JP2016204451A - 発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚さ、質量を大きくすることなく、吸音ピーク周波数より低い周波数帯域及び高い周波数帯域での吸音性の向上を図ることができる発泡体を提供する。【解決手段】パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、内部に空間を形成した多数の発泡セルS2,S3より構成された発泡体1であって、厚み方向に沿って、前記発泡セルS3が密集配置された発泡セル層3と、前記発泡セル層3の表面側に配置され、前記発泡セル層3より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置された表面皮膜層2A,2Bとを有し、前記表面皮膜層2A,2Bは、前記発泡セル層3より通気度が低い。【選択図】図2

Description

本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡材とする発泡体に関する。
従来より紙を発泡材の一部として利用した発泡体が提案されている(特許文献1、2参照)。この発泡体は、パルプ繊維成分として古紙を使用できるため、紙のリサイクルに好適である。かかる発泡体は、図8に示すような吸音特性を有する。この吸音特性は、共振効果によるものと多孔質型によるものを合わせたものと考えられる。
つまり、共振効果による吸音性能は、外部から入射する音の内で、表面皮膜層で反射する表面反射波と発泡体の内部に進入し反射波として戻って来る透過反射波との相殺によるものである(図8の共振効果による特性線図参照)。共振効果による吸音性能は、1kHz〜2kHzの低周波数帯内でピーク性能を発揮する。
多孔質型による吸音性能は、発泡体の内部に進入した音が発泡セルの内部空間や発泡セルの皮膜で振動し、振動によるエネルギー吸収(熱エネルギー放出)によるものである(図8の多孔質効果による特性線図参照)。多孔質型の吸音性能は、低周波数帯域では効果が低く、2kHz以上の高周波帯で高い吸音性能を発揮する。多孔質型の吸音性能は、高周波数帯域でも周波数が高くなればなるほど高くなる。
上記した発泡体とシンサレート(登録商標)との吸音特性を比較すると、図8に示すようになる。シンサレートは、合繊の極細繊維を絡み合わせたもの(不織布)であり、ほぼ多孔質型による吸音性能を発揮する。図8に示すように、発泡体は、低周波数帯域(ほぼ1kHz〜2kHZの帯域)では、共振効果による吸音ピークを有するため、シンサレートより優れた吸音特性を発揮する。
特許第3326156号公報 特開2000−273800号公報 特開平8−207170号公報
しかしながら、上記したように従来の発泡体は、適度の通気性を有し、主に多孔質構造によって吸音性を図る構造である。多孔質構造による吸音性は、吸音ピーク周波数までの低い周波数帯域では、発泡体の厚み、質量、通気度の大きさに吸音性の向上が関連し、吸音ピーク周波数より高い周波数帯域では、発泡体の厚み、質量が関連しないが、発泡体の通気度が吸音性の向上に関連する。
従って、吸音ピーク周波数より低い周波数帯域では、発泡体の厚み、質量を大きくしないと吸音性の向上が図れない。また、吸音ピーク周波数より高い周波数帯域では、その帯域では発泡体の通気度が上がり、吸音性の向上が図れるものの、更なる吸音性の向上が求められている。
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、厚さ、質量を大きくすることなく、吸音ピーク周波数より低い周波数帯域及び高い周波数帯域での吸音性の向上を図ることができる発泡体を提供することを目的とする。
本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、内部に空間を形成した多数の発泡セルより構成された発泡体であって、厚み方向に沿って、前記発泡セルが密集配置された発泡セル層と、前記発泡セル層の表面側に配置され、前記発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層とを有し、前記表面皮膜層は、前記発泡セル層より通気度が低いことを特徴とする発泡体である。
前記発泡セル層の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲で、発泡体全体の通気性は、1±0.5cc/cm2/secの範囲であるものが好ましい。前記発泡セル層の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲で、前記表面皮膜層の通気性は、2.5cc/cm2/sec以下であるものが好ましい。前記合成樹脂成分は、メルトフローレートが30g/10minであるものが好ましい。前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であるものが好ましい。
