JP2016183331A - フォトンアップコンバージョン組成物 - Google Patents

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信夫 君塚
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伸浩 楊井
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翔悟 雨森
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Yoichi Sasaki
陽一 佐々木
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Abstract

【課題】安定的に800nmを超える波長の近赤外光を可視光へ高効率のフォトン・アップコンバージョンを達成する組成物の提供。【解決手段】光を吸収した後に励起三重項状態となり増感剤として機能するドナー分子と、当該ドナー分子からの三重項エネルギー移動を受けた後、励起一重項状態となり発光体として機能するアクセプター分子とを含む、フォトンアップコンバージョン組成物。(a)ドナー分子として、ナフタロシアニン誘導体、テルピリジン誘導体とビピリジン誘導とを配位子とするオスミウム錯体、(b)アクセプター分子として、テリレンジイミド誘導体、ナフタセン誘導体及びポルフィリン誘導体から選ばれる少なくとも1つの化合物であるフォトンアップコンバージョン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外光から可視光へのフォトンアップコンバージョンが可能な組成物に関する。本発明はまた、前記組成物を使用して近赤外光から可視光へのフォトンアップコンバージョンを達成するための方法に関する。
フォトン・アップコンバージョンとは、低エネルギーの光を高エネルギーの光に変換する技術である。低エネルギーの光を高エネルギーの光に変換できれば、太陽電池、バイオイメージング、光線力学療法などの多くの分野に応用できることから(非特許文献1〜3)1-3、フォトン・アップコンバージョンは多くの注目を集めている。
フォトン・アップコンバージョンの機構として、これまで多光子吸収などの非線形光学現象に基づく機構が知られている。しかし、この多光子吸収を起こすためには非常に高い励起光強度を必要とし、太陽光などの低強度の光を励起光として用いることは困難である。そこで近年では、低強度の励起光でもアップコンバージョン発光を達成可能な三重項-三重項消滅(triplet-triplet annihilation; TTA)を利用したフォトン・アップコンバージョン(TTA-UC)が注目を集めており(図23)、幅広く研究が行われている(非特許文献4〜16)4-16
一般的にTTA-UCを示す組成物は増感剤(ドナー)及び発光体(アクセプター)の二成分から構成される。TTA-UCのメカニズムは以下の通りである(図23、図5)。
(1) まず、ドナー分子が光を吸収して励起一重項状態となる。続けて系間交差(ISC)を経て、励起三重項状態のドナー分子が生じる。
(2) 励起三重項状態となったドナー分子からアクセプター分子にエネルギーが移動し(三重項−三重項エネルギー移動(TTET))、励起三重項状態のアクセプター分子が生じる。
(3) 励起三重項状態のアクセプター分子が二分子間で衝突することでTTAが生じる。TTAにより、二分子の励起三重項状態のアクセプター分子から一分子の励起一重項状態のアクセプター分子が生じる。この時生じた励起一重項状態のアクセプター分子はドナーが吸収した励起光よりも高いエネルギーを有するため、アップコンバージョンされた発光となる(図5)。すなわち、低エネルギーの光子二つを用いて、より高エネルギーの光子一つを生み出すこととなる。
TTA-UCの励起波長及び発光波長は、ドナー及びアクセプターの種類によって調節することができる。
これまでに、様々なドナーとアクセプターの組み合わせによるTTA-UCが報告されているが、使用される励起光はそのほとんどが可視領域のものである(非特許文献4〜16)。フォトン・アップコンバージョンを太陽電池(非特許文献1〜3、12、17)や、光線力学療法、バイオイメージング(非特許文献3、10)等へ応用するためには、近赤外(NIR)光を励起光として用いることが求められる。このため、近赤外光を励起光として利用可能なTTA-UCを示す組成物を開発することが求められている。
800nm以下の波長の近赤外光に近い光を励起光として用いたTTA-UCはCastellanoら、Baluschevら、及びSchmidtらの研究グループによって報告されている。そこでは、ドナー分子としてそれぞれポルフィリン(非特許文献17〜20)17-20、テキサフィリン(非特許文献21)21、及びフタロシアニン(非特許文献22)22の誘導体を用いている。しかしながら800 nmを超える波長の近赤外光を励起光として用いたTTA-UCは3例しか存在しない(非特許文献23〜25)。非特許文献23ではドナー分子としてインドシアニン誘導体を用い、830nmの波長の近赤外光のTTA-UCを報告しているが、この系では系中に酸素を必要とするため、酸素との反応による色素自体の分解が顕著である。
非特許文献24、25ではそれぞれドナーとして無機ナノ粒子であるPbS,PbSeを用い、980nm、808nmの波長の近赤外光のTTA-UCを報告している。しかしながら、これらはドナーとして無機ナノ粒子を用いており、有機化合物、有機金属錯体などの色素を用いたTTA-UCとは異なっている。
J. de Wild, A. Meijerink, J. K. Rath, W. G. J. H. M. van Sark and R. E. I. Schropp, Energy Environ. Sci., 2011, 4, 4835-4848. T. F. Schulze and T. W. Schmidt, Energy Environ. Sci., 2015, 8, 103-125. J. Zhou, Q. Liu, W. Feng, Y. Sun and F. Li, Chem. Rev., 2015, 115, 395-465. S. Baluschev, T. Miteva, V. Yakutkin, G. Nelles, A. Yasuda and G. Wagner, Phys. Rev. Lett., 2006, 97, 143903. Y. Y. Cheng, T. Khoury, R. G. C. R. Clady, M. J. Y. Tayebjee, N. J. Ekins-Daukes, M. J. Crossley and T. W. Schmidt, Phys. Chem. Chem. Phys., 2010, 12, 66-71. T. N. Singh-Rachford and F. N. Castellano, Coord. Chem. Rev., 2010, 254, 2560-2573. J. Zhao, S. Ji and H. Guo, RSC Adv., 2011, 1, 937-950. J. H. Kim and H. J. Kim, J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 17478-17481. A. Monguzzi, R. Tubino, S. Hoseinkhani, M. Campione and F. Meinardi, Phys. Chem. Chem. Phys., 2012, 14, 4322-4332. Q. Liu, B. Yin, T. Yang, Y. Yang, Z. Shen, P. Yao and F. Li, J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 5029-5037. P. Duan, N. Yanai and N. Kimizuka, J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 19056-19059. V. Gray, D. Dzebo, M. Abrahamsson, B. Albinsson and K. Moth-Poulsen, Phys. Chem. Chem. Phys., 2014, 16, 10345-10352. T. W. Schmidt and F. N. Castellano, J. Phys. Chem. Lett., 2014, 5, 4062-4072. P. Duan, N. Yanai and N. Kimizuka, Chem. Commun., 2014, 50, 13111-13113. S. Hoseinkhani, R. Tubino, F. Meinardi and A. Monguzzi, Phys. Chem. Chem. Phys., 2015, 17, 4020-4024. P. Duan, N. Yanai, H. Nagatomi and N. Kimizuka, J. Am. Chem. Soc., 2015, 137, 1887-1894. A. Nattestad, Y. Y. Cheng, R. W. MacQueen, T. F. Schulze, F. W. Thompson, A. J. Mozer, B. Fuckel, T. Khoury, M. J. Crossley, K. Lips, G. G. Wallance and T. W. Schmidt, J. Phys. Chem. Lett., 2013, 4, 2073-2078. S. Baluschev, V. Yakutkin, T. Miteva, Y. Avlasevich, S. Chernov, S. Aleshchenkov, G. Nelles, A. Cheprakov, A. Yasuda, K. Mullen and G. Wegner, Angew. Chem. Int. Ed., 2007, 46, 7693-7696. V. Yakutkin, S. Aleshchenkov, S. Chernov, T. Miteva, G. Nelles, A. Cheprakov and S. Baluschev, Chem. Eur. J., 2008, 14, 9846-9850. T. N. Singh-Rachford, A. Nayak, M. L. Muro-Small, S. Goeb, M. J. Therien and F. N. Castellano, J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 14203-14211. F. Deng, W. Sun and F. N. Castellano, Photochem. Photobiol. Sci., 2014, 13, 813-819. T. N. Singh-Rachford and F. N. Castellano, J. Phys. Chem. A, 2008, 112, 3550-3556. B. Fuckel, D. A. Roberts, Y. Cheng, R. G. C. R. Clady, R. B. Piper, N. J. Ekins-Daukes, M. J. Crossley and T. W. Schmidt, J. Phys. Chem. Lett., 2011, 2, 966-971. Huang, Z.; Li, X.; Mahboub, M.; Hanson, K. M.; Nichols, V. M.; Le, H.; Tang, M. L.; Bardeen, C. J. Nano Lett. 2015, 15, 5552. Wu, M.; Congreve, D. N.; Wilson, M. W. B.; Jean, J.; Geva, N.; Welborn, M.; Voorhis, T. V.; Bulovic, V.; Bawendi, M. G.; Baldo, M. A. Nat. Photonics 2016, 10, 31.
このため、安定的に800nmを超える波長の近赤外光を可視光へフォトン・アップコンバージョンするための組成物を開発することが望まれていた。そこで本発明は、近赤外光から可視光へのフォトン・アップコンバージョンを達成する組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、所定のドナー分子及びアクセプター分子を用いることで、近赤外光から可視光への光安定性の高いアップコンバージョンを構築することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)光を吸収した後に励起三重項状態となり増感剤として機能するドナー分子と、当該ドナー分子からの三重項エネルギー移動を受けた後、励起一重項状態となり発光体として機能するアクセプター分子とを含む、フォトン・アップコンバージョン組成物であって、
前記ドナー分子が、次式I:

(式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又は縮環したベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環若しくはテトラセン環を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又はOR101、COR102若しくはCOOR103(R101、R102及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)で示される基を表し、
前記基及び環は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよく、
は、白金、パラジウム、ニッケル、亜鉛及びスズから選ばれる金属原子、又はケイ素若しくは水素原子を表し、
n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
で示されるナフタロシアニン誘導体、又は次式II:

(式中、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又は−CONHR100、OR101、COR102若しくはCOOR103(R100はC1−10アルキル基又はC2−10アルケニル基を表し、R101、R102及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)で示される基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよく、
YはOs原子を表し、
Xはハロゲン原子を表す。)
で示される化合物であり、
前記アクセプター分子が、次式III:

(式中、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。)、
次式IV:

(式中、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立して、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。)、又は
次式V:

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよく、
m1、m2、m3及びm4は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
で示されるものである、前記組成物。
(2)式Iで示される化合物が、次式VI又はVII:


で示されるものである(1)に記載の組成物。
(3)式IIで示される化合物が、次式VIII:

で示されるものである(1)に記載の組成物。
(4)式IIIで示される化合物が、次式IX:

で示されるものである(1)に記載の組成物。
(5)式IVで示される化合物が、次式X又はXI:


で示されるものである(1)に記載の組成物。
(6)式Vで示される化合物が、次式XII:

で示されるものである(1)に記載の組成物。
(7)ドナー分子/アクセプター分子のモル比が0.001%〜20%の範囲内にある、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の組成物。
(8)近赤外光から可視光へのアップコンバージョン系として機能する、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の組成物。
(9)近赤外光の波長が800 nm〜1400 nmである、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の組成物。
(10) (1)〜(9)のいずれか1項に記載の組成物に光を照射し、当該照射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光を発生させることを特徴とする、フォトン・アップコンバージョン方法。
(11)照射光が近赤外光であり、発生する光が可視光である(10)に記載の方法。
(12)近赤外光の波長が800 nm〜1400 nmである、(10)又は(11)に記載の方法。
本発明により、近赤外光から可視光への高効率のアップコンバージョンを達成するための組成物及びアップコンバージョン方法が提供される。本発明の組成物は、(a) ドナー分子として、例えばナフタロシアニン誘導体、オスミウム錯体、 (b)アクセプター分子として、例えばテリレンジイミド誘導体、ナフタセン誘導体及びポルフィリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む。本発明の組成物及び方法により、太陽電池、バイオイメージング、光線力学療法などの多くの分野への幅広い応用が可能となった。
PtNac、PdNac及びTDI (上パネル)の分子構造、並びに脱気した1,2-ジクロロベンゼン (1,2-DCB)中のTDI、PtNac及びPdNacの規格化された吸収及び発光スペクトル(下パネル) を示す図である。 脱気した1,2-DCB中の(a) PtNac-TDI及び(b) PdNac-TDIにおけるアップコンバージョンを示す図である。アップコンバージョン発光スペクトルは、856 nm のレーザーを用いて測定した。([Pt/PdNac] = 0.05 mM, [TDI] = 0.6 mM, 810 nm ショートパスフィルター) 脱気した1,2-DCB中の(a) PtNac-TDI及び(b) PdNac-TDIについて、励起光強度とTTA-UC発光強度を両対数プロットした図である。([Pt/PdNac] = 0.05 mM, [TDI] = 0.6 mM, 810nm ショートパスフィルター). 脱気した1,2-DCB中の(a) PtNac-TDI及び(b) PdNac-TDIにおけるアップコンバージョン発光スペクトルの時間依存性を示す図である。発光スペクトルは856 nmnのレーザーを用いて測定した。 (29 W cm-2, [Pt/PdNac] = 0.05 mM, [TDI] = 0.6 mM, 810 nm ショートパスフィルター) TTA-UCに関係するエネルギー準位を示すTTA-UC過程の概要を示す図である。(S=一重項、T=三重項) PtNacの 1H NMR スペクトル(300 MHz, CDCl3)を示す図である。 PdNacの 1H NMR スペクトル(300 MHz, CDCl3)を示す図である。 TDIの 1H NMR スペクトル(300 MHz, CDCl3)を示す図である。 脱気した1,2-DCB中のPtNac-TDI及びPdNac-TDIの690nmにおける発光の時間依存性を示す図である。([Pt/PdNac] = 0.05 mM, [TDI] = 0.6 mM, lex = 820 nm, 810 nmショートパスフィルター) 図中、赤色のフィッティング曲線は、次式: の関係式から得た。
励起光強度とPtNac-TDIの規格化されたTTA-UC発光強度を両対数プロットした図である。PtNacの濃度は(a) 0.1 mM、及び(b) 0.02 mMである。発光スペクトルは856 nmのレーザー、溶媒は脱気した1,2-DCBを用いて測定した。([TDI] = 0.6 mM, 810 nm ショートパスフィルター) 励起光強度とPdNac-TDIの規格化されたTTA-UC発光強度を両対数プロットした図である。PdNacの濃度は(a) 0.1 mM、及び(b) 0.02 mMである。発光スペクトルは856 nmのレーザー、溶媒は脱気した1,2-DCBを用いて測定した。([TDI] = 0.6 mM, 810 nm ショートパスフィルター) 励起光強度とPtNac-TDI及びPdNac/TDIのUC量子収率を両対数プロットした図である。発光スペクトルは856 nmのレーザー、溶媒は脱気した1,2-DCBを用いて測定した。([ドナー] = 0.05 mM, [TDI] = 0.6 mM, 810 nm ショートパスフィルター) 脱気したトルエン溶液中の過渡吸収のレーザーパルス強度依存性を示す図である。吸光度は、励起後0.05μ秒後(PtNac, 20 μM) 及び 0.2μ秒後 (PdNac, 20μM)の値を用いた。点線は、最小二乗法によるフィッティングの結果を示す。 脱気した1,2-DCB中のTDIの存在下([TDI] = 0.6 mM)又は非存在下で測定したPtNac((a) 0.1 mM, (b) 0.05 mM, 及び (c) 0.02 mM)のリン光スペクトルを示す図である。 脱気した1,2-DCB中のTDIの存在下([TDI] = 0.6 mM)又は非存在下で測定したPdNac((a) 0.1 mM, (b) 0.05 mM, 及び (c) 0.02 mM)のリン光スペクトルを示す図である。 脱気したトルエン中のPtNac (20 μM)の過渡吸収の時間依存性を示す図である。図は、680 nm (lex = 462 nm)でモニターした結果を表す。赤色の点線は、指数関数でフィッティングした結果を表す。 脱気したトルエン中のPdNac (20 μM)の過渡吸収の時間依存性を示す図である。図は、680 nm (lex = 468 nm)でモニターした結果を表す。赤色の点線は、指数関数でフィッティングした結果を表す。 実施例2で使用した化合物D1及びそのスペクトルを示す図である。 (a)D1化合物及びルブレン(rubrene)の構造式;(b)D1化合物及びルブレンのクロロホルム溶液における吸収及び規格化された発光スペクトル アップコンバージョンされた発光スペクトル等を示す図である。(a)D1化合物及びルブレンの脱気したクロロホルム溶液におけるアップコンバージョンされた発光スペクトル(λex= 938 nm, 870 ショートパスフィルター);(b) D1, ルブレン, D1-ルブレンペアの脱気したクロロホルム溶液における575 nmの波長の発光強度の時間依存性 (λex= 865 nm);(c) D1-ルブレンペアの脱気したクロロホルム溶液におけるTTA-UC発光強度と励起光強度を両対数プロットした図。(λex= 938 nm, [D1] = 0.5 mM, [ルブレン] = 10 mM, 870 ショートパスフィルター) アップコンバージョンされた発光スペクトル等を示す図である。(a) 固体系でのD1-ルブレンペアのアップコンバージョンされた発光スペクトル(λex= 938 nm, 780, 810 ショートパスフィルター);(b) 固体系でのD1-ルブレンペアにおける600 nmの波長の発光の時間依存性 (λex= 820 nm);(c)D1-ルブレンペアの固体系におけるTTA-UC発光強度と励起光強度を両対数プロットした図。 化合物D1の1H NMRスペクトル(300 MHz, DMSO-d6, TMS) を示す図である。 脱気したクロロホルム溶液におけるD1-ルブレンペアのUC相対量子収率と励起光強度を両対数プロットした図である。 ([D1] = 0.5 mM, [ルブレン] = 10.0 mM) 三重項-三重項消滅(TTA)によるフォトン・アップコンバージョンのメカニズムを示す図である。
本発明は、近赤外光から可視光へのフォトン・アップコンバージョンに使用される組成物の発明であり、ドナー分子とアクセプター分子とを含む。
三重項-三重項消滅(TTA)を経る機構(図23)に基づくアップコンバージョン(TTA-UC)では、高い効率で三重項状態となるドナー(増感剤)、及び、高い蛍光量子収率を有するアクセプター(発光体)として機能する2種の色素分子を用いる。前記の通り、まず低いエネルギーの光を吸収して励起一重項状態(S1)となったドナー分子は、系間交差(ISC)を経て励起三重項状態(T1)となる。もしくは低いエネルギーの光を吸収して直接励起三重項状態(T1)となる。この励起三重項状態となったドナー分子からアクセプター分子にデクスター機構によって三重項エネルギーが移動する(三重項−三重項エネルギー移動(TTET))。これにより生じた励起三重項にある2つのアクセプター分子が衝突してTTAが起こると、TTA後に2分子のうち1分子が三重項状態よりも高い励起一重項状態となり、アップコンバージョン発光が生じる。
本発明は、ドナー分子として、例えばナフタロシアニン誘導体を使用し、アクセプター分子として、例えばテリレンジイミド誘導体などを用いることにより、近赤外光から可視光へのアップコンバージョンを達成することに成功した。従って、本発明は、近赤外光から可視光へのアップコンバージョンのための組成物及びその方法を提供する。
ここで、本明細書において、近赤外光から可視光を指すときは「NIR-to-visible」、近赤外光から可視光へのアップコンバージョンを「NIR-to-visible アップコンバージョン」又は「NIR-to-visible UC」、三重項-三重項消滅(TTA)を利用したアップコンバージョンを「TTA-UC」、さらに、TTAを利用した近赤外光から可視光へのアップコンバージョンを「NIR-to-visible TTA-UC」ということもある。
(1)ドナー分子
ドナー分子は、三重項増感剤として機能し、光を吸収した後、系間交差(ISC)を経て励起三重項状態となり、アクセプター分子に三重項エネルギーを与える機能を有する。もしくはドナー分子は、光を吸収した後、直接励起三重項状態となり、アクセプター分子に三重項エネルギーを与える機能を有する。
本発明において使用されるドナー分子は、次式I又はIIに示されるものである。
式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又は縮環したベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環若しくはテトラセン環を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又はOR101、COR102若しくはCOOR103(R101、R102及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)で示される基を表す。
前記基及び環は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。
は、白金、パラジウム、ニッケル、亜鉛及びスズから選ばれる金属原子、又はケイ素若しくは水素原子を表す。
n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。
式中、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又は−CONHR100、OR101、COR102若しくはCOOR103(R100はC1−10アルキル基又はC2−10アルケニル基を表し、R101、R102及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)で示される基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。
YはOs原子を表す。
Xはハロゲン原子を表す。
本明細書において、「C1−10アルキル基」、「C1−6アルキル基」とは、炭素数がそれぞれ1〜10個、1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味する。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基(i-ブチル基)、2-メチル-2-プロピル基(t-ブチル基)、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、ヘキシル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基などが挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基などである。他の炭素数を有するアルキル基の例も、当業者であれば上記と同様に理解することができる。また、下記の他の置換基についても同様に理解することができる。
「C2−10アルケニル基」、「C2−6アルケニル基」とは、炭素数がそれぞれ2〜10個、2〜6個の直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味し、二重結合を1個有する。このようなアルケニル基としては、例えばエテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
「C2−10アルキニル基」とは、炭素数が2〜10個の直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味し、三重結合を1個有する。このようなアルキニル基としては、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基などが挙げられる。
「C3−15シクロアルキル基」とは、炭素数が3〜15個の環状のアルキル基を意味し、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等が挙げられる。
「C3−15シクロアルケニル基」とは、炭素数が3〜15個の環状のアルケニル基を意味し、二重結合を1個有する。例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキシニル等が挙げられる。
「C6−20アリール基」、「C6−14アリール基」とは、炭素数がそれぞれ6〜20個、6〜14個の芳香族炭化水素基を意味し、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、インデニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
「5〜14員ヘテロアリール基」とは、環を構成する原子数が5〜14個であり、その原子中に1〜5個のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子又は硫黄原子)を含有する芳香族基を意味する。このようなヘテロアリール基としては、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素(F)原子、塩素(Cl)原子、臭素(Br)原子、ヨウ素(I)原子、アスタチン(At)原子などが挙げられる。
式Iにおいて、R、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子又はC1−10アルキル基であることが好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。この場合のn1、n2、n3及びn4は、1〜4の整数である。また、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、又はOR101、COR102若しくはCOOR103(R101、R102及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)で示される基であることが好ましく、OR101であることがより好ましい。OR101の場合のR101は、例えばC1−6アルキル基、特に好ましくはブチル基である。さらに、式Iにおいて、M1は白金又はパラジウムであることが好ましい。
式IIにおいて、R21、R22及びR23は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基又はOR101、COOR103若しくはCONHR100(R100はC1−10アルキル基又はC2−10アルケニル基を表し、R101及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基又はC2−10アルケニル基を表す。)で示される基が好ましく、−CONHR100で示される基がさらに好ましい。この場合のR100は、例えばC1−10アルキル基であり、エチルヘキシル基であることがさらに好ましい。また、R24及びR25は、それぞれ独立して水素原子又はC1−10アルキル基であることが好ましく、ブチル基であることがさらに好ましい。さらに、Xは塩素原子であることが好ましい。
式IIに示す化合物は、オスミウム(Os)錯体などを形成する。この化合物を用いると、近赤外光励起による通常はスピン禁制な基底状態から三重項励起状態への直接遷移を有意な吸光効率で引き起こすことが出来、さらにアクセプター分子への三重項増感を達成することができる。
本発明においては、ドナー分子として、好ましくは式VI又はVIIに示すものを例示することができる。
また、本発明においては、下記式VIIIで示される化合物をドナー分子として使用することができる。
本発明において、ドナー分子としてPt(II)-ナフタロシアニン及びPd(II)-ナフタロシアニン、 好ましくは、ナフタロシアニン誘導体は、Pt(II)-オクタブトキシナフタロシアニン(PtNac)及びPd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン(PdNac)である(式VI、VII)。
これらのドナー分子を使用することによって、光安定性を有するNIR-to-visibleアップコンバージョンが可能となった。
(2)アクセプター分子
アクセプター分子は、前記ドナー分子からの三重項エネルギー移動を受けた後に、TTAを起こして励起一重項状態を与え、発光体として機能する。
本発明において使用されるアクセプター分子としては、次式III:

(式中、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基及び環は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。)、
次式IV:

(式中、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立して、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。)、又は
次式V:

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよく、
m1、m2、m3及びm4は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
で示されるものが挙げられる。
置換基の定義は、前記と同様である。
本発明において、アクセプター分子としては、例えばテリレンジイミド誘導体、ナフタセン誘導体及びフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である。
式III(テリレンジイミド誘導体)において、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基又はC6−20アリール基であることが好ましく、フェニル基であることがさらに好ましい。この場合のC6−20アリール基(例えばフェニル基)は、C1−6アルキル基、例えばブチル基で置換されていることが好ましい。
テリレンジイミド誘導体としては、例えば下記式 (IX)で示されるものが挙げられる。
また、式IV(ナフタセン誘導体)において、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立して、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、又はC6−20アリール基であることが好ましく、C2−10アルキニル基又はC6−20アリール基であることがより好ましく、エチニル基又はフェニル基であることがさらに好ましい。置換基がC2−10アルキニル基(例えばエチニル基)の場合は、C6−14アリール基、好ましくはフェニル基で置換されてもよい。
ナフタセン誘導体としては、例えば下記式 (X)又は(XI)で示されるものが挙げられる。
式V(フタロシアニン誘導体)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はC1−10アルキル基であることが好ましく、C1−6アルキル基、例えばブチル基であることがさらに好ましい。この場合のm1、m2、m3及びm4は、1〜4の整数である。
フタロシアニン誘導体としては、例えば下記式 (XII)で示されるものが挙げられる。
(3)組成物の作製
ドナー分子及びアクセプター分子は、公知方法に従って合成することができる。あるいは、市販品を使用することも可能である。合成の一例を実施例に示す。
本発明の組成物において、ドナー分子とアクセプター分子とを混合するには、それぞれの分子を適当な溶媒(例えば1,2-ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム等)に溶解し、それを混合すればよい。
固体系で利用する場合、化合物の溶解性の溶媒間の差と溶媒の混合・混和を利用した再沈殿法を用いることでサンプルを作成可能である。例えば色素を溶解性の高い溶媒(例えば、THF、アセトン、アセトニトリル等)に溶解させた後、色素の溶解性が低い溶媒(例えば水等)に注入し混和させることでドナー分子とアクセプター分子の混合した固体を再沈殿物として得ることができる。水に予め適宜界面活性剤を加えておくことで、沈殿物の形態を制御することも可能である。
ドナー分子/アクセプター分子比のモル比は、0.001%〜20%の範囲内であり、好ましくは0.1%〜10%、より好ましくは0.5%〜10%の範囲内である。
2.アップコンバージョン方法
第2の実施形態では、本発明は、前記組成物を使用してNIR-to-visibleアップコンバージョンを達成するための方法を提供する。
本発明の方法では、前記組成物に近赤外光(NIR)を照射し、当該照射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光(可視光)を発生させることを特徴とする。
組成物に光を照射するときの波長、すなわち組成物中のドナー分子が吸収する光の波長は、特に限定されるものではなく、NIRであれば特に限定されず、例えば800 nmより大きく1400nm以下である。照射源は、太陽光、LED、Xeランプ、レーザーなどが挙げられ、特に限定されるものではない。また、照射時間は特に限定されるものではなく任意である。
組成物から発光するときの波長、すなわち組成物中のアクセプター分子が発する可視光の波長は、例えば400〜800nmである。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(1)概要
三重項-三重項消滅を利用したアップコンバージョン(TTA-UC)は、低強度及び非コヒーレント光を励起光として利用できるため、近年注目されている。1-22しかしながら、光源として近赤外光(波長>800nm)を用いたTTA-UCは、僅か三例しか報告がなく、800nmよりも長波長の近赤外(NIR)光を利用するには、未だ大きな課題が残されている。23-25
本実施例では、増感剤としてPtNac、PdNacを用いることにより、近赤外光(> 800 nm)から可視光への安定なTTA-UCを達成したことを示す。本実施例と三例の報告では、用いているドナー分子が大きく異なる。非特許文献23ではインドシアニン色素誘導体、非特許文献24、25では無機ナノ粒子である。また非特許文献23のインドシアニン色素誘導体を用いた場合、酸素による色素の分解のため安定したTTA-UCを示すことは困難である。本発明において提供される組成物により、本発明者は上記課題を解決することができた。
用いた材料:
合成のための全ての試薬及び溶媒は、試薬を購入後さらなる精製を行うことなくそのまま使用した。
TDI は、文献に従って合成した。26
1H NMR (300 MHz, CDCl3, TMS standard): d(ppm) 1.20 (d, J = 6.8 Hz, 24H, CH3), 2.78 (quintet, J = 6.8 Hz, 4H, CHCH3), 7.36 (d, J= 7.7 Hz, 4H, Ar-H), 7.50 (t, J = 7.7 Hz, 2H, Ar-H), 8.66 (d, J = 8.3 Hz, 4H, Ar-H), 8.75 (s, 4H, Ar-H), 8.77 (d, J = 8.3 Hz, 4H, Ar-H).
元素分析; C58H46N2O4について計算: C 83.43, H 5.55, N 3.35, Found: C 82.98, H 5.36, N 3.23.(図8)
評価法:
1H NMR (300 MHz) スペクトルは、TMSを内部標準として用いてBruker DRX-スペクトロメーターで測定した。元素分析は、九州大学理学研究院中央元素分析所で実施した。
吸収スペクトルは、JASCO V-670 を用いて測定した。蛍光スペクトルは、PerkinElmer LS 55用いて測定した。NIR リン光スペクトルは、Horiba FluoroLog-3用いて測定した。発光寿命の測定は、HAMAMATSU Quantaurus-Tau C11567-01を用いて行った。アップコンバージョン発光スペクトルは、外付けのレーザー強度調節可能な半導体レーザー(856nm、0〜78mW)を励起光として、検出器としてHAMAMATSU Photonics PMA-12を用いて測定した。
絶対量子収率は、Hamamatsu Photonics絶対量子収率測定システムを用い、積分球により測定した。過渡吸収スペクトルは、UNISOKU TSP-2000システムを用いて測定した。
TTA-UC 量子収率の測定:
アップコンバージョン発光の量子収率(ΦUC)は、標準物質として5,9,14,18,23,27,32,36-Octabutoxy-2,3-naphthalocyanine (Nac)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(Φstd= 0.034)を用い、下記式(S1)に従って算出した。
系間交差(ISC)効率の測定:
ドナー分子のISC効率は、公知方法に基づき過渡吸収測定により求めた。27本実施例では、トルエン中のPtNac及びPdNac(20 μM)の過渡吸収のレーザーパルス強度依存性より計算を行った。PtNacは452nm、PdNacは468nmで励起し、680nmでの過渡吸収の値を用いた。ΔA対Eのプロットを式S2に当てはめることにより、

