JP2016188755A - 環境制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常冷却運転と、冷媒圧力制御運転を切り換えることができ、冷媒圧力制御運転を実施する際の冷却・除湿能力の下限が低い環境制御装置を開発する。【解決手段】冷却装置30は、蒸発器13の下流側に第2膨張弁15(下流側絞り手段)が設けられている。また第2膨張弁15(下流側絞り手段)を迂回する膨張弁バイパス流路17が設けられ、膨張弁バイパス流路17に開閉弁16が設けられている。冷却装置30には、ホットガスバイパス回路31が設けられており、圧縮機10から吐出された冷媒ガスを第1膨張弁12の下流側に導入する。第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40で冷媒温度を監視し、この温度が一定の温度以上であるならば、第1膨張弁12の開度の下限が制限される。【選択図】 図1

Description

本発明は環境試験装置等に採用される環境制御装置に関するものである。
環境試験装置は、装置内に設けられた所定の空間(以下、物品配置室という場合がある)に、所望の気温と相対湿度の環境を作るものである。環境試験装置は、一般に、加熱器と、加湿器と、冷却装置(除湿装置の機能を兼ねる)とを備えている。加熱器は、電気ヒータで構成されるものであり、物品配置室を昇温する。加湿器は、電気ヒータと蒸発皿の組み合わせで構成されるものであり、蒸発皿から水を蒸発させることで、物品配置室を加湿する。冷却装置(除湿装置)は、冷凍サイクルで構成されるものであり、気体状の冷媒を凝縮し、さらに蒸発器内で断熱膨張させることで、物品配置室の冷却・除湿を行うものである。
図8は、環境試験装置の代表的な冷却装置(除湿装置の機能を兼ねる。以下単に冷却装置と称する。)100を示している。冷却装置100は、本明細書で定義するところの「通常冷却運転」のみを行うものである。
図8に示す冷却装置100は、圧縮機10と、凝縮器11と、膨張弁12及び蒸発器13を有し、これらが主冷媒配管20によって環状に接続されたものである。そして主冷媒配管20内に相変化する冷媒が内蔵されている。
冷却装置100では、気体状の冷媒が、圧縮機10に導入され、圧縮機10で圧縮されて高圧の気体となり、これが凝縮器11内で熱を奪われて液化する。
そして液状の冷媒は、膨張弁12を経て蒸発器13内に入り、減圧されて気化し熱を吸収する。即ち蒸発器13の表面温度を低下させる。そして熱を奪った冷媒は蒸発器13内で完全に気化して再度圧縮機10に導入される。
図9は、冷却装置100内の冷媒の状態をモリエル線図上に表したものである。即ち圧縮機10に導入される直前の冷媒の状態は、点A(h5,P1)であり、圧力は低圧であり、比エンタルピは高く、相は気体(気相)である。
これを圧縮機10で圧縮し、圧縮機10から吐出された冷媒の状態は、点B(h7,P3)であり、圧力は高圧であり、比エンタルピは高く、相は気体である。
さらに凝縮器11内で熱を奪われた後の冷媒の状態は、点C(h1,P3)であり、圧力は高圧であり、比エンタルピは低い状態であって、相は液体(液相)である。
さらに膨張弁12を通過し、膨張弁12から吐出された冷媒の状態は、点D(h1,P1)であり、圧力は低圧であり、比エンタルピは低い状態であって、相は気液混合状態(湿り蒸気)である。
蒸発器13に入った冷媒は、圧力が低下しており、一部が気化するので、蒸発器13の表面温度が、低下する。表面温度は、例えば摂氏マイナス30度といった低温となるが、冷媒が完全に気化した後は、蒸発器13の表面温度は、一様ではなく変化する。
そして冷媒は、蒸発器13で熱交換し、比エンタルピが次第に上昇してゆき、遂には点A(h5,P1)に戻る。即ち蒸発器13から吐出された冷媒は、圧力が低圧であり、比エンタルピは高く、気体である。
図8に示す冷却装置100は、物品配置室内に摂氏マイナス20度という様な低温環境を作ったり、物品配置室内の気温を急激に低下させたい場合に好適である。
しかしながら図8に示す冷却装置100は、蒸発器13に着霜する場合が多く、環境試験が除霜作業のために中断してしまう場合がある。
そこでこの問題を解決するために、蒸発器13の表面温度を制御し、着霜を防止する機能を備えた冷却装置が提案されている。
図10に示す冷却装置200は、蒸発器13の表面温度を制御する機能を備えた冷却装置であり、本明細書で定義するところの「冷媒圧力制御運転」のみを行うものである。
冷却装置200では、蒸発器13と、圧縮器10の間に、第2膨張弁(下流側絞り手段)15が設けられている。なお以下の説明では、混乱を避けるために、蒸発器13の上流側の膨張弁12を第1膨張弁12と称し、蒸発器13の下流側の膨張弁15を第2膨張弁15と称する。
冷却装置200では、蒸発器13の下流側に第2膨張弁15(下流側絞り手段)を設けることにより、蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力を制御している。
即ち冷媒が気液混合状態(湿り蒸気)にある場合、冷媒の温度は、冷媒の蒸発圧力によって一義的に決まる。そのため第2膨張弁15(下流側絞り手段)の開度を調整して蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力を制御することによって、蒸発器13の表面温度を制御することができる。
例えば、蒸発器13の表面温度を氷点以上に制御すれば、蒸発器13に着霜することはない。
図11は、冷却装置200内の冷媒の状態をモリエル線図上に表したものである。即ち圧縮機10に導入される直前の冷媒の状態は、点A(h5,P1)であり、圧力は低圧であり、比エンタルピは高く、相は気体(気相)である。
これを圧縮機10で圧縮し、圧縮機10から吐出された冷媒の状態は、点B(h7,P3)であり、圧力は高圧であり、比エンタルピは高く気体である。
