JP2016184135A - 合波レーザ光源 - Google Patents

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次郎 齊川
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Abstract

【課題】ファイバ出力光の強度分布ムラを抑制することができる合波レーザ光源を提供する。【解決手段】光ファイバ5と、互いに所定間隔毎に配置され、各々がレーザ光を出力する複数のレーザ光源1a〜1cと、複数のレーザ光源からの複数のレーザ光を入射し、各々のレーザ光毎に、入射されたレーザ光を常光線と異常光線とに分離して出力する複屈折素子3と、各々のレーザ光について複屈折素子で分離された常光線と異常光線とを集光することにより光ファイバに結合させる結合レンズ4とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、互いに独立した複数の光源からのレーザ光を合波して高輝度化を図る合波レーザ光源に関する。また、本発明は、上述の合波レーザ光源を光源とする露光用装置、加工機、照明機器、医療用機器に関する。
従来、レーザの高出力化を図る方法として、複数の光源からの複数のレーザ光を一本の光ファイバ等に合波させる方法(特許文献1)や複数の光源が結合されたファイバをバンドルして一本のファイバへ結合させる方法が知られている。
特に強度ムラの少ない出射光をファイバから得るために、(1)光源として半導体レーザアレイと呼ばれる半導体レーザチップを数百μm程度の間隔で高密度に配置した光源や、半導体レーザバーを用いる、(2)出射される複数のレーザ光源をアナモルフィック光学系やステアリング光学系を用いてファイバ結合用集光レンズの直前で高密度に再配置する、(3)半導体レーザの発光サイズと広がり角との積値と同等かあるいは数倍のコア径とNA値との積値を持つ一本の光ファイバへ合波させる、という一連の手段によって実現している。
図4は、従来の合波レーザ光源の構成図である。図4において、半導体レーザ1a〜1cは、電流を注入することによってレーザ光を出力する。レンズ2a〜2cは、半導体レーザ1a〜1cからのレーザ光を結合レンズ11に導く。結合レンズ11は、半導体レーザ1a〜1cからの複数のレーザ光を集光することにより光ファイバ5に合波させる。コリメートレンズ6は、光ファイバ5から合波されたレーザ光を平行光にして出力する。
特開2002−202442号公報
しかしながら、短波長半導体レーザでは、異物付着による端面劣化を防止するために一般に直径Φ5.6mmや直径Φ9mmといった乾燥窒素や乾燥エアを封入した窓付きの半導体レーザパッケージ(TO−Canパッケージ)内に搭載されて用いられる。したがって、パッケージサイズが律則し、当該半導体レーザを高密度に配置させることは困難である。このため、結合レンズ11に入射する光束が粗密の分布を形成し、ファイバ出力の光強度分布12に濃淡の強度のムラが生じてしまい、均一な照射ができない。このようにレーザ光の品質が劣化した場合、合波レーザの目的である露光、加工、照明などいずれのレーザ応用にとっても機能を低下させてしまう結果になる。
露光や照明の場合には均一な露光、照明ができない、加工の場合には実質的に集光ビームが一点にならず微細な加工ができないなどの悪影響を及ぼすことになる。
したがって、本発明の課題は、このような各レーザの発光サイズに対してレーザ光線間隔が離散的な光束を有した発光光源の場合において、ファイバ出力光の強度分布ムラを抑制することができる合波レーザ光源を提供することにある。ここで、離散的という意味はレーザ光の用途によるが通常のアレイ状に発光部を備えたバー状のアレイレーザ素子の発光点間隔と同等もしくはより大きいことを示唆する。ここで言うレーザは必ずしも半導体レーザである必要はなく、複数の近接できないレーザ光束を対象にすることができる。
本発明に係る合波レーザ光源は、上記課題を解決するために、光ファイバと、互いに所定間隔毎に配置され、各々がレーザ光を出力する複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源からの複数のレーザ光を入射し、各々のレーザ光毎に、入射されたレーザ光を常光線と異常光線とに分離して出力する複屈折素子と、各々のレーザ光について前記複屈折素子で分離された常光線と異常光線とを集光することにより前記光ファイバに結合させる結合レンズとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、複屈折素子に入射されたレーザ光はレーザ光の偏光方向によって常光線と異常光線とに空間的に分離して出力するので、結合レンズが各々のレーザ光について複屈折素子で分離された常光線と異常光線とを光ファイバに集光することにより常光線のみでは埋められない光束間を異常光線で埋めることができ、結合レンズ上でのレンズ径内での光束分布占有度を向上できることから、ファイバ出力光の強度分布ムラを抑制することができる合波レーザ光源を提供することができる。
