JP2016191026A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016191026A JP2016191026A JP2015073236A JP2015073236A JP2016191026A JP 2016191026 A JP2016191026 A JP 2016191026A JP 2015073236 A JP2015073236 A JP 2015073236A JP 2015073236 A JP2015073236 A JP 2015073236A JP 2016191026 A JP2016191026 A JP 2016191026A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon black
- resin composition
- polypropylene resin
- polypropylene
- present
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】本願発明は、射出成形等によって得られる成形体の耐衝撃性を改善するポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、カーボンブラックが0.5〜20重量部添加された樹脂組成物であって、前記カーボンブラックの比表面積が20〜100m2/gであり、かつ、前記カーボンブラックの微細構造において1個単体で存在しているか又は複数個が凝集してストラクチャーを形成し存在している、一次粒子の平均粒子径が30〜60nmであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物を用いる。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物に関し、詳しくは、耐衝撃性の改良された成形容易なポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品に関する。
従来、熱可塑性樹脂に無機系フィラーを添加して、熱可塑性樹脂単独では得られない力学的特性の改善を図る例が知られている。また、通常、これらの無機系フィラーには、炭素繊維、ガラス繊維、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、クレー等が使用される。
近年、これらの無機フィラーの大きさをナノサイズに加工して熱可塑性樹脂に混合することにより、これまでのミクロンサイズの無機フィラーでは得られなかった弾性率や静的強度等の力学的物性を大きく向上させる事例が報告されている。
例えば、特許文献1では、従来の無機フィラーをサブミクロンサイズに加工して、かつ2つ以上の無機フィラーをハイブリッド混合させることにより、アイゾット衝撃強度を20%程度向上させる事例が報告されている。
また、これらの弾性率や静的強度の向上の検討において、衝撃特性を向上させる事例として、ナノシリカを用いる研究も報告されており、非特許文献1ではポリプロピレン樹脂へナノシリカ粒子を10%添加することによってシャルピー衝撃強度を20%程度向上させる事例が報告されている。
一方、無機系フィラーの中でも炭素系フィラーに着目した例として、カーボンナノチューブやグラフェン等のナノ炭素系フィラーを用いる研究も進められている(例えば、特許文献2)。しかしながら、ナノ炭素系フィラーと熱可塑性樹脂を混合するには通常の押出機等を用いるだけでは達成できず、高い混練性を有する特殊なニーダー装置による混合を行わねばならないという欠点があり、また得られた熱可塑性樹脂組成物は必ずしも衝撃強度の向上を満足していない。
ナノ炭素系フィラーの混練性を見直し、通常の樹脂組成物を製造する際に使用される押出機にて実現される事例として、ナノ炭素系フィラーをそのまま添加して機器的な混練性によって目的とする樹脂組成物を達成するのではなく、ナノ炭素系フィラーの表面改質を行うことによって、通常の押出機の利用にて耐衝撃性を向上させる研究例もあり(非特許文献2)、例えば、一般のカーボンブラックの表面を化学的処理によってマレイン酸変性することによってナイロン樹脂との相溶性を向上させて、ナイロン樹脂100部に対する変性カーボンブラック添加量10重量部にて、得られる熱可塑性樹脂の衝撃強度を2倍に向上させた例が報告されている。
しかしながら、カーボンブラックやカーボンナノチューブといったナノ炭素系フィラー表面の化学的処理は一般的にかなり煩雑であり、また、その歩留まりや収率、製造コストを考えると、汎用技術化が求められる樹脂組成物の工業化としてはかなり難しいと考えざるをえない。
一方、ポリプロピレン系樹脂は安価な材料であることから家電部品に代表される工業部品の分野で汎用的に使用されている。これら部品には塗装を行うことが多く、その代表的手法としては静電塗装法が挙げられる。しかし、ポリプロピレン系樹脂はもともと塗装性に劣る性質を示すことから、導電性カーボンを添加することで材料に導電性を付与し静電塗装への適用性を向上させている(特許文献3)。同文献は、特定のプロピレン・エチレン共重合体に導電性カーボンを含有させることで、導電性と成形加工性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提供するものであり、耐衝撃性を改良するための具体的手段については開示していない。
このように、熱可塑性樹脂にナノ炭素系フィラーを添加することによって、耐衝撃性の向上を図った熱可塑性樹脂組成物の研究事例は多いものの、効果的かつ大幅な耐衝撃性の向上を簡便な方法で実現した事例は見られない。
棚橋ら,粉体工学会誌,51,p142−152(2014).
