JP2014014403A - 生体管腔内治療デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】血管内の所望の処置対象に被塗布物質を確実に付着させる。
【解決手段】生体管腔内治療デバイス10は、直線状に延在する長尺なシャフト12と、シャフト12に支持され、シャフト12の延在方向の周囲を回ることにより血管Aの内周面に当接又は近接する1つの略円環形状を形成し、且つ被塗布物質を吐出可能な吐出口18が先端面36aに設けられた塗布部14と、塗布部14を弾性変形させて収容して血管A内を送達可能であり、且つ塗布部14と相対的に進退自在なシース16とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体管腔の内面に被塗布物質を塗布する生体管腔内治療デバイスに関する。
生体器官(例えば、血管、胆管、気管、食道、尿道、鼻腔、或いはその他の臓器等)に生じた病変部に対しては、生体管腔内を通して治療デバイスを送達し、所定の治療を施す手技が行われている。例えば、血管の病変部である狭窄部を処置する治療デバイスとしては、血管壁を内側から押し広げるステント(薬剤溶出型ステント:DESを含む)や薬剤溶出型バルーンカテーテル(DEB)、或いは他の補綴物等が用いられる。また、近年では、治療デバイスとして血管内を介して送達可能なアブレーションデバイスを用い、血管(例えば、腎動脈)の内部の神経を切断(アブレーション)する処置等を行うこともある。
ところで、上記の手技では、肥厚した血管壁(内膜)に治療デバイスが接触又は拡張することで内膜中の弾性板に亀裂が生じたり、断裂したりする、又は治療デバイスの接触にともない血管壁に炎症や損傷が生じることが確認されている。さらに、治療後に、血管内に血栓が発生して末梢血管を塞栓したり、処置箇所に再狭窄が生じたりする不都合も生じる。このため、近年では、特許文献1に開示されている組成物を処置した血管壁に塗布する等して、病変部の治療の改善が図られている。
特許文献1には、アルギネート−カテコールと呼ばれるゲル状の接着剤が開示されている。この接着剤は、カテーテル側面に設けられた吐出口から血管壁に吐出される。吐出された接着剤は、カテコール基が血管壁と反応し、且つ炎症部位に高濃度に存在するCa2+によりアルギネートが架橋されるため、短時間にゲル化することとなり、処置後の血管壁を良好にコーティングすることができる。
また、局所薬剤投与用の治療デバイスとしては、特許文献2に、管体の先端部にコイルを有し、該コイルの側面(外側面又は内側面等)に吐出口が設けられたものが開示されている。すなわち、この治療デバイスは、血管内の血管壁に対し、コイルの側面の吐出口から薬液を吐出して血管壁に局所的に薬液を吸収させる構成となっている。
米国特許出願公開第2011/0077216号明細書 欧州特許第0754072号明細書
さて、特許文献1に開示されている治療デバイスは、長細く形成されたカテーテルの側面から接着性物質を含む溶液を吐出する構成となっており、血管内を流れる血液の影響を大きく受ける。特に、血管内では、血管壁付近の血液よりも中心部付近の血液の方が速く流れるため、血管の軸心上に位置するカテーテルの側面から接着性物質を含む溶液を吐出すると、血流によって接着性物質を含む溶液が流されやすく、充分な量の接着性物質を処置対象に的確に付着させることが困難となる。また、接着性物質は、カテーテルの所定位置に形成された吐出口からのみ吐出されるため、血管壁に対し不均一に付着されやすい。
一方、特許文献2に開示されている治療デバイスは、コイルが血管壁に接触した状態で、コイルの吐出口から薬液を吐出するため、血流の影響は低減される。しかしながら、この構成では、吐出口が血管壁に閉塞され易くなり、薬液が血管壁に充分に吐出されないおそれがある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、生体管腔内の所望の処置対象に被塗布物質を確実に付着させることができ、これにより生体管腔を良好に治療することが可能な生体管腔内治療デバイスを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る生体管腔内治療デバイスは、生体管腔内に挿入される長尺なシャフトと、前記シャフトに支持され、同一平面上を周方向に沿って延在することにより前記生体管腔の内周面に当接又は近接する1つの略円環形状を形成し、且つ被塗布物質を吐出可能な吐出口が先端面に設けられた塗布部と、前記塗布部を弾性変形させて収容して前記生体管腔内を送達可能であり、且つ前記塗布部と相対的に進退自在な外管とを備えることを特徴とする。
上記によれば、塗布部が生体管腔の内周面に当接又は近接する1つの略円環形状に形成され、その先端面に吐出口が設けられていることで、生体管腔内において外管から露出された塗布部は、生体管腔の内周面に閉塞されることなくその近傍位置に吐出口を配置させることができる。このため、吐出口から被塗布物質を吐出すると、生体管腔内を流れる流体の影響をほとんど受けることなく、生体管腔の内周面に被塗布物質を確実に塗布することができる。さらに、1つの略円環形状からなる塗布部であれば、管腔壁に一旦吐出された被塗布物質に対し、塗布部の外表面が接触しないように処置することもでき、被塗布物質の剥離を防ぐことができる。
この場合、前記シャフトと前記塗布部は、前記吐出口に連通するとともに前記被塗布物質を流通可能な被塗布物質流通ルーメンを内部に有する管体として一体成形されることが好ましい。
