JP2016191234A - グラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材 - Google Patents

グラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材 Download PDF

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Abstract

【課題】杭と鞘管の遊間が大きくてもグラウトシール材の杭への挿着が損傷を招くことなく容易で、遊間の大きさにかかわらずグラウト材の充填を二度打設する必要のないグラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材を提供する。【解決手段】グラウト材のシール構造100は、杭1と、杭1に外挿される鞘管2の遊間に充填されるグラウト材で固定するグラウト材のシール構造で、鞘管2の内周面2aに取り付ける固定部20と、固定部20に延設され杭1の外周面1aに挿着され弾性変形で杭1の外周面1aと接触しシールする接触部32を有しグラウト材を支持するグラウトシール部30とで弾性体のグラウトシール材10を構成し、固定部20より下側に放射状に複数配設され鞘管2に基端部を取り付け杭1と鞘管2の遊間の変動は許容し先端部が接触部32の下側で接触状態を保持しグラウト材の荷重を支持可能としたバックアップ材50で構成した。【選択図】図3

Description

本発明は、グラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材に関する。
地盤に打ち込んだ杭に、構造物側の鞘管を外挿し、杭と鞘管との間にグラウト材を充填して固化させて固定一体化するジャケット工法があり、杭と鞘管との間にグラウトシール材を取り付けてグラウト材の流出を防止することが行われている。
杭と鞘管との間をシールするグラウトシール材としては、例えば特許文献1に開示されたグラウトシール材がある。このグラウトシール材は、弾性を有する素材で、鞘管の内周面に取り付ける短筒状の固定部と、固定部の下端縁に水平に突設された円環状のシール部とで断面形状がL字状に形成されている。
先行杭に鞘管を挿入する際、杭の打設精度や地盤の影響によっては、鞘管の内径を大きくする必要があり、杭と鞘管との遊間(クリアランス)が大きくなり、大きな遊間をシールできるグラウトシール材が必要となる。
特開2005−307583号公報
ところが、特許文献1のグラウトシール材では、大きな遊間に対応できるようにするためには、杭の外周面と接触する開口した接触部の内径を小さくしなければならず、杭に挿入するための荷重が大きくなる。また、開口した接触部の内径の大きさによっては、グラウトシール材が破断するという問題が生じる場合もある。
また、グラウトシール材では、通常、グラウト材の打設(充填)高さを高くする必要がある場合には、杭の外周面と接触する開口した接触部の摩擦力を大きくする必要があるが、限界があり、特に、杭と鞘管との遊間が大きくなると、グラウト材の打設量に対し、グラウトシール材の耐力が保てず接触部が反転しグラウト材が漏洩したり、グラウト材の打設(充填)を1回ではできず、2回に分けて行わなければならないという問題がある。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、杭と鞘管との遊間が大きくてもグラウトシール材の杭への挿着が損傷を招くことなく容易であり、また、遊間の大きさにかかわらず必要なグラウト材の充填を二度に分けて行う必要のないグラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るグラウト材のシール構造は、
杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するためのグラウト材のシール構造であって、
前記鞘管の内周面に取り付けられる固定部と、
前記固定部に延設され前記杭の外周面に挿着され弾性変形によって前記杭の外周面と接触してシールする接触部を有して前記グラウト材を支持するグラウトシール部と、で弾性体のグラウトシール材を構成し、
前記固定部より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられ前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能としたバックアップ材を設けた、
