JP2016201788A - 画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム - Google Patents

画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複数の画像データから任意の視点位置での画像を生成する逐次処理を可能にした画像処理装置、画像処理方法、プログラムを提供すること。【解決手段】画像処理装置104において、画像変形部202は画像取得部201が取得した画像データを座標変換して変形処理を行う。距離MAP生成部203は、画像取得部201より取得された画像データから距離MAPの情報を生成する。距離MAP変形部205は、複数の視点で撮影された画像から任意視点での画像を生成する際に距離MAPを座標変換し、視点の変更処理を距離MAPに対して行う。αMAP生成部208は、視点の変更処理後の距離MAPを用いて合成用情報であるαMAPを生成する。画像合成部209は、αMAPに基づいて複数の画像を合成する処理を逐次に行い、任意視点での画像データを生成する。【選択図】 図2

Description

本発明は、3次元再構成技術による任意の視点位置での画像生成処理に関するものである。
従来、3次元再構成技術として、撮影時における複数の視点での画像から3次元データを再構成した後、3次元データに基づいて別の視点から撮影したかの様な画像を生成する技術がある。撮像後に設定される視点(以下、任意視点という)は、例えばユーザが任意に選択可能である。特許文献1に開示された技術では、複数の視点での画像から任意視点での画像を作成する際に、対象画像と時系列的に近い画像間の特徴量が算出される。特徴量の信頼度が低い場合、時系列前後の画像に基づいて3次元データを再構成する事で、精度の良い3次元データが作成可能である。
特開2009−212728号公報 特開2013―239119号公報 特開2012−221128号公報
任意の視点位置での画像生成処理において、複数の視点による画像間で相関が取れない領域は、視点を変える事により隠れてしまう領域(被写体による遮蔽領域)、つまりオクルージョン領域である可能性がある。その為、時系列前後の画像情報から3次元データに再構成する場合、オクルージョン領域の変化量が画像間で小さいと、マッピング精度の向上に問題がある。また、全ての画像を一度3次元データにマッピングする一斉処理を行った上で任意視点での画像の生成が行われることが前提となる。この場合、一度に処理するデータ量が多くなってしまうという問題があった。
本発明の目的は、複数の画像データから任意の視点位置での画像を生成する逐次処理を可能にした画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラムを提供することである。
本発明に係る装置は、複数の画像データを取得する画像取得手段と、前記画像取得手段から取得される画像データの奥行き方向の距離情報を取得する距離情報取得手段と、前記画像取得手段から取得される画像データに、座標変換により画像の変形処理を行う画像変形手段と、前記距離情報取得手段により取得された距離情報に、前記画像データに行う座標変換に対応する座標変換により変形処理を行う距離情報変形手段と、前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報に基づいて前記画像変形手段により変形処理された複数の画像を合成する画像合成手段と、を備える。
本発明によれば、複数の画像データから任意の視点位置での画像を生成する逐次処理を可能にした画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。 第1実施形態に係る画像処理部104の構成例を示すブロック図である。 図2のαMAP生成部208内の構成例を示すブロック図である。 第1実施形態における画像処理の流れを示すフローチャートである。 図2のαMAP生成部208による処理例を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る画像処理部604の構成例を示すブロック図である。 図6のαMAP生成部710の構成例を示すブロック図である。 第2実施形態における画像処理の流れを示すフローチャートである。 図6のαMAP生成部710による処理例を示すフローチャートである。 撮影画像と任意視点画像の関係を説明する図である。 各撮影位置での撮影画像と距離MAPを説明する図である。 各撮影位置での撮影画像と任意視点画像を例示する図である。 各撮影位置での距離MAPと任意視点距離MAPを例示する図である。 撮影1と撮影2との合成処理を説明する図である。 撮影1および撮影2の合成結果と撮影3との合成処理を説明する図である。 画像における2次元座標と実空間における3次元座標との関係を説明する模式図である。 第2実施形態に係る信頼度MAPに関する説明図である。
以下に、本発明の各実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。各実施形態では、視点位置を変更して撮影された画像から、任意視点の位置(以下、任意視点位置という)における画像を生成する処理が行われる。撮影画像が順次に入力される毎に前記処理が実行されて任意視点位置における画像データが更新されていく。以降の説明では、任意視点位置における画像を「任意視点画像」と称する。被写体については、撮像装置に近づく側を手前側と定義して位置関係を説明する。
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態に係る画像処理装置を説明する。まず、本実施形態における画像処理の概要を説明すると、任意視点画像を生成する為に、視点位置を変えて撮影した画像に対し、視点を変更する為の画像の変形処理が行われるとともに、距離MAPに対する変形処理が実行される。距離MAPとは、各画素位置における被写体の撮影距離、すなわち距離分布を示す距離情報のことである。ここで、距離MAPとしては、距離分布に対応する、画像内の被写体間の距離の相対関係が判ればよい。例えば、対となる視差画像から得られる、視差画像間の像ずれ量の分布情報や、像ずれ量をデフォーカス量に換算したデフォーカス量の分布情報などの形態でも構わない。
本実施形態では、距離MAPに対しても視点変更の為の変形処理を行う点が特徴である。変形処理の後、視点の変更された距離MAPに基づいて合成用マップ(後述するαMAP)が生成される。合成用マップを用いて、視点変更後の複数の画像を合成する事により、任意視点画像のデータを更新する処理が逐次に実行される。以下、本実施形態について順を追って説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置を撮像装置に適用した場合の構成例を示したブロック図である。
