JP2016210643A - 耐火組成物及びそれを使用してなる耐火コンクリートブロック - Google Patents

耐火組成物及びそれを使用してなる耐火コンクリートブロック Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法で大型、中空など種々の形状に成形することが可能であり、常温から1350℃の熱間に至る温度範囲において荷重下における線熱膨張率が従来よりも小さく抑えられ、かつ前記温度範囲において無拘束状態における線熱膨張率が従来よりも小さく抑えられた耐火コンクリートブロック及びその原料である耐火組成物を提供する。【解決手段】水を添加して使用する粉状の耐火組成物であって、溶融石英粉粒体60〜90質量%と、クォーツ相のシリカを90質量%以上含有しかつアルミナの含有量が1質量%以下である高純度クォーツ粉末1〜30質量%と、シリカ質超微粉末1〜10質量%と、ポルトランドセメント1〜8質量%と、減水剤0.05〜0.5質量%と、結晶安定化剤0.1〜3質量%とを含有する耐火組成物によって解決する。【選択図】図2

Description

本発明は、水を添加して使用する耐火組成物及びそれを使用してなる耐火コンクリートブロックに関する。
コークス炉、熱風炉、ガラスタンク窯の築造材料として珪石れんがが従来から一般的に使用されている。珪石れんがは、急熱したり急冷したりすると温度差によってひずみが生じてひび割れが生ずることがあり、これをスポーリングと呼んでいる。炉壁を構成する珪石れんがにスポーリングが生じると、炉の気密性が損なわれるなど窯や炉の基本的な機能が損なわれるため好ましくない。珪石れんがの欠点に鑑みて、例えば、特許文献1から4のような耐火物が提案されている。
特許文献1には、粒径1mm未満の珪石40〜70重量%と、粒径0.5mm以上の溶融石英30〜60重量%とからなる熱間補修用れんがが開示されている。このれんがでは、500℃以上における耐熱スポーリング性が改善されるとされている。
特許文献2には、溶融石英を主原料とし、これにポルトランドセメント及びシリカ超微粉を配合してなる耐火調合物が開示されている。この耐火調合物では、材質の高温劣化を改善し、材質の最高使用温度が大幅に引き上げられるとされている。
特許文献3には、骨材が溶融石英と焼成珪石である熱間補修用珪石れんがが開示されている。溶融石英の含有量は15〜50重量%であり、そのうち粒径1mm未満の溶融石英が15〜30重量%、粒径1mm以上の溶融石英が30重量%未満であり、0.5mm以下の焼成珪石が15〜35重量%である。この熱間補修れんがは、圧縮強度200kg/cm以上で、耐熱スポーリング性と耐摩耗性が改善されるとされている。
特許文献4には、溶融石英、焼成珪石、コロイダルシリカ、及び珪酸ソーダを所定量含有する珪石質キャスタブル耐火物が開示されている。配合割合は、溶融石英が40〜100質量%、焼成珪石が0〜60質量%であり、焼成珪石がトリジマイト、又はトリジマイト及びクリストバライトを主成分とする。このキャスタブル耐火物は、加熱時の熱衝撃性に優れており、高温での荷重下収縮が抑制されており、高温下での対クリープ性が良好であり、適切な時間内で硬化するとされている。
特開2003‐55035号公報 特開昭56‐78476号公報 特開平5‐132355号公報 特開2013‐189322号公報
特許文献1及び特許文献3に開示された発明は、耐火れんがに関するものであり、成形する際にプレスや高温での焼成や乾燥が必要であり、定型耐火物に成形するための工程が煩雑である。また、特許文献1の表1では1000℃における熱膨張率が1%程度であり、特許文献3の表1等では1000℃における熱膨張率が1.1%程度であり、共に十分でない。このため高温時の耐熱スポーリング性、強度、熱伝導率、気孔率、比重などの特性も十分でない可能性がある。特許文献1又は3の材料で成形した定形耐火物は、温度変動が比較的少ない炉や窯の中央部には使用可能であるが、熱膨張率の数値に鑑みると窯口周辺の炉材には適当ではないと思われる。
一方、特許文献4に開示された発明は、キャスタブル耐火物に関するものであり、バインダーとしてコロイダルシリカを配合する。型に流し込んで定型耐火物が得られる点では成形が容易である。しかし、コロイダルシリカを配合すると、型にキャスタブル耐火物を流し込んで乾燥する工程においてひび割れが生じやすく、やはり成形の容易さの点で問題がある。特に中空のブロックにおいて梁などの構造を設けた場合など定型耐火物の形状が複雑になると乾燥時にひび割れが生じやすい。
他方、本発明者らによる検証では、特許文献2のような溶融石英のみを主要成分とする構成では熱間積み替えブロックで重要となる0.2MPa荷重下における線変化率が−1%以下となり、加えて、強度、熱伝導率、気孔率、比重などの特性も劣る結果となった。したがって、炉などを構築する材料としては改善すべき点があると思われる。
