JP2016186951A - バナジウム固体塩電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止性を向上するとともに、内部抵抗を低減したバナジウム固体塩電池を提供する。
【解決手段】バナジウムを含有する第1の電極材及び第2の電極材と、2つの電極材を区画する隔膜と、電解液とを含む発電ユニットと、第1の電極材と接触する第1のシートと、第1のシートと面接触する第1の平板状導電材と、第2の電極材と接触する第2のシートと、第2のシートと面接触する第2の平板状導電材と、第1の平板状導電材及び第2の平板状導電材を覆う樹脂材と、第1のシートと第2のシートの間に隔膜を挟んで、第1の平板状導電材、第1のシート、発電ユニット、第2のシート及び第2の平板状導電材の少なくとも一部を圧接するように、樹脂材の周囲を接着した接着部を備え、第1の平板状導電材、第1のシート、発電ユニット、第2のシート及び第2の平板状導電材を樹脂材の内部に収容したバナジウム固体塩電池に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バナジウムを活物質として含む電解質を用いたバナジウム電池に関する。特に、正極又は負極に、固体状のバナジウム化合物を含むバナジウム固体塩電池(以下、「VSSB(Vanadium Solid-Salt Battery)」ともいう。)に関する。
二次電池は、デジタル家電製品のみならず、モーター動力を用いた電気自動車、ハイブリッド自動車にも広く使用される。このような二次電池の中で、レドックスフロー電池が知られている(特許文献1)。レドックスフロー電池は、バナジウムを活物質とする。レドックスフロー電池は、電解質溶液中において酸化還元(Reduction/Oxidation、レドックス)反応を生じる2組の酸化還元対(レドックス対)を利用して、イオンの価数変化によって充放電を行う。
レドックスフロー電池の酸化還元対は、+2価及び+3価の酸化状態のバナジウムイオン(V2+及びV3+)と、+4価及び+5価の酸化状態のバナジウムイオン(V4+及びV5+)が例示できる。レドックスフロー電池の一つの形態として、液流通型のレドックスフロー電池が例示できる。液流通型のレドックスフロー電池は、タンクに貯留していたバナジウムの硫酸溶液を液流通型セルに供給して充放電させる、大型電力貯蔵分野で使用されている。
液流通型のレドックスフロー電池は、正極活物質を含む電解液タンクと、負極活物質を含む電解液タンクと、充放電を行うスタックと、スタックに各電極用電解質溶液を供給するポンプとを有する。電解液は、タンクからスタックに送られ、タンクとスタックの間を循環する。スタックは、イオン交換膜を正極及び負極で挟んだ構造を有する。レドックスフロー電池は、正極及び負極において以下の反応を示す
正極:VO2+(aq)+HO⇔VO (aq)+e+2H (1)
負極:V3+(aq)+e⇔V2+(aq) (2)
式中、「⇔」は化学平衡を示す。本明細書において、「化学平衡」とは可逆反応の生成物の変化量と出発物質の変化量が合致した状態を意味する。また、イオンに付与された添示の(aq)は、そのイオンが溶液中に存在することを示す。本明細書中の他の式においても「⇔」及び「(aq)」は同様の意味である。
軽量小型で高出力性能を有するレドックス電池を得るために、電解液を循環させない液静止型レドックス電池が提案されている(特許文献2)。この液静止型レドックス電池は、電解液タンクを有していない。液静止型のレドックス電池は、正極電解槽と負極電解槽とを有する。この液静止型レドックス電池は、電解槽中に活物質であるバナジウムイオンを含む電解液と、例えば炭素粉末等の導電性物質とを充填した構造を有する。
その他に、バナジウム固体塩電池が提案されている(特許文献3)。バナジウム固体塩電池は、バナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンを含む析出物を担持させた集電体を含む。
米国特許4786567号公報 特開2002−216833号公報 国際公開2011/049103号
特許文献3に開示されているバナジウム固体塩電池は、軽量小型で高エネルギー密度の要求を満たす点で非常に有用である。このようなバナジウム固体塩電池は、少量の電解液を含むため、電解液の液漏れ等を生じることなく封止性を向上し、さらに内部抵抗を低減した電池が望まれている。
本発明は、電解液の液漏れ等を生じることなく封止性を向上するとともに、内部抵抗を低減したバナジウム固体塩電池を提供することを課題とする。
本発明1は、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する第1の電極材及び第2の電極材と、第1の電極材と第2の電極材を区画する隔膜と、電解液とを含む発電ユニットと、第1の電極材の少なくとも一部と接触する導電性かつ電解液非透過性の第1のシートと、前記第1のシートと面接触する第1の平板状導電材と、第2の電極材の少なくとも一部と接触する導電性かつ電解液非透過性の第2のシートと、前記第2のシートと面接触する第2の平板状導電材と、第1の平板状導電材及び第2の平板状導電材を覆う、電解液非透過性の樹脂材と、第1のシートと第2のシートの間に隔膜を挟んで、前記発電ユニットを構成する第1の電極材、第2の電極材及び隔膜を圧接するように前記第1のシートと第2のシートそれぞれの周囲と隔膜とを接着した第2の接着部とを備え、第1の平板状導電材、第1のシート、発電ユニット、第2のシート及び第2の平板状導電材を、前記樹脂材の内部に収容したことを特徴とするバナジウム固体塩電池に関する。
本発明2は、第1の平板状導電材、第1のシート、発電ユニット、第2のシート及び第2の平板状導電材の少なくとも一部を圧接するように、前記樹脂材の周囲を接着した第1の接着部を備えた、本発明1記載のバナジウム固体塩電池に関する。
本発明3は、第1のシート及び第2のシートの少なくとも一方が、導電性フィルム、シート状の導電性ゴム又はグラファイトシートである、本発明1又は2記載のバナジウム固体塩電池に関する。
