JP2016180171A - 非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】入熱400kJ/cm以下程度の中入熱溶接のHAZ靭性に優れ、かつ耐溶接割れ性にも優れた、引張強さTS:590MPa以上の非調質低降伏比高張力厚鋼板の提供。【解決手段】質量%で、C:0.04〜0.08%、Si:0.15〜0.30%、Mn:1.0〜1.7%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、N:0.0040%以下、Ti:0.005〜0.020%、Mo:0.10〜0.20%、Nb:0.005〜0.025%、Cr:0.10〜0.50%、B:0.0003%以下(0%を含む)をPCMが0.18以下を満足する組成の鋼素材に、制御圧延と加速冷却を施し、板厚1/4位置における組織が、ベイナイト相を主相とし、第二相として面積率で5%以上のMA相を含む組織を有する厚鋼板である、非調質で、HAZ靭性に優れ、耐溶接割れ性に優れた低降伏比高張力厚鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、建築等の溶接鋼構造物用として好適な、高張力厚鋼板に係り、とくにサブマージアーク溶接あるいはエレクトロスラグ溶接で入熱50〜400kJ/cm程度の中入熱溶接を施されても、溶接熱影響部(HAZ)靭性に優れ、また、0℃近傍の低温域で、入熱20kJ/cm以下の低入熱溶接を行なっても予熱作業が不要である、耐溶接割れ性にも優れた、非調質低降伏比高張力厚鋼板に関する。なお、ここでいう「厚鋼板」は、板厚12mm以上50mm以下である場合をいうものとする。なお、ここでいう「溶接熱影響部靭性に優れる」とは、溶接熱影響部(ボンドから1mmの位置の)におけるシャルピー衝撃試験の試験温度:0℃での吸収エネルギーが70J以上である場合をいうものとする。
建築構造物等の溶接鋼構造物は、一般に、厚鋼板等の鋼材を、溶接接合して所望の形状に組み立てられている。このような溶接鋼構造物においては、安全性の観点から、使用する鋼材に、母材靭性はもちろん、溶接熱影響部靭性にも優れることが要求されてきた。
さらに、近年、建築鋼構造物には、耐震性の向上が要求されている。そのため、建築鋼構造物用として使用される鋼材には、塑性変形能を確保するために、降伏比YR(降伏強さYS/引張強さTS)が80%以下となる低降伏比を有することが要求されている。さらに、地震のような大きな負荷荷重を受けると、溶接鋼構造物では、塑性変形が生じる前に溶接部から脆性破壊が発生する場合がある。このため、とくに溶接継手部において、高い靱性が要求されるようになっている。
しかも最近では、溶接鋼構造物の施工能率の向上と施工コストの低減という観点から、溶接効率の向上が求められ、大入熱溶接の適用範囲が拡大されている。例えば、高層建築物に用いられるボックス柱や冷間成形角形鋼管、あるいは、円形鋼管の溶接部で、サブマージアーク溶接などによる400kJ/cmを超える大入熱溶接が適用されている。なお、板厚が50mm以下の鋼材(厚鋼板)では、施工される溶接の入熱量は、たかだか400kJ/cm程度までである。
しかし、入熱量が400kJ/cm以下(50kJ/cm以上)程度の溶接部においても、溶接熱影響部(以下、HAZともいう)の靭性劣化が問題となる。これは、溶接により融点近傍まで加熱された領域では、冷却が遅いため高温域での滞留時間が長く、オーステナイト粒が粗大化しやすいうえ、さらにその後の冷却の際に、MA(島状マルテンサイトともいう)等の硬質な脆化相が生じやすいことに起因する。このようなHAZの靭性劣化は、鋼材の強度が増加するにしたがい、顕著となり、とくに、引張強さTS590MPa級鋼材では、問題となることが多い。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、C:0.05〜0.11%、Si:0.5%以下、Mn:0.6〜1.6%を含み、P、Sを適正範囲内に調整し、さらに、Cu:0.80〜1.60%、Ni:0.30〜1.0%、Nb:0.005〜0.02%、Ti:0.005〜0.025%、N:0.001〜0.004%、O:0.001〜0.006%を含み、Al:0.005%以下と実質的にAlを含有しない鋼を熱間圧延後、Ac3変態点〜1000℃の温度範囲に再加熱、焼入れし、さらに700〜850℃の二相域に再加熱し、焼入れし、Ac1変態点以下の温度範囲で焼戻処理を行う、大入熱溶接熱影響部靭性の優れた建築用低降伏比600N/mm2級鋼板の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術では、低Cとし、B無添加でTi酸化物を利用して大入熱溶接熱影響部靭性を向上させるとともに、二相域加熱焼入れとCuによる析出硬化を利用して、低降伏比で、600N/mm2級の高強度を有する鋼板の製造が可能になるとしている。