さらに凝縮器11内で熱を奪われた後の冷媒の状態は、点C(h1,P3)であり、圧力は高圧であり、比エンタルピは低い状態であって液体である。
さらに第1膨張弁12を通過すると、冷媒の圧力は低下するが、冷却装置200では、蒸発器13の下流側に第2膨張弁15(下流側絞り手段)が設けられているから、冷媒の圧力はP1までは低下せず、例えばP2で安定する。即ち冷媒の状態は、点E(h1,P2)であり、圧力は中程度となる。
そのため、蒸発器13の表面温度は例えば摂氏2度といった温度で安定する。
そして蒸発器13で熱交換する。冷媒は、蒸発器13を出て第2膨張弁15(下流側絞り手段)に入り、圧力が低下する。即ち蒸発器13を出た直後の冷媒の状態は、点F(h3,P2)であり、圧力は中圧であり、比エンタルピは中程度であって気液混合状態である。
冷媒は、第2膨張弁15(下流側絞り手段)に入って圧力を下げ、状態は、点G(h3,P1)に到る。しかしながら、第2膨張弁15(下流側絞り手段)は蒸発器13の下流側に設けられているから、蒸発器13の内部にある状態においては、冷媒の圧力は、制御圧たるP2に保たれている。
第2膨張弁15(下流側絞り手段)から開放された冷媒は、圧力がP1まで低下する。即ち蒸発器13から吐出された冷媒の状態は、点F(h3,P2)であり、圧力は中圧であり、比エンタルピは中程度であって気液混合状態である。また第2膨張弁15(下流側絞り手段)から開放された直後の冷媒は、点G(h3,P1)であり、圧力は低圧であり、比エンタルピは中程度であって気液混合状態である。そして冷媒は、その後に熱を得て気化し、点A(h5,P1)に戻る。
特開2003−269809号公報 特公昭61−536号公報
図8に示す様な通常冷却運転を行う冷却装置100は、極低温環境を作る場合や、環境温度を急激に変化させる用途に適している。
一方、図10に示す様な冷媒圧力制御運転を行う冷却装置200は、着霜しない運転が可能となる。
そこで本発明者らは、用途に応じて使い分けができる様、図8に示す回路と、図10に示す回路を切り換えることができる冷却装置300を検討した。即ち通常冷却運転と、冷媒圧力制御運転を切り換えることができる冷却装置300の設計に着手した。
図12は、本発明者らが検討した冷却装置300である。
冷却装置300は、図10に示す冷媒圧力制御運転を行う冷却装置200をベースとするものであり、蒸発器13の下流側に第2膨張弁15(下流側絞り手段)が設けられている。そして冷却装置300では、第2膨張弁15(下流側絞り手段)を迂回する膨張弁バイパス流路17が設けられ、膨張弁バイパス流路17に開閉弁16が設けられている。
本発明者らが検討した冷却装置300は、膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を閉じることにより、実質的に図10に示す様な冷媒圧力制御運転を行う冷却装置200と同様の冷媒圧力制御運転用の回路が形成される。
即ち膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を閉じると、冷媒は、圧縮機10、凝縮器11、第1膨張弁12、蒸発器13及び第2膨張弁15(下流側絞り手段)によって形成される閉回路を循環することとなり、蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力が制御されて蒸発器13の表面温度が制御される。即ち膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を閉じることによって、冷媒圧力制御運転が行われる。
これに対して膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を開くと、冷媒は、流路抵抗が小さい膨張弁バイパス流路17側を流れ、蒸発器13内の圧力がP1まで低下し、通常冷却運転が実行される。
冷却装置300は、理論的に無理の無いものであるが、実際に冷却装置300を試作するに際して新たな問題が生じた。
即ち冷却装置300を実現するのに際し、蒸発器13の選定に窮した。
以下、具体的に説明する。
蒸発器13を選定する際に留意すべき点として、外形形状が環境試験装置の筐体に収まり得るかという点(以下、大きさの制約)と、冷媒が通過する際の流路抵抗が小さいという点(以下、流路抵抗上の制約)および、冷媒の流速を確保する必要がある点(以下、流速上の制約)がある。
ここで大きさの制約という観点からは、全体の大きさが小さい方が望ましい。
また冷媒が通過する際の流路抵抗は小さい方が望ましい。即ち蒸発器13の流路抵抗が大きいと、蒸発器13の圧力損失が大きくなり、蒸発器13の入口側と出口側で冷媒の蒸発圧力が変わってしまい、熱交換媒体との平均温度差が小さくなり、熱交換量が少なくなるという問題がある。
流路抵抗上の制約という観点からは、冷媒が流れる流路の断面積が大きい方が望ましい。即ち流路抵抗による圧力損失は、流速の2乗に比例するから、冷媒が流れる流路の断面積を大きく設計して、冷媒の流速を下げることが望ましい。
流速上の制約は、潤滑のためのオイルを冷媒と共に循環させる構成を採用する点に起因する制約である。即ち冷却装置では一般的に、潤滑のためのオイルを冷媒に混合し、冷媒と共に主冷媒配管20を循環させて圧縮機10や膨張弁12,15等を潤滑する。
そのため冷媒の流速が過度に遅いと蒸発器13内に循環オイルが滞留してしまう。
冷媒の流速を早めるという観点からは、冷媒が流れる流路の断面積が小さい方が望ましい。
この様に、流路抵抗上の制約という観点からは、冷媒が流れる流路の断面積が大きい方が望ましい。一方、流速上の制約という観点からは、冷媒が流れる流路の断面積は小さい方が望ましい。
そのため通常では、両者の観点を満足しえる範囲の流路断面積を持つ蒸発器13が選定される。