本発明4は、第1の平板状導電材及び第2の平板状導電材の少なくとも一方が、アルミニウム板又は銅板である、本発明1乃至3のいずれかに記載のバナジウム固体塩電池に関する。
本発明のバナジウム固体塩電池は、電解液の液漏れを防止するとともに、電気伝導性を向上させて、内部抵抗を低減することができる。
バナジウム固体塩電池の一実施態様の概略構成を示す斜視図である。 図1のバナジウム固体塩電池の一部断面(I−I線断面)のイメージを示す図である。 バナジウム固体塩電池の他の実施態様の一部断面のイメージを示す図である。 バナジウム固体塩電池の他の実施態様の概略構成を示す斜視図である。 図4のバナジウム固体塩電池の一部断面(IV−IV線断面)のイメージを示す図である。
まず、図1及び図2を参照にして、バナジウム固体塩電池の概略構成について説明する。図1は、バナジウム固体塩電池の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のバナジウム固体塩電池の一部断面(I−I線断面)のイメージを示す図である。
図1に示すように、バナジウム固体塩電池1は、発電ユニット2を含む。発電ユニット2は、バナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンを含有する第1の電極材及び第2の電極材と、第1の電極材3と第2の電極材4を区画する隔膜5と、電解液(図示略)とを含む。
また、図1に示すように、バナジウム固体塩電池1は、電極材3の少なくとも一部と接触する導電性かつ電解液非透過性の第1のシート6を備える。また、バナジウム固体塩電池1は、第1のシート6と面接触する第1の平板状導電材7とを備える。バナジウム固体塩電池1は、電極材4の少なくとも一部と接触する導電性かつ電解液非透過性の第2のシート8を備える。また、バナジウム固体塩電池1は、第2のシート8と面接触する第2の平板状導電材9とを備える。さらに、バナジウム固体塩電池1は、第1の平板状導電材7と、第1のシート6と、発電ユニット2と、第2のシート8及び第2の平板状導電材9とをこの順序で配置して収容するための、2枚の電解液非透過性の第3のシート10a、10bを備える。第1のシート6と第2のシート8の間には、隔膜5を介在させる。隔膜5は、第1の電極材3及び第2の電極材4よりも面積が大きいものを用いることが好ましい。第1のシート6と第2のシート8の間には、第1の電極材3及び第2の電極材4から端部が突き出た隔膜5を介在させることができる。本明細書において、第1の平板状導電材7と、第1のシート6と、発電ユニット2と、第2のシート8及び第2の平板状導電材9とをこの順序で配置したものを「電池の部材」という。また、本明細書において、第3のシートは、電池の部材を収容する外装用のシートとしての機能を有し、例えば、発電ユニット2を覆う部材である。また、本明細書において、第3のシートが2枚のシートで構成されている場合であっても、同一名称の第3のシートという。なお、本明細書において、第3のシート以外の第1のシート、第2のシートは、1枚のシートについて、第1、第2のように、番号を付する。
第1の平板状導電材7は、一部を第3のシート10aより延長した外部接続用のリード部7aを備える。第2の平板状導電材9は、一部を第3のシート10bより延長した外部接続用のリード部9aを備える。
図2に示すように、バナジウム固体塩電池1は、2枚の第3のシート10a、10bの周囲を接着した接着部12を備える。バナジウム固体塩電池1は、周囲に接着部12を備えた2枚の第3のシート10a、10bの内部に電池の部材を収容した構造を有する。本明細書において、第3のシートの周囲を接着した接着部を第1の接着部という。
バナジウム固体塩電池1は、電解液を含む発電ユニット2が、周囲に接着部12を備えた2枚の第3のシート10a、10b内に収容されているため、電解液の液漏れを防止することができる。また、バナジウム固体塩電池1は、電解液を含む発電ユニット2が、隔膜5を介在させた第1のシート6及び第2のシート8の周囲に備えた接着部11によって、2重に封止されている場合には、封止性が向上し、電解液の液漏れを確実に防止することができる。本明細書において、隔膜5を介在させて第1のシート6及び第2のシート8を接着した接着部11を、第2の接着部という。第2の接着部は、第1のシート6、第2のシート8、第1の平板状導電材7及び第2の平板状導電材9を接着した接着部を含む。
バナジウム固体塩電池1は、周囲に接着部12を備えた2枚の第3のシート10a、10bの内部に第1の平板状部材7、第1のシート6、発電ユニット2、第2のシート8及び第2の平板状部材9がこの順序で収容される。バナジウム固体塩電池1は、周囲を接着した第1の接着部12を備える2枚の第3のシート10a、10bの内部に電池の部材が収容され、電池の部材が、隣り合う部材と圧接され、各部材間の電気伝導性が向上し、内部抵抗を低減することができる。電池の部材の中で隣り合う部材とは、第1の平板状導電材7及び第1のシート6、第1のシート6及び第1の電極材3、第1の電極材3と隔膜5、隔膜5と第2の電極材4、第2の電極材4及び第2のシート8、並びに、第2のシート8及び第2の平板状導電材9のいずれかの組み合わせをいう。
また、バナジウム固体塩電池1は、発電ユニット2と第1の平板状導電材7との間には、第1のシート6が介在されているため、発電ユニット2と第1の平板状導電材7とが直接接触しない。また、バナジウム固体塩電池1は、発電ユニット2と第2の平板状導電材9との間に第2のシート8が介在されているため、発電ユニット2と第2の平板状導電材9とが直接接触しない。バナジウム固体塩電池1は、電解液を含む発電ユニット2と、第1の平板状導電材7又は第2の平板状導電材9が直接接触しないため、電解液による平板状導電材の腐食を抑制することができる。このため、バナジウム固体塩電池1は、第1の平板状導電材7又は第2の平板状導電材9として、良導体である金属板を使用することができる。