J.Hu et al., Ind.Eng.Chem.Res., 53(6), p2270−2276(2014).
本発明は、上記従来技術の課題等について、これを解消しようとするものである。即ち、本発明の目的は、射出成形等簡便な方法によって得られる成形体の耐衝撃性を改善し得るポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者等は従来知られる炭素粒子であるカーボンブラックに着目し鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂に対して特定のカーボンブラックを添加することで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を解決するに至った。すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、カーボンブラックが0.5〜20重量部添加された樹脂組成物であって、前記カーボンブラックの比表面積が20〜100m2/g以下であり、かつ、前記カーボンブラックの微細構造において1個単体で存在しているか又は複数個が凝集してストラクチャーを形成し存在している、一次粒子の平均粒子径が30〜60nmであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物である。
本発明によれば、従来通常の熱可塑性樹脂組成物等の製造に使用される押出機を用いて押出混練によるペレット製造を経るという手法で、耐衝撃性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物をカーボンブラックの表面処理工程を含まない少ない工程数で簡便かつ安価に製造することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、容易に射出成形を行うことができ、耐衝撃性に優れた成形品を得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、容易に射出成形を行うことができ、耐衝撃性に優れた成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂とカーボンブラックを含有するものである。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂とカーボンブラックを含有するものである。
ポリプロピレン系樹脂
ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンの単独重合体であるホモポリマーの他に、プロピレンとエチレン等のαオレフィンとのブロック共重合体やランダム共重合体等も含まれるが、本発明で使用するポリプロピレン系樹脂には、プロピレンとエチレン等のαオレフィンとのブロック共重合体が好ましく、特にプロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。また、ブロック共重合体にホモ系ポリプロピレンを配合したブレンドタイプや、ホモ系ポリプロピレンにエチレンプロピレンゴム成分やエチレンプロピレンジエン系ゴム成分を添加した動的架橋タイプも本発明に使用することができる。
さらに、ホモ系ポリプロピレンやブロック共重合体のポリプロピレンをマレイン酸や無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合した変性ポリプロピレンを単独で又は上記未変性のホモ又はブロック共重合体と併用しても良い。
このようなポリプロピレンは、例えば、プライムポリマー社製ポリプロピレン(商品名:プライムポリプロ)や日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテックPP)等の市販されているものの中から適宜選択して使用することができる。
なお、上記ポリプロピレン系樹脂におけるポリプロピレン単独重合体の含有量は50〜99重量部以下がカーボンブラック添加による耐衝撃性向上効果が大きくなるので好ましく、60〜95重量部がより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンの単独重合体であるホモポリマーの他に、プロピレンとエチレン等のαオレフィンとのブロック共重合体やランダム共重合体等も含まれるが、本発明で使用するポリプロピレン系樹脂には、プロピレンとエチレン等のαオレフィンとのブロック共重合体が好ましく、特にプロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。また、ブロック共重合体にホモ系ポリプロピレンを配合したブレンドタイプや、ホモ系ポリプロピレンにエチレンプロピレンゴム成分やエチレンプロピレンジエン系ゴム成分を添加した動的架橋タイプも本発明に使用することができる。
さらに、ホモ系ポリプロピレンやブロック共重合体のポリプロピレンをマレイン酸や無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合した変性ポリプロピレンを単独で又は上記未変性のホモ又はブロック共重合体と併用しても良い。
このようなポリプロピレンは、例えば、プライムポリマー社製ポリプロピレン(商品名:プライムポリプロ)や日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテックPP)等の市販されているものの中から適宜選択して使用することができる。
