JP2016191186A - 複合繊維および中綿 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期嵩が高く、経時的な嵩の減少がより小さい中綿を構成するのに適した複合繊維を提供する。【解決手段】Q値が3.5以上6.5以下であるポリプロピレンを含む第1成分と、プロピレン−αオレフィン共重合体を含む第2成分とから成り、第1成分および第2成分のいずれか一方または両方が、ポリオレフィン系エラストマーを含み、第1成分が芯成分であり、第2成分が鞘成分であって、第1成分の重心が繊維の重心からずれている偏心芯鞘型の繊維断面、または第1成分と第2成分が貼り合わされたサイドバイサイド型の繊維断面を有し、ポリオレフィン系エラストマーを含む成分において、ポリオレフィン系エラストマーの割合が、10質量%以上30質量%以下である、複合繊維。【選択図】図1

Description

本発明は、複合繊維および当該複合繊維を用いた繊維集合物、特に中綿に関する。
衣料、寝具、ぬいぐるみ、クッション材、および断熱材等において、合成繊維からなる中綿材料が種々提案されている。例えば、特許文献1では、2種類の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維からなる中綿材料が提案されている。また、特許文献2では、中空ポリエステル短繊維とセルロース系短繊維とを含む中綿が提案されている。
特開平6−280148号公報 特開2007−125153号公報 特開平2−191720号公報
合成繊維を用いた中綿は、軽量性および取り扱い性の点で、木綿および羊毛等の天然繊維を用いた中綿よりも都合がよく、動物保護、取り扱い性およびコストの点で、羽毛を用いた中綿よりも都合がよい。したがって、合成繊維を用いた中綿は、今後、より多くの製品で使用されることが期待されており、天然繊維および羽毛により近い性能(特に保温性および嵩高性)を備えた合成繊維製の中綿が常に求められている。
本発明は、合成繊維製の中綿の嵩高性に着目し、初期嵩が大きく、かつ嵩高性がより長い期間にわたって維持される(すなわち、へたりが生じにくい)中綿を構成し得る合成繊維を提供することを目的とする。
本発明は、その一実施形態として、Q値(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn))が3.5以上6.5以下であるポリプロピレンを含む第1成分と、プロピレン−αオレフィン共重合体を含む第2成分とから成り、
前記第1成分および前記第2成分のいずれか一方または両方が、ポリオレフィン系エラストマーを含み、
前記第1成分が芯成分であり、前記第2成分が鞘成分であって、前記第1成分の重心が繊維の重心からずれている偏心芯鞘型の繊維断面、または前記第1成分と前記第2成分が貼り合わされたサイドバイサイド型の繊維断面を有し、
前記ポリオレフィン系エラストマーを含む成分において、前記ポリオレフィン系エラストマーの割合が、10質量%以上30質量%以下である、
複合繊維を提供する。この複合繊維は、中綿を構成するのに適している。
前記複合繊維は、立体捲縮が発現しやすい繊維断面構造を有するものの、特定の分子量分布を満たすポリプロピレンと、プロピレン−αオレフィン共重合体、特に特定のエチレン含有量のプロピレン・エチレン共重合体または特定のエチレン含有量およびブチレン含有量のプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体と、ポリオレフィン系エラストマーとが組み合わされることにより、立体捲縮が過度に発現しない。また、この複合繊維は適度な弾性を有し、変形に対し高い回復性を示す。したがって、この複合繊維は、嵩高で、かつ経時的な嵩の減少がより生じにくい中綿を与え得る。
図1A〜図1Cは本実施形態の複合繊維に発現し得る立体捲縮の形態を示す模式図である。 図2は本実施形態の複合繊維に発現し得る立体捲縮の形態を示す模式図である。 図3は機械捲縮の形態を示す模式図である。
(本発明に至った経緯)
本発明者らは、経時的な嵩の減少が生じにくい(すなわち、へたりにくい)中綿を得るべく、特許文献1に記載のような潜在捲縮性複合繊維を、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂で構成することを検討した。ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、特にポリプロピレンは、1)樹脂そのものの熱伝導率が小さいことに起因して保温性および断熱性に優れていること、2)樹脂そのものの密度が小さく、同一質量の繊維集合物で比較した場合、より嵩高である、および/または、構成繊維本数のより多い繊維集合物が得られると考えられることから、中綿に適している。具体的には、特許文献3に記載された、ポリプロピレンからなる第1成分と、エチレン−プロピレンランダム共重合体を主たる成分として含む第2成分とを複合紡糸して成る、潜在捲縮性複合繊維を中綿として使用することを検討した。
しかしながら、特許文献3に記載の複合繊維を使用し、バインダー樹脂で繊維同士を熱接着させる方法で中綿を作製すると、熱接着時の熱によって繊維が収縮するとともに、繊維に多数の細かな立体捲縮が発現し、繊維間の空隙が小さくなって、中綿の初期嵩が小さくなる。すなわち、特許文献3に記載の複合繊維を用いて所定の厚みの中綿を得ようとすると、より多くの繊維を使用する必要があるが、それにより中綿全体の重量が大きくなり、軽量感およびドレープ性が低下する。他方、ポリプロピレンのみから成る単一繊維を使用した中綿は、ポリプロピレン単一繊維が立体捲縮をほとんど発現しないため、初期嵩が小さいだけでなく、嵩回復性も低い。
そこで、本発明者らは、立体捲縮が発現するとしても、その度合いが強くならないような構成とすれば、初期嵩が大きく、使用時のクッション性および嵩回復性に優れる中綿が得られると考えた。そして、特定のポリプロピレンを第1成分として使用し、プロピレン・エチレン共重合体を第2成分として使用し、さらにポリオレフィン系エラストマーを第1成分および/または第2成分に添加して、繊維断面を立体捲縮が発現しやすい構造にして複合繊維を作製したところ、初期嵩が大きく、かつ経時的な嵩の減少が生じにくい中綿が得られることを見出した。
以下、本実施形態の複合繊維およびそれを用いた中綿を説明する。
(複合繊維)
本実施形態の複合繊維は、Q値(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn))が3.5以上6.5以下であるポリプロピレンを含む第1成分と、エチレン含有量が1質量%以上15質量%以下であるプロピレン−αオレフィン共重合体を含む第2成分とから成り、第1成分および第2成分のいずれか一方または両方が、ポリオレフィン系エラストマーを含み、第1成分が芯成分であり、第2成分が鞘成分であって、第1成分の重心が繊維の重心からずれている偏心芯鞘型の繊維断面、または第1成分と第2成分が貼り合わされたサイドバイサイド型の繊維断面を有する、複合繊維である。
本実施形態では、第1成分が、Q値が3.5以上6.5以下であるポリプロピレンを含む。Q値がこの範囲内にあるポリプロピレンを用いることによって、立体捲縮が過度に発現しにくい複合繊維を得ることができる。Q値が3.5未満であると、立体捲縮の度合いが強くなり、Q値が6.5を超えると、立体捲縮が発現しにくくなる。