本発明の実施例1の合波レーザ光源の構成を示す図である。 本発明の実施例1の偏光分離板を示す図である。 本発明の実施例2の合波レーザ光源の構成を示す図である。 従来の合波レーザ光源の構成図である。
以下、本発明の合波レーザ光源の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施例1の合波レーザ光源の構成を示す図である。複屈折素子として複屈折材料で平行平板を形成した偏光分離板を用いた例を図2に示す。図1に示す実施例1の合波レーザ光源は、多数の半導体レーザ1a〜1c、レンズ2a〜2c、偏光分離板3、結合レンズ4、光ファイバ5、コリメートレンズ6を備えている。ここで、各要素番号は添字として振ったa〜cは3個という意味ではなく2個以上を意味するものとする。
半導体レーザ1a〜1cは、所定間隔d1毎に配置されており、電流駆動によって注入された電子およびホールからなるキャリア注入によって励起され、注入された電子およびホールのキャリア対消滅の際に発生する誘導放出によって発生されたレーザ光を出力する。半導体レーザとして、バー状の半導体に複数のレーザ発光機構を持ったアレイレーザでも良いし、面発光レーザあるいはバー状のアレイレーザを積層したスタックレーザのような平面的に発光分布するレーザでも良い。
530nm以下波長の短波長レーザの場合、レーザの光子エネルギーが大きくなることから、レーザの出射端面にパーティクルの付着や半導体レーザの表面物質も含めた化学的な反応等により異物汚染が付着したり生成することが知られている。そのためレーザを乾燥窒素や乾燥空気などの不活性ガス等を封入した気密パッケージ内に収納して使用することが多い。
単一チップの半導体レーザの場合には複数の半導体レーザ1a〜1cとして例えば、光学ガラスもしくはサファイアなどの透明な窓付きのTo−Canパッケージで個別に封止される素子を用いても良い。
レンズ2a〜2cは、半導体レーザ1a〜1cに対向して所定間隔d1毎に配置され、半導体レーザ1a〜1cからのレーザ光を偏光分離板3に導く。
半導体レーザのようにビームの広がり角が大きい場合はある程度の平行光が得られるコリメート配置にするのが良い。広がり角が小さなレーザの場合は必ずしもレンズ2a〜2cが必要ではない。
光は光の進行方向に垂直な電界成分を持って振動、伝播している電磁波の一種であるが、一方向に電界振動が偏っている状態の光を偏光と呼ぶ。いろいろな方向の偏光が時間的な相関がなく混じり全体として偏りがなくなっている状態を無偏光というが、無偏光でない状態では、直交する2つの偏光のベクトル的な重ね合わせで光のすべての状態を記述することができる。この2つの偏光成分の振動に位相差が無い場合は直線偏光となって光の進行とは関係なく特定の一方向に光の電場が偏った直線偏光と呼ばれる状態になっており、位相差がある場合は進行するとともに、偏光方向(電場の振動方向)が回転するとともにその大きさも変化する楕円偏光になる。
一方、天然あるいは人工的な物質で結晶軸方向によって異なった屈折率を示す物質があり複屈折材料と呼ばれている。天然材料では水晶や方解石、人工結晶ではKTP、KDPなどがその一例である。このような偏光分離板3に、半導体レーザ1a〜1cからの複数のレーザ光が入射すると、各々のレーザ光毎に、入射されたレーザ光が常光線Aと異常光線Bとに分離して結合レンズ4に入射する。常光線Aと異常光線Bとの間隔を、d2とする。d2は、複屈折材料の屈折率差と複屈折材を透過する光路長等に依存して変化するため、間隔d2は、半導体レーザ1a〜1cの所定間隔d1よりも小さくなるようにすることが可能である。例えば材料として方解石を用いた偏光分離板3では光路長の約1/10ビームがシフトする。
通常、半導体レーザ光は一方向に強く偏光していることが多く、偏光分離板3への入射角度を調整しないと出力側の常光線A成分と異常光線B成分の強度差が大きくなり出力の光束分布占有度を向上させる目的が達成できなくなる。したがって偏光分離板3に入射させるレーザの偏光方向は偏光分離板3の光軸に対して45度で入射させる配置にするのが基本となる。本実施例ではそのような偏光角度になるようにレーザ自体の設置方向を決定している。
結合レンズ4は、集光レンズの役目をしており、偏光分離板3からの複数の常光線Aと異常光線Bとを集光することにより光ファイバ5に合波させる。即ち、偏光分離板3を設け、間隔d2は、半導体レーザ1a〜1cの所定間隔d1よりも小さく設定されているので、常光線Aのみでは埋められない光束間を異常光線Bで埋めることができ、結合レンズ4上でのレンズ径に対する光束分布占有度を向上できることから、ファイバ出力光の強度分布7のムラを抑制することができる。