また、特許文献2には、C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜3.0%を含み、Al、P、Sを適正範囲に調整して含有し、さらに、Ti:0.004〜0.03%、B:0.0005〜0.0030%、Ca:0.0005〜0.0030%、N:0.0020〜0.0070%、O:0.0050%以下を含み、さらに、Cu:1.5%以下、Ni:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を、炭素当量Ceqが0.35%以上、ACRが0.3〜0.8%を満足する範囲で含む鋼素材に、1000〜1300℃に加熱し熱間圧延を施したのち、空冷する熱延工程を施し厚鋼板としたのち、該厚鋼板に、Ac3変態点以上の加熱温度に再加熱し、保持してから1℃/s以上の平均冷却速度で焼入れする再加熱焼入れ工程と、ついで、(Ac1変態点+10℃)〜(Ac1変態点+50℃)の二相域の温度に加熱し、保持してから1℃/s以上の平均冷却速度で焼入れする二相域加熱焼入れ工程と、さらにAc1変態点以下の温度で焼戻しする焼戻し工程とを施す、超大入熱溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力厚鋼板の製造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術では、超大入熱溶接部靭性を向上するために、TiNを利用してHAZでのオーステナイト粒の粗大化を抑制しつつ、ACRを0.3〜0.8を満足するようにCa、O、Sを調整して、CaS上にMnSが析出した複合硫化物を析出させ、フェライト変態核として作用させ、粒内フェライトの核生成を促進させてHAZ組織の微細化を図り、超大入熱溶接部靭性を向上させるとしている。さらに、特許文献2に記載された技術では、固溶強化に有効なCu、Ni量を適正化して、二相域加熱し、焼入れる処理により、引張強さTS590MPa以上の高強度化と、80%以下の低降伏比を、超大入熱溶接HAZ靭性の劣化を招くことなく、達成できるとしている。
また、特許文献3には、C:0.05〜0.15%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.6〜1.6%を含み、P、S、Alを適正範囲に調整して含有し、さらに、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%、Ti:0.005〜0.030%、B:0.0003〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0030〜0.0060%、O:0.0010〜0.0030%を、ACRが0.2〜0.8%、Ceqが0.47%以下となる範囲で含む鋼素材を、1000〜1300℃の範囲の温度に加熱し、圧延終了温度を900℃以上とする熱間圧延を施した後、1℃/s以上の冷却速度で600℃以下まで加速冷却を行ない、厚鋼板としたのち、さらに(Ac1変態点+10℃)〜(Ac1変態点+70℃)の二相域の再加熱温度に加熱したのち、急冷する再加熱焼入れを行ない、ついで焼戻しを行なう再加熱焼入れ−焼戻処理を施す、超大入熱溶接熱影響部靭性に優れる建築構造用低降伏比高強度厚鋼板の製造方法が記載されている。特許文献3に記載された技術では、超大入熱溶接部靭性の向上のためには、高温に加熱された領域におけるオーステナイト粒の粗大化抑制と、冷却時にフェライト変態を促進する変態核の微細分散が、重要であるとしている。そしてそのために、特許文献3に記載された技術では、TiNの利用と、ACRが適正範囲となるようにCa、O、Sを調整して含有させ、形態を最適化したCa酸化物または硫化物を鋼中に分散させて、粒内フェライトの核生成を促進させてHAZ組織を微細化させるとしている。
特開平06−128635号公報 特開2005−68478号公報 特開2005−68519号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された技術は、二相域熱処理を行うことや溶接部靭性の改善のために、複雑な成分調整を行うことが必要であり、生産性、製造コストに問題を残していた。さらに、特許文献1〜3に記載された技術はいずれも、溶接入熱が400kJ/cmを超えるような超大入熱に対応した技術であり、溶接入熱400kJ/cm以下(50kJ/cm以上)程度の中入熱溶接の場合の溶接熱影響部特性についてまでの言及はない。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、焼入れ焼戻等の調質熱処理を施すことなく非調質で、引張強さTS:590MPa以上で、降伏比:80%以下を有し、溶接入熱400kJ/cm以下(50kJ/cm以上)程度の中入熱溶接を施された場合でも、溶接熱影響部靭性に優れ、かつ0℃近傍の低温域で、入熱20kJ/cm以下の低入熱溶接を行なっても予熱作業が不要である、耐溶接割れ性にも優れた、非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、中入熱溶接の溶接熱影響部靭性に及ぼす各種要因の影響について、鋭意研究した。