JP2016211581A - 可撓性翼を有するファンブレード - Google Patents

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Abstract

【課題】広範囲の差圧と出力流にわたって高効率を維持し、可撓性湾曲翼の下部と前縁に予めねじり力を付与し、翼の振動の振幅を低減する。
【解決手段】ファンアセンブリは1つ以上のファンブレード100を有し、各ファンブレードは可撓性翼型の翼を有する。可撓性湾曲翼は、可撓性湾曲翼要素の上部及び下部の間に配置されている主翼桁102要素に接続されている。可撓性湾曲翼は翼の上面全体と、翼の前縁全体と、翼の下面の一部を形成している。可撓性湾曲翼は、薄い可撓性材料とエネルギー減衰材料からなる。
【選択図】図1

Description

本発明はファン、特に、広範囲の速度及び圧力で動作する可撓性ファンブレードに関する。
従来のファンアセンブリでは、高ピッチ角の固定翼のファンブレードは、高出力の流れを伴う低差圧で有効である。しかしながら、同じく高ピッチ角の固定翼のファンブレードは、出力流量がゼロに近付くと失速する。失速点では、出力流量が減少すると、圧力が微小に増加又は減少する可能性がある一方、電源入力は増加する。これは飛行機翼の失速に相当する。迎角が臨界点を超えて上昇すると、翼の上を通る気流は翼から分離し、翼を下向きに偏向することなくその気流を維持する。このように、翼の上面の気流は風によって下方に引っ張られないため、翼がその上方の気流によって上方に引っ張られることはない。従って、翼の底面の気流が飛行機を下向きに偏向するようにいくらかの揚力を提供し続けるが、飛行機は揚力を失う。
他のファンアセンブリでは、低ピッチ角の固定翼のファンブレードは、低出力の流れを伴う高差圧で有効である。この場合、失速は起こらない。しかしながら、低差圧では、同様なファンは有効ではなく出力流量は低い。出力流量を増加するためにファン速度を増加してもよいが、さらなるファンブレードの抗力により、効率は低く電源入力は高いままである。
ある設計では、ファンブレードとハブアセンブリの様々なピッチ角が許容されている。この設計では長軸に沿ってファンブレードを回転し、これによりピッチ角を制御する。しかしながら、差圧及び/又はファン速度に従ってピッチ角を制御するために、追加的な機構を設けなければならない。この設計の1つの不利な点は、中密のブレードが決められた(ファンのハブ付近では高ピッチ角、且つ、ブレード翼端付近ではより低ピッチ角の)らせん状のねじりを有することである。あらかじめ決められたらせん状のねじりはブレードの特定の角度位置に対して最適化されている。中密のブレードは高差圧条件下ではピッチ角を減少するように回転するため、ピッチ角はブレードの長さに沿って一定量ずつ減少する。従って、翼端のピッチ角はファンのハブ付近のブレードのピッチ角に対して相対的に過剰保証されている。もう一つの不利な点は、回転を制御するためのシステムと同様に、個々のファンブレードの回転機構のコスト及び維持である。また、これらの機構及びシステムの障害は、重要で高価な装置の多大な損失を引き起こすことがある。
別の設計では、ファンブレード自体の翼が可撓性を有していてもよい。一部のファンは、硬質前縁要素と可撓性湾曲翼要素を兼ね備えている。湾曲した(上反りした)可撓性翼要素は硬質前縁に先導され、硬質前縁の上下部分に挟まれている。硬質前縁は固定されたピッチ角でセットされている。ファン速度が増加すると、それによって差圧が増加し(固定されたシステムの抵抗係数が与えられ)、可撓性翼要素は高圧側(飛行機の翼のように見て「下」側)から離れて反る。この可撓性翼要素が硬質前縁に接続するところで、可撓性翼要素の曲げの最大度合いが発生する。予荷重(付勢)要素及び/又はリミッタは、いずれも故障の原因になっている局所的な応力と振動を低減するために設けられる。
