JP2016199729A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Shinsuke Fujioka
真佑 藤岡
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Abstract

【課題】機械的強度、成形加工性及び成形品外観に優れ、かつ、表面の手触り感等の触感が良い成形品を与える熱可塑性樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】ゴム部分(a1)と芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を含有する樹脂部分(a2)と含んでなるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)55〜93質量%、及び、熱可塑性エラストマー(B)7〜45質量%を含み、前記成分(A)のゴム部分(a1)は、シリコーンゴム及びシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成されるとともに、前記成分(A)及び(B)の合計100質量%に対して5〜40質量%含有され、前記成分(A)のゴム部分(a1)におけるシリコーンゴムから構成された部分(a1−2)に対するシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成された部分(a1−1)の比率が質量比で10/1〜2/3である、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械的強度、成形加工性及び成形品外観に優れ、かつ、表面の手触り感等の触感が良い成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、および、該組成物から得られた成形品に関する。
ドアトリムやグローブボックスに代表される自動車内装部品は、乗車する者の体が触れる機会が多く、部品の剛性を維持しつつ、クッション性や手触り感等の触感が良いことが要求されている。上記自動車内装部品の多くは、従来、剛性を有する芯材に、柔軟性を有する表皮材を接合して、スラッシュ成形等により製造されている(特許文献1)。しかしながら、このスラッシュ成形は工程数が多く、且つ、原材料が高価であるため、高級車の自動車内装部品の製造に用いられるに過ぎなかった。
従来、熱可塑性エラストマーは、優れた柔軟性を持つ成形品を与える成形材料として、建材、雑貨、機械部品等の用途で幅広く使用されており、具体例としては、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系、スチレン系、ポリエステル系およびそれらのアロイ等の各種エラストマーが挙げられる(特許文献2)。
一方、ABS樹脂に代表されるゴム強化芳香族ビニル系樹脂は、耐衝撃性と成形加工性との物性バランスや、成形品外観に優れることから、OA機器、家電製品、雑貨、建材等に幅広く利用されている。
そこで、剛性を維持しつつ、クッション性や手触り感等の触感が良い部品を得るために、上記熱可塑性エラストマーと上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂とを共押出や熱融着した積層体を製造することも考えられるが、製造が煩雑でコストが高く、さらに、上記熱可塑性エラストマーから形成された表面を手で触れた場合にベタツキ感があり、手触り感等の触感が悪いという問題があった。
特開2013−159122号公報 特開2004−238551号公報
本発明の目的は、機械的強度、成形加工性及び成形品外観に優れ、かつ、表面の手触り感等の触感が良い成形品を与える熱可塑性樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、シリコーンゴムから構成されるゴム部分とシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成されるゴム部分とを所定の比率で備えたゴム強化芳香族ビニル系樹脂に、特定量の熱可塑性エラストマーを含有させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明の一局面によれば、ゴム部分(a1)と芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を含有する樹脂部分(a2)と含んでなるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)55〜93質量%、及び、熱可塑性エラストマー(B)7〜45質量を含み、
前記成分(A)のゴム部分(a1)は、シリコーンゴム及びシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成されるとともに、前記成分(A)及び(B)の合計100質量%に対して5〜40質量%含有され、
前記成分(A)のゴム部分(a1)におけるシリコーンゴムから構成された部分(a1−2)に対するシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成された部分(a1−1)の比率が質量比で10/1〜2/3である、熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の他の局面によれば、上記本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品が提供される。
本発明によれば、特定量のゴム強化芳香族ビニル系樹脂と特定量の熱可塑性エラストマーからなるポリマーアロイにおいて、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂としてシリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂とその他のゴム強化芳香族ビニル系樹脂とを併用し、該アロイ中に、シリコーンゴムから構成された部分(a1−2)とシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成された部分(a1−1)とを特定の比率で共存させることとしたので、機械的強度、成形加工性及び成形品外観を備えると同時に、表面の手触り感等の触感が良い成形品を与える熱可塑性樹脂組成物が得られる。そのメカニズムは定かではないが、シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂と熱可塑性エラストマーとの相溶化剤としてその他のゴム強化芳香族ビニル系樹脂が機能しているものと思われる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び/又は共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
1.ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(成分(A))
