くことが困難になったり、無理矢理引っ張って糸が切れてしまうことになる。また、このように糸が屈曲していれば、糸付球Bの球の部分の位置を調整して、遊技球の流れを調整することも困難になる。このように、重力方向において、通球口211を通って遊技球が進入する第一領域22と遊技球経路21における通球口211よりも上流側の部分との間に遊技球が通過不可能な部分が設けられていれば、糸付球Bを用いた不正行為を防止することが可能となる。
普通入賞領域10を遊技球が通過すると、第一開閉部材12が開放動作を行うかどうかの抽選が行われ、極めて高い確率で第一入賞領域11が開放される。この第一入賞領域11の開閉構造は、第一開閉部材12の動作により第一入賞領域11への遊技球の進入が可能な状態と不可能な状態を切り替えることができるものであれば特定の構造に限定されない。本実施形態では、第一入賞領域11の入口(開口)は遊技盤9に沿った形状となっており、第一開閉部材12が遊技盤9の前面よりも後方に位置した状態では当該入口を通じて第一入賞領域11に遊技球が進入不可能であるが、第一開閉部材12が遊技盤9の前面から前方に突出すると当該突出した第一開閉部材12上に落下した遊技球が第一開閉部材12に沿って奥側に案内され第一入賞領域11に進入する構造となっている。
図3および図6に示すように、この第一入賞領域11(第一開閉部材12)よりも上方には、流下する遊技球が選択的に通過する複数の通路(以下、分岐路と称する)が設けられている。各分岐路は遊技釘で区画された通路であり、本実施形態では中央に位置する第一分岐路31、この第一分岐路31の左に位置する第二分岐路32、第一分岐路31の右に位置する第三分岐路33という三つの分岐路が設けられている。上記普通入賞領域10、通球口211、および別の開口23のいずれかを通過した遊技球は、これら三つの分岐路のうちのいずれかを通過する。つまり、流下する遊技球がこれらの分岐路によって進路が変更される。
第一分岐路31は水平方向に並ぶ遊技釘の間の空間であるため、この第一分岐路31を通過した遊技球はほぼ真っ直ぐ重力方向に流下する。第一分岐路31の下方には第一入賞領域11(第一開閉部材12)が位置しており、第一入賞領域11が開放状態にある場合には、この第一分岐路31を通った遊技球が入賞する可能性がある。
一方、第一入賞領域11が閉鎖状態にある場合、そのまま流下した遊技球は、下流側通路50の入口の手前に設けられた誘導部40に到達(接触)する。下流側通路50(本発明における遊技球通路に相当する)は、進入した遊技球を第二入賞領域13に入賞可能な位置まで案内する通路である。誘導部40は下流側通路50の入口に向かって傾斜した傾斜面41を有する部分である。
第二分岐路32は、第一分岐路31との間を区画する遊技釘と、この遊技釘よりも左上方に位置する遊技釘との間の空間である。そのため、この第二分岐路32を通過した遊技球は左(遊技領域中央)に向かって流下する。つまり、第二分岐路32を通過した遊技球は、第一分岐路31を通過した遊技球よりも第二入賞領域13に近づく方向に向かう。
第三分岐路33は、第一分岐路31との間を区画する遊技釘と、この遊技釘よりも右上方に位置する遊技釘との間の空間である。そのため、この第三分岐路33を通過した遊技球は右(遊技領域外側)に向かって流下する。つまり、第三分岐路33を通過した遊技球は、第一分岐路31を通過した遊技球よりも第二入賞領域13から離れる方向に向かう。
これら第一分岐路31、第二分岐路32、および第三分岐路33の下側、かつ、上記誘導部40の上側には、所定の大きさの空間である合流空間60が設けられている。合流空間60は、第二分岐路32における第一分岐路31側とは反対側の側方側に設けられた左立壁61と、第三分岐路33における第一分岐路31側とは反対側の側方側に設けられた右立壁62との間に形成された空間である。つまり、上記各分岐路を通過した遊技球はこの合流空間60にて合流する。合流空間60は、上記複数の分岐路側から下方側(誘導部40側)にかけて幅が徐々に狭くなり、最も下側の幅は第一分岐路31、第二分岐路32、および第三分岐路33の並列方向の幅よりも狭くなっている。