上記の設計の1つの不利な点は、高差圧によって翼全体の上反りが翼全体のピッチ角よりもさらに大幅に減少することである。従って、翼の取り付け角度によって生成される差圧を形成する揚力は、高差圧下での翼の上反りによって生成される揚力よりもはるかに大きい。従って、この可撓性ファンブレードは、高差圧と低流速条件下で失速する。この設計のもう1つの不利な点は、高低差圧又は振動の下で可撓性翼要素が湾曲すると、可撓性翼要素が予荷重要素及び/又はリミッタと摩擦することである。さらに、翼の上面に位置する予荷重要素及び/又はリミッタは、翼型の上を流れる気流に影響を与え、翼の上面を流れる気流の分離(失速)に寄与することがある。
しかし別の従来設計では、ファンのハブに直接取り付ける可撓性ファンブレードがあり、このようにしてファンのハブ付近の翼の上反りとピッチ角の両方を固定する。ファンのハブと翼端の間では、可撓性湾曲翼後部が差圧によって反る一方、前縁は相対的に硬質である。ファンの翼は典型的には1つの部品で構成される。この設計で上記の他の設計における摩擦と乱気流の局所応力の問題が解決する一方、ファンのハブ付近の翼ピッチは固定され、この領域では失速が起こりうる。また、翼端はブレードの長軸周りで、反り及び振動を起こしやすく、従ってファンの安全な速度及び差圧が制限される。
しかしまだ、他の設計では硬質前縁に取り付けられた可撓性材料からなるファンブレードを備え、異なる熱拡張係数の材料を含み、これによりブレードの曲率はより高温で増加し、より低温及びブレード上の空気力学的な揚力で減少する。この種のファンは、内燃機関の冷却に向いている。しかしながら、他の従来技術の設計と同様に、高差圧によって翼の全体的な上反りは翼の全体的なピッチ角よりも大幅に減少する。
本明細書では、可撓性翼型を有するファンブレードを記載している。ファンブレードは広範囲の差圧と出力流にわたって高効率を維持する。
一実施形態では、装置は主翼桁と可撓性湾曲翼を有する可撓性ファンブレードを含み、主翼桁の下面は可撓性湾曲翼の下部に接続している。可撓性湾曲翼の下部は、可撓性湾曲翼の前縁まで伸びている。可撓性湾曲翼の前縁は可撓性湾曲翼の上面まで伸びており、これにより可撓性ファンブレードの可撓性翼型を形成している。
別の実施形態では、ファンは、共通のファンのハブに接続されている多数の主翼桁の複数の個々の付け根に接続された多数の可撓性ファン羽根を含んでいる。個々の可撓性ファン羽根は、主翼桁と可撓性湾曲翼を含んでおり、主翼桁の下面は上記のように可撓性湾曲翼の下部に接続している。
1以上の実施形態の詳細が添付図面と後述する詳細な説明に記載されている。他の特徴と効果は、発明の詳細な説明と図面、及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
これらの実施形態及び他の実施形態を以下の図面を参照しながら詳細にここで説明する。
主翼桁に接続された可撓性ファンブレードの斜視図。 ファンブレードと主翼桁の様々な断面図。 ここで説明されている実施形態に応じた可撓性ファンブレードの反りを示した図。 ここで説明されている実施形態に応じた可撓性ファンブレードのアルミニウム翼の反りを示した図。 振動減衰材料層を有するファンブレードのアセンブリの断面図。 厚みが変化する翼を有するファンブレードの断面図。 斜張された主翼桁を有するファンアセンブリの図。 シュラウドと拡張コーンを有するファンの図。 リブが接続されているリブ翼の実装図。 リブが浮遊しているリブ翼の実装図。 リブ翼の実装の断面図。
図面に於いて、同一参照記号は同一要素を示す。
本明細書では、可撓性翼型を有する1以上のファンブレードを含むファンアセンブリを記載する。特に、可撓性湾曲翼は、可撓性湾曲翼要素の上部と下部との間に位置する主翼桁要素に連結されている。可撓性湾曲翼は、翼の上面全体、翼の前縁全体、及び翼の下面の一部を形成する。ここで使用されている用語「上」と「下」は、それぞれファンの低圧側と高圧側の方向を指す。
