JP2016197578A - 保護膜形成方法、及び保護膜形成装置 - Google Patents

保護膜形成方法、及び保護膜形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 厚みバラツキが比較的小さい保護膜を有機EL素子上に形成できる方法を提供する。【解決手段】 複数の有機エレクトロルミネッセンス素子が設けられた長尺帯状の基材9を、蒸発装置5が配置された膜形成エリアに搬送する工程と、保護膜形成材料を蒸発装置5から放出することより、有機エレクトロルミネッセンス素子の表面上に保護膜を形成する工程と、を有し、前記膜形成エリアにおいて、有機エレクトロルミネッセンス素子の表面と蒸発装置5との間に、開口8を有するマスク6を配置し、そのマスクの第1開口端面81が、連続した又は段階的な傾斜面81aを有し、且つ、その反対側の第2開口端面82が、連続した又は段階的な傾斜面82aを有し、第1開口端面の傾斜面81aと第2開口端面の傾斜面82aとが、基材側に向かって互いに近づくように傾斜しており、それらの傾斜面のマスク表面に対する傾斜角度が、それぞれ独立して10度〜40度である。【選択図】 図10

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を保護する保護膜の形成方法及びその形成装置に関する。
以下、有機エレクトロルミネッセンスを「有機EL」と記す。
有機EL装置は、基材と、前記基材上に設けられた複数の有機EL素子と、前記複数の有機EL素子の表面上に形成された保護膜と、を有する有機EL装置が知られている(特許文献1)。前記有機EL素子は、端子を有する第1電極と、端子を有する第2電極と、前記両電極の間に設けられた有機層と、を有する。
特許文献1には、かかる有機EL装置の保護膜を、ロールツーロール方式により、薄膜形成法で連続的に形成する方法が開示されている。ロールツーロール方式は、長尺帯状の基材をロールから繰り出し、それを長さ方向に搬送して再びロール状に巻き取るまでの間に、有機EL素子の表面上に保護膜を形成する方式をいう。また、薄膜形成法は、真空下で蒸発させた保護膜形成材料を有機EL素子に付着させることにより、保護膜を形成する方法をいう。薄膜形成法としては、代表的には、真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
前記薄膜形成法にて有機EL素子の表面上に保護膜を形成する場合、保護膜形成材料が、有機EL素子の端子に堆積しないように制御する必要がある。
前記制御として、例えば、所定の開口幅を有する開口が形成されたマスクを、膜形成エリアにおいて蒸発装置と基材との間に配置することが行われる。
具体的には、有機EL素子の有機層の幅よりも大きい開口幅を有するマスクを準備する。このマスクの開口が基材の有機EL素子の有機層の下方に配置されるように、前記マスクを蒸発装置と基材の間に配置する。すると、蒸発装置から放出された保護膜形成材料は、前記開口を通じて有機EL素子の有機層の表面に堆積する一方で、前記マスクが保護膜形成材料の通過を阻むため、有機EL素子の端子の表面に保護膜形成材料が堆積することを防止できる。
このようにマスクを用いれば、そのマスクの開口幅と略同じ幅の保護膜が有機EL素子の有機層に形成される。
しかしながら、前記のようにして得られる保護膜は、厚みバラツキの大きいという問題点がある。
具体的には、上述のように、マスクを用いた場合には、有機EL素子の有機層の表面上に、マスクの開口幅と略同じ幅の保護膜が形成される。しかし、従来の方法では、マスクの幅方向第1側の第1開口端面の付近及びその反対側の第2開口端面の付近に対応する膜厚が、マスクの開口の幅方向中央部に対応する膜厚よりも小さい保護膜が形成される。
膜厚の小さい領域が膜全体に対して占める割合が小さいほど、厚みバラツキの小さい保護膜と言えるが、従来の方法では、このような保護膜を形成することが困難である。
特に、前記有機EL素子の表面と蒸発装置との間の距離が比較的大きい場合には、厚みバラツキの小さい保護膜を形成することがより困難となる。
特開2007−109592号
本発明の目的は、ロールツーロール方式を用いた保護膜の形成方法であって、厚みバラツキが比較的小さい保護膜を有機EL素子上に形成できる方法及びその装置を提供することである。
本発明の保護膜形成方法は、複数の有機EL素子が設けられた長尺帯状の基材を、蒸発装置が配置された膜形成エリアに搬送する工程と、蒸発させた保護膜形成材料を、前記蒸発装置から前記基材の有機EL素子の表面に向かって放出することより、前記有機EL素子の表面上に保護膜を形成する工程と、を有し、前記膜形成エリアにおいて、前記有機EL素子の表面と蒸発装置との間に、蒸発した保護膜形成材料が通過する開口を有するマスクを配置し、そのマスクの、前記基材の幅方向第1側に対応する第1開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、且つ、その反対側に対応する第2開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、前記第1開口端面の傾斜面と第2開口端面の傾斜面とが、前記基材側に向かって互いに近づくように傾斜しており、それらの傾斜面のマスク表面に対する傾斜角度が、それぞれ独立して10度〜40度である。
本発明の好ましい保護膜形成方法は、前記第1開口端面及び第2開口端面のそれぞれが、前記傾斜面とマスク表面の間に介在し且つマスク表面に対して直交した面をさらに有し、その直交面の高さが、それぞれ独立して0.5mm以下である。
本発明の好ましい保護膜形成方法は、前記マスクの線膨張係数が、10ppm/K以下である。
本発明の好ましい保護膜形成方法は、前記マスク表面と有機EL素子の表面との距離が、0を越え1mm以下である。
本発明の別の局面によれば、保護膜形成装置を提供する。
本発明の保護膜形成装置は、複数の有機EL素子が設けられた長尺帯状の基材を、膜形成エリアに搬送する搬送装置と、蒸発させた保護膜形成材料を放出する蒸発装置であって、前記膜形成エリアにおいて前記基材の有機EL素子の表面に対向して配置された蒸発装置と、を有し、前記膜形成エリアにおいて、前記有機EL素子の表面と蒸発装置との間に、蒸発させた保護膜形成材料が通過する開口を有するマスクが介在され、そのマスクの、前記基材の幅方向第1側に対応する第1開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、且つ、その反対側に対応する第2開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、前記第1開口端面の傾斜面と第2開口端面の傾斜面が、前記基材側に向かって互いに近づくように傾斜しており、それらの傾斜面のマスク表面に対する傾斜角度が、それぞれ独立して10度〜40度である。
本発明の保護膜形成方法及びその形成装置によれば、厚みバラツキが小さい保護膜を容易に形成することができる。