光学系101は、ズームレンズやフォーカスレンズ等から構成されるレンズ群と、絞り調整装置、およびシャッター装置を備える。光学系101は、撮像素子102の受光面に結像される被写体像の倍率やピント位置、あるいは光量を調整する。撮像素子102は、光学系101を通過した被写体からの光束を光電変換して電気信号に変換する。撮像素子102はCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)を用いたイメージセンサ等の光電変換素子である。本実施形態では、撮像素子102の各画素は、RGBの色フィルタを有するBayer配列で構成されており、各画素は1つのマイクロレンズに対して少なくとも2つの光電変換素子が対応する瞳分割型センサとなっている。しかし、撮像素子の形態としてはこれに限らない。A(Analog)/D(Digital)変換部103は撮像素子102の出力信号を取得し、映像信号をデジタル画像信号に変換する。
画像処理部104はA/D変換部103からの出力に対して公知の信号処理を行う他、入力された複数枚の画像から任意視点画像を生成する処理を行う。画像処理部104が行う処理については、後で詳細に説明する。画像処理部104はA/D変換部103から出力された画像データのみならず、記録部109から読み出された画像データに対しても画像処理を行う。駆動制御部105は、絞り値、感度、焦点距離、焦点位置の調整や、手振れ補正(像ブレ補正)を行う為に光学系101と撮像素子102の駆動制御を行う。
システム制御部106はCPU(中央演算処理装置)等を備え、撮像装置全体の動作を制御して統括する制御中枢部である。システム制御部106は、画像処理部104が処理した画像から得られる輝度値や、操作部107から送信される指示信号に基づいて、駆動制御信号を駆動制御部105に出力し、光学系101や撮像素子102の制御等を行う。
表示部108は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を備える。表示部108は、撮像素子102により取得される画像データや、記録部109から読み出された画像データにしたがって画像を表示する。画像データの記録機能を有する記録部109は情報記録媒体を備える。例えば、半導体メモリが搭載されたメモリカードや、光磁気ディスク等の回転記録体を収容したパッケージ等を用いる情報記録媒体が使用され、情報記録媒体は撮像装置に対して着脱可能である。
バス110は、画像処理部104、駆動制御部105、システム制御部106、表示部108、および記録部109を接続し、各部の間で画像データや信号等を送受するために用いられる。
次に、図2を参照して、画像処理部104内にて本実施形態に関わる構成について詳細に説明する。図2は画像処理部104内の一部を示したブロック図である。
画像取得部201はA/D変換部103から出力される画像データを逐次取得し、画像現像部202および距離MAP生成部203にそれぞれ出力する。画像現像部202は現像処理を行った画像データを画像変形部204に出力する。画像記録部206は、任意視点画像のデータを記録し、画像合成部209は画像変形部204および画像記録部206から画像データを取得し、画像合成後の画像データを出力する。
距離MAP生成部203は画像データに関する奥行き方向の距離情報として距離マップ(距離MAPとも記す)のデータを生成し、距離MAP変形部205に出力する。距離MAPの生成処理では、撮像素子102より取得される撮像光学系の異なる瞳領域に対応する対をなす画像データに対して、相関演算を用いた公知の方法により距離情報が生成される。しかしこれに限らず、複数の撮像手段から得られる視差のある対の画像データから距離情報を取得する方法や、ピント位置の異なる画像データからSADなどの相関演算を用いてDFD法により距離情報を生成しても良い(特許文献2参照)。SADは“Sum of Absolute Difference”の略号であり、DFDは“Depth from Defocus”の略号である。距離MAP変形部205は、任意視点位置での距離MAPの情報を生成し、距離MAP合成部210に出力する。距離MAP記録部207は、距離MAP変形部205により変形処理された情報を記録する。距離MAP記録部207から読み出された情報は、αMAP生成部208と距離MAP合成部210にそれぞれ出力される。αMAP生成部208は、後述するように合成用のαマップ情報(αMAPとも記す)を生成して、画像合成部209と距離MAP合成部210に出力する。
図4のフローチャートを参照して、図2に示す画像処理部104の動作を説明する。以下の処理は、システム制御部106による制御指令にしたがって実行される。
撮影動作が開始するとS401で画像処理部104は、逐次処理で用いる変数(kと記す)の値を1に初期化する。S402で画像取得部201は、k番目の撮影画像のデータ入力処理を行う。S403で距離MAP生成部203は、S402で入力されたk番目の撮像画像に対応するk番目の距離MAPを生成する。本実施形態では、前述したように撮像素子102から得られるk番目の撮影画像に対応する対をなす視差画像データを用いて距離MAPを生成する。このとき、撮像素子102やその後の処理回路に起因するノイズや信号の減衰などを補正する補正処理が行われたRGBの色信号または輝度信号の状態の視差画像データを用いて距離MAPが生成される。S404で画像現像部202は、S402で入力されたk番目の画像データを現像処理し、画像出力装置に合わせて視認性の良い画像データに変換する。現像処理とは、シェーディング補正処理、撮像信号の補正処理、ホワイトバランス補正処理、ノイズ低減処理、エッジ強調処理、色マトリクス処理、ガンマ補正処理等の少なくとも一部を含む処理である。なお、S405以降の処理で扱うk番目の画像は、S404で現像処理が施された画像を指す。
S405で画像変形部204は、S403で生成されたk番目の距離MAPの情報を用いて、S404で現像されたk番目の画像の変形処理を行う。画像変形処理により、k番目の任意視点画像のデータが生成される。任意視点画像の生成処理の詳細については後述する。S406で距離MAP変形部205は、S403で生成されたk番目の距離MAPの情報を入力として、k番目の任意視点位置での距離MAPの情報を生成する。任意視点位置での距離MAPを、以下では「任意視点距離MAP」と称する。任意視点距離MAPの生成処理については後で詳細に説明する。
S407でαMAP生成部208は、1番目から“k−1”番目まで処理されて距離MAP記録部207に記録されている、任意視点距離MAPの情報を読み込む。S408でαMAP生成部208は、k番目の任意視点距離MAPの情報と、距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPの情報を入力として、合成用のαMAPの情報を生成する。S408で生成されたαMAPの情報は、後述のS410とS411で使用される。合成用のαMAPの生成処理については後で詳細に説明する。
S409では、1番目から“k−1”番目まで処理されて画像記録部206に記録されている、任意視点画像のデータを画像合成部209が読み込む。S410で画像合成部209は、k番目の任意視点画像のデータを画像変形部204から取得し、画像記録部206に記録されている任意視点画像のデータを取得する。画像合成部209は、取得した画像データを、S408で生成されたαマップの情報に基づいて合成する。ここで画像に設定される2次元座標系において、ある点の位置座標(x,y)でのαマップ値をα(x,y)と記す。k番目の任意視点画像の画素値をpix_k(x,y)と記し、画像記録部206に記録されている任意視点画像の画素値をpix_m(x,y)と記す。合成後の任意視点画像の画素値をpix(x,y)と記すと、これは(式1)の様に算出される。