本発明で使用するゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)は、ゴム部分(a1)と芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を含有する樹脂部分(a2)と含み、かつ、ゴム部分(a1)がシリコーンゴム及びシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成されたもの、換言すれば、ゴム部分(a1)がシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成された部分(a1−1)と、シリコーンゴムから構成された部分(a1−2)とからなるものであれば、特に限定されない。ゴム部分(a1)と樹脂部分(a2)とは、互いに結合していても結合していなくてもよいが、相溶性の点から、ゴム部分(a1)は樹脂部分(a2)と結合して複合体を形成していること、特に、グラフト重合してグラフト重合体を形成していることが好ましい。したがって、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)は、上記グラフト共重合体と、ゴム部分(a1)にグラフト重合していない樹脂部分(a2)とから少なくとも構成されることが好ましく、さらに、樹脂部分(a2)がグラフトしていないゴム部分(a1)、又は、添加剤等のその他の成分を含んでもよい。なお、上記ゴム部分(a1)は、25℃でゴム質であるもの即ちゴム弾性を有するものであればよく、同温度でこのような性質を示さない樹脂部分(a2)と区別される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、シリコーンゴムから構成された部分(a1−2)に対するシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成された部分(a1−1)の比率は、質量比で10/1〜2/3であることが必要である。この比率が上記範囲外の場合、成形品外観が劣り、場合によっては、成形加工性が劣ったり、成形品表面にベタツキが生じて手触り等の触感が悪くなったりすることがある。
上記シリコーンゴム以外のゴム質重合体は、ジエン系ゴム及び非ジエン系ゴムの何れであってもよい。非ジエン系ゴムとしては、水素添加率は50%以上の水添ジエン系ゴム、アクリルゴム及びエチレン・α−オレフィン系ゴムなどが挙げられる。このうち、本発明による効果の点から、シリコーンゴム以外のゴム質重合体として、ジエン系ゴムを必須成分として使用することが好ましい。ジエン系ゴムは、単独重合体であってよいし、共重合体であってもよい。更に、このジエン系ゴムは、架橋重合体であってよいし、非架橋重合体であってもよい。
上記ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体等のスチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%未満。)されたものであってもよい。上記ジエン系ゴムは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記シリコーンゴムは、重合性不飽和結合(例えば、炭素−炭素二重結合)を有するポリオルガノシロキサン系ゴムであれば特に限定されず、そのうち、下記一般式(1)で表される構成単位を有するオルガノシロキサン(i)の1種以上と、グラフト交叉剤(ii)とを共縮合して得られた変性ポリオルガノシロキサンゴムが好ましく用いられる。
SiO(4−n)/2 (1)
(式中、Rは、置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数を示す。nが2〜3の場合、Rは互いに同一であっても異なってもよい。)
上記一般式(1)において、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基;アルキル基の水素原子の少なくとも1個がメルカプト基で置換された基等が挙げられる。
オルガノシロキサン(i)は、直鎖状、分岐状又は環状であってよく、環状であることが好ましい。オルガノシロキサン(i)の具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらは、単独で又は2つ以上を組み合わせて用いることができる。
尚、オルガノシロキサン(i)は、上記一般式(1)で表される化合物の1種以上を用いて、予め縮合された、例えば、重量平均分子量(Mw)が500〜10,000程度のポリオルガノシロキサンであってもよい。そして、このポリオルガノシロキサンは、その分子鎖末端が、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基等の官能基で封止されていてもよい。
グラフト交叉剤(ii)としては、ビニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、1−(p−ビニルフェニル)メチルジメチルイソプロポキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチレンメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルフェノキシ)プロピルメチルジエトキシシラン、1−(o−ビニルフェニル)−1,1,2−トリメチル−2,2−ジメトキシジシラン、アリルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の、炭素−炭素不飽和結合とアルコキシシリル基とを有する化合物;γ−メルカプトプロピルメチルメチルジメトキシシラン等の、メルカプト基(チオール基)を有するシラン化合物;アミノ基を有するシラン化合物;テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン等が挙げられる。オルガノシロキサン(i)が、重合性不飽和結合を含む場合、グラフト交叉剤(ii)は、重合性不飽和結合を有しても有さなくてもよい。
上記変性ポリオルガノシロキサンゴムは、オルガノシロキサン(i)とグラフト交叉剤(ii)とを、アルキルベンゼンスルホン酸等の乳化剤の存在下、ホモミキサー等を用いて剪断混合し、縮合させる方法等により製造することができる。グラフト交叉剤(ii)の使用量の上限は、オルガノシロキサン(i)及びグラフト交叉剤(ii)の合計量を100質量%とした場合、好ましくは50質量%、より好ましくは10質量%、更に好ましくは5質量%である。
上記変性ポリオルガノシロキサンゴムの製造に際して、耐衝撃性を改良するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤としては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン等の4官能性架橋剤等が挙げられる。架橋剤を用いる場合、その使用量の上限は、オルガノシロキサン(i)及びグラフト交叉剤(ii)の合計量を100質量%とした場合に、通常10質量%、好ましくは5質量%である。
上記変性ポリオルガノシロキサンゴムの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜300,000である。この範囲であると、本発明の組成物に良好な耐衝撃性及び流動性が付与される。上記変性ポリオルガノシロキサンゴムの体積平均粒子径は、耐衝撃性の観点から、好ましくは20〜500nm、より好ましくは50〜400nm、更に好ましくは150〜350nmである。