第1実施形態の有機EL装置の平面図。 図1のII−II線で切断した拡大断面図。 保護膜を設ける前の有機EL装置(素子付き基材)の平面図。 図3のIV−IV線で切断した拡大断面図。 第2実施形態の有機EL装置の平面図。 第3実施形態の有機EL装置の拡大断面図。 本発明の第1実施形態の保護膜形成装置の概略構成図。 図7のVIII−VIII線で切断した同保護膜形成装置の概略断面図。ただし、蒸発装置、マスク及び素子付き基材のみを断面で表している。 図8の白抜き矢印IX方向から見た保護膜形成装置の概略平面図。 図8の要部拡大断面図(図8の保護膜形成装置のうち、マスク及び基材の周辺を拡大した図)。 図10のマスクの更なる拡大断面図。ただし、幅方向中間部を省略している。 マスクの第1開口端面及び第2開口端面の第1変形例を示す拡大断面図。ただし、幅方向中間部を省略している。 マスクの第1開口端面及び第2開口端面の第2変形例を示す拡大断面図。ただし、幅方向中間部を省略している。 保護膜の形成図8の要部拡大断面図(図8の保護膜形成装置のうち、マスク及び基材の周辺を拡大した図)。 第2実施形態の保護膜形成装置の概略断面図(第2実施形態の保護膜形成装置を図7のVIII−VIII線と同様の箇所で切断した図)。ただし、蒸発装置、マスク及び素子付き基材のみを断面で表している。 図15の白抜き矢印XVI方向から見た保護膜形成装置の概略平面図。 比較例3で使用したマスクの開口端面の形状を示す拡大断面図。ただし、幅方向中間部を省略している。 比較例4で使用したマスクの開口端面の形状を示す拡大断面図。ただし、幅方向中間部を省略している。 実施例及び比較例で作製した保護膜の厚みムラ評価方法の説明図。
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。ただし、各図に表された各部の大きさ、長さ、及び厚みなどの寸法並びに各部の縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
本明細書において、用語の頭に、「第1」、「第2」などを付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。本明細書において、「PPP〜QQQ」という表記は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
[第1実施形態の有機EL装置]
図1及び図2は、第1実施形態に係る有機EL装置Aを示し、図3及び図4は、保護膜を設ける前の有機EL装置を示す。
本発明の有機EL装置Aは、例えば、照明器具などに用いられる発光パネル、画像表示装置などに使用できる。
前記有機EL装置Aは、図1及び図2に示すように、長尺帯状の基材11と、前記基材11の上にその長さ方向に並んで設けられた複数の有機EL素子12と、前記有機EL素子12の上に設けられた保護膜13と、を有する。
前記有機EL素子12は、図3及び図4にも示すように、端子121aを有する第1電極121と、端子122aを有する第2電極122と、前記両電極121,122の間に設けられた有機層123と、を有する。前記有機EL素子12は、基材11の幅方向に1列配置され、その有機EL素子12が基材11の長さ方向に、所要間隔を開けて並べられている。各有機EL素子12は、基材11の長さ方向の直線上に並んで設けられている。隣接する有機EL素子12は、接しておらず、僅かに間隔を有している。なお、基材11の幅方向は、長尺帯状の長さ方向と直交する方向である。基材11の長さ方向は、ロールツーロール方式におけるMD方向であり、基材11の幅方向は、MD方向と直交するTD方向である。前記各有機EL素子12のそれぞれは、図2及び図4に示すように、前記有機層123を基準にして、第1電極121の端子121aが基材11の幅方向第1側に配設され、且つ、第2電極122の端子122aが幅方向第2側に配設されている。各有機EL素子12の電極端子121a,122aは、それぞれ基材11の長さ方向の直線上に並んで設けられている。
図3及び図4に示す有機EL素子12の表面上に、本発明の方法を用いて保護膜13を設けることにより、図1及び図2に示す有機EL装置Aを得ることができる。
前記有機EL装置Aは、長尺帯状の基材11によって複数の有機EL装置が長さ方向に一連に設けられた有機EL装置の集合体でもある。この有機EL装置の集合体を、隣接する有機EL素子12の境界部にて切断することにより、個々の有機EL装置を取り出すことができる。
前記有機EL素子12の有機層123は、発光層を含み、必要に応じて、正孔輸送層及び電子輸送層などの各種機能層を有する。前記第1電極121及び第2電極122の各端子121a,122aは、外部に接続する部分である。第1電極121は、例えば、陽極であり、第2電極122は、陰極である。
保護膜13は、有機EL素子12を保護するための層である。保護膜13は、後述するように、酸素や水蒸気などが有機EL素子12に浸入することを防止する機能を有していてもよく、或いは、酸素や水蒸気などを吸収する機能を有していてもよい。また、保護膜13は、例えば、基材11の長さ方向に所要間隔を開けて並んだ各有機EL素子12に跨がって、基材11の長さ方向に帯状に形成されている。
保護膜13は、第1電極121及び第2電極122の各端子121a,122aを被覆しないように、各有機EL素子12の表面に設けられている。図示例では、保護膜13は、第2電極122の表面及び有機EL素子12の端面を覆うように設けられている。従って、第1電極121及び第2電極122の各端子121a,122aは、露出している。各端子121a,122aを通じて第1電極121及び第2電極122に電気を流すことにより、第1電極121と第2電極122で挟まれた有機層123が発光する。本明細書において、端面は部材又は層の厚みを構成する面をいう。
なお、前記有機EL素子12の表面(つまり有機EL素子12と保護膜13の間)に任意の適切な機能層が設けられていてもよい(図示せず)。或いは、保護膜13の表面に又は基材11の表面若しくは裏面に任意の適切な機能層が設けられていてもよい(図示せず)。
前記基材11は、フレキシブル性を有する。フレキシブルな基板は、ロールに巻くことができる、柔軟なシート状物である。前記基材11は、透明及び不透明の何れでよい。ボトムエミッション型の有機EL装置Aを形成する場合には、透明な基材11が用いられる。前記基材11の形成材料は、特に限定されず、樹脂シート、金属箔又は金属シート、ガラスシートなどが挙げられる。前記樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから形成されたシートが挙げられる。膜形成時の輻射熱を考慮すると、耐熱性が高い樹脂シート、特に、Tg(ガラス転移温度)が高く且つ熱収縮し難い樹脂シートを用いることが好ましい。このような樹脂シートとしては、例えば、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサルファイド、ポリフェニルサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドなどから形成されたシートが挙げられる。
前記金属箔又は金属シートとしては、例えば、ステンレス、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅、及びこれらの合金等などから形成されたシートが挙げられ、好ましくは、ステンレスが用いられる。なお、金属シートなどの導電性シートを基材11として用いる場合には、そのシートの表面(第1電極121が設けられる面)に、適切な絶縁層が設けられる。
基材11の厚みは、特に限定されず、通常、10μm〜200μmであり、好ましくは、40μm〜150μmである。
