JP2016185258A - 医療器具 - Google Patents

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賢志 澤田
石井 直樹
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直樹 石井
秀彬 柴田
Hideaki Shibata
秀彬 柴田
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Abstract

【課題】生体管腔を閉塞することなく各種の処置を実施することが可能な医療器具を提供する。【解決手段】本発明に係る医療器具100は、基端部11と、塗布部16と、変位部17と、を備え、生体の管腔内への挿入方向に沿う軸方向に所定の長さを有して構成された長尺状の処置部材10と、塗布部および変位部を挿入可能なルーメン33と、前記ルーメンに連通して形成され、塗布部および変位部を突出可能な先端開口部34と、を備える中空状の挿入部材30と、処置部材の基端部に設けられ、塗布部の回転動作、および前記ルーメン内外における塗布部の進退移動を操作可能に構成された手元操作部20と、を有する。挿入部材の先端開口部から変位部の少なくとも一部が突出されて塗布部が放射方向に変位した状態において、手元操作部を介して塗布部を回転可能である。【選択図】図5

Description

本発明は、生体管腔内にて使用する医療器具に関する。
医療分野において血管、胆管、気管、食道、尿道、鼻腔、或いはその他の臓器等の患部または病変部といった治療部位に対して薬剤を投与する技術がある。このような技術の一例として、生体内に留置されるステントに含まれる薬剤を溶出させることによって治療を行うステント留置術が知られている。しかしながら、ステントの留置には手間を要することから、より簡単な方法で治療部位に対して薬剤を投与することができる技術の開発が行われている。例えば、特許文献1には長尺状の部材の先端の側面に薬剤を放出する微小空間を設けたカテーテル(インフュージョンカテーテル)が開示されている。
特開2013−128602号公報
特許文献1のようなインフュージョンカテーテルは、使用時に生体の管腔を閉塞してしまうことから、血流等を遮断してしまうおそれがあり、長時間の処置に適していない。これは上記インフュージョンカテーテルを転用して、薬剤の投与以外の処置を血管以外の生体管腔内において行う場合にも同様に当てはまる。
そこで本発明は、上記問題点を解決するために発明されたものであり、生体管腔を閉塞することなく各種の処置を実施することが可能な医療器具を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療器具は、生体外部に配置される基端部と、先端部に設けられ生体の管腔内に挿入されて所定の処置を行う処置部と、当該処置部よりも基端部側に設けられ、処置部を基端部に対して放射方向に変位させる変位力を作用させる変位部と、を備え、生体の管腔内への挿入方向に沿う軸方向に所定の長さを有して構成された長尺状の処置部材と、処置部および変位部を挿入可能なルーメンと、当該ルーメンに連通して形成され、処置部および変位部を突出可能な先端開口部と、を備える中空状の挿入部材と、処置部材の基端部に設けられ、処置部の回転動作、および上記ルーメン内外における処置部の進退移動を操作可能に構成された手元操作部と、を有する。上記医療器具は、挿入部材の先端開口部から変位部の少なくとも一部が突出されて処置部が放射方向に変位した状態において、手元操作部を介して処置部を回転可能である。
本発明に係る医療器具は、挿入部材の先端開口部から変位部の少なくとも一部が突出されて処置部が放射方向に変位した状態において、手元操作部を介して処置部を回転させることができる。このため、本発明に係る医療器具は、生体の管腔内面の周方向に沿って治療を行うことができ、生体の管腔内の所定部位の全周面に治療を施すことができる。また、本発明に係る医療器具は、処置部を回転させることにより生体の管腔内の治療を行うため、処置部が血管などの生体管腔内の全周には配置されない。そのため、処置部によって生体管腔を閉塞することなく、各種の治療を実施することができる。
図1(A)〜図1(D)は本発明の実施形態1に係る医療器具を示す斜視図、側面図、正面図、背面図である。 医療器具が備える処置部材の斜視図である。 図3(A)、図3(B)は図1(D)の3−3線に沿う断面図であり、処置部の動作について示す図である。 図4(A)〜図4(C)は生体管腔内における同医療器具の使用例を説明する図である。 図5(A)、図5(B)は本発明の実施形態2にかかる医療器具を示す斜視図、側面図である。 同医療器具を示す正面図である。 図7(A)は図5(A)のA部分を示す拡大図、図7(B)は図5(B)のB部分を示す拡大図である。 図5(B)の8−8線に沿う断面図であって、同医療器具の固定部について示す図である。 図9(A)、図9(B)は同医療器具の使用例を説明する図である。 図5(B)の8−8線に沿う断面図であって、図8に示す医療器具の固定部の変形例を示す図である。 実施形態2に係る医療器具の噴射部の変形例を示す正面図である。 図12(A)、図12(B)は図11における医療器具の先端部を示す斜視図、側面図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(実施形態1)
図1(A)〜図1(D)は本発明の実施形態1に係る医療器具を示す斜視図、側面図、正面図、背面図である。図2は医療器具が備える処置部材の斜視図である。図3(A)、図3(B)は図1(D)の3−3線に沿う断面図であり、処置部の動作について示す図である。
本実施形態にかかる医療器具100は、皮膚に穿孔した小孔を介して血管などの生体管腔内に挿入され、血管内のアテローム(粥種)などを治療するために、血管内に薬剤などを塗布することを目的として使用される。
医療器具100は、図1(A)〜図3(B)を参照して概説すれば、生体外部に配置される基端部11と、先端部に設けられ生体管腔内に挿入されて薬剤の塗布を行う塗布部16(処置部に相当)と、塗布部16よりも基端側に設けられ塗布部16を基端部11に対して放射方向に変位させる変位力を生じさせる変位部17と、を備えた処置部材10と、塗布部16の回転動作および塗布部16の進退移動を操作可能に構成した手元操作部20と、塗布部16および変位部17を挿入可能な挿入ルーメン33と当該挿入ルーメン33に連通して形成され塗布部16および変位部17を突出可能な先端開口部34とを備える挿入部材30と、を有する。以下、詳述する。