なお、上記ポリプロピレン系樹脂におけるポリプロピレン単独重合体の含有量は50〜99重量部以下がカーボンブラック添加による耐衝撃性向上効果が大きくなるので好ましく、60〜95重量部がより好ましい。
本発明に使用されるポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が温度230℃、荷重2.16kgの条件で5〜60g/10分の範囲にあることが好ましい。また、本発明に使用されるポリプロピレン系樹脂は、MFRが温度230℃、荷重2.16kgの条件で10〜40g/10分の範囲にあるブロックポリプロピレンが更に好ましい。MFRが5g/10分に満たないと、流れ性が低いために射出成形用樹脂として好ましくなく、また、MFRが60g/10分を超えると射出成形時にバリや硬化収縮等が発生しやすくなり好ましくない。
また、使用するポリプロピレン系樹脂は、シャルピー衝撃強度5kJ/m2以上のブロックポリプロピレンであることが好ましい。ブロックポリプロピレンであっても、シャルピー衝撃強度5kJ/m2未満のブロックポリプロピレンを使用した場合、本発明の範囲にあるカーボンブラックの添加による衝撃強度の向上効果が小さくなるおそれがある。
上記のポリプロピレン系樹脂は、従来公知の任意の方法により製造される。例えばブロック共重合体であれば気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、スラリー重合法等が挙げられ、1つの反応器でバッチ式重合を行っても、複数の反応器を組み合わせて連続式に重合してもよい。具体的には、最初にプロピレンの単独重合により結晶性ポリプロピレン単独重合体部分を形成し、次に、プロピレンとエチレンとのランダム共重合によってプロピレン・エチレンランダム共重合体部分を形成して製造することが好ましい。
また、ホモ系ポリプロピレンにエチレンプロピレンゴム成分やエチレンプロピレンジエン系ゴム成分を配合する場合のゴム成分については、分散性や耐衝撃性を考慮すると重量平均分子量(Mw)は、200,000〜300,000が好ましく、300,000〜2,500,000がより好ましく、400,000〜2,000,000が最も好ましい。
カーボンブラック
本発明に使用されるカーボンブラックは、比表面積が20〜100m2/g以下であり、かつ、一次粒子の平均粒子径が30〜60nmの範囲である。
本発明に使用されるカーボンブラックは、比表面積が20〜100m2/g以下であり、かつ、一次粒子の平均粒子径が30〜60nmの範囲である。
カーボンブラックの比表面積は、JIS K6217−2:2001に基づいて測定される。本発明のカーボンブラックは、比表面積が20〜100m2/gであり、30〜100m2/gが好ましく、40〜80m2/gがより好ましい。比表面積が20m2/g以下であると、カーボンブラックの添加が衝撃強度を低下させてしまうことがあり、比表面積が100m2/gより大きいとカーボンブラックの添加による衝撃強度向上効果が小さくなる。
本発明において、カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径とは、カーボンブラックの一次粒子を球として近似した場合の一次粒子の直径の平均値を意味し、具体的には、無作為に抽出した1000個以上の一次粒子を透過型電子顕微鏡で直接測定した直径の平均値を指す。
本発明のカーボンブラックは、一次粒子の平均粒子径が30〜60nmの範囲にあり、35〜45nmの範囲にあることが好ましい。一次粒子の平均粒子径が30nmに満たないと、カーボンブラックの凝集が生じやすくなり、ポリプロピレンに混合した際に、樹脂マトリックス内に分散している粒子の大きさが必ずしも一次粒子径と等しくなくなる為に好ましくなく、また、60nmを超えると粒子を起点とする応力集中が生じやすくなり、耐衝撃強度を十分に発現する性能が得られない為、好ましくない。
本発明のカーボンブラックは、一次粒子の平均粒子径が30〜60nmの範囲にあり、35〜45nmの範囲にあることが好ましい。一次粒子の平均粒子径が30nmに満たないと、カーボンブラックの凝集が生じやすくなり、ポリプロピレンに混合した際に、樹脂マトリックス内に分散している粒子の大きさが必ずしも一次粒子径と等しくなくなる為に好ましくなく、また、60nmを超えると粒子を起点とする応力集中が生じやすくなり、耐衝撃強度を十分に発現する性能が得られない為、好ましくない。
また、カーボンブラックの微細構造において、一次粒子は1個単体で存在しているか又は複数個が凝集してストラクチャーを形成している。一次粒子の凝集状態は、遠心沈降法で測定したモード径を尺度として示すことができる。本発明に使用されるカーボンブラックの遠心沈降法で測定されたモード径は、100〜250nmの範囲にあることが好ましく、150〜200nmの範囲にあることが特に好ましい。ここでいう遠心沈降法で測定されたモード径とは、遠心沈降法で測定した円相当径を示すものである。モード径が100nmより小さくなると、カーボンブラックの凝集等が生じやすく、逆にモード径が250nmより大きくなると期待する耐衝撃性の向上が得られない。
