(発明の詳細な説明)
本明細書において開示されるような融合タンパク質は、単量体タンパク質または多量体タンパク質であり得る。好ましくは、その融合タンパク質は、同一であっても異なっていてもよい3つの単量体単位からなる三量体複合体として存在する。好ましくは、その三量体複合体は、3つの同一の融合タンパク質からなる。さらに好ましい実施態様において、その複合体は、本明細書に記載される3つの融合タンパク質間の共有結合(例えば、本明細書に記載されるような、コレクチン三量体化ドメインのシステイン間のジスルフィド架橋の共有結合)によって形成される。
そのような三量体複合体は、生物学的活性を示す。しかしながら、その三量体複合体のオリゴマー(例えば、基本的な三量体構造が2、3または4回存在する一定の複合体)もまた、生物学的活性を有することが見出された。従って、その三量体複合体のオリゴマーもまた好ましい。
上記融合タンパク質は、以下のエレメントを含む:
(i)a.コレクチンファミリー糖質認識ドメイン;および
b.コレクチンファミリーネック領域;]
を含むコレクチンファミリー三量体化ドメイン
(ii)リンカーエレメント;ならびに
(iii)エフェクターポリペプチド(ここで、そのエフェクターポリペプチドは、コレクチンファミリーネック領域のN末端に配置される)。
本明細書において使用されるようなコレクチン三量体化ドメインは、一般に、コレクチンポリペプチドのC末端部分に由来する。本明細書において使用されるような三量体化ドメインは、コイルドコイル領域(特定の実施態様においてネック領域と呼ばれる)および糖質認識ドメイン(本明細書においてCRDとも呼ばれる)を含む。
コレクチン三量体化ドメインは、任意のコレクチンファミリーメンバーを含んでもよい。そのようなメンバーおよびそれらの構造は、例えば、Hakanssonら(Protein Science,2000,9:1607−1617)において要約されており、サーファクタントタンパク質−D(アクセッション番号:P35247)、サーファクタントタンパク質−A1(アクセッション番号:Q8IWL2)、サーファクタントタンパク質−A2(アクセッション番号:Q8IWL1)、マンナン結合タンパク質−C(アクセッション番号:P11226)、肝臓コレクチン1(アクセッション番号:Q9Y6Z7)、胎盤コレクチン1(アクセッション番号:Q5KU26)、またはコレクチン11(アクセッション番号:Q9BWP8)を含み得る。CRDと同様、コイルドコイル領域(ネック領域)は、上記コレクチンから選択されてもよい。しかし、コイルドコイル(coiled−coild)(ネック領域)およびCRDは、同一コレクチン由来である必要がないことが理解されなければならない。
本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインは、本明細書に記載されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインとは異なる種由来であってもよい。あるいは、本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインは、本明細書に記載されるTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインと同一の種由来であってもよい。好ましい実施態様において、本明細書に記載されるようなコレクチンドメインは、ヒト由来であり、本明細書に記載されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、ヒト由来である。
CRDは、変異体、例えば、サーファクタントタンパク質−Dまたはコレクチン−11の変異体(これは、マンノースに結合しない)を含み得る。そのような変異体は、当業者に公知の方法(例えば、Crouchら(J Biol Chem,2006,281(26):18008−18014)に開示される方法)によって同定され得る。コレクチン三量体化ドメイン(ii)は、本明細書に記載されるような少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異体をさらに含んでもよく、本明細書に記載されるように作製され得る。そのようなアミノ酸置換は、コレクチン三量体化ドメインがそのリガンドマンノースに結合することを改変する可能性があり、治療においておよび/または薬学的組成物として使用されるとき、本明細書に記載されるような融合タンパク質のクリアランス速度を変化させる可能性がある。その改変により、結果としてマンノースへの結合が低下するか、またはマンノースに結合しなくなり、低いクリアランス速度を生じる可能性がある。そのような改変は、例えば、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質−DのF355位のアミノ酸に作用するアミノ酸置換によって、特に、アミノ酸置換F355A、F355S、F355T、F355E、F355D、F355K、またはF355Rによって達成され得る。特に好ましくは、F355D置換である。あるいは、その改変は、マンノースへの結合の増強および高いクリアランス速度を生じる可能性がある。そのような改変は、例えば、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質−DのF355位のアミノ酸に作用するアミノ酸置換、特に、アミノ酸置換F355L、F355YまたはF355Wによって達成され得る。
本明細書において使用されるようなネック領域は、コイルドコイル構造を含み得る。このネックは、コレクチンのCRDの近傍に配置されてもよいし、特定の場合は、CRDから離れて配置されてもよい。
好ましい実施態様において、コレクチン三量体化ドメインは、サーファクタントタンパク質−Dのネックドメインおよび糖質結合ドメイン(CRD)ドメイン、特に、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質−D由来のアミノ酸217〜375、218〜375、219〜375、220〜375、221〜375、222〜375、223〜375、224〜375、225〜375を含む。別の好ましい実施態様において、コレクチン三量体化ドメインは、サーファクタントタンパク質−Dのネックドメイン、特に、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質−D由来のアミノ酸217〜257、218〜257、219〜257、220〜257、221〜257、222〜257、223〜257、224〜257または225〜257を含む。別の好ましい実施態様において、コレクチン三量体化ドメインは、コレクチン−11のネックおよび糖質結合ドメイン(CRD)ドメイン、特に、配列番号22のヒトコレクチン−11のアミノ酸110〜271、116〜271または121〜271を含む。別の好ましい実施態様において、コレクチン三量体化ドメインは、コレクチン−11のネックドメイン、特に、配列番号22のヒトコレクチン−11のアミノ酸
を含む。
可撓性リンカーエレメントは、本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインとエフェクターポリペプチドポリペプチドの間に配置される。この可撓性リンカーエレメントは、好ましくは、25アミノ酸またはそれ未満の長さを有する。特定の実施態様において、そのリンカーエレメントは、3〜30アミノ酸長、特に、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または30アミノ酸長を有する。1つの実施態様において、リンカーエレメントの長さは、5〜25アミノ酸、8〜20アミノ酸または10〜20アミノ酸である。より好ましくは、リンカーの長さは、9〜15アミノ酸である。一般に、本明細書において使用されるリンカーエレメントは、任意の公知のアミノ酸または人工アミノ酸誘導体で構成され得る。特定の実施態様において、リンカーエレメントは、低分子で疎水性の非荷電アミノ酸で構築される。一般に本発明に記載のリンカーエレメントは、G、S、AおよびTから選択されるアミノ酸を含み得る。リンカーエレメントは、好ましくはグリシン/セリンリンカー、すなわち、実質的にアミノ酸グリシンおよびセリンからなるペプチドリンカーである。特に好ましい実施態様において、リンカーは、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GSG)c(式中、a、b、cは、それぞれ0、1、2、3、4、5または6である)を有する。TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインがあらかじめGにより終止される場合(例えば、ヒトTRAIL(配列番号10))、そのようなGは、リンカー配列(GSS)a(SSG)b(GSG)cにおけるリンカーの最初のGを形成し得ることが、当業者に明らかである。原則的には、リンカーエレメントの基本単位(building block)は、1、2、3、4個またはそれより多い(or mor)アミノ酸で構成されてもよく、本明細書において有用なリンカーが、3エレメントの基本単位でできているリンカーに限定されないことが理解されなければならない。一般に、本明細書において使用されるようなリンカーエレメントは、基本単位で構成されてもよいし、ある一続きのアミノ酸から構成されてもよい。
本明細書において使用されるようなエフェクターポリペプチドは、細胞外ポリペプチドまたはそのようなタンパク質の細胞外部分を含むタンパク質のフラグメントである。一般に、タンパク質またはそのフラグメントが、エフェクターポリペプチドとして使用され得る。エフェクターポリペプチドは、任意の起源のポリペプチドであってもよく、例えば、哺乳動物ポリペプチド、脊椎動物ポリペプチド、昆虫ポリペプチド、細菌ポリペプチド、植物ポリペプチド、酵母ポリペプチドから選択され得る。哺乳動物ポリペプチドは、マウス、ラット、ヒト、ウマ、ヤギ、イヌ、ウサギ、ネコ、ヒツジ、ハムスター、ロバ、サルおよびその他のポリペプチドを含み得る。特定の実施態様において、ポリペプチドは、ヒトポリペプチドまたはヒト化ポリペプチドである。そのような細胞外タンパク質またはタンパク質の細胞外部分は、例えば、細胞表面タンパク質、分泌型の細胞外タンパク質、膜貫通型タンパク質の細胞外領域等から選択され得る。本発明の特定の実施態様において、エフェクターポリペプチドは、TNFスーパーファミリーのサイトカイン、その受容体結合ドメイン、サイトカインに対する受容体および/またはそれらの抗体またはフラグメントからなる群より選択される。
1つの実施態様において、エフェクターポリペプチドは、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインである。好ましくは、サイトカインは、哺乳動物、特に、ヒトのサイトカインまたはその受容体結合ドメイン(その対立遺伝子改変体および/または誘導体を包含する)である。さらに、TNFサイトカインは、対応するサイトカイン受容体に結合することが可能でありかつ好ましくは受容体を活性化することが可能である(それによりアポトーシス活性または増殖活性が引き起こされ得る)、その受容体結合ドメインが好ましい。サイトカインは、例えば、TNFスーパーファミリーのメンバーから選択されてもよく、例えば、表1に示されるようなヒトTNFSF−1から−18、好ましくは
またはそれらの受容体結合ドメインから選択され得る。各タンパク質の好ましい受容体結合ドメインは、表1において示され(NH2−aaからCOOH−aa)、例えば、LTA(配列番号1)のアミノ酸59〜205または60〜205、TNFα(配列番号2)のアミノ酸86〜233、LTB(配列番号3)のアミノ酸82〜244または86〜244、OX40L(配列番号4)のアミノ酸52〜183または55〜183、CD40L(配列番号5)のアミノ酸112〜261または117〜261、CD27L(配列番号7)のアミノ酸51〜193または56〜193、CD30L(配列番号8)のアミノ酸97〜234、98〜234または102〜234、CD137L(配列番号9)のアミノ酸86〜254、RANKL(配列番号11)のアミノ酸161〜317、TWEAK(配列番号12)のアミノ酸103〜249、104〜249または105〜249、APRIL1(配列番号13)のアミノ酸112〜247または113〜247、APRIL2(配列番号14)のアミノ酸112〜250または113〜250、BAFF(配列番号15)のアミノ酸140〜285、LIGHT(配列番号16)のアミノ酸91〜240、TL1A(配列番号17)のアミノ酸91〜251または93〜251、GITRL(配列番号18)のアミノ酸52〜177、EDA−A1(配列番号19)のアミノ酸245〜391、EDA−A2(配列番号20)のアミノ酸245〜389を含む。
1つの実施態様において、エフェクターポリペプチドは、IL4R−アルファ(アクセッション番号P24394)であってもよい。
より好ましくは、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、CD95LもしくはTRAIL、またはそれらの受容体結合ドメインから選択される。特に好ましい実施態様において、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、膜配置ドメイン(membrane located domain)を伴わない受容体結合ドメインを含むTNFサイトカインの細胞外部分を含む。
好ましい実施態様において、融合タンパク質のTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、ヒトCD95L(配列番号6)、特に、ヒトCD95Lのアミノ酸142〜281または144〜281から選択される。