処置部材10は、生体管腔内に薬剤を塗布するために設けられる。処置部材10は、図1(B)、図2、図3に示すように長尺状の管状部材である。処置部材10は、手元操作部20と接続される基端部11と、基端側に設けられる基端側管状部材12と、基端側管状部材12と独立して放射方向に変位可能な先端側管状部材13と、基端側から先端側まで薬剤が流通する薬剤流通ルーメン14と、先端側管状部材13に設けられ薬剤を射出する射出部15と、射出部15から射出された薬剤を生体管腔内に塗布する塗布部16と、基端部11に対して塗布部16を放射方向に変位させる変位部17と、を有する。
基端部(基部とも呼ばれる)11は、処置部材10において使用時に生体外に配置される部位であり、図3(A)、図3(B)などに示すように手元操作部20と融着または溶着などによって一体的に接続される。基端部11は塗布部16において塗布する薬剤を供給するためのリザーバ(貯留槽)および薬剤を供給するポンプなどの圧力を供給する装置との接続部位にあたり、開口部を備えている。基端部11は、処置部材10を構成する基端側管状部材12の基端側の部位にあたる。
基端側管状部材12は、中空の管状部材である。基端側管状部材12は、図3(A)、図3(B)に示すように後述する挿入部材30が備える挿入ルーメン33内に移動可能に挿入される。基端側管状部材12は、先端側管状部材13と比較すると、使用時に挿入部材30とほぼ同軸であり、基端側において医療器具100を回転させる際の回転軸A1を有する。
医療器具100は、曲折した生体管腔に導入されると生体管腔の形状にならって曲折した形状となる。その際においても医療器具100は手元操作部20の把持部21を把持して回転させることによって生体管腔の内表面に接触しながら手元操作部20による回転を先端側の塗布部16まで伝達することができる。本実施形態における回転軸A1は説明の便宜上つけているものであって、挿入部材30や処置部材10の基端側管状部材12および先端側管状部材13は使用時に曲折したりして挿入部材30などの中心の位置は固定されずに変位しうるものである。
変位部17は、図3(A)、図3(B)などに示すように処置部材10において基端側管状部材12と先端側管状部材13の間に設けられる。変位部17は、生体管腔内に薬剤などを塗布するために、挿入部材30の先端開口部34から少なくとも部分的に突出した際に塗布部16を放射方向に変位させる。
変位部17は、塗布部16を放射方向に変位させる構成として、復元力を生じさせる変形可能な部材(変形部材に相当)を備えており、一例として後述の超弾性を有する材料や形状記憶合金のような材料を含めるように構成している。これによって、塗布部16が基端側管状部材12に対して比較的変位していない状態で処置部材10を挿入部材30の挿入ルーメン33に収納していても、変位部17が先端開口部34から突出すれば、復元力によって塗布部16を基端側管状部材12(先端開口部34)に対して放射方向に変位させることができる。
また、変位部17は、図1(B)、図3(B)などに示すように、蛇腹を設け、材料の復元力による変形を抑制する部分(変位調整部に相当)を備えるように構成している。このように構成することによって、超弾性を有する材料などによる変形を抑制し、変位部17が先端開口部34から変位する量を調整することができる。そのため、術者は医療器具100を生体管腔内に挿入する前に変位部17の形状を所望の形に形状付けして先端側管状部材13の基端側管状部材12に対する変位の程度を調整することができる。
これにより、生体管腔の大きさに合わせて先端開口部34から変位部17が突出した際に塗布部16が基端側管状部材12に対して変位する距離を調整することができる。そのため、管腔に与える負荷を低減したり、塗布部16が管腔の内壁面に届かない、といった事態を防止して薬剤を塗布することができる。また、塗布部16を血管壁へ正確に接地させるために機能する蛇腹構造は、変位部17の全体に施されている必要はなく、その一部に存在し、機能すればよい。なお、変位部17が備える蛇腹は付加的な構成であって、蛇腹のような形状を含まないものでも変位により塗布部16の血管壁に対する接地を実現できるものであれば本実施形態の変形例に含まれる。
変位部17は、挿入部材30の先端開口部34から突出した状態で塗布部16を基端側管状部材12に対して放射方向に変位させるように、例示的に形状記憶合金、形状記憶樹脂や樹脂などの部材によって構成される。変位部17の材料としては、例えば、Ni−Ti系合金(ナイチノール)のような擬弾性合金(超弾性合金を含む)、形状記憶合金、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等、SUSの全品種)、コバルト系合金、金、白金のような貴金属、タングステン系合金、炭素系材料(ピアノ線を含む)、およびこれら金属を用いた合金、ポリブチレンサクシネート、トランスイソプレン、ポリノボルネン、スチレン−ブチレン共重合体、ポリウレタン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)などの樹脂等が挙げられる。なお、これらは素材1種で構成されてもよいし、組み合わせてもよい。
薬剤流通ルーメン14は、図3(A)、図3(B)に示すように基端側管状部材12から変位部17を通じて先端側管状部材13にまで形成される。薬剤流通ルーメン14は、基端側管状部材12の基端部11を後述する手元操作部20の開口部22に挿入して一体的に接続することによって、基端側管状部材12の基端部11に接続されたリザーバ等から供給された薬剤を塗布部16にまで流通可能にする。先端側管状部材13は、本実施形態において円筒形状に構成しているが、例示であって形状は円筒形状に限定されない。
射出部15は、図2に示すように先端側管状部材13の外表面に形成した複数の穴を有する。射出部15を構成する穴は本実施形態において3ヵ所であるが、具体的な数は例示であってこれに限定されない。射出部15は基端部11の開口部から送られた薬剤をポンプなどの圧力の供給を受け、生体管腔に向けて射出する。
塗布部16は接触部18を有する。接触部18は、図2、図3(B)などに示すように先端側管状部材13の外表面を覆うように装着される部材である。接触部18は射出部15から噴き出された薬剤を外部に染み出させ、生体管腔の内表面に接触することによって生体管腔への薬剤の塗布を行う。接触部18は、先端側管状部材13と同様に円筒形状を備え、特に薬剤を塗布する外側面の部分が、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、ナイロンエラストマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、シリコン、シリコンエラストマーなどの高分子材料を加工したスポンジ状多孔質部材、織物、編み物、不織布などの繊維性膜部材などで構成している。
