JP2016191573A - 超音波探傷装置、超音波探傷方法、及び鋼材の製造方法 - Google Patents

超音波探傷装置、超音波探傷方法、及び鋼材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面欠陥を再現性よく検出可能な超音波探傷装置、超音波探傷方法、及び鋼材の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の一実施形態である超音波探傷装置1は、鋼材の表層部に電磁気的に超音波信号を励起させる送信部2と、超音波信号を受信する受信部3と、鋼材の表層部から受信部3に直接伝搬してきた超音波信号を検出し、検出された超音波信号の強度に基づいて受信部3が受信した鋼材の表面欠陥Dからの超音波信号の反射信号を増幅する増幅部6と、増幅された反射信号に基づいて鋼材の表面欠陥を検出する信号評価部7と、を備えている。このような構成によれば、表層部に付与された静磁場Bの磁束密度の変化によって超音波振動の大きさが変化した場合であっても、表面欠陥Dからの反射エコーの感度を補正し、表面欠陥を再現性よく検出できる。【選択図】図1

Description

本発明は、超音波探傷装置、超音波探傷方法、及び鋼材の製造方法に関する。
連続鋳造プロセスは、厚板や薄鋼板等の鋼材を製造するための主要なプロセスの一つであり、溶鋼が固まる過程で鋳片が製造される。詳しくは、連続鋳造プロセスでは、溶鋼は、タンディッシュへ注がれた後、タンディッシュの底部から鋳型へ注がれる。鋳型は、一般的には銅製であり、水冷によって常に冷却されている。このため、鋳型に接触した溶鋼は、冷却されながら徐々に鋳型の下方に引き抜かれていく。そして、下方に引き抜かれた溶鋼は、途中から徐々に水平方向に曲げられ、最後は水平方向に引き抜かれながらガス切断機によって所定長さ毎に切断されて鋳片が製造される。
この連続鋳造プロセスでは、下方に引き抜かれた溶鋼を水平方向に曲げる時や溶鋼の曲げを矯正する時に、溶鋼の表面に横割れやかぎ割れといった表面欠陥が発生しやすいために、表面性状の良い鋳片を製造することは難しい。また、表面欠陥は、曲げ時やその矯正時だけでなく、鋳型内での溶鋼の不均一凝固や二次冷却帯における不均一なスプレー冷却に起因するものや、二次冷却帯のガイドロールのアライメント不整に起因するもの等、様々な要因によって発生し得る。このため、溶鋼の成分系を制御することによって表面欠陥が発生することを抑制する技術(例えば特許文献1参照)が提案されている。
一方、溶鋼の成分系を制御することによって表面欠陥が発生することを抑制するといった抜本的な対策は非常に重要ではあるが、表面欠陥が発生してしまった鋳片を他の健全な鋳片と区別して適切な処理を施すことによって鋼材を製造することも非常に重要である。このため、超音波探傷法を利用して表面欠陥を検出する方法が数多く提案されている。具体的には、鋳片は高温であるために接触型の超音波探傷法を利用することができないので、電磁超音波を用いた探傷法が提案されている。
詳しくは、一般的によく利用されている超音波探傷法は、検査プローブとして圧電型素子を用い、検査プローブと検査材との間に水や油といった音響結合材を挟んで探傷を行う。しかしながら、検査材の温度が高温である場合、音響結合材が蒸発して音響結合の役割をなさず、また圧電型素子が高温に耐えられないことから、この超音波探傷法を利用することができない。そこで、高温の検査材に対する超音波探傷法として、電磁気的に超音波を送受信する電磁超音波探傷法(Electro Magnetic Acoustic Transducer : EMAT)が用いられている。例えば特許文献2には、PPM(Periodic Permanent Magnet)型と言われる電磁超音波探傷法を利用した高温物体の表層部の探傷法が提案されている。
この電磁超音波探傷法は、駆動力としてローレンツ力を利用する方法、駆動力として磁わい効果を利用する方法、及び駆動力としてローレンツ力及び磁わい効果の両方を利用する方法に大別される。このうち、駆動力としてローレンツ力を利用する方法では、静磁場を付与した検査材の表層部の上方に配置されたセンサコイルに電流を流すことによって表層部に誘導電流を発生させてローレンツ力を発生させ、ローレンツ力を駆動力として表層部に超音波振動を発生させる。この方法では、表層部に付与した静磁場と表層部の超音波振動とによって渦電流が発生し、渦電流によってセンサコイルに励起された誘導電流が超音波の受信信号として計測される。
