JP2016198912A - 多層構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】内層、外層及びバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有し、より高度なレベルで層間剥離を防止し得る多層構造体を提供する。【解決手段】内層、外層、及び、内層と外層との間に位置する少なくとも一層のバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有する多層構造体であって、内層及び外層が、それぞれ独立して、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(C)からなり、バリア層が、ポリエステル(A)1〜97質量%、ポリアミド(B)2〜98質量%、及び、遷移金属化合物を含む樹脂組成物(D)からなる、多層構造体。【選択図】図1

Description

本発明は多層構造体、より詳しくは、飲料、食品、化粧品及び医薬品等の酸素を嫌う物質を包装するための容器又はその予備成形体などとして好適に用いられる多層構造体に関する。
飲料、食品、化粧品及び医薬品等を包装するための容器として各種プラスチック容器が使用されている。プラスチック容器は、軽量であること、透明性が高いこと、デザインの自由度があること、安全であることなどの点で優れているが、金属缶やガラス瓶に比べて器壁を通して酸素などのガスが透過しやすいため、容器外部からの酸素による内容物の変質及び味や香りの低下を防ぐことが重要な課題となる。
従来、プラスチック容器の胴部を多層構造とし、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなる表層の間にメタキシリレン基含有ポリアミドからなるバリア層を設けることによって容器内部へ酸素が侵入することを防ぐ方法が知られている。また、該バリア層に有機酸コバルトなどの遷移金属塩をさらに配合し、メタキシリレン基含有ポリアミドを触媒酸化して酸素を吸収させることにより、バリア性をさらに高めることが知られている(特開2007−308155号公報(特許文献1))。しかし、これらの方法は、高いバリア性と透明性が得られる点で優れているが、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離を生じやすく、それによるバリア性の低下や外観の悪化がかねてより問題となっていた。
上記の問題に対し、バリア層に、メタキシリレン基含有ポリアミドに加えてポリエチレンテレフタレートをブレンドして用いることにより層間剥離を防止する方法が提案されている(特開2007−223667号公報(特許文献2)、特許第5387054号明細書(特許文献3)、特開昭58−197050号公報(特許文献4)、特許第4462304号明細書(特許文献5)など)。メタキシリレン基含有ポリアミドに少量のポリエチレンテレフタレートをブレンドしてもバリア性を大きく損なうことがない点でこの方法は優れているが、外部からの衝撃が大きいと、層間剥離を十分に防げない場合があり、取り扱いが困難であるといった課題があった。
一方、バリア性を向上させることを目的として、あるいは、ポリエステルに含まれる微量の不純物であるアルデヒド類を低減させることを目的として、表層にメタキシリレン基含有ポリアミドをブレンドする方法が提案されているが(特開2000−168017号公報(特許文献6)、特開2006−290436号公報(特許文献7))、層間剥離を防止することについては検討されていない。
特開2007−308155号公報 特開2007−223667号公報 特許第5387054号明細書 特開昭58−197050号公報 特許第4462304号明細書 特開2000−168017号公報 特開2006−290436号公報
このような状況の下、内層、外層及びバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有し、より高度なレベルで層間剥離を防止することができる多層構造体の提供が求められている。
本発明者らは上記課題にかんがみて鋭意検討した結果、バリア層として、メタキシリレン基含有ポリアミドに加えてポリエステルを所定の量比でブレンドして用いることに加えて、表層である内層及び外層にもポリエステルに加えてメタキシリレン基含有ポリアミドを所定の量比でブレンドして用いることによって、バリア層にのみ、あるいは、表層にのみメタキシリレン基含有ポリアミドとポリエステルとのブレンドを用いる場合と比べて層間密着性が飛躍的に向上することを見出した。また、バリア層に、遷移金属化合物をさらに配合することによって、層間密着性を犠牲にすることなく、バリア性を高めることができることを見出し、これらの知見をもとに本願発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示した多層構造体を提供するものである。
[1]内層、外層、及び、内層と外層との間に位置する少なくとも一層のバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有する多層構造体であって、
内層及び外層が、それぞれ独立して、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(C)からなり、
バリア層が、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)1〜97質量%、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)2〜98質量%、及び、遷移金属化合物を含む樹脂組成物(D)からなる、多層構造体。
[2]樹脂組成物(D)における遷移金属化合物の含有量が、樹脂組成物(D)の全質量に対して、遷移金属換算で、0.001〜1質量%である、[1]に記載の多層構造体。
[3]ポリアミド(B)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミドである、[1]又は[2]に記載の多層構造体。
[4]ポリアミド(B)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70〜99モル%及びイソフタル酸単位を1〜30モル%を含むジカルボン酸単位とを含むポリアミドである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の多層構造体。
[5]ポリエステル(A)が、テレフタル酸単位を80〜99.9モル%及び金属スルホイソフタル酸単位を0.1〜10モル%含むジカルボン酸単位と、エチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステルである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の多層構造体。
[6]内層/バリア層/外層からなる3層構造を少なくとも一部に有するものである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の多層構造体。
[7]内層/バリア層/中間層/バリア層/外層からなる5層構造を少なくとも一部に有するものであり、
中間層が、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(E)からなる、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の多層構造体。
[8]プリフォームである、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の多層構造体。
[9]プリフォームをホットパリソン法あるいはコールドパリソン法にてブロー成形して得られる容器である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の多層構造体。
[10]少なくとも胴部において多層構造を有するものである、[8]又は[9]に記載の多層構造体。
本発明の好ましい態様によれば、高いガスバリア性を有し、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離を生じ難く、取扱いが容易であり、内容物の酸素による変質及び味や風味の低下を効果的に防止することができる多層構造体を提供することができる。本発明の多層構造体は、飲料、食品、化粧品及び医薬品等の酸素を嫌う物質を包装するための容器又はその予備成形体などとして好適に用いることができる。
本発明の多層構造体が有する3層構造の一例を示す概略部分断面図である。 本発明の多層構造体が有する5層構造の一例を示す概略部分断面図である。 本発明の多層構造体の一例であるプリフォームを示す概略断面図である。 本発明の多層構造体の一例であるボトルを示す概略断面図である。
以下、本発明の多層構造体について具体的に説明する。
本発明の多層構造体は、内層、外層、及び、内層と外層との間に位置する少なくとも一層のバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有する多層構造体であって、
内層及び外層が、それぞれ独立して、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(C)からなり、
バリア層が、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)1〜97質量%、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)2〜98質量%、及び、遷移金属化合物を含む樹脂組成物(D)からなることを特徴としている。
