JP2016187905A - 開閉装置 - Google Patents

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Yasuo Nishikawa
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Abstract

【課題】使用者の要求に応じて蓋体の閉塞速度を変更可能な開閉装置を提供する。
【解決手段】開閉装置は、本体と、本体に枢支されて閉塞位置と開放位置との間で回動可能な蓋体と、本体と蓋体との間に設けられたダンパ機構8とを備えている。ダンパ機構8は、本体に設けられた収納筒体5と、収納筒体5内に嵌められエアが充填されたシリンダ4と、蓋体の回動に合わせてシリンダ4内を摩擦を以て摺動するピストン3を有する。シリンダ4の側面の第1開口40と、収納筒体5の側面の第2開口50とが重複する部分の面積は、蓋体が自重で下降して、収納筒体5に対してシリンダ4が軸線方向の外方に位置する第1状態よりも、蓋体に自重以上の荷重が加えられて、ピストン3にて圧縮されたエア圧力が加わって、収納筒体5に対してシリンダ4が第1状態よりも軸線方向の内方に位置する第2状態の方が、大きくなるように構成されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、本体に対して接合部材を介して開閉可能に接合された蓋体を備えた開閉装置に関し、特に蓋体を本体に対して開閉する際に用いられるダンパ機構を備えた開閉装置に関する。
従来、本体と、この本体に対していわゆるヒンジ等の接合部材で開閉可能に接合された蓋体と、を備えた開閉装置が知られている。このような開閉装置では、使用者が蓋体を本体に対して手動で開閉するものがある。この場合、使用者にとって、蓋体は本体に対して速く開くことができ、閉じるときはゆっくりと閉じることができることが望ましい。使用者が蓋体を本体に対して開くときは、開閉装置の本体内部に速くアクセスする必要があると考えられるため、蓋体が本体に対して速く軽く開くことが望ましいのである。一方、使用者が蓋体を本体に対して閉じるときは、蓋体を勢いよく閉じた衝撃で開閉装置が損傷するのを防ぐため、蓋体が本体に対してゆっくり閉じることが望ましいのである。
そこで、使用者が蓋体を本体に対して手動で閉じる開閉装置において、蓋体が閉じる際の緩衝作用を蓋体に付与するダンパ機構を備えた開閉装置が知られている。かかるダンパ機構として、蓋体に連結したピストンを有底のシリンダに摺動自在に嵌めたエアダンパ機構がある。しかし、このようなエアダンパ機構では、本体に対して蓋体が閉じる直前、即ちピストンのストロークの終了付近でエアの圧縮量が大きくなることによってダンパ効果が大きくなる。その結果、使用者は蓋体を本体に対して閉じにくいという問題がある。この問題点を解決するため、例えば特許文献1には、シリンダの底部に弁体を設け、ピストンのストロークの終了付近でピストンの下端が弁体を押して開き、シリンダ内のエアを逃がす構成のダンパ機構が開示されている。この構成により、使用者が本体に対して蓋体を閉じる直前における蓋体の閉じにくさを改善することができる。
特開平1-307531号
ところで、使用者による開閉装置の使用状況を考えると、蓋体をゆっくり閉じてもよい場合と、蓋体を急いで閉じたい場合とがある。
しかしながら、特許文献1に記載のエアダンパ機構にあっては、ピストンのストローク終了付近に達するまでは、蓋体は相変わらず閉じにくいという問題点がある。すなわち、使用者は蓋体を急いで閉じたいという要求を持っているにも拘わらず、ピストンのストロークの終了付近に達するまでは、ダンパ効果が大きく、蓋体が閉じにくいとの問題は改善されていないのである。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、使用者の要求に応じて蓋体の閉塞速度を変更可能な開閉装置を提供することにある。
開閉装置は、本体と、この本体に枢支されて閉塞位置と開放位置との間で回動可能な蓋体と、前記本体と蓋体との間に設けられて伸縮し、蓋体の開閉速度を制御するダンパ機構とを備え、
このダンパ機構は、
