JP2016211900A - 情報処理装置、経路探索方法、交通情報データ、およびコンピュータプログラム - Google Patents

情報処理装置、経路探索方法、交通情報データ、およびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】経路探索技術において、好ましくない経路が探索されてしまうことを抑制する。
【解決手段】情報処理装置は、旅行時間に関する情報と、経路探索部と、回避情報とを備える。回避情報において、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が第1の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が第1の交通量よりも交通量の少ない第2の交通量であるリンクは、回避すべきリンクとされ、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が第2の交通量であるリンクは、回避すべきリンクとされない。
【選択図】図6

Description

本発明は、出発地から目的地までの経路を探索する技術に関する。
実際に道路を走行した車両から送信されるプローブ情報を収集、蓄積し、プローブ情報の統計データを得る技術が知られている。統計データには、道路網に含まれるリンク(所定の区間)ごとに、当該リンクを通過する際の旅行時間が対応付けて記憶される。このような統計データは、例えば、経路探索処理において、最小コストの経路を求めるために使用されるほか、求めた経路全体の旅行時間を予測するために使用される。統計データは「交通情報データ」とも呼ばれる。
特許文献1には、プローブ情報を用いて時間帯ごとの交通情報データを生成する装置において、ある時間帯に所定個数以上のプローブ情報が得られない場合は、ある時間帯に得たプローブ情報と、過去の時間帯に得たプローブ情報との両方を用いて、交通情報データを生成することが記載されている。特許文献1に記載された技術によれば、全ての時間帯において抜けのない交通情報データを生成することができる。
特開2004−295682号公報
特許文献1に記載された技術では、異なる時間帯に得たプローブ情報に基づいて交通情報データを生成するために、交通情報データに記憶されている旅行時間が、実情と相違する虞があるという課題があった。
図1は、従来技術の課題について説明する図である。特許文献1に記載の技術のように、実情と相違する交通情報データに基づいて経路探索処理(最小コストの経路を求める処理)を実行した場合、好ましくない経路を、経路探索処理の結果として導き出してしまうことがある。「好ましくない経路」について、図1を用いて説明する。車両VHがリンクL1からリンクL8まで移動する際の、最小コストの経路を求める経路探索処理を考える。この際、経路探索処理の結果としては、リンクL1−L3−L6−L7−L8からなる経路(図1において実線で示す)が求められることが好ましい。しかし、例えば、交通情報データに記憶されているリンクL3の旅行時間が長く、リンクL2とリンクL5の旅行時間が実情と相違して短い場合(当該リンクL2及びリンクL5の旅行時間は、取得されたプローブ情報の母体数が少ないため、プローブ情報を利用せず、所定の方法で旅行時間を算出)は、経路探索処理の結果として、リンクL1−L2−L5−L6−L7−L8からなる経路(図1において破線で示す)が求められてしまう。同様に、例えば交通情報データに記憶されているリンクL7の旅行時間が長く、リンクL9、リンクL11及びリンクL10の旅行時間が実情と相違して短い場合は、経路探索処理の結果として、リンクL1−L3−L6−L9−L11−L10−L8からなる経路(図1において破線で示す)が求められてしまう。このように、実情と相違する交通情報データに基づいて経路探索処理を実行した場合、図1において破線で示したような、実際はコストの大きい探索されてしまうという課題があった。「好ましくない経路」としては、上述したコストの大きい経路のほかにも、道幅が狭い等の理由によって通過困難なリンクを含む経路や、パーキングエリア内に存在するリンクを含む経路が存在する。
このため、経路探索技術において、好ましくない経路が探索されてしまうことを抑制することが望まれていた。
本発明は、適切な経路探索を行えるようにすることを課題とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は;交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々についての旅行時間に関する情報と;前記旅行時間に関する情報を利用して、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、を備え;前記旅行時間に関する情報は;リンクを通過するための所要時間に関する時間情報を含み;前記情報処理装置は、さらに;前記経路探索部による前記探索の際に、前記複数のリンクのうちの所定のリンクを前記探索の結果得られる前記経路に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とする回避情報を備え;前記回避情報において;周囲に存在する道路における交通量の統計結果が第1の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第1の交通量よりも交通量の少ない第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクとされ;周囲に存在する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクとされない。
この形態の情報処理装置によれば、情報処理装置は、経路探索部による探索の際に、交通ネットワークを構成する複数のリンクのうちの所定のリンクを、探索の結果得られる経路に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とするための「回避情報」を備える。このため、経路探索部は、リンクに割り当てられている回避情報の内容に応じて、当該リンクを経路探索の結果に含ませるか、含ませないかを制御することができる。この結果、この情報処理装置によれば、実情と相違する虞のある旅行時間に関する情報(交通情報データ)に基づいて経路を探索した場合であっても、回避情報の内容を予め適切に設定することによって、好ましくない経路が探索されてしまうことを抑制することができる。また、回避情報においては、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的多い第1の交通量であり、かつ、対応する道路の交通量が比較的少ない第2の交通量であるリンクは、回避すべきリンクとされる。この結果、交通量の多い道路に囲まれた、交通量の少ない道路(例えば、細すぎて通過する車両が少ない道路、一般車両が通過できない道路、規制により通過する車両が少ない道路、信号や道路状況により通過する車両が少ない道路等)について、当該交通量の少ない道路に対応するリンクが、探索の結果得られる経路に含まれることを抑制することができる。さらに、回避情報においては、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が比較的少ない第2の交通量であるリンクは、回避すべきリンクとされない。この結果、例えば郊外地域のように地域全体の交通量が少ない場合に、当該交通量の少ない道路に対応するリンクが、探索の結果得られる経路から除外されることを抑制することができる。換言すれば、地域全体の交通量が少ない場合は、当該交通量の少ない道路に対応するリンクを、探索の結果得られる経路に含ませることができる。これらの結果、この情報処理装置では、地域単位の交通量に応じて決定された回避情報を利用して、経路探索を行うことができる。
(2)上記形態の情報処理装置において;前記経路探索部は;前記回避すべきリンクについて、予め記憶されている前記時間情報よりも長い時間情報に基づいて前記探索をしてもよい。
この形態の情報処理装置によれば、経路探索部は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンクについて、予め記憶されている時間情報よりも長い時間情報に基づいて探索を行う。このため、回避すべきリンクを含む経路と、回避すべきリンクを含まない経路と、を比較した場合に、前者は経路全体のコストが高くなるため経路探索の結果として選択されにくくなり、後者は経路全体のコストが低くなるため経路探索の結果として選択されやすくなる。この結果、経路探索部は、リンクに割り当てられている回避情報の内容に応じて、当該リンクを経路探索の最終的な結果に含ませるか、含ませないかを制御することができる。
(3)上記形態の情報処理装置において;前記経路探索部は;前記回避すべきリンクあっても;当該リンクが、当該リンクに対応する道路の周囲に存在する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であるリンクである場合は、予め記憶されている前記時間情報に基づいて前記探索をしてもよい。
この形態の情報処理装置によれば、経路探索部は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンクであっても、当該リンクが、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であるリンクである場合は、予め記憶されている時間情報に基づいて(すなわち、長い時間情報を利用せず)探索を行う。この結果、例えば郊外地域のように地域全体の交通量が少ない場合は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンクであっても、探索の結果得られる経路から除外されることを抑制することができる。換言すれば、地域全体の交通量が少ない場合は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンクであっても、探索の結果得られる経路に含ませることができる。
