JP2016174661A - 生体適合性材料の洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents
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Description
然るに、インプラントは、製造後1週間を経過した以降から経時的に骨となじむ力や骨と接着する能力、さらには骨を造るのに必要な細胞を引き寄せる能力が落ちていくことがわかっている。このインプラントの劣化現象は、インプラントの材料がチタンまたはチタン合金であることに起因して生じるものであり、チタンの生物学的老化(チタンのエージング(aging))と称されている。このチタンのエージングの対処法として、紫外線の照射が有効であるとされている。
特許文献2のインプラント用洗浄装置は、例えば図8に示すように、ピン状のデンタルインプラントに紫外線を照射するために用いられるものである。
このインプラント用洗浄装置は、筐体11の内部に形成された洗浄処理室Dに、紫外線ランプ20が配設されており、酸素を含む雰囲気ガス中において、インプラント1の表面に紫外線ランプ20からの紫外線を照射すると共にオゾンを接触させることによって当該インプラント1を洗浄処理するものである。具体的には、ステージ61における複数の保持部62の各々に、インプラント1を垂立した姿勢で保持させ、紫外線ランプ20を点灯させることにより、172nmや254nmなどの波長の紫外線を照射する。また、洗浄処理室D内の酸素を含む雰囲気ガス中の酸素に紫外線ランプ20からの紫外線が照射されることによって、当該洗浄処理室D内にはオゾンが生成されてインプラント1に接触する。このインプラント用洗浄装置による洗浄処理において、洗浄処理に要する時間は5分程度であり、洗浄処理室D内におけるオゾンの濃度は100ppm程度である。
前述の洗浄処理機序のもとでは、洗浄処理時間が長くなるに従って、インプラントが紫外線およびオゾンにさらされている時間が長くなることから、洗浄処理後のインプラントのオッセオインテグレーション促進効果が高くなると推考されている。そのため、インプラントに対して複数回の洗浄処理を行い、通算の洗浄処理時間(紫外線処理時間)が長くなった場合においても、洗浄処理後のインプラントのオッセオインテグレーション促進効果が低下することはないと推考されている。
そして、このような現象が発生する主原因は、洗浄処理室内の雰囲気ガスにあると推考した。
具体的に説明すると、洗浄処理中において、洗浄処理室内の雰囲気ガス(具体的には、大気)中に含まれる水分子が、紫外線が照射されることによって親水性が高くなったインプラントの表面(具体的には、酸化チタン被膜が形成されたチタンの表面)に強力に接着して水層を形成する。そして、その水層がバリア層になり、細胞が必要とするタンパク質、または細胞自身がインプラントに付着しにくくなることから、洗浄処理時間が長くなることに伴う洗浄処理後のインプラントのオッセオインテグレーション促進効果の急激な減少が生じるのではないかと推考した。
前記洗浄処理室内において、生体適合性材料の表面に、前記紫外線ランプからの紫外線を照射することによって当該生体適合性材料を洗浄処理する生体適合性材料の洗浄装置において、
前記洗浄処理室内を乾燥状態に維持する乾燥状態維持機構を有することを特徴とする。
前記洗浄処理室内には、前記ガス供給手段により、オゾン発生性ガスを含有しない不活性ガスが供給されることが好ましい。
前記洗浄処理室には、ガス供給手段により、乾燥した大気が供給されることが好ましい。
前記洗浄処理室内において、生体適合性材料の表面に対して、露点が−50℃以上0℃以下の雰囲気環境下で前記紫外線ランプからの紫外線を照射することを特徴とする。
従って、本発明の生体適合性材料の洗浄装置によれば、洗浄処理時間が長くなることに伴って洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果が低減されることを防止または抑制することができ、その結果、生体適合性材料を用いた治療において、オッセオインテグレーションを早期に成立させ、再置換術を必要とする確率を低くすることができる。
従って、本発明の生体適合性材料の洗浄方法によれば、洗浄処理時間が長くなることに伴って洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果が低減されることがなく、その結果、生体適合性材料を用いた治療において、オッセオインテグレーションをより一層早期に成立させ、再置換術を必要とする確率を極めて低くすることができる。
図1は、本発明の生体インプラント用洗浄処理装置の一例における筐体内部の構成を示す説明用側面図である。
この生体適合性材料の洗浄装置(以下、単に「洗浄装置」ともいう。)10は、歯科用インプラントおよび整形外科用インプラント等のインプラント、並びに再生医療用生体足場材料などの生体適合性材料の表面に紫外線を照射することによって当該生体適合性材料を洗浄処理するためのものである。ここに、洗浄処理対象である生体適合性材料の具体例としては、歯科用インプラント、整形外科用インプラントおよび再生医療用生体足場材料などの生体適合性材料が挙げられる。この生体適合性材料の材質としては、チタンまたはチタン合金などの金属の他、例えば細胞培養に用いられるポリスチレン、および例えばインプラントに用いられるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の医療用ポリマー、例えば歯科用として用いられるジルコニアおよびアルミナ等のセラミックなどが挙げられる。これらの材料の共通点は、紫外線を受けることによって表面の親水性が増す、という特徴を有することである。
