JP2016204308A - 肝臓脂肪蓄積抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、新規な肝臓脂肪蓄積抑制剤を提供することを目的とする。
【解決手段】緑豆由来のタンパク質を有効成分とする、肝臓脂肪産生酵素阻害剤、特に肝臓ステアロイル‐CoA不飽和化酵素1(Scd-1)の阻害剤による。また当該阻害剤を有効成分とする、肝臓脂肪蓄積抑制剤による。
【選択図】図1
【解決手段】緑豆由来のタンパク質を有効成分とする、肝臓脂肪産生酵素阻害剤、特に肝臓ステアロイル‐CoA不飽和化酵素1(Scd-1)の阻害剤による。また当該阻害剤を有効成分とする、肝臓脂肪蓄積抑制剤による。
【選択図】図1
Description
本発明は、緑豆由来のタンパク質を有効成分とする、肝臓脂肪産生酵素阻害剤および肝臓脂肪蓄積抑制剤に関するものである。
脂肪肝は、肝臓に脂質が過剰に蓄積した状態を示し、過食や運動不足、アルコールの過剰摂取、ウイルス感染等により発症する疾患である。脂肪肝は、生活習慣病の発症・悪化に関与するだけでなく、肝炎・肝硬変等の肝障害の原因になるため、脂肪肝の予防及び改善が、健康を維持する上で非常に重要である。脂肪肝の予防及び改善には、肝臓における脂質の合成を抑制することや、脂質の代謝を亢進して蓄積を抑制することが有効である。肝臓における脂質合成に重要な役割を果たす酵素として、肝臓内のステアロイル‐CoA不飽和化酵素1(Scd-1)が報告されている(非特許文献1および2)。
近年、種々の天然由来機能性成分の探索が進められており、脂質代謝に作用して肝臓における脂質量を低減させ得る成分についての報告がある。特許文献1および2では、大豆タンパク質または植物の発芽物の乾燥粉砕物が、血中の中性脂肪を低減させる作用を有することが開示されている。しかしながらこれらの文献では、肝臓における脂肪蓄積抑制作用については確認されていない。特許文献3においては、大豆タンパク質が、肝臓のステアロイル‐CoA不飽和化酵素1(Scd-1)をコードする遺伝子の発現に影響することが開示されているが、肝臓における脂肪蓄積への影響は開示されていない。
緑豆(Vigna radiataの種子)は、中国では炎症を鎮める漢方の一種として用いられている生理機能の高い種子であり、中国及び東南アジア圏において広く食されている。また、特許文献4には、緑豆タンパク質の製造方法が開示されており、得られた緑豆タンパク質を畜肉加工品製造に用いることが開示されている。また特許文献5には、緑豆等の植物由来のトリペプチドが、アンジオテンシン変化酵素阻害剤として作用することが開示されている。しかしながら緑豆由来のタンパク質が、肝臓における脂質量を低減する作用を発揮することについての報告はない。
Chu K. et al., Mol Cell Biol. 2006 Sep;26(18):6786-98.
Gutierrez-Juarez R. et al., J Clin Invest. 2006 Jun;116(6):1686-95.
本発明は、新規な肝臓脂肪蓄積抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、緑豆由来のタンパク質が、肝臓脂肪産生酵素を阻害し得ること、さらには肝臓脂肪の蓄積を抑制し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.緑豆由来のタンパク質を有効成分とする、肝臓脂肪産生酵素阻害剤。
2.肝臓脂肪産生酵素が、肝臓ステアロイル‐CoA不飽和化酵素1(Scd-1)である、前項1に記載の阻害剤。
3.前項1又は2に記載の阻害剤を有効成分とする、肝臓脂肪蓄積抑制剤。
1.緑豆由来のタンパク質を有効成分とする、肝臓脂肪産生酵素阻害剤。
2.肝臓脂肪産生酵素が、肝臓ステアロイル‐CoA不飽和化酵素1(Scd-1)である、前項1に記載の阻害剤。
3.前項1又は2に記載の阻害剤を有効成分とする、肝臓脂肪蓄積抑制剤。
本発明の緑豆由来のタンパク質を有効成分とする肝臓脂肪産生酵素阻害剤によれば、肝臓において脂肪の産生を抑制することができる。本発明の肝臓脂肪産生酵素阻害剤は、肝臓脂肪蓄積抑制剤として使用し得るものであり、肝臓のトリグリセリド濃度を低下することにより肝臓への脂肪の蓄積を抑制することができる。本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤によれば、肝臓のトリグリセリド濃度を低下することにより脂肪肝への進展およびその発症を抑制することができると考えられる。本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤は、非アルコール性脂肪性肝疾患に対して、肝臓に蓄積した脂肪を低減して脂肪肝を改善するために有効に用いることができ、さらに肝障害への進展を抑制することができる。よって、本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤は、肝硬変、肝炎及び肝癌への進展を予防しまた改善する作用を有しており、有用である。