本発明によれば、発泡体は、表面皮膜層が内部の発泡セル層より通気度が低いために、外部からの音によって表面皮膜層が振動する板膜振動構造体となる。従って、吸音特性としては、共振による吸音ピークを有し、この吸音ピーク周波数より低い周波数帯域では吸音が引き上げられ向上し、高い周波数帯域では内部の通気度向上の作用も影響し吸音を維持し、発泡体の吸音材として基本的に厚み、質量に依存しないで吸音できる。
本発明の一実施形態を示し、発泡体の外観斜視図である。 本発明の一実施形態を示し、(a)は発泡体の正面図、(b)は発泡体の構造模式図である。 本発明の一実施形態を示し、(a)は押出し成形機の要部斜視図、(b)は口金部材の正面図である。 本発明の一実施形態を示し、押出し成形機の概略断面図である。 本発明の一実施形態を示し、プレス機の側面図である。 本発明の一実施形態を示し、板膜振動の吸音原理を説明する図である。 本発明の一実施形態を示し、シンサレートと本発明に係る発泡体における残響室法による吸音率の特性線図である。 従来例の発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、発泡体1は、偏平長方形の板状である。発泡体1は、図2(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂材であるポリプロピレン樹脂材と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の発泡セルS2,S3より構成されている。紙粉末成分としては、官製葉書等の古紙を紙粉末繊維状にしたものを使用している。合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。J830HVは、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10min、密度が910Kg/m3、引っ張り降伏応力が28.0MPa、引っ張り破壊呼びひずみが30%、引っ張り弾性率が1450MPaの物性を有する。
各発泡セルS2,S3は、内部の空隙がセル皮膜によって被われている。発泡セルS2,S3は、その位置によって発泡密度(発泡倍率)が異なり、発泡体1は発泡セルS2,S3の密度によって以下のような層構造に形成されている。
つまり、発泡体1は、厚み方向に沿って、一方の表面皮膜層2Aと発泡セル層3と他方の表面皮膜層2Bとから構成されている。
各表面皮膜層2A,2Bは、極薄厚みであり、発泡セル層3の表面側に配置され、発泡時に外気との温度差で瞬時に合成樹脂成分が硬化してセル皮膜が形成されて、発泡セル層3より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。
発泡セル層3は、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進されて、表面皮膜層2A,2Bより発泡密度が低い発泡セルS3が密集配置されている。
発泡セル層3には、厚み方向の直交方向に沿って等間隔に複数の縦仕切皮膜層5が形成されている。発泡セル層3は、縦仕切皮膜層5によって分割されている。縦仕切皮膜層5は、発泡セル層3より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。
発泡体1は、表面皮膜層2A,2Bの通気度が発泡セル層3の通気度より低く形成されている。発泡体1は、厚みTが10mmであり、全体としての通気度が1±0.5cc/cm2/secの範囲である。従って、発泡体1は、ほとんど通気性のない構造体である。発泡セル層3の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲である。表面皮膜層2A,2Bの通気性は、2.5cc/cm2/sec以下である。
次に、上記発泡体1を製造する押出し成形機10とプレス装置30を説明する。押出し成形機10は、図3(a)、(b)及び図4に示すように、各発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練された発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材11と、この口金部材11の外側を囲むように配置された規制枠壁20とを備えている。口金部材11は、水平方向に等間隔P1に配置された複数の吐出口12を1段のみ有する。規制枠壁20は、この1段の吐出口12より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。