を計算した。
密度汎関数理論(DFT)計算:
本実施例では、密度汎関数法(DFT)を使用して、最も低い一重項(S0)及び三重項(T1)のエネルギー準位を最適化した。計算はB3LYPを使用し、基底関数は6-311G**の計算レベルにより計算した。
S0-S1 エネルギーギャップは基底関数が6-311++G**である時間依存性DFT(TDDFT)を用いて計算した。
ドナー化合物の合成:
合成スキームを以下に示す。
PtNacの合成:
アルゴンガス(Ar)雰囲気下、Nac (39 mg, 0.03 mmol) 及び PtCl2 (72 mg, 0.27 mmol)をベンゾニトリル(2 mL, アルゴンガスでバブリング)中、150 °C で16時間加熱した。その際、Nacの吸収バンドを追跡することで反応の進行を確認した。得られた混合物を室温まで冷却し、真空下(40 °C)で溶媒を留去した。残渣をクロマトグラフィ(Al2O3, トルエン)にかけ、メタノール及びヘキサンで洗浄し、PtNacを濃緑色の固体として得た(6 mg, 0.004 mmol, 13%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3, TMS standard): d(ppm) 1.05 (t, J = 7.4 Hz, 24H, CH3), 1.67 (sextet, J = 7.5 Hz, 16H, CH2CH3), 2.26 (quintet, J = 7.2 Hz, 16H, CH2CH2CH3), 5.20 (t, J = 6.9 Hz, 16 H, OCH2), 7.86 (br, ArH), 8.91 (br, ArH).
元素分析; C80H88N8O8Pt計算値: C 64.72, H 5.97, N 7.55, 実験値: C 64.63, H 6.00, N 7.50. (図 6)
PdNacの合成:
アルゴンガス(Ar)雰囲気下、Nac (39 mg, 0.03 mmol) 及びPdCl2 (48 mg, 0.27 mmol)をDMF (19 mL, アルゴンガスでバブリング)中、6時間還流した。その際、Nacの吸収バンドを追跡することで反応の進行を確認した。
得られた混合物を室温まで冷却し、ロータリーエバポレータ(45 °C)を用いて溶媒を留去した。残渣をクロマトグラフィ(Al2O3, トルエン)にかけ、メタノール及びヘキサンで洗浄し、PdNacを濃い茶色の固体として得た(22 mg, 0.016 mmol, 53%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3, TMS standard): d(ppm) 1.04 (t, J = 7.4 Hz, 24H, CH3), 1.67 (sextet, J = 7.5 Hz, 16H, CH2CH3), 2.25 (quintet, J = 7.3 Hz, 16H, CH2CH2CH3), 5.20 (t, J = 7.0 Hz, 16 H, OCH2), 7.86 (br, ArH), 8.96 (br, ArH).
元素分析; C80H88N8O8Pd計算値: C 68.83, H 6.35, N 8.03, 実験値: C 68.43, H 6.10, N 7.90. (図7)
本実施例は、アクセプターとしてテリレンジイミド誘導体(TDI)を、そしてドナーとして白金ナフタロシアニン(PtNac)、パラジウムナフタロシアニン(PdNac)誘導体を用いた新しいフォトン・アップコンバージョンシステムを示す(図1)。本実施例において、856nmの波長の近赤外光で励起すると、可視領域(690nm)にアップコンバージョンされた発光が示された。観測された発光はマイクロ秒オーダーの遅延蛍光であり、観察されたUC発光は、TTA機構に基づくものであることを確認することができた。
図1に示すとおり、PtNac 及びPdNacは1,2-ジクロロベンゼン (1,2-DCB) 溶液中、それぞれ、812 nm (e = 2.6 x 105) 及び828 nm (e = 2.5 x 105)付近にQ-バンドの強い吸収ピークを示した。これらのピークの裾は約900nmを超えていた。またそれぞれ1256nm及び1348nm付近にリン光が観測された。以上の事からPtNacとPdNacは近赤外光をTTA-UCするドナー分子として適していると言える。
またTDIは可視領域に強い発光ピークを示し、高い蛍光量子収率を有した(1,2-DCB, 0.6 mM中でΦEm = 32%)。DFT計算の結果より、三重項励起状態のエネルギー準位が1462nm付近であることが判明した。以上の事から、TDIは近赤外光をTTA-UCするアクセプター分子として適していると言える。
PtNacとTDIとの組み合わせ(「PtNac-TDIペア」ともいう)及びPdNacとTDIとの組み合わせ(「PdNac-TDIペア」ともいう)のTTA-UC発光は、凍結脱気法(freeze-pump-thaw cycle)により溶存酸素を除いた1,2-DCB中で評価した([Pt/PdNac] = 0.05 mM, [TDI] = 0.6 mM)。
856nmの近赤外光により励起したところ、どちらのドナー分子を用いた場合でも可視光領域にアップコンバージョン発光が観察された(図2)。これらのアップコンバージョン発光は、ドナー分子又はTDIのいずれか一方しか含まない溶液からは観察されなかった。PtNac-TDI溶液及びPdNac-TDI溶液のいずれにおいても、可視領域に観測されたアップコンバージョン発光はマイクロ秒レベルの遅延発光であることが示された(図9)。このことは、観測されたアップコンバージョンが長寿命の三重項種に基づく機構、すなわちTTAにより達成されたことを示すものである。
PtNac-TDIペア及びPdNac-TDIペアにおけるアクセプターの三重項寿命(tA,T)を以下の式より求めた。28, 29

