JP2016205943A - 電磁シールド部材の点検方法 - Google Patents

電磁シールド部材の点検方法 Download PDF

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剛俊 山浦
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克也 北爪
浩史 伊野
Hiroshi Ino
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Abstract

【課題】電磁シールド部材の劣化を適切かつ簡便に点検すること。【解決手段】初期時において、供試体23に接地された電磁シールド部材22のループ抵抗RQT、および、機体20に接地された電磁シールド部材22のループ抵抗RACの少なくとも一方を測定しておく。そして、点検時において、機体20に接地された電磁シールド部材22のループ抵抗RSVを測定する。機体20に電気系統10が実装された状態で初期時においてシース17に流れることが実証された電流のレベルをLACとし、LACよりも大きい電流のレベルであって、初期時においてシース17に流れてもLRU11の機能が担保されることが実証されたレベルをLQTとしたとき、RACおよびRQTの少なくとも一方に基づいて定められた初期時のループ抵抗であるRINに、LACに対するLQTの比率を乗じることで得られた指標Sを用いて電磁シールド部材22の劣化を判定する。【選択図】図2

Description

本発明は、航空機等に装備された電気系統を電磁遮蔽する電磁シールド部材の劣化を判定する点検方法に関する。
航空機に装備された電気系統には、雷や、レーダー等から強い電磁波が放射される。その電磁波が電気系統に生じさせるノイズを低減するため、電線の周りに被覆(シース)を設けるといったノイズ対策がとられている(特許文献1参照)。シースの両端は機体に接地される。電線に流れる誘導電流(ノイズ)を低減させるようにシースから機体へと電流が流れることによって電磁シールド効果が得られ、電気装備品の機能を担保することができる。
特表2011−510862号公報
電気装備品の機能を担保するために、接地された電磁シールド部材のGNDを含めたループ抵抗を測定することが有効とされている。ループ抵抗は、電磁シールド部材が経年劣化すると大きくなる。ループ抵抗が大きくなると、誘導電流を低減させる効果が低下する。
ところが、点検時にループ抵抗を測定しても、その測定結果を評価するための指標が存在していない。そのため、電磁シールド部材を継続して使用できるのか、それとも劣化限界にあって補修が必要なのかが明確ではない。
点検時に測定したループ抵抗RSVを評価するための指標として、例えば、ループ抵抗を徐々に大きくしながら、電気ケーブルのシースにノイズに相当する電流を流し、電気装備品が正常に機能しなくなるループ抵抗RLTを予め求めておくことが考えられる。限界のループ抵抗RLTに対して点検時のループ抵抗RSVが小さければ継続使用が可能といったように判定することができる。
しかし、その方法は、装備品の故障を伴う上、複雑に連結されている装備品(LRU)相互間の接続部1つ1つについて抵抗低下を模擬した状態で正常動作を確認する試験が必要となる。
そのため、多数の装備品からなる航空機等の電気系統に関しては、費用、期間、労力の面から現実的ではない。
以上より、本発明は、電磁シールド部材の劣化を判定するための適切な指標を導入し、その指標を用いて電磁シールド部材を簡便に点検することを目的とする。
電気系統が対象(機体等)に実装された際に、電線を覆う電磁シールド部材に開発時に想定した通りの誘導電流(ノイズ)が流れるとは限らない。ノイズにより電気装備品が故障することを極力避けなくてはならないとすれば、安全をみて、当該電磁シールド部材に流れると想定される電流のレベルを開発時に大きく見積もらざるを得ない。
特に航空機においては、飛行の安全確保のため、電気装備品の機能を担保する要請が強い。そのため、被雷時に電磁シールド部材に流れると想定される最大レベルの電流に対して、例えば何十倍ものマージンを見込んで電気系統の開発が行われる。
そして、実装対象を模擬した供試体に電磁シールド部材が接地された状態で試験を行い、マージン込みのレベルLQTの大電流を電磁シールド部材に流しても装備品が正常に機能することを確認している(機能実証試験)。
その後、電気系統を機体に実装した状態でノイズレベル実証試験を行う。この試験は、機体の実物に電磁シールド部材が接地された状態で、機体そのものに模擬雷を印加し、機体に実装された電気系統の電磁シールド部材に、想定したレベルLACの電流が流れることを確認する。レベルLACは、機能実証試験時のレベルLQTと比べればとても小さい(図4参照)。
