JP2016183760A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の制御装置 Download PDF

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大城 岩佐
徹也 泉
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Abstract

【課題】駆動トルクの周期的な変動に起因して回転要素に上下変動が発生した場合にこの上下変動の自動変速機の制御への影響を抑制する。
【解決手段】車速検出手段と、アクセル開度検出手段91と、変速制御手段8Dとを備え、車速検出手段は、変速機出力軸の回転数を検出する回転数検出手段90と、検出された回転数情報から車速を演算する演算手段8Bとから構成され、回転数情報から特定の周波数域を除去するノッチフィルタ90aが装備され、特定の周波数域には、駆動輪6に入力される駆動トルクの周期的な変動に起因して発生する回転数の上下変動にかかる周波数成分の周波数域が含まれている。
【選択図】図1

Description

本発明は、無段変速機構を用いた車両用自動変速機に用いて好適の車両用自動変速機の制御装置に関するものである。
車両(自動車)の駆動系には、エンジン(内燃機関)やモータ(電動機)といった駆動源の出力トルクを、変速機構や減速機構によって変速して駆動輪に伝達する動力伝達系が装備される。変速機構や減速機構には、歯車が用いられているため、歯車のバックラッシュに起因して振動や騒音が発生し、運転者等に違和感を与える場合がある。
例えば、駆動軸(駆動輪)に作用する駆動トルクに正負の反転があると、これに伴って歯車のバックラッシュに起因する振動や騒音やショックを招く場合がある。
特許文献1には、この駆動トルクの正負の反転に伴う上記のショックの発生を抑制すると共に、エネルギ効率の低下を抑制する技術が開示されている。この技術は、走行中にブレーキオンされたとき、駆動軸に作用している駆動トルクを推定し、この駆動トルクが、その正負の反転時に対応する所定のトルク範囲内(値0を含む)のときには、予め定められた通常レートよりも小さい変化レートのモータ目標制動トルクでモータの出力トルクを制御している。
特開2013−187959号公報
ところで、特許文献1のショックの発生状況とは異なるが、車両試験の結果、車両が前後加速度ゼロ近傍の一定速度状態で走行している際に、車両の駆動系から所謂ラトル音と呼ばれる異音が発生する場合があることが判明した。また、このようなラトル音が発生する状況下で、車両の駆動系に回転数(回転速度)の上下変動(振動)が発生する場合があることも判明した。このようにラトル音や回転数変動が発生する現象は、後に詳述する駆動トルクの正負の繰り返し反転、即ち、駆動トルクの周期的な変動の結果、これに伴って回転数変動や歯車のバックラッシュに起因するラトル音が発生するものと考えられる。
例えば、変速機の出力軸は駆動輪と終減速機構等の歯車機構を介して駆動輪に接続されるため、変速機の出力軸の回転数は駆動輪の回転数(車輪速)と対応する。車輪速と車速とは対応し、車輪速を車速に換算することもしばしば行われるが、同様に、変速機出力軸の回転数を車速に換算することも行われる。しかし、車両が前後加速度ゼロ近傍で走行していると、上述のように、駆動トルクの周期的な変動により変速機出力軸回転数の上下変動が発生し、これに伴ってラトル音も発生する。
このため、例えば、変速機出力軸回転数を検出してこれを車速に換算して車両の制御に用いると、回転数の上下変動によって実際の車速とは異なる車速値が車両の制御に使用されることになり、車両制御を適切に行なえなくなる場合がある。自動変速機の変速制御は、車速情報とエンジン負荷情報とに基づいて行なうが、車速情報が上記のような回転数上下変動の影響を受けると変速制御を適切に行なうことができない。
特に、自動変速機が無段変速機の場合、車速情報が回転数上下変動の影響を受けると車両の前後G振動として車両挙動に現れることが判明した。無段変速機の場合、僅かな車速の上下変動であっても変速比の指示値に反映され変速比の上下変動を招くことになる。
変速比が上下変動するとエンジン回転数が上下変動し、エンジン回転数が上下変動するとプライマリ軸への入力トルクやプライマリ軸のイナーシャトルクが上下変動することになり、ドライブシャフトトルクも上下変動し、最終的には車両の前後G振動として車両挙動に現れることになると考えられる。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、駆動系の回転要素の検出回転数を車速情報として用いて自動変速機の制御を行なうものにおいて、車両が前後加速度ゼロ近傍で走行している状態で、当該回転要素に上下変動が発生した場合にこの上下変動の自動変速機の制御への影響を抑制することができるようにした、車両用自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の車両用自動変速機の制御装置は、車両の駆動源と駆動輪との間の動力伝達系に装備された自動変速機の制御装置であって、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、前記車速検出手段により検出された車速及び前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて前記自動変速機の変速比を制御する変速制御手段とを備え、前記車速検出手段は、前記自動変速機の出力軸以降の回転要素の回転数を検出する回転数検出手段と、前記回転数検出手段により検出された回転数情報から車速を演算する演算手段と、から構成され、前記演算手段に入力される前記回転数情報から特定の周波数域を除去するノッチフィルタが装備され、前記特定の周波数域には、前記駆動輪に入力される駆動トルクの周期的な変動に起因して発生する前記回転数の上下変動にかかる周波数成分の周波数域が含まれていることを特徴としている。