(4)上記形態の情報処理装置において;前記経路探索部は;前記回避すべきリンクであっても;前記探索において考慮した複数のリンクのうち、対応する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であるリンクが所定割合以上である場合は、予め記憶されている前記時間情報に基づいて前記探索をしてもよい。
この形態の情報処理装置によれば、経路探索部は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンクであっても、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であるリンクが所定割合以上である場合は、予め記憶されている時間情報に基づいて(すなわち、長い時間情報を利用せず)探索を行う。この結果、例えば郊外地域のように地域全体の交通量が少ない場合は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンクであっても、探索の結果得られる経路から除外されることを抑制することができる。また、経路探索部は、上記の処理を、経路の探索において考慮したリンクの数が所定数以上である場合において実施する。このため、経路探索部は、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であるか否かの判断結果、換言すれば、地域全体の交通量が少ないか否かの判断結果が、所定数以上のサンプルを用いて求められた信頼性のある結果である場合において、上記の処理を実施することができる。
(5)上記形態の情報処理装置では、さらに;前記情報処理装置の利用者が、前記探索の結果得られた前記経路を通過するために要する総旅行時間を、前記経路に含まれる前記回避すべきリンクおよびそれ以外のリンクの前記時間情報として、予め記憶されている前記時間情報に基づいて予測する予測部を備えてもよい。
この形態の情報処理装置によれば、経路探索部による探索の結果得られた経路を通過するために要する総旅行時間を、予め記憶されている時間情報に基づいて予測することができる。
(6)本発明の一形態によれば、交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々についての旅行時間に関する情報を含む交通情報データが提供される。この交通情報データにおいて;前記旅行時間に関する情報は;リンクを通過するための所要時間に関する時間情報を含み;前記交通情報データは、さらに;出発地から目的地までの経路を探索する際に、前記複数のリンクのうちの所定のリンクを前記探索の結果得られる前記経路に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とする回避情報を含み;前記回避情報において;周囲に存在する道路における交通量の統計結果が第1の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第1の交通量よりも交通量の少ない第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクであり;周囲に存在する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクでないことを識別可能とする情報が格納される。
この形態の交通情報データによれば、交通情報データには、出発地から目的地までの経路を探索する際に、交通ネットワークを構成する複数のリンクのうちの所定のリンクを、探索の結果得られる経路に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とするための「回避情報」が含まれる。このため、この交通情報データを利用する装置は、リンクに割り当てられている回避情報の内容に応じて、当該リンクを経路探索の結果に含ませるか、含ませないかを制御することができる。この結果、この交通情報データを利用する装置では、実情と相違する虞のある旅行時間に関する情報(交通情報データ)に基づいて経路を探索した場合であっても、回避情報の内容を予め適切に設定することによって、好ましくない経路が探索されてしまうことを抑制することができる。また、この交通情報データによれば、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的多い第1の交通量であり、かつ、対応する道路の交通量が比較的少ない第2の交通量であるリンクには、回避すべきリンクであることを表す情報が回避情報として格納される。この結果、この交通情報データを利用する装置において、交通量の多い道路に囲まれた、交通量の少ない道路(例えば、細すぎて通過する車両が少ない道路、一般車両が通過できない道路、規制により通過する車両が少ない道路、信号や道路状況により通過する車両が少ない道路等)について、当該交通量の少ない道路に対応するリンクが、探索の結果得られる経路に含まれることを抑制することができる。さらに、この交通情報データによれば、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が比較的少ない第2の交通量であるリンクには、回避すべきリンクでないことを表す情報が回避情報として格納される。この結果、この交通情報データを利用する装置において、例えば郊外地域のように地域全体の交通量が少ない場合に、当該交通量の少ない道路に対応するリンクが、探索の結果得られる経路から除外されることを抑制することができる。換言すれば、地域全体の交通量が少ない場合は、当該交通量の少ない道路に対応するリンクを、探索の結果得られる経路に含ませることができる。
(7)上記形態の交通情報データにおいて;前記旅行時間に関する情報は;前記旅行時間に関する情報に含まれる前記時間情報の統計対象である該当リンクと;前記該当リンクへ進入するための進入リンクと;前記該当リンクから退出するための退出リンクと;の組み合わせに対して対応付けて記憶されていてもよい。
この形態の交通情報データによれば、旅行時間に関する情報は、該当リンクと、進入リンクと、退出リンクとの組み合わせに対して対応付けて記憶されている。このため、旅行時間に関する情報をよりきめ細かい単位で保持することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、情報処理装置を用いて実現される経路探索装置、経路探索方法、交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々についての旅行時間に関する情報を含む交通情報データ、交通情報データの生成装置、交通情報データの生成方法、経路探索装置または交通情報データ生成装置を含む案内システム、これらの装置、方法、またはシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
従来技術の課題について説明する図である。 本発明の一実施形態としての案内システムの概略構成を示す図である。 交通情報データベース156の一例を示す図である。 交通情報データベース156について説明する図である。 条件テーブル158の一例を示す図である。 経路探索処理の手順を示すフローチャートである。 回避フラグ決定処理の手順を示すフローチャートである。 基本処理の手順を示すフローチャートである。 基本処理について説明するための図である。 基本処理のステップS400において実行される探索処理の手順を示すフローチャートである。 例外処理の手順を示すフローチャートである。 第2実施形態における案内システム1aの概略構成を示す図である。 第2実施形態における経路探索処理の手順を示すフローチャートである。 第2実施形態における回避フラグ決定処理の手順を示すフローチャートである。 変形例における交通情報データベース156xの一例を示す図である。 変形例における交通情報データベース156yの一例を示す図である。 経路データベース154のある一部分の領域と交通情報データベース156の一部分を示す図である。
A.第1実施形態:
A−1.システムの概略構成:
図2は、本発明の一実施形態としての案内システムの概略構成を示す図である。本実施形態の案内システム1は、利用者からの要求に応じて、指定された出発地から目的地までの最小コストの経路と、当該経路を通過するために要すると予測される旅行時間と、を案内する。この際、案内システム1は、後述の経路探索処理によって、好ましくない経路(図1)が探索されることを抑制する。
本実施形態の案内システム1は、サーバ10と、ナビゲーション装置20と、を備えている。サーバ10は、有線通信によってインターネットINTに接続されている。ナビゲーション装置20は、通信キャリアBSを介して無線通信によってインターネットINTに接続されている。通信キャリアBSには、送受信アンテナや、無線基地局、交換局が含まれる。すなわち、サーバ10とナビゲーション装置20とは、インターネットINTを介して接続されており、相互に通信することができる。
A−1−1.サーバの構成:
サーバ10は、CPU110と、通信部120と、ROM130と、RAM140と、記憶部150と、を備えており、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。サーバ10は「情報処理装置」として機能する。