ところが本発明者らが検討した冷却装置300は、通常冷却運転時と、冷媒圧力制御運転時で、想定される冷媒の体積流量が大幅に相違し、適切な蒸発器13が存在しないという問題に直面した。
即ち、通常冷却運転は、容量制御を行うため、膨張弁(第1膨張弁)12の開度を変化させ、冷媒の重量流量を変化させても運転圧力が変化し、蒸発器13内の圧力も変化するため、体積流量はあまり変化しない。したがって蒸発器13内の冷媒流速も変化しない。
一方、冷媒圧力制御運転では、蒸発器13の下流側が、第2膨張弁15(下流側絞り手段)で絞られているから、蒸発器13内の冷媒の圧力が高く且つ一定である。従って、容量制御を行うため、第1膨張弁12を変化させ、冷媒の重量流量が減少する方向に変化させた場合、第2膨張弁15(下流側絞り手段)が蒸発圧力を一定に保とうとするから、第2膨張弁15(下流側絞り手段)は絞る方向に動作することとなり、P1とP2との差異が大きくなり、蒸発器13内の体積流量が少なくなり、冷媒流量も小さくなる。
より具体的な値を示すと、最も流量が少ない場合、即ち膨張弁12の開度を絞り、容量制御した場合、通常冷却運転では、冷媒の蒸発圧力(又は冷媒圧力制御運転の吸い込み圧力)P1を0.1MPa程度、冷媒圧力制御運転時の冷媒の蒸発圧力P2を0.3MPaから0.5MPa程度に想定している。
そのためボイル・シャルルの法則に従って、冷媒圧力制御運転時における蒸発器13内の冷媒は、通常冷却運転に比べて体積が5分の1程度に圧縮されている。従って、必要な冷熱量が例え同じであったと仮定しても、冷媒圧力制御運転時における蒸発器13内の冷媒の流速は、通常冷却運転に比べて5分の1に過ぎないものとなる。
そのため通常冷却運転を基準として蒸発器13を選定すると、冷媒圧力制御運転時に適切にオイル循環をさせることが困難となり、冷媒圧力制御運転を基準として蒸発器13を選定すると、通常冷却運転時に大きな圧力損失が現れて、冷媒温度と被冷却物との平均温度差が小さくなり、熱交換量が少なくなるという不具合が懸念された。
例えば、通常冷却運転における最高出力の際に、十分な冷却能力を発揮させるべく蒸発器13を選定すると、冷媒圧力制御運転時に蒸発器13内の冷媒の流速が極端に低下し、潤滑オイルが蒸発器13内に滞留してしまう。
適正な流速で冷媒圧力制御運転を行おうとすると、容量制御量が大きく制限され、省エネルギーに反する結果となる。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、通常冷却運転と、冷媒圧力制御運転を切り換えることができ、且つ両者を円滑に運転することが可能な環境制御装置を開発することを課題とするものである。特に、冷媒圧力制御運転を実施する際の冷却・除湿能力の下限が低い環境制御装置を開発することを課題とするものである。
上記した課題を解決する手段として、本発明者らは蒸発器13に導入される冷媒に、ホットガスを混入することを考えた。
即ち蒸発器13に導入される冷媒にホットガスを混入すれば、冷媒の量が増加する事より、蒸発器13を流れる冷媒の流速が上昇する。加えて、蒸発器13に導入される冷媒の比エンタルピが増加するから、発生する冷熱量が低下し、冷却・除湿能力の下限を押し下げることができる。
しかしながらこの方策についても、新たな問題が発生した。即ち蒸発器13に導入される冷媒にホットガスを混入すれば、蒸発器13に導入される冷媒の比エンタルビーが増加するが、ホットガスの混入量が多すぎると、蒸発器13内で気液混合状態を維持することが困難となる。
即ち冷媒圧力制御運転においても、除湿、冷却を行う必要があるため、蒸発器13内の冷媒は、気液混合状態を維持している必要がある。
そこで本発明者らは、冷媒状態監視手段を採用し、蒸発器内に導入される冷媒が気液混合状態であることを監視することとし、蒸発器内に導入される冷媒が気液混合状態を維持する様に膨張手段を流れる冷媒の量又はホットガスバイパス回路を流れる冷媒の量の少なくともいずれかが制限されることとした。
以上の知見に基づいて完成された請求項1に記載の発明は、冷却装置を備え、所定の空間内を目標気温に制御することが可能な環境制御装置において、前記冷却装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器とが環状に接続され、冷却装置の内部に相変化する冷媒が充填されていて一連の冷凍サイクルを実現するものであり、前記冷却装置には、圧縮機から吐出された冷媒ガスを膨張手段の下流側に導入するホットガスバイパス回路と、蒸発器と圧縮機の間に設けられ開度を変更可能な下流側絞り手段と、蒸発器内に導入される冷媒が気液混合状態であることを監視する冷媒状態監視手段を備え、前記冷却装置は、下流側絞り手段の開度を制御して蒸発器の温度を一定にする冷媒圧力制御運転と、下流側絞り手段の開度調整によらずに運転する通常冷却運転とを行うことが可能であり、一定条件下で冷媒圧力制御運転を実行する際にホットガスバイパス回路を経由して圧縮機から吐出された冷媒ガスを膨張手段から吐出された冷媒に混合して蒸発器に導入するホットガス導入運転が行われ、ホットガス導入運転に際しては、前記冷媒状態監視手段によって冷媒を監視し、蒸発器内に導入される冷媒が気液混合状態を維持する様に膨張手段を流れる冷媒の量又はホットガスバイパス回路を流れる冷媒の量の少なくともいずれかが制限されることを特徴とする環境制御装置である。
ここで、「下流側絞り手段の開度調整によらずに運転する」とは、下流側絞り手段の開度を調整することによって冷媒の流量や蒸発器の温度を制御する方式のものを除外する意味である。「下流側絞り手段の開度調整によらずに運転する」方策としては、下流側絞り手段を迂回する流路を設け、迂回路に冷媒を流す構成が考えられる。この構成は、下流側絞り手段を介さずに冷媒を下流側に流すものである。
また「下流側絞り手段の開度調整によらずに運転する」方策の一つとして、下流側絞り手段の開度を固定状態とする構成が考えられる。この場合は、冷媒は、下流側絞り手段を通過するが、下流側絞り手段を可変絞りとして機能させていないので、「下流側絞り手段の開度調整によらずに運転する」こととなる。