(2)前記演算手段は、前記回転数検出手段により検出され前記ノッチフィルタで処理されたフィルタ処理回転数に基づいて車速を演算する第1演算手段と、前記回転数検出手段により検出されたままの回転数に基づいて車速を演算する第2演算手段と、前記回転数の前記上下変動が発生する条件として予め設定された所定条件が成立したら、前記第1演算手段により演算された車速を検出車速に選定し、上記所定条件が成立しなければ、前記第2演算手段により演算された車速を検出車速に選定する検出車速選定手段と、を備えていることが好ましい。
(3)さらに、前記演算手段は、前記検出車速を、前記第1演算手段により演算された車速と、前記第2演算手段により演算された車速とで切り替える際に、切替を滑らかにするレート処理を行なうレート処理手段を備えていることが好ましい。
(4)前記所定条件には、前記駆動源への出力トルク要求が検出されていること、前記駆動源の検出駆動トルクがトルク判定閾値以下の微小状態であること、前記車両の加速度が加速度判定閾値以下の微小状態であること、が何れも成立していることが含まれていることが好ましい。
(5)また、前記自動変速機は、無段変速機であることが好ましい。
(6)前記特定の周波数域には、前記駆動源の固有振動にかかる前記変速比に応じた回転要素の振動の周波数域が含まれていることが好ましい。
(7)前記回転要素は、前記自動変速機の出力軸であることが好ましい。
例えば、車両が前後加速度ゼロ近傍の状態で走行しているときなどに、駆動輪に入力される駆動トルクが周期的な変動を繰り返す場合があり、これに起因して自動変速機の出力軸以降の回転要素の回転数に上下変動が生じる場合があって、当該回転要素の回転数を検出しこれに基づく車速に応じて自動変速機の変速制御を行なうと、回転数の上下変動が変速制御に影響する。これに対し、本発明によれば、当該回転要素の回転数の上下変動にかかる周波数成分の周波数域がノッチフィルタで除去処理されたものに基づいて演算手段が車速を演算するので、自動変速機の変速比を制御するための車速には、前記回転数の上下変動の影響が抑制され、この車速を用いて変速比を適正に制御できるようになる。
本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置が適用された車両の駆動系及び制御系を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置の制御対象の車両の運転領域を説明する図である。 本発明の課題にかかる事象の発生のメカニズムを説明する模式図である。 本発明の課題にかかる状況を説明する速度線図である。 本発明の課題にかかる事象とその要因との関係を説明するブロック図である。 本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置の要部構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置に適用されるノッチフィルタを説明するフィルタ特性図である。 本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置による制御を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置による制御の一例を示すタイムチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
また、以下の説明で記載する「回転数」は、「単位時間当たり(例えば、1分当たり)の回転数」であり「回転速度」に相当する。
まず、本実施形態にかかる車両の駆動系及び制御系の構成を説明する。なお、車両の駆動系には、駆動源と、この駆動源の駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達系が備えられるが、本実施形態では、駆動源としてエンジン(内燃機関)が装備され、動力伝達系には自動変速機が装備されている。本実施形態では、自動変速機に、ベルト式無段変速機(以下、ベルト式CVT、又は、単に、CVTとも記す)が適用されたものを例示するが、自動変速機としては、トロイダルCVTなどその他の無段変速機や、有段変速機を適用することもできる。
[全体システム構成]
図1は、本実施形態にかかる車両の駆動系及び制御系を示す構成図である。
図1に示すように、車両の駆動系は、駆動源であるエンジン1と、動力伝達系を構成するトルクコンバータ2,前後進切替機構3,ベルト式無段変速機構(以下、バリエータとも呼ぶ)4,及び終減速機構5と、駆動輪6,6と、を備えている。なお、トルクコンバータ2と前後進切替機構3とバリエータ4とをトランスミッションケース内に収納することによりCVT100が構成される。
エンジン1には、スロットルバルブ開閉動作や燃料カット動作等により出力トルク制御を行なう出力トルク制御アクチュエータ10が装備される。これによって、エンジン1は、ドライバによるアクセル操作による出力トルクの制御以外に、外部からのエンジン制御信号による出力トルクの制御も可能になっている。なお、エンジン1の出力トルクについては、単にエンジントルクとも言う。
