JP2016193387A - スラリー送液装置およびスラリー送液設備 - Google Patents
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Abstract
Description
同様に、プランジャー式のポンプでも、沈降性が高い粉体では、粉体がチャンバー内へ堆積して、ポンプが作動できなくなる。
第1発明のスラリー送液装置は、スラリーを排出するシリンダー式ポンプを備えており、該シリンダー式ポンプは、先端にスラリー排出口を有するシリンダー本体と、該シリンダー本体内部に摺動可能に設けられたピストンと、該ピストンの移動方向に沿って該ピストンを貫通する駆動軸と、該駆動軸における前記シリンダー本体の先端側に位置する端部に設けられた攪拌翼と、を備えており、前記駆動軸は、前記ピストンと相対的に摺動可能かつ回転可能に設けられており、前記シリンダー本体の先端には、前記攪拌翼が配置される攪拌翼収容部が形成されており、前記攪拌翼収容部の内側面には、複数の邪魔板が設けられていることを特徴とする。
第2発明のスラリー送液装置は、第1発明において、前記駆動軸は、前記シリンダー本体の中心軸と同軸となるように配設されており、前記シリンダー本体の攪拌翼収容部は、前記攪拌翼を収容する空間の断面が、前記シリンダー本体と同軸な円形に形成されており、前記複数の邪魔板は、前記シリンダー本体の中心軸周りに等角度間隔で配置されていることを特徴とする。
第3発明のスラリー送液装置は、第1または第2発明において、前記攪拌翼は、その高さが、前記複数の邪魔板の前記シリンダー本体の軸方向の長さよりも短くなるように形成されており、前記シリンダー本体の軸方向において、前記複数の邪魔板における該シリンダー本体の軸方向の両端縁間に位置するように配設されていることを特徴とする。
第4発明のスラリー送液装置は、第1、第2または第3発明において、前記シリンダー本体には、前記攪拌翼収容部よりも先端側に、該攪拌翼収容部から該シリンダー本体の先端に向かって凹んだ窪み部を備えており、該窪み部は、該シリンダー本体の軸方向と直交する中央平坦面と、該中央平坦面と該攪拌翼収容部の内側面との間に設けられた傾斜面と、を備えていることを特徴とする。
第5発明のスラリー送液装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記攪拌翼は、その翼幅が、前記シリンダー本体の攪拌翼収容部の内径Dに対して0.2D〜0.3Dとなるように形成されていることを特徴とする。
第6発明のスラリー送液装置は、第1乃至第5発明のいずれかに、前記スラリーを構成する粉体が、真比重が9.0g/cm3以上の物質であることを特徴とする。
(スラリー送液設備)
第7発明のスラリー送液設備は、第1乃至第6発明のいずれかに記載のスラリー送液装置と、該スラリー送液装置にスラリーを供給するスラリー供給手段と、前記スラリー送液装置のピストンを作動させるポンプ駆動手段と、前記駆動軸を回転させる駆動軸作動手段と、を備えており、前記スラリー供給手段は、前記ピストンに対して前記シリンダー本体の先端側の先端側空間に連通されており、前記ポンプ駆動手段は、前記ピストンに対して前記シリンダー本体の基端側の基端側空間に連通されており、該基端側空間に液体を供給するものであることを特徴とする。
第1発明によれば、ピストンを移動させることによって、スラリーを排出口から排出できる。しかも、駆動軸によって攪拌翼を回転させればスラリーを攪拌できるので、スラリー中の粉体の混合状態、つまり、スラリーの濃度を均一にすることができる。そして、邪魔板を設けることによって攪拌翼によって発生する攪拌流による攪拌効果を強くすることができるので、粉体と流体の比重差が大きくても、粉体を効果的に混合することができる。
第2発明によれば、攪拌翼を回転させたときに発生する攪拌流を軸流に近い状態とすることができるので、攪拌されたスラリーの濃度を均一に近づけやすくなる。
第3発明によれば、攪拌翼の回転によって発生するスラリーの流れを効果的に邪魔板と干渉させることができるので、スラリーを攪拌する効果を高くすることができる。
第4発明によれば、攪拌翼が回転したときに周方向の流れに加えて軸方向の流れも効果的に発生させることができるので、スラリーを攪拌する効果を高くすることができる。
第5発明によれば、攪拌翼が回転したときに、スラリーを攪拌する効果を高くすることができる。
第6発明によれば、一般的なポンプで搬送が難しい比重の高い粉体を含有するスラリーを少量でも高圧で搬送することができる。
(スラリー送液設備)
