JP2016183256A - 感光性導電性インキ及びその硬化物 - Google Patents

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直人 荻原
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Abstract

【課題】 活性エネルギー線に対する感光性に優れ、希アルカリ水溶液による現像により高精度なパターニングを実現できる、現像性および解像性に優れる感光性導電性インキであって、ITOとの密着性に優れ、抵抗値の低い導電性パターンを形成できる感光性導電性インキを提供することを目的とする。【解決手段】 ポリエチレングリコールを必須成分として含有するポリオール成分(a)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)と、ポリイソシアネート(d)とを反応させてなる、側鎖にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する感光性ウレタン樹脂(A)、導電性粒子(B)および光重合開始剤(C)を含む感光性導電性インキ。【選択図】なし

Description

本発明は、導電パターン付き積層体などの分野で使用することができる、活性エネルギー線に対する感光性と希アルカリ水溶液による現像性、解像性、ITO密着性、導電性が良好な感光性導電性インキに関する。
近年、エレクトロニクス市場の進歩は著しく、それに伴い、集積回路部品の分野では、素子の高集積化と高機能化が進み、搭載するチップは大型化、多ピン化している。一方、パッケージは実装密度を高めるために、小型軽量化、高性能化、多機能化が急速に進んでいる。これに対応すべく、導電パターン付き積層体も高密度化、高配線化、また部品の表面実装化が進み、更に従来以上の高精度、高性能が求められるようになってきている。
この要求に応えるべく導電パターン付き積層体分野では、導電回路の形成手段として、これまでは一般にエッチング法や印刷法が知られていたが、より高精細なパターンを形成するためにフォトリソ方式工程による微細パターン形成が求められている。さらにまた、携帯端末やパーソナルコンピュター等に多く使用されているタッチスクリーンパネルに使用される導電回路パターンには、前述の高精細化のみならず、ITOとの密着性、および低抵抗値化が求められている。
前記のような事情から、これらの要求に応じるべく、活性エネルギー線に対する感光性と希アルカリ水溶液による現像性、解像性、密着性、導電性に良好な感光性導電性インキについての研究開発が精力的になされ、多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1、2では、ビスフェノール型エポキシ樹脂の水酸基をイソシアナートエチル(メタ)アクリレートと反応させ、かつそのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させて反応させて得られるエポキシアクリレート中間体と、多塩基酸無水物とを反応させて得られる感光性樹脂が開示されている。
また、特許文献3、4には、フェノキシ樹脂の水酸基に、所定量のα,β―不飽和モノイソシアネート、多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性樹脂が開示されている。
さらに、特許文献5は水溶性又は水分散性の酸基及びエチレン性不飽和基含有ウレタン樹脂及び非水溶性光重合開始剤を含有することを特徴とするプリント配線フオトレジスト用電着塗料組成物が開示されている。
一方、特許文献6,7には、側鎖にカルボキシル基と不飽和二重結合を有したアクリル樹脂や、エポキシ樹脂と不飽和者カルボン酸を反応させて得た化合物の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるエポキシアクリレートを、感光性導電性インキとして使用する方法が開示されている。
さらに、不飽和基含有ウレタン樹脂を含有する、導電性ではない活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が特許文献8に開示されている。
特開平8−286371号公報 特開平8−311195号公報 特開平11−228688号公報 特開平11−228689号公報 特開平7−41708公報 特開平5−271576公報 特開2003−162921公報 特開2008−127475号公報
しかし、特許文献1〜4は、いずれも主鎖が剛直であるため、耐熱性や塗膜耐性には優れるものの、活性エネルギー線で硬化する際、自由体積現象に起因する内部応力蓄積という問題があり、柔軟性、密着性については不十分であった。
また、特許文献5は親水性のウレタン樹脂を用いることで現像性や柔軟性には優れるものの、特許文献1〜4と同様に、感光性樹脂を感光性ソルダーレジストインキとして用いた場合の効果のみに言及しており、感光性導電性インキとして用いた際の効果については記載されていない。
また、特許文献6,7は、解像性、密着性に優れるという利点はあるものの、十分な高精細化と低抵抗値化を満足することはできなかった。
特許文献8は、感光性導電性インキへの適用を開示しない。
本発明は、活性エネルギー線に対する感光性に優れ、希アルカリ水溶液による現像により高精度なパターニングを実現できる、現像性および解像性に優れる感光性導電性インキであって、ITOとの密着性に優れ、抵抗値の低い導電性パターンを形成できる感光性導電性インキを提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定の感光性樹脂(A)を含有する場合に、前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、感光性樹脂(A)、導電性粒子(B)および光重合開始剤(C)を含む感光性導電性インキであって、
前記感光性樹脂(A)が、ポリエチレングリコールを必須成分として含有するポリオール成分(a)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)と、ポリイソシアネート(d)とを反応させてなる、側鎖にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するウレタン樹脂である、ことを特徴とする感光性導電性インキに関する。
前記感光性樹脂(A)の酸価は10〜200mgKOH/gであることが好ましい。
前記感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量は300〜5000g/eqであることが好ましい。
前記感光性樹脂(A)の質量平均分子量は3000〜100000であることが好ましい。
また、本発明は、前記の本発明の感光性導電性インキを硬化してなる硬化物に関する。
さらに、本発明は、基材と、前記基材上に形成された導電パターンとを具備する導電パターン付き積層体であって、