ここに記載した範囲は紡糸後のQ値についてのものであるが、紡糸前のQ値もここに記載した範囲内にあることが好ましい。紡糸前のQ値は一般に樹脂メーカによって提供される。紡糸後のポリプロピレンのQ値は、複合繊維の第1成分に含まれるポロプロピレンについて測定されるものである。複合繊維を構成しているポロプロピレンのQ値を測定することが難しい場合には、ポロプロピレンのみを、複合繊維の紡糸条件と同じ条件(紡糸温度は第1成分のものとする)にて紡糸して得られる単一繊維について、Q値を測定し、その測定値を本実施形態の第1成分に含まれるポリプロピレンのQ値としてよい。
ポリプロピレンは、Q値が上記範囲を満たす限りにおいて、例えば、紡糸前の融点が150℃〜170℃の範囲内にあってよく、また、紡糸前のメルトフローレート(MFR)が、10g/10分以上60g/10分以下の範囲内にあってよい。融点は、DSCにより得た融解熱量曲線から求めることができ、ピークを示す温度(融解ピーク温度)を融点とする。以下に説明する他の樹脂についても同じである。MFRは、JIS−K−7210(条件:230℃、荷重21.18N(2.16kg)に準じて測定される。ポリプロピレンの融点がこの範囲内にあると、後述する第2成分が熱収縮する温度で第1成分の熱収縮が生じない又は生じるとしても小さく、所望の立体捲縮が良好に発現される。また、メルトフローレートが前記範囲内にあると、繊維製造時の紡糸性が良好である。
第1成分は、ポリプロピレンを好ましくは50質量%以上含み、より好ましくは70質量%以上含む。あるいは、第1成分は他の熱可塑性樹脂を含まず、ポリプロピレンのみから実質的に成っていてよい。第1成分が他の熱可塑性樹脂を含む場合、他の熱可塑性樹脂は、後述するポリオレフィン系エラストマーであってよい。あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびその共重合体等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、およびその共重合体等のポリアミド樹脂、ならびにポリメチルペンテンおよびポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを含む)等のポリオレフィン樹脂等から選択される1つまたは複数の樹脂であってよい。
第2成分は、プロピレン−αオレフィン共重合体を含む。ここで、αオレフィンは、エチレンまたは炭素数4〜20までのαオレフィン(但し、プロピレンを除く)である。プロピレン−αオレフィン共重合体において、αオレフィンは1つであってよく、その場合は二元共重合体となる。あるいは、共重合体を構成するαオレフィンは2以上であってよく、その場合は三元以上の共重合体となる。プロピレン−αオレフィン共重合体において、αオレフィンの含有量は1質量%以上15質量%以下であると好ましく、1.2質量以上10質量%以下であるとより好ましく、1.5質量%以上7質量%以下であると特に好ましく、1.5質量%以上6.6質量%以下であると最も好ましい。
本実施形態において、第2成分は、プロピレン−αオレフィン共重合体として、エチレン含有量が1質量%以上15質量%以下であるプロピレン・エチレン共重合体(以下、単に「プロピレン・エチレン共重合体」と呼ぶ)を好ましくは含む。エチレン含有量がこの範囲内にあるプロピレン・エチレン共重合体は、例えば、約120℃〜約140℃の熱処理にて収縮しやすく、複合繊維にて所望の立体捲縮を良好に発現させやすい。エチレン含有量が1質量%未満であると、プロピレン−エチレン共重合体に含まれるエチレンの含有量が少なくなることから、当該プロピレン−エチレン共重合体の性質がプロピレンのホモポリマーと変わらないものとなるため、第1成分と第2成分を比較したとき、熱縮率の差が小さくなり、複合繊維の熱収縮性が小さくなる傾向にある。エチレン含有量が15質量%を超えると、過剰に立体捲縮を発現する、すなわち熱処理時に立体捲縮発現に伴う熱収縮量が非常に大きくなり、中綿をはじめとする繊維集合物の地合が悪くなることがあり、あるいは繊維集合物の密度が大きくなってドレープ性が低下することがある。エチレン含有量はより好ましくは1.2質量%以上10質量%以下であってよく、特に好ましくは1.5質量%以上6.5質量%以下であってよく、最も好ましくは1.5質量%以上5質量%以下であってよい。
プロピレン・エチレン共重合体は、ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体のいずれであってもよい。熱収縮性を考慮すると、ランダム共重合体が好ましい。
プロピレン・エチレン共重合体は、例えば、紡糸前の融点が130℃〜148℃の範囲内にあってよく、135℃〜145℃の範囲内にあってもよい。また、紡糸前のメルトフローレート(MFR;測定温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf))が50g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以上30g/10分以下であることがより好ましい。プロピレン・エチレン共重合体の融点がこの範囲内にあると、100℃〜140℃程度の熱処理によって所望の立体捲縮を発現させやすい。また、メルトフローレートがこの範囲内にあると、繊維製造時の紡糸性が良好である。
あるいは、本実施形態において、第2成分は、プロピレン−αオレフィン共重合体として、1−ブテン含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下、エチレン含有量が1質量%以上7質量%以下であるプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体(以下、単に「プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体」と呼ぶ)を好ましくは含む。1−ブテンおよびエチレンの含有量が上記の範囲内にあるプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体もまた、上記において説明したプロピレン・エチレン共重合体と同様、例えば、約120℃〜約140℃の熱処理にて収縮しやすく、複合繊維にて所望の立体捲縮を良好に発現させやすい。
1−ブテン含有量が0.1質量%未満である、またはエチレン含有量が1質量%未満であると熱収縮性が小さくなる傾向にある。1−ブテン含有量が3.5質量%を超える、またはエチレン含有量が7質量%を超えると、過剰に立体捲縮を発現する、すなわち熱処理時に立体捲縮発現に伴う熱収縮量が非常に大きくなり、中綿をはじめとする繊維集合物の地合が悪くなることがあり、あるいは繊維集合物の密度が大きくなってドレープ性が低下することがある。1−ブテン含有量はより好ましくは1質量%以上3.2質量%以下であってよく、特に好ましくは1.5質量%以上3質量%以下であってよく、最も好ましくは1.8質量%以上2.8質量%以下であってよい。
エチレン含有量はより好ましくは2質量%以上4.5質量%以下であってよく、特に好ましくは2.5質量%以上4質量%以下であってよく、最も好ましくは2.8質量%以上3.8質量%以下であってよい。プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体は、ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体のいずれであってもよい。熱収縮性を考慮すると、ランダム共重合体が好ましい。
プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体は、例えば、紡糸前の融点が120℃〜145℃の範囲内にあってよく、130〜140℃の範囲内にあってもよい。また、紡糸前のメルトインデックス(MI;測定温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf))が50g/10分以下であることが好ましく、3g/10分以上30g/10分以下であることがより好ましく、5g/10分以上20g/10分以下であることが特に好ましい。プロピレン・エチレン共重合体の融点がこの範囲内にあると、100℃〜140℃程度の熱処理によって所望の立体捲縮を発現させやすい。また、メルトインデックスがこの範囲内にあると、繊維製造時の紡糸性が良好である。
第2成分は、プロピレン−αオレフィン共重合体を好ましくは50質量%以上含み、より好ましくは70質量%以上含む。あるいは、第2成分は他の熱可塑性樹脂を含まず、プロピレン−αオレフィン共重合体のみから実質的に成っていてよい。第2成分が他の熱可塑性樹脂を含む場合、他の熱可塑性樹脂は、後述するポリオレフィン系エラストマーであってよく、あるいは、先に第1成分に関連して、「他の熱可塑性樹脂」として説明した熱可塑性樹脂から選択される1または複数の樹脂であってよい。
本実施形態の複合繊維は、第1成分および第2成分のいずれか一方または両方にポリオレフィン系エラストマーを含む。ポリオレフィン系エラストマーを含むことにより、複合繊維における過度な立体捲縮の発現を抑制でき、また、繊維全体が適度な弾性を有し、中綿としたときに経時的な嵩の減少(へたり)を抑制できる。
ポリオレフィン系エラストマーは、好ましくは、それを含む成分の10質量%以上30質量%以下の量で含まれ、より好ましくは12質量%以上25質量%以下の量で含まれる。ポリオレフィン系エラストマーの割合が10質量%未満であると、当該エラストマーを含むことによる効果が得られにくくなり、30質量%を超えると、繊維製造時の紡糸性が低下するおそれがある。ポリオレフィン系エラストマーが、第1および第2成分の両方に含まれる場合には、繊維全体の質量に占めるポリオレフィン系エラストマーの割合は10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
ポリオレフィン系エラストマーは、第2成分にのみ含まれていてよい。前記のとおり、第2成分は熱収縮性成分であるプロピレン−αオレフィン共重合体、特にプロピレン・エチレン共重合体またはプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体を含むので、第2成分にポリオレフィン系エラストマーを含有させると、第2成分の熱収縮性の制御が容易となり、所望の立体捲縮を有するように複合繊維を設計しやすい。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびプロピレンと炭素数4以上、例えば炭素数4以上8以下のα−オレフィンとの共重合体等から選択される1または複数のポリオレフィン樹脂をハードセグメントとし、α−オレフィン系ゴムまたはその他のゴムをソフトセグメントとする熱可塑性エラストマーが挙げられる。α−オレフィン系ゴムは、例えば、エチレンと炭素数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体であってよい。α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、および1−オクタデセンなどが挙げられる。より具体的には、α−オレフィン系ゴムは、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、およびエチレンプロピレン−ジエンゴム等のエチレンプロピレン系ゴムであってよい。他にソフトセグメントとなるゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、およびアクリロニトリル−イソプレンゴム等のジエン系ゴム等が挙げられる。
ポリオレフィン系エラストマーの融点は特に限定されず、例えば、70℃以上170℃以下であってよく、好ましくは100℃以上160℃以下である。オレフィン系エラストマーが第2成分に含まれる場合、その融点は、より好ましくは、プロピレン・α−オレフィン共重合体の融点以上160℃以下である。ポリオレフィン系エラストマーの融点が、前記範囲内にあると、耐熱性が高く、例えば、中綿を製造する際の熱処理によって嵩が減少しにくい。
ポリオレフィン系エラストマーのメルトフローレート(MFR;測定温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf))は特に限定されず、例えば、1g/10分以上30g/10分であってよく、好ましくは3g/10分〜20g/10分、より好ましくは5g/10分〜15g/10分である。メルトフローレートがこの範囲内にあると、繊維製造時の紡糸性が良好である。
本実施形態において、ポリオレフィン系エラストマーは、ハードセグメントとしてプロピレンを含み、かつメタロセン触媒を用いて重合されたものであってよい。メタロセン触媒を使用しないで重合したポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにおいては、エラストマー中の結晶構造及び非晶構造の部分が300nm〜1μmの大きさで分散する。この大きさのハードセグメントおよびソフトセグメントが分散したエラストマーであるとエラストマー自体の曲げ弾性や、上記エラストマーを含む繊維及び繊維集合物の曲げ弾性や嵩回復性が乏しくなり、加えて溶融紡糸が難しくなる傾向にある。これに対しメタロセン触媒を使用して重合したポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、エラストマー中の結晶構造及び非晶構造の部分が5〜50nmのサイズで分散している。このエラストマーを用いた複合繊維は耐熱性に富み、嵩回復性や繰り返し変形させた後の耐歪み性に優れたものとなりやすい。
本実施形態で用いることができるポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、三井化学株式会社製「ミラストマー(登録商標)」、および「タフマー(登録商標)」、住友化学株式会社製「エスポレックス(登録商標)」、三菱化学株式会社製「サーモラン(登録商標)」および「ゼラス(登録商標)」、ならびに日本ポリプロ株式会社製「WELNEX(登録商標)」が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態の複合繊維は、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している断面構造を有することが好ましい。そのような断面構造として、第1成分が芯成分、第2成分が鞘成分であって、第1成分(芯成分)の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型断面、および第1成分と第2成分とが貼り合わされたサイドバイサイド型断面(「並列型断面」ともいう)が挙げられる。そのような断面構造によれば、収縮性に優れ、かつ捲縮発現性に優れた複合繊維を得ることができる。