本発明において、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)中のゴム部分(a1)の含有量は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)全体100質量%に対して、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。ゴム部分(a1)の含有量が前記範囲にあると、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、表面の手触り感、成形品外観等がさらに優れて好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物中のゴム部分(a1)の含有量は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)の合計100質量%に対して、5〜40質量%であり、好ましくは7〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは12〜25質量%である。ゴム部分(a1)の含有量が5質量%未満であると手触り感(クッション性又はソフトタッチ感)が劣り、40質量%を超えると手触り感(なめらかさ)が劣る。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)の樹脂部分(a2)は、ビニル系単量体の一種である芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を必須成分として備え、所望により、該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構成単位を備えてよい。上記芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
上記樹脂部分(a2)が、芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構成単位を備える場合、芳香族ビニル化合物及び他のビニル系単量体の使用比率は、機械的強度及び成形外観性の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、より好ましくは60〜90質量%及び10〜40質量%である。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、機械的強度(靱性)及び耐薬品性に優れることから、上記他のビニル系単量体は、シアン化ビニル化合物であることが好ましい。この場合、上記樹脂部分(a2)に含まれる、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物に由来する構成単位の合計量の割合の下限値は、上記樹脂部分(a2)100質量%に対し、好ましくは5質量%、より好ましくは10質量%、更に好ましくは15質量%である。
上記シアン化ビニル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−イソプロピルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記マレイミド系化合物の具体例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。尚、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)に、マレイミド系化合物に由来する構成単位を導入する方法として、上記マレイミド系化合物を原料として重合を行う方法の他に、例えば、無水マレイン酸の不飽和ジカルボン酸無水物を原料として重合を行った後、イミド化する方法を使用することもできる。
上記不飽和酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記カルボキシル基含有不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記ヒドロキシル基含有不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルにε−カプロラクトンを付加して得られた化合物等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシメチル−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、7−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、8−ヒドロキシメチル−1−ビニルナフタレン、4−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、7−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、8−ヒドロキシメチル−1−イソプロペニルナフタレン、p−ビニルベンジルアルコール、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記エポキシ基含有不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記オキサゾリン基含有不飽和化合物の具体例としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
上記のとおり、本発明のゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)は、ゴム部分(a1)がジエン系ゴム等のシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成された部分(a1−1)と、シリコーンゴムから構成された部分(a1−2)とから構成される必要がある。このような複数種のゴム部分を備えるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)の製造方法としては、例えば、シリコーンゴム及びシリコーンゴム以外のゴム質重合体の両者の存在下に、芳香族ビニル化合物から少なくとも構成されるビニル系単量体を重合(特に、グラフト重合)して製造する方法の他、シリコーンゴム以外のゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物から少なくとも構成されるビニル系単量体を重合(特に、グラフト重合)して製造したゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、シリコーンゴムの存在下に芳香族ビニル化合物から少なくとも構成されるビニル系単量体を重合(特に、グラフト重合)して製造したシリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂とを混合する方法などによって得ることができる。この製造方法における重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、又は、これらを組み合わせた重合方法とすることができる。これらの重合方法では、公知の重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤等を適宜使用することができる。これらの重合方法を用いたグラフト重合において、原料であるシリコーンゴム及びシリコーンゴム以外のゴム質重合体並びにビニル系単量体は、全量一括して反応系に添加して重合しても、分割して又は連続的に反応系に添加しながら重合を行ってもよい。