第7発明によれば、スラリー供給手段から先端側空間へのスラリーの供給とポンプ駆動手段から基端側空間への流体の供給を調整すれば、ピストンを移動させて、スラリーを排出することができる。そして、先端側空間にスラリーが収容されている状態で駆動軸作動手段によって駆動軸を回転させれば、攪拌翼によってスラリーを攪拌することができる。したがって、スラリー送液装置から均一な濃度のスラリーを供給することができる。しかも、基端側空間が液体によって満たされているので、スラリーが基端側空間に漏れることを防止する効果を高くすることができる。
なお、以下では、金属粉などの比重の大きい粉体が水に混合されたスラリーを送液する場合を説明する。
まず、図3に基づいて、本実施形態スラリー送液装置10を備えたスラリー送液設備1について説明する。
なお、図3では、スラリー送液設備1の構造を分かりやすくするために、ブロック図として記載している。
スラリー供給手段2は、スラリー送液装置10に対して、オートクレーブ等の反応槽等の装置に供給するスラリーを供給するものである。このスラリー供給手段2は、粉体と水を混合してある程度均一なスラリーを形成して、このスラリーをある程度高圧(0.05〜0.4MPa程度)でスラリー送液装置10に供給するものである。例えば、図3であれば、配管を通して、粉体と水を収容して混合するタンク2aからスラリー送液装置10にスラリーを供給するように、スラリー供給手段2は構成されている。
ポンプ駆動手段3は、スラリー送液装置10に対して、シリンダー式ポンプ11を駆動するための作動流体を供給するものである。具体的には、ポンプ駆動手段3は、スラリー送液装置10におけるピストン13に対して基端側の空間(基端側空間12b)に、高圧(1.0〜5.0MPa程度)の作動流体を供給するものである。つまり、ポンプ駆動手段3は、スラリー供給手段2から供給されるスラリーよりも高圧の作動流体を基端側空間12bに供給するものである。例えば、図3であれば、配管を通して、作動流体を収容する供給タンク3aからスラリー送液装置10に作動流体を供給するように、ポンプ駆動手段3は構成されている。また、ポンプ駆動手段3は、スラリー送液装置10から排出された作動流体を回収する回収タンク3bを有している。なお、この回収タンク3bは、供給タンク3aと兼用で使用してもよい。
以上のような構成であるので、スラリー供給手段2から所定の量のスラリーを一のスラリー送液装置10に対して供給し、その後、一のスラリー送液装置10に対してポンプ駆動手段3から作動流体を供給すれば、一のスラリー送液装置10から所定の圧力を有するスラリーをオートクレーブ等の反応槽等の装置に供給することができる。
つぎに、スラリー送液装置10について詳細に説明する。
なお、以下では、スラリー送液装置10のシリンダー式ポンプ11の軸方向が鉛直方向と平行となるように配設され、かつ、シリンダー式ポンプ11の先端(スラリーを排出する端部)が下方に位置する場合を説明する。
このシリンダー式ポンプ11は、中空な円筒状のシリンダー本体12と、その内部に収容されたピストン13と、を備えている。
図1に示すように、シリンダー式ポンプ11のシリンダー本体12は、内部に中空な空間12hを有する筒状の部材である。
なお、排出口12eは、必ずしもシリンダー本体12と同軸でなくてもよい。
そして、シリンダー本体12は、その先端部に攪拌翼収容部12kを備えている。この攪拌翼収容部12kは、後述する攪拌翼15が配置される部分であり、その内周面に沿って複数枚の邪魔板20が設けられている。複数枚の邪魔板20は、シリンダー本体12の中心軸に対して軸対称となるように配設されている。そして、邪魔板20は、その表面がシリンダー本体12の中心軸とほぼ平行となるように設けられている。
図1に示すように、シリンダー本体12内には、シリンダー本体12の軸方向に沿って移動可能に、ピストン13が設けられている。このピストン13によって、シリンダー本体12内の空間12hは、先端側空間12aと基端側空間12bに液密に分割されている。なお、ピストン13の外周面とシリンダー本体12の内面との間は、公知のシール部材によって、摺動可能かつ液密にシールされている。このシール部材には、例えば、O-リングなどを採用することができる。
図1に示すように、駆動軸14は、シリンダー本体12の基端部とピストン13を貫通するように配設されている。
この駆動軸14の先端部は、攪拌翼収容部12k内に位置するように設けられている。つまり、駆動軸14の先端に設けられる攪拌翼15が攪拌翼収容部12k内に位置するように、駆動軸14は配設される。
図1に示すように、駆動軸14の先端には攪拌翼15が設けられている。この攪拌翼15は、駆動軸14に連結されるボス部15aと、このボス部15aの周囲に設けられた複数枚の翼板15bとを備えている。複数枚の翼板15bは、ボス部15aの周囲に等角度間隔で設けられている。
