JP2016196176A - 溶融ポリマー用濾過フィルターと、それを用いた濾過装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘性の高い溶融ポリマーの濾過フィルターとこれを用いた濾過装置の提供する。【解決手段】積層濾材1と濾材1に掛かる濾過圧を面状に支持する支持板2を備えるリーフフィルターであって、微細多孔質構造をなす金属長繊維の不織布層(Fw)と、その下流側に配置され、直状の金属短繊維でなる分散処理層(Fs)を備え、不織布層(Fw)は、その最もファインな空孔を持つ層が、濾過精度:0.5〜15μm、空隙率:60〜75%の微細空孔で、かつその全不織布層の全体厚さ0.2〜1.5mmを備え、分散処理層(Fs)は、立体三次元でかつ最もファインな層より粗大な空孔径と、0.3〜1.50倍の構成厚さを備えるとともに、目付量300〜800g/m2の金属短繊維のランダム配置によって構成され、流動抵抗:520〜1500paの流動特性を備える溶融ポリマー用の濾過フィルターと、濾過装置。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルム等のプラスチック製品の原料として使用される溶融状態のポリマー(以下、単にポリマーとも言う。)中に混在する粒子状異物やゲル状変性物(以下、ゲルとも言う。)を分離除去し、清浄な樹脂フィルム製品を提供する濾過フィルターとこれを用いた濾過装置に関する。
この種のポリマー用濾過フィルターとしては、従来から種々形態のフィルター製品が採用され、例えばフィルム用としては、所定の濾過特性を備えるドーナツ盤状の焼結濾材の2枚を重ね合わせ、か
ーエレメントがある。
そして、そのフィルターエレメンとの前記濾材には、例えば、線径が数乃至数10μm程度の微細繊維径を持つ金属繊維材料を用いて綿状にした金属製不織布の焼結体、また必要に応じてその何れか乃至両面側に比較的目開きの大な保護メッシュ等を配して一体に加圧焼結した焼結濾材が多用されている。この不織布焼結体は、比較的高い空隙率とゲルの捕捉効果に優れることから、細かい粒子状異物やゲル状物をより効果的に捕捉除去するフィルター効果を備えるものとされている。(特許文献1)
また前記不織布焼結体は、被処理流体の種類や処理条件によって、その繊維径や空隙率、目付量などが適宜設定されるが、一般的に金属繊維の繊維径を細くして、より緻密に成形することで空孔は微細化し、高性能フィルターとなる。しかし、それに伴って圧力損失が上昇し、濾過効率に影響を及ぼすことから、例えば空孔径の異なる複数の不織布層を適宜積層した多層構造の濾材が有効とされるが、その被処理流体は粘性の非常に高い溶融ポリマーである為、その濾過処理は例えば200MPa程度の圧力を加えた高圧濾過で行われる。
このような積層濾材では、不規則かつ複雑な流路を備えるとともに、例えばその積層境界部では空孔精度が急激に変化することから、前記高圧濾過により高粘性の溶融ポリマーを濾過する場合、該濾材層の境界部分では対流現象を誘発しやすく、新たなゲル状物が発生するという問題がある。
このように、濾過処理に伴い新たに発生するゲルを抑制するものとして、例えば特許文献2は、熱可塑性樹脂を押出機で溶融し、濾過フィルターで濾過後、口金より吐出させキャスティングドラム上で冷却固化し、フィルムを製造する方法を開示している。またその濾過フィルターについて、前記所定の濾過精度および/または空隙率を持つ2種以上を積層した積層濾材で構成すること、その最下流の濾材は濾過精度が20μm以下で、かつ該樹脂流れ方向最下流の濾材とフィルター内部の支持体の粗大金網が直接接触するリーフディスクフィルターを用いる熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を開示している。
また同文献は、その実施例中として、所定の空孔特性を持つ単一のSUS製金属繊維の繊維層を第一層とし、下流側の第二層目にはSUS製粉末により構成した金属粉末焼結体を配した積層焼結体の濾材の使用を推奨している。