一方、駆動力として磁わい効果を利用する方法は、強磁性体である検査材に外部磁場を付与することによって検査材が磁化した際に生じる磁場方向の歪みを利用する方法である。この方法では、駆動力としてローレンツ力を利用する方法と同様、検査材の表層部に静磁場を付与し、表層部の上方に配置されたセンサコイルに電流を流すことによって、センサコイルによって発生する誘導磁場が静磁場に重畳され、磁わい効果による超音波信号が送信される。そして、超音波信号と静磁場との相互作用によって電磁誘導が生じ、電磁誘導によってセンサコイルに発生した起電力が受信信号として計測される。
特開2000−256795号公報 特開2006−208325号公報
本発明の発明者らは、連続鋳造プロセスにおいてオンラインで電磁超音波探傷法を利用して鋳片の表面欠陥を探傷した際、同じ形態(大きさ、深さ)を有する表面欠陥からの反射エコーのバラツキが大きく、表面欠陥を再現性よく検出できないことを確認した。そして、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、表面欠陥からの反射エコーがばらつく原因は鋳片表面の表層部における磁気変態が影響していることを知見した。すなわち、一般に、鋼材等の強磁性体はキュリー温度を境として常磁性体へと磁気変態するので、強磁性体の表層部に付与されている静磁場の磁束密度はキュリー温度を境として変化する。このため、電磁超音波探傷法では、表層部に付与した静磁場の磁束密度の変化によって超音波振動の大きさが変化し、結果として、表面欠陥からの反射エコーの感度(探傷感度)が変化し、表面欠陥を再現性よく検出できないことがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表面欠陥を再現性よく検出可能な超音波探傷装置及び超音波探傷方法を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、表面欠陥を再現性よく検出し、表面欠陥が発生した鋼材を健全な鋼材と区別して鋼材を製造可能な鋼材の製造方法を提供することにある。
本発明に係る超音波探傷装置は、鋼材の表層部に電磁気的に超音波信号を励起させる送信手段と、前記超音波信号を受信する受信手段と、前記鋼材の表層部から前記受信手段に直接伝搬してきた前記超音波信号を検出し、検出された超音波信号の強度に基づいて前記受信手段が受信した前記鋼材の表面欠陥からの前記超音波信号の反射信号を増幅し、増幅された前記反射信号に基づいて前記鋼材の表面欠陥を検出する制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る超音波探傷装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記鋼材が強磁性体である時の前記反射信号の強度を基準強度として記憶し、前記基準強度に対する検出された超音波信号の強度の比に基づいて前記反射信号の強度を増幅することを特徴とする。
本発明に係る超音波探傷装置は、上記発明において、前記受信手段は、前記送信手段が前記超音波信号を励起させる軸心上に配置されていることを特徴とする。
本発明に係る超音波探傷装置は、上記発明において、前記受信手段は、前記送信手段の前記軸心方向の端部のうち、前記表面欠陥を探傷する側の端部とは反対側の端部側に配置されていることを特徴とする。
本発明に係る超音波探傷方法は、鋼材の表層部に電磁気的に超音波信号を励起させる送信ステップと、前記鋼材の表層部から受信手段に直接伝搬してきた前記超音波信号を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出された超音波信号の強度に基づいて前記受信手段が受信した前記鋼材の表面欠陥からの前記超音波信号の反射信号を増幅する増幅ステップと、前記増幅ステップにおいて増幅された前記反射信号に基づいて前記鋼材の表面欠陥を検出する検出ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る鋼材の製造方法は、本発明に係る超音波探傷方法を利用して鋼材の表面欠陥を検出し、表面欠陥が発生した鋼材を健全な鋼材と区別することにより、鋼材を製造するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る超音波探傷装置及び超音波探傷方法によれば、表面欠陥を再現性よく検出することができる。