熱収縮性複合繊維が、偏心芯鞘型複合繊維である場合、第2成分の偏心率は、20〜60%の範囲内にあることが好ましく、30〜50%の範囲内にあることがより好ましい。ここでいう偏心率とは、次式で定義される。
Figure 2016191186
本実施形態の複合繊維の繊維断面形状(外周形状)は、円形であってよく、あるいは楕円形、Y形、井形、多角形、または星形等の異形であってよい。また、第1成分の繊維断面(外周形状)は、円形であってよく、あるいは楕円形、Y形、井形、多角形、または星形等の異形であってよい。
第1成分と第2成分の複合比率は、容積比で3:7〜7:3の範囲内にあってよく、好ましくは4:6〜6:4の範囲内にある。第2成分の割合が小さすぎると、繊維が十分に収縮せず、所望の立体捲縮を発現させられないことがある。第2成分の割合が大きすぎると、複合繊維の熱収縮量が大きくなりすぎるため、熱処理の際に複合繊維が過剰に熱収縮し、得られる繊維集合物が密度の高いドレープ性の低いものとなるおそれがある。また、ポリプロピレンと比べて軟質で低融点のプロピレン−αオレフィン共重合体が繊維全体に占める割合が大きくなるため、得られる繊維集合物の弾力性が小さいものとなることがある。
このように、特定の二つの成分が偏心芯鞘型断面またはサイドバイサイド型断面を有するように複合されてなる複合繊維は、繊維段階にて、または繊維製造後加熱処理に付することによって立体捲縮を発現するものとなる。ここで、「立体捲縮」という用語は、図3に示すような捲縮の山(または山頂部)が鋭角である機械捲縮と区別されるために用いられる。また、「立体捲縮が発現している」とは、例えば、図1Aに示すような山部が湾曲した捲縮(波形状捲縮)、図1Bに示すような山部が螺旋状に湾曲した捲縮(螺旋状捲縮)、図1Cに示すような、波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮、および図2に示すような、機械捲縮に加えて、波形状捲縮および螺旋状捲縮の少なくとも一つとが混在した捲縮が発現していることを指す。
本実施形態の複合繊維は、繊維段階にて立体捲縮を発現しているものであってよい。繊維段階にて立体捲縮が発現している複合繊維は、加熱処理に付することなく、そのまま用いても嵩高で、かつ経時的な嵩の減少の少ない中綿を与え得る。あるいは、本実施形態の複合繊維は、繊維段階では立体捲縮を発現しておらず、加熱により立体捲縮を発現するものであってよい。あるいはまた、本実施形態の複合繊維は、繊維段階で立体捲縮を発現しているが、加熱によりさらに別の立体捲縮を発現する、または既に発現している立体捲縮の度合いが強くなるようなものであってよい。加熱により立体捲縮が発現する、またはその度合いが強くなる複合繊維を使用して、繊維ウェブを作製し、これを熱処理に付して得られるシート状の中綿は、伸縮性を有するものとなる。
本実施形態の複合繊維は、繊維段階にて立体捲縮を発現している場合、その捲縮数は10個/25mm以上30個/25mm以下、特に12個/25mm以上25個/25mm以下であってよい。複合繊維において、機械捲縮と、波形状捲縮および/または螺旋状捲縮とが混在して発現している場合には、機械捲縮も上記立体捲縮の数に含める。本実施形態の複合繊維は、熱処理により立体捲縮を発現させる場合、熱処理後に15個/25mm以上90個/25mm以下、特に18個/25mm以上70個/25mm以下の捲縮数を有していてよい。捲縮数は、JIS L 1015に準じて測定する。多くの立体捲縮が複合繊維に発現していると、複合繊維を含む中綿の初期嵩が小さくなる傾向にある。
本実施形態の複合繊維は、加熱されても過度な立体捲縮を発現しないものである。そのことは、例えば、
1)温度140℃、時間15分間、初荷重0.45mN/dtexの条件で測定する乾熱収縮率(以下、「140℃乾熱収縮率」)、
2)初荷重0.45mN/dtexとし、室温(18℃)から毎分10℃の昇温速度で昇温させる。昇温開始時から試料長さと熱収縮率を測定し、昇温開始時から積算した熱収縮率が1%を超えた時の温度(以下、「1%熱収縮開始温度」)、
3)温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定する乾熱収縮率(以下、「120℃乾熱収縮率」)
において現れる。
本実施形態の複合繊維は前記120℃乾熱収縮率が大きく、前記140℃乾熱収縮率が小さい。言い換えるならば、低荷重下での熱収縮率が大きく、高荷重下での熱収縮率が小さい複合繊維が、過度な立体捲縮を発現しない本実施形態の複合繊維である。このような複合繊維は、荷重(張力)が加わっていない状態、あるいは加わっている荷重が小さい状態では大きく熱収縮するものの、荷重がある程度かかっている状態、例えば、カードウェブまたは繊維同士が交絡した繊維シートなど、繊維同士がある程度固定されている状態では、熱処理時の熱収縮量が抑えられるため、適度な立体捲縮を発現する。そのため、本実施形態の複合繊維によれば、地合不良および嵩の急激な低下が発生せず、繊維集合物の初期嵩を大きくすることができ、また、繊維集合物は立体捲縮に起因する反発性およびクッション性を有するものとなる。
本実施形態の複合繊維は、10%以下の140℃乾熱収縮率を有するものであってよい。140℃乾熱収縮率は、比較的大きな初荷重で測定されるため、立体捲縮を発現しにくい、すなわち熱収縮が生じにくい繊維において、その値は小さくなる傾向にある。本実施形態の複合繊維の140℃乾熱収縮率は8%以下であってもよく、5%以下であってもよく、3%以下であってもよく、0%であってもよい。140℃乾熱収縮率が0%であるとは、当該測定方法では熱収縮が確認できないことを意味する。
本実施形態の複合繊維は、1%熱収縮開始温度が100℃以上であるものであってよい。ここで、1%熱収縮開始温度とは、繊維に0.45mN/dtexの荷重を加えた状態で、一定の昇温速度(10℃/分)で昇温したときに繊維が1%収縮する温度をいう。1%熱収縮開始温度が高いほど、繊維に加わる荷重が大きい場合(繊維集合物中の繊維であれば繊維同士が強く交絡または結合している場合)に、熱収縮しにくい繊維であり、本実施形態のような複合形態を有する繊維においては立体捲縮が発現しにくい。本実施形態の複合繊維の1%熱収縮開始温度は120℃以上であってもよく、130℃以上であってもよく、135℃以上であってもよい。
本実施形態の複合繊維は、20%以上70%以下、好ましくは30%以上60%以下、より好ましくは35%以上55%以下、特に好ましくは38%以上50%以下の120℃乾熱収縮率を有するものであってよい。本実施形態の複合繊維について、120℃乾熱収縮率は、初期荷重の小さい状態で測定しているため、加熱により発現する立体捲縮の度合いを観察するのに適している。120℃乾熱収縮率がこの範囲内にあると、繊維段階で立体捲縮が発現していても、発現していなくても、加熱により発現する立体捲縮の度合いがそれほど大きくならず、加熱処理に付された場合でも、この繊維を含む中綿または繊維集合物の初期嵩を大きくできる。