上述のように大きく見積もられている電流のレベルLQTに対して、実際には、僅かなレベルLACの電流しか電磁シールド部材には流れない。
しかし、少なくとも、機能実証試験により装備品が正常に機能することが確認されているレベルLQTまでは、装備品は故障することなく正常に機能する。
そうであれば、電磁シールド部材の劣化が進むことで図4に示すようにループ抵抗RSVが増大し、それに伴って電磁シールド効果が低下することにより、被雷時に電線に流れる電流のレベルが徐々に増大するとしても、許容される電流および電圧を超えて装備品の故障に至るまでには十分な時間的猶予がある。
以上の知見に基づいてなされた本発明は、電線および電線により接続される装備品を備えた電気系統を電磁遮蔽する接地された電磁シールド部材を点検する方法であって、電気系統が実装される実装対象の運用後の点検時において、実装対象に接地された電磁シールド部材のループ抵抗であるRSVを測定するステップを備える。
本発明において電磁シールド部材の劣化を判定するために用いられる指標は、RACおよびRQTの少なくとも一方に基づいて定められた初期時のループ抵抗であるRINに、LACおよびLQTからマージンを設定することで得られる。
ここで、RACおよびRQTの少なくとも一方に基づいて定められたRIN、LAC、およびLQTはいずれも、実装対象の運用前である初期時において取得された値である。
LACは、実装対象に電気系統が実装された状態で電磁シールド部材に流れることが実証された電流のレベルに相当する。
LQTは、LACよりも大きい電流のレベルであって、電磁シールド部材に流れても装備品の機能が担保されることが実証されたレベルに相当する。
RQTは、実装対象に代わる供試体に接地された電磁シールド部材のループ抵抗が測定された結果に相当する。
RACは、実装対象に接地された電磁シールド部材のループ抵抗が測定された結果に相当する。初期時においてRQTおよびRACの少なくとも一方を測定しておけば足りる。
本発明においては、上記の指標と、上記ステップにおいて測定されたループ抵抗であるRSVとを用いて、例えば、RSVが指標に対して小さいうちは、電磁シールド部材をそのまま継続して使用可能と判定し、RSVが指標に対して大きければ、電磁シールドの補修が必要と判定することができる。
本発明においては、RINに、LACおよびLQTからマージンを設定することで得られた値よりも、LACに対してLQTが有するマージンの一部に対応する分だけ小さい値を前記指標として定めることができる。
本発明において、指標とRSVとを演算する演算装置を備えた判定装置により、電磁シールド部材の継続使用の可否を判定し、判定結果を出力することもできる。
本発明の点検方法は、航空機の機体に対して実装される電気系統を電磁遮蔽する電磁シールド部材に好ましく適用することができる。
本発明によれば、電磁シールド部材にレベルLQTの電流が流れても装備品の機能が担保されている事実と、電気系統が対象に実装された際に当該電磁シールド部材にレベルLACの電流が流れる事実とに基づいて適切に定められる指標を用いることにより、装備品が故障に至る上限のノイズレベルを測定する試験を行うことなく、電磁シールド部材の劣化を簡便に判定することができる。
航空機に装備される電気系統を構成する装備品および電気ケーブルを示す模式図である。 (a)は電気系統の開発段階において行われる機能実証試験について説明するための模式図である。(b)は電気系統が機体に実装された状態で行われるノイズレベル実証試験について説明するための模式図である。 航空機の運用後の点検時に電磁シールド部材のループ抵抗RSVを測定することを説明するための模式図である。 機体に実装された電気系統の電磁シールド部材に流れる電流のレベルLACに対して極めて大きなマージンを有するレベルLQTまでは装備品が正常に機能することと、そのマージンを考慮して、ループ抵抗RSVの評価に用いる指標Sが定められることを説明するための模式図である。 ノイズレベルのマージンの一部を残す分だけ指標を小さく定める例を示す模式図である。 第2実施形態において、機能実証試験時にループ抵抗RQTを測定することを説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
電気的な制御の下に運行される航空機は、航法装置や通信装置をはじめとする種々のシステムを備えている。それらのシステムは、開発や整備の便宜のためにLRU(Line Replaceable Unit)と呼ばれるパッケージを単位として構成されている。それらのパッケージが電気ケーブルで接続されることにより、複数の電気系統が構成されている。