この図の例において、筐体11および隔壁15の各々は、例えばステンレス等の金属によって構成されている。
また、図1には、オゾン除去室Rにおけるガスの流動方向が矢印で示されている。
具体的に説明すると、洗浄処理室D内には、矩形板状の外観形状を有し、上面(図1における上面)に処理対象保持部材に適合する内径の凹所よりなる支持部が一方向(図1における左右方向)に伸びるように形成された支持部材16が配設されている。この支持部材16の支持部に、生体適合性材料を保持した状態の処理対象保持部材が挿入されることにより、洗浄処理室D内において、複数の生体適合性材料が所望の姿勢で支持され、よって複数の生体適合性材料が一方向に沿って並ぶように配置される。そして、支持部材16は、洗浄処理室Dの下部側において側壁部に固定されて配設された、一方向(図1における左右方向)に伸びる複数のガイド部材(図1には、具体的に、上方側ガイド部材17aおよび下方側ガイド部材17bが示されている)のうちの下方側ガイド部材17bによって支持されており、当該複数のガイド部材に沿って往復移動可能とされている。
このような構成によれば、処理対象保持部材を筐体11の外部に取り出すことが可能となるため、処理対象保持部材に対する生体適合性材料の取り付け作業、取り外し作業または交換作業を容易に行うことができる。
この図の例において、支持部材16は、例えばステンレス等の金属によって構成されている。また、支持部材16の正面側端面(図1における左端面)は、開閉扉12の背面(図1における右面)に固定されており、この開閉扉12を開閉することに伴って支持部材16が往復移動される。すなわち、開閉扉12の開閉動作が支持部材16の駆動源とされている。また、支持部材16の表面は、例えば鏡面加工が施されることによって後述する紫外線ランプ20からの紫外線を反射する光反射面とされている。
具体的に説明すると、紫外線ランプ20の各々は、それぞれ生体適合性材料が並ぶ一方向に伸びる2つの直線状部分22が湾曲部分23によって連結されてなるU字管状の発光管21を有している。そして、2つの紫外線ランプ20は、それぞれ発光管21の2つの直線状部分22の各々が互いに上下に位置する姿勢で、生体適合性材料およびその周辺の空間領域を介して、互いに対向するよう配置されている。
また、紫外線ランプ20の各々と筐体11の側壁部との間には、紫外線ランプ20からの紫外線を反射する、断面がコ字形の樋状の2つの反射鏡30が、その背面が筐体10の側壁部に接した状態で当該紫外線ランプ20と対向するよう配置されている。
この図の例において、反射鏡30は、例えばアルミニウム等の金属により構成されている。
また、紫外線ランプ20としては、前記のエキシマ放電ランプの他、蛍光体により発光波長を変換したエキシマ放電ランプを使用することができる。このようなエキシマ放電ランプは、発光管の内面の一部若しくは全面、または外面の一部若しくは全面に蛍光体を塗布することによって蛍光体層が形成された構成のものである。このエキシマ放電ランプにおいては、キセノンのエキシマ発光による紫外線を蛍光体に照射することにより、蛍光体を励起、発光させ、キセノンのエキシマ発光による紫外線に加えて、蛍光体による別の波長の光を発生させることができる。蛍光体としては、その発光が、例えば、最大発光波長が260nm付近のもの、350nm付近のものなどがある。そのため、洗浄装置10に必要とされる光に応じて、蛍光体を選択することにより、紫外線ランプ20として用いられるエキシマ放電ランプを構成することができる。
このオゾン除去フィルタ19,19は、例えば無機繊維ペーパーにより形成されたハニカム構造体からなる基体に、例えばマンガン化合物よりなるオゾン除去用触媒が担持されてなるものである。
乾燥手段31は、筐体11に形成された貫通孔11aに、ガス流路形成部材43を介して接続されている。
この図の例において、貫通孔11aは、筐体11の背面側壁部13bにおける洗浄処理室Dを臨む領域に形成されている。また、筐体11の背面側壁部13bには、オゾン除去室Rを臨む領域にも貫通孔11bが形成されており、この貫通孔11bには、ガス流路形成部材44が接続されている。このガス流路形成部材44によって形成されるガス流路には、ガスバルブ45が設けられている。
また、乾燥手段31を構成する雰囲気減圧手段の具体例としては、例えばガス吸入ポンプおよび排気ポンプなどが挙げられる。
この図の例において、乾燥手段31としてガス供給手段が用いられる場合には、貫通孔11bは開放状態とされ、この貫通孔11bは、洗浄処理室D内(筐体11内)が加圧されることに起因して当該筐体11が破損することを防止するための破損回避用ガス抜き口として機能する。
また、乾燥手段31として雰囲気減圧手段が用いられる場合には、貫通孔11bは閉塞状態とされる。そして、貫通孔11bは、必要に応じて、洗浄処理室D内(筐体11内)が大気圧以下に減圧された後において、当該洗浄処理室D内に、ガス供給手段によって乾燥ガスを封入するための乾燥ガス封入口として利用することもできる。すなわち、乾燥手段31として雰囲気減圧手段が用いられ、貫通孔11bが乾燥ガス封入口としても利用される場合には、乾燥状態維持機構を構成する乾燥手段は、雰囲気減圧手段よりなる乾燥手段31、および当該乾燥ガス封入口に接続されるガス供給手段よりなる乾燥手段の2つの乾燥手段を備えたものとなる。