前記蓋体又は本体の一方に設けられた収納筒体と、軸線方向に移動可能なようにこの収納筒体内に嵌められ、この収納筒体内に位置する端部を有底とし、流体が充填されたシリンダと、前記蓋体又は本体の他方に一端部が連結されて、前記蓋体の回動に合わせて前記シリンダ内を摩擦を以て摺動するピストンとを有し、
前記シリンダの側面には第1開口が設けられ、前記収納筒体の側面には前記第1開口に対して少なくとも部分的に重なる位置に第2開口が設けられ、前記第1開口と前記第2開口とが重複する部分の開口面積は、前記蓋体が自重で下降して、前記収納筒体に対して前記シリンダが軸線方向の外方に位置する第1状態よりも、前記蓋体に自重以上の荷重が加えられてこの蓋体が下降し、前記ピストンにて圧縮された流体の流体圧力が加わって、前記収納筒体に対して前記シリンダが前記第1状態よりも軸線方向の内方に位置する第2状態の方が、大きくなるように構成されている。
蓋体の開放位置から蓋体を自重で閉じる場合は、ピストンはシリンダと摩擦を以てシリンダ内を摺動し、第1開口と第2開口とが重なった第1状態にて、流体を収納筒体の外部に排出しながら、閉塞位置に達する。
蓋体の開放位置から蓋体に自重以上の荷重が加えられると、シリンダにはピストンとの摩擦の他に、ピストンによって圧縮された流体の流体圧力が加わる。この結果、第1状態から更にシリンダが押し込まれて第1開口と第2開口とが重なる面積が大きくなる第2状態となる。これにより、シリンダ内に充填されていた流体は、第1状態よりも多くの量が第1開口と第2開口とを通って収納筒体の外部に排出される。この結果、流体のダンパ効果が早く弱められる。従って、蓋体に自重以上の荷重が加えられた際にも、この荷重に対応してダンパ効果を弱めることができ、蓋体が素早く閉塞される。これにより、使用者の要求に応じて蓋体の閉塞速度を変更可能に設定することが出来る。
複合機の斜視図である。 プリンタ部の内部構造を示す概略図である。 (a)、(b)は、本体と蓋体の位置関係を示す側面図である。 ダンパ機構の分解図である。 収納筒体を図4のA方向から見た斜視図である。 シリンダの底部内部を、シリンダの側壁を一部破断して示す斜視図である。 (a)、(b)、(c)は、ピストン、シリンダ、収納筒体の位置関係を示す断面図である。 (a)、(b)は、シリンダと収納筒体を破断して弁体を示す斜視図である。 ロック機構の拡大斜視図である。 図9をB-B線を含む面にて破断し矢視した断面図である。 収納筒体の変形例を示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態に係る開閉装置として、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能等を備える所謂複合機を例示する。しかし、これは開閉装置を複合機に限定する意図ではない。
図1は、複合機100の斜視図である。複合機100は略直方体の本体1の上部に、一端部が枢支されて閉塞位置と開放位置との間を回動する蓋体2を備えている。本体1がインクジェット方式のプリンタ部9を構成し、蓋体2がスキャナ部20を構成する。
プリンタ部9は本体1の正面にトレイ用開口10を有し、このトレイ用開口10の内方下側に給送トレイ11を、内方上側に排出トレイ12を挿脱可能に設けている。以下の記載では、本体1にてトレイ用開口10が設けられている側を本体1の手前側(前面)として前後方向が定義され、本体1を手前側から見て左右方向が定義される。
給送トレイ11には記録媒体である複数枚の用紙P(図2参照)が未記録状態で収納され、排出トレイ12には後述する記録ヘッド90により画像や文字等が記録された用紙Pが収納される。
本体1の前面右側には、透明体又は半透明体からなる扉13が下端部を中心として回転自在に設けられている。本体1内にてこの扉13の内方には、用紙Pに印刷するためのインクが貯留されるタンク95(図2参照)が固定されている。タンク95は内部が左右に沿って4つの収納室(図示せず)に区分けされ、各収納室にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の色に対応したインクが貯留される。