誘導部40は、上述したように、下流側通路50の入口に向かって徐々に下方に向かうように傾斜した傾斜面41を有する部分である。この誘導部40の傾斜面41の幅は、上記並列する第一分岐路31、第二分岐路32、および第三分岐路33の幅よりも短く設定されている。本実施形態では、遊技球一個分よりも大きく二個分よりも小さく設定されている。つまり、誘導部40の傾斜面41に対して同時に二つの遊技球が接触することがない大きさである。合流空間60から流下した遊技球が傾斜面41に接触(着地)した場合、大きく跳ねたりすることなどがなければ、そのまま斜面に沿って下流側通路50の入口に向かう。つまり、誘導部40は下流側通路50に向けて遊技球を誘導する部分である。
本実施形態では、この誘導部40は第一分岐路31および第一入賞領域11の直下に位置する。つまり、第一分岐路31と誘導部40の距離は、その他の分岐路(第二分岐路32および第三分岐路33)と誘導部40の距離よりも短い。換言すれば、各分岐路と誘導部40の距離のうち、最も短いものが第一分岐路31と誘導部40の距離ということである。
上記分岐路を通過した遊技球が進入する可能性がある下流側通路50は、遊技領域右側から遊技領域中央にかけて下方に傾斜した遊技球が通る通路である。下流側通路50は、遊技球一個分の大きさよりも大きくかつ二個分の大きさよりも小さく形成されている。つまり、遊技球が一個ずつ通過する大きさ(二個の遊技球が並んで通過することがない大きさ)に形成されている。本実施形態における下流側通路50は凹形状の通路であるが、筒形状の通路としてもよい。
下流側通路50の底壁51(遊技球が転がる面が形成された壁)における途中位置には、遊技球が第二入賞領域13に進入する際に、当該遊技球が通過することとなる略方形状の貫通孔511が形成されている。貫通孔511の幅は底壁51の幅と略同じである。つまり、下流側通路50は進入した遊技球を第二入賞領域13に入賞可能な位置まで案内する。貫通孔511(第二入賞領域13)は、下流側通路50の入口側から遊技媒体の少なくとも一部が下流側通路50内に進入する分を空けて位置する。つまり、第二入賞領域13は下流側通路50の入口直後に形成されておらず、遊技球が下流側通路50に入ってすぐ第二入賞領域13に進入することはない。この貫通孔511の大きさは、遊技球の直径の一個分より大きくかつ二個分未満である。つまり、貫通孔511は、同時に二個以上の遊技球が通過することができない大きさとなっている。
上記貫通孔511は第二開閉部材14(変位部)により開状態または閉状態とされる。第二開閉部材14が奥側に位置するとき(このときの第二開閉部材14の状態を第一状態とする)には貫通孔511は開放され、遊技球が通過可能となる。第二開閉部材14が手前側に位置するとき(このときの第二開閉部材14の状態を第二状態とする)には貫通孔511は閉鎖され、遊技球が通過することが不可能(困難)となる。第二開閉部材14が第一状態にあり、貫通孔511が開放されている際に当該貫通孔511を通過した遊技球は第二入賞領域13に進入する。
本実施形態では、第二入賞領域13内に大当たり口1311およびはずれ口1312が設けられている。第二入賞領域13内に進入した遊技球は、大当たり口1311およびはずれ口1312のいずれか一方に入球する。第二入賞領域13内には図示されない駆動源によって動作する振分部材131が設けられている。この振分部材131は大当たり口1311を閉鎖する状態と大当たり口1311を開放する状態に変位する。大当たり口1311が開放しているときに当該大当たり口1311に遊技球が入球すると、その後大当たり遊技が開始される。遊技球がはずれ口1312に入賞した場合には外れとなり、大当たり遊技は開始されない。
上記誘導部40の左上には、左立壁61の一部である誘導部40側(合流空間60側)に向かって突出した突壁611が形成されている。突壁611の上面は第二分岐路32を通過した遊技球の大部分が接触する面である第一進路変更部6111となっている。当該第一進路変更部6111は、遊技領域の中央側から外側にかけて下向きに傾斜する斜面であり、その延長線上に前記誘導部40が位置する。上述したように、第二分岐路32を通過した遊技球は、第一分岐路31を通過した遊技球よりも第二入賞領域13に近づく方向に向かう。しかし、第一進路変更部6111に衝突(接触)することにより当該遊技球の進路が誘導部40に向かう方向に変化する。この突壁611(第一進路変更部6111)の存在により、上記合流空間60は、複数の分岐路側から下方側(誘導部40側)にかけて幅が徐々に狭くなる(最も下側の幅が第一分岐路31、第二分岐路32、および第三分岐路33の並列方向の幅よりも狭くなる)形状となる。
