JP2016188413A - 成膜方法と積層体フィルムおよび電極基板フィルムの各製造方法 - Google Patents

成膜方法と積層体フィルムおよび電極基板フィルムの各製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サンプル基準が無くてもインライン反射率測定器を用いて金属吸収層の成膜条件を正確に制御可能な成膜方法を提供する。【解決手段】この成膜法は、金属メッキが施されたキャンロール等ロールの外周面上にて測定された長尺フィルムの分光反射率特性を反射率基準とする工程、膜厚と反応条件が異なるスパッタリング成膜で得られた複数サンプル用金属吸収層の分光反射率特性と上記反射率基準から各相対分光反射率特性を求めかつ「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」と「反射率極大値−反射率極小値」の差分値群を得る工程、差分値群から目標とする金属吸収層の差分値(λ、α)を特定し分光反射率を測定しながら上記差分値(λ、α)に調整できる初期条件を設定する工程と、設定された差分値(λ、α)が維持されるように反応性ガスの調整、スパッタリング電力の調整を行う工程を有することを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、樹脂フィルムから成る透明基板と積層膜を有し、タッチパネル等に使用される積層体フィルムおよび電極基板フィルムに係り、特に、樹脂フィルム上に積層膜を形成する成膜方法と積層体フィルムおよび電極基板フィルムの各製造方法に関するものである。
近年、携帯電話、携帯電子文書機器、自動販売機、カーナビゲーション等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の表面に設置する「タッチパネル」が普及している。
上記「タッチパネル」には、大きく分けて抵抗型と静電容量型が存在する。「抵抗型のタッチパネル」は、樹脂フィルムから成る透明基板と該基板上に設けられたX座標(またはY座標)検知電極シート並びにY座標(またはX座標)検知電極シートと、これ等シートの間に設けられた絶縁体スペーサーとで主要部が構成されている。そして、上記X座標検知電極シートとY座標検知電極シートは空間的に隔たっているが、ペン等で押さえられたときに両座標検知電極シートは電気的に接触してペンの触った位置(X座標、Y座標)が判るようになっており、ペンを移動させればその都度座標を認識して、最終的に文字の入力が行なえる仕組みとなっている。他方、「静電容量型のタッチパネル」は、絶縁シートを介してX座標(またはY座標)検知電極シートとY座標(またはX座標)検知電極シートが積層され、これ等の上にガラス等の絶縁体が配置された構造を有している。そして、ガラス等の上記絶縁体に指を近づけたとき、その近傍のX座標検知電極、Y座標検知電極の電気容量が変化するため、位置検知を行なえる仕組みとなっている。
そして、電極等の回路パターンを構成する導電性材料として、従来、ITO(酸化インジウム−酸化錫)等の透明導電層が広く用いられていた(特許文献1参照)。また、タッチパネルの大型化に伴い、特許文献2や特許文献3等に開示されたメッシュ構造の金属製細線(金属層)も使用され始めている。
ところで、上記透明導電層と金属製細線(金属層)を較べた場合、透明導電層は、可視波長領域における透過性に優れるため電極等の回路パターンが殆ど視認されない利点を有するが、金属製細線(金属層)より電気抵抗値が高いためタッチパネルの大型化や応答速度の高速化には不向きな欠点を有する。他方、金属製細線(金属層)は、電気抵抗値が低いためタッチパネルの大型化や応答速度の高速化に向いているが、可視波長領域における反射率が高いため、例え微細なメッシュ構造に加工されたとしても高輝度照明下において回路パターンが視認されることがあり、製品価値を低下させてしまう欠点を有する。そして、この反射は、金属製細線(金属層)と樹脂フィルムの界面における屈折率差によるフレネル反射に起因している。
そこで、樹脂フィルムと金属層との間に金属酸化物から成る金属吸収層(黒化膜と称される)を設け(特許文献4参照)、樹脂フィルム側から観測される金属製細線の反射を低減させる方法が提案されている。
そして、金属酸化物から成る金属吸収層については、金属酸化物の成膜効率を図る観点から、通常、金属ターゲットと反応性ガスを用いた反応性スパッタリング等により連続して成膜されているが、金属吸収層を継続して連続成膜した場合、成膜環境の経時変化(例えば、真空チャンバー内に含まれる水分量の経時変化や反応性ガスの濃度変化等)により、金属吸収層の特性が変化してしまう問題があった。
この問題を解決するため、成膜直後における金属吸収層の透過率若しくは反射率を計測する「インライン透過率測定器」若しくは「インライン反射率測定器」を真空チャンバー内に配置して所望とする特性が維持されるようフィードバック制御を行う方法(特許文献5〜7参照)が提案されている。
しかし、上記「インライン透過率測定器」を用いて制御する方法は、樹脂フィルム両面に金属吸収層と金属層が成膜された両面構造体に対して金属吸収層の光学特性を測定することが困難なことからその汎用性に欠けるため、「インライン反射率測定器」を用いて制御する方法が一般的に採用されている。
特開2003−151358号公報 特開2011−018194号公報 特開2013−069261号公報 特開2013−225276号公報 特許第4738292号公報 特開2000−017437公報 特開2005−338047公報
ところで、反射率が既知であるサンプル基準を用いて正確な反射率測定を行う一般的な「2光束自記分光光度計」と異なり、真空チャンバー内に配置する「インライン反射率測定器」においては測定された反射率を比較するサンプル基準が無く、成膜直後における金属吸収層の反射率を正確に測定することが難しいことから、真空チャンバー内における成膜環境の経時変化に正確に対応できない問題が存在した。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、上記サンプル基準が無くても「インライン反射率測定器」を用いて金属吸収層の成膜条件を正確に制御可能な成膜方法を提供し、合わせてタッチパネル等に使用される積層体フィルムと電極基板フィルムの各製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者は上記課題を解決するため以下のような検討を行った。
まず、「2光束自記分光光度計」において使用される上述のサンプル基準に代用可能な対象として金属吸収層が成膜される前の長尺樹脂フィルム自体の反射率を検討した。すなわち、クロム等の金属メッキが施されたキャンロール等のロール外周面上にて成膜前における長尺樹脂フィルムの分光反射率(但し、透明性の高い長尺樹脂フィルムにおいてはキャンロール等のロール外周面に施された金属メッキからの反射が主となっている)を測定し、測定された分光反射率を反射率基準(ベースライン)とする利用を試みた。
尚、実験においては、金属メッキが施されたロールに代えて、可視波長全域で反射率の高いアルミミラー(但し、円筒ミラーでなく平面ミラー)を用い、金属吸収層が成膜される前の長尺樹脂フィルムを上記アルミミラーに載置した状態で「2光束自記分光光度計」により測定している。
次に、酸素を含む反応性ガスと金属(例えばNi−Cu合金)ターゲットを用い、反応性スパッタリング装置によりサンプル用金属吸収層を長尺樹脂フィルムの片面に連続成膜し、得られた複数個のサンプル用金属吸収層の分光反射率特性を上記「2光束自記分光光度計」で測定した。
具体的には、サンプル用金属吸収層の膜厚について、例えば、0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nmの7種(d1〜dn)に設定し、かつ、反応性ガスの酸素流量が膜厚に対し一定量となる条件、例えば、1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない条件)、2.10sccm/nm(酸素導入量が中間の条件)、および、2.50sccm/nm(酸素導入量が多い条件)の3組(a組)に設定して21(n×a)個のサンプル用金属吸収層を成膜(製造)し、これ等サンプル用金属吸収層の分光反射率特性を上記「2光束自記分光光度計」で測定した。尚、サンプル用金属吸収層における分光反射率特性の測定は、上記アルミミラー上にサンプル用金属吸収層を載置した状態で「2光束自記分光光度計」を用いて行っており、測定された各サンプル用金属吸収層の分光反射率特性を図10〜図12のグラフ図に示す。ここで、膜厚が0nmのサンプル用金属吸収層は金属吸収層が成膜される前の長尺樹脂フィルムに相当し、この長尺樹脂フィルムの分光反射率を反射率基準(ベースライン)として利用している。
すなわち、長尺樹脂フィルムの分光反射率値を反射率基準(ベースライン)にし、各サンプル用金属吸収層(膜厚が5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の分光反射率値を長尺樹脂フィルムの分光反射率値で割って各サンプル用金属吸収層における「相対分光反射率特性」としている。
次に、実験用アルミミラーに代えて金属(クロム)メッキが施されたキャンロール等のロールを使用し、該ロールの外周面上にて反応性スパッタリング装置に組み込まれた「インライン反射率測定器」を用い成膜前における長尺樹脂フィルムの分光反射率を測定し、かつ、長尺樹脂フィルムの片面に21(n×a)個のサンプル用金属吸収層を成膜(製造)すると共に、これ等サンプル用金属吸収層の分光反射率特性も上記「インライン反射率測定器」を用い金属メッキが施されたロールの外周面上にて測定した。
そして、金属メッキが施されたロールの外周面上にて測定された成膜前における長尺樹脂フィルムの分光反射率を上記反射率基準(ベースライン)にし、各サンプル用金属吸収層(膜厚が5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の分光反射率値を長尺樹脂フィルムの分光反射率値(反射率基準)で割って各サンプル用金属吸収層における「相対分光反射率特性」として求めている。
図13〜図15のグラフ図は、各サンプル用金属吸収層(膜厚が0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の「相対分光反射率特性」を示しており、上記反射率基準(ベースライン)とされた長尺樹脂フィルムの各波長における反射率は100%と図示されている。尚、図10〜図12のグラフ図と比較して図13〜図15のグラフ図には、各サンプル用金属吸収層(膜厚が5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の「相対分光反射率特性」が平坦でなく極大値と極小値を有している。この理由は、実験用アルミミラーと相違し、クロム(金属)メッキの分光反射率特性は平坦でなく極大値と極小値を有するからである。
次に、図14のグラフ図に示された各サンプル用金属吸収層(酸素導入量が中間の条件で成膜された膜厚が0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)における「相対分光反射率特性」のデータ群から、膜厚0nmと5nm並びに30nmを除く膜厚25nm、20nm、15nm、および、10nmのサンプル用金属吸収層を選択し、かつ、各サンプル用金属吸収層の「反射率極小値」「反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値」「反射率極大値の波長(nm)」「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値−反射率極小値(%)」の数値を求めた。そのデータを以下の表1に示す。