規制枠壁20は、吐出口12の下流直後の位置では偏平長方形状の枠であるが、それより押し出し方向の下流では、底面壁部20aとこの両側端より立設された一対の側面壁20c,20dとを有し、上面が開口している。この上面の開口位置には、一対の側面壁20c,20dの上面に架け渡すよう複数のローラ21が配置されている。複数のローラ21は、押し出し方向に並んでそれぞれ設けられている。この上位置位置の各ローラ21は、押し出される発泡体1Aに追従して回転するよう回転自在に支持されている。又、上位置の各ローラ21は、発泡体1Aの押出し速度で回転するよう構成しても良い。上位置の各ローラ21は、押し出される発泡体1Aの上面を圧縮する。上位置のローラ21の最下位置と底面壁部20aの間隔は、10mmに設定されている。従って、発泡体1Aは、10mm厚のものが製造される。
プレス装置30は、図5に示すように、互いに対向配置された固定プレス体31と可動プレス体32とを有する。可動プレス体32は、固定プレス体31の近接・離間方向に移動できる。他のプレス装置(図示せず)としては、発泡体1Aが載置される載置台と、この載置台上に配置された回転自在の圧縮ローラを有し、圧縮ローラによって発泡体1Aの全域をしごくように圧縮するものであっても良い。
次に、発泡体1の製造方法を説明する。押出し成形機10内に、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチと水を加熱混練し、この高温の発泡材を口金部材11の1段の吐出口12より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口12より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、図4に示すように、規制枠壁20、上位置のローラ21によって規制されるため、規制枠壁20と上位置のローラ21によって規制されたスペースを断面積とする発泡体1Aが連続的に押し出される。各発泡セルS2,S3は、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性等によって破泡することなく、内部に空隙(空気層)が形成されたものとなる。
また、各吐出口12から吐出された発泡材は、発泡する位置で外気の温度差が異なることで発泡の促進度合いが異なる。又、各吐出口12から吐出された発泡材は、自由に発泡できず、上記したように規制枠壁20、ローラ21で発泡形成が抑制されると共に、発泡セル同士が互いに干渉することによって発泡形成が抑制される。
具体的には、規制枠壁20各側面壁部20c、20dの内方近傍、上側のローラ21の下方近傍、底面壁部20aの上方近傍に位置する発泡セルS2は、発泡時に外気との温度差で瞬時に合成樹脂成分が硬化してセル皮膜が形成され、ローラ21及び規制枠壁20で発泡形成が抑制される。これによって両側の表面皮膜層2A,2Bが形成される。両側の表面皮膜層2A,2Bの内部で、且つ、水平方向の隣り合う吐出口12の中間位置付近に位置する発泡セルS2は、互いの発泡セルS2同士が衝突(干渉)して発泡形成が抑制される。これによって縦仕切皮膜層5が形成される。両側の表面皮膜層2A,2Bの内部で、且つ、縦仕切皮膜層5の間に位置する発泡セルS3は、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進されると共に縦仕切皮膜層5の発泡セルS2に較べて弱い抑制力しか働かない。これによって発泡セル層3が形成される。発泡体1Aは、上位置のローラ21と底面壁部20aの間を通過し圧縮力を受けることにより、厚みが10mmとなる。
押出し成形機10より製造された発泡体1Aは、所定寸法で裁断される。この裁断した発泡体1Aは、圧縮ローラ(図示せず)により1枚ずつプレスされる。圧縮ローラは、発泡体1Aを約10分の1程度にまで圧縮し、その後、圧縮を解除する。圧縮を解除すると、発泡体1は、ほぼ元の厚みに戻る。又、図5に示すプレス装置30を用いて圧縮しても良い。このプレス装置30は、発泡体1Aを三枚重ねて同時に約10分の1程度にまで圧縮する。
ポリプロピレン樹脂材のJ830HVを合成樹成分とする発泡体1Aは、押出し成形機10での押出し製造だけでは、発泡セルS2,S3の皮膜に芯部分(硬い部分)を有し、音による振動がし難い発泡構造である。押出し成形機10より押出された発泡体(バージン材)1Aを一度圧縮変形させると、発泡セルS2,S3の皮膜の芯部分(硬い部分)が破壊されることにより、柔軟な皮膜になる。
上記した構造の発泡体1によれば、表面皮膜層2A(又は2B)は、内部の発泡セル層3より通気度が低いために、板膜として機能し得る構造であり、且つ、その内部の発泡セル層3は、内部に空隙を有する発泡セルS3の集合体で、表面皮膜層2A(又は2B)の板膜振動を阻害しない構造であるため、発泡体1は、外部からの音によって表面皮膜層2A(2B)が振動する板膜振動構造となる。従って、発泡体1は、その吸音特性としては、共振による吸音ピークを有し、この吸音ピーク周波数より低い周波数帯域では吸音が引き上げられ向上し、高い周波数帯域では内部の通気度向上の作用も影響し吸音を維持し、発泡体1の吸音材として基本的に厚み、質量に依存しないで吸音できる。