本実施形態では、α(x,y)の値を2値(0または1)とするが、必要に応じて0以上1以下の値をとる多値論理を採用してもよい。このことは以下の距離MAP合成の演算でも同様である。
S411において、距離情報合成部である距離MAP合成部210は、k番目の任意視点距離MAPの情報を距離MAP変形部205から取得し、距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPの情報を取得する。これらの任意視点距離MAPに対し、距離MAP合成部210は、S408で生成されたαマップの情報に基づいて距離情報合成処理を行う。画像に設定された2次元座標系において、ある座標(x,y)での、k番目の任意視点距離MAPの値をZ_k(x,y)と記し、距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPの値をZ_m (x,y)と記す。合成後の距離MAPの値をZ (x,y)と記すと、αマップ値であるα(x,y)を用いてZ (x,y)は(式2)の様に算出される。
S412で画像合成部209は、S410で合成した任意視点画像のデータを画像記録部206に出力し、任意視点画像のデータを更新する。S413で距離MAP合成部210は、S411で合成した任意視点距離MAPを距離MAP記録部207に出力し、記録されている任意視点距離MAPを更新する。S414は、撮像装置による撮影が終了したか否かの判断処理である。つまり画像処理部104は、次の“k+1”番目の画像が入力されるか否かを判断する。撮像装置による撮影が終了し、“k+1”番目の画像データが入力されない場合、S415に処理を進める。また、撮像装置による撮影が終了せず、“k+1”番目の画像データが入力される場合には、S416へ移行する。
S415で画像処理部104は、現時点までに処理したk枚の画像のデータから作成された任意視点画像のデータを、出力画像データとして出力して一連の処理を終了する。画像処理部104から出力された任意視点画像データは符号化され、対応する距離MAPを含めて同一画像ファイルに記録される。あるいは出力された任意視点画像データは、対応する距離MAPと関連付けられて別ファイルにてそれぞれ記録される。一方、S416では、“k+1”番目の画像データが入力されて変数k値のインクリメント(k++)処理が実行される。つまり、変数k がk+1として更新された後、S402の処理へ戻る。
なお、本実施形態では、k番目の画像データの処理が行われて、撮影が終了するまでの間に作成された任意視点画像のデータを出力しない例を説明した。このような例に限らず、逐次に作成される任意視点画像のデータを、画像処理部104の出力画像データとして出力してもよい。このことは、後述する実施形態でも同じである。
次に、図4のS405で説明した任意視点画像の生成処理について詳細に説明する。図10は、撮影画像と任意視点画像との関係を例示する。図10(A)に示すように撮影位置1101から1103に関し、被写体として、人物と、その奥の木AからCと、さらに奥に建物があるシーンを想定する。任意視点位置を位置1104に示す。図10(B)は、撮影位置1101にて、建物と木、人物を被写体として撮影された撮影画像1111を示す。図10(C)は任意視点位置1104における任意視点画像1114を示す。
図10(B)に示す撮影画像1111に対応する撮影位置を実空間で表すと、図10(A)の撮影位置1101である。撮影位置1101で撮影された画像に基づいて任意視点位置1104で撮影したかの如き画像を任意視点画像1114として作成する場合を想定する。この場合、撮影位置1101で撮影した画像の情報のみでは、任意視点画像の生成に必要な被写体情報が不足する。つまり撮影位置1101だけでなく、撮影位置1102および撮影位置1103を含めた、複数の位置から撮影した画像の情報を入力として、任意視点画像を作成する必要がある。以下では、撮影位置1101での撮影を「撮影1」とし、撮影位置1102での撮影を「撮影2」とし、撮影位置1103での撮影を「撮影3」とする。本実施形態では、3枚の画像に基づいて任意視点画像を生成する処理例を説明する。
図11を参照して、撮影画像から任意視点画像を作成する処理について説明する。図11(A)は、撮影1から撮影3のそれぞれの撮影位置にて得られる撮影画像を表した図である。図11(B)は、任意視点画像を表した図である。撮影1、撮影2、撮影3の各撮影位置にて撮影される画像から、任意視点画像の位置に対応させる様に画像変形を行う必要がある。撮影画像を任意視点位置での画像に変形する為には、図11(C)に示す撮影1から撮影3での各距離MAPが必要となる。すなわち、撮影画像の各画素に結像する被写体の撮影距離を表した距離MAPがそれぞれの撮影1から撮影3において必要である。
複数の撮影画像に基づいて、任意視点位置での画像に変形する処理では、まず、撮影画像の座標(x,y)を実空間座標(X,Y,Z)に変換する処理が行われる。座標(x,y)は2次元直交座標を表し、実空間座標(X,Y,Z)は3次元直交座標を表す。撮影画像の位置座標を(x,y)とし、位置座標(x,y)に対応する距離MAPの距離値をZと記すと、実空間座標(X,Y,Z)は下記の(式3)で表される。“pp”は撮影画像の画素ピッチを表し、“f”は撮影時の焦点距離を表す。なお、位置座標(x,y)は、画像中心を原点(0,0)として示した座標である。
図16を参照して、(式3)の演算処理について説明する。図16(A)は、撮影画像上の座標(x,y)と実空間上の座標(X,Y,Z)との対応関係を示した図である。撮影画像である投影面1501を線分で示す。(式3)は、図16(A)で示した三角形の相似関係に基づいて算出される。(式3)と同じ変数を用いて、三角形の相似関係を下記の(式4)の様に表す事ができる。
θは頂点を同じくする相似三角形同士の頂角を表す。図16(A)では、撮影画像である投影面1501をカメラ側に示すが、図16(B)では、撮影画像である投影面1502が実空間側(カメラの前側)にある場合を示す。この場合にも考え方は前記と同じである。以降、前記(式3)による座標変換処理を「逆投影変換処理」と称する。しかし、本実施形態に適用可能な逆投影変換処理としては、上記に限らない。
次に、実空間座標(X,Y,Z)を、任意視点位置からの実空間座標(X,Y,Z)に変換する処理が実行される。具体的には撮影位置から任意視点位置までのx,y,z軸を中心とした回転成分と、x,y,z方向のシフト成分を加味して座標変換が行われる。x,y,z軸を中心とした回転成分による行列要素をr11からr33と記す。回転前のx,y,z方向のシフト成分をtからtと記し、回転後のx,y,z方向のシフト成分をt からt と記す。実空間座標(X,Y,Z)を、任意視点位置からの実空間座標(X,Y,Z)に変換する処理では、下記の(式5)に示す計算が行われる。
以降、(式5)による座標変換処理を、「実空間移動変換処理」と称する。ただし、本実施形態に適用出来る実空間移動変換処理は、これに限らない。撮影画像から任意視点位置での画像への回転成分およびシフト成分の算出処理については、本実施形態にて、画像間の対応点探索を用いた撮影時の姿勢推定等の公知技術を用いて行われる。この処理により撮影位置が算出され、撮影位置から任意視点位置までの移動量が算出される(特許文献3参照)。