複合繊維の繊度は特に限定されず、用途等に応じて適宜選択される。例えば、中綿に用いる場合には、複合繊維は、0.5dtex〜30dtexの繊度を有してよく、好ましくは0.8dtex〜20dtex、より好ましくは1.1dtex〜18dtexの繊度を有してよい。前記の範囲内の繊度の複合繊維で中綿を構成すると、嵩高性に優れ、かつ経時的な嵩の減少がより少ない中綿が得られやすい。
複合繊維の繊維長もまた、特に限定されない。例えば、複合繊維で中綿を作製する場合、複合繊維の繊維長は24mm〜90mmの範囲内にあってよく、好ましくは28mm〜75mm、より好ましくは32mm〜65mmの範囲内にある。特に、 吹き込みにより寝具類等に充填するタイプの中綿として用いる場合、複合繊維の繊維長は20mm〜120mmの範囲内にあってよい。あるいは、繊維同士を絡み合わせて毛玉状物を形成し、その集合物を中綿として用いる場合、複合繊維の繊維長は15mm〜72mmの範囲内にあってよいし、20mm〜64mmの範囲内にあってもよいし、24mm〜48mmの範囲内にあってもよいし、28mm〜42mmの範囲内にあってもよい。あるいはまた、カード機を用いて繊維ウェブを作製し、必要に応じて繊維同士をバインダー樹脂等で接着させた中綿または不織布を作製する場合、繊維長は20mm〜100mmの範囲内にあってよく、好ましくは28mm〜72mm、より好ましくは32mm〜64mmの範囲内にある。
本実施形態の複合繊維は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、第1成分を構成するポリプロピレン、および第2成分を構成するプロピレン−αオレフィン共重合体およびポリオレフィン系エラストマーを準備する。必要に応じて、第1成分および第2成分を構成する他の熱可塑性樹脂を準備する。
次に、所望の繊維断面構造が得られるように、適切な複合型ノズルを用いて、第1成分を紡糸温度250℃〜350℃、第2成分を紡糸温度200℃〜300℃で溶融紡糸し、引取速度100〜1500m/min.で引き取り、紡糸フィラメントを得る。紡糸フィラメントの繊度は、3dtex以上50dtex以下としてよい。
次に、延伸温度を50℃以上、第2成分の融点未満の温度にし、延伸倍率1.8倍以上で延伸処理をする。第2成分が複数の樹脂を含む場合には、最も融点の低い樹脂の温度をここでいう第2成分の融点とする。より好ましい延伸温度の下限は、60℃以上である。より好ましい延伸温度の上限は、第2成分の融点より10℃低い温度である。延伸温度が50℃未満であると、第2成分の結晶化が進みにくいため、熱収縮が大きくなったり、嵩回復性が小さくなったりする傾向がある。延伸温度が第2成分の融点以上であると、繊維同士が融着する傾向がある。より好ましい延伸倍率の下限は、2倍である。より好ましい延伸倍率の上限は、4.5倍である。延伸倍率が1.8倍以上であると、延伸倍率が低すぎず、上述の波形状捲縮及び/又は螺旋状捲縮が発現した繊維を得ることが容易となり、初期嵩及び繊維自体の剛性も小さくならない。
延伸方法は特に限定されず、温水(50℃以上100℃未満)などの高温の液体で加熱しながら延伸を行う湿式延伸、高温の気体中又は高温の金属ロールなどで加熱しながら延伸を行う乾式延伸、100℃以上の水蒸気を常圧若しくは加圧状態にして繊維を加熱しながら延伸を行う水蒸気延伸などの公知の延伸方法を用いてよい。この中でも生産性、経済性、また、未延伸繊維束全体を容易にかつ均一に加熱できることから、温水を使用した湿式延伸が好ましい。
得られた延伸フィラメントには、所定量の繊維処理剤を必要に応じて付着させ、クリンパー(捲縮付与装置)で機械捲縮が与えられる。クリンパーで付与する捲縮数は、例えば、8個/25mm〜30個/25mmとしてよく、好ましくは10個/25mm〜30個/25mmであり、より好ましくは12個/25mm〜25個/25mmである。
延伸処理の前後において、例えば、機械捲縮を付与した後に、必要に応じて50℃〜120℃、好ましくは60℃〜100℃の乾熱、湿熱、または蒸熱などの雰囲気下でアニーリング処理を施してもよい。アニーリング処理の際の温度を高くすると、繊維に立体捲縮を発現させることができ、繊維段階で立体捲縮が発現した繊維を得ることができる。アニーリング処理は、機械捲縮を付与した後に実施する場合には、繊維処理剤の乾燥処理を兼ねてよい。その後、所定の繊維長に切断する。
(中綿)
本実施形態の複合繊維は、衣料、寝具、ぬいぐるみ、クッション材、および断熱材等の中綿として用いることができる。中綿は、例えば、本実施形態の複合繊維を10質量%以上含んでよい。
中綿の形態は特に限定されない。例えば、繊維製造後、必要に応じて他の繊維と混合した原綿を、開繊処理に付した後、加圧気体を吹き付けて、そのまま製品中に充填してよく、あるいは袋状物に充填してよい。袋状物に充填された形態の中綿は、袋状物を衣料等に取り付けて用いる。開繊した繊維をそのまま中綿とする場合、本実施形態の複合繊維は、繊維段階で立体捲縮を発現していてよく、その場合、初期嵩がより大きく、経時的な嵩の減少がより少ない中綿を得ることができる。あるいは、本実施形態の複合繊維が繊維段階で立体捲縮を発現していない場合には、充填の前に、熱処理に付して立体捲縮を発現させてよい。あるいはまた、本実施形態の複合繊維は、立体捲縮が発現されないまま、中綿として製品等に充填されるとしても、ポリオレフィン系エラストマーを含むことにより、繊維が弾性を有するため、得られる中綿は経時的な嵩の減少がより少ないものとなる。
中綿はまた、繊維同士が絡み合って成る毛玉状物の集合物の形態であってよい。この形態の中綿は、開繊した原綿を毛玉状に加工する加工機を用いることにより製造することができる。毛玉状物の中綿を製造する場合、本実施形態の複合繊維は、繊維段階で立体捲縮を発現していてよく、その場合、初期嵩がより大きく、経時的な嵩の減少がより少ない中綿を得ることができる。あるいは、本実施形態の複合繊維が繊維段階で立体捲縮を発現していない場合には、毛玉状物に加工する前に熱処理に付して立体捲縮を発現させてよい。あるいはまた、本実施形態の複合繊維は、立体捲縮が発現されないまま、毛玉状物に加工されるとしても、ポリオレフィン系エラストマーを含むことにより、繊維が弾性を有するため、得られる中綿は経時的な嵩の減少がより少ないものとなる。
あるいは、中綿はシート形態であってよい。例えば、本実施形態の複合繊維を必要に応じて他の繊維と混合した後、カード機等で繊維ウェブを作製してシート状物とし、このシート状物をそのまま中綿として用いてよい。シート状の中綿は複数のシート状物からなる積層体であってよい。シート状の中綿において、本実施形態の複合繊維が立体捲縮を発現している場合には、中綿の初期嵩がより大きく、経時的な嵩の減少がより少なくなる。あるいはまた、本実施形態の複合繊維は、立体捲縮が発現されないままシート状の中綿を構成しても、ポリオレフィン系エラストマーを含むことにより、繊維が弾性を有するため、得られる中綿は経時的な嵩の減少がより少ないものとなる。
シート状の中綿においては、繊維同士が接着されていてよい。接着は、本実施形態の複合繊維とは別の熱接着性繊維(加熱されると、一部または全部の構成成分が溶融または軟化して、接着性を示す繊維)によるものであってよく、あるいはバインダー樹脂(レジンボンド)によるものであってよく、あるいは本実施形態の複合繊維の一成分によるものであってよい。