トルクコンバータ2は、トルク増大機能を有する発進要素であり、トルク増大機能を必要としないときに、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21とを直結可能なロックアップクラッチ20を有する。このトルクコンバータ2は、エンジン出力軸11にコンバータハウジング22を介して連結されたポンプインペラ23と、トルクコンバータ出力軸21に連結されたタービンランナ24と、ケースにワンウェイクラッチ25を介して設けられたステータ26と、を構成要素とする。
また、ロックアップクラッチ20は、車両の状態や運転状態に応じてロックアップ状態(クラッチ完全係合(締結)状態)と、アンロックアップ状態(クラッチ完全解放状態)と、スリップロックアップ状態(クラッチ滑り係合状態、つまり、ロックアップクラッチの入力側の回転部材の回転数と、出力側の回転部材に差回転があるが、入力側から出力側へトルクが伝達されている状態)との何れかに、切り替え制御される。
前後進切替機構3は、バリエータ4への入力回転方向を前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向とで切り替える機構である。この前後進切替機構3は、ダブルピニオン式遊星歯車30と、複数のクラッチプレートから成る前進クラッチ31(前進側摩擦係合要素)と、複数のブレーキプレートから成る後退ブレーキ32(後退側摩擦係合要素)と、を有する。
前進クラッチ31は、Dレンジ(ドライブレンジ)等の前進走行レンジの選択時に前進クラッチ圧Pfcにより係合される。後退ブレーキ32は、後退走行レンジであるRレンジ(後退レンジ)の選択時に後退ブレーキ圧Prbにより係合される。なお、前進クラッチ31及び後退ブレーキ32は、Nレンジ(ニュートラルレンジ、非走行レンジ)の選択時、前進クラッチ圧Pfcと後退ブレーキ圧Prbとをドレーンすることで、いずれも解放される。
バリエータ4は、プーリに対するベルトの接触径の変更により変速機入力回転数と変速機出力回転数との比である変速比を無段階に変化させる無段変速機能を備え、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、ベルト44と、を有する。プライマリプーリ42は、固定プーリ42a及びスライドプーリ42bにより構成され、スライドプーリ42bは、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppriにより軸方向に移動する。セカンダリプーリ43は、固定プーリ43a及びスライドプーリ43bにより構成され、スライドプーリ43bは、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psecにより軸方向に移動する。
プライマリプーリ42の固定プーリ42a及びスライドプーリ42bの各対向面であるシーブ面、及び、セカンダリプーリ43の固定プーリ43a及びスライドプーリ43bの各対向面であるシーブ面は、何れもV字形状をなし、ベルト44の両側のフランク面は、これらの各シーブ面と接触する。スライドプーリ42b,43bの移動に応じて、プライマリプーリ42及びセカンダリプーリ43へのベルト44の巻付き半径が変更されることにより、変速比が変更される。
終減速機構5は、バリエータ4の変速機出力軸41からの変速機出力回転を減速するとともに差動機能を与えて左右の駆動輪6,6に伝達する機構である。この終減速機構5は、変速機出力軸41と左右のドライブシャフト51,51との間に介装され、変速機出力軸41に設けられた第1ギヤ52,アイドラ軸50に設けられた第2ギヤ53及び第3ギヤ54と、最終減速ギヤ55と、差動機能を持つディファレンシャルギヤ56とを有する。
車両の制御系のうち、特にCVT100の制御系は、図1に示すように、油圧コントロールユニット7と、変速機制御手段としてのCVT電子コントロールユニット(CVTECU)8と、を備えている。また、このCVT電子コントロールユニット8と情報を授受する駆動源制御手段としてのエンジン電子コントロールユニット(エンジンECU)9が装備されている。
なお、各電子コントロールユニット(ECU:Electric Control Unit)8,9は、入出力装置,多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置(ROM,RAM,BURAM等),中央処理装置(CPU),タイマカウンタ等を備えて構成される。本発明にかかる制御手段は、これらのCVTECU(変速機制御手段)8及びエンジンECU(駆動源制御手段)9を含んで構成される。
油圧コントロールユニット7は、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppriと、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psecと、前進クラッチ31への前進クラッチ圧Pfcと、後退ブレーキ32への後退ブレーキ圧Prbと、ロックアップコントロールバルブ78へのソレノイド圧Psolとを作り出す制御ユニットである。この油圧コントロールユニット7は、オイルポンプ70と、油圧制御回路71と、を備え、油圧制御回路71は、ライン圧ソレノイド72と、プライマリ圧ソレノイド73と、セカンダリ圧ソレノイド74と、前進クラッチ圧ソレノイド75と、後退ブレーキ圧ソレノイド76と、ロックアップソレノイド77とを有する。
ライン圧ソレノイド72は、CVTECU8から出力されるライン圧指示に応じ、オイルポンプ70から圧送される作動油を、指示されたライン圧PLに調圧する。