また請求項2に記載の発明は、冷媒状態監視手段は冷媒温度検知手段を有し、当該冷媒温度検知手段は、ホットガスバイパス回路を経由して圧縮機から吐出された冷媒ガスと、膨張手段から吐出された冷媒との混合冷媒の温度を検知するものであり、冷媒温度検知手段の検知温度が所定の限界温度を超えない様に膨張手段を流れる冷媒の量又はホットガスバイパス回路を流れる冷媒の量の少なくともいずれかが制限されることを特徴とする請求項1に記載の環境制御装置である。
請求項3に記載の発明は、ホットガス導入運転に際しては、蒸発器内の冷媒が気液混合状態を維持する様に膨張手段を流れる冷媒の量又はホットガスバイパス回路を流れる冷媒の量の少なくともいずれかが制限されることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境制御装置である。
請求項4に記載の発明は、必要な冷熱量が少ない状況で冷媒圧力制御運転を行う場合にホットガス導入運転がなされ、必要な冷熱量が多い場合にはホットガス導入運転はなされないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境制御装置である。
請求項5に記載の発明は、ホットガス導入運転を行わずに冷媒圧力制御運転を行っている状況からホットガス導入運転を実施する際、膨張手段を流れる冷媒の量が変更されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の環境制御装置である。
本発明の環境制御装置は、冷却装置を通常冷却運転することができ、且つ冷媒圧力制御運転に切り換えることもできる。また本発明の環境制御装置は、通常冷却運転と冷媒圧力制御運転を円滑にすることができる。さらに冷媒圧力制御運転を実施する際の冷却・除湿能力の下限が低く、実用的である。
本発明の実施形態の環境制御装置を搭載した環境試験装置の概念図であり、図中の記号は、ホットガス導入運転時の比エンタルピ及び圧力を示す。 図1の環境試験装置で採用する環境制御装置の冷却装置内の冷媒の状態をモリエル線図上に表したグラフである。 図2のグラフの中から、主冷媒配管を流れる冷媒の状態を抜き出して表現したグラフである。 図2のグラフの中からホットガスバイパス回路を流れる冷媒の状態を抜き出して表現したグラフである。 図2のグラフを、主冷媒配管を流れる冷媒を中心に書き改めたグラフである。 ホットガスバイパス回路を流れる冷媒が過多である場合に懸念される問題を示したグラフである。 図1に示す冷却装置の性能を示すグラフである。 環境試験装置の代表的な冷却装置を示す配管系統図であり、冷却装置は、通常冷却運転のみを行うものである。 図8に示す冷却装置内の冷媒の状態をモリエル線図上に表したグラフである。 蒸発器13の表面温度を制御する機能を備えた冷却装置の配管系統図であり、冷却装置は、冷媒圧力制御運転のみを行うものである。 図10に示す冷却装置内の冷媒の状態をモリエル線図上に表したグラフである。 本発明者らが検討した冷却装置の配管系統図であり、冷却装置は、通常冷却運転と冷媒圧力制御運転の切替えを行うことができるものである。
本発明の実施形態の環境制御装置の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1に示す環境試験装置1(環境制御装置)は、断熱材3で周囲を囲まれた筺体2を有している。筺体2は恒温恒湿槽5を成すものであり、内部は間仕切板4で物品配置室6と空調用通路7とに区切られている。なお、恒温恒湿槽5内の上部側と下部側には、物品配置室6と空調用通路7とが連通する開口9,19が設けられている。
物品配置室6は、環境試験の際に、試料となる機器や部品等を配置する空間で、当該空間の温度(気温)を検知する室内温度検知手段23と、当該室内の相対湿度を検知する室内湿度検知手段24が設けられている。室内温度検知手段23は、例えば、従来公知の熱電対や測温抵抗体等の温度センサである。一方、室内湿度検知手段24は、例えば、湿球温度計である。
空調用通路7には、下部側から順番に、蒸発器13、加熱器27、ファン26が配されている。
加熱器27は、従来公知の電気ヒータであり、空調用通路7を通過する空気を加熱するものである。
蒸発器13は、後述する冷却装置30の一部であり、内部に相変化する冷媒が流通するものであり、冷却能力と表面温度を変化させることができるものである。
ファン26は、従来公知の送風機であり、空気を送り出すものである。
空調用通路7には、さらに図示しない加湿装置が設けられている。
本実施形態の環境試験装置1では、ファン26によって恒温恒湿槽5内の空気を循環して、物品配置室6内に所望の環境が作られる。即ち、恒温恒湿槽5内の空気は、ファン26によって間仕切板4の下部側の開口19から空調用通路7側に吸入され、空調用通路7を鉛直上方に向けて通過して、間仕切板4の上部側の開口9から物品配置室6側に吐出される。
より詳細に説明すると、ファン26が起動されると、空調用通路7内の空気がファン26に吸い込まれて、間仕切板4の上部側の開口9から送り出される。これにより、物品配置室6内の壁面に沿うように空気の流れが形成される。そして、間仕切板4の下部側の開口19に到達した空気が、再び空調用通路7内に導入される。
なお、環境試験装置1は、室内温度検知手段23と室内湿度検知手段24によって、物品配置室6内の現状の温度(現状気温)と現状の相対湿度(現状相対湿度)が監視され、図示しない制御装置で制御される。
次に、本実施形態で採用する冷却装置30について説明する。
冷却装置30は、前述した図12に示す冷却装置300をベースとして改良されたものであり、冷却装置300の構成を全て備えている。即ち圧縮機10と、凝縮器11と、第1膨張弁12及び蒸発器13を有し、これらが主冷媒配管20によって環状に接続されたものである。圧縮機10は、図示しないモータによって駆動され、モータの回転数を制御することにより、圧縮機10の稼働量を変化させることができる。