熱接着性繊維は、本実施形態の複合繊維を構成する成分の融点よりも低い融点を有する成分が接着成分となるものであることが好ましい。熱接着性繊維は、例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および直鎖状低密度ポリエチレンを含む)が繊維表面の少なくとも一部を占める単一繊維または複合繊維であってよい。バインダー樹脂は、中綿の製造に用いられている樹脂、例えば、アクリル系およびポリウレタン系のものを任意に使用してよい。中綿を繊維同士を接着させた形態とする場合には、熱接着性繊維またはバインダー樹脂により、接着させることが好ましい。これらの手段によれば、比較的低い温度(例えば、120℃〜150℃)で熱処理することにより、繊維同士を接着させることができるからである。
熱接着性繊維もしくはバインダー樹脂、または本実施形態の複合繊維の一成分による、接着処理は通常、熱接着処理であるが、他の接着処理、例えば、電子線照射または超音波処理であってよい。熱接着処理の際には、本実施形態の複合繊維が熱に曝されて、立体捲縮を発現する。そのため、得られる中綿は、繊維同士の熱接着により形態保持性を有するとともに、発現した立体捲縮により伸縮性を有するものとなる。そのような中綿は、例えば、編物を基布とする中綿入りジャケットの中綿に適しており、編物の伸縮に追随して伸縮することができる。シート状の中綿を、後述するように、繊維ウェブを作製してから、熱処理する方法で製造する場合において、熱処理が熱接着を伴わないときには、繊維の自由度が大きく、より柔軟な中綿が得られる。
シート状の中綿は、本実施形態の複合繊維を10質量%以上含む繊維ウェブを作成すること、および繊維ウェブを熱処理に付して、複合繊維において立体捲縮を発現させる、ならびに/あるいは既に発現している立体捲縮の度合いを強くすることを含む製造方法によって製造してよい。熱処理は、熱接着を伴うものであってよい。あるいは熱処理は熱接着を伴わず、複合繊維に立体捲縮を発現させる、ならびに/あるいは複合繊維に発現している立体捲縮の度合いを強めるためだけに実施してよい。
繊維同士の接着は、バインダー樹脂を付着させた繊維ウェブを加熱する熱接着処理であってよい。バインダー樹脂は例えばスプレー法により繊維ウェブに付着させてよい。付着量は、例えば、繊維ウェブの5質量%〜100質量%としてよい。
熱接着性繊維を混合して繊維ウェブを作製する場合には、接着処理を熱処理とし、該熱処理を熱接着性繊維が軟化または溶融するように実施してよい。熱接着性繊維を混合する場合、繊維ウェブ中の熱接着性繊維の割合は、例えば10質量%〜90質量%としてよい。
シート状の中綿の目付は特に限定されず、用途等に応じて適宜選択される。例えば、シート状の中綿をジャケットの中綿として用いる場合には、15g/m〜150g/mの目付、好ましくは20g/m〜120g/mの目付を有してよい。また、シート状の中綿は、例えば、30cm3/g〜5000cm3/gの比容積を有し、好ましくは50cm3/g〜2500cm3/gの比容積を有する。比容積は中綿の嵩高性を示す指標であり、これが小さすぎると、中綿の嵩が小さくて、十分な暖かさおよびクッション性等、中綿に求められる機能を得られないことがある。
本実施形態の複合繊維によれば、前記の比容積を有するシート状の中綿を得ることが容易である。本実施形態の複合繊維は熱処理に付されても、過度に立体捲縮を発現しないので、細かな立体捲縮の発現による繊維密度の上昇が抑制されるからである。
本実施形態の複合繊維を含む中綿はいずれの形態においても、好ましくは本実施形態の複合繊維を10質量%以上含み、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上含む。あるいは、中綿は本実施形態の複合繊維のみで構成されていてよい。
中綿が他の繊維を含む場合、他の繊維は例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびその共重合体などのポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、およびその共重合体などのポリアミド樹脂、ポリメチルペンテンおよびポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを含む)などのポリオレフィン樹脂、ならびにアクリル系樹脂から選択される、1または複数の熱可塑性樹脂からなる合成繊維であってよい。合成繊維は単一繊維および複合繊維のいずれであってもよい。前記のように、シート状の中綿において、繊維同士を熱接着性繊維で接合する場合には、他の繊維として、熱接着性繊維が用いられる。
あるいは、他の繊維は、コットン、シルク、ウール、麻、およびパルプなどの天然繊維、レーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維であってよい。あるいはまた、本実施形態の複合繊維は、羽毛(ダウン、フェザー)とともに用いてよい。
本実施形態の複合繊維を含む中綿は、ジャケットおよびベスト等の各種防寒着等の衣料、ベッド、敷布団、掛布団、ベッドマット、マットレス、および枕等の寝具、ぬいぐるみ、クッション材(例えば、自動車用、航空機用、鉄道車両用、および船舶用の座席に使用するクッション材のほか、一般家庭用、および事務用の座席に使用するクッション材、衣料用パッド(例えば、女性のブラジャーのパッド、肩パッド、肘当てパッド、および膝当てパッド等)、膝掛け、ならびに断熱材、保温材、吸音材、遮音材、および防振材等に用いてよい。
(繊維集合物)
本実施形態の複合繊維は、中綿以外の用途に適用してよい。その場合、本実施形態の複合繊維は、これを10質量%以上含む繊維集合物の形態で用いてよい。本実施形態の複合繊維以外の他の繊維を含む場合、他の繊維の例は、先に中綿に関連して説明したとおりである。
繊維集合物は、例えば、織物、編物または不織布であってよく、特に不織布であってよい。不織布は、例えば、熱接着性繊維またはバインダーで繊維同士が熱接着された熱接着不織布、および繊維同士が交絡してなる交絡不織布であってよい。本実施形態の複合繊維を含む不織布は、より嵩高であり、かつ経時的な嵩の減少がより少ない。さらに、本実施形態の複合繊維を含む不織布は、複合繊維に発現している立体捲縮によって伸縮性を示すことができる。特に、繊維ウェブを作製した後、必要に応じて交絡処理(例えばニードルパンチ処理または高圧流体流処理)を施した後、熱処理を施して複合繊維に立体捲縮を発現させる、ならびに/あるいは既に発現している立体捲縮の度合いを強くする方法で作製された不織布は、より高い伸縮性を示す。
本実施形態の複合繊維を含む繊維集合物は、例えば、マスク、サポーターおよび包帯等の衛生物品;紙おむつ、生理用ナプキン、およびおりもの用シート等の吸収性物品;化粧料等の液体を含浸させた液体含浸皮膚被覆シート(例えば、フェイスマスク、角質ケアシート、およびデコルテシート等);ワイパー;ウエットティッシュ;緩衝材;包装材料等の本体、またはそれらを構成する部材(例えば、吸収性物品の表面シート)に適している。
複合繊維を構成する熱可塑性樹脂として、以下のものを用意した。
(ポリプロピレン樹脂)
PP−A:(株)プライムポリマー製、商品名S105HG、融点160℃、MFR30g/10分、Q値4.7
PP−B:日本ポリプロ(株)製、商品名SA03、融点160℃、MFR30g/10分、Q値2.8
PP−C:日本ポリプロ(株)製、商品名SA03E、融点160℃、MFR20g/10分、Q値5.0
(プロピレン−αオレフィン共重合体)