前記導電パターンが、前記の本発明の感光性導電性インキにより形成されている、導電パターン付き積層体に関する。
前記導電パターン付き積層体は、前記導電パターンを被覆するように積層された絶縁層をさらに具備することが好ましい。
また、前記導電パターン付き積層体は、前記導電パターンと電気的に接続され、所定のパターンを有する他の導電パターンが、前記基材と前記導電パターンと間にさらに設けられていることが好ましく、前記他の導電パターンは、錫がドープされた酸化インジウムを主成分とする透明導電パターンであることが好ましい。
本発明の導電パターン付き積層体は、タッチスクリーンパネル用途に用いられることが好ましい。
本発明により、活性エネルギー線に対する感光性に優れ、希アルカリ水溶液による現像により高精度なパターニングを実現できる、現像性および解像性に優れる感光性導電性インキであって、後硬化(ポストキュア)工程を経て得られる硬化塗膜が、ITOとの密着性および導電性に優れる導電パターン付き積層体を形成し得る感光性導電性インキを提供することができるようになった。
本発明の感光性導電性インキを配線構造に適用した抵抗膜式タッチスクリーンパネルの一例の要部の概略断面構成図であり、図2のA−A'切断線に相当する。 本発明の感光性導電性インキを配線構造に適用して好適な抵抗膜式タッチスクリーンパネルの積層状態を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得る。また、本明細書において「任意の数A〜任意の数B」なる記載は、数A及び数Aより大きい範囲であって、数B及び数Bより小さい範囲を意味する。また、本明細書及び請求の範囲において記載する「(メタ)アクリロ」という表記は、「アクリロ」に読み替えた化合物、及び「メタクリロ」に読み替えた化合物の何れも含むものとする。また、「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」においても同様に定義する。
以下、本発明の感光性樹脂(A)、及び感光性導電性インキについて説明する。
<<感光性樹脂(A)>>
本発明の感光性導電性インキに含まれる感光性樹脂(A)は、ポリエチレングリコールを必須成分として含有するポリオール成分(a)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)と、ポリイソシアネート(d)とを反応させて得ることができる。
[ポリオール成分(a)]
本発明の感光性樹脂(A)において、重要なポイントのひとつは、ポリオール成分(a)として親水性で、柔軟な骨格を有するポリエチレングリコールを必須成分としていることである。これにより希アルカリ水溶液による良好な現像性を付与することができる。また、主鎖が柔軟になるために、後硬化(ポストキュア)工程を経て得られる硬化塗膜が、導電パターン付き積層体に要求されるITOとの密着性、および導電性等を著しく改善できる。
ポリエチレングリコールとしては、下記式(1)で表されるポリエチレングリコールが好ましい。
HO−CH2―CH2−(OCH2CH2)n−OH
(式中、nは1以上の整数を表す。)
具体的には、日油株式会社のポリエチレングリコール、PEG200(Mn=200、水酸基価=561)、PEG400(Mn=400、水酸基価=281)、PEG1000(Mn=1000、水酸基価=112)、PEG2000(Mn=2000、水酸基価=56)、PEG4000(Mn=4000、水酸基価=34)などが挙げられる。
本発明で用いるポリオール成分(a)は、ポリエチレングリコールの他にその他のポリオール成分を含むことができる。
ポリエチレングリコール以外の、本発明で用いることができるポリオール成分としては、2個以上の水酸基を有するものであればよく、
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、水素添加ビスフェノールA、スピログリコール等の脂肪族あるいは脂環族ジオール類、
1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、1,2−インダンジオール、1,3−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。その他、リン原子含有ジオール、硫黄原子含有ジオール、臭素原子含有ジオールなどが挙げられる。
また、その構造中に重合度2以上の繰り返し単位を有するものも使用することができ、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、およびポリシロキサンポリオール類などが挙げられる。
なお、ポリオール成分(a)としてポリエチレングリコールを必須成分とする代わりに、ポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類を必須成分として使用した場合、一般的には主鎖が柔軟になるために、ある程度の柔軟性や密着性等は付与できるものの、親水性に劣るためにより高度な現像性や解像性を満足することはできない。
[一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)]
本発明で用いる一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)としては、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。
具体的には、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとカルボキシル基含有化合物(例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸など)との付加物、アクリル酸またはメタクリル酸とエポキシ化合物(例えば、エピクロルヒドリンなど)との付加物などが挙げられる。
[一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)]
本発明で用いる一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)としては、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。
具体的には、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、及びこれらの誘導体(カプロラクトン付加物、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物など)、3−ヒドロキシサリチル酸、4−ヒドロキシサリチル酸、5−ヒドロキシサリチル酸、2−カルボキシ−1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
[ポリイソシアネート(d)]
