JP2016210949A - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大スケールでの重合による効率の向上と吸水性樹脂の物性の安定化、高機能化を両立させる吸水性樹脂の製造方法を提供すること。【解決手段】アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液を作製する、単量体水溶液作製工程と、上記単量体水溶液をベルト重合機に供給して連続的に重合する、重合工程と、を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記ベルト重合機のベルト上に、該ベルトの進行方向にn本の堰(nは3以上の整数)が具備されており、両側を上記堰で区切られたn−1の帯域のうち、1以上の帯域に、上記単量体水溶液を供給する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法。【選択図】図2
Description
本発明は、ベルト重合機を用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。更に本発明は、上記製造方法に用いるベルト重合機のメンテナンス方法に関する。更に本発明は、上記製造方法に用いるベルト重合機に関する。
吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツや生理用ナプキン等の吸収性物品、農園芸用の保水剤、工業用の止水剤等、様々用途に利用されている。
上記吸水性樹脂は、原料として多くの単量体や親水性高分子が提案されているが、性能及びコストの観点から、アクリル酸及び/又はその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、最も多く用いられている。
上記吸水性樹脂は、重合、乾燥、粉砕、分級等、様々な工程を経て、粒子状の製品として製造されている(非特許文献1)。工業的生産における製造プラントは、一般的に、大スケール、安定運転、高稼働率、運転容易性、メンテナンスフリー、省エネルギー、低コスト、低環境負荷等が要求されている。
上記吸水性樹脂は、主用途である紙オムツの高性能化に伴って、多くの機能(物性)が求められている。具体的には、吸水倍率以外に、ゲル強度、水可溶分、吸水速度、加圧下吸水倍率、通液性、粒度分布、耐尿性、抗菌性、耐衝撃性(耐ダメージ性)、粉体流動性、消臭性、耐着色性(白色度)、低粉塵性等が挙げられる。
上記吸水性樹脂の製造方法におけるアクリル酸(塩)系単量体の重合装置として、水溶液重合では縦型攪拌容器、ニーダー等の横型攪拌容器、ベルト重合機等が、逆相懸濁重合では攪拌装置を備えた反応釜が、それぞれ知られている(非特許文献1)。これらの重合方法や重合装置の中でも、ベルト重合機は連続生産や重合熱の除去での利点を有している。当該ベルト重合機のベルト構造としては、ベルトの幅方向に凹型のもの(特許文献1)や平らなもの(特許文献2)が知られている。更に支持ベルトを有する重合機も知られている(特許文献3〜5)。ベルト材料についても種々の材料が知られている(特許文献1〜8)。ベルト上に単量体水溶液を貯めるための堰についても知られている(特許文献2、7、9〜11)。
Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998),p69−103
上記の特許文献では、種々のベルト重合機に関する技術が開示されているにもかかわらず、大スケールでの重合においては、所望する効果が得られないことがあった。
例えば、特許文献2では、ベルト上で単量体水溶液の厚みを均等にしようとしても、ベルト重合機を更に大型化すると、ベルトの幅方向のたわみの増大によって、該厚みを均等することが困難という新たな課題が見出された。また、特許文献8では、ベルトの損傷箇所を補修しようとした場合、ベルト重合機の停止が必須であり、大スケールの重合ほど、停止による損害は大きいものだった。更に、複数の種類の重合体を使用するタイプの吸水性樹脂では、重合体ごとにベルト重合機を持つか、あるいいは切り替えが必要であり、ベルト重合機の大型化はかえって非効率であった。
そこで、本願発明が解決すべき第一の課題は、大スケールでの重合による効率の向上と吸水性樹脂の物性の安定化、高機能化を両立させる吸水性樹脂の製造方法を提供することである。また、本願発明が解決すべき第二の課題は、重合機がスケールアップしたときに大掛かりになりがちなメンテナンスを簡単に行う方法を提供することにある。更に、本願発明が解決すべき第三の課題は、前記第一、第二の課題を達成するために有効なベルト重合機を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を鑑みて鋭意検討した結果、ベルト重合機を簡易に分割して運転することにより、大スケールでの重合による効率の向上と吸水性樹脂の物性の安定化、高機能化が両立することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本願第一の発明は、アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液を作製する、単量体水溶液作製工程と、上記単量体水溶液をベルト重合機に供給して連続的に重合する、重合工程とを含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記ベルト重合機のベルト上に、該ベルトの進行方向にn本の堰(nは3以上の整数)が具備されており、両側を上記堰で区切られたn−1の帯域のうち、1以上の帯域に、上記単量体水溶液を供給する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法を提供する。
また、本願第二の発明は、ベルトの進行方向にn個の堰(nは3以上の整数)が具備されているベルト重合機において、重合工程を一旦停止し、両側を上記堰で区切られたn−1個の帯域のうち、一部の帯域でベルトを更新し、重合工程を再開する、ベルト重合機のメンテナンス方法を提供する。
更に、本願第三の発明は、アクリル酸(塩)を主成分とする単量体水溶液を連続的に重合する、ベルト重合機であって、ベルト上面にベルトの進行方向にn個の堰(nは3以上の整数)が具備され、両側を上記堰で区切られたn−1個の帯域を有する、ベルト重合機を提供する。
大スケールでの重合による効率の向上と吸水性樹脂の物性の安定化、高機能化を両立させることができ、結果として吸水性樹脂の製造工程全体としての効率が向上する。
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法、ベルト重合機の構造及びメンテナンス方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔1〕用語の定義
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。即ち、「水膨潤性」として、ERT441.2−02で規定されるCRCが5g/g以上、かつ、「水不溶性」として、ERT470.2−02で規定されるExtが50重量%以下の物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。即ち、「水膨潤性」として、ERT441.2−02で規定されるCRCが5g/g以上、かつ、「水不溶性」として、ERT470.2−02で規定されるExtが50重量%以下の物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
上記吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜設計が可能であり、特に限定されないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量(100重量%)が重合体である形態に限定されず、上記物性(CRC、Ext)を満足する範囲内で、添加剤等を含んだ吸水性樹脂組成物であってもよい。
本発明における吸水性樹脂は、最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体や乾燥後の乾燥重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、上記吸水性樹脂組成物と合わせて、これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する。なお、吸水性樹脂の形状として、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等が挙げられるが、本発明では粒子状の吸水性樹脂が好ましい。
(1−2)「ポリアクリル酸(塩)」
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分としてアクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を指す。
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分としてアクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を指す。
なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、通常50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、更に好ましくは実質100モル%であることをいう。
(1−3)「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称である。また「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称である。また「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(1−3−1)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