本発明においては、内層、外層及び内層と外層との間に位置するバリア層の各層に、所定の構成単位を有するポリエステル(A)とポリアミド(B)とをブレンドして用いており、各層におけるポリエステル(A)とポリアミド(B)との量比を所定の範囲に調整することによって、高いバリア性を維持しながら、層間密着性を高めたものである。バリア層にメタキシリレン基含有ポリアミド等のバリア性樹脂を含有させてバリア性を高めても、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離を生じてしまうとバリア性は低下してしまい、内容物を安定に保存することができないだけでなく、外観上も好ましくない。そこで本発明においては、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離を生じ難くすることによって、高いバリア性を維持しながら、取扱いが容易であり、内容物の酸素による変質及び味や風味の低下を効果的に防止することができる多層構造体を提供しようとするものである。以下、本発明の多層構造体が有する多層構造を構成する内層、外層及びバリア層について具体的に説明する。
1.内層及び外層
本発明の多層構造体において、内層及び外層は、内容物を安全かつ安定に保持する層であり、バリア層を保護する役割を有している。本発明の多層構造体に用いられる内層及び外層はそれぞれ、1層であっても2層以上であってもよい。
本発明において、内層及び外層は、それぞれ独立して、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(C)から構成される。以下、内層及び外層の各層を構成する樹脂組成物の各成分について説明する。
〔ポリエステル(A)〕
ポリエステル(A)は、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位と、エチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステルであり、ポリマー主鎖の繰り返し構造単位中に上記ジカルボン酸単位と上記ジオール単位とから構成されるエステル結合{−C(=O)O−}を有している。
ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸単位は、テレフタル酸単位を80モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好ましくは87モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含む。テレフタル酸単位を上記の量比で含むことにより、ポリエステル(A)が非晶質となり難く、多層構造体を形成したときに熱収縮がし難くなり、耐熱性が良好なものとなる。ジカルボン酸単位中に含まれるテレフタル酸単位の上限は特に制限されないが、99.9モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましい。
テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体;オルソフタル酸、イソフタル酸、ジフェニン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
これらのなかでも、特に、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体の使用が、得られるポリエステルの物理特性等の点で好ましい。
また、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式二官能性化合物由来の構成単位を含むポリエステルは、製造が容易であり、また、多層構造体の落下衝撃強度や透明性を更に良好なものとすることができるため好ましい。これらのなかでも、容易に入手可能であり高い落下衝撃強度を有する1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の使用が好ましい。
ポリエステル(A)を構成するジオール単位は、エチレングリコール単位を80モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好ましくは88モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含む。エチレングリコール単位を上記の量比で含むことにより、結晶性に優れ、ガスバリア性や内容物を保持する強度を得ることができる。ジオール単位中に含まれるエチレングリコール単位の上限は特に制限されなく、例えば99モル%である。
エチレングリコール単位以外のジオール単位を含む場合、該ジオール単位を構成するジオールとしては、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、ノルボルネンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、1,10−デカメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール;ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノ−ル、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、イソソルビド、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加されたグリコールなどに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらのなかでも、特に、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールが好適に用いられる。
本発明の一実施形態では、ポリエステル(A)に含まれるテレフタル酸/エチレングリコール以外の共重合成分としては、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が、透明性と成形性を両立するうえで好ましい。特にイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい。
中でも、イソフタル酸由来の構成単位を含む共重合ポリエステルは、成形性に優れており、また、結晶化速度が遅くなることによって、成形品の白化を防ぐという点で優れている。イソフタル酸由来の構成単位の割合は、ジカルボン酸単位の総モル数に対して1〜10モル%が好ましく、より好ましくは1〜8モル%、更に好ましくは1〜6モル%である。
また、ナフタレンジカルボン酸由来の構成単位を含む共重合ポリエステルは、樹脂のガラス転移点を上昇させ、耐熱性が向上するうえ、紫外線を吸収するため、紫外線に対して耐性が求められる多層構造体の製造に好適に使用される。ナフタレンジカルボン酸由来の構成単位の割合は、ジカルボン酸単位の総モル数に対して0.1〜15モル%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜10モル%である。上記の割合とすることで、紫外線から多層構造体に収納される内容物を適切に保護することが可能になる。ナフタレンジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が、製造が容易であり経済性が高いことから好ましい。
本発明の一実施形態では、特にポリエステル(A)の組成として、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコールの組み合わせ、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノールの組み合わせ、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコールの組み合わせが透明性と成形性を両立するうえで好ましい。なお、当然ではあるが、ポリエステル(A)には、エステル化(エステル交換)反応、重縮合反応中に、エチレングリコールの二量化により生じるジエチレングリコールを少量(5モル%以下)含んでいてもよい。
また、本発明の一実施形態では、ポリエステル(A)は、モノカルボン酸、モノアルコール、又はこれらのエステル形成誘導体等の単官能性化合物由来の構成単位を含んでも良い。これら化合物の具体例としては、安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、o−メチル安息香酸、m−メチル安息香酸、p−メチル安息香酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、3,4−ジメチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2,4,6−トリメトキシ安息香酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、2−ビフェニルカルボン酸、1−ナフタレン酢酸及び2−ナフタレン酢酸等の芳香族単官能性カルボン酸;プロピオン酸、酪酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等の脂肪族モノカルボン酸;これらモノカルボン酸のエステル形成誘導体、ベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、2−フェネチルアルコール、フェノール、1−ナフトール及び2−ナフトール等の芳香族アルコール;ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ペンタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリテトラメチレングリコールモノアルキルエーテル、オレイルアルコール及びシクロドデカノール等の脂肪族又は脂環式モノアルコール等が挙げられる。