プライマリ圧ソレノイド73は、CVTECU8から出力されるプライマリ圧指示に応じ、ライン圧PLを元圧として指示されたプライマリ圧Ppriに減圧調整する。
セカンダリ圧ソレノイド74は、CVTECU8から出力されるセカンダリ圧指示に応じ、ライン圧PLを元圧として指示されたセカンダリ圧Psecに減圧調整する。
前進クラッチ圧ソレノイド75は、CVTECU8から出力される前進クラッチ圧指示に応じ、ライン圧PLを元圧として指示された前進クラッチ圧Pfcに減圧調整する。
後退ブレーキ圧ソレノイド76は、CVTECU8から出力される後退ブレーキ圧指示に応じ、ライン圧PLを元圧として指示された後退ブレーキ圧Prbに減圧調整する。
ロックアップソレノイド77は、CVTECU8からの指示により、ロックアップコントロールバルブ78への指示信号圧としてのソレノイド圧Psolを作り出す。ロックアップコントロールバルブ78は、ソレノイド圧Psolを作動信号圧として、ロックアップクラッチ20のクラッチ前後油室の差圧であるロックアップ差圧ΔP(ΔP=Pa−Pr)がCVTECU8からの指示に基づく値となるようにロックアップクラッチ係合圧とロックアップクラッチ解放圧とを作り出す。
CVTECU8は、スロットル開度等に応じた目標ライン圧を得る指示をライン圧ソレノイド72に出力するライン圧制御、車速やスロットル開度等に応じて目標変速比を得る指示をプライマリ圧ソレノイド73及びセカンダリ圧ソレノイド74に出力する変速油圧制御、前進クラッチ31と後退ブレーキ32の係合/解放を制御する指示を前進クラッチ圧ソレノイド75及び後退ブレーキ圧ソレノイド76に出力する前後進切替制御を行なうとともに、ロックアップソレノイド77に指示を出力してロックアップクラッチ20の係合(完全係合),解放,スリップ係合(クラッチ滑り係合)等の制御を行なう。
このCVTECU8には、プライマリ回転センサ80,セカンダリ回転センサ81,セカンダリ圧センサ82,油温センサ83,エンジン回転数センサ84,ブレーキスイッチ85,スロットル開度センサ86,プライマリ圧センサ87,ライン圧センサ89,変速機出力軸回転数センサ(車速センサ)90,アクセル開度センサ91,アイドルスイッチ92等からのセンサ情報やスイッチ情報が入力される。また、エンジンECU9からはトルク情報が入力され、エンジン1へはトルクリクエストを出力する。ここで、図示しないインヒビタースイッチは、運転者のシフトレバーの操作によって選択されているレンジ位置(Dレンジ,Nレンジ,Rレンジ等)を検出し、レンジ位置に応じたレンジ位置信号を出力する。
[発明の課題にかかる異音や回転数の上下変動の発生メカニズム]
本実施形態の車両用自動変速機の制御装置は、車両が前後加速度ゼロ近傍の状態で走行している際に、ラトル音と呼ばれる異音や、動力伝達系の回転要素の回転数の上下変動(回転数振動、或いは、単に振動とも呼ぶ)が発生することがあり、特に、回転要素の回転数から求められる車速を変速比の制御に用いるため、回転数振動の変速制御への影響を抑制することができるようにするものである。本願発明者は、図1に示す構成を有する車両による実験を実施し、この実験結果から、かかる異音や回転数振動といった事象の発生する理由について分析した。
まず、車両が前後加速度ゼロ近傍の状態で走行していて上記事象が発生する際の車両の駆動トルクに着目して分析した。これによれば、こうした事象が発生する状況は、ロックアップクラッチ20が係合された直結状態であって、ドライバがエンジン1に出力トルク要求をしている状況下で、車両の前後加速度Gvが所定加速度Gv0以下の微小状態(ゼロ近傍の状態)であることに加えて、駆動輪6に加えられる駆動トルクである駆動系の正味駆動トルクTdnが所定トルクT0以下の微小状態(軽負荷走行状態)であること、の条件が揃った場合であることが判明した。
なお、正味駆動トルクTdnは、エンジンECU9からトルク情報として入手できるが、例えばエンジン1への指令トルクに対してエンジントルクのバラツキを考慮した補正と、フリクション分の減算をして得ることができる正味トルクTnを変速比等で補正して得ることができる。
また、前後加速度Gvがゼロ近傍の状態とは、いわゆるロードロード(Road Load)走行の状態であり、例えば正味駆動トルクTn及び駆動輪回転数Ndから得られる駆動系の正味駆動力Fnから、車速,勾配,車重,路面μ等に応じた走行抵抗rrを減算して得られる車両の加速に用いられる駆動力が微小である状態に対応する。
図2(a),(b)は、実験結果のデータを、こうした異音や振動等の事象が発生した条件で整理して示す図である。図2(a)には、上記事象が発生した時のエンジントルク指令値(駆動系の正味駆動トルクTdn)に関するデータ(丸形マークのトルク関連データ)と、上記事象が発生した時の駆動輪加速度(車両の前後加速度Gv)に関するデータ(ひし形マークの加速度関連データ)とを示している。
なお、トルク関連データ(丸形マーク)は、上記事象が発生した時の変速比及びエンジントルク指令の各値についてプロットしたもので、加速度関連データ(ひし形マーク)は、上記事象が発生した時の変速比及び駆動輪加速度(前後加速度Gv)の各値についてプロットしたものである。
トルク関連データ(丸形マーク)から、変速比及びエンジントルク指令に関しては曲線L1以下の領域で上記事象が発生するものと推定できる。また、加速度関連データ(ひし形マーク)から、加速度0を中心とした一定の加減速範囲(直線L2とL3との間の範囲)内で上記事象が発生するものと推定できる。