次に、バナジウム固体塩電池1を構成する各部材について説明する。本明細書において、バナジウム固体塩電池とは、電極材に活物質を固体状の塩として析出させた電池をいう。バナジウム固体塩電池は、電池のSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液を含む。
〔発電ユニット〕
図2に示すように、発電ユニット2は、バナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンを含有する第1の電極材3及び第2の電極材4と、隔膜5と、電解液(図示略)を含む。隔膜5は、第1の電極材3と第2の電極材4を区画する。
[電極材]
電極材は、基材に、バナジウムをイオン又はバナジウムを含む陽イオンを活物質として含有する析出物を担持させたものである。電極材の基材は、多孔質の炭素材を用いることができる。
(炭素材)
電極材の基材として用いる多孔質の炭素材は、炭素繊維から構成された炭素フェルト、炭素繊維から構成された炭素シート、活性炭又はシート状のグラッシーカーボン等を用いることが好ましい。電極材の基材として用いる炭素材は、炭素繊維から構成された炭素フェルト又は活性炭を用いることがより好ましい。
炭素繊維から構成された炭素フェルトは、好ましくは直径10〜20μmの炭素短繊維からなるものである。また、炭素フェルトは、好ましくは目付200〜500g/m、より好ましくは250〜450g/m、さらに好ましくは300〜400g/mである。
活性炭は、好ましくは粒子状活性炭である。粒子状活性炭は、好ましくは、BET法による比表面積500〜5000m/g、tプロット法による全細孔容積0.1〜1mL/g、平均粒子径5〜20μmである。ここで、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定により測定される体積基準のメジアン径をいう。
(活物質)
活物質は、バナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンを含有する析出物であることが好ましい。活物質は、バナジウム化合物を含む溶液、半固体状物又は固体状物を、炭素材に塗布又は含侵させ、乾燥させることで、炭素材に析出物を担持させることができる。析出物は、溶液、半固体状物又は固体状物中のバナジウム化合物の濃度が溶解度を超えた段階で、炭素材に担持される。半固体状物とは、バナジウム化合物に硫酸水溶液を加えたスラリー状物や、バナジウム化合物にシリカ等を加えたゲル状物等が挙げられる。半固体状物又は固形状物は、炭素材に付着する程度の硬度又は粘度を有している状態のものであることが好ましい。塗布又は含侵させる方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。また、乾燥する方法としては、常圧で加熱する方法や、真空下で乾燥する方法が挙げられる。乾燥温度は、約20〜180℃で行うことが好ましく、常温以上に加熱する場合には、例えばホットプレート等を用いることができる。真空下で乾燥する場合には、好ましくは真空度が1×10Pa以下、より好ましくは真空度1×10Pa以下である。また、真空度の下限値は、特に限定されないが、1×10Pa以上であることが好ましい。真空下で乾燥する場合には、アスピレータや真空ポンプ等を用いることができる。
(負極用の活物質)
負極用の電極材に含まれるバナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンは、酸化還元反応によって、2価及び3価の間で酸化数が変化するバナジウムイオンであることが好ましい。2価及び3価の間で酸化数が変化するバナジウムイオンとしては、V2+(II)、V3+(III)が例示できる。
負極用の活物質として、炭素材に担持させるバナジウム化合物としては、硫酸バナジウム(II)(VSO・nHO)、硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。nは、0又は1〜6の整数を示す。
(正極用の活物質)
正極用の電極材に含まれるバナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンは、酸化還元反応によって、5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウムを含む陽イオンであることが好ましい。5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウムを含む陽イオンとしては、VO2+(IV)、VO (V)が例示できる。
正極用の活物質として、炭素材に担持させるバナジウム化合物としては、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)、酸化硫酸バナジウム(V)((VOSO・nHO)が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。nは、0又は1〜6の整数を示す。
[電解液]
発電ユニット2は、電解液を含む。電解液は、硫酸水溶液であることが好ましい。硫酸水溶液は、例えば硫酸の濃度が90質量%未満の希硫酸等を用いることができる。電解液は、電池のSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量を加える。電解液の量は、SOCが20〜80%まで取り得るのに過不足のない量であってもよい。電池がSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液とは、例えばバナジウム化合物100gに対して、2Mの硫酸70mLである。
[隔膜]
図2に示すように、発電ユニット2は、第1の電極材3と第2の電極材4を区画する隔膜5を備える。隔膜5は、第1の電極材3及び第2の電極材4よりも面積が大きいものであることが好ましい。隔膜5は、第1の電極材3及び第2の電極材4から突き出た隔膜5の端部が、第1の電極材3と第2の電極材の間に配置される。