なお、上記において薬剤として言及したように、生体内に塗布される物質について例示すれば、血管壁に対して強い接着力を発揮するアルギネートカテコールを挙げることができる。アルギネートカテコールは血管内で短時間にゲル化し、処置後の血管壁を良好にコーティングすることが出来る。そのため、処置対象部位に生じた炎症等を抑制しつつ、処置対象部位の再狭窄や血栓などの発生を防止することができる。
もちろん、塗布される薬剤は、アルギネートカテコールに限定されず、例えばヘパリン、ヒアルロン酸等の多糖類、ベタイン系の高分子、或いはポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグリセロールセバシン酸などの生体吸収性材料のカテコール修飾物などを挙げることもできる。なお、血管壁に接着性を有していれば、カテコール修飾物に限ることはなく、シアノアクリレートなどに代表される生体用接着剤、RGD配列を有するペプチド類、シリカナノ粒子とポリジメチルアクリルアミドの混合物などにおいても実現出来る。
また、塗布される上記物質に加えて生物学的生理活性物質を含む種々の薬剤を同時に適用しうる。例えば、狭窄部の治療においては血管内の治療部位に付着させることで再狭窄を抑制する生物学的生理活性を適用するとよい。この場合、生物学的生理活性としては、抗がん剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、抗高脂血しょう薬、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症剤、リポ蛋白関連ホスホリパーゼ阻害剤、生体由来材料、インターフェロン、NO産生促進物質などが挙げられる。
抗癌剤としては、例えば、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンデシン、塩酸イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル水和物、メトトレキサート、シクロフォスファミド等が好ましい。免疫抑制剤としては、例えば、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス水和物、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸グスペリムス、ミゾリビン等が好ましい。
抗生物質としては、例えば、マイトマイシンC、塩酸ドキソルビシン、アクチノマイシンD、塩酸ダウノルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸エピルビシン、硫酸ペプロマイシン、ジノスタチンスチマラマー等が好ましい。抗リウマチ剤としては、例えば、金チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリット二ナトリウム等が好ましい。抗血栓薬としては、例えば、へパリン、塩酸チクロピジン、ヒルジン等が好ましい。
抗高脂血症薬としては、HMG−CoA還元酵素阻害剤やプロブユールが好ましい。そして、HMG−CoA還元酵素阻害剤としては、例えば、セリバスタチンナトリウム、アトルバスタチン、ニスバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンナトリウム等が好ましい。
ACE阻害剤としては、例えば、塩酸キナプリル、ペリンドプリルエルブミン、トランドラプリル、シラザプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル等が好ましい。カルシウム拮抗剤としては、例えば、ニフェジピン、ニルバジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベニジピン、ニソルジピン等が好ましい。抗アレルギー剤としては、より具体的には、例えば、トラニラストが好ましい。
レチノイドとしては、例えば、オールトランスレチノイン酸が好ましい。抗酸化剤としては、例えば、カテキン類、アントシアニン、プロアントシアニジン、リコピン、β−カロチン等が好ましい。カテキン類の中では、エピガロカテキンガレートが特に好ましい。チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲニステイン、チルフォスチン、アーブスタチン等が好ましい。抗炎症剤としては、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイドやアスピリンが好ましい。
生体由来材料としては、例えば、EGF(epidermal growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)、HGF(hepatocyte growth factor)、PDGF(platelet derived growth factor)、BFGF(basic fibroblast growth factor)等が好ましい。
生理活性物質は、上記例示した生物学的生理活性物質のうち、一種類のみを含んでもよく、または二種類以上の異なる生物学的生理活性物質を含んでもよい。二種類以上の生物学的生理活性物質を含む場合、その組み合わせは上記例示した生物学的生理活性物質から必要に応じて適宜選択すればよい。
手元操作部20は、ハブなどとも呼ばれる。手元操作部20は、処置部材10を回転させたり、処置部材10の延びる方向に処置部材10を進退移動させる動作を実施するために用いられる。手元操作部20は、上記に加えて基端部11より薬剤を塗布部16へ導入するシリンジやチューブ類との接続機構を有しているとより好ましい。
手元操作部20は、図3(A)、図3(B)に示すように術者によって把持される把持部21と、処置部材10の基端部11と接続される開口部22と、挿入部材30の調整部32を構成する凹凸形状32aと噛合う噛合い部23と、を有する。
把持部21は術者によって把持される部位である。手元操作部20は円筒形状に構成し、把持部21は当該円筒形状の側面にあたる。しかし、把持が容易であれば、上記以外にも円錐台のようなテーパを設けた形状や多角柱のような形状の側面を把持するように構成してもよい。また、把持を行いやすいように付加的にシリコンコーティングなどの表面処理やリブ加工などの表面加工を施してもよい。