さらに好ましい実施態様において、融合タンパク質のTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、ヒトTRAIL(配列番号10)、特に、ヒトTRAILのアミノ酸95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281または120〜281である。別の好ましい実施態様において、ヒトTRAILは、開始アミノ酸として配列番号10の95〜120の任意のアミノ酸〜アミノ酸281を含む。
本発明のさらに好ましい実施態様において、本明細書に記載されるような融合タンパク質のTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインは、TRAIL−受容体1(TRAILR1)および/またはTRAIL−受容体2(TRAILR2)に結合し、そして/またはそれらを活性化する、TNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインの変異体を含む。この変異体の結合および/または活性は、例えば、本明細書に開示されるようなアッセイによって(例えば、実施例において、またはvan der Slootら(PNAS,2006,103:8634−8639)、Kelleyら(J.Biol.Chem.,2005,280:2205−2215)もしくはMacFarlaneら(Cancer Res.,2005,65:11265−11270)に開示されるアッセイによって)測定され得る。
上記変異体は、任意の技術によって作製されてもよく、それは当業者に公知であり(例えば、an der Slootら(PNAS,2006,103:8634−8639)、Kelleyら(J.Biol.Chem.,2005,280:2205−2215)またはMacFarlaneら(Cancer Res.,2005,65:11265−11270)に開示される技術)、任意のタイプの構造的変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失、重複および/または挿入)を含んでもよい。好ましい実施態様は、置換の生成である。置換は、本明細書に記載されるようなTNFスーパーファミリーのサイトカインまたはその受容体結合ドメインの少なくとも1つのアミノ酸に影響する可能性がある。好ましい実施態様において、置換は、TRAIL(例えば、ヒトTRAIL(例えば、配列番号10))のアミノ酸の少なくとも1つに影響し得る。この点に関して好ましい置換は、配列番号10のヒトTRAILの以下:
のアミノ酸のうちの少なくとも1つに影響する。配列番号10のヒトTRAILの好ましいアミノ酸置換は、以下:
の置換のうちの少なくとも1つである。
アミノ酸置換は、TRAIL(例えば、ヒトTRAIL)の、TRAILR1またはTRAILR2のいずれかへの結合および/またはいずれかに対する活性に影響し得る。あるいは、アミノ酸置換は、TRAIL(例えば、ヒトTRAIL)の、TRAILR1とTRAILR2の両方への結合および/または両方に対する活性に影響し得る。TRAILR1および/またはTRAILR2の結合および/または活性は、正に影響され得る(すなわち、より強く、より選択的な結合もしくはより特異的な結合および/または受容体のより大きな活性化)。あるいは、TRAILR1および/またはTRAILR2の結合および/または活性は、負に影響され得る(すなわち、より弱く、より選択的でない結合もしくはより特異的でない結合および/または受容体のより低い活性化もしくは受容体の活性化がない)。
TRAILR1とTRAILR2の両方の結合および/または活性に影響するアミノ酸置換を有するTRAILの変異体の例は、例えば、MacFarlaneら(上記を参照)の表1に見られ、配列番号10の以下の2アミノ酸置換、Y213WおよびS215D、または以下の単一アミノ酸置換Y189Aを有するヒトTRAIL変異体を含み得る。
TRAILR1の結合および/または活性に影響するアミノ酸置換を有するTRAILの変異体の例は、例えば、MacFarlaneら(上記を参照)の表1に見られ、配列番号10の以下の4アミノ酸置換、N199V、K201R、Y213WおよびS215D、または以下の5アミノ酸置換、Q193S、N199V、K201R、Y213WおよびS215Dを有するヒトTRAIL変異体を含み得るか、またはKelleyら(上記を参照)の表2に見られ、以下の6アミノ酸置換、Y213W、S215D、Y189A、Q193S、N199VおよびK201RまたはY213W、S215D、Y189A、Q193S、N199RおよびK201Rを有するヒトTRAIL変異体を含み得る。
TRAILR2の結合および/または活性に影響するアミノ酸置換を有するTRAILの変異体の例は、例えば、MacFarlaneら(上記を参照)の表1またはKelleyら(上記を参照)の表2に見られ、配列番号14の以下の6アミノ酸置換、Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266LおよびD267Qを有するヒトTRAIL変異体を含み得るか、またはvan der Slootら(上記を参照)の表2に見られ、以下の単一アミノ酸置換D269H、以下の2アミノ酸置換、D269HおよびE195RまたはD269HおよびT214Rを有するヒトTRAIL変異体を含み得る。
さらに好ましい実施態様において、融合タンパク質のサイトカイン部分は、ヒトLIGHT(配列番号16)、特に、配列番号16のアミノ酸91〜240に由来する。LIGHTは、TNFスーパーファミリーのメンバーであり、その受容体は、リンフォトキシン−ベータ受容体(LTベータR)およびヘルペスウイルス侵入メディエーター(herpesvirus entry mediator)(HVEM)/ATAR/TR2として同定されており、これらの両方は、「デスドメイン」と命名される細胞質配列を欠く。LIGHTは、細胞受容体としてのLTベータRおよびHVEMと会合するので、LTアルファおよびLTベータの生物学的機能に類似する生物学的機能を有すると予想される。以前の研究が示すように、LIGHTは、LTアルファが行うように、HT−29細胞の細胞死を誘導し(Harrop,J.Aetal.ら(1998)J.Biol.Chem.
273,27548−27556;Zhai,Y.ら(1998)J.Clin.Invest.102,1142−1151およびRooney,I.A.ら(2000)J.Biol.Chem.275,14307−14315)、平滑筋細胞への発生的変化の後にRD細胞において成長停止を引き起こし、その細胞からのIL−8およびRANTESの分泌を刺激する(Hikichi,Y.ら(2001)Biochem.Biophys.Res.Commun.289,670−677)。また、LIGHTが、T細胞におけるCD28非依存性共刺激分子のうちの1つであることも報告されている(Tamada,K.ら(2000)J.Immunol.164,4105−4110)。
1つの実施態様において、TNFスーパーファミリーのサイトカインは、RANK−Lである。ヒトRANKリガンド(RANK−L)は、免疫系、骨発生およびホメオスタシスの重要な制御因子であると知られるタンパク質の腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバーである(Andersonら,Nature390:175−179,1997)。また、このリガンドは、腫瘍壊死因子関連活性化誘導性サイトカイン(TRANCE)(Wongら,J.Exp.Med.186:2075,1997)、破骨細胞分化抑制因子リガンド(OPGL)(Laceyら,Cell 93:165,1998)、および破骨細胞分化因子(ODF)(Yasudaら,Proc.Natl.Acad.Sci.95:3597,1998)とも命名されている。腫瘍壊死ファミリーのメンバーは、増殖、アポトーシス、細胞生存および分化等の種々の、時に反対の生物学的反応を媒介する。
さらなる実施態様において、TNFスーパーファミリーのサイトカインは、TWEAKである。最近、ピコモル濃度のTWEAKが正常内皮細胞の増殖を促進すること、およびTWEAKがin vivoのラット角膜モデルにおいて血管新生を誘導することが観察されたことから(Lynchら,1999,The Jounal of Biological Chemistry,274(13)pp.8455−8459)、TWEAK(TNFLSFメンバー12)は、血管新生(血管の形成および成長)の直接的かつ強力な誘導因子であることが見出された。
より一層の好ましい実施態様において、融合タンパク質のサイトカイン部分は、ヒトAPRIL(配列番号13または14)、特に、配列番号13のアミノ酸112〜247もしくは113〜247、または配列番号14の112〜250もしくは113〜250に由来する。APRIL(TNFLSメンバー13)は、受容体TNFRSF13BおよびTNFRSF17に結合する三量体サイトカインである。最近、様々な腫瘍細胞に組換えAPRILを添加することにより、それらの増殖が刺激されることが示され、それゆえにAPRILは、腫瘍細胞の成長の調節に関係がある可能性がある(Hahne M.ら,1998;J.Exp.Med.188:1185−1190)。また、APRILが単球/マクロファージ媒介免疫プロセスに関与し得ることも示唆されている。
エフェクターポリペプチドとして本明細書において使用されるTNFスーパーファミリーサイトカインは、特定の実施態様においてN末端側で切断されてもよい。この点で使用されるような切断は、ストーク領域のすべてのアミノ酸の削除、またはストーク領域の一部のアミノ酸の削除を指すものとする。
TNFスーパーファミリーのタンパク質は、15〜30アミノ酸のN末端部分(いわゆるストーク領域)を介して膜につなぎ留められる。ストーク領域は、三量体化に寄与し、細胞膜に対して一定距離を提供する。しかしながら、ストーク領域は、受容体結合ドメイン(RBD)の一部を形成しない。
重要なことには、RBDは、そのNおよびC末端のアミノ酸の特有の局在性によって特徴づけられる。前記アミノ酸は、三量体の軸のすぐ近くに隣接し、三量体の軸の中心となるよう配置される。RBDの最初のN末端アミノ酸は、RBDのC末端のアミノ酸と逆平行β鎖を形成する(図36および38)。
従って、RBDの逆平行ベータ鎖は、細胞膜との境界面を形成し、それはストーク領域のアミノ酸を介して細胞膜に接続され、細胞膜内につなぎ留められる。本発明の特定の実施態様において、エフェクターポリペプチドとして使用されるTNFスーパーファミリーサイトカインのストーク領域が削除される。これは、ストーク領域とリンカーコレクチンとの間の立体障害を回避することができるという特有の長所を有する。そうでなければ、TNF−SF−RBDドメインのうちの1つのC末端をコレクチンドメインのN末端と接続するリンカーは、ストークによって立体的障害を受け、それにより、不安定性および/または凝集物形成が生じる可能性がある。
特定の実施態様において、N末端のストーク領域の削除によってTNFスーパーファミリーサイトカインを切断することは、コレクチン三量体化ドメインのC末端のポジショニングにとって必要条件である。特定の実施態様において、コレクチンに基づく三量体融合タンパク質は、ストーク領域由来の任意のアミノ酸を欠くTNF−SFサイトカインの受容体結合ドメインを含むことが特に好ましい。
コレクチンに基づく三量体TNF−SF融合ポリペプチド(ここで、エフェクターTNFスーパーファミリーサイトカインは、コレクチン三量体化ドメインのN末端に位置される)がそれぞれのサイトカイン受容体に対する少なくとも1つの機能的結合部位を含む規則正しい三量体構造を形成する能力は、本発明の特定の実施態様において、TNFスーパーファミリーサイトカインのストーク領域の全部または一部の削除に決定的に関連する。
本明細書に記載されるような本発明の融合タンパク質において、コレクチン三量体化ドメインは、エフェクターポリペプチドのC末端に配置される。従って、その融合タンパク質は、本明細書に記載されるようなエフェクターポリペプチド、ならびにコレクチンファミリーネックドメインおよびコレクチンファミリーCRDドメイン(例えば、サーファクタントタンパク質DのネックドメインならびにCRDおよび/もしくはネックドメイン、またはコレクチン−11のネックドメインならびにCRDおよび/もしくはネックドメイン(両方とも本明細書に記載されるとおりのもの))を含むコレクチン三量体化ドメインを含み得、ここで、それらのドメインは、エフェクターポリペプチドのC末端に配置される。この実施態様において、コレクチン三量体化ドメインがネックドメインおよびCRDを含むことが好ましい。
本明細書に開示される融合タンパク質は、コレクチン三量体化ドメインのN末端にエフェクターポリペプチドを含む。本発明者らは、この方向付けが満たされた場合にのみ、三量体の制御された形成がもたらされ得ることを見出した。コレクチン三量体化ドメインのN末端にエフェクターポリペプチドを有するコンストラクトのみが、制御された安定な三量体を導き、取り扱い中および精製中により大きな凝集物を形成する傾向が最小限である。組換えヒトSP−Dのネック−CRD部分の公開された結晶構造(Shrive,A.K.ら、2003,J.Mol.Biol.331:509−523)から、各単量体(monomera)のNおよびC末端のアミノ酸の相対的位置を得ることができる。三量体(trimere)のアミノ末端のアミノ酸(A205[A225]*)は、溶媒曝露され、平行なコイルドコイル構造の先頭に直接的に近接して配置されるが、一方で、三量体(trimere)のC末端(F355[F375]*)アミノ酸の側鎖は、CRDドメイン内に埋もれており、互いに対称的に離れた三角形の位置に置かれる。F355[F375]*のCOOH基は、およそ23オングストロームの辺長の二等辺三角形を形成している。重要なことには、ネック−CRD三量体(trimere)のタンパク質コアはこの三角形内にあり、従って、そのネック−CRDコアに対して放射状の空間のみが融合パートナーに接近可能である。