このように、シャフトと塗布部が一体成形されることで、弾性変形する塗布部をシャフトにより安定的に支持することができ、しかも製造コストを低減することができる。
また、前記シャフトの基端部に接続され、前記被塗布物質流通ルーメンに前記被塗布物質を供給する被塗布物質供給源をさらに備えるとよい。
これにより、被塗布物質供給源から、被塗布物質流通ルーメンを介して吐出口に被塗布物質をスムーズに導くことができ、所望の供給量からなる被塗布物質を吐出することができる。
さらに、前記吐出口から吐出される前記被塗布物質としては、低分子の薬剤を溶解させたような低粘度の溶液よりも、むしろ、多糖類、ベタイン系高分子、ポリエチレングリコール等の変性物である接着性を発現する高分子物質を溶解させた溶液、さらにはその溶液中に生物学的生理活性物質を共存させたような、より粘度の高い溶液を好適に使用することができる。
ここで、前記外管は、前記シャフト及び前記塗布部を収容可能な収容ルーメンと、前記収容ルーメンに並行し、ガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメンとを有する構成とすることができる。
このように、収容ルーメンと別にガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメンを有することで、収容した塗布部の邪魔をすることなく、ガイドワイヤに沿って生体管腔の処置対象に外管を容易に送達することができる。
また、前記塗布部の先端面には、前記吐出口が複数設けられ、複数の前記吐出口は、前記塗布部の周方向に沿って固定端側から自由端側に向かってその開口面積が大きくなる構成としてもよい。
このように、塗布部の固定端側から自由端側に向かって吐出口の開口面積が大きくなっていることで、被塗布物質の流通量等に応じて固定端側から供給される吐出口から被塗布物質を順次吐出することができ、被塗布物質を均一的に塗布することができる。
さらに、前記塗布部には、前記塗布部の湾曲度合を補強する補強部材が設けられているとよい。
このように、補強部材が設けられることで、例えば、塗布部の適合性や抗キンク性を向上することができる。
またさらに、前記塗布部の表面には、潤滑性コート剤がコーティングされているとよい。
このように、塗布部の表面に潤滑性コート剤がコーティングされていることで、生体管腔の内周面に塗布部を当接させた状態で、生体管腔の軸方向に沿って塗布部を円滑に摺動させることができる。
本発明によれば、生体管腔内の所望の処置対象に被塗布物質を確実に付着させることができ、これにより生体管腔を良好に治療することができる。
本実施の形態に係る治療デバイスの全体構成を示す斜視図である。 図2Aは、図1の塗布部の展開状態を示す部分正面図であり、図2Bは、図1の塗布部の展開状態を示す部分側面図であり、図2Cは、図1の塗布部の収容状態を示す部分側面図であり、図2Dは、細い血管内での塗布部の展開状態を示す部分側面図である。 図3Aは、第1構成例に係る治療デバイスを示す要部正面図であり、図3Bは、第2構成例に係る治療デバイスを示す要部正面図であり、図3Cは、第3構成例に係る治療デバイスを示す要部正面図であり、図3Dは、第4構成例に係る治療デバイスを示す要部正面図である。 図4Aは、第5構成例に係る治療デバイスを示す要部側面図であり、図4Bは、第6構成例に係る治療デバイスを示す要部側面図であり、図4Cは、第7構成例に係る治療デバイスを示す要部側面図である。 図5Aは、図1の治療デバイスを用いた動作手順を示す第1説明図であり、図5Bは、図5Aに続く治療デバイスの動作手順を示す第2説明図であり、図5Cは、図5Bに続く治療デバイスの動作手順を示す第3説明図である。 図6Aは、図1の治療デバイスを用いた他の動作手順を示す第1説明図であり、図6Bは、図6Aに続く治療デバイスの他の動作手順を示す第2説明図であり、図6Cは、図6Bに続く治療デバイスの他の動作手順を示す第3説明図である。
以下、本発明に係る生体管腔内治療デバイスについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る治療デバイスの全体構成を示す斜視図である。この生体管腔内治療デバイス10(以下、単に治療デバイス10ともいう)は、皮膚に開けた小さい孔からカテーテルを血管に挿入し治療を行う治療法(インターベンション)により、血管内の病変部を治療するためのデバイスである。特に、本治療デバイス10は、バルーンカテーテル、ステント及びアテレクトミーデバイスによる病変部(狭窄部や血管壁が弱くなった部分)の治療、或いはアブレーションデバイスによる血管の処置等にも併用され、病変部や処置後の血管壁に被塗布物質を塗布するために用いられる。
例えば、バルーン血管形成術では、バルーンカテーテルにより狭窄部を押し広げる手技を行った後に、治療デバイス10を送達して治療部位に被塗布物質を塗布する。また、ステント留置術では、ステントを狭窄部に留置する手技を行った後に、治療デバイス10を送達してステントの留置部位周辺に被塗布物質を塗布する。さらに、アテレクトミーでは、アテレクトミーデバイスにより血管壁に堆積したアテローム(粥種)や石灰化病変の除去を行った後に、治療デバイス10を送達して治療部位に被塗布物質を塗布する。或いは、交感神経アブレーション治療では、血管壁の内部を通る交感神経を切断する処置を行った後に、治療デバイス10を送達して処置箇所の血管壁に被塗布物質を塗布する。