記憶部150は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。記憶部150は、地図データベース(DB)152と、経路データベース(DB)154と、交通情報データベース(DB)156と、条件テーブル158と、を含んでいる。地図データベース152には、地図画像を表すデータが格納されている。地図画像を表すデータには、地形、建物、道路の形状等、地図表示のために必要な情報が含まれている。
経路データベース154には、道路の構成を表すデータが格納されている。道路の構成を表すデータには、ノードに関する情報と、リンクに関する情報等、道路の構成を特定するために必要な情報が含まれている。ノードとは、交通経路における要素点を意味する。例えば、交差点、分岐点、終点、始点、駅などがノードに該当する。リンクとは、ノード間を結ぶ線分を意味する。例えば、車道や歩行者道等の道路、線路などの交通経路がリンクに該当する。
図3は、交通情報データベース156の一例を示す図である。交通情報データベース156には、経路データベース154に格納されている各々のリンクについて、各リンクを通過するために要する旅行時間に関する情報が、条件別に記憶されている。「旅行時間に関する情報」とは、旅行時間統計情報と、旅行時間出典状況と、回避フラグと、の総称である(図3、破線枠)。図3の例では、交通情報データベース156には、n(nは2以上の整数)個の条件に対応する、n組の旅行時間に関する情報が、それぞれ記憶されている。「条件」とは、旅行時間に関する情報を取得した際の、日時や天候等の条件を意味する。詳細は後述する。なお、回避フラグに関する情報は、経路探索処理の結果として得られる経路に含ませることを回避すべきリンクのID番号のみを別途格納する等、経路探索処理の結果として得られる経路に含ませることを回避すべきリンクを識別可能に出来る構成であれば他の格納方式でも良い。
図4は、交通情報データベース156について説明する図である。図4の左側に示すような構成の道路において、リンクL2に着目した場合、リンクL2に対する進入リンクと退出リンクとの組み合わせは複数存在する。例えば、リンクL1から直進してリンクL2を通過しリンクL3に向かう場合、リンクL1から直進してリンクL2を通過しリンクL8へ向かう場合、リンクL5から左折してリンクL2を通過しリンクL3に向かう場合などである。本実施形態の交通情報データベース156では、該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせに対して、n組の旅行時間に関する情報がそれぞれ記憶される。このため、例えばリンクL2が直進時はスムーズである一方、右折時には混雑する性質のリンクであっても、交通情報データベース156には、直進・右左折における実際の道路事情を考慮した旅行時間に関する情報(旅行時間統計情報)を記憶しておくことができる。このため、交通情報データベース156には、旅行時間に関する情報をよりきめ細かい単位で保持することができる。
サーバ10の交通情報生成部118は、実際に道路を通過した車両VH1、VH2等(図4)から送信されるプローブ情報を記憶部150に蓄積する。交通情報生成部118は、蓄積された多数のプローブ情報の統計を取ることで、交通情報データベース156の旅行時間統計情報を生成する。統計の方法としては、プローブ情報の集合についてのデータ数、旅行時間の平均値、分散、最小値、最大値、最頻値、ヒストグラム情報などを採用できる。このように、プローブ情報に基づいて生成された旅行時間統計情報は、実情を反映した信頼に足る情報である。このため、交通情報生成部118は、プローブ情報に基づいて生成された旅行時間統計情報については、対応する旅行時間出典状況に「高精度」である旨を表す情報を格納する。図4の例の場合、該当リンクL2、進入リンクL1、退出リンクL3(実線:直進して退出)の旅行時間出典状況は高精度となる。同様に、該当リンクL2、進入リンクL1、退出リンクL8(実線:右折して退出)の旅行時間出典状況は高精度となる。
一方、サーバ10の交通情報生成部118は、実際に道路を通過した車両からのプローブ情報に基づいて旅行時間統計情報を生成できなかった場合、代替手段によって、旅行時間統計情報を生成する。代替手段には、周知の種々の手段を採用可能である。例えば、交通情報生成部118は、リンクの属性(例えば、車線数、道幅、長さ等)に基づいて旅行時間統計情報を推定してもよいし、VICS(登録商標)センターから受信したVICS情報に基づいて旅行時間統計情報を生成してもよい。このように、代替手段に基づいて生成された旅行時間統計情報は、実情を反映した信頼に足る情報とは言い難い。このため、交通情報生成部118は、代替手段に基づいて生成された旅行時間統計情報については、対応する旅行時間出典状況に「低精度」である旨を表す情報を格納する。図4の例の場合、該当リンクL2、進入リンクL5、退出リンクL3(破線:直進して退出)の旅行時間出典状況は低精度となる。同様に、該当リンクL2、進入リンクL5、退出リンクL7(破線:左折して退出)の旅行時間出典状況は低精度となる。
交通情報データベース156の回避フラグは、サーバ10の経路探索部112によって実行される経路探索処理の動作内容を規定する情報である。回避フラグに「0」が格納されている場合、経路探索部112は、当該リンク(該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせ)を経路探索処理の結果として得られる経路に含ませることを回避しない。一方、回避フラグに「1」が格納されている場合、経路探索部112は、当該リンクを経路探索処理の結果として得られる経路に含ませることを回避する。すなわち、回避フラグが「1」であるリンクは「回避すべきリンク」として機能する。交通情報データベース156の回避フラグは「回避情報」として機能する。
図5は、条件テーブル158の一例を示す図である。条件テーブル158には、1からnまでの条件番号と、各条件番号に対応する条件内容と、が予め対応付けて記憶されている。条件内容は、交通情報データベース156(図3)の旅行時間に関する情報に対応付けられている条件の組み合わせを意味する。組み合わせられる条件としては、どのような条件を採用してもよい。本実施形態の例では、組み合わせられる条件として、渋滞度と、天候と、曜日と、時間帯とが採用されている。「渋滞度」とは、リンクの混雑の度合いを示す情報であり、本実施形態では、渋滞(混雑の度合いが高い)、混雑(混雑の度合いが中程度)、順調(混雑の度合いが低い)、の3種類を想定する。組み合わせられる条件としては、図5の例のほか、季節、特異日(該当リンク近傍のイベントの有無)等を採用してもよい。
条件テーブル158は、交通情報データベース156(図3)と組み合わせて使用される。この結果、例えば、交通情報データベース156のエントリE1の太枠で囲んだ部分のデータは、該当リンクL2、進入リンクL1、退出リンクL3の経路を、リンクの混雑の度合いが低く(渋滞度:順調)、天候が晴れの月曜日の0:00〜0:59の間に通過した場合の、旅行時間に関する情報を表す。
図2において、CPU110は、ROM130に格納されているコンピュータプログラムをRAM140に展開して実行することにより、サーバ10の各部を制御する。そのほか、CPU110は、経路探索部112、予測部116、交通情報生成部118として機能する。経路探索部112は、後述の経路探索処理によって、出発地から目的地までの最小コストの経路を探索する。
予測部116は、経路探索処理によって求められた最小コストの経路について、案内システム1の利用者が、当該経路を通過するために要すると予測される総旅行時間を求める。
交通情報生成部118は、多くの車両から多くのプローブ情報を受信し、これらの統計を取ることで、交通情報データベース156の旅行時間に関する情報(旅行時間統計情報、旅行時間出典状況)を生成する。また、交通情報生成部118は、プローブ情報を受信できない該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせについては、代替手段を用いて、交通情報データベース156の旅行時間に関する情報を生成する。詳細は、図3および図4で説明した通りである。交通情報生成部118は、さらに、後述する回避フラグ決定処理を実行することによって、交通情報データベース156の回避フラグの内容を更新する。
通信部120は、他の装置との間における、図示しない通信インターフェースを介した通信を制御する。他の装置とは、例えば、ナビゲーション装置20(図2)、車両VH1、VH2(図4)、図示しないVICSセンター図示しない他のサーバである。
A−1−2.ナビゲーション装置の構成:
ナビゲーション装置20は、CPU210と、通信部220と、ROM230と、RAM240と、記憶部250と、入出力部260と、現在位置取得部270と、を備えており、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。ナビゲーション装置20は「情報処理装置のクライアント装置」として機能する。
CPU210は、ROM230に格納されているコンピュータプログラムをRAM240に展開して実行することにより、ナビゲーション装置20の各部を制御する。そのほか、CPU210は、経路案内部212としても機能する。
経路案内部212は、案内システム1の利用者(すなわちナビゲーション装置20の利用者)からの経路案内要求に基づいて、利用者に対して、出発地から目的地までの最小コストの経路と、当該経路を通過するための総旅行時間とを案内する。例えば、経路案内部212は、以下の手順a1〜a4を実行することで、上述の案内を実施できる。