開口部22は、処置部材10の基端側管状部材12の基端部11と接続される部位であり、上述のように融着または溶着などによって処置部材10と手元操作部20とを一体的に接続する。しかし、処置部材10と手元操作部20とを接続できれば、接続方法は融着等に限定されない。開口部22において手元操作部20と処置部材10とが一体的に接続されることによって、手元操作部20の操作に合わせて処置部材10を操作することができる。
具体的に言えば、把持部21を把持して手元操作部20を回転させれば処置部材10も手元操作部20と同じ方向に回転する。また、把持部21を把持して手元操作部20を挿入部材30に対して押し込めば、処置部材10も挿入部材30に対して先端側に押し出される。反対に把持部21を把持して手元操作部20を挿入部材30に対して基端側に引き込めば、処置部材10は挿入部材30に対して基端側に引き込まれる。
噛合い部23は、挿入部材30の調整部32を構成する凹凸形状32aと噛合うことによって処置部材10の挿入部材30に対する位置を固定する。噛合い部23は、挿入部材30の凹凸形状32aと噛合う位置を変えることによって挿入部材30に対する処置部材10の相対的な位置を調整することができる。噛合い部23は、図3(A)などに示すように手元操作部20の先端において断面が三角形の形状を設けることによって構成している。しかし、挿入部材30の凹凸形状32aと噛合うことができれば、断面は三角形でなくてもよく、設ける部位も先端でなくてもよい。
挿入部材30は、処置部材10を収容した状態で生体管腔内において治療を施したい狭窄部などの所定の部位まで誘導する。挿入部材30は、図3(A)、図3(B)などに示すようにガイドワイヤを挿通させるガイドワイヤ挿通部31と、挿入部材30に対する処置部材10の相対的な位置を調整する調整部32と、処置部材10を挿通させる挿入ルーメン33と、挿入ルーメン33内に収容された処置部材10を先端側外部に露出させる先端開口部34と、挿入ルーメン33において生体からの体液の体外への流出を防止するシール部材35と、シール部材35を取り付けるシール取り付け部36と、を有する。
挿入部材30は、体表部から挿入し、患部まで血管内に進入させた上で、体表側に位置する手元操作部20により操作される。本操作をより正確に、容易に行うためには、挿入部材30の外面に摺動性を向上させるような表面処理が施されていてもよい。具体的には、ヒアルロン酸、PVP(ポリビニルピロリドン)、DMAA−b−GMA(ジメチルアクリルアミド−グリシジルメタクリレートブロック共重合体)、アクリルアミド系ポリマー、PEG(ポリエチレングリコール)、シリコン系ポリマーなどの摩擦低減のために用いることが出来るポリマーのコーティング、およびブラスト処理やコルゲート処理などの凹凸加工による接触面積を低減させる表面加工などが挙げられるが、この限りではない。
挿入部材30は、図3(A)、図3(B)に示すように処置部材10を挿通させるための挿入ルーメン33を備えた中空の管状部材を有する。
ガイドワイヤ挿通部31は、挿入ルーメン33とは別に挿入ルーメン33を備える管の外方にガイドワイヤを挿通させるルーメンを設けた形状である。本実施形態においてガイドワイヤ挿通部31は、挿入部材30の中でも比較的先端に設ける形態で構成している(ラピッドエクスチェンジタイプとも呼ばれる)。しかし、これに限定されず、ガイドワイヤの挿通部は手元操作部20の先端付近まで延在しているタイプ(オーバーザワイヤタイプとも呼ばれる)、または薬剤流通ルーメン14内において基端部11から塗布部16の先端部にまでガイドワイヤ挿通部31が延在して形成されるタイプなどで構成してもよい。
調整部32は、挿入部材30に対する処置部材10の相対的な位置を調整するために設けられる。調整部32は、図3(A)、図3(B)に示すように挿入部材30の比較的基端側の内表面および外表面において断面を凹凸に形成した凹凸形状32aと、手元操作部20に設けられた噛合い部23と、を備えている。凹凸形状32aは本実施形態において挿入部材30や基端側管状部材12の基端側に設けている。しかし、例示であって手元操作部20の噛合い部23と噛合うことによって挿入部材30に対する相対的な位置が調整できれば凹凸形状を設ける場所は必ずしも基端側でなくてもよい。また、挿入部材30の基端側内表面は、図3(A)、図3(B)に示すように噛合い部23と噛合う凹凸形状32aの形状と同様に凹凸形状に形成している。しかし、内表面の形状は凹凸形状となっていなくてもよい。
上記のように調整部32として凹凸形状32aと噛合い部23を設け、噛合い部23と凹凸形状32aとを噛合せることによって、処置部材10は挿入部材30に対して処置部材10の延在する方向に固定される。処置部材10は、挿入部材30に固定された状態から把持部21を把持して処置部材10の延在方向に押し込むか若しくは引き込むことによって、噛合い部23と凹凸形状32aにおいて噛合う位置を変化させることができる。これにより、処置部材10の挿入部材30に対する相対的な位置を調整することができる。
手元操作部20の噛合い部23と挿入部材30の凹凸形状32aとは、図3(A)などに示すように角部と隅部とが鋭角な頂点に形成された凹凸形状によって構成している。しかし、これに限定されず、処置部材10の相対的な位置を調整できれば上記凹凸形状を例えばオネジ、メネジのような形状として構成してもよい。なお、調整部32は、挿入部材30と処置部材10の相対的な位置関係を固定出来る機構であればよく、噛合う部位は凹凸形状でなくてもよい。
シール部材35は、挿入部材30の挿入ルーメン33に配置される。医療器具100は、生体管腔内に挿入して使用するため、生体管腔に挿入した際には先端開口部34から挿入ルーメン33に血液などの体液が進入する場合がある。シール部材35は挿入ルーメン33に設けることによって、先端側から進入した体液が基端側から体外に流出することを防止する。
シール部材35は本実施形態においてOリングを有する。しかし、シール部位を形成できれば、上記に限定されず、例えば断面がXの形状をしたXリングや断面がVの形状をしたVリングであってもよい。シール取り付け部36は挿入部材30の挿入ルーメン33に設けられたシール部材35の取り付け部位である。また、1つのシール部材で構成する必要はなく、2つ以上のシール部材に設置し、より確実に体液の進入を防ぐ構造であってもよい。
シール取り付け部36は、挿入部材30の内表面であってシール取り付け部36の周囲の内表面36aよりも内方に突出して形成しているが、先端側から進入した体液の流出を防止できれば上記に限定されない。シール取り付け部36は溝形状を備えることによってシール部材35を取り付け、先端開口部34から進入した体液の体外への流出を防止する。