(1−3−2)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm2、0.3psi)荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。なお、荷重条件を4.83kPa(49g/cm2、0.7psi)に変更して測定する場合もある。また、ERT442.02−02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的には同一内容である。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm2、0.3psi)荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。なお、荷重条件を4.83kPa(49g/cm2、0.7psi)に変更して測定する場合もある。また、ERT442.02−02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的には同一内容である。
(1−3−3)「PSD」(ERT420.2−02)
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許第7638570号に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」と同様の方法で測定する。
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許第7638570号に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」と同様の方法で測定する。
(1−3−4)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;重量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;重量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
(1−3−5)「Moisture Content」(ERT430.2−02)
「Moisture Content」は、吸水性樹脂の含水率を意味する。具体的には、吸水性樹脂4.0gを105℃で3時間乾燥した際の乾燥減量から算出した値(単位;重量%)のことをいう。なお、吸水性樹脂を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定する場合もある。
「Moisture Content」は、吸水性樹脂の含水率を意味する。具体的には、吸水性樹脂4.0gを105℃で3時間乾燥した際の乾燥減量から算出した値(単位;重量%)のことをいう。なお、吸水性樹脂を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定する場合もある。
(1−3−6)「Residual Monomers」(ERT410.2−02)
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)量(以下、「残存モノマー」と称する)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後の溶解残存モノマー量(単位;ppm)のことをいう。溶解残存モノマー量の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行う。
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)量(以下、「残存モノマー」と称する)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後の溶解残存モノマー量(単位;ppm)のことをいう。溶解残存モノマー量の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行う。
(1−4)その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、重量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。更に、「重量」と「質量」、「重量部」と「質量部」、「重量%」と「質量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、重量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。更に、「重量」と「質量」、「重量部」と「質量部」、「重量%」と「質量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
〔2〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法について説明する。
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法について説明する。
(2−1)単量体水溶液の作製工程
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を作製する工程である。
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を作製する工程である。
なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)系単量体の含有量(使用量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(内部架橋剤は除く)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。また、上記「単量体水溶液」とは、単量体、及び、重合開始剤を含む全ての添加剤、即ちすべての原料が添加された、重合に供される直前の液体、つまり、重合反応装置への供給配管中、又は重合反応装置中での重合が開始される直前の液体をいう。また、得られる吸水性樹脂の物性が低下しない範囲内で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
(アクリル酸(塩))
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体として好ましくはアクリル酸(塩)が用いられる。
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体として好ましくはアクリル酸(塩)が用いられる。
上記「アクリル酸」としては、公知のアクリル酸を使用することができる。該公知のアクリル酸は、接触気相酸化法によって得られるアクリル酸ガスを水等で捕集し、蒸留及び/又は晶析を利用して精製して得られたものであり、重合禁止剤や不純物等の微量成分が含まれる。
上記「重合禁止剤」としては、特に限定されないが、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp−メトキシフェノール類が用いられる。上記重合禁止剤は、アクリル酸の重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、アクリル酸中の濃度として、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10〜160ppm、更に好ましくは20〜100ppmの範囲内で適宜設定される。
上記「不純物」としては、特に限定されないが、酢酸やプロピオン酸、フルフラール等の有機化合物の他、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載されたアクリル酸中の不純物が本発明にも適用される。
上記「アクリル酸塩」は、上記アクリル酸を下記塩基性化合物で中和したものであるが、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内でアクリル酸を中和して得られたものでもよい。
(塩基性化合物)
本発明において「塩基性化合物」とは、塩基性を示す化合物であり、例えば、水酸化ナトリウム等が挙げられる。なお、市販の水酸化ナトリウムには、不純物として亜鉛、鉄、鉛等の重金属がppmオーダーで含まれており、厳密には塩基性組成物ということもできるが、本発明では塩基性化合物の範疇に含まれるものとする。
本発明において「塩基性化合物」とは、塩基性を示す化合物であり、例えば、水酸化ナトリウム等が挙げられる。なお、市販の水酸化ナトリウムには、不純物として亜鉛、鉄、鉛等の重金属がppmオーダーで含まれており、厳密には塩基性組成物ということもできるが、本発明では塩基性化合物の範疇に含まれるものとする。
上記「塩基性化合物」として、具体的には、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは強塩基性を示す塩基性化合物が選択される。つまり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
なお、取扱性の観点から、上記塩基性化合物は水溶液状態とすることが好ましい。
(中和)
本発明においては、上記アクリル酸を上記塩基性化合物で中和することによって、アクリル酸塩を得てもよい。このような場合、中和を行うタイミングとしては特に限定されず、アクリル酸に対する中和(重合前)であってもよいし、アクリル酸の架橋重合中での中和(重合中)であってもよいし、アクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)であってもよい。また、これらを併用してもよい。また、これらの中和は、連続式でもバッチ式でもよく特に限定されないが、生産効率等の観点から、連続式が好ましい。
本発明においては、上記アクリル酸を上記塩基性化合物で中和することによって、アクリル酸塩を得てもよい。このような場合、中和を行うタイミングとしては特に限定されず、アクリル酸に対する中和(重合前)であってもよいし、アクリル酸の架橋重合中での中和(重合中)であってもよいし、アクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)であってもよい。また、これらを併用してもよい。また、これらの中和は、連続式でもバッチ式でもよく特に限定されないが、生産効率等の観点から、連続式が好ましい。
上記中和を行う装置や、中和温度、滞留時間等の中和条件については、国際公開第2009/123197号や米国特許出願公開第2008/0194863号に記載された内容が本発明にも適用される。
本発明における上記中和の中和率は特に限定されないが、単量体の酸基に対して、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは40〜85モル%、更に好ましくは50〜80モル%、特に好ましくは60〜75モル%の範囲内で適宜設定される。該中和率をこの範囲内とすることで、吸水倍率の低下を抑制することができ、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂を得ることができる。
