JP2016185935A - クオラムセンシング制御用樹脂粒子、及びクオラムセンシングの制御方法 - Google Patents

クオラムセンシング制御用樹脂粒子、及びクオラムセンシングの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オートインデューサーをトラップできるクオラムセンシング制御用樹脂粒子、及びクオラムセンシング制御方法を提供する。
【解決手段】オートインデューサーを取り込むための収容部を形成可能な重合体を含み、前記重合体が少なくとも1つの疎水性部分と少なくとも1つの親水性部分を有することを特徴とする、クオラムセンシング制御用樹脂粒子、又は、微生物周囲に上記クオラムセンシング制御用樹脂粒子を存在させることによってクオラムセンシングを制御することを特徴とするクオラムセンシングの制御方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、微生物間情報伝達機構のひとつである、グラム陰性細菌のクオラムセンシングを制御するクオラムセンシング制御用樹脂粒子、及びクオラムセンシングの制御方法に関する。
クオラムセンシングは、細胞密度依存性の遺伝子発現機構である。クオラムセンシングは、例えば、バイオフィルム形成、日和見感染症の病原性因子の生産、活性汚泥菌叢における硝化過程や脱窒過程の促進等、同一のメカニズムで多様な微生物機能を制御する。したがって、多様な微生物機能を制御するためにクオラムセンシングを制御する方法が提案されている。例えば、非特許文献1〜2及び特許文献1〜2には、クオラムセンシングを阻害する方法が提案されている。
非特許文献1には、グラム陰性細菌のクオラムセンシングにおいて、シグナル伝達物質として合成されるオートインデューサーであるN−アシル−L−ホモセリンラクトン(AHL)を、ヒドロゲルによって固定化したシクロデキストリンに吸着させて、クオラムセンシングを抑制する方法が提案されている。シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等を用いている。
特許文献1には、所定の置換基で修飾したシクロデキストリン誘導体によってAHLを再現性よく、高い選択率でトラップし、クオラムセンシングを阻害する方法が提案されている。
特許文献2には、イタコン酸、架橋剤(EGDMA)及び1,1−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)を含むイタコン酸系の高分子化合物によってAHLを吸着させ、クオラムセンシングを阻害する方法が提案されている。
非特許文献2には、AHLをトラップすることでクオラムセンシングを抑制する共重合ポリマーについて開示されている。
特開2009−280736号公報 国際公開第2008/087454号
N.Kato,T.Morohoshi,H.Matsumoto,T.Tanaka,and T.Ikeda,"Regulation of Quorum Sensing in Serratia marcescens by Adsorption of N−Acylhomoserine Lactones on Cyclodextrin Immobilized Gel"Trans.Mater.Res.Soc.Jpn.,30,815−818,2005
E.Cavaleiro,A.S.Duarte,A.C.Esteves, A.Correia,M.J.Whitcombe,E.V.Piletska,S.A. Piletsky,I. Chianella "Novel Linear Polymers Ableto Inhibit Bacterial Quorum Sensing"Macromol. Biosci. 2015, DOI: 10.1002/mabi.201400447
非特許文献1〜2及び特許文献1〜2で提案された技術では、グラム陰性細菌のクオラムセンシングを効率よく阻害するために、高濃度の、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、イタコン酸系の高分子化合物等の水溶液を用いて、グラム陰性細菌に阻害剤を効率よく接触又は作用させなければならないという課題がある。しかしながら、未だ、簡易に製造できる組成物を用いたクオラムセンシングを効率よく制御できる方法の需要があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、グラム陰性細菌等のクオラムセンシングを効率よく制御することができる樹脂粒子及びクオラムセンシングの制御方法を提供することにある。
本発明は以下の特徴を有する。
(1)オートインデューサーを取り込むための収容部を形成可能な重合体を含み、前記重合体が少なくとも1つの疎水性部分と、少なくとも1つの親水性部分を有することを特徴とする、クオラムセンシング制御用樹脂粒子。
(2)前記重合体が前記疎水性部分を含むモノマーと前記親水性部分を含むモノマーとを共重合して得られるものであって、その共重合割合が、モル比において、前記親水性部分を含むモノマーの方が前記疎水性部分を含むモノマーよりも多いことを特徴とする、(1)に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
(3)前記親水性部分を含むモノマーと前記疎水性部分を含むモノマーの共重合割合が、モル比において、親水性モノマー/疎水性モノマー=99/1〜80/20であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