隔膜は、水素イオン(プロトン)を通過させることができるものであれば、どのようなものを用いることも可能である。隔膜は、例えば多孔膜、不織布、又は水素イオンの選択的な透過が可能なイオン交換膜を用いることができる。多孔膜としては、例えばポリエチレン微多孔膜(旭化成社製)等が例示できる。また、不織布としては、例えばNanoBase(三菱製紙社製)等が例示できる。また、イオン交換膜としては、例えばSELEMION(登録商標)APS(旭硝子社製)等が例示できる。
発電ユニットは、負極及び正極において、次のような反応が生じる。
正極:VOX・nHO(s)⇔VOX・nHO(s)+HX+H+e (3)
負極:VX・nHO(s)+e⇔2VX・nHO(s)+X (4)
正極及び負極において生じる反応式において、Xは1価の陰イオンを表す。ただし、Xがm価の陰イオンであっても、結合係数(1/m)が考慮されるものとして理解しても良い。またここでは、「⇔」は平衡を意味するが、上記式において平衡とは可逆反応の生成物の変化量と出発物質の変化量が合致した状態を意味する。また、反応式において、nは様々な値をとりうることを示す。
〔第1のシート6又は第2のシート8〕
図2に示すように、バナジウム固体塩電池1は、発電ユニット2の第1の電極材3の少なくとも一部に接触するように、第1のシート6を備える。また、バナジウム固体塩電池1は、発電ユニット2の第2の電極材4の少なくとも一部と接触するように、第2のシート8を備える。第1のシート6又は第2のシート8の大きさは、特に限定されないが、発電ユニット2の電極材の面積と同じ大きさの面積であるか、発電ユニット2の電極材の面積以上の面積であることが好ましい。
第1のシート6又は第2のシート8は、導電性かつ電解液非透過性のものである。導電性かつ電解液非透過性のシート、導電性フィルム、シート状の導電性ゴム又はグラファイトシートであることが好ましい。導電性フィルムは、ポリピロールシート等が挙げられる。シート状の導電性ゴムは、例えば電解液に侵されることなく、電解液非透過性のゴム材に導電性材料を添加してシート状に成形したものが挙げられる。ゴム材としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。導電性材料としては、天然黒鉛、グラファイト粉末、炭素粉末、炭素繊維等が挙げられる。導電性ゴムとしては、例えばEC−A(信越シリコーン社製)等が挙げられる。グラファイトシートは、高分子フィルムを熱分解によりグラファイト化して得られるシートであり、例えば、PSGグラファイトシート(Panasonic社製)、グラフィニティ(登録商標)(カネカ社製)等が挙げられる。
第1のシート6又は第2のシート8の厚さは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは20〜50μmである。第1のシート6又は第2のシート8の厚さが100μm以下であると、発電ユニット2と平板状導電材との間にシートを介在させた場合であっても、発電ユニット2と平板状導電材との電気伝導性を低下させることがなく、内部抵抗を低減することができる。また、シートの厚さが100μm以下であると、電池の体積の増大を極力抑制して、電池の軽量小型化を実現することができる。
〔第1の平板状導電材7又は第2の平板状導電材9〕
図2に示すように、バナジウム固体塩電池1は、第1のシート6に面接触するように第1の平板状導電材7を備える。また、バナジウム固体塩電池1は、第2のシート8と面接触するように第2の平板状導電材9を備える。
第1の平板状導電材7又は第2の平板状導電材9は、発電ユニット2の電力を外部に導出する端子としての機能を有する。図1に示すように、第1の平板状導電材7は、第3のシート10aより延長されるリード部7aを備えることが好ましい。また、図1に示すように、第2の平板状導電材9は、第3のシート10bより延長されるリード部9aを備えることが好ましい。平板状導電材の大きさは、特に限定されない。平板状導電材は、リード部以外の部分の面積が、発電ユニットの電極材と同じ大きさの面積であるか、発電ユニットの電極材の面積以上の面積であることが好ましい。
平板状導電材は、金属板であることが好ましい。平板状導電材は、好ましくはアルミニウム板又は銅板である。平板状導電材の厚さは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは20〜50μmである。平板状導電材の厚さが100μm以下であると、電池の体積の増大を極力抑制して、電池の軽量小型化を実現することができる。
導電性かつ電解液非透過性のシートと、平板状導電材とは、一体となったものを用いてもよい。シートと平板状導電材が一体となったものとしては、例えば、平板状導電材に、導電性ゴムを塗布し、乾燥させて、平板状導電材と塗膜(シート)とが一体となったものを用いてもよい。また、シートと平板状導電材が一体となったものとしては、シート状に形成された導電性フィルム又は導電ゴムと、平板状導電材とを加熱圧着して、平板状導電材とシート(導電性フィルム又は導電性ゴム)が一体となったものを用いてもよい。
〔第3のシート10a、10b〕
図2に示すように、バナジウム固体塩電池1は、電池の部材を包む2枚の第3のシート10a、10bを備える。第3のシート10a、10bとして、例えば、1枚のシートが折り曲げられることで、第3のシート10a、10bが構成されても良い。折り曲げたシートの間に、例えば、発電ユニット2を介在させるようにして、シートの周囲が接着されてもよい。第3のシートは、樹脂を含む。樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン等が好ましい。第3のシートは、金属層と樹脂を含むシーラント層を含むラミネートフィルムを用いてもよい。第3のシートは、第1のシート又は第2のシートとは、異なる材料で形成されたものであることが好ましい。
バナジウム固体塩電池1は、第3のシート10a、10bの周囲に接着部12を備えたことによって、第3のシート10a,10bの内部に収容された第1の平板状導電材7、第1のシート6、発電ユニット2、第2のシート8及び第2の平板状導電材9の少なくとも一部が圧接される。