以下の説明では、血管A内の血管壁Bに生じたアテローム(処置対象X)の除去後に被塗布物質を塗布する治療デバイス10について代表的に説明していく(図5A〜図5C参照)。なお、この治療デバイス10は、上記の手技に限定されず様々な手技に用いることが可能であり、また種々の生体管腔(例えば、胆管、気管、食道、尿道、鼻腔、その他の臓器等)内の治療に応用できることは勿論である。
本実施の形態に係る治療デバイス10は、シャフト12と、シャフト12の先端に設けられた塗布部14と、塗布部14を収容した状態で血管A内に挿入可能なシース16(外管)とを有する。また、塗布部14の先端面には、血管A内の血管壁Bに被塗布物質を吐出可能な吐出口18が複数設けられている。
シャフト12は、シース16に収容可能な外径を有する管体であり、塗布部14が処置対象Xに到達される充分な長さで直線状に延在している。このシャフト12の先端には、塗布部14が連設(一体成形)されており、シャフト12と塗布部14は、血管Aに対して一体的に進退自在となっている。
一方、シャフト12の基端部には、術者が把持し易いようにシャフト12よりも大径なハブ20が設けられている。ハブ20は、シャフト12が連結される先端側の可動部22と、可動部22を収容可能に囲う基端側の固定部24とを有し、固定部24に対し可動部22が進退移動することによりシャフト12全体を進退移動させる構成となっている。この可動部22の進退移動は、術者の他にアクチュエータ26により実施される。アクチュエータ26としては、例えば、本出願人が先に出願した特開2011−152274号公報に開示されている外部駆動装置等を好適に適用することができる。
また、固定部24の側周面には、空洞状の供給路28aを有する供給ポート28が連設されており、この供給路28aは、ハブ20の内部を延在する被塗布物質流通ルーメン30(以下、単に流通ルーメン30という)に連通されている。供給ポート28は、処置対象Xに塗布される被塗布物質を供給可能なリザーバ32(被塗布物質供給源)に接続される。
リザーバ32は、充分な量の被塗布物質を貯留可能な貯留槽を有する。また、リザーバ32は、図示しない操作部を術者等が操作することにより、被塗布物質の供給量を制御して出力するシリンジとしての機能も有している。従って、被塗布物質は、所望のタイミングでリザーバ32から供給ポート28(供給路28a)に供給され、ハブ20内の流通ルーメン30に導入される。
被塗布物質としては、例えば、血管壁Bに対して強い接着力を発揮するアルギネート−カテコールが挙げられる。既述したように、アルギネート−カテコールは、血管A内で短時間にゲル化し、処置後の血管壁Bを良好にコーティングする。このため、処置対象Xに生じた炎症等を保護しつつ、処置対象Xの再狭窄や血栓の発生を抑止することができる。勿論、塗布される物質は、アルギネート−カテコールに限定されるものではなく、例えば、ヘパリン、ヒアルロン酸等の多糖類、ベタイン系の高分子、或いはポリエチレングリコールのカテコール修飾物等が挙げられる。また、被塗布物質に加えて、生物学的生理活性物質を含む種々の薬剤を同時に適用し得る。例えば、狭窄部の治療においては、血管A内の治療部位に付着させることで再狭窄を抑制する生物学的生理活性物質を適用するとよい。この場合、生物学的生理活性物質としては、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、抗高脂血症薬、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症剤、リポ蛋白関連ホスホリパーゼ阻害剤、生体由来材料、インターフェロン、NO産生促進物質等が挙げられる。
抗癌剤としては、例えば、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンデシン、塩酸イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル水和物、メトトレキサート、シクロフォスファミド等が好ましい。免疫抑制剤としては、例えば、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス水和物、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸グスペリムス、ミゾリビン等が好ましい。
抗生物質としては、例えば、マイトマイシンC、塩酸ドキソルビシン、アクチノマイシンD、塩酸ダウノルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸エピルビシン、硫酸ペプロマイシン、ジノスタチンスチマラマー等が好ましい。抗リウマチ剤としては、例えば、金チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリット二ナトリウム等が好ましい。抗血栓薬としては、例えば、へパリン、塩酸チクロピジン、ヒルジン等が好ましい。
抗高脂血症薬としては、HMG−CoA還元酵素阻害剤やプロブユールが好ましい。そして、HMG−CoA還元酵素阻害剤としては、例えば、セリバスタチンナトリウム、アトルバスタチン、ニスバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンナトリウム等が好ましい。