また、本実施形態では、突壁611の下面6112は下流側通路50の上面の一部を構成する。具体的には、突壁611の下面6112は下流側通路50の入口から所定長の部分における上面の一部を構成する。当該突壁611によって構成される下流側通路50の上面は、下流側通路50を通過する遊技球が接触する下面(入口から所定長の部分における底壁51)と平行である。
上記誘導部40の右上には、右立壁62の一部である誘導部40側(合流空間60側)に向かって突出した突起である第二進路変更部622が形成されている。また、この第二進路変更部622と誘導部40との間には、遊技球が通過可能な別の通路621が設けられている。この別の通路621を通過した遊技球はアウト口96から排出される。上述したように、第三分岐路33を通過した遊技球は、第一分岐路31を通過した遊技球よりも第二入賞領域13から離れる方向に向かう。しかし、第三分岐路33を通過した遊技球の大部分は、第二進路変更部622に衝突(接触)する。これにより、当該遊技球の進路が誘導部40または別の通路621に向かう方向に変化する。
このように、第一分岐路31を通過した遊技球の大部分は、そのまま直接誘導部40の傾斜面41に到達(接触)する。また、第二分岐路32を通過した遊技球の大部分は、第一進路変更部6111への衝突によって進路が変わり、誘導部40の傾斜面41に到達する。第三分岐路33を通過した遊技球の大部分は、第二進路変更部622への衝突によって進路が変わり、誘導部40の傾斜面41に到達する。このような経路を通り誘導部40に到達した遊技球は、そのまま誘導部40に誘導されて下流側通路50に進入し易く設定されている。一方、他の遊技球と衝突するなどして誘導部40の傾斜面41に到達しなかった遊技球は、誘導部40の傾斜面41に到達した遊技球に比べて上記別の通路621を通過しやすく設定されている。
また、通常の遊技では遊技球が連続的に発射される。そのため、第一分岐路31、第二分岐路32、および第三分岐路33のいずれかを通過した遊技球同士が誘導部40付近で衝突し、弾かれてしまうことがある。しかし、本実施形態では、誘導部40の上側には、このように弾かれた遊技球が移動可能な空間である合流空間60が設けられているため、誘導部40付近で球詰まりなどが生じてしまうことがない。
また、ある遊技球が第一分岐路31を通過して第一入賞領域11に進入した場合には、高確率で第二開閉部材14が奥側に移動して第一状態となり、貫通孔511が開放されて遊技球が通過可能な状態となる。本実施形態では、当該ある遊技球に続いて遊技領域内に進入する遊技球(後続の遊技球)が、第一分岐路31、第二分岐路32、および第三分岐路33のいずれを通過した場合であっても、上記第一状態が維持されている間に第二入賞領域(貫通孔511)に辿り着くことが可能なように設定されている。そのため、特別の遊技状態となったときにはスムーズに大当たりが遊技者に付与されることになる。換言すれば、特別の遊技状態になったにも拘わらず、長時間大当たりが付与されないといった事態が発生することはほとんどない。
上記誘導部40に誘導された遊技球は図7〜図10に示す下流側通路50内に進入する。なお、直接的に(誘導部40に誘導されずに)下流側通路50に進入するケースも考えられる。下流側通路50は、遊技球が流下可能に遊技領域の右側から中央にかけて傾斜させた底壁51(下側の板)と、この底壁51における遊技球の流下方向と交差する方向の両縁側の少なくとも一方の縁(本実施形態では奥側の縁)側に立設された側壁52とを有する。厳密には、上述した透明板911が当該奥側に立設された側壁52の反対側の側壁を構成する。下流側通路50は、底壁51の幅(遊技球が流下する方向(通路の長手方向)に対して直交する方向の長さ)、および通路の高さが、遊技球の直径の一個分より大きくかつ二個分未満となるように設定された凹形状または筒形状に形成されている。つまり、上述したように、下流側通路50は、遊技球が一個ずつ通過する形状(二個の遊技球が並んで通過することがない形状)に形成されている。