最後に、実空間座標(X,Y,Z)を任意視点画像上の座標(x,y)に変換する処理が実行される。この変換は下記の(式6)を用いて行われる。ここで、座標(x,y)は画像中心を原点位置(0,0)として示した2次元座標である。“pp”は任意視点画像の画素ピッチを表し、“f”は任意視点画像の焦点距離を表す。
以降、(式6)による座標変換処理を「投影変換処理」と称する。ただし、本実施形態に適用出来る投影変換処理はこれに限らない。(式3)から(式6)までの演算によって示した、撮影画像を任意視点位置での画像に変形する処理を図示したものが図16(C)である。
以上のように、撮影画像の座標(x,y)は(式3)の逆投影変換処理によって、実空間座標(X,Y,Z)に変換され、その後、(式5)の実空間移動変換処理により、任意視点位置の実空間座標(X,Y,Z)に変換される。最後に(式6)の投影変換処理により、任意視点画像の座標(x,y)への変換処理が実行される。こうして、撮影画像を任意視点位置での画像に変形する処理が終了する。なお、前記座標変換により、撮影画像の画素値から任意視点画像の画素値を生成する処理においては、一般的なバイリニア補間やバイキュービック補間が用いられる。以上で図4のS405での任意視点画像の生成処理についての説明を終了する。
次に、図4のS406の任意視点距離MAPの生成処理を詳細に説明する。図12、図13を参照して、任意視点画像と任意視点距離MAPとの関係について説明する。図12(A)には、図11(A)と同様に撮影1から撮影3までの各撮影画像を示す。まず、撮影画像の各位置に対応する距離MAPが、図13(A)に示す様に生成される。図13(A)は撮影1から撮影3での各距離MAPを示している。
図12(B)は、図12(A)に示す各撮影画像と、図13(A)に示す距離MAPから生成される、それぞれの任意視点画像を示す。黒色で示す領域1301は、撮影画像から情報が得られなかった任意視点画像の領域を表している。このような領域を「オクルージョン領域」と称する。
図12(C)は、オクルージョン領域の無い任意視点画像を例示する。このような任意視点画像を得るためには、各撮影画像から生成した複数の任意視点画像を合成して画像を生成する必要がある。その際、図13(B)に示すように、任意視点画像にそれぞれ対応した距離MAP、つまり任意視点距離MAPが必要となる。図13(B)にて、網掛けのハッチングを付して示す領域1302は、オクルージョン領域である。図13(C)は、オクルージョン領域を無くした任意視点距離MAPを示す。このような任意視点距離MAPを得るためには、任意視点画像の場合と同じく、各撮影画像から生成した任意視点距離MAPを合成して距離MAPを生成する必要がある。また、任意視点距離MAPの合成についても、記録済みの任意視点距離MAPを必要とする。
ここで撮影画像から生成した距離MAPを用いて、任意視点距離MAPを生成する処理について説明する。
距離MAPの座標を(x,y)とし、任意視点距離MAPの座標を(x,y)とする。座標変換処理については、任意視点画像の生成方法で説明した前記(式3)、(式5)、(式6)の場合と同様の方法で行われる。よって、それらの詳細な説明は省略し、任意視点画像の場合との相違点を説明すると、任意視点距離MAPの値を、前記(式5)のZの値に変換する処理を行う点である。この処理を行う理由は、任意視点距離MAPとして任意視点位置からの撮影距離に変換する必要があることによる。
次に図4のS408に示した、合成用のαMAPの生成処理について詳細に説明する。
各撮影画像から生成した任意視点画像、任意視点距離MAPを合成する目的は、前述した様にオクルージョン領域を無くした任意視点画像、任意視点距離MAPを生成することである。図14を参照して合成処理全体の流れについて説明する。
図14は逐次合成処理を実行することにより、オクルージョン領域を無くした任意視点画像、任意視点距離MAPを生成する処理の流れを示した図である。図14は、撮影1と撮影2との、任意視点画像および任意視点距離MAPの合成処理をそれぞれ示す。図15はさらに、撮影1と撮影2との合成結果である任意視点画像および任意視点距離MAPと、撮影3の任意視点画像および任意視点距離MAPとの合成処理をそれぞれ示す。
図14に示すように、撮影1と撮影2との間で任意視点画像が合成される。これにより、黒色領域で示したオクルージョン領域の大きさを減らすことができる。合成は、撮影1と撮影2との各任意視点距離MAPから生成した合成用のαMAPに基づいて行われる。合成用のαMAPにおいて白色で示した領域はαMAP値を1としている領域であり、撮影1の任意視点画像に対し、撮影2の任意視点画像が合成される領域を示している。αMAP値を1としている領域において、撮影1の任意視点距離MAPでのオクルージョン領域は、撮影2の任意視点距離MAPではオクルージョン領域でない領域である。また、任意視点距離MAP内に点線枠で示した領域1401では、撮影1に比べて撮影2の任意視点距離MAPの値が小さい。つまり任意視点位置から見た場合、撮影1に比べて撮影2の方が近い距離、短い距離に位置していることを示す領域についても、αMAP値が1に設定される。
次に図15に示すように、撮影1と撮影2とで合成した結果と、撮影3との合成処理が同様に行われる。これにより、図14に比較して、さらにオクルージョン領域の大きさが低減された、任意視点画像および任意視点距離MAPを生成する事ができる。
図3を参照して、合成用のαMAPの生成処理について説明する。図3は、αMAP生成部208の構成例を示したブロック図である。αMAP生成部208は、距離MAP値比較部301、オクルージョン判断部302、αMAP値生成部303を備える。
距離MAP値比較部301は、k番目の任意視点距離MAPの情報と、距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPの情報を取得し、両情報を比較して比較結果をαMAP値生成部303に出力する。オクルージョン判断部302は、距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPの情報を取得し、オクルージョン判断結果をαMAP値生成部303に出力する。αMAP値生成部303は、距離MAP値比較部301とオクルージョン判断部302の各出力を取得し、合成用のαMAPを出力する。
図5のフローチャートを参照して、合成用のαMAPの生成処理について説明する。
S501でαMAP生成部208は、αMAPを生成する上でS502以降の生成処理を行う際に用いる座標(x,y)を(0,0)に初期化する。S502では、k番目の任意視点距離MAPの値であるZ_k(x,y)を読み込む処理が実行される。距離MAP値比較部301はZ_k(x,y)を取得する。S503では、距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPの値であるZ_m(x,y)を読み込む処理が実行される。Z_m(x,y)は、距離MAP値比較部301およびオクルージョン判断部302が取得する。