前記第1電極121(陽極又は陰極)の形成材料は、特に限定されないが、例えば、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウム;金;白金;ニッケル;タングステン;銅;合金;などが挙げられる。第1電極121の厚みは特に限定されないが、通常、0.01μm〜1.0μmである。
前記有機層123は、少なくとも発光層を含み且つ2つ以上の層からなる積層体である。有機層123の構造としては、例えば、(A)正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の、3つの層からなる構造、(B)正孔輸送層及び発光層の、2つの層からなる構造、(C)発光層及び電子輸送層、の2つの層からなる構造、などが挙げられる。
正孔輸送層の形成材料は、正孔輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。正孔輸送層の形成材料としては、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(略称:TcTa)などの芳香族アミン化合物;1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンなどのカルバゾール誘導体;N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9’−スピロビスフルオレン(略称:Spiro−NPB)などのスピロ化合物;高分子化合物;などが挙げられる。
正孔輸送層の厚みは、特に限定されないが、駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜500nmが好ましい。
発光層の形成材料としては、例えば、低分子蛍光発光材料、低分子燐光発光材料などの低分子発光材料を用いることができる。
低分子発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(略称:DPVBi)などの芳香族ジメチリデン化合物;5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾールなどのオキサジアゾール化合物;3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体;1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼンなどのスチリルベンゼン化合物;ベンゾキノン誘導体;ナフトキノン誘導体;アントラキノン誘導体;フルオレノン誘導体;アゾメチン亜鉛錯体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)などの有機金属錯体;などが挙げられる。
また、発光層の形成材料として、ホスト材料中に発光性のドーパント材料をドープしたものを用いてもよい。
前記ホスト材料としては、例えば、上述の低分子発光材料を用いることができ、これ以外に、1,3,5−トリス(カルバゾ−9−イル)ベンゼン(略称:TCP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、2,6−ビス(N−カルバゾリル)ピリジン、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(略称:CPF)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(略称:DMFL−CBP)などのカルバゾール誘導体などを用いることができる。
前記ドーパント材料としては、例えば、スチリル誘導体;ペリレン誘導体;トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)(Ir(ppy))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)(acac))などの有機イリジウム錯体などの燐光発光性金属錯体;などを用いることができる。
発光層の厚みは、特に限定されないが、例えば、2nm〜500nmが好ましい。
電子輸送層の形成材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)などの金属錯体;2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン(略称:Bpy−FOXD)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’'−(1,3,5−フェニレン)−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(略称:TPBi)などの複素芳香族化合物;ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)などの高分子化合物;などが挙げられる。電子輸送層の厚みは、特に限定されないが、駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜500nmが好ましい。
前記第2電極122は、特に限定されないが、トップエミッション型の有機EL装置Aを形成する場合には、透明な第2電極122が用いられる。
前記第2電極122(陰極又は陽極)の形成材料としては、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウムなどの導電性金属を添加した酸化亜鉛(ZnO:Al);マグネシウム−銀合金などが挙げられる。第2電極122の厚みは特に限定されないが、通常、0.01μm〜1.0μmである。
前記保護膜13は、薄膜形成法にて形成される。薄膜形成法としては、代表的には、真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
前記保護膜13の厚みは、特に限定されず、例えば、20nm〜4000nmであり、好ましくは、50nm〜1000nmである。
前記保護膜13の形成材料は、薄膜形成法にて膜形成できる材料であれば特に限定されない。好ましくは、保護膜13は、防湿性及び吸湿性の少なくとも何れか一方を有する材料から形成される。
前記防湿性は、水分を実質的に遮断する性質をいい、吸湿性は、物質がその周りから化学的に水分を吸収する性質をいう。
防湿性を有する保護膜13の形成材料は、特に限定されない。防湿性に優れていることから、その保護膜13の形成材料は、窒素化合物が好ましい。以下、防湿性を有する保護膜を、「防湿保護膜」という場合がある。
前記窒素化合物は、その分子中に窒素原子が含まれている化合物であり、真空蒸着法にて防湿保護膜を形成できることから、含窒素無機化合物が好ましい。