図2は、プリンタ部9の内部構造を示す概略図である。給送トレイ11内の用紙Pは給送ローラ92によって1枚ずつ給送され、第1ローラ対93と第2ローラ対94によって排出トレイ12に送られる。第1ローラ対93と第2ローラ対94の間には、各色のインクを吐出する記録ヘッド90と、この記録ヘッド90の下方に位置して用紙Pを支持するプラテン91が設けられている。記録ヘッド90とタンク95の間には複数(本実施形態においては、上述したCMYKたる4色のインクに対応した4本)のチューブ96が接続され、タンク95から記録ヘッド90に各色のインクが供給される。搬送された用紙Pはプラテン91に支持されて、記録ヘッド90から吐出されるインクによって画像や文字等が記録された後に、排出トレイ12に排出される。
スキャナ部20は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されており、スキャナ部筐体20Aと、このスキャナ部筐体20Aに対して開閉可能な原稿カバー20Bとを備えている。スキャナ部筐体20Aの天面には、原稿が載置されるプラテンガラス(図示せず)が設けられ、このスキャナ部筐体20Aの天面内側には原稿に光を照射する発光部(図示せず)や、原稿の画像や文字を読み取るイメージセンサ(図示せず)が設けられている。原稿カバー20Bの下面には、プラテンガラス上に載置された原稿を押さえる原稿押さえ(図示せず)が設けられている。
図3(a)、(b)は、本体1と蓋体2の位置関係を示す側面図であり、(a)は蓋体2の開放位置を、(b)は蓋体2の閉塞位置を夫々示す。本実施形態にあっては、蓋体2の開閉動作に1つの特徴があるため、図3では図1に比して蓋体2と本体1とを簡略化して示す。
蓋体2は後端部が本体1の上部に枢軸2aによって枢支されて、閉塞位置と開放位置との間を回動可能に設けられている。蓋体2と本体1の間には、蓋体2の開放位置を維持する維持機構6が設けられている。この維持機構6は、前後方向に沿って本体1に開設された横穴62と、一端部が蓋体2に枢支されたアーム60とを備える。アーム60の他端部には、横穴62内を摺動可能に嵌まる案内軸61が設けられている。
図3(a)に示す蓋体2の開放位置にあっては、案内軸61が横穴62の前端部に位置して、アーム60がほぼ垂直に起立した姿勢となって、蓋体2が不用意に閉じることを防ぐ。即ち、蓋体2は開放位置にてロックされる。この蓋体2の開放位置から、使用者が蓋体2を下向きに押すと、蓋体2は枢軸2aを中心に下向きに回動する。それに伴って、案内軸61が横穴62内を後退し、図3(b)に示す閉塞位置に達する。蓋体2の閉塞位置にて案内軸61は横穴62の後端部に達する。
使用者が蓋体2を本体1に対して閉じる際には、蓋体2と本体1とに与える衝撃が小さくなるように、蓋体2が本体1に対してゆっくり閉じることが望ましい。そこで、複合機100には、蓋体2に緩衝作用を付与して、蓋体2の開閉速度を制御するダンパ機構8が設けられている。
ダンパ機構8は、大別して、収納筒体5と、シリンダ4と、ピストン3と、から構成されている。収納筒体5は円筒形状を有しており、有底の一端部が本体1に対して回動可能に連結され、且つその上面(他端部)は開口している。シリンダ4も円筒形状を有しており、収納筒体5の開口から収納筒体5内に有底の一端部が移動可能に嵌められ、且つその上面(他端部)は開口している。ピストン3は、その一端部が蓋体2に回動可能に連結されており、且つ他端部はシリンダ4の開口からシリンダ4内に嵌められている。そして、本体1に対する蓋体2の回動に合わせて、ピストン3は摩擦を以てシリンダ4内を摺動する。即ち、ダンパ機構8は、所謂エアダンパ機構である。シリンダ4の中心軸線と収納筒体5の中心軸線とは同じ軸線であり、この軸線が軸線Lである。
尚、図3(a)、(b)にあっては、前記の維持機構6及びダンパ機構8は蓋体2及び本体1の側面から露出して示される。しかし、これは図示の便宜の為であって、維持機構6及びダンパ機構8は蓋体2及び本体1の内側に設けられていてもよい。
