JP2016188188A - エンタカポン含有医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
エンタカポン((E)−2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−N,N−ジエチル−2−プロペンアミド)は、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤であり、パーキンソン病の治療薬として使用されている。エンタカポンは、黄色〜帯緑黄色の色調を有し、エタノールに溶けにくく、水にほとんど溶けない性質を持つ。エンタカポンは、従来公知の方法により製造してもよく、市販品を用いてもよい。
エンタカポンは、例えば、US5,446,194及びUS5,135,950に記載の方法によって調製され得る。エンタカポンは、(E)−および(Z)異性体の任意の混合物として、または実質的に純粋な(E)−もしくは(Z)異性体の形態で存在し得る。好ましくは、エンタカポンは、実質的に純粋な(E)−異性体の形態である。(E)−異性体は、種々の多型形態、例えば、US5,135,950に開示された多形A、またはWO2005/063696に開示された多形D、またはアモルファスをとり得る。本発明の医薬組成物におけるエンタカポンは、通常は結晶である。
本発明の医薬組成物に含まれるエンタカポンは、粒状形態であり、エンタカポン粒子の体積粒径D90が56μm以上であることが好ましい。エンタカポンの体積粒径分布は、レーザー回析式粒径測定(LPD)を用い、粒径解析装置(マスターサイザー2000 メルバーンインスツルメンツ社製(Malvern Instruments Ltd.))を用いて試料を測定することにより測定される。
医薬組成物におけるエンタカポンの含有量は、1重量%以上99重量%以下であることが好ましく、1重量%以上50重量%以下であることがさらに好ましい。また、医薬組成物が錠剤である場合には、錠剤(素錠)の全重量に対するエンタカポンの含有量は、1重量%以上99重量%以下であることが好ましく、1重量%以上50重量%以下であることがさらに好ましい。
本医薬組成物には崩壊剤が含まれており、崩壊剤であるデンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを含む。また、本医薬組成物には、クロスカルメロースナトリウムを含まないか、実質的に含まないことが好ましい。デンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを組み合わせることで、製剤からのエンタカポンの溶出性を向上させることができるとともに、製剤の継時的な色調変化を抑制することができる。また、デンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを組み合わせることで、エンタカポン錠剤の硬度を十分に高めることができる。
試験例1〜4で作製した錠剤について、エンタカポンの溶出性を以下の条件にて評価した。
試験液: 水
試験方法: パドル法
試験液の量: 900mL
試験液の温度: 37±0.5℃
回転数: 50回転
試験時間: 最大60分
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長 290nm)、(SPD−20A型 島津製作所社製)
カラム: 内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用フェニル化シリカゲルを充填
カラム温度: 25℃
移動相: 薄めたリン酸(1→100)/アセトニトリル混液(1:1)
本発明の医薬組成物は、通常、医薬組成物に許容可能なその他の成分を目的に応じて特に制限はなく適宜選択することができ、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、製剤分野において通常使用される賦形剤を添加することができる。賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、D−マンニトール、結晶セルロース、白糖、麦芽糖(マルトース)、果糖、ブドウ糖、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース等の糖類等を用いることができる。これらの賦形剤は、単独で又は複数組み合わせて使用することができる。本医薬組成物に用いる賦形剤としては、成形性という観点から、D−マンニトール及び結晶セルロースを用いることが好ましい。
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、カルメロースカルシウムとデンプングリコール酸ナトリウムとに加えて、医薬品成分として許容可能な崩壊剤を添加することができる。崩壊剤として、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、医薬品成分として許容可能な結合剤を添加することができる。結合剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポピドン、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、医薬品成分として許容可能な滑沢剤を添加することができる。滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、ステアリルフマル酸ナトリウム等が挙げられる。