実公平07−37688号公報 特開2009−82868号公報
しかしながら、前記特許文献2によるフィルター装置は、その公報図1が示すように、濾過室内に配置される粗大金網の支持体に前記最下流の粉末層が直接接触させるものであり、その為、該金網の凹凸部が実質的に濾過精度を保証する上流側の金属繊維層に影響しやすく、これを予防する為に、該粉末層の構成厚さを比較的高めるものとしている。また、その粉末層は空隙率が20〜50%程度の非常に小さいものとされ、圧力損失を高めることとなる。しかし、逆に圧力損失抑制の為に空孔特性を必要以上に粗大にしたものでは、前記金属繊維層で濾過された被処理流体の流速が急激に高まり、その境界部分での対流によって新たなゲル発生の一因になることが指摘される。
本発明は、粘性の高い溶融ポリマーの濾過処理において、濾過フィルターの上流側と下流側との間で、圧力損失を抑えながら効率的な濾過処理をもたらすとともに、その層内を流下する段階においてもゲルを適宜分散し,抑制し得る溶融ポリマーの濾過フィルターと、これを用いた濾過装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本願請求項1に係る溶融ポリマー用の濾過フィルターは、次の構成を備える。
濾過精度、空隙率及び厚さの異なる2層以上の積層濾材と、該濾材に掛かる濾過圧を面状に支持する支持板を備えるリーフフィルターであって、
微細多孔質構造をなす金属長繊維の不織布層(Fw)と、その下流側に配置され、かつ前記不織布層(Fw)を通過したポリマーのゲル状物を分散捕獲する直状の金属短繊維でなる分散処理層(Fs)を備え、
前記不織布層(Fw)は、その最もファインな空孔を持つ層が、濾過精度(Dη=95%):0.5〜15μm、空隙率:60〜75%の微細空孔で、かつ全不織布層の全体厚さ0.4〜1.5mmを備え、
前記分散処理層(Fs)は、立体三次元でかつ前記最もファインな不織布層より粗大な空孔径と、0.3〜1.50倍の構成厚さを備えるとともに、目付量300〜1500g/m2の前記金属短繊維のランダム配置によって構成され、
空気流動抵抗測定法による流動抵抗:520〜1500pa(但し、1L/cm2/minによる)の流動特性を備えることを特徴とする溶融ポリマー用の濾過フィルターである。
また請求項2に係る発明は、前記不織布層(Fw)の前記最もファインな層と前記分散処理層(Fs)との、次式(1)による濾材構成値XのFw/Fs比が0.12〜2.50のものであり、請求項3に係る発明は、前記分散処理層は、平均繊維径dが3〜20μmでかつ繊維長さLとのアスペクト比L/dの平均値が、2〜20の前記金属短繊維で構成されるものであり、更に請求項4に係る発明は、前記積層濾材は、前記不織布層の前記ファインの層と前記分散処理層との間に、該ファインな層より大きくかつ分散処理層より小の空孔径を持つ、第三の不織布層を備える多層積層体で構成されるものであること、を各々特徴とする前記溶融ポリマー用の濾過フィルターである。
X=√{(A×(1−(B/100)))/t1/5} ・・・・(1)
但し、A:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各濾過精度(μm)
B:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各空孔率(%)
C:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の角構成厚さ(mm)
またポリマー濾過装置に関する請求項5に係る発明は、前記いずれかに記載の濾過フィルターの複数を、所定のハウジング容器内に沿って多段に積み重ねて構成され、溶融ポリマーの濾過処理に用いられるものであり、請求項6に係る発明は、その用途が、熱可塑性樹脂のフィルム製品製膜用の濾過処理に用いられるものであることを特徴とする。