S504でオクルージョン判断部302は、Z_m(x,y)の値がER値であるか否かを判断する。ER値とはオクルージョン領域であることを示す値である。Z_m(x,y)がER値である場合、記録されている任意視点画像の座標(x,y)はオクルージョン領域に属すると判断され、S505へ進む。また、Z_m(x,y)がER値でない場合には、記録されている任意視点画像の座標(x,y)はオクルージョン領域に属さないと判断され、S506へ進む。なお、本実施形態にてER値については、数値表現が可能な範囲内において最大値として設定される。
S505でαMAP値生成部303はαマップ値を決定する。本例ではα(x,y)に1が代入される。αMAP値生成部303は、座標(x,y)に関してZ_k(x,y)の値を出力すると判断した上で、S508へ進む。
S506で距離MAP値比較部301は、Z_m(x,y)とZ_k(x,y)の各値について大小を比較し、k番目の任意視点画像の座標(x,y)における被写体が、記録されている任意視点画像に比べて、手前に位置しているか否かを判断する。Z_k(x,y)の値がZ_m(x,y)の値よりも小さい場合、つまりk番目の任意視点画像の座標(x,y)における被写体が、記録されている任意視点画像に比べて手前に位置していると判断された場合、S505へ進む。反対にZ_k(x,y)の値がZ_m(x,y)の値以上である場合には、S507へ進む。
S507でαMAP値生成部303はαマップ値を決定する。本例ではα(x,y)に0が代入される。αMAP値生成部303は、座標(x,y)に関してZ_k(x,y)の値を出力しないと判断した上で、S508へ進む。S508は、任意視点画像に関する全ての座標に対し、S502からS507までの処理が行われたか否かの判断処理である。αMAP生成部208は、全ての座標に対して処理を行ったと判断した場合、前記した一連の処理を終了する。未処理の座標がある場合には、S509へ移行する。S509でαMAP生成部208は、処理対象となる座標(x,y)の値を更新し、S502へ移行して処理を続行する。
本実施形態では、距離情報取得部である距離MAP生成部203が画像取得部201から画像データを取得して奥行き方向の距離情報を生成し、画像変形部204は座標変換により画像の変形処理を行って任意視点画像を生成する。距離情報変形部である距離MAP変形部205は、距離情報取得部から距離情報を取得して座標変換により変形処理を行って任意視点距離MAPを生成する。合成情報生成部であるαMAP生成部208は、変形処理された距離情報を取得して合成用のαMAPの情報を生成する。合成用のαMAPの情報は、例えば、図5(S505、S507参照)に示すように1または0の2値である。画像合成部209は、合成用のαMAPの情報を用いて、変形処理された複数の画像を合成する。本実施形態によれば、任意視点画像および任意視点距離MAPに係る逐次処理により、オクルージョン領域を適切に補間し、オクルージョン領域の大きさが低減された任意視点画像および任意視点距離MAPを生成することができる。
本実施形態では、合成用のαMAPの情報を2値に設定した例を説明したが、このような例に限定されない。例えば、距離情報記録部である距離MAP記録部207に記録された距離情報の座標(x,y)がオクルージョン領域に属すると合成情報生成部が判断した場合、α(x,y)の値を相対的に大きく設定する。つまり当該座標での、変形処理された画像の画素値や変形処理された第1の距離情報の示す距離値の合成時の割合が大きくなる。また合成情報生成部は、前記座標(x,y)がオクルージョン領域に属さない場合において、変形処理された第1の距離情報の示す距離値と、距離情報記録部に記録された第2の距離情報の示す距離値を比較し、比較結果からα(x,y)の値を決定する。この場合、第1の距離情報の示す距離値が第2の距離情報の示す距離値よりも小さいときには、α(x,y)の値が相対的に大きく設定される。また第1の距離情報の示す距離値が、第2の距離情報の示す距離値以上であるときには、α(x,y)の値が相対的に小さく設定される。このような合成時の割合の設定処理に関する変更については後述の実施形態でも同じである。
本実施形態では、画像データから視点変更後の画像データを生成するために行われた座標変換(幾何変形)を当該画像データに対応する距離MAPにも反映させた。しかし、これに限らず、画像データに対して行う歪み補正、ノイズリダクション処理、他の座標変換処理等、種々の画像処理を当該画像データに対応する距離MAPにも反映させて、距離MAPをより画像データに精度良く対応づけてもよい。このような種々の画像処理は、本実施形態では、例えば図4のS406にて、座標変換に代わって、あるいは加えて行われる。特に、撮像光学系や撮像素子、各処理回路等の装置や撮像条件に起因したノイズ、歪み、欠陥などを補正する補正処理は、現像される画像データだけでなく、距離MAPにも行われることが好ましい。
また、観賞用の画像データ及び距離MAP両方に対して幾何変形や補正処理を行うことは、視点変更後の画像データを生成させるために限らず、種々の用途に応用できる。例えば、観賞用の画像データへ前述したような装置や撮像条件に起因した幾何変形や補正処理を行い、現像処理を行って表示、記録する場合、同様の幾何変形や補正処理を距離MAPにも行い、該画像データに対応する距離MAPとして記録することが有効である。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、第1実施形態で説明した構成に加え、距離MAP生成時の信頼度に関する構成部を備える。撮影画像から距離MAPを生成する際に、距離MAPに対応する信頼度情報として信頼度MAPが同時に生成される。信頼度MAPは、距離MAPや撮影画像と同様に、任意視点位置に関して変形処理および合成処理が行われる。以下では、第1実施形態の場合と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることでそれらの詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図17を参照して、信頼度MAPについて説明する。図17(A)は、撮影画像から生成される距離MAPを例示する。距離MAPの生成方法としては、例えば瞳分割された複数の画像や視点の異なる画像同士のSAD値による相関演算を用いた公知の方法とする。図17(A)には、撮像装置からの距離が近い被写体領域1701、および撮像装置からの距離が遠い被写体領域1702に係る距離MAPを例示する。前記方法を用いた場合、図17(B)に示す斜線部の境界領域1601における相関演算の結果が問題となる。つまり、撮像装置からの距離が近い被写体領域1701と、距離が遠い被写体領域1702との境界領域1601では、相関演算の結果が正確でない場合があり得る。そこで、本実施形態では、距離MAP値として信頼できるか否かを示す信頼度MAPを使用する。図17(C)は信頼度MAPを例示する。例えば、図17(C)に示す領域1602は、図17(B)で示した斜線部の境界領域1601に対応する。領域1602ではその周辺に比べ、信頼度MAPの値が小さく設定される。相関演算の結果が正確でない領域としては、前記のような境界領域だけでなく、低コントラストや同じテクスチャーが画像内にいくつも存在する繰り返しパターンの被写体領域等がある。このような領域についても同様に、信頼度MAPの値が小さく設定される。信頼度の値が大きいほど、対応する距離マップの値をより信頼できることを意味する。信頼度MAPの生成方法については、相関演算によるSAD値から判断する方法等がある。例えば、DFD方法では、信頼度とは、デフォーカスの影響を表す値である。デフォーカスの影響が出にくい領域は、DFD法で距離を算出するための手がかりに乏しい領域であることを意味するので、信頼度の値が小さい領域は、算出された距離値が正確ではない領域である。