電気系統10は、図1に一例を示すように、LRU11と、LRU11同士を接続する電気ケーブル12とを備えている。
LRU11は、回路部13と、回路部13を収容する金属製のケース14とを備えている。
電気系統10が航空機の機体20に実装されると、ケース14は機体20に接地される。ケース14は回路部13を電磁遮蔽する。
電気ケーブル12は、電線16と、電線16を覆う金属製のシース17とを備えている。
電線16は、電力を供給する電力線や信号を伝送する信号線に該当する。
シース17の内側には、単一または複数の電線16が配置される。
シース17は、電気ケーブル12により接続されるLRU11,11の各々のケース14に電気的に接続される。
航空機が被雷したり、あるいは、テレビ局やラジオ局、レーダー、衛星通信システム等から発せられる電波による高強度放射電界(HIRF;High Intensity Radiated Field)に航空機が置かれると、高強度の電磁波が電気系統10に放射される。それによって電気系統10の電線16に誘導される電流(ノイズ)を低減するために、電線16がシース17により覆われており、シース17の両端がケース14を介して機体20に接地される。
それによって、図1に破線で示すように、シース17、ケース14、および機体20を含むループ状の経路21が形成される。
電気ケーブル12に電磁波が作用すると、その磁束の増減を妨げる向きに誘導起電力が発生し(レンツの法則)、それによってシース17に誘導電流が流れ、ケース14を介して機体20へと流出する。つまり、経路21に電流が流れることで、電線16に誘導される電流が低減されるので、電磁シールド効果が得られ、LRU11(装備品)の機能を担保することができる。
以下では、シース17およびケース14に加えて、シース17とケース14とを接続する部分や、ケース14と機体20とを接続する部分も含め、機体20との間にループ状の経路21を構成するために必要な部材を電磁シールド部材22と総称する。
シース17に代えて、あるいはシース17と併用して、両端が接地された導線を電線16に沿って配置することもある。そうした導線も電磁シールド部材22に含まれる。
シース17とケース14との接続部や、ケース14と機体20との接続部の経年劣化により、それらの接続部における接触抵抗r1が大きくなる。また、経年劣化によってシース17の抵抗r2が大きくなる。そうした電磁シールド部材22の劣化に伴う抵抗増加により、経路21の全体の抵抗であるループ抵抗が大きくなる。ループ抵抗が大きくなると、電線16に生じる誘導電流を低減させる効果が低下する。
電気装備品の機能を担保するために、本実施形態では、航空機の運用(運行)が開始された後に行う点検時に、初期時のループ抵抗を参照して、電磁シールド部材22をそのまま継続して使用可能であるか、それとも劣化限界にあって補修が必要であるかを判定する。
「初期時」とは、航空機が運用される前の時期をいうものとする。
ところで、航空機を所定のスケジュールに従って効率よく製造するため、電気系統10の開発と、機体20の開発とは別途、並行して行われる。多くの場合、電気系統10の開発時、機体20も開発中であり、機体20の実物は未だない。
そうした事情もあって、機体20に実装された電気系統10のシース17を流れる電流のレベル(電流の大きさ)を開発時に正確に想定することは難しい。
それでいて、航空機の製造工程の後戻りを避け、なにより、飛行の安全を確保するため、電気系統10のLRU11がノイズによって誤動作したり故障することを回避しなくてはならない。
したがって、シース17に流れると想定される電流のレベルを開発時に極めて大きく見積もり、そのレベルの電流が流れてもLRU11が正常に機能することを試験により実証する(機能実証試験)。
機能実証試験では、図2(a)に示すように、機体20に代わる供試体23にLRU11と電気ケーブル12を機体装備状態を模擬して接地し、大きく見積もられたレベルLQTの電流をシース17に流す。その際に、LRU11が正常に機能することを確認する。LRU11の定格電流をLQTとして定めることができる。
その後、機体20が出来上がり、機体20に電気系統10を実装したならば、実装された電気系統10のシース17に流れる電流のレベルを確認するノイズレベル実証試験を行う。
ノイズレベル実証試験では、図2(b)に示すように、機体20の実物に電磁シールド部材22が接地された状態で、機体20に模擬雷を印加し、シース17に流れる電流のレベルを確認する。このとき印加する模擬雷は、被雷時(機体20への実雷印加時)に機体20に流れると想定される最大の電流レベルLに基づいて定められる。
