JP2016206020A - 機械式時計のムーブメント - Google Patents

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Abstract

【課題】完成した機械式時計のムーブメントを分解する必要がなく、てんぷの摩擦抵抗値の概算値を算出し、正常か異常かを容易に判定することが可能な機械式時計のムーブメントを提供する。
【解決手段】アンクル16が可動可能な範囲においてガンギ車15と接触することが無い位置93に、ガンギ車15を固定するための機構を備え、アンクル16とてんぷ17の合計の摩擦抵抗を測定することで、てんぷ17の摩擦抵抗の概算値を算出可能で、完成した時計のムーブメントを分解せずにてんぷの摩擦抵抗値が正常か異常かを判定することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、機械式時計のムーブメントに関する。
機械式時計は、ムーブメントのてんぷが一定の周期で振動することにより、正確な歩度を実現している。てんぷは、地板に設けられた受け石とてんぷ受けに設けられた受け石とにてん真が回転可能に支持されることで、てん真を回転軸として回転振動する。
ここで、てんぷはその回転振動の際、周囲にある物質との摩擦による力を、回転方向とは逆向きに受ける。一つはてんぷとその周囲の空気との摩擦による粘性摩擦抵抗であり、もう一つはてん真と受け石との摩擦による固体摩擦抵抗である。この粘性摩擦抵抗や固体摩擦抵抗は、てんぷの回転振動を妨げる方向の力であるため小さい方が好ましい。
例えば、特許文献1では、てんぷの慣性モーメントを調整する調整錘をてんぷに設けているが、その錘による粘性摩擦抵抗(空気抵抗)の増加が小さいことを特徴としている。
ここで、上述の粘性摩擦抵抗や固体摩擦抵抗は時計の性能に大きく影響をするため、これまでにその値を定量測定する手法が提示されている(非特許文献1参照)。
非特許文献1によれば、時計のてんぷが自由に振動できる状態にしててんぷを振動させ、その自由減衰運動の減衰曲線を測定することで、粘性摩擦抵抗F(流体抵抗係数B)[mg・mm/sec]と固体摩擦抵抗R[mg・mm/sec]を算出することが出来るとしている。
特開2014−106155号公報(第1頁、第2図)
前田秋夫著「時計」精密工学講座1−12、日刊工業新聞社、1959年3月、p51−54
しかし、時計部品がすべて組み込まれ、ムーブメントが完成した状態で、非特許文献にあるようなてんぷの自由減衰運動を観察することは出来ない。なぜなら、てんぷは回転振動する際、その一部が脱進機と接する時間が必ずあるため、自由減衰運動とはならず、また、その際のてんぷの回転振動の様子も脱進機を構成するアンクルやガンギ車の位置によって常に変化するためである。
そのため、てんぷの自由減衰運動を観察する際には、一度時計を分解して、アンクルを取り外すといった作業が必要となる。この方法を用いればてんぷの摩擦抵抗を測定することは可能であるが、例えば時計の製造工程において、完成した時計のムーブメントにおけるてんぷの摩擦抵抗値が正常か異常かを検査する場合などは用いることが出来ない。
そこで本発明では、完成した時計のムーブメントを分解する必要がなく、てんぷの摩擦抵抗の概算値を算出し、正常か異常かを判定することが可能な機械式時計のムーブメントを提供することを目的とする。
本発明における機械式時計のムーブメントは、地板と、ガンギ車及びアンクルによって
構成される脱進機とを備える機械式ムーブメントにおいて、アンクルとガンギ車とが接触しない位置にガンギ車を固定するためのガンギ車固定機構を有することを特徴としている。
また、本発明におけるガンギ車固定機構は、ガンギ車を回転方向に対して固定するためのピンと、ピンを挿入するための地板に設けられた凹部とで構成されていることを特徴とし、そのピンは先端部に傾斜を持つことが好ましい。
また、本発明におけるガンギ車固定機構は、ガンギ車を地板から離れる方向に押上げて移動させるためのピンと、ピンを挿入するための地板に設けられた穴とで構成されていることを特徴とし、そのピンは先端部に平坦部を持つことが好ましい。
本発明に係る機械式時計のムーブメントによれば、完成した時計のムーブメントを分解せずに、てんぷの摩擦抵抗の概算値を測定することができ、時計の製造工程などにおいて、てんぷの摩擦抵抗値の不良検出が可能となる。