上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)を乳化重合により製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体全量に対し、通常、0.05〜2.0質量%である。上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩、脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体全量に対し、通常、0.3〜5.0質量%である。
乳化重合は、ビニル系単量体、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。この乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、樹脂成分、即ち、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この際に用いる凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が挙げられる。
上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)の製造方法によれは、通常、ビニル系単量体同士の(共)重合体がシリコーンゴム及びそれ以外のゴム質重合体の粒子にグラフト重合したグラフト共重合体と、シリコーンゴム及びそれ以外のゴム質重合体の何れにもグラフト重合していないビニル系単量体同士の(共)重合体との混合生成物が得られる。場合により、上記混合生成物は、該(共)重合体がグラフト重合していないシリコーンゴム又はそれ以外のゴム質重合体の粒子を含むこともある。本発明のゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)は、シリコーンゴム及びそれ以外のゴム質重合体の粒子に由来するゴム部分(a1)と芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を有する樹脂部分(a2)とからなり、ゴム部分(a1)は樹脂部分(a2)がグラフト重合したグラフト共重合体を形成していることが好ましいので、上記のようにして製造されたグラフト共重合体と(共)重合体との混合生成物を、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)としてそのまま使用することができる。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)は、芳香族ビニル化合物に由来する構成単位と、所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系化合物に由来する構成単位とからなる(共)重合体(A´)が添加されたものであってもよい。この(共)重合体(A´)は、ゴム質重合体(a)の不存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系化合物からなるビニル系単量体を重合することにより製造できる。この(共)重合体(A´)は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)に添加されると、ゴム部分(a1)にグラフト重合していない樹脂部分(a2)を構成することになる。芳香族ビニル化合物、及び、該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系化合物としては、樹脂部分(a2)に関して上記したものを使用することができる。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)のグラフト率は、通常10〜200%、好ましくは10〜150%、より好ましくは15〜120%、さらにより好ましくは20〜100%、である。ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)のグラフト率が前記範囲にあると、本発明の熱可塑性樹脂組成物の機械的強度、成形性、成形品外観がさらに良好となる。
グラフト率は、下記数式(1)により求めることができる。
グラフト率(質量%)=((S−T)/T)×100 …(1)
上記式中、Sはゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)1グラムをアセトン20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、アセトン不溶分とアセトン可溶分とを分離して得られるアセトン不溶分の質量(g)であり、Tはゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)1グラムに含まれるゴム部分(a1)の質量(g)である。このゴム部分(a1)の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトルにより求める方法等により求めることができる。なお、上記アセトン不溶分は、本発明の成分(A)においてゴム部分(a1)と樹脂部分(a2)とがグラフト重合により結合しているグラフト重合体及び樹脂部分(a2)に結合していない遊離のゴム部分(a1)の混合物に相当し、上記アセトン可溶分は、本発明の成分(A)においてゴム部分(a1)に結合していない遊離の樹脂部分(a2)に相当する。
かかる視点から、(A)成分は、シリコーンゴム以外のゴム質重合体に由来するゴム部分(a1−1)に樹脂部分(a2)が結合した第一のグラフト重合体10〜60質量%、シリコーンゴムに由来するゴム部分(a1−2)に樹脂部分(a2)が結合した第二のグラフト重合体2〜25質量%、及び、ゴム部分(a1)に結合していない樹脂部分(a2)25〜85質量%を含むことが好ましく、第一のグラフト重合体14〜55質量%、第二のグラフト重合体4〜20質量%、及び、ゴム部分(a1)に結合していない樹脂部分(a2)30〜80質量%を含むことがより好ましく、第一のグラフト重合体19〜50質量%、第二のグラフト重合体6〜15質量%、及び、ゴム部分(a1)に結合していない樹脂部分(a2)35〜75質量%を含むことが特に好ましい(但し、これら三者の合計は100質量%とする)。ここで、第一及び第二のグラフト重合体は上記アセトン不溶分に相当し、ゴム部分(a1)に結合していない樹脂部分(a2)は上記アセトン可溶分に相当する。
グラフト率は、例えばゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)を製造する際のグラフト重合で用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合時の単量体成分の添加方法及び添加時間、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)のアセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)は、通常0.05〜0.9dl/g、好ましくは0.07〜0.8dl/g、より好ましくは0.1〜0.7dl/gである。極限粘度が前記範囲にあると、樹脂組成物の耐衝撃性、成形性がより良好となる。
極限粘度[η]の測定は下記方法で行うことができる。まず、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)のアセトン可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求めた。単位は、dl/gである。