図6のブロック図を参照して、本実施形態に係る画像処理部604(図1参照)内の構成について詳細に説明する。図2に示す構成との相違点は、距離MAP・信頼度MAP生成部703、信頼度MAP変形部708、信頼度MAP記録部709、αMAP生成部710、距離MAP合成部712、信頼度MAP合成部713である。その他の構成要素については、図2に示す各部に付した符号と同じ符号を使用することで、それらの詳細な説明を割愛する。
距離MAP・信頼度MAP生成部703は、画像取得部201の出力する画像データを取得し、距離MAPおよび信頼度MAPを生成する。距離MAPのデータは画像変形部204、距離MAP変形部205に出力され、信頼度MAPのデータは信頼度MAP変形部708に出力される。信頼度MAP変形部708は変形処理後の信頼度MAPのデータを信頼度MAP合成部713に出力する。信頼度MAP合成部713は、信頼度MAP変形部708、信頼度MAP記録部709、αMAP生成部710の各出力を取得し、信頼度合成処理後の信頼度MAPのデータを信頼度MAP記録部709に出力する。
図8のフローチャートを参照して、各部の処理について説明する。
撮影が開始するとS901で画像処理部604は、逐次処理で用いる変数kに1を代入して初期化する。S902で画像取得部201は、k番目の撮影画像の取得処理を行う。S903で距離MAP・信頼度MAP生成部703は、S902で取得されたk番目の画像に対応するk番目の距離MAP、およびk番目の距離MAPに対応する信頼度MAPの各データを生成する。距離MAPと信頼度MAPの生成処理については公知の方法を用いる(特許文献2)。
S904で画像現像部202は、S902で入力されたk番目の画像データに対して現像処理を行う。S905で画像変形部204は、S903で生成されたk番目の距離MAPを用いて、S904で現像されたk番目の画像に対する変形処理を行い、k番目の任意視点画像のデータを生成する。S906で距離MAP・信頼度MAP生成部703は、S903で生成されたk番目の距離MAPを入力として、k番目の任意視点距離MAPを生成する。なお、現像処理、任意視点画像データの生成処理、任意視点距離MAPの生成処理については、第1実施形態の場合と同様である。
S907で信頼度MAP変形部708は、S903で生成されたk番目の信頼度MAPを入力として、k番目の任意視点位置での信頼度MAPを生成する。任意視点位置での信頼度MAPを「任意視点信頼度MAP」と称する。任意視点信頼度MAPの生成方法については、S905の任意視点画像の生成方法と同様であるため説明を割愛する。
S908で距離MAP合成部712は、既に“k−1”番目まで処理して距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPのデータを読み込む。S909で信頼度MAP合成部713は、既に“k−1”番目まで処理して信頼度MAP記録部709に記録されている任意視点信頼度MAPのデータを読み込む。
S910でαMAP生成部710は、k番目の任意視点距離MAPおよび記録済みの任意視点距離MAP、並びにk番目の任意視点信頼度MAPおよび記録済の任意視点信頼度MAPの各データを入力として、合成用のαMAPを生成する。αMAP生成部710が生成した合成用のαMAPは、後述のS912とS913とS914で使用する。なお、合成用のαMAPの生成処理については後で詳細に説明する。
S911では、既にk−1番目まで処理して記録済みの任意視点画像を読み込む処理を行われた後、S912では、k番目の任意視点画像と、記録済みの任意視点画像を、S910で生成されたαMAPに基づいて合成する処理が実行される。S913では、k番目の任意視点距離MAPと、記録済みの任意視点距離MAPを、S910で生成されたαMAPに基づいて合成する処理が行われる。なお、S911からS913の処理は第1実施形態の場合と同様である。
S914で信頼度MAP合成部713は、k番目の任意視点信頼度MAPと、信頼度MAP記録部709に記録されている任意視点信頼度MAPを、S910で生成されたαMAPに基づいて合成する。合成方法についてはS912、S913の場合と同様である。S915では、S912で合成された任意視点画像を、画像記録部206に記録される任意視点画像として更新する処理が行われる。S916では、S913で合成された任意視点距離MAPを、距離MAP記録部207に記録される任意視点距離MAPとして更新する処理が行われる。S917で信頼度MAP合成部713は、S914で合成された任意視点信頼度MAPを、信頼度MAP記録部709に記録される任意視点信頼度MAPとして更新する。
S918は、撮像装置による撮影が終了したか否かの判断処理であり、画像処理部604は“k+1”番目の画像が入力されるか否かを判断する。撮像装置による撮影が終了し、“k+1”番目の画像が入力されない場合には、S919の処理へ進む。また、撮像装置による撮影が終了せず、“k+1”番目の画像が入力される場合には、S920へ移行する。S919で画像処理部604は、これまでのk枚の画像により作成された任意視点画像を出力画像として出力し、一連の処理を終了する。画像処理部104から出力された任意視点画像データは符号化され、対応する距離MAP、信頼度MAPを含めて同一画像ファイルに記録される。画像ファイルはたとえばEXIFのファイルフォーマットに準拠し、距離MAP、信頼度MAPはメタデータとして記録される。あるいは出力された任意視点画像データは、対応する距離MAP、信頼度MAPと関連付けられて別ファイルにてそれぞれ記録される。
S920では、“k+1”番目の画像が入力され、変数kのインクリメントによりk値に1が加算されることで更新され、S902へ移行する。
次に、図8のS910におけるαMAPの生成処理について詳細に説明する。図7は、αMAP生成部710の構成例を示したブロック図である。αMAP生成部710は、信頼度MAP値比較部801、距離MAP値比較部802、オクルージョン判断部803、αMAP値生成部804を備える。αMAP生成部710は、以下の各データが入力され、合成用のαMAPを出力する。
・k番目の任意視点距離MAP、および距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAP。
・k番目の任意視点信頼度MAP、および信頼度MAP記録部709に記録されている任意視点信頼度MAP。
信頼度MAP値比較部801は、k番目の任意視点信頼度MAP、および信頼度MAP記録部709の記録されている任意視点信頼度MAPの各値を比較し、比較結果を距離MAP値比較部802に出力する。