ACE阻害剤としては、例えば、塩酸キナプリル、ペリンドプリルエルブミン、トランドラプリル、シラザプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル等が好ましい。カルシウム拮抗剤としては、例えば、ニフェジピン、ニルバジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベニジピン、ニソルジピン等が好ましい。抗アレルギー剤としては、より具体的には、例えば、トラニラストが好ましい。
レチノイドとしては、例えば、オールトランスレチノイン酸が好ましい。抗酸化剤としては、例えば、カテキン類、アントシアニン、プロアントシアニジン、リコピン、β−カロチン等が好ましい。カテキン類の中では、エピガロカテキンガレートが特に好ましい。チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲニステイン、チルフォスチン、アーブスタチン等が好ましい。抗炎症剤としては、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイドやアスピリンが好ましい。生体由来材料としては、例えば、EGF(epidermal growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)、HGF(hepatocyte growth factor)、PDGF(platelet derived growth factor)、BFGF(basic fibroblast growth factor)等が好ましい。
生理活性物質は、上記例示した生物学的生理活性物質のうち、一種類のみを含んでもよく、又は二種類以上の異なる生物学的生理活性物質を含んでもよい。二種類以上の生物学的生理活性物質を含む場合、その組み合わせは上記例示した生物学的生理活性物質から必要に応じて適宜選択すればよい。
流通ルーメン30は、上記の被塗布物質を流通可能な内径を有し、ハブ20、シャフト12及び塗布部14の内部を基端側から先端側に向かって延設されている。この流通ルーメン30は、先端側の塗布部14において複数の吐出口18に連通している。リザーバ32から流通ルーメン30に供給された被塗布物質は、塗布部14に導かれて、吐出口18から血管A内に吐出される。なお、リング部36内にのみ流通ルーメン30を設けて、このリング部36に図示しないチューブを接続して被塗布物質を供給する構成としてもよい。これにより、シャフト12や湾曲部34を中実状の棒材で構成することができ、製造が容易となる。
図2Aは、図1の塗布部14の展開状態を示す部分正面図であり、図2Bは、図1の塗布部14の展開状態を示す部分側面図であり、図2Cは、図1の塗布部14の収容状態を示す部分側面図であり、図2Dは、細い血管A1内での塗布部14の展開状態を示す部分側面図である。
塗布部14は、シャフト12の先端に連なり該シャフト12の径方向外側に湾曲しつつ先端方向に延在する湾曲部34と、この湾曲部34の先端に連なりシャフト12の軸線O(延長線を含む)を周回する略円環形状に形成された1つのリング部36とを有する。湾曲部34は、シース16に収容されていない自然状態で、シャフト12から緩やかに巻回して先端側に延出している。塗布部14は、この湾曲部34にリング部36が連なることにより、正面視(図2A参照)で、リング部36の中心にシャフト12の軸線Oが一致するように構成される。塗布部14は、X線造影マーカーを備えることにより、血管A内の処置対象Xに対する位置を確認することが可能である。
リング部36は、固定端(基端)側が連結箇所35で湾曲部34に連なり、固定端に連なる胴体部が血管Aの内周面に沿って1周回り、胴体部に連なる自由端(先端)側が連結箇所35に近接している。このため、リング部36は、正面視で、連結箇所35付近(図2A中下側)に若干の隙間38を有する略円環形状(C字形状)に形成されている。また、リング部36の自由端の最端部36bは、閉じており、流通ルーメン30に供給された被塗布物質が吐出しないように構成されている。
湾曲部34及びリング部36の形状は、構成材料によって記憶されており、シース16に対しては、湾曲部34及びリング部36が直線状に弾性変形することにより収容され(図2C参照)、シース16から露出されると弾性復元して自然状態である略円環形状に展開する(図2A及び図2B参照)。
塗布部14及び一体成形されるシャフト12の構成材料としては、形状記憶性を有する金属を挙げることができる。このような材料としては、例えば、Ni−Ti系合金(ナイチノール)のような擬弾性合金(超弾性合金を含む)、形状記憶合金、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等、SUSの全品種)、コバルト系合金、金、白金のような貴金属、タングステン系合金、炭素系材料(ピアノ線を含む)等が挙げられる。勿論、塗布部14が弾性復元できれば、その材料は特に限定されるものではなく、高分子材料等の樹脂を用いてもよい。高分子材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料又はこれらの混合物、或いは上記二種以上の高分子材料を組み合わせたものが挙げられる。
また、体温で形状が変化(例えば、拡径)できるような形状記憶樹脂を用いてもよい。この場合、より管腔壁に損傷を与えることなく、該管腔壁に塗布部14が接触した状態を維持することが可能となり、血管壁B等への傷害を一層確実に抑止できるようになることが期待される。