その結果、C、Si、Mo、Nb等の合金元素を適正範囲内に調整し、熱間圧延、加速冷却条件を適切な範囲に調整することにより、組織を、ベイナイトを主相とし、面積率で30%以下の第二相からなり、第二相が面積率で5%以上のMA相を含む組織とすることができ、これにより、所望の高強度(引張強さTS:590MPa以上)を保持したまま、降伏比:80%以下の低降伏比を有し、中入熱溶接熱影響靭性および耐溶接割れ性に優れた厚鋼板を得ることが可能となることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)質量%で、C:0.04〜0.08%、Si:0.15〜0.30%、Mn:1.0〜1.7%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、N:0.0040%以下、Ti:0.005〜0.020%、Mo:0.10〜0.20%、Nb:0.005〜0.025%、Cr:0.10〜0.50%、B:0.0003%以下(0%を含む)を、次(1)式
PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ‥‥(1)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%))
で定義される溶接割れ感受性指数PCMが0.18以下を満足するように調整して含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、板厚1/4位置において、ベイナイト相を主相とし、面積率で30%以下の第二相からなり、前記第二相が面積率で5%以上のMA相を含む組織と、を有し、引張強さ:590MPa以上で、降伏比:80%以下で、溶接熱影響部靭性および耐溶接割れ性に優れることを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.070%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板。
(4)鋼素材を、加熱し熱間圧延を施したのち、加速冷却を施す高張力厚鋼板の製造方法であって、前記鋼素材が、質量%で、C:0.04〜0.08%、Si:0.15〜0.30%、Mn:1.0〜1.7%、P:0.015%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、N:0.0040%以下、Ti:0.005〜0.020%、Mo:0.10〜0.20%、Nb:0.005〜0.025%、Cr:0.10〜0.50%、B:0.0003%以下(0%を含む)を、次(1)式
PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ‥‥(1)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%))
で定義される溶接割れ感受性指数PCMが0.18以下を満足するように調整して含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材であり、前記加熱が、加熱温度:1050〜1200℃とする加熱であり、前記熱間圧延が、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下率が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900〜760℃となる熱間圧延とし、前記加速冷却が、表面温度で760℃以上の温度から、板厚1/4t位置での平均冷却速度で2℃/s以上の冷却速度で、板厚1/4t位置の温度で、次(2)式
Bs温度(℃)=830−270×C−90×Mn−37Ni−70Cr−83Mo ‥‥(2)
(ここで、C、Mn、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%))
で定義されるBs温度(℃)で表示してBs温度〜(Bs温度−100℃)の温度域の冷却停止温度まで冷却する加速冷却であることを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
(5)(4)において、前記加速冷却を施したのち、さらに、焼戻温度:400〜700℃で焼戻処理を施すことを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
(6)(4)または(5)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.070%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
(7)(4)ないし(6)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、焼入れ焼戻等の調質熱処理を施すことなく非調質で、合金元素の多量含有を行なうことなく、引張強さTS:590MPa以上、降伏比:80%以下を有し、溶接入熱400kJ/cm以下(50kJ/cm以上)程度の中入熱溶接の溶接熱影響部靭性に優れ、かつ0℃近傍の低温域で低入熱溶接を行なっても溶接割れの発生が抑制され、耐溶接割れ性に優れた、非調質低降伏比高張力厚鋼板を容易にしかも安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。