(4)前記疎水性部分を含むモノマーが、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及びステアリルアクリレートからなる群から選択され、前記親水性部分を含むモノマーが、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択されることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
(5)前記重合体がセルロース誘導体であることを特徴とする、(1)に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
(6)さらに、前記オートインデューサーを有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
(7)微生物の周囲に(1)〜(6)のいずれか一項に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子を存在させることによって前記微生物のクオラムセンシングを制御することを特徴とするクオラムセンシングの制御方法。
(8)前記クオラムセンシングの制御が、前記クオラムセンシング制御用樹脂粒子が前記オートインデューサーをトラップすることによって行われる、(7)に記載のクオラムセンシングの制御方法。
(9)前記微生物がグラム陰性細菌であり、前記オートインデューサーがN−アシル−L−ホモセリンラクトンであり、前記クオラムセンシング制御用樹脂粒子を用いて前記グラム陰性細菌のクオラムセンシングを阻害させる、(7)又は(8)に記載のクオラムセンシングの制御方法。
本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子によれば、オートインデューサーを高い選択率でトラップすることができる。また本発明のクオラムセンシングの制御方法によれば、グラム陰性細菌等のクオラムセンシングを効率よく制御することができる。
(a)はポリアクリル酸(polyAA)鎖を示す模式図であり、(b)は本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子において、疎水性部分を導入することにより物理架橋による3次元網目構造が形成されることを示す模式図である。 本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子に使用される親水性モノマー及び疎水性モノマー、セルロース誘導体の例を示す図である。 疎水性モノマーの種類による本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子へのオートインデューサーのトラップ性能の変化(左縦軸、棒グラフ)及びセラチア菌の菌体濁度の変化(右縦軸、折れ線グラフ)を示す図である。 (a)は疎水性モノマーとしてアクリル酸ブチル、親水性モノマーとしてアクリル酸を使用し、共重合割合を変化させた場合の、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子へのオートインデューサーのトラップ性能の変化(左縦軸、棒グラフ)及びセラチア菌の菌体濁度の変化(右縦軸、折れ線グラフ)を示す図である。(b)は疎水性モノマーとしてアクリル酸2−エチルヘキシル、親水性モノマーとしてアクリル酸を使用し、共重合割合を変化させた場合の、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子へのオートインデューサーのトラップ性能の変化(左縦軸、棒グラフ)及びセラチア菌の菌体濁度の変化(右縦軸、折れ線グラフ)を示す図である。 本発明のクオラムセンシング制御方法において、グラム陰性細菌としてセラチア菌を用い、プロディジオシン生産量によりクオラムセンシングの制御度合いを見積もる場合の制御方法の説明図である。 本発明のクオラムセンシング制御方法において、グラム陰性細菌としてクロモバクテリウム菌を用い、ビオラセインの生産量によりクオラムセンシングの制御度合いを見積もる場合の制御方法の説明図である。 本発明のクオラムセンシング制御方法において、クオラムセンシング制御用樹脂粒子の分散媒体中への濃度を変化させた場合の、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子へのオートインデューサーのトラップ性能の変化(左縦軸、棒グラフ)及びセラチア菌の菌体濁度の変化(右縦軸、折れ線グラフ)を示す図である。 実施例1において、poly(AA/MA)の粒子分布を示す分布図である。 グラム陰性細菌としてセラチア菌を使用し、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子として、poly(AA/MA)を使用して分散媒体中への濃度を変化させた場合の、溶液全体のプロディジオシン生産量の変化を示す図である。 比較例1において、polyAAの粒子分布を示す分布図である。 グラム陰性細菌としてセラチア菌を使用し、比較例として、polyAAを使用して分散媒体中への濃度を変化させた場合の、溶液全体のプロディジオシン生産量の変化を示す図である。 実施例2において、HPMCPの粒子分布を示す分布図である。 グラム陰性細菌としてセラチア菌を使用し、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子として、HPMCPを使用して分散媒体中への濃度を変化させた場合の、溶液全体のプロディジオシン生産量の変化を示す図である。 グラム陰性細菌としてクロモバクテリウム菌を使用し、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子として、poly(AA/MA)を使用して分散媒体中への濃度を変化させた場合の、溶液全体のビオラセイン生産量の変化を示す図である。