リング部36(塗布部14)は、比較的弱い弾性力、例えば、血管壁Bの弾性力よりも小さな弾性力を有して略円環形状に形成される。また、リング部36の展開状態の外径は、例えば、処置対象Xが存在する血管Aの内径に一致する、又は血管Aの内径よりも若干大径となるように設定されていることが望ましい。これにより、リング部36の外周面を血管壁Bに適度な当接力で接触させることができ、血管壁Bを不要に押圧して傷付けることを回避することができる。
リング部36の略円環形状は、側面視(図2B参照)で、シャフト12の軸線Oに直交する1つの平面上に構成される。このため、リング部36が血管Aの軸方向に直交するように展開されると、平坦状の先端面36aも血管Aの軸方向に直交する。これにより、血管A内の展開状態では、リング部36の先端面36aに形成された複数の吐出口18を一体的に(同軸上で)正面方向に臨ませることができる。
なお、塗布部14(リング部36)は、以上の形状に限定されないことは勿論である。例えば、塗布部14は、シャフト12の先端に設けられず、シャフト12の途中位置に設けられてもよい。また、塗布部14は、湾曲部34を備えず、シャフト12とリング部36が直接連結された形状に形成されてもよい。さらに、リング部36の自由端が連結箇所35に当接する構成(隙間38がない円環形状)に形成されることで、リング部36の周方向に沿って吐出口18をより多く設けることができ、被塗布物質を一層満遍なく塗布することもできる。
吐出口18は、所定の開口面積を有し流通ルーメン30に連通する長孔からなり、リング部36の周方向に沿って複数設けられる。複数の吐出口18は、図2Aに示すように、塗布部14が血管A内で展開しその外周面が血管壁Bに当接した状態で、血管壁Bの近傍位置に配置される。この際、吐出口18は、血管Aの軸方向(正面方向)を臨むので、血管壁Bに閉塞されることなく開口する。そのため、被塗布物質は、先端面36aから血管壁Bに沿って流出される。
図2Cに示すように、シース16は、上述した塗布部14を略直線状に弾性変形して収容する。このシース16は、送達される血管Aの内径よりも小径な外径を有する管体からなり、その内部には塗布部14を収容可能な収容ルーメン40が貫通形成されている。塗布部14は、収容ルーメン40の先端開口付近に収容される。シース16を構成する材料は、塗布部14を弾性変形して収容可能な剛性を有するとともに、蛇行する血管Aに追従可能な柔軟性を有する材料によって構成されることが好ましい。このような材料としては、例えば、シャフト12及び塗布部14の説明で挙げた材料を適用することができる。
シース16の基端部は、塗布部14が処置対象Xに送達された状態で、生体外部に露出するようになっており、図1に示すように、この基端部には径方向外側に拡径した鍔部42(操作部)が形成されている。シース16は、鍔部42が操作されることで、シャフト12及び塗布部14と相対的な進退移動がなされる。
また、シース16の先端部には、軸方向に沿って所定長さ延在する膨出部44が連設されており、この膨出部44には収容ルーメン40に並行するようにガイドワイヤルーメン46が形成されている。ガイドワイヤルーメン46には、血管A内に先行して挿入されるガイドワイヤ48が挿通される。すなわち、本実施の形態に係るシース16は、ラピッドエクチェンジタイプのカテーテルとして構成されている。なお、ガイドワイヤルーメン46を有するシース16は、上記のラピッドエクチェンジタイプに限定されるものではなく、ガイドワイヤルーメン46がハブ20まで延在したオーバーザワイヤタイプに構成されてもよい。オーバーザワイヤタイプの場合、ガイドワイヤルーメン46は、例えば収容ルーメン40と並行に設けられてもよく、収容ルーメン40自体をガイドワイヤルーメン46として用いてもよい。
リング部36は、収容ルーメン40を構成するシース16の内壁16aにより拡張が規制される。シース16の後退移動時には、シース16の先端開口40aにリング部36の胴体部がガイドされつつ除々に露出され、円弧状を描くように展開していく。なお、リング部36の自由端は、湾曲状(R状)に形成されており、露出時に自由端が血管壁Bに接触しても、血管壁Bを傷付けないように構成されている。
また、治療デバイス10は、図2Dに示すように、塗布部14が完全に拡張した状態の外径よりも小径の血管A1(すなわち、リング部36より曲率半径が小さい血管)を治療する場合でも、リング部36の露出量を調整することにより、この血管A1内に略円環形状を形成することができる。つまり、血管壁B1よりも弾性力が小さいリング部36は、シース16からの露出にともない、曲率半径が小さい血管A1の内周面に沿って回り込んでいく。その結果、露出量が調整されたリング部36は、血管A1の内径に一致する外径を有する略円環形状にガイドされ、血管壁B1の近傍位置に吐出口18を配置させる。
さらに、塗布部14の表面には、潤滑性コート剤50がコーティングされていることが好ましい。潤滑性コート剤50は、血管壁Bに塗布部14を当接させた状態で、塗布部14を血管Aの軸方向に円滑に移動させることができ、血管壁Bの炎症等を防ぐことができる。
また、治療デバイス10の塗布部14は、上述した構成に限定されるものではなく、種々の構成を取り得る。以下、治療デバイス10の他の構成例をいくつか説明していく。なお、以下の説明において本実施の形態に係る治療デバイス10と同一の構成又は同一の機能を有する構成については、同じ符号を付しその詳細な説明については省略する。