前記含窒素無機化合物としては、金属又は半金属の窒化物、金属又は半金属の酸化窒化物、金属又は半金属の炭化窒化物、金属又は半金属の酸化炭化窒化物などが挙げられる。前記金属としては、上記に例示したようなアルカリ金属、アルカリ土類金属の他、これら以外の金属が挙げられる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属としては、チタン、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、インジウムなどが挙げられる。前記半金属は、金属と非金属の中間の性質を示す物質をいう。前記半金属としては、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、ポロニウム、アスタチンなどが挙げられる。防湿保護膜は、好ましくは、金属又は半金属の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくは、ケイ素の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む。ケイ素の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物は、それぞれ窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素が挙げられる。
防湿保護膜は、前記防湿性を有する窒素化合物のみを実質的に含む場合でもよく、前記窒素化合物以外に、他の化合物を含んでいてもよい。
防湿保護膜の厚みは特に限定されず、例えば、50nm〜2000nmであり、好ましくは、100nm〜1000nmである。
吸湿性を有する保護膜13の形成材料は、特に限定されない。以下、吸湿性を有する保護膜を、「吸湿保護膜」という場合がある。
吸湿保護膜の形成材料としては、ホウ素化合物;硫化化合物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物;などが挙げられる。吸湿保護膜は、前記材料から選ばれる1種又は2種以上を含み、好ましくは、ホウ素化合物又は硫化化合物の少なくとも何れか一方を含む。
前記ホウ素化合物は、その分子中にホウ素原子が含まれている化合物であり、真空蒸着法にて吸湿保護膜を形成できることから、含ホウ素無機化合物が好ましい。前記含ホウ素無機化合物としては、例えば、ホウ素の酸化物、ホウ素の酸素酸、ホウ素の臭化物などが挙げられる。前記ホウ素の酸化物としては、酸化ホウ素(B)が挙げられる。前記ホウ素の酸素酸は、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸又はその塩である。ホウ素の酸素酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。前記ホウ素の臭化物としては、三臭化ホウ素(BBr)が挙げられる。これらの中では、吸湿性に優れていることから、酸化ホウ素が好ましい。また、酸化ホウ素は、透明性にも優れているので、トップエミッション型の有機EL装置Aの吸湿保護膜の形成材料として好適である。
前記硫化化合物は、その分子中に硫黄原子が含まれている化合物であり、真空蒸着法にて吸湿保護膜を形成できることから、含硫黄無機化合物が好ましい。前記含硫黄無機化合物としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属などの硫化物が挙げられる。前記硫化物としては、硫化炭素、硫化亜鉛などが挙げられる。
前記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属の酸化物としては、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属の酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属などのフッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属などの硫酸塩としては、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属などのハロゲン化物としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属などのリン酸塩としては、リン酸カルシウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属などの過塩素酸塩としては、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物を形成材料として用いた場合には、例えば、その酸化物を蒸着源として真空蒸着する方法、或いは、酸素ガス導入下でアルカリ金属又はアルカリ土類金属を蒸着源として真空蒸着する方法などによって、吸湿保護膜を形成することが考えられる。しかし、前者の方法は困難であり、後者の方法は、酸素ガスの存在により、有機EL素子12が劣化するおそれがある。この点、ホウ素化合物及び硫化化合物は、ホウ素化合物及び硫化化合物を真空蒸着して吸湿保護膜を容易に形成でき、吸湿保護膜の形成時に有機EL素子12の劣化も生じ難い。このような理由から、吸湿保護膜の形成材料としては、ホウ素化合物又は硫化化合物を用いることが好ましい。
吸湿保護膜は、前記防湿性を有する化合物のみを実質的に含む場合でもよく、それ以外に、他の化合物を含んでいてもよい。本明細書で「XXXのみを実質的に含む」とは、不可避的に含まれる程度の微量の成分(XXX以外の成分)の混入は許容され、有意な量の混入は除外されるという意味である。
吸湿保護膜が防湿性を有する化合物と他の化合物を含む場合、防湿性を有する化合物の量は、特に限定されないが、例えば、吸湿保護膜全体に対して、50質量%以上100質量%未満であり、好ましくは60質量%〜99質量%であり、より好ましくは、80質量%〜99質量%である。
吸湿保護膜の厚みは特に限定されず、例えば、20nm〜1000nmであり、好ましくは、300nm〜500nmである。
[第2実施形態の有機EL装置]
上記第1実施形態では、保護膜13が各有機EL素子12に跨がって形成されているが、例えば、図5に示すように、保護膜13が各有機EL素子12のそれぞれに独立して形成された有機EL装置Bでもよい。
[第3実施形態の有機EL装置]
また、上記第1実施形態では、保護膜13は1層で構成されているが、例えば、保護膜13が2層以上で構成されていてもよい。
例えば、図6に、2層の保護膜131,132(第1保護膜131及び第2保護膜132)が有機EL素子12の表面上に設けられた有機EL装置Cを示す。
図6において、第1保護膜131は、前記有機EL素子12の上に設けられ、第2保護膜132は、第1保護膜131の表面上に設けられている。
第1保護膜131は、第1電極121及び第2電極122の各端子121a,122aを被覆しないように、第2電極122の表面及び有機EL素子12の端面を覆うように設けられている。第2保護膜132は、第1保護膜131の表面及びその端面を覆うように設けられている。
例えば、第1保護膜131を吸湿保護膜とし、第2保護膜132を防湿保護膜とすることにより、水分劣化し難い有機EL装置Cを構成できる。
[第1実施形態の保護膜形成装置]
図7は、本発明の第1実施形態に係る保護膜形成装置の概略構成図であり、図8は、同保護膜形成装置を幅方向で切断した概略断面図であり、図9は、同保護膜形成装置の概略平面図であり、図10は、図8の一部を拡大した概略断面図である。ただし、図9においては、キャンロールを省略し、また、基材を二点鎖線で表し且つ蒸発装置を一点鎖線で表している。
図7乃至図10において、保護膜形成装置3は、内部が真空とされた真空チャンバー4と、前記真空チャンバー4内に配置された蒸発装置5と、前記蒸発装置5に対向して配置され且つ有機EL素子が形成された長尺帯状の基材9と、前記基材9を搬送する搬送装置と、前記基材9の有機EL素子の表面と蒸発装置5との間に介在されたマスク6と、を有する。