本発明の実施形態における機械式時計のムーブメントを示す平面図である。 本発明の第一の実施形態における機械式時計のムーブメントの一部を示す平面図である。 本発明の第一の実施形態における機械式時計のムーブメントの一部と評価用ジグを示した斜視図である。 本発明の第一の実施形態における機械式時計のムーブメントのガンギ車付近を拡大した斜視図である。 本発明の第一の実施形態におけるてんぷ振幅の減衰を示すグラフである。 本発明の第一の実施形態の変形例における機械式時計のムーブメントのガンギ車付近を拡大した斜視図である。 本発明の第二の実施形態における機械式時計のムーブメントのガンギ車付近を拡大した断面図である。
以下、本発明に係る機械式時計のムーブメントの実施形態について、図面を用いて説明する。
<ムーブメントの構成>
図1は、一般的な形態の携帯用機械式時計(例えば腕時計。以下、単に時計という。)の内部に収容されたムーブメント100を示す平面図である。
図1のムーブメント100は、香箱車11と、二番車12と、三番車13と、四番車14と、ガンギ車15及びアンクル16と、てんぷ17と、地板90及び受け部材と、を備えている。
香箱車11は内部にぜんまいを有し、巻き上げられたぜんまいが解けることによってトルクを発生し、この時計の動力源となっている。二番車12、三番車13及び四番車14は、香箱車11のぜんまいが発生したトルクにより回転する香箱車11の回転を順次伝達する。ガンギ車15及びアンクル16はてんぷ17の回転振動が持続するように間欠的に香箱車11からの動力を伝達する脱進機を構成している。てんぷ17は回転振動の軸であるてん真18やてん輪19、ひげぜんまい20などにより規則正しい往復回転振動を繰り返す調速機を構成している。
地板90及び受け部材は、これら香箱車11、二番車12、三番車13、四番車14、ガンギ車15、アンクル16及びてんぷ17を、回転可能に上下で支持しているが、図1においては、受け部材の記載を省略している。受け部材は、香箱車11、二番車12、三番車13、四番車14及びガンギ車15を支持する輪列受けと、てんぷ17を支持するてんぷ受けとを備えている。
[第一の実施形態]
図2は時計用ムーブメントにおける本発明の第一の実施形態を示す平面図であり、図1における一般的な時計用ムーブメントのうち、第一の実施形態の特徴的な部分の構成のみを図示している。
図2においてガンギ車15はガンギ歯車151とガンギかな152で構成され、アンクル16はアンクル体161、アンクル真162、入爪163、出爪164などで構成される。また、てんぷ17は図1で示したてん真18、てん輪19、ひげぜんまい20(図2においては図示せず)と振り座171、振り石172などで構成される。図2においては説明のため、アンクル体161と振り石172との位置関係がわかるように振り座171を半透明で示している。
ここで、アンクル16は振り座171に配置された振り石172によってアンクル真162を軸に回転するものであるが、その回転幅は地板90に設けられたドテピン92によって規制される。
また、ガンギ歯車151は香箱車11のぜんまいが巻き上げられている場合(時計が動作している場合)は、ガンギかな152を軸として図2において時計回りに回転する方向に力が加えられており、その回転を、入爪163、出爪164により、停止と停止解除を繰り返すことで調速を行っている。このとき、入爪163、出爪164がガンギ歯車151を停止及び停止解除するタイミングは、てんぷ17の回転振動の周波数によって定まるものであり、この周波数を調整することで時計として正確な時間を刻むという機能を果たすものである。
第一の実施形態においては、主に時計が動作していない状態で、てんぷ17の摩擦抵抗を概算で測定するためのガンギ車固定機構が設けられている。ガンギ車固定機構は、図2に示すように地板90に対して上面側から見た際に、地板90にガンギ車固定用の凹部として穴93(以下、穴と省略する)が設けられており、穴93にピンを挿入することでガンギ車15を固定することができる機構となっている。
穴93は、ガンギ歯車151のガンギかな152の中心からガンギ歯車151の歯底までを半径とした円とガンギかな152の中心からガンギ歯車151の歯先までを半径とした円との間に相当する位置に形成している。
地板90は本来、穴や凹凸などが多数ある複雑な形状であるが、図2においては説明のためそれらは省略し、平面として描写している。