図3Aに示す第1構成例に係る治療デバイス10A(塗布部14a)は、被塗布物質を吐出する複数の吐出口18aの開口面積が、固定端側から自由端側に向かって段々と大きくなるように形成されている。すなわち、リング部36内の流通ルーメン30を流通する被塗布物質は、固定端側では多量に存在するが、先端側への流通中に吐出口18aから吐出されることで徐々に少量となる。このため、吐出口18aの開口面積が固定端側から自由端側に向かって大きくなることにより、被塗布物質の吐出量を流通量に応じて適宜調整することができ、血管壁Bに対し被塗布物質をより均一的に塗布することができる。
図3Bに示す第2構成例に係る治療デバイス10B(塗布部14b)は、被塗布物質を吐出する吐出口18bが小径の丸孔に形成されており、この吐出口18bが塗布部14bの周方向に沿って複数設けられている。また、図3Cに示す第3構成例に係る治療デバイス10C(塗布部14c)は、被塗布物質を吐出する吐出口18cが塗布部14cの周方向に沿って略一周する溝状に形成されている。さらに、図3Dに示す第4構成例に係る治療デバイス10D(塗布部14d)は、被塗布物質を吐出する吐出口18dが長孔と丸孔に形成され、この長孔と丸孔が塗布部14dの周方向に沿って交互に形成されている。このように、第2〜第4構成例に示す吐出口18b〜18dでも血管壁Bに被塗布物質を良好に塗布することができる。
要するに、被塗布物質を吐出する吐出口18は、形状や形成数について特に限定されるものではなく、例えば、塗布する被塗布物質の吐出量や粘度等に応じて適宜設計してよい。また、吐出口18は、リング部36の先端面36aから径方向外側に多少ずれた角度に形成されると、血管壁Bに対し被塗布物質をより付着させやすくなる。
図4Aに示す第5構成例に係る治療デバイス10Eは、リング部37a(塗布部14e)が軸方向先端側(先端吐出部52)と軸方向基端側(基端支持部54)とで異なる材料によって構成され、両者が接着剤56により接合された構成となっている。また、吐出口18は、半円管状の先端吐出部52の先端面52a(頂部)に設けられ、湾曲部34は、基端支持部54の一端に連設されている。
例えば、先端吐出部52は、高い可撓性を有する材料によって構成され、基端支持部54は、上述した形状記憶性を有する材料によって構成される。この場合、可撓性を有する材料としては、例えば、織物、編物、不織布、紙材のような繊維性多孔質膜、その他、非繊維性多孔質膜、高分子シートのような緻密膜等を挙げることができる。このように、先端吐出部52と基端支持部54を別材料で構成することにより、リング部37aを適切な弾性力となるように簡単に調整することができる。
また、先端吐出部52は、リング部37aの流通ルーメン30に被塗布物質が流入されていない状態で、内側に撓むことによりリング部37a内の流通ルーメン30を閉塞していてもよい。このように構成することで、被塗布物質を吐出口18から漏出することを防ぐことができる。
図4Bに示す第6構成例に係る治療デバイス10F(塗布部14f)は、第5構成例に係る治療デバイス10Eの基端支持部54に補強部材58が設けられている。例えば、補強部材58は、基端支持部54の周囲を覆うワイヤブレードによって構成される。この補強部材58は、リング部37bを構成する基端支持部54の適合性(例えば、血管Aの屈曲部位で展開する能力)や抗キンク性を向上させる機能を有する。また、補強部材58は、基端支持部54に連なる湾曲部34にも延設されることにより、塗布部14f全体の支持を一層良好に行うことができる。なお、補強部材58(ワイヤブレード)は、シャフト12及び塗布部14fが一体成形された本実施の形態に係る治療デバイス10に設けられてもよいことは勿論である。
図4Cに示す第7構成例に係る治療デバイス10G(塗布部14g)は、リング部37cの基端支持部54に被塗布物質を吐出可能なメッシュ部60を接合した構成となっている。このように、吐出口がメッシュ部60であっても、被塗布物質を良好に吐出することができる。
本実施の形態に係る治療デバイス10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
治療デバイス10は、アテレクトミーにおいて、血管A内に堆積された病変部であるアテロームや石灰化した病変を除去した後に、治療部位(処置対象X)に被塗布物質を塗布するために用いられる。従って、この治療デバイス10の使用前には、血管A内等に発生したアテロームや石灰化した病変をアテレクトミーデバイス(図示せず)により除去する手技が行われる。術者は、この手技において、先ず、血管内造影法や血管内超音波診断法により病変部の形態を特定する。次に、例えばセルジンガー法によって、大腿部等から経皮的に血管A内にガイドワイヤ48を導入し、アテレクトミーデバイスをこのガイドワイヤ48に沿って進行させる。そして、堆積されたアテロームをアテレクトミーデバイスにより除去(例えば、削り取る、粉砕する又は吸引する等)することで、処置対象Xの内面を血液が充分に流通可能な内径とする。所望の内径に形成した後は、アテレクトミーデバイスを血管A内から引き抜き、アテレクトミーが終了する。
その後、本治療デバイス10を血管A内に挿入して、アテロームが除去された処置対象Xに治療デバイス10の塗布部14を送達する送達ステップを実施する。なお、治療デバイス10は、生体への導入前に治療デバイス10の内部を被塗布物質で満たすプライミングが行われる。プライミングでは、シース16内に塗布部14を収容した状態でリザーバ32から被塗布物質を供給し、流通ルーメン30から空気を抜いて被塗布物質を満たす作業が行われる。