この保護膜形成装置3は、ロールツーロール方式で保護膜を連続的に形成する。
前記長尺帯状の基材9の表面には、有機EL素子12が形成されている。つまり、この基材9は、図3及び図4に示す、その長さ方向に所要間隔を開けて複数の有機EL素子が形成された基材である。以下、有機EL素子が形成された基材9を、「素子付き基材9」という場合がある。
前記長尺帯状の基材9の長さ(長さ方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば、10m以上であり、好ましくは30m以上であり、より好ましくは50m以上であり、その上限は、例えば、3000m以下であり、好ましくは2000m以下であり、より好ましくは1000m以下である。また、前記長尺帯状の基材9の幅(幅方向の長さ)も特に限定されないが、例えば、5mm以上であり、好ましくは8mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、その上限は、例えば、500mm以下であり、好ましくは400mm以下であり、より好ましくは300mm以下である。
真空チャンバー4には、真空ポンプ(図示せず)が具備されている。真空ポンプにより、真空チャンバー4内の真空度を任意に調整できる。真空チャンバー4の内部には、素子付き基材9を搬送する搬送装置が設けられている。搬送装置は、素子付き基材9を膜形成エリアに搬送する。搬送装置は、例えば、第1ロール71と、キャンロール73と、第2ロール72と、を有する。長尺帯状の素子付き基材9は、第1ロール71から、キャンロール73を周回し、第2ロール72へと搬送される。図7に、素子付き基材9の搬送方向を矢印で示す。従って、素子付き基材9は、搬送装置によって、その長さ方向に送られる。
真空チャンバー4は、例えば、隔壁43を介して2つの室41,42(第1室41及び第2室42)に区画されている。第1室41には、第1ロール71及び第2ロール72が配置され、第2室42には、キャンロール73が配置されている。前記第2室42は、膜形成エリアを構成している。搬送装置は、基材9を蒸発装置5の具備された膜形成エリアに搬送する。
膜形成エリアには、必要に応じて、水晶振動子などの膜厚モニター(図示せず)を設けてもよい。また、必要に応じて、真空チャンバー4には、反応ガスを供給する反応ガス供給装置(図示せず)を設けてもよい。なお、真空チャンバー4は、第1室41及び第2室42の2つの室に区画されている場合に限定されず、1つの室で構成されていてもよいし、3つ以上の室に区画されていてもよい。
第1ロール71から送り出された素子付き基材9は、その長さ方向(MD方向の下流側)に搬送される。素子付き基材9は、有機EL素子が形成された面とは反対側の面をキャンロール73の表面に接しながら第2室42の膜形成エリアを通過した後、第2ロール72に巻き取られる。素子付き基材9がキャンロール73の表面(膜形成エリア)を通過している間に、蒸発装置5から放出された保護膜形成材料がそれに堆積して、素子付き基材9の有機EL素子の表面に保護膜が形成される。
前記膜形成エリアである第2室42内には、前記蒸発装置5と、マスク6と、が設けられている。なお、蒸発は、材料が気化又は昇華することをいう。
前記蒸発装置5は、蒸発した保護膜形成材料が有機EL素子の表面に対して略直交する方向に衝突するように、素子付き基材9の表面に対向配置されている。例えば、前記蒸発装置5は、第2室42の底部に取り付けられている。
前記蒸発装置5は、保護膜形成材料を収容する容器53と、前記容器53に収容された保護膜形成材料を蒸発させる蒸発手段(図示せず)と、を有する。
前記蒸発手段は、形成材料などに応じて適宜選定できる。真空蒸着法にて保護膜を形成する場合には、蒸発手段として、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの加熱手段が用いられる。必要に応じて、プラズマガンなどでプラズマを発生させながら、保護膜形成材料を蒸発させてもよい。また、スパッタ法にて保護膜を形成する場合には、材料(ターゲット)に電圧をかける印加手段が用いられる。また、酸化物、窒化物、酸化窒化物などからなる保護膜を形成する場合には、それらの種類に応じて、酸素ガスなどの反応ガスがチャンバー内に供給される。
前記容器53内に収容される保護膜形成材料は、形成予定の保護膜の種類に応じて、適宜選択される。例えば、含ホウ素無機化合物からなる保護膜を形成する場合には、保護膜形成材料として、酸化ホウ素などが用いられる。また、ケイ素の酸化窒化物などからなる保護膜を形成する場合には、保護膜形成材料としてケイ素と反応ガスとしてNOガスなどが用いられる。
前記蒸発装置5は、膜形成エリアに搬送される素子付き基材9の有機EL素子の表面に対向して配置されている。従って、蒸発装置5から蒸発した保護膜形成材料は、後述するマスク6の開口8を通過して素子付き基材9の有機EL素子12の表面に堆積する。
前記膜形成エリアにおいて、前記有機EL素子12の表面と蒸発装置5との間の距離L1は、特に限定されず、適宜設定できる。本発明によれば、蒸発装置5が有機EL素子12の表面から比較的離れて配置されている場合でも、厚みバラツキの小さい保護膜を形成できる。前記有機EL素子12の表面と蒸発装置5との間の距離L1は、例えば、50mm以上である。また、前記距離L1の上限は、実用上の観点から、1000mm以下である。もっとも、本発明は、前記有機EL素子12の表面と蒸発装置5との間の距離L1を、前記のような比較的大きく設定する場合に限られない。例えば、前記距離L1を、2mm〜10mm程度に設定してもよく、10mmを越え〜50mm未満に設定してもよい。
次に、マスク6は、素子付き基材9と蒸発装置5の間に設けられている。前記マスク6は、例えば、板状の部材から形成されている。マスク6の形成材料は、特に限定されず、通常、ステンレスなどの金属材料が用いられる。
マスク6の線膨張係数は、特に限定されないが、例えば、10ppm/K以下であり、好ましくは7ppm/K以下であり、より好ましくは5ppm/K以下であり、さらに好ましくは3ppm/K以下であり、最も好ましくは2ppm/K以下である。
ただし、前記線膨張係数は、JIS Z 2285(2003年、金属材料の線膨張係数の測定方法)に準じて測定される値である。
前記のような線膨張係数を有する材料を用いることにより、成膜時にマスク6が変形し難くなり、マスク表面6aと有機EL素子12の表面との距離(設定距離)を安定的に維持できる。
前記マスク6は、素子付き基材9と蒸発装置5の上端との間の中間点に配置されていてもよいし、基材寄り又は蒸発装置寄りに配置されていてもよい。好ましくは、マスク6は、有機EL素子12の表面に接しない程度で、基材寄りに配置される。
マスク表面6aと素子付き基材9の有機EL素子12の表面との距離L2は、適宜設定できるが、マスク表面6aと有機EL素子12の間に保護膜形成材料が入り込み難くなることから、前記距離L2は、出来るだけ小さいことが好ましい。かかる観点から、前記マスク表面6aと素子付き基材9の有機EL素子12の表面との距離L2は、例えば、0を越え〜2mmであり、好ましくは、0.01mm〜1.5mmであり、より好ましくは、0.02mm〜1.0mmである。
前記マスク表面6aと有機EL素子12の表面との距離L2は、図10に示すように、マスク表面6aのうち基材9に対向する面と有機EL素子12の表面との間の長さをいう。