本発明は、大型、中空など種々の形状に成形することが容易であり、常温から1350℃の熱間に至る温度範囲において荷重下における線熱膨張率が従来よりも小さく抑えられ、かつ前記温度範囲において無拘束状態における線熱膨張率が従来よりも小さく抑えられた耐火コンクリートブロック及びその原料である耐火組成物を提供することを目的とする。
本発明は水を添加して使用する粉状の耐火組成物であって、溶融石英粉粒体60〜90質量%と、クォーツ相のシリカを90質量%以上含有しかつアルミナの含有量が1質量%以下である高純度クォーツ粉末1〜30質量%と、シリカ質超微粉末1〜10質量%と、ポルトランドセメント1〜8質量%と、減水剤0.05〜0.5質量%と、結晶安定化剤0.1〜3質量%とを含有する耐火組成物によって、上記の課題を解決する。この耐火組成物に、例えば水を加えて混錬し、型枠に流し込んで乾燥させることで耐火コンクリートブロックを簡易な方法で製造することができる。
本発明では、配合する各成分として、シリカの含有率が高く、アルミナなどのシリカ以外の不純物が極力少ないものを選定し、それらを規定量配合することで、常温から高温に到温範囲での荷重下及び無拘束状態における線熱膨張率を小さくすることができる。また、結晶相のシリカ成分として、高純度クォーツ粉末を規定量配合することで、常温から高温に到温範囲での荷重下及び無拘束状態における線熱膨張率を小さくすることができる。
上記の耐火組成物を用いて成形した耐火コンクリートブロックの物性は、常温から1350℃における0.2MPa荷重下での線熱膨張率が−0.5〜0.5%であり、常温から1350℃における無拘束状態での線熱膨張率が−0.1〜0.5%であり、従来よりも荷重下及び無拘束状態における線熱膨張率が従来の定形耐火物よりも小さく抑えられている。この場合において無拘束状態での線熱膨張率はJIS-R-2207-1に基づいて求める。0.2MPa荷重下での線熱膨張率は、試験片の高さ方向に0.2MPaの圧力をかけた状態で加熱速度5℃/分で試験片を常温から1500℃に至るまで加熱し、各温度における試験片の高さ(L)から常温での試験片の高さ(L)を引いて高さの変化(δL)を求め、δLを常温での試験片の高さ(L)で除して、算出された数値に100を掛けて求める。
0.2MPa荷重下での線熱膨張率は、耐火コンクリートブロックのクリープ変形の生じやすさに影響する。本発明の耐火コンクリートブロックは、常温から1350℃の範囲内における0.2MPa荷重下での熱膨張率が−0.5〜0.5%の範囲内であるから、荷重が掛かった状況においても、常温から1350℃程度の高温に到る温度域において、クリープ変形が生じにくい。無拘束状態における熱膨張率は、スポーリングの生じやすさに影響する。本発明の耐火コンクリートブロックは、常温から1350℃の範囲内における無拘束状態での線熱膨張率が−0.1〜0.5%であるから、常温から1350℃程度の高温に到る温度域においてスポーリングが生じにくい。
本発明の耐火コンクリートブロックは、常温から1350℃程度の高温に到る温度域において、スポーリングが生じにくいので、例えば、炉蓋の開け閉めなどに起因する温度の急激な変化によるスポーリングが生じやすいコークス炉の窯口付近の炉壁を構築する材料として好適に使用することができる。また、高温域においてクリープ変形が生じにくいので、例えば、コークス炉の中心付近の炉壁を構築する材料としても好適に使用することができる。すなわち、本発明の耐火コンクリートブロックによれば、炉の中心付近や窯口周辺など炉の場所に応じて炉材を使い分ける必要がなくなる。
クリストバライト、クォーツ、トリジマイトの各結晶層について、温度と熱膨張率の関係を示したグラフである。 本発明の耐火コンクリートブロックの一例を示した斜視図である。
以下、発明を実施するための形態について、具体的に説明する。
本発明の耐火組成物は、溶融石英粉粒体60〜90質量%と、シリカを90質量%以上含有し、かつアルミナの含有量が1質量%以下である高純度クォーツ粉末1〜30質量%と、シリカ質超微粉末1〜10質量%と、ポルトランドセメント1〜8質量%と、減水剤0.05〜0.5質量%と、結晶安定化剤0.1〜3質量%とを含有する。剤形は、粉状であるが粒状物を含んでもよい(粉粒状物)。なお、各成分の配合割合は、各成分の配合重量を、溶融石英粉粒体、高純度クォーツ粉末、シリカ質超微粉末、減水剤、結晶化安定剤及びポルトランドセメントの合計重量で除して求める。以下、各成分について説明する。