図4は、ダンパ機構8の分解図である。ピストン3はピストンロッド30の一端部にゴム又は樹脂製のピストンリング31を嵌めて構成されている。ピストンロッド30がシリンダ4内を移動するとき、ピストンリング31は摩擦を以てシリンダ4の内壁を摺動する。シリンダ4の一端部側面には、軸線L方向に延びた長孔である第1開口40が開設され、一方、収納筒体5の側面には第1開口40に対して少なくとも部分的に重なる位置に、軸線L方向に延びた長孔である第2開口50が開設されている。第1開口40は軸線Lを挟んでシリンダ4の側面に2つ設けられ、第2開口50は軸線Lを挟んで収納筒体5の側面に2つ設けられている。第2開口50は収納筒体5の外部に連通しており、外部のエアが第2開口50を介してシリンダ4の第1開口40から流入し、収納筒体5内のエアがシリンダ4の第1開口40を介して第2開口50から流出する。
収納筒体5の内底部には圧縮バネ51が設けられている。後記の如く、圧縮バネ51は、蓋体2に自重以上の荷重が加えられた際にシリンダ4の外底面と収納筒体5の内底面との間で押圧されて圧縮変形される。即ち、圧縮バネ51は本発明における「弾性体」に相当する。なお、蓋体2が閉塞位置に達すると、圧縮バネ51は、シリンダ4を軸線Lに沿って押し返す。
第1開口40と第2開口50が正しく重なるためには、シリンダ4が収納筒体に対して軸線Lを中心として回転しないことが必要である。この対策として、以下の構成を設けている。
図5は、収納筒体5を図4のA方向、つまり斜め裏側から見た斜視図である。収納筒体5には、略L字形の挿入案内溝55が開設され、一方、シリンダ4の外面にはこの挿入案内溝55に嵌まる突起43(図4参照)が設けられている。挿入案内溝55は軸線Lに沿って延びた縦溝56と、この縦溝56の下端から収納筒体5の周方向に延びた横溝57と、この横溝57の端部から軸線Lに沿って上向きに延びた規制溝58とを連ねて形成されている。縦溝56の上端は、収納筒体5の上縁に開口しており、突起43は縦溝56の上端開口から挿入案内溝55に挿入される。
シリンダ4と収納筒体5を組み立てる際には、収納筒体5に圧縮バネ51を挿入した後に、シリンダ4と収納筒体5とを同軸上に配置し、シリンダ4の突起43を縦溝56の上端開口に位置合わせする。そして、シリンダ4を収納筒体5に対して押し込み、突起43を縦溝56の下端(横溝57の一端)にまで移動させる。次に、シリンダ4を軸線Lを中心に回転させ、突起43を横溝57の他端(規制溝58の下端)に移動させた後に、シリンダ4を収納筒体5に対して軸線L方向に沿って引き上げる。
このようにして、シリンダ4と収納筒体5が組み立てられる。そして、シリンダ4に外力が付与されていない場合、突起43は規制溝58の上端に位置する。一方、規制溝58の長さ寸法は、蓋体2を閉じる方向へ自重以上の外力が加わっても、突起43が規制溝58の下端に到達しない寸法に設定されている。
従って、蓋体2を開閉する際、突起43は規制溝58に沿う動きしか許されないから、シリンダ4が収納筒体に対して軸線Lを中心として回転することが規制される。また、規制溝58によってシリンダ4の軸線L方向の移動範囲が規制されるから、圧縮バネ51が圧縮され過ぎることも防止される。
図6は、シリンダ4の底部内部を、シリンダ4の側壁を一部破断して示す斜視図である。シリンダ4の底部には、エアが出入り可能な連通孔42が開設され、この連通孔42の側部には連通孔42を開閉する弁体41が上下回動可能に設けられている。シリンダ4内が正圧状態では弁体41はエア圧力によって下向きに付勢されて連通孔42を塞ぐ。シリンダ4内が負圧状態では弁体41は上向きに付勢されて、連通孔42を開放する。シリンダ4外方のエアは連通孔42を通ってシリンダ4内に入るから、シリンダ4内は正圧状態に近づく。
(蓋体を自重で閉じる場合)
使用者による複合機100の使用状況を考えると、蓋体2をゆっくり閉じてもよい場合と、蓋体2を急いで閉じたい場合とがある。蓋体2をゆっくり閉じる場合は、蓋体2を自重で閉じる。具体的には、使用者は開放位置にある蓋体2(図3(a)参照)を手で下向きに押し、維持機構6による蓋体2のロック状態を解除する。その後、使用者は蓋体2から手を離す。すると、蓋体2は自重で閉塞位置(図3(b)参照)に向けて移動する。