図3及び図4は第一の実施形態におけるムーブメント101の一部と評価用ジグ200の一部のみを図示した斜視図である。図3はムーブメント101及び評価用ジグ200の全体を示す図であり、図4は図3に示すガンギ車15付近を拡大した斜視図である。また、図3(a)及び図4(a)はムーブメント101と評価用ジグ200を嵌め合わせる前の状態を示し、図3(b)及び図4(b)は図3(a)、図4(a)における矢印の方向へムーブメント101を嵌め合わせた後の状態を示している。評価用ジグ200はムーブメント101全体が嵌る構造であり、ムーブメント101を評価用ジグ200に嵌め合わせた際、評価用ジグ200に立てられたガンギ車固定用のピン201(以下、ピンと省略する)が穴93に挿入されるように配置されている。
このとき、ピン201によって、ガンギ車15の位置は固定されるが、その固定位置は
アンクル16がドテピン92間を振動する間、入爪163、出爪164がガンギ歯車151と接触することがない位置とする。従って、ムーブメント100と評価用ジグ200を嵌め合わせた状態でてんぷ17を回転振動させたとしても、ガンギ車15とアンクル16が接触することはなく、てんぷ17をガンギ車15の摩擦抵抗を受けない状態とすることができる。
図5(a)はてんぷの回転振動時におけるてんぷ17の振幅の減衰曲線を示すグラフである。図5(a)における曲線Aは第一の実施形態のムーブメント101を評価用ジグ200と嵌め合わせた状態で測定したときの振幅Aの経時変化を示している。本実施形態においては、てんぷ17の回転振動にともない、アンクル16も回転振動するため、曲線Aはてんぷ17とアンクル16を回転振動させた際のてんぷ17の振幅の減衰曲線となる。
図5の減衰曲線は、てんぷ17に向けて圧空を噴射することでてんぷ17を強制的に回転振動させ、その振幅の時間変化をプロットした実験データである。てんぷ17の振幅を測定する方法としては様々あるが、例えばハイスピードカメラを用いる方法などが挙げられる。また、てんぷ17を強制的に回転振動させる方法は、圧空に限らず、直接てん輪を保持して適当な角度ずらした後、離すことによって回転させても同様に減衰曲線を得ることは可能である。
ここで、図5(a)に示すてんぷ17の振幅の減衰曲線から、回転振動の際の粘性摩擦抵抗Fと固体摩擦抵抗Rを求めることが可能である。図5(b)は、図5(a)における減衰曲線を基にした、ある時間tにおけるてんぷ17の振幅Aと、振幅Aと時間t+Δtにおけるてんぷ17の振幅A’の差である減衰量ΔA(ΔA=A−A’)との関係を示している。ここで、図5(b)の振幅AとΔAの関係は、ある振幅の範囲において直線性を示し、その直線の傾きと切片を用いて粘性摩擦抵抗と固体摩擦抵抗を算出する。具体的には傾きをa、切片をbとした場合、粘性摩擦抵抗Fは(式1)、固体摩擦抵抗Rは(式2)によって求めることが可能である。
Figure 2016206020
Figure 2016206020
ここで、Iはてんぷの慣性モーメント、Tは振動周期、Kはひげぜんまいのバネ定数、nは測定周期に依存する係数である。
上述のように、図5(a)の減衰曲線から、回転振動の際の粘性摩擦抵抗と固体摩擦抵抗が求まるものであるが、曲線Aからはてんぷ17の回転振動にアンクル16の回転振動が加わった状態における粘性摩擦抵抗F’と固体摩擦抵抗R’が求まることになる。
粘性摩擦抵抗F’と固体摩擦抵抗R’はムーブメントの設計思想により様々であるが、第一の実施形態のムーブメント101は、てんぷ17の慣性モーメントが1,000mg・mm程度であり、ムーブメント101が伏せ姿勢において、F’が50〜100mg・mm/sec程度、R’が0〜2,000mg・mm/sec程度であれば正常値となる。
一般的には、てんぷ17のみを回転振動させて、その減衰曲線からてんぷ17のみの回転振動における粘性摩擦抵抗Fと固体摩擦抵抗Rを求めることが好ましいが、てんぷ17の回転振動にアンクル16の回転振動が加わった状態の粘性摩擦抵抗F’と固体摩擦抵抗R’を求めることでも、てんぷ17の摩擦抵抗値の異常を検出することが可能である。