筐体11にオゾン除去室Rが形成されている場合には、オゾン発生性ガスを含有するガス、具体的には、例えば乾燥空気および乾燥空気を含有する混合ガスを好適に用いることができる。
この図の例において、洗浄処理室Dの雰囲気を構成するガス(乾燥ガス)は、乾燥空気、具体的には、乾燥状態維持機構によって乾燥状態とされた大気である。
洗浄処理中の洗浄処理室Dの露点が上記の範囲に維持されることにより、洗浄処理室D内を十分な乾燥状態とすることができる。具体的には、洗浄処理室内における水蒸気分圧を、100Pa以下の好ましい範囲、50Pa以下の更に好ましい範囲とすることができる。
一方、露点が過大である場合には、洗浄処理室D内が十分な乾燥状態とならず、洗浄処理対象である生体適合性材料における表面吸着水量が多くなって当該生体適合性材料の表面に水層よりなるバリア層が形成される。その結果、洗浄処理後の生体適合性材料に十分なオッセオインテグレーション促進効果が得られなくなるおそれがある。また、生体適合性材料においてチタンの生物学的老化(エージング)が生じている場合には、その生体適合性材料を十分に再活性化することができるなくなるおそれがある。
また、露点が過小である場合には、洗浄処理室Dを目的の露点にするために要する時間が極めて長くなることから実用的ではない。
この図の例において、乾燥手段31としてガス供給手段を用い、当該ガス供給手段から洗浄処理室Dに対して、ガス流量20L/minの条件で乾燥ガス(露点−90℃の乾燥窒素ガス)を供給した場合には、3時間にわたって乾燥ガスを供給することにより、洗浄処理室Dの露点を−50℃とすることができる。また、乾燥手段31としてガス供給手段を用い、当該ガス供給手段から洗浄処理室Dに対して、ガス流量5L/minの条件で乾燥ガス(露点−90℃の乾燥窒素ガス)を供給した場合には、30分間にわたって乾燥ガスを供給することにより、洗浄処理室Dの露点を−10〜−30℃とすることができる。更に、乾燥手段31としてガス供給手段を用い、当該ガス供給手段から洗浄処理室Dに対して、ガス流量5L/minの条件で乾燥ガス(露点−90℃の乾燥窒素ガス)を供給した場合には、数分間にわたって乾燥ガスを供給することにより、洗浄処理室Dの露点を0℃とすることができる。
また、この洗浄処理中においては、洗浄処理室D内の雰囲気ガス(乾燥状態維持機構によって乾燥状態とされた大気(乾燥空気))中の酸素に紫外線ランプ20からの紫外線が照射されることによってオゾンが生成される。そのため、そのオゾンが生体適合性材料に接触することにより、当該生体適合性材料に付着した有機物が分解除去される。
そして、紫外線ランプ20が消灯することによって生体適合性材料の洗浄処理が終了し、当該洗浄処理の終了に応じてファン18が駆動されることにより、洗浄処理室D内の雰囲気ガスがオゾン除去室R内に配置されたオゾン除去フィルタ19を介して循環される結果、洗浄処理室D内に発生したオゾンが除去され、その後、洗浄処理室Dから生体適合性材料が取り出される。
また、ファン18は、生体適合性材料の洗浄処理の終了(具体的には、紫外線ランプ20の消灯)に応じて駆動されるが、ファン18が駆動されるタイミングは、生体適合性材料の洗浄処理の終了と同時であっても、生体適合性材料の洗浄処理が終了する前若しくは終了した後であってもよい。
また、ファン18の作動時間すなわちオゾンの除去処理時間は、オゾン除去フィルタ19のオゾン除去処理能力を考慮して適宜設定されるが、例えば10〜300秒間である。
また、洗浄処理室D内におけるオゾンの除去処理が終了したときのオゾンの濃度は、0.05ppm以下、好ましくは0.001ppm以下である。
また、オゾン除去フィルタ19は、紫外線ランプ20からの光による熱が、筐体11、隔壁15および反射鏡30を介して伝達されることによって加熱されるが、当該オゾン除去フィルタ19の温度は、例えば紫外線ランプ20の消灯時において50〜60℃である。
具体的に説明すると、生体適合性材料は、その表面に紫外線が照射されることにより、人間などの動物の骨を形成する骨芽細胞の付着性(接着性)が向上し、それと共に、親水性が高くなる。また、チタンの生物学的老化(エージング)が生じた生体適合性材料の表面は、親水性が失われて疎水性となっているが、その表面に紫外線が照射されることにより親水性が向上する。そして、親水性が高くなった生体適合性材料の表面には、洗浄処理室D内の雰囲気ガスに含まれる水分子が吸着し、その表面吸着水量が多くなった場合には、水層よりなるバリア層が形成されることとなる。然るに、洗浄装置10においては、洗浄処理室D内が乾燥状態であることから、当該洗浄処理室D内の雰囲気ガスに含まれている水分量が少なく、よって生体適合性材料の表面における表面吸着水量が極めて少ない。そのため、生体適合性材料の表面が、紫外線が照射されることによって親水性が高くなった状態であっても、その生体適合性材料の表面に、水層よりなるバリア層が形成されることが防止または抑制される。