第3のシート10a、10bが樹脂を含む場合には、第3のシート10a、10bの内部に電池の部材を存在させた状態で、第3のシート10a、10bの周囲を加熱加圧し、第3のシート10a、10bに含まれる樹脂を溶融させる。これにより、第3のシート10a、10bの周囲を接着することができる。第3のシート10a、10bの周囲を加熱して接着部を形成する場合には、接着剤により接着する場合と比べて、各部材の位置ずれを少なくし、簡便に接着することができる。
第3のシート10a、10bがラミネートフィルムである場合には、次に例示する金属層及びシーラント層を有するものを使用することができる。
金属層を構成する金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、ステンレス、チタン、チタン合金等が挙げられる。金属層の厚さは、好ましくは5〜100μmである。金属層の厚さが5〜100μmであると、金属層にピンホール等を発生させることなく、良好な遮水性を保持することができる。
シーラント層に含まれる樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、変性ポリプロピレン、変性ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート及びアイオノマー樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。シーラント層に含まれる樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。シーラント層の厚さは、好ましくは5〜200μmである。シーラント層の厚さが5〜200μmであると、シール部分の気密性を損なうことなく、電池を薄型化することが可能である。
第3のシート10a、10bとしてラミネートフィルムを用いる場合には、少なくとも2つのシーラント層の間に金属層を配置した3層以上の構造であるものが好ましい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリエチレン層/アルミニウム層/ポリエチレンテレフタレート層の3層構造のもの、ポリプロピレン層/アルミニウム層/ポリエチレンテレフタレート層の3層構造のもの、アイオノマー樹脂層/アルミニウム層/ポリエチレンテレフタレート層の3層構造のものが挙げられる。
第3のシート10a、10bの厚さは、特に限定されないが、好ましくは15〜250μmであり、より好ましくは25〜200μmであり、さらに好ましくは50〜150μmである。第3のシートの厚さが15μm以上であると、強度が十分であり、第3のシートの内部に収容した電池を構成する部材を圧接することができる。また、第3のシートの厚さが250μm以下であると、電池の体積の増大を極力抑制して、電池の軽量小型化を実現することができる。
〔バナジウム固体塩電池〕
図2に示すように、バナジウム固体塩電池1は、第1のシート6と第2のシート8の間に隔膜5を挟んで、第1のシート6と第2のシート8とを接着剤で接着した第2の接着部11を備える。第2の接着部11は、第1のシート6と第2のシート8の周囲に形成されることが好ましい。隔膜5を介在させて第1のシート6と第2のシート8を接着した第2の接着部11を備えることによって、発電ユニット2は、第1のシート6と第2のシート8に圧接される。また、第1のシート6と第2のシート8の間に隔膜5を挟んで接着した接着部11を備えたことによって、各電極材に含まれる電解液が混ざり合うことなく、隔膜によって区画することができる。
バナジウム固体塩電池1は、第1のシート6と第1の平板状導電材7とを接着した接着部11を備える。さらに、バナジウム固体塩電池1は、第2のシート8と第2の平板状導電材9とを接着した第2の接着部11を備える。発電ユニット2と、隔膜5を介在させた第1のシート6及び第2のシート8と、第1の平板状導電材部材7と、第2の平板状導電部材8は、第2の接着部11によって、安定した状態で圧接される。第1の平板状導電材7の一部を延長したリード部7aは、第1のシート6の端部と接触する部分と接着した接着部を備えることが好ましい。また、第2の平板状導電材9の一部を延長したリード部9aは、第2のシート8の端部と接着させた接着部を備えることが好ましい。
バナジウム固体塩電池1は、第1のシート6と第2のシート8の周囲を接着した接着部11を備えたことによって、第1のシート6と第2のシート8と接着部11で発電ユニット2を封止し、発電ユニット2に含まれる電解液の液漏れを確実に防止することができる。
接着部を構成する接着剤は、特に限定されないが、絶縁性のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、酸変成オレフィン樹脂、熱硬化性樹脂を含む接着剤が挙げられる。熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
バナジウム固体塩電池1は、2枚の第3のシート10a、10bの周囲の接着部12を備える。バナジウム固体塩電池1は、2枚の第3のシート10a、10bの周囲に備えた接着部によって、2枚の第3のシート10a、10bの内部に収容された第1の平板状導電材7と、第1のシート6と、発電ユニット2と、第2のシート8と、第2の平板状導電材9は、互いに圧接される。これにより、各部材間の電気伝導性を向上させて、内部抵抗を低減することができる。