とくに、シリンダー本体12の先端内面が、その先端に向かって凹むように形成されていれば、堆積した粉体を巻き上げる効果を高くできるので望ましい。つまり、シリンダー本体12は、攪拌翼収容部12kよりも先端側に、攪拌翼収容部12kからシリンダー本体12の先端に向かって凹んだ窪み部11dを備えていることが望ましい。かかる窪み部11dを設けておけば、攪拌翼15とシリンダー本体12の先端内面との間にスラリーの流れを生じさせる十分な空間を形成することができる。つまり、攪拌翼15が回転したときに、攪拌翼15で発生したスラリーの流れの一部を、シリンダー本体12の先端内面に向かって流すことができる。その流れは、シリンダー本体12の先端内面で反転して、シリンダー本体12の先端から基端に向かう流れとなって攪拌翼収容部12kに流入し、攪拌翼15によって攪拌される。つまり、邪魔板20だけでなく、窪み部11dの効果によって、攪拌翼15で発生する周方向の流れを軸方向の流れに変換することができる。すると、シリンダー本体12の先端内面に向かって粉体が沈降しても、沈降した粉体を再び巻き上げることができるから、比重の高い粉体を含むスラリーであっても、均一な濃度とすることが可能となる。しかも、反転流の影響で、先端側空間12a内で発生するスラリーの流れをより複雑にできるので、スラリーを攪拌する効果(つまりスラリーの濃度を均一にする効果)を高めることができる。
攪拌翼収容部12kに設ける邪魔板20の数はとくに限定されず、シリンダー本体12の大きさやスラリーの性質(例えば粉体の素材等)に応じて適宜設計される。しかし、攪拌翼15が回転した際にスラリーを攪拌する効果を高くする上では、攪拌翼15は、2〜6枚とすることが望ましい。
なお、攪拌翼15に設ける翼板15bの数はとくに限定されず、シリンダー本体12の大きさやスラリーの性質(例えば粉体の素材等)に応じて適宜設計すればよい。しかし、攪拌翼15が回転したときに、スラリーを攪拌する効果を高くする上では、2〜6枚とすることが望ましい。
スラリーは、先端側空間12aと外部を連通する先端側連通孔を通して、スラリー供給手段2から先端側空間12aに供給される。この先端側連通孔を設ける位置はとくに限定されないが、少なくとも、ピストン13が下限(先端側の移動限界)まで移動した際でも、ピストン13によって塞がれない位置に設けられる。つまり、この先端側連通孔は、ピストン13の下限位置よりも先端側に設けられる。このように先端側連通孔を設けておけば、ピストン13が下限まで移動した状態でも、先端側連通孔を通してスラリー供給手段2からスラリーを供給できる。したがって、ピストン13の位置に係らず、スラリー供給手段2から供給されるスラリーの圧力によって、ピストン13を基端側に向かって移動させることができる。
また、作動流体は、基端側空間12bと外部を連通する基端側連通孔を通して、ポンプ駆動手段3から基端側空間12bに供給される。この基端側連通孔を設ける位置はとくに限定されないが、少なくとも、ピストン13が上限(基端側の移動限界)まで移動した際でも、ピストン13によって塞がれない位置に設けられる。つまり、この基端側連通孔は、ピストン13の上限位置よりも基端側に設けられる。このように基端側連通孔を設けておけば、ピストン13が上限まで移動した状態でも、基端側連通孔を通してポンプ駆動手段3から作動流体を供給できる。したがって、ピストン13の位置に係らず、ポンプ駆動手段3から供給される作動流体の圧力によって、ピストン13を先端側に向かって移動させることができる。
なお、上述した基端側連通孔は、スラリーによってピストン13が基端側に移動された際に、作動流体を外部に排出するための孔としても機能する。しかし、ポンプ駆動手段3から作動流体を供給する孔と、作動流体を排出する孔を別に設ければ、動作性が向上する等の点で好ましい。
ピストン13の移動量は、先端側空間12aに供給されるスラリーの量と、基端側空間12aに供給される作動流体の量を調整すれば調整できる。しかし、ピストン13が攪拌翼15や邪魔板20等に衝突するなどの問題を防ぐ上では、機械的にピストン13の移動量を制限する機構を設けておくことが望ましい。例えば、図1に示すように、ピストン13に先端が連結され他端がシリンダー本体12の基端から突出した移動規制棒16aと、移動規制棒16aの基端に取り付けられたリミットスイッチ16sと、を有する移動規制機構16を設ける。すると、リミットスイッチ16sがシリンダー本体12の基端と当たる位置までしかピストン13は移動できないので、リミットスイッチ16sの位置を調整すれば、ピストン13が攪拌翼15や邪魔板20等に衝突するなどの問題を確実に防ぐことができる。