また、マスク6の肉厚H6は、特に限定されず、適宜設定できる。マスク6の肉厚H6は、例えば、1mm〜10mmであり、好ましくは1mm〜5mmであり、より好ましくは1mm〜4mmである。
前記マスク6は、開口8を有する。前記開口8は、例えば、マスク6を構成する板状の部材の面内に形成されている。マスク6は、図7に示すように、キャンロール73の周面形状に沿った湾曲状部分を有する板状の部材から形成されている。もっとも、マスクは、平坦状の板状の部材から形成されていてもよい(図示せず)。
前記マスク6の開口8は、図9に示すように、4つの板状部61,62,63,64のそれぞれの端面で囲われた部分である。マスク6は、概念上、端面を有する第1板状部61、端面を有する第2板状部62、端面を有する第3板状部63及び端面を有する第4板状部64から構成されている。概念上、それらの端面にて開口8を形成するように、第1乃至第4板状部61,62,63,64を組み合わすことにより、マスク6が構成されている。なお、実際のマスク6は、1枚の板状の部材を打ち抜き加工又は切削加工して開口を形成することによって得ることができ、或いは、複数枚の板状の部材を組み合わせて開口を形成することによって得ることもできる。
例えば、開口8は、図9に示すように、平面視矩形状である。前記第1板状部61の端面は、基材9の幅方向第1側に対応する端面81(以下、第1開口端面81という)であり、第2板状部62の端面は、その反対側(基材9の幅方向第2側)に対応する端面82(以下、第2開口端面82という)であり、第3板状部の端面は、基材9の長さ方向第1側に対応する端面83(以下、第3開口端面83という)であり、第4板状部の端面は、その反対側(基材9の長さ方向第2側)に対応する端面84(以下、第4開口端面84という)である。これらの第1乃至第4開口端面81,82,83,84は、マスク6の開口8を画成している。
第1及び第2開口端面81,82は、図9に示すように、マスク6の開口8に臨んでおり、それぞれ基材9の長さ方向に延びている。第3及び第4開口端面83,84は、マスク6の開口8に臨んでおり、それぞれ基材9の幅方向に延びている。第1開口端面81と第2開口端面82は、基材9の幅方向において互いに対向しており、第3開口端面83と第4開口端面84は、基材9の長さ方向において互いに対向している。図9において、開口8を判り易く図示するため、開口の範囲に無数のドットを付加している。
前記第1開口端面81は、図10及び図11に示すように、連続した傾斜面81aを有し、その反対側に対応する第2開口端面82も、連続した傾斜面82aを有する。前記第1開口端面81の傾斜面81aと第2開口端面82の傾斜面82aとは、前記基材9側に向かって互いに近づくように傾斜している。つまり、前記第1開口端面81の傾斜面81aと第2開口端面82の傾斜面82aとは、傾斜方向が反対である。また、第1開口端面81は、マスク表面6aに対して直交した面81b(直交面)をさらに有し、その直交面81bは、傾斜面81aとマスク表面6aの間に介在している。第2開口端面82も同様に、マスク表面6aに対して直交した面82b(直交面)をさらに有し、その直交面82bは、傾斜面82aとマスク表面6aの間に介在している。
第1及び第2開口端面81,82は、前記傾斜面81a,82aを有するので、マスク6の開口幅W6は、基材9側に向かうに従って短くなり、その開口幅W6は直交面81b,82b間で最小となっている。
成膜時、素子付き基材9の表面には、このマスク6の開口幅W6の最小(第1開口端面81の直交面81bと第2開口端面82の直交面82b)と略同じ幅の保護膜が形成される。
前記第1開口端面81の傾斜面81aの、マスク表面6aに対する傾斜角度αは、10度〜40度に設定され、好ましくは15度〜35度、より好ましくは15度〜30度に設定される。前記第2開口端面82の傾斜面82aの、マスク表面6aに対する傾斜角度βは、10度〜40度に設定され、好ましくは15度〜35度、より好ましくは15度〜30度に設定される。このような傾斜角度の傾斜面を有することにより、厚みバラツキが小さい保護膜を素子付き基材9に形成できる。
また、前記第1開口端面81の直交面81b及び第2開口端面82の直交面82bの高さH,Hは、それぞれ特に限定されないが、厚みバラツキが小さい保護膜を形成する観点から、できるだけ小さいことが好ましい。前記第1開口端面81の直交面81b及び第2開口端面82の直交面82bの高さH,Hは、それぞれ独立して0.5mm以下であり、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.25mm以下であり、さらに好ましくは0.2mm以下であり、特に好ましくは0.1mm以下である。
第1開口端面81と第2開口端面82は、図10に示すように、左右対称形であることが好ましいが、対称形でなくてもよい。
前記マスク6の第1板状部61及び第2板状部62が、図示のように、素子付き基材9の端子に被さるようにして、前記マスク6は、固定部69(固定部69は、図7及び図8参照)に取り付けられている。前記「被さる」は、マスク表面6aに対して鉛直方向から見て重なっているという意味である。前記固定部69は、真空チャンバー4の構造フレームなどの躯体部に取り付けられている。
なお、上記マスク6は、第1開口端面81及び第2開口端面82の傾斜面81a,82aがそれぞれ連続した傾斜面からなるが、例えば、図12に示すように、第1開口端面81及び第2開口端面82の傾斜面81c,82cが、段階的な傾斜面であってもよい。この段階的な傾斜面81c,82cは、マスク裏面6bとマスク表面6aの間に3つ以上の頂角点P(好ましくは5つ以上の頂角点P)を有する階段状になっている。段階的な傾斜面81c,82cは、前記各頂角点Pを結んだ仮想線と観念できる。図12にその仮想線を一点鎖線で示す。段階的な傾斜面81c,82cの、マスク表面6aに対する傾斜角度は、上記と同様に、10度〜40度に設定され、好ましくは15度〜35度、より好ましくは15度〜30度に設定される。
なお、前記階段状の段差が可及的に小さくなり且つ前記頂角点が無数に存在するものが連続した傾斜面と言える。
また、上記マスク6は、第1開口端面81及び第2開口端面82がそれぞれ直交面81b,82bを有するが、例えば、図13に示すように、第1開口端面81及び第2開口端面82が、直交面を有さず、傾斜面81a,82aのみから構成されていてもよい。この場合、傾斜面81aとマスク表面6a及び傾斜面82aとマスク表面6aは、それぞれ直接的に連設される。
[本発明の保護膜形成方法]
本発明の保護膜形成方法は、ロールツーロール方式を用いて行われる。
その形成方法は、複数の有機EL素子が設けられた長尺帯状の基材を、膜形成エリアに搬送する工程と、蒸発させた保護膜形成材料を、前記膜形成エリアの蒸発装置から前記基材の有機EL素子の表面に向かって放出することより、前記有機EL素子の表面上に保護膜を形成する工程と、を有する。
前記膜形成エリアにおいて、前記有機EL素子の表面と蒸発装置との間に、蒸発した保護膜形成材料が通過する開口を有するマスクが配置される。そのマスクの、前記基材の幅方向第1側に対応する第1開口端面は、連続した又は段階的な傾斜面を有し、且つ、その反対側に対応する第2開口端面は、連続した又は段階的な傾斜面を有する。前記第1開口端面の傾斜面と第2開口端面の傾斜面とは、前記基材側に向かって互いに近づくように傾斜しており、それらの傾斜面のマスク表面に対する傾斜角度が、それぞれ10度〜40度である。