SP−D三量体(trimere)のネック−CRD部分におけるNおよびC末端アミノ酸は、互いに対する相対的位置から、融合タンパク質の構築のための継目としての用途に関して等価ではないと結論付けられ得る。
TNF−SFタンパク質の場合における不利な点として、ストーク領域を有する細胞外領域を含むC末端融合(これは、ネック−CRDのC末端のアミノ酸へTNF−SFフラグメントを融合することを意味する;F355[F375]*)は、TNF−SFフラグメント自体の三量体化する力により高分子の凝集物を生じ得る。
*[]内に提示される数字は、配列番号21を参照する。
従って、その内因性ストークC末端を有するTNF−SF−RBDドメインをネック−CRDコンストラクトに融合しても、規定される三量体の集合体を生じないであろう。従って、本発明の特定の実施態様において、ストーク領域を欠くTNF−SF−RBD(TNFスーパーファミリー受容体結合ドメイン)の切断されたポリペプチドが、エフェクターポリペプチドとして使用される。
好ましい実施態様において、融合タンパク質は、TRAIL、特に、ヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたは本明細書に記載されるようなTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281もしくは120〜281、および本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインまたはその変異体、特に、サーファクタントタンパク質−DのCRDおよびネックドメイン、好ましくは、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質−Dのアミノ酸217〜375、218〜375、219〜375、220〜375、221〜375、222〜375、223〜375、224〜375、225〜375(ここで、そのコレクチン三量体化ドメインは、本明細書に記載されるようなTRAILまたは変異体TRAILのC末端に配置される)を含む。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号26または27である。あるいは、上記融合タンパク質は、本明細書に記載されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GSG)c(式中、a、b、cは、それぞれ0、1、2、3、4、5または6である)を有するリンカーを追加的に含んでもよい。好ましくは、リンカーは、9〜15アミノ酸長を有する。
好ましい実施態様において、融合タンパク質は、TRAIL、特に、ヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたは本明細書に記載されるようなTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281または120〜281、および本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインまたはその変異体、特に、サーファクタントタンパク質−Dのネックドメイン、好ましくは、配列番号21のヒトサーファクタントタンパク質−Dのアミノ酸217〜257、218〜257、219〜257、220〜257、221〜257、222〜257、223〜257、224〜257または225〜257(ここで、そのコレクチン三量体化ドメインは、本明細書に記載されるようなTRAILまたは変異体TRAILのC末端に配置される)を含む。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号28である。あるいは、上記融合タンパク質は、本明細書に記載されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GSG)c(式中、a、b、cは、それぞれ0、1、2、3、4、5または6である)を有するリンカーを追加的に含んでもよい。
別の好ましい実施態様において、融合タンパク質は、TRAIL、特に、ヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたは本明細書に記載されるようなTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281または120〜281、および本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインまたはその変異体、特に、コレクチン−11のCRDおよびネックドメイン、好ましくは、配列番号22のヒトコレクチン−11のアミノ酸110〜271、116〜271または121〜271(ここで、そのコレクチン三量体化ドメインは、本明細書に記載されるようなTRAILまたは変異体TRAILのC末端に配置される)を含む。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号29および30である。あるいは、上記融合タンパク質は、本明細書に記載されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GSG)c(式中、a、b、cは、それぞれ0、1、2、3、4、5または6である)を有するリンカーを追加的に含んでもよい。好ましくは、リンカーは、9〜15アミノ酸長を有する。
別の好ましい実施態様において、融合タンパク質は、TRAIL、特に、ヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメイン、または本明細書に記載されるようなTRAILの変異体、好ましくは、ヒトTRAIL(配列番号10)の95〜281、116〜281、117〜281、118〜281、119〜281または120〜281、および本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインまたはその変異体、特に、コレクチン−11のネックドメイン、好ましくは、配列番号22のヒトコレクチン−11のアミノ酸
(ここで、そのコレクチン三量体化ドメインは、本明細書に記載されるようなTRAILまたは変異体TRAILのC末端に配置される)を含む。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号31である。あるいは、上記融合タンパク質は、本明細書に記載されるようなリンカー、例えば、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GSG)c(式中、a、b、cは、それぞれ0、1、2、3、4、5または6である)を有するリンカーを追加的に含んでもよい。
別の好ましい実施態様において、融合タンパク質は、CD95L、特に、ヒトCD95Lまたは本明細書に記載されるようなその受容体結合ドメイン、例えば、配列番号40のアミノ酸21〜160、ならびにヒトSP−DのネックドメインおよびCRD(例えば、それぞれ、配列番号40のアミノ酸172〜209および210〜327)を含むコレクチン三量体化ドメインまたは本明細書に記載されるようなその変異体を含む。上記融合タンパク質は、リンカー(例えば、可撓性リンカー)、より好ましくは、好ましくは9〜15のアミノ酸長を有する本明細書に記載されるようなグリシン/セリンリンカーを含んでもよい。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号40、特に、配列番号40のアミノ酸21〜327を含む。
別の好ましい実施態様において、融合タンパク質は、LIGHT、特に、ヒトLIGHTまたは本明細書に記載されるようなその受容体結合ドメイン、好ましくは、配列番号41のアミノ酸21〜170、ならびにヒトSP−DのネックドメインおよびCRD(例えば、それぞれ、配列番号41のアミノ酸182〜219および220〜337)を含むコレクチン三量体化ドメインまたは本明細書に記載されるようなその変異体を含む。そのサイトカインおよびコレクチンドメインは、リンカー(例えば、好ましくは9〜15アミノ酸長を有する、本明細書に記載されるようなグリシン/セリンリンカー)によって接続される。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号41、特に、配列番号41のアミノ酸21〜327を含む。
別の好ましい実施態様において、融合タンパク質は、TRAIL、特に、ヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたは本明細書に記載されるようなTRAILの変異体(例えば、配列番号43(野生型TRAIL)のアミノ酸21〜181、配列番号47(TRAILR1mut)のアミノ酸21〜181または配列番号48(TRAILR2mut)のアミノ酸21〜181)を含む。さらに、上記融合タンパク質は、ヒトSP−Dのネックドメインおよび任意にCRD(例えば、それぞれ配列番号43のアミノ酸193〜230および231〜384)から選択されるコレクチン三量体化ドメイン、または本明細書に記載されるようなその変異体(例えば、配列番号49または50に示されるような変異体)を含む。上記融合ポリペプチドは、ヒトSP−Dのネック領域およびCRDの両方を含む。上記サイトカインおよびコレクチンドメインは、リンカー(例えば、本明細書に記載されるようなグリシン/セリンリンカー)によって接続される。好ましくは、リンカーは、9〜15のアミノ酸長を有する。
この点に関して好ましい融合タンパク質は、(i)配列番号43、特に、配列番号43のアミノ酸21〜348、(ii)配列番号44、特に、配列番号44のアミノ酸21〜230、(iii)配列番号47、特に、配列番号47のアミノ酸21〜348、(iv)配列番号48、特に、配列番号48のアミノ酸21〜348、(v)配列番号49、特に、配列番号49のアミノ酸21〜348、または(vi)配列番号50、特に、配列番号50のアミノ酸21〜348を含む。
別の好ましい実施態様において、融合タンパク質は、TRAIL、特に、ヒトTRAILもしくはその受容体結合ドメインまたは上記の本明細書に記載されたようなTRAILの変異体、ならびにヒトコレクチン11のネックドメインおよびヒトコレクチン11のCRD(例えば、それぞれ、配列番号45のアミノ酸193〜224および225〜347)であるコレクチン三量体化ドメインを含む。そのサイトカインおよびコレクチンドメインは、リンカー(例えば、好ましくは、9〜15アミノ酸長を有する、上記の本明細書に記載されたようなグリシン/セリンリンカー)によって接続される。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号45および配列番号46、特に、配列番号45のアミノ酸21〜347または配列番号46のアミノ酸21〜229を含む。
別の好ましい実施態様において、融合タンパク質は、APRIL、特に、ヒトAPRILまたは本明細書に記載されるようなその受容体結合ドメイン(例えば、配列番号51のアミノ酸21〜158)および本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメイン、特に、本明細書に記載されるようなヒトSP−Dまたはその変異体のネックドメインおよびCRD(例えば、それぞれ、配列番号51のアミノ酸170〜207および208〜325)を含む。そのサイトカインおよびコレクチンドメインは、リンカー(例えば、好ましくは、9〜15アミノ酸長を有する、本明細書に記載されるようなグリシン/セリンリンカー)によって接続される。この点に関して好ましい融合タンパク質は、配列番号51、特に、配列番号51のアミノ酸21〜325を含む。
特定の実施態様において、エフェクターポリペプチドは、抗体である。本明細書において使用されるような抗体は、従来の野生型抗体ならびに改変および変更された抗体を含み得る。そのような改変は、1本鎖抗体、抗体フラグメント、ヒト化抗体等の作製を含み得る。一般に、抗体または抗原結合アミノ酸配列(相補性決定領域、CDR)は、任意の種由来の抗体またはCDR、ならびに組換え的に生成された抗体またはCDRであり得る。
抗体は、ヒトクラスA、E、D、MもしくはG、好ましくは、IgGからの完全抗体、またはその抗原結合フラグメントであり得る。好ましくは、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト定常領域を有するキメラ抗体またはヒト化抗体であり、好ましくは、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4サブクラスまたはそれらの組み合わせ、あるいは変更されたエフェクター機能を有する遺伝子操作された改変体である。エフェクター機能は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)であり得る(may by)。遺伝子操作されたFc部分は、変更された薬物動態学的特性も有し得る。さらに、完全なヒト抗体またはその抗原結合フラグメントが好ましい。より好ましくは、抗体は、ヒトまたは実質的にヒトのフレームワーク領域を追加的に含むヒト化抗体もしくはヒト抗体またはそれらのフラグメントである。また、抗体フラグメント(例えば、F(ab)2またはFabフラグメント等の二価または一価の抗体フラグメント)が好ましい。他方、抗体は、組換え抗体(例えば、1本鎖抗体またはそのフラグメント(例えば、scFvフラグメント(Fvフラグメントは、任意のアミノ酸配列、好ましくは、低分子極性アミノ酸によって接続され、より好ましくは、グリシンおよび/またはセリンおよび/またはトレオニンで構成される)))であり得る。さらに、組換えの抗体は、多量体scFv集合体(例えば、単一ポリペプチド上で共に連結された2以上のscFv−フラグメント)であり得る。