同様に、図13のグラフ図に示された各サンプル用金属吸収層(酸素導入量が少ない条件で成膜された膜厚が0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)における「相対分光反射率特性」のデータ群から、膜厚0nmと5nm並びに30nmを除く膜厚25nm、20nm、15nm、および、10nmのサンプル用金属吸収層を選択し、かつ、各サンプル用金属吸収層の「反射率極小値」「反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値」「反射率極大値の波長(nm)」「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値−反射率極小値(%)」の数値を求めた。そのデータを以下の表2に示す。
更に、表1および表2の「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「サンプル用金属吸収層の膜厚」との関係を図16のグラフ図に示し、また、表1および表2の「反射率極大値−反射率極小値(%)」と「サンプル用金属吸収層の膜厚」との関係を図17のグラフ図にまとめて示す。
そして、図16と図17の各クラフ図から、「サンプル用金属吸収層の膜厚」が増加するに従い、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値が増加することが確認され、
また、図16のクラフ図と図17のクラフ図から、成膜時における酸素導入量が多い程、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値が高い数値になることが確認される。
この結果、「インライン反射率測定器」で測定された反射率を「2光束自記分光光度計」で適用されている上記サンプル基準と比較することなく、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値から正確な膜厚が求められ(すなわち成膜条件の調整が可能となる)、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値からも酸素導入量の多少について確認することが可能となる(すなわち「酸素流量/膜厚」条件の調整も可能となる)。
本発明はこのような技術的発見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
スパッタリング装置内にて、長尺樹脂フィルムの片面に酸素を含む反応性ガスと金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により金属吸収層を連続成膜し、かつ、スパッタリング装置内に設けられたインライン反射率測定器により成膜中における金属吸収層の分光反射率を測定し、該分光反射率特性に基づいて金属吸収層の成膜条件を制御する成膜方法において、
(A)成膜前における長尺樹脂フィルムの分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により測定し、かつ、測定された極大値と極小値を有する長尺樹脂フィルムの分光反射率特性を該長尺樹脂フィルムの「反射率基準(ベースライン)」とする工程、
(B)膜厚d1〜dnのサンプル用金属吸収層をそれぞれa組の反応条件(酸素流量/膜厚)に従って上記長尺樹脂フィルムの片面に成膜し、かつ、成膜された複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器によりそれぞれ測定すると共に、測定された各分光反射率から上記「反射率基準(ベースライン)」を基に複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層における極大値と極小値を有する「相対分光反射率特性」をそれぞれ求める工程、
(C)極大値と極小値を有する上記「相対分光反射率特性」からサンプル用金属吸収層毎に「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値をそれぞれ特定する工程、
(D)上記(C)工程で得られた「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の差分値群から、成膜目標とする金属吸収層に係る差分値(「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」)を特定し、かつ、目標とする金属吸収層を長尺樹脂フィルムの片面に成膜しながら金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により成膜中における金属吸収層の分光反射率を測定すると共に、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値が「λおよびα」に設定される反応性ガスの酸素流量およびスパッタリング電力を特定する工程、
(E)上記(D)工程で特定された成膜条件に従い、長尺樹脂フィルムの片面に連続成膜される金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により継続して測定し、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」が維持されるように反応性ガスの調整または/およびスパッタリング電力の調整を行う工程、
を具備することを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載の成膜方法において、
上記(E)工程における「反応性ガスの調整」が、水素若しくは水蒸気の添加、または/および、上記酸素流量の変更であることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の成膜方法において、
上記金属ターゲットが、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金、または、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Niより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金で構成されていることを特徴とし、
第4の発明は、
第1の発明〜第3の発明のいずれかに記載の成膜方法において、
スパッタリング装置内に1個のキャンロールが設けられ、該キャンロール外周面の長尺樹脂フィルム面が露出する領域において長尺樹脂フィルムおよび金属吸収層の分光反射率が測定されると共に、少なくとも分光反射率の測定がなされるキャンロール外周面の領域に上記金属メッキが施されていることを特徴とし、
また、第5の発明は、
第1の発明〜第3の発明のいずれかに記載の成膜方法において、
スパッタリング装置内に2個のキャンロールが設けられ、かつ、2個のキャンロール間における長尺樹脂フィルムの搬送路上に中間ロールが付設されていると共に、少なくとも一方のキャンロール外周面の長尺樹脂フィルム面が露出する領域または中間ロールの長尺樹脂フィルム面が露出する領域において長尺樹脂フィルムおよび金属吸収層の分光反射率が測定されると共に、少なくとも分光反射率の測定がなされるキャンロールまたは中間ロールにおける外周面の領域に上記金属メッキが施されていることを特徴とする。
次に、本発明に係る第6の発明は、
樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面に設けられた積層膜とで構成され、該積層膜が、金属吸収層と該金属吸収層上に形成された金属層を有する積層体フィルムの製造方法において、
上記金属吸収層が、第1の発明〜第5の発明のいずれかに記載の成膜方法により成膜されていることを特徴とし、
更に、第7の発明は、
樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面に設けられた積層細線から成るメッシュ構造の回路パターンを有する電極基板フィルムの製造方法において、
第6の発明に記載の製造方法で得られた積層体フィルムの上記積層膜を化学エッチング処理してメッシュ構造の回路パターンに加工することを特徴とするものである。
本発明に係る成膜方法は、
(A)成膜前における長尺樹脂フィルムの分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により測定し、かつ、測定された極大値と極小値を有する長尺樹脂フィルムの分光反射率特性を該長尺樹脂フィルムの「反射率基準(ベースライン)」とする工程、
(B)膜厚d1〜dnのサンプル用金属吸収層をそれぞれa組の反応条件(酸素流量/膜厚)に従って上記長尺樹脂フィルムの片面に成膜し、かつ、成膜された複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器によりそれぞれ測定すると共に、測定された各分光反射率から上記「反射率基準(ベースライン)」を基に複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層における極大値と極小値を有する「相対分光反射率特性」をそれぞれ求める工程、
(C)極大値と極小値を有する上記「相対分光反射率特性」からサンプル用金属吸収層毎に「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値をそれぞれ特定する工程、
(D)上記(C)工程で得られた「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の差分値群から、成膜目標とする金属吸収層に係る差分値(「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」)を特定し、かつ、目標とする金属吸収層を長尺樹脂フィルムの片面に成膜しながら金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により成膜中における金属吸収層の分光反射率を測定すると共に、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値が「λおよびα」に設定される反応性ガスの酸素流量およびスパッタリング電力を特定する工程、
(E)上記(D)工程で特定された成膜条件に従い、長尺樹脂フィルムの片面に連続成膜される金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により継続して測定し、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」が維持されるように反応性ガスの調整または/およびスパッタリング電力の調整を行う工程、
を具備することを特徴としている。
そして、本発明に係る成膜方法によれば、
反射率が既知であるサンプル基準が無くても「インライン反射率測定器」を用いて金属吸収層の成膜条件を正確に制御でき、これにより真空チャンバー内における成膜環境の経時変化に正確に対応できるため、連続成膜される金属吸収層の光学特性が変動し難い効果を有している。
また、透明基板と積層膜とで構成され、該積層膜が、金属吸収層と該金属吸収層上に形成された金属層を有する本発明に係る積層体フィルムの製造方法によれば、
上記金属吸収層が本発明の成膜方法を用いて成膜されているため、積層体フィルムにおける金属吸収層の光学特性を均一に揃えることが可能となる効果を有している。