粘性摩擦抵抗に関しては、一般的にてんぷ17の慣性モーメントに対し、アンクル16の慣性モーメントが十分小さい点、また、てんぷ17が回転する際の振幅(回転角度)に対し、アンクル16の回転する角度が小さいため、F’とFとの差はほとんどみられない。固体摩擦抵抗R’に関しては、、R’におけるてんぷ17による割合とアンクル16による割合は区別できないものであるが、てんぷ17とアンクル16がどちらも正常である場合は、R’の値はある範囲内に収まるものである。例えば、油の量が少ない場合やごみが入り込んでしまった場合など、何か異常がある場合は、設計値に対して高い値を示す現象が現れる。従って、R’の値が設計値に対して異常に大きい場合はてんぷ17もしくはアンクル16の軸部分に何らかの不具合が発生していると判断することができる。
時計の製造現場などにおいて、完成したムーブメントの評価を行う際、第一の実施形態のムーブメントを用いることで、ムーブメントを分解することなく、てんぷ17とアンクル16を回転振動させた際の減衰曲線を測定し、減衰曲線から求めた粘性摩擦抵抗F’と固体摩擦抵抗R’を算出することが可能となる。このとき、粘性摩擦抵抗F’と固体摩擦抵抗R’とが予め求めておいた正常値の範囲内であれば、てんぷ17の粘性摩擦抵抗Fと固体摩擦抵抗Rも正常値であると判定することができ、てんぷ17の摩擦抵抗値の不良検出が可能となる。
第一の実施形態では、ガンギ車15を固定するために地板90に設けられた穴93と、評価用ジグ200に設けられたピン201とを1対としているが、これに限定されるものではなく複数対としても構わない。また、ピン201は、図4に示すように先端部に傾斜を持った構造が好ましい。このピン201の先端の傾斜により、ムーブメント101と評価用ジグ200を嵌め合わせる際、ガンギ車15の位置が固定位置とずれている場合でもガンギ車15が回転しながら固定位置に移動して嵌め合わさるものである。
第一の実施形態では、スイスレバー脱進機を用いているが、これに限定されるものではなく、てんぷ17を回転振動させた場合に、その回転振動に追随して振動するアンクル16とてんぷ17の両方に接触しない位置にガンギ車15を固定できるものであれば構わない。
また、第一の実施形態では、ガンギ車15を固定するために評価用ジグ200を用いているが、評価用ジグ200を用いずにガンギ車15を固定しても良い。その場合、図6に示すように、地板90のガンギ歯車151のガンギかな152の中心からガンギ歯車151の歯底までを半径とした円とガンギかな152の中心からガンギ歯車151の歯先までを半径とした円との間に相当する位置にガンギ車固定用の凹部として穴95を設け、その
穴95にピン204を差し込むことでガンギ車15を固定することも可能である。
[第二の実施形態]
次に第二の実施形態について説明する。図7は本発明の第二の実施形態を示す断面図であり、図4(a)、図4(b)と同様に、図7(a)はムーブメント102と評価用ジグ202を嵌め合わせる前の状態、図7(b)は、図7(a)における矢印の方向へムーブメント102を嵌め合わせた後の状態の、ガンギ車15付近の拡大図である。
図7において、ガンギ車15の受け側の受け石はガンギかな152の軸方向に2段に重ねられた受け石153、受け石154を備えている。受け石153、154のうちガンギ歯車151に近い側の受け石153は、中心に貫通孔が形成され、これらの貫通孔にガンギかな152のホゾが通されている。一方、ガンギ歯車151から遠い側の受け石154は、貫通孔が形成されておらず、受け石153の貫通孔から突出したガンギかな152の先端に突き当たってガンギかな152が軸方向に動かないようにしている。
また、受け石154は、弾性材料(図7では図示せず)によって地板90方向に向かって押さえられることにより固定されており、弾性材料の弾性力を超えた力が加わった場合は、受け石154は地板90に対して垂直方向に可動するものである。この構造は、てんぷ17の耐震構造として一般的なものであるが、受け石153、154の間に表面張力によって潤滑油を保持し易い構造であるため、潤滑油の保油構造としても用いられることが知られている。
評価用ジグ202は第一の実施形態と同様にムーブメント102全体が嵌る構造である。第二の実施形態におけるガンギ車固定機構は、ムーブメント102を評価用ジグ202に嵌め合わせた際、評価用ジグ202に立てられたガンギ車押上げ用のピン203がガンギ車押上げ用の穴94に挿入され、ガンギ車15を地板90から離れる方向に押し上げるものである。ガンギ車押上げ用の穴94は地板90を上面側から見た場合に、その一部が必ずガンギ車15と重なる位置に設けてあり、ムーブメント102が評価用ジグ202に嵌め合わさった際に、ガンギ車15はガンギ車押上げ用のピン203によって押上げられ、地板90から離れる方向へ力を受ける。