溶融石英粉粒体は、石英から製造されるガラス(非晶質の固体)の粉粒体である。そして、溶融石英粉粒体は、シリカの純度が高く、カルシア、アルミナ、Na2OやK2O等のアルカリ成分などの不純物の含有量が小さく、しかも熱膨張率が小さい。したがって、適量配合することで、線熱膨張率を小さく抑えてスポーリングの発生を抑制する効果を発揮する。溶融石英粉粒体としては、例えば、クォーツ相のシリカを含有する珪砂を酸性溶液に投入して不純物を溶解させて、これを濾過して得られた固形分を1700〜2000℃を越える温度で加熱、溶融、急冷することで製造したものを使用することが好ましい。クォーツ相のシリカは、加熱、溶融、急冷の工程を経て非晶質化して溶融石英となる。また、シリカ含有率90質量%以上でアルミナの含量が1質量%以下のシリカの純度が高い市販品を使用してもよい。シリカの含量は95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。溶融石英粉粒体の粒径は、例えば、10μm〜10mmの粒状又は粉末状のものを使用することができる。
シリカ質超微粉末は、シリカの純度が高い非晶質の超微粉末である。シリカ質超微粉末は、カルシア、アルミナ、Na2OやK2O等のアルカリ成分の不純物の含有量が小さい。ポルトランドセメントに加えてシリカ質超微粉末を適量配合することで、シリカ質超微粉末が凝集して、定形耐火物の強度を高める効果を発揮する。カルシアやアルミナなどの不純物の持ち込みを防ぐ目的で純度が高いものを使用する。シリカ質超微粉末としては、例えば、シリカフラワー、球状(より好ましくは真球状)の溶融石英の超微粉末、又はこれらの混合物からなる超微粉末を使用することができる。シリカ含有率90質量%以上でアルミナの含量が1質量%以下のシリカの純度が高い製品が市販されているのでそれを使用してもよい。シリカを95質量%以上含有するものを使用することがより好ましく、シリカを99質量%以上含有するものを使用することがさらに好ましい。シリカ超微粉末の粒径は、例えば、100nm〜5μmのものを使用することができる。球状の溶融石英を使用すると、ポルトランドセメントに対する水添量を減らしても流動性が低下しにくいので、結果として水添量を減じて定形耐火物の強度を高めることができる。
高純度クォーツは、クォーツ相のシリカの純度が高く、アルミナの含有量が小さいシリカ質の粉末である。高純度クォーツ粉末は、溶融石英粉粒体に加えて適量配合することで、荷重下での線熱膨張率を小さく抑えて、定形耐火物にクリープ変形が生じにくくする効果を発揮する。高純度クォーツ粉末としては、クォーツ相のシリカを90質量%以上含有し、かつアルミナの含有量が1質量%以下のものを使用する。高純度クォーツは、シリカを95質量%以上含有するものを使用することがより好ましく、シリカを99質量%以上含有するものを使用することがさらに好ましい。これによって、アルミナ等の不純物の持ち込みを防ぐことができる。高純度クォーツ粉末は、カルシアの含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、Na2OやK2O等のアルカリ成分の含有量が0.6質量%以下であることが好ましい。
高純度クォーツは、粒径が1μm〜600μmの範囲内であることが好ましい。これによって、例えば、定形耐火物を炉壁などに使用する際において、高純度クォーツの熱膨張によるスポーリングの発生をより低減することができる。高純度クォーツの粒径は110μm以下であることがより好ましい。高純度クォーツの粒径が小さければ、定形耐火物の気孔の中などでクォーツが膨張するため、スポーリングの発生が低減される。
天然鉱物として、白色度の高い珪砂が産出することがあり、この中にシリカ含有率90質量%以上でアルミナの含量が1質量%以下のものがある。このような白珪砂を所定の粒径に粉砕して、高純度クォーツ粉末として、好適に使用することができる。シリカの純度が低い珪石や珪砂であっても、これらを粉砕した後、酸性溶液に浸漬することで、アルミナ、カルシア、Na2O及びK2Oなどのアルカリ成分などの不純物を除去することで、高純度クォーツ粉末として好適に使用することができる。また、上述の白珪砂を酸性溶液で処理して前記不純物を除去すればさらに好適に使用することができる。本明細書においては、クォーツ相のシリカを含有する鉱石などの原料を酸で処理してシリカの含有率を高めたものを精製クォーツと称する。
ところで、上述の特許文献3の段落〔0014〕に記載されているように、クォーツ相を有するシリカは、トリジマイトやクリトバライトに相転移する際に熱膨張が生じてスポーリングが発生する原因となると考えられていたため、従来は、炉壁等の構築する材料としては使用が避けられていた。クォーツ相の残存を避けるために、当該文献の発明では、1350℃で5時間焼成してクォーツ相をトリジマイト相やクリストバライト相に転移させた後、熱間補修用れんがとして使用している。上述の特許文献4では、クォーツ相の残存を避けるために焼成珪石として、コークス炉で使用済みのれんがを粉砕して、定形耐火物の原料としている。上述の白珪砂やクォーツ相のシリカを含有する原料を酸で処理した精製クォーツは、焼成などの手間がかからず原料の調達が容易である点で好ましい。