極限粘度[η]は、例えば、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)をグラフト重合する際に用いる連鎖移動剤、重合開始剤、乳化剤、溶剤等の種類及び使用量、重合時の単量体成分の添加方法及び添加時間、重合温度、重合時間等を適宜選択することにより調整することができる。また、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)に、このアセトン可溶分の極限粘度[η]と異なる極限粘度[η]を備える(共)重合体(A´)を混合して調整することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中、成分(A)の含有量は、成分(A)及び(B)の合計量を100質量%とした場合、55〜93質量%であることが必要であり、60〜90質量%であることが好ましく、70〜85質量%であることがより好ましい。成分(A)の含有量が5質量%未満の場合、成形加工性が劣る。成分(A)の含有量が93質量%を超える場合、成形加工性、成形品の表面外観、触感が劣る。
2.熱可塑性エラストマー
本発明で使用する熱可塑性エラストマー(B)は、加熱溶融して成形することにより、ゴム弾性を有する成形品を与えることができる重合体であれば特に限定されない。この熱可塑性エラストマー(B)は、加熱溶融して成形できるが、上記成分(A)で用いるシリコーンゴム及びシリコーンゴム以外のゴム質重合体は、加熱溶融して成形できない点で、両者は異なる。熱可塑性エラストマー(B)のムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は30〜75が好ましい。また、熱可塑性エラストマー(B)のMFR(200℃、49.0N)は1〜30g/10minであることが好ましく、2〜20g/10minがより好ましい。
熱可塑性エラストマー(B)の具体例としては、スチレン系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー等のジエン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、エステル系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマー、イオン架橋エラストマー(アイオノマー)などが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中で、スチレン系エラストマーおよびポリブタジエン系エラストマーが好ましい。
スチレン系エラストマーの具体例としては、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックAと共役ジエン化合物の重合体ブロックBとをそれぞれ1つ以上含有するブロック共重合体及びその水素添加物が挙げられる。重合体ブロックAと重合体ブロックBは、直鎖型に結合していても、ラジアル型に結合していてもよい。また、重合体ブロックBは、少量の芳香族ビニル化合物を構成単位として含有するランダム共重合体であってもよいし、芳香族ビニル化合物に由来する構成単位の含有量が漸増する、いわゆるテーパー型ブロックであってもよい。
ブロック共重合体の構造については特に制限はなく、(A−B)n 型、(A−B)n −A型、または(A−B)n −C型のいずれでも使用できる。式中、Aは芳香族ビニル化合物の重合体ブロック、Bは共役ジエン化合物の重合体ブロック、Cはカップリング剤残基、nは1以上の整数を示す。
スチレン系エラストマーの重合体ブロックAの構成単位となる芳香族ビニル化合物としては、上記成分(A)のビニル系単量体として挙げた芳香族ビニル化合物を全て使用することができるが、好ましくはスチレンが使用される。これらの芳香族ビニル化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。また、スチレン系エラストマーの重合体ブロックBの構成単位となる共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖および側鎖共役ヘキサジエンなどが挙げられるが、そのうち、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
スチレン系エラストマーの重量平均分子量は、好ましくは10,000〜800,000、さらに好ましくは20.000〜500,000である。また、重合体ブロックA中の芳香族ビニル化合物の含有量は、5〜60重量%が好ましく、15〜50重量%がさらに好ましい。上記ブロック共重合体は、1種単独で、又は、異なる構造や、芳香族ビニル化合物に由来する構成単位の含有量が異なるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
スチレン系エラストマーの上記水素添加物は、上記で得たスチレン系エラストマーの共役ジエン化合物の重合体ブロックBを公知の方法で水素添加反応することにより得ることができる。具体的な方法としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公昭63−5401号公報、特願昭63−285774号、特願昭63−127400号に示されている方法がある。
上記重合体ブロックBが1,3−ブタジエンの重合体ブロックである共役ジエン系重合体の場合、非選択的に水素添加すると、1,4−ビニル結合で重合した部分からはエチレンが、1,2−ビニル結合で重合した部分からはブチレンが生成し、スチレン―エチレン―ブチレン―スチレン共重合体(SEBS)などが水素添加物として生成し、1,2−ビニル結合を選択的に水素添加すると、スチレン―ブタジエン―ブチレン―スチレン共重合体(SBBS)などが水素添加物として生成する。SEBSは市販品を用いてもよく、その具体例としては、ダイナロン シリーズ(商品名、JSR社製)、ラバロン シリーズ(商品名、三菱化学社製)、タフテック シリーズ(商品名、旭化成社製)、TPE−SB シリーズ(商品名、住友化学工業社製)等を挙げることができる。
本発明で使用されるポリブタジエン系エラストマーは、1,2−ビニル結合量が70%以上、好ましくは80%以上、結晶化度が5〜50%、好ましくは10〜35%、および極限粘度〔η〕(30℃、トルエン中で測定)が0.5dl/g以上、好ましくは0.6dl/g以上ものである。また、異なる1,2−ビニル結合量、結晶化度、極限粘度〔η〕を有する1,2−ポリブタジエンを組み合わせて用いたものでもよい。
その他のエラストマーとしては、例えば高シスおよび低シスブタジエンゴム(BR)、高シスイソプレンゴム(IR)、乳化重合および溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴム(NR)などが挙げられる。
上記スチレン系エラストマーの好ましい具体例としては、スチレン―ブタジエン―スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン―エチレン―ブチレン―スチレン共重合体(SEBS)、スチレン―ブタジエン―ブチレン―スチレン共重合体(SBBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中、成分(B)の含有量は、成分(A)及び(B)の合計量を100質量%とした場合、7〜45質量%であることが必要であり、10〜40質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。成分(A)の含有量が7質量%未満の場合、ソフトタッチ感が得られない。成分(A)の含有量が45質量%を超える場合、なめらかさが無くなり、すなわち、ベタツキ感が現われる。