特定の実施態様において、抗体、1本鎖抗体、または抗体もしくは1本鎖抗体のフラグメントは、TNFスーパーファミリーのサイトカイン、その受容体結合ドメインまたはサイトカインに対する受容体に対して作製される。特別の実施態様において、抗体は、IL4R−アルファに対して作製される。
特定の実施態様において、上記抗体は、抗体または抗体フラグメント、例えば、ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2882によって産生されるマウス抗体X2/45(Tonyら,1994)に由来するキメラ抗体またはヒト化抗体である。ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2882は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSZM),Mascheroder Weg 1b,38124 Braunschweig,Germanyにおいて2008年1月29日付で微生物の寄託に関するブダペスト条約のもと寄託された。特定の特別な実施態様において、抗体または抗体フラグメントは、ヒトIL4Ra受容体細胞外ドメインを認識する。さらなる実施態様において、マウスX2/45の重鎖および軽鎖の相補性決定領域は、ヒトIL4Raを認識するヒト抗体もしくはヒト化抗体または組換えヒト化抗体フラグメントを作製するために使用されている。好ましい実施態様において、配列番号52の21〜264位に示されるようなヒト化scFv抗体フラグメントが、エフェクターポリペプチドとして使用される。
本明細書に記載されるような融合タンパク質は、N末端のシグナルペプチドドメインを追加的に含んでもよく、それによって、好適な宿主細胞中でのプロセッシング(例えば、細胞外分泌)が可能になる。好ましくは、N末端のシグナルペプチドドメインは、プロテアーゼ、例えば、シグナルペプチダーゼの切断部位を含み、従って、発現の後または発現の間に除去されることにより、成熟タンパク質が得られ得る。好ましい実施態様において、N末端のシグナルペプチドドメインは、配列番号23、配列番号24または配列番号25の配列を含む。
さらに、融合タンパク質は、認識/精製ドメイン、例えば、Strep−tagドメインおよび/またはポリHisドメイン(これらはN末端またはC末端に配置され得る)を含んでもよい(may comprise comprises)。
融合タンパク質は、例えば、1〜50、好ましくは、10〜30アミノ酸長を有し、本明細書において記載されるような認識/精製ドメインを含み得、および/またはそのドメインに接続され得る、C末端可撓性エレメントを追加的に含んでもよい。
特定の実施態様において、融合タンパク質は、CRDのC末端に融合された、抗体、1本鎖抗体、または抗体もしくは1本鎖抗体のフラグメントを追加的に含んでもよい。そのような抗体は、特定の実施態様において、例えば、融合タンパク質が特定の分子または部位を標的にするのに役立ち得る。また、そのようなコンストラクトは、少なくとも2つの異なる抗原特異性を有する融合ポリペプチドを作製する機会を提供し得る。
本発明のさらなる側面は、本明細書に記載されるような融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。その核酸分子は、DNA分子(例えば、2本鎖または1本鎖のDNA分子)またはRNA分子であり得る。この核酸分子は、本明細書に記載されるようなシグナル配列、または分泌もしくは精製のための他の異種アミノ酸部分(好ましくは、本明細書に記載されるような融合タンパク質のNおよび/またはC末端に配置される)を含み得る融合タンパク質あるいはその前駆体(例えば、その融合タンパク質のプロフォームまたはプレプロフォーム)をコードし得る。その核酸分子は、異種アミノ酸部分が、プロテアーゼ切断部位(例えば、第Xa因子、トロンビンまたはIgAのプロテアーゼ切断部位)を介して第1および/または第2ドメインに連結され得る、融合タンパク質をコードしてもよい。
上記核酸分子は、発現制御配列(例えば、所望の宿主細胞において核酸分子を発現することを可能にする発現制御配列)に作動可能に連結されてもよい。その核酸分子は、ベクター(例えば、プラスミド、バクテリオファージ、ウイルスベクター、染色体組込みベクター等)に配置されてもよい。好適な発現制御配列およびベクターの例は、例えば、
またはさらにそれらの最新版に記載されている。
様々な発現ベクター/宿主細胞系を、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を発現するために使用してもよい。好適な宿主細胞としては、細菌(例えば大腸菌)等の原核生物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞または動物細胞等の真核生物宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくは、ヒト細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるような融合タンパク質をコードする核酸(nucliec acid)分子は、好適な宿主細胞(例えば、大腸菌、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞(例えば、哺乳動物細胞またはヒト細胞))における発現についてそのコドン使用頻度を考慮して最適化されてもよい。
さらに、本発明は、本明細書に記載されるような核酸分子により形質転換またはトランスフェクトされた、非ヒト生物(例えば、マウスまたはラット)に関する。そのような生物は、相同組換えを含む公知の遺伝学的移動方法によって作製されるノックアウト生物を含み得る。あるいは、そのような生物は、本明細書に記載されるような核酸分子の数コピーを含むトランスジェニック生物を含み得る。トランスジェニック生物の作製は、当該技術分野において公知である。
融合タンパク質、それをコードする核酸、形質転換またはトランスフェクトされた細胞ならびに三量体複合体または三量体複合体のオリゴマー(すべて本明細書に記載されたとおりのもの)を、医薬、診断および/または研究に応用するために使用してもよい。これらの応用については、本明細書に記載されるようなエフェクターポリペプチドと本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインの両方が、免疫学的作用を最小化するために同一種由来であること、例えば、ヒトにそのようなタンパク質を適用するときはヒト由来である融合タンパク質を使用することが好ましい。加えて、本明細書に記載されるようなネック−コレクチン三量体化ドメイン(例えば、サーファクタントタンパク質−Dまたはコレクチン−11由来のネックドメイン)への本明細書に記載されるようなエフェクターポリペプチドの融合は、迅速なクリアランスを導く可能性がある。あるいは、本明細書に記載されるようなTNFスーパーファミリーサイトカインまたはその受容体結合ドメインの、本明細書に記載されるようなネックドメインおよびCRD−コレクチン三量体化ドメイン(例えば、サーファクタントタンパク質−Dまたはコレクチン−11由来のネックドメインおよびCRDドメイン)への融合は、低いクリアランスを導く可能性がある。本明細書に記載されるようなコレクチン三量体化ドメインの変異体の使用は、本明細書に記載されるような方法で融合タンパク質のクリアランス速度を改変する可能性がある。
本発明のさらなる側面は、少なくとも1つの融合タンパク質、それをコードする核酸、形質転換またはトランスフェクトされた細胞ならびに三量体複合体または三量体複合体のオリゴマー(すべて本明細書に記載されるとおりのもの)を活性な薬剤として含む薬学的組成物または診断用組成物に関する。
少なくとも1つの融合タンパク質、それをコードする核酸、形質転換またはトランスフェクトされた細胞ならびに三量体複合体または三量体複合体のオリゴマー(すべて本明細書中に記載されるとおりもの)は、増殖性障害、特に、TNFサイトカインの機能不全によって引き起こされる、それらと関連するおよび/またはそれらを伴う障害、例えば、腫瘍(例えば、固形腫瘍またはリンパ腫)、感染症、炎症性疾患、代謝性疾患、自己免疫障害(例えば、リウマチおよび/または関節炎疾患)、変性疾患(例えば、多発性硬化症等の神経変性疾患)、アポトーシス関連疾患および移植拒絶から選択される障害の治療(例えば、予防および/または処置)において使用され得る。
本明細書に記載されるような融合タンパク質、核酸分子または細胞は、疾患の治療において、例えば、新生物、炎症性、感染性、変性性、遺伝性、増殖性および血管性の疾患、ならびに前悪性がん状態および悪性のがん性状態、がんおよび先天異常の予防および/または処置における医薬品として、または薬学的組成物の調製のために、使用され得る。
本発明の特定の実施態様において、変性疾患は、神経変性疾患、骨および骨格の変性疾患、皮膚、粘膜上皮の変性疾患等の種々の組織または器官の変性疾患を含み得、例えば、骨粗鬆症(osteoporesis)、骨減少症、アルツハイマー病等を含み得る。
1つの実施態様において、増殖性疾患は、腫瘍である。腫瘍は、頭部および頚部の腫瘍、気管の腫瘍、肛門性器管(anogenital tract)の腫瘍、消化管の腫瘍、泌尿器系の腫瘍、生殖器系の腫瘍、内分泌系の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、皮膚およびその付属器官の腫瘍、軟組織および骨の腫瘍、リンパ系および造血系の腫瘍等を含み得る。腫瘍は、例えば、新生物、例えば良性および悪性の腫瘍、カルシノーマ、肉腫、白血病、リンパ腫または形成不全を含み得る。特有の実施態様において、腫瘍は、例えば、頭部および頚部のがん、気管のがん、肛門性器管のがん、消化管のがん、皮膚およびその付属器官のがん、中枢および末梢神経系のがん、泌尿器系のがん、生殖器系のがん、内分泌系のがん、軟組織および骨のがん、造血系およびリンパ系のがんである。
エフェクターポリペプチドがTNSFポリペプチドまたはサイトカイン受容体ポリペプチドからなる群より選択される特定の実施態様において、本発明は、治療において使用するため、例えば、増殖性障害、特に、TNFサイトカインの機能不全によって引き起こされる、それらと関連する、および/またはそれらを伴う障害、例えば、腫瘍(例えば、固形腫瘍またはリンパ腫)、感染症、炎症性疾患、代謝性疾患、自己免疫障害(例えば、リウマチおよび/または関節炎疾患)、変性疾患(例えば、多発性硬化症等の神経変性疾患)、アポトーシス関連疾患および移植拒絶の予防および/または処置における薬学的組成物を調製するために本明細書に記載されるような融合タンパク質、核酸分子または細胞を使用するための、本明細書に記載されるような融合タンパク質、核酸分子または細胞にも関する。
エフェクターポリペプチドが抗体、1本鎖抗体または抗体もしくは1本鎖抗体のフラグメントである特定の実施態様において、本発明は、さらに、治療において使用するため(例えば、増殖性障害、免疫学的障害、自己免疫障害、炎症性疾患、リンパ腫、感染症、代謝性疾患、自己免疫障害(例えば、リウマチおよび/または関節炎疾患)、変性疾患(例えば、多発性硬化症等の神経変性疾患)、アポトーシス関連疾患および移植拒絶の予防および/または処置における薬学的組成物を調製するために本明細書に記載されるような融合タンパク質、核酸分子または細胞を使用するため)の本明細書に記載されるような融合タンパク質、核酸分子または細胞に関する。
上記組成物は、単独療法として投与されてもよいし、さらなる医薬品(例えば、細胞増殖抑制剤もしくは化学療法剤、副腎皮質ステロイドおよび/または抗生物質)との組み合わせ療法として投与されてもよい。好ましくは、その組成物は、例えば、実施例2.8に記載されるような腫瘍選択的アポトーシス感作剤および/または腫瘍選択的アポトーシス誘発剤と共に投与される。
上記融合タンパク質は、好適な手段によって具体的症状を処置するための十分な用量において、その必要のある被験体(特にヒト患者)に投与される。例えば、その融合タンパク質は、薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤および/またはアジュバントと共に薬学的組成物として処方されてもよい。治療の効果および毒性は、標準的プロトコルに従って測定され得る。薬学的組成物は、全身的(例えば、腹腔内、筋肉内または静脈内)に投与されてもよいし、局所的(例えば、鼻腔内、皮下または髄腔内)に投与されてもよい。静脈内投与が好ましい。
投与される融合タンパク質の用量は、処置される被験体、被験体の体重、疾患のタイプおよび重症度、投与方法ならびに処方医の判断に当然依存する。融合タンパク質の投与については、0.001〜100mg/kgの1日量が好適である。
(参考文献)
(融合タンパク質の基本構造)
以下において、本発明の組換えタンパク質の基本構造を、本明細書に記載されるようなTNF−スーパーファミリーサイトカインに関して例証して示す。この例証は、本発明の一般的な範囲を限定することを意図するのではなく、融合タンパク質に存在する構成要素の全体的な印象を与えるものである。
基本構造として、融合タンパク質は、以下のエレメントを含む:
(i)a.コレクチンファミリー糖質認識ドメイン;および
b.コレクチンファミリーネック領域;]
を含むコレクチンファミリー三量体化ドメイン
(ii)リンカーエレメント;ならびに
(iii)エフェクターポリペプチド(ここで、そのエフェクターポリペプチドは、コレクチンファミリーネック領域のN末端に配置される)。