下流側通路50の底壁51における貫通孔511(第二入賞領域13)が形成された位置よりも上流側には、手前側に向かって突出した突起である進路変更突起521が形成されている。下流側通路50に進入した遊技球であって側壁52側を通る遊技球は、当該進路変更突起521に接触する。進路変更突起521に接触した遊技球は下流側通路50における他方の縁側(手前の縁側)に向かう(図10参照)。つまり、進路変更突起521は、遊技球を上記貫通孔511における他方の縁側に寄せるように(遊技球が貫通孔511の他方の縁側に沿って下流に移動するように)進路変更させる。このように遊技球を移動させることができる構成であれば、進路変更突起521の形状や形成する位置は問わない。
下流側通路50に形成された貫通孔511は、底壁51の下側に設けられた第二入賞領域13への入口となる。上述したように、当該貫通孔511は、貫通孔511の周縁を通る平面に沿って進退動作する第二開閉部材14により、開状態または閉状態とされる。第二開閉部材14の先端が上記他方の縁より最も離れた状態が開状態(図9(b)参照)であり、当該先端が上記他方の縁に最も近づいたまたは接触した状態が閉状態(図9(a)参照)である。
図11は第二開閉部材14の先端の形状を拡大して示したものである。第二開閉部材14の先端は、上流側の直線状の部分(以下第一直線部141と称する)と、下流側の直線状の部分(以下第二直線部142と称する)と、第一直線部141と第二直線部142を繋ぐ部分(以下傾斜部143と称する)と、を含む。第一直線部141は、下流側通路50の長手方向に対して直交する方向において第二開閉部材14の最も長い部分となる。第一直線部141の下流側通路50の長手方向における長さは、遊技球一個分の大きさ(遊技球の直径)よりも短いかまたは略同じに設定されている。第二直線部142は、下流側通路50の長手方向に対して直交する方向において第二開閉部材14の最も短い部分となる。第一直線部141と第二直線部142の間の傾斜部143は、遊技球の曲率(1/R(R;遊技球の半径))よりも小さな曲率の曲線状(すなわち遊技球よりも湾曲が小さい曲線状)、または直線状(曲率=0)に形成された部分である。傾斜部143を曲線状とする場合には、第二開閉部材14の先端側から基端側に向かって窪む凹形状とすることが好ましい。また、傾斜部143は第一直線部141と第二直線部142とを繋ぐ部分であるため、傾斜部143を直線状とする場合には、その直線は貫通孔511の他方の縁と平行な直線ではない。
また、貫通孔の周縁における他方の縁側は、入賞領域の内側に向けて傾斜させた形状(貫通孔に面する傾斜面5111が形成された)である。具体的には、図13に示すように、当該他方の縁は上端に向かうにつれて徐々に細くなる断面三角形状である。
このような構成は、以下のような理由により閉動作する第二開閉部材14の先端と貫通孔511の他方の縁との間に球技球が挟まれてしまうこと(球噛み、球詰まり)の発生を防止する。下流側通路50に進入した遊技球が側壁52側を通る場合には、進路変更突起521によって接触し、側壁52の反対側の側縁である他方の縁側に沿って下流に移動する(図10参照)。側壁52の反対側を通る場合には、進路変更突起521に接触せず、そのまま他方の縁側に沿って下流に移動する。つまり、遊技球は他方の側縁に沿って貫通孔511に近づく。
上述したように、貫通孔511の大きさ(貫通孔511の周縁の大きさ)は、遊技球の直径の一個分より大きくかつ二個分未満となるように設定されているため、一の遊技球が貫通孔511まで到達したとき、第二開閉部材14が貫通孔511を開放した状態であれば、遊技球が貫通孔511を通じて第二入賞領域13に進入する可能性がある。第二開閉部材14が貫通孔511を閉鎖した状態であれば、遊技球が第二入賞領域13に進入する可能性はない。
これに対し、遊技球が貫通孔511まで到達したときに、第二開閉部材14が貫通孔511を閉鎖しようとする動作を行っている場合には、遊技球が第二開閉部材14の先端と貫通孔511の他方の縁との間に球技球が挟まれてしまう可能性が生ずる。下流側通路50を上流側から下流側に移動する遊技球には勢いがあり、第一直線部141の下流側通路50の長手方向における長さは、遊技球一個分の大きさ(遊技球の直径)よりも短いかまたは略同じに設定されているため、第二開閉部材14の先端と貫通孔511の他方の縁との間に遊技球が挟まれる遊技球の大部分は、第二開閉部材14の先端における傾斜部143と貫通孔511の他方の縁との間に挟まれる。