上記図3及び図4に示すような、長尺帯状の素子付き基材は、長尺帯状の基材11の長さ方向に順次有機EL素子12を形成することに得ることができるが、この素子付き基材の形成は、通常、ロールツーロール方式で行われる。
本発明の保護膜形成方法は、前記ロールツーロール方式にて得られた素子付き基材を、一旦ロールに巻き取った後に行ってもよく、或いは、前記素子付き基材を形成した後(ロールに巻き取らず)それに続けて行ってもよい。
本発明の保護膜形成方法は、図7乃至図10に示すような保護膜形成装置3を用いて実施できる。
真空ポンプを作動させ、真空チャンバー4内を真空にする。真空チャンバー4内の真空度は、特に限定されず、例えば、1Pa以下であり、好ましくは1×10−5Pa〜1×10−1Paである。蒸発装置5の蒸発手段により、容器53内の保護膜形成材料を蒸発させ、必要に応じて、プラズマの発生や反応ガスの封入などを行う。これらの諸条件は、従来の薄膜形成法に準じて適宜設定される。
搬送装置にて素子付き基材9を膜形成エリアに搬送する。素子付き基材9の搬送速度は特に限定されず、例えば、1m/分〜20m/分である。
膜形成エリアに配置された蒸発装置5から蒸発した保護膜形成材料を素子付き基材9の有機EL素子12の表面に向かって放出させる。放出された保護膜形成材料は、マスク6の開口8を通過して有機EL素子12の表面に堆積する。なお、保護膜形成材料は、マスク6(第1乃至第4板状部61,62,63,64)に遮られるので、有機EL素子12のうちマスク6が被さっている部分には、保護膜が形成されない。
搬送装置にて素子付き基材9を長さ方向に送っている間中、保護膜形成材料が有機EL素子12の表面に堆積し、マスク6の開口幅W6と略同じ幅の保護膜が有機EL素子12上に形成される。
成膜速度は、特に限定されず、例えば、0.5nm〜100nm/秒である。
本発明の保護膜形成方法及び形成装置を用いれば、厚みバラツキが小さい保護膜を形成できる。この理由は、明確ではないが、本発明者は次のように推定している。
成膜時、蒸発した保護膜形成材料は、あらゆる方向からマスクの開口を通過して有機EL素子の表面に堆積すると考えられる。つまり、図14に示すように、保護膜形成材料は、有機EL素子の表面に対して直交する方向、及び、その表面に対して直交する方向以外の方向(以下、傾め方向という)からマスクの開口に進入し、有機EL素子の表面に堆積すると考えられる。図14の矢印は、斜め方向に進行する保護膜形成材料を示す。上記マスクは、開口端面が傾斜面を有するので、斜め方向に進行する保護膜形成材料がマスクによって遮られ難くなる。また、2つの傾斜面は、基材側に向かって互いに近づくように傾斜しているので、保護膜形成材料が、開口の中央部だけでなく開口の角部付近にも進行するようになる。その結果、幅方向における厚みバラツキの小さい保護膜が形成されると推定される。
特に、線膨張係数が10ppm/K以下のマスクを用いた場合には、成膜時の熱によってマスクが変形し難くなるので、より厚みバラツキが小さい保護膜(略均一な保護膜)を形成できる。さらに、端面に直交面を有し且つその直交面の高さが0.5mm以下のマスクを用いた場合には、成膜時の熱によって開口の角部付近が変形し難くなるので、より厚みバラツキが小さい保護膜(略均一な保護膜)を形成できる。
なお、傾斜面が10度〜40度である場合に、厚みバラツキが小さい保護膜を形成でき、傾斜角度が大き過ぎても小さすぎてもこのような保護膜を形成できない。これは、後述する実施例によって実証されている。このように傾斜面の傾斜角度が保護膜の膜厚形成に影響を与えることは予期できず、本発明者が初めて見出した事項である。
また、蒸発装置が有機EL素子の表面から離れるに従い(つまり、蒸発装置と有機EL素子の表面との距離が大きくなるに従い)、その素子の表面に対して斜め方向からマスクの開口に進入する保護膜形成材料の割合が多くなると考えられる。本発明の方法によれば、上述のように、斜め方向に進入する保護膜形成材料がマスクによって遮られ難いので、蒸発装置と有機EL素子の表面との距離が比較的大きい場合(例えば、距離L1が50mm以上など)でも、厚みバラツキの小さい保護膜を形成できる。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、前記マスク6の開口8は、4つの板状部61,62,63,64のそれぞれの端面で囲われた部分から形成されているが、これに限定されない。開口は、第1開口端面と第2開口端面との間に形成されていればよい。
具体的には、図15は、第2実施形態の保護膜形成装置の概略断面図を示し、図16は、それを下方側から見た概略平面図である。なお、図15は、第2実施形態の保護膜形成装置を、図7のVIII−VIII線と同様の箇所で切断した断面図である。ただし、図16においては、キャンロールを省略し、また、基材を二点鎖線で表し且つ蒸発装置を一点鎖線で表している。
図15及び図16において、本実施形態のマスク6の開口8は、2つの板状部61,62の端面が向かい合った範囲内に形成されている。第1板状部61の端面は、基材9の幅方向第1側に対応する第1開口端面81であり、第2板状部62の端面は、その反対側に対応する第2開口端面82である。第1開口端面81と第2開口端面82は、基材の幅方向において向かい合い、それぞれ基材の長さ方向に延びている。
マスク6の開口8は、第1開口端面81と第2開口端面82の間で画成されている。本実施形態の開口8は、基材の長さ方向において開放されている点で、上記第1実施形態と異なる。
本実施形態においても、第1開口端面81と第2開口端面82がそれぞれ傾斜面を有していることなどは上記第1実施形態と同様である。図15及び図16に、上記第1実施形態と同様の構成を示す箇所に同じ符号を付している。
以下、実施例を示して本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、下記実施例のみに限定されない。
[実施例1]
マスクは、Ni含有量が35質量%のインバー(不変鋼)を用いて形成した。この金属の線膨張係数は、1ppm/Kである。この線膨張係数は、JIS Z 2285に準じて測定される値である。
前記材料を厚み3mmの板体に形成し、その板体の面内に開口を形成することにより、図10及び図11に示すような、直交面及び連続した傾斜面を有するマスクを作製した。 図10及び図11を参照して、このマスク6の肉厚H6は、3mmで、その直交面81b,82bの高さHは、0.1mm、各傾斜面81a,82aの傾斜角度α,βは、30度に設定した。
このマスクを、図7及び図8に示すように、形成装置の所定位置に配置した。
他方、図3及び図4に示すような、長尺帯状の基材の長手方向に、端子を有する第1電極、有機層及び端子を有する第2電極からなる有機EL素子が形成された素子付き基材を準備した。
この素子付き基材を、形成装置の第1ロールにセットし、この素子付き基材をキャンロールに送り、有機EL素子の表面(ただし、端子を除く)に、保護膜として設定厚み200nmのSiON(酸化窒化ケイ素)を形成した。
前記SiONは、プラズマ真空蒸着法にて成膜し、プラズマ源として圧力勾配型プラズマガンを用い、蒸着源としてケイ素粒子を用い、反応ガスとして酸素及び窒素の混合ガスを用い、蒸着速度1nm/秒で行った。