本発明で用いるポリイソシアネート(d)としては、イソシアネート基を一分子内に2個以上有するイソシアネート基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。
一分子中にイソシアネート基を2個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、
ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、
3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
また、一分子中にイソシアネート基を3個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、芳香族ポリイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、前記で説明したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
続いて、感光性樹脂(A)を得るための合成条件について詳細に説明する。
本発明において、感光性樹脂(A)の合成条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、フラスコにポリオール成分(a)、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)、ポリイソシアネート(d)及び溶剤を仕込み、酸素気流下、20〜120℃で加熱・攪拌することで感光性樹脂(A)を得ることができる。この際、必要に応じて有機錫化合物や3級アミノ基含有化合物等のウレタン化触媒、あるいは、ヒドロキノンやメトキノン等のエチレン性不飽和基の重合禁止剤を添加してもよい。
また、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)とポリイソシアネート(d)を投入する前に、予めフラスコに仕込んだポリオール成分(a)、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)、及び溶剤を100℃以上で加熱・攪拌し、溶剤の一部を脱溶剤してもよい。この操作は、通常、系内の水分を除去(脱水処理)するために行い、この操作によって、ポリイソシアネート(d)を反応させる際に、水によるイソシアネート基の失活が抑制され、最終的に、より理論値に近い物性値を有する感光性樹脂(A)が得られる。
(a)〜(d)を反応させることにより、感光性樹脂(A)の主鎖にウレタン結合を導入することができる。主鎖中のウレタン結合により得られる硬化塗膜の内部応力を緩和させることができ、タック性、現像性、柔軟性が良好な硬化物を与えることができる。
本発明における感光性樹脂(A)の質量平均分子量は、3000〜100000であることが好ましく、より好ましくは、5000〜60000である。質量平均分子量が小さい場合は、塗工時の粘度やハンドリング、及び、光硬化後の現像性を向上させることができる。一方、質量平均分子量が大きい場合には、最終的に得られる塗膜の耐熱性、耐湿熱性等を向上することができる。また質量平均分子量を大きくすることにより柔軟性を高め、密着性確保が困難な基材への密着性等を向上することができる。
なお、感光性樹脂(A)の質量平均分子量における側鎖部分の寄与は小さい。つまり、感光性樹脂(A)の質量平均分子量は、主鎖の質量平均分子量、即ち側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)の質量平均分子量とほぼ近しい値を示す。
感光性樹脂(A)の質量平均分子量の調整は、例えば、ポリオール成分(a)、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)の総モル数とポリイソシアネート(d)の総モル数の比率を1に近くなるように設計することで、ポリウレタンの高分子量化が可能となり、樹脂の絡み合いによる高い凝集力を付与することができる。また、感光性樹脂(A)の保存安定性の観点から、(d)の総モル数に対して、(a)、(b)、(c)の総モル数を若干高く設計するのが好ましい。これにより、末端を水酸基にすることができるため、長時間保管した後の感光性樹脂(A)のハンドリング性を維持することができる。
感光性樹脂(A)の酸価は、10〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは30〜150mgKOH/gである。10mgKOH/gに近い範囲で設計する場合、得られる塗膜の柔軟性や密着性を向上することができる。一方、200mgKOH/gに近い範囲で設計する場合、架橋点が多くなるため耐熱性がより向上する。また、現像液に対する塗膜の溶解性も向上するため、光硬化させた部分をパターンとして残す場合に、パターンの形状を制御しやすくなる。
感光性樹脂(A)の酸価の調整は、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)の総モル数によって適宜調節することができる。
感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量は、300〜5000g/eqであることが好ましく、より好ましくは、300〜3000g/eqである。エチレン性不飽和基当量を300g/eqに近い範囲で設計する場合、得られる塗膜の光感度が高くなるため、現像時に良好なパターン形状を得やすくなる。一方、5000g/eqに近い範囲で設計する場合、適度な光架橋点となるため、最終的に得られる塗膜の柔軟性を増すことによる密着性確保が困難な基材への密着性等を向上することができる。
感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量の調整は、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)の総モル数によって適宜調節することができる。
なお、本発明でいう「エチレン性不飽和基当量」とは、樹脂の合成時に使用した原材料の重量から算出される理論値であって、樹脂の重量を、樹脂中に存在するエチレン性不飽和基の数で除したものであり、エチレン性不飽和基1モルあたりの樹脂の重量、すなわち、エチレン性不飽和基濃度の逆数に相当するものである。
感光性樹脂(A)の合成に使用する溶剤は、最終用途や、反応物の溶解性に応じて適宜選択することができる。
例えば、感光性樹脂(A)を感光性導電性インキとして用いる場合、スクリーン印刷により粗パターンを形成してからフォトリソ法により微細回路を形成する工程で使用する。そのため、スクリーン印刷工程において、溶剤乾燥によるスクリーンメッシュでのインキ固化を抑制する必要があるため、樹脂合成時に用いる溶剤や、インキ作製時の希釈溶剤としては、高沸点のものが好ましい。この場合の高沸点溶剤としては例えば、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのジアルキレングリコールモノアルキレンエーテル化合物、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのトリアルキレングリコールモノアルキレンエーテル化合物が挙げられる。