本発明の溶融ポリマー用濾過フィルターは、ポリマー流れ方向上流側と下流側との間での圧力抵抗を小さくするとともに、その下流側に構成厚さを調整した金属短繊維のランダム配置で構成した分散処理層によって、ポリマー中に含有する微小不純物を好適に濾過するとともに、該濾材内を流下する段階でのゲル発生を良好に防止し、またこれを適宜細分化して、その分散捕獲性能を向上することができる。
また、これを用いた濾過装置は、高粘性の溶融ポリマーの濾過処理に好適に採用でき、滞留を抑制しその処理効率を高めた濾過装置として有用である。
本発明に係る濾過フィルターの一形態を示す部分断面図である。 前記図1を用いたポリマー濾過装置の一例を示す断面図である。 濾過フィルターの積層濾材の濾材構成を説明する断面模式図である。 積層濾材の任意断面を拡大した顕微鏡写真の一例である。 ポリマー濾過装置の使用形態を説明する構成図の一例である。
以下、本発明の溶融ポリマー用濾過フィルターF(以下、単に濾過要素Fともいう。)の一形態を、添付図面に沿って説明する。
濾過要素Fは、例えば図1に示すように、濾過特性の異なる2層以上を積層した積層濾材1と、該濾材1に掛かる濾過圧を面状に支持する支持板2を備えるリーフフィルターであって、本発明は該積層濾材1として、実質的に被処理流体中に含有する微細不純物粒子を適宜分離濾過するように、所定の金属長繊維LFにより構成した微細多孔質構造を備える不織布層Fwと、その下流側に配置され、該不織布層Fwを通過したゲル状物を分離捕獲する為の直状の金属短繊維SFでなる分散処理層Fsを備え、これを例えば一体に焼結してなる積層焼結体で構成される。
前記不織布層Fwは、その断面厚さ方向においてその全体を通じて単一乃至複数の層で構成され、その最も微細な空孔径を備える微細層Fw1が、95%の捕集効率において濾過精度:0.5〜15μm、空隙率:60〜75%と、かつその全不織布層の全体厚さ0.2〜1.5mmを備えものとし、
また、分散処理層(Fs)は、前記最もファインな不織布屑(Fw1)より粗大な空孔径と、0.3〜1.50倍の構成厚さを備える、目付量300〜1500g/m2の前記金属短繊維SFのランダム配置で構成され、その空孔形状は図3Aに見られるように立体三次元の構造を備える。そして、その積層された積層濾材1は、例えばエアーを1L/cm2/minの条件で流通させたときの流動抵抗が520〜1500paの特性を備えるものとして構成される。
前記図1は、本形態に係る濾過要素Fの構造を説明する部分断面図であって、例えばその全体を円環ドーナツ状に構成してなるリーフ型形状をなし、軸心側に向かって流通開口Aを持つリング状のハブ金具5と、その外周側鍔部の上下面5Aに各々重置される2枚の前記積層濾材1,1、更に該濾材1,1に掛かる濾過圧を面状に支持する多孔質の支持板2を備えるとともに、該積層濾材1は、その間に所定容積の濾過室6を構成するように、例えばその外周部3及び、前記ハブ金具5と積層濾材1との接合部7を各々溶接・接着などによって密閉封止され、構成される。
その構成により、被処理流体は、同図矢印が示すように、前記積層濾材1で濾過処理され、支持板2、濾過室6、更にハブ金具5の流通開口Aを経て、次工程に送給され処理される。なお、該濾過要素Fの形状や大きさは特に規定するものではないが、例えば50〜500mm程度の外径寸法と、5〜30mm程度の全体厚さを持つ円環乃至角形のディスク状をなす。
また、本形態では更に前記濾過室6内に粗大金網でなるスペーサー部材4を備えるものを示すが、該スペーサー部材4及び前記ハブ金具5は必ずしも必須ではなく、また前記ハブ金具5は、前記内周側に代えて、例えば特開昭59−120220号公報が開示するように濾過要素Fの外周側に設けるものであってもよく、こうした変更は当業者には容易に成し得るものである。