本医薬組成物は、固形、半固形、液状、いずれの状態の製剤でもよい。より具体的には、錠剤、フィルムコート錠、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤等の経口投与剤であってもよいが、錠剤であることが好ましい。
本医薬組成物がフィルムコート錠である場合、フィルムコーティング基剤としては、例えば、水溶性フィルムコーティング基剤等を挙げることができる。水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー若しくはポリビニルピロリドンのような合成高分子;又は濃グリセリン等を挙げることができる。コーティング基剤は、1種単独でも、2種以上の組合せでもよい。
本医薬組成物は、単独では使用せず、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用することが好ましい。用量は、患者の重篤度、年齢にもよるが、成人1日あたりの投与量は、エンタカポンが100mg〜200mgとなる量である。
本医薬組成物の製造方法は、発明の効果を阻害しない限り特に制限されない。以下に、錠剤からなる医薬組成物の製造例を示す。錠剤は、湿式造粒法で製造され、第一混合工程、造粒工程、整粒工程、乾燥工程、第二混合工程、打錠工程を含み得る。
第一混合工程は、エンタカポンと賦形剤と崩壊剤とを混合して粉末顆粒を得る工程である。混合の方法としては、エンタカポンと賦形剤と崩壊剤とが混合される限り、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、練合、捏和、篩過、攪拌混合、流動層混合(噴霧)などが挙げられる。
これらの中でも、練合、攪拌混合、流動層混合が、エンタカポンと賦形剤と崩壊剤とを均一に混合できる点で好ましい。混合に用いる装置としては、例えば、攪拌造粒装置、高速攪拌造粒装置、流動層造粒装置などが挙げられる。
上述したように、粉末顆粒の製造に使用されるエンタカポンは、粒状形態であり、エンタカポン粒子の少なくとも90%が56μm以上の直径を有することが好ましく、エンタカポン粒子の少なくとも90%が80μm以上の直径を有することがさらに好ましい。
造粒工程は、第一混合工程で得られた粉末顆粒に対して、予め精製水に結合剤を溶解した結合液を投入し、撹拌混合して、造粒顆粒を得る工程である。造粒する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を選択することができる。
例えば、高速攪拌造粒機による攪拌造粒法、円筒造粒機、ペレッター等を使用する押出造粒法、スピードミル、パワーミル等を使用して湿潤捏和物を破砕する破砕造粒法、ミニマイザー、パワーニーダー、スピードミル、マルメライザー等を使用し、主として転動作用により造粒する転動造粒法、噴霧乾燥等の方法による流動層造粒法などが挙げられる。
乾燥工程は、造粒工程で得られた造粒顆粒を乾燥して乾燥顆粒を得る工程である。乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を選択することができる。例えば、送風乾燥、熱風乾燥などがあり、乾燥装置として、流動層乾燥機、フロイント、マルチプレックス、箱型熱風循環式乾燥機、棚型乾燥機などが挙げられる。
整粒工程は、乾燥工程で得られた乾燥顆粒を整粒し、整粒顆粒を得る工程である。整粒する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を選択することができる。
第二混合工程は、整粒工程で得られた整粒顆粒に、滑沢剤を添加して混合して混合顆粒を得る工程である。混合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、練合、捏和、篩過、攪拌混合、流動層混合(噴霧)などが挙げられる。これらの中でも、練合、攪拌混合、流動層混合が均一に混合できる点で好ましい。混合に用いる装置としては、例えば、容器回転型、攪拌造粒装置、高速攪拌造粒装置、流動層造粒装置などが挙げられる。
打錠工程は、第二混合工程で得られた混合顆粒を充填して圧縮成形して錠剤(素錠)を得る工程である。打錠の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、ロータリー打錠機、油圧プレス機、単発打錠機などが挙げられる。
打錠の際の打錠圧は、特に制限されるものではなく、用いる装置、原理、大きさ、主薬の種類等によって適宜調節することができる。上述したような装置を用いる場合には、例えば、打錠圧は300kgf以上2000kgf以下が好ましい。
打錠の際の温度は、本発明の効果が損なわれない特に制限されるものではない。本発明では、用いる糖類が溶解又は溶融しない程度に設定することが好ましく、通常室温(例えば、20〜30℃程度)で行えば十分である。
打錠工程によって得られた錠剤(素錠)をコーティングするために、コーティング工程を設けることもできる。コーティング工程は、打錠工程で得られた錠剤(素錠)に対して少なくとも1層のフィルムコーティングを設ける工程である。コーティングの方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われる。
表10に示すように、体積粒径D90が59μmのエンタカポン100.00mgとD−マンニトール59.20mgと結晶セルロース36.00mgとデンプングリコール酸ナトリウム20.00mgとカルメロースカルシウム74.50mgとをタンブラー型混合機(昭和化学機械工作所社製)に入れ、10分混合し、粉末顆粒を得た。
なお、ここでいうコーティング液とは、予めヒプロメロース11.45mgと濃グリセリン0.55mgとを精製水に入れ撹拌混合し、この液に対して、酸化チタン1.00mgと微量の三二酸化鉄及び黄色三二酸化鉄とを精製水に入れた液を加えて、撹拌混合した液をいう。