ノイズレベル実証試験において、シース17にレベルLACの電流が流れたとする。このレベルLACは、万が一にもLRU11が故障しないように極めて大きく見積もられたLQTと比べればとても小さい。
つまり、図4に示すように、レベルLQTは、レベルLACに対して極めて大きなマージンを有する。LQTは、LACの例えば数十倍にも達する。
ノイズレベル実証試験の際、機体20に実際にレベルL(実雷)の電流が流れるように模擬雷を印加してもよいし、想定を大きく超えた電流からLRU11をより万全に保護するため、レベルLよりも小さいレベルの電流が機体20に流れるようにしてもよい。その際に実際に機体20に流れると想定される電流へ外挿することで、レベルLACに換算することができる。
以上で説明したように、レベルLQTの電流がシース17に流れてもLRU11が正常に機能することを実証する機能実証試験と、機体20に実装された状態でシース17にレベルLACの電流が流れることを実証するノイズレベル実証試験とによって、航空機の被雷に対するLRU11の信頼性が万全に確保される。
さて、航空機の運用が開始されると、電磁シールド部材22の劣化が進行し、図4に矢印で示すようにループ抵抗RSVが次第に大きくなる。それに伴い、経路21に電流が十分には流れ難くなるので、電線16に生じる誘導電流のレベル(ノイズレベル)が増加する。ここで、電線16に作用する電圧は、シース17に流れる電流とループ抵抗RSVとの積になるが、ループ抵抗が初期状態(RIN)で、電流がレベルLQTの電流との積である電圧が電線16に作用する条件では、機能実証試験時に、LRU11が正常に機能することが証明されている。
つまり、ループ抵抗が指標S(=RIN(LQT/LAC))まで劣化し、最大でレベルLACの電流がシース17に流れたとしても、そのループ抵抗と電流との積である電圧ではLRU11が正常に機能することが実証されているので、電磁シールド部材22の劣化によりループ抵抗が当初よりも増加したとしても、LRU11の誤作動や故障に至るまでには、LACに対してLQTに設定されているマージンに対応する時間的な猶予がある。
このことを利用して、本実施形態では、電磁シールド部材22の劣化の度合を示す指標Sを導入し、指標Sを用いて電磁シールド部材22を点検する。
指標Sは、下記に示すように、初期時のループ抵抗RINに、LACに対するLQTの比率を乗じることで得られる。
S=RIN(LQT/LAC)・・・(1)
ここで、本実施形態では、図2(b)に示すように、ノイズレベル実証試験時に経路21(図1)のループ抵抗RACを所定のテスタにより測定し、ループ抵抗RACを初期のループ抵抗RINとして取得する。
つまり、S=RAC(LQT/LAC)である。
そして、電磁シールド部材22の点検時には、図3に示すように、経路21(図1)のループ抵抗RSVを測定する。
ループ抵抗RSVは、図4に矢印で示すように電磁シールド部材22の劣化に伴い増加するが、指標Sに対して小さいうちはLRU11が正常に機能する。したがって、電磁シールド部材22をそのまま継続して使用可能である。
一方、点検時のループ抵抗RSVが指標Sに対して大きければ、電磁シールド部材22の補修が必要であると判定することができる。その場合は、シース17の圧着端子の交換や、シース17の交換などの補修を行うとよい。
本実施形態において、図3に示すように、指標Sを記憶する記憶装置31と、指標Sおよびループ抵抗RSVを演算する演算装置32とを備えた点検用劣化判定装置30を用いると、より簡便にかつ間違いなく電磁シールド部材22の継続使用の可否を判定することができるので好ましい。
点検用劣化判定装置30に入力されるループ抵抗RSVと、記憶装置31から読み出される指標S(RIN(LQT/LAC))との差分に相当する判定値J(下記)を演算装置32により求めるとする。
J=RSV−RIN(LQT/LAC)
この場合は、J<0であれば電磁シールド部材22の継続使用が可能、J>0であれば電磁シールド部材22の補修が必要と判定することができる。
J=0は、電磁シールド部材22の補修が必要となるまでの時間的な猶予、つまりノイズレベルに見込まれたマージン(LQT/LAC)を使い切ったことを示している。その時のループ抵抗RSVでレベルLACの誘導電流がシース17に流れたとしても、そのループ抵抗RSVと誘導電流との積である電圧が電線16に作用するのであって、それと同じ大きさの電圧で、LRU11が正常に機能することが実証されている。そのため、J=0である場合に、継続使用が可能であると判定することもできる。J=0である場合は、J<0あるいはJ>0のいずれか一方と同様に扱うことができる。