従って、洗浄装置10によれば、洗浄処理時間が長くなることに伴って洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果が低減されることを防止または抑制することができ、その結果、生体適合性材料を用いた治療において、オッセオインテグレーションを早期に成立させ、再置換術を必要とする確率を低くすることができる。
また、洗浄装置10においては、生体適合性材料が紫外線の作用によって効率的に活性化されることから、実験例4から明らかなように、洗浄処理中における洗浄処理室D内の雰囲気がオゾンを含有しないものであっても、所期の洗浄処理を行うことができる。
この生体適合性材料の洗浄装置50は、筐体11の内部における洗浄処理室Dの上方に、当該洗浄処理室D内に供給されるガス(乾燥ガス)が流動するガス供給路Sが設けられていること、および乾燥状態維持機構の構成が異なること以外は、図1の洗浄装置10と基本的に同様の構成を有するものである。
この洗浄装置50において、紫外線ランプ20、処理対象保持部材(図示省略)、支持部材16、および上方側ガイド部材17aおよび下方側ガイド部材17bを含む複数のガイド部材は、図1の洗浄装置10のものと基本的に同様の構成を有するものである。
具体的に説明すると、筐体11の内部において、洗浄処理室Dとガス供給路Sとは、互いに隔壁15によって区画されている。この隔壁15は、筐体11における開閉扉12および正面側壁部13aの各々に離間して配置されており、これにより、開閉扉12および正面側壁部13aの各々と隔壁15との間には、ガス供給路Sから洗浄処理室Dにガスが流出する流出口F2が形成されている。
この図の例において、筐体11および隔壁15の各々は、例えばステンレス等の金属によって構成されている。
また、図2には、筐体11の内部におけるガスの流動方向が矢印によって示されている。
この乾燥手段51は、筐体11の背面側壁部13bにおけるガス供給路Sを臨む領域に形成された貫通孔11bに、ガス流路形成部材52を介して接続されている。このガス流路形成部材52によって形成されるガス流路には、ガスバルブ53が設けられている。
この図の例において、筐体11の背面側壁部13bには、洗浄処理室Dを臨む領域にも貫通孔11aが形成されており、この貫通孔11aには、ガス流路形成部材56を介してガス排気手段55が接続されている。ここに、ガス排気手段55としては、例えばガス吸入ポンプおよび排気ポンプなどが用いられる。また、ガス流路形成部材56によって形成されるガス流路には、ガスバルブ57が設けられている。そして、洗浄装置50において、ガス流路形成部材56によって形成されるガス流路には、ガス排気手段55の作用によって洗浄処理室Dを流動したガスが強制的に排出される。なお、本発明の洗浄装置は、洗浄装置50において、ガス排気手段55が設けられておらず、洗浄処理室Dを流動したガスが、ガス流路形成部材56によって形成されるガス流路に自発的に放出される構成のものであってもよい。
そして、紫外線ランプ20が消灯された後、洗浄処理室Dから生体適合性材料が取り出される。
従って、洗浄装置50によれば、洗浄処理時間が長くなることに伴って洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果が低減されることを防止または抑制することができ、その結果、生体適合性材料を用いた治療において、オッセオインテグレーションを早期に成立させ、再置換術を必要とする確率を低くすることができる。
また、洗浄装置50においては、洗浄処理中の生体適合性材料の表面においてバリア層の形成が防止または抑制され、当該表面における酸化膜が確実に刺激されて当該生体適合性材料が活性化されることから、洗浄処理中における洗浄処理室Dの雰囲気ガスがオゾンを含有しないものであっても、所期の洗浄処理を行うことができる。
例えば、本発明の生体適合性材料の洗浄装置は、図2の洗浄装置において、オゾン除去機構が設けられてなる構成のものであってもよい。このような洗浄装置によれば、乾燥状態維持機構から不活性ガスが供給されることによってパージ(置換)された洗浄処理室に置換しきれずに酸素(具体的には、室内空気中の酸素)が残存した場合であっても、その酸素に紫外線が照射されることによって発生するオゾンを除去することができる。
また、本発明の生体適合性材料の洗浄装置において、紫外線ランプとしては、紫外線を放射するもの、必要に応じてオゾン発生性ガスからオゾンを生成し得る紫外線を放射するものであれば、エキシマ放電ランプに限られず、例えば低圧水銀ランプなどを用いることができる。
また、本発明の生体適合性材料の洗浄装置において、紫外線ランプの形態および配置位置は、図1および図2に示すものに限られず、適宜設計することができる。具体的には、例えば紫外線ランプは、発光管の形状が直管状のものであっても全体が直方体状のものであってもよく、また、発光管の断面形状が円形状であっても矩形円環状であってもよい。
また、本発明の生体適合性材料の洗浄装置においては、紫外線ランプからの直接光のみによって、生体適合性材料に対する所要の紫外線照射が達成されれば、反射鏡は不要である。
また、本発明の生体適合性材料の洗浄方法は、本発明の生体適合性材料の洗浄装置によって実施されることに限定されるものではない。
(洗浄装置の作製)
図1の構成に従って生体適合性材料の洗浄装置(以下、「洗浄装置(A)」ともいう。)を作製した。