主翼桁は、主翼桁のほぼ下面で、翼要素の下部上面に連結されている(図1から図6に示されている)。主翼桁は翼の先端(「翼端」)から翼の付け根(図示されていないファンのハブ付近)を超えて実質的に伸びているため、主翼桁は固定された角度又は予め決められた角度でファンのハブに取り付けてもよい。図1は主翼桁102に連結された可撓性ファンブレード100の斜視図である。図2は、ファンブレード200の様々な断面であり、主翼桁202,204,206の種々の種類や形状のうちの1つを示している。図3は、ここで説明されている実施形態に従って反り量を制限された可撓性ファンブレード300を示している。図4は、ここで説明されている実施形態に於ける可撓性ファンブレードのアルミニウム翼を示すグラフである。図5は、ボルト又は他の固定機構506によって主翼桁504に接続された振動減衰材料層を有するファンブレード翼502を備えるファンブレードアセンブリ500の断面図である。図6は、厚みが変化する翼を有する可撓性ファンブレード600の断面図である。
主翼桁は中密又は中空であってもよい。主翼桁の材料組成、寸法、及び壁厚は揚力、抗力、及びねじりの空気力学的な力に抵抗するのに十分である。いくつかの実施形態では、主翼桁と可撓性翼は、1つのユニットを形成するように単一金型から成形してもよい。主翼桁は、ファンの差圧容量を増加するために、及び/又は、そうでなければ主翼桁自体の軸方向の荷重を減少するために、例えばファンシャフト等の軸にファン翼端付近の翼桁上のポイントを接続する1以上のケーブルによって斜張(cable-stayed)等をされていてもよい。図7は、斜張704によって固定された主翼桁702を有するファンアセンブリを示す。
主翼桁は、前縁の反り(曲げ)を遅延させるために、翼の前縁に予め内部トルクを負荷しておいてもよい。これは、翼の前縁が弛緩したときの曲率半径よりも大きな曲率半径を有する翼の前縁付近で丸められた主翼桁で達成される。主翼桁は、翼の前縁に密着させた後、翼要素の下部の上面に固定させてもよい。この実装により、ファンの差圧が増加したときに、迎角揚力に対する相対的な上反り揚力を大幅に減少させることができる。予負荷がなければ、上反り揚力は、ファンの差圧が増加しても迎角揚力と比較して相対的に高いままである。
可撓性翼は、薄くて可撓性を有する材料及びエネルギーを吸収し振動を減衰する材料から構成されてもよい。エネルギーを吸収し振動を減衰する材料は、特に翼の前縁でエネルギー減衰材料を保護する薄い可撓性を有する材料の曲線の内側に配置されるのが好ましい。
可撓性翼は、厚みが一定であっても変化してもよい。翼厚が翼要素の上部に対して相対的に下部の領域と前縁で大きい場合、翼はファンの差圧が増加するにつれて、迎角揚力に対して相対的に上反り揚力の大幅な減少を示す。翼厚が翼の上部に対して相対的に下部領域及び前縁で小さい場合、翼はファンの差圧が増加するにつれて、迎角揚力に対して相対的に上反り揚力はほとんど減少を示さない。
さらに翼要素の厚みは、翼の付け根から翼端まで異なってもよい。翼厚が翼の付け根領域において翼端よりも相対的に小さい場合、翼端まで均一な厚みの翼の付け根の場合と比較して、翼の付け根の領域はファンの差圧が増加するにつれてより大きな反りを示す。
可撓性翼は、翼弦長が一定又は変化してもよい。翼の断面の空気力学的な揚力は、与えられた取り付け角度及び形状での断面の翼弦長に比例する(即ち、翼弦長の割合に従って上反りする)。ファンブレードの好ましい実施形態は、翼の付け根付近で比較的低い対気速度を有するファン差圧を生成するために、翼端よりも翼の付け根付近でより大きな翼弦長を有する翼を組み入れている。
翼断面の弾性は、所定形状の翼断面の翼弦長の増加と共に増加する。可撓性ファンブレードの例示的で好ましい実施形態は、翼の付け根付近で必要なより大きな反りを形成するために、翼端よりも翼の付け根付近でより大きな翼弦長を有する翼を組み込んでおり、これによりファンの差圧の動作範囲にわたって理想的ならせん状のねじれを維持する。
拡張コーンを有するファンシュラウドは、軸方向にファンブレードと整列してもよいため、主翼桁はファンシュラウドの底部で拡張コーンの上部に配置される。図8は、シュラウド802と拡張コーンを有するファンを描いた2つの図を示している。この整列の優位性は、差圧が比較的低いときにシュラウドより下方にある翼端の後縁804付近の気流が、拡張コーンの中へ半径方向に翼端から離れて流動可能であることである。これにより拡張コーンからの気流の分離が低減し、従って気流の動圧から静圧への変換を改善する。半径方向の上反りは、翼端から拡張コーン部への半径方向の気流の下向きの速度を増加するために、後縁付近の翼端に追加されてもよい。