主冷媒配管20内には、相変化する冷媒が内蔵されている。また蒸発器13の下流側に第2膨張弁15(下流側絞り手段)が設けられている。第1膨張弁12並びに第2膨張弁15(下流側絞り手段)は、それぞれ開度を調整可能なものである。さらに詳細には、第1膨張弁12並びに第2膨張弁15は信号電圧に応じて開度が変わるものである。
また第2膨張弁15(下流側絞り手段)を迂回する膨張弁バイパス流路17が設けられ、膨張弁バイパス流路17に開閉弁16が設けられている。開閉弁16は具体的には電磁弁であって開度調節はできない。
冷却装置30は、前記した冷却装置300の構成に加えて、ホットガスバイパス回路31が設けられている。
ホットガスバイパス回路31は、圧縮機10から吐出された冷媒ガスを第1膨張弁12の下流側に導入するものである。
より具体的には、ホットガスバイパス回路31は、主冷媒配管20の圧縮機10と凝縮器11の間が分岐され、当該分岐点32を始点とし、第1膨張弁12と蒸発器13の間の分岐点33を終端とする流路である。
ホットガスバイパス回路31には、図1の様に開閉弁35と、絞り37がこの順に設けられている。本実施形態で採用する絞り37は、固定式であり、開度の調節はできない。絞り37は、ホットガスバイパス回路31における膨張手段として機能する。
また、蒸発器13の上流側には、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40が設けられている。第1冷媒温度検知手段40は、例えば、従来公知の熱電対や温度センサである。第1冷媒温度検知手段40は、蒸発器13に流れ込む冷媒の温度を検知できる。
一方、蒸発器13の下流側には、第2冷媒温度検知手段43と、冷媒圧力検知手段45が設けられている。第2冷媒温度検知手段43は、第1冷媒温度検知手段40と同じく、従来公知の熱電対や温度センサである。第2冷媒温度検知手段43は、蒸発器13を通過した後の冷媒ガスの温度を検知できる。つまり、蒸発器13の蒸発温度を検知できる。
冷媒圧力検知手段45は、蒸発器13内の冷媒の圧力を検知するものであり、冷媒の蒸発圧力を知るための手段である。
冷媒圧力検知手段45は、例えば、従来公知の圧力センサである。
次に、本実施形態で採用する冷却装置30の作動原理について説明する。
本実施形態で採用する冷却装置30は、通常冷却運転と、冷媒圧力制御運転を切り換えることができる。また冷媒圧力制御運転において、必要冷熱量が少ない場合には、ホットガスバイパス回路31を開いてホットガス導入運転が行われる。言い換えると、要求される冷却・除湿能力が小さい場合にホットガス導入運転が行われる。
冷媒圧力制御運転において、必要冷熱量が多い場合には、ホットガス導入運転は行われない。言い換えると要求される冷却・除湿能力が大きい場合にホットガス導入運転は行わない。
本実施形態では、環境試験装置1の立ち上げ時や、試験環境における目標温度が低い場合の様な、冷却装置30に比較的多くの冷却・除湿能力が要求される場合には、通常冷却運転が行われる。即ち膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を開いて、蒸発器13から吐出される冷媒を膨張弁バイパス流路17に流し、圧縮機10に戻す。
その結果、図9に示すグラフの様に、蒸発器13内の圧力がP1まで低下し、通常冷却運転が実行される。冷却装置30を流れる冷媒の状態は、前記した冷却装置100と同一であり、モリエル線図上に図示すると図9の通りとなる。
通常冷却運転においては、冷却能力は、圧縮機10の回転数調整と、第1膨張弁12の開度調整によって行われる。
即ち高い冷却・除湿能力が要求される場合には、圧縮機10の回転数を増加させて冷媒の循環量を増加させると共に、第1膨張弁12の開度を大きくする。その結果、蒸発器13に流れ込む冷媒が増加し、冷却能力が上昇する。
逆に小さい冷却・除湿能力が要求される場合には、圧縮機10の回転数を低下させて冷媒の循環量を減少させると共に、第1膨張弁12の開度を絞る。その結果、蒸発器13に流れ込む冷媒が減少し、冷却能力が降下する。
また本実施形態では、物品配置室6内の試験環境の温度が高い場合には、冷媒圧力制御運転を行う。
ここで、要求される冷却・除湿能力が比較的高い場合には、ホットガス導入運転は行われない。
即ちホットガスバイパス回路31の開閉弁35を閉じ、ホットガスバイパス回路31を閉鎖する。
一方、主冷媒配管20の膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を閉じて、実質的に図10に示す冷却装置200と同様の冷媒圧力制御運転用の回路を形成させる。
即ち膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を閉じると、冷媒は、圧縮機10、凝縮器11、第1膨張弁12、蒸発器13及び第2膨張弁15(下流側絞り手段)によって形成される閉回路を循環することとなり、蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力が制御されて蒸発器13の表面温度が制御される。即ち膨張弁バイパス流路17の開閉弁16を閉じることによって、冷媒圧力制御運転が行われる。
冷媒圧力制御運転においても、冷却・除湿能力は、圧縮機10の回転数調整と、第1膨張弁12の開度調整によって調整される。
冷媒圧力制御運転においては、冷却・除湿能力に応じて必要な冷媒流量が自動演算され、これに合致する様に圧縮機10の回転数調整と、第1膨張弁12の開度調整が行われる。