(医療器具による手技)
次に本実施形態にかかる医療器具を用いた手技の方法について説明する。図4(A)〜図4(C)は生体管腔内における同医療器具の使用例を説明する図である。
医療器具100は、アテレクトミーデバイスなどによって血管内に堆積した石灰化病変を除去した後の治療部位やアテローム病変部位に、薬剤などを塗布する際に使用される。そのため、一例として医療器具100の使用前には血管A内に発生したアテロームや石灰化した病変をアテレクトミーデバイス(不図示)によって削り取るなどして除去する手技を行う。なお、以下の説明では血管A内において薬剤を塗布する部位を対象部位Xと呼ぶことにする。
アテレクトミーデバイスを用いた手技では、まず血管内造影法、血管内超音波診断法などにより病変部の形態を特定する。次にセルジンガー法によって、大腿部などから経皮的に血管A内に導入したガイドワイヤGに沿って、アテレクトミーデバイスを進行させる。そして、石灰化病変部位をアテレクトミーデバイスによって削り取る、粉砕するまたは吸引するなどによって除去し、処置する部位に血液が十分に流通できる状態とする。所望の状態に形成した後はアテレクトミーデバイスを血管Aから抜去する。
次に医療器具100を血管A内に導入する。その際には導入前に医療器具100の内部に上述した薬剤を処置部材10の内部である薬剤流通ルーメン14に満たしておく(プライミングとも呼ばれる)。プライミングでは処置部材10の基端部11に薬剤を供給するリザーバなどの装置を接続し、当該リザーバから薬剤を供給して、薬剤を充填する。
次に図4(A)に示すように、先行して挿入したガイドワイヤGを挿入部材30のガイドワイヤ挿通部31に挿入して医療器具100をアテレクトミーデバイスを挿入した箇所と同じ箇所から生体内へ挿入する。
医療器具100は、まず処置部材10の塗布部16が図4(A)に示すように挿入部材30の挿入ルーメン33に収納された状態において血管A内に挿入される。本実施形態では、生体管腔内における医療器具100の位置を確認できるように、例示的に医療器具100の挿入部材30にX線造影マーカーを設けている。術者はX線造影下において挿入部材30の先端開口部34が対象部位Xの近傍に到達したことを確認し、医療器具100の挿入を停止する。この時点で、ガイドワイヤGがこの後に行われる変位部17の突出によって引っかからないようにガイドワイヤGを手元側へ引く。ただし、ガイドワイヤ挿通部31がオーバーザワイヤータイプで、この後の変位部17の先端開口部34からの突出や回転に邪魔にならない構造・位置関係であればこの限りではない。
次に、術者は把持部21を把持して処置部材10を先端側に押し込み、図4(B)に示すように変位部17を少なくとも部分的に挿入部材30の先端開口部34から突出させる。上記操作によって、処置部材10の塗布部16は図4(B)に示すように処置部材10の先端から見た際(図4(B)の矢印5B参照)に挿入部材30の先端開口部34から放射方向に変位する。
変位部17が先端開口部34から突出したら、術者は手元操作部20の把持部21を把持して手元側からみて時計周り(または反時計周り)に回転させ、塗布部16を生体管腔の目的部位において回転させる。術者が医療器具100をこのように操作すると、塗布部16は図4(B)、図4(C)に示すように塗布部16が挿入部材30の先端開口部34から放射方向に変位した状態で手元操作部20と同じ方向に回転する。
塗布部16の接触部18の外表面は、血管Aの対象部位Xの周方向の一部と接触した状態で薬剤を対象部位Xに塗布する。そのため、塗布部16によって血管を閉塞した状態とせずに処置を行うことができる。よって、血流等を遮断することなく例えば血栓などが生体内に流出することを防止する薬剤を血管Aの内壁面に塗布することができる。
生体内の対象部位Xに薬剤を塗布できたら、図4(A)に示すように処置部材10の延びる方向に処置部材10を引き込み、変位部17および塗布部16を放射方向と逆向きに変位させて挿入部材30の挿入ルーメン33内に収納する。そして、医療器具100を生体内から抜去する。
(作用効果)
次に本実施形態に係る作用効果について説明する。本実施形態にかかる医療器具100によれば、挿入部材30の先端開口部34から変位部17の少なくとも一部が突出されて塗布部16が放射方向に変位した状態において手元操作部20を介して塗布部16を回転可能に構成している。
医療器具100を上記のように構成することによって、塗布部16は生体の管腔内面の周方向に沿って薬剤の塗布などの処置を実施する。そのため、塗布部16の接触部18は血管Aなどの生体管腔の内表面の周方向の一部に接触するにとどまり、塗布部16は生体管腔を閉塞しない状態で薬剤の塗布などの処置を実施する。よって、薬剤の塗布などの処置を実施している間にも血流等が遮断されることを防止できる。
なお、上記では血管における血流の遮断について言及したが、上記はあくまで一例にすぎない。上記以外にも気管における流体(気体)の流れ、食道における食物、胆管における胆汁、尿道における尿など生体管腔内を流れる様々な流動物(気体を含む)の流れを遮断させずに薬剤の塗布などの処置を実施することができる。
また、変位部17は超弾性を備えた部材や、形状記憶合金などの部材によって復元力を備え、当該部材によって塗布部16を先端開口部34から放射方向に変位させるように構成している。
そのため、薬剤を塗布する塗布部16が生体管腔を閉塞しないようにして治療行為が行えるため、血流が遮断されることを防止できる。
また、変位部17は、先端開口部34から少なくとも部分的に突出した際に蛇腹の形状などによって塗布部16の先端開口部34(または基端側管状部材12)に対する変位の程度を調整できるように構成している。そのため、生体管腔の大きさに合わせて塗布部16の接触部18を接触させるようにでき、塗布部16が管腔の内壁面に当たらなくなることを防止したり、内壁面への負荷が高くなりすぎたりすることを防止できる。
また、挿入部材30は、挿入部材30に対する塗布部16の相対的な位置を調整する調整部32を挿入部材30および手元操作部20に備えるように構成している。そのため、調整部32によって処置部材10の延びる方向において塗布部16が移動しないように維持できる。よって、使用時に塗布部16が生体管腔の延びる方向に位置ズレすることを防止でき、医療器具100の操作性を向上させることができる。
また、上記のような調整部32は手元操作部20に設けた噛合い部23と、挿入部材30の外表面に設けた凹凸形状32aと、を備えるように構成し、噛合い部23と凹凸形状32aとが噛合う位置を変化させることによって実現することができる。