以下、本発明に係るクオラムセンシング制御用粒子、及びクオラムセンシングの制御方法について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実験例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[クオラムセンシング制御用粒子]
本発明のクオラムセンシング制御用粒子は、オートインデューサーを取り込むための収容部を形成可能な重合体を含み、前記重合体が少なくとも1つの疎水性部分と少なくとも1つの親水性部分を有することを特徴とする。
ここで、「クオラムセンシング」について説明する。
微生物間情報伝達機構、いわゆるクオラムセンシングでは、微生物はオートインデューサーと呼ばれる化学物質を介して周囲の菌体密度を感知し、菌体密度がある一定値を超えたことを感知すると、関連する遺伝子の転写・発現が活性化される。
例えば、グラム陰性細菌はオートインデューサーとしてアシル化ホモセリンラクトン(AHL)類を生産することが知られている。
グラム陰性細菌例であるセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)AS−1株は、2種類のAHL、すなわちN−ヘキサノイル、N-3-オキソ−ヘキサノイルホモセリンラクトンを、同一の細胞内で生産する。
セラチア・マルセッセンスAS−1株が増殖し菌体密度が増大すると、AHLはそれぞれの菌から放出されるため、累積してセラチア・マルセッセンスAS−1株の周囲のAHL濃度が増大する。
一方、菌の内部にはAHLと複合体を形成するレセプタータンパク質が存在する。菌体数が定足数(quorum)に達したとき、クオラムセンシング関連遺伝子が発現し、AHL−レセプター複合体が形成され安定に存在できるようになる。このAHL−レセプター複合体は、クオラムセンシング関連遺伝子のプロモーター領域と相互作用し、その下流にある遺伝子の転写活性が増大する。
セラチア・マルセッセンスAS−1株の場合、N−ヘキサノイル、N-3-オキソ−ヘキサノイルホモセリンラクトンのいずれか1種類あるいは2種類以上が、セラチア・マルセッセンスAS−1株のレセプターと複合体を形成すると、プロディジオシン合成酵素が生産され、この酵素により赤色色素プロディジオシンが生産される。すなわち、赤色色素プロディジオシンにより、クオラムセンシングの活性化を確認することが可能となる。
なお、オートインデューサーとしては、グラム陰性細菌においては主にアシル化ホモセリンラクトン(AHL)類が挙げられる。また、グラム陽性細菌ではペプチドが、放線菌ではA-ファクター等が挙げられる。
本実施形態においては、クオラムセンシング制御用粒子にオートインデューサーを取り込ませ、微生物周囲からオートインデューサーを排除することにより、クオラムセンシングを制御する組成物及びその方法を説明する。
本実施形態のクオラムセンシング制御用粒子は、少なくとも1つの疎水性部分と少なくとも1つの親水性部分により、オートインデューサーを取り込むための収容部を形成可能な重合体を含む。
すなわち本実施形態において、少なくとも1つの疎水性部分と少なくとも1つの親水性部分を有する重合体は、図1(b)に示すように、水溶液中において疎水性部分が凝集あるいは集積し、物理架橋による3次元網目構造を形成する。この3次元網目構造は、相互に連通する多数の空孔を構成する。
前記空孔(収容部)は、親水性部分の接近により形成されたものであり、大きさとしても、化学構造としても、オートインデューサーの取り込みに適したものであることが本発明者らにより見いだされた。本実施形態においては、この収容部にオートインデューサーを取り込むことにより、菌体周囲からオートインデューサーを排除し、微生物間情報伝達機構であるクオラムセンシングを制御することが可能となる。
なお、本実施形態において「オートインデューサーを取り込む」とは、前記空孔(収容部)内にオートインデューサーが捕捉(トラップ)されることを意味する。言い換えると、オートインデューサーは、前記空孔(収容部)内において、重合体のカルボキシル基等と、水素結合、疎水性相互作用、あるいは、イオン結合により結合し、保持されていると考えられる。
本実施形態において「親水性部分」は、水によって溶媒和されることによって安定的な分散状態を維持させることができる性質を有する部分をいい、「疎水性部分」はそのような性質を有さない部分をいう。
この場合、「親水性部分」としては例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、チオール基、スルホ基、アミド結合、リン酸基、イミダゾール基、グアニジノ基、エステル結合等が挙げられる。
また、「疎水性部分」としては例えば、炭素数1以上20以下のアルキル基又はアルケニル基、フェニル基、フェノキシ基、コレステリル基、フタリル基、スクシニル基等が挙げられる。
本実施形態における重合体は、例えば図2に示すような、疎水性部分を有するモノマーと、親水性部分を有するモノマーとを共重合させて得ることができる。
あるいは、本実施形態における重合体は、多糖類であってもよい。多糖類としては、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPMCP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)等のセルロース誘導体;ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、スクレログルカンガム等のグアーガムおよびその誘導体;等を挙げることができる。