表10に示すように、D−マンニトールとデンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとの含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。
表10に示すように、D−マンニトールと結晶セルロースとカルメロースカルシウムとコーティング成分の各添加剤との含有量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。
表10に示すように、D−マンニトールと結晶セルロースとカルメロースカルシウムとコーティング成分の各添加剤との含有量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。
表10に示すように、比較例1は、カルメロースカルシウムのみを含有し、かつ、各添加剤の量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。
表10に示すように、比較例2は、デンプングリコール酸ナトリウムのみを含有し、かつ、各添加剤の量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。
表10に示すように、比較例3は、カルメロースカルシウムに代えてクロスカルメロースナトリウムを含有し、かつ、各添加剤の量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。
表10に示すように、比較例4は、エンタカポンを主薬とする先発製剤である市販の「コムタン(登録商標)錠100mg」(ノバルティスファーマ株式会社製)である。
「コムタン(登録商標)錠100mg」は、実施例1の成分に加えて、素錠成分としてポリソルベート80及び硬化油を含み、かつ、フィルムコート成分として白糖を含有する。
各実施例及び比較例で作製した錠剤について、溶出性、色調変化及び錠剤硬度を評価した。
実施例1〜4および比較例1〜4で得られたエンタカポン100mg錠剤について、下記の試験条件にて溶出性を評価した。
試験液: 水
試験方法: パドル法
試験液の量: 900mL
試験液の温度: 37±0.5℃
回転数: 50回転
試験時間: 最大60分
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長 290nm)、(SPD−20A型 島津製作所社製)
カラム: 内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用フェニル化シリカゲルを充填
カラム温度: 25℃
移動相: 移動相:薄めたリン酸(1→100)/アセトニトリル混液(1: 1)
また、デンプングリコール酸ナトリウムの含有量がエンタカポンに対して20重量%であり、かつ、カルメロースカルシウムの含有量がエンタカポンに対して70重量%以上含む実施例1及び4の錠剤は、60分後のエンタカポンの溶出率が68%以上であり、エンタカポンの溶出性がさらに高くなることが分かった。
一方、デンプングリコール酸ナトリウムもしくはカルメロースカルシウムのいずれか一つを含む比較例1及び2の錠剤は、60分後のエンタカポンの溶出率が60%未満であり、エンタカポンの溶出性が低いことが分かった。
また、デンプングリコール酸ナトリウムとクロスカルメロースナトリウムとを含む比較例3の錠剤と先発製剤の比較例4の錠剤は、60分後のエンタカポンの溶出率が60%以上であり、エンタカポンの溶出性が高いことが分かった。
実施例1〜4および比較例1〜4で得られたエンタカポン100mg錠剤を各々、密閉ガラス瓶に入れ、55℃75%RHの条件下で1ヶ月間保存し、保存前と保存後の錠剤の色調を測定した。色調は、カラーテスター(MODELSC−3 スガ試験機株式会社)を用いて測定し、各錠剤の色調パラメーター、L(明度)、a(色相)およびb(彩度)から下記数式1により色差を算出し、保存前後の色調変化を評価し
た。なお、ΔEは数値が大きくなるほど色調変化の度合いが大きいことを意味する。
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたエンタカポン100mg錠の素錠(コーティング前の錠)について、TABLET HARDNESS TESTER(TOYAMA社製)を用いて、錠剤硬度を測定した。錠剤硬度が6.0kg以上を○、6.0kg未満を×と評価した。測定結果を表13に示す。
Claims (3)
- エンタカポンまたはその塩と、デンプングリコール酸ナトリウムと、カルメロースカルシウムとを含有する、医薬組成物。
- 前記デンプングリコール酸ナトリウムの含有量が、前記エンタカポンまたはその塩に対して1重量%以上20重量%以下であり、かつ、前記カルメロースカルシウムの含有量が、前記エンタカポンまたはその塩に対して50重量%以上120重量%以下である請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が錠剤である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
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JP2013173760A (ja) * | 2005-06-08 | 2013-09-05 | Orion Corp | 経口投薬形態 |
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