(a1)経路案内部212は、入出力部260を介して、利用者からの出発地の指定と目的地の指定とを取得する。なお、経路案内部212は、現在位置取得部270によって取得された現在位置を用いて、出発地の指定の取得を省略してもよい。
(a2)経路案内部212は、サーバ10に対して経路探索要求を送信する。経路探索要求には、出発地の指定と、目的地の指定とを含む。
(a3)サーバ10の経路探索部112は、後述の経路探索要求を実行する。経路探索部112は、ナビゲーション装置20に対して、求めた最小コストの経路と、当該経路を通過するための総旅行時間とを応答する。
(a4)経路案内部212は、サーバ10から取得した最小コストの経路と、当該経路を通過するための総旅行時間とを利用者に案内する。具体的には、経路案内部212は、入出力部260を介して、経路と総旅行時間とを表示し、案内音声を報知する。
通信部220は、他の装置との間における、図示しない通信インターフェースを介した通信を制御する。他の装置とは、例えば、サーバ10や図示しない他のサーバである。記憶部250は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。入出力部260は、ナビゲーション装置20と利用者との間の情報の入出力に使用される種々のインターフェースである。入出力部260としては、例えば、入力部としてのタッチパネル、操作ボタン、キーボード、マイク、出力部としてのタッチパネル、液晶パネル、LED(Light Emitting Diode)インジケータ等を採用できる。現在位置取得部270は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信し、ナビゲーション装置20の現在位置を表す現在位置情報(例えば緯度経度)を取得する。
A−2.経路探索処理:
図6は、経路探索処理の手順を示すフローチャートである。経路探索処理は、主として、サーバ10の経路探索部112によって実行される。経路探索処理の開始トリガは任意に定めることができる。例えば、サーバ10がナビゲーション装置20からの経路探索要求を取得したことを、開始トリガとすることができる。
ステップS10において、サーバ10の経路探索部112は、ナビゲーション装置20からの経路探索要求と、経路探索要求に含まれる出発地の指定と、目的地の指定と、を取得する。また、経路探索部112は、経路探索要求を取得した日時を、出発日時として取得する。
ステップS12において経路探索部112は、出発地から目的地までの最小コストの経路を求める。具体的には、経路探索部112は、任意の経路探索アルゴリズムを利用して経路データベース154を検索し、出発地から目的地までの間で複数存在する経路の候補から、最小コストとなる1つの経路を探索する。本実施形態では、経路探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を採用する。経路探索部112は、各経路の候補についてのコストを計算する際、以下の手順b1〜b5に従う。
(b1)経路探索部112は、日時に関する条件を決定する。具体的には、経路探索部112は、ステップS10で取得した出発日時から、曜日の条件と、時間帯の条件とを決定する。
(b2)経路探索部112は、他の条件を決定する。具体的には、経路探索部112は、ダイクストラ法において考慮するリンクについての現況の渋滞度を取得し、渋滞度の条件とする。現況の渋滞度は任意の方法により取得できる。例えば、経路探索部112は、現在時刻から所定時間以内に受信したプローブ情報に含まれる渋滞度を利用して、それらの統計(データ数、旅行時間の平均値、分散、最小値、最大値、最頻値、ヒストグラム情報等)から1つの渋滞度を決定し、現況の渋滞度としてもよい。また、経路探索部112は、現在時刻から所定時間以内に受信したVICS情報に含まれる渋滞度を利用して、それらの統計から1つの渋滞度を決定し、現況の渋滞度としてもよい。次に、経路探索部112は、ダイクストラ法において考慮するリンクが存在する地域の天候を、例えば他のサーバ等から取得し、天候の条件とする。
(b3)経路探索部112は、条件に該当する条件番号を取得する。具体的には、経路探索部112は、条件テーブル158を検索し、手順b1および手順b2で決定した全ての条件に一致する条件番号を取得する。
(b4)経路探索部112は、条件番号に該当する旅行時間統計情報、回避フラグを取得する。具体的には、経路探索部112は、交通情報データベース156を検索し、ダイクストラ法において考慮するリンク(該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせ)と、手順b3で取得した条件番号と、に一致する旅行時間統計情報と、回避フラグとを取得する。
(b5)経路探索部112は、コストを求める。具体的には、経路探索部112は、手順b4で取得した回避フラグに「0」が格納されている場合、ダイクストラ法において考慮するリンク(該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせ)のコストを、旅行時間統計情報に格納されている値とする。旅行時間統計情報に統計データが格納されている場合、経路探索部112は、統計データから任意の手段(平均値、平均値±標準偏差、分散、最小値、最大値、最頻値、中央値、XX%タイル等)で旅行時間を求め、ダイクストラ法において考慮するリンクのコストを求めた値とする。一方、経路探索部112は、手順b4で取得した回避フラグに「1」が格納されている場合、ダイクストラ法において考慮するリンクのコストを、旅行時間統計情報に格納されている値の1000倍とする。旅行時間統計情報に統計データが格納されている場合、経路探索部112は、統計データから任意の手段で旅行時間を求め、ダイクストラ法において考慮するリンクのコストを求めた値の1000倍とする。
ステップS12によれば、情報処理装置(サーバ10)の経路探索部112は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンク、すなわち、交通情報データベース156の回避フラグが「1」であるリンクについて、記憶部150に予め記憶されている時間情報(記憶部150の交通情報データベース156に予め記憶されている旅行時間統計情報)よりも長い時間情報に基づいて、最小コストとなる1つの経路の探索を行う。このため、最小コストとなる1つの経路の探索の過程において、回避すべきリンク(回避フラグが「1」であるリンク)を含む経路の候補と、回避すべきリンクを含まない経路の候補と、を比較した場合に、前者は経路全体のコストが高くなるため経路探索の結果(最小コストの経路)として選択されにくくなり、後者が経路探索の結果(最小コストの経路)として選択されやすくなる。この結果、経路探索部112は、リンクに割り当てられている回避情報(回避フラグ)の内容に応じて、当該リンクを経路探索の最終的な結果に含ませるか、含ませないかを制御することができる。
ステップS14において予測部116は、ステップS12で求められた最小コストの経路について、当該経路を通過するための総旅行時間を予測する。上述の通り、ステップS12では、最小コストの経路を求める際に、回避フラグの内容に応じて旅行時間統計情報を長くするため、ステップS12において各経路の候補に対して求められたコストは、実際とは相違する虞がある。このため、ステップS14において予測部116は、正しい総旅行時間を求める。具体的には、予測部116は、以下の手順c1〜c3を実行する。
(c1)予測部116は、最小コストの経路に含まれる各リンクにつき、交通情報データベース156を検索し、処理b3で求めた条件番号に該当する旅行時間統計情報をそれぞれ取得する。
(c2)予測部116は、手順c1で取得した旅行時間統計情報を畳み込み演算することで、最小コストの経路全体のヒストグラムを作成する。
(c3)予測部116は、手順c2で作成した経路全体のヒストグラムから任意の手段(平均値、平均値±標準偏差、分散、最小値、最大値、最頻値、中央値、XX%タイル等)で、最小コストの経路全体のコスト、すなわち、最小コストの経路における総旅行時間を求める。
ステップS14によれば、情報処理装置(サーバ10)の予測部116は、経路探索部112による探索の結果得られた経路(最小コストの経路)を通過するために要する総旅行時間を、記憶部150に予め記憶されている時間情報(記憶部150の交通情報データベース156に予め記憶されている旅行時間統計情報)に基づいて予測することができる。
ステップS16において経路探索部112は、ナビゲーション装置20に対して、ステップS12で求めた最小コストの経路と、ステップS14で予測した最小コストの経路における総旅行時間と、を応答する。
以上のように、第1実施形態の経路探索処理(図6)によれば、情報処理装置(サーバ10)の経路探索部112が経路を探索する際に利用する「旅行時間に関する情報」(すなわち、交通情報データベース156の旅行時間統計情報と旅行時間出典状況と回避フラグとの組)には、経路探索部112による探索(経路探索処理)の際に、交通ネットワークを構成する複数のリンクのうちの所定のリンクを、探索の結果得られる経路(最小コストの経路)に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とするための「回避情報(回避フラグ)」が含まれる。
このため、経路探索部112は、交通情報データベース156において各リンクに割り当てられている回避情報の内容(回避フラグが「0」であるか「1」であるか)に応じて、上述したステップS12のように、当該リンクを経路探索の結果に含ませるか、含ませないかを制御することができる。この結果、この情報処理装置によれば、代替手段を併用して生成された場合等の、実情と相違する虞のある旅行時間に関する情報(交通情報データ、交通情報データベース156)に基づいて経路を探索した場合であっても、回避情報の内容を予め適切に設定することによって、好ましくない経路(図1)が探索されてしまうことを抑制することができる。