図7(a)、(b)は、蓋体2を自重にて閉じる場合のピストン3、シリンダ4、収納筒体5の位置関係を示す断面図である。図7(a)は蓋体2が開放位置から閉塞位置に向かう状態を示しており、蓋体2の下方への回動に伴ってピストン3が下降する。ピストン3はピストンリング31がシリンダ4の内壁と摩擦しながら下降し、シリンダ4内のエアが圧縮される。このときシリンダ4内は正圧状態であるから、弁体41は連通孔42(図6)を塞いでいる。蓋体2はエアが圧縮されることによる緩衝作用を受け、ゆっくりと閉塞位置に向かう。
シリンダ4は収納筒体5に対して軸線L方向の外方に位置しており、この状態を第1状態とする。また、シリンダ4と収納筒体5は、第1開口40と第2開口50とが部分的に重なるように位置している。このときの、第1開口40と第2開口50とが重なる面積をA1とする。蓋体2がゆっくりと閉塞位置に向かうことにより、エアが圧縮されるが、エアは面積A1である第1開口40と第2開口50とが重なる部分から少しずつ収納筒体5の外方に放出される。ピストン3の下降により、エアが圧縮され過ぎると、ダンパ効果が強くなり、却って蓋体2が閉じ難くなる。エアを少しずつ収納筒体5の外方に放出することによって、ダンパ機構8のダンパ効果を徐々に弱めて、この虞をなくしている。
蓋体2が閉塞位置に達すると、図7(b)に示すように、シリンダ4は収納筒体5に対して軸線L方向の外方に位置した第1状態のまま、ピストン3は最下位に達する。シリンダ4内のエアの放出が完了する。
(蓋体を自重以上の荷重で閉じる場合)
蓋体2を急いで閉じる場合は、使用者が蓋体2に自重以上の荷重を加える。ピストン3が急に下向きに押されるから、図7(a)に示す状態において、シリンダ4内のエアがピストン3により、急激に圧縮される。弁体41は前記と同様に、連通孔42を塞いでいる。シリンダ4にはピストン3との摩擦力に加えて、圧縮されたエアの圧力が加わる。即ち、シリンダ4は蓋体2を自重で閉じる場合以上に大きな圧力で、軸線L方向に収納筒体5の内方へ向けて押される。
蓋体2が閉塞位置に達する前に、シリンダ4は収納筒体5に対して第1状態よりも軸線L方向の内方に位置するように動く。この状態を第2状態とする。第2状態にあっては、図7(c)に示すように、第1開口40と第2開口50とが重なるが、この重なる面積A2は第1状態の場合の面積A1よりも大きい。第2状態では、シリンダ4にはピストン3との摩擦力に加えて、圧縮されたエアの圧力が加わるから、圧縮バネ51はシリンダ4の底部に押されて、一旦圧縮される。
また、第2状態では、第1状態よりも、第1開口40と第2開口50とが重なる面積が大きいから、第1状態よりも多くの量のエアが収納筒体5の外方に放出される。この結果、ダンパ機構8の緩衝効果が弱められ、蓋体2が素早く閉塞される。蓋体2が閉塞位置に達すると、シリンダ4内の圧縮されたエアの放出が完了し、このエアの圧力が解除されるから、シリンダ4は圧縮バネ51の弾性力によって第1状態と同じ高さ位置まで戻される。
なお、蓋体2が閉塞位置に到達する前に、蓋体2へ加えていた自重以上の荷重を解放した場合も、その後速やかに、圧縮バネ51の作用によってダンパ機構8は第2状態から第1状態へ変化する。これにより、第1開口40と第2開口50とが重なる部分の開口面積をA1に戻して、シリンダ4内からエアが排出され過ぎることを防いでいる。即ち、自重以上の荷重を解放した後のダンパ機構8のダンパ効果を担保している。
(蓋体を閉塞位置から開く場合)
蓋体2を開く場合、蓋体2の開動作に伴って、ピストン3も蓋体2に追従するように上方へ移動する。このときシリンダ4は、突起43が収納筒体5の規制溝58の上端に当接し、それ以上の外方への移動が制限される。その結果、ピストン3とシリンダ4とは引き離されるため、シリンダ4内が負圧となって、蓋体2を開けにくい場合がある。本実施形態ではこの虞を解消すべく、弁体41が以下のように動作する。
図8(a)、(b)は、シリンダ4と収納筒体5を破断して弁体41を示す斜視図であり、(a)は蓋体2を開放位置から閉じる場合を、(b)は蓋体2を閉塞位置から開く場合を夫々示している。蓋体2を開放位置から閉じる場合は、前記の如く、シリンダ4内が正圧になるから、図8(a)に示すように、弁体41は連通孔42を塞いでいる。これにより、連通孔42からのエアの放出はなくなり、所定のダンパ効果が担保される。