また下流側絞り手段15は、前記の通り、蒸発器13の下流側に位置するものであるから、下流側絞り手段15の開度を調整することで、蒸発器13の出口が絞られる。そして蒸発器13に冷媒が注入され続けた状態で下流側絞り手段15の開度を絞ると、蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力が上昇し、蒸発器13の表面の温度が上昇する。
逆に下流側絞り手段15の開度を開くと、蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力が低下し、蒸発器13の表面の温度が低下する。
従って下流側絞り手段15の開度を調節すると、蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力が変化し、結果的に蒸発器13の表面温度を変化させることができる。
また本実施形態では、図示しない制御装置によって、冷媒圧力検知手段45からの検知信号によって、蒸発器13の表面温度を演算する機能を備えている。即ち冷媒が蒸発する際の圧力と、蒸発器13の表面温度との間には相関関係があるから、蒸発器13内の圧力を検知することによって蒸発器13の表面温度を演算で求めることができる。
あるいは蒸発器13内における冷媒の蒸発圧力と、蒸発器13の表面温度の関係を予め実験によって求め、この実験データに照らして蒸発器13の表面温度を演算してもよい。
本実施形態の冷却装置30では、下流側絞り手段15の開度を調節することによって
図11に示すグラフの様に、蒸発器13内の圧力がP2を維持し、蒸発器13の表面温度が一定温度に保たれる。冷却装置30を流れる冷媒の状態は、前記した冷却装置200と同一であり、モリエル線図上に図示すると図11の通りとなる。
物品配置室6内の試験環境の温度が高い場合であって、且つ要求される冷却・除湿能力が比較的小さい場合には、ホットガス導入運転を伴う冷媒圧力制御運転が行われる。
ホットガス導入運転を伴う冷媒圧力制御運転においては、主冷媒配管20上における機器の動作は、前記した冷媒圧力制御運転の場合と同一である。
一方、ホットガスバイパス回路31上の機器については、開閉弁35を開き、ホットガスバイパス回路31を開放する。
その結果、第1膨張弁12の下流側に、ホットガスが流入し、主冷媒配管20上を流れ第1膨張弁12から吐出された冷媒と混合されて蒸発器13に導入される。
そのため第1膨張弁12から吐出される冷媒が少なくとも、ホットガスバイパス回路31から導入される冷媒によって蒸発器13に導入される冷媒が嵩上げされ、蒸発器13内における冷媒は、所定の流速を維持して流れる。
例えば、第1膨張弁12から吐出される冷媒の量をGmとし、ホットガスバイパス回路31から導入される冷媒の量をGpとすると、蒸発器13に導入される冷媒の量Gtは、次の通りである。
Gt=Gm+Gp
前記した様に、冷媒圧力制御運転では、冷却能力は、圧縮機10の回転数調整と、第1膨張弁12の開度調整によって行われる。
具体的には、冷媒圧力制御運転においては、必要な冷媒流量が自動演算され、これに合致する様に圧縮機10の回転数調整と、第1膨張弁12の開度調整が行われる。
そのため要求される冷却・除湿能力が小さい場合には、圧縮機10の回転数が下限に近く、且つ第1膨張弁12の開度も絞られた状態となるため、第1膨張弁12から吐出される冷媒の量は僅かであり、これだけでは、蒸発器13内において、最低限の流速を確保することができない。
しかしながら、本実施形態の冷却装置30では、ホットガスバイパス回路31から導入される冷媒によって蒸発器13に導入される冷媒が嵩上げされるので、蒸発器13内における冷媒は、所定の流速を維持して流れる。そのため潤滑オイルが蒸発器13内で滞留することはない。
またさらに第1膨張弁12から吐出される冷媒が減少すると、蒸発器13内の冷媒が気液混合状態を維持できなくなるが、本実施形態では、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40で混合後の冷媒温度を監視することによってこの懸念を払拭している。
以下、この問題点について、図2を参照しつつ説明する。
ホットガス導入運転を伴う冷媒圧力制御運転を行っている際の、冷却装置30内の冷媒の状態をモリエル線図上に表すと、図2の様である。
図2のグラフは、主冷媒配管20を流れる冷媒の状態と、ホットガスバイパス回路31を流れる冷媒の状態を同一の図上に記載したものである。図2は、やや見にくいので、主冷媒配管20を流れる冷媒の状態と、ホットガスバイパス回路31を流れる冷媒の状態を分けて記載すると、図3、図4の通りとなる。
主冷媒配管20を流れる冷媒は、圧縮機10から第1膨張弁12の出口までの間については、前記した冷却装置200の場合と同一である。
即ち図3で示す通り、圧縮機10に導入される直前の冷媒の状態は、点A(h5,P1)であり、圧力は低圧であり、比エンタルピは高く、気体である。
これを圧縮機10で圧縮し、圧縮機10から吐出された冷媒の状態は、点B(h7,P3)であり、圧力は高圧であり、比エンタルピはやや高い状態であって気体である。
さらに凝縮器11内で熱を奪われた後の冷媒の状態は、点C(h1,P3)であり、圧力は高圧であり、比エンタルピは低い状態であって液体である。
さらに第1膨張弁12を通過すると、冷媒の圧力は低下するが、冷却装置200では、蒸発器13の下流側に第2膨張弁15(下流側絞り手段)が設けられているから、冷媒の圧力はP1までは低下せず、例えばP2で安定する。即ち冷媒の状態は、点E(h1,P2)であり、圧力は中程度となる。
一方、ホットガスバイパス回路31を流れる冷媒の状態は、図4の通りである。
即ち圧縮機10に導入される直前の冷媒の状態は、点A(h5,P1)であり、圧力は低圧であり、比エンタルピは高く、気体である。
これを圧縮機10で圧縮し、圧縮機10から吐出された冷媒の状態は、点B(h7,P3)であり、圧力は高圧であり、比エンタルピはやや高い状態であって気体である。