本発明において、これらの溶剤は、必要に応じて一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良く、又、反応過程で脱溶剤を行ったり、脱溶剤後、新たに別の溶剤を添加したりしても良い。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルベンゾキノン、ナフトキノン、フェノチアジン、N−オキシル化合物等を用いることができる。また、重合禁止効果を高めるには、空気、あるいは空気と窒素等の不活性ガスとの混合ガス等を反応容器に吹き込む、いわゆるバブリングを併用することが好ましい。
<<導電性粒子(B)>>
本発明の感光性導電性インキに用いる導電性粒子(B)としては、例えば金、銀、銅、銀メッキ銅粉、銀−銅複合粉、銀−銅合金、アモルファス銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属粉、これらの金属で被覆した無機物粉体、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム等の金属酸化物の粉末、これらの金属酸化物で被覆した無機物粉末、おとびカーボンブラック、グラファイト等を用いることができる。これらの導電性粒子は、1種または2種以上組み合わせて用いても良い。これらの導電性粒子のなかでも、コスト、高導電性で酸化による抵抗率の上昇が少ないことから銀が好ましい。
この導電性粒子の形状は、上記特性を満たしていれば特に限定されず、不定形、凝集状、鱗片状、微結晶状、球状、フレーク状等を適宜用いることができる。高精細パターンの印刷性の観点や導体パターンの基材への密着性の観点から、粒径の小さな球状のものや、凝集状のものであっても、凝集体として比較的小さいものが好ましい。
本発明に係る導電性インキに用いられる導電性粒子のD50粒子径は0.5〜8μmであり、1〜5μmの範囲であることが好ましく、2〜4μmの範囲であることがさらに好ましい。
また、BET比表面積は0.3〜5m2/gであり、0.8〜2.3m2/gの範囲であることが好ましく、0.8〜2m2/gの範囲であることがさらに好ましい。
導電性粒子のD50粒子径が0.5μm以上であると、導電性粒子の分散性が優れ、導電性粒子同士の接触が増え、硬化物の抵抗値がより低下する。また、導電性粒子のコストの面でも好ましい。
一方、D50粒子径が8μm以下であることにより、高精細パターンの形成性が優れる。
なお、導電性粒子のD50粒子径は、島津製作所社製レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」を用いて、体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した。
導電性粒子のBET比表面積が0.3m2/g以上であると導電性粒子同士の接触点が増え、接触抵抗が小さくなる。
一方、導電性インキとしての流動性、印刷塗膜の表面のレベリング性、基材に対する導電パターンの密着性の点から、BET比表面積が5m2/g以下であることが好ましい。
BET比表面積とは、粉体粒子表面に吸着占有面積の分かった分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法であり、不活性気体の低温低湿物理吸着を利用したものがBET法である。BET比表面積は、島津製作所製流動式比表面積測定装置「フローソーブII」を用いて測定した表面積を、以下の式(1)を用いて算出した値と定義する。
式(1)比表面積(m2/g)=表面積(m2)/粉末質量(g)
本発明の感光性導電性インキは、インキの総固形分100質量%中に、導電性粒子(B)を60〜95質量%含むことが好ましく、70〜95質量%含むことがより好ましく、85〜95質量%含むことがさらに好ましい。導電性粒子が60質量%未満では導電性が十分ではなく、95質量%を越えるとエポキシ樹脂が少なくなり導電性インキの基材への密着性、塗膜の機械強度が低下する恐れがあり好ましくはない。
<<光重合開始剤(C)>>
光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線により感光性樹脂(A)を硬化させる場合に添加される。光重合開始剤としては、光励起によってビニル重合を開始できる機能を有するものであれば特に限定はなく、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物等が使用できる。
具体的にモノカルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル−エネタノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイル−フェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−n−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシエチル)]メタアンモニウム臭酸塩、2−/4−iso−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9Hチオキサントン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、ベンゾイルメチレン−3−メチルナフト(1,2−d)チアゾリン等が挙げられる。
ジカルボニル化合物としては、1,7,7−トリメチル-ビシクロ[2.1.1]ヘプン−2,3−ジオン、ベンザイル、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナントレンキノン、メチル−α−オキソベンゼンアセテート、4−フェニルベンザイル等が挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−ジ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−スチリルプロパン−1−オン重合物、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノ−フェニル)ブタン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノ−プロパノニル)−9−ブチルカルバゾール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−n−プロピルフェニル-ジ(2,6−ジクロロベンゾイ
ル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。