また、本実施形態における重合体は、一つの繰り返し単位中に疎水性部分と親水性部分を共に有する重合体であってもよい。この場合、例えば、ポリN−置換アクリルアミド誘導体;ポリビニルメチルエーテル類;等を挙げることができる。
上述した重合体において、疎水性部分を有するモノマーと、親水性部分を有するモノマーとを共重合させる場合、疎水性部分を有するモノマー(疎水性モノマー)は、例えば、メチルアクリレート(アクリル酸メチル、MA)、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート(アクリル酸ブチル、BA)、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(アクリル酸2-エチルヘキシル、EHA)、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート(SA)等のアルキルアクリレート(アクリル酸アルキル)、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレート、ソルビルアクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、置換スチレン、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタアクリレート(メタアクリル酸アルキル)、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、グリシジルメタクリレート、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、酢酸ビニル、酪酸ビニル、および安息香酸ビニル等が挙げられる。
上記の場合、重合性、入手のし易さ、使用形態等の観点から、疎水性モノマーとしては、アクリル酸(C1〜C18)アルキルが好ましく、メチルアクリレート(アクリル酸メチル、MA)、ブチルアクリレート(アクリル酸ブチル、BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(アクリル酸2-エチルヘキシル、EHA)、ステアリルアクリレート(アクリル酸ステアリル、SA)、が更に好ましく使用される。
上述した重合体において、疎水性部分を有するモノマーと、親水性部分を有するモノマーとを共重合させる場合、親水性部分を有するモノマー(親水性モノマー)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヒドロキシアルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、アミノアルコキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アルコキシアルキルメタクリレートおよびアミノアルコキシアルキルメタクリレート、等が挙げられる。
上記の場合、疎水性モノマーと同様の観点で、親水性モノマーとしてはアクリル酸、又はメタクリル酸が好ましく使用される。
疎水性部分を有するモノマーと、親水性部分を有するモノマーとを共重合させる場合、疎水性モノマーと親水性モノマーの種類の選択方法は特に制限されるものではない。図3に示すように、疎水性モノマーの種類により、クオラムセンシング制御用樹脂粒子へのオートインデューサーのトラップ性能が異なるため、所望のトラップ性能により適宜疎水性モノマーと親水性モノマーの種類を選択可能である。
疎水性部分を有するモノマーと、親水性部分を有するモノマーとを共重合させる場合、共重合方法は特に限定されないが、共重合反応後の残存モノマーの量が少ないことから、本実施形態においてはラジカル重合法が特に好ましく使用される。当該方法では、疎水性モノマーと親水性モノマーを溶媒中で混合し、当該混合物を、緩衝作用を有する水溶液及び25℃で水と任意の割合で混和する水性溶媒との混合溶媒中でラジカル重合する。
この方法で用いる、前記緩衝作用を有する水溶液としては、通常使用される緩衝溶液であれば特に限定されないが、具体的には、塩化カリウム−塩酸溶液、フタル酸水素カリウム−塩酸溶液、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム溶液、クエン酸水素カリウム−クエン酸溶液、炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム酸溶液等が例示できる。
さらに、この方法で用いる、25℃で水と任意の割合で混和する水性溶媒としては、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール等のジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
これらの水性溶媒の中では、重合反応が進行しやすいことから、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜3のアルコールが特に好ましい。
本実施形態において、 疎水性部分を有するモノマーと親水性部分を有するモノマーとを共重合させる場合、共重合割合は、樹脂粒子が、水溶液中において分散体として安定に存在する観点から、モル比において、親水性モノマー/疎水性モノマー=99/1〜80/20であることが好ましい。
なお、疎水性モノマーが上記割合を超えると、本実施形態のクオラムセンシング制御用樹脂粒子が水溶液中へ均等に分散せず、分散安定性が低下するため好ましくない。
上述した重合体において、疎水性部分を有するモノマーと、親水性部分を有するモノマーとを共重合させる場合、図4に示すように、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合割合を変化させることにより、本実施形態の樹脂粒子のオートインデューサーのトラップ性能を向上させることが可能となるが、使用形態等によって適宜共重合割合を選択することが可能である。