作製した洗浄装置において、紫外線ランプ(20)としては、円形直管状の発光管の内部にキセノンガスを封入したエキシマ放電ランプを用いた。このエキシマ放電ランプの内表面には、350nmを最大発光波長とする蛍光体層が形成されている。この蛍光体層は、蛍光体を、円形直管状の発光管の略半周部分に塗布し、固着させることによって形成した。当該エキシマ放電ランプから放射される光の最大発光波長は2つあり、キセノンからのエキシマ発光である172nmと、蛍光体からの発光である350nmである。各々の発光波長の照度は、被照射物の表面において、172nmの光の照度が10mW/cm2 であり、350nmの光の照度が6mW/cm2 である。
また、乾燥状態維持機構を構成する乾燥手段(31)としては、ガス流量5L/minの条件で露点−90℃の乾燥窒素ガスを供給するガス供給手段を用いた。
(1)チタンディスク試料の作製
直径20mm、厚さ1.5mmの市販の純チタンディスク(ASTM規格 Grade 2)を複数用意した。それらの複数の純チタンディスクの各々を、機械研磨した後、120℃に加熱した50%(V/V)硫酸に80秒間浸漬することによって酸処理した。その後、純水によって5分間の超音波洗浄を行う洗浄処理を、処理毎、すなわち5分毎に純水を交換して3回繰り返して行い、超音波洗浄時間が通算で15分間となるように洗浄した後、室温にて自然乾燥することにより、複数のチタンディスク試料を作製した。
得られた複数のチタンディスク試料について、表面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、その表面の様相は、切り立った山脈のように凸凹しており、山−山間隔は1μm前後であり、山にはランダムな細かい起伏があった。このチタンディスク試料の表面形状は、文献(Iwase et.al., Biomaterials 31 (2010) 2717-2727)に掲載されているインプラントを模擬した表面と酷似していることから、当該チタンディスク試料は、生体適合性材料として適切なものであることが確認された。図3にチタンディスク試料の表面のSEM写真を示す。
作製した複数のチタンディスク試料の一部を、滅菌袋に入れてオートクレーブを用いて温度121℃の条件で滅菌処理した後、温度23〜27℃の暗所において3か月間にわたって放置した。このようにして3か月間放置したチタンディスクには、チタンの生物学的老化(エージング)が生じた。
なお、作製した複数のチタンディスク試料のうちのチタンエージング化操作を行わないものは、後述のオッセオインテグレーション促進効果の評価において、チタンディスク試料の初期細胞付着割合(作製直後のチタンディスク試料における細胞付着割合)を確認するために用いた。
チタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料の一部を、洗浄装置(A)を用い、乾燥窒素ガス雰囲気下(具体的には、洗浄処理室内の露点が約−30℃である環境条件下)において、洗浄処理時間(紫外線照射時間)15分間および18分間の各々の洗浄条件によって洗浄処理を行った。
具体的には、先ず、洗浄装置(A)の洗浄処理室にチタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料を配置した後、当該洗浄処理室内に、ガス供給手段によってガス流量5L/minの条件で露点−90℃の乾燥窒素ガスを3分間にわたって供給して室内空気(洗浄装置(A)が配置されている室内の雰囲気空気)を除去するためのパージ(置換)を行った。このようにして洗浄処理室内の水蒸気分圧を低下させた後、ガス供給手段からガス流量5L/minの条件で露点−90℃の乾燥窒素ガスを供給することによって当該洗浄処理室内にガスを流動させつつ、紫外線ランプを点灯させて洗浄処理を行った。
この洗浄処理中において、洗浄処理室内には、置換しきれずに残っている空気や洗浄処理室の構造物から放出される水分が存在する。そのため、配管内(ガス流路形成部材によって形成されるガス流路)を流動する乾燥窒素ガスの露点が−90℃であっても、その乾燥窒素ガスを洗浄処理室内に導入すると、洗浄処理時の洗浄処理室内の露点は約−30℃程度になる。
チタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料の一部に対して、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)を用い、大気雰囲気下(具体的には、洗浄処理室内の露点が10〜15℃である環境条件下)において、洗浄処理時間(紫外線照射時間)15分間および18分間の各々の洗浄条件によって洗浄処理(比較洗浄処理)を行った。ここに、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)は、波長172nmおよび波長350nmの紫外線を放射する紫外線ランプ(エキシマ放電ランプ)を備えており、洗浄処理室の雰囲気ガスが自然に入り込む室内空気によって構成されるものである。
日本工業規格JIS T 0301:2000の「金属系インプラント材料の細胞適合性評価方法」を基本の操作条件とし、6種類の実験用生体適合性材料(具体的には、2枚の作製直後のチタンディスク試料、2枚のチタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料、洗浄装置(A)によって15分間洗浄処理したチタンディスク試料、洗浄装置(A)によって18分間洗浄処理したチタンディスク試料、15分間比較洗浄処理したチタンディスク試料、および15分間比較洗浄処理したチタンディスク試料)における骨芽細胞付着割合によってオッセオインテグレーション促進効果を評価した。