送達ステップでは、血管A内に先行して挿入されているガイドワイヤ48をシース16のガイドワイヤルーメン46に挿入して、シャフト12及び塗布部14が収容されたシース16を、アテレクトミーデバイスと同じ挿入箇所から挿入する。そして、図5Aに示すように、ガイドワイヤ48に沿って、シース16を血管A内の処置対象Xに案内していく。術者は、X線造影下に、治療デバイス10の塗布部14が処置対象Xを越えたことを判別すると、送達を停止する。
送達ステップの後は、図5Bに示すように、血管A内に塗布部14を展開させる展開ステップを実施する。この展開ステップでは、鍔部42(図1参照)を後退操作することにより、塗布部14と相対的にシース16を後退移動させる。これにより、シース16の先端開口40aから塗布部14が露出する。この際、直線状に弾性変形されていたリング部36は、その弾性復元力により略円環形状に変形し、リング部36の外周面が血管壁Bに当接する。これにより、吐出口18が血管壁Bの近傍位置に配置される。なお、吐出口18が血管壁Bの近傍位置に配置されれば、リング部36は血管壁Bに必ずしも当接しなくてもよい。
展開ステップの後は、図5Cに示すように、展開した塗布部14の吐出口18から被塗布物質を吐出して、処置対象Xに被塗布物質を塗布する塗布ステップを実施する。塗布ステップでは、リザーバ32から供給ポート28を介して流通ルーメン30に被塗布物質を供給し、先端側の塗布部14に被塗布物質を導く。塗布部14に供給された被塗布物質は、吐出口18から吐出される。
上述したように、塗布部14の先端面36aに形成された吐出口18は、処置対象Xの近傍位置に配置される。このため、吐出口18から吐出された被塗布物質を処置対象X(血管壁B)に確実に付着させることができる。ここで、血管A内では、血管Aの軸心付近の血流よりも血管壁B付近の血流のほうが緩やかになっている。このため、血管Aの軸心付近から被塗布物質を吐出するデバイスに比べて、本実施の形態に係る治療デバイス10は、所定の位置に被塗布物質をより精度良く塗布することができる。
また、塗布部14の周方向に沿って複数の吐出口18が設けられているので、被塗布物質は、処置対象Xの内面全体に均一的に塗布される。従って、治療デバイス10は、被塗布物質の塗布ムラや塗り損じ等を生じさせることがない。
さらに、塗布ステップ中には、被塗布物質を塗布しながら治療デバイス10を移動させる移動ステップを行う。移動ステップでは、ハブ20に取り付けられたアクチュエータ26により、固定部24に対し可動部22を等速度で後退移動させる。従って、処置対象Xに重なる位置にある塗布部14も等速度で後退移動し、この後退移動とともに吐出口18から被塗布物質を吐出することで、処置対象Xの軸方向に沿って被塗布物質を均一的に塗布することができる。
なお、移動ステップでは、塗布部14を後退移動させた後に、再び進出移動させて一層確実に被塗布物質を付着させてもよい。この場合、リング部36が弱い当接力で被塗布物質に接触することにより、血管壁Bに付着された被塗布物質を処置対象Xに塗り付けるように広げることもできる。
被塗布物質の塗布が終了した後は、治療デバイス10を血管A内から後退移動させる後退移動ステップを実施する。この後退移動ステップでは、シース16を進出移動させて、塗布部14を収容ルーメン40に再び収容する。従って、処置対象Xから塗布部14をスムーズに後退移動させて、治療デバイス10を生体内から抜去することができる。
ところで、血管Aの病変部として、プラークが血管壁B(内膜)の中膜側に入り込む形で形成(ポジティブリモデリング)されることがある(図6A等参照)。このようにプラークが中膜側に進行する形で形成されていった場合、血管壁Bは次第に薄くなり、わずかな物理的衝撃により血管壁Bが破れやすくなる“バルネラブルプラーク”の形成につながると言われている。この薄くなった血管壁Bが破れると、その周辺部に血小板が集まって急速に血栓を形成し、血管Aを完全に閉塞することになり、急性心筋梗塞を引き起こす。このため、このバルネラブルプラークを治療する場合には、プラークの発生箇所である処置対象X1に対し、治療デバイス10を接触させないようにして被塗布物質を塗布し、治療を施すことが望まれている。
本実施の形態に係る治療デバイス10は、上記のような処置対象X1に対しても良好に被塗布物質を塗布することが可能となっている。すなわち、送達ステップでは、図6Aに示すように、血管Aの上流側から処置対象X1に治療デバイス10を送達し、処置対象X1の上流側近傍位置に治療デバイス10の塗布部14を位置決めする。
次に、展開ステップでは、図6Bに示すように、シース16を後退移動させて処置対象X1の上流側近傍位置で塗布部14を展開する。そして、塗布ステップでは、図6Cに示すように、塗布部14の流通ルーメン30に被塗布物質を供給して吐出口18から吐出させる。処置対象X1の上流側近傍位置に位置する吐出口18から被塗布物質を吐出すると、被塗布物質は下流に流れる血液によって一定距離搬送される。被塗布物質がアルギネート−カテコールの場合は、血液による搬送が比較的近距離に留まり、ちょうど処置対象X1を覆うように被塗布物質が付着される。このように、治療デバイス10を処置対象X1の上流側で展開して吐出口18から被塗布物質を吐出すれば、プラークを傷付けないで該プラークの治療を良好に行うことができる。