ヒトコレクチンサーファクタントタンパク質−Dおよびコレクチン−11の様々なフラグメントが、本明細書に記載されるような三量体化ドメインとして考えられる。
1.4 可撓性リンカーエレメント
(GSS)a(SSG)b(GSG)c(式中、a、b、cはそれぞれ、0、1、2、3、4、5または6である。)
本明細書に記載されるように、TNFスーパーファミリーサイトカインの様々なフラグメント(例えば、受容体結合ドメイン)が考えられる。
(実施例)
(1.1 C末端に位置するコレクチン由来三量体化ドメインによって安定化されるTNF−SFタンパク質の構築)
ヒトコレクチン−11(Col11)、コレクチン−11の「コイルドコイル」(CC11)、ヒト肺サーファクタントタンパク質−D(SP−D)、SP−Dの「コイルドコイル」(CCSPD)から得られた三量体化モチーフ(表2および3)を、CD95Lのヒト受容体結合ドメイン(RBD)(「CD95L−RBD」;Glu142〜Leu281)、ヒトTRAIL−RBD(Gln120〜Gly281)、ヒトLIGHT−RBD(Glu91〜Val240)およびヒトAPRIL−RBD(Lys113〜Leu250)のC末端にそれぞれ融合した。
可撓性リンカー要素リンカーエレメントは、TNSF−RBDと三量体化ドメインとの間に様々な長さで配置された(表4)。
(1.2 発現コンストラクトの作製)
本明細書に記載されるような融合タンパク質をコードする核酸分子は、融合タンパク質を発現するための好適なベクター中にクローニングされ得る。そのようなベクターを作製するために必要な分子ツールは、当業者に公知であり、そのツールには、制限酵素、ベクターおよびベクターを増やすための好適な宿主が含まれる。
精製および分析ストラテジーのために、Step−tagII(アミノ酸配列WSHPQFEK)をC末端に付加した。この親和性タグは、可撓性リンカーエレメント(アミノ酸配列PSSSSSSA)によって三量体化ドメインに連結された。分泌に基づく発現を可能とするため、ヒトIgκ由来のシグナルペプチドを前記タンパク質のN末端に融合した。この融合タンパク質のアミノ酸配列を逆翻訳(backtranslated)し、それらのコドン使用頻度を哺乳動物細胞に基づく発現のために最適化した。遺伝子合成は、ENTELECHON GmbH(Regensburg,Germany)によって行われた。最終的な発現カセットを、プラスミドの唯一のHind−III部位およびNot−I部位を使用してpCDNA4−HisMax−骨格にサブクローニングした。すべての発現カセットを、DNA配列決定によって通常どおり確かめた。
以下のコンストラクトについてのデータが本明細書中に提示される(表5aおよび5b)。
(1.3 TNFスーパーファミリーの遺伝子操作されたリガンドの発現および精製)
10%FBS、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンが補充されたDMEM+GlutaMax(GibCo)中で育成されたHek293T細胞を、本明細書に記載されるような融合タンパク質をコードするプラスミドで一過性にトランスフェクトした。組換えタンパク質を含有する細胞培養上清をトランスフェクトの3日後に収集し、300×gでの遠心分離により不純物を除去した後、0.22μmの滅菌フィルターに通して濾過した。親和性精製のために、4mlの50%Streptactin Sepharose(IBA GmbH,Goettingen,Germany)を2mlカラムに詰め、30mlのリン酸緩衝生理食塩水,pH7.4(PBS;Invitrogen Cat.10010)または緩衝液W(100mM Tris−HCl、150mM NaCl pH8.0)で平衡化した。上記細胞培養上清を4℃において2ml/分の流速でカラムに注いだ。その後、カラムをPBSまたは緩衝液Wで洗浄し、特異的に結合したタンパク質を5×2ml緩衝液E(2.5mMのデスチオビオチン,pH7.4を含むPBSまたは緩衝液W)の添加によって段階的に溶出した。溶出画分のタンパク質内容物を吸光分光法および銀染色SDS−PAGEによって分析した。陽性画分をその後、限外濾過(Sartorius,Vivaspin,10,000Daカットオフ)によって濃縮し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってさらに分析した。
Aektaクロマトグラフィーシステム(GE−Healthcare)を使用してSuperdex200カラムにおいてSECを行った。カラムをPBS(Invitrogen Cat.10010)で平衡化し、濃縮されたstreptactin精製タンパク質を0.5ml/分の流速でSECカラムに充填した。溶出物を(elution of was)280nmの吸光度によりモニターした。ゲル濾過標準タンパク質(Bio−Rad GmbH,Muenchen,Germany)を用いたSuperdex200カラムの較正に基づいて、精製タンパク質の見かけの分子量を測定した。
(1.4 細胞死アッセイ)
カスパーゼ活性化を分析するために、JurkatA3永久ヒトT細胞株(cat.no.CRL2570,ATCC)による細胞アッセイを使用した。Jurkat細胞を、10%FBS(Biochrom)、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(GibCo)が補充されたRPMI1640培地+GlutaMAX(GibCo)を用いてフラスコ中で育成した。アッセイ前に、各ウェルについて100,000個の細胞を96ウェルのマイクロタイタープレートに播種した。架橋抗体ありまたはなしで上記タンパク質を含有する種々の溶液をウェルに添加した(最終容量:200μl)後、37℃で3時間のインキュベーションを行った。20μlの溶解緩衝液(250mM HEPES、50mM MgCl2、10mM EGTA、5%Triton−X−100、100mM DTT、10mM AEBSF,pH7.5)を添加することによって細胞を溶解し、プレートを氷上で30分〜2時間インキュベートした。アポトーシスは、カスパーゼ活性の増加と並行して起こる。それゆえに、特異的なカスパーゼ基質Ac−DEVD−AFC(Biomol)の切断を用いることにより、アポトーシスの程度を測定した。カスパーゼ活性アッセイのために、20μlの細胞溶解物を黒色の96ウェルマイクロタイタープレートに移した。50mM HEPES、1%ショ糖、0.1%CHAPS、50μM Ac−DEVD−AFCおよび25mM DTT,pH7.5を含有する80μlの緩衝液の添加の後、プレートをTecan Infinite F500マイクロタイタープレートリーダーに移し、蛍光強度の増加をモニターした(励起波長400nm、発光波長505nm)。
HT1080線維肉腫細胞、HeLa子宮頚がん細胞およびWM35メラノーマ細胞における細胞死を測定するため、15,000個の細胞を、10%FBS(Biochrom)が補充されたRPMI1640培地+GlutaMAX(GibCo)中で一晩、96ウェルプレートに置いておいた。Colo205細胞については、50,000個の細胞を一晩置いておいた。次の日に、示されるリガンドで細胞を刺激し、さらに18時間インキュベートした。HeLa細胞およびHT1080細胞については、シクロヘキシミド(Sigma)を、リガンドによる刺激の間、最終濃度2.5μg/mlで使用した。HT1080、HeLaおよびWM35の細胞死を、緩衝液KV(0.5%クリスタルバイオレット、20%メタノール)で染色することによって定量した。染色後、ウェルを水で洗浄し風乾した。染料をメタノールで溶出し、595nmにおける光学濃度を、ELISAリーダーを使用して計測した。Colo205細胞の生存率を、MTSアッセイ(Promega)によって定量した。
(1.5 肝細胞細胞毒性アッセイ)
TRAIL融合タンパク質の影響を測定するため、初代ヒト肝細胞を健常ドナーから調製し、96ウェルプレートにおいて1ウェル当たり25,000個の細胞を使用してWilliams E培地中で培養した。2日目に、培地を10%FCS、ヒトインスリン、Pen/Strep、最小必須培地(MEM)、ピルビン酸ナトリウムおよび10mM Hepesが補充されたDMEM−F12に変更し、もう1日培養した。3日目に、架橋抗体(StrepMabImmo、IBA GmbH)の存在下または非存在下で、様々な濃度の示されるタンパク質によって細胞を刺激した。リガンドと化学療法剤との共処置(cotreatment)の潜在的な肝毒性の影響を評価するために、様々な濃度のTRAIL−ASPD_F335Dを、5mMのドキソルビシンまたは5mMのゲムシタビンと共に共インキュベートした。細胞を37℃かつ5%CO2で5または24時間インキュベートし、その後、「細胞死アッセイ」欄に記載されるようにカスパーゼ活性の測定のために溶解した。
(1.6 Streptactin−ELISA)
構築されたリガンドへの受容体の結合を測定するために、streptactinでコーティングされた96ウェルマイクロプレートを使用した。従って、一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清、マウス血清または精製タンパク質を、PBS中で1〜3時間、streptactinプレート(IBA GmbH)上に固定化した。試料を、ELISA結合/ブロッキング緩衝液(PBS、0.1%Tween−20、20%SuperBlock T20−PBS(Pierce))中に希釈した。プレートをPBS+0.1%Tween−20で洗浄し、マウス抗TRAIL抗体(Pharmingen、クローンRIK−2)、TRAIL受容体1−Fc(R&D Systems)、TRAIL受容体2−Fc(R&D Systems)、TACI−Fc(R&D
Systems)またはHVEM−Fc(R&D Systems)と共に室温で1時間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、Fcタンパク質を抗ヒト−または抗マウス−Fc特異的ペルオキシダーゼ結合体化抗体(Sigma)で検出した。呈色反応は1ウェル当たり100μlのTMB基質(Kem−En−Tec Diagnostics)の添加により行われ、停止溶液として25μlの25%H2SO4を添加した後、450nmおよび630nmでの吸光度を、ELISAリーダーを用いて測定した。MS Excelを用いて450nm−630nmとして値を計算した。
(1.7 マンナン結合アッセイ)
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を、滅菌コーティング緩衝液(15mM Na2CO3、35mM NaHCO3、0.025%NaN3,pH9.6)中で、10μg/ウェルの酵母マンナン(Sigma)と共に4℃で一晩インキュベートした。プレートを、最初に緩衝液BB(20mM Tris、140mM NaCl、5mM CaCl2、0.1%BSAおよび20%SuperBlock T20−PBS(Pierce))と共に室温で1時間インキュベートし、次に様々な濃度の示されるリガンドと共に緩衝液BB中でさらに90分間インキュベートした。プレートを緩衝液WB(20mM Tris、140mM NaCl、5mM CaCl2、0.05%Tween−20)で洗浄し、緩衝液BB中においてstreptactin−HRP(IBA GmbH)を使用して検出を行った。プレートを洗浄し、TMB基質(Kem−En−Tec Diagnostics)を用いて発色させた。停止溶液として25μlの25%H2SO4を添加した後、450nmおよび630nmにおける吸光度を、ELISAリーダーを用いて測定した。MS Excelを用いて450nm−630nmとして値を計算した。
(1.8 TRAIL−SPD融合タンパク質の薬物動態)
雄性CD1マウス(Charles River)に、300μlのPBS(Invitrogen)に溶解された10μgのタンパク質を静脈注射した。0分後(投与前)、5分後、30分後、2時間後、6時間後および24時間後に血液を採取した。各時点について2試料を採取した。血液試料を処理して血清を得、−15℃で保存した。TRAIL融合タンパク質の濃度を、以下(1.9章)に記載されるようにELISAを用いて測定し、半減期を計算した(GraphPad Prism v4.0)。
(1.9 マウス血清中のTRAILコンストラクトを定量化するためのELISA)
マウス血清中のTRAILタンパク質(薬物動態研究起源)の濃度を定量するため、96ウェルマイクロプレートを使用するELISA法を使用した。
ELISAプレートを2μg/mlのマウス抗TRAIL(クローンRIK−2;Pharmingen)で37℃において1時間コーティングした。PBS+0.1%Tween−20で洗浄し、StartingBlockTM(Pierce)を用いて37℃で30分間プレートをブロッキングした後、0.2%および5%の濃度の血清試料、較正試料およびコントロール試料を添加し、そして37℃で1時間インキュベートした。較正試料およびコントロール試料を、各TRAILバッチ(TRAIL−ASPDまたはTRAIL−ASPD−F335AまたはTRAIL−ASPD−F335D)から調製し、潜在的なマトリクス効果を説明するために、それらに0.2%または5%のプールされた無処理CD1マウス血清を補充した。コントロール試料(高、中および低濃度のTRAILコンストラクト)を、TRAIL定量の精度および正確性を保証するための品質コントロール(quality control)として、定められたアッセイウィンドウ(assay window)において添加した。プレートを再度洗浄し、StrepTagを含むTRAILコンストラクトを、1:1000希釈されたStrep Tactin−POD(IBA)により検出した。すべての試料およびタンパク質をELISA緩衝液(PBS、0.1%Tween−20、5%StartingBlock(Pierce))により希釈した。呈色反応は、1ウェル当たり100μlのTMB基質(Kem−En−Tec Diagnostics)を添加した後、開始された。停止溶液として25μlの25%H2SO4を添加した後、450nmおよび630nmでの吸光度を、ELISAリーダーを用いて測定した。MS Excelを用いて450nm−630nmとして値を計算した。