上記中和率の好ましい範囲は、後中和の場合であっても同様に適用される。また、最終製品として得られる吸水性樹脂での中和率についても同様に、上記中和率の好ましい範囲が適用される。
(内部架橋剤)
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、米国特許第6241928号に記載された内部架橋剤が本発明の内部架橋剤として用いられる。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の内部架橋剤が選択される。
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、米国特許第6241928号に記載された内部架橋剤が本発明の内部架橋剤として用いられる。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の内部架橋剤が選択される。
上記内部架橋剤として、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を示す化合物、更に好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上有する化合物が用いられる。
上記「重合性不飽和基」としては、特に限定されないが、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基が挙げられ、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記「(ポリ)アルキレングリコール構造単位」としては、特に限定されないが、好ましくはポリエチレングリコールであり、そのn数としては好ましくは1〜100、より好ましくは6〜50の範囲内である。
上記内部架橋剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.005〜2モル%、より好ましくは0.01〜1モル%、更に好ましくは0.05〜0.5モル%の範囲内で適宜設定される。該使用量をこの範囲内とすることで、所望する物性を有する吸水性樹脂が得られる。
上記内部架橋剤として重合性不飽和基を2個以上有する化合物を使用する場合、該内部架橋剤の重合を防止するために、重合禁止剤が含まれている。該重合禁止剤は、上述したアクリル酸の含まれる重合禁止剤と同じ物質が使用されることが好ましい。具体的には、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp−メトキシフェノール類である。
上記内部架橋剤に含有する重合禁止剤は、単量体水溶液の重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、アクリル酸中の濃度と同じとすることもできるが、内部架橋剤の使用量が極めて少量であることから、アクリル酸中の濃度より高濃度とすることが好ましい。これは、内部架橋剤を溶液状態とした際の安定性の低下に起因するものであり、取扱性の観点から、溶液状態で使用することが多いためでもある。
本発明においては、所定量の内部架橋剤を単量体水溶液に予め含有させておき、重合反応と同時に架橋反応を行う方法が好ましく適用されるが、この方法以外に、重合中や重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法や、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、電子線や紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用してもよい。また、これらの方法を併用することもできる。
(他の単量体)
本発明においては「他の単量体」として、米国特許出願公開第2005/0215734号に記載された他の単量体(アクリル酸は除く)を上記アクリル酸(塩)と併用してもよい。なお、本発明の吸水性樹脂には、水溶性又は疎水性の不飽和単量体を共重合成分とする吸水性樹脂も含まれる。
本発明においては「他の単量体」として、米国特許出願公開第2005/0215734号に記載された他の単量体(アクリル酸は除く)を上記アクリル酸(塩)と併用してもよい。なお、本発明の吸水性樹脂には、水溶性又は疎水性の不飽和単量体を共重合成分とする吸水性樹脂も含まれる。
(重合開始剤)
本発明において、米国特許第7265190号に記載された重合開始剤が本発明の重合開始剤として用いられる。これらの中から取扱性を考慮して1種又は2種以上の重合開始剤が選択される。
本発明において、米国特許第7265190号に記載された重合開始剤が本発明の重合開始剤として用いられる。これらの中から取扱性を考慮して1種又は2種以上の重合開始剤が選択される。
上記重合開始剤は、重合形態等に応じて適宜設定されるため、特に限定されないが、好ましくは熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、これらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤から選択される。中でも、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
上記重合開始剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.001〜0.5モル%の範囲内で適宜設定される。また、上記還元剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.0001〜0.02モル%の範囲内で適宜設定される。
本発明において、上記重合開始剤は、ベルト重合機に供給する前に単量体と混合してもよく、ベルト重合機のベルト上で単量体と混合してもよい。これらの形態を併用することもできる。
また、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を行ってもよく、これらの活性エネルギー線と上記重合開始剤とを併用してもよい。
(その他の成分)
本発明においては、グラフト成分、増粘剤、キレート剤、界面活性剤等のその他の成分を、適宜上記単量体水溶液に添加してもよい。
本発明においては、グラフト成分、増粘剤、キレート剤、界面活性剤等のその他の成分を、適宜上記単量体水溶液に添加してもよい。
(単量体成分の濃度)
本発明においては、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体成分の濃度が好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜75重量%、更に好ましくは30〜70重量%の範囲内となるように、上述した各物質及び水を混合して、単量体水溶液が作製される。
本発明においては、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体成分の濃度が好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜75重量%、更に好ましくは30〜70重量%の範囲内となるように、上述した各物質及び水を混合して、単量体水溶液が作製される。
上記「単量体成分の濃度」は下記式(1)による求められる値であり、式(1)中の単量体水溶液の重量には、グラフト成分等の重量は含まれない。
本発明で使用される単量体水溶液には、上記アクリル酸から持ち込まれる重合禁止剤が含まれる。したがって、該重合禁止剤としてはアクリル酸に用いられたものと同じであることが好ましく、単量体水溶液中の濃度としては、上記単量体成分の重合基準で、好ましくは200ppm以下、より好ましくは8〜160ppm、更に好ましくは16〜100ppmの範囲内となる。
(2−2)重合工程
本工程は、上記工程で得られた単量体水溶液を、ベルト重合機を用いて重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
本工程は、上記工程で得られた単量体水溶液を、ベルト重合機を用いて重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
また、本発明は、上述したアクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液を作製する、単量体水溶液作製工程と、上記単量体水溶液をベルト重合機に供給して連続的に重合する、重合工程とを含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記ベルト重合機のベルト上に、該ベルトの進行方向にn本の堰が具備されており、両側を上記堰で区切られたn−1の帯域のうち、1以上の帯域に、上記単量体水溶液を供給することを特徴とする。
(ベルト重合機)
本発明のベルト重合機は、ベルトの進行方向にn本の堰(nは3以上の整数)がベルト上に具備され、両側を上記堰で区切られたn−1の帯域を有する、ベルト重合機である。
本発明のベルト重合機は、ベルトの進行方向にn本の堰(nは3以上の整数)がベルト上に具備され、両側を上記堰で区切られたn−1の帯域を有する、ベルト重合機である。
本発明のベルト重合機において、ベルトの材質としては、上記単量体水溶液を積載でき、エンドレスベルトとして回転できればよく特に限定されないが、金属製でも樹脂製でもよく、これらの材質が複合化されたベルトでもよい。また、当該ベルトの表面(上記単量体水溶液と接触する部分)は、上記単量体水溶液を積載できるように連続面(帯状)とするが、別途、支持体としてワイヤーベルトやメッシュベルトと下部に使用することもできる。
本発明で用いられるベルト重合機を、図面(図1〜図3、図5〜図8)を用いて説明するが、当該ベルト重合機が3本以上の堰を有する限り、これらの図面(図1〜図3、図5〜図8)に記載されたベルト重合機に限定されるものではない。
図1〜図3に示したベルト重合機は、チェーン3に固定された金属製ベルト10、該金属製ベルト10に固定された樹脂製ベルト20、該樹脂製ベルト20上にベルトの進行方向と同じ方向に設置された3以上(図2及び図3では4つ)の堰2aから構成されている。
また、回転部4を回転させることによって、上記チェーン3を駆動させ、上記チェーン3の動きに伴って、上記金属製ベルト10、上記樹脂製ベルト20及び上記堰2aが一体となって可動する構造となっている。
(金属製ベルト)
本発明で用いることができる金属製ベルトとしては、特に限定されないが、金属製ベルトは熱伝導性や耐久性に優れるという利点を有することから、好ましくはステンレス製である。