このとき、可動可能な受け石154によって垂直方向に固定されているガンギ車15は、ガンギ車押上げ用のピン203によって、地板90から離れる方向に移動し、アンクル16と接触しない位置に固定される。ここで、図7(a)においてはガンギ車15及びアンクル16は地板90との垂直方向の距離が重複している部分を有しているが、図7(b)においては、ガンギ車15とアンクル16は地板90との垂直方向の距離がずれており、地板90との垂直方向の距離が重複している部分がないため、アンクル16が回転振動する際にガンギ歯車151と接触することがない。従って、ムーブメント102と評価用ジグ202を嵌め合わせた状態とすれば、てんぷ17を回転振動させたとしても、ガンギ車15とアンクル16が接触することはない。
これにより、第一の実施形態と同様に、ムーブメントを分解することなく、てんぷ17とアンクル16とを回転振動させた際の減衰曲線を測定することができ、減衰曲線から求めた粘性摩擦抵抗F’と固体摩擦抵抗R’を算出することが可能となる。このとき、粘性摩擦抵抗F’と固体摩擦抵抗R’とが予め求めておいた正常値の範囲内であれば、てんぷ17の粘性摩擦抵抗Fと固体摩擦抵抗Rも正常値であると判定することができ、てんぷ17の摩擦抵抗値の不良検出が可能となる。
また、第二の実施形態においては、第一の実施形態と異なり、ガンギ車15を固定したときの回転方向の位置精度は必要なく、アンクル16が振動する間にガンギ歯車151と
アンクル16の爪が接触することがないため、すべての種類の脱進機において適用可能となる。
ここで、第二の実施形態では、ガンギ車15を移動する際に、受け石154を外さない状態で行っているが、受け石154の可動領域が小さく、ピン203により、ガンギ車15を押し上げてもアンクル16との噛合いが外れない場合には、受け石154を取り外し、受け石154を外した状態で、ムーブメント102と評価用ジグ202を嵌め合わせることによって、ガンギ車15をアンクル16の噛合いを外しても良い。受け石154は、ムーブメント102の他の部分に手を加えることなく、その部分のみを取り外すことが可能であるため、ムーブメント102の他の部分には影響を与えることなく、てんぷ17の摩擦抵抗値の不良検出が可能となる。
また、第二の実施形態におけるピン203はその先端が平坦であるるほうが、ガンギ車15を安定して押上げられるため好ましく、また、ピン203と穴94は複数対であることが好ましい。
15 ガンギ車
16 アンクル
17 てんぷ
18 てん真
19 てん輪
90 地板
93 ガンギ車固定用の穴
94 ガンギ車押上げ用の穴
95 ガンギ車固定用の穴
100、101、102 ムーブメント
200、202 評価用ジグ
201、204 ガンギ車固定用のピン
203 ガンギ車押上げ用のピン

Claims (5)

  1. 地板と、ガンギ車及びアンクルによって構成される脱進機とを有する機械式ムーブメントにおいて、
    前記アンクルと前記ガンギ車とが接触しない位置に前記ガンギ車を固定するためのガンギ車固定機構を有する
    ことを特徴とする機械式時計のムーブメント。
  2. 前記ガンギ車固定機構は、前記ガンギ車を回転方向に対して固定するためのピンと、前記ピンを挿入するための前記地板に設けられた凹部とで構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の機械式時計のムーブメント。
  3. 前記ピンは、先端部が傾斜している
    ことを特徴とする請求項2に記載の機械式時計のムーブメント。
  4. 前記ガンギ車固定機構は、前記ガンギ車を前記地板から離れる方向に押上げて移動させるためのピンと前記ピンを挿入するための前記地板に設けられた穴とで構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の機械式時計のムーブメント。
  5. 前記ピンは、先端部が平坦である
    ことを特徴とする請求項4に記載の機械式時計のムーブメント。
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