(2.結果)
(2.1 CD95L融合タンパク質(CD95L−ASPD)の特徴づけ)
Streptactinで親和性精製されたCD95L−ASPDから、0.5ml(0.86mgのタンパク質)を、ランニング緩衝液(running buffer)としてPBSを用いて流速0.5ml/分でSuperdex200カラムに充填した。0.5mlの画分を採取した(A1〜A11が示される)。11.92mlにおける主要なピークの保持容量は、サイズ排除標準(size exclusion standard)から決定された170kDaに対応した。これは、そのタンパク質がグリコシル化された単量体で構成される三量体であることを示した。単量体ポリペプチドの計算された分子量は、38kDaである。画分A1〜A11のアリコートをSDS−PAGEおよびカスパーセ活性のために使用した。一定の三量体のピーク(画分A7〜A10)のみを最終分析に使用した。結果を図1に示す。
親和性精製されたCD95L−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーからのアリコートを還元SDS−PAGEに続く銀染色に使用した。およそ40〜45kDaに検出されたバンド(矢印によって示される)は、CD95L−ASPDに対応した。三量体種は、画分A7〜A10中に存在した。結果を図2に示す。
親和性精製されたCD95L−ASPDを用いたSEC由来の画分A1〜A15からの最終8倍希釈におけるアリコートと共に、Jurkat細胞をインキュベートした。3時間のインキュベーションの後、細胞を溶解し、カスパーゼ活性を蛍光発生アッセイにより測定した。Jurkat細胞は高度に架橋されたリガンドを必要とすると知られているので、三量体ピーク(画分A7〜A10)に対応する画分は、Jurkatにおいて明確であるが弱いカスパーゼ活性を誘導した。ゆえに、画分A1〜A6中の凝集した未確定の種は、カスパーゼ活性化の強力な誘導物質である(さらに使用せず)。重要なことに、一定の三量体種(A7〜A10)のみが採取され、最終分析に使用された。結果を図3に示す。
ヒトがん細胞株HT1080(A)、HeLa(B)またはWM35(C)を、架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの抗Step−tagII)の存在下または非存在下で、示された濃度の精製された三量体CD95L−ASPDと共にインキュベートした。細胞を18時間インキュベートし、そして細胞毒性をクリスタルバイオレット染色によって分析した。その結果、CD95L−ASPDは、HeLa子宮頚がんおよびHT1080線維肉腫において細胞死を誘導したが、WM35メラノーマ細胞においては誘導しなかった。結果を図4に示す。
CD95L−ASPDのアミノ酸配列を以下に示す。
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜160:CD95L受容体結合ドメイン
161〜171:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
172〜209:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
210〜327:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン
328〜338:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
339〜346:Strep−tagII(WSHPQFEK)。
(2.2 LIGHT融合タンパク質(LIGHT−ASPD)の特徴づけ)
親和性精製されたLIGHT−ASPDから、0.5ml(1.56mg)をSuperdex200カラムに充填し、ランニング緩衝液としてPBSを用いて、0.5ml/分で分離した。11.96mlで検出される主要なピークは、170〜180kDaのサイズに対応したことから、LIGHT−ASPDが3つのグリコシル化された単量体で構成される三量体であることが示された。三量体のピーク(画分A7〜A10)を採取し、最終的な分析に使用した。挿入図は、2つの独立する精製された三量体LIGHT−ASPDバッチ(0917および0918と命名される)の銀染色SDS−PAGEを示す。結果を図5に示す。
様々な濃度(0〜10マイクログラム)の親和性精製およびSEC精製された三量体LIGHT−ASPDを、Streptactinでコーティングされたマイクロプレート上へのStrep−tagIIを介する固定化に使用した。その後、LIGHT−ASPDを、それぞれ100ng/mlの受容体HVEMおよびTRAIL受容体1のFc融合タンパク質を用いるELISA設定において検出した。固定化されたリガンドの量の増加に伴ってHVEM−Fcに対するELISAシグナルが増加したが、一方で、分析された全範囲に亘ってTRAIL受容体1−Fcに対してはなんらのシグナルも検出されなかった。これは、LIGHT−ASPDがその受容体HVEMに結合することが可能な機能的分子であることを示した。結果を図6に示す。
LIGHT−ASPD融合タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜170:LIGHT受容体結合ドメイン
171〜181:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
182〜219:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
220〜337:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン
338〜348:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
349〜356:Strep−tagII(WSHPQFEK)。
(2.3 TRAIL融合タンパク質の特徴づけ)
HEK293細胞を、TRAIL融合タンパク質をコードする24個の異なる発現ベクターで一過性にトランスフェクトした(表6)。
上清をSDS−PAGEに使用し、TRAILコンストラクトをStrep−tagIIに特異的な抗体を使用するウェスタンブロット分析によって検出した。
検出された特異的なバンドは、矢印によって示される。発現強度は、構築に使用された三量体化モチーフのタイプ(SPD>69/T4/コレクチン11/CCSPD/CC11)、ならびにリンカーエレメントの長さ(A>B>C>D)に依存した。結果を図7に示す。
Jurkat細胞を、一過性にトランスフェクトされたHEK細胞からの上清と共に、架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの抗Strep−tagII)の存在下(黒色バー、抗Strep−tagII)または非存在下(白色バー)で3時間インキュベートした。上清は、様々なリンカーエレメント(A、B、CおよびDリンカー)を介して融合された様々な三量体化モチーフ(T4、69、SPD、CCSPD、Col11、CC11)を有するTRAIL融合タンパク質を含有した。ネガティブコントロールとして、トランスフェクトされていない細胞からの細胞上清を使用した。Jurkat細胞を溶解し、蛍光発生アッセイによりカスパーゼ活性について分析した。
その結果、カスパーゼ活性は使用されたリンカーエレメントのタイプ(A>B>C>D)、および使用されたFold−Onによって減少した。コレクチン−11またはコレクチン−11のコイルドコイル(CCCol11)を含むTRAILコンストラクトは、発現される(ウェスタンブロット分析により示される)が機能的ではなかった一方で、SPD由来フォールドオン(fold−on)モチーフは、機能的TRAILリガンドを生じた。結果を図8に示す。
親和性精製されたTRAIL−ASPDを、0.5ml(0.4mgのタンパク質)を、ランニング緩衝液としてPBSを用いて、0.5ml/分でSuperdex200カラムに充填することによりSECに供した。タンパク質溶出を280nmにおける吸光度によってモニターし、0.5mlの画分を採取した。12.28mlの保持容量は、サイズ排除標準から決定された135〜140kDaに対応する。これは、単量体ポリペプチドの計算された分子量が40kDaであるので、TRAIL−ASPDがホモ三量体であることを示した。重要なことに、野生型TRAIL−RBD配列からなるSECにより分析されたすべての融合タンパク質について、非活性かつ凝集したTRAIL融合タンパク質に対応するおよそ8mlにおける追加のピークが観察された。採取された画分A1〜A14から、三量体のピーク(A8〜A10)のみをさらなる分析に使用した。結果を図9に示す。
ヒトがん細胞株HeLa、HT1080、Colo205またはWM35を、示される濃度の精製された三量体TRAIL−ASPDと共に、架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの抗Strep−tagII)の存在下または非存在下で18時間インキュベートした。細胞死をクリスタルバイオレット染色(HeLa、WM35およびHT1080)またはMTSアッセイ(Colo205)によって定量した。高いリガンド濃度におけるColo205細胞の生存率の上昇は、架橋抗体の限界に起因するとみられる。結果を図10に示す。
様々な濃度(A)または一定濃度(B)の親和性精製およびSEC精製された三量体TRAIL−ASPDを、Streptactinでコーティングされた96ウェルプレート上への固定化のために使用した。プレートを、その後、1ウェル当たり100,000個のJurkat細胞と共に、37℃、5%CO2で5時間インキュベートし、蛍光発生アッセイによりカスパーゼ活性を測定した。特異性を分析するために、示される様々な濃度のアンタゴニスト抗TRAIL抗体(クローンRIK−2、Pharmingen)と共にプレート(B)を30分間インキュベートした後、細胞を添加した。結果を図11に示す。
HT1080細胞を、示される濃度の精製された三量体TRAIL−ASPDまたはTRAIL−DSPDと共に、同じ96ウェルプレート上でインキュベートした。次の日に、細胞死をクリスタルバイオレット染色によって定量した。TRAIL−DSPDおよびTRAIL−ASPDに対するそれぞれ27ng/mlおよび6ng/mlのEC50値によって示されるように、Dリンカーの使用は、生物活性をおよそ4.5倍低下させた。結果を図12に示す。
TRAIL融合ポリペプチドの核酸およびアミノ酸配列を以下に示す。
配列番号42:Sp−TRAIL−ASPDの発現カセット
エンドヌクレアーゼ制限部位に下線を付している(HindIII,AAGCTT;BamHI,GGATCC;NotI,GCGGCCGC)。翻訳開始コドンは太字である。
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜181:TRAIL受容体結合ドメイン
182〜192:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
193〜230:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
231〜348:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン
349〜359:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
360〜367:Strep−tagII(WSHPQFEK)
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜181:TRAIL受容体結合ドメイン
182〜192:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
193〜230:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
231〜238:リンカーエレメント(PSSSSSSA)
239〜246:Strep−tagII(WSHPQFEK)
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜181:TRAIL受容体結合ドメイン
182〜192:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
193〜224:ヒトコレクチン−11のコイルドコイル「ネック」領域
225〜347:ヒトコレクチン−11のC型レクチンドメイン
348〜357:リンカーエレメント(GSPSSSSSSA)
358〜365:Strep−tagII(WSHPQFEK)
1〜20:分泌シグナルペプチド(下線)
21〜181:TRAIL受容体結合ドメイン
182〜193:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;GSS GSS GSS GSGイタリック)
194〜229:ヒトコレクチン11のコイルドコイル「ネック」領域
230〜238:リンカーエレメント(GPSSSSSSA)
239〜246:Strep−tagII(WSHPQFEK)。