これらのなかでも、ポリエステル製造の容易性及びそれらの製造コストの観点から、安息香酸、2,4,6−トリメトキシ安息香酸、2−ナフトエ酸、ステアリン酸及びステアリルアルコールが好ましい。単官能性化合物由来の構成単位の割合は、ポリエステル(A)の全構成単位の総モル数に対して5モル%以下、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。単官能性化合物は、ポリエステル分子鎖の末端基又は分岐鎖の末端基封止として機能し、それによりポリエステル(A)の過度の架橋を抑制し、ゲル化を防止することができる。
さらに、本発明の一実施態様では、ポリエステル(A)は、カルボキシル基、ヒドロキシ基及びそれらのエステル形成基から選択される少なくとも3つの官能基を有する多官能性化合物を共重合成分として含んでいてもよい。多官能性化合物としては、例えば、トリメシン酸、トリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸及び1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族ポリカルボン酸;1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸などの脂環式ポリカルボン酸;エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族ポリカルボン酸;1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどの芳香族多価アルコール;トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ヘキサントリオール及び1,3,5−シクロヘキサントリオールなどの脂肪族又は脂環式多価アルコール;4−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸、ガリック酸及び2,4−ジヒドロキシフェニル酢酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸;酒石酸及びリンゴ酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸;及びそれらのエステル体が挙げられる。
多官能性化合物由来の構成単位の割合は、ポリエステル(A)の全構成単位の総モル数に対して、10モル%以下が好ましく、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは3モル%以下である。
上述したもののうち、好ましい多官能性化合物としては、ポリエステル(A)の製造のし易さと製造コストの観点から、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが挙げられる。
また、本発明の一実施態様において、ポリエステル(A)は、金属スルホネートに由来する構成単位を少なくとも1種含有してもよい。
金属スルホネートに由来する構成単位は、金属スルホネート基含有化合物を、ポリエステルの共重合体成分として用いることで、ポリエステル(A)に導入することができる。
金属スルホネート基含有化合物は、式:X−Rで表され、Xはジカルボン酸又はジオールであり、Rは、−SOMである。Mは、Li、Na、Zn、Sn、KおよびCaから選択され得る+1価または+2価状態の金属で示される。これらのなかでも、Na又はLiが製造が容易である点で好ましい。該金属スルホネート基含有化合物は、2個以上の官能基を含有し、Rは、ジオール、ジカルボン酸であるXの芳香族環、またはメチレン基のような側鎖に直接結合する。
式中のXとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの直鎖状脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸から選ばれる化合物から水素原子を1つ除いたものが挙げられる。これらのなかでも、製造が容易であることからイソフタル酸が好ましい。
また、式中のXとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコールなどの直鎖脂肪族グリコール;1,3−シクロヘキサンジオール等のシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール等から水素原子を1つ除いたものが挙げられる。これらのなかでも、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびシクロヘキサンジオールが好ましい。
これらのなかでも、本発明においては、式中のXがイソフタル酸である金属スルホネート基含有化合物によって導入される金属スルホイソフタル酸単位を有していることが特に好ましい。金属スルホイソフタル酸単位を有していることにより、ポリエステル(A)とポリアミド(B)との相溶性を高め、透明性を向上させることができる。
金属スルホネート(−SOM)の量比は、ポリエステル(A)の全構成単位の総モル数に対して、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.2モル%以上、更に好ましくは0.4モル%以上であり、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは4モル%以下、特に好ましくは2モル%以下である。金属スルホネートの量比は、ポリエステル(A)中の硫黄及び金属の量を測り、モル量に換算することによって測定することができる。
ポリエステル(A)の製造方法は、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用して製造することができる。
使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等を例示することができるが、これらに限定されない。
また、他の製造方法として、長い滞留時間及び/又は高温押出などの方法で、異なる種のポリエステルをエステル交換する方法を採用してポリエステル(A)を製造してもよい。
ポリエステル(A)は、エチレングリコール成分の二量体であって、ポリエステルの製造工程において少量形成される少量のジエチレングリコール副生成物単位を含むことがある。本発明の多層構造体が良好な物性を保つためには、ポリエステル(A)中のジエチレングリコール単位の割合は、極力低いことが好ましい。ジエチレングリコール由来の構成単位の割合は、好ましくは、ポリエステル(A)の全構成単位に対して、好ましくは3モル%以下、より好ましくは1〜2モル%である。
ポリエステル(A)の水分率は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。ポリエステル(A)は、多層構造体に成形される前に乾燥等されて水分率が低下させられたものであってもよい。
ポリエステル(A)の固有粘度(フェノール/1,1,2,2,−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、特に制限されないが、通常0.5〜2.0dl/g、好ましくは0.6〜1.5dl/gであることが望ましい。固有粘度が0.5dl/g以上であると、多層構造体が構造物として必要な機械的性質を発現することができる。
なお、本発明に用いられるポリエステル(A)は、再生ポリエステル、或いは使用済みポリエステルまたは工業リサイクル済みポリエステルに由来する材料(例えばポリエステルモノマー、触媒およびオリゴマー)を含んでもよい。
ポリエステル(A)は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、ポリエステル(A)は、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)中に94〜99.9質量%の範囲で含まれる。樹脂組成物(C)中のポリエステル(A)の量比は、好ましくは94.5質量%以上、より好ましくは95.0質量%以上であり、また、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは98.5質量%以下、更に好ましくは97.5質量%以下である。
〔ポリアミド(B)〕
ポリアミド(B)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミドであり、ポリマー主鎖の繰り返し構造単位中に上記ジアミン単位と上記ジカルボン酸単位とから構成されるアミド結合{−NH−C(=O)−}を有している。
ポリアミド(B)中のジアミン単位は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上含む。メタキシリレンジアミン単位を上記の範囲で含むことにより、耐水性だけでなく、高強度・高弾性率、優れたガスバリア性をも発現させることができ、ポリアミド(B)を含む樹脂組成物の成形性を良好なものとすることができる。