また通常良く実施されることであるが、レーザ光の透過率を良くするためにレーザ光が透過する各光学素子の光学端面にはレーザ光の波長に対して反射率が極力低い誘電体材料等による単層、あるいは多層の低反射コーティングを付加することも有効である。
ここでは複屈折素子として複屈折材料を平行平板にした偏光分離板3を用いたが、この偏光分離板を結晶軸について直交して張り合わせたサバール板を用いても良い。サバール板を用いると常光、異常光で位相差が発生しないことが知られている。
ここではレーザ光源として半導体レーザの場合を例に挙げて説明したが、通常のレーザ装置を複数台設置したものや、複数のファイバをバンドルしたようなレーザ光束など離散的な状態を示すどのようなレーザ光源でも実施が可能である。
またここでは直線偏光したレーザを前提としたが、まったく無偏光なランダム光である場合は、45度の角度で入射することを考える必要はなく、そのまま複屈折素子を透過したビームは2つの直交する偏光に分配され本発明と同じ効果を得ることが可能である。
図3は、本発明の実施例2の合波レーザ光源の構成を示す図である。図3に示す実施例2の合波レーザ光源は、図1に示す実施例1の合波レーザ光源の構成に、さらに、レンズ2a〜2cと偏光分離板3との間に偏光制御素子8を設けたことを特徴とする。
偏光制御素子8は、半導体レーザ1a〜1cからのレーザ光を偏光角を回転させると同時に直交する2つの偏光成分の強度を調整する機能を持つ。
一般に半導体レーザなどは半導体チップとヒートシンクなどのパッケージ構成物との接触面に対して平行もしくは垂直方向に偏光している。したがってパッケージ形状によっては偏光分離板3に45度の偏光角度で入射させることが構造的に難しい場合がある。またレーザ自体を回転させるとビームも同時に回転し、45度軸対称でないビーム形状を持っていた場合は、結合レンズ4に入射するビーム形状が変化し最終的にレーザ特性が変化するおそれがある。本実施例では偏光制御素子8により偏光状態を制御して偏光分離板3に入力する。一般的な半導体レーザでは出力ビームの形状が楕円形などの異方性を持っている場合が多いが、偏光制御素子8により半導体レーザ1a〜1cの角度を変化させることなくレーザ光を偏光制御することで、半導体レーザ1a〜1cからのレーザ光を偏光分離板3に入射させることが可能になる。すなわち、レーザビーム形状と偏光方向を独立に制御することができる。例えば偏光制御素子8にλ/2波長板を用いた場合はビームの分離強度比を制御でき、λ/4波長板では円偏光のため等しく分離が可能となる。
ここでは例として半導体レーザを例に挙げて説明したが、複数のファイバから出射されるレーザ光束など離散的な状態を示すどのようなレーザ光源でも良い。
本発明に係る合波レーザ光源は、特に、レーザ加工装置、レーザ照明、レーザ露光装置、蛍光材励起、レーザ計測、レーザ医療等に適用可能である。
1a〜1c 半導体レーザ
2a〜2c レンズ
3 偏光分離板
4 結合レンズ
5 光ファイバ
6 コリメートレンズ
7 光強度分布
8 偏光制御素子

Claims (6)

  1. 光ファイバと、
    互いに所定間隔毎に配置され、各々がレーザ光を出力する複数のレーザ光源と、
    前記複数のレーザ光源からの複数のレーザ光を入射し、各々のレーザ光毎に、入射されたレーザ光を常光線と異常光線とに空間的に分離して出力する複屈折素子と、
    各々のレーザ光について前記複屈折素子で分離された常光線と異常光線とを集光することにより前記光ファイバに結合させる結合レンズと、
    を備えることを特徴とする合波レーザ光源。
  2. 前記複数のレーザ光源と前記複屈折素子との間に、前記複数の半導体レーザからの複数のレーザ光の偏光を制御する偏光制御素子を設けたことを特徴とする請求項1記載の合波レーザ光源。
  3. 前記複屈折素子の常光線と異常光線との間隔は、前記複数のレーザ光源の所定間隔よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の合波レーザ光源。
  4. 前記複数のレーザ光源を封止ずる封止パッケージを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の合波レーザ光源。
  5. 前記複屈折素子は、複屈折材料を平行平板に形成した偏光分離板又は結晶軸について直交して張り合わせたサバール板からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の合波レーザ光源。
  6. 前記複屈折素子に入射させるレーザ光の偏光方向は、前記複屈折素子の光軸に対して45度で入射させる配置に設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の合波レーザ光源。
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