ことを特徴とする。
また、グラウト材のシール構造では、前記グラウトシール材は、前記バックアップ材で前記接触部が支持された状態では、前記グラウト材の荷重により伸びを所定量に抑える肉厚に形成されて前記接触部での滑りを抑制しても良い。
また、前記バックアップ材は、前記グラウトシール材の下面に沿って設けられて構成されてもよい。
前記グラウトシール材は、前記固定部が前記鞘管に溶接されるベースリングを介して取り付けられ、
前記バックアップ材は、前記ベースリングに基端部が所定の角度で取り付けられていてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るグラウトシール材用のバックアップ材は、
杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するための前記グラウト材を支持する弾性体のグラウトシール材用のバックアップ材であって、
前記グラウトシール材より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられて前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記杭の外周面と接触する接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能に構成した、
ことを特徴とする。
また、グラウトシール材用のバックアップ材では、前記バックアップ材は、前記基端部が前記鞘管の内周面に所定の角度で固定され、前記先端部に向けて水平軸回りの連結ピンで連結された複数のリンク部材を備え、各リンク部材の連結部は、上方への回動が許容されて前記所定の角度より下方への回動を規制する規制部材を備えてもよい。
また、前記バックアップ材は、前記基端部が所定の角度で固定されたばね材で形成され弾性変形により遊間の変動を許容しつつ前記接触部を支持可能に構成されていてもよい。
なお、ここで、グラウト材とは、杭と鞘管との遊間に充填される流動性の液体であり、セメント(モルタル)系、ガラス系、ウレタンなどの合成樹脂のいずれをも含むものである。
本発明によれば、杭と鞘管との遊間が大きくてもグラウトシール材の杭への挿着が損傷を招くことなく容易であり、また、遊間の大きさにかかわらず必要なグラウト材の充填を二度に分けて行う必要がなくなる。
本発明のグラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材の一実施の形態にかかる部分断面図およびバックアップ材の配置を示す平面図である。 本発明の一実施の形態にかかる部分拡大縦断面図である。 本発明の一実施の形態にかかるバックアップ材の配置を示す平面図、最大偏心時および最小偏心時の部分拡大縦断面図である。 本発明のグラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材の他の一実施の形態にかかる部分断面図およびバックアップ材の配置を示す平面図である。 本発明の他の一実施の形態にかかる部分拡大縦断面図である。 本発明の他の一実施の形態にかかるバックアップ材の配置を示す平面図、最大偏心時および最小偏心時の部分拡大縦断面図である。
以下、この発明のグラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明のグラウト材のシール構造100では、グラウトシール材10を、杭1と、杭1に外挿される鞘管2との間に介装し、充填されるグラウト材をシールするとともに、グラウトシール材10の杭1の外周面1aと接触する接触部32を本発明のバックアップ材50で下側から支持することで、接触部32の滑りを抑えてグラウト材による荷重を支持できるようにしている。
グラウトシール材10は、例えば図1に示すように、合成ゴムや天然ゴムなどの弾性体により断面形状が略L字状に形成されている。グラウトシール材10は、鞘管2の内周面2aに取り付けられる短筒状の固定部20と、固定部20の上端縁から水平に延設された円環状のグラウトシール部30と、で構成されている。
固定部20は、装着される鞘管2の内周面2aに合わせた外径を有する短筒状に形成されており、例えば図1に示すように、鞘管2に溶接できる金属製の環状のベースリング21の内周面に加硫接着などで取り付けられている。固定部20は、ベースリング21を鞘管2の内周面に全周溶接することで、固定部20を介してグラウトシール材10を鞘管2に取り付けることができる。