アミノカルボニル化合物としては、メチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−nブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、イソアミル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、4,4’−ビス−4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス−4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2,5’−ビス−(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン等が挙げられる。
中でも、本発明において、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンとチオキサントン類とを組み合わせて使用する場合は、安価でありながら感光性が非常に優れるため、特に好ましい。
これらは前記化合物に限定されず、紫外線により重合を開始させる能力があればどのようなものでも構わない。これらは単独使用または併用することができ、使用量に制限はないが、感光性樹脂(A)の乾燥重量の合計100質量部に対して1〜20質量部の範囲で添加されるのが好ましい。又、増感剤として公知の有機アミンを加えることもできる。
<<エチレン性不飽和化合物(D)>>
また、本説明は感光性導電性インキとしての物性を損なわない範囲で、感光性樹脂(A)以外の感光性成分、即ちエチレン性不飽和化合物(D)を用いることができる。ここでいうエチレン性不飽和化合物(D)は、エチレン性不飽和二重結合を1個又は2個以上有する化合物であり、モノマー、オリゴマーを用いることができる。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロプレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロプレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能(メタ)アクリレート類;あるいは、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールF型エポキシの(メタ)アクリル酸付加物、又はノボラック型エポキシの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
又、以上挙げた(メタ)アクリレートを、更に(ポリ)アルキレンオキシドや(ポリ)カプロラクトン等で変性したものも使用することができる。
又、他に、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)]イソシアヌレート、又はジイソシアネート類のイソシアヌレートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物等も挙げることができる。
又、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、又はペンタエリスリトールトリビニルエーテル等のビニルエーテル類;
(メタ)アクリル酸、スチレン、又は酢酸ビニル等の単価能モノマー類;あるいは、
(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、又はアクリロニトリル等の窒素元素を有する単官能モノマー等も使用できる。
更に、ポリウレタン、ポリエステル、メチロールメラミン樹脂、ポリジメチルシロキサン、又はロジン等のオリゴマーを(メタ)アクリロイル基で変性したものも使用できる。
その他、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、又はアクリロニトリル等も挙げることができる。
本発明において、エチレン性不飽和化合物(D)は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。エチレン性不飽和化合物(D)の使用量は、本発明の感光性導電性インキの用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、インキ総固形分100質量%中に1〜30質量%の割合で加えることが好ましい。エチレン性不飽和化合物(D)の使用量を1質量%以上とすることにより、エチレン性不飽和化合物添加による感度向上の効果が得られる。30質量%以下とすることにより、露光表面付近で硬化が進行し内部硬化が進行しにくくなることがなく、十分な塗膜強度を持つパターン形成が期待できる。
本発明の性導電性インキは、必要に応じて感光性樹脂(A)以外の樹脂を含有しても良い。(A)以外の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、現像性の観点から、カルボキシル基を含有しているものが好ましく、又、解像性の観点からは、エチレン性不飽和基を含有しているものが好ましい。本発明において、(A)以外の樹脂を含有する場合は、単独又は複数を併用して用いることができる。
[その他添加剤]
この他、本発明の感光性導電性インキには目的を損なわない範囲で任意成分として、更に溶剤、染料、顔料、難燃剤、酸化防止剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、電磁波シールド剤、フィラー等を添加することができる。
本発明の感光性導電性インキは、基材として、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木材、スレート等に印刷することができ、特に制限されるものではない。具体的なプラスチックの種類としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。又、基材の形状としてはフィルムシート、板状パネル、レンズ形状、ディスク形状、ファイバー状の物が挙げられるが、特に制限されるものではない。
本発明の感光性導電性インキは、従来公知の種々の印刷法に適用してもよいが、特にスクリーン印刷に好適に適用することができる。スクリーン印刷法においては、導電回路パターンの高精細化に対応すべく微細なメッシュ、特に好ましくは400〜650メッシュ程度の微細なメッシュのスクリーンを用いることが好ましい。この時のスクリーンの開放面積は約20〜50%が好ましい。スクリーン線径は約10〜70μmが好ましい。
スクリーン版の種類としては、ポリエステルスクリーン、コンビネーションスクリーン、メタルスクリーン、ナイロンスクリーン等が挙げられる。また、高粘度なペースト状態のものを印刷する場合は、高張力ステンレススクリーンを使用することができる。
スクリーン印刷のスキージは丸形、長方形、正方形いずれの形状であっても良く、またアタック角度(印刷時の版とスキージの角度)を小さくするために研磨スキージも使用することができる。その他の印刷条件等は従来公知の条件を適宜設計すればよい。