また、本発明になる非調質低降伏比高張力厚鋼板は、鋼構造物の軽量化や、鋼構造物の耐震性の向上に大きく寄与するという効果もある。
まず、本発明高張力厚鋼板の組成限定理由について説明する。以下、組成における質量%は、単に%で記す。
C:0.04〜0.08%
Cは、鋼の強度を増加させ、構造物用鋼材として必要な強度を確保するのに有用な元素である。さらにCは、硬質相の体積率を増加させ、降伏比を低下させる作用を有する。このような効果を得るためには、0.04%以上の含有を必要とする。一方、0.08%を超える含有は、溶接性と靭性を顕著に低下させる。このため、Cは0.04〜0.08%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.07%である。
Si:0.15〜0.30%
Siは、加速冷却時にMA相を生成させ、低降伏比を達成するのに有効に寄与する。このような効果を得るためには、0.15%以上の含有を必要とする。一方、0.30%を超える含有は、中入熱程度の溶接入熱であっても、溶接熱影響部(HAZともいう)靱性を顕著に低下させる。このため、Siは0.15〜0.30%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.15〜0.25%である。
Mn:1.0〜1.7%
Mnは、固溶して鋼の強度を増加させる作用を有する安価な元素であり、高価な合金元素の含有を最小限に抑えるために、含有させる。このような効果を得て、所望の高強度(引張強さ590MPa以上)を確保するためには、1.0%以上の含有を必要とする。一方、1.7%を超える含有は、母材の靱性を低下させる。このため、Mnは1.0〜1.7%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.0〜1.5%である。
P:0.015%以下
Pは、不純物元素であり、母材靭性に悪影響を及ぼすが、0.015%以下であれば、その悪影響は許容できる。なお、Pは好ましくは0.010%以下である。また、Pは、加速冷却時にMA相を生成させ、低降伏比の実現にも寄与する。このような効果を得るためには0.005%以上含有することが望ましい。このようなことから、Pは0.015%以下に限定した。
S:0.003%以下
Sは、鋼中ではMnS等の硫化物系介在物として存在し、母材および溶接部の靱性を低下させるとともに、鋳片の中央偏析部などに多量に偏在して、鋳片等における欠陥を発生しやすくする。このような傾向は、0.003%を超える含有で顕著となる。このため、Sは0.003%以下に限定した。なお、Sはできるだけ低減することが望ましいが、過度のS低減は、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、Sは0.001%程度以上とすることが望ましい。
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、脱酸剤として、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいては、もっとも汎用的に使われる。このような効果を得るためには、0.010%以上含有することが望ましいが、0.05%を超える含有は、母材の靱性を低下させるとともに、溶接時に溶接金属に混入して溶接金属部靱性を低下させる。このため、Alは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.045%以下である。
N:0.0040%以下
Nは、鋼中に固溶して、冷間加工後に歪時効を誘起させ、靭性を低下させる作用を有する元素であり、本発明では、できるだけ低減することが望ましい。0.0040%を超えて含有すると、靭性の劣化が著しくなる。このため、Nは0.0040%以下に限定した。
Ti:0.005〜0.020%
Tiは、Nとの親和力が強く、溶鋼凝固時にTiNとして析出し、鋼中の固溶N量を減少させ、冷間加工後の歪時効による靭性低下を軽減する作用を有する。また、Tiは、HAZの組織改善を介して、HAZ靭性の向上にも寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.020%を超えて含有すると、TiN粒子が粗大化し、上記した効果が期待できなくなる。このため、Tiは0.005〜0.020%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.007〜0.015%である。
Mo:0.10〜0.20%
Moは、強度増加に有効に寄与する元素である。所望の強度(引張強さ:590MPa以上)を安定して確保するためには0.10%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超えて含有すると、効果が飽和するうえ、材料コスト増による製造コストの高騰を招く。このため、Moは0.10〜0.20%の範囲に限定した。
Nb:0.005〜0.025%