なお、固定部20の鞘管2の内周面2aへの取り付けは、図示省略したが、鞘管2にスタッドボルトを植設し、予めボルト孔を形成した固定部20をスタッドボルトに取り付け、押え板を介してナットで締め付けるようにしても良い。
グラウトシール部30は、杭1よりも所定量小径の開口部31が形成されている。開口部31の径は、グラウトシール材10が取り付けられる杭1と鞘管2との遊間(クリアランス)の大きさおよび杭1の外径に基づき所定量小径に設定してある。これにより、開口部31を弾性変形させることで、切断などの損傷を発生させることなく杭1に挿着できる大きさとしてある。
グラウトシール部30は、開口部31を弾性変形させて杭1の外周面1aに挿着した状態では、例えば図3(b)に示すように、開口部31から下方に弾性変形によって杭1の外周面1aと接触する接触部32が形成される。
接触部32は、杭1の外周面1aと鞘管2の内周面2aとが最も離れた、図3(b)に示す最大偏心時から最も接近した図3(c)に示す最小偏心時までの間で杭1の外周面に接触するシール接触幅が最小から最大まで変化する。
なお、杭1と鞘管2との偏心時では、一方側が最大偏心側になれば、中心軸を挟む反対側は、最小偏心側となる関係にある。
グラウト材のシール構造100では、グラウトシール材10の固定部20の下側に放射状に複数のバックアップ材50が配設されており、例えば8本のバックアップ材50が円周方向等間隔に配置してある。
各バックアップ材50は、基端部がベースリング21に固定され、斜め上方に突き出すように設けられて先端部がグラウトシール材10の接触部32を支持することで、杭1の外周面1aとの接触状態を保持するようになっている。
このため、各バックアップ材50は、杭1と鞘管2との遊間が変化してもこれを許容して変形でき、変形した状態であっても先端部でグラウトシール材10の接触部32を支持できるようにしてある。
すなわち、このバックアップ材50は、図2に拡大して示すように、複数のリンク部材51を水平の連結ピン52で連結して略チェーン状に構成されている。そして、最基端部のリンク部材51aは、ベースリング21に溶接した固定金具53に斜め上方に突き出して固定されており、回動できないようになっている。最基端部以外の他のリンク部材51は、連結ピン52の後方のリンク部材51の下側に回動を規制する板状の規制部材54が溶接などで取り付けられ、連結ピン52の前方に突き出すようになっている。
これにより、連結ピン52により前方側のリンク部材51は、図1〜図3の紙面上で、連結ピン52を中心とした時計回りの下方への回動は規制されるが、反時計回りの上方への回動は許容される。なお、リンク部材51の回動方向の規制は中心軸を挟んで反対になるが、上方への回動は許容され、下方への回動が規制される。
したがって、バックアップ材50は、杭1と鞘管2との遊間が変動しても、図3に示すように、変動を許容して変形することができ、しかも先端部でグラウトシール材10の接触部32を物理的に下側から支え、接触部32の杭1の外周面1aへの接触状態を保持することができる。
このように構成したグラウトシール材10およびバックアップ材50によるグラウト材のシール構造100は、まず、ベースリング21の内周面にバックアップ材50を固定する固定金具53を円周等間隔に必要個数、例えば8個、溶接などで固定し、最基端部のリンク部材51aとともに取り付けておく。
さらに、ベースリング21には、固定金具53の上側にグラウトシール材10の固定部20を加硫接着などで取り付けることでグラウトシール材10が取り付けられる。そして、グラウトシール材10の下側に、固定金具53に固定した最基端部のリンク部材51aにリンク部材51を連結ピン52で連結してバックアップ材50を組み立てる。
次いで、ベースリング21を鞘管2の内周面に全周溶接することで取り付け、鞘管2と固定部20との間をシール状態とする。こうすることで、鞘管2の内周面にグラウトシール材10とバックアップ材50が取り付けられた状態となる。
この後、鞘管2ごとグラウトシール材10およびバックアップ材50を杭1に挿入する。
このグラウトシール材10を杭1に挿入する際には、グラウトシール部30の開口部31を杭1に被せるようにし、開口部31を弾性変形させて押し広げるようにする。これと同時に、バックアップ材50は規制部材54での規制を受けずに回動させて挿着する。
すると、グラウトシール材10は、開口部31を所定量小径にしてあるだけなので、押し広げても損傷を防止して容易に挿着することができ、挿入荷重を増大することなく弾性変形させて杭1の外周面1aへの接触部32を形成することができる。