EP:(株)プライムポリマー製、商品名Y2045GP、融点140℃、MI30g/10分、エチレン含有量4.78質量%のプロピレン・エチレン共重合体
EPB:日本ポリプロ(株)製、商品名FW4B、融点138℃、MI7g/10分、1−ブテン含有量2.3質量%、エチレン含有量3.3質量%のプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体
(ポリオレフィン系エラストマー)
PPR−A:日本ポリプロ(株)製、商品名WELNEX、融点150℃、MI30g/10分、ゴム成分がナノ分散したポリプロピレンエラストマー
PPR−B:三井化学(株)製、商品名タフマーBL20300、融点150℃、MI30g/10分、ゴム成分がナノ分散したポリプロピレンエラストマー
(実施例1〜7、比較例1〜3)
前記の熱可塑性樹脂から、それぞれ第1成分および第2成分を構成するものとして表1および表2に示す樹脂を選択した。第1成分を芯成分、第2成分を鞘成分として、偏心芯鞘型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を5/5として、鞘成分および芯成分ともに紡糸温度を270℃として溶融押出し、引取速度を280m/min.として、表1および表2に示す偏心率を有する、繊度20dtexの紡糸フィラメントを得た。
前記紡糸フィラメントを、70℃の温水中で3.5倍に延伸し、繊度6.7dtexの延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤を付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて、16個/25mmの機械捲縮を付与した。次いで、70℃に設定した熱風貫通式熱処理機にて15分間、アニーリング処理と乾燥処理を同時に実施し、フィラメントを38mmの繊維長に切断して複合繊維を得た。得られた複合繊維はいずれも、繊維段階で立体捲縮を発現していた。
得られた繊維について、第1成分を構成するポリプロピレンのQ値(紡糸後)を、以下の方法にしたがって測定した。
(紡糸後のポリプロピレンのQ値)
第1成分を実施例で採用した条件と同じ条件で紡糸し、延伸して得られた単繊維をサンプルとし、高温GPC装置(Polymer Laboratories製、PL−220)を用いて、分子量分布曲線を得た。分子量分布曲線から数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwを求め、さらにQ値を求めた。測定条件等は以下のとおりである。
検出器:示差屈折率検出器 RI
カラム:Shodex HG−G (1本)、HT−806M(2本)(昭和電工 製)
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB) (0.1% BHT添加)
流速:1.0mL/min、カラム温度:145℃
試料調製:試料5mgに溶媒5mLを加え、約160℃〜170℃で30分間攪拌した後、金属フィルターを用いて濾過
注入量:0.200mL
標準試料:単分散ポリスチレン (東ソー製)
データ処理:GPCデータ処理システム (TRC製)
得られた繊維について、経時的な嵩の変化を評価するために、以下に説明するボックステストへたりを測定した。
(ボックステストへたり)
パラレルカードを用いて開繊した短繊維を30g用意する。この開繊綿をアクリル製の円筒形ボックス(円柱形ボックスの直径:約200mm)に充填し、初期厚さを金属製直定規にて測定する。充填した繊維の上に、アクリル製蓋(直径:約200mm)とウェイトを載せ、450gfの荷重がボックス内の短繊維に加わった状態にて、30分間放置する。30分経過した後、ウェイトとアクリル製蓋を取り除き、除重してから30分後の開繊綿の厚さを金属製直定規で測定し、初期厚さに対する、厚さの減少割合(へたり率)を下記の式にて算出する。
へたり率(%)=[(初期厚さ(mm)−除重30分後厚さ(mm))/初期厚さ(mm)]×100
また、得られた繊維の熱収縮特性を、以下に説明する方法で評価した。
(140℃乾熱収縮率)
JIS L 1015に従って測定した。初荷重を0.45mN/dtex(50mg/de)とし、温度140℃にて15分間乾熱処理して収縮率を測定した。140℃乾熱収縮率は、以下の式に従って算出した。
140℃乾熱収縮率(%)=[(乾熱処理前の試料の長さ−乾熱処理後の試料の長さ)/(乾熱処理前の試料の長さ)]×100
(1%熱収縮開始温度)
140℃乾熱収縮率と同様、JIS L 1015に準じて測定を行う。初荷重を0.45mN/dtex(50mg/de)とし、初荷重を加えた状態で試料の長さ(初期長さ)を測定する。そして室温(18℃)から毎分10℃の昇温速度で昇温させる。昇温開始時から各温度での試料長さと熱収縮率を測定する。昇温開始時から積算した熱収縮率が1%を超えるまで昇温を続け、昇温開始時から積算した熱収縮率が1%を超えた温度を1%熱収縮開始温度とする。
(120℃乾熱収縮率)
JIS L1015に準じ、つかみ間隔を100mmとし、処理温度120℃、処理時間15分間、初荷重0.018mN/dtexにおける乾熱収縮率を測定した。120℃乾熱収縮率は、以下の式に従って算出した。
120℃乾熱収縮率(%)=[(乾熱処理前の試料の長さ−乾熱処理後の試料の長さ)/(乾熱処理前の試料の長さ)]×100
(熱加工前繊維ウェブ厚、熱加工後繊維ウェブ厚)
実施例1〜7、比較例1〜3の各繊維と、ポリプロピレンの単一繊維(繊度:6.7dtex、繊維長:51mm)を、ポリプロピレン単一繊維の割合が70質量%(実施例、比較例の複合繊維が30質量%)になるように混綿し、混綿した後、パラレルカード機を用いて開繊し、目付80g/mの繊維ウェブを得て、このウェブの厚さを無荷重にて金属製直定規で測定した。この繊維ウェブを、120℃に設定した熱風貫通式熱処理機にて120秒間熱処理に付した。熱処理後の繊維ウェブの厚さを、無荷重にて金属製直定規で測定する。熱処理後の繊維ウェブの目付はいずれも100g/mであった。
各実施例および各比較例の複合繊維のボックステストへたり、および熱収縮特性を表1および表2に示す。
Figure 2016191186
Figure 2016191186
実施例1〜7の複合繊維はいずれも、ボックステストへたり率が小さく、経時的な嵩の減少が少ないものであった。また、第2成分がプロピレン・エチレン共重合体である実施例1〜5の繊維はいずれも、140℃乾熱収縮率が0%であり、1%熱収縮開始温度が140℃以上であった。第2成分がプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体である実施例6および7の繊維は、140℃乾熱収縮率がそれぞれ3.0%および5.0%であり、1%熱収縮開始温度がそれぞれ137℃および134℃であった。これらのことから明らかなように、実施例1〜7の複合繊維は、比較例の繊維と比較して熱収縮性が小さく、繊維を作製した後、熱処理に付されたときに細かな立体捲縮が生じにくいものであった。このことは、熱加工後ウェブ厚さが大きいこと、また、特に実施例1〜5の繊維については120℃乾熱収縮率が小さいことによっても裏付けられている。すなわち、実施例1ないし7の複合繊維は熱加工後も比較的大きい初期嵩を示す中綿を与え得るものであった。