3.その他の配合剤
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、成形品表面のベタツキ感の低減効果を更に顕著なものとするために、シリコーンオイルを含有させることが好ましい。
シリコーンオイルは、ポリオルガノシロキサン構造を持つものであれば特に限定されない。シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等の未変性シリコーンオイルの他、ポリオルガノシロキサン構造中に各種有機基が導入された変性シリコーンオイルであってもよいが、効果の点から、未変性シリコーンオイルが好ましい。これらのシリコーンオイルは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シリコーンオイルの23℃における動粘度は、60〜500.000cStが好ましく、80〜350,000cStがより好ましい。なお、シリコーンオイルの動粘度は,ASTMD445−46T(JIS8803でも可)によるウベローデ粘度計により測定されたものである。
シリコーンオイルの含有量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.2〜6質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。シリコーンオイルの配合量が上記範囲にあれば、成形品表面のベタツキ感の低下効果が十分に得られる。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、上記した成分(A)、成分(B)及びシリコーンオイルの他に、必要に応じて、摺動性付与剤、酸化防止剤、加工安定剤、紫外吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、結晶化核剤、滑剤、可塑剤、金属不活性剤、着色顔料、各種無機充填剤、ガラス繊維、強化剤、難燃剤、離型剤、発泡剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
4.本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各成分を所定の配合比で、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の混練機を用いて適当な条件下で溶融混練して製造することができる。好ましい混練機は、二軸押出機である。更に、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練しても、多段、分割配合して混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練したあと、押出機によりペレット化することもできる。溶融混練温度は、通常180〜240℃、好ましくは190〜230℃である。
5.本発明の成形品の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート押出成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、樹脂成形品とすることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成された樹脂成形品の表面は、クッション性又はソフトタッチ感、表面のベタツキ感が少なくなめらかで、手触り感等の触感が良く、人体、特に人体の皮膚やに接触することが不可避な物品、手で操作することが必要な物品などの各種物品の成形材料として好適である。本発明の樹脂成形品の表面のクッション性又はソフトタッチ感は、樹脂温度220℃、金型温度50℃、射出速度40mm/s、射出圧力100MPaの条件で射出成形した成形品の表面の硬度を、ハンディー圧縮試験機KES-G5(商品名:カトーテック株式会社製)で測定したLC値(圧縮硬さ)で数値化することができる。また、本発明の樹脂成形品の表面のベタツキ感の少なさ又はなめらかさは、上記成形品の表面を、摩擦感テスターKES-SE(商品名:カトーテック株式会社製)を用いて測定したMIU値(平均摩擦係数)で数値化することができる。本発明の成形品は、従来の成形品よりもクッション性又はソフトタッチ感が高く、表面のベタツキ感が少なくなめらかで、触感に優れているが、上記のとおり測定したLC値は0.9以下であることが好ましく、0.2〜0.8がより好ましく、0.3〜0.7が更に好ましく、上記のとおり測定したMIU値は0.3以下であることが好ましく、0.05〜0.27がより好ましく、0.1〜0.25が更に好ましい。また、本発明の成形品のISO 178に基づいて測定した弾性率は500MPa以上であることが好ましく、600〜1500MPaであることがより好ましい。また、本発明の成形品のISO 2039に基づいて測定した、室温におけるロックウェル硬さ(硬度スケールは、R−スケール)は40〜85であることが好ましく、50〜75であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品は、上記のような優れた触感を有するので、ドアトリム、グローブボックス、ハンドルなどの自動車内装部品、ドアノブ等の建築材料、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、スマートフォン、タブレットパソコン、ノートパソコン等の携帯電気製品の筐体、ケース、カバー等として使用することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。実施例中、部および%は特に断らない限り質量基準である。
1.成分〔A〕
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂の原料として、下記の合成例1〜2で得られたジエン系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(原料A1−1〜A1−2)と、下記の合成例3で得られたシリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂(原料A2)と、下記の合成例4で得られたスチレン―アクリロニトリル共重合体(原料A3)とを用いた。
1−1.合成例1(原料A1−1(ジエン系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)の合成)
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水42部、ロジン酸カリウム0.35部、tert−ドデシルメルカプタン0.2部、平均粒子径300nmのポリブタジエンゴム(ゲル含有率80%)40部を含むラテックス100部、スチレン13部及びアクリロニトリル7部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が40℃に達したところで、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.3部を、イオン交換水8部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。
30分間重合させた後、イオン交換水45部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert−ドデシルメルカプタン0.17部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部を、3時間かけて連続的に添加した。その後、更に1時間重合を継続し、反応系に、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を完結させた。