また、バックアップ材50は、杭1と鞘管2との遊間に応じて、例えば最大偏心側では、図3(b)に示すように、最小偏心側では、図3(c)に示すように、グラウトシール材10のグラウトシール部30の接触部32が杭1の外周面1aに接触すると同時に、接触部32の下側がバックアップ材50の先端部で物理的に支えられる。
こうして鞘管2を杭1の所定の位置まで挿入する。
次いで、杭1と鞘管2との遊間のグラウトシール部30上に、グラウト材を充填し、グラウト材の荷重をグラウトシール部30の接触部32の摩擦力とバックアップ材50の物理的な支持力で支持し、グラウト材のシール状態を保持する。
これにより、グラウト材が固化することで、杭1に対し鞘管2を固定一体化することができる。
このようにグラウトシール材10の接触部32を物理的に支持するバックアップ材50を設けたグラウト材のシール構造100では、グラウトシール材10だけの場合には、接触部32の摩擦力に対してグラウト材による荷重が大きくなると接触部32が滑り、グラウト材をシールすることができなくなるが、バックアップ材50によって接触部32の下側を物理的に支持することができ、接触部32の滑りを抑制することができる。
これにより、杭1と鞘管2との遊間が大きくグラウトシール材10の接触部32の摩擦力が不足する場合でもグラウト材のシール状態を確保することができる。
さらに、グラウト材の打設高さを高くする必要がある場合でも、接触部32の摩擦力をバックアップ材50で補うことができ、2度打設の必要をなくし、必要なグラウト高さを1度で打設することができる。
また、バックアップ材50を複数のリンク部材51を連結ピン52で連結し、規制部材54で上方への回動を許容し、下方への回動を規制するようにしたので、バックアップ材50によってグラウトシール材10の接触部32の接触状態を物理的に支持することができ、杭1と鞘管2との遊間の変化にも対応することができる。
また、このグラウト材のシール構造100では、バックアップ材50による接触部32の物理的な支持は、バックアップ材50の設置位置で行われるが、設置位置の間でも接触部32が滑らないようにするために、グラウトシール材10のグラウトシール部30の円周方向の伸びを所定量に抑えるようにしている。すなわち、グラウトシール材10のグラウトシール部30の肉厚を円周方向の伸びが生じても接触部32に滑りが生じない量(所定量)に伸びを抑えるように設定してある。
なお、上記実施の形態では、バックアップ材50をリンク部材51を連結ピン52で連結した略チェーン状に構成したが、リンク部材51を丸鋼などで形成して連結ピンで連結したものなど、リンク部材51の形状は、適宜決定すればよい。
また、上記実施の形態では、バックアップ材50をグラウトシール材10の下側に空間を空けて設置するようにしたが、バックアップ材50をグラウトシール材10の下面に沿わせるように設置したり、グラウトシール材10のグラウトシール部30に埋設するように設置しても良く、グラウト材の荷重の支持と接触部32の物理的な支持ができればその設置位置は適宜変更してもよい。
次に、この発明のグラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材の他の実施の形態について図4〜図6を参照して説明する。
この実施の形態は、グラウトシール材10を物理的に支持するバックアップ材50Aの構成が異なるものである。
バックアップ材50Aは、バックアップ材本体56と、バックアップ材本体56の基端部を回動可能に取り付ける取付金具57と、上方への回動を許容し、所定の角度より下方への回動を規制する規制部材58と、で構成される。
バックアップ材50Aは、例えば図4に示すように、グラウトシール材10の固定部20の下側に放射状に複数配設され、例えば8本のバックアップ材50Aが円周方向等間隔に配置してある。
各バックアップ材50Aは、基端部がベースリング21に溶接された取付金具57に取り付けられ、バックアップ材本体56が所定の角度である略水平に突き出すように設けられている。また、図6に示すように、取付金具57を鞘管2に直接溶接などで取り付けるようにしてもよい。
バックアップ材本体56は、例えば横断面形状が円形の丸鋼で構成される。
なお、バックアップ材本体56は、丸鋼とする場合に限らず、他の断面形状であっても良く、また、金属材料に限らず、合成樹脂材料で構成することもできる。
取付金具57は、図4および図5に示すように、グラウトシール材10のベースリング21に溶接などで固定される。取付金具57にバックアップ材本体56の基端部が回動軸59を介して回動可能に取り付けてある。