本発明で用いることができる金属製ベルトとしては、特に限定されないが、金属製ベルトは熱伝導性や耐久性に優れるという利点を有することから、好ましくはステンレス製である。
また、上記ベルト重合機は、前後の末端部で折り返すため、上記金属製ベルトの形状としては、いわゆるキャタピラ構造とすることが好ましい。
(樹脂製ベルト)
本発明で用いることができる樹脂製ベルトとしては、前後の末端部で折り返すため、樹脂製ベルトの性能として伸縮性があればよいが、アクリル酸(塩)系単量体を重合させて得られる含水ゲルは粘着性が高いため、好ましくは更に付着防止性も要求される。
本発明で用いることができる樹脂製ベルトとしては、前後の末端部で折り返すため、樹脂製ベルトの性能として伸縮性があればよいが、アクリル酸(塩)系単量体を重合させて得られる含水ゲルは粘着性が高いため、好ましくは更に付着防止性も要求される。
このような観点から、上記樹脂製ベルトの材質、特に単量体水溶液と接している部分の材質として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブテン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリアミド、天然又は合成ゴム、ポリエステル樹脂、エポキシド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも耐久性の観点から、シリコーン樹脂が好ましい。
上記シリコーン樹脂について、本発明のベルト重合機に用いる際の耐久性と伸縮性とのバランスの観点から、該シリコーン樹脂の引張強度(JIS K6251(2010)で規定)は、好ましくは5〜20MPa、より好ましくは8〜14MPaの範囲内とすればよい。
また、上記ベルト重合機の大型化を図る場合、ベルトに対して十分な強度が要求される。そのため、金属製ベルトを使用したり、金属製ベルトの表面に上記樹脂をコートしたりする方法が考えられる。しかしながら、上述した伸縮性や付着防止を考慮すると、繊維基材を内部又は下部に含む樹脂製ベルトを使用することが好ましい。
上記繊維基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維、ポリイミン(PI)繊維、m−アラミド繊維、p−アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキザゾール(PBO)繊維、ガラスクロス繊維から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明においては、好ましくは上記ベルト重合機のベルトが上記樹脂製ベルトであり、該樹脂製ベルトは上記金属ベルトに支持又は固定されていることが好ましい。なお、該「固定」とは、樹脂製ベルトと金属製ベルトとは分離・分解が可能であるものの、実使用の際には、樹脂製ベルトと金属製ベルトとが一体となっている状態を意味する。
(堰の材質)
本発明で用いられるベルト重合機を構成する堰は、上記樹脂製ベルト上に、ベルトの進行方向と同じ方向に設置されるものであり、樹脂製ベルト以上の伸縮性が要求される。また、樹脂製ベルトと同様、アクリル酸(塩)系単量体を重合させて得られる含水ゲルは粘着性が高いため、付着防止も要求される。
本発明で用いられるベルト重合機を構成する堰は、上記樹脂製ベルト上に、ベルトの進行方向と同じ方向に設置されるものであり、樹脂製ベルト以上の伸縮性が要求される。また、樹脂製ベルトと同様、アクリル酸(塩)系単量体を重合させて得られる含水ゲルは粘着性が高いため、付着防止も要求される。
このような観点から、上記堰の材質、特に単量体水溶液と接している部分の材質としては樹脂であることが好ましく、具体的には、ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、ウレタン樹脂(ゴム)、フッ素樹脂(ゴム)、シリコーン樹脂(ゴム)等が挙げられる。これらの中でも耐久性や付着防止の観点から、シリコーン樹脂が好ましく、ミラブル型のシリコーンゴムがより好ましい。
上記シリコーン樹脂について、本発明のベルト重合機に用いる際の耐久性と伸縮性とのバランスの観点から、該シリコーン樹脂の引張強度(JIS K6251(2010)で規定)は、上記樹脂製ベルトと同様、好ましくは5〜20MPa、より好ましくは8〜14MPaの範囲内とすればよい。
(堰の大きさ)
本発明において、ベルト重合機に設置される堰の大きさ(高さや厚み)は、堰の強度や単量体水溶液の積載量に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、堰の高さとして好ましくは1〜40cm、堰の厚みとして好ましくは0.1〜10cmの範囲内で適宜設定される。
本発明において、ベルト重合機に設置される堰の大きさ(高さや厚み)は、堰の強度や単量体水溶液の積載量に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、堰の高さとして好ましくは1〜40cm、堰の厚みとして好ましくは0.1〜10cmの範囲内で適宜設定される。
(堰の設置方法)
図5〜図7に本発明のおける堰の設置方法の一実施形態を示したが、本発明における堰の設置方法は、ベルトの進行方向に設置されていればよく、特に限定されない。
図5〜図7に本発明のおける堰の設置方法の一実施形態を示したが、本発明における堰の設置方法は、ベルトの進行方向に設置されていればよく、特に限定されない。
具体的には、(1)ベルトと共に移動する堰として、ベルト上に直接、堰を設置する方法や、(2)摺接して固設する方法、(3)ベルト自体を折り曲げたり、湾曲させたりして堰を形成する方法が挙げられる。なお、上記(1)の方法では、堰がベルト上を一周するように設置される。また、上記(2)の方法では、ベルトの一部のみに堰を設置することができる(図6、図7参照)。また、これらの設置形態が異なる堰を併用することもできる。
また、本発明においては、取扱性の観点から、少なくとも2本の堰はベルトに直接設置する方法(上記(1)の方法)を採用することが好ましい。
また、上記堰は、ベルトの進行方向に設置されるが、かような堰はベルトの進行方向と平行な直線状の堰に限定されず、上記2本以上の堰が互いに接したり、交差したりしない範囲で、ベルトの進行方向に対して斜め向き(図7参照)としてもよいし、直線に限らず、一部でカーブ又は角を有していてもよい。好ましくは連続運転のし易さから、直線状の堰をベルトの進行方向と平行に設置される。
(堰の本数)
本発明において、上記堰は、上記ベルト上に、ベルトの進行方向に、必須に3以上、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜6設置される。該堰の設置によって、幅が狭く均等な厚みの含水ゲルが得られるため、次工程で効率良くゲル粉砕でき、結果として高物性の吸水性樹脂粉末を安定的に得ることができる。なお、3本以上の堰は、その材質や形状、設置方法について、すべて同じであってもよいし、一部が異なっていてもよい。
本発明において、上記堰は、上記ベルト上に、ベルトの進行方向に、必須に3以上、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜6設置される。該堰の設置によって、幅が狭く均等な厚みの含水ゲルが得られるため、次工程で効率良くゲル粉砕でき、結果として高物性の吸水性樹脂粉末を安定的に得ることができる。なお、3本以上の堰は、その材質や形状、設置方法について、すべて同じであってもよいし、一部が異なっていてもよい。
本発明において、上述したように、上記堰は、ベルト上の一部のみに設置される場合もある。そのため、ベルトの幅方向に対して、一部でも堰が3本以上となっていれば、本発明の範囲である。なお、上記堰が3本以上設置される範囲としては、ベルトの有効長(単量体水溶液が供給される位置から含水ゲルが排出される位置までの長さ)に対して、好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%の範囲内で適宜設定される。
(両側を堰で区切られた帯域)
従来のベルト重合機は、ベルトの両端に2つの堰を有しているか、又は、ベルトの両端を上向きに湾曲させたものであるため、単量体水溶液及び/又は含水ゲルが積載される帯域は1つであった(非特許文献1;Fig.3.5 p.82)。一方、本発明のベルト重合機は、ベルトの幅方向に2以上(n−1)の帯域を有する。
従来のベルト重合機は、ベルトの両端に2つの堰を有しているか、又は、ベルトの両端を上向きに湾曲させたものであるため、単量体水溶液及び/又は含水ゲルが積載される帯域は1つであった(非特許文献1;Fig.3.5 p.82)。一方、本発明のベルト重合機は、ベルトの幅方向に2以上(n−1)の帯域を有する。
なお、上記「帯域」とは、ベルト上で両側を堰で区切られた部分(区画)のことを指す。したがって、上記堰がベルトの一部のみに設置される場合は、堰が設置された範囲内で区切られた部分(区画)を指す。
(帯域の幅)
本発明において、両側を上記堰で区切られた帯域の、1つあたりの幅は、ベルト重合機のベルト幅に対して、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜80%、更に好ましくは25〜70%の範囲内で適宜設定すればよい。例えば、ベルト幅が3mの場合、好ましくは0.3〜2.7m、より好ましくは0.6〜2.4m、更に好ましくは0.8〜2.1mとなる。上記部分の幅を上記範囲内とすることで、下記の重合形態((a)〜(g))を効率良く実施することができる。
本発明において、両側を上記堰で区切られた帯域の、1つあたりの幅は、ベルト重合機のベルト幅に対して、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜80%、更に好ましくは25〜70%の範囲内で適宜設定すればよい。例えば、ベルト幅が3mの場合、好ましくは0.3〜2.7m、より好ましくは0.6〜2.4m、更に好ましくは0.8〜2.1mとなる。上記部分の幅を上記範囲内とすることで、下記の重合形態((a)〜(g))を効率良く実施することができる。
(重合形態)
本発明において、上記堰と堰とで区切られた部分の使用方法として、下記(a)〜(g)の形態が挙げられるが、これらのうち、少なくとも1以上を行うことが好ましい。
本発明において、上記堰と堰とで区切られた部分の使用方法として、下記(a)〜(g)の形態が挙げられるが、これらのうち、少なくとも1以上を行うことが好ましい。
(a)複数の部分に単量体水溶液を供給して重合させる形態