また、本発明に係る鋼材の製造方法によれば、表面欠陥を再現性よく検出し、表面欠陥が発生した鋼材を健全な鋼材と区別して鋼材を製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態である超音波探傷装置の構成を示す模式図である。 図2は、図1に示す送信装置の構成を示す模式図である。 図3は、受信部の受信波形を示す図である。 図4は、受信部の受信波形の一例を示す図である。 図5は、強磁性体サンプルの探傷結果を示す図である。 図6は、非磁性体サンプルの感度補正前及び感度補正後の探傷結果を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である超音波探傷装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である超音波探傷装置の構成を示す模式図である。図2は、図1に示す送信装置の構成を示す模式図である。図3は、受信部の受信波形を示す図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である超音波探傷装置1は、強磁性体である鋼材の表面に形成された横割れやかぎ割れといった表面欠陥Dを検出する装置であり、送信部2、受信部3、初段増幅部4、表層部磁性判定部5、増幅部6、信号評価部7、及び評価結果出力部8を主な構成要素として備えている。
送信部2は、送信用磁石2a、送信用コイル2b、及び送信制御部2cを備えている。送信用磁石2aは、直方体形状の永久磁石によって構成され、図2(b)に示すように磁極の向きが鋼材S表面の法線方向に対して平行になるように配置されている。送信用コイル2bは、図2(a),(b)に示すように、送信用磁石2aの軸心L方向に向かって所定ピッチdで蛇行するコイルによって構成され、鋼材Sに対向する送信用磁石2aの下面2a1上に配置されている。送信制御部2cは、送信用コイル2bへの通電量を制御することによって鋼材Sの表層部に超音波を励起する。
詳しくは、図2(b)に示すように、送信用コイル2bに電流が流れると、鋼材Sの表層部には誘導電流Iが流れ、送信用磁石2aによって鋼材Sに付与された静磁場Bと誘導電流Iとによって鋼材Sの表層部にはローレンツ力Fが発生する。ここで、送信用コイル2bに流す電流が交流である場合、交流電流の周波数でローレンツ力Fの向きが変わることから、交流電流の周波数で表層部がローレンツ力Fで振動されることになり、送信用磁石2aの軸心L方向に沿って方向A1及び方向A2にそれぞれ超音波W1,W2が励起される。
なお、送信用コイル2bの蛇行ピッチd[m]、鋼材Sの表面垂直方向を0[°]とした時の超音波W1,W2の伝搬方向θ[°]、鋼材S内での音速Cs[m/sec]、及び超音波W1,W2の周波数f[Hz]の間には、以下に示す数式(1)のような関係がある。従って、送信用コイル2bの蛇行ピッチdは、励起したい超音波W1,W2の周波数f及び伝搬方向θに基づいて数式(1)を用いて決定するとよい。本実施形態では、鋼材Sの表層部にある表面欠陥Dを探傷するために、伝搬方向θを80°として、表層部に沿った方向に超音波(指向特性としては70〜90°)が伝搬するようにした。また、送信用コイル2bのターン数(巻き数)は10〜30程度にすることが望ましい。
Figure 2016191573
受信部3は、受信用磁石3a及び受信用コイル3bを備えている。受信用磁石3aは、直方体形状の永久磁石によって構成されている。受信用磁石3aは、その軸心方向が送信用磁石2aの軸心L方向と一致し、且つ、送信部2によって励起された超音波W2が直接伝搬される位置に配置されている。すなわち、受信用磁石3aは、送信用磁石2aの軸心L方向の端部のうち、表面欠陥Dを探傷する側の端部とは反対側の端部側に配置されている。また、受信用磁石3aは、送信用磁石2aと同様、磁極の向きが鋼材S表面の法線方向に対して平行になるように配置されている。なお、本実施形態では、受信用磁石3aは、送信用磁石2aの軸心L方向の端部のうち、表面欠陥Dを探傷する側の端部とは反対側の端部側に配置されていることとしたが、表面欠陥Dを探傷する側の端部側に配置してもよい。また、受信用磁石3aの軸心方向が必ずしも送信用磁石2aの軸心L方向と一致している必要はない。