さらに差圧が増加すると、後縁付近の翼端はファンシュラウドの領域で上向きに反り、これにより最大差圧の生成が可能である。これらの条件下では、拡張コーンは、拡張コーンを通る対気速度が最小であるという目的にほとんど適わない。
可撓性翼は、可撓性リブ及び可撓性膜から構成されてもよい。個々のリブは、翼の付け根の断面から翼端の断面までの翼の翼型断面を形成する。リブの下部の上面は、主翼桁に接続されている。図9と図10を参照して、翼の上部の後縁のリブ902は、図9に示すように翼の付け根904によって互いに取り付けられてもよいし、又は、図10に示すように浮遊していてもよい。
図11は、いくつかの実施形態に係るリブ翼910の断面を示している。可撓性膜952は、リブ950に取り付けられてもよく、翼上下の気流の分離を維持するために、リブ950の間隙を繋いでいてもよい。可撓性膜952は、隣接するリブ950を大きく反らせることなく、各リブ950の所定の反りが可能であるように、各リブ950の間で十分に弛緩しており、これにより空気力学的な力によってある範囲で各リブ950が独立して反ることが可能である。
翼の後縁に取り付けられたリブは、空気力学的な力によって誘起された結果として生じる可撓性膜の張力によって、ファンブレードの中央へ向かうリブの反りを軽減する。対照的に、翼の後縁の浮遊しているリブはより自由に反ることが可能であり、これにより翼の付け根から翼端までの翼はさらに自由に反ることが可能である。
いくつかの実施形態を上記で詳細に説明してきたが、他の変形も可能である。他の実施形態は特許請求の範囲内であればよい。
100,200,300,600 ファンブレード
102,202,204,206,504,702 主翼桁
500 ファンブレードアセンブリ
502 ファンブレード翼
506 固定機構
704 斜張
802 シュラウド
804 後縁
902,950 リブ
904 翼の付け根
952 膜

Claims (9)

  1. 主翼桁と可撓性湾曲翼とを有する可撓性ファンブレードを備え、前記主翼桁の下面は前記可撓性湾曲翼の下部に接続し、前記可撓性湾曲翼の下部が前記可撓性湾曲翼の前縁まで伸び、前記可撓性湾曲翼の前縁が前記可撓性湾曲翼の上面まで伸びることにより、前記可撓性ファンブレードの可撓性翼型を形成する、装置。
  2. 前記主翼桁と前記可撓性湾曲翼は、単一の金型から成形されている、請求項1に記載の装置。
  3. 前記主翼桁により、前記可撓性湾曲翼の下部と前縁に予めねじり力を付与している、請求項1に記載の装置。
  4. 前記可撓性湾曲翼は、薄い可撓性材料とエネルギー減衰材料からなり、前記翼の振動の振幅を低減する、請求項1に記載の装置。
  5. 前記可撓性湾曲翼は様々な厚みからなる、請求項1に記載の装置。
  6. 共通のファンのハブに接続されている多数の主翼桁の各付け根に接続された多数の可撓性ファンブレードを備え、前記各可撓性ファンブレードは主翼桁と可撓性湾曲翼とを備え、前記主翼桁の下面は前記可撓性湾曲翼の下部に接続され、前記可撓性湾曲翼の下部が前記可撓性湾曲翼の前縁まで伸び、前記可撓性湾曲翼の前縁が前記可撓性湾曲翼の上面まで伸びることにより、前記可撓性ファンブレードの可撓性翼型を形成する、ファン。
  7. 前記多数の主翼桁は、各翼端付近の各主翼桁上の少なくとも1点と前記ファンの軸の少なくとも前記多数の主翼桁より下方の点に接続された1以上のケーブルによってそれぞれ斜張されることにより、個々の前記多数の主翼桁の軸方向荷重を軽減する、請求項6に記載のファン。
  8. ファンシュラウドと拡張コーンを更に備え、前記多数の主翼桁は、前記ファンシュラウドの下端で軸方向に位置決めされ、前記反っていない可撓性湾曲翼の後縁は拡張コーン内に下方へ伸びることにより、前記反っていない可撓性湾曲翼の後縁で半径方向外側への気流が可能である、請求項6に記載のファン。
  9. 前記後縁付近の翼端は、半径方向の上反りを生成するために下方へ湾曲することにより、前記後縁の翼端付近から前記拡張コーンの領域へ、前記半径方向の気流のさらなる下向きの速度を生成する、請求項8に記載のファン。
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