メタキシリレンジアミン単位以外のジアミン単位を構成するジアミンとしては、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミン;エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミアン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレン、ドデカメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等の脂肪族ジアミン;ハンツマン社製のジェファーミンやエラスタミン(いずれも商品名)に代表されるエーテル結合を有するポリエーテル系ジアミン等を例示できるが、これらに限定されない。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、パラキシリレンジアミンが好ましい。
ポリアミド(B)を構成するジカルボン酸単位は、特に制限されなく、脂肪族ジカルボン酸単位、脂環式ジカルボン酸単位および芳香族ジカルボン酸単位が用いられる。これらの中でも、耐熱性及び成形加工性に優れることから、下記一般式(II−1)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び下記一般式(II−2)で示される芳香族ジカルボン酸単位から選ばれるジカルボン酸単位を少なくとも1種含むことが好ましい。一般式(II−1)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び下記一般式(II−2)で示される芳香族ジカルボン酸単位は何れか一方のみを用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。
Figure 2016198912

[式(II−1)中、nは2〜18の整数であり、式(II−2)中、Arはアリーレン基である。]
ポリアミド(B)を構成するジカルボン酸単位に含まれる一般式(II−1)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び一般式(II−2)で示される芳香族ジカルボン酸単位の各量比は特に制限されないが、重合時の反応性、並びにポリアミド化合物の結晶性及び成形性の観点から、ジカルボン酸単位中に合計で、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び芳香族ジカルボン酸単位を併用する場合はそれらの合計量が上記の範囲を満たせばよい。
一般式(II−1)又は(II−2)で示されるジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位としては、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、1,3−ベンゼン二酢酸、1,4−ベンゼン二酢酸等のジカルボン酸から得られるジカルボン酸単位を例示できるが、これらに制限されない。
ポリアミド(B)中のジカルボン酸単位において、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸単位と前記芳香族ジカルボン酸単位との含有比(直鎖脂肪族ジカルボン酸単位/芳香族ジカルボン酸単位)は、特に制限されなく、用途に応じて適宜決定される。例えば、ポリアミド(B)のガラス転移温度を上げて、ポリアミド(B)の結晶性を低下させることを目的とした場合、直鎖脂肪族ジカルボン酸単位/芳香族ジカルボン酸単位は、両単位の合計を100としたとき好ましくは0/100〜60/40、より好ましくは0/100〜40/60、更に好ましくは0/100〜30/70である。また、ポリアミド(B)のガラス転移温度を下げてポリアミド(B)に柔軟性を付与することを目的とした場合、直鎖脂肪族ジカルボン酸単位/芳香族ジカルボン酸単位は、両単位の合計を100としたとき好ましくは40/60〜100/0、より好ましくは60/40〜100/0、更に好ましくは70/30〜100/0である。
ポリアミド(B)に適度なガラス転移温度や結晶性を付与することに加えて、適度な柔軟性を付与することを目的とする場合、一般式(II−1)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8である。
一般式(II−1)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を構成する化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されない。これらは1種で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる一般式(II−1)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位の種類及びその量比は、本発明の多層構造体の用途に応じて適宜決定すればよい。
ポリアミド(B)に優れたガスバリア性を付与することに加え、加熱殺菌後の耐熱性を保持する観点からは、アジピン酸単位、セバシン酸単位及び1,12−ドデカンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1種を、ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
また、ポリアミド(B)に優れたガスバリア性を付与することに加え、適切なガラス転移温度や融点等の熱的性質を付与する観点からは、アジピン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましい。また、ポリアミド(B)に適度なガスバリア性及び成形加工適性を付与する観点からは、セバシン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましい。また、低吸水性、耐候性及び耐熱性を付与する観点からは、直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に1,12−ドデカンジカルボン酸単位を50モル%以上含むことが好ましい。
ポリアミド(B)に更なるガスバリア性を付与することに加え、多層構造体の成形加工性を容易にすることを目的とする場合は、前記一般式(II−2)で示される芳香族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。前記アリーレン基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(II−2)で示される芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる一般式(II−2)で示される芳香族ジカルボン酸単位の種類及びその量比は、本発明の多層構造体の用途に応じて適宜決定すればよい。
ポリアミド(B)中の芳香族ジカルボン酸単位は、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1種を、芳香族ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。これらのなかでも、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸を芳香族ジカルボン酸単位中に含むことが好ましい。イソフタル酸単位とテレフタル酸単位との含有比(イソフタル酸単位/テレフタル酸単位)は、特に制限されなく、用途に応じて適宜決定される。例えば、適度なガラス転移温度や結晶性を下げる観点からは、両単位の合計を100としたとき好ましくは0/100〜100/0、より好ましくは0/100〜60/40、更に好ましくは0/100〜40/60、更に好ましくは0/100〜30/70である。
本発明に用いられるポリアミド(B)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミドであれば特に限定されないが、本発明の一実施形態では、バリア性及び機械的物性が優れていることから、ポリアミド(B)として、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミドを用いることが好ましい。
また、本発明の他の一実施形態では、バリア性及び機械的物性に加えて、成形加工性が良好であることから、ポリアミド(B)として、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70〜99モル%及びイソフタル酸単位を1〜30モル%含むジカルボン酸単位とを含むポリアミドを用いることが好ましい。
ポリアミド(B)の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、5,000以上が好ましく、より好ましくは10,000以上、更に好ましくは15,000以上である。また、50,000以下が好ましく、より好ましくは45,000以下、更に好ましくは40,000以下である。ポリアミド(B)の数平均分子量が上記範囲であると、ポリアミドとしての未反応物等が少なく、性状が安定している。ポリアミド(B)の数平均分子量は、末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度の定量値から次式により求めることができる。
数平均分子量=2×1,000,000/([NH]+[COOH])
[NH]:末端アミノ基濃度(μeq/g)
[COOH]:末端カルボキシル基濃度(μeq/g)
ポリアミド(B)は、ジアミン単位を構成するジアミン成分と、ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸成分とを重合させることで製造することができる。重縮合条件等を調整することで重合度を制御することができる。重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。また、重縮合反応を抑制して所望の重合度とするために、ポリアミドを構成するジアミン成分とカルボン酸成分との比率(モル比)を1からずらして調整してもよい。