樹脂フィルムから成る透明基板の片面に積層膜の一部を構成する金属吸収層が設けられた積層体フィルム用前駆体の概略断面説明図。 樹脂フィルムから成る透明基板の片面に金属吸収層と金属層とで構成された積層膜が設けられた積層体フィルムの概略断面説明図。 図2に示す積層体フィルムを用いて樹脂フィルムから成る透明基板の片面に金属製の積層細線が形成された電極基板フィルムの概略断面説明図。 樹脂フィルムから成る透明基板上に金属吸収層と金属層を形成する従来例に係る成膜装置(スパッタリングウェブコータ)の説明図。 1個のキャンロールが組み込まれかつ本発明の成膜方法に適用される「インライン反射率測定器」を備えた成膜装置(スパッタリングウェブコータ)の説明図。 2個のキャンロールが組み込まれかつ本発明の成膜方法に適用される「インライン反射率測定器」を備えた成膜装置(スパッタリングウェブコータ)の説明図。 樹脂フィルム(PETフィルム)と、酸素流量1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない)の条件で樹脂フィルムの片面にそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmの金属吸収層と、該金属吸収層上に設けられた金属(Cu)層と、該金属(Cu)層上に設けられた第二金属吸収層とで構成された電極基板フィルム(積層体フィルムを化学エッチング処理して得られた完成品)の樹脂フィルム側に位置した金属吸収層の分光反射率を「2光束自記分光光度計」を用いて樹脂フィルム側から測定した分光反射率特性を示すグラフ図。 樹脂フィルム(PETフィルム)と、酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件で樹脂フィルムの片面にそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmの金属吸収層と、該金属吸収層上に設けられた金属(Cu)層と、該金属(Cu)層上に設けられた第二金属吸収層とで構成された電極基板フィルム(積層体フィルムを化学エッチング処理して得られた完成品)の樹脂フィルム側に位置した金属吸収層の分光反射率を「2光束自記分光光度計」を用いて樹脂フィルム側から測定した分光反射率特性を示すグラフ図。 樹脂フィルム(PETフィルム)と、酸素流量2.50sccm/nm(酸素導入量が多い)の条件で樹脂フィルムの片面にそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmの金属吸収層と、該金属吸収層上に設けられた金属(Cu)層と、該金属(Cu)層上に設けられた第二金属吸収層とで構成された電極基板フィルム(積層体フィルムを化学エッチング処理して得られた完成品)の樹脂フィルム側に位置した金属吸収層の分光反射率を「2光束自記分光光度計」を用いて樹脂フィルム側から測定した分光反射率特性を示すグラフ図。 酸素流量1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない)の条件で樹脂フィルム(PETフィルム)の片面にそれぞれ成膜された、膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmのサンプル用金属吸収層をアルミミラー(反射基準)上に載置した状態で「2光束自記分光光度計」により測定した分光反射率特性を示すグラフ図。 酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件で樹脂フィルム(PETフィルム)の片面にそれぞれ成膜された、膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmのサンプル用金属吸収層をアルミミラー(反射基準)上に載置した状態で「2光束自記分光光度計」により測定した分光反射率特性を示すグラフ図。 酸素流量2.50sccm/nm(酸素導入量が多い)の条件で樹脂フィルム(PETフィルム)の片面にそれぞれ成膜された、膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmのサンプル用金属吸収層をアルミミラー(反射基準)上に載置した状態で「2光束自記分光光度計」により測定した分光反射率特性を示すグラフ図。 樹脂フィルム(PETフィルム)の片面に酸素流量1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない)の条件でそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmのサンプル用金属吸収層の分光反射率値を、成膜装置(スパッタリングウェブコータ)内に組み込まれた「インライン反射率測定器」を用いて金属(クロム)メッキが施されたキャンロール等ロールの外周面上にて測定し、かつ、測定された各サンプル用金属吸収層の分光反射率値を、膜厚が0nmである樹脂フィルム(PETフィルム)の分光反射率値(反射率基準:ベースライン)で割って求められた「相対分光反射率特性」を示すグラフ図。 樹脂フィルム(PETフィルム)の片面に酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件でそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmのサンプル用金属吸収層の分光反射率値を、成膜装置(スパッタリングウェブコータ)内に組み込まれた「インライン反射率測定器」を用いて金属(クロム)メッキが施されたキャンロール等ロールの外周面上にて測定し、かつ、測定された各サンプル用金属吸収層の分光反射率値を、膜厚が0nmである樹脂フィルム(PETフィルム)の分光反射率値(反射率基準:ベースライン)で割って求められた「相対分光反射率特性」を示すグラフ図。 樹脂フィルム(PETフィルム)の片面に酸素流量2.50sccm/nm(酸素導入量が多い)の条件でそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmのサンプル用金属吸収層の分光反射率値を、成膜装置(スパッタリングウェブコータ)内に組み込まれた「インライン反射率測定器」を用いて金属(クロム)メッキが施されたキャンロール等ロールの外周面上にて測定し、かつ、測定された各サンプル用金属吸収層の分光反射率値を、膜厚が0nmである樹脂フィルム(PETフィルム)の分光反射率値(反射率基準:ベースライン)で割って求められた「相対分光反射率特性」を示すグラフ図。 酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件、および、酸素流量1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない)の条件でそれぞれ成膜された各サンプル用金属吸収層について、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「サンプル用金属吸収層の膜厚(10nm、15nm、20nm、25nm)」との関係を示すグラフ図。 酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件、および、酸素流量1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない)の条件でそれぞれ成膜された各サンプル用金属吸収層について、「反射率極大値−反射率極小値(%)」と「サンプル用金属吸収層の膜厚(10nm、15nm、20nm、25nm)」との関係を示すグラフ図。 真空チャンバー内における水分量の経時変化を示すグラフ図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(1)積層体フィルム用前駆体と積層体フィルム
図1は樹脂フィルムから成る透明基板1の片面に積層膜の一部を構成する金属吸収層2が設けられた積層体フィルム用前駆体の概略断面説明図、図2は樹脂フィルムから成る透明基板1の片面に金属吸収層2と金属層3とで構成された積層膜が設けられた積層体フィルムの概略断面説明図を示している。
すなわち、図2に示す積層体フィルムは、樹脂フィルムから成る透明基板1と、該透明基板1の片面に乾式成膜法(スパッタリング:乾式めっき法)により形成された金属吸収層2と、該金属吸収層2上に乾式成膜法(スパッタリング:乾式めっき法)により形成された金属層3とで構成されている。
尚、金属層については、上記乾式成膜法(スパッタリング:乾式めっき法)と湿式成膜法(湿式めっき法)とを組み合わせて形成してもよい。
また、図2の積層体フィルムにおいては、積層膜が金属吸収層2と金属層3とで構成されているが、金属層3の上に第二金属吸収層(図示せず)を設けてもよい。金属層の両面に金属吸収層2と第二金属吸収層が形成されると、該積層体フィルムを用いて作製された電極基板フィルムをタッチパネルに組み込んだときに金属製積層細線から成るメッシュ構造の回路パターンが反射してより視認され難くすることが可能となる。
(1-1)金属吸収層の構成材料(金属ターゲット)
上記金属吸収層は、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金、または、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Niより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金から成る金属ターゲットと酸素を含む反応性ガスを用いた反応性スパッタリングにより形成される。尚、金属吸収層を構成する金属酸化物の酸化が進み過ぎると金属吸収層が透明になってしまうため、黒化膜になる程度の酸化レベルに設定することを要する。また、金属吸収層の各波長における光学定数(屈折率、消衰係数)は、反応の度合い、すなわち、酸化度に大きく影響され、金属ターゲットだけで決定されるものではない。尚、金属吸収層の膜厚は10nm〜100nmの範囲が望ましく、より好ましくは65nm以下である。
(1-2)金属層の構成材料
上記金属層の構成材料(金属材)としては、電気抵抗値が低い金属であれば特に限定されず、例えば、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Agより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金、または、Ag単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたAg系合金が挙げられ、特に、Cu単体が、回路パターンの加工性や抵抗値の観点から望ましい。また、金属層の膜厚は電気特性に依存するものであり、光学的な要素から決定されるものではないが、通常、透過光が測定不能なレベルの膜厚に設定される。尚、金属層が、乾式めっき法と湿式めっき法で形成された銅層で構成される場合、その膜厚は100nm〜2000nmが好ましい。
(1-3)透明基板を構成する樹脂フィルム
上記積層体フィルムに適用される樹脂フィルムの材質としては特に限定されることはなく、その具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン(PO)、トリアセチルセルロース(TAC)およびノルボルネンの樹脂材料から選択された樹脂フィルムの単体、あるいは、上記樹脂材料から選択された樹脂フィルム単体とこの単体の片面または両面を覆うアクリル系有機膜との複合体が挙げられる。特に、ノルボルネン樹脂材料については、代表的なものとして、日本ゼオン社のゼオノア(商品名)やJSR社のアートン(商品名)等が挙げられる。
尚、本発明に係る積層体フィルムを用いて作製される電極基板フィルムは「タッチパネル」等に使用するため、上記樹脂フィルムの中でも可視波長領域での透明性に優れるものが望ましい。
(2)電極基板フィルム
(2-1)上記積層体フィルムの積層膜をエッチング処理して、金属製積層細線に配線加工することにより電極基板フィルムを得ることができる。具体的には、図2に示す積層体フィルムの積層膜(金属吸収層2と金属層3)をエッチング処理して図3に示す電極基板フィルムを得ることができる。
すなわち、図3に示す電極基板フィルムは、樹脂フィルムから成る透明基板1と、該透明基板1の片面に設けられた金属製積層細線4から成るメッシュ構造の回路パターンを有し、上記金属製積層細線4が、例えば、線幅5μmでかつ透明基板1側から数えて第1層目の金属吸収層2’と第2層目の金属層3’とで構成されている。
そして、電極基板フィルムの電極(配線)パターンをタッチパネル用のストライプ状若しくは格子状とすることでタッチパネルに用いることができる。また、電極(配線)パターンに配線加工された金属製の積層細線は、積層体フィルムの積層構造を維持していることから、高輝度照明下においても透明基板に設けられた電極等の回路パターンが極めて視認され難い電極基板フィルムとして提供することができる。
(2-2)そして、本発明に係る積層体フィルムから電極基板フィルムに配線加工するには、公知のサブトラクティブ法により加工が可能である。
サブトラクティブ法は、積層体フィルムの積層膜表面にフォトレジスト膜を形成し、配線パターンを形成したい箇所にフォトレジスト膜が残るように露光、現像し、かつ、上記積層膜表面にフォトレジスト膜が存在しない箇所の積層膜を化学エッチングにより除去して配線パターンを形成する方法である。