また、本発明で使用するカーボンブラックは、その粒子のつながり長さを示すDBP吸収量が100〜200ml/100gの範囲にあることが好ましい。ここでいうDBP吸収量とは、一般的にカーボンブラックの品質管理等に用いられるフタル酸ジブチル又はパラフィンオイルのオイル吸収量であり、例えば、JIS K6217 ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験法に記載された測定方法によって得ることができる。DBP吸収量が100ml/100gに満たないと期待する耐衝撃性の向上が得られず、逆にDBP吸収量が200ml/100gを超えるとカーボンブラックの製造が困難となるため、汎用的に使用するには現実的ではない。
上記より、本発明で使用するカーボンブラックは、遠心沈降法で測定されたモード径が100〜250nmであり、かつその粒子のつながり長さを示すDBP吸収量が100〜200ml/100gであることが好ましい。
本発明で使用されるカーボンブラックは、上記特性を示すものであれば特に製法は限定されないが、好ましくはファーネス法、チャンネル法、アセチレン法が好ましく、より好ましくはファーネス法により製造されたカーボンブラックがよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、カーボンブラックが0.5〜20重量部の範囲で添加された樹脂組成物である。カーボンブラックの添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1〜15重量部の範囲とすることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂100重量部に対するカーボンブラックの添加量が0.5重量部よりも少ない場合や、逆に、熱可塑性樹脂100重量部に対するカーボンブラックの添加量が20重量部よりも多くなると、期待する耐衝撃性の向上が得られない。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のカーボンブラックフィラー以外の無機フィラーや有機フィラーを併用混合しても良い。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、その製造方法が限定されるわけではないが、一般の熱可塑性樹脂組成物の製造に使用されるスクリュー型押出機を使用して公知の方法で製造することができる。好ましくは、二軸押出機の使用が生産効率上好ましい。なお、二軸押出機は同方向又は異方向のどちらの回転形態でも使用できる。また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、樹脂組成物としてMFRが5〜60の範囲にあることが望ましい。MFRをこの範囲とすることで、良好な物性と成形性を両立することができる。
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法を更に詳述すると、原料となるポリプロピレン系樹脂を選択し、本発明に適した上記要件を満たすカーボンブラックと予めプレブレンドする。
この際、カーボンブラック以外のフィラー成分や分散剤、その他安定剤などの添加剤を同時にプレブレンドしてもよい。その後、プレブレンドした混合物を、上記スクリュー型押出機等で溶融混練する。混練条件は、上記原料が溶融する温度以上であれば特に制限がないが、ポリプロピレン系樹脂の混練条件は、温度180〜240℃である。混練により押出機を経由した材料は、カーボンブラックその他の原料がポリプロピレン系樹脂マトリクスに分散した樹脂組成物となっており、ペレット化されたものとして得ることができる。
この際、カーボンブラック以外のフィラー成分や分散剤、その他安定剤などの添加剤を同時にプレブレンドしてもよい。その後、プレブレンドした混合物を、上記スクリュー型押出機等で溶融混練する。混練条件は、上記原料が溶融する温度以上であれば特に制限がないが、ポリプロピレン系樹脂の混練条件は、温度180〜240℃である。混練により押出機を経由した材料は、カーボンブラックその他の原料がポリプロピレン系樹脂マトリクスに分散した樹脂組成物となっており、ペレット化されたものとして得ることができる。
上記以外にも、カーボンブラックとポリプロピレン系樹脂とを予め高濃度でマスターバッチ化しておき、このマスターバッチとポリプロピレン系樹脂その他の材料を本発明の組成物範囲となるように溶融混練して製造してもよい。
ペレット化され得られたポリプロピレン系樹脂組成物は、そのまま射出成形機に供し、任意の型の成形材に成形することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径]
カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径は、カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編)記載の方法により透過式電子顕微鏡(TEM)にて樹脂内に分散されたカーボンブラック一次粒子の撮影を行い、その画像解析にて測定し、1000個以上のサンプル数の一次粒子の粒子径の平均値を算出した。
[カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径]
カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径は、カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編)記載の方法により透過式電子顕微鏡(TEM)にて樹脂内に分散されたカーボンブラック一次粒子の撮影を行い、その画像解析にて測定し、1000個以上のサンプル数の一次粒子の粒子径の平均値を算出した。
[カーボンブラックの比表面積]