バインダー成分としては、ポルトランドセメントを配合する。その他一般のバインダーには、コロイダルシリカやアルミナセメントや粘土などがある。コロイダルシリカは乾燥時に定形耐火物にひび割れが生じやすくなるし、大型の定形耐火物において強度を確保することが難しい。アルミナセメントは、ポルトランドセメントに比べてアルミナを多く含有するので不純物の持ち込みが問題となる。粘土はプレスや焼成が必要となる。ポルトランドセメントを所定量配合することによって、これらの問題を解消し、容易に定形耐火物を製造することが可能になる。ポルトランドセメントとして、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントなどを好適に使用することができる。
減水剤を所定量配合することによって、粒子の過度な凝集を抑えて分散させて、セメントと水の混合物の流動性を高める効果を発揮する。換言すると、少ない水添量でも水とセメントの混合物の流動性が得られる。このため、水添量を減じて気孔率を低減し、定形耐火物の強度を高める効果を発揮する。減水剤としては、例えば、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系、アミノスルホン酸系などの有機酸を使用することができる。
溶融石英粉粒体はもともと非晶質であるが、例えば、コークス炉で熱される過程で結晶化し、クリストバライトに相転移する。図1に示したように、クリストバライトは、200℃において約1.6%熱膨張する。一方、トリジマイトの熱膨張率は200℃において約0.8%であり、500℃で約1.1%になって以降は熱膨張率が約1.1%で飽和する。結晶化安定化剤を適量配合することで、熱膨張率が大きいクリストバライト相への転移を抑えて、代わりにトリジマイト相等の熱膨張率が比較的に小さい結晶相への転移を促進する効果が発揮される。これによって、荷重下及び無拘束下における線熱膨張率を小さく抑えることができる。結晶安定化剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する化合物を使用する。例えば、アルカリ土類金属塩又はアルカリ土類金属塩を使用することが好ましく、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、CaO、Na2O、K2Oなどが挙げられる。
粉状耐火物には、爆裂防止材を添加してもよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの有機繊維を配合することができる。有機繊維は、例えば、コークス炉の熱で溶解し、定形耐火物の内部に残された水分や気体が外部に流出するための通路を形成してコンクリートブロックが爆裂することを防止する。粉状耐火物(溶融石英粉粒体、シリカ質超微粉、高純度クォーツ粉末、及びポルトランドセメントの合計重量)を100重量部としたときに、爆裂防止材は0.05重量部以上添加することが好ましく、上限値は、0.30重量部以下とすることが好ましい。
粉状耐火物は、任意の量の水を添加、混錬して使用する。水添量は、型枠の形状や粉状耐火物と水の混合物の流動性に基づいて、混錬しながら調節すればよい。例えば、粉状耐火物を100重量部としたときに5〜7重量部水添すればよい。
従来の耐火れんがには、種々の寸法があるが、せいぜい長さが114mm〜400mm、幅が57mm〜300mm、厚さが30mm〜114mmである。例えば、コークス炉を補修する場合を想定すると、炉壁が損耗した場合に炉の熱を完全に落とすと、再度昇温させて操業を再開するのに多大な時間を要する。このため炉の温度を少し下げて炉を熱間で補修することが一般的に行われている。上記のような比較的に小さい耐火れんがの場合は、体積が小さいので炉壁などの構造物を構築するのに時間を要する。このため、耐火煉瓦の場合は、熱間で作業を行う作業員の負担が大きいし、炉の操業停止時間が長くなってしまう。このような観点から、耐火コンクリートブロックを熱間補修用材として好適に採用することができる。すなわち、耐火コンクリートブロックは、焼成工程を省略することができるため成型が容易であるし、中空形状や梁を有する形状を採用するなどして軽量化を図っても成形時にひび割れが生じにくいだけでなく、大型にしても必要十分な強度を確保することができるからである。例えば、耐火コンクリートブロックは、長さが500〜1200mm、幅が250〜950mm、厚さが150〜400mmの大型コンクリートブロックとすることができる。
上述の粉状耐火物に水を加えて混錬し、型枠に流し込んで乾燥させることで、所望の形状の耐火コンクリートブロックを製造することができる。この耐火コンクリートブロックは、常温から1350℃における0.2MPa荷重下での熱膨張率が−0.5〜0.5%であるため、常温から高温におけるクリープ変形が低く抑えられた耐火コンクリートブロックを提供することができる。また、同耐火コンクリートブロックは、常温から1350℃における無拘束状態での熱膨張率が−0.1〜0.5%であるから、常温から高温におけるスポーリングが抑えられた耐火コンクリートブロックを提供することができる。耐火コンクリートブロックをコークス炉の構造物に使用するときは、クリープ値が−0.1〜+0.01%であることが好ましい。