上記記化学エッチングのエッチング液としては、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液を用いることができる。
(3)従来例に係る成膜装置(スパッタリングウェブコータ)
(3-1)スパッタリングウェブコータ
図4に示す従来例に係る成膜装置はスパッタリングウェブコータと称され、ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルム表面に連続的に効率よく成膜処理を施す場合に用いられる。
具体的に説明すると、ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)は真空チャンバー10内に設けられており、巻き出しロール11から巻き出された長尺樹脂フィルム12に対して所定の成膜処理を行った後、巻き取りロール24で巻き取るようになっている。これら巻き出しロール11から巻き取りロール24までの搬送経路の途中に、モータで回転駆動されるキャンロール16が配置されている。このキャンロール16の内部には、真空チャンバー10の外部で温調された冷媒が循環している。
真空チャンバー10内では、スパッタリング成膜のため、到達圧力10-4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じて更に酸素等のガスが添加される。真空チャンバー10の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく種々のものを使用することができる。また、真空チャンバー10内を減圧してその状態を維持するため、真空チャンバー10にはドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置(図示せず)が組み込まれている。
巻き出しロール11からキャンロール16までの搬送経路には、長尺樹脂フィルム12を案内するフリーロール13と、長尺樹脂フィルム12の張力の測定を行う張力センサロール14とがこの順で配置されている。また、張力センサロール14から送り出されてキャンロール16に向かう長尺樹脂フィルム12は、キャンロール16の近傍に設けられたモータ駆動の前フィードロール15によってキャンロール16の周速度に対する調整が行われ、これによりキャンロール16の外周面に長尺樹脂フィルム12を密着させることができる。
キャンロール16から巻き取りロール24までの搬送経路も、上記同様に、キャンロール16の周速度に対する調整を行うモータ駆動の後フィードロール21、長尺樹脂フィルム12の張力の測定を行う張力センサロール22および長尺樹脂フィルム12を案内するフリーロール23がこの順に配置されている。
上記巻き出しロール11および巻き取りロール24では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺樹脂フィルム12の張力バランスが保たれている。また、キャンロール16の回転とこれに連動して回転するモータ駆動の前フィードロール15、後フィードロール21により、巻き出しロール11から長尺樹脂フィルム12が巻き出されて巻き取りロール24に巻き取られるようになっている。
キャンロール16の近傍には、キャンロール16の外周面上に画定される搬送経路(すなわち、キャンロール16外周面の内の長尺樹脂フィルム12が巻き付けられる領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード17、18、19および20が設けられ、この近傍に反応性ガスを放出するガス放出パイプ25、26、27、28、29、30、31、32が設置されている。
ところで、上記金属吸収層と金属層のスパッタリング成膜を実施する際、図4に示すように板状のターゲットを使用できるが、板状ターゲットを用いた場合、ターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。これが問題になる場合は、ノジュールの発生がなくかつターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用することが好ましい。
(3-2)反応性スパッタリング
ところで、金属酸化物から成る金属吸収層を成膜する目的で酸化物ターゲットを適用した場合、成膜速度が遅く量産に適さない。このため、高速成膜が可能な例えばNi系の金属ターゲットを用い、かつ、酸素を含む反応性ガスを制御しながら導入する反応性スパッタリングが採られている。
そして、反応性ガスを制御する方法として以下の4つの方法が知られている。
(3-2-1)一定流量の反応性ガスを放出する方法。
(3-2-2)一定圧力を保つように反応性ガスを放出する方法。
(3-2-3)スパッタリングカソードのインピーダンスが一定になるように反応性ガスを放出する(インピーダンス制御)方法。
(3-2-4)スパッタリングのプラズマ強度が一定になるように反応性ガスを放出する(プラズマエミッション制御)方法。
(4)「インライン反射率測定器」を備えた成膜装置(スパッタリングウェブコータ)
ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルム表面に連続的に成膜処理を行うスパッタリングウェブコータにおいては成膜時間が10時間以上に及ぶことがある。
このような長時間に亘る反応性スパッタリング処理の条件を一定に保つことは容易でない。なぜなら、真空チャンバー10の内壁に吸着したガス(水分)が徐々に放出されて真空チャンバー10内に含まれる水分量が経時的に変化しあるいは反応性ガスの濃度変化が起こるからである。そこで、減少した水分を補給し、あるいは、金属吸収層に取り込まれる酸素量を一定にするため上述したフィードバック制御が欠かせない。
そして、金属吸収層における酸化の度合いを連続的に把握するには、例えば、図4に示すように金属吸収層を成膜する領域(マグネトロンスパッタリングカソード18の終端領域)と金属層を成膜する領域(マグネトロンスパッタリングカソード19の始端領域)間におけるキャンロール16上において唯一現れる金属吸収層の分光反射率を「インライン反射率測定器」を用いて測定することが有効である。
(5)1個のキャンロールが組み込まれたスパッタリングウェブコータ
(5-1)「インライン反射率測定器」を備えたスパッタリングウェブコータ
従来例に係る成膜装置(スパッタリングウェブコータ)と同様、「インライン反射率測定器」を備えたスパッタリングウェブコータは、図5に示すように真空チャンバー110内に設けられており、巻き出しロール111から巻き出された長尺樹脂フィルム112に対して所定の成膜処理を行った後、巻き取りロール124で巻き取るようになっている。これ等巻き出しロール111から巻き取りロール124までの搬送経路の途中に、モータで回転駆動されるキャンロール116が配置されている。このキャンロール116の内部には、真空チャンバー110の外部で温調された冷媒が循環している。
真空チャンバー110内では、スパッタリング成膜のため、到達圧力10-4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じてさらに酸素等のガスが添加される。真空チャンバー110の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく種々のものを使用することができる。また、真空チャンバー110内を減圧してその状態を維持するため、真空チャンバー110にはドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置(図示せず)が組み込まれている。
巻き出しロール111からキャンロール116までの搬送経路には、長尺樹脂フィルム112を案内するフリーロール113と、長尺樹脂フィルム112の張力測定を行う張力センサロール114がこの順で配置されている。また、張力センサロール114から送り出されてキャンロール116に向かう長尺樹脂フィルム112は、キャンロール116の近傍に設けられたモータ駆動の前フィードロール115によって、キャンロール116の周速度に対する調整が行われ、これによりキャンロール116の外周面に長尺樹脂フィルム112を密着させることができる。
キャンロール116から巻き取りロール124までの搬送経路も、上記同様に、キャンロール116の周速度に対する調整を行うモータ駆動の後フィードロール121、長尺樹脂フィルム112の張力測定を行う張力センサロール122、および、長尺樹脂フィルム112を案内するフリーロール123がこの順に配置されている。
上記巻き出しロール111および巻き取りロール124では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺樹脂フィルム112の張力バランスが保たれている。また、キャンロール116の回転とこれに連動して回転するモータ駆動の前フィードロール115、後フィードロール121により、巻き出しロール111から長尺樹脂フィルム112が巻き出されて巻き取りロール124に巻き取られるようになっている。
キャンロール116の近傍には、キャンロール116の外周面上に画定される搬送経路(すなわち、キャンロール116外周面の内の長尺樹脂フィルム112が巻き付けられる領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード117、118、119および120が設けられ、この近傍に反応性ガスを放出するガス放出パイプ125、126、127、128、129、130、131、132が設置されている。
(5-2)「インライン反射率測定器」によるフィードバック制御
「インライン反射率測定器」を備えたスパッタリングウェブコータは、図5に示すようにキャンロール116外周面に巻き付けられた長尺樹脂フィルム112面に金属吸収層を成膜する第一成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード117とマグネトロンスパッタリングカソード118とで構成される)と、同じく長尺樹脂フィルム112面に金属層を成膜する第二成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード119とマグネトロンスパッタリングカソード120とで構成される)間のキャンロール116上において唯一現れる金属吸収層の分光反射率をキャンロール116近傍に設けられた「インライン反射率測定器」により測定し、測定された値(金属吸収層の反射率:但し、上述したようにサンプル基準が無いため測定精度が若干劣る)と金属吸収層の目標値とを比較して上記第一成膜手段へ反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段(ガス放出パイプ125、126、127、128)における反応性ガスの供給量を制御するようになっている。
そして、キャンロール116の近傍に設けられる上記「インライン反射率測定器」は、図5に示すように白色(ハロゲン)光源等の安定化光源135と、該光源135からの光を2光路に分配しその一方の光路を構成する測定光照射ファイバ束が真空チャンバー110内に導入され他方の光路を構成する参照光照射ファイバ束が真空チャンバー110外に配置されるY分岐光ファイバ束134と、上記測定光照射ファイバ束と反射光受光ファイバ束から成りかつキャンロール116の外周面に巻き付けられた長尺樹脂フィルム112の金属吸収層へ向けて測定光照射ファイバ束から測定光を照射し金属吸収層からの反射光を反射光受光ファイバ束で受光して金属吸収層の反射率を測定する反射率測定プローブ133と、該反射率測定プローブ133の反射光受光ファイバ束と上記参照光照射ファイバ束の各端部が真空チャンバー110外において接続されかつ上記参照光照射ファイバ束の端部から出射される参照光と反射光受光ファイバ束の端部から出射される測定光を一定の時間毎に順次通過させる光切換器(光チョッパー)136と、該光切換器136を通過した参照光に基づき光源光量を測定しかつ測定された上記光源光量に基づき光切換器136を通過した測定光の光量を補正して金属吸収層の分光反射率を計測する分光器137とでその主要部が構成されている。