カーボンブラックの比表面積は、JIS K6217−2:2001 ゴム用カーボンブラックの基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法の試験法に基づいて測定を行った。
[カーボンブラックの遠心沈降法により測定されたモード径]
カーボンブラックのモード径は、JIS K6217−6:2008 ゴム用カーボンブラック−基本特性−第6部:ディスク遠心光沈降法による凝集体分布の求め方に基づいて測定を行った。
カーボンブラックの比表面積は、JIS K6217−2:2001 ゴム用カーボンブラックの基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法の試験法に基づいて測定を行った。
[カーボンブラックの遠心沈降法により測定されたモード径]
カーボンブラックのモード径は、JIS K6217−6:2008 ゴム用カーボンブラック−基本特性−第6部:ディスク遠心光沈降法による凝集体分布の求め方に基づいて測定を行った。
[DBP吸収量]
カーボンブラックのDBP吸収量は、JIS K6217−4:2008 ゴム用カーボンブラックの基本特性−第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む)の試験法に基づいて測定を行った。
カーボンブラックのDBP吸収量は、JIS K6217−4:2008 ゴム用カーボンブラックの基本特性−第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む)の試験法に基づいて測定を行った。
[衝撃強度]
シャルピー衝撃強度は、JIS K7111−1:2012 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方に基づいて測定を行った。
シャルピー衝撃強度は、JIS K7111−1:2012 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方に基づいて測定を行った。
[メルトフローレート(MFR)]
メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210:2014 プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法の求め方に基づいて、温度230℃、荷重2.16kgの条件にて測定を行った。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210:2014 プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法の求め方に基づいて、温度230℃、荷重2.16kgの条件にて測定を行った。
実施例1〜6及び比較例1〜6
日本ポリプロ株式会社製のブロックポリプロピレン(商品名:ノバテックPP,グレード:BC02GA,MFR:25g/10分)と、各種一次粒子径とDBP吸収量を有するカーボンブラックを用いて、φ45mmの異方向型の二軸押出機によって混練温度220℃にて混練押出し、ペレットを製造した。それぞれのポリプロピレン系樹脂組成物のシャルピー衝撃強度、その他の特性を評価した。表1にそれら実施例及び比較例を、表2に実施例及び比較例におけるカーボンブラックの添加量及び特性と、シャルピー衝撃強度との関係を示す。
日本ポリプロ株式会社製のブロックポリプロピレン(商品名:ノバテックPP,グレード:BC02GA,MFR:25g/10分)と、各種一次粒子径とDBP吸収量を有するカーボンブラックを用いて、φ45mmの異方向型の二軸押出機によって混練温度220℃にて混練押出し、ペレットを製造した。それぞれのポリプロピレン系樹脂組成物のシャルピー衝撃強度、その他の特性を評価した。表1にそれら実施例及び比較例を、表2に実施例及び比較例におけるカーボンブラックの添加量及び特性と、シャルピー衝撃強度との関係を示す。
表1及び表2の結果より、本発明の範囲に使用されるポリプロピレン系樹脂組成物では良好なシャルピー衝撃強度が得られているが、本発明の範囲外のポリプロピレン系樹脂組成物では好ましいシャルピー衝撃強度の値が得られない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形に適し、それによって得られた成形品は耐衝撃性に優れることから、冷蔵庫、洗濯機等の家電部品、バンパー、インパネ等の自動車部材に代表される工業部品や工業部材に広く適用することができ、その産業的価値は大きい。
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、カーボンブラックが0.5〜20重量部添加された樹脂組成物であって、前記カーボンブラックの比表面積が20〜100m2/gであり、かつ、前記カーボンブラックの微細構造において1個単体で存在しているか又は複数個が凝集してストラクチャーを形成し存在している、一次粒子の平均粒子径が30〜60nmであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
