JP2016191234A - グラウト材のシール構造およびグラウトシール材用のバックアップ材 - Google Patents
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Abstract
Description
また、グラウトシール材では、通常、グラウト材の打設(充填)高さを高くする必要がある場合には、杭の外周面と接触する開口した接触部の摩擦力を大きくする必要があるが、限界があり、特に、杭と鞘管との遊間が大きくなると、グラウト材の打設量に対し、グラウトシール材の耐力が保てず接触部が反転しグラウト材が漏洩したり、グラウト材の打設(充填)を1回ではできず、2回に分けて行わなければならないという問題がある。
杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するためのグラウト材のシール構造であって、
前記鞘管の内周面に取り付けられる固定部と、
前記固定部に延設され前記杭の外周面に挿着され弾性変形によって前記杭の外周面と接触してシールする接触部を有して前記グラウト材を支持するグラウトシール部と、で弾性体のグラウトシール材を構成し、
前記固定部より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられ前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能としたバックアップ材を設けた、
ことを特徴とする。
前記バックアップ材は、前記ベースリングに基端部が所定の角度で取り付けられていてもよい。
杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するための前記グラウト材を支持する弾性体のグラウトシール材用のバックアップ材であって、
前記グラウトシール材より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられて前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記杭の外周面と接触する接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能に構成した、
ことを特徴とする。
なお、ここで、グラウト材とは、杭と鞘管との遊間に充填される流動性の液体であり、セメント(モルタル)系、ガラス系、ウレタンなどの合成樹脂のいずれをも含むものである。
本発明のグラウト材のシール構造100では、グラウトシール材10を、杭1と、杭1に外挿される鞘管2との間に介装し、充填されるグラウト材をシールするとともに、グラウトシール材10の杭1の外周面1aと接触する接触部32を本発明のバックアップ材50で下側から支持することで、接触部32の滑りを抑えてグラウト材による荷重を支持できるようにしている。
グラウトシール材10は、例えば図1に示すように、合成ゴムや天然ゴムなどの弾性体により断面形状が略L字状に形成されている。グラウトシール材10は、鞘管2の内周面2aに取り付けられる短筒状の固定部20と、固定部20の上端縁から水平に延設された円環状のグラウトシール部30と、で構成されている。
なお、固定部20の鞘管2の内周面2aへの取り付けは、図示省略したが、鞘管2にスタッドボルトを植設し、予めボルト孔を形成した固定部20をスタッドボルトに取り付け、押え板を介してナットで締め付けるようにしても良い。
グラウトシール部30は、開口部31を弾性変形させて杭1の外周面1aに挿着した状態では、例えば図3(b)に示すように、開口部31から下方に弾性変形によって杭1の外周面1aと接触する接触部32が形成される。
接触部32は、杭1の外周面1aと鞘管2の内周面2aとが最も離れた、図3(b)に示す最大偏心時から最も接近した図3(c)に示す最小偏心時までの間で杭1の外周面に接触するシール接触幅が最小から最大まで変化する。
なお、杭1と鞘管2との偏心時では、一方側が最大偏心側になれば、中心軸を挟む反対側は、最小偏心側となる関係にある。
各バックアップ材50は、基端部がベースリング21に固定され、斜め上方に突き出すように設けられて先端部がグラウトシール材10の接触部32を支持することで、杭1の外周面1aとの接触状態を保持するようになっている。