図2(b)は、図2(a)に示す事象が発生したトルク関連特性の領域(曲線L1以下の領域)と、図2(a)に示す事象が発生した加速度関連特性の領域(直線L2と直線L3との間の領域)とを、車速及び駆動系の正味駆動トルクTdnに関して示す図である。図2(b)に示すように、上記事象が発生するのは、正味駆動トルクTdnが所定トルクT以下(直線LL1以下)の領域で、且つ、車両の前後加速度Gvがゼロ近傍となるロードロード線(R/L線)付近の領域(曲線LL2と曲線LL3との間の領域)であると言える。
図3(a)〜(d)はこの事象の発生のメカニズムを説明する図であり、動力伝達系の例えばCVT100内や終減速機構5に装備される動力伝達用の歯車対G,Gによる動力伝達時の状況を示すものである。入力側歯車Gは入力側軸Sに結合され、出力側歯車Gは出力側軸Sに結合され、入力側歯車Gと出力側歯車Gとが噛合している。出力側軸Sの側には直接または間接的に駆動輪6が接続されている。
図3(a)〜(d)において、Tinは入力側軸Sからの入力トルクを、Toutは出力側軸S2から駆動輪6側への出力トルクを、R1は入力側軸S1及び入力側歯車G1の回転状態を、R2は出力側軸S及び出力側歯車Gの回転状態を、それぞれ示している。また、入力側軸S1からの入力トルクを、図3(a)〜(d)では歯車対G1,G2のバックラッシュを明確に表現するため、各歯車G1,G2の歯と歯の間隔を誇張して描いている。
図3(a)に示すように、噛み合うべき歯車G1の歯C1と歯車G2の歯C2とが離隔していると、歯車G1,G2間は空転状態となっており、入力側軸S1からの入力トルクTinは歯車G1の回転R1の速度(回転数)の上昇のみに使われ、出力側軸S2にはトルクは伝達されず、歯車G2の回転R2の速度(回転数)の上昇には寄与しない。このため、駆動輪6側への出力トルクToutは略0(Nm)となる。
図3(b)に示すように、歯車G1,G2の相互のガタがつまって歯車G1の歯C1と歯車G2の歯C2の各対向面が接触すると、歯C1,歯C2を通じて、入力側軸S1からの入力トルクTinが出力側軸S2に伝達され始め、歯車G2の回転R2の速度(回転数)の上昇に寄与し始める。
こうして、出力側軸S2等を通じて駆動輪6側へ入力トルクTinに応じた出力トルクToutが伝達されるが、このとき、車両イナーシャが大きいので(当然ながら、駆動輪6はスリップせずに路面をグリップしていることが前提)、駆動輪6の回転数はほとんど変化しない。そして、歯車対G1,G2により伝達される入力トルクTinは、駆動輪6に至る動力伝達系の軸(出力側軸S2やドライブシャフト51等、ここでは出力側軸S2とする)に捩れを与えるように作用する。
ドライブシャフト51等の動力伝達系の出力側軸Sに捩れが生じてこの捩れによる出力側軸Sの入力側と出力側との位相差がピークに達すると、この捩れが開放するため、出力側軸Sの入力側(即ち、歯車G側)は入力トルクTinと逆方向に捩れ解放トルクTtrを受けて、出力側軸Sの入力側及び歯車Gは逆転方向R´への回転力成分を受けて回転数が引き下げられる。
また、捩れ解放トルクTtrは、歯車G1の歯C1と歯車G2の歯C2との接触部を介して歯車G1及び入力側軸S1に作用する。これにより、歯車G1及び入力側軸S1の出力側も逆転方向R2´への回転力成分を受けて回転数が引き下げられ、入力側軸S1には捩れ解放トルクTtrに応じた逆転方向へのトルクTtr´が加えられる。入力トルクTinが小さいと、このような逆向きのトルク伝達の影響を受けて、歯車G1,G2間は再び空転状態となって、次に噛み合うべき歯車G1の歯C1と歯車G2の歯C2とが離隔する(図3(c),(d)参照)。
このようにして、歯車G1と歯車G2との間で、トルク伝達方向が周期的に逆転する状況(即ち、駆動輪6に入力される駆動トルクの周期的な変動、換言すれば、駆動トルクの正負の繰り返し反転)が続くとバックラッシュに起因する衝撃(ラトルショック)によってラトル音が発生し、同時に、歯車G1及びその回転軸や、歯車G2及びその回転軸において、回転数の上下変動が発生するものと考えられる。
トルク伝達方向が周期的に逆転する状況(駆動輪6に入力される駆動トルクの周期的な変動)とは、入力側軸S1(歯車G1)と出力側軸S2(歯車G2)とが略同期した回転を継続し、且つ、エンジン1側から駆動輪6側に入力される駆動トルク(正味駆動トルクTdn)の大きさが小さくて上記捩れ解放トルクTtrの影響を受ける状況である。
入力側軸S1と出力側軸S2とが略同期した回転を継続するのは、通常、入力側軸S1と出力側軸S2とが速度変化しない状態であり、換言すれば、車両の前後加速度Gvがゼロ近傍の状態(加速度ゼロ条件)である。これは、車両の走行状態が、図2(b)に示す、いわゆるロードロード(Road Load)走行(軽負荷走行)の状態の場合である。
また、駆動トルク(正味駆動トルクTdn)の大きさが小さいとは、正味駆動トルクTdnが図2(b)に示す所定トルクT0以下(直線LL1以下)の状況である。
したがって、以下の3つの条件が揃うと、ラトル音の発生や回転要素の回転数の上下変動の発生といった事象が発生しうるものと考えることができる。
(A)ドライバがエンジン1に出力トルクを要求していること。
(B)エンジン1から駆動輪6へ出力される駆動トルクが所定トルクT0以下の微小状態であること。
(C)車両の前後加速度Gvがゼロ近傍の状態(すなわち、前後加速度Gvが所定加速度Gv0以下の状態)であること。
[車両用自動変速機の制御装置の構成]
図1に示すように、CVT100を制御するCVTECU8には、バリエータ4の変速比Rを制御する変速制御部(変速制御手段)8Dが機能要素として設けられている。本実施形態にかかる車両用自動変速機の制御装置は、車速VSを検出する車速検出手段と、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ(アクセル開度手段)91と、検出された車速VSとアクセル開度APOとに基づいて、自動変速機100の変速比、即ち、バリエータ4の変速比Rを制御する変速制御部8Dとを備えて構成される。