A−3.回避フラグ決定処理:
図7は、回避フラグ決定処理の手順を示すフローチャートである。回避フラグ決定処理は、サーバ10の交通情報生成部118によって実行される。回避フラグ決定処理の開始トリガは任意に定めることができる。例えば、交通情報生成部118が交通情報データベース156を生成(または更新)したことを、開始トリガとすることができる。
ステップS100において、サーバ10の交通情報生成部118は、経路データベース154を所定の領域に分割する。所定の領域とは、ステップS102〜S300の一連の処理の単位となる領域であり、以降「対象領域」とも呼ぶ。対象領域の範囲、大きさ、区切り方等は任意に定めることができる。交通情報生成部118は、経路データベース154の全てに対して処理が完了するまで、対象領域を移動させつつ、各対象領域に対してステップS102〜S300の処理を繰り返し実行する。
ステップS102において交通情報生成部118は、予め記憶部150に蓄積されているプローブ情報の集合から、対象領域についてのプローブ情報を読み込む。ステップS104において交通情報生成部118は、対象領域に含まれるリンクのうち、所定割合以上のリンクにおいて、ステップS102で読み込んだプローブ情報が存在しないか否かを判定する。所定割合とは任意に定めることができ、例えば3割とすることができる。
プローブ情報が存在しないリンクが所定未満である場合(ステップS104:NO)、交通情報生成部118は、ステップS200において基本処理を実行し、その後、ステップS300において例外処理を実行する。基本処理とは、対象領域内のリンクの構成、換言すれば、対象領域内の1つのリンクと他のリンクとの関係によって、回避フラグを決定する処理である。詳細は後述する。例外処理とは、リンクの性質によって、回避フラグを決定する処理である。詳細は後述する。プローブ情報が存在しないリンクが所定未満であること(ステップS104:NO)は、対象領域に含まれるリンクの多くについてプローブ情報が存在することと同義であり、すなわち、対象領域全体における交通量が多いとみなすことができる。本実施形態の回避フラグ決定処理では、このように対象領域全体における交通量が多い場合、リンクの構成によって回避フラグを決定する基本処理と、リンクの性質によって回避フラグを決定する例外処理と、の両方を実行する。
一方、プローブ情報が存在しないリンクが所定以上である場合(ステップS104:YES)、交通情報生成部118は、ステップS300において例外処理を実行する。プローブ情報が存在しないリンクが所定以上であること(ステップS104:YES)は、対象領域に含まれるリンクについてプローブ情報が存在するリンクが少ないことと同義であり、すなわち、対象領域全体における交通量が少ないとみなすことができる。本実施形態の回避フラグ決定処理では、このように対象領域全体における交通量が少ない場合、リンクの構成によって一律に回避フラグを決定する基本処理は実施せずに、リンクの性質によって回避フラグを決定する例外処理のみを実施する。
A−3−1.基本処理:
図8は、基本処理の手順を示すフローチャートである。基本処理は、対象領域内のリンクの構成(対象領域内の1つのリンクと他のリンクとの関係)によって回避フラグを決定する処理である。本実施形態では、基本処理は、回避フラグ決定処理(図7)のサブルーチンとして実行される。
図9は、基本処理について説明するための図である。図9には、複数のリンクからなるリンク構成を、態様P1〜P6に分けて6つ例示している。図9において、実線は「情報ありリンク」を表す。情報ありリンクとは、回避フラグ決定処理のステップS102における読み込みの結果、プローブ情報が存在したリンクを意味する。一方、破線は「情報無しリンク」を表す。情報無しリンクとは、回避フラグ決定処理のステップS102における読み込みの結果、プローブ情報が存在しなかったリンクを意味する。図9において、黒丸はプローブ情報の有無に関係のない、一のリンクと他のリンクとの交点(ノード)を表す。この交点を、以降「第1の交点」とも呼ぶ。一方、二重丸は情報ありリンクと情報なしリンクとの間の交点(ノード)を表す。この交点を、以降「第2の交点」とも呼ぶ。
図8のステップS202においてサーバ10の交通情報生成部118は、対象領域内の各リンクについて、情報無しリンクと、情報ありリンクとの交点(図9、二重丸で表した第2の交点)を算出する。ステップS204において交通情報生成部118は、対象領域内の全ての第2の交点に対して処理が完了するまで、処理対象とする第2の交点を移動させつつ、第2の交点に対してステップS206〜S210の処理を繰り返し実行する。以降、ステップS206〜S210の処理対象とされている第2の交点を「着目交点」とも呼ぶ。
ステップS206において交通情報生成部118は、処理対象とされている第2の交点に接続する全ての情報無しリンクについて処理が完了するまで、処理対象とする情報無しリンクを移動させつつ、情報無しリンクに対してステップS400〜S210の処理を繰り返し実行する。以降、ステップS400〜S210の処理対象とされている情報無しリンクを「着目リンク」とも呼ぶ。
図10は、基本処理のステップS400において実行される探索処理の手順を示すフローチャートである。ステップS402において交通情報生成部118は、着目リンクを、記憶部150内に設けられたリンクリストに登録する。
ステップS404において交通情報生成部118は、着目リンクの片方のノードが、着目交点とは別の第2の交点であるか否かを判定する。片方のノードが着目交点とは別の第2の交点である場合(ステップS404:YES)、ステップS406において交通情報生成部118は、探索処理の結果「別の第2の交点に到達した」と判定すると共に探索処理を終了させ、処理を基本処理に戻す。例えば、図9の態様P6において、着目交点が交点N61、着目リンクがL62であった場合について例示する。この場合、着目リンクL62の片方のノードN63は、着目交点N61とは別の第2の交点であるため、ステップS404の条件が成立する。
一方、片方のノードが着目交点とは別の第2の交点でない場合(ステップS404:NO)、ステップS408において交通情報生成部118は、着目リンクの両端点が、記憶部150内に設けられたノードリストに登録済みであるか否かを判定する。両端点がノードリストに登録済みである場合(ステップS408:YES)、交通情報生成部118は、探索処理を終了させ、処理を基本処理に戻す。両端点がノードリストに登録済みでない場合(ステップS408:NO)、ステップS410において交通情報生成部118は、登録済みでないノードをノードリストに登録する。例えば、図9の態様P1において、着目交点が交点N11、着目リンクがL11であった場合について例示する。この場合、着目リンクL11の片方のノードN12は、着目交点N11とは別の第2の交点であるため、ステップS404の条件は成立しない。交通情報生成部118は、ステップS408において、着目リンクL11の両端点(ノードN11、N12)がノードリストに登録済みであるか否かを判定する。交通情報生成部118は、ステップS410において登録済みでないノード(例えばノードN12)をノードリストに登録する。
ステップS412において交通情報生成部118は、登録済みでないノードに隣接する全ての情報無しリンクについて処理が完了するまで、処理対象とする情報無しリンクを移動させつつ、換言すれば、着目リンクを移動させつつ、図9の探索処理を繰り返す。例えば、図9の態様P2において、着目リンクをL21、L22、L24、L23と移動させつつ、図9の探索処理が繰り返される。この結果、着目リンクのリンクリストへの登録(ステップS402)によって、情報無しリンクL21、L22、L24、L23がリンクリストに登録される。また、登録済みでないノードの登録(ステップS410)によって、ノードN22、N23、N24がノードリストに登録される。
基本処理(図8)のステップS208において、交通情報生成部118は、探索処理(図10)の結果「別の第2の交点に到達した」と判定されたか否かを判定する。判定された場合(ステップS208:YES)、交通情報生成部118は、ループ内の処理を終了し、処理対象を遷移させる。判定されていない場合(ステップS208:NO)、交通情報生成部118は、探索処理で登録されたリンクリストに含まれるリンク群に対して、それぞれ、交通情報データベース156の回避フラグに「1」を設定する。
このような基本処理の結果、図9の態様P1の情報無しリンクL11には、回避フラグは設定されない(初期値「0」のまま)。同様に、態様P2の情報無しリンクL21、L22、L24、L23についても、回避フラグは設定されない。態様P1、P2のように、1つの第2の交点から情報無しリンクを辿って他の第2の交点に移動できない場合、その情報無しリンクについては代替経路がないことを意味するため、回避フラグを設定することは好ましくないからである。一方、図9の態様P3の情報無しリンクL32、L34、L33には、回避フラグが設定される(回避フラグ「1」とされる)。態様P4〜P6の破線で図示した情報無しリンクについても同様に、回避フラグが設定される。態様P3〜P6のように、1つの第2の交点から情報無しリンクを辿って他の第2の交点に移動できる場合、その情報無しリンクについては、情報ありリンクを用いた代替経路が存在することを意味するため、回避フラグを設定しても問題ないからである。
A−3−2.例外処理:
図11は、例外処理の手順を示すフローチャートである。例外処理は、リンクの性質によって回避フラグを決定する処理である。本実施形態では、例外処理は、回避フラグ決定処理(図7)のサブルーチンとして実行される。
ステップS302においてサーバ10の交通情報生成部118は、対象領域内の、回避フラグを「1」とした全てのリンクに対して処理が完了するまで、処理対象とするリンクを移動させつつ、ステップS310〜S322の処理を繰り返す。
ステップS310において交通情報生成部118は、処理中のリンクが、位置情報が取得しにくいリンクであるか否かを判定する。位置情報が取得しにくいリンクには、例えば、GPSからの電波を受信しにくい場所にあるリンク、住宅近傍のリンク等が含まれる。住宅近傍のリンクにおいては、個人情報保護の観点から、車両側でプローブ情報を送信しない仕様とされている場合があるためである。交通情報生成部118は本ステップの判定を、例えば、リンクの属性(例えば、車線数、道幅、長さ、トンネルなどの道路を覆う構造物等)に基づいて実施してもよく、リンクの属性を利用したパターンマッチングにより実施してもよい。位置情報が取得しにくいリンクである場合(ステップS310:YES)、ステップS312において交通情報生成部118は、当該リンクについて、交通情報データベース156の回避フラグを「0」とする。一方、位置情報が取得しにくいリンクでない場合(ステップS310:NO)、交通情報生成部118は処理をステップS320へ遷移させる。
ステップS320において交通情報生成部118は、処理中のリンクが、マップマッチングがしにくいリンクであるか否かを判定する。マップマッチングがしにくいリンクには、例えば、類似したリンクが隣接しているリンク、極端に短いリンク等が含まれる。本ステップの判定は、ステップS310と同様に、リンクの属性またはリンクの属性を利用したパターンマッチング等で実施できる。マップマッチングがしにくいリンクである場合(ステップS320:YES)、ステップS322において交通情報生成部118は、当該リンクについて、交通情報データベース156の回避フラグを「0」とする。一方、マップマッチングがしにくいリンクでない場合(ステップS320:NO)、交通情報生成部118はループ内の処理を終了し、処理対象を遷移させる。
このように、ステップS310〜S322では、リンクの性質から判断して、当該リンクを経路探索処理の結果として得られる経路に含ませたほうがよいリンクについて、回避フラグを「0」とする。
ステップS330において交通情報生成部118は、対象領域内の、回避フラグが「0」である全てのリンクに対して処理が完了するまで、処理対象とするリンクを移動させつつ、ステップS340〜S352の処理を繰り返す。
ステップS340において交通情報生成部118は、処理中のリンクが、有料道路のサービスエリア(SA)またはパーキングエリア(PA)のリンクであるか否かを判定する。SAまたはPAのリンクには、例えば、SAまたはPA内のリンク、SAまたはPAへと続くリンク等が含まれる。本ステップの判定は、ステップS310と同様に、リンクの属性またはリンクの属性を利用したパターンマッチング等で実施できる。SAまたはPAのリンクである場合(ステップS340:YES)、ステップS342において交通情報生成部118は、当該リンクについて、交通情報データベース156の回避フラグを「1」とする。一方、SAまたはPAのリンクでない場合(ステップS340:NO)、交通情報生成部118は処理をステップS350へ遷移させる。
ステップS350において交通情報生成部118は、処理中のリンクが、極端に通りにくいリンクであるか否かを判定する。極端に通りにくいリンクには、例えば、道幅が極端に狭いリンク、曜日、時間帯、車両の幅、車両の高さ限定等の通行規制があるリンク等が含まれる。本ステップの判定は、ステップS310と同様に、リンクの属性またはリンクの属性を利用したパターンマッチング等で実施できる。極端に通りにくいリンクである場合(ステップS350:YES)、ステップS352において交通情報生成部118は、当該リンクについて、交通情報データベース156の回避フラグを「1」とする。極端に通りにくいリンクでない場合(ステップS350:NO)、交通情報生成部118はループ内の処理を終了し、処理対象を遷移させる。
このように、ステップS340〜S352では、リンクの性質から判断して、当該リンクを経路探索処理の結果として得られる経路に含ませることを回避すべきリンクについて、回避フラグを「1」とする。
以上のように、第1実施形態の回避フラグ決定処理(図7)によれば、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的多い第1の交通量であり(具体的には、図7のステップS104の判定結果が「NO」となり)、かつ、対応する道路の交通量が比較的少ない(第1の交通量よりも少ない)第2の交通量であるリンク(プローブ無しリンク)は、基本処理(図8)が実行されて代替経路があると判定された結果、回避すべきリンクとされる(具体的には、回避フラグに「1」が設定される)。この結果、交通量の多い道路に囲まれた、交通量の少ない道路(例えば、細すぎて通過する車両が少ない道路、一般車両が通過できない道路、規制により通過する車両が少ない道路、信号や道路状況により通過する車両が少ない道路等)について、当該交通量の少ない道路に対応するリンクが、経路探索部112による探索(経路探索処理)の結果得られる経路(最小コストの経路)に含まれることを抑制することができる。
また、第1実施形態の回避フラグ決定処理(図7)によれば、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であり(具体的には、図7のステップS104の判定結果が「YES」となり)、かつ、対応する道路の交通量が比較的少ない第2の交通量であるリンク(プローブ無しリンク)は、基本処理(図8)が実行されないため、回避すべきリンクとされない。この結果、例えば郊外地域のように地域全体の交通量が少ない場合に、当該交通量の少ない道路に対応するリンクが、経路探索部112による探索(経路探索処理)の結果得られる経路(最小コストの経路)から除外されることを抑制することができる。換言すれば、地域全体の交通量が少ない場合は、当該交通量の少ない道路に対応するリンクを、探索の結果得られる経路に含ませることができる。
以上のように、第1実施形態によれば、情報処理装置(サーバ10)では、地域単位の交通量に応じて決定された回避情報(回避フラグ)を利用して、経路探索部112による経路探索を行うことができる。このように、第1実施形態では、対象領域において所定割合以上、プローブ情報が存在することをもって、当該対象領域が「第1の交通量」であるとする。また、第1実施形態では、リンクにおいてプローブ情報が存在しないことをもって、当該リンクが「第2の交通量」であるとする。
図17は、経路データベース154のある一部分の領域と交通情報データベース156の一部分を示す図である。図17において、黒丸はノードを、黒丸と黒丸の間の実線はリンクを表す。また、リンクに付した番号はリンクの識別子を表し、四角形の枠で囲んだ「高」または「低」の文字は交通情報データベース156の旅行時間出典状況の内容(高:高精度、低:低精度)を表し、四角形の枠で囲んだ「0」または「1」の値は交通情報データベース156の回避フラグの値を表す。なお、図17は、本実施形態及び後述の実施形態において同じである。ただし、本実施形態で利用する交通情報データベース156では、旅行時間出典状況の情報はなくても良い。
リンク100の周囲には、リンク102、リンク103、リンク104及びリンク105が存在している。リンク101、リンク102、リンク103、リンク104及びリンク105に対応する道路は、第1の交通量である。一方、リンク100に対応する道路は、極端に通りにくい道路(例えば、道幅が極端に狭い、曜日、時間帯、車両の幅、車両の高さ限定等の通行規制、リンク102及びリンク103に対応する道路には中央分離帯が存在するため右折が出来ない、リンク102及びリンク103に対応する道路の交通量が多いために右折が困難である、リンク100及びリンク101に対応する道路に左折又は右折するには、リンク104に対応する道路を通行すれば良いので、この道路を通行する必要がない等)であり、第2の交通量である。
点線で囲まれている領域A1は、交通量が比較的少ない第2の交通量の領域である。つまり、リンク106に対応する道路は第2の交通量であり、その道路の周囲に存在するリンク107、リンク108、リンク109及びリンク110に対応する道路も第2の交通量である。そして、リンク100に対応する道路もリンク106に対応する道路も第2の交通量であるが、リンク100には、対応する回避フラグとして「1」が格納されており、リンク106には、対応する回避フラグとして「0」が格納されている。
B.第2実施形態:
本発明の第2実施形態では、経路探索処理における処理内容と、回避フラグ決定処理における処理内容とが異なる構成について説明する。図中において第1実施形態と同様の構成および処理を有する部分は、先に説明した第1実施形態と同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。すなわち、以下に説明しない構成および処理は、上述した第1実施形態と同様である。
B−1.システムの概略構成:
図12は、第2実施形態における案内システム1aの概略構成を示す図である。図2に示した第1実施形態との違いは、サーバ10に代えてサーバ10aを備える点である。サーバ10aは、経路探索部112に代えて経路探索部112aを備え、交通情報生成部118に代えて交通情報生成部118aを備える。経路探索部112aは、実行する経路探索処理の内容が第1実施形態とは異なる。交通情報生成部118は、実行する回避フラグ決定処理の内容が第1実施形態とは異なる。