図1又は図2に示すバナジウム固体塩電池1の一実施態様において、単一の発電ユニット2を第3のシート10a、10bに収容した構造を示したが、バナジウム固体塩電池1は、単一の発電ユニット2を収容する態様に限定されない。例えば、バナジウム固体塩電池1は、複数の発電ユニット2を第3のシート10a、10bに収容した構造であってもよい。例えば、2つの発電ユニットを収容したバナジウム固体塩電池1は、第1の平板状導電材、第1のシート、発電ユニット、第2のシート、第2の平板状導電材、第4のシート、第2の発電ユニット、第5のシート、第3の平板状導電材を、この順序で配置し、これらを電池の部材を第3のシートの内部に収容してもよい。第3の平板状導電材は、アルミニウム板又は銅板であることが好ましい。第4のシート及び第5のシートは、第1のシート又は第2のシートと同様に、導電性フィルム、シート状の導電性ゴム又はグラファイトシートであることが好ましい。第1のシート〜第5のシートの構成を以下に記載する。
第1のシート:導電性かつ電解液非透過性のシート
第2のシート:導電性かつ電解液非透過性のシート
2枚の第3のシート:電解液非透過性のシート
第4のシート:導電性かつ電解液非透過性のシート
第5のシート:導電性かつ電解液非透過性のシート
図3は、バナジウム固体塩電池1の他の実施態様の一部断面のイメージを示す図である。図3に示すように、バナジウム固体塩電池1は、一枚のシートを二つ折りにした折り曲げ部10cを有する第3のシート10で、第3のシート10の間に介在させた第1の平板状導電材7と第2の平板状導電材9を覆い、折り曲げ部10c以外の3辺の第3のシート10の周囲を接着した第1の接着部12を備える。図3に示すように、バナジウム固体塩電池1は、一枚の第3のシート10を折り曲げて、折り曲げた第3のシート10の内部に電池の部材を介在させ、第3のシート10の周囲に第1の接着部12を備える。バナジウム固体塩電池1は、単一の発電ユニットを収容する態様に限定されず、複数の発電ユニットを収容してもよい。
図4は、他の実施態様のバナジウム固体塩電池1の概略構成を示す斜視図である。図5は、図4のバナジウム固体塩電池の一部断面(IV−IV線断面)のイメージを示す図である。バナジウム固体塩電池1は、一体となった第1の平板状導電材7及び第1のシート6と、一体となった第2の平板状導電材9及び第2のシート8を用いた例である。バナジウム固体塩電池1は、第1のシート6及び第2のシート8を構成する樹脂として、熱によって溶融し硬化することによって、接着する樹脂を用いた例である。図5に示すように、一体となった第1の平板状導電材7及び第1のシート6と、一体となった第2の平板状導電材9及び第2のシート8との間に、発電ユニット2の隔膜5を間に配置させて、第1のシート6と第2のシート8とを加熱接着した第2の接着部11を備える。
また、図4又は図5に示すように、バナジウム固体塩電池1は、一体となった第1の平板状導電材7及び第1のシート6と、一体となった第2の平板状導電材9と第2のシート8の外側に、2枚の第3のシート10d、10eを配置し、2枚の第3のシート10d、10eの周囲を接着した第1の接着部12を備える。バナジウム固体塩電池1は、2枚の第3のシート10d、10eの内部に電池の部材を収容した構造を有する。
次に、バナジウム固体塩電池の製造方法について説明する。
〔バナジウム固体塩電池の製造方法〕
バナジウム固体塩電池1の製造方法は、まず、バナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンを含有する第1の電極材3及び第2の電極材4と、第1の電極材3と第2の電極材4を区画する隔膜5と、電解液とを含む発電ユニット2を準備する。隔膜5は、第1の電極材3及び第2の電極材4よりも面積が大きいものを用いることが好ましい。
次に、発電ユニット2の一方の電極材の少なくとも一部と接触するように導電性かつ電解液非透過性の第1のシート6を配置する。次に、第1のシート6と面接触するように第1の平板状導電材7を配置する。次に、他方の電極材の少なくとも一部と接触するように導電性かつ電解液非透過性の第2のシート8を配置する。次に、第2のシート8と面接触するように第2の平板状導電材9を配置する。このようにして、第1の平板状導電材7、第1のシート6、発電ユニット2、第2のシート8、第2の平板状導電材9を、この順序で配置した電池の部材を準備する。発電ユニット2の隔膜5は、第1のシート6と第2のシート8の間に配置する。
次に、第1のシート6と隔膜5と第2のシート8とを接着剤を用いて接着し、第2の接着部11を形成する。熱硬化性樹脂を含む接着剤を用いる場合には、140〜200℃に加熱して接着することが好ましい。熱可塑性樹脂を含む接着剤を用いる場合には、140〜200℃に加熱して接着することが好ましい。また、第1のシート6及び第2のシート8は、隔膜5を介在させた状態でヒートシール法により第2の接着部11を形成してもよい。ヒートシール法で接着部を形成する場合は、140〜200℃の温度で接着することが好ましい。接着時の加熱温度が、140〜200℃であると、加熱による収縮等の影響をシートに与えることなく接着することができる。また、接着時の加熱温度が200℃以下であると、加熱により電解液を沸騰させる等の影響を発電ユニットに与えることなく接着することができる。
次に、第1の平板状導電材7と第2の平板状導電材9を覆うように第3のシート(第3のシート10a、10b、または、第3のシート10を配置する。最後に、電池の部材を内部に収容するように、第3のシートの周囲を接着して第1の接着部12を形成する。第3のシートとしてラミネートフィルムを使用する場合には、例えばヒートシール法等の加熱加圧を行うことよって接着することができる。
電池の部材を収容する外装材として、プラスチック等のセルケースを用いることなく、加熱加圧による接着が可能な第3のシートを用いることによって、電池の部材を内部に収容した状態で、容易に第3のシートの周囲に接着部を形成することができる。第3のシートの周囲に加熱加圧によって接着部を形成する場合には、煩雑な工程を経ることなく、電池を製造することができる。
次に実施例により本発明の具体的態様を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(電極材)
炭素材は、目付330g/m、厚さ4.2mm、大きさ(縦2cm、横2cm)の市販の炭素フェルトを用いた。
(負極用の析出用溶液)