このため、各バックアップ材50は、杭1と鞘管2との遊間が変化してもこれを許容して変形でき、変形した状態であっても先端部でグラウトシール材10の接触部32を支持できるようにしてある。
すなわち、このバックアップ材50は、図2に拡大して示すように、複数のリンク部材51を水平の連結ピン52で連結して略チェーン状に構成されている。そして、最基端部のリンク部材51aは、ベースリング21に溶接した固定金具53に斜め上方に突き出して固定されており、回動できないようになっている。最基端部以外の他のリンク部材51は、連結ピン52の後方のリンク部材51の下側に回動を規制する板状の規制部材54が溶接などで取り付けられ、連結ピン52の前方に突き出すようになっている。
これにより、連結ピン52により前方側のリンク部材51は、図1〜図3の紙面上で、連結ピン52を中心とした時計回りの下方への回動は規制されるが、反時計回りの上方への回動は許容される。なお、リンク部材51の回動方向の規制は中心軸を挟んで反対になるが、上方への回動は許容され、下方への回動が規制される。
したがって、バックアップ材50は、杭1と鞘管2との遊間が変動しても、図3に示すように、変動を許容して変形することができ、しかも先端部でグラウトシール材10の接触部32を物理的に下側から支え、接触部32の杭1の外周面1aへの接触状態を保持することができる。
さらに、ベースリング21には、固定金具53の上側にグラウトシール材10の固定部20を加硫接着などで取り付けることでグラウトシール材10が取り付けられる。そして、グラウトシール材10の下側に、固定金具53に固定した最基端部のリンク部材51aにリンク部材51を連結ピン52で連結してバックアップ材50を組み立てる。
次いで、ベースリング21を鞘管2の内周面に全周溶接することで取り付け、鞘管2と固定部20との間をシール状態とする。こうすることで、鞘管2の内周面にグラウトシール材10とバックアップ材50が取り付けられた状態となる。
このグラウトシール材10を杭1に挿入する際には、グラウトシール部30の開口部31を杭1に被せるようにし、開口部31を弾性変形させて押し広げるようにする。これと同時に、バックアップ材50は規制部材54での規制を受けずに回動させて挿着する。
すると、グラウトシール材10は、開口部31を所定量小径にしてあるだけなので、押し広げても損傷を防止して容易に挿着することができ、挿入荷重を増大することなく弾性変形させて杭1の外周面1aへの接触部32を形成することができる。
また、バックアップ材50は、杭1と鞘管2との遊間に応じて、例えば最大偏心側では、図3(b)に示すように、最小偏心側では、図3(c)に示すように、グラウトシール材10のグラウトシール部30の接触部32が杭1の外周面1aに接触すると同時に、接触部32の下側がバックアップ材50の先端部で物理的に支えられる。
こうして鞘管2を杭1の所定の位置まで挿入する。
次いで、杭1と鞘管2との遊間のグラウトシール部30上に、グラウト材を充填し、グラウト材の荷重をグラウトシール部30の接触部32の摩擦力とバックアップ材50の物理的な支持力で支持し、グラウト材のシール状態を保持する。
これにより、グラウト材が固化することで、杭1に対し鞘管2を固定一体化することができる。
これにより、杭1と鞘管2との遊間が大きくグラウトシール材10の接触部32の摩擦力が不足する場合でもグラウト材のシール状態を確保することができる。
さらに、グラウト材の打設高さを高くする必要がある場合でも、接触部32の摩擦力をバックアップ材50で補うことができ、2度打設の必要をなくし、必要なグラウト高さを1度で打設することができる。
また、上記実施の形態では、バックアップ材50をグラウトシール材10の下側に空間を空けて設置するようにしたが、バックアップ材50をグラウトシール材10の下面に沿わせるように設置したり、グラウトシール材10のグラウトシール部30に埋設するように設置しても良く、グラウト材の荷重の支持と接触部32の物理的な支持ができればその設置位置は適宜変更してもよい。
この実施の形態は、グラウトシール材10を物理的に支持するバックアップ材50Aの構成が異なるものである。
バックアップ材50Aは、バックアップ材本体56と、バックアップ材本体56の基端部を回動可能に取り付ける取付金具57と、上方への回動を許容し、所定の角度より下方への回動を規制する規制部材58と、で構成される。
バックアップ材50Aは、例えば図4に示すように、グラウトシール材10の固定部20の下側に放射状に複数配設され、例えば8本のバックアップ材50Aが円周方向等間隔に配置してある。