本形態は、上記n本(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは全ての帯域に、上記単量体水溶液を供給して重合させる形態である。かような形態とすることで、ベルト面を有効活用でき、ベルトの幅方向にたわみが生じたとしても、ベルト上の含水ゲルの厚みをほぼ均等にすることができる。その結果として得られる吸水性樹脂のExt(水可溶分)や残存モノマーを低減させることができ、また、これらの物性の振れも小さくなるため、好ましい。更に、本形態によって板状の含水ゲルが複数枚で作製されるが、同じ生産量で板状の含水ゲルを1枚作製する場合に対して、次工程のゲル粉砕の負荷を低減することができるため、好ましい。
本形態は、上記n本(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは全ての帯域に、上記単量体水溶液を供給して重合させる形態である。かような形態とすることで、ベルト面を有効活用でき、ベルトの幅方向にたわみが生じたとしても、ベルト上の含水ゲルの厚みをほぼ均等にすることができる。その結果として得られる吸水性樹脂のExt(水可溶分)や残存モノマーを低減させることができ、また、これらの物性の振れも小さくなるため、好ましい。更に、本形態によって板状の含水ゲルが複数枚で作製されるが、同じ生産量で板状の含水ゲルを1枚作製する場合に対して、次工程のゲル粉砕の負荷を低減することができるため、好ましい。
また、上記n本(nは3以上の整数)の堰で区切られた複数の帯域への上記単量体水溶液の供給方法は、帯域ごとに設置された供給ノズルを使用して、該単量体水溶液をベルト上に吐出させることが好ましいが、すべての帯域にそれぞれ供給ノズルを設置する必要はなく、供給ノズルが設置されている帯域から設置されていない帯域へオーバーフローさせてもよく、この場合も本形態に含まれる。
本形態では、上記単量体水溶液は、ベルトの単位面積あたりの供給量、単量体水溶液の組成及び温度から選ばれる少なくとも1つを、上記帯域ごとに変化させてもよい。上記帯域ごとに異なる条件を適用することで、該帯域ごとに異なる含水ゲルが得られることになるが、大型のベルト重合機では、原因が定かではないものの、ベルトの幅方向で重合状態が異なる場合があり、帯域ごとに条件変更が可能な本発明では、却って各帯域で得られる含水ゲルを同質なものにすることができる。
(b)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合と、アクリル酸(塩)を主成分としない単量体の重合とを同時に行う形態
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、少なくとも1の帯域でアクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合を行い、別の少なくとも1の帯域でアクリル酸(塩)を主成分としない単量体の重合を同時に行う形態である。なお、本形態で得られる重合体は2種類の重合体の混合物となるものの、上記(1−1)「吸水性樹脂」及び(1−2)「ポリアクリル酸(塩)」は満たされている。
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、少なくとも1の帯域でアクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合を行い、別の少なくとも1の帯域でアクリル酸(塩)を主成分としない単量体の重合を同時に行う形態である。なお、本形態で得られる重合体は2種類の重合体の混合物となるものの、上記(1−1)「吸水性樹脂」及び(1−2)「ポリアクリル酸(塩)」は満たされている。
上記アクリル酸(塩)を主成分としない単量体としては、カチオン性単量体、ノニオン性単量体、アニオン性単量体の何れでもよく、本発明のベルト重合が実施可能な、公知の単量体を選択すればよい。
上記カチオン性単量体としては、特に限定されないが、アミノアルキル(メタ)アクリレートの四級塩、アミノアルキルアリルエーテル四級塩等が挙げられる。
上記ノニオン性単量体としては、特に限定されないが、取扱性の観点から、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、上記アルキル基は何れも炭素数がC2〜C6であることが好ましく、アルキレンオキサイドユニットが2〜10であることが好ましい。
上記アニオン性単量体としては、特に限定されないが、耐塩性の観点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体が挙げられる。
上述したカチオン性単量体、ノニオン性単量体又はアニオン性単量体に、単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、50モル%未満のアクリル酸を加えて、共重合することもできる。
本形態(b)で得られる吸水性樹脂は、塩濃度の高い水溶液や多価金属を含有する水溶液の吸水性に効果を発揮する。該効果は、国際公開第96/17681号や、特開平2−253845号等に既に記載されているものの、組成の異なる吸水性樹脂を1のベルト重合機で効率よく生産を行うことについては、上記特許文献には記載も示唆もない。
(c)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合と、含水ゲル状架橋重合体の熟成を同時に行う形態
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、少なくとも1の帯域においてアクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合を行い、別の少なくとも1の帯域で含水ゲル状架橋重合体の熟成を同時に行う形態である。かような形態とすることで、新規の装置を導入することなく、残存モノマーの低減が図れ、取扱性が向上する。なお、含水ゲルの熟成中であってもわずかに重合反応が進行していると考えられるが、ベルト重合機に含水ゲルを供給している点で、上記形態(a)及び形態(b)とは区別される。
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、少なくとも1の帯域においてアクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合を行い、別の少なくとも1の帯域で含水ゲル状架橋重合体の熟成を同時に行う形態である。かような形態とすることで、新規の装置を導入することなく、残存モノマーの低減が図れ、取扱性が向上する。なお、含水ゲルの熟成中であってもわずかに重合反応が進行していると考えられるが、ベルト重合機に含水ゲルを供給している点で、上記形態(a)及び形態(b)とは区別される。
(d)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合と、微粉造粒物の熟成を同時に行う形態
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、少なくとも1の帯域においてアクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合を行い、別の少なくとも1の帯域で微粉造粒物の熟成を同時に行う形態である。かような形態とすることで、新規の装置を導入することなく、微粉造粒物の付着性が低減され、取扱性が向上する。
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、少なくとも1の帯域においてアクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合を行い、別の少なくとも1の帯域で微粉造粒物の熟成を同時に行う形態である。かような形態とすることで、新規の装置を導入することなく、微粉造粒物の付着性が低減され、取扱性が向上する。
なお、上記「微粉造粒物」とは、吸水性樹脂の微粉と水とを混合することで得られる大きな含水ゲル粒子を意味する。本発明では、後述の「微粉の再利用工程」の一形態として得られるものである。
(e)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合における、突発的な単量体水溶液及び/又は含水ゲルのオーバーフローを防止する第2の堰としての使用形態
本形態は、図5又は図7に示したように、堰が4本、帯域が3であるベルト重合機に好ましく適用される形態である。本形態では、中央部の帯域のみに単量体水溶液を供給して、連続重合が行われるが、かような形態では、アクリル酸(塩)系を主成分とする単量体の重合における、突発的な単量体水溶液及び/又は含水ゲルのオーバーフローが生じても、堰が2重に設置されているため、重合を停止することなく、又は、部分停止させたとしても重合の再開が容易となる。
本形態は、図5又は図7に示したように、堰が4本、帯域が3であるベルト重合機に好ましく適用される形態である。本形態では、中央部の帯域のみに単量体水溶液を供給して、連続重合が行われるが、かような形態では、アクリル酸(塩)系を主成分とする単量体の重合における、突発的な単量体水溶液及び/又は含水ゲルのオーバーフローが生じても、堰が2重に設置されているため、重合を停止することなく、又は、部分停止させたとしても重合の再開が容易となる。
なお、従来技術では、上記オーバーフローに対して、堰の高さを高くする方法等で対処してきたが、かような対処方法では、含水ゲルの剥離やベルトの回転が困難であり、結果として生産性の低下を招くという問題があった。一方、本発明では、堰を過度に高くする必要もなく、上記オーバーフローに対して迅速に対処することができ、高い生産性を維持した状態で連続重合が可能である。
(f)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体の重合と、ベルト補修を同時に行う形態
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、1つ以上の帯域で重合を行うのと同時に、別の帯域においてベルト補修を行う形態である。
本形態は、上記n個(nは3以上の整数)の堰で区切られたn−1の帯域のうち、1つ以上の帯域で重合を行うのと同時に、別の帯域においてベルト補修を行う形態である。
なお、上記「ベルト補修」とは、上記ベルトの損傷部に接着剤や充填剤を塗布する等の行為のみならず、該接着剤や充填剤が乾燥、硬化するまでの待ち時間、即ち、乾燥・硬化時間も含まれる概念である。
上記乾燥・硬化時間は、使用する接着剤や充填剤の種類や量によって異なり、通常は、これら接着剤や充填剤のメーカーが推奨する乾燥・硬化時間を採用すればよいが、該乾燥・硬化時間が長時間になるほど、上記ベルト補修に時間が取られ、生産性の低下を招くことになる。しかしながら、本発明を採用することによって、補修が必要でない帯域で上記単量体の重合を行うことができるため、生産性の低下を抑えることができる。