硫酸バナジル(IV)・nHO(VOSO・nHO)に硫酸を加えて1Lとしたものを撹拌し、この溶液をビーカー型セルに移した。ビーカー型セルに作用電極として白金板を設置し、隔膜5としてイオン交換膜(旭硝子社製、SELEMION(登録商標)APS)を設置した。ビーカー型セルに移した溶液をアルゴン(Ar)ガスでバブリングした。Arガスでバブリングを続けながら溶液の温度を15℃に保持し、溶液に1Aの定電流を流し、電解還元を5時間行った。その後、溶液をビーカー型セルからシャーレに移した。次いで、溶液を空気中に12時間放置した。放置後、溶液の色が紫色から緑色に完全に変わったことを目視で確認した。その後、室温(約20℃±5℃)、減圧(真空度1.0×10Pa以下)状態で、溶液を1週間乾燥させて、硫酸バナジウム(III)・nHO((V(SO含有率:57.1%)854g(V(SO:488g、2.5mol)を得た。得られた硫酸バナジウム(III)・nHO(V(SO・nHO)に2M硫酸を加えて1Lとしたものを撹拌し、負極用の析出用溶液とした。
(負極用の電極材)
炭素材4cm当たり2.5Mの硫酸バナジウム(III)・nHOを含む負極用の析出用溶液を4mL含浸させた。負極用の析出溶液を含浸後の炭素材を、60℃、0.01MPaの条件で、1時間、乾燥させた。乾燥後、2価及び3価の間で酸化数が変化するバナジウムイオンを含む析出物を担持した負極用(第1)の電極材を得た。第1の電極材に担持した析出物の量は、0.61g/cmであった。
(正極用の析出用溶液)
硫酸バナジル(IV)・nHO(VOSO・nHO)(VOSO含有率:72%)566g(VOSO:408g、2.5mol)に2M(2mol/L)の硫酸を加えて1Lとしたものを撹拌し、正極用の析出用溶液とした。
(正極用の電極材)
炭素材4cm当たり2.5Mの硫酸バナジウム(III)・nHOを含む正極用の析出用溶液を4mL含浸させた。負極用の析出溶液を含浸後の炭素材を、60℃、0.01MPaの条件で、1時間、乾燥させた。乾燥後、4価及び5価の間で酸化数が変化するバナジウムイオンを含む析出物を担持した正極用(第2)の電極材を得た。第2の電極材に担持した析出物の量は、1.0g/cmであった。
(隔膜5)
隔膜5は、イオン交換膜 SELEMION(登録商標)APS(旭硝子社製)、大きさ(縦2.5cm、横2.5cm)を用いた。
(発電ユニット2)
第1の電極材3と第2の電極材4の間に隔膜5を配置し、発電ユニット2とした。
(第1のシート6又は第2のシート8)
グラファイトシート(商品名:グラフィニティ(登録商標)、型番:XGX−040、カネカ社製)、厚さ40μm、大きさ(縦2.5cm、横2.5cm)を用いた。
(第1の平板状導電材7又は第2の平板状導電材9)
銅板(商品名:圧延銅箔、型番:C1100R、三井住友金属鉱山伸銅社製)、厚さ10μmn、第1のシート6又は第2のシート8と面接触する部分の大きさ(縦2.5cm、横2.5cm)、延長部の大きさ(縦2.0cm、横0.5cm)を用いた。
(接着剤)
アイオノマー樹脂(商品名:ハイミラン、三井デュポンポリケミカル社製)を用いた。
(第3のシート)
シーラント層(ポリプロピレン)/金属層(アルミニウム)/保護層(ポリエチレンテレフタレート)の3層構造のラミネートフィルムを用いた。シーラント層の厚さは50μm、金属層の厚さ10μm、ラミネートフィルム全体の厚さ70μmである。第3のシートの大きさは、縦3.0cm、横3.0cmである。
(実施例1)
図1に示すように、バナジウム固体塩電池1は、第1の電極材3と、第2の電極材4と、第1の電極材3と第2の電極材4を区画する隔膜5とを含む発電ユニット2を備える。まず、バナジウム固体塩電池1を製造するために、第1の平板状導電材7、第1のシート6、第1の電極材3、隔膜5、第2の電極材4、第2のシート8、第2の平板状導電材9をこの順序で配置した。第1のシート6と、第2のシート8との間に隔膜5を介在させて第1のシート6と第2のシート8を接着剤で接着した。接着剤で第1のシート6と第2のシート8を接着した第2の接着部11は、発電ユニット2を間に介在させて、第1のシート6と第2のシート8の一部が開放されて袋状になるように形成した。第1のシート6と第2のシート8の内部に存在する発電ユニット2に、電解液として、2Mの硫酸を0.6mL加えた。電解液を加えた後、開放している第1のシート6と隔膜5と第2のシート8を接着剤で接着し、第1のシート6と第2のシート8の周囲に接着部11を形成した。さらに、第1のシート6と第1の平板状導電材7を面接触させて、第1のシート6と第1の平板状導電材7を接着剤で接着した。また、第2のシート8と第2の平板状導電材9を面接触させて、第2のシート8と第2の平板状導電材9を接着剤で接着した。バナジウム固体塩電池1の第2の接着部11は、接着剤によって接着された部分である。次に、ラミネートフィルムからなる2枚の第3のシート10a、10bを準備した。第3のシート10aを第1の平板状導電材7に接触するように配置した。また、第3のシート10bを第2の平板状導電材9に接触するように配置した。2枚の第3のシート10a、10bの周囲を加熱加圧して、2枚の第3のシート10a、10bの周囲をヒートシール法によって融着し、第1の接着部12を形成した。加熱温度は、150℃であり、加熱加圧時間は、0.5分である。また、加熱加圧は、2枚の第3のシート10a、10bの周囲を熱板で挟むことによって行った。バナジウム固体塩電池1の第1の接着部12は、2枚の第3のシート10a、10bが融着された部分である。バナジウム固体塩電池1は、周囲に第1の接着部12を備えた2枚の第3のシート10a、10bの内部に、電池の部材を収容したものである。電池の部材は、第1の平板状導電材7、第1のシート6、発電ユニット2、第2のシート8及び第2の平板状導電材9をこの順序で配置したものである。バナジウム固体塩電池1は、2枚の第3のシート10a、10bの周囲に備えた第1の接着部12によって、第1の平板状導電材7、第1のシート6、発電ユニット2、第2のシート8及び第2の平板状導電材9の少なくとも一部が圧接される。第1の接着部を形成する前の第3のシート10a、第1の平板状導電材7、第1のシート6、第1の電極材3、隔膜4、第2の電極材5、第2のシート8、第2の平板状導電材9、第3のシート10bを積層した厚さは6.5mmであった。2枚の第3のシート10a、10bの周囲に接着部12を備えたバナジウム固体塩電池1は、面積9cm、厚さ6.6mm、質量6.4gであった。