図9のフローチャートを参照し、合成用のαMAPの生成処理について説明する。
S1001でαMAP生成部710は、αMAPを生成する上でS1002以降の生成処理に使用する座標(x,y)を(0,0)に初期化する。S1002で距離MAP値比較部802は、k番目の任意視点距離MAPの値であるZ_k(x,y)を読み込む。S1003で距離MAP値比較部802およびオクルージョン判断部803は、距離MAP記録部207に記録されている任意視点距離MAPの値であるZ_m(x,y)を読み込む。S1004で信頼度MAP値比較部801は、k番目の任意視点信頼度MAPの値であるR_k(x,y)を読み込む。S1005で信頼度MAP値比較部801は、信頼度MAP記録部709に記録されている任意視点信頼度MAPの値であるR_m(x,y)を読み込む。
S1006でオクルージョン判断部803は、Z_m(x,y)の値がER値であるか否かを判断する。ER値は前述のオクルージョン領域を表す。Z_m(x,y)の値がER値である場合、記録されている任意視点画像の座標(x,y)はオクルージョン領域に属すると判断され、S1007へ進む。一方、Z_m(x,y)の値がER値でない場合には、記録されている任意視点画像の座標(x,y)はオクルージョン領域に属さないと判断され、S1008へ進む。
S1007でαMAP値生成部804は、αMAPの値α(x,y)に1を代入し、座標(x,y)に関してZ_k(x,y)の値を出力すると判断した上で、S1012へ進む。S1008で距離MAP値比較部802は、Z_m(x,y)とZ_k(x,y)の各値を比較し、k番目の任意視点画像の座標(x,y)の被写体が、記録されている任意視点画像での当該被写体に比べ、手前に位置しているか否かを判断する。Z_k(x,y)の値がZ_m(x,y)の値よりも小さい場合、つまり、k番目の任意視点画像の座標(x,y)の被写体が、記録されている任意視点画像での当該被写体に比べ、手前に位置していると判断された場合、S1009へ進む。またZ_k(x,y)の値がZ_m(x,y)の値よりも大きい場合には、S1010へ進む。
S1009で信頼度MAP値比較部801は、k番目の任意視点信頼度MAPの値R_k(x,y)と、記録されている任意視点信頼度MAPの値R_m(x,y)との差分値を算出し、差分値を第1閾値(TH1と記す)と比較する。第1閾値TH1については、予め決められた固定値、または信頼度MAPの値に応じて変化する可変値を用いる。R_k(x,y)とR_m(x,y)の差分値が第1閾値TH1よりも大きい場合、信頼度MAP値比較部801は、R_k(x,y)がR_m(x,y)に比べて信頼度が充分に高いと判断し、S1007へ処理を進める。R_k(x,y)とR_m(x,y)の差分値が第1閾値TH1以下である場合には、S1011へ移行する。
S1010で信頼度MAP値比較部801は、R_k(x,y)とR_m(x,y)との差分値を第2閾値(TH2と記す)と比較し、差分値が第2閾値TH2よりも大きいか否かを判断する。第2閾値TH2については、予め決められた固定値、または信頼度MAPの値に応じて変化する可変値を用いる。本実施形態にて第2閾値TH2は、第1閾値TH1とは異なる値とするが、必要に応じて同じ閾値を用いてもよい。R_k(x,y)とR_m(x,y)との差分値が第2閾値TH2よりも大きい場合、R_k(x,y)はR_m(x,y)に比べて信頼度が充分に高いと判断され、S1007へ進む。R_k(x,y)とR_m(x,y)の差分値が閾値TH2以下である場合には、S1011へ移行する。S1011でαMAP値生成部804は、αMAPの値α(x,y)に0を代入し、座標(x,y)に関してZ_k(x,y)の値を出力しないと判断した上で、S1012へ進む。
S1012でαMAP生成部710は、任意視点画像に対応する全ての座標に対し、S1002からS1011までの処理を行ったか否かを判断する。全ての座標に対する処理が行われたと判断した場合、αMAP生成部710は処理を終了する。当該処理が未終了の場合には、S1013へ進む。S1013でαMAP生成部710は、処理対象となる座標(x,y)を更新し、S1002へ進んで処理を続行する。
本実施形態では、画像データから算出される距離情報の信頼度を示す信頼度情報を生成する信頼度情報生成部を備える。距離情報の生成時に信頼度情報を生成する実施形態に限らず、距離情報生成部とは別の信頼度情報生成部が生成する実施形態でもよい。信頼度情報合成部である信頼度MAP合成部713は、信頼度情報変形部である信頼度MAP変形部708により変形処理された信頼度情報、および信頼度情報記録部である信頼度MAP記録部709に記録された信頼度情報を取得する。信頼度MAP合成部713は、合成用のαMAPの情報を用いて信頼度情報を合成する。本実施形態によれば、オクルージョン領域を適切に補間する事により任意視点画像を生成する逐次処理を可能にした画像処理装置を提供できる。距離MAPに対応する信頼度情報として信頼度MAPを用いることで、正確な距離情報を任意視点画像の生成処理に反映させることができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
104 画像処理部
203 距離MAP生成部
204 画像変形部
205 距離MAP変形部
208 αMAP生成部
209 画像合成部
210 距離MAP合成部

Claims (20)

  1. 複数の画像データを取得する画像取得手段と、
    前記画像取得手段から取得される画像データの奥行き方向の距離情報を取得する距離情報取得手段と、
    前記画像取得手段から取得される画像データに、座標変換により画像の変形処理を行う画像変形手段と、
    前記距離情報取得手段により取得された距離情報に、前記画像データに行う座標変換に対応する座標変換により変形処理を行う距離情報変形手段と、
    前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報に基づいて前記画像変形手段により変形処理された複数の画像を合成する画像合成手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報に基づいて合成用の情報を生成する合成情報生成手段を備え、
    前記画像合成手段は、前記合成情報生成手段が生成した前記合成用の情報を用いて、前記画像変形手段により変形処理された複数の画像を合成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 複数の画像データに対応する、前記距離情報変形手段により変形処理された複数の距離情報を取得して合成する距離情報合成手段をさらに備え、
    前記画像合成手段は、前記距離情報合成手段にて合成された距離情報に基づいて前記画像変形手段により変形処理された複数の画像を合成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記画像取得手段は、前記複数の画像データを逐次取得し、
    前記距離情報合成手段は、前記複数の画像データに対応し、前記距離情報変形手段により変形処理が行われた複数の距離情報を逐次合成することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報に基づいて合成用の情報を生成する合成情報生成手段と、