上記光切換器(光チョッパー)136で、分光器137に入射する測定光と参照光を切り替える理由は、長時間に亘る成膜中の光源や受光素子の温度変化、光ファイバにおけるカップリングの効率変化等によるドリフトを補正するためである。具体的には参照光の変化割合に応じて反射率を同様に補正している。尚、測定光と参照光を切り換える光切換器(光チョッパー)136の周期は1Hzである。
そして、分光器137で計測された金属吸収層の分光反射率データは、図5に示すように制御パソコン138に送信され、該制御パソコン138は反応性ガスの流量を制御する流量計139に流量設定値を送信する。そして、ガス導入チューブ140を経由して反応性ガスは上記ガス放出パイプ125、126、127、128に導かれ、上記第一成膜手段への反応性ガスの供給量を制御するように構成されている。尚、上記流量計139については、各ガス放出パイプ125、126、127、128にそれぞれ設置してもよい。
(6)2個以上のキャンロールが組み込まれたスパッタリングウェブコータ
(6-1)「インライン反射率測定器」を備えたスパッタリングウェブコータ
1個のキャンロールが組み込まれた図4に示す従来例に係る成膜装置(スパッタリングウェブコータ)や図5に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)と異なり、図6に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)は、例えば、2個のキャンロールが真空チャンバー内に組み込まれている。
すなわち、2個のキャンロールが組み込まれた成膜装置(スパッタリングウェブコータ)は、図6に示すように真空チャンバー210内に設けられており、巻き出しロール211から巻き出された長尺樹脂フィルム212に対し所定の成膜処理を行った後、巻き取りロール224で巻き取るようになっている。これ等巻き出しロール211から巻き取りロール224までの搬送経路の途中に、モータで回転駆動されるキャンローラ216、316が配置されている。このキャンローラ216、316の内部には、真空チャンバー210の外部で温調された冷媒が循環している。
真空チャンバー210内では、スパッタリング成膜のため、到達圧力10-4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じて更に酸素等のガスが添加される。真空チャンバー210の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。上述したように真空チャンバー210内を減圧してその状態を維持するため、真空チャンバー210には図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が具備されている。
巻き出しロール211からキャンローラ216までの搬送経路には、長尺樹脂フィルム212を案内するフリーロール213と、長尺樹脂フィルム212の張力の測定を行う張力センサロール214とがこの順で配置されている。
1個目のキャンローラ216に対し、張力センサロール214から送り出されてキャンローラ216に向かう長尺樹脂フィルム212は、キャンローラ216の近傍に設けられたモータ駆動の前フィードロール215によってキャンローラ216の周速度に対する調整が行われ、これによりキャンローラ216の外周面に長尺樹脂フィルム212を密着させることができる。同様に、キャンローラ216の周速度に対する調整を行うモータ駆動の後フィードロール221、長尺樹脂フィルム212の張力の測定を行う張力センサロール222がある。
2個目のキャンローラ316に対し、張力センサロール314から送り出されてキャンローラ316に向かう長尺樹脂フィルム212は、キャンローラ316の近傍に設けられたモータ駆動の前フィードロール315によってキャンローラ316の周速度に対する調整が行われ、これによりキャンローラ316の外周面に長尺樹脂フィルム212を密着させることができる。同様に、キャンローラ316の周速度に対する調整を行うモータ駆動の後フィードロール321、長尺樹脂フィルム212の張力の測定を行う張力センサロール322がある。そして、巻き取りロール224までの搬送経路も、長尺樹脂フィルム212の張力の測定を行う張力センサロール322および長尺樹脂フィルム212を案内するフリーロール223がこの順に配置されている。
上記巻き出しロール211および巻き取りロール224では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺樹脂フィルム212の張力バランスが保たれている。また、キャンローラ216、316の回転と、これに連動して回転するモータ駆動の前フィードロール215、315、後フィードロール221、321により、巻き出しロール211から長尺樹脂フィルム212が巻き出されて巻き取りロール224に巻き取られるようになっている。
1個目のキャンローラ216の近傍には、キャンローラ216の外周面上に画定される搬送経路(すなわち、キャンローラ216の外周面の内の長尺樹脂フィルム212が巻き付けられる領域:ラップ領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード217、218、219および220が設けられていて、この近傍に反応性ガスを放出するガス放出パイプ225、226、227、228、229、230、231、232が設置されている。
2個目のキャンローラ316の近傍には、キャンローラ316の外周面上に画定される搬送経路(すなわち、キャンローラ316の外周面の内の長尺樹脂フィルム212が巻き付けられる領域:ラップ領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード317、318、319および320が設けられていて、この近傍に反応性ガスを放出するガス放出パイプ325、326、327、328、329、330、331、332が設置されている。
また、1個目のキャンローラ216と2個目のキャンローラ316間の搬送路上には、フリーロール(中間ロール)350、351、352が配置されている。
(6-2)「インライン反射率測定器」によるフィードバック制御
ところで、図6に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)において、例えば1個目のキャンローラ216上にて長尺樹脂フィルム212の片面に金属吸収層が成膜され、2個目のキャンローラ316上にて長尺樹脂フィルム212の金属吸収層上に金属層が成膜されるように利用する場合、金属吸収層の分光反射率を測定する「インライン反射率測定器」の設置場所は、1個目のキャンローラ216と2個目のキャンローラ316間に設けられたフリーロール(中間ロール)351上において金属吸収層が現れる箇所となる。
そして、1個目のキャンローラ216と2個目のキャンローラ316間に設けられかつその外周面にクロム等の金属メッキが施されたフリーロール(中間ロール)351の近傍に設けられた「インライン反射率測定器」は、図6に示すように白色(ハロゲン)光源等の安定化光源235と、該光源235からの光を2光路に分配しその一方の光路を構成する測定光照射ファイバ束が真空チャンバー210内に導入され他方の光路を構成する参照光照射ファイバ束が真空チャンバー210外に配置されるY分岐光ファイバ束234と、上記測定光照射ファイバ束と反射光受光ファイバ束から成りかつフリーロール351の外周面に一部巻き付けられる長尺樹脂フィルム212の金属吸収層へ向けて測定光照射ファイバ束から測定光を照射し金属吸収層からの反射光を反射光受光ファイバ束で受光して金属吸収層の反射率を測定する反射率測定プローブ233と、該反射率測定プローブ233の反射光受光ファイバ束と上記参照光照射ファイバ束の各端部が真空チャンバー210外において接続されかつ上記参照光照射ファイバ束の端部から出射される参照光と反射光受光ファイバ束の端部から出射される測定光を一定の時間毎に順次通過させる光切換器(光チョッパー)236と、該光切換器236を通過した参照光に基づき光源光量を測定しかつ測定された上記光源光量に基づき光切換器236を通過した測定光の光量を補正して金属吸収層の分光反射率を計測する分光器237とでその主要部が構成されている。
上記光切換器(光チョッパー)236で、分光器237に入射する測定光と参照光を切り替える理由は、長時間に亘る成膜中の光源や受光素子の温度変化、光ファイバにおけるカップリングの効率変化等によるドリフトを補正するためである。具体的には参照光の変化割合に応じて反射率を同様に補正している。尚、測定光と参照光を切り換える光切換器(光チョッパー)236の周期は1Hzである。
そして、分光器237で計測された金属吸収層の分光反射率データは、図6に示すように制御パソコン238に送信され、該制御パソコン238は反応性ガスの流量を制御する流量計239に流量設定値を送信する。そして、ガス導入チューブ240を経由して反応性ガスは上記ガス放出パイプ225、226、227、228に導かれ、1個目のキャンローラ216の近傍に設けられた第一成膜手段への反応性ガスの供給量を制御するように構成されている。尚、上記流量計239については、各ガス放出パイプ225、226、227、228にそれぞれ設置してもよい。
ところで、図6に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)において、キャンロール216の第一成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード217とマグネトロンスパッタリングカソード218とで構成される)で長尺樹脂フィルム212の片面に金属吸収層を成膜し、キャンロール216の第二成膜手段(マグネトロンスパッタリングカソード219とマグネトロンスパッタリングカソード220とで構成される)で長尺樹脂フィルム212の金属吸収層上に金属層を成膜するように利用する場合、金属吸収層の分光反射率を測定する上記「インライン反射率測定器」の設置場所は、第一成膜手段と第二成膜手段間のキャンローラ216上において金属吸収層が現れる箇所が挙げられ、該キャンローラ216上にて金属吸収層の分光反射率が測定される。
また、分光反射率が測定される上述のフリーロール(中間ロール)351並びにキャンローラ216において、クロム等の金属メッキを施す領域はこれ等ロールの全面である必要はなく、少なくとも上記分光反射率の測定がなされるロール外周面の該領域に施せばよい。
(7)「インライン反射率測定器」によるデータの解析(ベースラインの設定)
(7-1)一般的な「2光束自記分光光度計」を用いて測定サンプルの反射率を測定する場合、上述したように反射率が既知であるサンプル基準の反射光強度を測定してベースラインとし、その後、測定サンプルの反射光強度を測定し、上記ベースラインと比較して相対反射率を求めている。しかし、「インライン反射率測定器」においては、上述したように測定された反射率を比較するサンプル基準が無いため、該サンプル基準に基づいて相対反射率を求めることは現実的にできない。
そこで、長尺樹脂フィルムの片面に金属吸収層を成膜する際、未成膜の長尺樹脂フィルム自体における反射率をベースラインとする方法が考えられるが、透明性の高い長尺樹脂フィルムにおいてはロールからの反射(例えばキャンロール上にて長尺樹脂フィルムの反射率を測定する場合、キャンロール表面からの反射)が主となり、ロールの表面状態によっては信頼性の低いベースラインとなるため、「インライン反射率測定器」による測定において長尺樹脂フィルム自体の反射率をベースラインに設定することは難しい。
また、Ni系合金等の金属ターゲットを用いた反応性スパッタリングにより金属吸収層を樹脂フィルム(例えばPETフィルム)の片面に成膜し、樹脂フィルムの裏面側にキャンロール等の反射性基体が存在しない状態で成膜した金属吸収層の分光反射特性を「インライン反射率測定器」で測定すると、極大値若しくは極小値を有さずに反射率が単調に短波長側から長波長側に向かって増加する分光反射特性となる。また、ハードクロムめっきが施されたキャンロールの外周面に樹脂フィルム(例えばPETフィルム)を巻き付けかつこの状態で成膜された金属吸収層の分光反射特性を「インライン反射率測定器」で測定した場合も、成膜した金属吸収層の膜厚が厚くなると殆どの光が金属吸収層を透過しないためキャンロールからの分光反射の影響を受けず、極大値若しくは極小値を有さずに反射率が単調に短波長側から長波長側に向かって増加する分光反射特性になる。