規制部材58は、バックアップ材本体56の上方への回動を許容し、所定の角度より下方への回動を規制するためのものであり、図5に拡大して示すように、取付金具57の下側に取り付けられてバックアップ材本体56の下面が当たることで、略水平乃至わずかに上方に傾斜した状態からの下方への回動が規制され、上方への回動は、自由にできるようにしてある。この規制部材58は、杭1と鞘管2との遊間が最も狭くなる最小偏心時にも支障のないように突き出し量が設定してある。
したがって、バックアップ材50Aは、杭1と鞘管2との遊間が変動しても、図6に示すように、変動を許容して上方に回動することができ、しかも先端部でグラウトシール材10の接触部32を物理的に下側から支え、接触部32の杭1の外周面1aへの接触状態を保持することができる。なお、バックアップ材50Aは、上方に回動した後、略水平の所定の角度までは下方への回動は許容される。
このようなバックアップ材50Aを用いたグラウト材のシール構造100によっても、既に説明した実施の形態と同様の効果を奏する。
また、バックアップ材50Aによれば、リンク部材51を連結ピン52で連結したチェーン状のバックアップ部材50と同様の効果を奏するとともに、構造を簡素化することができる。
なお、上記実施の形態では、バックアップ材50Aのバックアップ材本体56を丸棒などの鋼材や合成樹脂材料とし、取付金具57に回動可能に回動軸59で取り付け、規制部材58で上方への回動のみを許容し、下方への回動を規制するようにしたが、バックアップ材本体56をばね材などの曲げに対して反発力を有するもので形成し、反発力によって杭1と鞘管2との遊間の変化を許容し、しかもグラウトシール材10の接触部32を下側から物理的に支持するようにすることもできる。この場合のバックアップ材本体56は、反発力を有する丸鋼とする場合に限らず、他の断面形状であっても良く、また、金属材料に限らず、反発力を有する合成樹脂材料で構成することもできる。
このような反発力を有するバックアップ材50Aを用いることで、グラウトシール材10の接触部32を支持する場合に、物理的な支持だけでなく、反発力を加えることができ、一層確実に接触部32のシール状態を確保することができる。
このような反発力を有するバックアップ材50Aを用いたグラウト材のシール構造100によっても、既に説明した実施の形態と同様の効果を奏する。
また、上記の実施の形態では、バックアップ材50Aを取り付ける取付金具57をベースリング21に溶接したり、鞘管2に溶接するようにしたが、取付金具57を、遊間を調整するガイドプレート3と兼用してガイドプレート3にバックアップ部材50Aを取り付けたり、ガイドプレート3に取付金具57を取り付けるようにすることもできる。
以上実施の形態とともに、詳細に説明したように、本発明のグラウト材のシール構造100によれば、杭1と、杭1に外挿される鞘管2との遊間に充填されるグラウト材をシールして杭1と鞘管2とをグラウト材で固定一体化するためのグラウト材のシール構造であって、鞘管2の内周面2aに取り付けられる固定部20と、固定部20に延設され杭1の外周面1aに挿着され弾性変形によって杭1の外周面1aと接触してシールする接触部32を有してグラウト材を支持するグラウトシール部30とで弾性体のグラウトシール材10を構成し、固定部20より下側に放射状に複数配設され鞘管2に基端部が取り付けられ杭1と鞘管2との遊間の変動は許容し先端部が接触部32の下側で接触部32の接触状態を保持してグラウト材の荷重を支持可能としたバックアップ材50を設けたので、杭1と鞘管2との遊間が大きくてもグラウトシール材10の杭1への挿着が損傷を招くことなく容易となり、また遊間の大きさにかかわらず必要なグラウト材の充填を二度に分けて行う必要がなくなる。
すなわち、このグラウト材のシール構造100では、グラウトシール材10の開口部31の内径による接触部32の摩擦力に加えて接触部32の下側から物理的に支持するバックアップ材50の支持力によってグラウト材の荷重を支持することができる。これにより、杭1と鞘管2との遊間が大きくてもグラウトシール材10の開口部31の内径を小さくしてその摩擦力だけでグラウト材の荷重を支持する必要が少なく、グラウトシール材10の挿入荷重の増大を招くことなく杭1への挿着ができ、挿着時の損傷を防止することもできる。