以上のように、本実施の形態に係る治療デバイス10によれば、塗布部14(リング部36)が血管Aの内周面に当接又は近接する1つの略円環形状に形成され、リング部36の先端面36aに吐出口18が設けられていることで、血管A内においてシース16から露出された塗布部14は、血管Aの内周面に閉塞されることなくその近傍位置に吐出口18を配置させることができる。このため、吐出口18から被塗布物質を吐出すると、血管A内を流れる血液の影響をほとんど受けることなく、血管Aの内周面に被塗布物質を確実に塗布することができる。
ところで、先端部がコイルからなる治療デバイス(例えば、特許文献2参照)では、被塗布物質を血管壁Bに付着させても、軸方向に並ぶ他のコイルの外表面が被塗布物質に接触することで、被塗布物質を剥離するおそれがある。これに対し、本実施の形態に係る治療デバイス10は、塗布部14が1つの略円環形状に形成されているので、血管壁Bに一旦付着された被塗布物質に対し、塗布部14の外表面が接触しないように容易に処置することができ、被塗布物質の剥離を防ぐこともできる。
また、特許文献2に係る治療デバイスは、被塗布物質として粘度の高いもの(糖類、ベタイン系高分子、ポリエチレングリコール等の変性物である接着性を発現する高分子物質を溶解させた溶液)を供給すると、該被塗布物質がコイル全長に行きわたりにくく、被塗布物質を注入している過程でコイル内で比較的容易に詰まってしまうことが想定される。これに対し、本実施の形態に係る治療デバイス10は、シャフト12及び湾曲部34が略直線状に延在してリング部36を支持しているので、粘度の高い被塗布物質でも吐出口18まで詰まることなくスムーズに導くことが可能である。
また、シャフト12と塗布部14が一体成形されることで、弾性変形する塗布部14をシャフト12により安定的に支持することができ、しかも製造コストを低減することができる。さらに、収容ルーメン40と別にガイドワイヤ48を挿通可能なガイドワイヤルーメン46を有することで、収容した塗布部14の邪魔をすることなく、ガイドワイヤ48に沿って血管A内の処置対象Xにシース16を容易に送達することができる。
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10、10A〜10G…生体管腔内治療デバイス(治療デバイス)
12…シャフト 14、14a〜14g…塗布部
16…シース 18、18a〜18d…吐出口
30…被塗布物質流通ルーメン(流通ルーメン)
32…リザーバ 34…湾曲部
36、37a〜37c…リング部 36a、52a…先端面
40…収容ルーメン 46…ガイドワイヤルーメン
48…ガイドワイヤ 58…補強部材
A…血管 B…血管壁
X、X1…処置対象

Claims (8)

  1. 生体管腔内に挿入される長尺なシャフトと、
    前記シャフトに支持され、同一平面上を周方向に沿って延在することにより前記生体管腔の内周面に当接又は近接する1つの略円環形状を形成し、且つ被塗布物質を吐出可能な吐出口が先端面に設けられた塗布部と、
    前記塗布部を弾性変形させて収容して前記生体管腔内を送達可能であり、且つ前記塗布部と相対的に進退自在な外管とを備える
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
  2. 請求項1記載の生体管腔内治療デバイスにおいて、
    前記シャフトと前記塗布部は、前記吐出口に連通するとともに前記被塗布物質を流通可能な被塗布物質流通ルーメンを内部に有する管体として一体成形される
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
  3. 請求項2記載の生体管腔内治療デバイスにおいて、
    前記シャフトの基端部に接続され、前記被塗布物質流通ルーメンに前記被塗布物質を供給する被塗布物質供給源をさらに備える
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体管腔内治療デバイスにおいて、
    前記吐出口から吐出される前記被塗布物質が、高分子物質を溶解させた溶液、或いはその溶液中に生物学的生理活性物質を共存させた溶液である
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体管腔内治療デバイスにおいて、
    前記外管は、前記シャフト及び前記塗布部を収容可能な収容ルーメンと、
    前記収容ルーメンに並行し、ガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメンとを有する
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体管腔内治療デバイスにおいて、
    前記塗布部の先端面には、前記吐出口が複数設けられ、
    複数の前記吐出口は、前記塗布部の周方向に沿って固定端側から自由端側に向かってその開口面積が大きくなる
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体管腔内治療デバイスにおいて、
    前記塗布部には、前記塗布部の湾曲度合を補強する補強部材が設けられている
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体管腔内治療デバイスにおいて、
    前記塗布部の表面には、潤滑性コート剤がコーティングされている
    ことを特徴とする生体管腔内治療デバイス。
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