蓋体2を閉塞位置から開く場合は、ピストン3が引き出されて、シリンダ4内が負圧になるから、図8(b)に矢印Fで示すように、第2開口50から収納筒体5にエアが流入し、このエアは連通孔42を通って弁体41を押し上げて開く。これにより、シリンダ4内は正圧状態に近づき、蓋体2を閉塞位置から開放位置に動かす際の負荷を軽くすることができる。従って、蓋体2を閉じるときよりも軽い荷重で蓋体2を開くことが出来る。エアの流れを制限する構成(第1開口40、第2開口50、連通孔42等)を適宜設計することにより、蓋体2を閉じるときよりも軽い荷重で蓋体2を開くことのできる構成を実現することも可能である。
上記の記載では、維持機構6によって、蓋体2の開放位置を維持している。しかし、これに代えて、ピストン3とシリンダ4の間に、蓋体2の開放位置を維持するロック機構7が設けられてもよい。図9は、このロック機構7の拡大斜視図であり、図10は、図9をB-B線を含む面にて破断し矢視した断面図である。
シリンダ4の側面上端部には、取付孔72が開設され、ロック機構7は上下に延びてこの取付孔72の近傍に一端部が取り付けられたバネ片70を備えている。バネ片70の長手方向中央部は内向きに折曲されて、係止部71を構成し、この係止部71は取付孔72に弾性力を以て嵌まる。ピストンロッド30の側面にてピストンリング31の上側には、凹み32が開設されている。
蓋体2の開放位置では、係止部71が弾性力を以て凹み32に嵌まり、ピストンロッド30の下降を規制している。これにより、蓋体2の開放位置を維持する。蓋体2を閉塞位置に動かす際には、使用者は係止部71の弾性力に抗して蓋体2を下向きに押す。係止部71は凹み32の上面に押されて弾性変形して凹み32から脱出し、ピストンロッド30の下降を許す。これにより、蓋体2を閉じることが出来る。
上記構成では、シリンダ4内はエアによって充填させるとしたが、これに代えて、シリンダ4内をオイルで充填してもよい。即ち、ダンパ機構8はエアダンパ機構に代えて、オイルダンパ機構であってもよい。この場合、収納筒体5はオイルが外に漏れないように、図11に示すように、二重の筒状に構成する必要がある。即ち、収納筒体5は第1筒体52と、この第1筒体52の外側に位置して第1筒体52と同軸の第2筒体53を備えて構成される。第1筒体52に前記の第2開口50が開設されている。第1開口40と第2開口50とが重なることによって第1筒体52から流出するオイルは、第2筒体53の内側(第1筒体52と第2筒体53とに挟まれた筒状の空間)にて受けられて、オイルが収納筒体5の外に漏れることを防いでいる。尚、複合機100の振動時に、第2筒体53内からオイルが漏れないように、第2筒体53の上面にてピストンロッド30の通路以外の箇所(前記筒状の空間の上部)を封止すればよい。
ダンパ機構8が、所謂エアダンパ機構の場合は、複合機100全体の軽量化を達成しつつ、蓋体2の閉塞に対するダンパ効果を得ることが出来る。ダンパ機構8が所謂オイルダンパ機構の場合は、蓋体2に加えられる荷重が大きくとも、適正なダンパ効果を得ることが出来る。
(実施形態に係る構成の効果)
本実施形態に係る複合機100は、以下の技術的効果を有する。
1.蓋体2の開放位置から蓋体2を自重で閉じる場合は、ピストン3はシリンダ4と摩擦を以てシリンダ4内を摺動し、第1開口40第2開口50とが重なった第1状態にて、エアを収納筒体5の外部に排出しながら、閉塞位置に達する。
蓋体2の開放位置から蓋体2に自重以上の荷重が加えられると、シリンダ4にはピストン3との摩擦の他に、ピストン3によって圧縮されたエアの流体圧力が加わる。この結果、第1状態からシリンダ4が更に押し込まれて第1開口40と第2開口50とが重なる面積が大きくなる第2状態となる。これにより、シリンダ4内に充填されていたエアは、第1状態よりも多くの量が第1開口40と第2開口50とを通って収納筒体5の外部に排出される。この結果、エアのダンパ効果が早く弱められる。従って、蓋体2に自重以上の荷重が加えられた際にも、この荷重に対応してダンパ効果を弱めることができ、蓋体2が素早く閉塞される。これにより、使用者の要求に応じて蓋体2の閉塞速度を変更可能に設定することが出来る。