また、このグラウト材のシール構造100によれば、杭1と鞘管2との遊間のグラウトシール材10上へのグラウト材の充填高さを高くしても、グラウトシール材10の接触部32の摩擦力とバックアップ材50による支持力とでグラウト材の荷重を支持することができ、また遊間の大きさにかかわらず充填するグラウト材の2度打設の必要がなく、1度に必要なグラウト高さまで打設して充填することができる。
また、グラウト材のシール構造100によれば、グラウトシール材10は、バックアップ材50で接触部32が支持された状態では、グラウト材の荷重により伸びを所定量に抑える肉厚に形成されて接触部32での滑りを抑制するようにしたので、放射状の複数のバックアップ材50の間での接触部32の滑りを、グラウトシール材10の伸びを抑えた肉厚によって防止することができ、確実にグラウト材をシールするとともに、グラウト材の荷重を支持することができる。
また、グラウト材のシール構造100によれば、バックアップ材50は、グラウトシール材10の下面に沿って設けて構成することで、グラウトシール材10の下面の外側に沿わせたり、下面に埋め込むように沿わせることで、確実に先端部をグラウトシール材10の接触部32の下側に位置させることができ、接触部32を物理的に支持することができる。また、バックアップ材50のグラウトシール材10に沿わせた部分でグラウトシール部30を支えてグラウト材の荷重を支持することもできる。
また、グラウト材のシール構造100によれば、グラウトシール材10は、固定部20が鞘管2に溶接されるベースリング21を介して取り付けられ、バックアップ材50は、ベースリング21に基端部が所定の角度で取り付けることで、ベースリング21にグラウトシール材10およびバックアップ材50を取り付けた後、ベースリング21を介して鞘管2に取り付けることができ、直接鞘管2にグラウトシール材10やバックアップ材50を取り付ける場合に比べ、取り付けを容易に行うことができ、現場での作業を減らすこともできる。
本発明のグラウトシール材用のバックアップ材50によれば、杭1と、杭1に外挿される鞘管2との遊間に充填されるグラウト材をシールして杭1と鞘管2とをグラウト材で固定するためのグラウト材を支持する弾性体のグラウトシール材10用のバックアップ材50であって、グラウトシール材10より下側に放射状に複数配設され鞘管2に基端部が取り付けられて杭1と鞘管2との遊間の変動は許容し先端部が杭1の外周面1aと接触する接触部32の下側で接触部32の接触状態を保持してグラウト材の荷重を支持可能に構成したので、杭1と鞘管2との遊間が大きくてもグラウトシール材10の杭1への挿着が損傷を招くことなく容易となり、また遊間の大きさにかかわらず必要なグラウト材の充填を二度に分けて行う必要がなくなる。
すなわち、このグラウトシール材用のバックアップ材50では、グラウトシール材10の開口部31の内径による接触部32の摩擦力に加えて接触部32の下側から物理的に支持するバックアップ材50の支持力によってグラウト材の荷重を支持することができる。
これにより、杭1と鞘管2との遊間が大きくてもグラウトシール材10の開口部31の内径を小さくしてその摩擦力だけでグラウト材の荷重を支持する必要が少なく、グラウトシール材10の挿入荷重の増大を招くことなく杭1への挿着ができ、挿着時の損傷を防止することもできる。
また、このグラウトシール材用のバックアップ材50によれば、杭1と鞘管2との遊間のグラウトシール材10上へのグラウト材の充填高さを高くしても、グラウトシール材10の接触部32の摩擦力とバックアップ材50による支持力とでグラウト材の荷重を支持することができ、また遊間の大きさにかかわらず充填するグラウト材の2度打設の必要がなく、1度に必要なグラウト材の高さまで打設して充填することができる。
また、グラウトシール材用のバックアップ材50によれば、バックアップ材50は、基端部が鞘管2の内周面2aに所定の角度で固定され、先端部に向けて水平軸回りの連結ピン52で連結された複数のリンク部材51を備え、各リンク部材51の連結部は、上方への回動が許容されて所定の角度より下方への回動を規制する規制部材54を備えるので、杭1と鞘管2との遊間が変化しても追従してグラウトシール材10の接触部32を物理的に支持することができる。
また、グラウトシール材用のバックアップ材50Aによれば、バックアップ材50Aは、基端部が所定の角度で固定されたばね材で形成され弾性変形により遊間の変動を許容しつつ接触部32を支持可能に構成されているので、杭1と鞘管2との遊間が変化しても弾性変形によって追従することができ、グラウトシール材10の接触部32をばねの反発力によって物理的に支持することができる。