各バックアップ材50Aは、基端部がベースリング21に溶接された取付金具57に取り付けられ、バックアップ材本体56が所定の角度である略水平に突き出すように設けられている。また、図6に示すように、取付金具57を鞘管2に直接溶接などで取り付けるようにしてもよい。
バックアップ材本体56は、例えば横断面形状が円形の丸鋼で構成される。
なお、バックアップ材本体56は、丸鋼とする場合に限らず、他の断面形状であっても良く、また、金属材料に限らず、合成樹脂材料で構成することもできる。
取付金具57は、図4および図5に示すように、グラウトシール材10のベースリング21に溶接などで固定される。取付金具57にバックアップ材本体56の基端部が回動軸59を介して回動可能に取り付けてある。
規制部材58は、バックアップ材本体56の上方への回動を許容し、所定の角度より下方への回動を規制するためのものであり、図5に拡大して示すように、取付金具57の下側に取り付けられてバックアップ材本体56の下面が当たることで、略水平乃至わずかに上方に傾斜した状態からの下方への回動が規制され、上方への回動は、自由にできるようにしてある。この規制部材58は、杭1と鞘管2との遊間が最も狭くなる最小偏心時にも支障のないように突き出し量が設定してある。
したがって、バックアップ材50Aは、杭1と鞘管2との遊間が変動しても、図6に示すように、変動を許容して上方に回動することができ、しかも先端部でグラウトシール材10の接触部32を物理的に下側から支え、接触部32の杭1の外周面1aへの接触状態を保持することができる。なお、バックアップ材50Aは、上方に回動した後、略水平の所定の角度までは下方への回動は許容される。
このようなバックアップ材50Aを用いたグラウト材のシール構造100によっても、既に説明した実施の形態と同様の効果を奏する。
また、バックアップ材50Aによれば、リンク部材51を連結ピン52で連結したチェーン状のバックアップ部材50と同様の効果を奏するとともに、構造を簡素化することができる。
このような反発力を有するバックアップ材50Aを用いることで、グラウトシール材10の接触部32を支持する場合に、物理的な支持だけでなく、反発力を加えることができ、一層確実に接触部32のシール状態を確保することができる。
このような反発力を有するバックアップ材50Aを用いたグラウト材のシール構造100によっても、既に説明した実施の形態と同様の効果を奏する。
また、上記の実施の形態では、バックアップ材50Aを取り付ける取付金具57をベースリング21に溶接したり、鞘管2に溶接するようにしたが、取付金具57を、遊間を調整するガイドプレート3と兼用してガイドプレート3にバックアップ部材50Aを取り付けたり、ガイドプレート3に取付金具57を取り付けるようにすることもできる。
すなわち、このグラウト材のシール構造100では、グラウトシール材10の開口部31の内径による接触部32の摩擦力に加えて接触部32の下側から物理的に支持するバックアップ材50の支持力によってグラウト材の荷重を支持することができる。これにより、杭1と鞘管2との遊間が大きくてもグラウトシール材10の開口部31の内径を小さくしてその摩擦力だけでグラウト材の荷重を支持する必要が少なく、グラウトシール材10の挿入荷重の増大を招くことなく杭1への挿着ができ、挿着時の損傷を防止することもできる。
また、このグラウト材のシール構造100によれば、杭1と鞘管2との遊間のグラウトシール材10上へのグラウト材の充填高さを高くしても、グラウトシール材10の接触部32の摩擦力とバックアップ材50による支持力とでグラウト材の荷重を支持することができ、また遊間の大きさにかかわらず充填するグラウト材の2度打設の必要がなく、1度に必要なグラウト高さまで打設して充填することができる。
すなわち、このグラウトシール材用のバックアップ材50では、グラウトシール材10の開口部31の内径による接触部32の摩擦力に加えて接触部32の下側から物理的に支持するバックアップ材50の支持力によってグラウト材の荷重を支持することができる。
これにより、杭1と鞘管2との遊間が大きくてもグラウトシール材10の開口部31の内径を小さくしてその摩擦力だけでグラウト材の荷重を支持する必要が少なく、グラウトシール材10の挿入荷重の増大を招くことなく杭1への挿着ができ、挿着時の損傷を防止することもできる。