Nbは、ミクロ組織の細粒化を介して、鋼材の靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.025%を超える多量の含有は、析出物が多量に析出し、析出強化により、所望の低降伏比を確保できなくなる。このため、Nbは0.005〜0.025%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005〜0.020%である。
Cr:0.10〜0.50%
Crは、強度増加に有効に寄与する元素である。所望の強度(引張強さ:590MPa以上)を安定して確保するためには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、0.50%を超えて含有すると溶接性が低下する。このため、Crは0.10〜0.50%の範囲に限定した。
B:0.0003%以下(0%を含む)
Bは、溶接性を低下させるため、本発明ではその含有量をできるだけ低減することが望ましく、全く含有しなくてもよい(含有量が零%)。とくに、0℃近傍で予熱を実施せずに溶接施工を実施することができるような耐溶接割れ性を保持させるためには、Bは0.0003%以下に調整することを必要とする。このようなことから、Bは0.0003%以下(0%を含む)に限定した。なお、好ましくは、0.0002%以下である。
PCM=:0.18以下
溶接割れ感受性指数PCMは、次(1)式
PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ‥‥(1)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%))
で定義される。なお、(1)式の右辺値を計算するに際しては、(1)式に記載された元素のうち、含有しない元素は「零」%として算出するものとする。
PCMが、0.18を超えて大きくなると、0℃近傍で、入熱20kJ/cm程度の低入熱溶接で溶接施工を行なう際に、溶接割れを防止するために、予熱が必要となる。このため、予熱なしで低入熱溶接を実施することを目的とする本発明では、各元素の含有量をPCMが0.18以下となるように調整することとした。
上記した成分が基本の成分であるが、基本成分に加えてさらに、選択元素として、V:0.070%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種、を含有できる。
V:0.070%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
V、Cu、Niはいずれも、強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて、選択して含有できる。このような効果を得て、所望の強度(TS:590MPa以上)を確保するためには、V:0.030%以上、Cu:0.20%以上、Ni:0.20%以上含有することが望ましい。一方、V:0.070%、Cu:0.50%、Ni:0.50%を超える多量の含有は、溶接性の低下を招く。なお、Vは0.070%を超えて含有するとHAZ靭性が低下する。また、Cu、Niが0.50%を超えて含有するとコストが上昇する。このため、含有する場合、V:0.070%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下に、それぞれ限定することが好ましい。
Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種
Ca、REMはいずれも、Sと結合し硫化物系介在物の形状を球状化し、母材の延性および靭性の向上、母材の板厚方向靭性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Ca:0.0005%以上、REM:0.0010%以上含有することが好ましい。一方、Ca:0.0050%、REM:0.0050%をそれぞれ超える過剰な含有は、母材の靭性低下を招く。このため、含有する場合には、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%、の範囲にそれぞれ限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
つぎに、本発明厚鋼板の組織限定理由について説明する。
本発明高張力厚鋼板は、板厚1/4位置において、ベイナイト相を主相とし、面積率で30%以下の第二相からなり、前記第二相が面積率で5%以上のMA相を含む組織と、を有する。なお、ここでいう「主相」とは、面積率で70%以上を占有する相をいうものとし、第二相は主相以外の相(単一の相でなく複数の相であってもよい)とする。
本発明高張力厚鋼板では、所望の強度(TS:590MPa以上)を確保するためベイナイト相を主相とする。主相以外の第二相は、MA相、およびフェライト相、パーライトのうちの1種または2種の相からなる。第二相は、合計で面積率で30%以下とする。第二相が合計で面積率で30%を超えると、所望の強度(TS:590MPa以上)を確保することができなくなる。なお、組織は、板厚1/4t位置で測定するものとする。少なくとも板厚1/4t位置で上記した組織を確保できれば、所望の強度(TS:590MPa以上)を確保することができることを確認している。なお、MA相は、ベイナイト相のベイナイトラス間に存在するものも第二相に含めるものとする。また、ベイナイト相の面積率の算定においては、ベイナイトラス間に存在するMA相の面積をベイナイトの面積に含まないものとして算定する。