耐火コンクリートブロックが大型の場合は、炉壁などの構造物を構築する際にクレーンなどの重機から延びるワイヤー等の固定具をブロックに固定して吊り下げて移動させる。この際、固定具とブロックの連結部位に引張応力や圧縮応力が作用する。また、ブロック固定する際にはブロックを強打してその位置を調整する。この時に圧縮応力がブロックに作用する。このような応力に耐えられるようにするために、耐火コンクリートブロックは、冷間における曲げ強度が10〜20MPaであることが好ましく、350℃で24時間乾燥後の冷間における圧縮強度が40〜80MPaであることが好ましい。
耐火コンクリートブロックを例えば、コークス炉に使用する場合は、コークス炉の操業中に石炭を炉内に搬入したりコークスを押し出し搬出したりする際に、ブロックに応力が加わる。このような応力に耐えられるようにするために、耐火コンクリートブロックは、熱間(1000℃)における曲げ強度が10〜20MPaであることが好ましい。
耐火コンクリートブロックを成型した直後は水の含量が比較的に高い。しかし、炉熱で加熱されると耐火コンクリートブロックの水が蒸発するため圧縮強度が低下して、熱間におけるブロックの強度が損なわれることがある。耐火コンクリートブロックを1000℃焼成した後の冷間における圧縮強度は、脱水による強度低下の程度を検討する指標として利用される。耐火コンクリートブロックは、水の蒸発による強度の影響を低減するために、1000℃で1時間焼成後における圧縮強度が40〜100MPaであることが好ましい。
ブロックの熱伝導率が小さいと、炉熱が上がりにくくコークス炉の操業に支障を来すようになる。さらに、コークス炉の炉材として最も普及している珪石れんがと熱伝導率が過度に異なると、従来の珪石れんが製のコークス炉での操業に慣れたオペレーターにとってみれば、温度管理が難しくなってしまう。このため、ブロックの熱伝導率は1.5〜2.5W/m・kであることが好ましい。さらに、ブロックの気孔率が大きいとコークス炉内のガスによってブロックが変質したり浸炭したりして熱伝導率が低下したりする。このため、ブロックの気孔率は5〜15%であることが好ましい。
耐火コンクリートブロックは、シリカの含有量を上げることで不純物の含有量を低下させることができる。このため、シリカの含有量は93〜99質量%であることが好ましい。耐火コンクリートブロックのアルミナ含有量を0.01〜1.0質量%とするとブロックが熱間荷重下でより変形し難くなり、クリープ変形もより生じにくくすることができるので好ましい。カルシアの含有量については、0.5〜5.0質量%とすることで、よりスポーリングが生じにくくすることができるので好ましい。アルカリ成分(K2O及びNa2O)の含有量については、0.1〜1.0質量%とすることでブロックにクリープ変形をより生じにくくし、スポーリング時の亀裂をより生じにくくなるので好ましい。
以下、本発明の対価組成物の実施例を挙げて具体的に説明する。
〔高純度クォーツ粉末の調製〕
400kgの天然の白珪砂をボールミル(アルミナ製)で粉砕して、無作為に2kgを採取した。これを篩にかけて、粒径110μm以下の白珪砂の粉末を得た。
粉砕して篩にかける前の白珪砂をpH1の塩酸溶液に24時間浸漬して白珪砂中の不純物を溶解させ、浸漬後に濾過によって珪砂と塩酸溶液を分離した珪砂を200℃程度に加熱して乾燥させた。これを篩にかけて粒径110μm以下の精製クォーツの粉末を得た。
〔溶融石英粉粒体及びクリストバライトの調整〕
上記と同様に白珪砂を破砕したものと粉砕したものとを混合して広範な粒度分布を有する白珪砂を得た。これを上記と同様の方法で酸処理して精製クォーツの粉粒体を得た。この粉粒体を半径約50cmの円を底面とする高さ約2mの円筒形の金属容器に充填し、円筒の中央に配されたSiC発熱体に通電して、精製クォーツを約2000℃に加熱した。加熱終了後に円筒形の金属容器ごと水冷し、金属容器を解体して金属容器の中心付近の透明な溶融石英を採取した。金属容器の内壁には不透明な珪石層が形成されていた、これを溶融石英とは分けて採取した。この不透明な珪石層は、クリストバライト相のシリカである。採取した溶融石英を篩にかけて、粒径が10μm〜5mmの溶融石英粉粒体を得た。別に採取したクリストバライトについても篩にかけて、粒径110μm以下のクリストバライトの粉末を得た。
〔その他の成分の調整〕
400kgの天然のろう石を同様にボールミルで粉砕して、粉砕されたろう石を篩にかけて粒径110μm以下のろう石粉末を得た。天然の珪石についても、同様に粉砕、篩分けして粒径110μm以下の珪石粉末を得た。熱風炉の炉壁として長年使用された珪石れんがを同様に破砕、篩分けして粒径110μm以下の使用済み珪石れんがの粉末を得た。