次いで、反応生成物を含むラテックスに、硫酸水溶液を添加して、樹脂成分を凝固し、水洗した。その後、水酸化カリウム水溶液を用いて、洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ジエン系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を得た。この樹脂に含まれるグラフト樹脂におけるグラフト率は50%、未グラフトの(共)重合体(以下、「アセトン可溶分」という。)の含有率は40%であり、このアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.40dl/gであった。
1−2.合成例2(原料A1−2(ジエン系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)の合成)
攪拌機付き重合器に、水280部および重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2′−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、塩化カルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過および乾燥工程を経てパウダー状のジエン系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を得た。得られた樹脂のグラフト率は40%、未グラフトの(共)重合体(以下、「アセトン可溶分」という。)の含有率は16%であり、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.38dl/gであった。
1−3.合成例3(原料A2(シリコーンゴム強化芳香族ビニル系樹脂)の合成)
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン1.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン98.5部の混合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を蒸留水に溶解させた水溶液300部に投入し、ホモミキサーにより3分間攪拌して乳化分散させた。乳化分散液を、コンデンサー、窒素ガス導入口及び攪拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌下、90℃で6時間加熱して縮合反応させ、5℃で24時間冷却することで反応を完了させた。これにより、縮合率93%で変性ポリオルガノシロキサンゴムを含むラテックスを得た。その後、このラテックスに、炭酸ナトリウム水溶液を添加してpH7に中和した。尚、変性ポリオルガノシロキサンゴムの体積平均粒子径は280nmであった。
次に、攪拌機を備えたガラス製フラスコに、上記変性ポリオルガノシロキサンゴム40部、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、スチレン15部及びアクリロニトリル5部を収容し、攪拌しながら45℃まで昇温した。その後、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部及びイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、並びに、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合を開始した。そして、1時間後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルハイドロパーオキサイド0.2部、スチレン30部及びアクリロニトリル10部からなるインクレメンタル重合成分を3時間に渡って連続的に添加し、重合を続けた。添加終了後、更に攪拌を1時間続けた。
その後、2,2−メチレン−ビス(4−エチレン−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を停止し、シリコーン系ゴム強化樹脂を含むラテックスを得た。次いで、ラテックスに塩化カルシウム2部を添加して、樹脂成分を凝固し、水洗及び乾燥(75℃、24時間)を行い、白色粉末(シリコーン系ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)を回収した。グラフト率は84%、未グラフトの(共)重合体(以下、「アセトン可溶分」という。)の含有率は26.4%であり、アセトン可溶分の固有粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.47dl/gであった。
1−4.合成例4(原料A3(スチレン―アクリロニトリル共重合体)の合成)
リボン翼を備えたジャケット付き重合用反応器を、2基連結した合成装置を用いた。各反応器内に、窒素ガスをパージした後、1基目の反応器に、スチレン75部、アクリロニトリル25部及びトルエン20部からなる混合物と、分子量調節剤であるtert−ドデシルメルカプタン0.15部をトルエン5部に溶解した溶液と、重合開始剤である1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)0.1部をトルエン5部に溶解した溶液とを連続的に供給し、110℃で重合を行った。供給した単量体等の平均滞留時間は2時間であり、2時間後の重合転化率は56%であった。
次いで、得られた重合体溶液を、1基目の反応器の外部に設けられたポンプにより、連続的に取り出して、2基目の反応器に供給した。連続的に取り出す量は、1基目の反応器に供給する量と同じである。尚、2基目の反応器においては、130℃で2時間重合を行い、2時間後の重合転化率は74%であった。
その後、2基目の反応器から、重合体溶液を回収し、これを、2軸3段ベント付き押出機に導入した。そして、直接、未反応単量体及びトルエン(重合用溶媒)を脱揮し、スチレン・アクリロニトリル共重合体を回収した。このスチレン・アクリロニトリル共重合体
の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.51dl/gであった。
2.成分〔B〕
熱可塑性エラストマーの原料として、下記の製品を用いた。
2−1.原料B−1(SBS)
JSR株式会社製のスチレン・ブタジエン熱可塑性エラストマー「TR2000」(商品名)を用いた。スチレン/ブタジエン比は40/60であった。MFR(200℃、49.0N)は、13g/10minであった。MFR(190℃、21.2N)は、3g/10minであった。
2−2.原料B−2(SEBS)
JSR株式会社製の水添ポリマ−「DR8903P」(商品名)を用いた。スチレン/ブタジエン比は35/65であった。MFR(230℃、21.2N)は、10g/10minであった。MFR(200℃、49.0N)は、4g/10minであった。
2−3.原料B−3(SIS)
JSR株式会社製のスチレン・イソプレン熱可塑性エラストマー「SIS5250」(商品名、スチレン・イソプレンブロック共重合体)を用いた。スチレン/イソプレン比は、20/80であった。MFR(200℃、49.0N)は、12g/10minであった。MFR(190℃、21.2N)は、3g/10minであった。