本発明の感光性導電性インキは、印刷後、溶剤を含む場合はさらに乾燥後、公知のラジエーション硬化方法により硬化させ硬化物とすることができ、活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、400〜500nmの可視光を使用することができる。照射する電子線の線源には熱電子放射銃、電界放射銃等が使用できる。又、紫外線および400〜500nmの可視光の線源(光源)には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ等を使用することができる。具体的には、点光源であること、輝度の安定性から、超高圧水銀ランプ、キセノン水銀ランプ、メタルハライドランプ、が用いられることが多い。照射する活性エネルギー線量は、5〜2000mJ/cm2の範囲で適時設定できるが、工程上管理しやすい50〜1000mJ/cm2の範囲であることが好ましい。又、これら活性エネルギー線と、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
なお、活性エネルギー線による露光感度を上げるために、感光性導電性インキを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、組成物塗布面側から活性エネルギー線を照射することもできる。
更に、本発明の感光性導電性インキは、フォトマスクを介して組成物塗布面側から活性エネルギー線を照射した後、溶剤又はアルカリ現像液に漬浸するかスプレー等により現像液を噴霧して未照射部、すなわち未硬化部を除去して現像を行うことにより、形成することができる。アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。又、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
更に、本発明の感光性導電性インキは、ラジエーション硬化/現像によるパターン形成後、ポストキュアとして加熱乾燥させることで各種耐性に優れる塗膜を形成する。ポストキュアは、100℃〜200℃で30分〜2時間が好ましい。又、更に塗膜の耐性を向上するために、ポストキュアの後にも必要に応じて活性エネルギー線を照射することができる。ポストキュアの後に活性エネルギー線を照射することで、各種耐性などを更に向上することができる。
本発明の感光性導電性インキは、スクリーン印刷により粗パターンを作成後、フォトリソ方式工程により微細、かつ導電性、密着性等に優れる電気回路を形成できる。そこで、特に、タッチスクリーンパネルの額縁に形成される微細導電回路や透明性と低表面抵抗値を併せ持つ微細金属メッシュシートの形成等の為の感光性導電性インキとして好適に用いることができる。
ここで、本発明の導電性インキを抵抗膜方式のタッチスクリーンパネルに適用した場合の一例を図1及び図2を用いつつ説明する。なお、本図1、2は抵抗膜式タッチスクリーンパネルの簡易的な概念図であり、配線の本数、配線幅、配線と配線の間隔は概念図として表している。なお、図2では、三層の中間、粘着材5の位置に視点を置き、下部基板1側は見下ろす状態で、上部基板2側は見上げる状態で各基板側の積層状態を模式的に示した。
タッチスクリーンパネルは、ガラス又はプラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム等)の基材からなる下部基板1及び上部基板2を具備する。下部基板1及び上部基板2上には、ITO等の透明電極6,7がそれぞれ部分的に形成されている。その結果、下部基板1及び上部基板2と、透明電極6,7とがそれぞれ露出することとなる。
そして、下部基板1上の透明電極6の両端部には、導電性インキパターン層3からなる下側駆動電極13,14がそれぞれ形成されている。導電性インキ層3は、絶縁層4によって被覆されている。導電性インキパターン層3は、図1に示すように、基材1、ITO等の透明電極6、そして絶縁層4に接する。
同様に上部基板2上の透明導電7の両端部にも、導電性インキ層3からなる上部駆動電極9,10がそれぞれ形成されている。
具体的には、上部基板2側の透明電極7端部に、本発明の導電性インキを用い、スクリーン印刷し、予備乾燥、露光、現像、乾燥工程を順番に行い、低抵抗の導電性インキパターン層3を形成する。次いで、導電性インキ層3及び該導電性インキパターン層3の近傍の上部基板2、透明電極7端部の上に、絶縁レジスト(図示省略)をスクリーン印刷等により印刷する。その後、乾燥・硬化し、絶縁層を形成し、本発明の絶縁レジスト付き積層体を形成する。下部基板1側も同様である。
下部基板1上に設けられた透明電極6上の適所には、本来の目的である入力の時以外に透明電極6、7とが接触することを防ぐために、図1に示すように透明電極6上の適所には、微小なドットスペーサー8が一定の間隔で設けられる。
そして、本来の目的である入力の時以外に透明電極6、7とが接触しないように、一定の間隔(例えば、10〜150μmの間隔)を開け(図1参照)、下部基板1側の絶縁層4と上部基板2、下部基板1と上部基板2、下部基板1と上部基板2側の絶縁層4が、それぞれ粘着材5により貼り合わされ、積層される。粘着材5は、額縁状に配置することができる。また、図2に示されるように、下部基板1側の駆動電極13,14と、前記上部基板2側の上側駆動電極9,10とは、平面視上において直交するように形成され得る。更に、前記上部基板2側の駆動電極9,10には、接続電極11,12がそれぞれ導電性接着剤で接続されている。同様に、前記下部基板1側の駆動電極13,14には、接続電極15,16に導電性接着剤でそれぞれ接続されている。
下部基板1側および上部基板2側のそれぞれに本発明の導電性インキを用いて導電性インキパターン層3を形成したタッチスクリーンパネルは、抵抗値安定性が良好であり、長期間にわたり各種電子機器の機能を切り替える部品として安定して使用できると共に、電気的特性に優れたものである。
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「質量部」を表す。
なお、GPCの測定条件は以下のとおりである。
<質量平均分子量(Mw)の測定>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、質量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
<分子量分布(Mw/Mn)>
分子量の分散度をあらわし、本発明においては、前記分子量の測定結果より、質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)により求めた。
酸価及び水酸基価はJISK0070に準じて測定した。