積層濾材1は、前記するように金属長繊維LFでなる不織布層Fwと、その下流側に所定の金属短繊維SFでなる分散処理層Fsを備えるもので、本形態では、図3Aに示すように、その上流側から下流側に向けて、空孔特性が変化するように、その繊維径や空隙率、構成厚さを適宜変えた2以上の多層を積層してなる多層構造の不織布体で構成している。またそのより好ましい形態として、最もファインな空孔精度を保証する濾過保証層(本形態では、最も細径の金属繊維でなる層)と、その上・下流側にやや粗大空孔のプレ濾過層及び濾過バック層を各々配置したサンドイッチ構造の積層濾材として構成することも推奨される。このような空孔特性の異なる多層構造の積層濾材によるものでは、前記ファイン保証層が、前記特性の濾過精度、空隙率及び構成厚さを各々備えることとする。
また、この場合の前記濾過精度については、該層はその不織布層Fwの中で最も微細な空孔を有し、かつそのファイン層だけを切り出して計測できないことから、本発明では該積層濾材1全体の濾過精度で代用できるものとする。その測定は、該積層濾材1を例えばその他面側から−4Kpaで減圧吸引したときの濾過精度で評価したもので、試験粉体にはACFTD(アリゾナサンド:中位径7μm)を用いた定圧濾過方式が採用される。具体的には、該濾材の透過前後の粒子数を例えばHACH社製HIAC PC−320等によりカウントして、更に式(2)により捕集効率を算出する。その試験条件は、アリゾナサンド濃度:0.5g/L、分散溶媒:蒸留水、真空引き:−4kPaで行う。
捕集効率(%)={(nC−nD)/nC}×100 ・・・ 式(2)
nC:層通過前個数、nD:層通過後個数
そして、この捕集効率を計算し、グラフ上に各粒子径に対する捕集効率をプロットし捕集効率曲線を作成し、捕集効率95%の粒子径を濾過精度とする。
また、空隙率については、該積層濾材1の任意厚さ断面における顕微鏡検査で計測でき、例えば該ファイン層部分を拡大した所定視野内において、前記金属長繊維LFが占める面積比で求めることができる。その計測は、例えば3〜10点程度の任意ヶ所について計測した平均値で示される。またこの顕微鏡検査で、同時にその構成層厚さも測定される。
前記不織布層Fwの金属長繊維LFは、例えばステンレス鋼、ニッケル乃至ニッケル合金、クロム乃至クロム合金の他、ブロンズ、銅などの金属材料が選定される。特にステンレス鋼やニッケル合金等でなる金属繊維材料は、ポリマーとの反応性、耐腐食性に優れるとともに、このような繊維材料への細径化や、焼結,溶接等の種々加工性にも優れることから、好ましい。ステンレス鋼では、例えばSUS304、SUS316、SUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
その繊維材料は、例えば0.1〜80μm程度(好ましくは、3〜20μm)の平均繊維径と、所定長さ(例えば2〜200mm)を持つフィラメント状のものが採用される。平均繊維径は、例えばその任意横断面における実質的な太さの平均値を意味し、任意の各長繊維について、その横断面方向に透視した時の両辺間の距離で示すことができる。また、その断面形状が例えば非円形の不定形状でなる場合の繊維径は、その任意横断面について各々最大及び最小径を求めて平均化したもので示し、例えば5〜10点程度の測定点数で平均化される。
こうして、前記不織布層(Fw)は、該長繊維を綿状に分散させ、更に所定の空孔特性を持つように適宜加圧焼結してシート状の焼結成形品が形成され、また前記のように、種類や繊維径、空孔精度の異なる例えば2以上の多層構造にして、積層一体化した前記積層焼結成形品として利用される。
その積層数は特に限定されず、例えば2〜10層の範囲で任意に設定でき、必要に応じて前記ファイン層を例えばその層内又は下流側に設けて成る。図3Aは、前記多層構造にした積層状態を拡大した模式図であり、また、図3Bは他の形態の積層構造を示す顕微鏡観察結果の一例である。
本形態では、図3Aのように、前記ファインな不織布層と、最下流側に設けられる前記金属短繊維でなる分散処理層Fsとの間に、該ファイン層より粗大で、分散処理層Fsより微細な空孔径をなす第三の不織布層を介在することができる。この第三の不織布層は、前記ファイン層を通過した被処理流体が急激に流通変化しないように段階的に調整する緩衝部材として機能し、かつ前記分散処理層Fsと作用して、対流を抑えゲルの新たな発生を軽減し得る。