ところで、上記「インライン反射率測定器」を用いた測定においては、所謂、「相対反射率」を想定しており、可視波長全域に亘って分光反射率が高い反射率(絶対反射)を保てる表面基材と比較すれば正確な分光反射率を求めることができる。
しかし、スパッタリングウェブコータに組み込まれた「インライン反射率測定器」を用いた測定においては、他の反射率基準(サンプル基準)と比較して「相対反射率」を得ることは難しい。その理由は、例えばキャンロール表面にサンプル基準板が設置された場合、金属吸収層とサンプル基準板面の僅かな高低差や曲率の差で反射率が大きく影響を受けるため、測定精度に問題を生ずるからである。
(7-2)そこで、本発明者は、ハードクロムめっき等が施されたキャンロール等のロール外周面に樹脂フィルム(PETフィルム)を巻き付けかつ樹脂フィルムが密着した状態(真空中において樹脂フィルムはキャンローラ等に密着する)で成膜前における樹脂フィルムの分光反射率を「インライン反射率測定器」で測定し、測定した分光反射率の値を基準値とする方法を見出した。
尚、背面側にハードクロムめっき等が施されたロールが存在する状態で測定した樹脂フィルム(PETフィルム)における分光反射率の値を基準値としているため、各波長における反射率を100%としている。ハードクロムめっき等が施されたキャンロール等のロールが背面側に存在する状態で測定された樹脂フィルムの分光反射特性は、可視波長領域において平坦ではなく極小値と極大値を有している。
そして、極小値と極大値を有する樹脂フィルムの分光反射特性を基準としているため、短波長側から長波長側に向かって単調に反射率が増加若しくは減少する分光反射特性を有する金属吸収層が上記樹脂フィルム上に成膜されたとしても、基準値が極小値と極大値を有するため金属吸収層の分光反射特性も極小値と極大値を有する。
(7-3)このような分析に基づき、本発明者は上述したような実験を試みている。
実験においては、金属メッキが施されたキャンロール等のロールに代えて、可視波長全域で反射率の高いアルミミラー(但し、円筒ミラーでなく平面ミラー)を用い、金属吸収層が成膜される前の長尺樹脂フィルム(PETフィルム)を上記アルミミラーに載置した状態で「2光束自記分光光度計」により測定している。
次に、酸素を含む反応性ガスと金属(例えばNi−Cu合金)ターゲットを用い、反応性スパッタリング装置によりサンプル用金属吸収層を長尺樹脂フィルムの片面に連続成膜し、得られた複数個のサンプル用金属吸収層の分光反射率特性を上記「2光束自記分光光度計」で測定した。
具体的には、サンプル用金属吸収層の膜厚について、例えば、0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nmの7種(d1〜dn)に設定し、かつ、反応性ガスの酸素流量が膜厚に対し一定量となる条件、例えば、1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない条件)、2.10sccm/nm(酸素導入量が中間の条件)、および、2.50sccm/nm(酸素導入量が多い条件)の3組(a組)に設定して21(n×a)個のサンプル用金属吸収層を成膜(製造)し、これ等サンプル用金属吸収層の分光反射率特性を上記「2光束自記分光光度計」で測定した。
また、サンプル用金属吸収層における分光反射率特性の測定は、上記アルミミラー上にサンプル用金属吸収層を載置した状態で「2光束自記分光光度計」を用いて行っている。尚、測定された各サンプル用金属吸収層の分光反射率特性を図10〜図12のグラフ図に示している。ここで、膜厚が0nmのサンプル用金属吸収層は金属吸収層が成膜される前の長尺樹脂フィルムに相当し、この長尺樹脂フィルムの分光反射率を反射率基準(ベースライン)として利用している。
すなわち、長尺樹脂フィルムの分光反射率値を反射率基準(ベースライン)にし、各サンプル用金属吸収層(膜厚が5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の分光反射率値を長尺樹脂フィルムの分光反射率値で割って各サンプル用金属吸収層における「相対分光反射率特性」を求めている。
(7-4)次に、実験用アルミミラーに代えて金属(クロム)メッキが施されたキャンロール等のロールを使用し、該ロール外周面に巻き付けられた長尺樹脂フィルムの分光反射率を反応性スパッタリング装置に組み込まれた「インライン反射率測定器」を用いて測定し、更に、長尺樹脂フィルムの片面に21(n×a)個のサンプル用金属吸収層を成膜(製造)すると共に、これ等サンプル用金属吸収層の分光反射率特性も上記「インライン反射率測定器」を用いて属メッキが施されたロールの外周面上にて測定した。
そして、長尺樹脂フィルムの分光反射率を上記反射率基準(ベースライン)にし、各サンプル用金属吸収層(膜厚が5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の分光反射率値を長尺樹脂フィルムの分光反射率値(反射率基準)で割って各サンプル用金属吸収層における「相対分光反射率特性」として求めている。
図13〜図15のグラフ図は、各サンプル用金属吸収層(膜厚が0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の「相対分光反射率特性」を示しており、上記反射率基準(ベースライン)とされた長尺樹脂フィルムの各波長における反射率は100%と図示されている。長尺樹脂フィルムの各波長における反射率が100%として図示されているため、各サンプル用金属吸収層の分光反射率特性から極大値と極小値を容易に把握することが可能となる。
尚、図10〜図12のグラフ図と比較して図13〜図15のグラフ図には、各サンプル用金属吸収層(膜厚が5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)の「相対分光反射率特性」が平坦でなく極大値と極小値を有している。この理由は、実験用アルミミラーと相違し、クロム(金属)メッキの分光反射率特性は平坦でなく極大値と極小値を有するからである。
次に、図14のグラフ図に示された各サンプル用金属吸収層(酸素導入量が中間の条件で成膜された膜厚が0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)における「相対分光反射率特性」のデータ群から、膜厚0nmと5nm並びに30nmを除く膜厚25nm、20nm、15nm、および、10nmのサンプル用金属吸収層を選択し、かつ、各サンプル用金属吸収層の「反射率極小値」「反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値」「反射率極大値の波長(nm)」「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値−反射率極小値(%)」の数値を求めた。そのデータを上記表1に示す。
同様に、図13のグラフ図に示された各サンプル用金属吸収層(酸素導入量が少ない条件で成膜された膜厚が0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、および、30nm)における「相対分光反射率特性」のデータ群から、膜厚0nmと5nm並びに30nmを除く膜厚25nm、20nm、15nm、および、10nmのサンプル用金属吸収層を選択し、かつ、各サンプル用金属吸収層の「反射率極小値」「反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値」「反射率極大値の波長(nm)」「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」「反射率極大値−反射率極小値(%)」の数値を求めた。そのデータを上記表2に示す。
更に、表1および表2の「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「サンプル用金属吸収層の膜厚」との関係を図16のグラフ図に示し、また、表1および表2の「反射率極大値−反射率極小値(%)」と「サンプル用金属吸収層の膜厚」との関係を図17のグラフ図にまとめて示す。
そして、図16と図17の各クラフ図から、「サンプル用金属吸収層の膜厚」が増加するに従い、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値が増加することが確認され、
また、図16のクラフ図と図17のクラフ図から、成膜時における酸素導入量が多い程、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値が高い数値になることが確認される。
この結果、「インライン反射率測定器」で測定された反射率を「2光束自記分光光度計」で適用されている上記サンプル基準と比較することなく、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値から正確な膜厚が求められ(すなわち成膜条件の調整が可能となる)、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長(nm)」と「反射率極大値−反射率極小値(%)」の各差分値からも酸素導入量の多少について確認することが可能となる(すなわち「酸素流量/膜厚」条件の調整も可能となる)。
(8)本発明に係る電極基板フィルムの分光反射率特性
(8-1)樹脂フィルム(PETフィルム)と、該樹脂フィルム上に本発明に係る成膜方法を用いて形成された金属吸収層(Cu−Ni系ターゲットを適用)と、該金属吸収層上に設けられた金属(Cu)層と、該金属(Cu)層上に設けられた第二金属吸収層とで構成された電極基板フィルム(積層体フィルムを化学エッチング処理して得られた完成品)の樹脂フィルム側に位置した金属吸収層の分光反射率を、「2光束自記分光光度計」を用いて樹脂フィルム側から測定した。尚、「2光束自記分光光度計」の「反射基準」として可視波長全域で反射率の高いアルミミラーを用いた。
(8-2)具体的には、樹脂フィルム(PETフィルム)と、酸素流量1.75sccm/nm(酸素導入量が少ない)の条件で樹脂フィルムの片面にそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmの金属吸収層と、該金属吸収層上に設けられた金属(Cu)層と、該金属(Cu)層上に設けられた第二金属吸収層とで構成された電極基板フィルム(積層体フィルムを化学エッチング処理して得られた完成品)の樹脂フィルム側に位置した金属吸収層の分光反射率を、「2光束自記分光光度計」を用いて樹脂フィルム側から測定した。
この分光反射率特性を図7のグラフ図に示す。
(8-3)また、樹脂フィルム(PETフィルム)と、酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件で樹脂フィルムの片面にそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmの金属吸収層と、該金属吸収層上に設けられた金属(Cu)層と、該金属(Cu)層上に設けられた第二金属吸収層とで構成された電極基板フィルム(積層体フィルムを化学エッチング処理して得られた完成品)の樹脂フィルム側に位置した金属吸収層の分光反射率を、「2光束自記分光光度計」を用いて樹脂フィルム側から測定した。
この分光反射率特性を図8のグラフ図に示す。
(8-4)更に、樹脂フィルム(PETフィルム)と、酸素流量2.50sccm/nm(酸素導入量が多い)の条件で樹脂フィルムの片面にそれぞれ成膜された膜厚0nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nmの金属吸収層と、該金属吸収層上に設けられた金属(Cu)層と、該金属(Cu)層上に設けられた第二金属吸収層とで構成された電極基板フィルム(積層体フィルムを化学エッチング処理して得られた完成品)の樹脂フィルム側に位置した金属吸収層の分光反射率を、「2光束自記分光光度計」を用いて樹脂フィルム側から測定した。