本発明の有効成分である緑豆由来のタンパク質は、緑豆由来のタンパク質を加熱変性していないものであってもよいし、全部又は一部が加熱変性されたものであってもよい。緑豆由来のタンパク質の原料として、緑豆(Vigna radiataの種子)そのものおよび/または緑豆豆乳、脱澱粉緑豆豆乳、分離緑豆蛋白等を利用することができる。緑豆は、タンパク質、炭水化物、脂質、水分、灰分などが含まれている。緑豆ではタンパク質が約25重量%を占めており、その内訳は約90重量%が8Sグロブリン、約8重量%がグリシニン、約2重量%がその他のタンパク質である。
緑豆由来のタンパク質として、緑豆豆乳、脱澱粉緑豆豆乳、分離緑豆蛋白等を用いることができ、これらをそのまま利用してもよく、これらを乾燥したものを利用してもよく、これらを殺菌後に乾燥したものを利用してもよい。緑豆豆乳及び脱澱粉緑豆豆乳は、丸緑豆又は脱澱粉緑豆等からタンパク質成分を水又は温水で抽出し、抽出した溶液から澱粉及び食物繊維成分を除去することにより得ることができる。また、UF膜(限界ろ過膜)による処理等により、緑豆豆乳のタンパク質成分を濃縮することもできる。分離緑豆蛋白は、緑豆豆乳から等電点沈殿等の処理によりタンパク質を濃縮することによって得ることができる。なお緑豆由来のタンパク質は、固形分全量に対してCP(粗タンパク質含量)が40重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上含まれるものである。したがって、原料となる丸緑豆又は脱澱粉緑豆として、丸緑豆又は脱澱粉緑豆中におけるタンパク質の含有率が高いものを用いることがよい。
分離緑豆蛋白は、例えば以下の様に調製することができる。すなわち、丸緑豆に水又は温水を加え、10時間から30時間程度浸漬し、粉砕後中性のpH付近にて抽出を行い、メッシュで種皮及び繊維を除去する。その後澱粉を分離して緑豆豆乳を得る。次に緑豆豆乳をpH3.5〜5.5付近とし、等電点沈殿物を分離緑豆蛋白として回収する。得られた等電点沈殿物(分離緑豆蛋白)に、水及びアルカリ剤を加え、中性のpH域に調整する。その際、分離緑豆蛋白の濃度を固形分で5〜15重量%に調整することが好ましい。溶液はpH6.0〜8.0に調整することが好ましく、pH6.5〜7.5の範囲に調整することがより好ましい。pHが6.0以上であると、塩溶液に対する緑豆蛋白の溶解性が向上する。また、pHが8.0以下であると、後の加熱処理によるアルカリ臭の発生を抑制できるため風味上好ましく、また、色調をより良好に保てる。中和に用いるアルカリ剤として、食品用途で使用できる水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを例示できる。
本発明の緑豆由来のタンパク質は、上記のようにして得られた緑豆豆乳、脱澱粉緑豆豆乳、分離緑豆蛋白等を加熱し、タンパク質を変性させることによって得たものであってもよい。加熱処理の条件は、加熱温度が80℃〜160℃の範囲であることが好ましく、110℃〜150℃の範囲であることがより好ましい。加熱時間は2秒〜60分の範囲であることが好ましく、5秒〜3分の範囲であることがより好ましく、5秒〜15秒の範囲であることがさらに好ましい。110〜150℃の範囲で、5秒〜15秒の加熱時間であることが特に好ましい。加熱方式は、間接加熱方式又は直接加熱方式のいずれの方法を利用することもできる。これらの中でも、塩溶液に対する溶解性を向上させる点から、タンパク質を含む溶液に高温高圧の水蒸気を直接吹き込み加熱保持した後、真空フラッシュパン内で急激に圧力解放させる、連続式直接加熱方式殺菌機を用いることが好ましい。
上述の方法により得られた緑豆由来のタンパク質は、粉末化したものであってもよい。緑豆由来のタンパク質を粉末化すると、液体に分散しやすく、作業上好ましい。また、菌の増殖を抑制することができるため、衛生上も好ましく、運送コストを抑制することもできる。粉末化の方法としては、品質及び製造コストの面で、噴霧乾燥器を用いて乾燥する方法が好ましい。噴霧乾燥の方法としては、ディスク型のアトマイザー方式又は1流体若しくは2流体ノズルによるスプレー乾燥等を利用することができる。