本願は、このような積層構造の中で、その最もファインな空孔特性を持つ層について、前記設定範囲内の仕様を備えるものとし、そのファイン層について前記空孔特性を備えるものとしている。その空孔精度が0.5μm未満のような微細化することはコストアップの要因となり、一方、15μmを超える程に粗大化したものでは、前記不純物やゲル状物の良好な濾過処理が得られない。好ましくは、1.0〜10.0μmである。
また、金属長繊維LFによる不織布層Fwは、一般的に空隙率を高めて低圧損の濾過処理を可能とする。しかし、その空隙率が60%未満のものではその効果が少なく、75%を超える程高めることは濾過効率を低下させ、構造体としての必要強度も不足する。この点は、その構成厚さについても同様である。したがって、その構成厚さは好ましくは0.5mm以上0.8mm以下とする。
次に、その下流側に配置される下流層側の前記分散処理層(Fs)を説明すれば、該処理層(Fs)は、立体三次元でかつ前記最もファインな層より粗大な空孔径と、1.1〜1.50倍の構成厚さを備えるとともに、目付量300〜800g/m2の前記金属短繊維SFのランダム配置によって構成される。
その好ましい空孔特性は、濾過精度:1μm以上20μm以下、例えば好ましくは3μm以上16μm以下、より好ましくは5μm以上16μm以下とし、また空隙率は50%を超え70%以下とし、更に構成厚さ:0.1mm以上0.8mm以下、好ましくは0.1mm以上0.5mm以下に設定される。
これによって、前記不織布層Fwで除去し得なかった微細ゲルを効果的に除去し、或いは分散させるものとなる。そして、その空孔径が前記ファイン層に比して微細なものでは、圧力損失の上昇をもたらし、新たなゲル発生の要因となり易い。同様に、構成厚さ及び目付量についても、その特性が前記範囲外のものでは、被処理流体の良好な流通特性が得られ難く、本願目的が達成されない。
また該分散処理層(Fs)は、前記ファインな不織布層との前記(1)式による濾材構成値XのFw/Fsの比が0.12〜2.50に設定される。
X=√{(A×(1−(B/100)))/T1/5} ・・・・・(1)
但し、A:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各濾過精度(μm)
B:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各空孔率(%)
T:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各構成厚さ(mm)
上記比率がその範囲を外れるものでは、ゲルの除去・分散の十分な効果が期待され難く、濾過要素Fにおいて圧力損失が大きくなることが指摘される。より好ましくは0.3〜1.0である。また、積層濾材1間における上流側と下流側の間での流動抵抗の差(FX−F1)は300pa以下が好ましい。
前記金属短繊維SFは、例えば平均繊維径dが3〜20μm程度の太さと、所定の繊維長さ(L)を有し、そのアスペクト比(L/d)の平均値を2〜20とする直状の形状を為すうに設定される。そして、これをランダム三次元的に分布することで、得られる空孔は立体三次元的に形成され、ゲルの適正分散乃至捕獲性が向上する。前記平均繊維径d及びアスペクト比は、前記長繊維の場合と同様に、例えば電子顕微鏡を用いた100〜1000倍の拡大観察で行うことができ、その任意の数〜100本程度の範囲内で各々計測した値の平均値で示される。
また、前記不織布層Fw及び分散処理層Fsの積層は、例えば各々別段で成形した別体の焼結成形品同士を単に重ね合わせて焼結成形したもの、本願出願人が先に提案しているように、例えば前記金属短繊維を予め液中に懸濁した懸濁液中に、ベースの前記不織布層Fw用の長繊維焼結シートを浸漬して、その一面側から減圧吸引することでその一面側に所定厚さを堆積させる吸引成形法が採用し得る。特に、この成形法によれば、その境界部分において、ベースの前記不織布層内に該短繊維の一部が浸入した混合分布層が形成でき、これも濾過処理時の対流軽減に寄与する。