その結果、アクセプターの三重項寿命はPtNac-TDIペアより102μs、PdNac-TDIペアより106μsという値が得られた。
Pt/PdNac-TDIのアップコンバージョン発光強度を、励起光強度の関数として両対数プロットした結果を図3に示す。どちらの組成物においても、2に近い傾きが得られた。このことは、TTAの二光子過程と整合する。一般的に、入射光強度が高くなると、アクセプター三重項は熱失活よりもTTAにより失活する経路が優勢となる。このためUC発光強度の入射光強度依存性は、ある閾値励起強度(Ith)よりも高い励起光強度で二次から一次に変化する。
ドナー分子としてPdNacを使用したときにのみ、傾きの変化が30 Wcm-2付近で観察された。このことは、PdNac-TDIペアのIth 値は、PtNac-TDIペアよりも低いことを示している。測定した励起光強度の範囲内では、ドナーの濃度に関係なく傾きは1に達しなかった(図10〜11)。アクセプター濃度は、溶解性の問題で0.6 mM以上の濃度での測定は行わなかった。
本発明者は、参照化合物としてNacを用いて、UC組成物のTTA-UC量子収率ΦUCを算出した。量子収率は、一般には、放出された光子数の吸収された光子数に対する比として定義される。アップコンバージョンの場合、1つのアップコンバージョンされた光子を生成するためには2つの光子の吸収が必要とされる。言い換えると、アップコンバージョンは、2つの光子を1つの光子に変換する過程のため、理論上のTTA-UC効率の最大効率は50%と定義される。
入射光強度の増加に伴い、PtNac-TDIペア及びPdNac-TDIペアのΦUC 値は、それぞれ0.0089% 及び0.067%まで増加した (図12)。
PtNac-TDIペア及びPdNac-TDIペアのΦUCについてより深い知見を得るために、本発明者は、ΦUCに関連する光物理的特性を評価した。ΦUCは、下記式によって表される。
得られたパラメーターを表1にまとめた。
本発明者は、文献に従い、過渡吸収測定により、PtNac及びPdNacのΦISC を算出した。27その結果はそれぞれ56% 及び29%となった (図13)。PtNacのΦISC はPdNacのΦISC よりも高かったが、これはPtがPdよりも重い原子であり、重原子効果が顕著に表れたためと考えられる。
ΦET値は、アクセプターであるTDIの存在又は非存在下におけるドナー分子のリン光強度の比により得られた(図14及び15)。PdNac-TDIペアのΦET の値はPtNac-TDIペア のΦET の値と比べて大きな値が得られた。この理由として、PdNacが、PtNacの三重項寿命(0.15 μs)と比較して長い三重項寿命(0.88 μs)を有していること(図16及び17)、及び、PdNacの方がよりTDIの三重項エネルギーレベルと近い三重項エネルギーレベルを有するためと考えられる。
最大のΦUC 値より、f・ΦTTA値を計算すると、約5%となった。これは、TTAが生じ一重項のアクセプター分子が生成する効率が低いことを示す。
上記のf・ΦTTA値が低い理由を考察するために、本発明者は、密度汎関数理論(DFT)によりTDIのT1 及び S1エネルギー準位を計算した。その結果、S1エネルギー準位は1.89 eVであり、T1 エネルギー準位の2倍の値(0.85 eV × 2 =1.70 eV)よりも高いことが判明した。このことは、TTAによるS1状態の生成が、TDIについては熱力学的に不利なプロセスであることを示唆している。従って、ΦUCは、アクセプター構造及びエネルギー準位を最適化することにより、改善できるものと期待できる。
また本発明者は、NIR-to-visibleアップコンバージョンシステムが優れた光化学安定性を有することを見出した(図4)。PtNac-TDIペア及びPdNac-TDIペアのTTA-UC発光スペクトルは、高強度のレーザー光(29 W cm-2)を150分もの長い間照射しても変化せず、安定した発光を維持していた。
まとめると、本実施例において、ドナーとしてPt/PdNac、アクセプターとしてTDIという色素分子の新規組み合わせ組成物を用いることにより、800nmよりも長波長であるNIR光の可視光への安定したTTA-UCを達成することができた。メタロナフタロシアニン化合物は、構造が単純であること、合成が容易であること、等の好ましい特徴を有している。従って、当該化合物はNIRから可視光へのTTA-UCを開発する上で重要な母骨格となると考えられる。
本実施例は、ドナー分子としてOs錯体(D1)を用いることにより、NIR (938 nm)から可視光(575 nm)へのTTA-UCを行ったことを示す。D1は、近赤外領域にスピン禁制遷移に由来する吸収を示すという特徴を有する。本実施例において、スピン禁制遷移を利用することは、NIR-to-visible TTA-UCをデザインする上で極めて有用な戦略となることを示す。
スピン禁制遷移吸収は一般には非常に弱いが、Ir, Ru,及びOsなどの重原子を含む金属錯体は、大きなスピン-軌道カップリングにより十分な吸収効率(ε>1000)を有する。30-34 また、NIR領域にスピン禁制遷移吸収を有する金属錯体も報告がされている33, 34。NIR領域にスピン禁制吸収を示す金属錯体は、ISCプロセスの間にエネルギー損失がないため、TTA-UCで獲得されるエネルギーが大きくなり、NIR-to-visible TTA-UCに用いるドナー分子として有利であると考えられる。
そこで本実施例では、NIRスピン禁制遷移吸収色素としてOs錯体D1を用いた。また、可視領域において高い蛍光量子収率を有し、D1よりも低い三重項エネルギー準位を有するルブレンをアクセプター分子として選択した(図18a)。
Os錯体D1は、報告されている類縁体の合成法を参考にScheme S1に従って合成した33。図18bに示す通り、D1のクロロホルム溶液は、867 nm (ε= 4500)の近赤外領域に吸収ピークを示した。このピークの裾は950nmを超えていた。D1のスペクトルは、スピン禁制遷移吸収を有する類似のOs錯体と同様の吸収スペクトルの形状を示したことから、NIR領域に観測されたD1の吸収はスピン禁制遷移に由来するものと考えられる。33
まず、D1とルブレン(「D1-ルブレンペア」ともいう)の脱気したクロロホルム溶液を用いることにより、NIRから可視光へのアップコンバージョンすることを示す。上記混合溶液を938nm(1.32 eV)の励起光を用いて励起すると、575nm (2.16 eV)付近にアップコンバージョンされた発光が観察された。そのアンチストークスシフトは0.83eVであった(図19a)。
575nmでのUC発光の時間依存性を評価した結果、マイクロ秒スケールの遅延蛍光であることが示された。これは観測されたUC発光が長寿命の三重項種に基づくUCに起因するものであること、即ちTTA-UCであることを示す(図19b)。
この遅延したUC発光は、D1又はルブレンの単一の成分溶液からは観察されなかった(図19b)。D1-ルブレンペア(脱気したクロロホルム溶液中)からのUC発光強度と励起強度の両対数プロットを図19cに示す。両対数プロットにおける傾きは2に近く、この結果はTTAの二光子過程と整合する。
次に、本発明者はD1-ルブレンペア(脱気クロロホルム溶液)のTTA-UC量子収率ΦUCを計算した。参照として、蛍光量子収率がΦEm = 82%(脱気クロロホルム溶液)であるナイルレッドを用いた。その結果、最大の励起光強度のΦUC の値として0.0033% が得られた(図22)。
凝縮された固体系では、溶液系と比べてより効率的なTTA-UCを示すと考えられる。35-38 これは、凝縮系では色素分子間の距離が極めて近く、ドナー-アクセプター及びアクセプター-アクセプター間の効率的なTTETが起こるためである。このためD1-ルブレンペアの固体系における、アップコンバージョン測定を行った。固体混合物は、D1及びルブレンのTHF溶液をSDS(ドデシル硫酸ナトリウム塩)水溶液中に急速に注入し再沈殿させることで得た。得られた再沈殿物は水で洗浄し、過剰のSDSを除去した。再沈殿物にポリビニルアルコールを加え、ガラス基板にキャストし真空乾燥することで固体系のサンプルを作成した。ポリビニルアルコールはドナー及びアクセプターの励起三重項を酸素から保護するために用いた。