(2.4 受容体選択的TRAIL(「ムテイン」)融合タンパク質の特徴づけ)
HEK293細胞を、種々のTRAIL受容体選択的SPDコンストラクトをコードする発現プラスミドで一過性にトランスフェクトした。
トランスフェクトの3日後に上清を採取し、アリコートをSDS−PAGEおよびStrep−tagIIに特異的な抗体を使用するウェスタンブロッティングのために使用した。特異的なバンドは、およそ38kDa(SPD融合タンパク質)および28kDa(コイルドコイルSPD融合タンパク質)に検出された。発現されるタンパク質の量は、リガンド自体に依存し(TRAILR1ムテイン>TRAILR2ムテイン>TRAIL)、第2に、使用されたリガンド長に依存し(A>D)、そして第3に、使用された三量体化モチーフに依存した(SPD>CCSPD)。見かけの分子量は、計算されたサイズから予測されたとおりだった(SPDおよびCCSPD融合タンパク質についてそれぞれ40kDaおよび27kDa)。結果を図13に示す。
SPD/ccSPDとTRAIL、TRAILR1mutおよびTRAILR2mutの融合タンパク質に対するTRAIL受容体1またはTRAIL受容体2の選択性は、Streptactin−ELISAによって示された。従って、一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清中のTRAIL−SPD融合タンパク質を、Streptactinでコーティングされたマイクロプレート上に固定化した。トランスフェクトされていない細胞からの細胞上清は、ネガティブコントロールとしての役割を果たした。結果を図14に示す。特異的に結合したタンパク質は、一定濃度(A、B)または様々な濃度(C、D)のTRAIL受容体1−FcまたはTRAIL受容体2−Fcのいずれかによって検出された。(A)に示されるように、SPDに融合されたリガンドTRAILR1mut改変体は、TRAIL受容体1によって検出される一方、リガンドTRAILR2mutは、検出されない。(B)に示されるように、リガンドTRAILR2mutは、TRAIL受容体2によって優先的に検出される一方、TRAILR1mutコンストラクトおよびTRAIL野生型コンストラクトは同様に、良好に検出される。Cに示されるように、TRAIL受容体1−Fcは、受容体測定(titration)範囲全体にわ
たって同様に、良好にTRAIL−R1mut−ASPDおよびTRAIL−ASPDに結合した一方、TRAIL−R2mut−ASPDは、検出されない。Dに示されるように、TRAIL受容体2−Fcは、分析された受容体測定範囲にわたって同様に、良好にTRAIL−R2mut−ASPDおよびTRAIL−ASPDに結合した一方、TRAIL−R1mut−ASPDに対するシグナルは、受容体濃度の減少に伴って迅速に減少した。
100マイクロリットルのPBS中の1マイクログラム/mlの親和性精製された三量体TRAIL−ASPD、TRAILR1mut−ASPDまたはTRAILR2mut−ASPDを、Streptactinでコーティングされたマイクロプレート上へのStrep−tagIIを介した固定化のために使用した。結合したリガンドを、TRAIL受容体1(A)およびTRAIL受容体2(B)のFc融合タンパク質を用いてELISA設定において検出した。(A)に示されるように、TRAIL受容体1は、TRAILR2mut−ASPDに比べ、受容体選択的TRAILR1mut−ASPDに優先的に結合した。(B)に示されるように、TRAIL受容体2は、TRAILR1mut−ASPDに比べ、TRAILR2mut−ASPDに優先的に結合した。結論として、SPDに融合された構築されたTRAIL改変体は、受容体選択的である。結果を図15に示す。
親和性精製されたTRAILR1mut−ASPDを、Superdex200カラムに0.5ml(0.95mgのタンパク質)を充填することによってSECに供した。結果を図16に示す。タンパク質を、ランニング緩衝液としてPBSを用い、0.5ml/分で分離し、0.5mlの画分を採取した(画分A1〜A14が示される)。12.46mlの保持容量は、サイズ排除標準によって決定された140〜145kDaに対応した。10.83mlにおける小さなピークは、いくつかの凝集種を示したが、重要なことに、実行し始め(running front)(8ml)ではピークが検出されなかったことから、野生型TRAILアミノ酸配列の一部を含むタンパク質に比べて、この分子がより一層可溶性であることが示される。
親和性精製されたTRAILR1mut−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーからのアリコートを、非還元(A)または還元(B)SDS−PAGEの後の、図17に示されるような銀染色に使用した。非還元条件下では、35および70kDaにおいて2つのバンドが検出された一方で、還元条件下では40kDaの単一バンド(矢印で示される)が検出された。これは、ジスルフィド架橋された分子の形成を示した。三量体種は、画分A8〜A11中に存在し、後の分析に使用された。
Jurkat細胞を、親和性精製されたTRAILR1mut−ASPDのSEC由来の画分A1〜A14からの最終80倍希釈におけるアリコートと共に、2.5マイクログラム/mlの架橋抗体の非存在下(白色バー)または存在下(黒色バー)においてインキュベートした。結果を図18に示す。ネガティブコントロールとして、Jurkat細胞を培地のみでインキュベートした。3時間のインキュベーションの後、Jurkat細胞を溶解し、蛍光発生アッセイによってカスパーゼ活性を測定した。Jurkat細胞は、主にTRAIL受容体2を発現することが示されているので、TRAILR1mit−ASPDがStrep−tagII特異的抗体によって架橋されたときでさえも、どの画分も顕著なカスパーゼ活性を誘導しなかった。これは、TRAILR1mut−ASPDがTRAIL受容体2に結合しないことを示した。
親和性精製されたTRAILR2mut−ASPDを、図19に示されるように、Superdex200カラムに0.5ml(0.5mgのタンパク質)を充填することによって、サイズ排除クロマトグラフィーに供した。ランニング緩衝液としてPBSを用いて0.5ml/分でタンパク質を分離し、0.5mlの画分を採取した(画分A1〜A14が示される)。12.60mlの保持容量は、サイズ排除標準から決定された130〜135kDaに対応する。これは、40kDaという予測される単量体重量から計算されるように、TRAILR2mut−ASPDがホモ三量体であることを示した。重要なことに、95%超が三量体ピーク画分中に存在し、凝集物は検出されなかった。三量体ピークを後の分析に使用した。
親和性精製されたTRAILR2mut−ASPDのサイズ排除クロマトグラフィーからのアリコートを、非還元(A)または還元(B)SDS−PAGEに続く、図20に示されるような銀染色に使用した。非還元条件下では、35および70kDaにおいて2つのバンドが検出された一方で、還元条件下では、およそ40kDaの単一バンド(矢印で示される)が検出された。これは、ジスルフィド架橋された分子の形成を示した。三量体種は、画分A9〜A11中に存在し、後の分析に使用された。
TRAILR2mut−ASPDを用いたJurkat細胞殺傷アッセイの結果を図21に示す。Jurkat細胞を、親和性精製されたTRAILR2mut−ASPDのSEC由来画分A1〜A14からのアリコートと共に、架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの抗Strep−tagII)の非存在下(白色バー)または存在下(黒色バー)においてインキュベートした。試料を最終640倍希釈で使用した。3時間のインキュベーションの後に細胞を溶解し、蛍光発生アッセイによってカスパーゼ活性を測定した。Jurkat細胞は、効率的なシグナル伝達のために多量体化リガンド型を必要とするTRAIL受容体2を主に発現することが示されているので、TRAILR2mut−ASPDは、架橋されるとき、カスパーゼ活性を誘導した。これは、TRAILR2mut−ASPDが機能的分子であることを示した。
種々のヒトがん細胞に対するTRAIL−ASPD、TRAILR1mut−ASPDおよびTRAILR2mut−ASPDの細胞毒性活性を図22に示す。示される細胞株HT1080(AおよびB)、Hela(CおよびD)またはColo205(EおよびF)を、架橋抗体(抗Strep−tagII)の非存在下(A、CおよびE)または存在下(B、DおよびF)で、様々な濃度の精製された三量体TRAIL−ASPD、TRAILR1mut−ASPDまたはTRAILR2mut−ASPDで処理した。細胞を、示される濃度のリガンドと共に18時間インキュベートし、クリスタルバイオレット染色(HT1080およびHeLa)またはMTSアッセイ(Colo205)によって細胞死を定量した。その結果、リガンドTRAIL−ASPDは、試験された3種の細胞株に対して細胞死を誘導し、TRAILR2mut−ASPDは、優れた細胞殺傷活性を示した。対照的に、TRAIL受容体1に選択的なTRAILR1mut−ASPDは、試験されたどの細胞株に対しても活性ではなかった。
親和性精製されたTRAILR2mut−ASPDを、10kDa膜に通す遠心分離によってPBS中に20倍に濃縮することにより、2.5mg/mlの溶液を得た。濃縮物から、0.1mlをサイズ排除クロマトグラフィーに供した。その結果、三量体ピークのみが検出され、凝集物は検出されなかったことから、この組成物が、改良された生成能力を有することが示される(図23)。同様の結果が、TRAILR1mut−ASPDについて達成され、ここで、5.4mg/mlの濃縮溶液でさえも凝集の徴候を示さなかった(示さず)。対照的に、野生型TRAIL配列で構成される受容体結合ドメインを含む試験されたすべての融合タンパク質は、0.4mg/mlもの低濃度で40%の凝集物を伴う凝集を示した。
受容体選択的なTRAILムテイン融合ポリペプチドのアミノ酸配列を以下に示す。
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜181:TRAILR1mut受容体結合ドメイン
182〜192:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
193〜230:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
231〜348:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン
349〜359:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
360〜367:Strep−tagII(WSHPQFEK)
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜181:TRAILR2mut受容体結合ドメイン
182〜192:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
193〜230:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
231〜348:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン
349〜359:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
360〜367:Strep−tagII(WSHPQFEK)。
(2.5 SPD糖質−改変体の特徴づけ)
親和性精製されたTRAIL−ASPD_F335Aを、図24に示されるように、Superdex200カラムに0.5mlのPBS溶液(0.4mgのタンパク質)を充填することによってサイズ排除クロマトグラフィーに供した。タンパク質を、ランニング緩衝液としてPBSを用いて0.5ml/分で分離し、0.5mlの画分を採取した(A1〜A13が示される)。12.27mlの保持容量は、サイズ排除標準から決定された135〜145kDaに対応する。これは、40kDaという予測される単量体重量から計算されるように、TRAIL−ASPD_F335Aがホモ三量体であることを示した。8.32および10.68mlにおける2つの追加的ピークは、TRAIL−ASPD_F335A凝集物の形成を示した。三量体ピークのみを後の分析に使用した。
サイズ排除クロマトグラフィーから、画分A1〜A13から採取されたアリコートを、還元SDS−PAGEにより分離し、ゲルを銀染色した(図25)。およそ40kDaにおいて検出されたバンドは、TRAIL−ASPD_F335Aに関する40kDaという計算された分子量に対応した。SEC実行(run)の三量体分子に対応する陽性画分(A8、A9、A10)をプールし、さらなる分析に使用した。
TRAIL−SPD糖質改変体融合タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜181:TRAIL受容体結合ドメイン
182〜192:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
193〜230:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
231〜348:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン(Phe変異(太字))
349〜359:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
360〜367:Strep−tagII(WSHPQFEK)
1〜20:分泌シグナルペプチド(Sp;下線)