次に本発明の実施形態2について説明する。
(実施形態2)
図5(A)、図5(B)、図6は本発明の実施形態2にかかる医療器具を示す斜視図、側面図、正面図である。図7(A)は図5(A)のA部分を示す拡大図であり、図7(B)は図5(B)のB部分を示す拡大図である。
実施形態2では生体管腔に薬剤を塗布する構成が実施形態1における塗布部16と異なる。また、実施形態2では挿入部材を生体管腔内に固定する構成を有する点が実施形態1と異なる。
実施形態2にかかる医療器具100aは、図5(A)などに示すように生体管腔内表面に薬剤を噴射する処置部材10aと、処置部材10aを操作する手元操作部20と、処置部材10aの延びる方向に処置部材10aを挿入可能な挿入ルーメン33を備える挿入部材30aと、を有する。手元操作部20は実施形態1と同様の構成であるため、説明を省略する。
挿入部材30aは、図5(A)などに示すようにガイドワイヤを挿通させるガイドワイヤ挿通部31と、処置部材10aの挿入部材30aに対する相対的な位置を調整する調整部32と、処置部材10aの変位部17および噴射部16aを挿入可能な挿入ルーメン33と、挿入ルーメン33に連通して形成される先端開口部34と、挿入ルーメン33において生体からの体液の体外への流出を防止するシール部材35と、シール部材35を取り付けるシール取り付け部36と、挿入部材30aを生体管腔内に固定する固定部37と、を有する。
図5(A)は医療器具100aの外観を図示しているため、調整部32、挿入ルーメン33、シール部材35およびシール取り付け部36は図示していない。しかし、調整部32、挿入ルーメン33、シール部材35およびシール取り付け部36は実施形態2においても実施形態1の医療器具を図示する図3(A)や図3(B)などと同様である。なお、ガイドワイヤ挿通部31、調整部32、挿入ルーメン33、先端開口部34、シール部材35およびシール取り付け部36は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
固定部37は、生体管腔内の内表面に対して医療器具100aの挿入部材30aを相対的に固定する。固定部37は、図5(A)、図5(B)、図6に示すようにバルーン37a、37b、37c、37dと、チューブ37e、37f、37g、37hと、を有する。バルーン37a〜37dは図5(A)に示すように挿入部材30aの外表面に溶着または融着などによって接着し、拡張によって挿入部材30aを生体管腔内に固定させる固定力を作用させる。しかし、上記に限定されず、バルーン37a〜37dを挿入部材30aの外表面に接着できれば、接着方法は溶着や融着に限定されない。また、ここで示した図5(A)などにおいてはバルーン37a〜バルーン37dの4つを挿入部材30aの外表面に取り付けたが、4つに限定されず、血管内に医療器具100aの位置決めを行えればよい。また、バルーンでなくても血管内壁面と接地し、相対的な位置を固定出来るような構造を有していればよい。
挿入部材30aは生体管腔内との摩擦抵抗が大きくならないように生体管腔における放射方向の大きさを生体管腔よりも小さく構成している。しかしながら、医療器具100aは、挿入部材30aを所定の処置部位の近傍まで進入させることができた際、処置部材10aの先端部の回転を安定させるため、その位置を保持したくなる場合がある。そのため、固定部37は、上記のように医療器具100aを生体管腔内に挿入し、ある程度の位置でその位置を保持したくなった場合等に使用する。
固定部37は、図6などに示すように挿入部材30aを含む医療器具100aの生体管腔への挿入方向における位置を固定するために本実施形態では挿入部材30aの外表面にバルーン37a、37b、37c、37dを略均等な中心角(例えば90度程度)にて接着している。しかし、バルーンの数や配置する際の中心角は、上記に限定されない。チューブ37eはバルーン37aに、チューブ37fはバルーン37bに、チューブ37gはバルーン37cに、チューブ37hはバルーン37dにそれぞれ接続されてバルーンを膨張または収縮させるために必要な生理食塩水や造影剤などの流体を供給または排出できるように構成している。
これにより、医療器具100aは、挿入部材30aの先端部分が手技を行う所定の位置に到達した状態でバルーン37a〜バルーン37dを膨張させて生体管腔内における位置を固定することができる。
図8は図5(B)の8−8線に沿う断面図であって同実施形態にかかる医療器具の固定部について示す図である。図10は、図5(B)の8−8線に沿う断面図であって、図8に示す医療器具の固定部の変形例を示す図である。図8においてバルーン37a〜37dは挿入部材30aの外表面における周方向に等間隔で配置している。このように配置することで、医療器具100aは、処置部材10aの先端部を好適に回転させることができる。なお、図8に示すバルーン37a〜バルーン37dはあくまで一例であり、挿入部材30aを生体管腔内に固定できれば構成は上記に限定されない。
例えば上記以外にも図10に示すように挿入部材30aの外表面の一方向にバルーン37jを配置して医療器具100aを生体管腔内に固定するようにしてもよい。なお、図10の場合、バルーン37jは変位部17が先端開口部34から突出して湾曲変形して変位した位置と同じ回転位置に配置される。また、図5(B)では固定部37を構成するバルーン37a〜37dを先端側にあたるガイドワイヤ挿通部31の近傍に配置している。しかし、これに限定されず、生体管腔の内表面に挿入部材30aを固定して薬剤の塗布などの処置を行うことができれば、挿入部材30aの長手方向における固定部37の位置は先端側でなくてもよい。
なお、バルーン37a〜37dに流体を供給・排出するための流路は、図5のようなチューブ37e〜37hに限定されない。例えば、挿入部材30aの外表面にバルーン37a〜37dに連通する4つのルーメンを設けることで、バルーンに流体を供給・排出できるようにしてもよい。また、挿入部材30aの外表面にバルーン37a〜37dに連通する4つのルーメンを設け、4つのルーメンが挿入部材30aの手元側で1つのルーメンに連結されていてもよい。これにより、術者は、1つのルーメンに流体を注入する操作で、バルーン37a〜37dを拡張することができる。
処置部材10aは、図5(A)、図5(B)、図6、および図7(A)、図7(B)に示すように手元操作部20と接続される基端部11と、処置部材10aの基端側に設けられる基端側管状部材12と、処置部材10aの先端側に設けられる先端側管状部材13と、基端側管状部材12から変位部17を通じ先端側管状部材13に至るまで薬剤が流通する薬剤流通ルーメン14と、先端側管状部材13に設けられて薬剤を生体管腔に射出する射出部15と、射出部15から射出された薬剤を周方向に回転させながら生体管腔に噴射する噴射部16a(処置部、回転部に相当)と、噴射部16aを基端部11に対して放射方向に変位させる変位部17と、を有する。