ここで冷媒は、主冷媒配管20から分岐されてホットガスバイパス回路31に流れ込む。冷媒は、ホットガスバイパス回路31で自然放熱され、比エンタルピがやや下がる。しかしながら、ホットガスバイパス回路31は熱交換器を持たないから、比エンタルピの低下は僅かであり、冷媒の状態は、点H(h6,P3)であり、圧力は高圧を維持し、比エンタルピも高い。
またホットガスバイパス回路31には、図1の様に絞り37が設けられているから、絞り37から開放された冷媒は、減圧される。絞り37から開放された冷媒の状態は、点I(h6,P2)であり、圧力は中程度であって、比エンタルピは高い状態を維持しており、気体である。
図3を参照しつつ主冷媒配管20を流れる冷媒の状態を説明し、図4を参照しつつホットガスバイパス回路31を流れる冷媒の状態を説明したが、実際には、この流れは、同時平行的に行われ、主冷媒配管20を流れる冷媒に、ホットガスバイパス回路31を流れる冷媒が混合される。
簡単に説明すると、図3に示す主冷媒配管20を流れる点E(h1,P2)の冷媒(圧力は中程度であって、比エンタルピが小さい)に、図4に示すホットガスバイパス回路31を流れる点I(h6,P2)の冷媒(圧力が同一であって、比エンタルピが高い)が混合される。
その結果、図5の様に、冷媒の比エンタルピは、強制的に増加し、状態は、点J(h2,P2)に変化する。即ちモリエル線図上において、冷媒の状態を示す点が、比エンタルピが高い側に移動する。
従って、冷媒が保有する冷熱が減少し、冷却能力が下がる。ホットガス導入運転を行った場合の冷却能力Qは次の式で表される。
Q=(Gm+Gp)・(h3−h2)
この様に、ホットガス導入運転を伴う冷媒圧力制御運転では、冷媒が保有する冷熱が減少して冷却能力が下がる作用と、前述したホットガスバイパス回路31から導入される冷媒によって蒸発器13に導入される冷媒が嵩上げされて蒸発器13内における冷媒の流速が増加する作用が相まって、冷却能力が低い状態でも安定して運転することができる。
そのため、本実施形態を採用すると、冷却能力の下限を押し下げることができる。
しかしながら、ホットガスバイパス回路31から導入される冷媒が過度に多い場合や、第1膨張弁12を過度に絞る場合、冷媒の比エンタルピが過度に増大し、図6の様に、冷媒が気相となるエリアに突入したり、それに近い領域に至ってしまう懸念がある。
ここで、冷媒圧力制御運転は、冷媒の蒸発圧力を制御することによって蒸発器13の表面温度を安定化させる運転手段であるから、ホットガスバイパス回路31から導入される冷媒を混合した結果、冷媒が気相となってしまったり、それに近い領域に至ってしまうこととなれば、蒸発器13の表面温度をコントロールすることが不能となってしまう。
そこで本実施形態では、この懸念を払拭するために、前記した様に、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40で冷媒温度を監視している。
即ち、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40で、混合された後の冷媒の温度を測定している。そしてこの温度が一定の温度以上であるならば、冷媒の比エンタルピが高いので、冷媒は気相あるいはこれに近い状態である。そこで、本実施形態では、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40で冷媒温度を監視し、蒸発器13内に導入される冷媒が気液混合状態を維持する様に第1膨張弁12の開度の下限が制限されている。
より具体的には、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40で冷媒温度を監視し、この検知温度が一定温度以上となるならば、第1膨張弁12の開度を強制的に開く。あるいは、第1膨張弁12の開度を次第に閉じて行く動作を行わしめ、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40の検知温度が次第に上昇して一定温度に至ったら、第1膨張弁12の開度を固定してそれ以上、閉じない様に制御する。
以上説明した実施形態では、ホットガスバイパス回路31に設けた絞り37として固定式のものを採用したが、開度を変更できるものを採用してもよい。開度を変更できるものを採用する場合には、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40で冷媒温度を監視し、この検知温度が一定温度以上となるならば、ホットガスバイパス回路31に設けた絞り37を絞ってホットガスバイパス回路31を流れる冷媒量を制限する構成を採用することもできる。
また上記した実施形態では、主冷媒配管20に、第2膨張弁15(下流側絞り手段)を迂回する膨張弁バイパス流路17を設け、膨張弁バイパス流路17に設けた開閉弁16を開閉することによって通常冷却運転と、冷媒圧力制御運転を切り換える構成を採用した。しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、例えば、主冷媒配管20に、第2膨張弁15(下流側絞り手段)だけを設け、この第2膨張弁15(下流側絞り手段)を全開にすることによって通常冷却運転を実施してもよい。
また上記した実施形態では、第1冷媒温度検知手段40を冷媒状態監視手段としたが、第2冷媒温度検知手段43や、冷媒圧力検知手段45に冷媒状態監視手段の機能を持たせたり、これらを併用して冷媒の状態を監視してもよい。
さらにまた上記した実施形態では、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40によって蒸発器13に導入される冷媒の温度を検知し、蒸発器13に導入される冷媒が気液混合相となる様に第1膨張弁12の開度を制限している。即ち単に蒸発器13に導入される冷媒の相を監視しているに過ぎない。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、蒸発器13の出口に到るまでの間、冷媒が気液混合状態である様に第1膨張弁12等の開度を制御することも推奨される。