図12に示すように遊技球が第二開閉部材14と貫通孔511の他方の縁との間に挟まれたとする。傾斜部143は、遊技球の曲率よりも小さな曲率の曲線状、または直線状に形成された部分であるため、当該挟まれた遊技球は傾斜部143と点接触するとともに、貫通孔511の他方の縁とも点接触する。この二つの接触点P1とP2を結んだ直線は遊技球の中心Cを通らない。そのため、貫通孔511を閉鎖する方向に移動する第二開閉部材14から遊技球に作用する力の方向(第二開閉部材14から遊技球に作用する力と貫通孔511の他方の縁から遊技球に作用する力を合成した力)は下流側に向かう方向となる。つまり、遊技球は第二開閉部材14の傾斜部143によって下流側に押される。
このように遊技球が下流側に押されると、第二開閉部材14も貫通孔511を閉鎖する方向に移動していき、それに伴って傾斜部143と遊技球の接触点および貫通孔511の他方の縁と遊技球の接触点が徐々に下流側に変化していく。ちょうど傾斜部143分が挟まれていた遊技球は、このように接触点が変化するときに、その重力によって(下流に移動しつつ)第二入賞領域13側に移動し第二入賞領域13に進入することになる。つまり、遊技球は、(他の遊技球と接触するなどして偶発的な力が作用することがなければ)貫通孔511を閉鎖する方向に移動する第二開閉部材14によって押されることで、下流側斜め下方に移動し、第二入賞領域13に進入することになる。
特に本実施形態では、貫通孔511の他方の縁に上述した傾斜面5111が形成されているから、第二開閉部材14に押された遊技球は、この傾斜面5111から受ける反作用力により第二入賞領域13側に押される(図13)参照。つまり、貫通孔511の他方の縁に傾斜面5111を形成することにより、第二開閉部材14と他方の縁との間に挟まれそうになった遊技球の第二入賞領域13への進入がより円滑なものとなる。
また、傾斜部143は遊技球の曲率よりも小さな曲率の曲線状または直線状であることを説明したが、傾斜部143を第二開閉部材14の先端側から基端側に向かって窪む凹形状とすれば、挟まれそうになった遊技球は当該基端側に窪む凹形状の傾斜部143に押されることになるため、(傾斜部143を直線状や先端側に向かって凸となる凸形状とした場合と比べて)、遊技球の下流側への移動がよりスムーズになる。つまり、第二開閉部材14と他方の縁との間に挟まれそうになった遊技球の第二入賞領域13への進入がさらに円滑なものとなる。また、遊技球からの反作用力により傾斜部143(第二開閉部材14)が破損するおそれも低減される。
第二入賞領域13内に進入した遊技球は、第二入賞領域13に設けられた入賞検出センサ132によって入賞したことが検出された上で、上述したように大当たり口1311およびはずれ口1312のいずれかに入球する。本実施形態では、第二入賞領域13内における貫通孔511の直下の空間133(入賞検出センサ132の手前側の空間)は、一つの遊技球のみが進入可能な大きさとなっている(二つ以上の遊技球が同時に当該空間133内に位置することはない)。具体的には、遊技球を大当たり口1311およびはずれ口1312側に送る斜面1331によって空間の大きさが狭められて、一の遊技球のみが進入可能な大きさとされている。これにより、第二入賞領域13に進入した遊技球は、貫通孔511の直下で滞留することなく、大当たり口1311およびはずれ口1312が位置する側にスムーズに送られる。
一方、第二入賞領域13に進入せずにそのまま下流側通路50を流下した遊技球は、遊技領域中央側の下流側通路50の出口より排出され、大入賞口95またはアウト口96に入球することになる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で以下のような種々の改変が可能である。