また、このグラウトシール材用のバックアップ材50によれば、杭1と鞘管2との遊間のグラウトシール材10上へのグラウト材の充填高さを高くしても、グラウトシール材10の接触部32の摩擦力とバックアップ材50による支持力とでグラウト材の荷重を支持することができ、また遊間の大きさにかかわらず充填するグラウト材の2度打設の必要がなく、1度に必要なグラウト材の高さまで打設して充填することができる。
また、上記の実施の形態では、グラウト材のシール構造やバックアップ材で支持するグラウトシール材10については、一例を挙げて説明したが、上記実施の形態で説明したものに限らず、杭と鞘管との遊間のグラウト材をシールできるものであれば良く、その形状などは、何ら限定するものでない。
1a 外周面
2 鞘管
2a 内周面
3 ガイドプレート
10 グラウトシール材
20 固定部
21 ベースリング
30 グラウトシール部
31 開口部
32 接触部
50 バックアップ材
51 リンク部材
51a 最基端部のリンク部材
52 連結ピン
53 固定金具
54 規制部材
50A バックアップ材
56 バックアップ材本体
57 取付金具
58 規制部材
59 回動軸
100 グラウト材のシール構造
Claims (7)
- 杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するためのグラウト材のシール構造であって、
前記鞘管の内周面に取り付けられる固定部と、
前記固定部に延設され前記杭の外周面に挿着され弾性変形によって前記杭の外周面と接触してシールする接触部を有して前記グラウト材を支持するグラウトシール部と、で弾性体のグラウトシール材を構成し、
前記固定部より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられ前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能としたバックアップ材を設けた、
ことを特徴とするグラウト材のシール構造。 - 前記グラウトシール材は、前記バックアップ材で前記接触部が支持された状態では、前記グラウト材の荷重により伸びを所定量に抑える肉厚に形成されて前記接触部での滑りを抑制する、
ことを特徴とする請求項1に記載のグラウト材のシール構造。 - 前記バックアップ材は、前記グラウトシール材の下面に沿って設けられて構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のグラウト材のシール構造。 - 前記グラウトシール材は、前記固定部が前記鞘管に溶接されるベースリングを介して取り付けられ、
前記バックアップ材は、前記ベースリングに基端部が所定の角度で取り付けられていること、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のグラウト材のシール構造。 - 杭と、前記杭に外挿される鞘管との遊間に充填されるグラウト材をシールして前記杭と前記鞘管とを前記グラウト材で固定一体化するための前記グラウト材を支持する弾性体のグラウトシール材用のバックアップ材であって、
前記グラウトシール材より下側に複数配設され前記鞘管に基端部が取り付けられて前記杭と前記鞘管との遊間の変動は許容し先端部が前記杭の外周面と接触する接触部の下側で前記接触部の接触状態を保持して前記グラウト材の荷重を支持可能に構成した、
ことを特徴とするグラウトシール材用のバックアップ材。 - 前記バックアップ材は、前記基端部が前記鞘管の内周面に所定の角度で固定され、前記先端部に向けて水平軸回りの連結ピンで連結された複数のリンク部材を備え、各リンク部材の連結部は、上方への回動が許容されて前記所定の角度より下方への回動を規制する規制部材を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載のグラウトシール材用のバックアップ材。 - 前記バックアップ材は、前記基端部が所定の角度で固定されたばね材で形成され弾性変形により遊間の変動を許容しつつ前記接触部を支持可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項5または6に記載のグラウトシール材用のバックアップ材。
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