この分光反射率特性を図9のグラフ図に示す。
(8-5)尚、金属吸収層の膜厚が0nmである電極基板フィルムの分光反射率特性は、金属(Cu)層そのものの分光反射特性となる。また、図7〜図9のグラフ図から金属吸収層の膜厚が厚くなるにつれて反射率が低下していくことが確認される。このように金属吸収層の反射率が低下する理由は、金属(Cu)層との光学的な干渉の影響を受けたためである。
(9)反射率が既知であるサンプル基準との比較を要しない本発明の成膜方法
すなわち、本発明は、
スパッタリング装置内にて、長尺樹脂フィルムの片面に酸素を含む反応性ガスと金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により金属吸収層を連続成膜し、かつ、スパッタリング装置内に設けられたインライン反射率測定器により成膜中における金属吸収層の分光反射率を測定し、該分光反射率特性に基づいて金属吸収層の成膜条件を制御する成膜方法において、
(A)成膜前における長尺樹脂フィルムの分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により測定し、かつ、測定された極大値と極小値を有する長尺樹脂フィルムの分光反射率特性を該長尺樹脂フィルムの「反射率基準(ベースライン)」とする工程、
(B)膜厚d1〜dnのサンプル用金属吸収層をそれぞれa組の反応条件(酸素流量/膜厚)に従って長尺樹脂フィルムの片面に成膜し、かつ、成膜された複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器によりそれぞれ測定すると共に、測定された各分光反射率から上記「反射率基準(ベースライン)」を基に複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層における極大値と極小値を有する「相対分光反射率特性」をそれぞれ求める工程、
(C)極大値と極小値を有する上記「相対分光反射率特性」からサンプル用金属吸収層毎に「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値をそれぞれ特定する工程、
(D)上記(C)工程で得られた「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の差分値群から、成膜目標とする金属吸収層に係る差分値(「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」)を特定し、かつ、目標とする金属吸収層を長尺樹脂フィルムの片面に成膜しながら金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により成膜中における金属吸収層の分光反射率を測定すると共に、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値が「λおよびα」に設定される反応性ガスの酸素流量およびスパッタリング電力を特定する工程、
(E)上記(D)工程で特定された成膜条件に従い、長尺樹脂フィルムの片面に連続成膜される金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により継続して測定し、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」が維持されるように反応性ガスの調整または/およびスパッタリング電力の調整を行う工程、
を具備することを特徴とするものである。
ところで、上記(E)工程において、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」が維持されるように行う調整については、以下に述べる理由から、例えば、反応性ガス中に水素若しくは水蒸気を添加しまたは/および酸素流量を変更する方法、および、スパッタリング電力を調整し、更に長尺樹脂フィルムの搬送速度を変更する等の方法が挙げられる。
(10)真空チャンバー内に含まれる水分の影響
反応性スパッタリング成膜中の真空チャンバー内部における水分圧とアルゴン分圧(スパッタリングを行うために導入するガス)の経時変化について、四重極質量分析計で計測した結果を図18に示す。すなわち、図18は、図5および図6に示す成膜装置の真空チャンバー内部における水分量の経時変化を示すグラフ図である。
図18のグラフ図から、スパッタリング時間の経過と共に真空チャンバーから水分が脱離していくことが確認される。この水分も、スパッタリングのプラズマ中において酸素と水素に分解され、金属吸収層の酸化に寄与する。従って、成膜スタート時と同じ分光反射特性曲線を長時間に亘り維持するには、反応性スパッタガスの酸素に加えて真空チャンバーから脱離する水分量を補う水蒸気若しくは水素ガスを補充する必要がある。
例えば、スパッタリング時間の経過と共に、真空チャンバーから脱離する水分量を補わない場合、下記比較例に示されているように反射率は上昇する(表5参照)。
そこで、「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」が一定に維持できるように反応性ガスの酸素に加え、真空チャンバーから脱離する水分量を補う水蒸気若しくは水素ガスを含むガス導入すればよく、例えば、モル比で2:1の水素ガスと酸素ガスの混合ガスが挙げられる。
ところで、真空チャンバーから脱離する水分量を把握するには一般的に四重極質量分析計が利用される。上記四重極質量分析計はその場の雰囲気を計測する機器であり、「インライン反射率測定器」による測定の方が実際に取り込まれた反応性ガスを反映しているのでより直接的である。
尚、真空チャンバー内において四重極質量分析計により観測される水分は、成膜後における長尺樹脂フィルムをスパッタリングウェブコータから取り出したりした際の大気開放により、真空チャンバー内に吸着される水分である。また、真空チャンバー内に含まれる水分量は、真空チャンバー内における四重極質量分析計の配置位置や真空チャンバーの形状等で変動する。
以下、比較例を挙げて本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
2個のキャンロールが組み込まれた図6に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)を用い、反応性ガスには酸素ガスを用いると共に、キャンロール216、316は、直径600mm、幅750mmのステンレス製で、各ロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。前フィードロール215、315と後フィードロール221、321は直径150mm、幅750mmのステンレス製で、各ロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。
また、各マグネトロンスパッタリングカソード217、218、219、220、317、318、319、320の上流側と下流側にガス放出パイプ225、226、227、228、229、230、231、232、325、326、327、328、329、330、331、332を設置し、かつ、マグネトロンスパッタリングカソード217、218、219、220には金属吸収層用のNi−Cuターゲットを取付け、マグネトロンスパッタリングカソード317、318、319、320には金属層用のCuターゲットを取付けた。
また、「インライン反射率測定器」の反射率測定プローブ233が近傍に配置されるフリーロール(中間ロール)351にはハードクロムめっきが施されている。
尚、分光反射率測定がなされるフリーロール(中間ロール)351における被覆(めっき皮膜)の種類はハードクロムめっきに限定されず、可視波長領域において分光反射特性が平坦でなく極小値と極大値を有するものであればよい。
長尺樹脂フィルムには、幅600mmで長さ1200mのPETフィルムを用い、上記キャンロール216、316は0℃に冷却制御している。また、真空チャンバー210を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気している。
次に、成膜前における長尺樹脂フィルム(PETフィルム)の分光反射率特性から反射率基準(ベースライン)を設定する工程を実施した。
まず、「インライン反射率測定器」の光切換器(光チョッパー)236を測定光(サンプル光)に切り替え、ハードクロムめっきが施されたフリーロール(中間ロール)351外周面上に部分的に巻き付けられた長尺樹脂フィルム(PETフィルム)に対し測定光(サンプル光)を照射すると共に、長尺樹脂フィルム(PETフィルム)を透過しかつフリーロール(中間ロール)351面から反射する光を「インライン反射率測定器」で計測し、計測された長尺樹脂フィルム(PETフィルム)の分光反射率特性から反射率基準(ベースライン)を設定する。
すなわち、各波長における反射率を100%として保存し、かつ、上記光切換器(光チョッパー)236を参照光(リファレンス光)に切り替えて初期の参照光量(リファレンス光量)を保存する。
初期工程(反射率基準の設定工程)を終了した後、ここからは、光切換器(光チョッパー)236を測定光(サンプル光)と参照光(リファレンス光)に切り替えながら上記長尺樹脂フィルム(PETフィルム)の片面に成膜された金属吸収層の反射光量とその時の参照光量(リファレンス光量)を測定していく。尚、参照光量(リファレンス光量)を常時測定しているのは、上述した光源光量のドリフトを補正するためである。
また、成膜された金属吸収層の相対反射率は以下の式(1)で表記できる。
金属吸収層の相対反射率=(金属吸収層の反射光量/ベースライン光量)×
(ベースライン測定時のリファレンス光量/反射光量測定時のリファレンス光量)
式(1)
そして、実施例と比較例は、長尺樹脂フィルム(PETフィルム)の搬送速度を8m/分にした後、ガス放出パイプ325、326、327、328、329、330、331、332からアルゴンガスを300sccm導入し、マグネトロンスパッタリングカソード317、318、319、320について、膜厚80nmの金属層(Cu層)が得られる電力制御により成膜を行った。
一方、ガス放出パイプ225、226、227、228、229、230、231、232からアルゴンガスを300sccm導入し、マグネトロンスパッタリングカソード217、218、219、220について、膜厚20nmの金属吸収層(Ni−Cuの酸化膜)が得られる電力制御で成膜を行った。
また、反応性ガスの酸素と、真空チャンバーから脱離する水分量を補う水素ガスとを含むガス(水素+酸素)は、流量計ユニット239経由して、ガス放出パイプ225、226、227、228、229、230、231、232へ混合ガスとして導入している。
[実施例]
本実施例においては、長尺樹脂フィルム(PETフィルム)上に膜厚20nmの金属吸収層(Ni−Cuの酸化膜)を、酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件で連続成膜することを基準としている。
まず、図6に示す成膜装置(スパッタリングウェブコータ)に組み込まれた「インライン反射率測定器」を用い、連続成膜している金属吸収層(Ni−Cuの酸化膜)の分光反射率特性を測定しながら「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値」の数値(λ)が192nm(下記表3の「金属吸収層の膜厚」20nm欄参照)になるようにスパッタ電力を微調整する。
次に、「反射率極大値−反射率極小値の差分値」の数値(α)が8.0%(下記表3の「金属吸収層の膜厚」20nm欄参照)になるように反応性スパッタガスを微調整する。
これが、成膜スタート時の成膜条件になる。
そして、成膜時間が経過するにつれて真空チャンバー内から水分が脱離し、真空チャンバー内に含まれる水分量が経時的に減少するため、「反射率極大値−反射率極小値の差分値」の数値(α)が8.0%に維持されるように反応性ガス中への「水素+酸素の混合ガス」を徐々に増加させたところ、長尺樹脂フィルム全長(1200m)の成膜終了時には、各カソードに対する「水素+酸素の混合ガス」の導入量が10sccmに達した。