ポリアミド(B)の重縮合方法としては、反応押出法、加圧塩法、常圧滴下法、加圧滴下法等が挙げられるが、これらに制限されない。これらの中でも、常圧滴下法、加圧滴下方が好ましく、常圧滴下法が特に好ましく用いられる。反応温度は出来る限り低い方が、ポリアミド樹脂の黄色化やゲル化を抑制でき、安定した性状のポリアミド樹脂が得られる。
常圧滴下法は、常圧下にて、ジカルボン酸成分を加熱溶融し、ジアミン成分を連続的に
滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる方法である。この方法においては、生成するポリアミド化合物の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。常圧滴下法は、加圧塩法と比較すると、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、また、原料成分の気化・凝縮を必要としないため、反応速度の低下が少なく、工程時間を短縮できる。
加圧滴下法は、まず、重縮合缶にジカルボン酸成分を仕込み加熱溶融し、次いで、缶内を好ましくは0.3〜0.4MPaG程度に加圧しながらジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる方法である。この方法においては、生成するポリアミド化合物の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。設定モル比に達したらジアミン成分の滴下を終了し、缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミド(B)の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド(B)を回収する。
ポリアミド(B)の溶融粘度すなわち、数平均分子量の調整方法は、上記した重合方法中の撹拌トルクでの重合終了点を判断する方法の他に、予め、モノマーの仕込み段階で、モル比を1からずらして調整することで、目標の数平均分子量を設定する方法がある。
ポリアミドの重縮合においては、アミド化反応を促進する観点から、リン原子含有化合物を添加することが好ましい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
リン原子含有化合物の添加量は、ポリアミド中のリン原子濃度換算で0.1〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜600ppmであり、更に好ましくは5〜400ppmである。0.1ppm以上であれば、重合中にポリアミドが着色し難く透明性が高くなる。1000ppm以下であれば、ポリアミドがゲル化し難く、また、リン原子含有化合物に起因すると考えられるフィッシュアイの成形品中への混入も低減でき、成形品の外観が良好となる。
また、ポリアミドの重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリアミドの着色を防止するためには十分な量のリン原子含有化合物を存在させる必要があるが、場合によってはポリアミドのゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、リン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、更に好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
本発明において、ポリアミド(B)は、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)中に0.1〜6質量%含まれる。樹脂組成物中のポリアミド(B)の配合量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、また、好ましくは5.5質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)中にポリアミド(B)が0.1質量以上含まれることで、層間剥離性を改善する上、樹脂組成物(C)そのもののバリア性も改善することができる。
本発明において、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)には、本発明の特徴を損なわない範囲で各種添加剤を配合してもよい。例えば、ポリエステル(A)以外のポリエステル、ポリアミド(B)以外のポリアミド、ポリオレフィン、フェノキシ樹脂等の他樹脂を一種もしくは複数ブレンドできる。また、ガラス繊維、炭素繊維などの無機充填剤;ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、モンモリロナイト、有機化クレイなどの板状無機充填剤、各種エラストマー類などの耐衝撃性改質材、結晶核剤; 脂肪酸アミド系、脂肪酸アマイド系化合物等の滑剤;有機もしくは無機ハロゲン系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、硫黄系化合物、リン系化合物等の酸化防止剤;着色防止剤、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、離型剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、プリフォームの加熱を促進し成形時のサイクルタイムを短くするための赤外吸収剤(リヒートアディティブ)、難燃剤などの添加剤を例示することができる。添加剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)中の添加剤の配合量は、本発明の特徴を損なわない範囲であれば特に制限されない。
本発明において、内層を構成する樹脂組成物と外層を構成する樹脂組成物とは、全く同一の組成を有していてもよいし、ポリエステル(A)及びポリアミド(B)の種類や量比、各種添加剤の種類や量比などによって異なる組成を有していてもよい。但し、製造が容易であり、優れた層間剥離強度を得るという点では、内層を構成する樹脂組成物と外層を構成する樹脂組成物とが同一の組成を有していることが好ましい。
2.バリア層
本発明の多層構造体において、バリア層は、内層と外層との間に位置し、容器外部から酸素が器壁を通して容器内部に侵入することを防止する層である。本発明の多層構造体に用いられるバリア層は、一層であっても二層以上であってもよい。
本発明において、バリア層は、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)1〜97質量%、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)2〜98質量%、及び、遷移金属化合物を含む樹脂組成物(D)から構成される。ポリエステル(A)及びポリアミド(B)についてはそれぞれ内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)に用いられるポリエステル(A)及びポリアミド(B)において説明したとおりである。
バリア層を構成する樹脂組成物(D)に用いられるポリエステル(A)は、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むものであれば特に制限されない。内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)において用いられるポリエステル(A)と同一の組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。但し、より効果的に層間剥離を防止することができ、製造が容易であるという点では、バリア層を構成する樹脂組成物(D)に用いられるポリエステル(A)は、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)に用いられるポリエステル(A)と同一の組成を有していることが好ましい。
また、バリア層を構成する樹脂組成物(D)に用いられるポリアミド(B)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むものであれば特に制限されない。内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)において用いられるポリアミド(B)と同一の組成を有しいてもよいし、異なる組成を有していてもよい。但し、より効果的に層間剥離を防止することができ、製造が容易であるという点では、バリア層に用いられるポリアミド(B)は、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)に用いられるポリアミド(B)と同一の組成を有していることが好ましい。
本発明において、バリア層を構成する樹脂組成物(D)中に含まれるポリエステル(A)の配合量は、1〜97質量%であり、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは14質量%以上であり、また、好ましくは96質量%以下、より好ましくは94質量%以下、更に好ましくは89質量%以下である。
また、バリア層を構成する樹脂組成物(D)中に含まれるポリアミド(B)の配合量は、2〜98質量%であり、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%であり、また、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