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、指示薬が淡紅色を30秒間保持した時を終点とした。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<エチレン性不飽和基当量の計算>
本発明において、感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量は、次式により求めた。(単位:g/mol)
エチレン性不飽和基当量(g/mol)=原料のトータル固形分(g)/化合物(e)の仕込みモル数(mol)
<感光性樹脂(A)の製造>
[製造例1]
撹拌機、還流冷却管、酸素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ポリエチレングリコール(PEG#1000、日油株式会社製:水酸基価=111mgKOH/g、Mw=1011)65.1部、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)としてジメチロールブタン酸43.0部、溶剤としてカルビトールアセテート180部を仕込み、酸素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコに、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)としてエポキシエステル40EM(共栄社化学株式会社製)50.2部、イソホロンジイソシアネート111.7部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03部を投入し、90℃で8時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。FT−IR測定にてイソシアネート基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却し、感光性樹脂(A)を得た。
反応終了後、この溶液にカルビトールアセテートを加えて固形分が50.0%になるように調整した。
感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量は931g/eq、樹脂固形分の酸価は60.3mgKOH/g、PEG量は24.1質量%であり、ポリスチレン換算の質量平均分子量は22000であった。
[製造例2〜5、比較製造例1〜2]
表1に示す原料を用い、製造例1と同様な操作を行うことにより、製造例2〜5、比較製造例1〜2の感光性樹脂(A)を得た。
製造例1〜5、比較製造例1〜2で得られた感光性樹脂の質量平均分子量、エチレン性不飽和基当量、酸価、PEG量を表1に示す。
・PEG1000:日油株式会社製、ポリエチレングリコール、分子量1000
・PEG4000:日油株式会社製、ポリエチレングリコール、分子量4000
・D1000:日油株式会社製、ポリプロピレングリコール、分子量1000
・40EM:共栄社化学株式会社製、エポキシエステル40EM、エチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物
・3002MN:共栄社化学株式会社製、エポキシエステル3002MN、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物ジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物
・3000MK:共栄社化学株式会社製、エポキシエステル3000MK、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物
・DMBA:ジメチロールブタン酸
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
・HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
・TDI:トリレンジイソシアネート
<感光性導電性インキ>
[実施例1〜10、比較例1〜4]
表2に示した組成、および量で、感光性樹脂(A)、導電性粒子(B)、光重合開始剤(C)、エチレン性不飽和化合物(D)を配合し、ディスパーにて混合後、3本ロールで分散し、実施例1〜10、比較例1〜4にそれぞれ相当する感光性導電性インキを得た。 得られた感光性導電性インキについて、感度、現像性、解像性、ITOへの密着性、導電性(表面抵抗値、体積抵抗率)を下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
[導電性粒子(B)]
・銀粉A:球状銀粉(D50粒子径2.8μm、比表面積0.36m/g)
・銀粉B:フレーク銀粉(D50粒子径2.5μm、比表面積1.76m/g)
・銀粉C:フレーク銀粉(D50粒子径6.3μm、比表面積0.31m/g)
<光重合開始剤(C)>
・開始剤A:BASF株式会社製、IRGACURE907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)
・開始剤B:BASF株式会社製、IRGACURE379(2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタン−1―オン)
・開始剤C:BASF株式会社製IRGACUREOXE02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール-3-イル]−,1−(O−アセチルオキシム))
[エチレン性不飽和化合物(D)]
・モノマーA:東亞合成株式会社製、アロニックスM310(トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート)
・モノマーB:日本化薬株式会社製、R167(1,6−ヘキサンジオールジエポキシアクリレート)
<<評価方法>>
[感度]
感光性導電性インキをスクリーン印刷によりガラス基板に塗工した後、70℃で15分の乾燥により乾燥膜厚8〜10μmの塗膜を作成し、膜厚を測定した。その後、超高圧水銀ランプを用い、L/S(ライン/スペース)=40μm/40μmのマスクパターンのフォトマスクを介して露光量(mJ/cm2)を変えて紫外線を照射した。0.5%炭酸ナトリウム水溶液を用い、スピン現像機にて、スプレー圧0.2MPa、現像時間30秒にて現像した後、イオン交換水を圧力0.05MPa、15秒間スプレーし、未露光部分を取り除いた。現像・水洗後の露光部分の膜厚を測定し、現像前の膜厚に対し95%以上の膜厚が得られる最小露光量(mJ/cm2)を感度とした。
[現像性]
感度評価の場合と同様にして、ガラス基板上に乾燥塗膜を作成し、膜厚を測定した。0.5%炭酸ナトリウム水溶液を、前記乾燥塗膜にスプレーし、感光性導電性インキの乾燥塗膜が消失する時間を測定した。測定時間を測定膜厚で除し、単位膜厚当たりの時間(秒/μm)を現像速度とした。
[解像性]