本発明の肝臓脂肪産生酵素阻害剤は、ステアロイル-CoA不飽和化酵素1(stearoyl-CoA desaturase-1(Unigene No. Rn.1023))(以下「Scd-1」と称する。)を阻害し得るものである。Scd-1は、肝臓において中性脂肪(トリグリセリド)の合成を促進することが知られている。Scd-1は、飽和脂肪酸アシルCoAからモノ不飽和脂肪酸合成を触媒するものであり、例えば、飽和脂肪酸ステアリン酸(C18:0)およびパルミチン酸(C16:0)に二重結合を導入し、オレイン酸(C18:1,n−9)、およびパルミトレイン酸(C16:1,n−7)を産生する。Scd-1は、肝臓内の脂肪、特に中性脂肪(トリグリセリド)の蓄積と深い関連性があることが示唆されている。本発明の阻害剤は、肝臓におけるScd-1の発現を抑制して、肝臓内のオレイン酸量およびパルミトレイン酸量を減少させる作用を有するものである。
本発明の肝臓脂肪産生酵素阻害剤は、Scd-1を阻害することにより、肝臓内の脂肪の蓄積を抑制する。肝臓において脂肪が蓄積することにより脂肪肝を呈する。脂肪肝にはアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝(NAFLD)が含まれる。非アルコール性脂肪肝は良性疾患と考えられていたが、近年メタボリックシンドロームの発症、肝硬変、肝癌に至る疾患であることが報告されている。本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤は、脂肪肝の予防または治療に用いることができる。
本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤を含む医薬組成物も本発明の範囲に含まれる。医薬組成物は、脂肪肝の予防剤、治療剤、改善剤として使用することができる。本発明の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、シロップ剤等の経口投与剤、注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤等の非経口投与剤などの形態に応じて、経口投与又は非経口投与することができる。投与経路としては経口投与がより好適である。本発明の医薬組成物は、常法に従って製造され、当業者に利用可能な製剤用添加物、即ち薬理学的及び製剤学的に許容しうる担体を用いて製造することができる。医薬組成物の製造に用いられる薬理学的及び製剤学的に許容しうる担体としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができる。
本発明の医薬組成物の投与量は、症状の程度、投与経路、投与対象、服用者の年齢、体重などに応じて適宜決定することができる。本発明の医薬組成物は、数回にわたり投与してもよいし、複数回のクールに分け、一クール当たりの投与回数、投与間隔などを任意に設定することができる。ヒトの場合1日あたり緑豆由来のタンパク質量として2g〜100g程度を1回あるいは数回に分けて摂取すればよい。なおタンパク質量の測定は、簡易的にはケルダール法を用いることができる。
本発明の肝臓脂肪産生酵素阻害剤または肝臓脂肪蓄積抑制剤は、医薬組成物の他、食品等の添加剤として使用してもよい。本発明の肝臓脂肪産生酵素阻害剤または肝臓脂肪蓄積抑制剤を有効量含む食品は、特定保健用食品や栄養機能食品等の健康食品に使用することができ、日常的に服用することで、脂肪肝や、それに伴う疾患の予防及び改善効果を期待することができる。服用量については、症状の程度、投与経路、投与対象、服用者の年齢、体重などに応じて適宜決定することができる。食品の場合は、本発明の緑豆由来のタンパク質を1重量%〜90重量%含有させることができ、好ましくは50重量%〜90重量%含有させることができる。本発明の食品は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、シロップ剤等の形態であってもよい。
なお、患者について脂肪肝を発症しているか否かは、当業界の技術常識に基づいて画像診断学的な側面から行うことができる。一般に、腹部超音波検査診断や画像診断等で、全ての肝小葉の30%以上の領域にわたって肝細胞に著名な脂肪滴の蓄積性変化がみられ、そのほかに顕著な形態学的異常が認められない場合に脂肪肝発症と判断することができる。また、脂肪肝への治療または改善作用は、肝細胞の脂肪滴蓄積性変化を指標として、改善効果を検討することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)緑豆由来のタンパク質の肝臓脂肪蓄積に対する作用