次に、板膜振動構造の吸音原理を簡単に説明する。フックの法則より、F(力)=k(バネ定数)・A(振幅)である。A(振幅)は、A(振幅)=LO(厚さ)・F(振幅)/{S(断面積)・E(弾性率)}と表すことができる。又、F(力)=m(質量)・a(加速度)である。上記2つの式より、A(振幅)={LO(厚さ)・m(質量)・a(加速度)}/{S(断面積)・E(弾性率)}となる。
上記式より、音波によって板膜が振動し、吸音はA(振幅)の大きさにより決定される。E(弾性率)が低くなれば、A(振幅)が大きくなり、吸音性が向上する。
目付(重さ)が240〜270g/m2の軽い発泡体は、目付(重さ)が350g/m2の重い発泡体に対して、柔軟な構造体であり弾性率が低いため、吸音性が向上する。図7の第1・第2サンプルと、第3サンプルの特性線で確認された(図7のc領域参照)。
次に、板膜振動体が共振による吸音ピークを有することを説明する。図6に示すように、例えば表面皮膜層2Aを板膜振動部位とし、発泡セル層3を板膜振動部位の背後の空気層と仮定することができる。板膜振動部位の質量を空気バネが支える機械系の共鳴機構が成立する。このような板膜振動体において、吸音率ピークを示す吸音率周波数は、次式で表される。
f=1/2π√(ρ・C/m・L)
f:吸音率ピーク周波数(Hz)、ρ:空気密度(kg/m3)、m:板膜の面密度(kg/m3)、C:空気中の音速(m/s)、L:背後の空気層の厚さ(m)であり、ρ、Cは常温時一定として定数化すると、次式になる。
f=60/√(m・L)
この式より、本実施形態の発泡体1の構造を検討すると、表面皮膜層2Aをm(板膜の面密度)に、発泡セル層3をL(背後の空気層の厚さ)に相当すると仮定できる。m:板膜の面密度は、実測困難であるため、発泡体の密度で検証した。その結果、吸音ピーク周波数がほぼ2kHzとなり、図7の第1サンプル及び第2サンプルの吸音ピーク特性が板膜振動体の共振による吸音ピークであることが実証された。
発泡セル層3の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲で、発泡体全体の通気性は、1±0.5cc/cm2/secの範囲である。発泡セル層3は、適度な通気度があるが、発泡体全体としては、ほとんど通気性がなく、ひいては表面皮膜層2A(又は2B)がほとんど通気性のない構造である。従って、発泡体1は、外部からの音によって表面皮膜層が確実に振動する板膜振動構造として機能する。また、発泡セル層3は、適度な通気度があるため、表面皮膜層2A(又は2B)を後加工によって通気性を上げる構造にでき、このように通気性を上げる構造とすれば、多孔質構造体による吸音性を発揮させることができる。
発泡セル層3の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲で、表面皮膜層2A,2Bの通気性は、2.5cc/cm2/sec以下である。発泡セル層3は、適度な通気度があるが、表面皮膜層2A(又は2B)がほとんど通気性のない構造であるため、発泡体1は、外部からの音によって表面皮膜層2A(又は2B)が確実に振動する板膜振動構造として機能する。また、発泡セル層3は、適度な通気度があるため、表面皮膜層2A(又は2B)を後加工によって通気性を上げる構造にでき、通気性を上げる構造とすれば、多孔質構造体による吸音性を発揮させることができる。通気性を上げる後加工としては、表面被膜層2A(又は2B)を傷付ける、表面被膜層2A(又は2B)を一部削り取る等の加工が考えられる。
この実施形態では、発泡セル層3の両面に表面皮膜層2A,2Bが配置されているが、発泡セル層3のいずれか一方の面側のみに配置されていれば良い。一方の面側のみに表面皮膜層2A(2B)を有する場合には、この面側を外部からの音が進入する面側とする。
合成樹脂成分は、メルトフローレイト(MFR)が30g/10minという高い値のものである。例えば、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。このような合成樹脂成分を用いた場合には、発泡過程にあって、発泡材の流動性が高くなることから各発泡セルS3が大きく膨らむことができ、厚みTが10mmで、目付(重さ)が240g/m2(1m2当たりの重さが240g)〜270g/m2(1m2当たりの重さが270g)程度の軽い発泡体1を作製できる(下記の第1サンプル、第2サンプル参照)。このように発泡倍率の高い発泡体は、その表面皮膜層2A、2Bが薄膜で、且つ、弾力性に富んだものとなり、上記したようなプレス加工しても容易に破泡しないため、通気性の非常に低い(通気度:2.5cc/cm2/sec以下)表面皮膜層2A,2Bを容易に作製できる。発泡倍率の高い発泡体1は、その発泡セル層3も弾力性に富んだものとなり、表面皮膜層2A(又は2B)の板膜振動を確実に阻害しない構造になる。但し、発泡セル層3は、プレス加工によって、表面皮膜層2A,2Bと異なり少し破泡し、通気度は上がる。