上記の白珪砂、精製クォーツ、溶融石英粉粒体、ろう石、珪石、使用済珪石れんが、及び不透明珪石層について、JIS-R2216耐火物の蛍光X線分析法によって化学成分を分析した。結果を表1に示す。
Figure 2016210643
〔X線回折〕
上記の白珪砂、精製クォーツ、溶融石英粉粒体、ろう石、珪石、使用済珪石れんが、及び不透明珪石層の粉末について、X線回折による回折強度を測定し、測定結果についてリートベルト法を用いた定量分析を行った。分析結果を表2に示す。表2に記載した結晶化度は以下により、算出した。表2の数値は、各結晶相の存在比率を示す。
Figure 2016210643
Figure 2016210643
〔実施例1ないし3及び比較例1及び2〕
上記の方法で調整した溶融石英粉粒体及び精製クォーツと、減水剤、結晶化安定化剤、及びポルトランドセメントとを表4に記載の割合で混合して実施例1ないし3並びに比較例1及び2に係る粉末耐火組成物を得た。比較例1では、溶融石英粉粒体の配合量が規定量を上回る。比較例2では、溶融石英粉粒体の配合量が規定量を下回る。減水剤は、市販のポリカルボン酸系AE減水剤(ポリエチレングリコールモノアリルエーテルと不飽和ジカルボン酸との共重合体)を使用した。結晶化安定化剤は、Na2Oを使用した。シリカ質超微粉末としてシリカ含量99.74質量%、アルミナ含量0.08質量%、アルカリ成分含量0.01質量%、カルシア含量0.02質量%、粒径1μm以下の市販の真球状の溶融石英の超微粉末を使用した。ポルトランドセメントとして市販の普通ポルトランドセメント(アルミナ含量4.10質量%)を使用した。
上記の耐火組成物100重量部に対して、長さ5mm、20dtexのポリエチレン繊維を0.1重量部配合し、水を6.0重量部配合して、よく混錬し、試験片作成用の型枠に流し込んで、各物性評価用の試験片を複数個作製した。
実施例1ないし3及び比較例1及び2の試験片について、0.2MPa荷重下での線熱膨張率をJIS-R-2658のクリープ変形率に準じて測定及び算出した。クリープ変形率は、圧縮、等温化における耐火物の経時変化であるが、ここでは常温から1500℃の範囲で温度を変化させて、試験片の温度変化と膨張率の関係を調べた。すなわち、品川リフラクトリーズ株式会社の熱間クリープ試験炉(SRC-15型)を使用して、試験片の高さ方向に0.2MPaの圧力をかけた状態で加熱速度5℃/分で試験片を常温(この例では23℃)から1500℃に至るまで加熱する。各温度における試験片の高さ(L)から常温での試験片の高さ(L)を引いて高さの変化(δL)を求め、δLを常温での試験片の高さ(L)で除して、算出された数値に100を掛けて0.2MPa荷重下での線熱膨張率とした(δL/L×100)。さらに上記試験片についてJIS-R-2658のクリープ変形率に基づいて、1500℃で50時間保持したときのクリープ変形率を求めた。
実施例1ないし3及び比較例1及び2の試験片について、JIS-R-2207-1の線熱膨張率に基づいて無拘束状態における線熱膨張率を測定及び算出した。温度を常温(この例では23℃)から1350℃に変化させて、各温度における試験片の長さ(L)から常温における試験片の長さ(L)を引いて長さの変化(L−L=δL)を求め、δLを常温における試験片の長さ(L)で除して、算出された数値に100を掛けて線熱膨張率とした(δL/L×100)。これにより線熱膨張率曲線が描かれる。
実施例1ないし3及び比較例1及び2の試験片について、JIS-R-2657に準じて、1200℃の加熱を30分して空冷を30分行う工程を1サイクルとして、当該サイクルを200回繰り返した後に、試験片に亀裂が生じているかどうかを目視で確認して、スポーリングの発生の有無を確かめた。
実施例1ないし3及び比較例1及び2の試験片について、見かけ気孔率、熱伝導率、冷間曲げ強度、熱間曲げ強度、圧縮強度(350℃乾燥後)、及び圧縮強度(1000℃焼成後)を以下の方法で調べた。見かけ気孔率については、1000℃まで3℃/分で昇温して1000℃で3時間焼成した後に室温まで徐冷した試験片についてJIS-R-2205に基づいて見かけ気孔率を求めた。熱伝導率は1000℃の熱間においてJIS2251-1に基づいて求めた。冷間曲げ強度については、JIS-R-2553に準拠して試験片の乾燥工程を350℃、24時間にして、当該乾燥後に試験片を室温まで徐冷して冷間曲げ強度を求めた。この曲げ試験によって2つに折れた試験片の内の半切れを用いてJIS-R-2553の圧縮試験を行い、350℃、24h乾燥後の試験片について冷間における圧縮強度を求めた(これを表においては350℃乾燥後とする)。熱間曲げ強度については、JIS-R-2553に準拠して、試験片の乾燥工程を350℃、24時間乾燥後、1000℃まで5℃/分で昇温して1000℃で1時間保持した後に曲げ強度を求めた。1000℃焼成後の圧縮強度は、1000℃まで3℃/分で昇温して1000℃で3時間焼成した後に室温まで徐冷した試験片について、曲げ試験を行い2つに折れた試験片の内の半切れを用いてJIS-R-2553の圧縮試験を行って、1000℃、3h焼成後の試験片について冷間における圧縮強度を求めた(これを表においては1000℃焼成後とする)。