例えば、第2冷媒温度検知手段43の検知温度や、冷媒圧力検知手段45の検知圧力を監視することにより、蒸発器13の出口に到るまでの間、冷媒が気液混合状態を維持する様に第1膨張弁12等の開度を制御するものであってもよい。
本発明は、前記した様に蒸発器13の表面温度を制御し、着霜を防止する機能を備えた冷却装置を改良することを目的として開発されたものであるが、本発明は、蒸発器13への結露を少なくする機能を備えた環境制御装置にも応用することができる。
即ち蒸発器13の表面温度を露点近傍に制御して蒸発器13への結露を最小限に抑える構成の環境制御装置が知られており、この構成を備えた環境制御装置に本発明の構成を採用することもできる。
次に、本発明の効果を確認するために行った実験について説明する。
図7は、図1に示す環境試験装置1の、蒸発器13内の冷媒の流速と、冷却能力との関係を調査したグラフである。
図7に示した環境試験装置1では、ホットガスバイパス回路31に設けた絞り37として固定式のものを採用した。また絞り37の断面積は、物品配置室6内の目標温度を摂氏20度とし、第1膨張弁12の開度を次第に閉じて行く動作を行わしめ、第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)40の検知温度が次第に上昇して一定温度に至り、第1膨張弁12の開度を固定した場合に、最低限の流速(毎秒3m)を確保することができるものとした。
その結果、ホットガスバイパス回路31を閉じた状態で、冷媒圧力制御運転を行うと、冷却能力の下限が、3569Wであったのに対し、ホットガス導入運転を行った場合には、下限が1130Wとなり、最低能力の下限を大きく引き下げることができた。
上記した実施形態では、運転方法として、通常冷却運転と、ホットガス導入運転を伴う冷媒圧力制御運転と、ホットガス導入運転を伴わない冷媒圧力制御運転の3種類が実施可能である。
三者の使い分けは、予め運転方式を決定しておいて固定し、環境試験の最中には変更しないこととしてもよいが、状況に応じて自動的に切り替わる構成を採用することも可能である。
ここでホットガス導入運転を伴わない冷媒圧力制御運転からホットガス導入運転を伴う冷媒圧力制御運転に切り換える場合や、その逆の場合には、発生冷熱量の急激な変化を避けるために、一旦、第1膨張弁の開度を変化させておくことが望ましい。
1 環境試験装置(環境制御装置)
6 物品配置室
10 圧縮機
11 凝縮器
12 第1膨張弁
13 蒸発器
15 第2膨張弁(下流側絞り手段)
16 開閉弁
17 膨張弁バイパス流路
20 主冷媒配管
30 冷却装置
31 ホットガスバイパス回路
35 開閉弁
37 絞り
40 第1冷媒温度検知手段(冷媒状態監視手段)
43 第2冷媒温度検知手段
45 冷媒圧力検知手段

Claims (5)

  1. 冷却装置を備え、所定の空間内を目標気温に制御することが可能な環境制御装置において、
    前記冷却装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器とが環状に接続され、冷却装置の内部に相変化する冷媒が充填されていて一連の冷凍サイクルを実現するものであり、
    前記冷却装置には、圧縮機から吐出された冷媒ガスを膨張手段の下流側に導入するホットガスバイパス回路と、蒸発器と圧縮機の間に設けられ開度を変更可能な下流側絞り手段と、蒸発器内に導入される冷媒が気液混合状態であることを監視する冷媒状態監視手段を備え、
    前記冷却装置は、下流側絞り手段の開度を制御して蒸発器の温度を制御する冷媒圧力制御運転と、下流側絞り手段の開度調整によらずに運転する通常冷却運転とを行うことが可能であり、
    一定条件下で冷媒圧力制御運転を実行する際にホットガスバイパス回路を経由して圧縮機から吐出された冷媒ガスを膨張手段から吐出された冷媒に混合して蒸発器に導入するホットガス導入運転が行われ、
    ホットガス導入運転に際しては、前記冷媒状態監視手段によって冷媒を監視し、蒸発器内に導入される冷媒が気液混合状態を維持する様に膨張手段を流れる冷媒の量又はホットガスバイパス回路を流れる冷媒の量の少なくともいずれかが制限されることを特徴とする環境制御装置。
  2. 冷媒状態監視手段は冷媒温度検知手段を有し、当該冷媒温度検知手段は、ホットガスバイパス回路を経由して圧縮機から吐出された冷媒ガスと、膨張手段から吐出された冷媒との混合冷媒の温度を検知するものであり、冷媒温度検知手段の検知温度が所定の限界温度を超えない様に膨張手段を流れる冷媒の量又はホットガスバイパス回路を流れる冷媒の量の少なくともいずれかが制限されることを特徴とする請求項1に記載の環境制御装置。
  3. ホットガス導入運転に際しては、蒸発器内の冷媒が気液混合状態を維持する様に膨張手段を流れる冷媒の量又はホットガスバイパス回路を流れる冷媒の量の少なくともいずれかが制限されることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境制御装置。
  4. 必要な冷熱量が少ない状況で冷媒圧力制御運転を行う場合にホットガス導入運転がなされ、必要な冷熱量が多い場合にはホットガス導入運転はなされないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境制御装置。
  5. ホットガス導入運転を行わずに冷媒圧力制御運転を行っている状況からホットガス導入運転を実施する際、膨張手段を流れる冷媒の量が変更されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の環境制御装置。
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