なお、上記ベルトの損傷部に接着剤や充填剤を塗布する際は、作業性の観点から、ベルト重合機を一旦停止してから行えばよい。また、ベルト全体に渡って補修が必要な場合は、本形態を適用する必要はない。
(g)一部分のみのベルトを更新する形態
本形態は、上記ベルト重合機のメンテナンス方法に関するものである。つまり、上記ベルト重合機において、重合工程を一旦停止し、上記ベルト重合機の堰で区切られた帯域の一部でベルトを更新し、重合工程を再開する、ベルト重合機のメンテナンス方法である。
本形態は、上記ベルト重合機のメンテナンス方法に関するものである。つまり、上記ベルト重合機において、重合工程を一旦停止し、上記ベルト重合機の堰で区切られた帯域の一部でベルトを更新し、重合工程を再開する、ベルト重合機のメンテナンス方法である。
上記ベルト重合機は、長期間の使用によって、摩耗や破損等によるトラブルが発生し易くなる。そのため、摩耗や破損が見つかった際には、その補修や交換(以下、「更新」と称する場合もある)が必要となるが、従来のベルト重合機では、例えば破損が、ベルトの極一部であったとしても、ベルト全体を交換する必要があり、生産性の低下やコストアップとなっていた。
一方で、上記ベルトの摩耗や破損は、使用状況や使用期間、含水ゲルの付着程度等によって、同じベルトであっても場所によって異なっていた。そこで本発明のように、ベルト上に堰を設け、その堰で区切られた帯域ごとに補修や交換を行えるようにすることで、更新が必要な帯域を選択することができ、その結果として、生産性の低下やコストアップを抑制することができる。なお、更新が必要な帯域は、破損等の損傷箇所の数、過去に補修した箇所の数、使用期間、含水ゲルの付着程度等を参考にして、決定される。
(重合機の大きさ)
本発明の課題は、大スケールの製造において生じることは明らかである。そのため、本発明で用いられるベルト重合機のベルト幅として、好ましくは1m以上、より好ましくは1.5m以上、更に好ましくは2m以上である。
本発明の課題は、大スケールの製造において生じることは明らかである。そのため、本発明で用いられるベルト重合機のベルト幅として、好ましくは1m以上、より好ましくは1.5m以上、更に好ましくは2m以上である。
上記ベルト幅の上限やベルトの有効長(単量体水溶液が供給される位置から含水ゲルが排出される位置までの長さ)は、適宜設定されるが、例えば、ベルト幅の上限は10m以下が好ましい。なお、ベルトの有効長は好ましくは1〜500m、より好ましくは2〜200mの範囲内である。また、ベルト幅とベルトの有効長との比についても、適宜設定されるが、好ましくは1:1〜1:500、より好ましくは1:2〜1:100の範囲内である。
(その他の重合条件)
本発明においては、空気雰囲気下で上記重合を行うこともできるが、重合時間の短縮や得られる吸水性樹脂の水可溶分低減の観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で上記重合を行うことが好ましい。なお、この場合、上記ベルト重合機内の酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。また、上記単量体水溶液中の溶存酸素についても、上記不活性ガスを用いて置換し、溶存酸素を1mg/l未満に制御することが好ましい。かような状態とすることで、残存モノマーの少ない吸水性樹脂を得ることができる。
本発明においては、空気雰囲気下で上記重合を行うこともできるが、重合時間の短縮や得られる吸水性樹脂の水可溶分低減の観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で上記重合を行うことが好ましい。なお、この場合、上記ベルト重合機内の酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。また、上記単量体水溶液中の溶存酸素についても、上記不活性ガスを用いて置換し、溶存酸素を1mg/l未満に制御することが好ましい。かような状態とすることで、残存モノマーの少ない吸水性樹脂を得ることができる。
また、上記ベルト重合機内の圧力は、排気等によって、減圧としてもよい。
本発明においては、単量体水溶液に気泡(特に上記の不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合とすることもできる。該発泡重合で得られる吸水性樹脂は、その内部に気泡を有し、比表面積が大きくなるため、吸水速度が向上する。
本発明においては、上記重合期間中に固形分濃度を上昇させることもできる。該固形分濃度の上昇の指標として、下記式(2)で規定される「固形分濃度上昇度」で評価される。なお、本発明における該固形分濃度上昇度は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。
上記式(2)中の「単量体水溶液の固形分濃度」とは、下記式(3)により算出される値であり、下記式(3)中の「重合系内の成分」とは、単量体水溶液、グラフト成分、吸水性樹脂及びその他の固形分(例えば、水不溶性微粒子等)を指す。
(熟成)
本発明において、上記重合により得られる含水ゲルは、残存モノマー低減の観点から、作製後一定期間熟成させることが好ましい。その際、上記形態(c)で述べたように、ベルト重合機の、堰で区切られた複数の部分を利用して、重合と熟成を同時に行うことが好ましい。
本発明において、上記重合により得られる含水ゲルは、残存モノマー低減の観点から、作製後一定期間熟成させることが好ましい。その際、上記形態(c)で述べたように、ベルト重合機の、堰で区切られた複数の部分を利用して、重合と熟成を同時に行うことが好ましい。
(2−3)ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、ニーダー及びミートチョッパー等のスクリュー押出し機並びにカッターミル等のゲル粉砕機を用いてゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、ニーダー及びミートチョッパー等のスクリュー押出し機並びにカッターミル等のゲル粉砕機を用いてゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。
本発明においては、上記重合工程で、ベルト重合機の堰の数−1個分の板状の含水ゲルが得られる。したがって、得られる板状の含水ゲルの数と同数のゲル粉砕機を用いてもよいし、1基のゲル粉砕機を用いて複数の板状の含水ゲルを処理してもよい。
本発明で得られる板状の含水ゲルは、従来技術(堰の数が2個で幅の広い板状の含水ゲル)に比べ、堰によってベルトの進行方向に分割されているため、幅が狭く、また、厚みもほぼ均等であるため、上記ゲル粉砕機でのゲル粉砕が行い易く、ゲル粉砕効率がよいものとなる。その結果として、得られる吸水性樹脂の物性が向上する。
上記以外のゲル粉砕の形態や条件については、国際公開第2011/126079号に記載された内容が本発明にも適用される。
(2−4)乾燥工程
本工程は、上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する範囲の樹脂固形分まで乾燥させて、乾燥重合体を得る工程である。なお、該「樹脂固形分」は、乾燥減量(試料1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められる値であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%以上、更に好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%の範囲内で適宜設定される。
本工程は、上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する範囲の樹脂固形分まで乾燥させて、乾燥重合体を得る工程である。なお、該「樹脂固形分」は、乾燥減量(試料1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められる値であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%以上、更に好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%の範囲内で適宜設定される。
上記粒子状含水ゲルの乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤ乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。これらの中でも、乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。また、静置式の熱風乾燥機を使用することもできるが、工業的なスケールでの実施を考慮すると、上記通気ベルト乾燥機を使用した連続バンド乾燥が更に好ましい。
上記熱風乾燥における乾燥温度(本発明では「熱風温度」と同じ)は、乾燥効率や吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜220℃の範囲内で適宜設定される。
上記熱風乾燥における乾燥時間や、熱風の風速等の乾燥条件については、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号に記載された内容が本発明にも適用される。
(2−5)粉砕工程、分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所望する範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末を得る工程である。なお、表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を本発明では便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する。
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所望する範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末を得る工程である。なお、表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を本発明では便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する。