濾過要素Fは、これを通過する溶融ポリマーの通過流量が例えば5.0〜35.0g/hr・cmに設定されるとともに、図2のように所定のハウジング容器11内に付設された流通ポール12に沿って多段に積層配置してその上面を押え部材13で螺子締めすることで、リークなく取り付けられた濾過装置10を構成する。
被処理流体(溶融ポリマー)は、同図矢印が示すように、例えば装置上方側の導入口14から流入して濾過要素Fで適宜濾過処理され、その清浄ポリマーは前記流通ポール12の軸内12Aに集めて下方側の流出口15から排出され、次工程に供給される。
ポリマーの濾過処理条件は特に制限されず、例えば予め被処理流体が溶融する程度の温度200〜400℃に加熱するとともに、所定の濾過圧力1〜10Mpa程度で加圧濾過することが行われる。
図4は、この濾過装置を用いて所定の樹脂材料によるフィルム製造のプロセスを示すものである。樹脂材料としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコート、ポリ酢酸ビニルアルコール等の種々熱可塑性樹脂が選択され、その原料樹脂材料を所定温度で加熱溶融した溶融ポリマーが用いられる。
すなわち、前記原料樹脂は、予め乾燥機20に風送して供給した後、乾燥処理を経て直下の押出ホッパー21に自重落下して供給され、更に押出機22によって加熱、混練されて溶融状態にされる。押出機22は必要とする吐出量に応じて、単軸スクリュー、2軸スクリューいずれのものでもかまわない。押出機22で溶融された樹脂ポリマーは必要に応じて濾過精度の低い粗フィルター23で予備濾過した後、ギアポンプ24で計量後一定の濾過圧力で前記濾過装置25に送給される。濾過装置25は前記するように、所定の濾材構成を持つ濾過要素Fが多段積みして構成され、その構成点数は数〜100枚程度を備える。その濾過装置25によって濾過処理された清浄流体は、更に口金26に導かれ吐出口から、キャスティングドラム27上に吐出し冷却固化することで、所定厚さのフィルム製品が得られる。更に、このフィルムは、必要に応じて縦延伸装置および/または横延伸装置、同時2軸延伸装置などを用いて一軸または二軸に延伸し、より薄肉化した薄膜フィルムに成膜することもできる。
次に本発明の実施に必要な測定項目、効果の評価法等について説明する。
(1)層の濾過精度
前記するように、試験粉体としてACFTDを用いて計測される。
(2)層の空隙率
前記するように、該当する層の任意断面の顕微鏡検査で、その容積比により計測される。
(3)層の構成厚さ
同様に、断面顕微鏡写真(例えば図3A,B)によりその厚さを測定する。
(4)流動抵抗
前記するように、空気流動抵抗測定法により一定流量の空気を濾材に流し、その積層濾材を通過するのに要する流動抵抗として、マノメーター(圧力計)により測定され、処理流量:1L/cm/minの空気を、例えば試料サイズφ70mmの層に流すことで行われ、本発明は520〜1500paに設定するものである。その流動抵抗値が520Pa未満のものでは十分な濾過精度が得られ難く、1500Paを超える程高いものでは、濾過作業時に大きな供給圧力を加える必要があり、作業性に影響をもたらすことから、好ましくは850〜1200paである。
(5)PET通過流量
溶融ポリマー濾過時のPET通過流量を、ポリマー濾過装置より確認する。
(6)フィッシュアイ有無評価
濾過後にポリマーに残存する粒子状異物やゲルの有無は、そのポリマーによって形成されたフィルムを観察し、発生したフィッシュアイの有無点数を検査することで行われる。該フィッシュアイは、例えば前記ゲル状物により、製品フィルム中に変性異物となって発生する微細な塊体(数十μm〜数mm)を意味し、その計測は、例えばフィッシュアイカウンター(製造元;ドイツ所在オーシーエス社製FS−5型)によって行われ、例えば単位面積内に存在するフィッシュアイの発生数として計測される。