また、マグネトロンスパッタリングカソードの消耗に伴い「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値」の数値(λ)が低下する傾向が確認される。この場合、上記数値(λ)が192nmに維持されるようにスパッタ電力を徐々に増加されればよい。厳密言えば、「反射率極大値−反射率極小値の差分値」と「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値」は、「水素+酸素の混合ガス」の導入量とスパッタ電力の両方に関係するので、両パラメータに基づき微調整することが望ましい。
尚、実施例において、表3の「金属吸収層の膜厚」20nm欄に記載された目標値、すなわち「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値(λ)が192nm」、かつ、「反射率極大値−反射率極小値の差分値(α)が8.0%」である目標値が、長尺樹脂フィルム全長(0m〜1200m)に亘って達成されているか否かについて以下の表4に示し、合わせて、長尺樹脂フィルム全長(1200m)に亘る「反射率極大値」と「反射率極小値」の数値も表4に示す。
そして、表4における実施例の「反射率極大値」と「反射率極小値」欄から、長尺樹脂フィルム全長(0m〜1200m)に亘り目標とする分光反射率特性が維持されていることが確認される。
[比較例]
比較例においても、長尺樹脂フィルム(PETフィルム)上に膜厚20nmの金属吸収層(Ni−Cuの酸化膜)を酸素流量2.10sccm/nm(酸素導入量が中間)の条件で成膜しかつ膜厚80nmの金属層(Cu層)を成膜することを基準としている。
但し、比較例においては、「インライン反射率測定器」によって測定されたデータを利用せず、そのままフィードバック制御無しに全長(1200m)の成膜を行っている。
すなわち、「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値(λ)が192nm」で、かつ、「反射率極大値−反射率極小値の差分値(α)が8.0%」である目標値が、長尺樹脂フィルム全長(0m〜1200m)に亘って達成されているか否かについて表5に示し、合わせて、長尺樹脂フィルム全長(0m〜1200m)に亘る「反射率極大値」と「反射率極小値」の数値も表5に示す。
そして、表5における比較例の「反射率極大値」欄から、長尺樹脂フィルム全長(0m〜1200m)に亘り目標とする分光反射率特性が維持されていない(反射率極大値が上昇する)ことが確認される。
「評 価」
(1)表4の「反射率極大値」と「反射率極小値」欄から、実施例においては長尺樹脂フィルム全長(0m〜1200m)に亘って目標とする分光反射率特性を維持できる製法上の利点を有している。
(2)他方、比較例においては、成膜初期と比較して成膜終了時において反射率が上昇してしまう(反射率の極大値が上昇する)製法上の欠点を有している。
本発明に係る成膜方法を用いて得られた金属吸収層を有する積層体フィルムは金属吸収層の光学特性が均一に揃っているため、タッチパネルに組み込まれる電極基板フィルムとして利用される産業上の可能性を有している。
1 透明基板(樹脂フィルム)
2 金属吸収層
2’金属吸収層
3 金属層
3’金属層
4 金属製積層細線
10 真空チャンバー
11 巻き出しロール
12 長尺樹脂フィルム
13 フリーロール
14 張力センサロール
15 前フィードロール
16 キャンロール
17 マグネトロンスパッタリングカソード
18 マグネトロンスパッタリングカソード
19 マグネトロンスパッタリングカソード
20 マグネトロンスパッタリングカソード
21 後フィードロール
22 張力センサロール
23 フリーロール
24 巻き取りロール
25 ガス放出パイプ
26 ガス放出パイプ
27 ガス放出パイプ
28 ガス放出パイプ
29 ガス放出パイプ
30 ガス放出パイプ
31 ガス放出パイプ
32 ガス放出パイプ
110 真空チャンバー
111 巻き出しロール
112 長尺樹脂フィルム
113 フリーロール
114 張力センサロール
115 前フィードロール
116 キャンロール
117 マグネトロンスパッタリングカソード
118 マグネトロンスパッタリングカソード
119 マグネトロンスパッタリングカソード
120 マグネトロンスパッタリングカソード
121 後フィードロール
122 張力センサロール
123 フリーロール
124 巻き取りロール
125 ガス放出パイプ
126 ガス放出パイプ
127 ガス放出パイプ
128 ガス放出パイプ
129 ガス放出パイプ
130 ガス放出パイプ
131 ガス放出パイプ
132 ガス放出パイプ
133 反射率測定プローブ
134 Y分岐光ファイバ束
135 安定化光源
136 光切換器(光チョッパー)
137 分光器
138 制御パソコン
139 流量計(流量計ユニット)
140 ガス導入チューブ
210 真空チャンバー
211 巻き出しロール
212 長尺樹脂フィルム
213 フリーロール
214 張力センサロール
215 前フィードロール
216 キャンロール
217 マグネトロンスパッタリングカソード
218 マグネトロンスパッタリングカソード
219 マグネトロンスパッタリングカソード
220 マグネトロンスパッタリングカソード
221 後フィードロール
222 張力センサロール
223 フリーロール
224 巻き取りロール
225 ガス放出パイプ
226 ガス放出パイプ
227 ガス放出パイプ
228 ガス放出パイプ
229 ガス放出パイプ
230 ガス放出パイプ
231 ガス放出パイプ
232 ガス放出パイプ
233 反射率測定プローブ
234 Y分岐光ファイバ束
235 安定化光源
236 光切換器(光チョッパー)
237 分光器
238 制御パソコン
239 流量計(流量計ユニット)
240 ガス導入チューブ
314 張力センサロール
315 前フィードロール
316 キャンロール
317 マグネトロンスパッタリングカソード
318 マグネトロンスパッタリングカソード
319 マグネトロンスパッタリングカソード
320 マグネトロンスパッタリングカソード
321 後フィードロール
322 張力センサロール
325 ガス放出パイプ
326 ガス放出パイプ
327 ガス放出パイプ
328 ガス放出パイプ
329 ガス放出パイプ
330 ガス放出パイプ
331 ガス放出パイプ
332 ガス放出パイプ
350 フリーロール(中間ロール)
351 フリーロール(中間ロール)
352 フリーロール(中間ロール)

Claims (7)

  1. スパッタリング装置内にて、長尺樹脂フィルムの片面に酸素を含む反応性ガスと金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により金属吸収層を連続成膜し、かつ、スパッタリング装置内に設けられたインライン反射率測定器により成膜中における金属吸収層の分光反射率を測定し、該分光反射率特性に基づいて金属吸収層の成膜条件を制御する成膜方法において、
    (A)成膜前における長尺樹脂フィルムの分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により測定し、かつ、測定された極大値と極小値を有する長尺樹脂フィルムの分光反射率特性を該長尺樹脂フィルムの「反射率基準(ベースライン)」とする工程、
    (B)膜厚d1〜dnのサンプル用金属吸収層をそれぞれa組の反応条件(酸素流量/膜厚)に従って上記長尺樹脂フィルムの片面に成膜し、かつ、成膜された複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器によりそれぞれ測定すると共に、測定された各分光反射率から上記「反射率基準(ベースライン)」を基に複数(n×a)個のサンプル用金属吸収層における極大値と極小値を有する「相対分光反射率特性」をそれぞれ求める工程、
    (C)極大値と極小値を有する上記「相対分光反射率特性」からサンプル用金属吸収層毎に「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値をそれぞれ特定する工程、
    (D)上記(C)工程で得られた「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の差分値群から、成膜目標とする金属吸収層に係る差分値(「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」)を特定し、かつ、目標とする金属吸収層を長尺樹脂フィルムの片面に成膜しながら金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により成膜中における金属吸収層の分光反射率を測定すると共に、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長」および「反射率極大値−反射率極小値」の各差分値が「λおよびα」に設定される反応性ガスの酸素流量およびスパッタリング電力を特定する工程、
    (E)上記(D)工程で特定された成膜条件に従い、長尺樹脂フィルムの片面に連続成膜される金属吸収層の分光反射率を金属メッキが施されたロールの外周面上にてインライン反射率測定器により継続して測定し、上記「反射率極大値の波長−反射率極小値の波長の差分値λ」および「反射率極大値−反射率極小値の差分値α」が維持されるように反応性ガスの調整または/およびスパッタリング電力の調整を行う工程、
    を具備することを特徴とする成膜方法。
  2. 上記(E)工程における「反応性ガスの調整」が、水素若しくは水蒸気の添加、または/および、上記酸素流量の変更であることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法
  3. 上記金属ターゲットが、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金、または、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Niより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜方法。
  4. スパッタリング装置内に1個のキャンロールが設けられ、該キャンロール外周面の長尺樹脂フィルム面が露出する領域において長尺樹脂フィルムおよび金属吸収層の分光反射率が測定されると共に、少なくとも分光反射率の測定がなされるキャンロール外周面の領域に上記金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法。
  5. スパッタリング装置内に2個のキャンロールが設けられ、かつ、2個のキャンロール間における長尺樹脂フィルムの搬送路上に中間ロールが付設されていると共に、少なくとも一方のキャンロール外周面の長尺樹脂フィルム面が露出する領域または中間ロールの長尺樹脂フィルム面が露出する領域において長尺樹脂フィルムおよび金属吸収層の分光反射率が測定されると共に、少なくとも分光反射率の測定がなされる上記キャンロールまたは中間ロールにおける外周面の領域に上記金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法。
  6. 樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面に設けられた積層膜とで構成され、該積層膜が、金属吸収層と該金属吸収層上に形成された金属層を有する積層体フィルムの製造方法において、
    上記金属吸収層が、請求項1〜5のいずれかに記載の成膜方法により成膜されていることを特徴とする積層体フィルムの製造方法。
  7. 樹脂フィルムから成る透明基板と該透明基板の片面に設けられた積層細線から成るメッシュ構造の回路パターンを有する電極基板フィルムの製造方法において、
    請求項6に記載の製造方法で得られた積層体フィルムの上記積層膜を化学エッチング処理してメッシュ構造の回路パターンに加工することを特徴とする電極基板フィルムの製造方法。
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