上記乾燥重合体の粉砕時に用いられる機器としては、特に限定されないが、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機や、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要に応じて併用される。
また、上記粉砕後の粒度調整方法は、特に限定されないが、例えば、JIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。
(吸水性樹脂粉末の粒度)
上記一連の操作で得られる吸水性樹脂粉末は、以下の粒度を有する。
上記一連の操作で得られる吸水性樹脂粉末は、以下の粒度を有する。
即ち、重量平均粒子径(D50)としては、好ましくは200〜600μm、より好ましくは200〜550μm、更に好ましくは250〜500μm、特に好ましくは300〜450μmの範囲内となるように調整される。
また、粒子径が150μm未満である粒子(以下、「微粉」と称する場合もある)の割合としては、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下となるように、また、粒子径が850μm以上である粒子(以下、「粗大粒子」と称する場合もある)の割合としては、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下となるように、それぞれ調整される。なお、これらの微粉や粗大粒子の割合の下限値は、何れの場合も少ないほど好ましく0重量%が好ましいが、0.1重量%程度であってもよい。
更に、粒度分布の対数標準偏差(σζ)としては、好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.40、更に好ましくは0.27〜0.35の範囲内となるように調整される。
上述した各粒度は、米国特許第7638570号やEDANA ERT420.2−02に記載されている測定方法に準拠して、標準篩を用いて測定される。
上述した各粒度は、吸水性樹脂粉末のみならず、表面架橋後の吸水性樹脂(以下、便宜上「吸水性樹脂粒子」と称する場合がある)や、最終製品としての吸水性樹脂(以下、便宜上「粒子状吸水剤」と称する場合がある)についても適用される。そのため、吸水性樹脂粒子や粒子状吸水剤において、上記粒度を維持するように、表面架橋処理されることが好ましく、表面架橋工程以降に整粒工程を設けて粒度調整されることがより好ましい。
(吸水性樹脂粉末の物性)
上記一連の操作で得られる吸水性樹脂粉末は、以下の物性を有する。
上記一連の操作で得られる吸水性樹脂粉末は、以下の物性を有する。
即ち、CRC(遠心分離機保持容量)としては、好ましくは40g/g以上、より好ましくは41g/g以上である。上限値については特に限定されず、高値ほど好ましいが、他の物性とのバランスから好ましくは60g/g以下、より好ましくは50g/g以下である。また、Ext(水可溶分)としては、好ましくは13重量%以下、より好ましくは12重量%以下である。下限値については特に限定されず、好ましくは0重量%、より好ましくは0.1重量%程度である。更に、残存モノマーとしては、好ましくは320ppm以下、より好ましくは310ppm以下である。下限値については特に限定されず、好ましくは0ppm、より好ましくは10ppm程度である。
表面架橋前の吸水性樹脂粉末の物性を上記範囲内に制御することで、所望する範囲の製品としての吸水樹脂が得られる。
(2−6)その他の工程
本発明に係る製造方法で得られた吸水性樹脂粉末は、そのままでも製品として販売することもできるが、通常は、表面架橋工程、整粒工程、微粉除去工程、造粒工程、微粉再利用工程等を経て得られる、最終製品としての吸水性樹脂とすることが好ましい。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等を更に含んでもよい。以下、主な工程について簡単に説明する。なおこれらの工程は国際公開第2014/041968号や同第2014/041969号等に記載されている内容が、本発明にも適用される。
本発明に係る製造方法で得られた吸水性樹脂粉末は、そのままでも製品として販売することもできるが、通常は、表面架橋工程、整粒工程、微粉除去工程、造粒工程、微粉再利用工程等を経て得られる、最終製品としての吸水性樹脂とすることが好ましい。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等を更に含んでもよい。以下、主な工程について簡単に説明する。なおこれらの工程は国際公開第2014/041968号や同第2014/041969号等に記載されている内容が、本発明にも適用される。
(表面架橋工程)
上記粉砕工程、分級工程を経て得られる吸水性樹脂粉末は、必要に応じて、その表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmまでの部分)に架橋密度の高い部分を設けてもよい。なお、本発明においては、公知の表面架橋技術が適宜適用される。
上記粉砕工程、分級工程を経て得られる吸水性樹脂粉末は、必要に応じて、その表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmまでの部分)に架橋密度の高い部分を設けてもよい。なお、本発明においては、公知の表面架橋技術が適宜適用される。
(整粒工程)
上記表面架橋工程を経て得られる緩く凝集した吸水性樹脂粒子は、本工程で解され、粒子径が整えられる。なお、本工程に、表面架橋工程以降の微粉除去工程、含水ゲルの解砕工程や分級工程が含まれるものとする。
上記表面架橋工程を経て得られる緩く凝集した吸水性樹脂粒子は、本工程で解され、粒子径が整えられる。なお、本工程に、表面架橋工程以降の微粉除去工程、含水ゲルの解砕工程や分級工程が含まれるものとする。
(微粉再利用工程)
本工程は、上記分級工程や整粒工程等で分離された微粉を、吸水性樹脂の何れかの工程に供給して再利用する工程である。該再利用する形態としては、該微粉をそのまま供給する形態、該微粉と水とを混合することで大きな含水ゲルにした状態で吸水性樹脂の何れかの工程に供給する形態等が挙げられる。
本工程は、上記分級工程や整粒工程等で分離された微粉を、吸水性樹脂の何れかの工程に供給して再利用する工程である。該再利用する形態としては、該微粉をそのまま供給する形態、該微粉と水とを混合することで大きな含水ゲルにした状態で吸水性樹脂の何れかの工程に供給する形態等が挙げられる。
なお、上記微粉をそのまま供給する形態では、アクリル酸、塩基性化合物、単量体水溶液の何れかに分散させることが好ましい。また、大きな含水ゲルにした状態で吸水性樹脂の何れかの工程に供給する形態では、特開平11−254429号や国際公開第2009/31701号等に記載された内容が、本発明にも適用される。
以下の実施例・比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
なお、実施例及び比較例で使用する電気機器(吸水性樹脂の物性測定も含む)は、特に注釈のない限り、200V又は100Vの電源を使用した。また、本発明の吸水性樹脂の諸物性は、特に注釈のない限り、室温(20〜25℃)、相対湿度50%RH±10%の条件下で測定した。
また、便宜上、「リットル」を「l」又は「L」、「重量%」を「wt%」と表記する場合がある。
[吸水性樹脂の物性測定]
(a)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
(a)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
(b)Ext(水可溶分)
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、EDANA法(ERT470.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、EDANA法(ERT470.2−02)に準拠して測定した。
(c)残存モノマー
本発明の吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。
[比較例1]
ポリアクリル酸(塩)系の吸水性樹脂の重合装置として、図1及び図4に示した仕様のベルト重合機(ベルト幅2.1m)を準備した。該ベルト重合機は、樹脂製ベルト20上に単量体水溶液を供給することによって、該樹脂製ベルト20上で重合反応が行われるものである。また、樹脂製ベルト20は、幅方向にたわみが生じていた。樹脂製ベルト20上には、ベルトの進行方向と同じ方向に2本の樹脂製の堰が設置され、その堰の間隔は2mであった。なお、樹脂製ベルト及び樹脂製の堰の材質に、シリコーン樹脂を採用した。
ポリアクリル酸(塩)系の吸水性樹脂の重合装置として、図1及び図4に示した仕様のベルト重合機(ベルト幅2.1m)を準備した。該ベルト重合機は、樹脂製ベルト20上に単量体水溶液を供給することによって、該樹脂製ベルト20上で重合反応が行われるものである。また、樹脂製ベルト20は、幅方向にたわみが生じていた。樹脂製ベルト20上には、ベルトの進行方向と同じ方向に2本の樹脂製の堰が設置され、その堰の間隔は2mであった。なお、樹脂製ベルト及び樹脂製の堰の材質に、シリコーン樹脂を採用した。
上記ベルト重合機は、原料供給口や生成物排出口等の物質が出入りする箇所以外、ほぼ全体がカバーで覆われており、その内部を窒素雰囲気にした。また、上記ベルト重合機の生成物排出口側からベルトの有効長の3/4を、ベルトの裏側から冷水で冷却した。
アクリル酸、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液、イオン交換水及びポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量:523)の混合液(1)を作製した。なお、該混合液(1)は、単量体濃度が35重量%、中和率が75モル%であり、ポリエチレングリコールジアクリレートの添加量は、単量体に対して、0.05モル%であった。
次に、上記混合液(1)を20℃に調温しながら窒素ガスを吹き込み、混合液(1)中の溶存酸素濃度を1mg/L以下に調整した。その後、該混合液(1)100重量部に対して、重合開始剤として3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液1.6重量部と1重量%のL−アスコルビン酸水溶液0.2重量部を、それぞれ別にこの順番でライン混合した。上記重合開始剤を混合して得られた単量体水溶液(1)は、単量体濃度が34重量%となった。