本発明高張力厚鋼板では、第二相として、面積率で5%以上のMA相を含む組織とする。MA相は周囲のベイナイトと比べ硬質であり、周囲のベイナイトに可動転位を導入して降伏強さYSを低下させるとともに、引張強さTSを上昇させる。このため、第二相としてMA相(Martensite-Austenite Constituent)を5%以上含有する組織とすることにより、所望の強度(TS:590MPa以上)を維持したまま、所望の低降伏比を確保することができるようになる。MA相が面積率で5%未満では、所望の低降伏比を確保することができなくなる。また、MA相は微細で比較的母材靭性に悪影響を及ぼさないが、しかし、MA相が面積率で10%を超えると、母材靭性が低下する。このため、MA相は5%以上に限定した。好ましくは10%以下である。なお、より好ましく面積率で5〜8%である。
つぎに、本発明高張力厚鋼板の製造方法について説明する。
本発明高張力厚鋼板の製造方法では、上記した組成の鋼素材を、加熱し熱間圧延を施したのち、加速冷却を施す。
本発明の製造方法で使用する鋼素材は、とくにその製造方法を限定する必要はなく、常用の製造方法がいずれも適用できるが、転炉等の常用の溶製方法で、上記した組成の溶鋼を溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法でスラブ等の鋳片とし、鋼素材とすることが、生産性向上の観点から好ましい。
得られた鋼素材は、ついで加熱温度:1050〜1200℃に加熱される。
加熱温度:1050〜1200℃
鋼素材の加熱温度が、1050℃未満では、鋼素材中に析出した炭化物、窒化物等の粗大な析出物の溶解が不十分となり、所望の強度を確保できなくなる。一方、1200℃を超えて高温となると、組織が粗大となり、母材靭性が劣化する。このため、鋼素材の加熱温度は1050〜1200℃の範囲の温度に限定した。
加熱された鋼素材は、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下率が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900〜760℃となる熱間圧延(厚板圧延)を施される。なお、熱間圧延(厚板圧延)は、圧延終了温度が上記した温度域の温度であれば、粗圧延と仕上圧延との2段階に分けても何ら問題はない。
950℃以下の温度域での累積圧下率:30%以上
表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下率が30%未満では、未再結晶温度域での圧下量が不足し、組織の微細化を達成できず、所望の強度、母材靭性を確保できなくなる。このため、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下率は30%以上に限定した。当該温度域での累積圧下率は、累積圧下率が高くなりすぎると、結晶粒が伸展しシャルピー衝撃試験でセパレーションが発生し、低温靭性が低下しやすくなることから、50%以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは40%以下である。
圧延終了温度:900〜760℃
圧延終了温度が、表面温度で900℃を超えて高温では、組織が粗大化し、その後の加速冷却によっても、所望の組織を確保できず、所望の強度、母材靭性を確保できなくなる。一方、圧延終了温度が、表面温度で760℃未満では、圧延中にフェライトが析出し、析出したフェライトが加工され、所望の組織を確保できず、所望の強度、母材靭性を確保できなくなる。このため、熱間圧延の圧延終了温度は、900〜760℃の範囲の温度に限定した。なお、好ましくは850〜780℃である。
熱間圧延(厚板圧延)を終了した後、加速冷却を施される。加速冷却は、表面温度で760℃以上の温度から、板厚1/4t位置での平均冷却速度で2℃/s以上の冷却速度で、板厚1/4t位置の温度で、Bs温度〜(Bs温度−100℃)の温度域の冷却停止温度まで冷却する処理とする。
加速冷却開始温度:表面温度で760℃以上
加速冷却の開始温度が、表面温度で760℃未満では、加速冷却の開始前にフェライト相(ポリゴナルフェライト相)が析出し、その後の冷却によっても、組織の微細化が達成できず、所望の強度、母材靭性を確保できなくなる。このため、加速冷却の開始温度は760℃以上の温度に限定した。
加速冷却の冷却速度:板厚1/4t位置での平均冷却速度で2℃/s以上
加速冷却の冷却速度が、板厚1/4t位置での平均冷却速度で2℃/s未満では、冷却が遅すぎて、第二相分率が高くなり、所望の組織を確保することができず、所望の強度、母材靭性を確保できなくなる。このため、加速冷却の冷却速度は板厚1/4t位置での平均冷却速度で2℃/s以上に限定した。なお、好ましくは4〜15℃/sである。