3.成分〔C〕
3−1.原料C−1(シリコーンオイル)
信越シリコーン株式会社製のジメチルシリコーンオイル「KF−96SS」(商品名)を用いた。25℃の動粘度は100cStであった。
実施例1〜12及び比較例1〜4
1.熱可塑性樹脂組成物の作製
下記表に示す原料〔A〕、〔B〕及び〔C〕を同表に示す配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した。その後、二軸押出機(型式名「TEX44、日本製鋼所」)を用いて、バレル温度220℃で溶融混練してペレット化した。得られた樹脂組成物を用い、下記の測定及び評価に供した。結果を下記表に示す。
2.成形品の作成
樹脂組成物を成形して120mm×80mm×2mmの試験片を作製した。成形は射出成形機IS100GN(商品名:東芝機械製)を用いて、樹脂温度220℃、金型温度50℃、射出速度40mm/s、射出圧力100MPaの条件で行った。成形用金型としては、内表面に凹凸(凹部の深さが100μm)を有した革シボ用金型(シボNo;TH−894)を用いた。
3.硬度の測定
ISO 2039に基づいて、室温におけるロックウェル硬さ(硬度スケールは、R−スケール)を測定した。試験片は、シリンダーの設定温度を220℃、金型温度を50℃とした日本製鋼所社製射出成形機「J110AD−180H」(型式名)を用いて作製した。
4.曲げ弾性率の測定
ISO 178に基づいて、島津製作所製の精密万能試験機「オートグラフAG5000E型」を用いて曲げ弾性率を測定した。測定値の単位は、MPaであった。試験片は、上記3(硬度の測定)と同様にして作製した。
5.成形品外観の評価
上記2で作成した成形品の表面を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:(i)フローマーク、(ii)剥離、(iii)白化の何れも発生しない。
△:(i)フローマーク、(ii)剥離、(iii)白化の何れかが成形品の一部に発生した。
×:(i)フローマーク、(ii)剥離、(iii)白化の何れかが成形品の全面に発生した。
6.成形加工性の評価
上記2の成形品の作成時における加工性を、下記の基準で評価した。
○:成形品やスプルーランナーが金型に付着せず、金型離型性が良好。
×:成形品やスプルーランナーが金型に付着し、金型離型性が悪い。
7.触感(ベタツキ感)
上記2で作成した成形品の表面を常温23℃にて指でなぞったときの触感を、下記の基準で評価した。ベタツキが顕著になると、成形品表面のなめらかさが低下し、触感が悪くなる。
○:ベタツキを感じない。
△:若干ベタツキを感じる。
×:著しいベタツキを感じる。
8.触感(ソフトタッチ感)
上記2で作成した成形品の表面を常温23℃にて指でなぞったときの触感を、下記の基準で評価した。
○:柔らかいと感じる
△:若干柔らかいと感じる
×:硬いと感じる
9.KES風合い計測
9−1.MIU値(平均摩擦係数)の測定(なめらかさ、ベタツキ感)
上記2で作成した成形品の表面のMIU値を摩擦感テスターKES-SE(商品名:カトーテック株式会社製)を用いて測定した。
9−2.LC値(圧縮かたさ)の測定(クッション性、ソフトタッチ感)
上記2で作成した成形品の表面のLC値をハンディー圧縮試験機KES-G5(商品名:カトーテック株式会社製)を用いて測定した。
9−3.SMD値(表面粗さ:単位μm)の測定
上記2で作成した成形品の表面のSMD値を摩擦感テスターKES-SE(商品名:カトーテック株式会社製)を用いて測定した。
Figure 2016199729
Figure 2016199729
上記表から以下のことがわかる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた実施例1〜12は、曲げ弾性率、成形加工性及び成形品外観に優れるだけでなく、成形品表面のクッション性及びソフトタッチ感が高く、かつ、ベタツキ感が少なく、なめらかで、触感に優れていた。
これに対し、成分(A)のゴム部分(a1)におけるジエン系ゴムから構成された部分(a1−1)のシリコーンゴムから構成された部分(a1−2)に対する比率が本発明の範囲よりも低い比較例1の組成物は、成形品の表面に白化が生じ、外観が劣った。成分(A)のゴム部分(a1)におけるジエン系ゴムから構成された部分(a1−1)のシリコーンゴムから構成された部分(a1−2)に対する比率が本発明の範囲よりも高い比較例2の組成物は、成形品表面のベタツキ感があり、触感が劣った。成分(B)の含有量が本発明の範囲より多い比較例3の組成物は、成形品の表面にフローマークが生じ、外観が劣り、成形加工性も悪く、成形品表面のベタツキ感があり、触感も劣った。成分(B)の含有量が本発明の範囲より少ない比較例4の組成物は、ソフトタッチ感が乏しく、触感が劣った。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、機械的強度、成形加工性及び成形品外観に優れ、かつ、表面の手触り感等の触感が良い成形品を与えるので、人体に接触することが多い成形品の成形材料として好適に利用できる。

Claims (6)

  1. ゴム部分(a1)と芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を含有する樹脂部分(a2)と含んでなるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(A)55〜93質量%、及び、熱可塑性エラストマー(B)7〜45質量%を含み、
    前記成分(A)のゴム部分(a1)は、シリコーンゴム及びシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成されるとともに、前記成分(A)及び(B)の合計100質量%に対して5〜40質量%含有され、
    前記成分(A)のゴム部分(a1)におけるシリコーンゴムから構成された部分(a1−2)に対するシリコーンゴム以外のゴム質重合体から構成された部分(a1−1)の比率が質量比で10/1〜2/3である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分は、前記ゴム部分(a1−1)に前記樹脂部分(a2)が結合したグラフト重合体10〜60質量%、前記ゴム部分(a1−2)に前記樹脂部分(a2)が結合したグラフト重合体2〜25質量%、及び、前記ゴム部分(a1)に結合していない前記樹脂部分(a2)25〜85質量%を含む(但し、これら三者の合計は100質量%とする)、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記成分(B)が、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとをそれぞれ1つ以上含むブロック共重合体からなるスチレン系エラストマー、及び/又は、その水素添加物である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. さらに、前記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、シリコーンオイル0.2〜6質量部を含有する、請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
  6. 人体接触用部品である請求項5に記載の成形品。
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