固体系のサンプルの場合でも938nmの近赤外光を用いて励起したところ、可視領域にアップコンバージョンされた発光が観察された(図20a)。また、600nmでのUC発光はマイクロ秒スケールの遅延蛍光であり(図20b)、TTAに由来する発光であることが示された。UC発光の強度と励起光強度を両対数プロットした結果、2から1への傾きの変化が観察された(図20c)。
固体系における傾きの変化は、D1-ルブレンペアのTTAプロセスが溶液系と比較して効率的であることを意味する。
Ith 値は6 Wcm-1であったが、これまでに報告されているNIRから可視光へのTTA-UCのシステムのIth 値が10 Wcm-1以上であることを考慮すると24, 25、本系で得られたIth 値はこれまでで最も良い値であると言える。
次に、固体系においてD1-ルブレンペアのΦUCを、積分球を用いて評価した。その結果、20Wcm-1の励起光強度で0.035%という値が得られた。すなわち、固体系を利用することで液体系から改善されたΦUC 値を得ることができた。
まとめると、本実施例ではOs錯体であるD1をスピン禁制吸収ドナーとして用いることで、大きなアンチストークスシフトを有し、900nmを超える近赤外光から可視光へのTTA-UCを達成することができた。さらに、固体系では高いΦUC 及び低いIth 値を示した。従って、スピン禁制吸収を利用したドナーを用いるという戦略は、NIR-to-visible TTA-UCシステムを開発・分子設計していく上で極めて重要であることが示された。
評価法
1H NMR (300 MHz) スペクトルは、TMSを内部標準として用いてBruker DRX-スペクトロメーターで測定した。元素分析は、九州大学理学研究院中央元素分析所で実施した。
吸収スペクトルは、JASCO V-670 を用いて測定した。蛍光スペクトルは、PerkinElmer LS 55を用いて測定した。NIR リン光スペクトルは、Horiba FluoroLog-3を用いて測定した。発光寿命の測定は、HAMAMATSU Quantaurus-Tau C11567-02を用いて行った。アップコンバージョン発光スペクトルは、外付けのレーザー強度調整可能な半導体レーザー(938nm)を励起光として、検出器としてOtsuka Electronics MCPD-7000を用いて測定した。
絶対量子収率は、Hamamatsu Photonics絶対量子収率測定システムを用いた積分球により測定した。過渡吸収スペクトルは、UNISOKU TSP-2000システムを用いて測定した。
TTA-UC 量子収率の測定:
アップコンバージョンされた発光の量子収率(ΦUC)は、参照としてナイルレッドのクロロホルム溶液(Φstd= 0.82, 532 nm)を用い、下記式(S5)に従って算出した。
D1の合成スキーム
化合物1の合成:
Trimethyl 2,2’:6’,2”-terpyridine-4,4’,4”-tricarboxylate (204 mg, 0.5 mmol) 、NaOH水溶液 (1M, 9.6 mL) 及びメタノール(27 mL)の混合物を16時間還流させた。得られた混合物を室温まで冷却し、減圧濾過した。固体を水/メタノール(1:3)の混合溶液で洗浄した。得られた固体を水(20 mL)に溶解し、3MのHCl水溶液を用いてpH4に調整した。析出した白色固体を水及びメタノールで濾過、洗浄して回収し、乾燥させることにより、化合物1を得た(160 mg, 0.44 mmol, 88%)。
1H NMR (300 MHz, D2O-NaOD): d (ppm) 7.47 (d, J = 5.0 Hz, 2 H, ArH), 8.04 (s, 2 H, ArH), 8.20 (s, 2 H, ArH), 8.39 (d, J = 5.0 Hz, 2 H, ArH).
化合物2の合成:
化合物1(292 mg, 0.8 mmol)をSOCl2 (6 mL)中で6時間還流させた。溶液を冷却後、SOCl2を留去した。得られた酸塩化物の脱水CH2Cl2懸濁液 (5 mL)を2-エチルヘキシルアミン(929 mg, 7.2 mmol)の脱水CH2Cl2溶液に加えた。
1日攪拌後、得られた混合物をCH2Cl2で希釈して水中に注ぎ、CH2Cl2で抽出した。有機層を水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、続いて溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィ(Al2O3, CH2Cl2/メタノール=97/3)で精製し、薄い白色固体の化合物2を得た(350 mg, 0.50 mmol, 63%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6, TMS standard): d(ppm) 0.83-0.93 (m, 18 H, CH3), 1.22-1.45 (m, 24H, CH2), 1.63 (br, 3H, CH), 3.22-3.30 (m, 6 H, CH2), 7.87 (dd, J = 1.7, 5.0 Hz, 2H, ArH), 8.84 (t, J = 5.7 Hz, 2H, NH), 8.87 (s, 2H, AH), 8.89-8.93 (m, 4 H, AH), 9.06 (t, J = 5.9 Hz, 1H, NH).
D1の合成:
アルゴン雰囲気下、化合物2 (304 mg, 0.44 mmol)及び(TBA)2Os(Cl)6(390 mg, 0.44 mmol)の1-ブタノール溶液(10 mL)を12時間還流させた。室温まで冷却した後、4,4’-di-tert-butyl-2,2’-bipyridine (118 mg, 0.44 mmol)を反応混合物中に加え、さらに24時間還流した。室温まで冷却した後、得られた混合物を水中に注ぎ、CH2Cl2で抽出した。有機層を水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。得られた固体及びKPF6 (558 mg, 3.0 mmol) をCH2Cl2 (3 mL)及びメタノール(6 mL)の混合溶液中に加えて室温で1時間撹拌した。得られた混合物を水中に注ぎ、CH2Cl2で抽出した。有機層を水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロマトグラフィ (Al2O3, CH2Cl2/メタノール=97/3)、続いてシリカゲルクロマトグラフィ(SiO2, CH2Cl2/メタノール=197/3)に付し、D1を茶色の固体として得た(190 mg, 0.14 mmol, 32%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6, TMS standard)(図21): d (ppm) 0.82-0.99 (m, 18 H, CH3), 1.13-1.45 (m, 33H, CH2 and CH3 ), 1.50-1.75 (m, 3H, CH and CH3), 3.23-3.47 (m, 6 H, CH2), 6.86 (d, J = 6.2 Hz, 1H, ArH), 6.93 (d, J = 6.3 Hz, 1H, ArH), 7.62-7.70 (m, 4H, ArH), 8.12 (dd, J = 1.8, 6.3 Hz, 1H, ArH), 8.63 (d, J = 1.9 Hz, 1H, ArH), 8.85 (t, J = 5.7 Hz, 2H, NH), 8.98 (d, J = 1.7 Hz, 1H, ArH), 9.01 (s, 2H, AH), 9.07 (t, J = 5.4 Hz, 1H, NH), 9.15 (s, 2H, AH), 9.78 (d, J = 6.1 Hz, 1H, ArH). 元素分析; C60H86ClF6O3OsPについて計算値: C 53.86, H 6.48, N 8.37, 実験値: C 54.07, H 6.59, N 8.10.
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Claims (12)