車速検出手段は、変速機出力軸41の回転数を検出する変速機出力軸回転数センサ(回転数検出手段)90と、CVTECU8に機能要素として設けられ、変速機出力軸回転数センサ90により検出された回転数情報から車速を演算する車速演算部(演算手段)8Bとから構成される。なお、本実施形態では、変速機出力軸41の回転数はセカンダリプーリ43の回転数と一致するので、変速機出力軸回転数センサ90にはセカンダリ回転センサ81を流用することができる。
車速演算部8Bでは、変速機出力軸回転数センサ90の検出信号をパルス信号に変換し、単位時間当たりのパルス数に基づいて得られる変速機出力軸41の回転数を、変速機出力軸41から駆動輪6に至る間の終減速機構5等の減速比や駆動輪6のタイヤ径等に基づいて車速VSに換算する。
変速制御部8Dによる変速制御は、例えば図4の変速線図に示すように、アクセル開度APOに応じて車速VSとプライマリプーリ42の回転数Npri(ロックアップクラッチ20が完全係合されていれば、エンジン回転数Neと同一)とを対応させる変速線を設定し、車速VSとアクセル開度APOとに応じてプライマリプーリ42の回転数Npriを制御する。これにより、変速比Rが制御される。
上述のように、ラトル音と共に回転要素の回転数の上下変動の発生する場合があるが、この場合の回転要素には変速機出力軸41も含まれ、変速機出力軸41の回転数の上下変動も発生する。変速機出力軸回転数センサ90により検出された回転数情報から車速VSを演算すると、回転数情報は回転数の上下変動を含むものなら演算された車速VSも上下変動することになる。
図4の変速線図に示すように、演算された車速VSが上下変動すると、アクセル開度APOが一定であっても変速比Rが変動することになる。
ところで、正味駆動トルクTdnであるドライブシャフト51の回転トルクTDSFTは、次式のように演算できる。
(数1)
DSFT=(Tin−I*dωP/dt-TFric)*Ip*If
DSFT:ドライブシャフトトルク[Nm]
in:プライマリ軸入力トルク[Nm]
I:プライマリ軸イナーシャ[kgm2]
ωP:PRI角加速度[rad/S2]
Fric:変速機のトータルフリクション[Nm]
Ip:バリエータ変速比
If:ファイナルギヤ比
また、図5(a)はドライブシャフト51の回転トルクTDSFTが上下変動する要因を、その右側に示し、更にその要因の事象が発生する要因を、その右側に示すようにした図である。ドライブシャフトトルクTDSFTが上下変動する要因には、CVT100に入力されるプライマリ入力トルク(=エンジントルク)Tinの上下変動や、プライマリ軸のイナーシャトルクIの上下変動や、変速機のトータルフリクションTFricの上下変動が挙げられる。
また、入力トルク(=エンジントルク)Tinの上下変動の要因には、アクセル開度APOの上下変動や、エンジン回転数Neの上下変動がある。イナーシャトルクIの上下変動の要因には、エンジン回転数Neの上下変動がある。フリクションTFricの上下変動の要因には、油圧の上下変動や、変速比Rの上下変動がある。さらに、エンジン回転数Neの上下変動の要因には、変速比Rの上下変動がある。油圧の上下変動の要因には、変速比Rのフィードバックによる油圧指令の上下変動や、入力トルクTinの上下変動がある。
図5(b)は変速比Rの上下変動の要因を、その右側に示し、更にその要因の事象が発生する要因を、その右側に示すようにしている。変速比Rの上下変動の要因には、油圧指令の上下変動や、変速比フィードバックの安定性不足がある。油圧指令の上下変動の要因には、アクセル開度APOの上下変動や、車速VSの上下変動がある。車速VSの上下変動の要因には、ドライブシャフトトルクTDSFTの上下変動や、その他の路面外乱がある。
図5に示すように、変速比Rが上下変動すると、ドライブシャフトトルクTDSFTが上下変動し、ドライブシャフトトルクTDSFTが上下変動すると車速VSが上下変動して、変速比Rが上下変動するといった無限ループに陥る。ここで、車速VSに着目すると、実際の車速が変動していなくても、変速制御に用いる車速VSが上下変動すれば、変速比Rが上下変動し、変速比Rが上下変動するとドライブシャフトトルクTDSFTが上下変動し、ドライブシャフトトルクTDSFTが上下変動すると変速比Rが上下変動するというように、やはり無限ループに陥る。
このように、変速制御に用いる車速VSの上下変動は、変速比Rの上下変動やドライブシャフトトルクTDSFTの上下変動を増幅することになり、変速ハンチングレベルを増大させ、ラトルショックも増幅させることになるので、車速VSの上下変動を抑制することが重要になる。
本制御装置では、このような車速VSの上下変動を抑制するために、ノッチフィルタ90aを用いて、変速機出力軸回転数センサ90により検出された回転数情報から特定の周波数域を除去した回転数情報から、車速演算部8Bによる車速VSの演算を行なっている。
ただし、ノッチフィルタ90aを用いてフィルタ処理すると、回転数情報から特定の周波数域を除去することはできるが、回転数情報に応答遅れが生じる。このため、車速VSの上下変動を抑制することが必要な場合には、フィルタ処理した回転数情報を用いて演算した車速VSを制御用に選定し、車速VSの上下変動を抑制することが不要な場合には変速機出力軸回転数センサ90により検出された回転数情報をフィルタ処理せずにそのまま用いて演算した車速VSを制御用に選定するようにしている。