上記単量体水溶液(1)は、上記ベルト重合機の2つの堰の間のベルト上に連続的に供給され、重合を開始した。なお、ベルト重合機に供給される前の単量体水溶液(1)の温度は20℃、重合中のピーク温度は108℃、重合時間は40分間であった。
上記重合操作によって、板状の比較含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)(1)を得た。該含水ゲル(1)の厚みは、中央部で最大値20mm、両端部で最小値10mmであった。
続いて、上記板状の比較含水ゲル(1)をミートチョッパー1基を用いて連続的にゲル粉砕し、粒子径が1〜5mmの粒子状の比較含水ゲル(1)とした。該粒子状の比較含水ゲル(1)は、熱風乾燥機を用いて180℃(熱風温度)で40分間乾燥し、その後、ロールミルを用いて連続的に粉砕した。その後更に、目開きが850μmと150μmのJIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いて分級し、目開き150μmのJIS標準篩上に残存した吸水性樹脂を、比較吸水性樹脂粉末(1)として得た。
上記操作を24時間連続して行い、2時間おきに比較吸水樹脂粉末(1)をサンプリングしてその物性のバラつきを確認した。得られた比較吸水性樹脂粉末(1)の物性及び標準偏差を表1に示す。
[実施例1]
比較例1で用いたベルト重合機において、シリコーン樹脂製の堰を4本用意し、該ベルトの進行方向と同じ方向に該堰を設置した以外は、比較例1と同仕様のベルト重合機を使用した。なお、該4本の堰の設置によってベルトの幅方向に3つの帯域に区切られ、それらの間隔は、ベルト中央の帯域で1m、ベルト端の帯域でそれぞれ0.5mであった(図2及び図3参照)。
比較例1で用いたベルト重合機において、シリコーン樹脂製の堰を4本用意し、該ベルトの進行方向と同じ方向に該堰を設置した以外は、比較例1と同仕様のベルト重合機を使用した。なお、該4本の堰の設置によってベルトの幅方向に3つの帯域に区切られ、それらの間隔は、ベルト中央の帯域で1m、ベルト端の帯域でそれぞれ0.5mであった(図2及び図3参照)。
実施例1での重合操作は、比較例1と同様に作製した単量体水溶液(1)に、比較例1と同様の重合開始剤を混合したものを、ベルト中央部に全体の1/2量を、ベルト端部(2箇所)に全体の1/4量をそれぞれ連続的に供給することで行った。なお、ベルト重合機に供給される前の単量体水溶液(1)の温度は20℃、重合中のピーク温度は103℃、重合時間は40分間であった。
上記重合操作によって、3つの板状の含水ゲル(1)を得た。該含水ゲル(1)の厚みは、ベルト中央部分の含水ゲル(1)で最大値19mm(中央部)、最小値17mm(両端部)であり、ベルト端部分の含水ゲル(1)で最大値20mm、最小値15mmであった。
続いて、上記3つの板状の含水ゲル(1)をミートチョッパー1基を用いて連続的にゲル粉砕した後は、比較例1と同様の乾燥、粉砕、分級を行うことで、吸水性樹脂粉末(1)を得た。
上記操作を24時間連続して行い、2時間おきに吸水樹脂粉末(1)をサンプリングしてその物性のバラつきを確認した。得られた吸水性樹脂粉末(1)の物性及び標準偏差を表1に示す。
(まとめ)
表1に示したように、同じ原材料・量であってもベルト重合機の堰を複数とすることで、CRC等の物性が向上し、更に安定化(バラつきが少ない)することが分かる。
表1に示したように、同じ原材料・量であってもベルト重合機の堰を複数とすることで、CRC等の物性が向上し、更に安定化(バラつきが少ない)することが分かる。
[実施例2]
実施例1で使用したベルト重合機と同じ仕様のベルト重合機を用いて、含水ゲル(2)及び吸水性樹脂粉末(2)を得た。なお、当該ベルト重合機は、原料供給口や生成物排出口等の物質が出入りする箇所及び排気口以外、ほぼ全体がカバーで覆われていた。当該カバーを蒸気トレスで加熱することで、ベルト重合機の内壁温度を90〜100℃とした。
実施例1で使用したベルト重合機と同じ仕様のベルト重合機を用いて、含水ゲル(2)及び吸水性樹脂粉末(2)を得た。なお、当該ベルト重合機は、原料供給口や生成物排出口等の物質が出入りする箇所及び排気口以外、ほぼ全体がカバーで覆われていた。当該カバーを蒸気トレスで加熱することで、ベルト重合機の内壁温度を90〜100℃とした。
アクリル酸、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液、イオン交換水及びポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量:523)の混合液(2)を作製した。なお、該混合液(2)は、単量体濃度が43重量%、中和率が75モル%であり、ポリエチレングリコールジアクリレートの添加量は、単量体に対して、0.05モル%であった。また、中和熱によって混合液(2)の温度は75℃となっていた。
その後、上記混合液(2)100重量部に対して、重合開始剤として3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液1.6重量部をライン混合し、単量体水溶液(2)とした。
上記単量体水溶液(2)は、上記ベルト重合機の、ベルト上の堰で区切られた3つの帯域のうち、中央部分に連続的に供給され、重合を開始した。なお、ベルト重合機に供給される前の単量体水溶液(2)の温度は75℃、重合時間は3分間であった。当該重合操作によって、板状の含水ゲル(2)を得た。
続いて、上記板状の含水ゲル(2)をミートチョッパー1基を用いて連続的にゲル粉砕し、粒子径が1〜3mmの粒子状の含水ゲル(2)とした。該粒子状の含水ゲル(2)は、熱風乾燥機を用いて180℃(熱風温度)で40分間連続的に乾燥し、その後、ロールミルを用いて連続的に粉砕した。その後更に、目開きが850μmと150μmのJIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いて分級し、目開き150μmのJIS標準篩上に残存した吸水性樹脂を、吸水性樹脂粉末(2)として得た。得られた吸水性樹脂粉末(2)の吸水倍率は37g/g、水可溶分は10重量%、残存モノマーは330ppmであった。
上記連続操作を継続して運転したところ、ベルト上の堰で挟まれた3つの帯域のうち、中央の帯域でシリコーン樹脂ベルトが劣化し、ひび割れが確認された。そこで、中央の帯域のシリコーン樹脂ベルトのみを新品に取り換えた。
本発明に係る吸水性樹脂粉末の製造方法は、大スケールでの重合に好ましく適用される。
1 :単量体水溶液の供給ノズル
2a :ベルトに直接設置された堰
2b :摺接して固設された堰
3 :チェーン
4 :回転部
10:金属製ベルト
20:樹脂製ベルト
30:両側を堰で区切られた帯域(灰色部分;帯域が最も多い部分のみ表示)
40:ベルトの疵
2a :ベルトに直接設置された堰
2b :摺接して固設された堰
3 :チェーン
4 :回転部
10:金属製ベルト
20:樹脂製ベルト
30:両側を堰で区切られた帯域(灰色部分;帯域が最も多い部分のみ表示)
40:ベルトの疵
Claims (15)
- アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液を作製する、単量体水溶液作製工程と、
上記単量体水溶液をベルト重合機に供給して連続的に重合する、重合工程と、を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
上記ベルト重合機のベルト上に、該ベルトの進行方向にn本の堰(nは3以上の整数)が具備されており、両側を上記堰で区切られたn−1の帯域のうち、1以上の帯域に、上記単量体水溶液を供給する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法。 - 上記n−1の帯域のうち、2以上の帯域に、上記単量体水溶液を供給する、請求項1に記載の製造方法。
- 上記ベルト重合機に供給する単量体水溶液について、ベルトの単位面積あたりの供給量、単量体水溶液の組成及び温度から選ばれる少なくとも1つを、上記帯域ごとに変化させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 上記帯域の間隔が、ベルト重合機のベルト幅に対して10〜90%である、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記堰の材質が、単量体水溶液と接している部分が樹脂である、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記樹脂がシリコーン樹脂である、請求項5に記載の製造方法。
- 上記シリコーン樹脂の引張強度が5〜20MPaである、請求項6に記載の製造方法。
- 上記ベルトの材質が、単量体水溶液と接している部分がシリコーン樹脂である、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記シリコーン樹脂の引張強度が5〜20MPaである、請求項8に記載の製造方法。
- 上記ベルト重合機のベルトが、繊維基材を内部又は下部に含む樹脂製のベルトである、請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記繊維基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維、ポリイミン(PI)繊維、m−アラミド繊維、p−アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキザゾール(PBO)繊維、ガラスクロス繊維から選択される少なくとも1種である、請求項10に記載の製造方法。
- 上記ベルト重合機のベルトが上記樹脂製ベルトであり、該樹脂製ベルトは上記金属ベルトに支持又は固定されている、請求項10又は11に記載の製造方法。
- 上記ベルト重合機において、上記n−1の帯域のうち、1以上の帯域で重合を行うのと同時に、別の帯域においてベルト補修を行う、請求項1〜12の何れか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜13に記載のベルト重合機において、重合工程を一旦停止し、上記n−1の帯域のうち、一部の帯域でベルトを更新し、重合工程を再開する、ベルト重合機のメンテナンス方法。
- アクリル酸(塩)を主成分とする単量体水溶液を連続的に重合する、ベルト重合機であって、
上記ベルト重合機のベルト上に、該ベルトの進行方向にn本の堰(nは3以上の整数)が具備され、両側を上記堰で区切られたn−1の帯域を有する、ベルト重合機。
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