加速冷却停止温度:Bs温度〜(Bs温度−100℃)の温度域の温度
Bs温度は、次(2)式
Bs温度(℃)=830−270×C−90×Mn−37Ni−70Cr−83Mo ‥‥(2)
(ここで、C、Mn、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%))
で定義される。加速冷却の冷却停止温度がBs温度を超えて高温となると、ベイナイトの生成量が減少し、所望の組織を確保することができず、所望の強度、母材靭性を確保できなくなる。一方、(Bs温度−100℃)未満では、MA相の分率が少なくなり、所望の低降伏比を確保できなくなる。このため、加速冷却停止温度は、Bs温度〜(Bs温度−100℃)の温度域の温度に限定した。
なお、上記した加速冷却を施したのち、そのまま製品板としてもよいが、必要に応じて、焼戻温度:400〜700℃で焼戻処理を施してもよい。
焼戻温度:400〜700℃
焼戻処理は、更なる靭性の向上のために、必要に応じて実施するが、焼戻温度が400℃未満では、温度が低すぎて、所望の目的を達成できなくなる。一方、700℃を超えて高くなると、強度が低下しすぎて、所望の強度を確保できなくなる。このため、焼戻温度は400〜700℃の範囲の温度に限定することが好ましい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブ(肉厚:250mm)とし、鋼素材とした。得られた鋼素材を、表2に示す加熱温度に加熱し、表2に示す条件で熱間圧延(厚板圧延)を施し、熱間圧延終了後、表2に示す条件で加速冷却を施し、表2に示す板厚の厚鋼板とした。なお、一部では、加速冷却終了後に、表2に示す焼戻温度で焼戻処理を行った。
得られた厚鋼板から試験片を採取し、組織観察、引張試験、衝撃試験、溶接性試験、溶接継手試験を実施した。試験方法は次の通りとした。
(1)組織観察
得られた厚鋼板から組織観察用試験片を採取し、圧延方向断面(L方向断面)を板厚方向全厚にわたり研磨し、ナイタール液で腐食し、光学顕微鏡(倍率:400倍)または走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)を用いて、組織を観察し、板厚1/4t位置で各3視野以上撮像した。得られた組織写真について、画像解析により、組織の種類、および組織分率(面積率)を測定した。なお、研磨した組織観察用試験片について、ビレラ液で腐食し、同様に組織を観察し撮像して、画像解析により、MA相の組織分率(面積率)を求めた。
(2)引張試験
得られた厚鋼板から、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張方向が圧延方向と平行な方向(L方向)となるように、引張試験片を採取した。なお、板厚:32mm未満の厚鋼板では、JIS 1A号全厚引張試験片を、板厚32mm以上の厚鋼板では、板厚1/4t位置より、JIS 4号引張試験片を、それぞれ採取した。これら引張試験片を用いて、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。また、得られた測定値から、降伏比YR(=(YS/TS)×100%)を算出した。
(3)衝撃試験
得られた厚鋼板の板厚の1/4t位置から、JIS Z 2242の規定に準拠して、試験片の長手方向が圧延方向に垂直な方向(C方向)となるように、Vノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠して、シャルピー衝撃試験を実施し、破面遷移温度vTrs(℃)を求めた。なお、vTrsが−40℃以下である場合を、「靭性に優れる」と評価した。
(4)溶接性試験
得られた厚鋼板からy形溶接割れ試験片を採取し、JISの規定に準拠して、y形溶接割れ試験を実施した。試験溶接は、雰囲気温度:0℃で、入熱:17kJ/cmのGMAWにより実施した。試験溶接後、割れの有無を調査した。
(5)溶接継手試験
得られた厚鋼板から、溶接継手作製用試験片を採取し、V開先となるように開先を機械加工した。そして、板厚19mmの厚鋼板では入熱:72kJ/cm、板厚50mmの厚鋼板では入熱:380kJ/cm、のサブマージアーク溶接(SAW)により、それぞれ溶接継手を作製した。得られた溶接継手部の溶接熱影響部HAZからシャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、試験温度:0℃でシャルピー衝撃試験を実施し、各3本の吸収エネルギーを求め、算術平均して、各厚鋼板の吸収エネルギーvE(J)とした。なお、ノッチ位置は、ボンドから1mmのHAZとした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2016180171
Figure 2016180171
Figure 2016180171