具体的に説明すると、先ず、培養皿内において、マウス頭頂骨由来細胞「R−Ost−583」(Lonza社製)を、グルコースが添加されたダルベッコ改変イーグル培地を用い、当該培地に、L−グルタミン溶液および血清を、濃度が10vol%となるように添加することによって支障なく骨芽細胞を培養した。継代培養は、二酸化炭素インキュベータの中において、温度37℃、二酸化炭素濃度5%の培養条件にて7〜10日間行った。
そして、培養された全細胞(全骨芽細胞)を培養培地と共に回収した。この回収に際して、培養皿の底壁に貼り付いた状態で増殖した細胞(骨芽細胞)は、トリプシン溶液(1g/L)とエチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液(0.2g/L)との混合溶液(以下、「トリプシン−EDTA溶液」ともいう。)を加えて剥離することによって回収した。このようにして得られた回収物の溶液部分を吸引排出した後、新たに培養培地を加えて評価用細胞溶液とした。
次いで、細胞培養12ウェルプレート(ウェル径:22mm、ウェル配列:3行4列)をクリーンベンチ内に設置し、当該細胞培養12ウェルプレートの1行目のウェル内に各実験用生体適合性材料を配置した。そして、各実験用生体適合性材料上に、調製した評価用細胞溶液をピペットで適量滴下することによって約1×105 個の細胞(骨芽細胞)を播種すると共に、同量の細胞を、3行目のウェルのうちの1つのウェル内にも播種した。ここに、細胞の個数(個/mL)は、評価用細胞溶液をピペッティング操作で均一化した後に一部を採取してビルケルチュルク計算盤にて確認した。その後、二酸化炭素インキュベータの中において、温度37℃、二酸化炭素濃度5%の培養条件にて3時間にわたって培養した。
そして、培養開始から3時間経過後に細胞培養12ウェルプレートから各実験用生体適合性材料を取り出し、その実験用生体適合性材料の各々について、当該実験用生体適合性材料に付着していない細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(具体的には、PBS(−)溶液)によって洗浄して落とした。その後、実験用生体適合性材料に付着している細胞を、トリプシン−EDTA溶液を用いて剥離し、その個数をビルケルチュルク計算盤によって確認した。また、細胞培養12ウェルプレートの3行目のウェルで培養した細胞については、培養培地を吸引除去した後に、リン酸緩衝生理食塩水(具体的には、PBS(−)溶液)にて洗浄し、全細胞をトリプシン−EDTA溶液を用いて剥離し、その個数をビルケルチュルク計算盤によって確認した。3行目のウェルで培養された細胞の個数に対する実験用生体適合性材料に付着していた細胞の個数の割合を求め、その値を、実験用生体適合性材料の骨芽細胞付着割合とした。結果を図4のグラフに示す。図4のグラフにおいて、(a)および(b)は、作製直後のチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果であり、(c)および(d)は、チタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果である。また、(e)は、15分間比較用洗浄処理したチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果であり、(f)は、15分間比較洗浄処理したチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果であり、(g)は、洗浄装置(A)によって15分間洗浄処理したチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果であり、(h)は、洗浄装置(A)によって18分間洗浄処理したチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果である。この図4のグラフにおいて、縦軸はマウス由来の骨芽細胞の3時間培養後の付着割合(相対的付着量)を示している。
また、チタンの生物学的老化(エージング)が生じた後に大気雰囲気下において紫外線を照射する洗浄処理を行ったチタンディスク試料の骨芽細胞付着割合は、30%弱までにはなったが、作製直後のレベルまでは至らなかったことが示されている。
一方、チタンの生物学的老化(エージング)を生じた後に乾燥窒素ガス雰囲気下において紫外線を照射する洗浄処理を行ったチタンディスク試料の骨芽細胞付着割合は、40〜45%になっており、作製直後のレベルに勝るとも劣らないレベルになったことが示されている。
この実験例1の結果から、乾燥ガス雰囲気下において生体適合性材料に紫外線を照射する洗浄処理方法、すなわち本発明の洗浄装置を用いた本発明の洗浄処理方法においては、洗浄処理時間が長くなることに伴って洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果が低減されないことが確認された。
実験例1の実験用生体適合性材料の作製におけるチタンディスク試料の作製と同様の手法によってチタンディスクを25枚作製した。
作製した25枚のチタンディスク試料の各々に対して、実験例1の実験用生体適合性材料の作製におけるチタンディスク試料におけるチタンエージング化操作と同様の手法によってチタンの生物学的老化(エージング)を生じさせた。