AIN-93G組成(Reeves P.G.ら:J. Nutr., 123, 1939-1951, 1993.)に基づき、タンパク質源として、分離緑豆蛋白(以下「MPI」と略すこともある。)(不二製油株式会社より提供)、大豆タンパク質(以下「SPI」と略すこともある。)(フジプロPR-F:不二製油(株)製)、又はカゼイン(ビタミンフリーカゼイン:Research Diets Inc.製)を、粗蛋白質重量換算で20重量%配合した餌(通常食(Normal Chow)または高脂肪食(High Fat))を以下の方法で動物に摂取させた。高脂肪食は、通常食に比較して脂肪含量が多くカロリーが高いものである。通常食および高脂肪食ともに、Research-Diet社のものを使用した(http://www.epsekishin.co.jp/lsg/service/researchdiets/index.html:高脂肪食はD12492、通常食はD12450B)。
AIN-93G組成(Reeves P.G.ら:J. Nutr., 123, 1939-1951, 1993.)に基づき、タンパク質源として、分離緑豆蛋白(以下「MPI」と略すこともある。)(不二製油株式会社より提供)、大豆タンパク質(以下「SPI」と略すこともある。)(フジプロPR-F:不二製油(株)製)、又はカゼイン(ビタミンフリーカゼイン:Research Diets Inc.製)を、粗蛋白質重量換算で20重量%配合した餌(通常食(Normal Chow)または高脂肪食(High Fat))を以下の方法で動物に摂取させた。高脂肪食は、通常食に比較して脂肪含量が多くカロリーが高いものである。通常食および高脂肪食ともに、Research-Diet社のものを使用した(http://www.epsekishin.co.jp/lsg/service/researchdiets/index.html:高脂肪食はD12492、通常食はD12450B)。
モデル動物は7週齢のC57BL/6JJmsSlcマウス(日本エスエルシー株式会社より購入)を、1週間の予備飼育後、群間の平均体重がほぼ同等になるようにMPI群、SPI群、カゼイン群(Control群)に群分けを行い、タンパク質として約0.5〜0.6g/dayの摂取となるように、タンパク質を重量比20%となるように作製した餌(Normal ChowまたはHigh Fat)を自由摂取させ、4週間の飼育を行った。
飼育終了後、随時摂食下で、頚椎脱臼による安楽死後、速やかに開腹して肝臓を摘出し、各分析に供するまで-80℃で凍結保存した。肝脂質はFolchらの方法(Folch J.L.M. et al:J. Biol. Chem., 226, 497-509, 1956.)により抽出し、中性脂肪をFletcher(Fletcher M.J.:Clinica. Chem. Acta., 22, 393-397, 1968.)の方法により測定した。各群あたり8匹を解析に供した。測定値は平均値±標準誤差(SEM)で示した。3群間の有意差検定はOne way ANOVAを行い、危険率5%以下を有意差とした。
結果を図1に示す。*は有意差があることを示す。肝臓蓄積中性脂肪量は、Normal ChowおよびHigh Fatのいずれで飼育した場合であっても、MPI群で、SPI群およびControl群に比べて低い値を示した。
(実施例2)緑豆由来のタンパク質の肝臓脂肪蓄積に対する作用
実施例1にて得た肝臓より、mRNAを常法に従って抽出し、抽出したmRNAからPrimeScript RT reagent Kit (Takara社製)を用いてcDNAを合成し、SYBR Select Master Mix(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株))を用いて定量的PCR法で、Scd-1、Fasn、Srebpの遺伝子発現量を測定した。各群あたり6匹を解析に供した。測定値は平均値±標準誤差(SEM)で示した。2群間の有意差検定は、student's t-testを行い、危険率5%以下を有意差とした。
実施例1にて得た肝臓より、mRNAを常法に従って抽出し、抽出したmRNAからPrimeScript RT reagent Kit (Takara社製)を用いてcDNAを合成し、SYBR Select Master Mix(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株))を用いて定量的PCR法で、Scd-1、Fasn、Srebpの遺伝子発現量を測定した。各群あたり6匹を解析に供した。測定値は平均値±標準誤差(SEM)で示した。2群間の有意差検定は、student's t-testを行い、危険率5%以下を有意差とした。