上記例では、駆動軸14や攪拌翼収容部12kの中心軸が、シリンダー本体12の中心軸と同軸の場合を説明した。しかし、駆動軸14や攪拌翼収容部12kの中心軸と、シリンダー本体12の中心軸は、必ずしも同軸でなくもよい。この場合、撹拌翼径が小さくなり内部撹拌効率が低下することが懸念されるが、スラリーの種類や排出口の位置によっては、かかる構造を採用することも可能である。
図4(A)は本発明のスラリー送液装置のモデル(本モデル)である。本モデルは、直径105mmの内径を有するシリンダー内に、4か所の邪魔板をシリンダーの軸周りに90度間隔で設けたものである。そして、邪魔板を設けた位置に、攪拌翼を設けている。
なお、邪魔板および攪拌翼のスペックは以下のとおりである。
1)邪魔板
高さ:30mm
幅 :10mm
2)攪拌翼
外径 :65mm
高さ :30mm
羽根幅 :32.5mm
翼の傾き:45°
比較モデルの攪拌翼のスペックは以下のとおりである。
1)攪拌翼
外径 :40mm
高さ :10mm
羽根幅 :20mm
翼の傾き:45°
図5(B)に示すように、比較モデルでは、攪拌翼を回転させても旋回流が生じるだけであり、スラリーの濃度は底部が高いままであった。つまり、堆積した粉体を巻き上げて、スラリーの濃度を均一にする効果はほとんど得られなかった。
2 スラリー供給手段
3 ポンプ駆動手段
3 駆動軸作動手段
10 スラリー送液装置
11 シリンダー式ポンプ
12 シリンダー本体
13 ピストン
14 駆動軸
15 攪拌翼
20 邪魔板
Claims (7)
- スラリーを排出するシリンダー式ポンプを備えており、
該シリンダー式ポンプは、
先端にスラリー排出口を有するシリンダー本体と、
該シリンダー本体内部に摺動可能に設けられたピストンと、
該ピストンの移動方向に沿って該ピストンを貫通する駆動軸と、
該駆動軸における前記シリンダー本体の先端側に位置する端部に設けられた攪拌翼と、を備えており、
前記駆動軸は、前記ピストンと相対的に摺動可能かつ回転可能に設けられており、
前記シリンダー本体の先端には、前記攪拌翼が配置される攪拌翼収容部が形成されており、
前記攪拌翼収容部の内側面には、複数の邪魔板が設けられている
ことを特徴とするスラリー送液装置。 - 前記駆動軸は、
前記シリンダー本体の中心軸と同軸となるように配設されており、
前記シリンダー本体の攪拌翼収容部は、
前記攪拌翼を収容する空間の断面が、前記シリンダー本体と同軸な円形に形成されており、
前記複数の邪魔板は、
前記シリンダー本体の中心軸周りに等角度間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のスラリー送液装置。 - 前記攪拌翼は、
その高さが、前記複数の邪魔板の前記シリンダー本体の軸方向の長さよりも短くなるように形成されており、
前記シリンダー本体の軸方向において、前記複数の邪魔板における該シリンダー本体の軸方向の両端縁間に位置するように配設されている
ことを特徴とする請求項1または2記載のスラリー送液装置。 - 前記シリンダー本体には、
前記攪拌翼収容部よりも先端側に、該攪拌翼収容部から該シリンダー本体の先端に向かって凹んだ窪み部を備えており、
該窪み部は、
該シリンダー本体の軸方向と直交する中央平坦面と、
該中央平坦面と該攪拌翼収容部の内側面との間に設けられた傾斜面と、を備えている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のスラリー送液装置。 - 前記攪拌翼は、
その翼幅が、前記シリンダー本体の攪拌翼収容部の内径Dに対して0.2D〜0.3Dとなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のスラリー送液装置。 - 前記スラリーを構成する粉体が、真比重が9.0g/cm3以上の物質である
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスラリー送液装置。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載のスラリー送液装置と、
該スラリー送液装置にスラリーを供給するスラリー供給手段と、
前記スラリー送液装置のピストンを作動させるポンプ駆動手段と、
前記駆動軸を回転させる駆動軸作動手段と、を備えており、
前記スラリー供給手段は、
前記ピストンに対して前記シリンダー本体の先端側の先端側空間に連通されており、
前記ポンプ駆動手段は、
前記ピストンに対して前記シリンダー本体の基端側の基端側空間に連通されており、該基端側空間に液体を供給するものである
ことを特徴とするスラリー送液設備。
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