図5(A)、図5(B)、図6、図7(A)、図7(B)は医療器具100aの外観を図示しているため、薬剤流通ルーメン14および基端部11は図示していないが、実施形態1における図2、図3(A)などと同様である。基端部11、基端側管状部材12、先端側管状部材13、薬剤流通ルーメン14、射出部15、および変位部17は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
噴射部16aは、処置部材10の基端部11から供給された薬剤を手元操作部20による回転とは独立して回転しながら噴射する。噴射部16aは、図5(B)、図6および図7(A)、図7(B)に示すように噴射部16aを手元操作部20による回転とは独立して回転させるブレード19a〜19dと、ブレード19a〜19dを取り付ける取り付け部19e〜19gと、を有する。実施形態1と同様に説明の便宜上、噴射部16aが手元操作部20による回転と独立して回転する軸を回転軸A2と呼ぶことにする。回転軸A2は図5(B)に示すように先端側管状部材13の中心軸と概ね一致する。
ブレード19a〜19dは、平板を回転軸A2の回りに捩るように形成され、取り付け部19e〜19gに取り付けられる。ブレード19a〜ブレード19dは射出部15から射出された薬剤によって手元操作部20による回転とは独立して噴射部16aを回転させる。ブレード19a〜19dは、図6、図7(A)などに示すように周方向に略90度間隔で4つ配置している。また、ブレード19a〜19dの捩じりの角度は、図5〜7では取り付け部19eの接着部から取り付け部19gの接着部まで90°ずれている形で記載されている。しかし、手元操作部20による回転と独立して噴射部16aを回転できれば、ブレードの数、位置や捩じりの程度は上記に限定されない。
取り付け部19eは、図7(A)、図7(B)に示すように例示的に円筒状に形成され、先端側管状部材13に回転可能に取り付けられる。取り付け部19f、取り付け部19gは中空の円筒状に形成している。取り付け部19fは、取り付け部19eよりも先端側管状部材13において基端側に配置され、ブレード19a〜19dを介して取り付け部19eと一体的に構成している。取り付け部19gは、取り付け部19fよりも先端側管状部材13において基端側に配置され、ブレード19a〜19dを介して取り付け部19eと一体に構成している。
(医療器具による手技)
次に実施形態2に係る医療器具を用いた手技について説明する。図9(A)、図9(B)は実施形態2に係る医療器具の使用例を説明する図である。
医療器具100aを用いた手技では、実施形態1で述べたように医療器具100aが生体内の対象部位Xに到達したら、医療器具100aの挿入を停止する。次に固定部37を構成するバルーン37a〜37dを拡張させて医療器具100aを生体管腔内に固定する。次に把持部21を把持して処置部材10を先端側へ押し込み、変位部17を挿入部材30aの先端開口部34から突出させる。
次に把持部21を把持して処置部材10aを回転軸A1の回りに時計回りまたは反時計周りに回転させると共に、噴射部16aを手元操作部20による回転と独立して回転軸A2回りに回転させて薬剤の塗布を行う。
ブレード19a〜19dに射出部15から薬剤などが吹き付けられると、吹き付けられた薬剤はブレード19a〜19dを周方向に移動させる。そして、ブレード19a〜19dを取り付けた取り付け部19e〜19g(噴射部16a)は、ブレード19a〜19dの周方向への移動によって先端側管状部材13の回転軸A2の周りに回転する。
噴射部16aは、処置部材10の基端部11から供給された薬剤が射出部15から射出され、薬剤がブレード19a〜19dに当たることによって、図9(A)、図9(B)に示すように手元操作部20による回転とは独立して先端側管状部材13の回転軸A2周りに回転する。
薬剤の塗布が完了したら、処置部材10aを引き込んで挿入部材30aの内部に収納し、固定部37を構成するバルーン37a〜37dを収縮させて医療器具100aを生体内から抜去する。その他については実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
(作用効果)
実施形態2にかかる医療器具100aは、射出部15から吹き付けられた薬剤などによって、手元操作部20による回転とは独立して噴射部16a(処置部)を先端側管状部材13の回転軸A2周りに回転できるように構成している。そのため、薬剤を吹き付けている間にも血流を遮断せずに実施形態1と同等かそれ以上に生体管腔内表面に薬剤を吹き付けることができる。
なお、噴射部16aを構成するブレード19a〜19dは、薬剤を塗布する外表面がPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、ナイロンエラストマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、シリコン、シリコンエラストマーなどの高分子材料を加工したスポンジ状多孔質部材、織物、編み物、不織布などの繊維性膜部材などを有するように構成している。
また、よりスムーズに血管壁と摺動するためには、血管壁接触部との摩擦が低くなるような表面処理が施されていてもよい。具体的には、ヒアルロン酸、PVP(ポリビニルピロリドン)、DMAA−b−GMA(ジメチルアクリルアミド−グリシジルメタクリレートブロック共重合体)、アクリルアミド系ポリマー、PEG(ポリエチレングリコール)、シリコン系ポリマーなどの摩擦低減のために用いられるポリマーによるコーティング、ブラスト処理、コルゲート処理などの凹凸加工による接触面積を低減させる表面加工などが挙げられるが、この限りではない。
また、ブレード19a〜19dの軸となる取り付け部19eには、先端側管状部材13の先端において噴射部16aをよりスムーズに回転させるために上記と同様の表面処理を施してもよい。
ここで作用効果についての説明に戻る。医療器具100aは、挿入部材30aを生体管腔内に対して固定する固定部として挿入部材30aの外表面に配置が可能なバルーン37a〜37dを有するように構成している。バルーン37a〜37dは拡張によって挿入部材30aを生体管腔内に固定させる固定力を作用させる。