2.圧縮バネ51は蓋体2に自重以上の荷重が加えられている第2状態にてシリンダ4にて圧縮変形されるから、この蓋体2が閉塞位置に達すると、弾性力によりシリンダ4を押し戻す。これにより、自重以上の荷重が加えられた蓋体2が閉塞位置に達した後に、第1開口40と第2開口50とが重複する部分の開口面積を小さくして、シリンダ4内からエアが排出され過ぎることを防いでいる。即ち、第2状態以降のダンパ機構8のダンパ効果を担保している。
上記構成では、収納筒体5を本体1に、ピストンロッド30の一端部を蓋体2に設けているとしたが、収納筒体5を蓋体2に、ピストンロッド30の一端部を本体1に設けてもよい。また、収納筒体5に挿入案内溝55を、シリンダ4に突起43を設けているとしたが、これに代えて、収納筒体5に突起43を、シリンダ4に挿入案内溝55を設けてもよい。
更に、「弾性体」は圧縮バネ51に限らず、弾性力によって第2状態のシリンダ4を上向きに付勢するものであればよい。
本発明に係る開閉装置は、本体に対して接合部材を介して開閉可能に接合された蓋体を備えた開閉装置、特に蓋体を本体に対して開閉する際に用いられるダンパ機構を備えた開閉装置に用いると有用である。
1 本体
2 蓋体
3 ピストン
4 シリンダ
5 収納筒体
8 ダンパ機構
40 第1開口
50 第2開口
51 圧縮バネ

Claims (7)

  1. 本体と、
    この本体に枢支されて閉塞位置と開放位置との間で回動可能な蓋体と、
    前記本体と蓋体との間に設けられて伸縮し、蓋体の開閉速度を制御するダンパ機構とを備え、
    このダンパ機構は、
    前記蓋体又は本体の一方に設けられた収納筒体と、
    軸線方向に移動可能なようにこの収納筒体内に嵌められ、この収納筒体内に位置する端部を有底とし、流体が充填されたシリンダと、
    前記蓋体又は本体の他方に一端部が連結されて、前記蓋体の回動に合わせて前記シリンダ内を摩擦を以て摺動するピストンとを有し、
    前記シリンダの側面には第1開口が設けられ、前記収納筒体の側面には前記第1開口に対して少なくとも部分的に重なる位置に第2開口が設けられ、
    前記第1開口と前記第2開口とが重複する部分の開口面積は、
    前記蓋体が自重で下降して、前記収納筒体に対して前記シリンダが軸線方向の外方に位置する第1状態よりも、前記蓋体に自重以上の荷重が加えられてこの蓋体が下降し、前記ピストンにて圧縮された流体の流体圧力が加わって、前記収納筒体に対して前記シリンダが前記第1状態よりも軸線方向の内方に位置する第2状態の方が、大きくなるように構成されている、開閉装置。
  2. 前記収納筒体内には、前記蓋体に自重以上の荷重が加えられているときに、前記シリンダによって圧縮変形される弾性体が設けられた、請求項1に記載の開閉装置。
  3. 前記収納筒体の内面又は前記シリンダの外面の一方に設けられた規制溝と、他方に設けられた突部とを有し、
    前記規制溝は、前記突部に嵌合して、前記シリンダの軸線を中心とした回転を規制するとともに、前記収納筒体に対する前記シリンダの前記軸線方向の移動範囲を規定する、請求項1又は2に記載の開閉装置。
  4. 前記シリンダの底部には、連通孔が開設されるとともに、このシリンダ内の正圧状態にてこの連通孔を閉塞し、このシリンダ内の負圧状態にてこの連通孔の閉塞を開放する弁体が設けられた、請求項1乃至3の何れかに記載の開閉装置。
  5. 前記ピストンとシリンダの間には、前記蓋体の開放位置を維持するロック手段が設けられている、請求項1乃至4の何れかに記載の開閉装置。
  6. 前記蓋体と本体の間には、前記蓋体の開放位置を維持する維持機構が設けられている、請求項1乃至4の何れかに記載の開閉装置。
  7. 前記シリンダとピストンの他端部との間に充填される流体は、空気又はオイルである、請求項1乃至6の何れかに記載の開閉装置。
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