そこで、図6に示すように、車速演算部8Bは、制御条件判定部(制御条件判定手段)8Aの判定結果に基づいて、変速機出力軸回転数センサ90により検出されノッチフィルタ90aで処理されたフィルタ処理回転数に基づいて車速VSを演算する第1演算部(第1演算手段)8eと、変速機出力軸回転数センサ90により検出されたままの回転数に基づいて車速VSを演算する第2演算部(第2演算手段)8fと、制御許可条件(所定条件)が成立したら、第1演算部8eにより演算された車速VSを制御用車速(検出車速)に選定し、制御許可条件が成立しなければ、第2演算部8fにより演算された車速VSを制御用車速に選定する車速選定部(車速選定手段)8gと、を備えている。
制御条件判定部8Aの制御許可条件には、以下の(A)〜(D)の4つの条件が設定され、これらが何れも成立したら制御許可条件が成立したとする。
(A)ドライバがエンジン1に出力トルクを要求していること。
(B)エンジン1から駆動輪6へ出力される駆動トルクが所定トルクT0以下の微小状態であること。
(C)車両の前後加速度Gvがゼロ近傍の状態(すなわち、前後加速度Gvが所定加速度Gv以下の状態)であること。
(D)駆動輪6がスリップしていないこと。
なお、(A)〜(C)の条件は、前記のラトル音や回転要素の回転数の上下変動が発生する条件(A)〜(C)である。
(D)の「駆動輪6がスリップしていないこと」の条件は動力伝達系の回転要素の回転数から車速VSを演算する場合の必須要件である。
また、車速演算部8Bは、車速選定部8gにおいて、第1演算部8eにより演算された車速と、第2演算部8fにより演算された車速とで切り替える際に、この切替を滑らかにするレート処理を行なうレート処理部(レート処理手段)8Cを備えている。このレート処理部8Cでは、車速を切り替える際に、車速の変化を所定のレート内に制限し、切替を滑らかにする。
なお、第1演算部8e及び第2演算部8fによる車速の演算は、何れも周期的に入力される回転数情報(パルス信号)の時間間隔から車速を演算するため、連続的な演算が必要であり、第1演算部8e及び第2演算部8fによる車速の演算は、常時並行して行なわれる。
ノッチフィルタ90aは、図7に示すように、所望の周波数fにおいて所望の幅Wでノッチ状に入力振幅を減衰させる。ここでは、ラトル音や変速機出力軸回転数センサ90の検出回転数の上下変動が発生する状況における上下変動周波数fと、エンジン(パワートレイン)1の固有振動が変速機出力軸41に伝達された際の周波数fとにおいて所望の幅W1,W2でノッチ状に入力振幅を減衰させるように設計されている。
つまり、ノッチフィルタ90aにより減衰させる特定の周波数域には、変速機出力軸回転数センサ90により検出される回転数の上下変動にかかる周波数成分の周波数域が含まれ、エンジン(駆動源)1の固有振動が変速比に応じて変速機出力軸41に伝達される振動の周波数域が含まれている。
[作用及び効果]
本実施形態にかかる自動変速機の制御装置は、上述のように構成されているので、例えば、図8のフローチャートに示すようにして、車速演算部8Bにより車速を選定して、変速制御部8Dにおける変速制御に用いる。
図8に示すように、車速演算部8Bでは、制御許可条件が成立しているか否かを判定する(ステップS10)。つまり、上記の(A)〜(D)の4つの条件が何れも成立しているか否かを判定する。(A)〜(D)の4つの条件が何れも成立していれば、制御許可条件が成立し、この場合は、第1演算部8eにおいてノッチフィルタ90aで処理されたフィルタ処理回転数に基づいて演算された車速VSを制御用車速に選定する(ステップS20)。一方、制御許可条件が成立していなければ、第2演算部8fにおいて変速機出力軸回転数センサ90により検出されたままの回転数に基づいて演算された車速VSを制御用車速に選定する(ステップS30)。
車速演算部8Bでは、こうして、選定された車速VSに対して、適宜レート処理を施して出力する。つまり、車速選定部8gにおいて、第1演算部8eにより演算された車速と、第2演算部8fにより演算された車速とで切り替える際には、レート処理部8Cによってレート処理を行ない、切替を滑らかにする。
例えば図9は、この制御状態の一例を示すタイムチャートである。(a)は制御許可状況を示し、(b)は変速制御に用いられる車速状況を示し、(c)は変速制御にによる目標変速比の状況を示す。(b),(c)において、実線は本制御装置による制御を行なった場合を示し、破線は本制御装置による制御を行なわなかった場合を示し、二点鎖線は制御を行なわない場合にも演算されるノッチフィルタ90aで処理されたフィルタ処理回転数に基づく車速VSを示す。
図9に示すように、時点t1で制御が許可(制御ON)されるまでは、第2演算部8fにおいて変速機出力軸回転数センサ90により検出されたままの回転数に基づいて演算された車速VSが制御用車速に選定される。このとき、ノッチフィルタ90aで処理されたフィルタ処理回転数に基づく車速VSも並行して演算される。
時点tで制御が許可(制御ON)されると、フィルタ処理回転数に基づく車速VSが選定されるが、制御に入る過渡時には車速の急変を防止するレート処理が行われる。制御中は、フィルタ処理回転数に基づく車速VSが変速制御に用いられる。この結果、ノッチフィルタ90aの効果で、演算された車速VSが安定するので目標変速比(変速比Rの指令値)も安定し、変速サーボ系全体が安定する。このため、変速ハンチングレベルを低減しラトルショックを緩和することができる。