- カーボンブラックの、遠心沈降法で測定したモード径が100〜250nmであり、かつ、DBP吸収量が100〜200ml/100gである請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが温度230℃、荷重2.16kgの条件で5〜60g/10分である請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- ポリプロピレン系樹脂が、メルトフローレートが温度230℃、荷重2.16kgの条件で10〜40g/10分であるブロックポリプロピレンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜4のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015073236A JP2016191026A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015073236A JP2016191026A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016191026A true JP2016191026A (ja) | 2016-11-10 |
Family
ID=57245289
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015073236A Pending JP2016191026A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016191026A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023040734A1 (zh) * | 2021-09-18 | 2023-03-23 | 金发科技股份有限公司 | 一种耐磨高抗冲聚丙烯组合物及其制备方法和应用 |
-
2015
- 2015-03-31 JP JP2015073236A patent/JP2016191026A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023040734A1 (zh) * | 2021-09-18 | 2023-03-23 | 金发科技股份有限公司 | 一种耐磨高抗冲聚丙烯组合物及其制备方法和应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Liu et al. | Dispersion, thermal and mechanical properties of polypropylene/magnesium hydroxide nanocomposites compatibilized by SEBS-g-MA | |
KR101375928B1 (ko) | 열적으로 전도성이고 전기적으로 절연성인 몰드 가능한 조성물 및 이의 제조 방법 | |
JP6386114B2 (ja) | 伝導性樹脂組成物の製造方法 | |
WO2022052408A1 (zh) | 一种碳纳米管母粒及其制备方法与应用 | |
JP5333723B2 (ja) | ゴム組成物 | |
CN112538219A (zh) | 一种聚丙烯组合物及其制备方法 | |
JP2006097006A (ja) | 導電性樹脂組成物の製造方法及び用途 | |
CN103436012B (zh) | 一种超高分子量聚乙烯改性尼龙66及其制备方法 | |
WO2013111862A1 (ja) | 導電性樹脂用マスターバッチの製造方法およびマスターバッチ | |
JP2017502106A (ja) | ブロー成形に適する高耐熱abs樹脂組成物及びその調製方法 | |
CN107022190B (zh) | 一种用于工程塑料增强的石墨烯微片母料及制备方法 | |
CN105820522A (zh) | 一种硫酸钙晶须增强增韧聚乳酸复合材料及其制备方法 | |
CN112457585A (zh) | 一种聚丙烯组合物及其制备方法 | |
CN103044781A (zh) | 一种高模量低收缩率低填充聚丙烯复合材料 | |
EP2534193B1 (de) | Verwendung von mischungen zur herstellung schlagzähmodifizierter thermoplastischer zusammensetzungen | |
JP2015117253A (ja) | 導電性樹脂組成物マスターバッチ | |
JP2016191026A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品 | |
JP2017179369A (ja) | 衝撃強度に優れた電気伝導性樹脂複合体、電気伝導性樹脂組成物、及びその製造方法 | |
KR20170112980A (ko) | 충격강도가 우수한 전기전도성 고분자 복합체, 전기전도성 수지 조성물 및 그 제조방법 | |
CN1218998C (zh) | 一种聚对苯二甲酸乙二醇酯组合物及其制备方法 | |
KR20190078735A (ko) | 전도성 폴리아미드 수지 조성물, 이의 제조방법 및 성형품 | |
CN103450557A (zh) | 一种聚丙烯pp纳米级增强改性颗粒的制备方法 | |
Wang et al. | Toughening polypropylene by tiny amounts of fillers | |
CN110964258B (zh) | 一种低收缩率聚丙烯组合物及其制备方法和应用 | |
CN111087778A (zh) | 流动性能改善的导热聚碳酸酯组合物及制备方法和应用 |