本実施形態において、重合体として多糖類を使用する場合、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPMCP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)等のセルロース誘導体を使用することが好ましい。該セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピル基、メトキシ基、フタリル基、アセチル基、スクシニル基、ヘキサヒドロフタリル基、カルボキシベンゾイル基、テトラヒドロフタロイル基、マレイル基又はトリメリロイル基を有していてもよい。この場合、1グルコースあたりの置換された水酸基の平均数(平均置換度)は0.01以上であることが好ましい。
本実施形態において、重合体として一つの繰り返し単位中に疎水性部分(疎水性官能基)と親水性部分(親水性官能基)を共に有する化合物を用いる場合、疎水性官能基と親水性官能基との割合は、樹脂粒子が、水溶液中において分散体として安定に存在する観点から、モル比において、親水性官能基/疎水性官能基=99.9/0.1〜0/100であることが好ましい。
上述した重合体において、疎水性部分を有するモノマーと、親水性部分を有するモノマーとを共重合させる場合、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合は、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤の存在下に行なわれる。
その他、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線安定剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤等の添加剤を加えることもできる。
本実施形態において、前記重合体を粒子形状にする方法としては特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。
例えば、スプレー等の液滴吐出装置を用いて重合体溶液を蒸留水等の液体中に微粒子状に噴霧・吐出することにより、樹脂粒子とすることが可能である。この場合、使用する液滴吐出装置は、吐出する液滴の粒径分布が狭いものが好ましいが、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。
また、スプレードライヤー等を使用して重合体溶液を空気等の気体中に噴霧乾燥し、樹脂粒子を得ることも可能である。この場合、得られた乾燥樹脂粒子を水等の溶媒に分散させて使用することができる。
さらには、重合体溶液の種類によっては、液滴吐出装置やスプレードライヤー等を使用しなくとも、樹脂粒子とすることが可能である。例えば、会合性の低い低分子量ポリマーの場合には、ただ液体中に溶解するだけで数十nm程度以上の樹脂粒子が得られる可能性がある。
本実施形態の樹脂粒子は、粒子径0.8μm未満であることが好ましい。通常、グラム陰性細菌の菌体サイズは0.8〜1.0μmであるため、樹脂粒子径が0.8μm以上の場合にはオートインデューサーだけでなく菌体もトラップしてしまうことで、クオラムセンシング抑制効果が低減してしまう可能性がある。
本実施形態の樹脂粒子径の下限は、液滴吐出装置の吐出孔サイズが存在すれば特に制限されないが、製造コスト等の観点からは、粒子径0.01μm以上であることが好ましい。
本実施形態のクオラムセンシング制御用樹脂粒子は、溶液中に安定して分散していることが好ましい。
分散媒体としての溶液としては、樹脂粒子が安定して分散可能であれば特に制限はないが、分散安定性等の観点から水性媒体が好ましい。水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
分散媒体には、重合体の疎水性部分の凝集性を高めるための凝集剤を含んでいてもよい。
凝集剤としては、疎水性部分の凝集性を高めることができれば特に制限されるものではなく、例えば、塩化カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム塩;硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウム等のアルミニウム塩;塩化第二鉄等の鉄塩;ポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤;ポリグルタミン酸、ポリエチレンイミン、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリオキシエチレン等の有機凝集剤を挙げることができる。
凝集剤の濃度は、凝集剤の種類によって異なるが、0.1mg/L〜10g/Lであることが、クオラムセンシング制御用樹脂粒子の分散安定性等の観点から好ましい。さらには、10mg/L〜5g/Lであることが好ましい。
[クオラムセンシングの制御方法]
次に、本発明のクオラムセンシングの制御方法について説明する。
上記クオラムセンシング制御用樹脂粒子を使用したクオラムセンシングの制御方法としては、微生物周囲に上記クオラムセンシング制御用樹脂粒子を存在させることによって行う。これにより、上記クオラムセンシング制御用樹脂粒子が微生物周囲のオートインデューサーを高い選択率でトラップするので、クオラムセンシング関連遺伝子の発現が抑制され、結果としてクオラムセンシングの制御を行うことが可能となる。