そのため、挿入部材30aを含む医療器具100aを生体管腔内の所定位置に位置決めできる。よって、医療器具100aを生体管腔に固定できるため、術者は医療器具100aから手を放しても手技を行うことができる。よって、医療器具100aの作業性を向上させることができる。
次に実施形態2の変形例について説明する。
(実施形態2の変形例)
図11は実施形態2に係る医療器具の噴射部の変形例を示す正面図、図12(A)、図12(B)は図11における医療器具の先端部を示す斜視図、側面図である。実施形態2では噴射部16aを構成するブレード19a〜19dが平板を回転軸A2の回りに捩るように形成し、取り付け部19e〜19gに取り付ける、と記載した。しかし、上述のように噴射部16aを手元操作部20による回転とは独立して回転できれば構成は上記に限定されない。
噴射部の構成は上記以外にも例えば以下のように構成することもできる。実施形態2の変形例における噴射部16bは、図11、図12(A)、図12(B)に示すように、噴射部16bを手元操作部20による回転とは独立して回転させるブレード19hと、ブレード19hを取り付ける取り付け部19i〜19nと、を有する。
ブレード19hは、平面を先端側管状部材13を先端側から見た際の放射方向に捩るような曲面に形成している。取り付け部19i〜19mは、取り付け部19nに固定され、ブレード19hを取り付けている。
図12(A)、図12(B)において取り付け部19i〜19mにはブレード19が各々5つ取り付けられ、取り付け部19i〜19mは取り付け部19nにおいて略90度間隔で配置されている。しかし、噴射部16bを手元操作部20による回転と独立して回転させることができれば、ブレードの数や取り付け部の配置は上記に限定されない。噴射部16bが上記のように構成されることによって、実施形態2と同様に手元操作部20による回転とは独立して噴射部16bを回転させながら薬剤の塗布などの処置を実施することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。実施形態1では挿入部材30がシール部材35としてOリングを備えると説明した。この点について挿入部材30は、シール部材35を利用して、生体管腔に挿入した状態で挿入部材30の挿入ルーメン33に生理食塩水などを供給することが可能な供給ポートを挿入部材30のシール取り付け部36よりも先端側の外表面に設けるように構成してもよい。これにより、術者は、挿入部材30内を容易にプライミングすることができる。
また、上記実施形態にかかる医療器具は、生体管腔内に薬剤などを塗布したり、薬剤を吹きつける器具であると説明したが、これに限定されない。実施形態2の取り付け部19e〜19gにおいてブレード19a〜19dの代わりに生体管腔内を切開する刃物のような部材を取り付け、生体管腔内を部分的に削り取る器具(アテレクトミーデバイス)としてもよい。また、アテレクトミーデバイス以外にも生体管腔内の病変部を電気的に焼き切って切除する器具(アブレーションデバイス)としてもよい。
また、射出部15は先端側管状部材13の円筒形状の側面に孔のような形状を3ヵ所有する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも薬剤を染み出させることができれば先端側管状部材13の円筒形状の先端の面から薬剤を射出して生体管腔に塗布するように構成してもよい。
10 処置部材、
100、100a 医療器具、
11 基端部、
12 基端側管状部材、
13 先端側管状部材、
14 薬剤流通ルーメン、
15 射出部、
16 塗布部、
16a 噴射部、
17 変位部、
18 接触部、
19a〜19d ブレード(処置部、回転部)、
19e〜19g 取付け部(処置部、回転部)、
20 手元操作部、
21 把持部、
22 開口部、
23 噛合い部、
30 挿入部材、
31 ガイドワイヤ挿通部、
32 調整部、
33 挿入ルーメン、
34 先端開口部、
35 シール部材、
36 シール取り付け部、
37 固定部、
A1 基端側管状部材の便宜上の回転軸、
A2 先端側管状部材の便宜上の回転軸。

Claims (8)

  1. 生体外部に配置される基端部と、先端部に設けられ前記生体の管腔内に挿入されて所定の処置を行う処置部と、前記処置部よりも基端部側に設けられ、前記処置部を前記基端部に対して放射方向に変位させる変位力を作用させる変位部と、を備え、前記生体の管腔内への挿入方向に沿う軸方向に所定の長さを有して構成された長尺状の処置部材と、
    前記処置部および前記変位部を挿入可能なルーメンと、前記ルーメンに連通して形成され、前記処置部および前記変位部を突出可能な先端開口部と、を備える中空状の挿入部材と、
    前記処置部材の基端部に設けられ、前記処置部の回転動作、および前記ルーメン内外における前記処置部の進退移動を操作可能に構成された手元操作部と、を有し、
    前記挿入部材の先端開口部から前記変位部の少なくとも一部が突出されて前記処置部が前記放射方向に変位した状態において、前記手元操作部を介して前記処置部を回転可能である、医療器具。
  2. 前記変位部は、復元力を備えた変形部材を有し、前記変位部が前記先端開口部から突出した際に復元力によって前記処置部を前記先端開口部から放射方向に変位させる請求項1に記載の医療器具。
  3. 前記変位部は、前記変位部が前記先端開口部から少なくとも部分的に突出した際に前記変形部材による前記処置部の前記先端開口部に対する変位の程度を調整する変位調整部をさらに有する請求項2に記載の医療器具。
  4. 生体管腔の内壁面に吹き付けられる物質を射出する射出部をさらに有し、
    前記処置部は、前記射出部から吹き付けられた前記物質によって前記手元操作部による回転とは独立して前記処置部を回転させる回転部をさらに有する請求項1から3のいずれか1項に記載の医療器具。
  5. 前記挿入部材を前記生体管腔内に固定する固定部をさらに有する請求項1から4のいずれか1項に記載の医療器具。
  6. 前記固定部は、前記挿入部材の外表面に設けられ、拡張により前記挿入部材を生体管腔内に固定させる固定力を作用させるバルーンを有する請求項5に記載の医療器具。
  7. 前記挿入部材および前記手元操作部に設けられ、前記挿入部材に対する前記処置部の相対的な位置を調整する調整部をさらに有する請求項1から6のいずれか1項に記載の医療器具。
  8. 前記調整部は、前記挿入部材の外表面に設けられた凹凸形状と、
    前記手元操作部に設けられ、前記挿入部材の凹凸形状と噛み合う噛合い部と、を有する請求項7に記載の医療器具。
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