B−2.経路探索処理:
図13は、第2実施形態における経路探索処理の手順を示すフローチャートである。図6に示した第1実施形態との違いは、ステップS12に代えてステップS20を備える点である。ステップS20において経路探索部112aは、第1実施形態と同様に、ダイクストラ法を利用して出発地から目的地までの最小コストの経路を求める。経路探索部112aは、各経路の候補についてのコストを計算する際、以下の手順b1〜b3、および、手順d4、d5に従う。
(b1)〜(b3)経路探索部112aは、日時に関する条件と他の条件とを決定し、条件に該当する条件番号を取得する。詳細は第1実施形態と同様である。
(d4)経路探索部112aは、条件番号に該当する旅行時間統計情報、旅行時間出典状況、回避フラグを取得する。具体的には、経路探索部112aは、交通情報データベース156を検索し、ダイクストラ法において考慮するリンク(該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせ)と、手順b3で取得した条件番号と、に一致する旅行時間統計情報と、旅行時間出典状況と、回避フラグとを取得する。
(d5)経路探索部112aは、ダイクストラ法において考慮されているリンク数と、旅行時間出典状況との条件を判定する。具体的には、経路探索部112aは、ダイクストラ法において考慮されているリンク(該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせ)が所定数以上であり、かつ、ダイクストラ法において考慮されている全てのリンクについての旅行時間出典状況「低精度」の割合が所定割合以上であるか否かを判定する。所定数とは任意に定めることができ、例えば10とすることができる。所定割合とは任意に定めることができ、例えば3割とすることができる。
(d5−1)手順d5で説明した条件を満たす場合、すなわち、考慮されているリンクが所定数以上であり、かつ、低精度の割合が所定割合以上である場合は、ダイクストラ法において考慮されているリンクを含む地域全体における交通量が少ないとみなすことができる。この場合、経路探索部112aは、交通情報データベース156の回避フラグの内容に関係なく、ダイクストラ法において考慮するリンクのコストを、旅行時間統計情報に格納されている値とする。
(d5−2)手順d5で説明した条件を満たさない場合、すなわち、考慮されているリンクが所定数未満であり、または、低精度の割合が所定割合未満である場合は、ダイクストラ法において考慮されているリンクを含む地域全体における交通量が多いとみなすことができる。この場合、経路探索部112aは、交通情報データベース156の回避フラグの内容に応じて、ダイクストラ法において考慮するリンクのコストを決定する。詳細は、第1実施形態の手順b5と同様である。
以上のように、第2実施形態の経路探索処理(図13)によれば、経路探索部112aは、回避情報(回避フラグ)において回避すべきリンクとされているリンク(回避フラグに「1」が格納されているリンク)であっても、当該リンクが、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であるリンクである場合(具体的には、手順d5で説明した条件を満たすリンクである場合)は、記憶部150に予め記憶されている時間情報(記憶部150の交通情報データベース156に予め記憶されている旅行時間統計情報)に基づいて(すなわち、長い時間情報を利用せず)探索を行う(手順d5−1)。この結果、例えば郊外地域のように地域全体の交通量が少ない場合は、回避情報において回避すべきリンクとされているリンクであっても、経路探索部112aによる探索の結果得られる経路(最小コストの経路)から除外されることを抑制することができる。
また、第2実施形態の経路探索処理(図13)によれば、経路探索部112aは、上記の処理(手順d5−1の処理)を、経路の探索において考慮したリンクの数(具体的には、ダイクストラ法において考慮されているリンクの数)が所定数以上である場合において実施する。このため、経路探索部112aは、周囲に存在する道路における交通量の統計結果が比較的少ない第2の交通量であるか否かの判断結果、換言すれば、地域全体の交通量が少ないか否かの判断結果が、所定数以上のサンプルを用いて求められた信頼性のある結果である場合において、上記の処理(手順d5−1の処理)を実施することができる。
B−3.回避フラグ決定処理:
図14は、第2実施形態における回避フラグ決定処理の手順を示すフローチャートである。図7に示した第1実施形態との違いは、ステップS104の分岐を含まない点だけである。第1実施形態の回避フラグ決定処理では、ステップS104によって、対象領域全体における交通量が少ない場合に、リンクの構成により回避フラグを決定する基本処理を省略した。しかし、第2実施形態の回避フラグ決定処理では、対象領域全体における交通量に関係なく、一律に、リンクの構成によって回避フラグを決定する基本処理(ステップS200)と、リンクの性質によって回避フラグを決定する例外処理(ステップS300)と、の両方を実行する。基本処理および例外処理における処理内容は、第1実施形態と同様である。
以上のように、第2実施形態の回避フラグ決定処理(図14)によれば、対象領域全体における交通量に関係なく基本処理(ステップS200)が実行される。このため、第1実施形態とは異なり、例えば郊外地域のように地域全体の交通量が少ない場合に、当該交通量の少ない道路に対応するリンクについても、回避すべきリンクとされる場合がある(具体的には、回避フラグに「1」が設定される場合がある)。しかし、第2実施形態では、経路探索処理(図13)の手順d5において、地域全体の交通量に応じて、回避フラグを考慮するか否かを区別して処理している。このため、第2実施形態のサーバ10a全体としては、第1実施形態のサーバ10と同様の効果を奏することができる。
また、第2実施形態では、地域全体の交通量により回避フラグを考慮するか否かの判断を、回避フラグ決定処理(図14)の際ではなく、経路探索処理(図13)の際に実施する。交通情報データベース156は、最新のプローブ情報を利用して頻繁に更新されて変化する。しかし、第2実施形態のサーバ10aは、経路探索処理の都度、リアルタイムに上記判断を実施するため、交通情報データベース156の変化に柔軟に対応することができる。さらに、第2実施形態のサーバ10aは、経路探索処理において上記判断を実施するため、交通量を判断する「地域」を、経路探索処理における出発地と目的地とを踏まえて決定することができる。
このように、第2実施形態では、出発地から目的地までの間の「低精度」の旅行時間出典状況が、所定割合未満であることをもって、当該出発地から目的地までの間の領域が「第1の交通量」であるとする。また、第2実施形態では、出発地から目的地までの間の「低精度」の旅行時間出典状況が、所定割合以上であることをもって、当該出発地から目的地までの間の領域が「第2の交通量」であるとする。
C.変形例:
上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。その他、以下のような変形も可能である。
・変形例1:
上記実施例では、案内システムの構成の一例を示した。しかし、案内システムの構成はあくまで一例であり、任意の態様を採用することができる。例えば、ナビゲーション装置が備えるとした機能をサーバが備えても良く、サーバが備えるとした機能をナビゲーション装置が備えてもよい。
・変形例2:
上記実施形態では、クライアント装置としてナビゲーション装置を例示した。しかし、上記実施形態におけるクライアント装置およびその構成はあくまで一例であり、任意の態様を採用することができる。例えば、クライアント装置としてナビゲーション以外のデバイスを採用したり、その構成要素の一部を省略したり、更なる構成要素を付加したり、構成要素の一部を変更したりする変形が可能である。例えば、クライアント装置としては、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、ゲーム機、等の情報処理機器を採用してもよい。
・変形例3:
上記実施形態では、サーバの構成を示した。しかし、上記実施形態におけるサーバの構成はあくまで一例であり、任意の態様を採用することができる。例えば、その構成要素の一部を省略したり、更なる構成要素を付加したり、構成要素の一部を変更したりする変形が可能である。例えば、上述した機能は、複数台のサーバが協働することによって実現されてもよい。
・変形例4:
上記実施形態では、経路探索処理、回避フラグ決定処理、基本処理、探索処理、例外処理について、処理の手順の一例を挙げて説明した。しかし、上記手順はあくまで一例であり種々の変更が可能である。一部のステップを省略してもよいし、更なる他のステップを追加してもよい。また、実行されるステップの順序を変更してもよい。
第1実施形態と、第2実施形態とでは、周囲の道路が「第1の交通量」であるか、リンクが「第2の交通量」であるか、について、異なる判断方法を利用した。このように、本発明では、第1の交通量>第2の交通量、という関係を満たす限りにおいて、第1の交通量であるか否かを判断する条件と、第2の交通量であるか否かを判断する条件とは、任意に定めることができる。
例えば、第1、2実施形態の経路探索処理において、経路探索部は、1000倍する処理に代えて、任意の演算を施してもよい。演算内容は、回避フラグが「1」である場合のコストが「0」である場合のコストよりも大きくなる限りにおいて、任意に決定してよい。