    複数の画像データに対応する、前記距離情報変形手段により変形処理された複数の距離情報を取得して合成する距離情報合成手段と、
    前記距離情報合成手段が出力する距離情報を記録する距離情報記録手段を備え、
    前記合成情報生成手段は、前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報および前記距離情報記録手段に記録された距離情報を取得し、前記合成用の情報を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記距離情報を記録する距離情報記録手段を備え、
    前記合成情報生成手段は、前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報および前記距離情報記録手段に記録された距離情報の中で、より近い距離に被写体が存在することを示す距離情報を選択して前記合成用の情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  7. 複数の画像データに対応する、前記距離情報変形手段により変形処理された複数の距離情報を取得して合成する距離情報合成手段を備え、
    前記距離情報合成手段は、前記合成情報生成手段から取得した前記合成用の情報を用いて、前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報および前記距離情報記録手段に記録された距離情報を合成することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 前記画像変形手段は、前記画像データに対して視点を変更した画像データを生成するための座標変換により変形処理を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  9. 前記距離情報変形手段は、前記距離情報取得手段により取得された距離情報に対して視点の変更に伴う距離情報の変換を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  10. 前記距離情報取得手段は、瞳分割された複数の画像または視点の異なる複数の画像のデータから生成される前記距離情報を取得することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  11. 前記距離情報変形手段により変形処理された距離情報に基づいて合成用の情報を生成する合成情報生成手段と、
    前記距離情報取得手段が取得した距離情報の信頼度を示す信頼度情報を生成する信頼度情報生成手段を備え、
    前記合成情報生成手段は、前記距離情報および前記信頼度情報を用いて前記合成用の情報を生成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  12. 前記信頼度情報生成手段により生成された信頼度情報を取得して座標変換により変形処理を行う信頼度情報変形手段と、
    前記信頼度情報変形手段により変形処理された複数の信頼度情報を取得して逐次に合成する信頼度情報合成手段をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  13. 前記信頼度情報合成手段が出力する信頼度情報を記録する信頼度情報記録手段を備え、
    前記信頼度情報合成手段は、前記合成情報生成手段から取得した前記合成用の情報を用いて、前記信頼度情報変形手段により変形処理された信頼度情報および前記信頼度情報記録手段に記録された信頼度情報を合成することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
  14. 前記合成情報生成手段は、前記距離情報変形手段により変形処理された第1の距離情報と、前記距離情報記録手段に記録された第2の距離情報とを比較することにより、合成の割合を表す前記合成用の情報を決定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  15. 前記合成情報生成手段は、画像から情報が得られない視点での領域であるオクルージョン領域を判断し、前記第2の距離情報の座標がオクルージョン領域に属する場合、当該座標での、前記変形処理された画像の画素値および前記第1の距離情報の示す距離値をそれぞれ合成する際の割合を相対的に大きく設定することを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
  16. 前記合成情報生成手段は、前記第2の距離情報の座標が前記オクルージョン領域に属さない場合において、前記第1の距離情報の示す距離値が、前記第2の距離情報の示す距離値よりも小さいときに、前記座標での、前記変形処理された画像の画素値および前記第1の距離情報の示す距離値をそれぞれ合成する際の割合を相対的に大きく設定し、また前記第1の距離情報の示す距離値が、前記第2の距離情報の示す距離値以上であるときに、前記座標での、前記変形処理された画像の画素値および前記第1の距離情報の示す距離値をそれぞれ合成する際の割合を相対的に小さく設定することを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
  17. 前記合成情報生成手段は、前記距離情報変形手段により変形処理された複数の距離情報と、前記信頼度情報生成手段が生成した複数の信頼度情報を取得して合成の割合を表す前記合成用の情報を生成することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする撮像装置。
  19. 画像データを処理する画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
    複数の画像データを取得する画像取得ステップと、
    前記画像取得ステップで取得される画像データの奥行き方向の距離情報を取得する距離情報取得ステップと、
    前記画像取得ステップで取得された画像データに、座標変換により画像の変形処理を行う画像変形ステップと、
    前記距離情報取得ステップで取得された距離情報に対し、前記画像データに行う座標変換に対応する座標変換により変形処理を行う距離情報変形ステップと、
    前記距離情報変形ステップで変形処理された距離情報に基づいて、前記画像変形ステップにより変形処理された複数の画像を合成する画像合成ステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
  20. 請求項19に記載の各ステップを前記画像処理装置のコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

JP2016030973A 2015-04-08 2016-02-22 画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム Active JP6702755B2 (ja)

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