なお、上記の実施の形態では、バックアップ材の配置を放射状に配置する場合を例に説明したが、グラウトシール材の接触部を下側から支持できれば、その配置方向は放射方向に限らず他の方向のバックアップ材を組み合わせて支持するようにすることもでき、例えば井桁状に配置することもできる。
また、上記の実施の形態では、グラウト材のシール構造やバックアップ材で支持するグラウトシール材10については、一例を挙げて説明したが、上記実施の形態で説明したものに限らず、杭と鞘管との遊間のグラウト材をシールできるものであれば良く、その形状などは、何ら限定するものでない。
1 杭
1a 外周面
2 鞘管
2a 内周面
3 ガイドプレート
10 グラウトシール材
20 固定部
21 ベースリング
30 グラウトシール部
31 開口部
32 接触部
50 バックアップ材
51 リンク部材
51a 最基端部のリンク部材
52 連結ピン
53 固定金具
54 規制部材
50A バックアップ材
56 バックアップ材本体
57 取付金具
58 規制部材
59 回動軸
100 グラウト材のシール構造

Claims (7)

  1. 杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するためのグラウト材のシール構造であって、
    前記鞘管の内周面に取り付けられる固定部と、
    前記固定部に延設され前記杭の外周面に挿着され弾性変形によって前記杭の外周面と接触してシールする接触部を有して前記グラウト材を支持するグラウトシール部と、で弾性体のグラウトシール材を構成し、
    前記固定部より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられ前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能としたバックアップ材を設けた、
    ことを特徴とするグラウト材のシール構造。
  2. 前記グラウトシール材は、前記バックアップ材で前記接触部が支持された状態では、前記グラウト材の荷重により伸びを所定量に抑える肉厚に形成されて前記接触部での滑りを抑制する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のグラウト材のシール構造。
  3. 前記バックアップ材は、前記グラウトシール材の下面に沿って設けられて構成されている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のグラウト材のシール構造。
  4. 前記グラウトシール材は、前記固定部が前記鞘管に溶接されるベースリングを介して取り付けられ、
    前記バックアップ材は、前記ベースリングに基端部が所定の角度で取り付けられていること、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のグラウト材のシール構造。
  5. 杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するための前記グラウト材を支持する弾性体のグラウトシール材用のバックアップ材であって、
    前記グラウトシール材より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられて前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記杭の外周面と接触する接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能に構成した、
    ことを特徴とするグラウトシール材用のバックアップ材。
  6. 前記バックアップ材は、前記基端部が前記鞘管の内周面に所定の角度で固定され、前記先端部に向けて水平軸回りの連結ピンで連結された複数のリンク部材を備え、各リンク部材の連結部は、上方への回動が許容されて前記所定の角度より下方への回動を規制する規制部材を備える、
    ことを特徴とする請求項5に記載のグラウトシール材用のバックアップ材。
  7. 前記バックアップ材は、前記基端部が所定の角度で固定されたばね材で形成され弾性変形により遊間の変動を許容しつつ前記接触部を支持可能に構成されている、
    ことを特徴とする請求項5または6に記載のグラウトシール材用のバックアップ材。
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