例えば、第1、2実施形態の経路探索処理において、経路探索部は、ダイクストラ法で考慮するリンクを、該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせとした。また、該当リンクと進入リンクとの組み合わせ、該当リンクと退出リンクとの組み合わせでもよい。しかし、経路探索部は、ダイクストラ法で考慮するリンクを該当リンクのみとしてもよい。また、予測部は、総旅行時間を予測する際のリンクを、該当リンクと進入リンクと退出リンクとの組み合わせとした。しかし、予測部は、総旅行時間を予測する際のリンクを該当リンクのみ、該当リンクと進入リンクとの組み合わせ、又は該当リンクと退出リンクとの組み合わせとしてもよい。この場合、交通情報データベースにおける進入リンクフィールドと、退出リンクフィールドと、は省略してもよい。
例えば、第1実施形態の経路探索処理において、経路探索部は、手順b4および手順b5に代えて、第2実施形態で説明した手順d4および手順d5(手順d5−1、d5−2を含む)を実行してもよい。また、第2実施形態の経路探索処理において、経路探索部は、手順d4および手順d5(手順d5−1、d5−2を含む)に代えて、第1実施形態で説明した手順b4および手順b5を実行してもよい。
例えば、第1実施形態の回避フラグ決定処理において、交通情報生成部は、地域全体の交通量(対象領域全体における交通量)を、記憶部に蓄積されているプローブ情報に基づいて決定した。しかし、交通情報生成部は、地域全体の交通量を他の情報(例えば、VICS情報、旅行時間出典状況等)に基づいて決定してもよい。
例えば、第2実施形態の経路探索処理において、経路探索部は、地域全体の交通量(ダイクストラ法において考慮されているリンクを含む地域全体における交通量)を、旅行時間出典状況に基づいて決定した。しかし、経路探索部は、地域全体の交通量を他の情報(例えば、VICS情報、記憶部に蓄積されているプローブ情報等)に基づいて決定してもよい。
例えば、第2実施形態の経路探索処理の手順d5において、経路探索部は、ダイクストラ法において考慮されているリンクの数の条件を省略してもよい。
・変形例5:
上記実施形態では、交通情報データベース、条件テーブルの構成を説明した。しかし、上述した各データベースの構成はあくまで一例であり、任意の態様を採用することができる。例えば、データベースに含まれると説明したフィールドの一部を省略したり、異なるフィールドを付加したり、変更したりする変形が可能である。また、1つのデータベースを複数のデータベースに分割してもよく、複数のデータベースを1つに統合してもよい。
図15は、変形例における交通情報データベース156xの一例を示す図である。図16は、変形例における交通情報データベース156yの一例を示す図である。例えば、図15、16に示すように、交通情報データベースの一部のフィールドを分割してもよい。図15、16の例では、交通情報データベース156xに条件別の旅行時間統計情報および旅行時間出典状況を記憶させ、交通情報データベース156yに条件別の回避フラグを記憶させている。同様にして、旅行時間統計情報や、旅行時間出典状況を分割することもできる。
・変形例6:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
1、1a…案内システム
10、10a…サーバ
20…ナビゲーション装置
110…CPU
112、112a…経路探索部
116…予測部
118、118a…交通情報生成部
120…通信部
130…ROM
140…RAM
150…記憶部
152…地図データベース
154…経路データベース
156、156x、156y…交通情報データベース
158…条件テーブル
210…CPU
212…経路案内部
220…通信部
230…ROM
240…RAM
250…記憶部
260…入出力部
270…現在位置取得部

Claims (9)

  1. 情報処理装置であって、
    交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々についての旅行時間に関する情報と、
    前記旅行時間に関する情報を利用して、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、
    を備え、
    前記旅行時間に関する情報は、
    リンクを通過するための所要時間に関する時間情報を含み、
    前記情報処理装置は、さらに、
    前記経路探索部による前記探索の際に、前記複数のリンクのうちの所定のリンクを前記探索の結果得られる前記経路に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とする回避情報を備え、
    前記回避情報において、
    周囲に存在する道路における交通量の統計結果が第1の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第1の交通量よりも交通量の少ない第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクとされ、
    周囲に存在する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクとされない、情報処理装置。
  2. 請求項1に記載の情報処理装置であって、
    前記経路探索部は、
    前記回避すべきリンクについて、予め記憶されている前記時間情報よりも長い時間情報に基づいて前記探索を行う、情報処理装置。
  3. 請求項2に記載の情報処理装置であって、
    前記経路探索部は、
    前記回避すべきリンクあっても、
    当該リンクが、当該リンクに対応する道路の周囲に存在する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であるリンクである場合は、予め記憶されている前記時間情報に基づいて前記探索を行う、情報処理装置。
  4. 請求項2に記載の情報処理装置であって、
    前記経路探索部は、
    前記回避すべきリンクであっても、
    前記探索において考慮した複数のリンクのうち、対応する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であるリンクが所定割合以上である場合は、予め記憶されている前記時間情報に基づいて前記探索を行う、情報処理装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、さらに、
    前記情報処理装置の利用者が、前記探索の結果得られた前記経路を通過するために要する総旅行時間を、前記経路に含まれる前記回避すべきリンクおよびそれ以外のリンクの前記時間情報として、予め記憶されている前記時間情報に基づいて予測する予測部を備える、情報処理装置。
  6. 経路探索方法であって、
    交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々についての旅行時間に関する情報であって、
    リンクを通過するための所要時間に関する時間情報と、
    前記経路探索部による前記探索の際に、前記複数のリンクのうち所定のリンクを前記探索の結果得られる前記経路に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とする回避情報であって、
    周囲に存在する道路における交通量の統計結果が第1の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第1の交通量よりも交通量の少ない第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクとされ、
    周囲に存在する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクとされない回避情報と、
    を含む旅行時間に関する情報を利用して、出発地から目的地までの経路を探索する工程を備える、経路探索方法。
  7. 請求項6に記載の経路探索方法を、コンピュータにより実現するためのコンピュータプログラム。
  8. 交通ネットワークを構成する複数のリンクの各々についての旅行時間に関する情報を含む交通情報データであって、
    前記旅行時間に関する情報は、
    リンクを通過するための所要時間に関する時間情報を含み、
    前記交通情報データは、さらに、
    出発地から目的地までの経路を探索する際に、前記複数のリンクのうちの所定のリンクを前記探索の結果得られる前記経路に含ませることを回避すべきリンクとして識別可能とする回避情報を含み、
    前記回避情報において、
    周囲に存在する道路における交通量の統計結果が第1の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第1の交通量よりも交通量の少ない第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクであり、
    周囲に存在する道路における交通量の統計結果が前記第2の交通量であり、かつ対応する道路の交通量が前記第2の交通量であるリンクは、前記回避すべきリンクでないことを識別可能とする情報が格納される、交通情報データ。
  9. 請求項8に記載の交通情報データであって、
    前記旅行時間に関する情報は、
    前記旅行時間に関する情報に含まれる前記時間情報の統計対象である該当リンクと、
    前記該当リンクへ進入するための進入リンクと、
    前記該当リンクから退出するための退出リンクと、
    の組み合わせに対して対応付けて記憶されている、交通情報データ。
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