以下、本発明について更に次の実施例に基づいて説明する。
濾過要素Fとして、表面を0.19φ×60#の保護スクリーンメッシュで覆い、その間に所定の濾過層を配して一体化したものを積層濾材とし、該濾過層の具体的構成を表1に示している。
その濾過要素は、該積層濾材の下流側にステンレス鋼製のパンチング多孔板(孔径3mm)、及び線径1.2mmのステンレス製粗大金網(8メッシュ)でなるスペーサー部材を配し、構成したもので、前記積層濾材の不織布層が上流側(外側)になるように配置している。その濾過要素Fは、サイズ:8インチ、外径222mm、内径47.6mm、そして厚さ10mmの円環ディスク状のもので、その外周部を溶接することで前記濾過室を備えるものとしている。
前記濾過要素Fに用いる積層濾材は、ステンレス鋼製の長繊維(平均繊維径:5〜30μmを平均長さ50mmにカットしたスライバー)を用い、その中から特性の異なる4種類を選択して適宜積層した多層構造の板状不織布体にしたもので、その成形処理は加熱焼結処理により行った。
また、前記分散処理層Fsは、平均繊維径3〜15μm、平均アスペクト比3,8,12の3種類のステンレス鋼短繊維を用いて各々水中に懸濁させ、その浴中に前記各実施例品の不織布シートを浸漬して他面側を−1.0KPaで減圧吸引することで、所定の構成厚さの層を形成したもの、単位面積当たりの目付量は300と600g/m2とするもので、得られた成形品を更に温度1100℃で加熱焼結することで、一体の積層濾材を構成している。得られた積層濾材の空孔特性は表1に示されている。
そして、各実施例品毎に該リーフフィルターの10枚を、各々ドイツ、グノイス(gneuss)社製ポリマー濾過装置(名称:スクリーンチェンジャー)に多段積みするとともに、被処理流体として、平均粒径0.7μmの不活性粒子を含有するポリエチレンテレフタレート(PET)の溶融ポーリマーに対する濾過特性を評価した。
前記ポリマーは、図4に示すように、その原料ペレットを予め180℃、真空中で4時間乾燥後、更に285℃で溶融し、混練・押出したものを用い、更に前記濾過要素での濾過処理を経て、厚さ25μmの薄膜フィルムを成形するものである。
前記濾過処理は、該ポリマーを各々負荷圧力5MPaで加圧しながら行い、得られた処理済ポリマー乃至PETフィルムについて、各々濾過精度とゲルによるフィッシュアイ数、及び濾過処理流量を各々測定することで行った。
その試験結果及び得られたフィルム製品の品質は表1に示し、これに見られるように、各実施例品はいずれも良好な特性を有することが確認され、比較例に比して流動抵抗が高いにも関わらず、フィッシュアイの減少率が高く、良好な結果が得られた。
[確認試験]
また、前記ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーについて、前記各実施例品や各比較例品の濾過要素によることなく、直線押し出しして製膜した厚さ25μmのPETフィルムについて、オーシーエス社製FS−5型フィッシュアイカウンターにより、そのフィルム中に含まれフィッシュアイ点数を計測したところ、合計フィッシュアイ数3627個/mのフィッシュアイ数が確認された。
その測定結果により各試験のフィッシュアイ減少率を式(3)より計算した。
フィッシュアイ減少率(%)={(濾過前フィッシュアイ数−濾過後フィッシュアイ数)/濾過前フィッシュアイ数}×100 … 式(3)
実施例1の濾過フィルターを使用した場合はフィッシュアイの減少率は68.7%(={(3627−1136)÷3627}×100)となり、同様に各試験のフィッシュアイ数よりフィッシュアイ減少率を算出した。