比較例1の繊維は、ポリオレフィン系エラストマーを含んでいないために、ボックステストへたりが大きく、また、熱収縮性が大きく、加熱により細かな立体捲縮を多数発現するものであった。そのため、比較例1の繊維を用いた熱加工後ウェブ厚さは、実施例および比較例の中でも最も小さかった。比較例2の繊維は、第2成分に含まれるポリオレフィン系エラストマーの割合が小さかったために、ボックステストへたりがやや大きく、また、熱収縮性が大きく、加熱により細かな立体捲縮を多数発現するものであり、熱加工後ウェブ厚さも小さかった。比較例3の繊維は、第1成分のポリプロピレンのQ値が小さかったために、熱収縮性が大きく、加熱により細かな立体捲縮を発現しやすく、熱加工後ウェブ厚さも小さかった。
本発明は以下の態様のものを含む。
(態様1)
Q値(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn))が3.5以上6.5以下であるポリプロピレンを含む第1成分と、プロピレン−αオレフィン共重合体を含む第2成分とから成り、
前記第1成分および前記第2成分のいずれか一方または両方が、ポリオレフィン系エラストマーを含み、
前記第1成分が芯成分であり、前記第2成分が鞘成分であって、前記第1成分の重心が繊維の重心からずれている偏心芯鞘型の繊維断面、または前記第1成分と前記第2成分が貼り合わされたサイドバイサイド型の繊維断面を有し、
前記ポリオレフィン系エラストマーを含む成分において、前記ポリオレフィン系エラストマーの割合が、10質量%以上30質量%以下である、
複合繊維。
(態様2)
前記ポリオレフィン系エラストマーが、前記第2成分にのみ含まれている、態様1の複合繊維。
(態様3)
前記ポリオレフィン系エラストマーが、プロピレンおよびメタロセン触媒を含むポリオレフィン系エラストマーである、態様1または2の複合繊維。
(態様4)
前記プロピレン−αオレフィン共重合体が、エチレン含有量が1質量%以上15質量%以下であるプロピレン・エチレン共重合体である、態様1〜3のいずれかの複合繊維。
(態様5)
前記プロピレン−αオレフィン共重合体が、1−ブテン含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下であり、エチレン含有量が1質量%以上7質量%以下であるプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体である、態様1〜3のいずれかの複合繊維。
(態様6)
立体捲縮を有する、態様1〜5のいずれかの複合繊維。
(態様7)
温度140℃、時間15分間、初荷重0.45mN/dtexの条件で測定する乾熱収縮率が10%以下であり、温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定する乾熱収縮率が20%以上70%以下である、態様1〜6のいずれかの複合繊維。
(態様8)
態様1〜7のいずれかの複合繊維を10質量%以上含んでなる、繊維集合物。
(態様9)
態様1〜7のいずれかの複合繊維を10質量%以上含んでなる、中綿。
(態様10)
繊維同士が接着されている、態様9の中綿。
(態様11)
繊維同士が絡み合って成る毛玉状物の集合物である、態様9の中綿。
(態様12)
態様1〜7のいずれかの複合繊維を10質量%以上含む繊維ウェブを作製すること、
前記繊維ウェブを熱処理に付して、前記複合繊維において立体捲縮を発現させる、ならびに/あるいは既に発現している立体捲縮の度合いを強くすること
を含む、中綿の製造方法。
(態様13)
前記繊維ウェブにバインダー樹脂を付着させることをさらに含み、前記熱処理が前記バインダー樹脂を付着させた繊維ウェブを加熱する熱接着処理である、態様12の中綿の製造方法。
本発明の複合繊維は、繊維段階にて及び/または熱処理後に適度な立体捲縮を発現するので、これを用いることにより、初期嵩がより高く、経時的な嵩の減少がより小さい中綿を得ることができる。

Claims (13)

  1. Q値(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn))が3.5以上6.5以下であるポリプロピレンを含む第1成分と、プロピレン−αオレフィン共重合体を含む第2成分とから成り、
    前記第1成分および前記第2成分のいずれか一方または両方が、ポリオレフィン系エラストマーを含み、
    前記第1成分が芯成分であり、前記第2成分が鞘成分であって、前記第1成分の重心が繊維の重心からずれている偏心芯鞘型の繊維断面、または前記第1成分と前記第2成分が貼り合わされたサイドバイサイド型の繊維断面を有し、
    前記ポリオレフィン系エラストマーを含む成分において、前記ポリオレフィン系エラストマーの割合が、10質量%以上30質量%以下である、
    複合繊維。
  2. 前記ポリオレフィン系エラストマーが、前記第2成分にのみ含まれている、請求項1に記載の複合繊維。
  3. 前記ポリオレフィン系エラストマーが、プロピレンおよびメタロセン触媒を含むポリオレフィン系エラストマーである、請求項1または2に記載の複合繊維。
  4. 前記プロピレン−αオレフィン共重合体が、エチレン含有量が1質量%以上15質量%以下であるプロピレン・エチレン共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合繊維。
  5. 前記プロピレン−αオレフィン共重合体が、1−ブテン含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下であり、エチレン含有量が1質量%以上7質量%以下であるプロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合繊維。
  6. 立体捲縮を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合繊維。
  7. 温度140℃、時間15分間、初荷重0.45mN/dtexの条件で測定する乾熱収縮率が10%以下であり、温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定する乾熱収縮率が20%以上70%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合繊維を10質量%以上含んでなる、繊維集合物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合繊維を10質量%以上含んでなる、中綿。
  10. 繊維同士が接着されている、請求項9に記載の中綿。
  11. 繊維同士が絡み合って成る毛玉状物の集合物である、請求項9に記載の中綿。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合繊維を10質量%以上含む繊維ウェブを作製すること、
    前記繊維ウェブを熱処理に付して、前記複合繊維において立体捲縮を発現させる、ならびに/あるいは既に発現している立体捲縮の度合いを強くすること
    を含む、中綿の製造方法。
  13. 前記繊維ウェブにバインダー樹脂を付着させることをさらに含み、前記熱処理が前記バインダー樹脂を付着させた繊維ウェブを加熱する熱接着処理である、請求項12に記載の中綿の製造方法。
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