<蒸着条件>
基材:幅50mm、長さ50m、厚み0.05mmのステンレス基材。
基材の搬送速度:1m/分。
真空チャンバー内の真空度:0.1Pa。
成膜速度:150nm/秒。
有機EL素子の表面と蒸発装置との間の距離:600mm。
マスク表面と有機EL素子の表面との距離:0.5mm。
[実施例2]
マスクの形成材料を、Ni含有量が30質量%のインバー(不変鋼。線膨張係数:5ppm/K)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。
[実施例3]
マスクの傾斜面の傾斜角度を、20度に変えたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。
[実施例4]
マスクの形成材料を、ステンレス(線膨張係数:20ppm/K)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。
[実施例5]
マスクの直交面の高さを、0.3mmに変えたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。
[比較例1]
マスクの傾斜面の傾斜角度を、45度に変えたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。
[比較例2]
マスクの傾斜面の傾斜角度を、60度に変えたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。
[比較例3]
図17に示すように、マスクの開口端面の形状を、直交面としたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。なお、比較例3のマスクの肉厚は、実施例1と同じ3mmである。
[比較例4]
図18に示すように、マスクの開口端面の形状を、2つの直交面としたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。比較例4のマスクの開口端面の形状は、左右対称形である。
[比較例5]
マスクの肉厚を、0.1mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。比較例5のマスクは、肉厚が0.1mmである点で図17に示す比較例3のマスクと異なっている。
なお、実施例1乃至5及び比較例1乃至5の各マスクの開口幅は、同じとした。
[保護膜の厚みの評価]
各実施例及び比較例で得られた保護膜について、その幅方向における厚みを計測した。なお、前記厚みは、触針式膜厚計(ブルカー社製、商品名「Dektak」)を用いて測定した。
図19に示すように、保護膜の中央部の膜厚に対して、0.7倍以下の膜厚となる範囲の幅(mm)を、保護膜の左端から計測した。そして、保護膜の全幅(mm)を計測し、下記式から、厚みムラの割合を算出した。その結果を、表1に示す。
厚みムラの割合=(中央部の膜厚の0.7倍以下の幅÷保護膜の全幅)×100。
Figure 2016197578
[評価]
実施例1乃至5のように、傾斜面の傾斜角度が30度以下であるマスクを使用した場合、厚みバラツキの小さい保護膜を形成できた。比較例1のように、傾斜角度が45度のマスクを使用した場合には、厚みバラツキの大きい保護膜が形成された。このことから、傾斜面の傾斜角度が40度以下の場合には、厚みバラツキの小さい保護膜を形成できると考えられる。また、実施例2と実施例4との対比から、線膨張計数が10ppm/K以下のマスクを使用した場合には、より厚みバラツキの小さい保護膜を形成できることが判る。また、実施例1と実施例5の対比から、直交面の高さが0.25mm以下のマスクを使用した場合には、より厚みバラツキの小さい保護膜を形成できることが判る。
A,B,C 有機EL装置
11 基材
12 有機EL素子
13 保護膜
3 保護膜形成装置
5 蒸発装置
6 マスク
8 マスクの開口
81 マスクの第1開口端面
82 マスクの第2開口端面
81a,82a 傾斜面
81b,82b 直交面
9 素子付き基材

Claims (5)

  1. 複数の有機エレクトロルミネッセンス素子が設けられた長尺帯状の基材を、蒸発装置が配置された膜形成エリアに搬送する工程と、
    蒸発させた保護膜形成材料を、前記蒸発装置から前記基材の有機エレクトロルミネッセンス素子の表面に向かって放出することより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の表面上に保護膜を形成する工程と、を有し、
    前記膜形成エリアにおいて、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の表面と蒸発装置との間に、蒸発した保護膜形成材料が通過する開口を有するマスクを配置し、
    そのマスクの、前記基材の幅方向第1側に対応する第1開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、且つ、その反対側に対応する第2開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、
    前記第1開口端面の傾斜面と第2開口端面の傾斜面とが、前記基材側に向かって互いに近づくように傾斜しており、それらの傾斜面のマスク表面に対する傾斜角度が、それぞれ独立して10度〜40度である、ロールツーロール方式を用いた有機エレクトロルミネッセンス装置の保護膜形成方法。
  2. 前記第1開口端面及び第2開口端面のそれぞれが、前記傾斜面とマスク表面の間に介在し且つマスク表面に対して直交した面をさらに有し、その直交面の高さが、それぞれ独立して0.5mm以下である、請求項1に記載の保護膜形成方法。
  3. 前記マスクの線膨張係数が、10ppm/K以下である、請求項1または2に記載の保護膜形成方法。
  4. 前記マスク表面と有機エレクトロルミネッセンス素子の表面との距離が、0を越え1mm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の保護膜形成方法。
  5. 複数の有機エレクトロルミネッセンス素子が設けられた長尺帯状の基材を、膜形成エリアに搬送する搬送装置と、
    蒸発させた保護膜形成材料を放出する蒸発装置であって、前記膜形成エリアにおいて前記基材の有機エレクトロルミネッセンス素子の表面に対向して配置された蒸発装置と、を有し、
    前記膜形成エリアにおいて、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の表面と蒸発装置との間に、蒸発させた保護膜形成材料が通過する開口を有するマスクが介在され、
    そのマスクの、前記基材の幅方向第1側に対応する第1開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、且つ、その反対側に対応する第2開口端面が、連続した又は段階的な傾斜面を有し、
    前記第1開口端面の傾斜面と第2開口端面の傾斜面が、前記基材側に向かって互いに近づくように傾斜しており、それらの傾斜面のマスク表面に対する傾斜角度が、それぞれ独立して10度〜40度である、保護膜形成装置。
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