受信用コイル3bは、送信用コイル2bと同様、受信用磁石3aの軸心方向に向かって所定ピッチdで蛇行するコイルによって構成され、鋼材Sに対向する受信用磁石2aの下面上に配置されている。鋼材Sの表層部に超音波が励起されると、受信用磁石3aによって鋼材Sの表層部に付与された静磁場Bと表層部の超音波振動とによって渦電流が発生する。受信用コイル3bにはこの渦電流によって励起された誘導電流が超音波の受信信号として流れる。
より詳しくは、上述した通り、送信部2は、送信用磁石2aの軸心L方向に沿って方向A1及び方向A2にそれぞれ超音波W1及び超音波W2を送信する。このため、受信用コイル3bには、始めに、送信部2から直接伝搬してきた超音波W2に起因する誘導電流が流れ、次に、方向A1に伝搬して表面欠陥Dにおいて反射してきた超音波W1(反射エコー)に起因する誘導電流が流れる。これにより、受信用コイル3bの受信波形は例えば図3に示すような形状となる。すなわち、受信波形には、超音波W2に対応するピークP1の次に超音波W1に対応するピークP2が現れる。受信用コイル3bは、この受信信号を初段増幅部4に出力する。
初段増幅部4は、プリアンプ等によって構成され、受信用コイル3bの受信信号に対して初期増幅処理及びバンドパスフィルタ処理を施した後に表層部変態判定部5及び増幅部6に出力する。なお、微小な受信信号を感度良く探傷可能にするために、初段増幅部4の入力インピーダンスは2[MΩ]以上とし、且つ、受信用コイル3bのターン数は多くすることが望ましい。
表層部変態判定部5は、受信用コイル3bの受信波形に含まれる送信部2から直接送信されてきた超音波W2に対応するピークP1の強度に基づいて鋼材Sの表層部の磁性状態を判定する。詳しくは、表層部変態判定部5は、強磁性体の試験片から検出されたピークP1の強度を基準ピーク強度として予め記憶しておき、基準ピーク強度と検出されたピークP1の強度とを比較することによって鋼材Sの表層部の磁性状態を判定する。例えば、基準ピーク強度より検出されたピークP1の強度が弱い場合、表層部変態判定部5は、鋼材Sの表層部が強磁性体から常磁性体に変化することによって磁性が弱まったと判定する。表層部変態判定部5は、鋼材Sの表層部の磁性状態を示す情報を判定結果として増幅部6に出力する。
増幅部6は、表層部変態判定部5から出力された判定結果に基づいて初段増幅部4から出力された信号を増幅することにより受信信号の感度補正を実行する。具体的には、増幅部6は、鋼材Sの表層部が常磁性体であると判定された場合には、基準ピーク強度に対する検出されたピークP1の強度の比を増幅率として初段増幅部4から出力された信号を増幅することにより受信信号の感度補正を実行する。
信号評価部7は、増幅部6から出力されたピークP2の強度と所定強度とを比較することによって鋼材Sの表層部に表面欠陥Dが存在するか否かを判別する。具体的には、信号評価部7は、ピークP2の強度が所定強度より大きい場合、鋼材Sの表層部に表面欠陥Dが存在すると判定する。信号評価部7は、判別結果に関する情報を評価結果出力部8に出力する。
評価結果出力部8は、信号評価部7から出力された判別結果に関する情報を出力する。以後、オペレータは、評価結果出力部8に出力された情報に基づいて表面欠陥Dが発生した鋼材を健全な鋼材と区別して鋼材を製造する。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である超音波探傷装置1は、鋼材Sの表層部に電磁気的に超音波信号を励起させる送信部2と、超音波信号を受信する受信部3と、鋼材Sの表層部から受信部3に直接伝搬してきた超音波信号を検出し、検出された超音波信号の強度に基づいて受信部3が受信した鋼材Sの表面欠陥Dからの超音波信号の反射信号を増幅する増幅部6と、増幅された反射信号に基づいて鋼材Sの表面欠陥を検出する信号評価部7と、を備えている。このような構成によれば、表層部に付与された静磁場Bの磁束密度の変化によって超音波振動の大きさが変化した場合であっても、表面欠陥Dからの反射エコーの感度を補正し、表面欠陥を再現性よく検出することができる。
以下、図4から図6を用いて、本発明の実施例について説明する。本実施例では、送信用コイル2a及び受信用コイル3aの蛇行ピッチdは周波数500kHzの超音波を送受信できるように設定した。また、送信用コイル2aの巻き数は20巻きとし、受信用コイル3aの巻き数は60巻きとした。そして、強磁性体である鋼材の角に深さ3mm、長さ5mmのスリット疵を加工した試験片(以下、強磁性体サンプルと表記)と非磁性体である鋼材の角に強磁性体の試験片と同じスリット疵を加工した試験片(以下、非磁性体サンプルと表記)を用意し、これらを探傷して本発明の有効性を確認した。