バリア層を構成する樹脂組成物(D)中に上記範囲でポリエステル(A)及びポリアミド(B)を含むことにより、高いバリア性を維持しながら、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離を生じ難く、耐衝撃性に優れた多層構造体を得ることができる。
本発明において、バリア層を構成する樹脂組成物(D)中に含まれる遷移金属化合物としては、周期律表第一、第二または第三遷移系列から選択される遷移金属またはその塩を用いることができる。
好ましい遷移金属としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ロジウム、バナジウム、クロム、セリウム及びルテニウムなどが挙げられる。これらのなかでも、コバルト、鉄、マンガンが好ましく、特にコバルトが最も好ましい。
遷移金属の塩の形態としては、塩化物、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ナフテン酸塩、ネオデカン酸塩、及びナフトエ酸塩などが好ましく挙げられるが、これらに制限されない。
これらのなかでも、樹脂組成物(D)に配合する遷移金属の塩としては、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、パルミチン酸コバルトコバルト(II)が好ましい。
樹脂組成物(D)中に含まれる遷移金属化合物の配合量は、樹脂組成物(D)の全質量に対し、遷移金属換算で、0.001〜1質量%であり、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは0.7質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下である。
バリア層を構成する樹脂組成物(D)中に上記範囲で遷移金属化合物を含むことにより、層間密着性を犠牲にすることなく、バリア性を高めることができる。
本発明において、バリア層を構成する樹脂組成物(D)には、本発明の特徴を損なわない範囲で各種添加剤をさらに配合してもよい。バリア層に配合することができる添加剤としては、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)に用いられる添加剤と同様のものを用いることができる。添加剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の多層構造体がバリア層を二層以上有する場合、バリア層を構成する樹脂組成物(D)は、同一の組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
本発明の多層構造体は、上述した内層、外層及び内層と外層との間に位置する少なくとも一層のバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有しており、該多層構造において、内層、外層及びバリア層の各層が、ポリエステル(A)及びポリアミド(B)を所定の量比で含み、バリア層がさらに遷移金属化合物を含むことにより、高いバリア性を維持しながら層間密着性を高め、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離が起こり難い構造を有している。
本発明の多層構造体が有する多層構造は、内層、外層及び内層と外層との間に位置する少なくとも一層のバリア層を有しているものであれば特に制限されないが、本発明の目的を損なわない範囲で、接着剤層、保護層、バリアコーティング層及び印刷層などを含む他の層を有していてもよい。
本発明の一実施形態では、本発明の多層構造体の多層構造は、例えば、図1に示されるような内層1/バリア層2/外層3の3層構造を有していることが好ましい。
本発明の多層構造体が、バリア層を二層以上有している場合、バリア層とバリア層の間には、中間層を設けてもよい。例えば、本発明の一実施形態では、本発明の多層構造体の多層構造は、図2に示されるような内層1/バリア層2A/中間層4/バリア層2B/外層3の5層構造を有していることが好ましい。複数のバリア層を構成する樹脂組成物(D)の組成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
中間層としては、各バリア層との層間密着性が良好であり、且つ、構造体の強度を保持できること、さらに成型加工性に優れることから、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(E)からなる層が好ましく用いられる。
樹脂組成物(E)に含まれるポリエステル(A)及びポリアミド(B)ならびにその量比の範囲は、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)と同じであり、好ましい実施態様及び好ましい量比の範囲等についても同様である。中間層を構成する樹脂組成物(E)として、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)と同一の組成を有するものを使用することもできるし、上記の範囲で内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)と異なる組成を有するものを使用してもよい。バリア層とバリア層の間に樹脂組成物(E)からなる中間層を有していることで、バリア層/中間層/バリア層の層間密着性を高めながら、複数のバリア層を積層させることができ、多層構造体のバリア性をより高めることができる。
なお、本発明の目的を損なわない範囲であれば、中間層として上記以外の層、例えば、接着剤層、酸素吸収層などを有していてもよい。
本発明の多層構造体において、内層、外層及びバリア層、更には中間層の厚みは、多層構造体の用途や目的に応じて適宜選択すればよい。
本発明の多層構造体に占めるバリア層の割合は、特に制限されないが、多層構造体の全質量に対して、合計で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であると、バリア性の良好な多層構造体が得られる。
本発明の多層構造体は、各種容器又はその予備成形体として好適に用いることができる。特に、飲料、食品、化粧品及び医薬品等の酸素を嫌う物質を包装するための容器又はその予備成形体として好適である。
本発明の多層構造体の形状は特に制限されなく、用途や目的に応じて、ボトル、深絞り容器、カップ状容器あるいはこれらの予備成形体(プリフォーム)などの任意の形状とすることができる。ボトルの形状としては、一般的なペットボトルの形状が好ましく挙げられる。
本発明の多層構造体の容量は、内容物の保存性から0.1〜2.0Lであることが好ましく、0.2〜1.5Lであることが好ましく、0.3〜1.0Lであることがさらに好ましい。一般に容量が大きいと1包装体あたりの酸素透過率が高くなるため内容物の酸化劣化が生じやすく保存性が低下する傾向にあるが、本発明では多層構造体が酸素吸収性能を有しており、かつ多層構造体自体のガスバリア性も高いため、包装容量がある程度大きい場合であっても内容物の保存性を維持できる。
本発明の多層構造体が、各種容器である場合、内層の厚みは、好ましく0.01mm以上、より好ましくは0.03mm以上、更に好ましくは0.05mm以上であり、また、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。
また、外層の厚みは、好ましく0.01mm以上、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.05mm以上であり、また、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。
また、バリア層の厚みは、好ましく0.005mm以上、より好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、また、好ましくは0.2mm以下、より好ましくは0.15mm以下、更に好ましくは0.1mm以下である。バリア層を二層以上有している場合、各バリア層の厚みの合計が上記の厚みを有していることが好ましい。
また、バリア層を二層以上有しており、バリア層とバリア層の間に中間層を有している場合、該中間層の厚みは、好ましく0.01mm以上、より好ましくは0.03mm以上、更に好ましくは0.05mm以上であり、また、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。
本発明の多層構造体が各種容器である場合の多層構造体の厚みは、特に制限されなく、用途や目的に応じて適宜選択すればよいが、通常、0.2〜4.0mmの範囲が好ましい。
本発明の多層構造体がプリフォームである場合、ブロー延伸後の容器が上記厚みとなるように適宜選択すればよい。
本発明の多層構造体は、例えば、2つの射出シリンダーを有する射出成形機を使用して、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)をスキン側の射出シリンダーから、また、バリア層を構成する樹脂組成物(D)をコア側の射出シリンダーから金型ホットランナーを通して金型キャビティー内に射出することにより、多層プリフォームとして得ることができる。また、得られた多層プリフォームを公知の方法によって更に二軸延伸ブロー成形することにより、任意の形状を有する成形体として得ることができる。この方法によって任意のボトル形状を有する多層構造体が得られる。
多層プリフォームの二軸延伸ブロー成形法としては、所謂コールドパリソン法又はホットパリソン法などの一般に公知の方法を用いることができる。例えば、多層プリフォームの表面を80〜120℃に加熱した後にコアロッドインサートで押すといった機械的手段により軸方向に延伸し、次いで、通常2〜4MPaの高圧空気をブローして横方向に延伸させてブロー成形する方法が挙げられる。あるいは、多層プリフォームの口部を結晶化させ、表面を80〜120℃に加熱した後に90〜150℃の金型内でブロー成形する方法が挙げられる。