又、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)を用いて目付(重さ)が350g/m2(1m2当たりの重さが350g)程度の発泡体を作製すると、発泡セルS2,S3の柔軟性が低下するため、上記したプレス加工によって、表面皮膜層2A,2Bと発泡セル層3の発泡セルS2,S3が共に破泡し、通気度が上がる(下記の第3サンプル参照)。
以上より、合成樹脂成分として、メルトフローレイト(MFR)が30g/10minという高い値のものを用いることにより、軽くて吸音性に優れた発泡体を提供できる。例えば、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)を用いることによって、軽くて吸音性に優れた発泡体を提供できる。
図7は、シンサレート(登録商標)と本発明に係る第1サンプル(発泡体)と同じく第2サンプル(発泡体)と第3サンプル(発泡体)とにおける残響室法による吸音率測定結果である。
第1サンプルの発泡体は、厚みTが10mmで、目付(重さ)が257g/m2(1m2当たりの重さが257g)である。第2サンプルの発泡体は、厚みTが10mmで、目付(重さ)が269g/m2(1m2当たりの重さが269g)である。第1サンプルと第2サンプルの発泡体は、全体としての通気度が1±0.5cc/cm2/secの範囲で、発泡セル層3の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲である。又、表面皮膜層2A,2Bの通気性は、2.5cc/cm2/sec以下である。
これに対し、第3サンプルの発泡体は、厚さTが10mmで、目付350g/m2(1m2当たりの重さが350g)である。第3サンプルの発泡体は、全体としての通気度が3.9±0.5cc/cm2/secの範囲である。上記したようにプレス加工によって表面皮膜層2A,2Bと発泡セル層3の発泡セルS2,S3が破泡するためである。尚、プレス加工前では、全体としての通気度が1±0.5cc/cm2/secの範囲である。
図7において、第1サンプル及び第2サンプルの発泡体は、主に板膜振動体としての吸音特性を示す。第3サンプルの発泡体は、多孔質構造と板膜振動体の双方を組み合わせた吸音特性を示す。第1及び第2サンプルの発泡体は、吸音ピーク周波数より少し低い周波数帯域(a領域参照)における吸音性能の急激な落ち込みを防止できることが確認された。第1及び第2サンプルの発泡体は、第3サンプルの発泡体に較べて、吸音ピーク周波数より少し高い周波数帯域(b領域参照)では、通気度低下による吸音性の低下がみられる。第1及び第2サンプルの発泡体は、第3サンプルの発泡体に較べて、吸音ピーク周波数より十分に高い周波帯域(c領域参照)では、高周波での板膜振動向上による吸音性の向上が確認された。
1 発泡体
S2,S3 発泡セル
2A,2A 表面皮膜層
3 発泡セル層

Claims (5)

  1. パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、内部に空隙を形成した多数の発泡セルより構成された発泡体であって、
    厚み方向に沿って、前記発泡セルが密集配置された発泡セル層と、前記発泡セル層の表面側に配置され、前記発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層とを有し、
    前記表面皮膜層は、前記発泡セル層より通気度が低いことを特徴とする発泡体。
  2. 請求項1記載の発泡体であって、
    前記発泡セル層の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲で、発泡体全体の通気性は、1±0.5cc/cm2/secの範囲であることを特徴とする発泡体。
  3. 請求項1又は請求項2記載の発泡体であって、
    前記発泡セル層の通気度は、3〜10cc/cm2/secの範囲で、前記表面皮膜層の通気性は、2.5cc/cm2/sec以下であることを特徴とする発泡体。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発泡体であって、
    前記合成樹脂成分は、メルトフローレートが30g/10minであることを特徴とする発泡体。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発泡体であって、
    前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であることを特徴とする発泡体。
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