感度評価の場合と同様にして、ガラス基板上に乾燥塗膜を作成し、膜厚を測定した。その後、超高圧水銀ランプを用い、L/S=20μm/20μm、30μm/30μm、40μm/40μmのマスクパターンのフォトマスクを介して露光量(mJ/cm2)を変えて紫外線を照射した。0.5%炭酸ナトリウム水溶液を用いスピン現像機にて、スプレー圧0.2MPa、現像時間30秒にて現像した後、イオン交換水を圧力0.05MPa、15秒間スプレー洗浄し、未露光部分を取り除いた。現像・水洗後の露光部分のそれぞれの幅のストライプパターンを目視で確認し、解像性を評価した。
◎:L/S=20/20μmのストライプパターンが形成できる。
○:L/S=30/30μmのストライプパターンが形成できる。
△:L/S=40/40μmのストライプパターンが形成できる。
×:L/S=40/40μmのストライプパターンが形成できない。
[ITOへの密着性]
感光性導電性インキを、ITO積層フィルム(日東電工社製、V270L−TEMP、75μm厚、エッチングによりITOが除去された部分と、ITOが残っている部分とを有する)に、15mm×30mmのパターン形状にスクリーン印刷を行った。その後、70℃で15分予備乾燥し、超高圧水銀ランプを用い、200(mJ/cm2)の紫外線を露光し、0.5%炭酸ナトリウム水溶液を用いスピン現像機にて、スピン現像機にて、スプレー圧0.2MPa、現像時間30秒にて現像した後、イオン交換水を圧力0.05MPa、15秒間スプレー洗浄した。最後に135℃オーブンにて30分乾燥させ、乾燥後の膜厚が8〜10μmになるようにサンプルを作成した。
このサンプルを、JISK5600に準拠し、ITO残存部分、ITOエッチング部分それぞれの領域上の導電インキ層に、幅1mm間隔に10マスX10マスの計100マス目をカッターで入れ、ニチバン製セロハンテープ(25mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。
○:剥離無し(密着性良好レベル)
△:マスの端がわずかに欠ける(密着性やや不良だが、実用上使用可能レベル)
×:1マス以上の剥離が観察される(密着性不良レベル)
[導電性(表面抵抗値、体積抵抗率)]
感光性導電性インキを、厚さ75μmのコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETという)に15mm×30mmのパターン形状にスクリーン印刷を行った。その後、70℃で15分予備乾燥し、超高圧水銀ランプを用い、200(mJ/cm2)の紫外線を露光し、0.5%炭酸ナトリウム水溶液を用いスピン現像機にて、スピン現像機にて、スプレー圧0.2MPa、現像時間30秒にて現像した後、イオン交換水を圧力0.05MPa、15秒間スプレー洗浄した。最後に135℃オーブンにて30分乾燥させ、乾燥後の膜厚が8〜10μmになるようにサンプルを作成した。
このサンプルの表面抵抗値は、25℃、湿度50%環境下にて三菱化学社製ロレスタAPMCP−T400測定器を用い、測定した。
体積抵抗率は、上記方法で測定された表面抵抗値、および膜厚より、算出した。
体積抵抗率(Ω・cm)=(表面抵抗率:Ω/□)×(膜厚:cm)
なお、サンプルの膜厚は、仙台ニコン社製MH−15M型測定器を用いて測定した。
評価結果より、従来技術(比較例1〜4)では、感度、現像性、解像性、ITOへの密着性、導電性(表面抵抗値、体積抵抗率)の各物性を併せ持つインキでは無いことが分かった。一方、本発明の樹脂組成物(実施例1〜10)は、いずれの物性もバランスよく優れていることが分かった。
本発明の感光性導電性インキを用い、各種印刷方式により粗パターンを作成後、フォトリソ工程により微細な電気回路パターンを形成できるようになった。
本発明の感光性導電性インキは、タッチスクリーンパネルの額縁に形成される微細導電回路や透明性と低表面抵抗値を併せ持つ微細金属メッシュシートの形成等の為の感光性導電性インキとして好適に用いることができる。
1:下部基板
2:上部基板
3:導電性インキパターン層
4:絶縁層
5:粘着材(貼り合わせ)
6:下部基板の透明電極
7:上部基板の透明電極
8:ドットスペーサー
9,10:上部側駆動電極
11,12:上部側接続電極
13,14:下部側駆動電極
15,16:下部側接続電極
17:取り回し回路

Claims (10)

  1. 感光性樹脂(A)、導電性粒子(B)および光重合開始剤(C)を含む感光性導電性インキであって、
    前記感光性樹脂(A)が、ポリエチレングリコールを必須成分として含有するポリオール成分(a)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するエチレン性不飽和基含有化合物(b)と、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(c)と、ポリイソシアネート(d)とを反応させてなる、側鎖にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有するウレタン樹脂である、ことを特徴とする感光性導電性インキ。
  2. 感光性樹脂(A)の酸価が10〜200mgKOH/gである請求項1記載の感光性導電性インキ。
  3. 感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量が300〜5000g/eqである請求項1または2記載の感光性導電性インキ。
  4. 感光性樹脂(A)の質量平均分子量が3000〜100000である請求項1〜3いずれか1項に記載の感光性導電性インキ。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の感光性導電性インキを硬化してなる硬化物。
  6. 基材と、前記基材上に形成された導電パターンとを具備する導電パターン付き積層体であって、
    前記導電パターンが、請求項1〜4いずれか1項に記載の感光性導電性インキにより形成されている、導電パターン付き積層体。
  7. 前記導電パターンを被覆するように積層された絶縁層をさらに具備する、請求項6記載の導電パターン付き積層体。
  8. 前記導電パターンと電気的に接続され、所定のパターンを有する他の導電パターンが、前記基材と前記導電パターンと間にさらに設けられている、請求項6または7記載の導電パターン付き積層体。
  9. 前記他の導電パターンが、錫がドープされた酸化インジウムを主成分とする透明導電パターンである、請求項8記載の導電パターン付き積層体。
  10. タッチスクリーンパネル用途に用いられる、請求項6〜9のいずれか1項に記載の導電パターン付き積層体。
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CN115806754A (zh) * 2022-12-07 2023-03-17 连州市祥丰化工有限公司 一种感光成像显影成型的导电油墨及其制备方法和线路板

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