本実施形態のクオラムセンシングの制御方法においては、微生物がグラム陰性細菌であり、オートインデューサーがAHL(N−アシル−L−ホモセリンラクトン)であることが好ましい。これにより、オートインデューサーのトラップがさらに高い効率で行われるようになり、その結果、本発明のクオラムセンシングの制御方法を適用する意義が大きくなる。
グラム陰性細菌としては、例えば、セラチア(Serratia)属細菌やシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、エロモナス(Aeromonas)属細菌、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属細菌、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属細菌等を挙げることができる。
より具体的には、セラチア属細菌としては、例えば、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)AS−1株、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)UU−3株等のセラチア・マルセッセンス等を挙げることができる。
また、シュードモナス属細菌としては、例えば、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)PAO1株等のシュードモナス・エルギノーサや、シュードモナス・クロロラフィス・サブエスピー・オーランティアカ(Pseudomonas chlororaphis subsp.aurantiaca)UU−15株等のシュードモナス・クロロラフィス等を挙げることができる。
エロモナス(Aeromonas)属細菌としては、例えば、エロモナス・エスピー(Aeromonas sp.)UU−6株、エロモナス・エスピー(Aeromonas sp.)UU−7株、等のエロモナス・エスピー等を挙げることができる。
クロモバクテリウム属細菌としては、例えば、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)ATCC12472株等のクロモバクテリウム・ビオラセウム等を挙げることができる。
シノリゾビウム(Sinorhizobium)属細菌としては、シノリゾビウム・エスピー(Sinorhizobium sp.)UU−12株、シノリゾビウム・エスピー(Sinorhizobium sp.)UU−13株等のシノリゾビウム・エスピー等を挙げることができる。
グラム陰性細菌としてセラチア菌を用いる場合のクオラムセンシング制御の確認方法について図5を用いて説明する。
セラチア菌は、室温で培養すると鮮やかな赤色色素(Prodigiosin)を生産することが知られている。このため、赤色色素の生産量を測定することにより、クオラムセンシングの制御度合いを見積もることができる。
すなわち、セラチア菌のオートインデューサーであるAHLを、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子でトラップすることにより、セラチア菌が各細胞間の情報伝達(クオラムセンシング)をすることができなくなり、その活性が落ちて、赤色色素の生産量が減少する。
すなわち、クオラムセンシングの阻害度合いが大きければ大きいほど赤色色素の生産量が少なくなる。このため、セラチア菌を培養した場合に生産される赤色色素の量を測定することによりクオラムセンシングの阻害度合いを見積もることができる。そして、赤色色素の生産量は、所定の波長における吸光度を利用して測定することができる。
また、グラム陰性細菌としてクロモバクテリウム菌を用いる場合のクオラムセンシング制御の確認方法について図6を用いて説明する。
クロモバクテリウム菌は、室温で培養すると鮮やかな紫色色素(violacein)を生産し、菌体外へ放出することが知られている。このため、紫色色素の生産量を測定することにより、クオラムセンシングの制御度合いを見積もることができる。
すなわち、クロモバクテリウム菌のオートインデューサーであるAHLを、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子でトラップすることにより、クロモバクテリウム菌が各細胞間の情報伝達(クオラムセンシング)をすることができなくなり、その活性が落ちて、紫色色素の生産量が減少する。
この場合、クオラムセンシングの阻害度合いが大きければ大きいほど紫色色素の生産量が少なくなる。このため、クロモバクテリウム菌を培養した場合に生産される紫色色素の量を測定することによりクオラムセンシングの阻害度合いを見積もることができる。そして、紫色色素の生産量は、所定の波長における吸光度を利用して測定することができる。
本発明のクオラムセンシングの制御方法の効果の一つは、微生物を殺菌することなく、病原性を抑制できる点にある。従来から使用されている抗生物質は、殺菌を行うことによって病原性の抑制を行うという手法を採用しているが、薬剤耐性菌の出現を避けることができないという問題がある。
本発明のクオラムセンシングの制御方法では、薬剤耐性菌の出現を考慮しなくてよい上、細菌毒性を低く抑えることが可能となる。
本発明のクオラムセンシングの制御方法においては、図7に示すように、クオラムセンシング制御用樹脂粒子の分散媒体中への濃度を変化させることにより、オートインデューサーのトラップ性能を変化させることができる。クオラムセンシング制御用樹脂粒子の分散媒体中への濃度は、特に制限させるものではないが、樹脂粒子の分散安定性の観点から、例えば0.01〜1wt%であることが好ましい。
以上説明した、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子、及びクオラムセンシング制御方法を用いることによって、AHLのようなオートインデューサーを、再現性よく高い選択率でトラップすることができるようになる。