実施例1から3並びに比較例1及び2の粉末組成物の配合と、上記のようにして解析した各物性を表4にまとめる。表4において、丸印を付したものは、各物性について表3の範囲内に該当するものである。一方、バツ印を付したものは、下部物性について、表3の範囲を逸脱したものである(表5から10についても同様である。)。そして、0.2MPa荷重下での線熱膨張率については1200℃における値を一例として示し、無拘束状態における線熱膨張率については1000℃における値を一例として示した(表5から10についても同様である。)。
Figure 2016210643
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0.2MPa荷重下における線熱膨張率はブロックのクリープ変形の生じやすさ等に影響し、無拘束状態における線熱膨張率はスポーリングの生じやすさに影響を与えるところ、実施例1ないし3の試験片では、各膨張率が目標とした数値の範囲内となった。表4に示したようにスポーリングも発生せず、クリープ値も−0.1%以上であり優れていた。一方、比較例1の試験片では、荷重下における線熱膨張率が下限を越えてしまい、クリープ値がマイナス側に大きくなってしまった。比較例2の試験片では、無拘束状態おける線熱膨張率が上限を越えてしまいスポーリングの発生が認められた。
熱伝導率は炉温の制御のしやすさ、炉の昇温速度に影響を与える。冷間の曲げ強度及び圧縮強度(350℃乾燥後)は耐火コンクリートブロックを使用して構造物を構築する際のブロックの破損の有無や破損の程度に影響を与える。熱間の曲げ強度及び圧縮強度(1000℃焼成後)は耐火コンクリートブロックを使用して炉の構造物を構築したときにおいて炉の操業中の構造物の破損の有無又は破損の程度に影響を与える。見かけ気孔率は、耐火コンクリートブロックが浸炭などの化学変化を受ける程度に影響を与える。実施例1から3の試験片では、表4に示したように、これらのいずれの物性においても満足できるものであった。
〔実施例4ないし14並びに比較例3ないし12〕
上記の方法で調整した溶融石英粉粒体及び精製クォーツと、減水剤、結晶化安定化剤、及びポルトランドセメントとを表5ないし表9に記載の割合で混合して実施例4ないし14並びに比較例3ないし12に係る粉末耐火組成物を得た。原則として溶融石英粉粒体、精製クォーツ、減水剤、結晶化安定剤及びポルトランドセメントは実施例1と同じものを使用した。ただし、実施例1の精製クォーツに替えて実施例5では粒径210μm〜300μmの精製クォーツを使用し、実施例1の精製クォーツに替えて実施例7では粒径417μm〜495μmの精製クォーツを使用し、実施例1の結晶化安定化剤に替えて実施例8では結晶化安定剤として珪酸カリウムを使用し、実施例1のシリカ質超微粉末に替えて実施例10ではシリカ質超微粉末としてシリカ含量が97.80質量%、アルミナ含量が0.20質量%、カルシア含量が0.20質量%、アルカリ成分含量が0.29質量%、粒径4μm以下である市販のシリカフラワーと、実施例1で使用したのと同じ真球状の溶融石英の超微粉末との混合物(混合比は容積比で、真球状溶融石英の超微粉末:シリカフラワー=4:1)を使用し、実施例1の減水剤に替えて実施例12では減水剤としてナフタリン系のナフタリンスルホン酸塩を使用した。なお、爆裂防止材も実施例1と同じものを使用し、水添量と爆裂防止材の配合量も実施例1と同じにした。実施例4ないし14並びに比較例3ないし12の粉末組成物の配合と、上記の実施例1と同様の方法で解析した各物性を表5ないし表9にまとめる。表5に示したように、比較例3では、精製クォーツの配合量が規定量を下回る。比較例4では、精製クォーツの配合量が規定量を上回る。表6に示したように、比較例5では、シリカ質超微粉末の配合量が規定量を下回る。比較例6では、シリカ質超微粉末の配合量が規定量を上回る。表7に示したように、比較例7では、減水剤の配合量が規定量を下回る。比較例8では、減水剤の配合量が規定量を上回る。表8に示したように、比較例9では、結晶化安定剤の配合量が規定量を下回る。比較例10では、結晶化安定剤の配合量が規定量を上回る。表9に示したように、比較例11では、ポルトランドセメントの配合量が規定量を下回る。比較例12では、ポルトランドセメントの配合量が規定量を上回る。
Figure 2016210643
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表5ないし表9に示したように、実施例4ないし14の試験片では、各膨張率が目標とした数値の範囲内となり、スポーリングも発生せず、クリープ値も−0.1%以上であり優れていた。また、実施例4ないし14の試験片では、熱伝導率、冷間の曲げ強度及び圧縮強度(350℃乾燥後)、熱間の曲げ強度及び圧縮強度(1000℃焼成後)、並びに見かけ気孔率のいずれの物性においても満足できるものであった。