そして、チタンの生物学的老化(エージング)を生じた25枚のチタンディスク試料のうちの22枚のチタンディスク試料の各々に対して、実験例1の実験用生体適合性材料の作製におけるチタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料の洗浄処理(比較洗浄処理)において、洗浄処理時間を種々の時間(図5参照)に変更したこと以外は当該洗浄処理(比較洗浄処理)と同様の手法によってインプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)を用いて洗浄処理を行った。
その後、3枚のチタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料、および比較洗浄処理した22枚のチタンディスク試料の各々について、実験例1のオッセオインテグレーション促進効果の評価と同様の手法によってオッセオインテグレーション促進効果の評価を行った。すなわち、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)による洗浄処理時間(通算の洗浄処理時間)と洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果との関係を確認した。結果を図5のグラフに示す。この図5のグラフは、チタンの生物学的老化(エージング)が生じたチタンディスク試料を、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)によって5分間以上の長時間にわたって洗浄処理した場合の骨芽細胞の付着量(オッセオインテグレーションの指標)の経時的な変化を示すものである。この図5のグラフにおいて、横軸は洗浄処理時間(紫外線照射時間)を示し、縦軸はマウス由来の骨芽細胞の3時間培養後の付着割合(相対的付着量)を示している。
従って、生体適合性材料に対して、大気雰囲気下において紫外線を照射する洗浄処理方法においては、処理時間が長くなるほど洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果が高くならないことが確認された。
実験例2と同様にしてチタンの生物学的老化(エージング)を生じた25枚のチタンディスク試料を用意した。
そして、実験例2において、実験例1の実験用生体適合性材料の作製におけるチタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料の洗浄処理と同様の手法によって洗浄装置(A)を用いて洗浄処理を行ったこと以外は、当該実験例2と同様の手法によってオッセオインテグレーション促進効果の評価を行った。結果を図6のグラフに示す。この図6のグラフは、チタンの生物学的老化(エージング)が生じたチタンディスク試料を、洗浄装置(A)によって5分間以上の長時間にわたって洗浄処理した場合の骨芽細胞の付着量(オッセオインテグレーションの指標)の経時的な変化を示すものである。この図6のグラフにおいて、横軸は洗浄処理時間(紫外線照射時間)を示し、縦軸はマウス由来の骨芽細胞の3時間培養後の付着割合(相対的付着量)を示している。
従って、生体適合性材料に対して、乾燥ガス雰囲気下において紫外線を照射する洗浄処理方法においては、洗浄処理時間が長くなることに伴って洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果が低減されないことが確認された。
実験例1の実験用生体適合性材料の作製におけるチタンディスク試料の作製と同様の手法によってチタンディスクを6枚作製した。
作製した6枚のチタンディスク試料の各々に対して、実験例1の実験用生体適合性材料の作製におけるチタンディスク試料におけるチタンのエージング化操作と同様の手法によってチタンの生物学的老化(エージング)を生じさせた。
そして、チタンの生物学的老化(エージング)を生じた6枚のチタンディスク試料のうちの2枚のチタンディスク試料に対して、実験例1の実験用生体適合性材料の作製におけるチタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料の洗浄処理(比較洗浄処理)において、洗浄処理時間を6分間に変更したこと以外は当該洗浄処理(比較洗浄処理)と同様の手法によってインプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)を用いて洗浄処理を行った。ここに、洗浄処理時間6分間は、前述の実験例2からも明らかなように、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)によって、生体適合性材料を、洗浄処理後の生体適合性材料のオッセオインテグレーション促進効果を低減させることなく洗浄処理することのできる時間である。
また、チタンの生物学的老化(エージング)を生じた6枚のチタンディスク試料のうちの他の2枚のチタンディスク試料に対して、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)を用い、下記の手法によって洗浄処理を行った。