結果を図2に示す。*は有意差があることを示す。肝臓Scd-1発現量は、Normal Chowで飼育した場合は、MPI群でControl群に比べて低い値を示し、High Fatで飼育した場合は、MPI群で、SPI群およびControl群に比べて低い値を示した。
(実施例3)
実施例1の方法により、肝臓から抽出した肝脂質について、脂肪酸量の分析を行った。脂肪酸量の分析は次のようにして行った。まず、Folchらの方法(前述)にて肝脂質を抽出・溶剤揮発後、クロロホルム5mLとケイ酸1g添加し、ケイ酸の遠心沈殿後上清を溶剤揮発し、BF3-MeOH錯体(021-06171、14-15%、Wako)およびMeOH;2mLを加え、N2封入したのち、70℃-2h反応させ、放冷後、水4mL、ヘキサン3mL加え、5min振とう混和し、遠心分離で2層分離させ、上清を分取し、上清を溶剤揮発後、ガスクロマトグラフ用溶媒に再溶解したのち、ガスクロマトグラフィーを行った。各群あたり4匹を解析に供した。測定値は平均値±標準誤差(SEM)で示した。3群間の有意差検定は、one way ANOVAを行い、危険率5%以下を有意差とした。
実施例1の方法により、肝臓から抽出した肝脂質について、脂肪酸量の分析を行った。脂肪酸量の分析は次のようにして行った。まず、Folchらの方法(前述)にて肝脂質を抽出・溶剤揮発後、クロロホルム5mLとケイ酸1g添加し、ケイ酸の遠心沈殿後上清を溶剤揮発し、BF3-MeOH錯体(021-06171、14-15%、Wako)およびMeOH;2mLを加え、N2封入したのち、70℃-2h反応させ、放冷後、水4mL、ヘキサン3mL加え、5min振とう混和し、遠心分離で2層分離させ、上清を分取し、上清を溶剤揮発後、ガスクロマトグラフ用溶媒に再溶解したのち、ガスクロマトグラフィーを行った。各群あたり4匹を解析に供した。測定値は平均値±標準誤差(SEM)で示した。3群間の有意差検定は、one way ANOVAを行い、危険率5%以下を有意差とした。
結果を図3に示す。*は有意差があることを示す。Normal ChowおよびHigh Fatのいずれで飼育した場合であっても、肝臓内において、オレイン酸(C16:1)およびパルミトレイン酸(C18:1)の量が、MPI群で、Control群に比べて低い値を示した。実施例2のScd-1発現量が低下したことにより、オレイン酸およびパルミトレイン酸の合成が抑制され、オレイン酸およびパルミトレイン酸の量が減少したものと考えられる。
本発明の緑豆由来のタンパク質を有効成分とする肝臓脂肪産生酵素阻害剤によれば、肝臓において脂肪の産生を抑制することができる。本発明の肝臓脂肪産生酵素阻害剤は、肝臓脂肪蓄積抑制剤として使用し得るものであり、肝臓のトリグリセリド濃度を低下することにより肝臓への脂肪の蓄積を抑制することができる。本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤によれば、肝臓のトリグリセリド濃度を低下することにより脂肪肝への進展およびその発症を抑制することができると考えられる。本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤は、非アルコール性脂肪性肝疾患に対して、肝臓に蓄積した脂肪を低減して脂肪肝を改善するために有効に用いることができ、さらに肝障害への進展を抑制することができる。よって、本発明の肝臓脂肪蓄積抑制剤は、さらに肝硬変、肝炎及び肝癌への進展を予防しまた改善する作用を有しており、有用である。
また、本発明の肝臓脂肪産生酵素阻害剤または肝臓脂肪蓄積抑制剤の有効成分は、緑豆由来のタンパク質である。緑豆は春雨の原材料として周知であり、緑豆由来のタンパク質は、春雨の製造過程から安価に製造することができ、経済的である。加えて、大豆由来のタンパク質に比べて風味が良いことから、摂取しやすいという利点もあり、患者への負担も少ないと考えられる。
Claims (3)
- 緑豆由来のタンパク質を有効成分とする、肝臓脂肪産生酵素阻害剤。
- 肝臓脂肪産生酵素が、肝臓ステアロイル‐CoA不飽和化酵素1(Scd-1)である、請求項1に記載の阻害剤。
- 請求項1又は2に記載の阻害剤を有効成分とする、肝臓脂肪蓄積抑制剤。
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JP2020130121A (ja) * | 2019-02-25 | 2020-08-31 | 不二製油グループ本社株式会社 | 肝臓脂肪合成抑制用食品組成物 |
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