フィルター濾材各層の濾過精度、空隙率、厚さと、上下流間の流動抵抗の差が本発明の請求範囲の場合は、粒子状異物やゲルを捕捉する確率が高く、所定のPET通過流量で濾過が可能であった。しかし、フィルター濾材各層の濾過精度、空隙率、厚さと、上下流間の流動抵抗の差が本発明の請求範囲から外れる場合はゲル捕捉確率が低く、所定のPET通過流量を確保することが出来なかった。結果を表1に示す。
本発明は上記の構成とすることにより、高い濾過精度を維持しつつゲルの発生を抑えることから、本発明濾過フィルターを用いた濾過装置は、例えば磁気記録媒体、感熱転写材、電気絶縁材料等の高品質用の熱可塑性樹脂フィルムをはじめとして、広く利用されるもので、応用可能性にすぐれたものである。
1:積層濾材 2:支持板 4:スペーサー部材 5:ハブ金具 10:濾過装置
11:ハウジング容器 14:流入口 15:流出口
LF:金属長繊維 SF:金属短繊維

Claims (6)

  1. 濾過精度、空隙率及び厚さの異なる2層以上の積層濾材と、該濾材に掛かる濾過圧を面状に支持する支持板を備えるリーフフィルターであって、
    微細多孔質構造をなす金属長繊維の不織布層(Fw)と、その下流側に配置され、かつ前記不織布層(Fw)を通過したポリマーのゲル状物を分散捕獲する直状の金属短繊維でなる分散処理層(Fs)を備え、
    前記不織布層(Fw)は、その最もファインな空孔を持つ層が、濾過精度(Dη=95%):0.5〜15μm、空隙率:60〜75%の微細空孔で、かつ全不織布層の全体厚さ0.2〜1.5mmを備え、
    前記分散処理層(Fs)は、立体三次元でかつ前記最もファインな不織布層より粗大な空孔径と0.3〜1.0倍の構成厚さを備えるとともに、目付量300〜800g/m2の前記金属短繊維のランダム配置によって構成され、
    空気流動抵抗測定法による流動抵抗:520〜1500pa(但し、1L/cm2/minによる)の流動特性を備えることを特徴とする溶融ポリマー用の濾過フィルター。
  2. 前記不織布層(Fw)の前記最もファインな層と前記分散処理層(Fs)との、次式(1)による濾材構成値XのFw/Fs比が0.12〜2.50である、請求項1に記載の溶融ポリマー用の濾過フィルター。
    X=√{(A×(1−(B/100)))/T1/5
    但し、A:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各濾過精度(μm)
    B:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各空孔率(%)
    T:前記最もファインな不織布の層及び分散処理層の各構成厚さ(mm)
  3. 前記分散処理層は、平均繊維径dが3〜20μmでかつ繊維長さLとのアスペクト比L/dの平均値が2〜20の前記金属短繊維で構成されるものである請求項1又は2に記載の溶融ポリマー用の濾過フィルター。
  4. 前記積層濾材は、前記不織布層の前記ファインな層と分散処理層との間に、該ファイン層より大きくかつ分散処理層より小の空孔径を持つ、第三の不織布層を備える多層積層体で構成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の溶融ポリマー用の濾過フィルター。
  5. 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の濾過フィルターの複数を、所定のハウジング容器内に沿って多段に積み重ねて構成され、溶融ポリマーの濾過処理に用いられるものであるポリマー濾過装置。
  6. 用途が、熱可塑性樹脂のフィルム製品製膜用の濾過処理に用いられるものである請求項5に記載のポリマー濾過装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018179317A (ja) * 2017-04-04 2018-11-15 ダイナエアー株式会社 散布トレイ、三流体熱交換器、及び湿式調湿装置

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