以下の実施例等によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(poly(AA/MA)溶液の調製)
アクリル酸(AA)とアクリル酸メチル(MA)をモル比でAA/MA=90/10となるようにエタノール溶液中でラジカル重合した。透析膜(分画分子量14,000)を用いてエタノール溶液中で透析することで、未反応のモノマー、低分子量オリゴマーを分離し、poly(AA/MA)画分を得た。エバポレーターでエタノールを除去し乾固した後に、再度エタノールに所定濃度になるよう溶解させ、ノズル口径0.3mmのエアスプレーから、poly(AA/MA)エタノール溶液を所定量の蒸留水に対して噴霧した。吐出バルブの開きを調整することで平均粒子径の異なる高分子粒子を調製した。ナノ粒子解析装置(堀場製作所製 SZ―100―Z)を用いて動的光散乱法で粒子径分布を評価したところ、平均粒径160nmの粒子径が観測された。結果を図8に示す。
(セラチア菌の培養)
LB寒天プレートで培養したセラチア マルセッセンス(Serratia marcescens AS−1)をLB液体培地4mLに植菌し、30℃で6h前培養した。
この培養液にLB液体培地を添加して600nmの濁度を紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−550)で計測した値を0.7に調整した後に、その40μLを分取し、LB液体培地と混合し全量を4mLとなるように植菌し本培養した。
次いで、あらかじめ調製しておいた1wt%のpoly(AA/MA)水溶液0.1mL、0.2mL、あるいは0.3mLを、ただちに本培養液4mLに添加した。振盪しながら25℃で16h本培養した。
(AHLトラップ性能評価)
マイクロチューブに本培養液100μLを採取し蒸留水で15倍希釈した。600nmにおける濁度を測定し、得られた値を15倍することで培養液の菌体密度の指標である菌体濁度(OD600)とした。
次に、マイクロチューブに培養液1mLを採取し、13,200rpmで5分間遠心分離した。上清200μLを別のマイクロチューブに採取し、4%の1M塩酸を含むエタノールを800μL加えた。534nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−550)で測定し、得られた数値を5倍して、培養液上清に含まれるプロディジオシン量の指標となる吸光度(A)を算出した。
一方、遠心分離で得られた菌体ペレット全量に、4%の1M塩酸を含むエタノールを1mL加え、ボルテックスで菌体を破砕しプロディジオシンを抽出した。
再び13,200rpmで5分間遠心分離し、別のマイクロチューブに上清200μL、4%の1M塩酸を含むエタノール600μL、LB培地200μLを加えて5倍希釈した。この試料の534nmにおける吸光度を上記と同様に測定し、得られた値を5倍してプロディジオシン量の指標(A)とした。
単位菌体量当たりのプロディジオシン総生産量(P)をP=(A+A)/OD600として求めた。poly(AA/MA)試料未添加におけるプロディジオシン総生産量(P)で規格化し、それぞれのpoly(AA/MA)添加条件における相対プロディジオシン総生産量P/Pを求めた。結果を表1及び図9に示す。
(結果)
poly(AA/MA)を0.06wt%添加することで、プロディジオシン総生産量は63%まで低下した。これにより、AHLのトラップが良好に行われ、クオラムセンシングの制御効果が発揮されることがわかる。
また、表1における菌体濁度(OD600)をみてわかるように、poly(AA/MA)の添加によっても菌体数はほとんど変わっていない。これらの結果から、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子がセラチア菌(Serratia marcescens AS−1株)を殺菌することがなく、きわめて毒性が低いことがわかる。
[比較例1]
(polyAA溶液の調製)
ポリアクリル酸(polyAA)をエタノール溶液中でラジカル重合した。
透析膜(分画分子量14,000)を用いてエタノール溶液中で透析することで、未反応のモノマー、低分子量オリゴマーを分離し、polyAA画分を得た。エバポレーターでエタノールを除去し乾固した後に、再度エタノールに所定濃度になるよう溶解させ、ノズル口径0.3mmのエアスプレーから、polyAAエタノール溶液を所定量の蒸留水に対して噴霧した。吐出バルブの開きを調整することで平均粒子径の異なる高分子粒子を調製した。ナノ粒子解析装置(堀場製作所製 SZ―100―Z)を用いて動的光散乱法で粒子径分布を評価したところ、平均粒径280nmの粒子径が観測された。結果を図10に示す。
(セラチア菌の培養)
クオラムセンシング制御用樹脂粒子の溶液をpolyAA溶液とした以外は、上記実施例1と同様に行った。
(AHLトラップ性能評価)
単位菌体量当たりのプロディジオシン総生産量(P)をP=(A+A)/OD600とし、polyAA未添加におけるプロディジオシン総生産量(P)で規格化し、それぞれのpolyAA添加条件における相対プロディジオシン総生産量P/Pを求めた以外は、上記実施例1と同様に行った。結果を表2及び図11に示す。
(結果)
0.02〜0.07wt%のpolyAAを添加しても、プロディジオシン総生産量は91〜114%の値となり、polyAAの添加はプロディジオシン総生産量に影響しないことが示された。
[実施例2]