一方、比較例3、比較例5、比較例7、比較例9、比較例11、及び比較例12の試験片では、荷重下における線熱膨張率が下限を越えてしまい、クリープ値がマイナス側に大きくなってしまった。比較例4の試験片では、無拘束状態おける線熱膨張率が上限を越えてしまいスポーリングの発生が認められた。比較例10の試験片については、無拘束状態及び荷重下における線熱膨張率が共に下限値を越えてしまい、クリープ値がマイナス側に大きくなり、スポーリングの発生も認められた。比較例6、及び比較例8の耐火組成物は、試験片に成形することが困難なため、各物性の評価を行うことができなかった。
〔実施例15及び比較例13ないし16〕
上記の方法で調整した溶融石英粉粒体及び白珪砂と、減水剤、結晶化安定化剤及びポルトランドセメントとを表10に記載の割合で混合して実施例15に係る粉末耐火組成物を得た。比較例13ないし16では、実施例15で配合した白珪砂粉末に替えて、上記の方法で調整したろう石粉末、珪石粉末、使用済み珪石れんが粉末、不透明結晶層の粉末(クリストバライト)を表10に記載の割合で配合した。溶融石英粉粒体、減水剤、結晶化安定剤及びポルトランドセメントは実施例1と同じものを使用した。上記の実施例1と同様の方法で解析した各物性を表10にまとめる。表1に示したように、ろう石及び珪石はアルミナの含有量が規定量を上回る。使用済み珪石れんがは、アルミナ含量が規定量を上回り、トリジマイト相を有する。不透明結晶層の粉末は、表2に示したようにクリストバライト相を有する。
Figure 2016210643
実施例15の試験片は、表10に示したように、実施例1ないし14の試験片と同様に各物性において満足できるものであった。一方、比較例13及び14の試験片では、荷重下における線熱膨張率が下限を越えてしまい、クリープ値がマイナス側に大きくなってしまった。比較例15及び16の試験片では、無拘束状態おける線熱膨張率が上限を越えてしまいスポーリングの発生が認められた。
上記の実施例1の耐火組成物100重量部に対して、長さ5mm、20dtexのポリエチレン繊維を0.1重量部配合し、水を6.0重量部配合して、よく混錬し、型枠に流し込んで自然乾燥させて、図2の形状を有する耐火コンクリートブロックを製作した。この耐火コンクリートブロックは、側壁14と、正面側の壁面11と、背面側の壁面12と、壁面12及び13を繋ぐ梁13とを備える大型の中空耐火ブロック1である。大きさは、幅907mm、長さ1118mm、厚み390mmである。
上記の耐火ブロックは、寸法が大きく複雑な形状であるが養生中のひび割れが生じるようなことはなかった。冷間における圧縮強度及び曲げ強度に優れておりクレーンで懸架して運搬する際にブロックが破損するようなこともなく、壁などの炉の構造物を熱間作業で速やかに構築することができた。熱間における曲げ強度と対クリープ性においても優れており、熱間における破損やクリープ変形は問題とならなかった。また、従来の珪石煉瓦と同等の熱伝導率を備えており、従来の耐火れんがに比較してより速やかに炉の温度を上昇させることができた。また、従来の耐火煉瓦に比較して見かけ気孔率が小さく、炉内のガスによってブロックが化学的な変化を受け難い。常温から1350℃までの耐熱スポーリング性に優れており、窯口周辺及び炉の中心部のいずれにも好適に使用することができた。

Claims (3)

  1. 水を添加して使用する粉状の耐火組成物であって、
    溶融石英粉粒体60〜90質量%と、
    クォーツ相のシリカを90質量%以上含有しかつアルミナの含有量が1質量%以下である高純度クォーツ粉末1〜30質量%と、
    シリカ質超微粉末1〜10質量%と、
    ポルトランドセメント1〜8質量%と、
    減水剤0.05〜0.5質量%と、
    結晶安定化剤0.1〜3質量%とを含有する耐火組成物。
  2. 請求項1に記載した粉状の耐火組成物に水を加えて混練し、型枠に流し込んで、乾燥させてなる耐火コンクリートブロック。
  3. 以下の方法で求めた常温から1350℃における0.2MPa荷重下での線熱膨張率が−0.5〜0.5%の範囲内であり、JIS-R-2207-1に基づいて求めた常温から1350℃における無拘束状態での線熱膨張率が−0.1〜0.5%の範囲内である請求項2に記載の耐火コンクートブロック;
    前記0.2MPa荷重下での線熱膨張率は、試験片の高さ方向に0.2MPaの圧力をかけた状態で加熱速度5℃/分で試験片を常温から1500℃に至るまで加熱し、各温度における試験片の高さ(L)から常温での試験片の高さ(L)を引いて高さの変化(δL)を求め、δLを常温での試験片の高さ(L)で除して、算出された数値に100を掛けて求める。
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