(比較例1)
バナジウム固体塩電池は、外装材として外形寸法40×40×3mmの塩化ビニル製の2枚の板と、電極材を配置するための20×20mmの大きさ塩化ビニル製の2つの枠とを備える。バナジウム固体塩電池の正極体と負極体とは、次のように製造される。正極体は、第1の塩化ビニル製板の上に第1の平板状導電材と第1のシートとをこの順序で積層した。さらに正極体は、第1のシートの上に第1の塩化ビニル製枠を配置し、枠の中に実施例1で用いた正極用の導電材を配置して作製した。負極体は、まず、第2の塩化ビニル製板の上に第2の平板状導電材と第2のシートとをこの順序で積層した。さらに負極体は、第2のシートの上に第2の塩化ビニル製枠を配置し、枠の中に実施例1で用いた負極用の導電材を配置して作製した。正極体及び負極体は、電解液として2M硫酸0.6mlを各導電材に加えた。正極体と負極体は、正極体の導電材と負極体の導電材との間に隔膜を配置し、重ね合せた。バナジウム固体塩電池は、重ね合わされた正極体の第1の塩化ビニル製板と負極体の第2の塩化ビニル製板とをねじを使用して接合し、組み立てた。バナジウム固体塩電池は面積16cm、厚さ12mm、質量25gであった。
バナジウム固体塩電池の電気抵抗(Ω・cm)を、交流インピーダンス法(印加電圧
0.005V、測定周波数0.01Hz〜1MHz)により測定した。
Figure 2016186951
(結果の考察)
表1に示すように、実施例1のバナジウム固体塩電池1は、比較例1のバナジウム固体塩電池と比較して、電気抵抗が低減した。この結果から、実施例1のバナジウム固体塩電池1は、第3のシートの周囲に第1の接着部を備えたことによって、第3のシートの内部に収容された第1の平板状導電材7、第1のシート6、発電ユニット2、第2のシート8及び第2の平板状導電材9が、隣接する部材に圧接され、電気伝導性が向上し、内部抵抗が低減した。
実施例1のバナジウム固体塩電池1は、電解液等の液漏れは確認されなかった。この結果から、実施例1のバナジウム固体塩電池1は、周囲に第1の接着部を備えた第3のシートの内部に電解液を含む発電ユニット2を収容したため、封止性が向上し、電解液の液漏れを防止することができた。なお、比較例1のバナジウム固体塩電池にも、電解液等の液漏れは確認されなかった。
実施例1のバナジウム固体塩電池1は、セルの大きさに限定されることなく、軽量小型化、薄型化することができた。
また、実施例1のバナジウム固体塩電池1は、第3のシートとしてラミネートフィルムを用いたことで、周囲を加熱加圧することによって、第3のシートの周囲を融着させて第1の接着部を形成することができ、製造が容易であった。
本発明のバナジウム固体塩電池は、封止性を向上し、電解液の液漏れを防止することができる。また、本発明のバナジウム固体塩電池は、各部材間の電気伝導性を向上させて、内部抵抗を低減することができる。本発明のバナジウム固体塩電池は、軽量小型、薄型に成形することができる点で非常に有用である。また、バナジウム固体塩電池は、軽量かつ堅牢な製品実装が可能である。さらに、バナジウム固体塩電池は、大型電力貯蔵分野のみならず、パーソナルコンピュータ、個人用携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、デジタルメディアプレーヤー、デジタルレコーダ、ゲーム、電化製品、車両、無線装置、携帯電話等に広く用いることができ、産業上有用である。
1 バナジウム固体塩電池
2 発電ユニット
3 第1の電極材
4 第2の電極材
5 隔膜
6 第1のシート
7 第1の平板状導電材
8 第2のシート
9 第2の平板状導電材
10、10a、10b、10d、10e 第3のシート
10c 一枚の第3のシートの折り曲げ部
11 第2の接着部
12 第1の接着部

Claims (4)

  1. バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する第1の電極材及び第2の電極材と、第1の電極材と第2の電極材を区画する隔膜と、電解液とを含む発電ユニットと、
    第1の電極材の少なくとも一部と接触する導電性かつ電解液非透過性の第1のシートと、
    前記第1のシートと面接触する第1の平板状導電材と、
    第2の電極材の少なくとも一部と接触する導電性かつ電解液非透過性の第2のシートと、
    前記第2のシートと面接触する第2の平板状導電材と、
    第1の平板状導電材及び第2の平板状導電材を覆う、電解液非透過性の樹脂材と、
    第1のシートと第2のシートの間に隔膜を挟んで、前記発電ユニットを構成する第1の電極材、第2の電極材及び隔膜を圧接するように前記第1のシートと第2のシートそれぞれの周囲と隔膜とを接着した第2の接着部とを備え、
    第1の平板状導電材、第1のシート、発電ユニット、第2のシート及び第2の平板状導電材を、前記樹脂材の内部に収容したことを特徴とするバナジウム固体塩電池。
  2. 第1の平板状導電材、第1のシート、発電ユニット、第2のシート及び第2の平板状導電材の少なくとも一部を圧接するように、前記樹脂材の周囲を接着した第1の接着部を備えたことを特徴とする請求項1記載のバナジウム固体塩電池。
  3. 第1のシート及び第2のシートの少なくとも一方が、導電性フィルム、シート状の導電性ゴム又はグラファイトシートである、請求項1又は2記載のバナジウム固体塩電池。
  4. 第1の平板状導電材及び第2の平板状導電材の少なくとも一方が、アルミニウム板又は銅板である、請求項1乃至3のいずれかに記載のバナジウム固体塩電池。
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