  1. 光を吸収した後に励起三重項状態となり増感剤として機能するドナー分子と、当該ドナー分子からの三重項エネルギー移動を受けた後、励起一重項状態となり発光体として機能するアクセプター分子とを含む、フォトンアップコンバージョン組成物であって、
    前記ドナー分子が、次式I:

    (式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又は縮環したベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環若しくはテトラセン環を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又はOR101、COR102若しくはCOOR103(R101、R102及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)で示される基を表し、
    前記基及び環は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよく、
    は、白金、パラジウム、ニッケル、亜鉛及びスズから選ばれる金属原子、又はケイ素若しくは水素原子を表し、
    n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
    で示されるナフタロシアニン誘導体、又は次式II:

    (式中、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、又は−CONHR100、OR101、COR102若しくはCOOR103(R100はC1−10アルキル基又はC2−10アルケニル基を表し、R101、R102及びR103は、それぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)で示される基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよく、
    YはOs原子を表し、
    Xはハロゲン原子を表す。)
    で示される化合物であり、
    前記アクセプター分子が、次式III:

    (式中、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。)、
    次式IV:

    (式中、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立して、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよい。)、又は
    次式V:

    (式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、C6−20アリール基又は5〜14員ヘテロアリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基又はC6−14アリール基で置換されてもよく、
    m1、m2、m3及びm4は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。)
    で示されるものである、前記組成物。
  2. 式Iで示される化合物が、次式VI又はVII:


    で示されるものである請求項1に記載の組成物。
  3. 式IIで示される化合物が、次式VIII:

    で示されるものである請求項1に記載の組成物。
  4. 式IIIで示される化合物が、次式IX:

    で示されるものである請求項1に記載の組成物。
  5. 式IVで示される化合物が、次式X又はXI:


    で示されるものである請求項1に記載の組成物。
  6. 式Vで示される化合物が、次式XII:

    で示されるものである請求項1に記載の組成物。
  7. ドナー分子/アクセプター分子のモル比が0.001%〜20%の範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 近赤外光から可視光へのアップコンバージョン系として機能する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 近赤外光の波長が800 nm〜1400 nmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物に光を照射し、当該照射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光を発生させることを特徴とする、フォトンアップコンバージョン方法。
  11. 照射光が近赤外光であり、発生する光が可視光である請求項10に記載の方法。
  12. 近赤外光の波長が800 nm〜1400 nmである、請求項10又は11に記載の方法。
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