21〜181:TRAIL受容体結合ドメイン
182〜192:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;イタリック)
193〜230:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
231〜348:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン(Asp変異(太字))
349〜359:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
360〜367:Strep−tagII(WSHPQFEK)。
ヒトがん細胞に対するTRAIL−ASPD_F335Aの細胞毒性の効果を図26に示す。示されるヒトがん細胞株を、様々な濃度の親和性精製およびSEC精製された三量体TRAIL−ASPD_F335Aと共に、架橋抗体(2.5マイクログラム/mlの抗Strep−tagII)の存在下または非存在下において一晩インキュベートした。細胞生存率を、クリスタルバイオレット染色(HT1080、HeLaおよびWM35)またはMTS(Colo205)によって定量した。高濃度のリガンドにおけるColo205細胞の生存率の上昇は、架橋抗体の限界に起因するとみられる。
親和性精製されたTRAIL−ASPD_F335Dを、図27に示されるように、Superdex200カラムに0.5ml(0.2mgのタンパク質)を充填することによってサイズ排除クロマトグラフィーに供した。ランニング緩衝液としてPBSを用いて0.5ml/分でタンパク質を分離し、0.5mlの画分を採取した(画分A1〜A13が示される)。12.29mlの保持容量は、サイズ排除標準から決定された135〜145kDaに対応する。これは、40kDaという予測される単量体重量から計算されるように、TRAIL−ASPD_F335Dがホモ三量体であることを示した。8.35におけるピークは、野生型TRAILアミノ酸配列の一部を含むすべての融合タンパク質について典型的に見出される非活性のTRAIL−ASPD_F335D凝集物に対応した。
サイズ排除クロマトグラフィーから、採取された画分A1〜A13からの親和性精製されたTRAIL−ASPD_F335Dのアリコートを、還元SDS−PAGEによって分離し、ゲルを銀染色した(図28)。およそ40kDaにおいて検出されたバンド(矢印で示される)は、TRAIL−ASPD_F335Dに関する40kDaという計算された分子量に対応した。三量体タンパク質を含有する画分(画分A8〜A10)をプールし、さらなる分析に使用した。
ヒトがん細胞株HT1080(A)、HeLa(B)、WM35(C)またはColo205(D)を、架橋抗体(抗Strep−tagII)の存在下または非存在下において、様々な濃度の親和性精製された三量体TRAIL−ASPD_F335Dと共に、一晩インキュベートした。細胞生存率を、クリスタルバイオレット染色(HT1080、HeLaおよびWM35)またはMTS(Colo205)によって定量した。データは、TRAIL−ASPD_F335Dが、例示されたがん細胞株において細胞死を誘導することが可能であることを示している(図29)。高濃度のリガンドにおけるColo205細胞の生存率の上昇は、架橋抗体の限界に起因するとみられる。
(2.6 SPD三量体化モチーフ改変体の糖質結合特性の分析)
いくつかの種由来の野生型の完全長オリゴマーSP−Dタンパク質ならびにヒトSP−Dの三量体ネック+CRDは、いくつかの異なる糖質に結合することが示されている。加えて、ヒトSP−Dのネック+CRDはまた、好中球等の免疫細胞に対する走化性因子として働くことによって、免疫調節効果を発揮することが示されている(Caiら,1999,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 276:131−136)。他の細胞も、SP−Dによってリクルートされ得る。マルトースの添加が走化性機能を阻害したので、ヒトSP−Dのネック+CRDの走化性作用は、糖結合機能に依存することが示された。従って、SP−D媒介走化性機能を有するTNFSFのリガンドは、天然アミノ酸配列を有するリガンドまたはそのコンストラクトに比べて、より優れた活性を有し得る。例えば、がんの処置等の細胞効果が望ましいシナリオでは、そのような記載されるリガンドが望ましいことがある。
加えて、SP−Dが糖質機能を有しないリガンドが、他の設定では望ましいことがある。ヒトSP−Dについて、アミノ酸フェニルアラニン335(配列番号21のアミノ酸355に対応する)がアラニンに変異された変異体が記載されている(SPD_F335A,Crouchら,JBC 281:18008−18014)。この変異体は、非常に弱い糖質結合を示した。しかしながら、糖質結合が望まれない場合、荷電アミノ酸(例えば、酸性アミノ酸)の導入は、F335Aに比べてさらに良い可能性がある。従って、変異体SPD_F335Dは、F335A変異体よりも優れていることがある。
TRAIL融合タンパク質の糖質への結合を分析するために、酵母由来のマンナンをマイクロプレート上に固定化し、TRAIL−SPD、TRAIL−SPD_F335AまたはTRAIL−SPD_F335Dの結合をELISAによって検出した。結果を図30に示す。予測された通り、ELISAシグナルは、TRAIL−ASPD濃度の増加に伴って増強した。対照的に、糖質変異体型のTRAIL−ASPD_F335Aは、非常に低いELISAシグナルを示した。加えて、新たに構築された改変体TRAIL−ASPD_F335Dは、最も低いELISAシグナルを表わした(挿入図および矢印を参照のこと)。これは、変異体F335Dが、前述のSP−D変異体型のF335Aに比べて、より低いマンナン結合親和性を有することを示唆した。
(2.7 TRAIL−SPD融合タンパク質の薬物動態)
TRAIL−SPD融合タンパク質の半減期を測定するために、10マイクログラムのTRAIL−ASPD(A)またはTRAIL−ASPD_F335D(B)を雄性CD1マウスに静脈注射し、いくつかの時点の後(投与前、5分後、30分後、2時間後、6時間後および24時間後)、血清試料を採取した。マウス血清中のTRAILタンパク質をELISAによって定量し、そのデータを使用して半減期を計算した。結果を図31に示す。分析された2種のタンパク質については、TRAIL−ASPD(A)およびTRAIL−ASPD_F335D(B)に対して7〜14時間という半減期が計算された。観察期間中、動物は死亡せず、不耐性の徴候も示さなかった。このデータは、げっ歯類において3〜5分の範囲の半減期を有すると報告されている野生型TRAIL(Kelleyら2001)に比べ、少なくとも80倍の血清半減期の改良を示す。
(2.8 TRAIL−ASPD融合タンパク質の細胞毒性)
TRAIL−ASPD、TRAIL−ASPD_F335AまたはTRAIL−ASPD_F335Dの潜在的な肝毒性の影響を分析するために、初代ヒト肝細胞(PHH)を、架橋抗体(抗Strep−tagII)有りまたは無しで、様々な濃度の示されるTRAIL−SPD融合タンパク質と共にインキュベートした。コントロールとして、CD95Lの安定化された改変体であるCD95L−T4(WO2008/025516に記載される)を使用した。結果を図32に示す。
加えて、5mMの化学療法薬物とのPHHの同時インキュベーションの影響をTRAIL−ASPD_F335Dについて分析した。5時間(A、BおよびE)または24時間(C、DおよびF)のインキュベーションの後、細胞を溶解し、蛍光発生アッセイによってカスパーゼ活性を評価した。
その結果、リガンドが抗体によって二次的に架橋された場合でさえも、分析されたすべてのTRAIL−SPD融合タンパク質は、肝毒性の影響を誘導しなかった。対照的に、CD95L−T4は、活性なカスパーゼの増加によって示されるように、肝毒性である(A〜D)。化学療法薬物と共に、初代ヒト肝細胞と三量体TRAIL−ASPD_F335Dとを5時間共インキュベートすることによっては、カスパーゼ活性は誘導されなかった(E)。しかしながら、ドキソルビシンと共に24時間インキュベートした後、可溶性TRAIL−ASPD_F335Dは、強いカスパーゼ活性シグナルを誘導した(F)。
これは、本発明のTRAIL融合タンパク質が、医学的用途において望ましくない肝毒性を示さない可能性があることを示唆する。従って、TRAIL融合タンパク質は、好ましくは、アポトーシス感作剤および/またはアポトーシス誘発剤(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、5−フルオロウラシル、エトポシド、ゲムシタビン、イリノテカン等の化学療法薬物)、またはBcl2ファミリー、特に、Bcl2またはBclxlのポリペプチドに結合するBcl2結合分子(例えば、低分子またはペプチド化合物)である薬物と組み合わせて投与される。
(2.9 APRIL融合タンパク質の特徴づけ)
HEK293細胞を、APRIL−A69(WO2008025516)、APRIL−ASPD、APRIL−ACCSPDまたはAPRIL−ACol11をコードする発現ベクターで一過性にトランスフェクトした。3日後、上清をウェスタンブロッティングによって分泌タンパク質について分析した。結果を図33に示す。APRIL融合タンパク質の検出のために、Strep−tagIIに特異的な抗体を使用した。矢印は、40kDa付近で検出された特異的バンド(それぞれ、APRIL−ASPDおよびAPRIL−ACol11を示す)ならびに25kDa付近で検出された特異的バンド(それぞれ、APRIL−A69およびAPRIL−ACCSPD)を示している。従って、APRIL発現カセットは、機能的であり、タンパク質の分泌は、タンパク質が適切に折り畳まれていることを示した。分析された他のTNFSFタンパク質については、最も高い分泌タンパク質のレベルが、ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」+CRDで構成される三量体化モチーフに融合されたAPRILに対して見出された(APRIL−ASPD、レーン番号2)。APRIL−ASPDを、受容体TACIへの結合を分析するために使用した。
構築されたAPRIL−ASPD融合タンパク質が機能的であることを示すために、APRILの公知の受容体、すなわちTACIへの結合を評価した(図34)。従って、一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清中のAPRIL−ASPDを、Streptactinでコーティングされたマイクロプレート上に固定化した。トランスフェクトされていないHEK293細胞からの細胞上清は、ネガティブコントロールとしての役割を果たした。特異的に結合したタンパク質を、様々な濃度のTACI−Fcによって検出した後、ペルオキシダーゼに結合体化された抗ヒトFc特異的抗体と共にインキュベートした。その結果、TACI−Fcの濃度が増加するにつれてELISAシグナルが増強したことから、APRIL−ASPDが機能的分子であることが示される。
APRIL融合タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す。
1〜20:シグナル分泌ペプチド(下線)
21〜158:APRIL−RBD
159〜169:可撓性リンカーエレメント(A−リンカー;GSS GSS GSS GSイタリック)
170〜207:ヒトSP−Dのコイルドコイル「ネック」領域
208〜325:ヒトSP−DのC型レクチンドメイン
326〜336:リンカーエレメント(GGSPSSSSSSA)
337〜344:Strep−tagII(WSHPQFEK)。
(実施例3 エフェクターポリペプチドとしての1本鎖抗体との融合タンパク質の作製)
1本鎖(sc)Fv−SPD融合タンパク質に関して例となるアミノ酸配列を以下に示す(配列番号52、53)。
1〜20:シグナル分泌ペプチド(下線)
21〜140:重鎖可変ドメイン
141〜155:リンカーエレメント
156〜264:軽鎖可変ドメイン
265〜276:A−リンカー
277〜431:SPD−モチーフ(motiv)(ネック+CRD)
432〜441:リンカーエレメント
442〜450:Strep−tagII(WSHPQFEK)
1〜20:シグナル分泌ペプチド(下線)
21〜140:重鎖可変ドメイン
141〜155:リンカーエレメント
156〜264:軽鎖可変ドメイン
265〜276:A−リンカー
277〜431:SPD−モチーフ(motiv)(ネック+CRD)
432〜441:リンカーエレメント
442〜450:Strep−tagII(WSHPQFEK)。
上記タンパク質を発現させ、1.3欄に記載されたような親和性クロマトグラフィーに供した。溶出物のアリコートを、還元条件下または非還元条件下のSDS−PAGEによって分離した。45.8kDaという予測される分子量を有するsc006−ASPD−Stに対応する、矢印によって示される(図39を参照のこと)40〜50kDaにおける単一バンドが、検出され得る。
上記タンパク質を発現させ、親和性精製し、そして1.3欄に記載されたようなサイズ排除クロマトグラフィーに供した。50マイクログラムの親和性精製されたタンパク質をSuperdex200カラムに充填し、クロマトグラムが示される(図40を参照のこと)。12.63mlにおける主要なピークは、SPDを介して三量体に構築された3つのscFv分子の予測された種に類似する、160±15kDaの分子量に対応する。その分子は、抗原を固定化しsc006−SPD−Stを検出することによってELISA設定において機能的に試験され得る。
本実験において生成される融合タンパク質は、IL4R−アルファに対して作製された1本鎖抗体を含む。