そして、時点tで制御が不許可(制御OFF)になったら、変速機出力軸回転数センサ90により検出されたままの回転数に基づいて演算された車速VSが制御用車速に選定されるようになるが、この制御を抜ける過渡時にも車速の急変を防止するレート処理が行われる。制御に入り及び制御抜けの過渡時のレート処理によって、車速VSが円滑に切り替わり、目標変速比も安定する。
[その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形したり、一部を採用したりして実施することができる。
上記実施形態では、回転数検出手段として変速機出力軸回転数センサ90を適用した例を説明したが、回転数検出手段は、自動変速機の出力軸41以降の回転要素の回転数を検出する検出手段であればよく、ディファレンシャルギヤ56までの回転部材であれば何れの回転要素の回転数を検出するものでもよい。
上記実施形態では、ノッチフィルタ90aをフィルタ回路といったハードウェアにより構成したが、ノッチフィルタをソフトウェアで構成してもよい。
また、レート処理手段をソフトウェアで構成したが、これをハードウェアにより構成してもよい。
また、本実施形態では、本発明を、無段変速機構を備えた自動変速機に適用したが、本発明は、有段変速機構を備えた自動変速機にも適用できる。
また、上記実施形態では、車両の駆動源をエンジン(内燃機関)にしているが、車両の駆動源はモータ(電動機)であってもよく、エンジン及びモータであってもよい。
変速機は手動変速機でもよい。
1 エンジン(駆動源である内燃機関)
2 トルクコンバータ
4 ベルト式無段変速機構(バリエータ)
6 駆動輪
8 CVTECU(変速機制御手段、制御手段)
8A 制御条件判定部(制御条件判定手段)
8B 車速演算部(車速演算手段)
8C レート処理部(レート処理手段)
8D 変速制御部(変速制御手段)
8e 第1演算部(第1演算手段)
8f 第2演算部(第2演算手段)
8g 車速選定部(車速選定手段)
9 エンジンECU(駆動源制御手段、制御手段)
90 変速機出力軸回転数センサ(車速検出手段)
90a ノッチフィルタ
91 アクセル開度センサ(トルク要求量検出手段)

Claims (7)

  1. 車両の駆動源と駆動輪との間の動力伝達系に装備された自動変速機の制御装置であって、
    前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    前記車速検出手段により検出された車速及び前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて前記自動変速機の変速比を制御する変速制御手段とを備え、
    前記車速検出手段は、
    前記自動変速機の出力軸以降の回転要素の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記回転数検出手段により検出された回転数情報から車速を演算する演算手段と、から構成され、
    前記演算手段に入力される前記回転数情報から特定の周波数域を除去するノッチフィルタが装備され、
    前記特定の周波数域には、前記駆動輪に入力される駆動トルクの周期的な変動に起因して発生する前記回転数の上下変動にかかる周波数成分の周波数域が含まれている
    ことを特徴とする、車両用自動変速機の制御装置。
  2. 前記演算手段は、
    前記回転数検出手段により検出され前記ノッチフィルタで処理されたフィルタ処理回転数に基づいて車速を演算する第1演算手段と、
    前記回転数検出手段により検出されたままの回転数に基づいて車速を演算する第2演算手段と、
    前記回転数の前記上下変動が発生する条件として予め設定された所定条件が成立したら、前記第1演算手段により演算された車速を検出車速に選定し、上記所定条件が成立しなければ、前記第2演算手段により演算された車速を検出車速に選定する車速選定手段と、を備えている
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両用自動変速機の制御装置。
  3. 前記演算手段は、
    前記検出車速を、前記第1演算手段により演算された車速と、前記第2演算手段により演算された車速とで切り替える際に、切替を滑らかにするレート処理を行なうレート処理手段を備えている
    ことを特徴とする、請求項2記載の車両用自動変速機の制御装置。
  4. 前記所定条件には、前記駆動源への出力トルク要求が検出されていること、前記駆動源の検出駆動トルクがトルク判定閾値以下の微小状態であること、前記車両の加速度が加速度判定閾値以下の微小状態であること、が何れも成立していることが含まれている
    ことを特徴とする、請求項2又は3記載の車両用自動変速機の制御装置。
  5. 前記自動変速機は、無段変速機である
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  6. 前記特定の周波数域には、前記駆動源の固有振動にかかる前記変速比に応じた回転要素の振動の周波数域が含まれている
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  7. 前記回転要素は、前記自動変速機の出力軸である
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019176400A1 (ja) * 2018-03-15 2019-09-19 ジヤトコ株式会社 自動変速機の制御装置および制御方法

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