その後、2枚のチタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料、比較洗浄処理した2枚のチタンディスク試料、および下記の手法で洗浄処理した2枚のチタンディスク試料の各々について、実験例1のオッセオインテグレーション促進効果の評価と同様の手法によってオッセオインテグレーション促進効果の評価を行った。結果を図7のグラフに示す。図7のグラフにおいて、(a)および(b)は、チタンの生物学的老化が生じたチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果であり、(c)および(d)は、下記の手法で洗浄処理、すなわち容器内に収容した状態で洗浄処理した2枚のチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果であり、(e)および(f)は、比較洗浄処理したチタンディスク試料におけるオッセオインテグレーションの結果である。この図7のグラフにおいて、縦軸はマウス由来の骨芽細胞の3時間培養後の付着割合(相対的付着量)を示している。
先ず、チタンの生物学的老化(エージング)を生じた2枚のチタンディスク試料を、真空紫外域の光(真空紫外線)を透過するガラス製の容器内に収容し、その容器内に、内圧が1×10-4Paとなるまで排気した後、アルゴンガスを、内圧が90kPaとなるように封入して当該容器を封止した。
次いで、2枚のチタンディスク試料が封入された容器を、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)の洗浄処理室に配置し、その容器内に収容された状態の3枚のチタンディスク試料に対して、前述の洗浄処理と同様の処理条件によって洗浄処理を行った。すなわち、インプラント用洗浄装置「TheraBeam Super Osseo」(ウシオ電機(株)製)を用い、乾燥アルゴンガス雰囲気下(具体的には、洗浄処理室内に配置された容器内の露点が−30℃である環境条件下)において、洗浄処理時間(紫外線照射時間)6分間の洗浄条件によって洗浄処理を行った。
この実験例4の結果から、チタンの生物学的老化(エージング)を生じた生体適合性材料に対して、酸素ガスなどのオゾン活性性ガスを含有しない乾燥ガス雰囲気環境下、すなわちオゾンが生成することのない乾燥ガス雰囲気環境下で紫外線を照射して洗浄処理を行った場合であっても、大気雰囲気などのオゾン活性性ガスを含有する雰囲気環境下で紫外線を照射して洗浄処理を行った場合と同程度に、その生体適合性材材料を再活性化できることが明らかとなった。
従って、オゾン活性性ガスを含有しない乾燥ガス雰囲気環境下、すなわちオゾンを含有しない雰囲気環境下で紫外線を照射することによって、チタンの生物学的老化(エージング)が生じた生体適合性材料を洗浄処理することによっても、その生体活性材材料を十分に再活性化できることが確認された。
10 生体適合性材料の洗浄装置
11 筐体
11a,11b 貫通孔
12 開閉扉
13a 正面側壁部
13b 背面側壁部
13c 上壁部
15 隔壁
16 支持部材
17a 上方側ガイド部材
17b 下方側ガイド部材
18 ファン
19 オゾン除去フィルタ
20 紫外線ランプ
21 発光管
22 直線状部分
23 湾曲部分
30 反射鏡
31 乾燥手段
43,44 ガス流路形成部材
45 ガスバルブ
50 生体適合性材料の洗浄装置
51 乾燥手段
52 ガス流路形成部材
53 ガスバルブ
55 ガス排気手段
56 ガス流路形成部材
57 ガスバルブ
61 ステージ
62 保持部
D 洗浄処理室
R オゾン除去室
F1 流入口
F2 流出口
S ガス供給路
Claims (6)
- 開閉扉を有する筐体と、前記筐体内に設置された洗浄処理室と、前記筐体内に配設された紫外線ランプとを備え、
前記洗浄処理室内において、生体適合性材料の表面に、前記紫外線ランプからの紫外線を照射することによって当該生体適合性材料を洗浄処理する生体適合性材料の洗浄装置において、
前記洗浄処理室内を乾燥状態に維持する乾燥状態維持機構を有することを特徴とする生体適合材料の洗浄装置。 - 前記洗浄処理室内における洗浄処理中の雰囲気の露点が−50℃以上0℃以下に維持されることを特徴とする請求項1に記載の生体適合材料の洗浄装置。
- 前記乾燥状態維持機構はガス供給手段を備えており、
前記洗浄処理室内には、前記ガス供給手段により、オゾン発生性ガスを含有しない不活性ガスが供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体適合材料の洗浄装置。 - 前記洗浄処理室内のオゾンを除去するオゾン除去機構を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の生体適合性材料の洗浄装置。
- 前記乾燥状態維持機構はガス供給手段を備えており、
前記洗浄処理室には、ガス供給手段により、乾燥した大気が供給されることを特徴とする請求項1、請求項2および請求項4のいずれかに記載の生体適合性材料の洗浄装置。 - 筐体と、当該筐体内に設置された洗浄処理室と、当該筐体内に配設された紫外線ランプとを備えた生体適合性材料の洗浄装置を用い、
前記洗浄処理室内において、生体適合性材料の表面に対して、露点が−50℃以上0℃以下の雰囲気環境下で前記紫外線ランプからの紫外線を照射することを特徴とする生体適合性材料の洗浄方法。
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