(HPMCP溶液の調製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル(HPMCP、アルドリッチ製)をジメチルスルホキシドに溶解し1wt%とした。ナノ粒子解析装置(堀場製作所製 SZ―100―Z)を用いて動的光散乱法で粒子径分布を評価したところ、14nmの粒子径が観測された。その結果を図12に示す。
(セラチア菌の培養)
クオラムセンシング制御用樹脂粒子の溶液をHPMCP溶液とした以外は、上記実施例1と同様に行った。
(AHLトラップ性能評価)
上記実施例1と同様に行った。結果を表3及び図13に示す。
(結果)
HPMCPを0.07wt%添加することで、プロディジオシン総生産量は36%まで低下した。これにより、AHLのトラップが良好に行われ、クオラムセンシングの制御効果が発揮されることがわかる。
[実施例3]
(クロモバクテリウム菌の培養)
LB寒天プレートで培養したクロモバクテリウム ビオラセウム(Chromobacterium violaceum ATCC12472)をLB液体培地4mLに植菌し、30℃で7h前培養した。この培養液にLB液体培地を添加して600nmの濁度を紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−550)で計測した値を0.7に調整した後に、その40μLを分取し、LB液体培地と混合し全量を4mLとなるように植菌し本培養した。
次いで、実施例1と同様の方法で調製した5wt%のpoly(AA/MA)水溶液0.05mL、0.1mL、あるいは0.15mLを、ただちに本培養液4mLに添加した。振盪しながら30℃で11h本培養した。
(AHLトラップ性能評価)
マイクロチューブに本培養液100μLを採取し蒸留水で15倍希釈した。600nmにおける濁度を測定し、得られた値を15倍することで培養液の菌体密度の指標である菌体濁度(OD600)とした。
マイクロチューブに培養液200μLを採取し、10wt%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を100μL加え、更に水飽和ブタノール900μL添加して混合した。マイクロタイタープレートに上層150μLを採取し、ビオラセインの極大吸収波長である585nmにおける吸光度(A)を、プレートリーダー(モレキュラーデバイス社製SpectraMAX PLUS)を用いて測定した。
単位菌体量当たりのビオラセイン生産量(P)をP=(A)/(OD600)として求めた。poly(AA/MA)試料未添加におけるビオラセイン総生産量(P)で規格化し、それぞれのpoly(AA/MA)添加条件における相対ビオラセイン生産量P/Pを求めた。結果を表4及び図14に示す。
(結果)
poly(AA/MA)を0.18wt%添加することで、ビオラセイン総生産量は46%まで低下した。これにより、AHLのトラップが良好に行われ、クオラムセンシングの制御効果が発揮されることがわかる。
また、表4における菌体濁度(OD600)をみてわかるように、poly(AA/MA)の添加によっても菌体数はほとんど変わっていない。これらの結果から、本発明のクオラムセンシング制御用樹脂粒子がクロモバクテリウム菌(Chromobacterium violaceum ATCC12472株)を殺菌することがなく、きわめて毒性が低いことがわかる。

Claims (9)

  1. オートインデューサーを取り込むための収容部を形成可能な重合体を含み、前記重合体が少なくとも1つの疎水性部分と、少なくとも1つの親水性部分を有することを特徴とする、クオラムセンシング制御用樹脂粒子。
  2. 前記重合体が前記疎水性部分を含むモノマーと前記親水性部分を含むモノマーとを共重合して得られるものであって、その共重合割合が、モル比において、前記親水性部分を含むモノマーの方が前記疎水性部分を含むモノマーよりも多いことを特徴とする、請求項1に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
  3. 前記親水性部分を含むモノマーと前記疎水性部分を含むモノマーの共重合割合が、モル比において、親水性モノマー/疎水性モノマー=99/1〜80/20であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
  4. 前記疎水性部分を含むモノマーが、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及びステアリルアクリレートからなる群から選択され、
    前記親水性部分を含むモノマーが、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
  5. 前記重合体がセルロース誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
  6. さらに、前記オートインデューサーを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子。
  7. 微生物の周囲に請求項1〜6のいずれか一項に記載のクオラムセンシング制御用樹脂粒子を存在させることによって前記微生物のクオラムセンシングを制御することを特徴とするクオラムセンシングの制御方法。
  8. 前記クオラムセンシングの制御が、前記クオラムセンシング制御用樹脂粒子が前記オートインデューサーをトラップすることによって行われる、請求項7に記載のクオラムセンシングの制御方法。
  9. 前記微生物がグラム陰性細菌であり、前記オートインデューサーがN−アシル−L−ホモセリンラクトンであり、前記クオラムセンシング制御用樹脂粒子を用いて前記グラム陰性細菌のクオラムセンシングを阻害させる、請求項7又は8に記載のクオラムセンシングの制御方法。

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