点検用劣化判定装置30は、判定値Jに基づく判定結果を出力する。判定結果として、判定値Jを点検用劣化判定装置30の画面に表示したり、継続使用の可否を識別可能なインジケータランプやブザーにより報知したりすることができる。判定結果を示す信号を他の機器に送信することもできる。
さらには、指標S、判定値J、および点検の間隔に基づいて今後の使用限度の目安を得るように点検用劣化判定装置30を構成することもできる。
例えば、点検間隔をTとし、前回の点検の判定値JN-1と今回のJNから、劣化率D=(JN-1−JN)/Tを求めることにより、継続使用可能な期間をJN/Dから得ることができる。
点検用劣化判定装置30の記憶装置31に、指標Sを必ずしも記憶させておく必要はない。指標Sを算出する上記の式(1)に基づいて演算装置32による演算により指標Sを取得すればよい。つまり、点検用劣化判定装置30が記憶装置31を備えていなくてもよい。
電磁シールド部材22の劣化判定に用いる値は、ループ抵抗RSVと指標Sとの差分(判定値J)には限られない。例えば、ループ抵抗RSVを指標Sで割ることで得られた判定値K(=RSV/S)を取得し、K<1であれば電磁シールド部材22の継続使用が可能、K>1であれば電磁シールド部材22の補修が必要と判定することができる。
本実施形態における電磁シールド部材22の点検方法によれば、シース17におけるノイズレベルに見込まれているマージンを考慮した指標Sに基づいて電磁シールド部材22の継続使用の可否を簡便に判定することができる。ループ抵抗の測定結果を評価する適切な指標が存在しない従来のように、ループ抵抗を監視するために頻繁に点検を行う場合と比べて、本実施形態によれば電磁シールド部材22の点検の間隔を長くすることができる。
初期のループ抵抗RIN(本実施形態ではRAC)そのものを指標とする場合は、点検時に測定したループ抵抗RSVが初期のループ抵抗RINに対して大きければ即、電磁シールド部材22の補修が必要と判定するのに対し、本実施形態では、RINにノイズレベルのマージン(LQT/LAC)を掛けた指標Sよりも小さいうちは継続使用が可能と判定する。
そのため、LRU11が正常に機能することを担保しながら、電磁シールド部材22の使用期間を延ばすことができる。
また、点検時のループ抵抗RSVを評価するための指標として、ループ抵抗を徐々に大きくしながら、シース17に電流を流し、LRU11が正常に機能しなくなるループ抵抗RLT(図4)を予め求めておくことが考えられるが、その場合はLRU11の故障を伴う上、複雑に連結されているLRU11相互間の接続部1つ1つについて抵抗低下を模擬した状態で正常動作を確認する膨大な数の試験が必要となる。それに対して、本実施形態によれば、航空機の製造開発において行われる試験の際に初期のループ抵抗RINを測定しておき、その初期ループ抵抗RINにノイズレベルのマージンを適用するだけで、LRU11の故障を生じさせることなく、容易に指標Sを定めることができる。
〔第1実施形態の変形例〕
下記に示すように、RINに、LACに対するLQTの比率を乗じて算出された値(上記の指標Sに相当)に対して所定の係数(下記では1/2)を掛けることにより、指標Sよりも小さい指標sを定めることもできる。
s=(1/2)RIN(LQT/LAC)
この指標sを電磁シールド部材22の劣化判定に用いることにより、LACに対してLQTが有するマージンの一部(図5に示すマージンM)を残すことができる。
ループ抵抗RSVが指標sに達したならば電磁シールド部材22が補修されることにより、電線16に作用する電圧をLRU11の機能が実証されている電圧(RINとLQTとの積)に対して1/2以下に保つことができる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態以降では、第1実施形態とは相違する事項を中心に説明する。第1実施形態で説明した構成と同様の構成には同じ符号を付している。
第2実施形態では、初期時のループ抵抗RINとして機能実証試験時のループ抵抗RQTを用いる。そのため、図6(a)に示すように、機能実証試験時に、機体20に代わる供試体23を含んで構成される経路21のループ抵抗RQTを測定し、ループ抵抗RQTを初期のループ抵抗RINとして取得する。
図6(b)に示すノイズレベル実証試験時にループ抵抗を測定する必要はない。
本実施形態における指標S2を下記に示す。
S2=RQT(LQT/LAC)