なお、基準ピーク強度として、強磁性体である試験片から予め計測されたものを予め設定した。また、受信部3に直接伝搬してくる超音波信号とスリット疵で反射して伝搬してくる超音波信号は、初段増幅部4で初期増幅した後、16bitの振幅分解能を有するA/Dボードを介してデジタル波形として取り込んだ。そして、取り込まれた受信信号は、デジタル波形として表層部磁性判定部5及び増幅部6にて表層部磁性による信号の強弱に応じた増幅がなされた後、信号評価部7へ出力された。
図4は、受信部3の受信波形の一例を示す。図4に示すように、受信波形には、送信部3から直接伝搬してきた超音波W2に対応するピークP1とスリット疵で反射してきた超音波W1に対応するピークP2とが現れている。図5は、強磁性サンプルを10回探傷した結果を示す。図6は非磁性サンプルを10回探傷した結果を示す。図6において、白抜きのプロットは、本発明による感度補正前のスリット疵からの反射信号の強度を示し、ソリッドプロットは本発明による感度補正後のスリット疵からの反射信号の強度を示す。図5に示す反射信号の強度と図6のソリッドプロットが示す強度とがほぼ一致することから、本発明によれば、検査対象の磁性状態に係わらず同じ信号でスリット疵を探傷できることが確認された。すなわち、本発明によれば、表面欠陥を再現性よく検出できることが確認された。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、本実施形態では、表面欠陥を検出する対象は鋼材であるとしたが、本発明は本実施形態に限定されることはなく、温度変化によって磁気変態が生じる強磁性体材料全般に適用できる。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 超音波探傷装置
2 送信部
2a 送信用磁石
2b 送信用コイル
3 受信部
3a 受信用磁石
3b 受信用コイル
4 初段増幅部
5 表層部磁性判定部
6 増幅部
7 信号評価部
8 評価結果出力部
D 表面欠陥
I 誘導電流
L 軸心
S 鋼材
W1,W2 超音波

Claims (6)

  1. 鋼材の表層部に電磁気的に超音波信号を励起させる送信手段と、
    前記超音波信号を受信する受信手段と、
    前記鋼材の表層部から前記受信手段に直接伝搬してきた前記超音波信号を検出し、検出された超音波信号の強度に基づいて前記受信手段が受信した前記鋼材の表面欠陥からの前記超音波信号の反射信号を増幅し、増幅された前記反射信号に基づいて前記鋼材の表面欠陥を検出する制御手段と、
    を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
  2. 前記制御手段は、前記鋼材が強磁性体である時の前記反射信号の強度を基準強度として記憶し、前記基準強度に対する検出された超音波信号の強度の比に基づいて前記反射信号の強度を増幅することを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷装置。
  3. 前記受信手段は、前記送信手段が前記超音波信号を励起させる軸心上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波探傷装置。
  4. 前記受信手段は、前記送信手段の前記軸心方向の端部のうち、前記表面欠陥を探傷する側の端部とは反対側の端部側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の超音波探傷装置。
  5. 鋼材の表層部に電磁気的に超音波信号を励起させる送信ステップと、前記鋼材の表層部から受信手段に直接伝搬してきた前記超音波信号を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップにおいて検出された超音波信号の強度に基づいて前記受信手段が受信した前記鋼材の表面欠陥からの前記超音波信号の反射信号を増幅する増幅ステップと、
    前記増幅ステップにおいて増幅された前記反射信号に基づいて前記鋼材の表面欠陥を検出する検出ステップと、
    を含むことを特徴とする超音波探傷方法。
  6. 請求項5に記載の超音波探傷方法を利用して鋼材の表面欠陥を検出し、表面欠陥が発生した鋼材を健全な鋼材と区別することにより、鋼材を製造するステップを含むことを特徴とする鋼材の製造方法。
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