本発明例はいずれも、降伏比:80%以下の低降伏比で、引張強さTS:590MPa以上の強度を有し、vTrsが−40℃以下と優れた母材靭性を示し、さらに、溶接入熱72〜380kJ/cmの中入熱溶接のHAZでの吸収エネルギーvEが70J以上と、中入熱溶接の溶接熱影響部靭性に優れ、かつ0℃での低入熱溶接時にも溶接割れの発生が抑制され、耐溶接割れ性にも優れた、高張力厚鋼板となっている。一方、本発明の範囲を外れた比較例は、降伏比が高いか、所望の強度を確保できていないか、あるいは0℃での低入熱溶接時に溶接割れが発生し、耐溶接割れ性が低下しているか、あるいは中入熱溶接継手部のHAZ靭性が低下している。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.04〜0.08%、 Si:0.15〜0.30%、
    Mn:1.0〜1.7%、 P :0.015%以下、
    S :0.003%以下、 Al:0.05%以下、
    N :0.0040%以下、 Ti:0.005〜0.020%、
    Mo:0.10〜0.20%、 Nb:0.005〜0.025%、
    Cr:0.10〜0.50%、 B :0.0003%以下(0%を含む)
    を、下記(1)式で定義される溶接割れ感受性指数PCMが0.18以下を満足するように調整して含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、
    板厚1/4位置において、ベイナイト相を主相とし、面積率で30%以下の第二相からなり、前記第二相が面積率で5%以上のMA相を含む組織と、
    を有し、引張強さ:590MPa以上で、降伏比:80%以下で、溶接熱影響部靭性および耐溶接割れ性に優れることを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板。

    PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ‥‥(1)
    ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%)
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.070%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
  4. 鋼素材を、加熱し熱間圧延を施したのち、加速冷却を施す高張力鋼板の製造方法であって、
    前記鋼素材が、質量%で、
    C :0.04〜0.08%、 Si:0.15〜0.30%、
    Mn:1.0〜1.7%、 P :0.015%以下、
    S :0.003%以下、 Al:0.05%以下、
    N :0.0040%以下、 Ti:0.005〜0.020%、
    Mo:0.10〜0.20%、 Nb:0.005〜0.025%、
    Cr:0.10〜0.50%、 B :0.0003%以下(0%を含む)
    を、下記(1)式で定義される溶接割れ感受性指数PCMが0.18以下を満足するように調整して含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材であり、
    前記加熱が、加熱温度:1050〜1200℃とする加熱であり、
    前記熱間圧延が、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下率が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900〜760℃となる熱間圧延とし、
    前記加速冷却が、表面温度で760℃以上の温度から、板厚1/4t位置での平均冷却速度で2℃/s以上の冷却速度で、板厚1/4t位置の温度で、下記(2)式で定義されるBs温度(℃)で表示してBs温度〜(Bs温度−100℃)の温度域の冷却停止温度まで冷却する加速冷却である
    ことを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。

    PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ‥‥(1)
    ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%)
    Bs温度(℃)=830−270×C−90×Mn−37Ni−70Cr−83Mo ‥‥(2)
    ここで、C、Mn、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)
  5. 前記加速冷却を施したのち、さらに、焼戻温度:400〜700℃で焼戻処理を施すことを特徴とする請求項4に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.070%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項4または5に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
  7. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
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