機能実証試験に用いる供試体23は機体20を模擬して作られている。そのため、機能実証試験時のループ抵抗RQTは、ノイズレベル実証試験時のループ抵抗RAC(図2(b))と同等の値となる。
したがって、第1実施形態と同様に、点検時に測定したループ抵抗RSV(図3)が上記の指標S2に対して小さければ、LRU11が正常に機能するので電磁シールド部材22をそのまま使い続けることができる。
本実施形態においても、点検用劣化判定装置30(図3)の記憶装置31に指標S2を記憶させ、演算装置32により指標S2およびループ抵抗RSVを演算することで、電磁シールド部材22の継続使用の可否を判定することができる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態では、ループ抵抗RAC(図2(b))およびループ抵抗RQT(図6(a))の両者に基づいて初期時のループ抵抗RINを定める。
下記に示すように、RQTに対するRACの比率を補正係数としてRINに乗じる。その値にLACに対するLQTの比率を乗じることで指標S3を得る。
S3=(RAC/RQT)RIN(LQT/LAC)
そうすると、測定誤差等に起因してループ抵抗RQTとループ抵抗RACとが相違していたとしても、初期時のループ抵抗RINを正しく取得することができるので、電磁シールド部材22の継続使用の可否をより適切に判定することができる。
RINに適用する補正係数は、任意に定めることができる。
本発明の点検方法は、航空機の他にも、例えば、船や鉄道等に装備された電気系統の電磁シールド部材の劣化を判定するために用いることができる。
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本発明の指標は、初期時のループ抵抗であるRINに、LQT/LACを乗じることで得られるが、その指標と等価である、1/RINにLAC/LQTを乗じることで得られた指標も、当然に、本発明の指標として用いることができる。
10 電気系統
11 LRU(装備品)
12 電気ケーブル
13 回路部
14 ケース
16 電線
17 シース
20 機体(実装対象)
21 経路
22 電磁シールド部材
23 供試体
30 点検用劣化判定装置(判定装置)
31 記憶装置
32 演算装置

Claims (4)

  1. 電線および前記電線により接続される装備品を備えた電気系統を電磁遮蔽する接地された電磁シールド部材を点検する方法であって、
    前記電気系統が実装される実装対象の運用後の点検時において、
    前記実装対象に接地された前記電磁シールド部材のループ抵抗であるRSVを測定するステップを備え、
    前記実装対象の運用前である初期時において、
    前記実装対象に前記電気系統が実装された状態で前記電磁シールド部材に流れることが実証された電流のレベルをLACとし、
    LACよりも大きい電流のレベルであって、前記電磁シールド部材に流れても前記装備品の機能が担保されることが実証されたレベルをLQTとし、
    前記実装対象に代わる供試体に接地された前記電磁シールド部材のループ抵抗が測定された結果をRQTとし、
    前記実装対象に接地された前記電磁シールド部材のループ抵抗が測定された結果をRACとしたとき、
    RACおよびRQTの少なくとも一方に基づいて定められた初期時のループ抵抗であるRINに、LACおよびLQTからマージンを設定することで得られた指標と、RSVとを用いて、前記電磁シールド部材の継続使用の可否を判定する、
    ことを特徴とする電磁シールド部材の点検方法。
  2. RINに、LACおよびLQTからマージンを設定することで得られた値よりも、
    LACに対してLQTが有する前記マージンの一部に対応する分だけ小さい値を前記指標として定める、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁シールド部材の点検方法。
  3. 前記指標と、RSVとを演算する演算装置を備えた判定装置により、
    前記電磁シールド部材の継続使用の可否を判定し、判定結果を出力する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁シールド部材の点検方法。
  4. 航空機の機体に対して実装される前記電気系統を電磁遮蔽する前記電磁シールド部材に適用される、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電磁シールド部材の点検方法。
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