多層プリフォームの加熱温度は通常、80〜120℃であり、90〜110℃が好ましい。加熱温度が80℃より低いと、加熱が不十分となり、内層、外層又はバリア層、更には中間層が冷延伸され、白化することがある。120℃より高温であるとバリア層が結晶化し、白化するため好ましくない。さらに、耐層間剥離性能が低下することがある。
例えば、3層構造を有するブロー成形体である多層構造体は、3層構造を有する多層プリフォームを公知の方法によって二軸延伸ブロー成形することにより得られる。
3層構造を有する多層プリフォームの製造方法は特に制限されなく、公知の方法を利用することができる。例えば、スキン側射出シリンダーから内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)を射出し、コア側射出シリンダーからバリア層を構成する樹脂組成物(D)を射出する工程において、先ず、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)を射出し、次いでバリア層を構成する樹脂組成物(D)と内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)とを同時に射出し、次に内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより3層構造(内層/バリア層/外層)の多層プリフォームを製造することができる。
また、例えば、5層構造を有するブロー成形体である多層構造体は、5層構造を有する多層プリフォームを公知の方法によって二軸延伸ブロー成形することにより得られる。
例えば、内層及び外層を構成する樹脂組成物と中間層を構成する樹脂組成物とが同一の組成を有している場合、先ず、内層、中間層及び外層を構成する樹脂組成物(C)(または樹脂組成物(E))を射出し、次いでバリア層を構成する樹脂組成物(D)を単独で射出し、最後に内層、中間層及び外層を構成する樹脂組成物(C)を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより5層構造(内層/バリア層/中間層/バリア層/外層)の多層プリフォームを製造することができる。
内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)と中間層を構成する樹脂組成物(E)とが異なる組成を有している場合、先ず、内層及び外層を構成する樹脂組成物(C)を射出シリンダーから射出し、次いでバリア層を構成する樹脂組成物(D)を別の射出シリンダーから単独で射出し、最後に中間層を構成する樹脂組成物(E)を、必要量射出してキャビティ−を満たすことにより5層構造(内層/バリア層/中間層/バリア層/外層)の多層プリフォームを製造することができる。
多層プリフォームを製造する方法は、上記方法に限定されるものではない。当業者であれば、上記方法を参考にしながら所望の多層構造を有する多層プリフォームを製造することができる。
本発明の他の好ましい態様において、本発明の多層構造体は、従来公知の方法(押出ラミネート法、共押出法又は熱を利用した融着法等)によって多層シートを形成し、このシートを熱成形することによって所望の形状としてもよい。この方法によって任意の深絞り形状又はカップ形状を有する多層構造体が得られる。
多層シートを製造する方法としては、特に制限されないが、共押出法が生産効率の点で好ましい。共押出法は、押出機を2機以上使用し、バリア層をダイリップより押出す前に、マルチマニホールドダイ内で内層・外層を両表面に積層し、ダイリップから同時に押出して本発明の多層構造体の前駆体である多層シートを得る方法である。
得られた前駆体である多層シートを熱成形して多層構造体とする方法としては、一般的な真空成形又は圧空成形等が挙げられるが、これらに制限されない。
本発明の多層構造体は、内層、外層、及び、内層と外層との間に位置する少なくとも一層のバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有していればよく、一部に多層構造を有していない部分があってもよい。
例えば、本発明の多層構造体が図3に示すようなプリフォームの形状を有している場合、あるいは、図4に示すようなボトルの形状を有している場合、バリア層2は少なくとも胴部に存在していればよく(すなわち、胴部において、内層1/バリア層2/外層3の3層構造を有していればよい)、口栓部先端付近または底部付近にまでバリア層2が延びていなくてもよい。
また、バリア層は必ずしも連続層である必要はなく、バリア性を大きく損なわない範囲であれば不連続層であってもよい。バリア層が不連続層である場合としては、例えば、容器の胴部においてバリア層が存在する領域とバリア層が存在しない領域とが縞状あるいは帯状に繰り返すように配されて剥離防止効果を高めたものが望ましい。
本発明の多層構造体が、深絞り状容器、カップ状容器などである場合も同様である。
本発明の多層構造体は、容器外部からの酸素の侵入を防ぐとともに、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離を生じ難く、取扱いが容易であり、外観不良が起こり難く、内容物を安定に保存することができる。
また、本発明の多層構造体は、落下や衝撃による層間剥離を生じ難く、層間剥離の生じ易い凹凸部、屈曲部を含む形状であっても内容物を安定に保存することができるため、多層構造体の形状は凹凸部、屈曲部の少ない形状に限定されず、デザインの自由度が大きくなるといった利点も有している。
本発明の多層構造体は、バリア層における酸素吸収性ならびにガスバリア性、および最外層・最内層等におけるガスバリア性の複合効果によって優れた内容物保存性が得られる。本発明の多層構造体は、多層構造体の作製後100時間後の酸素透過率が、0.01[cc/(package・day・0.21atm)]以下であり、0.006[cc/(package・day・0.21atm)]以下であることが好ましく、0.005[cc/(package・day・0.21atm)]以下であることがより好ましく、0.003[cc/(package・day・0.21atm)]以下であることが更に好しく、0.001[cc/(package・day・0.21atm)]以下であることが特に好ましい。多層構造体の作製後100時間後の酸素透過率が0.01[cc/(package・day・0.21atm)]以下であれば、保存初期から内容物の酸化劣化を抑制でき、内容物の保存性に優れる。
ここで「多層構造体の作製後100時間後」とは、多層構造体が最終的な形態に成形された時点を「多層構造体作製後0時間」とし、ここから100時間経過した時点を意味するものとする。例えば、多層構造体がボトル形状である場合、最終的に使用されるボトルの形状に作製された時点から100時間経過後を「多層構造体の作製後100時間後」とし、ボトルの成形においてプリフォームを経由したとしても、プリフォーム作製時は「多層構造体作製後0時間」の起点にはならないものとする。
本発明の多層構造体は、飲料、食品、化粧品及び医薬品等の酸素を嫌う物質を包装するための容器又はその予備成形体などとして適している。例えば、炭酸飲料、ジュース、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料;調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし等の調味料;液体スープ等の液体系食品;各種固体系食品;液状又は固体状の医薬品又は医薬部外品;化粧水、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー等の化粧品などの種々の物品の収納及び保存に好適に用いられる。
また、これらの物品の充填前後に、内容物となる物品に適した形で、多層構造体や内容物の殺菌を施すことが出来る。殺菌方法としては、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、130℃以上の超高温加熱処理等の加熱殺菌、紫外線、マイクロ破、ガンマ線等の電磁波殺菌、エチレンオキサイド等のガス処理、過酸化水素や次亜塩素酸などの薬剤殺菌などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
各実施例及び比較例において、後述するとおり、内層、外層及びバリア層の3層構造を少なくとも一部に有する多層構造体であるプリフォーム及びボトルを作製し、得られたボトルの酸素透過率、耐層間剥離性及び胴部ヘイズについて、以下の方法で測定し評価した。
(1)酸素透過率(OTR)
ASTM D3985に準じて、MOCON法による酸素透過度試験を行った。ボトル作製後100時間経過後の測定にはMOCON社製OX−TRAN2/61を使用した。各実施例及び比較例で得られた500mLのボトルに100mLの水を充填し、酸素分圧0.21atmの条件下で温度23℃、ボトル内部湿度100%RH、外部湿度50%RHにて、ボトル内部に1atmの窒素を20mL/minで流通し、クーロメトリックセンサーにてボトル内部を流通後の窒素中に含まれる酸素を検出することで測定した。数値が低いほど、酸素の透過量が少なく、ガスバリア性に優れていることを示す。
(2)耐層間剥離性
ASTM D2463−95 ProcedureBに基づき、以下の方法に準拠したボトルの落下試験により層間剥離高さ(層間剥離が起こる最小落下距離)を求めた。
まず、各実施例及び比較例で得られたボトルを500mLの着色水で満たし、キャップをした後、5℃で24時間静置した。その後、ボトルを底部が床に接触するよう丸筒を通して所定の高さから垂直落下させた。層間剥離した箇所は白濁様になり目視で区別することができるため、該ボトルの層間剥離の有無を目視で判定した。