例えば、第二開閉部材14の先端の傾斜部143の形状は、基端側に向かって凹む凹形状とすれば遊技球の第二入賞領域13への進入が円滑なものとなるため好ましいことを説明したが、他方の側壁側に向かって凸となる凸形状となるようにしてもよい。このような構成とした場合であっても、遊技球が挟まってしまうことを抑制することが可能となる。また、上述した条件(接触点P1とP2を結んだ直線が遊技球の中心Cを通らない)を満たすものであれば、傾斜部143の形状を曲線と直線が組み合わされた形状としてもよいし、第二開閉部材14の先端と対向する貫通孔511の他方の縁の形状はその隙間から異物が侵入し難くする形状であればどのような形状であってもよい。
上記実施形態から得られる具体的手段の例を以下に記載する。
遊技球が流下可能に傾斜させた底壁と、前記底壁における遊技球の流下方向と交差する方向の両縁側の少なくとも一方の縁側から立設している側壁とで形成されている遊技球通路と、
前記遊技球通路の底壁の下側に位置し、遊技球の進入により遊技者に利益が生ずる可能性がある入賞領域と、
前記遊技球通路の底壁に形成されており、前記遊技球通路を流下する遊技球が前記入賞領域に進入可能な貫通孔と、
前記遊技球通路の底壁における一方の縁側から立設している前記側壁と他方の縁側の間に沿って進退動作する部材であって、先端が前記遊技球通路の前記一方の側壁側に位置した前記貫通孔を開放する開放状態と、先端が前記遊技球通路の他方の縁側に位置した前記貫通孔を閉鎖する閉鎖状態との間を移動する開閉部材と、
を備えた遊技機において、
前記遊技球通路は前記底壁の幅および通路の高さが遊技球の直径の一個分より大きくかつ二個分未満となるように設定された凹形状または筒形状に形成され、
前記貫通孔の周縁の大きさが遊技球の直径の一個分より大きくかつ二個分未満となるように形成されており、
前記遊技球通路の一方の側壁における前記貫通孔が形成された位置よりも上流側には、前記遊技球通路の一方の側壁側を通過する遊技球が接触し、当該遊技球を前記他方の縁側に向かわせてかつ前記貫通孔における前記他方の縁側に寄せるように前記進路変更させる進路変更突起を設けており、
前記開閉部材の先端における上流側の部分が直線形状であるとともに前記開閉部材の先端の前記直線形状の部分と繋がる下流側における少なくとも一部は前記貫通孔に遊技球の一部が進入した際に当該開閉部材の先端の一部と前記貫通孔の周縁における前記遊技球通路の他方の縁側の周縁とで挟まれた位置での遊技球の各々の接触点を結んだ直線が前記遊技球の中心を通らないようにする曲率となる曲線形状または前記貫通孔の周縁における前記遊技球通路の他方の縁側の周縁とは平行でない直線形状であることを特徴とする遊技機。
かかる構成とすれば、他方の縁側に向かわせてかつ貫通孔における他方の縁側に寄せるように進路変更させる進路変更突起を設けているため、進退動作する開閉部材の上を遊技球が通過することで遊技球が入賞領域に進入せずに通過してしまう、入賞領域に進入するタイミングが遅れてしまうといった事象の発生を抑制することが可能となる。また、開閉部材の先端における直線形状の上流側と繋がる下流側の一部は、当該開閉部材の先端の一部と前記貫通孔の周縁における前記遊技球通路の他方の縁側の周縁とで挟まれた位置での遊技球の各々の接触点を結んだ直線が前記遊技球の中心を通らないようにする曲率となる曲線形状であるから、遊技球が開閉部材の先端と遊技球通路の他方の縁側の周縁との間に挟まれてしまうことを抑制することが可能となる。つまり、請求項1にかかる発明は、進路変更突起を設けることにより進退動作する開閉部材への遊技球の乗り上げを抑制した上で、当該進路変更突起によって開閉部材の先端側に進路変更する遊技球が開閉部材と遊技球通路の他方の縁側の周縁との間に挟まれてしまうことを抑制することで、遊技球が入賞領域に円滑に進入するように構成したものである。
前記貫通孔の周縁における前記他方の縁側は前記入賞領域の内側に向けて傾斜させた形状であり、前記開閉部材の先端部の下流側の一部は前記先端部側から基端部側に向けて凹形状となる前記遊技球の曲率よりも小さい曲率の曲線形状であるとよい。
このように、貫通孔の周縁における他方の縁側を入賞領域の内側に向けて傾斜させた形状とし、開閉部材の先端部の下流側の一部を先端部側から基端部側に向けて凹形状となる曲線形状とすれば、入賞領域に進入しようとする遊技球の球噛みが抑制され、遊技球の入賞領域への進入をさらに円滑にすることが可能となる。