なお、一部でも層間剥離したボトルは層間剥離が起こったものとした。落下高さの間隔は15cmずつ増やしていった。テストボトル数は30本とした。
(3)胴部ヘイズ
各実施例及び比較例で得られたボトルについて、内層、バリア層及び外層の3層構造を有する胴部を切り取り、測定部位が剥離していない状態で全層を重ねたまま、JIS K7136に準拠した日本電色工業(株)製「SH7000」(光源として12V/50Wハロゲンランプを使用)を用いて、透過法により測定した。
(4)遷移金属含有量
各実施例及び比較例で得られたボトルについて、内層、バリア層及び外層の3層構造を有する胴部を切り取り、内層、バリア層及び外層に分離後、各層を走査型蛍光X線分析装置ZSX primusII(株式会社リガク製、測定モデル:薄膜、基板:なし)を用いて、各元素のX線強度を測定し、半定量分析ソフト(SQX)を用いて遷移金属元素の含有量を定量した。
<実施例1>
2本の射出シリンダーを有する射出成形機(住友重機械製、型式DU130CI)及び2個取りの金型(Kortec製)を使用して、以下に示した条件で(Y)/(X)/(Y)からなる3層構造を一部に有するプリフォームを製造した。
まず、内層および外層となる層(Y)を構成する材料として、ポリエステル(A1)(イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、日本ユニペット製、商品名「ユニペットBK−2180」))とポリアミド(B1)(ポリメタキシリレンアジパミド(三菱瓦斯化学製、MXナイロンS6007)とを表1に記載の割合でブレンドしてなる樹脂組成物(C)を射出シリンダーから射出し、次いで、バリア層となる層(X)を構成する材料として表1に記載の割合でポリエステル(A1)、ポリアミド(B1)及び遷移金属化合物(ステアリン酸コバルト)をブレンドした樹脂組成物(D)を別の射出シリンダーから、層(Y)を構成する樹脂組成物(C)と同時に射出し、最後に層(Y)を構成する樹脂組成物(C)を必要量射出してキャビティーを満たすことにより、(Y)/(X)/(Y)の3層構造を一部に有するパリソン(27g)を得た。プリフォームの形状は、全長95mm、外径22mm、肉厚4.2mmであった。
スキン側射出シリンダー温度 :280℃
金型内樹脂流路温度 :290℃
金型冷却水温度 :15℃
サイクルタイム :40s
なお、層(X)を構成する材料は、ポリエステル(A1)、ポリアミド(B1)及び遷移金属化合物をブレンドした樹脂混合物(D)を原料としているが、これらの原料は射出成形機内で溶融混練されることによって樹脂組成物(D)となっている。同様に、層(Y)を構成する材料は、ポリエステル樹脂(A1)とポリアミド樹脂(B1)とを含む樹脂混合物(C)を原料としているが、これらの原料が射出成形機内で溶融混練されることにより樹脂組成物(C)となっている。
得られたプリフォームを2軸延伸ブロー成形装置(フロンティア製、型式EFB1000ET)により二軸延伸ブロー成形してペタロイド型ボトルを得た。ボトルの全長は223mm、外径は65mm、内容積は500mLであり、底部はペタロイド形状である。胴部にディンプルは設けなかった。2軸延伸ブロー成形条件は以下に示したとおりである。得られたボトルの総質量に対する層(X)の割合は3質量%であった。
プリフォーム加熱温度:108℃
延伸ロッド用圧力:0.5MPa
一次ブロー圧力:0.7MPa
二次ブロー圧力:2.5MPa
一次ブロー遅延時間:0.34sec
一次ブロー時間:0.30sec
二次ブロー時間:2.0sec
ブロー排気時間:0.6sec
金型温度:30℃
得られたボトルについて作製後100時間経過後の酸素バリア性、層間剥離高さ及び胴部ヘイズを評価し、表1に示した。
<実施例2〜5>
層(Y)を構成する樹脂組成物(C)及び層(X)を構成する樹脂組成物(D)として表1に記載の組成を用いたこと以外は、実施例1と同様にプリフォームを成形し、さらに2次延伸ブローすることによりボトルを得た。得られたボトルについて、作製後100時間経過後の酸素バリア性、層間剥離高さ及び胴部ヘイズを評価し、表1に示した。
<実施例6>
層(Y)を構成する樹脂組成物(C)のうち、ポリエステル(A1)をポリエステル(A2)(ポリエチレンテレフタレート−ナトリウムスルホイソフタレート共重合樹脂、固有粘度=0.8dl/g、ジカルボン酸100モル%に対してイソフタル酸を2.0モル%、および5−スルホイソフタル酸ナトリウムを0.45モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂)に変更し、及び層(X)を構成する樹脂組成物(D)のうち、ポリエステル(A1)をポリエステル(A2)として表1に記載の組成を用いたこと以外は、実施例1と同様にプリフォームを成形し、さらに2次延伸ブローすることによりボトルを得た。得られたボトルについて、作製後100時間経過後の酸素バリア性、層間剥離高さ及び胴部ヘイズを評価し、表1に示した。
<比較例1〜6>
層(Y)を構成する樹脂組成物(C)及び層(X)を構成する樹脂組成物(D)として表2に記載の組成を用いたこと以外は、実施例1と同様にプリフォームを成形し、さらに2次延伸ブローすることによりボトルを得た。得られたボトルについて、作製後100時間経過後の酸素バリア性、層間剥離高さ及び胴部ヘイズを評価し、表2に示した。
Figure 2016198912
Figure 2016198912
表1及び2に示されるとおり、実施例1〜6のボトルは高いバリア性を有しており、層間密着性を示す剥離高さは比較例のものと比べて飛躍的に向上することがわかった。また、胴部ヘイズも許容範囲内であった。一方、比較例1〜6では、層間剥離高さが低いか、バリア性に劣るものであった。
本発明の多層構造体は、高いガスバリア性を有し、落下や外部からの衝撃に対して層間剥離を生じ難く、取扱いが容易である。また、本発明の多層構造体は内容物を安定に保存することができるため、飲料、食品、化粧品及び医薬品等の酸素を嫌う物質を包装するための容器又はその予備成形体として好適に用いられる。
1 内層
2、2A、2B バリア層
3 外層
4 中間層

Claims (10)

  1. 内層、外層、及び、内層と外層との間に位置する少なくとも一層のバリア層を含む多層構造を少なくとも一部に有する多層構造体であって、
    内層及び外層が、それぞれ独立して、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(C)からなり、
    バリア層が、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)1〜97質量%、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)2〜98質量%、及び、遷移金属化合物を含む樹脂組成物(D)からなる、多層構造体。
  2. 樹脂組成物(D)における遷移金属化合物の含有量が、樹脂組成物(D)の全質量に対して、遷移金属換算で、0.001〜1質量%である、請求項1に記載の多層構造体。
  3. ポリアミド(B)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミドである、請求項1又は2に記載の多層構造体。
  4. ポリアミド(B)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70〜99モル%及びイソフタル酸単位を1〜30モル%を含むジカルボン酸単位とを含むポリアミドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層構造体。
  5. ポリエステル(A)が、テレフタル酸単位を80〜99.9モル%及び金属スルホイソフタル酸単位を0.1〜10モル%含むジカルボン酸単位と、エチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層構造体。
  6. 内層/バリア層/外層からなる3層構造を少なくとも一部に有するものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層構造体。
  7. 内層/バリア層/中間層/バリア層/外層からなる5層構造を少なくとも一部に有するものであり、
    中間層が、テレフタル酸単位を80モル%以上含むジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を80モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(A)94〜99.9質量%、及び、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド(B)0.1〜6質量%を含む樹脂組成物(E)からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層構造体。
  8. プリフォームである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層構造体。
  9. プリフォームをホットパリソン法あるいはコールドパリソン法にてブロー成形して得られる容器である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層構造体。
  10. 少なくとも胴部において多層構造を有するものである、請求項8又は9に記載の多層構造体。
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